説明

タッチパネル及びその製造方法

【課題】タッチ側基板の撓み変形量を小さくして撓み変形による表示の歪みを小さくすることができる抵抗膜型のタッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチ側基板11の内面に複数の接点用突起13とそれよりも高く突出する複数のスペーサ用突起14とこれらを覆って形成された第1の抵抗膜15とを設け、反対側基板12の内面に前記複数のスペーサ用突起14と対応する部分にそれぞれ第1の抵抗膜15に対する非導通孔17が設けられた第2の抵抗膜を設け、複数の接点用突起13と第1の抵抗膜15の接点用突起13を覆う部分とによりタッチ側基板11のタッチによる撓み変形によって第2の抵抗膜16に接触する複数の突起状接点18を形成し、複数のスペーサ用突起14と第1の抵抗膜15のスペーサ用突起14を覆う部分とにより第2の抵抗膜16の非導通部17において反対側基板12に当接して基板間の間隙を規定する複数の柱状スペーサ19を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、抵抗膜型のタッチパネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗膜型のタッチパネルは、第1の抵抗膜が形成された第1の基板と、第2の抵抗膜が形成された第2の基板とを前記第1と第2の抵抗膜を対向させて配置されたものであり、タッチ側の基板がその外面側からのタッチにより撓み変形し、このタッチ側基板の抵抗膜がタッチ部において前記反対側基板の抵抗膜に接触することにより、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜との接触位置を検出する。
【0003】
この抵抗膜型のタッチパネルにおいては、タッチ入力が行われないときにタッチ側基板の内面の抵抗膜がみだりに反対側基板の内面の抵抗膜に接触することが無いように、一対の基板間の間隙を複数のスペーサにより規定するか、或いは一対の基板間の間隙に絶縁性液体を封入している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−45519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の抵抗膜型タッチパネルは、タッチ側基板のタッチされた部分が一対の基板間の間隙に対応する深さに撓み変形したときに、前記タッチ側基板の内面の抵抗膜が反対側基板の内面の抵抗膜に接触するため、前記タッチ側基板の撓み変形量が大きい。
【0006】
そのため、液晶表示パネル等の表示パネルの観察側に上記従来の抵抗膜型タッチパネルを配置したタッチパネル付き表示装置は、表示パネルからの出射光が、前記タッチ側基板の撓み変形した部分において大きく屈折し、その部分の表示が歪んで見える。
【0007】
この発明は、タッチ側基板の撓み変形量を小さくして、前記タッチ側基板の撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができる抵抗膜型のタッチパネル及びその製造方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
第1の抵抗膜が形成された第1の基板と第2の抵抗膜が形成された第2の基板とが前記第1と第2の抵抗膜を対向させて配置され、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜との接触位置を検出するタッチパネルであって、
前記第1の基板の前記第2の基板と対向する面上に予め定めた高さに突出させて設けられた複数の接点用突起と、
前記各接点用突起とは異なる位置に前記接点用突起よりも高く突出させて前記第1の基板上に設けられた複数のスペーサ用突起と、を備え、
前記第1の抵抗膜は、前記各接点用突起及び前記各スペーサ用突起を覆って前記第1の基板上に形成され、
前記第2の抵抗膜は、前記第1の抵抗膜を介して前記スペーサ用突起が前記第2の基板に接する位置に非導通部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のタッチパネルにおいて、前記各接点用突起及び前記各スペーサ用突起は、所定の間隔で配置されているとともに、隣接した2つの前記スペーサ用突起の間に2つ以上の前記接点用突起が配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載のタッチパネルにおいて、所定の方形領域の4つの角部のそれぞれに前記スペーサ用突起が配置され、少なくとも前記方形領域内において前記接点用突起が前記所定の間隔で配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1から3の何れかに記載のタッチパネルにおいて、前記非導通部は、前記スペーサ用突起の先端面の面積よりも大きい面積を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載のタッチパネルにおいて、前記非導通部は、前記第2の抵抗膜に設けられた孔からなっていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記請求項4に記載のタッチパネルにおいて、前記各接点用突起と前記各スペーサ用突起はそれぞれ感光性樹脂により形成され、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜はそれぞれ透明導電膜により形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1から6の何れかに記載のタッチパネルにおいて、前記各スペーサ用突起は、前記接点用突起との高さの差に対応した厚さに形成された第1の層と、前記接点用突起の高さと同じ厚さに形成された第2の層との積層膜からなっていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記請求項1から7の何れかに記載のタッチパネルにおいて、前記第1の基板と前記第2の基板は、当該第1の基板と当該第2の基板との間に配置された枠状のシール材により接合され、前記シール材により囲まれた間隙に、絶縁性液体が封入されていることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記各接点用突起及び前記各スペーサ用突起は、前記シール材により囲まれた領域に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、前記第1と第2の基板の少なくとも一方との光の屈折率の差が0.1以下の液体であることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、常温で光学的に等方性な材料であることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶であることを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、前記請求項8に記載のタッチパネルにおいて、前記絶縁性液体は、沸点が100℃以上の有機または無機の絶縁性の液状物質であることを特徴とする。
【0021】
請求項14に記載の発明は、前記請求項1から13の何れかに記載のタッチパネルにおいて、前記第1と第2の基板のうちのいずれか一方の基板の縁部に、前記第1の抵抗膜の所定の方向の両端と、前記第2の抵抗膜の前記所定の方向に対して直交する方向の両端とをそれぞれ駆動回路に接続するための駆動回路接続端子が設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項15に記載の発明は、
第1の抵抗膜が形成された第1の基板と第2の抵抗膜が形成された第2の基板とが対向させて配置され、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜との接触位置を検出するタッチパネルの製造方法であって、
前記第1の基板上に、複数の接点用突起と前記各接点用突起よりも高く突出する複数のスペーサ用突起とを形成する工程と、
前記各接点用突起及び前記各スペーサ用突起を覆って前記第1の基板上に前記第1の抵抗膜を成膜する工程と、
前記第2の基板上に、所定の位置が前記第1の導電膜との非導通部となるように前記第2の抵抗膜を形成する工程と、
前記スペーサ用突起が前記非導通部に対応するように前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる工程と、
を有することを特徴とする。
【0023】
請求項16に記載の発明は、前記請求項15に記載のタッチパネルの製造方法において、前記複数の接点用突起と前記複数のスペーサ用突起は、感光性樹脂の塗布、前記塗布した感光性樹脂への露光及び現像処理により順次形成することを特徴とする。
【0024】
請求項17に記載の発明は、前記請求項15に記載のタッチパネルの製造方法において、前記複数の接点用突起と前記複数のスペーサ用突起とを形成する工程は、
前記第1の基板上に第1の感光性樹脂を前記接点用突起と前記スペーサ用突起との高さの差に対応した厚さに塗布する工程と、
前記塗布した第1の感光性樹脂を露光及び現像処理して前記複数のスペーサ用突起の下層部分を形成する工程と、
前記下層部分を覆って前記第1の基板上に第2の感光性樹脂を前記接点用突起の高さに対応した厚さに塗布する工程と、
前記第2の感光性樹脂を露光及び現像処理して前記複数の接点用突起と前記複数のスペーサ用突起の上層部分とを同時に形成する工程と、
からなることを特徴とする。
【0025】
請求項18に記載の発明は、前記請求項15に記載のタッチパネルの製造方法において、前記複数の接点用突起と前記複数のスペーサ用突起は、ポジ型感光性樹脂の塗布、前記塗布したポジ型感光性樹脂への露光及び現像処理により同時に形成することを特徴とする。
【0026】
請求項19に記載の発明は、前記請求項18に記載のタッチパネルの製造方法において、前記塗布したポジ型感光性樹脂への露光処理は、前記複数の接点用突起を形成するための複数の遮光部と前記複数のスペーサ用突起を形成するための遮光部とを有し、且つ前記スペーサ用突起を形成するための遮光部が前記接点用突起を形成するための遮光部よりも幅広に形成された露光マスクを用いて行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、タッチ側基板の撓み変形量を前記一対の基板間の間隙よりも充分に小さくし、前記タッチ側基板の撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】タッチパネル付き表示装置の側面図。
【図2】この発明の第1実施例を示すタッチパネルの平面図。
【図3】第1実施例のタッチパネルのタッチ側基板の内面側から見た平面図。
【図4】第1実施例のタッチパネルの反対側基板の内面側から見た平面図。
【図5】第1実施例のタッチパネルの断面図。
【図6】第1実施例のタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図7】第1実施例のタッチパネルの一部分のタッチ入力時の拡大断面図。
【図8】第1実施例のタッチパネルの製造における突起状接点及び柱状スペーサの形成工程を示す各工程の断面図。
【図9】比較例のタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図10】比較例のタッチパネルの製造における突起状接点及び柱状スペーサの形成工程を示す各工程の断面図。
【図11】タッチパネル駆動回路を示す図。
【図12】この発明の第2実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図13】第2実施例のタッチパネルの製造における突起状接点及び柱状スペーサの形成工程を示す各工程の断面図。
【図14】この発明の第3実施例を示すタッチパネルの一部分の拡大断面図。
【図15】第3実施例のタッチパネルの製造における突起状接点及び柱状スペーサの形成工程を示す各工程の断面図。
【図16】第3実施例のタッチパネルの製造における突起状接点及び柱状スペーサの形成するための感光性樹脂膜の露光処理の概念図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
まず、図1に示したタッチパネル付き表示装置について説明すると、この表示装置は、画像を表示する表示パネル1と、この表示パネル1の観察側に配置された抵抗膜型のタッチパネル10とにより構成されている。
【0030】
前記表示パネル1は、例えば、図示しないバックライトから照射された光の透過を制御して画像を表示する液晶表示パネルであり、予め定めた間隙を設けて対向配置され、周縁部において枠状のシール材4を介して接合された観察側とその反対側の一対の透明基板2,3と、前記一対の基板2,3の対向する内面それぞれに設けられ、互いに対向する領域により複数の画素を形成する透明電極(図示せず)と、前記一対の基板2,3間の間隙の前記シール材4により囲まれた領域に封入された液晶(図示せず)と、前記一対の基板2,3の外面にそれぞれ配置された偏光板5,6とからなっている。
【0031】
なお、この液晶表示パネルは、TN型、STN型、非ツイストのホモジニアス型、垂直配向型、ベンド配向型、強誘電性または反強誘電性液晶表示パネルのいずれでもよく、また、一対の基板の内面にそれぞれ複数の画素を形成するための電極を設けたものに限らず、一対の基板のいずれか一方の内面に、複数の画素を形成するための第1の電極と、それよりも液晶層側に前記第1の電極と絶縁して形成された複数の細長電極部を有する第2の電極とを設け、これらの電極間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて液晶分子の配向状態を変化させる横電界制御型のものでもよい。さらに、前記表示パネル1は、液晶表示パネルに限らず、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル等の発光型表示パネルでもよい。
【0032】
前記タッチパネル10は、前記液晶表示パネル1の観察側に配置され、前記液晶表示パネル1の観察側偏光板5の外面に、透明な粘着材または樹脂からなる接着層7により貼付けられている。
【実施例1】
【0033】
この発明の第1の実施例のタッチパネル10は、図2〜図7のように、互いに対向させて配置された第1と第2の一対の透明基板11,12と、これらの基板11,12のうちの第1の基板、例えばタッチ側基板11の第2の基板(以下、反対側基板という)12と対向する内面の複数の位置にそれぞれ予め定めた高さに突出させて設けられた複数の接点用突起13と、前記タッチ側基板11の内面の前記複数の接点用突起13とは異なる複数の位置にそれぞれ前記接点用突起13よりも高く突出させて予め定めた高さに設けられた複数のスペーサ用突起14と、前記タッチ側基板11の内面に、前記複数の接点用突起13及び前記複数のスペーサ用突起14を覆って、これらの接点用突起13及びスペーサ用突起14を覆う部分が他の部分よりも突出する形状に形成された第1の抵抗膜15と、前記他方の基板、つまり反対側基板12の前記タッチ側基板11と対向する内面に、前記第1の抵抗膜15と対向させて形成され、前記複数のスペーサ用突起14と対応する部分にそれぞれ前記第1の抵抗膜15に対する非導通部17が設けられた第2の抵抗膜16とを備えている。
【0034】
前記一対の基板11,12のうちのタッチ側基板11は、矩形形状に形成されたガラス板または樹脂フィルムからなっており、反対側基板12は、前記タッチ側基板11と実質的に同じ大きさの矩形形状に形成され、且つその1つの縁部に、前記タッチ側基板11の外方に張出す張出部12aが一体に形成されたガラス板からなっている。
【0035】
なお、図では省略しているが、前記一対の基板11,12の内面にはそれぞれその全体にわたってSiO膜が設けられており、タッチ側基板11の内面のSiO膜上に、前記複数の接点用突起13及びスペーサ用突起14と第1の抵抗膜15とが形成され、反対側基板12の内面のSiO膜上に、前記第2の抵抗膜16が形成されている。
【0036】
また、前記複数の接点用突起13と前記複数のスペーサ用突起14はそれぞれ透明な感光性樹脂により形成されており、前記第1と第2の抵抗膜15,16はそれぞれ、ITO等からなる0.05〜0.20μmの膜厚の透明導電膜により形成されている。
【0037】
前記各接点用突起13及び各スペーサ用突起14は、所定の間隔で配置されているとともに、隣接した2つのスペーサ用突起14,14の間に2つ以上の接点用突起13が配置されている。
【0038】
この実施例において、前記各スペーサ用突起14は、所定の方形領域の4つの角部のそれぞれに配置され、前記各接点用突起13は、少なくとも前記方形領域内に、所定の間隔で配置されている。
【0039】
そして、前記タッチ側基板11の内面に設けられた複数の接点用突起13と第1の抵抗膜15の前記複数の接点用突起13を覆う部分とにより、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形によって前記第2の抵抗膜16に接触し、前記第1の抵抗膜15と前記第2の抵抗膜16とをタッチ部において導通させる複数の突起状接点18が形成され、前記複数のスペーサ用突起14と前記第1の抵抗膜15の前記複数のスペーサ用突起14を覆う部分とにより、前記第2の抵抗膜16の前記非導通部17において前記反対側基板12の内面に当接して前記一対の基板11,12間の間隙を前記複数の突起状接点18の高さよりも大きい値に規定する複数の柱状スペーサ19が形成されている。
【0040】
また、前記反対側基板12の内面に形成された第2の抵抗膜16の前記複数のスペーサ用突起14と対応する部分に設けられた複数の非導通部17は、前記スペーサ用突起14の先端面の面積よりも大きい面積を有している。この実施例において、前記非導通部17は、前記第2の抵抗膜16の複数のスペーサ用突起14と対応する部分を除去して形成された孔からなっている。以下、この非導通部17を、非導通孔という。
【0041】
前記一対の基板11,12は、これらの基板11,12の内面それぞれに形成された前記第1と第2の抵抗膜15,16を対向させ、且つ、前記タッチ側基板11の内面に設けられた複数の柱状スペーサ19の先端を、前記反対側基板12の内面の第2の抵抗膜16に形成された複数の非導通孔17内において前記反対側基板12の内面に当接させ、前記タッチ側基板11の内面に設けられた複数の突起状接点18の先端をそれぞれ、前記第2の抵抗膜16に間隙を設けて対向させた状態で、これらの基板11,12の周縁部の間に配置され、前記一対の基板11,12間の間隙をその全周にわたってシールする枠状のシール材26により接合されており、前記一対の基板11,12間の前記シール材26により囲まれた間隙に、絶縁性液体30が封入されている。
【0042】
この実施例のタッチパネル10は、前記枠状のシール材26によるシール部よりも内側の矩形状領域を、タッチ入力を行なうためのタッチエリア31としたものであり、前記第1と第2の抵抗膜15,16はそれぞれ、前記タッチエリア31よりも大きく、且つ前記シール部の外形よりも小さい矩形形状に形成されている。
【0043】
そして、前記複数の柱状スペーサ19は、前記枠状のシール材26により囲まれた領域、つまり前記タッチエリア31に対応する領域内に、前記各スペーサ用突起14の配置に対応して、所定の方形領域、例えば正方形領域の4つの角部のそれぞれに配置されており、前記複数の突起状接点18は、前記タッチエリア31に対応する領域内に、前記各接点用突起13の配置に対応して、隣接した2つの柱状スペーサ14,14の間に2つ以上ずつ配置されている。
【0044】
この実施例において、前記複数の突起状接点18は、互いに直交する2つの方向、例えば前記タッチエリア31の左右方向と上下方向とにそれぞれ予め定めたピッチで、且つ前記2つの方向の各接点列中にそれぞれ、予め定めた数の突起状接点18毎に1つの突起状接点18を省略した複数の無接点部を設けた配列パターンで配置されており、前記複数の柱状スペーサ19は、前記複数の無接点部に配置されている。なお、図3では、前記突起状接点18と柱状スペーサ19とを区別しやすいように、柱状スペーサ19を黒く塗り潰している。
【0045】
なお、前記複数の接点用突起13と複数のスペーサ用突起14はそれぞれ、前記透明な感光性樹脂を予め定めた厚さに塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理することにより形成されたものであり、露光処理された前記樹脂膜を現像処理する際に、前記樹脂膜が膜表面に近い側ほど長時間現像液にされるため、前記複数の接点用突起13及び複数のスペーサ用突起14はいずれも、その基部から先端に向かって径が小さくなった形状に形成される。
【0046】
図5〜図7では、前記複数の接点用突起13及び複数のスペーサ用突起14の高さを大きく誇張しているが、これらの接点用突起13及びスペーサ用突起14の周面の傾斜角(タッチ側基板11面に対する角度)は、実際には40°〜50°であり、したがって、第1の抵抗膜15を、前記複数の接点用突起13及び複数のスペーサ用突起14の全体を覆って均一な膜厚に成膜し、前記複数の突起状接点18及び複数の柱状スペーサ19を形成することができる。
【0047】
具体的には、前記複数の突起状接点18は、タッチ側基板11面と平行な断面形状が円形で、基部の直径が15μmまたは30μm、高さが2.0μmの形状に形成され、前記複数の柱状スペーサ19は、前記基板11面と平行な断面形状が円形で、基部の直径が30μm、高さが2.5μm、3.0μm、4.0μmのいずれかのテーパー柱形状に形成されている。
【0048】
そして、前記複数の突起状接点18は、前記2つの方向(タッチエリア31の左右方向と上下方向)にそれぞれ、0.05mm、0.1mm、0.2mmのいずれかのピッチP1で配列され、前記突起状接点18を省略した複数の無接点部にそれぞれ設けられた前記複数の柱状スペーサ19は、前記2つの方向にそれぞれ、2mmまたは4mmのピッチP2で配置されている。
【0049】
なお、図3及び図5〜図7では、便宜上、5個の突起状接点18毎に1つの柱状スペーサ19を配置しているが、前記複数の突起状接点18のピッチP1と前記複数の柱状スペーサ19のピッチP2とがP1=0.05mm、P2=2mmの場合は、38個の突起状接点18毎に1つの柱状スペーサ19が配置され、P1=0.2mm、P2=4mmの場合は、18個の突起状接点18毎に1つの柱状スペーサ19が配置される。
【0050】
また、前記反対側基板12の張出部12aには、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜15の一方の方向、例えば前記タッチエリア31の左右方向(以下、X軸方向という)の両端と、前記反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜16の前記一方の方向に対して直交する方向、つまり前記タッチエリア31の上下方向(以下、Y軸方向という)の両端とをそれぞれ図11に示したタッチパネル駆動回路33に接続するための複数、例えば4つの駆動回路接続端子22a,22b,23a,23bが設けられている。
【0051】
さらに、前記駆動回路接続端子22a,22b,23a,23bが設けられた反対側基板12の内面には、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜15のX軸方向の両端の縁部にそれぞれ対向する複数の第1の電極20a,20bと、前記反対側基板12に設けられた前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端の縁部にそれぞれ形成された複数の第2の電極21a,21bと、前記複数の第1の電極20a,20b及び前記複数の第2の電極21a,21bを前記張出部12aに設けられた4つの駆動回路接続端子22a,22b,23a,23bにそれぞれ接続する複数の配線24a,24b,25a,25bとが設けられている。
【0052】
この実施例において、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜15は、前記X軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記枠状のシール材26によるシール部に位置し、X軸方向に対して直交するY軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置する形状に形成され、前記反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜16は、前記X軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置し、前記Y軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部の近傍または前記シール部に対応する形状に形成されている。
【0053】
また、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端の辺部にそれぞれ対向する複数の第1の電極20a,20bは、前記シール部に設けられており、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端の辺部にそれぞれ形成された複数の第2の電極21a,21bは、前記第2の抵抗膜16の上に積層されている。
【0054】
なお、この実施例のタッチパネル10は、前記第1の電極20a,20bを、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の一端の辺部と他端の辺部とにそれぞれ対向させて1つずつ設け、前記第2の電極21a,21bを、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の一端の辺部と他端の辺部とにそれぞれ対向させて1つずつ設けたものであり、前記2つの第1の電極20a,20bは、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて連続した帯形状に形成され、前記2つの第2の電極21a,21bは、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端の辺部の略全長にわたって連続した帯形状に形成されている。
【0055】
前記2つの第1の電極20a,20bと前記2つの第2の電極21a,21bは、前記シール部に対応する部分に配線された複数(この実施例では4本)の配線24a,24b,25a,25bにより、前記張出部12aに設けられた4つの駆動回路接続端子22a,22b,23a,23bにそれぞれ接続されている。
【0056】
なお、前記第1の電極20a,20b及び第2の電極21a,21bと、前記駆動回路接続端子22a,22b,23a,23bと、前記配線24a,24b,25a,25bは、前記反対側基板12上または前記第2の抵抗膜16上に、モリブデンからなる第1層と、アルミニウム系合金からなる第2層と、モリブデンからなる第3膜とを積層して成膜し、この3層の積層膜をパターニングして形成されている。
【0057】
そして、前記第1の抵抗膜15の前記X軸方向の両端の辺部と前記2つの第1の電極20a,20bとはそれぞれ、前記シール部において導電性部材により接続されている。この実施例において、前記シール部は、前記枠状のシール材26と、このシール材26中に、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端の辺部と前記2つの第1の電極20a,20bとを接続するための導電性部材として分散された、前記一対の基板11,12間の間隙に対応する直径を有する複数の球状の導電性粒子27とからなっている。
【0058】
前記シール材26は、前記一対の基板11,12のいずれか一方の内面上に、前記反対側基板12の張出部12aが形成された側とは反対側の縁部に対応する辺部を部分的に欠落させて液体注入口28を設けた形状に印刷されており、前記一対の基板11,12は、前記タッチ側基板11の内面(第1の抵抗膜15上)に設けられた前記複数の柱状スペーサ19をそれぞれ、反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜16の複数の非導通孔17内において前記反対側基板12の内面に当接させることにより、これらの基板11,12間の間隙を前記複数の柱状スペーサ19により規定され、その状態で前記シール材26を硬化させることにより、前記シール材26を介して接合されている。
【0059】
そして、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜15のX軸方向の両端の辺部と、前記反対側基板12に前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端の辺部にそれぞれ対向させて設けられた2つの第1の電極20a,20bとは、前記一対の基板11,12を前記シール材26を介して接合することにより、前記シール材26中に分散された球状の導電性粒子27のうちの前記第1の抵抗膜15と前記第1の電極20a,20bとの間に挟持された複数の前記導電性粒子27によって電気的に接続されている。
【0060】
また、前記一対の基板11,12間の前記シール材26により囲まれた間隙に封入された絶縁性液体30は、密閉されたチャンバ内において、前記チャンバ内を真空状態にして前記液体注入口28を前記絶縁性液体30の浴に浸し、その状態でチャンバ内を大気圧に戻すことにより、前記チャンバ内と前記一対の基板11,12間の間隙内との圧力差によって前記絶縁性液体30を前記液体注入口28から前記一対の基板11,12間の間隙に注入することにより充填され、前記液体注入口28は、前記絶縁性液体30の充填後に封止樹脂29によって封止される。
【0061】
前記絶縁性液体30は、前記一対の基板11,12との光の屈折率の差が0.1以下の透明な液体である。すなわち、前記一対の基板11,12がそれぞれガラス板である場合、これらの基板11,12の屈折率は約1.5であり、前記絶縁性液体30は、約1.4〜1.5の範囲の屈折率を有している。この絶縁性液体30は、前記一対の基板11,12の屈折率により近い屈折率、つまり約1.5の屈折率を有しているのが好ましい。
【0062】
この実施例では、前記絶縁性液体30として、常温で光学的に等方性な材料、例えば、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶(N−I点が5℃未満のネマティック液晶)を前記一対の基板11,12間の間隙に封入している。このような特性の液晶としては、具体的には、2〜3つのシクロヘキサンまたはベンゼン環と、その両端にアルキル基を有し、誘電視異方性を実質的に持たない液晶材料を用いることができる。
【0063】
前記タッチパネル10は、図7のように、前記タッチ側基板11の外面側から指先32等によってタッチ入力されるものであり、タッチ入力が行われると、前記タッチ側基板11がその外面側からのタッチにより内面方向に撓み変形し、前記タッチ側基板11の内面の複数の位置にそれぞれ設けられた複数の突起状接点18のうちのタッチ部(タッチ側基板11の撓み変形部)の突起状接点18が反対側基板12の内面の第2の抵抗膜16に接触し、前記第1の抵抗膜15と前記第2の抵抗膜16とがタッチ部において導通する。
【0064】
このタッチパネル10は、前記タッチ側基板11の内面の複数の突起状接点18が、前記タッチ側基板11の内面の複数の位置にそれぞれ予め定めた高さに突出させて設けられた接点用突起13と、前記タッチ側基板11の内面に前記複数の接点用突起13及び複数のスペーサ用突起14を覆って設けられた第1の抵抗膜15の前記接点用突起13を覆う部分とにより形成されているため、前記複数の突起状接点18が、前記第1の抵抗膜15の複数の突起状接点18間の部分の膜面よりも突出しており、したがって、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる撓み変形により、前記第1の抵抗膜15と反対側基板12の内面の第2の抵抗膜16とが、タッチ部において前記突起状接点18を介して局部的に導通する。
【0065】
そのため、前記第1の抵抗膜15と第2の抵抗膜16とをタッチ部において局部的に導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量を、前記一対の基板11,12間の間隙よりも充分に小さくすることができる。
【0066】
すなわち、この実施例では上述したように、前記複数の突起状接点18を2.0の高さに形成し、前記複数の柱状スペーサ19を、2.5μm、3.0μm、4.0μmのいずれかの高さに形成しているため、前記複数の突起状接点18の先端と反対側基板12の内面の第2の抵抗膜16との間のギャップΔd(図6参照)は、0.5μm、1.0μm、2.0μmのいずれかである。
【0067】
そして、前記第1の抵抗膜15と第2の抵抗膜16は、前記タッチ側基板11の外面側からのタッチによる前記タッチ側基板11の撓み変形により、前記突起状接点18が前記第2の抵抗膜16に接触することによって導通されるため、前記第1の抵抗膜15と第2の抵抗膜16とを導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量は、前記突起状接点18の先端と前記第2の抵抗膜16との間のギャップΔdに対応した、2.0μm、1.0μm、0.5μmのいずれかの極く小さい値である。
【0068】
そのため、前記タッチパネル10によれば、前記タッチ側基板11の撓み変形した部分における透過光の屈折を小さくすることができ、したがって、図1に示したタッチパネル付き表示装置は、表示パネル1の表示画像を、前記タッチ側基板11の撓み変形した部分においても歪みをほとんど生じさせること無く観察させることができる。
【0069】
また、前記タッチパネル10は、前記第1の抵抗膜15と第2の抵抗膜15とをタッチ部において局部的に導通させるのに必要なタッチ側基板11の撓み変形量が小さいため、タッチ入力を僅かな押圧力で行うことができ、したがって、軽いタッチ感を得ることができる。
【0070】
さらに、前記タッチパネル10は、前記一対の基板11,12間の間隙に、絶縁性液体30を封入しているため、このタッチパネル10を透過する光の基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面、つまり前記抵抗膜15,16が介在した界面での反射や屈折を小さくすることができ、したがって、前記表示パネル1の表示画像を充分な明るさで観察させることができる。
【0071】
すなわち、前記一対の基板11,12の内面にはそれぞれTIO膜等からなる抵抗膜15,16が設けられているため、前記タッチパネル10を透過する光は、タッチ側基板11と第1の抵抗膜15との界面及び反対側基板12と第2の抵抗膜16との界面と、前記第1及び第2の抵抗膜15,16と一対の基板11,12間の間隙との界面とで反射するか、或いはこれらの界面で屈折する。
【0072】
しかし、前記タッチパネル10は、前記一対の基板11,12間の間隙に絶縁性液体30を封入しているため、前記間隙が屈折率が1の空気層である場合に比べて、前記第1及び第2の抵抗膜15,16と一対の基板11,12間の間隙との屈折率の差が小さい。なお、ITO膜等からなる前記抵抗膜15,16の屈折率は約1.8であり、前記絶縁性液体30の屈折率は上述したように約1.4〜1.5の範囲であるため、前記抵抗膜15,16と前記絶縁性液体30との屈折率の差は、約0.4〜0.3の範囲である。
【0073】
そのため、前記タッチパネル10は、前記基板11.12と前記絶縁性液体30の層との見かけ上の界面での光の反射及び屈折が、前記間隙が屈折率が1の空気層である場合に比べて少ない。
【0074】
前記絶縁性液体30は、前記一対の基板11,12との屈折率差が0.1以下の液体が好ましく、このような屈折率の液体を封入することにより、前記基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面での光の屈折を、より効果的に小さくすることができる。
【0075】
すなわち、前記一対の基板11,12それぞれの屈折率は約1.5、前記絶縁性液体30の屈折率は約1.4〜1.5の範囲、前記抵抗膜15,16の屈折率は約1.8であるため、前記タッチパネル10に一方の方向、例えば反対側基板12の外面から入射した光は、前記反対側基板12と第2の抵抗膜16との界面で、タッチパネル10の法線方向に対する角度が大きくなる方向に屈折し、前記第2の抵抗膜16と絶縁性液体30の層との界面で、前記法線方向に対する角度が小さくなる方向に屈折し、さらに、前記絶縁性液体30の層と第1の抵抗膜15との界面で、前記法線方向に対する角度が大きくなる方向に屈折し、前記第1の抵抗膜15とタッチ側基板11との界面で、前記法線方向に対する角度が小さくなる方向に屈折する。
【0076】
しかし、前記第1と第2の抵抗膜15,16はそれぞれ膜厚が0.05〜0.20μmの極く薄い膜であるため、第2の抵抗膜16と反対側基板12及び絶縁性液体30の層との2つの界面の一方における光の入射位置と他方の界面における出射位置とのずれと、第1の抵抗膜15と絶縁性液体30の層及びタッチ側基板11との2つの界面の一方における光の入射位置と他方の界面における出射位置とのずれは、いずれも無視することができる。
【0077】
したがって、前記タッチパネル10における光の入射位置と出射位置とのずれは、実質的に、一対の基板11,12と絶縁性液体30との屈折率の差に対応し、その屈折率差が0.1以下であれば、前記基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面での屈折を効果的に小さくすることができる。
【0078】
前記絶縁性液体30は、常温で光学的に等方性な材料、例えば、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶が望ましく、この液晶を封入することにより、常温での基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面での反射や屈折を小さくすることができる。
【0079】
なお、前記絶縁性液体30としては、前記液晶のような常温で光学的に等方性な材料以外に、沸点が100℃以上の有機または無機の絶縁性の液状物質、具体的には、ブタノール、トルエン、キシレン、イソブチルアルコール、イソペプンチルアルコール、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、テトラクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールモノエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テレビンオイル等の有機の液状物質、またはシリコンオイル等の無機の液状物質を用いることができる。
【0080】
また、前記タッチ側基板11は、ガラス板に限らず樹脂フィルムでもよく、その場合はタッチ側基板11と反対側基板12との屈折率が異なるが、前記一対の基板11,12の少なくとも一方と前記絶縁性液体30との光の屈折率の差が0.1以下であれば、基板11,12と絶縁性液体30の層との見かけ上の界面での光の屈折を、充分に小さくすることができる。
【0081】
さらに、前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11の内面に、透明な感光性樹脂により形成された複数の接点用突起13と複数のスペーサ用突起14とを設け、これらの接点用突起13及びスペーサ用突起14を覆って第1の抵抗膜15を形成することにより、前記複数の接点用突起13と前記第1の抵抗膜15の前記複数の接点用突起13を覆う部分とにより複数の突起状接点18を形成し、前記複数のスペーサ用突起14と前記第1の抵抗膜15の前記複数のスペーサ用突起14を覆う部分とにより複数の柱状スペーサ19を形成しているため、例えば前記タッチ側基板11の内面に平坦な抵抗膜を形成し、その上に導電性金属により複数の接点を形成する場合のように、これらの接点によって透過光が遮られることは無く、したがって、前記表示パネル1の表示画像を、前記複数の突起状接点18及び柱状スペーサ19に対応する部分に黒点を生じさせること無く観察させることができる。
【0082】
また、前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11の内面の複数の柱状スペーサ19を、前記複数のスペーサ用突起14と、前記第1の抵抗膜15の前記スペーサ用突起14を覆う部分とにより形成しているが、前記反対側基板12の内面に形成された第2の抵抗膜16の前記複数のスペーサ用突起14と対応する部分にそれぞれ、前記柱状スペーサ19の先端の面積よりも大きい面積の非導通孔17を設け、前記複数の柱状スペーサ19をそれぞれ、前記第2の抵抗膜16の複数の非導通孔17内において前記反対側基板12の内面に当接させているため、前記第1と第2の抵抗膜15,16が前記複数の柱状スペーサ19によって短絡されることは無い。
【0083】
前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11の内面の複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19とを、前記タッチ側基板11の内面に複数の接点用突起13と複数のスペーサ用突起14とを設け、これらを覆って第1の抵抗膜15を設けることにより形成しているため、シンプルなプロセス順で製造することができる。
【0084】
すなわち、前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11の内面に、前記複数の接点用突起13と複数のスペーサ用突起14とを形成し、その上に前記第1の抵抗膜15を成膜して前記複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19とを形成し、前記反対側基板12の内面に、前記第2の抵抗膜16を成膜してこの第2の抵抗膜16に前記複数の非導通孔17を形成し、さらに前記第1及び第2の電極20a,20b,21a,21bと、前記複数の駆動回路接続端子22a,22b,23a,23bと、前記複数の配線24a,24b,25a,25bとを形成した後に、前記タッチ側基板11と反対側基板12とを、前記複数の柱状スペーサ19を前記第2の抵抗膜16の複数の非導通孔17内において前記反対側基板12の内面に当接させるとともに、前記導電性粒子27が分散されたシール材26を介して接合し、これらの基板11,12間の前記シール材26により囲まれた間隙に前記絶縁性液体30を封入する方法で製造する。
【0085】
このタッチパネル10の製造方法において、前記複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19は、前記タッチ側基板11の内面に、前記複数の接点用突起13と、前記複数のスペーサ用突起14とを、感光性樹脂の塗布とその樹脂膜の露光及び現像処理により形成し、その後に、前記タッチ側基板11の内面に、前記第1の抵抗膜15を成膜することにより形成する。
【0086】
この実施例の製造方法では、前記複数の接点用突起13と、前記複数のスペーサ用突起14とを、前記感光性樹脂の塗布とその樹脂膜の露光及び現像処理を繰り返して順次形成する。
【0087】
前記複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19の形成工程を図8を参照して説明すると、この実施例では、まず、図8(a)のように、前記タッチ側基板11の内面に、透明な感光性樹脂(露光部が現像処理によって除去されるポジ型の感光性樹脂でも、非露光部が現像処理によって除去されるネガ型の感光性樹脂でもよい)を、スピンコートにより前記複数の接点用突起13の高さに対応した厚さに塗布して第1の感光性樹脂膜113を形成する。
【0088】
次に、前記第1の感光性樹脂膜113を、前記複数の接点用突起13の平面形状及び配列ピッチに対応したパターンの露光マスク(図示せず)を用いて露光処理した後に現像処理し、図8(b)のように、前記感光性樹脂膜113の残存部分からなる複数の接点用突起13を形成する。
【0089】
次に、図8(c)のように、前記タッチ側基板11の内面に、前記複数の接点用突起13を覆って、透明な感光性樹脂を、スピンコートにより前記複数のスペーサ用突起14の高さに対応した厚さに塗布して第2の感光性樹脂膜114を形成する。
【0090】
次に、前記第2の感光性樹脂膜114を、前記複数のスペーサ用突起14の平面形状及び配列ピッチに対応したパターンの露光マスク(図示せず)を用いて露光処理した後に現像処理し、図8(d)のように、前記第2の感光性樹脂膜114の残存部分からなる複数のスペーサ用突起14を形成する。
【0091】
次に、図8(e)のように、前記タッチ側基板11の内面に、前記複数の接点用突起13及び複数のスペーサ用突起14を覆って、ITO等からなる第1の抵抗膜15をプラズマCVD装置により成膜し、複数の突起状接点18及び複数の柱状スペーサ19を形成する。
【0092】
このように、この実施例の製造方法は、前記タッチ側基板11の内面に、まず、感光性樹脂をスピンコートにより塗布し、その樹脂膜を露光処理した後に現像処理するプロセス(以下、ウエットプロセスという)による前記複数の接点用突起13の形成と前記複数のスペーサ用突起14の形成とを行い、その後に、プラズマCVD装置による成膜プロセス(以下、ドライプロセスという)によって前記第1の抵抗膜15を形成するため、ウエットプロセス→ウエットプロセス→ドライプロセスの順で前記複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19とを形成することができる。
【0093】
一方、図9に示した比較例のタッチパネル110は、タッチ側基板11の内面に、複数の接点用突起13を設け、これらの接点用突起13を覆って第1の抵抗膜15を設けることにより、前記複数の接点用突起13と前記第1の抵抗膜15の前記接点用突起13を覆う部分とにより複数の突起状接点18を形成し、前記第1の抵抗膜15の上に絶縁性の柱状スペーサ19aを設けたものであり、この比較例のタッチパネル110では、反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜16に上記実施例のタッチパネル10における非導通孔17を形成せず、前記複数の柱状スペーサ19aを、前記第2の抵抗膜16に当接させている。なお、この比較例のタッチパネル110の他の構成は、上記実施例のタッチパネル10と同じである。
【0094】
この比較例のタッチパネル110の製造においては、まず、図10(a)のように、タッチ側基板11の内面に、感光性樹脂をスピンコートにより塗布して第1の感光性樹脂膜113を形成し、この第1の感光性樹脂膜113を露光及び現像処理して図10(b)のように複数の接点用突起13を形成した後に、図10(c)のように第1の抵抗膜15をプラズマCVD装置により成膜して複数の突起状接点18を形成し、その後に、図10(d)のように、感光性樹脂をスピンコートにより塗布して第2の感光性樹脂膜119aを形成し、この第2の感光性樹脂膜119aを露光及び現像処理して図10(e)のように複数の柱状スペーサ19aを形成する。
【0095】
このように、前記比較例のタッチパネル110の製造は、前記複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19とを形成するプロセスが、ウエットプロセス→ドライプロセス→ウエットプロセスの順であり、タッチ側基板11を、ウエットプロセスからドライプロセスへ、さらに前記ドライプロセスから再びウエットプロセスへと行き来させなければならない。
【0096】
それに対して、上記実施例のタッチパネル10の製造方法によれば、前記複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19とを形成するプロセスが、ウエットプロセス→ウエットプロセス→ドライプロセスの順であるため、前記タッチパネル10を、シンプルなプロセス順で製造することができる。
【0097】
なお、上記実施例のタッチパネル10の製造方法では、図10のように、タッチ側基板11の内面に、複数の突起状接点18を形成し、その後に複数のスペーサ用突起14を形成しているが、それと逆に、複数のスペーサ用突起14を先に形成し、その後に複数の突起状接点18を形成してもよい。
【0098】
前記タッチパネル10は、前記タッチ側基板11がその外面側からのタッチにより内面方向に撓み変形し、前記複数の突起状接点18のうちのタッチ部の突起状接点18が反対側基板12の内面の第2の抵抗膜16に接触し、前記第1の抵抗膜15と前記第2の抵抗膜16とがタッチ部において導通するため、図11に示したタッチパネル駆動回路33により、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端間とに一定値の電圧を交互に印加し、前記第1の抵抗膜15に電圧を印加したときの第2の抵抗膜16の一端の電圧値と、前記第2の抵抗膜16に電圧を印加したときの前記第1の抵抗膜15の一端の電圧値とを測定することにより、これらの電圧値に基づいて、タッチ点のX軸方向とY軸方向の座標を検出することができる。
【0099】
前記タッチパネル駆動回路33は、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端間とに一定値の電圧を交互に印加するための電圧印加回路34と、前記第1の抵抗膜15がタッチ側基板11の撓み変形した部分の突起状接点18を介して前記第2の抵抗膜16と導通したときに、前記電圧印加回路34上の予め定めた点と前記第1の抵抗膜15のX軸方向の一端または前記第2の抵抗膜16のY軸方向の一端との間に生じる電圧を測定する電圧測定系42と、この電圧測定系42の測定値に基づいてタッチ点の座標を検出する座標検出手段47とを備えている。
【0100】
前記電圧印加回路34は、定電圧電源35と、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜16のY軸方向の一端とにそれぞれ接続された第1の抵抗膜接続配線36,37を介して、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜16のY軸方向の一端とに前記定電圧電源35の一方の極(図では−極)の電圧を選択的に供給する第1の接続切換スイッチ38と、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の他端と前記第2の抵抗膜16のY軸方向の他端とにそれぞれ接続された第2の抵抗膜接続配線39,40を介して、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の他端と前記第2の抵抗膜16のY軸方向の他端とに前記定電圧電源35の他方の極(図では+極)の電圧を選択的に供給する第2の接続切換スイッチ41とからなっている。なお、図11に示した定電圧電源35は直流電源であるが、この定電圧電源35は交番する電圧を供給する電源でもよい。
【0101】
また、前記電圧測定系42は、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜16のY軸方向の一端とにそれぞれ接続された第3の抵抗膜接続配線43,44を介して、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の一端と前記第2の抵抗膜16のY軸方向の一端の電圧を電圧測定手段46に選択的に供給する第3の接続切換スイッチ45と、前記定電圧電源35の一方の極(図では−極)と前記第3の接続切換スイッチ45との間に介在された電圧測定手段46とにより構成されている。
【0102】
前記電圧印加回路34は、図示しない制御手段により、予め設定された周期、例えば0.1秒周期で、前記第1と第2の接続切換スイッチ38,41を、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端を前記定電圧電源35に接続する側(図11の状態)と、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端を前記定電圧電源35に接続する側とに切換えられ、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端間とに前記定電圧電源35の一定値の電圧を交互に印加する。
【0103】
また、前記座標検出手段47は、前記図示しない制御手段により制御され、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端間に前記電圧を印加したときの前記電圧測定手段46の測定値に基づいて前記タッチ点のX軸方向の座標(以下、X座標という)を検出し、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端間に前記電圧を印加したときの前記電圧測定手段46の測定値に基づいて前記タッチ点のY軸方向の座標(以下、Y座標という)を検出する。
【0104】
前記電圧測定手段46の測定値に基づく前記タッチ点のX,Y座標の検出は、次のような演算により行なう。
【0105】
前記定電圧電源35の電圧値をV、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の一端のX座標値を0、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の他端のX座標値を1、前記タッチ点のX座標をx、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端間の抵抗値をr、前記電圧測定手段46の内部抵抗値をRとすると、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端間に前記電圧Vを印加したときの前記電圧測定手段46の測定電圧値V(x)は、
≪Rであるため、
V(x)=V(1−x)
で表すことができる。
【0106】
また、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の一端のY座標値を0、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の他端のY座標値を1、前記タッチ点のY座標をy、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端間の抵抗値をrとすると、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端間に前記電圧Vを印加したときの前記電圧測定手段46の測定電圧値V(y)は、
≪Rであるため、
V(y)=V(1−y)
で表すことができる。
【0107】
したがって、前記タッチ点のX座標xとY座標yは、
x=1−V(x)/V
y=1−V(y)/V
により求めることができる。
【0108】
また、上記タッチパネル10は、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対向させて、連続した帯形状に形成された2つの第1の電極20a,20bを設け、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端の辺部に、前記辺部の略全長にわたって連続した帯形状に形成された2つの第2の電極21a,21bを設け、これらの第1の電極20a,20b及び第2の電極21a,21bをそれぞれ配線24a,24b,25a,25bにより反対側基板12の張出部12aに設けられた駆動回路接続端子22a,22b,23a,23bに接続しているため、前記タッチパネル駆動回路33によって前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端間とに交互に印加される電圧を、前記第1の抵抗膜15及び第2の抵抗膜16の略全域に均等に作用させ、前記タッチ点のX座標xとY座標yを高精度に検出することができる。
【0109】
そのため、図1に示したタッチパネル付き表示装置は、表示パネル1に複数のキーパターンを表示させ、前記タッチパネル10の前記複数のキーパターンに対応した部分を選択的にタッチするキーボード的なタッチ入力の他に、例えば、前記表示パネル1に画像を表示させ、前記タッチパネル10の任意の点をタッチすることにより、前記表示パネル1にタッチ点を中心とした拡大画像を表示させたり、前記タッチパネル10上においてタッチ点を任意の方向に移動させることにより、前記表示パネル1の表示画像をスクロールさせたりすることができる。
【0110】
なお、上記実施例では、前記第1の電極20a,20bと第2の電極21a,21bとをそれぞれ連続した帯形状に形成しているが、前記第1の電極20a,20b及び第2の電極21a,21bは、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端の辺部の略全長及び前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対応させて、予め定めたピッチで断続的に設けてもよく、その場合も、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端間と、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端間とに交互に印加される電圧を、前記第1の抵抗膜15及び第2の抵抗膜16の略全域に均等に作用させ、タッチ点のX座標xとY座標yを高精度に検出することができる。
【0111】
このように、前記第1の電極20a,20b及び第2の電極21a,21bを、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の両端の辺部の略全長及び前記第2の抵抗膜16のY軸方向の両端の辺部の略全長にそれぞれ対応させて断続的に設ける場合は、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の一端の辺部に対向する複数の第1の電極同士と、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の他端の辺部に対向する複数の第1の電極同士と、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の一端の辺部に対向する複数の第2の電極同士と、前記第2の抵抗膜16のY軸方向の他端の辺部に対向する複数の第2の電極同士をそれぞれ共通接続し、前記反対側基板12の張出部12aに設けられた複数の駆動回路接続端子22a,22b,23a,23bに複数の配線24a,24b,25a,25bを介して接続すればよい。
【0112】
さらに、上記実施例では、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の他端の縁部と、これらの端部に対向させて設けられた前記複数の第1の電極20a,20bとを、前記シール材26中に分散された球状の導電性粒子27により電気的に接続しているが、前記第1の抵抗膜15のX軸方向の他端の辺部と前記複数の第1の電極20a,20bとは、そのいずれか一方の上に、前記シール材26によるシール部に対応させて柱状の導電性部材を設けることにより、この導電性部材を介して電気的に接続してもよい。
【実施例2】
【0113】
次に、図12に示したこの発明の第2の実施例のタッチパネルを説明する。なお、この実施例において、上記第1の実施例に対応するものには図に同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0114】
この実施例のタッチパネル10aは、上記第1の実施例のタッチパネル10において、前記複数のスペーサ用突起14を、前記接点用突起13と前記スペーサ用突起14との高さの差に対応した高さに形成された第1の層14aと、前記接点用突起13と同じ感光性樹脂により前記接点用突起13と同じ高さに形成された第2の層14bとの積層膜により形成したものであり、他の構成は第1の実施例のタッチパネル10と同じである。
【0115】
なお、この実施例では、前記複数のスペーサ用突起14の第1と第2の層14a,14bのうちの前記接点用突起13と前記スペーサ用突起14との高さの差に対応した高さの第1の層14aをタッチ側基板11の内面に形成し、その上に、前記接点用突起13と同じ高さ第2の層14bを形成している。
【0116】
このタッチパネル10aの製造において、前記複数の接点用突起13と複数のスペーサ用突起14は、前記タッチ側基板11の内面に、感光性樹脂を前記接点用突起13とスペーサ用突起14との高さの差に対応した厚さに塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理して前記複数のスペーサ用突起14の下部と上部の一方の層を形成する工程と、前記タッチ側基板11の内面に、感光性樹脂を前記接点用突起13の高さに対応した厚さに塗布し、その樹脂膜を露光及び現像処理して前記複数の接点用突起13と前記複数のスペーサ用突起14の前記下部と上部の他方の層とを同時に形成する工程とにより形成する。
【0117】
この実施例では、前記複数のスペーサ用突起14の第1と第2の層14a,14bのうちの前記スペーサ用突起14との高さの差に対応した高さの第1の層13aをタッチ側基板11の内面に形成し、その上に、前記接点用突起13と同じ高さの第2の層13bを積層しているため、前記第1と第2の層14a,14bは、第1の層14a、第2の層14bの順で形成する。
【0118】
このタッチパネル10aの製造における複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19の形成工程を図13を参照して説明すると、この実施例では、まず、図13(a)のように、前記タッチ側基板11の内面に、透明な感光性樹脂を、スピンコートにより前記接点用突起13とスペーサ用突起14との高さの差に対応した厚さに塗布して第1の感光性樹脂膜114aを形成する。
【0119】
次に、前記第1の感光性樹脂膜114aを、前記複数のスペーサ用突起14の下部の平面形状及び配列ピッチに対応したパターンの露光マスク(図示せず)を用いて露光処理した後に現像処理し、図13(b)のように、前記感光性樹脂膜114aの残存部分からなる複数のスペーサ用突起14の第1の層14aを形成する。
【0120】
次に、図13(c)のように、前記タッチ側基板11の内面に、前記複数のスペーサ用突起14の第1の層14aを覆って、透明な感光性樹脂を、スピンコートにより前記複数の接点用突起13の高さに対応した厚さに塗布して第2の感光性樹脂膜113aを形成する。
【0121】
次に、前記第2の感光性樹脂膜113aを、前記複数のスペーサ用突起14の上部の平面形状及び配列ピッチに対応したパターンの露光マスク(図示せず)を用いて露光処理した後に現像処理し、図13(d)のように、前記第2の感光性樹脂膜113aの残存部分からなる複数のスペーサ用突起14と前記複数のスペーサ用突起14の第2の層14bを形成する。
【0122】
次に、図13(e)のように、前記タッチ側基板11の内面に、前記複数の接点用突起13及び複数のスペーサ用突起14を覆って、ITO等からなる第1の抵抗膜15をプラズマCVD装置により成膜し、複数の突起状接点18及び複数の柱状スペーサ19を形成する。
【0123】
このように、この実施例の製造方法は、前記タッチ側基板11の内面に、前記複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19とを、ウエットプロセス→ウエットプロセス→ドライプロセスの順で形成するため、前記タッチパネル10aを、シンプルなプロセス順で製造することができる。
【0124】
なお、上記第2の実施例のタッチパネル10aでは、前記複数のスペーサ用突起14の第1と第2の層14a,14bのうちの下部層である第1の層14aを前記接点用突起13とスペーサ用突起14との高さの差に対応した高さに形成し、上部層である第2の層14bを前記接点用突起13と同じ高さに形成しているが、それと逆に、前記下部層である第1の層14aを前記接点用突起13と同じ高さに形成し、上部層である第2の層14bを前記接点用突起13とスペーサ用突起14との高さの差に対応した高さに形成してもよく、その場合は、まず前記タッチ側基板11の内面に、前記複数の突起状接点18と前記複数のスペーサ用突起14の第1の層14aとを同時に形成し、その後に、前記複数のスペーサ用突起14の第2の層14bを形成する。
【実施例3】
【0125】
次に、図14に示したこの発明の第3の実施例のタッチパネルを説明する。なお、この実施例において、上記第1の実施例に対応するものには図に同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0126】
この実施例のタッチパネル10bは、上記第1の実施例のタッチパネル10において、前記複数のスペーサ用突起14を、第1の実施例のスペーサ用突起14よりも大きい平面形状に形成したものであり、他の構成は第1の実施例のタッチパネル10と同じである。
【0127】
この実施例のタッチパネル10bの製造において、前記複数の接点用突起13と複数のスペーサ用突起14は、1回のウエットプロセス(感光性樹脂の塗布とその樹脂膜の露光及び現像処理)により同時に形成する。
【0128】
このタッチパネル10bの製造における複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19の形成工程を図15及び図16を参照して説明すると、まず、図15(a)のように、前記タッチ側基板11の内面に、ポジ型の透明な感光性樹脂(露光部が現像処理によって除去されるポジ型の感光性樹脂)スピンコートにより前記スペーサ用突起14の高さに対応した厚さに塗布してポジ型感光性樹脂膜115を形成する。
【0129】
次に、前記ポジ型感光性樹脂膜115を、前記複数の接点用突起13と複数のスペーサ用突起14の平面形状及び配列ピッチに対応したパターンの露光マスク120(図16参照)を用いて露光処理した後に現像処理し、図15(b)のように、前記感光性樹脂膜115の残存部分からなる複数の接点用突起13及び複数のスペーサ用突起14とを同時に形成する。
【0130】
この実施例において、前記感光性樹脂膜115の露光処理は、図16のように、複数の接点用突起13を形成するための遮光部121と複数のスペーサ用突起14を形成するための遮光部122とを有し、且つ前記複数のスペーサ用突起14を形成するための遮光部122が前記複数の接点用突起13を形成するための遮光部121よりも幅広に形成された露光マスク120を用いて行う。
【0131】
このように、前記ポジ型感光性樹脂膜115を、複数のスペーサ用突起14を形成するための遮光部122が複数の接点用突起13を形成するための遮光部121よりも幅広に形成された露光マスク120を用いて露光処理すると、前記露光マスク120の上方から図16に矢線で示したように照射された光が、露光マスク120の各遮光部121,122の縁での光の回折により、前記ポジ型感光性樹脂膜115の前記遮光部121,122に対応する非露光部にもその周囲から入り込み、これらの非露光部のうちの前記幅狭な遮光部121に対応する部分、つまり複数の接点用突起13となる部分が、上方からも露光される。
【0132】
なお、前記ポジ型感光性樹脂膜115のうちの複数のスペーサ用突起14となる部分は、前記露光マスク120の幅広な遮光部122により遮光されるため、この部分の周辺部は上方からも露光されるが、中央部は露光されない。
【0133】
そのため、前記露光マスク120を用いて露光処理した後に現像処理すると、前記ポジ型感光性樹脂膜115の厚さよりも小さい高さの複数の接点用突起13と、前記ポジ型感光性樹脂膜115の厚さと同じ高さの複数のスペーサ用突起14とが形成される。
【0134】
その後は、図15(c)のように、前記タッチ側基板11の内面に、前記複数の接点用突起13及び複数のスペーサ用突起14を覆って、ITO等からなる第1の抵抗膜15をプラズマCVD装置により成膜し、複数の突起状接点18及び複数の柱状スペーサ19を形成する。
【0135】
このように、この実施例の製造方法は、前記複数の接点用突起13と複数のスペーサ用突起14とを、1回のウエットプロセスで同時に形成するため、前記タッチパネル10bを、よりシンプルなプロセス順で製造することができる。
【実施例4】
【0136】
なお、上記第1〜第3の実施例のタッチパネル10,10a,10bでは、反対側基板12の内面に設けられた第2の抵抗膜16の前記複数のスペーサ用突起14とそれぞれ対応する部分に、タッチ側基板11の内面に設けられた第1の抵抗膜15に対する非導通部17として、前記柱状スペーサ19の先端の面積よりも大きい面積を有する孔部を設けているが、前記非導通部17は、前記孔部に限らず、例えば前記第2の抵抗膜16上に、前記柱状スペーサ19の先端の面積よりも大きい面積を有する絶縁膜を設けて形成してもよい。
【0137】
また、上記各実施例のタッチパネル10,10a,10bは、反対側基板12に駆動回路接続端子22a,22b,23a,23bを設けたものであるが、駆動回路接続端子は、タッチ側基板11に張出部を形成して、この張出部に設けてもよい。
【0138】
その場合は、反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜16を、その一方の方向、例えばX軸方向の両端の辺部がそれぞれ枠状のシール材26によるシール部に位置し、前記一方の方向に対して直交する方向、例えばY軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置する形状に形成し、タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜15を、前記X軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部よりも内方に位置し、前記Y軸方向の両端の辺部がそれぞれ前記シール部の近傍または前記シール部に対応する形状に形成し、前記タッチ側基板11の内面に、反対側基板12に設けられた第2の抵抗膜16のX軸方向の両端の縁部にそれぞれ対向する複数の第1の電極と、前記タッチ側基板11に設けられた第1の抵抗膜15のY軸方向の両端の縁部にそれぞれ形成された複数の第2の電極と、前記複数の第1の電極及び複数の第2の電極を前記駆動回路接続端子にそれぞれ接続する複数の配線とを設ければよい。
【0139】
さらに、上記各実施例のタッチパネル10,10a,10bでは、タッチ側基板11及びこのタッチ側基板11に形成された抵抗膜15を第1の基板及び第1の抵抗膜とし、反対側基板12及びこの反対側基板12に形成された抵抗膜16を第2の基板及び第2の抵抗膜としたが、それと反対に、前記反対側基板12及びこの反対側基板12に形成された抵抗膜14を第1の基板及び第1の抵抗膜とし、前記タッチ側基板11及びこのタッチ基板11に形成された抵抗膜13を第2の基板及び第2の抵抗膜とし、前記反対側基板12の内面の抵抗膜14に複数の突起状接点18と複数の柱状スペーサ19を形成し、前記タッチ側基板11の内面に非導通部17を設けてもよい。
【符号の説明】
【0140】
1…表示パネル、10,10a,10b…タッチパネル、11,12…基板、12a…張出部、13…接点用突起、14…スペーサ用突起、15…第1の抵抗膜、16…第2の抵抗膜、17…非導通部、18…突起状接点、19…柱状スペーサ、20a,20b…第1の電極、21a,21b…第2の電極、22a,22b,23a,23b…駆動回路接続端子、24a,24b,25a,25b…配線、26…シール材、27…導電性粒子(導電性部材)、28…液体注入口、29…封止樹脂、30…絶縁性液体(液晶)、31…タッチエリア、33…タッチパネル駆動回路、113,113a,113b,114,115…感光性樹脂膜、120…露光マスク、121,122…遮光部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の抵抗膜が形成された第1の基板と第2の抵抗膜が形成された第2の基板とが前記第1と第2の抵抗膜を対向させて配置され、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜との接触位置を検出するタッチパネルであって、
前記第1の基板の前記第2の基板と対向する面上に予め定めた高さに突出させて設けられた複数の接点用突起と、
前記各接点用突起とは異なる位置に前記接点用突起よりも高く突出させて前記第1の基板上に設けられた複数のスペーサ用突起と、を備え、
前記第1の抵抗膜は、前記各接点用突起及び前記各スペーサ用突起を覆って前記第1の基板上に形成され、
前記第2の抵抗膜は、前記第1の抵抗膜を介して前記スペーサ用突起が前記第2の基板に接する位置に非導通部が設けられている
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記各接点用突起及び前記各スペーサ用突起は、所定の間隔で配置されているとともに、隣接した2つの前記スペーサ用突起の間に2つ以上の前記接点用突起が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
所定の方形領域の4つの角部のそれぞれに前記スペーサ用突起が配置され、少なくとも前記方形領域内において前記接点用突起が前記所定の間隔で配置されていることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記非導通部は、前記スペーサ用突起の先端面の面積よりも大きい面積を有していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記非導通部は、前記第2の抵抗膜に設けられた孔からなっていることを特徴とする請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記各接点用突起と前記各スペーサ用突起はそれぞれ感光性樹脂により形成され、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜はそれぞれ透明導電膜により形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記各スペーサ用突起は、前記接点用突起との高さの差に対応した厚さに形成された第1の層と、前記接点用突起の高さと同じ厚さに形成された第2の層との積層膜からなっていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記第1の基板と前記第2の基板は、当該第1の基板と当該第2の基板との間に配置された枠状のシール材により接合され、
前記シール材により囲まれた間隙に、絶縁性液体が封入されていることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記各接点用突起及び前記各スペーサ用突起は、前記シール材により囲まれた領域に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記絶縁性液体は、前記第1と第2の基板の少なくとも一方との光の屈折率の差が0.1以下の液体であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項11】
前記絶縁性液体は、常温で光学的に等方性な材料であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項12】
前記絶縁性液体は、5℃以上の温度においてアイソトロピック相を示す液晶であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項13】
前記絶縁性液体は、沸点が100℃以上の有機または無機の絶縁性の液状物質であることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項14】
前記第1と第2の基板のうちのいずれか一方の基板の縁部に、前記第1の抵抗膜の所定の方向の両端と、前記第2の抵抗膜の前記所定の方向に対して直交する方向の両端とをそれぞれ駆動回路に接続するための駆動回路接続端子が設けられていることを特徴とする請求項1から13の何れかに記載のタッチパネル。
【請求項15】
第1の抵抗膜が形成された第1の基板と第2の抵抗膜が形成された第2の基板とが対向させて配置され、前記第1の抵抗膜と前記第2の抵抗膜との接触位置を検出するタッチパネルの製造方法であって、
前記第1の基板上に、複数の接点用突起と前記各接点用突起よりも高く突出する複数のスペーサ用突起とを形成する工程と、
前記各接点用突起及び前記各スペーサ用突起を覆って前記第1の基板上に前記第1の抵抗膜を成膜する工程と、
前記第2の基板上に、所定の位置が前記第1の導電膜との非導通部となるように前記第2の抵抗膜を形成する工程と、
前記スペーサ用突起が前記非導通部に対応するように前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる工程と、
を有することを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項16】
前記複数の接点用突起と前記複数のスペーサ用突起は、感光性樹脂の塗布、前記塗布した感光性樹脂への露光及び現像処理により順次形成することを特徴とする請求項14に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項17】
前記複数の接点用突起と前記複数のスペーサ用突起とを形成する工程は、
前記第1の基板上に第1の感光性樹脂を前記接点用突起と前記スペーサ用突起との高さの差に対応した厚さに塗布する工程と、
前記塗布した第1の感光性樹脂を露光及び現像処理して前記複数のスペーサ用突起の下層部分を形成する工程と、
前記下層部分を覆って前記第1の基板上に第2の感光性樹脂を前記接点用突起の高さに対応した厚さに塗布する工程と、
前記第2の感光性樹脂を露光及び現像処理して前記複数の接点用突起と前記複数のスペーサ用突起の上層部分とを同時に形成する工程と、
からなることを特徴とする請求項15に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項18】
前記複数の接点用突起と前記複数のスペーサ用突起は、ポジ型感光性樹脂の塗布、前記塗布したポジ型感光性樹脂への露光及び現像処理により同時に形成することを特徴とする請求項15に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項19】
前記塗布したポジ型感光性樹脂への露光処理は、前記複数の接点用突起を形成するための複数の遮光部と前記複数のスペーサ用突起を形成するための遮光部とを有し、且つ前記スペーサ用突起を形成するための遮光部が前記接点用突起を形成するための遮光部よりも幅広に形成された露光マスクを用いて行うことを特徴とする請求項18に記載のタッチパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−205612(P2010−205612A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51028(P2009−51028)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】