説明

タンパク質キナーゼ阻害剤としての化合物および組成物

本発明は、新規クラスの化合物、このような化合物を含む医薬組成物およびこのような化合物の、異常なまたは調節が解除されたキナーゼ活性が関与する疾患または障害、特にAbl、Bcr−Abl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2およびTrkBキナーゼの異常な活性化が関与する疾患または障害の処置または予防における使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年5月15日出願の米国仮出願番号60/662,330に対する優先権の利益を主張する。この出願の全部の記載は、引用により、その全体として、かつすべての目的に関して、本明細書に包含される。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は新規クラスの化合物、そのような化合物を含む医薬組成物および異常なまたは調節が解除されたキナーゼ活性が関与する疾患または障害、特にAbl、Bcr−Abl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2およびTrkBキナーゼの異常な活性化が関与する疾患または障害の処置または予防におけるこのような化合物の使用法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
タンパク質キナーゼは、広範な細胞過程の制御および細胞機能の制御の維持に中心的役割を有するタンパク質の大きなファミリーである。これらのキナーゼの部分的な、非限定的例は、下記を含む:血小板由来増殖因子受容体キナーゼ(PDGF−R)、神経増殖因子受容体、trkB、Met、および線維芽細胞増殖因子受容体、FGFR3のような受容体チロシンキナーゼ;Ablおよびその融合キナーゼBCR−Abl、Lck、Csk、Fes、Bmxおよびc−srcのような非受容体チロシンキナーゼ;およびc−RAF、sgk、MAPキナーゼ(例えば、MKK4、MKK6など)およびSAPK2α、SAPK2βおよびSAPK3のようなセリン/スレオニンキナーゼ。異常なキナーゼ活性は、良性および悪性増殖性障害、ならびに免疫および神経系の不適切な活性化が原因の疾患を含む、多くの疾患状態において観察されている。
【0004】
本発明の新規化合物は1種以上のタンパク質キナーゼを阻害し、故に、キナーゼ関連疾患の処置に有用であることが期待される。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約
一つの局面において、本発明は、式I:
【化1】

〔式中、
nは0、1、2、3および4から選択され;
はN、C(O)およびCRから選択され;ここで、Rは水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキル、ハロ−置換−C1−4アルコキシ、C6−12アリール、C5−8ヘテロアリール、C3−12シクロアルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルおよびNRから選択され;ここで、Rは独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そしてRは水素、C1−4アルキルおよびC6−12アリールから選択され;そして、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望により水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキルおよびハロ−置換−C1−4アルコキシから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;
【0006】
はNおよびCRから選択され;ここで、Rは水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキル、ハロ−置換−C1−4アルコキシ、C6−12アリール、C5−8ヘテロアリール、C3−12シクロアルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルおよびNRから選択され;そして、ZとZの間の結合は一重結合および二重結合から選択され;Rは独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そして、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望により水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキルおよびハロ−置換−C1−4アルコキシから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;
はハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選択され;
【0007】
はNRC(O)NR、NRC(O)R、C(O)NR、NRS(O)0−2、S(O)0−2NRおよびNRから選択され;ここで、Rは独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そしてRは水素、C1−4アルキル、C6−12アリール、C5−8ヘテロアリール、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、シアノ、ニトロ、ハロ−置換−C1−4アルキル、ハロ−置換−C1−4アルコキシ、C5−12ヘテロアリール−C0−4アルキルおよびC3−12ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;ここで、Rの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル置換基は、所望によりC1−4アルキルおよびC3−12ヘテロシクロアルキルから独立して選択されるラジカルで置換されている。〕
の化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物;ならびにこのような化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば水和物)を提供する。
【0008】
第二の局面において、本発明は、式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物;またはその薬学的に許容される塩を、1種以上の適当な賦形剤と共に含む、医薬組成物を提供する。
【0009】
第三の局面において、本発明は、動物におけるキナーゼ活性、特にAbl、Bcr−Abl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2および/またはTrkB活性の阻害が、疾患の病状および/または症状を予防、阻止または軽減できる疾患の処置法であって、該動物に治療的有効量の式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
第四の局面において、本発明は、動物におけるキナーゼ活性、特にAbl、Bcr−Abl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2および/またはTrkB活性が疾患の病状および/または症状に関与する疾患の処置用薬剤の製造における、式Iの化合物の使用を提供する。
【0011】
第五の局面において、本発明は、式Iの化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物、およびその薬学的に許容される塩の製造法を提供する。
【0012】
発明の詳細な記載
定義
基として、および他の基、例えばハロ−置換−アルキルおよびアルコキシの構成要素としての“アルキル”は、直鎖または分枝鎖であり得る。C1−4−アルコキシはメトキシ、エトキシなどを含む。ハロ−置換アルキルはトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどを含む。
【0013】
“アリール”は、6個から10個の環炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環集合体を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルであり得る。“アリーレン”は、アリール基由来の二価ラジカルを意味する。
【0014】
“ヘテロアリール”は、上記でアリールについて定義の通りであり、ここで、1個以上の炭素環員がヘテロ原子で置換されている。例えばC5−10ヘテロアリールはピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含む。
【0015】
“シクロアルキル”は、示す数の環原子を含む、飽和または部分的不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環集合体を意味する。例えば、C3−10シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。
【0016】
“ヘテロシクロアルキル”は、示す1個以上の環炭素が−O−、−N=、−NR−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)−(ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは窒素保護基である)から選択される部分で置換されている以外、本明細書で定義のシクロアルキルを意味する。例えば、本発明の化合物を述べるために本明細書で使用するC3−8ヘテロシクロアルキルは、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イルなどを含む。
【0017】
“ハロゲン”(またはハロ)は、好ましくはクロロまたはフルオロを意味するが、ブロモまたはヨードでもよい。
【0018】
“BCR−Ablの突然変異形態”は、野生型配列からの1個または複数個のアミノ酸の変化を意味する。22種を超える突然変異が今日までに報告されており、最も一般的なものはG250E、E255V、T315I、F317LおよびM351Tである。特記しない限り、Bcr−Ablは本酵素の野生型および突然変異形態を意味する。
【0019】
“処置”、“処置する”および“処置し”は、疾患および/またはその付随症状の軽減または寛解を意味する。
【0020】
好ましい態様の記載
融合タンパク質BCR−Ablは、Abl癌原遺伝子とBcr遺伝子を融合する相互翻訳の結果である。次いで、BCR−Ablは、分裂促進的活性を介してB細胞をトランスフォーミング可能となる。この増加はアポトーシスに対する感受性の減少、ならびにCML前駆細胞の接着および帰巣の変換をもたらす。本発明は、化合物、組成物およびキナーゼ関連疾患、特にAbl、Bcr−Abl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2およびTrkBキナーゼ関連疾患の処置法を提供する。例えば、白血病およびBCR−Ablに関連する他の増殖障害が、Bcr−Ablの野生型および突然変異形態の阻害を介して処置できる。
【0021】
一つの態様において、式Iの化合物を参照して:
nが1、2、3および4から選択され;
がN、C(O)およびCHから選択され;
がNおよびCRから選択され;ここで、Rが水素およびハロから選択され;そして、ZとZの間の結合が一重結合および二重結合から選択され;
がC1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選択され;そして
がNRC(O)R、C(O)NRおよびNRから選択され;ここで、Rが独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そしてRが水素、C1−4アルキルおよびC6−12アリールから選択され;ここで、Rの任意のアリールが所望によりハロ−置換−C1−4アルキル、C5−12ヘテロアリール−C0−4アルキルおよびC3−12ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;ここで、Rの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル置換基が、所望によりC1−4アルキルおよびC3−12ヘテロシクロアルキルから独立して選択されるラジカルで置換されている。
【0022】
他の態様において、いくつかの好ましい化合物が:N−{3−[1−(3−ブロモ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(9H−プリン−6−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(9H−プリン−6−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;およびN−{4−メチル−3−[1−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドから選択される。
【0023】
他の態様において、式Ia:
【化2】

〔式中、
はメチルおよびメトキシから選択され;
はNHC(O)R、C(O)NHRおよびNHRから選択され;ここで、Rは水素、メチルおよびフェニルから選択され;ここで、Rの任意のフェニルは所望によりトリフルオロメチル、イミダゾリル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびピペラジニル−メチルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;ここで、Rの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル置換基は、所望によりメチル、エチルおよびピロリジニルから独立して選択されるラジカルで置換されている。〕
の化合物である。
【0024】
好ましい化合物は:4−メチル−N−[4−(2−メチル−イミダゾル−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−メトキシ−N−[4−(2−メチル−イミダゾル−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−5−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;N−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−メトキシ−5−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;N−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−[1−(5−フルオロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−メチル−N−[4−(2−メチル−イミダゾル−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;N−{3−[1−(5−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−アセトアミド;4−メチル−N3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イル]−ベンゼン−1,3−ジアミン;および3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミドから選択される。
【0025】
さらに好ましい本発明の化合物は、以下の実施例および表Iに記載する。
【0026】
薬理学および有用性
本発明の化合物はキナーゼの活性を調節し、そして、それ自体、キナーゼが疾患の病状および/または症状に関与する疾患または障害の処置のために有用である。ここに記載の化合物および組成物により阻害されるおよびそれに対してここに記載の方法が有用なキナーゼは、Abl、Bcr−Abl(野生型および突然変異形態)、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2およびTrkBを含むが、これらに限定されない。
【0027】
アベルソンチロシンキナーゼ(すなわちAbl、c−Abl)は細胞周期の制御、遺伝毒性ストレスに対する応答、およびインテグリンシグナル伝達を介した細胞環境に関する情報の伝達に関与する。全体として、Ablタンパク質は、種々の細胞外および細胞内供給源からのシグナルを統合する、および細胞周期およびアポトーシスに関する決定に影響する細胞モジュールとしての複雑な役割を果たすように見える。アベルソンチロシンキナーゼは、チロシンキナーゼ活性の脱制御を伴うキメラ融合物(腫瘍性タンパク質)BCR−Ablまたはv−Ablのようなサブタイプ誘導体を含む。BCR−Ablは、95%の慢性骨髄性白血病(CML)および10%の急性リンパ性白血病の病因として重要である。STI−571(Gleevec)は、発癌性BCR−Ablチロシンキナーゼの阻害剤であり、慢性骨髄性白血病(CML)の処置に使用されている。しかしながら、CMLの急性転化段階のある患者は、BCR−Ablキナーゼ変異のためにSTI−571に耐性である。今日までに22種を超える変異が報告されており、最も一般的なものはG250E、E255V、T315I、F317LおよびM351Tである。
【0028】
本発明の化合物は、ablキナーゼ、とりわけv−ablキナーゼを阻害する。本発明の化合物はまた野生型BCR−AblキナーゼおよびBCR−Ablキナーゼの変異体も阻害し、故に白血病(とりわけとりわけアポトーシス機能の作用がみられる場所である慢性骨髄性白血病および急性リンパ芽球性白血病)のようなBcr−abl陽性癌および腫瘍疾患の処置に適当であり、また白血病性幹細胞のサブグループに対して効果を示し、これらの細胞の、該細胞除去(例えば、骨髄除去)後のインビトロでの精製および癌細胞を浄化した後の該細胞の再移植(例えば、精製骨髄細胞の再移植)のために可能性がある。
【0029】
Ras−Raf−MEK−ERKシグナル伝達経路は、増殖シグナルに対する細胞応答を介在する。Rasは、〜15%のヒト癌で発癌性形態に変異する。Rafファミリーはセリン/スレオニンタンパク質キナーゼに属し、3種のメンバー、A−Raf、B−Rafおよびc−Raf(またはRaf−1)を含む。医薬標的としてのRafへの焦点は、Rasの下流エフェクターとしてのRafの関係に絞られている。しかしながら、近年のデータは、B−Rafが、Ras対立遺伝子の活性化の必要なくある種の腫瘍の形成において顕著な役割を有し得ることを示唆する(Nature 417, 949- 954(01 Jul 2002)。特に、B−Raf変異は、悪性黒色腫の大部分で検出されている。
【0030】
黒色腫に対する既存の医薬処置は、とりわけ後期黒色腫に対する、それらの効果により制限されている。本発明の化合物はまたb−Rafキナーゼが関与する細胞過程を阻害し、ヒト癌、とりわけ黒色腫に対する新しい治療の機会を提供する。
【0031】
本発明の化合物はまたc−Rafキナーゼが関与する細胞過程を阻害する。c−Rafはras発癌遺伝子により活性化され、それは多数のヒト癌で変異している。故にc−Rafのキナーゼ活性の阻害はras介在腫瘍増殖を予防する方法を提供し得る[Campbell, S. L., Oncogene, 17, 1395(1998)]。
【0032】
PDGF(血小板由来増殖因子)は非常に一般的に存在する増殖因子であり、それは正常な増殖およびまた発癌および血管平滑筋細胞の疾患、例えばアテローム性動脈硬化症および血栓症においてみられるような病的細胞増殖の両方に重要な役割を有する。本発明の化合物はPDGF受容体(PDGFR)活性を阻害でき、故に、神経膠腫、肉腫、前立腺腫瘍、ならびに結腸、乳房、および卵巣腫瘍のような腫瘍疾患の処置に適当である。
【0033】
本発明の化合物は、例えば小細胞肺癌における腫瘍阻害物質としてだけでなく、アテローム性動脈硬化症、血栓症、乾癬、強皮症および線維症のような非悪性増殖性障害の処置剤として、ならびに、例えば5−フルオロウラシルのような化学療法剤の血液毒性と戦うための幹細胞の保護のために、および喘息において使用できる。本発明の化合物は、とりわけPDGF受容体キナーゼの阻害に応答する疾患の処置に使用できる。
【0034】
本発明の化合物は、移植、例えば、同種移植の結果として起こる障害、とりわけ組織拒絶反応、例えばとりわけ閉塞性細気管支炎(OB)、すなわち同種肺移植の慢性拒絶の処置において有効な効果を示す。OBのない患者と比較して、OBを有するものは、しばしば気管支肺胞洗浄液中の上昇したPDGF濃度を示す。
【0035】
本発明の化合物はまた、再狭窄およびアテローム性動脈硬化症のような、血管平滑筋細胞遊走および増殖(そこで、PDGFおよびPDGF−Rがまたしばしば役割を有する)が関連する疾患においても有効である。血管平滑筋細胞増殖または遊走に対するインビトロおよびインビボでのこれらの効果およびその結果は、本発明の化合物の投与により、およびまたインビボでの機械的傷害後の血管内膜の肥厚に対するその効果の調査により証明できる。
【0036】
ニューロトロフィン受容体のtrkファミリー(trkA、trkB、trkC)は、神経および非神経組織の生存、増殖および分化を促進する。TrkBタンパク質は小腸および結腸における神経内分泌型細胞、膵臓のアルファ細胞、リンパ節および脾臓の単球およびマクロファージ、および表皮の顆粒層で発現される(Shibayama and Koizumi, 1996)。TrkBタンパク質の発現は、ウィルムス腫瘍および神経芽腫の望ましくない進行と関連している。TkrBは、さらに、癌性前立腺細胞で発現されるが、正常細胞ではされない。trk受容体の下流のシグナル伝達経路はShc、活性化Ras、ERK−1およびERK−2遺伝子、およびPLC−ガンマ伝達経路を介したMAPK活性化のカスケードに関与する(Sugimoto et al., 2001)。
【0037】
キナーゼ、c−Srcは多くの受容体の発癌性シグナルを伝達する。例えば、腫瘍におけるEGFRまたはHER2/neuの過剰発現はc−srcの構成的活性化に至り、これは悪性細胞に特徴的であるが、正常細胞では存在しない。他方、c−src発現を欠くマウスは、大理石骨病表現型を示し、c−srcの破骨細胞機能への重要な参加および関連障害への関与の可能性を示す。
【0038】
Tecファミリーキナーゼ、Bmx、非受容体タンパク質−チロシンキナーゼは乳房上皮性癌細胞の増殖を制御する。
【0039】
線維芽細胞増殖因子受容体3は骨成長に対する負の制御効果および軟骨細胞増殖阻害を発揮することが示された。致死性骨異形成症は、線維芽細胞増殖因子受容体3における異なる変異により特徴付けられ、1個の変異、TDII FGFR3は構成的チロシンキナーゼ活性を有し、それは転写因子tat1を活性化し、細胞周期阻害因子の発現、増殖停止および異常骨発育に至る(Su et al., Nature, 1997, 386, 288-292)。FGFR3はまた多発性骨髄腫タイプの癌においてしばしば発現される。FGFR3活性の阻害剤は、リウマチ性関節炎(RA)、コラーゲンII関節炎、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、乾癬、若年発症糖尿病、シェーグレン病、甲状腺疾患、サルコイドーシス、自己免疫性ブドウ膜炎、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)、セリアック病および重症筋無力症を含むがこれらに限定されない、T細胞介在炎症性または自己免疫性疾患の処置において有用である。
【0040】
血清およびグルココルチコイド制御キナーゼ(SGK)の活性は、イオンチャネル活性の混乱、特に、ナトリウムおよび/またはカリウムチャネル活性の混乱と関連し、本発明の化合物は高血圧の処置に有用であり得る。
【0041】
Lin et al(1997)J. Clin. Invest. 100, 8: 2072-2078およびP. Lin(1998)PNAS 95, 8829-8834は、乳房腫瘍および黒色腫異種移植片モデルにおいてアデノウイルス感染中またはTie−2の細胞外ドメイン(Tek)の注入中に腫瘍増殖および血管新生が阻害されおよびまた肺転移が減少することを示している。Tie2阻害剤は新血管新生が不適切に行われる状況(すなわち糖尿病性網膜症、慢性炎症、乾癬、カポジ肉腫、黄斑変性症による慢性新血管新生、リウマチ性関節炎、小児血管腫および癌)において使用できる。
【0042】
LckはT細胞シグナル伝達において役割を有する。Lck遺伝子を欠くマウスは、胸腺細胞を発育させる能力が乏しい。T細胞シグナル伝達の正のアクティベーターとしてのLckの機能は、Lck阻害剤がリウマチ性関節炎のような自己免疫性疾患の処置に有用であり得ることを示唆する。
【0043】
JNKは他のMAPKと同様、癌、トロンビン誘発血小板凝集、免疫不全障害、自己免疫性疾患、細胞死、アレルギー、骨粗鬆症および心臓疾患に対する細胞応答に介在において役割を有すると見なされる。JNK経路活性化に関連する治療標的は、慢性骨髄性白血病(CML)、リウマチ性関節炎、喘息、骨関節症、虚血、癌および神経変性疾患を含む。肝臓疾患または肝虚血の事象と関連するJNK活性化の重要性の結果、本発明の化合物はまた種々の肝障害の処置にも有用であり得る。心筋梗塞または鬱血性心不全のような心臓血管疾患におけるJNKの役割も、JNKが心臓ストレスの種々の形態に対する肥大性応答を介在するとして報告されている。JNKカスケードはまたIL−2プロモーターの活性化を含むT細胞活性化において役割を有することが証明されている。故に、JNKの阻害剤は、病的免疫応答の変更に治療的価値を有し得る。種々の癌におけるJNK活性化の役割は確立されており、癌におけるJNK阻害剤の使用の可能性を示唆する。例えば、構成的に活性化されたJNKはHTLV−1介在腫瘍形成と関連する[Oncogene 13: 135-42(1996)]。JNKはカポジ肉腫(KS)において役割を有し得る。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、IL−6およびTNFαのような、KS増殖に関与する他のサイトカインの他の増殖性効果もまたJNKが介在し得る。加えて、p210 BCR−ABL形質転換細胞におけるc−jun遺伝子の制御はJNK活性と一致し、慢性骨髄性白血病(CML)の処置におけるJNK阻害剤の役割を示唆する[Blood 92: 2450-60(1998)]。
【0044】
ある種の異常増殖状態はraf発現と関連すると考えられており、故に、raf発現の阻害に応答すると考えられる。rafタンパク質の異常に高レベルの発現は形質転換および異常細胞増殖に関与する。これらの異常増殖状態もまたraf発現の阻害に応答すると考えられる。例えば、c−rafタンパク質の発現は、全肺癌腫細胞系の60%が異常に高レベルのc−raf mRNAおよびタンパク質と報告されているため、異常細胞増殖において役割を有すると考えられる。異常増殖状態のさらなる例は、癌、腫瘍、過形成、肺線維症、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症ならびに狭窄または血管形成術術後の再狭窄のような血管における平滑筋細胞増殖のような、過増殖性障害である。rafが一部である細胞シグナル伝達経路はまた、例えば組織移植片拒絶、エンドドキシンショック、および糸球体腎炎のようなT細胞増殖(T細胞活性化および増殖)により特徴付けられる炎症性障害に関与している。
【0045】
ストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPK)は、c−jun転写因子の活性化およびc−junにより制御される遺伝子の発現をもたらすシグナル伝達経路の最後から2番目の工程を代表する、タンパク質キナーゼのファミリーである。特に、c−junは、遺伝毒性傷害により損傷したDNAの修復に関与するタンパク質をコードする遺伝子の転写に関与する。故に、細胞におけるSAPK活性を阻害する薬剤は、DNA修復を妨げ、細胞を、DNA損傷を誘発するかDNA合成を阻害して細胞のアポトーシスを誘発する、または細胞増殖を阻害する薬剤に感受性とする。
【0046】
マイトージェン−活性タンパク質キナーゼ(MAPK)は、種々の細胞外シグナルに応答して、転写因子、翻訳因子および他の標的分子を活性化する保存されたシグナル伝達経路のメンバーである。MAPKは配列Thr−X−Tyrを有するデュアルリン酸化モチーフの、マイトージェン−活性タンパク質キナーゼキナーゼ(MKK)によるリン酸化により活性化される。高級真核細胞において、MAPKシグナル伝達の生理学的役割は、増殖、発癌、発育および分化のような細胞事象と相関している。したがって、シグナル伝達をこれらの経路を介して(特にMKK4およびMKK6を介して)制御する能力は、炎症性疾患、自己免疫性疾患および癌のようなMAPKシグナル伝達と関連するヒト疾患の処置および予防的治療の発展に至る。
【0047】
ヒトリボソームS6タンパク質キナーゼのファミリーは少なくとも8種のメンバー(RSK1、RSK2、RSK3、RSK4、MSK1、MSK2、p70S6Kおよびp70S6 Kb)から成る。リボソームタンパク質S6タンパク質キナーゼは、重要な多面的な(pleotropic)機能を有し、とりわけ、タンパク質生合成中のmRNA翻訳に重要な役割を有する(Eur. J. Biochem 2000 November; 267(21): 6321-30, Exp Cell Res. Nov. 25, 1999; 253(1): 100-9, Mol Cell Endocrinol. May 25, 1999; 151(1-2): 65-77)。S6リボソームタンパク質のp70S6によるリン酸化はまた、細胞運動性(Immunol. Cell Biol. 2000 August; 78(4): 447-51)および細胞増殖(Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol., 2000; 65: 101-27)の制御に関与しており、故に腫瘍転移、免疫応答および組織修復ならびに他の疾患状態に重要であり得る。
【0048】
SAPK(“jun N末端キナーゼ”または“JNK’s”とも呼ばれる)は、c−jun転写因子の活性化およびc−junにより制御される遺伝子の発現をもたらすシグナル伝達経路の最後から2番目の工程を代表する、タンパク質キナーゼのファミリーである。特に、c−junは、遺伝毒性傷害により損傷したDNAの修復に関与するタンパク質をコードする遺伝子の転写に関与する。細胞におけるSAPK活性を阻害する薬剤は、DNA修復を妨げ、細胞を、DNA損傷を誘発により作用する癌治療モダリティーに感受性とする。
【0049】
BTKは全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチ性関節炎、多発性脈管炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、重症筋無力症、および喘息のような自己免疫性および/または炎症性疾患において役割を有する。B細胞におけるBTKの役割が活性化であるため、BTKの阻害剤は、自己抗体産生のようなB細胞介在病原性活性の阻害剤として有用であり、B細胞リンパ腫および白血病の処置に有用である。
【0050】
CHK2はセリン/スレオニンタンパク質キナーゼのチェックポイントキナーゼファミリーであり、環境変異源および内因性活性酸素種により引き起こされる損傷のようなDNA損傷の監視に使用される機構に含まれる。結果として、それは腫瘍サプレッサーおよび癌治療の標的として関与する。
【0051】
CSKは癌細胞、特に結腸癌の転移能に影響する。
【0052】
Fesは種々のサイトカインシグナル伝達経路ならびに骨髄性細胞の分化に関与している非受容体タンパク質チロシンキナーゼである。Fesはまた顆粒球分化機構の重要な要素である。
【0053】
Flt3受容体チロシンキナーゼ活性は白血病および骨髄異形成症候群に関与する。約25%のAMLにおいて、白血病細胞は、細胞表面上に、自己リン酸化(p)FLT3チロシンキナーゼの構成的に活性な形態を発現する。p−FLT3活性は、白血病性細胞に増殖および生存優位性を付与する。白血病細胞がp−FLT3キナーゼ活性を示す急性白血病の患者は、全体的臨床成績が悪い。p−FLT3キナーゼ活性の阻害は白血病性細胞のアポトーシス(計画細胞死)を誘発する。
【0054】
IKKαおよびIKKβ(1&2)の阻害剤は、リウマチ性関節炎、移植片拒絶反応、炎症性腸疾患、骨関節症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症、乾癬、多発性硬化症、卒中、全身性エリテマトーデス、アルツハイマー病、脳虚血、外傷性脳傷害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、くも膜下出血または脳および中枢神経系における炎症性メディエーターの過剰産生と関連する他の疾患または障害を含む、疾患の治療剤である。
【0055】
Metは主要なヒト癌のほとんどのタイプの関連し、発現はしばしば悪い予後および転移と相関する。Metの阻害剤は、肺癌、NSCLC(非小細胞肺癌)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頚部癌、皮膚または眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、婦人科腫瘍(例えば、子宮肉腫、輸卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頚の癌腫、膣の癌腫または外陰の癌腫)、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌(例えば、甲状腺、副甲状腺または副腎の癌)、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、小児の固形腫瘍、リンパ球性脈リンパ腫、膀胱の癌、腎臓または輸尿管の癌(例えば、腎臓細胞癌腫、腎盂の癌腫)、小児科悪性腫瘍、中枢神経系の新生物(例えば、原発性CNSリンパ腫、脊髄の軸の腫瘍、脳幹神経膠腫または下垂体腺腫)、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病のような血液の癌などを含む癌、バレット食道(前悪性症候群)、新生物皮膚疾患、乾癬、菌状息肉腫(mycoses fungoides)および良性前立腺肥大、糖尿病性網膜症のような糖尿病合併症、網膜虚血および網膜新血管新生、肝硬変、アテローム性動脈硬化症のような心臓血管疾患、自己免疫性疾患および腎臓疾患のような免疫学的疾患を含む、疾患の治療剤である。好ましくは、本疾患は、急性骨髄性白血病および結腸直腸癌のような癌である。
【0056】
Nima関連キナーゼ2(Nek2)は、中心体に局在化する有糸分裂の開始時に最大活性を有する、細胞周期制御タンパク質キナーゼである。機能的試験から、Nek2は中心体分離および紡錘体形成の制御に関連している。Nek2タンパク質は子宮頚、卵巣、前立腺、および特に乳房のものを含む広範のヒト腫瘍由来の細胞系において、2〜5倍上昇している。
【0057】
p70S6K介在疾患または状態は、癌および結節性硬化症のような増殖性障害を含むが、これらに限定されない。
【0058】
前記によって、本発明はさらに処置を必要とする対象における上記のいずれかの疾患または障害の処置法であって、該対象に式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の治療的有効量(下記“投与および医薬組成物”参照)を投与することを含む、方法を提供する。上記の全ての使用に関して、必要な投与量は、投与の形態、処置すべき特定の状態および望む効果に依存して変化する。
【0059】
投与および医薬組成物
一般に、本発明の化合物は、治療的有効量で、当分野で既知の任意の通常のおよび許容される形態で、単独でまたは1種以上の治療剤と組み合わせて投与される。治療的有効量は疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康状態、使用する化合物の効力および他の因子に依存して広範囲に変化し得る。一般に、満足な結果が、約0.03から2.5mg/体重kgの一日量で漸進的に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおける指示される一日量は、約0.5mgから約100mgの範囲であり、簡便には、例えば1日4回までの分割量でまたは徐放形態で投与する。経口投与のための適当な単位投与形態は約1から50mg活性成分を含む。
【0060】
本発明の化合物は医薬組成物として、任意の慣用の経路により、特に経腸的に、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセルの形で、または非経腸的に、例えば、注射可能溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏またはクリームの形で、または鼻腔内にまたは坐薬形態で投与できる。遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を少なくとも1個の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、混合、造粒またはコーティング法による慣用法で製造できる。例えば、経口組成物は、活性成分をa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまたc)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;望むならばd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または起沸性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤と共に含む、錠剤またはゼラチンカプセルである。注射可能組成物は、水性等張性溶液または懸濁液であってよく、そして坐薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造できる。本組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含んでよい。加えて、それらはまた他の治療的に価値ある物質を含んでよい。経皮適用に適当な製剤は、有効量の本発明の化合物と担体を含む。担体は、宿主の皮膚を介した通過を助けるための吸収可能な薬理学的に許容される溶媒を含む。例えば、経皮デバイスは裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、所望により化合物を宿主の皮膚へ長時間にわたり制御されかつ予定された速度で送達するための速度制御バリア、および該デバイスを皮膚に固定する手段を含む、バンデージの形である。マトリックス経皮製剤も使用できる。例えば、皮膚および眼への局所投与に適当な製剤は、好ましくは当分野で既知の水性溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。これらは可溶化剤、安定化剤、張性増強剤(tonisity enhancing agent)、緩衝剤および防腐剤を含み得る。
【0061】
本発明の化合物は、治療的有効量で、1個以上の治療剤と組み合わせて投与できる(医薬組合せ剤)。例えば、相乗効果が他の免疫抑制剤または抗炎症剤、例えばシクロスポリン、ラパマイシン、またはアスコマイシン、またはそれらの免疫抑制類似体、例えばシクロスポリンA(CsA)、シクロスポリンG、FK−506、ラパマイシン、または同等な化合物、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ブレキナール、レフルノミド、ミゾルビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスペルグアリン、免疫抑制性抗体、とりわけ白血球受容体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、B7、CD45、CD58またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体、またはCTLA41gのような他の免疫抑制性化合物と組み合わせて使用したとき起こり得る。本発明の化合物を他の治療剤と組み合わせて投与するとき、併用投与化合物の投与量は、用いる併用剤のタイプ、用いる具体的薬剤、処置する状態などに依存して変化する。
【0062】
本発明はまたa)ここに記載の通りの遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物である第一剤、およびb)少なくとも1個の併用剤を含む、医薬組合せ剤、例えばキットを提供する。本キットは、その投与のための指示書を含み得る。
【0063】
ここで使用する用語“併用投与”または“組合せ投与”などは、単独の患者への選択した治療剤の投与を包含することを意味し、薬剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを包含することを意図する。
【0064】
ここで使用する用語“医薬組合せ剤”は、2種以上の活性成分の混合または組合せに由来する製品を意味し、活性成分の固定されたおよび固定されていない組合せ剤の両方を含む。用語“固定された組合せ剤”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤が、両方とも患者に単一の物または投与量の形で投与されることを意味する。用語“固定されていない組合せ剤”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用剤が、両方とも患者に別々の物として、同時に、一緒にまたは特別な時間制限なく連続的に投与されることを意味し、ここで、このような投与は患者体内において2種の化合物の治療的有効レベルを提供する。後者はまたカクテル療法、例えば3種以上の活性成分の投与に適用される。
【0065】
本発明の化合物の製造法
本発明はまた本発明の化合物の製造法も含む。記載の反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基を、これらが最終生成物において望まれるとき、これらの反応への望まない参加を避けるために、保護する必要があるかもしれない。慣用の保護基を標準実務に従い使用でき、例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991を参照のこと。
【0066】
式Iの化合物は下記反応Iの通りに進行して製造できる:
【化3】

(式中、n、Z、Z、RおよびRは発明の要約において定義の通りである)。式Iの化合物は、式2の化合物と式3の化合物を、適当な酸(例えば、MeSOH、TsOHなど)および適当な溶媒(例えば、DMSO、ジオキサンなど)の存在下で反応させることにより、製造できる。本反応は、約100℃から約150℃の温度範囲で進行し、完了まで最大約24時間かかり得る。
【0067】
が−NRC(O)Rである式Iの化合物、は、下記反応スキームIIの通りに進行して製造できる:
【化4】

【0068】
(式中、n、Z、Z、R、RおよびRは発明の要約に記載の通りである)。式Iの化合物は、式4の化合物と式5の化合物を、適当なカップリング剤(例えば、HATUなど)、適当な溶媒(例えば、DMF、THFなど)および適当な塩基(例えば、DIEA、TEAなど)の存在下で反応させることにより、製造できる。本反応は、約0℃から約50℃の温度範囲で進行し、完了まで最大約20時間かかり得る。Rが−C(O)NRである式Iの化合物のために、適当な出発物質と共に類似の反応を使用する。
【0069】
が−NRS(O)である式Iの化合物は、下記反応スキームIIIの通りに進行して製造できる:
【化5】

(式中、n、Z、Z、R、RおよびRは発明の要約に記載の通りである)。式Iの化合物は、式4の化合物と式6の化合物を、適当な溶媒(例えば、DMF、THFなど)および適当な塩基(例えば、DIEA、TEAなど)の存在下で反応させることにより、製造できる。本反応は、約0℃から約50℃温度範囲で進行し、完了まで最大約20時間かかり得る。
【0070】
が−NRC(O)NRである式Iの化合物は、下記反応スキームIVの通りに進行して製造できる:
【化6】

(式中、n、Z、Z、R、RおよびRは発明の要約に記載の通りである)。式Iの化合物は、式4の化合物と式7の化合物を、適当な溶媒(例えば、DMF、THFなど)および適当な塩基(例えば、DIEA、TEAなど)の存在下で反応させることにより、製造できる。本反応は、約0℃から約50℃温度範囲で進行し、完了まで最大約20時間かかり得る。
【0071】
式Iの化合物の合成の詳細は、以下の実施例に見ることができる。
【0072】
本発明の化合物の製造のさらなる工程
本発明の化合物は、遊離形態の化合物と、薬学的に許容される無機または有機酸の反応により、薬学的に許容される酸付加塩として製造できる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、本化合物の遊離酸形態と、薬学的に許容される無機または有機塩基の反応により製造できる。
【0073】
あるいは、本発明の化合物の塩形態は、出発物質または中間体の塩の使用により製造できる。
【0074】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態は、各々対応する塩基付加塩または酸付加塩形態から製造できる。例えば酸付加塩形態の本発明の化合物を、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)との反応により対応する遊離塩基に変換できる。塩基付加塩形態の本発明の化合物を、適当な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより、対応する遊離酸に変換できる。
【0075】
酸化されていない形の本発明の化合物を、本発明の化合物のN−オキシドから、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、リチウムボロハイドライド、水素化ホウ素ナトリウム、リン三塩化物、三臭化物など)で、適当な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0〜80℃で処理することにより製造できる。
【0076】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細は、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。例えば、適当なプロドラッグは、誘導体化されていない本発明の化合物と、適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)の反応により製造できる。
【0077】
本発明の化合物の被保護誘導体は、当業者に既知の手段により製造できる。保護基の創成およびそれらの除去に適応できる技術の詳細な記載は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見ることができる。
【0078】
本発明の化合物は、溶媒和物(例えば、水和物)として簡便に製造でき、または本発明の工程中に形成される。本発明の化合物の水和物は、簡便にはジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を使用した、水性/有機溶媒混合物からの再結晶により製造できる。
【0079】
本発明の化合物は、化合物のラセミ混合物を、光学活性な分離剤と反応させて、ジアステレオ異性体化合物の混合物を形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、その個々の立体異性体として製造できる。エナンチオマーの解離は、本発明の化合物の二価ジアステレオマー誘導体を使用して行い得るが、分離可能な複合体(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)が好ましい。ジアステレオマーは異なる物理特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの差異を利用して容易に分離できる。ジアステレオマーはクロマトグラフィーにより、または好ましくは、溶解度の差異を利用した分離/分解技術により分離できる。光学的に純粋なエナンチオマーを、次いで分離剤と共に、ラセミ化をもたらさない任意の実際的手段により回収する。化合物の立体異性体の、そのラセミ混合物からの分離に適用可能な技術のより詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resokution”, John WileyおよびSons, Inc., 1981に見ることができる。
【0080】
要約すると、式Iの化合物は下記を含む方法により製造できる:
(a)反応スキームI、II、IIIおよびIVのもの;そして
(b)所望により本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(c)所望により塩形の本発明の化合物の非塩形への変換;
(d)所望により酸化されていない形の本発明の化合物の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(e)所望によりN−オキシド形の本発明の化合物のその酸化されていない形への変換;
(f)所望により異性体混合物からの本発明の化合物の個々の異性体の分離;
(g)所望により誘導体化されていない本発明の化合物の、薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(h)所望により、本発明の化合物のプロドラッグ誘導体の、その非誘導体化形への変換。
【0081】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、該化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法に従い、もしくは下記実施例に記載の通りに製造できる。
【0082】
当業者は、上記の変換は本発明の化合物の製造の単なる代表例であり、他の既知の方法を同様に使用できることを認識するであろう。
【実施例】
【0083】
本発明は、本発明の式Iの化合物の製造を説明する下記実施例によりさらに例証するが、限定しない。
【0084】
実施例1
4−メチル−N−[4−(2−メチル−イミダゾル−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド
【化7】

6−クロロデアザプリン(2.0g、13mmol、1.0当量)のジクロロメタン(65ml)溶液に、トリエチルアミン(1.98ml、14.3mmol、1.1当量)および4−ジメチルアミノピリジン(触媒量)を添加する。塩化トシル(2.55g、13.4mmol、1.03当量)を本反応混合物に少しずつ添加し、それをさらに30分平衡化する。次いで、反応混合物をジクロロメタンおよび水に分配する。有機層を分離し、水性層をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機抽出物を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、4−クロロ−7−(トルエン−40スルホニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを得て、それをさらに精製することなく次段階に使用する。
【0085】
NaH(鉱油中60%分散、94mg、2.35mmol)を2−クロロ−1H−イミダゾール(252mg、2.47mmol)のDMSO(10mL)の溶液に、室温で添加する。30分後、4−クロロ−7−(トルエン−4−スルホニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(691mg、2.25mmol)を添加する。フラスコを密封し、80℃で1時間加熱する。反応物を室温に冷却し、飽和塩化アンモニウムで中和し、酢酸エチルで2回抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:5%から50%のヘキサンで溶出)での精製により、4−(2−クロロ−イミダゾル−1−イル)−7−(トルエン−4−スルホニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを得る:1H NMR 400 MHz(CDCl3)δ 8.99(s, 1H), 8.15(d, 2H, J = 8.0Hz), 7.88(d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.36 -7.38(m, 3H), 7.16(d, 1H, J = 2.0 Hz), 6.70(d, 1H, J = 8.0 Hz), 2.43(s, 3H);MS m/z 374.00(M + 1)。
【0086】
4−(2−クロロ−イミダゾル−1−イル)−7−(トルエン−4−スルホニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(393mg、1.05mmol)、TBAF(THF中1M、1.58mL、1.58mmol)のTHF(16mL)中の混合物を60℃で一晩撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、濃縮する。逆相LC−MSによる精製により、4−(2−クロロ−イミダゾル−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを得る:1H NMR 400 MHz(DMSO-d6)δ 12.67(s, 1H), 8.83(s, 1H), 7.81(d, 1H, J = 1.6 Hz), 7.78(t, 1H, J = 1.9 Hz), 7.20(d, 1H, J = 1.6 Hz), 6.59(dd, 1H, J = 2.8, 1.6 Hz);MS m/z 219.9(M + 1)。
【0087】
4−(2−クロロ−イミダゾル−1−イル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(21.6mg、0.098mmol)、3−アミノ−4−メチル−N−[4−(2−メチル−イミダゾル−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−ベンズアミド(37mg、0.098mmol)、およびMeSOH(12.76μL、0.197mmol)の1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(0.5ml)溶液を80℃で加熱する。36時間撹拌後、反応混合物を室温に冷却する。逆相LC−MSによる精製により、表題化合物を得る:1H NMR 400 MHz(DMSO-d6)δ 12.73(s, 1H), 11.45(s, 1H), 10.88(s, 1 H), 8.98(s, 1 H), 8.83(s,1 H), 8.54(d, 1H, J = 1.9 Hz), 8.36(dd, 1H, J = 1.6, 8.8 Hz), 7.95(d, 1H, J = 1.9 Hz), 7.92(s, 1H), 7.86(d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.81(d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.79(t, 1H, J = 2.8 Hz), 7.65(d, 1H, J = 7.8 Hz), 7.48(d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.12-7.09(m, 2H), 2.50(s, 3H), 2.40(s, 3H);MS m/z 558.2(M + 1)。
【0088】
実施例2
3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化8】

アミノ−アセトアルデヒドジエチルアセタール(13.16g、99mmol)のエーテル(35mL)溶液を、CNBr(10.47g、99mmol)のヘキサン(35mL)懸濁液に室温で添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。固体を濾過により除去し、エーテルで洗浄する。合わせた濾液を濃縮する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタンから4%メタノールのジクロロメタン溶液、勾配溶出)での精製により、N−(2,2−ジエトキシエチル)カルボジイミド(Rf:2.70、4%メタノールのジクロロメタン溶液、10%エタノール性モリブデート(molybdato)リン酸で染色)を得る:1H NMR 400 MHz(CDCl3)δ 4.58(t, J = 5.2 Hz, 1H), 3.77 -3.69(m, 2H), 3.65(br, s, 1H), 3.60 -3.52(m, 2H), 3.16(t, J = 5.6 Hz, 1H), 1.23(t, 6H, J = 6.8 Hz)。
【0089】
4−メチル−3−ニトロ−アニリン(15.86g、104mmol)、ピリジン(17.0mL、208mmol)のCHCl(150mL)溶液に、0℃で塩化ベンゾイル(13.30mL、114mmol)を滴下する。2時間、室温で撹拌後、反応混合物を濃縮する。残渣を飽和炭酸ナトリウム溶液、水、次いでエチルエーテルで洗浄して所望の化合物を得て、それをさらに何ら精製することなく次段階に使用する:1H NMR 600 MHz(アセトン-d6)δ 9.85(s, 1H), 8.61(s, 1H), 8.05 -8.02(m, 3H), 7.60(t, 1H, J = 7.2 Hz), 7.53(t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.46(d, 1H, J = 7.8 Hz), 2.54(s, 3H);MS m/z 257.3(M + 1)。
【0090】
上記化合物をエタノール(250mL)に溶解する。Parr Shaker、20−30psi Hを使用するパラジウム(10wt%/活性炭、湿式、Degussaタイプ、5g)により触媒される16時間の水素化後、反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、エタノールで洗浄する。合わせた濾液および洗液を濃縮して、N−(3−アミノ−4−メチル−フェニル)−ベンズアミドを得て、それをさらに何ら精製することなく次反応に使用する:1H NMR 600 MHz(アセトン-d6)δ 9.40(s, 0.4H), 9.23(s, 0.6H), 7.96(t, 2 H, J = 7.8 Hz), 7.55 -7.52(m, 1 H), 7.49(d,1 H, J = 7.2 Hz), 7.47(d,1 H, J = 7.2 Hz), 7.37(d, 0.4 H, J = 8.4 Hz), 7.31(s, 0.6 H), 7.17(s, 0.4 H), 7.11(d, 0.4 H, J = 8.4 Hz), 7.95(d, 0.6 H, J = 8.4 Hz), 7.91(d, 0.6 H, J = 8.4 Hz), 4.44(br, s, 1.2 H), 2.90(br, s, 0.8 H), 2.11(s, 1.8 H), 1.98(s, 1.2 H);MS m/z 227.3(M + 1)。
【0091】
N−(2,2−ジエトキシエチル)カルボジイミド(10.38g、65.6mmol)、3−アミノ−4−メチル−フェニル]−ベンズアミド(7.42g、32.8mmol)、メタンスルホン酸(3.20mL、49.3mmol)のエタノール(200mL)中の混合物を還流温度で19時間加熱する。反応混合物を濃縮する。残渣をHCl溶液(6N、30mL)に溶解する。一晩撹拌後、反応混合物を25%NaOH溶液で0℃でpH6まで中和し、次いで飽和炭酸ナトリウム溶液でpH11まで塩基性化する。混合物を30分撹拌し、10%エタノールのCHCl溶液で抽出する。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、真空下乾燥させる。残渣をCHCl(50mL)でトリチュレートする。固体を濾過により回収し、CHClで洗浄し、乾燥させて、N−[3−(1H−イミダゾル−2−イルアミノ)−4−メチル−フェニル]−ベンズアミドを白色固体として得る:1H NMR 600 MHz(DMSO-d6)δ 10.79(s, 1H), 10.11(s, 1H), 8.00(d, 1 H, J = 2.4 Hz), 7.94(d, 2 H, J = 7.2 Hz ), 7.60(s, 1H), 7.56(t, 1H, J = 7.2 Hz), 7.49(t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.25(dd, 1H, J = 2.4, 8.4 Hz), 7.04(d, 1H, J = 7.8 Hz), 6.80(br, s, 1H), 6.65(br, s, 1H), 2.20(s, 3H);MS m/z 293.4(M + 1)。
【0092】
N−[3−(1H−イミダゾル−2−イルアミノ)−4−メチル−フェニル]−ベンズアミド(627mg、2.14mmol)、4−クロロ−7−(トルエン−4−スルホニル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(600mg、1.95mmol)、DIEA(1.02mL、5.86mmol)の1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(2.0ml)中の混合物を120℃で8時間加熱する。反応混合物を室温に冷却する。水を添加する。固体を濾過により回収し、水で洗浄し、乾燥させ、さらに何ら精製することなく次反応に使用する。固体をTHF(30mL)に溶解し、TBAF(THF中1M、3.0mL、3.0mmol)を添加する。反応混合物を60℃で加熱する。約16時間後、反応混合物を室温に冷却し、THFを除去し、水を添加する。固体を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、乾燥させて、N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−ベンズアミドを得て、それをさらに何ら精製することなく次反応に使用する:1H NMR 400 MHz(DMSO-d6)δ 12.63(s, 1H), 11.23(s, 1H), 10.25(s, 1 H), 8.82(d, 1 H, J = 2.0 Hz), 8.80(s,1 H), 7.99(d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.86(d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.74(t, 1H, J = 3.2 Hz), 7.60 -7.56(m, 1H), 7.52(t, 2H, J =7.6 Hz), 7.36(dd, 1H, J = 8.0, 1.9 Hz), 7.18(d, 1H, J =1.8 Hz), 7.06(m, 1H), 6.99(d, 1H, J = 2.4 Hz), 2.40(s, 3H);MS m/z 410.1(M + 1)。
【0093】
N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−ベンズアミド(470mg)、6N HCl(20mL)の混合物を80℃で一晩加熱する。反応混合物を室温に冷却する。固体を濾過により除去する。濾液を濃縮し、炭酸ナトリウム溶液で塩基性化する。固体を濾過により回収し、水で洗浄し、乾燥させて4−メチル−N−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イル]−ベンゼン−1,3−ジアミンを得て、それをさらに精製することなく次反応に使用する:MS m/z 306.1(M + 1)。
【0094】
4−メチル−N−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イル]−ベンゼン−1,3−ジアミン(15.0mg、0.049mmol)、3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−安息香酸(16.0mg、0.059mmol)、およびDIEA(35μL、0.20mmol)のDMF(2mL)溶液に、HATU(21mg、0.055mmol)を添加する。1時間、室温で撹拌後、溶媒を真空下除去する。残渣をDMSO(1mL)に溶解する。得られる溶液を逆相HPLCによる精製に付し、3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミドを得る:1H NMR 600 MHz(DMSO-d6)δ 12.73(s, 1H), 11.32(s, 1H), 10.67(s, 1 H), 9.60(s, 1 H), 8.82(s,1 H), 8.64-8.56(m, 2H), 8.46(s, 1H), 8.43(s, 1H), 8.17(s, 1H), 7.93(d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.79(t, 1H, J = 3.2 Hz), 7.52(d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.30(d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.11(s, 1H), 7.07(m, 1H), 2.39(s, 3H), 2.36(s, 3H);MS m/z 558.2(M + 1)。
【0095】
適当な出発物質を使用して、上記実施例に記載の方法を繰り返し、表1に同定する式Iの化合物を得る。
【表1】

【表2】

【0096】
【表3】

【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
アッセイ
本発明の化合物を、BCR−Ablを発現する32D細胞(32D−p210)の細胞増殖を親32D細胞と比較して特異的に阻害する能力を測定するためにアッセイする。BCR−Abl形質転換細胞の増殖を選択的に阻害する化合物を、Bcr−ablの野生型または変異形態のいずれかを発現するBa/F3細胞に対する抗増殖性活性について試験する。加えて、化合物を、FGFR3、b−RAF、Abl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRα、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2およびTrkBキナーゼを阻害する能力についてアッセイする。
【0099】
細胞性BCR−Abl依存性増殖の阻害(ハイスループット法)
使用するマウス細胞系は、BCR−Abl cDNA(32D−p210)で形質転換した32D造血前駆細胞系である。これらの細胞をペニシリン50μg/mL、ストレプトマイシン50μg/mLおよびL−グルタミン200mM添加RPMI/10%ウシ胎児血清(RPMI/FCS)に維持する。非形質転換32D細胞を、IL3供給源として15%のWEHI馴化培地を添加して、同様に維持する。
【0100】
50μlの32Dまたは32D−p210細胞懸濁液をGreiner 384ウェルマイクロプレート(黒色)に5000細胞/ウェルの密度で播く。50nlの試験化合物(DMSO貯蔵溶液中1mM)を各ウェルに添加する(STI571をポジティブコントロールとして包含させる)。細胞を72時間、37℃、5%COでインキュベートする。10μlの60%Alamar Blue溶液(Tek diagnostics)を各ウェルに添加し、細胞をさらに24時間インキュベートする。蛍光強度(励起530nm、放出580nm)を、AcquestTMシステム(Molecular Devices)を使用して定量する。
【0101】
細胞性BCR−Abl依存性増殖の阻害
32D−p210細胞を96ウェルTCプレートに15,000細胞/ウェルの密度で播く。50μLの試験化合物の2倍連続希釈(Cmaxは40μM)を各ウェルに添加する(STI571をポジティブコントロールとして包含させる)。細胞を48時間、37℃、5%COでインキュベートした後、15μLのMTT(Promega)を各ウェルに添加し、細胞をさらに5時間インキュベートする。570nmでの光学密度を分光光度法で測定し、50%阻害に必要な化合物濃度であるIC50値を用量応答曲線から決定する。
【0102】
細胞周期分布に対する効果
32Dおよび32D−p210細胞を6ウェルTCプレートに5mlの培地中2.5×10細胞/ウェルで播き、1または10μMの試験化合物を添加する(STI571をコントロールとして包含させる)。細胞を次いで24時間または48時間、37℃、5%COでインキュベートする。2mlの細胞懸濁液をPBSで洗浄し、70%EtOHに1時間固定させ、PBS/EDTA/RNase Aで30分処理する。ヨウ化プロピジウム(Cf=10μg/ml)を添加し、蛍光強度をFACScaliburTMシステム(BD Biosciences)上でのフローサイトメトリーにより定量する。本発明の試験化合物は、32D−p210細胞に対してアポトーシス効果を示すが、32D親細胞にはアポトーシスを誘発しない。
【0103】
細胞性BCR−Abl自己リン酸化に対する効果
BCR−Abl自己リン酸化を、c−abl特異的捕捉抗体および抗ホスホチロシン抗体を使用した捕捉Elisaで定量する。32D−p210細胞を96ウェルTCプレートに50μLの培地中2×10細胞/ウェルで播く。50μLの試験化合物の2倍連続希釈(Cmaxは10μM)を各ウェルに添加する(STI571をポジティブコントロールとして包含させる)。細胞を90分、37℃、5%COでインキュベートする。細胞を次いで1時間、氷上で、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含む150μLの溶解緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.4、150mMNaCl、5mM EDTA、1mM EGTAおよび1%NP−40)で処理する。50μLの細胞溶解物を、予め抗abl特異的抗体でコートし、遮断した96ウェルoptiplateに添加する。プレートを4時間、4℃でインキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄後、50μLのアルカリホスファターゼ結合抗ホスホチロシン抗体を添加し、さらに一晩、4℃でインキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄後、90μLの発光基質を添加し、発光をAcquestTMシステム(Molecular Devices)を使用して定量する。BCR−Abl発現細胞の増殖を阻害する本発明の試験化合物は、用量依存的方法で細胞性BCR−Abl自己リン酸化を阻害する。
【0104】
Bcr−ablの変異形態を発現する細胞の増殖に対する効果
本発明の化合物は、BCR−Ablの野生型または、STI571に対する耐性もしくは減少した感受性を付与する変異形態(G250E、E255V、T315I、F317L、M351T)のいずれかを発現するBa/F3細胞に対する、その抗増殖効果について試験する。変異−BCR−Abl発現細胞および非形質転換細胞に対するこれらの化合物の抗増殖効果を、上記の通り10、3.3、1.1および0.37μMで試験した(IL3欠損培地で)。非形質転換細胞に毒性のない化合物のIC50値を、上記の通りに得た用量応答曲線から決定した。
【0105】
FGFR3(酵素アッセイ)
精製FGFR3(Upstate)でのキナーゼ活性アッセイを、キナーゼ緩衝液(30mM Tris−HCl pH7.5、15mM MgCl、4.5mM MnCl、15μMNaVOおよび50μg/mL BSA)中の0.25μg/mLの酵素、および基質(5μg/mL ビオチン−ポリ−EY(Glu、Tyr)(CIS-US, Inc.)および3μM ATP)を含む、最終容量10μL中で行う。2種の溶液を製造する:キナーゼ緩衝液中にFGFR3酵素を含む5μlの第一の溶液を、最初に384形式のProxiPlate(登録商標)(Perkin-Elmer)に分配し、その後DMSOに溶解した50nLの化合物を添加し、次いでキナーゼ緩衝液中に基質(ポリ−EY)およびATPを含む5μlの第二の溶液を各ウェルに添加した。反応物を室温で1時間インキュベートし、10μLのHTRF検出混合物(それは、30mM Tris−HCl pH7.5、0.5M KF、50mM ETDA、0.2mg/mL BSA、15μg/mL ストレプトアビジン−XL665(CIS-US, Inc.)および150ng/mL クリプタート結合抗ホスホチロシン抗体(CIS-US, Inc.)を含む)の添加により、停止させる。ストレプトアビジン−ビオチン相互作用をさせるために1時間、室温でインキュベート後、時間分解蛍光シグナルをAnalyst GT(Molecular Devices Corp.)で読む。IC50値を、各化合物の12濃度(50μMから0.28nMまでの1:3希釈)での阻害パーセントの直線回帰分析により計算する。このアッセイにおいて、本発明の化合物は10nMから2μMの範囲のIC50を有する。
【0106】
FGFR3(細胞性アッセイ)
本発明の化合物を、FGFR3細胞キナーゼ活性に依存する形質転換Ba/F3−TEL−FGFR3細胞の増殖を阻害する能力について試験する。Ba/F3−TEL−FGFR3を、培養培地として10%ウシ胎児血清を添加したRPMI 1640で、懸濁液中800,000細胞/mLまで培養する。細胞を384ウェル形式のプレートに50μL 培養培地中5000細胞/ウェルで分配する。本発明の化合物をジメチルスルフオキシド(DMSO)に溶解し、希釈する。12点の1:3連続希釈をDMSO中に調製し、典型的に10mMから0.05μMの範囲の濃度勾配を作る。細胞を50nLの希釈した化合物と共に添加し、48時間、細胞培養インキュベーター中でインキュベートする。増殖している細胞により作られる還元環境をモニターするために使用できるAlamarBlue(登録商標)(TREK Diagnostic Systems)を細胞に、10%の最終濃度で添加する。さらに4時間、37℃細胞培養インキュベーター中でのインキュベート後、還元されたAlamarBlue(登録商標)からの蛍光シグナル(励起530nm、放出580nm)を、Analyst GT(Molecular Devices Corp.)で定量する。IC50値を、各化合物の12濃度での阻害パーセントの直線回帰分析により計算する。
【0107】
FLT3およびPDGFRβ(細胞性アッセイ)
本発明の化合物のFLT3およびPDGFRβの細胞性活性に対する効果を、Ba/F3−TEL−FGFR3の代わりにBa/F3−FLT3−ITDおよびBa/F3−Tel−PDGFRβを各々使用する以外、FGFR3細胞性活性について上記したのと同じ方法を使用して行う。
【0108】
b−Raf−酵素アッセイ
本発明の化合物をb−Rafの活性を阻害する能力について試験する。アッセイを黒色壁および透明底の384ウェルMaxiSorpプレート(NUNC)で行う。基質、IκBαをDPBS(1:750)中で希釈し、15μlを各ウェルに添加する。プレートを4℃で一晩インキュベートし、3回TBST(25mM Tris、pH8.0、150mMNaClおよび0.05%Tween−20)でEMBLAプレート洗浄機を使用して洗浄する。プレートをSuperblock(15μl/ウェル)で3時間、室温でブロックし、3回TBSTで洗浄し、軽打乾燥させる。20μM ATP(10μl)含有アッセイ緩衝液、その後100nlまたは500nlの化合物を各ウェルに添加する。B−Rafをアッセイ緩衝液で希釈し(25μl中1μl)、10μlの希釈b−Rafを各ウェルに添加する(0.4μg/ウェル)。プレートを室温で2.5時間インキュベートする。キナーゼ反応を、プレートを6回TBSTで洗浄することにより停止させる。ホスホ−IκBαSer32/36)抗体をSuperblock(1:10,000)で希釈し、15μlを各ウェルに添加する。プレートを4℃で一晩インキュベートし、6回TBSTで洗浄する。AP結合ヤギ抗マウスIgGをSuperblock(1:1,500)で希釈し、15μlを各ウェルに添加する。プレートを室温で1時間インキュベートし、6回TBSTで洗浄する。15μlの蛍光Attophos AP基質(Promega)を各ウェルに添加し、プレートを室温で15分インキュベートする。プレートを蛍光強度プログラム(励起455nm、放出580nm)を使用してAcquestまたはAnalyst GTで読む。
【0109】
b−Raf−細胞性アッセイ
本発明の化合物を、A375細胞でMEKのリン酸化を阻害する能力について試験する。A375細胞系(ATCC)はヒト黒色腫患者由来であり、それはB−Raf遺伝子にV599E変異を有する。リン酸化MEKのレベルは、B−Rafの変異により上昇する。サブコンフルエントからコンフルエントのA375細胞を化合物と2時間、37℃で無血清培地中でインキュベートする。細胞を次いで1回冷PBSで洗浄し、1%Triton X100含有溶解緩衝液で溶解させる。遠心分離後、上清をSDS−PAGEに付し、次いでニトロセルロース膜に移す。膜を次いで抗ホスホ−MEK抗体(ser217/221)(細胞シグナル伝達)とウェスタン・ブロット法に付す。リン酸化MEKの量を、ニトロセルロース膜上のホスホ−MEKバンドの密度によりモニターする。
【0110】
Upstate Kinase ProfilerTM−放射性−酵素フィルター結合アッセイ
本発明の化合物を、一群のキナーゼ(キナーゼの部分的、非限定的例は下記を含む:Abl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2および/またはTrkB)個々のメンバーを阻害する能力について評価する。化合物を10μMの最終濃度で、デュプリケートでこの一般的プロトコールに従い試験する。キナーゼ緩衝液組成および基質は、“Upstate Kinase ProfilerTM”パネルに含まれる異なるキナーゼに関して変化することは注意すべきである。キナーゼ緩衝液(2.5μL、10倍− 必要なときMnCl含有)、活性キナーゼ(0.001−0.01単位;2.5μL)、キナーゼ緩衝液中の特異的またはポリ(Glu4−Tyr)ペプチド(5−500μMまたは.01mg/ml)およびキナーゼ緩衝液(50μM;5μL)を、氷上でエッペンドルフ中混合する。Mg/ATP混合物(10μL;67.5(または33.75)mM MgCl、450(または225)μM ATPおよび1μCi/μl [γ−32P]−ATP(3000Ci/mmol))を添加し、反応物を約30℃で約10分インキュベートする。反応混合物を反応混合物を2cm×2cm P81(ホスホセルロース、正荷電ペプチド基質について)またはWhatman No. 1(ポリ(Glu4−Tyr)ペプチド基質について)試験紙切片(square)上にスポットする(20μL)。アッセイ切片を4回、各5分、0.75%リン酸で洗浄し、1回アセトンで5分洗浄する。アッセイ切片をシンチレーションバイアルに移し、5mlシンチレーションカクテルを添加し、ペプチド基質への32P取り込み(cpm)をBeckmanシンチレーションカウンターで定量する。阻害パーセントを各反応について計算する。
【0111】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、例えば、本明細書に記載のインビトロ試験において示される通り、価値ある薬理学的特性を示す。例えば、式Iの化合物好ましくは野生型BCR−AblおよびG250E、E255V、T315I、F317LおよびM351T BCR−Abl突然変異体に対して1×10−10から1×10−5Mの範囲、好ましくは500nM未満、250nM未満、100nM未満および50nM未満のIC50を有する。式Iの化合物好ましくは、10μMの濃度で、好ましくはAbl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2および/またはTrkBキナーゼに対して50%より大きい阻害を、好ましくは約70%より大きい阻害を示す。
【0112】
例えば、3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド(実施例2)は:
【0113】
a) 野生型、G250E、E255V、T315I、F317LおよびM351T Bcr−ablに対して各々<0.5nM、56nM、43nM、63nM、<0.5nMおよび<0.5nMのIC50を有し;
【0114】
b) b−RAF酵素および細胞性アッセイについて各々2nMおよび32nMのIC50を有し;
【0115】
c) 細胞性アッセイにおいてPDGFRβに対して4nMのIC50を有し;そして
【0116】
d) 10μMの濃度で、下記キナーゼを括弧内に示すパーセンテージで阻害する(例えば、100%は完全な阻害を意味し、0%は阻害なしを意味する):Abl(99%)、Bcr−Abl(99%)、BMX(99%)、BTK(99%)、c−RAF(98%)、CSK(97%)、c−SRC(100%)、Fes(71%)、FGFR3(89%)、Lck(99%)、MKK6(99%)、p70S6K(86%)、PDGFRβ(83%)、Rsk1(88%)、SAPK2α(97%)、Tie2(99%)およびTrkB(100%)。
【0117】
例えば、N−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−メトキシ−5−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド(表1の化合物9)は、FGFR3酵素および細胞性アッセイにおいて各々4nMおよび40nMのIC50を有する。
【0118】
ここに記載の実施例および態様は説明の目的のためのみであり、それに照らした種々の修飾および変化が、当業者には示唆させ、本明細書および添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれることは理解される。ここに引用する全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のために引用により本明細書に包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、
nは0、1、2、3および4から選択され;
はN、C(O)およびCRから選択され;ここで、Rは水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキル、ハロ−置換−C1−4アルコキシ、C6−12アリール、C5−8ヘテロアリール、C3−12シクロアルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルおよびNRから選択され;ここで、Rは独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そしてRは水素、C1−4アルキルおよびC6−12アリールから選択され;そして、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望により水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキルおよびハロ−置換−C1−4アルコキシから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;
はNおよびCRから選択され;ここで、Rは水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキル、ハロ−置換−C1−4アルコキシ、C6−12アリール、C5−8ヘテロアリール、C3−12シクロアルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルおよびNRから選択され;そして、ZとZの間の結合は一重結合および二重結合から選択され;Rは独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そして、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは所望により水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−置換−C1−4アルキルおよびハロ−置換−C1−4アルコキシから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;
はハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選択され;
はNRC(O)NR、NRC(O)R、C(O)NR、NRS(O)0−2、S(O)0−2NRおよびNRから選択され;ここで、Rは独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そしてRは水素、C1−4アルキル、C6−12アリール、C5−8ヘテロアリール、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、Rの任意のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、シアノ、ニトロ、ハロ−置換−C1−4アルキル、ハロ−置換−C1−4アルコキシ、C5−12ヘテロアリール−C0−4アルキルおよびC3−12ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;ここで、Rの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル置換基は、所望によりC1−4アルキルおよびC3−12ヘテロシクロアルキルから独立して選択されるラジカルで置換されている。〕
の化合物ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および異性体。
【請求項2】
nが1、2、3および4から選択され;
がN、C(O)およびCHから選択され;
がNおよびCRから選択され;ここで、Rが水素およびハロから選択され;そして、ZとZの間の結合が一重結合および二重結合から選択され;
がC1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選択され;
がNRC(O)R、C(O)NRおよびNR;から選択されここで、R5が独立して水素およびC1−4アルキルから選択され;そしてRが水素、C1−4アルキルおよびC6−12アリールから選択され;ここで、Rの任意のアリールが所望によりハロ−置換−C1−4アルキル、C5−12ヘテロアリール−C0−4アルキルおよびC3−12ヘテロシクロアルキル−C0−4アルキルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;ここで、Rの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル置換基が、所望によりC1−4アルキルおよびC3−12ヘテロシクロアルキルから独立して選択されるラジカルで置換されている;
請求項1記載の化合物ならびにそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物および異性体。
【請求項3】
N−{3−[1−(3−ブロモ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(9H−プリン−6−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(9H−プリン−6−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;およびN−{4−メチル−3−[1−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミドから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
式Ia:
【化2】

〔式中、
はメチルおよびメトキシから選択され;
はNHC(O)R、C(O)NHRおよびNHRから選択され;ここで、Rは水素、メチルおよびフェニルから選択され;ここで、Rの任意のフェニルは所望によりトリフルオロメチル、イミダゾリル、ピペリジニル、ピペラジニルおよびピペラジニル−メチルから独立して選択される1個から3個のラジカルで置換されており;ここで、Rの任意のヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキル置換基は、所望によりメチル、エチルおよびピロリジニルから独立して選択されるラジカルで置換されている〕
の化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
4−メチル−N−[4−(2−メチル−イミダゾル−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−メトキシ−N−[4−(2−メチル−イミダゾル−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−5−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−メチル−N−[3−(4−メチル−イミダゾル−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;N−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−メトキシ−5−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;N−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミド;3−[1−(5−フルオロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−4−メチル−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;4−メチル−N−[4−(2−メチル−イミダゾル−1−イル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−ベンズアミド;N−{3−[1−(5−クロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−4−メチル−フェニル}−3−トリフルオロメチル−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−ベンズアミド;N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−アセトアミド;4−メチル−N3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イル]−ベンゼン−1,3−ジアミン;および3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−N−{4−メチル−3−[1−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾル−2−イルアミノ]−フェニル}−5−トリフルオロメチル−ベンズアミドから選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
治療的有効量の請求項1記載の化合物を薬学的に許容される賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項7】
動物におけるキナーゼ活性の阻害が疾患の病状および/または症状を予防、阻止または軽減する疾患の処置法であって、該動物に治療的有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項8】
キナーゼがAbl、Bcr−Abl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2およびTrkBから選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
動物におけるAbl、Bcr−Abl、BMX、BTK、CHK2、c−RAF、CSK、c−SRC、Fes、FGFR3、Flt3、IKKα、IKKβ、JNK2α2、Lck、Met、MKK4、MKK6、MST2、NEK2、p70S6K、PDGFRβ、PKA、PKBα、PKD2、Rsk1、SAPK2α、SAPK2β、SAPK3、SGK、Tie2およびTrkBのキナーゼ活性が疾患の病状および/または症状に関与する疾患の処置用薬剤の製造のための、請求項1記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−533145(P2008−533145A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501927(P2008−501927)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/008719
【国際公開番号】WO2006/101783
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】