説明

タンパク質キナーゼ阻害剤としての化合物および組成物

本発明は、新規ピリミジン誘導体およびその医薬組成物、およびかかる化合物の製造方法を提供する。例えば、本発明のピリミジン誘導体は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)活性、c−ros癌原遺伝子(ROS)、インシュリン様増殖因子(IGF−1R)、および/またはインスリン受容体(InsR)またはそれらの組合せの阻害hに応答する状態の処置、軽減または予防に使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2008年4月7日出願の米国仮特許出願番号61/043,111、および2008年11月19日出願の米国仮特許出願番号61/116,023の利益を請求し、この各々を、その全体を引用して本明細書に包含させる。
【0002】
技術分野
本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤、より具体的に新規ピリミジン誘導体およびその医薬組成物、および医薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
癌は、組織の異常増殖に起因する疾患である。ある種の癌は局所組織に侵入し、また離れた臓器に転移する能力を有する。この疾患は広範な臓器、組織および細胞型で発症し得る。それ故に、用語“癌”は多様な疾患群を意味する。
【0004】
受容体チロシンキナーゼ類のインスリン受容体スーパーファミリーのメンバーである未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)は、造血および非造血腫瘍の腫瘍形成に関与している。完全長ALK受容体タンパク質の異常発現が神経芽腫および神経膠芽腫で報告されている;そしてALK融合タンパク質が未分化大細胞リンパ腫で形成されている。ALK融合タンパク質の研究から、ALK陽性悪性腫瘍患者に対する新規な治療的処置の可能性も広がっている。(Pulford et al., Cell. Mol. Life Sci. 61: 2939-2953 (2004))。
【0005】
インシュリン様増殖因子(IGF−1)シグナリングは、優勢な因子としてのIGF−1受容体(IGF−1R)と共に癌と密接に関わっている。IGR−1Rは腫瘍形質転換および悪性細胞生存に重要であるが、正常な細胞増殖には僅かに関与しているだけである。IGF−1Rのターゲティングは、癌治療の将来有望な選択肢であることが示唆されている。(Larsson et al., Br. J. Cancer 92: 2097-2101 (2005))。
【0006】
V−rosトリUR2肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ1であるROS1(ROSとしても既知)は多様な腫瘍細胞株で高度に発現する。ROS1は現在オーファン受容体チロシンキナーゼであり、そのキナーゼドメインは大部分ALKに関連する。ROS1は多様な腫瘍細胞株に高度に発現する。遺伝子異常が原因のROS1融合タンパク質は肺癌およびある種の神経膠芽腫細胞株で見つかっている(Rikova K. et al Cell 131: 1190 (2007); Sharma S. Et al Oncogene Res. 5: 91 (1989))。ROS1の異常発現が神経膠腫で報告されている(Watkins D. et al Cancer Genet Cytogenet. 1994 72: 130 (1994))。ROS1キナーゼ阻害剤は、ROS1融合または異常発現または活性化により誘導される腫瘍の増殖を阻止できる可能性がある。
【0007】
この技術分野での進歩にもかかわらず、癌処置および抗癌化合物に対する要求は未だ充たされていない。
【発明の概要】
【0008】
発明の開示
本発明は、新規ピリミジン誘導体およびその医薬組成物、および医薬としてのそれらの使用に関する。
【0009】
一局面において、本発明は式(1)または(2):
【化1】

〔式中、
およびRは独立してH、C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであり;
はハロ、C1−6アルキル、またはハロ置換C1−6アルキルであり;
はHであるか;
または、RおよびRはそれらが結合している炭素原子と一体となってN、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、所望により1〜2個のR10基で置換されていてよい、5−6員環を形成してよく、そしてR10はハロ、所望によりフェニルまたはNRで置換されていてよいC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルであり;
、RおよびRは独立して所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;ハロ、ニトロ、シアノ、CR(OR17)R17、OR17、NR(R17)、CR(R17)NRR17、(CR)Y、C(O)O0−117、C(O)NR(R17)、C(O)CRR17−NR(R17)、C(O)NR(CR)NR(R17)、C(O)NR(CR)OR17、C(O)NR(CR)SR17、C(O)NR(CR)S(O)1−218、S(O)0−218、(CR)1−6NR(CR)OR17、(CR)1−6NR(CR)C(O)R18、S(O)NRR17、S(O)NR(CR)NR(R17)、またはS(O)NR(CR)OR17であり;ここで、Rは、縮合環の任意の位置に存在してよく;
はS(O)0−219、S(O)NRR20またはC(O)NR(R20)であり;ここで、R19およびR20は独立してC1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキルまたはC3−7シクロアルキルであるか;またはR20はHであり;
各Rは独立して−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−C(O)−CR(R17)−NRR17、−L−C(O)−NR−(CR)−NRR17、−L−C(O)NR(CR)OR17、−L−C(O)−(CR)−NR−C(O)−R18、−L−C(O)NR(CR)SR17、−L−C(O)NR(CR)S(O)1−218、(CR)NR(CR)OR17または(CR)NR−L−C(O)R18、−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化2】

から選択される基であり;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は独立してH、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルから選択され、この各々は所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよく;またはR11とR12、R12とR15、R15とR16、R13とR14、またはR13とR15は、それらが結合している炭素および/または窒素原子と一体となって、所望によりC(O)、N、OおよびS(O)0−2から選択される3個までの原子または基を含んでよい3−7員の飽和、不飽和または部分的不飽和環を形成してよく;
Lは(CR)1−4または結合であり;
17およびR18は独立してC1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであるか;またはR17でありH;
YはC3−12炭素環式環、C6−10アリール;または5−10員ヘテロアリールまたは4−10員ヘテロ環式環であり;この各々は所望により1−3個のR基で置換されていてよく;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;
pは2−4であり;そして
qは0−4である。〕
の化合物、またはその生理学的に許容される塩を提供する。
【0010】
一つの態様において、本発明は、式(2A):
【化3】

〔式中、
はハロであり;
はS(O)0−219であり;
はメトキシ、エトキシまたはイソプロポキシであり;
は−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化4】

から選択される基であり;
ここで、R、R、R、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、Lおよびpは式(1)または(2)で定義した通りである。〕
の化合物を提供する。
【0011】
いくつかの例で、本発明は、式(3):
【化5】

〔式中、
はハロであるか;
または、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって1−3個のNヘテロ原子を含む、所望により1−2個のR10基で置換されていてよい5−6員環を形成してよく;
5aおよびR5bは独立してハロ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルコキシであり;
はS(O)0−219であり;
、R、R、R10およびR19は式(1)または(2)で定義した通りである。〕
の化合物を提供する。
【0012】
上記式(3)の特定の態様において、R5aはメトキシまたはイソプロポキシであり;
5bはまたはメチルであり;
は−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化6】

から選択される基であり;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、Lおよびpは式(1)または(2)で定義した通りである。
【0013】
他の特定の態様において、本発明は式(3A)、(3B)、(3C)または(3D):
【化7】

〔式中、
5aはメトキシまたはイソプロポキシであり;
5bはメチルであり;
10b、R10e、R10fおよびR10hは独立してHまたはC1−6アルキルであり;
10a、R10c、R10dおよびR7gは独立してH、ハロ、C1−6アルキル、NR、または所望により置換されていてよいフェニルであり;そして
、R、R、RおよびRは式(1)または(2)で定義した通りである。〕
の化合物を提供する。
【0014】
上記式(3A)、(3B)、(3C)または(3D)のいずれにおいても、Rは−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化8】

から選択される基であり;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16、Lおよびpは上で定義した通りであり;そして
17およびR18は独立してC1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであるか;またはR17はHであることが可能である。
【0015】
他の局面において、本発明は、式(4)または(5):
【化9】

〔式中、
ZはNR9aまたはOであり;
およびRは独立してH、C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであり;
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって次のものから選択される環を形成し:
【化10】

5aおよびR5bは独立してハロ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルコキシであり;
はS(O)0−219、S(O)NRR20またはC(O)NR(R20)であり;ここで、R19およびR20は独立してC1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであるか;またはR20はHであり;
各R9aは独立してH、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;−(CR)−OR17、−L−C(O)−R17、−C(O)O−R17または−L−C(O)−NRR17であり;ここで、RおよびR17は、NRR17のNと一体となって、所望によりOまたはSを含んでよい5−6員環を形成し;
Lは(CR)1−4または結合であり;
17およびR18は独立してベンジル、所望によりハロで置換されていてよいC1−6アルキル、または所望によりC1−6アルキルまたはハロで置換されていてよいC3−7シクロアルキルであるか;またはR17はHであり;
21、R22、R24、R27およびR29は独立してHまたはC1−6アルキルであり;
23、R25、R26およびR28は独立してH、C1−6アルキル、NRまたはハロであり;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;そして
pは2−4である;
ただし、R22およびR23は両方ともHではなく;R24、R25およびR26は全てがHではなく;そしてR27およびR28は両方ともHではない。〕
の化合物、またはその生理学的に許容される塩を提供する。
【0016】
いくつかの例で、本発明は、R9aがH、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルである式(4)または(5)を提供する。
【0017】
上記式(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)のいずれにおいても、RおよびRはHであり得る。
【0018】
さらに別の局面において、本発明は式(6)
【化11】

〔式中、
Wは1−3個の窒素原子を含む5−6員環であり;
は所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;ハロ、ニトロ、シアノ、CR(OR17)R17、OR17、NR(R17)、CR(R17)NRR17、(CR)Y、C(O)O0−117、C(O)NR(R17)、C(O)CRR17−NR(R17)、C(O)NR(CR)NR(R17)、C(O)NR(CR)OR17、C(O)NR(CR)SR17、C(O)NR(CR)S(O)1−218、S(O)0−218、(CR)1−6NR(CR)OR17、(CR)1−6NR(CR)C(O)R18、S(O)NRR17、S(O)NR(CR)NR(R17)、またはS(O)NR(CR)OR17であり;
17およびR18は独立して(CR)YまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、この各々は所望によりハロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、カルボキシルまたはYで置換されていてよく;またはR17はHであり;
19はC1−6アルキルであり;
YはC3−12炭素環式環、C6−10アリール;または5−10員ヘテロアリールまたは4−10員ヘテロ環式環であり;この各々は所望により1−3個のR基で置換されていてよく;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;
pは2−4であり;
qは0−4である。〕
を有する化合物または薬学的に許容される塩の製造方法であって:
a) 式(6a)
【化12】

の化合物と式(6b)
【化13】

の化合物またはその薬学的に許容される塩を、式(6c)
【化14】

の中間体を形成させるのに十分な条件下で接触させ;
b) 該式(6c)の中間体と酸化剤を接触させて、式(6d);
【化15】

〔式中、XおよびXは脱離基である。〕
の中間体を形成させ;そして
c) 該式(6d)の中間体と式(6e)
【化16】

またはその薬学的に許容される塩を、式(6)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成させるのに十分な条件下で接触させることを含む、方法を提供する。
【0019】
一つの態様において、本発明は、式(6f)、(6g)、(6h)または(6i):
【化17】

〔式中、
5aはメトキシまたはイソプロポキシであり;
5bはメチルであり;
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f、R10gおよびR10hは独立してH、ハロ、C1−6アルキル、NH、ハロ、または所望により置換されていてよいフェニルであり;そして
各R19は上記式(6)で定義した通りである。〕
の化合物の合成方法を提供する。
【0020】
本発明の方法で、該式(6e)の化合物は:
i) 式(7)
【化18】

の化合物とアルキル化剤を反応させて式(8)
【化19】

の中間体を形成させ;そして
ii) 該式(8)の化合物を還元して式(6e)の化合物を形成させることにより合成でき;ここで、RおよびR19は上記式(6)で定義した通りである。
【0021】
いくつかの例で、アルキル化剤はp−トルエンスルホン酸メチルである。別の例で、アルキル化された式(6)の化合物を水素化により還元する。
【0022】
さらに別の局面において、本発明は、式(1)、(2)、(2A)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)を有する化合物、および生理学的に許容される担体を含み、所望により抗増殖剤のような第二の治療剤と組み合わさった医薬組成物を提供する。
【0023】
他の局面において、本発明は、細胞でのRos、IGF−1R、InsRおよび未分化リンパ腫キナーゼから選択されるキナーゼの阻害方法であって、細胞と有効量の式(1)、(2)、(2A)、(3)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)の化合物またはその医薬組成物を接触させることを含む、方法を提供する。
【0024】
本発明はまた、Ros、IGF−1R、InsRまたはALKの阻害に応答する状態を有する対象におけるかかる状の処置、軽減または予防方法であって、該対象に有効量の式(1)、(2)、(2A)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)を有する化合物、または薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を、所望により第二の治療剤と組み合わせて投与することを含む、それにより該状態を処置する方法を提供する。あるいは、本発明は、Ros、IGF−1R、InsRまたはALKが仲介する状態の処置用医薬の製造における、(1)、(2)、(2A)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)を有する化合物の使用を提供する。特定の態様において、本発明の化合物は、自己免疫性疾患、移植疾患、感染性疾患または細胞増殖性障害であるRos、IGF−1R、InsRまたはALKが仲介する状態の処置に、単独で、または第二の治療剤と組み合わせて使用してよい。
【0025】
さらに、本発明は、細胞増殖性障害を有する対象の処置方法であって、該対象に有効量の(1)、(2)、(2A)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)を有する化合物、または薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を、所望により第二の治療剤と組み合わせて投与することを含み、それにより該状態を処置する方法を提供する。あるいは、本発明は、細胞増殖性障害の処置用医薬の製造における、(1)、(2)、(2A)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)を有する化合物の使用を提供する。具体例において、本発明の化合物は、多発性骨髄腫、神経芽腫、リンパ腫、白血病、黒色腫、肉腫、骨肉腫、滑膜肉腫、ユーイング肉腫、肝細胞腫、消化器間質腫瘍または乳房、腎臓、前立腺、結腸直腸、甲状腺、卵巣、膵臓、肺、子宮、呼吸器、脳、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭頚部、甲状腺または副甲状腺の固形腫瘍を含み、これに限定されない細胞増殖性障害の処置に、単独で、または化学療法剤と組み合わせて、使用してよい。
【0026】
定義
“アルキル”は、ある部分および他の基、例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシの構造要素を意味し、直鎖でも分枝鎖でもよい。ここで使用する所望により置換されていてよいアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、所望によりハロゲン化されていてよく(例えば、CF)、またはヘテロ原子、例えばNR、OまたはSで置換されているか置き換えられていてよい1個以上の炭素を有し得る(例えば、−OCHCHO−、アルキルチオール類、チオアルコキシ、アルキルアミン類など)。
【0027】
“アリール”は、炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環を意味する。“アリーレン”は、アリール基由来の二価基を意味する。例えば、アリール基はフェニル、インデニル、インダニル、ナフチル、または1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニルであってよく、それは、オルト、メタまたはパラ位を所望により置換されていてよい。
【0028】
ここで使用する“ヘテロアリール”は、環員の1個以上がヘテロ原子である、上記アリールについて定義した通りのものである。ヘテロアリール類の例は、ピリジル、ピラジニル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニル、ピロリル、イソキノリニル、プリニル、チアゾリル、テトラジニル、ベンゾチアゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリルなどを含み、これらに限定されない。
【0029】
ここで使用する“炭素環式環”は、炭素原子を含む飽和または部分的不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式環を意味し、これは、所望により、例えば、=Oで置換されていてよい。炭素環式環類の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピレン、シクロヘキサノンなどを含み、これらに限定されない。
【0030】
ここで使用する“ヘテロ環式環”は、環炭素の1個以上がヘテロ原子である、上記炭素環式環について定義した通りのものである。例えば、ヘテロ環式環はN、O、S、−N=、−S−、−S(O)、−S(O)−、または−NR−(ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは保護基であり得る)を含んでよい。ヘテロ環式環類の例は、を含み、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニルなどこれらに限定されない。ここで使用するヘテロ環式環は、二環式アミン類および二環式ジアミン類を含み得る。
【0031】
ここで使用する、何らかの置換基(例えば、CH)のH原子は、全ての適切な同位体、例えば、H、HおよびHを包含する。
【0032】
ここで使用する脱離基は、結合電子を持ったまま安定な化学種によって置換される、原子(または原子団)である。典型的に、脱離基はアニオン(例えばCl−)または中性分子(例えばHO)である。適当な脱離基は、ハロゲン、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、トシル基およびアリールチオ基を含み、これらに限定されない。当業者は、本発明での使用に適当な他の脱離基を知っている。
【0033】
ここで使用する、酸化剤は、酸素原子を移動させる化合物である。一般的酸化剤は、ペルクロレート類、クロレート、クロライト、ヒポクロライト、ヨウ素および他のハロゲン類、過酸化物、スルホキシド類、過硫酸、6価クロム化合物、例えばクロムおよびジクロム酸類および三酸化クロム、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、およびクロメート/ジクロメート化合物、ペルボレート類などを含み、これらに限定されない。当業者は、本発明での使用に適当な他の酸化剤を知っている。
【0034】
ここで使用する、アルキル化剤は、アルキル基を移動する化合物であり、求核性アルキル化剤、求電子アルキル化剤、ラジカルアルキル化剤またはカービンアルキル化剤を包含する。
【0035】
ここで使用する、水素化は、水素の付加をもたらす化学反応を意味する。水素化は、通常不飽和有機化合物の還元または飽和のために用いる。本反応は典型的に触媒、例えば白金グループ金属の存在下で行う;非触媒的水素化は高温で行う。
【0036】
特に断らない限り、置換基が“所望により置換されていてよい”と見なされるとき、それは、該置換基が、例えば、所望によりハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルチオ、アルキニル、アミド、一置換および二置換アミノ基を含むアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、カルボニル、炭素環式、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ環式、ヒドロキシ、イソシアナート、イソチオシアナート、メルカプト、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、ペルハロアルキル、ペルフルオロアルキル、シリル、スルホニル、チオカルボニル、チオシアナート、トリハロメタンスルホニル、およびそれらの保護された化合物から個々にそして独立して選択される、1個以上の基で置換されていてよいことを意味する。
【0037】
ここで使用する用語“共投与”または“組合せ投与”などは、選択した複数治療剤の一患者への投与を包含することを意図し、複数薬剤が必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与されない処置レジメンを含むことを意図する。
【0038】
ここで使用する用語“組合せ剤”は、複数活性成分の混合または組合せにより得られる製品を意味し、複数活性成分の固定されたおよび固定されていない組合せの両方を含む。用語“固定された組合せ”は、複数活性成分、例えば式(1)の化合物と併用剤を、両方とも患者に一つの物または投与量の形態で投与することを意味する。用語“固定されていない組合せ”は、複数活性成分、例えば式(1)の化合物と併用剤を、両方とも患者に同時に、一緒にまたは特定の時間制限なく連続的に投与し、ここで、かかる投与が患者体内でこれらの複数活性成分の治療的有効レベルを達成することを意味する。後者はまたカクテル療法、例えば3種以上の活性成分の投与にも適用される。
【0039】
用語“治療的有効量”は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により探索されている、生物学的または医学的応答を細胞、組織、臓器、系、動物またはヒトで生じさせる化合物の量を意味する。
【0040】
対象化合物の“投与”または“投与する”なる用語は、本発明の化合物およびそのプロドラッグを、処置を必要とする対象に提供することを意味する。
【0041】
“化学療法剤”は、癌の処置に有用な化学化合物である。化学療法剤の例は、アルキル化剤、例えばチオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロフォスファミド(cyclosphosphamide);アルキルスルホネート類、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン類、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレン(trietylene)ホスホラミド、トリエチレン(triethiylene)チオホスホラミドおよびトリメチロロメラミンを含むエチルエネミン類およびメチルアメラミン類;アセトゲニン類(特にブラタシンおよびブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパコン;ラパコール;コルヒチン類;ベツリン酸;カンプトテシン類(合成アナログトポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレチン(scopolectin)、および9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビセレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189およびCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;窒素マスタード類、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア類、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン(ranimnustine);抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリチアマイシン、特にカリチアマイシン・ガンマ1Iおよびカリチアマイシン・オメガI1(例えば、Agnew, Chem Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)参照);ダインマイシンAを含むダインマイシン;エスペラミシン類;ならびにネオカルチノスタチン・クロモフォアおよび関連クロモタンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア類)、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カルビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン類(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、アドリアマイシン(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン、マイトマイシン類、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;抗代謝物、例えばメトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎類、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えばフォリン酸(frolinic acid);アセグラトン; アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン;デメコルチン;ジアジコン;エルホミチン(elfomithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシノイド類、例えばマイタンシンおよびアンサミトシン類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)ポリサッカライド複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテシン類(特にT−2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(“Ara−C”);チオテパ;タキソイド類、例えば、タキソール(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、アブラキサンTM Cremophorフリー、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Ill.)、およびタキソテール(登録商標)ドセタキセル(doxetaxel)(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロラムブシル(chloranbucil);ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボリン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロン酸;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド類、例えばレチノイン酸;カペシタビン(XELODA(登録商標));上記の全ての薬学的に許容される塩、酸または誘導体;ならびに上記の2種以上の組合せ、例えばシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの組合せ治療の略語であるCHOP、および5−FUおよびロイコボリン(leucovovin)と組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATINTM)を用いた処置レジメンの略語であるFOLFOXを含む。
【0042】
さらに、“化学療法剤”は、癌の増殖を促進するホルモンの作用を制御し、低下させ、遮断し、または阻止するように作用し、そしてしばしば全身性の、または身体全体の処置の形態である、抗ホルモン剤を含み得る。それらはホルモンそれ自体であってよい。例は、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびFARESTON(登録商標)トレミフェンを含む、抗エストロゲン類および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERMs);抗プロゲステロン類;エストロゲン受容体下方制御剤(ERDs);卵巣を抑制するまたは遮断するために機能する薬剤、例えば、黄体形成(leutinizing)ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えばLUPRON(登録商標)およびELIGARD(登録商標)酢酸リュープロリド、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリンおよびトリプトレリン(tripterelin);他の抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミドおよびビカルタミド;および副腎でのエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタン(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、フェマーラ(登録商標)レトロゾール、およびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールを含む。加えて、化学療法剤のかかる定義は、ビスホスホネート類、例えばクロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、DIDROCAL(登録商標)エチドロネート、NE−58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、またはACTONEL(登録商標)リセドロネート;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);アンチセンスオリゴヌクレオチド類、特に異常(abherant)細胞増殖に関与するシグナリング経路の遺伝子発現を阻害するもの、例えば、PKC−アルファ、Raf、H−Ras、および上皮細胞増殖因子受容体(EGF−R);ワクチン類、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチンおよび遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン;ルルトテカン(LURTOTECAN)(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;アバレリクス(登録商標)rmRH;ラパチニブジトシレート(ErbB−2およびEGFRデュアルチロシンキナーゼ小分子阻害剤、GW572016としても既知);および上記の全ての薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含む。
【発明を実施するための形態】
【0043】
発明を実施するための形態
本発明は、新規ピリミジン誘導体およびその医薬組成物、およびかかる化合物の使用方法を提供する。
【0044】
一局面において、本発明は、式(1)または(2):
【化20】

〔式中、
およびRは独立してH、C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであり;
はハロ、C1−6アルキル、またはハロ置換C1−6アルキルであり;
はHであるか;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となってN、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、所望により1〜2個のR10基で置換されていてよい、5−6員環を形成してよく、R10はハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、所望により置換されていてよいフェニルまたはNRであり;
、RおよびRは独立して所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;ハロ、ニトロ、シアノ、CR(OR17)R17、OR17、NR(R17)、CR(R17)NRR17、(CR)Y、C(O)O0−117、C(O)NR(R17)、C(O)CRR17−NR(R17)、C(O)NR(CR)NR(R17)、C(O)NR(CR)OR17、C(O)NR(CR)SR17、C(O)NR(CR)S(O)1−218、S(O)0−218、(CR)1−6NR(CR)OR17、(CR)1−6NR(CR)C(O)R18、S(O)NRR17、S(O)NR(CR)NR(R17)、またはS(O)NR(CR)OR17であり;ここで、Rは、縮合環の任意の位置に存在してよく;
はS(O)0−219、S(O)NRR20またはC(O)NR(R20)であり;ここで、R19およびR20は独立してC1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキルまたはC3−7シクロアルキルであるか;またはR20はHであり;
各Rは独立して−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−C(O)−CR(R17)−NRR17、−L−C(O)−NR−(CR)−NRR17、−L−C(O)NR(CR)OR17、−L−C(O)−(CR)−NR−C(O)−R18、−L−C(O)NR(CR)SR17、−L−C(O)NR(CR)S(O)1−218、(CR)NR(CR)OR17または(CR)NR−L−C(O)R18、−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化21】

から選択される基であり;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は独立してH、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルから選択され、この各々は所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよく;またはR11とR12、R12とR15、R15とR16、R13とR14、またはR13とR15は、それらが結合している炭素および/または窒素原子と一体となって、所望によりC(O)、N、OおよびS(O)0−2から選択される3個までの原子または基を含んでよい3−7員の飽和、不飽和または部分的不飽和環を形成してよく;
Lは(CR)1−4または結合であり;
17およびR18は独立してC1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであるか;またはR17はHであり;
YはC3−12炭素環式環、C6−10アリール;または5−10員ヘテロアリールまたは4−10員ヘテロ環式環であり;この各々は所望により1−3個のR基で置換されていてよく;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;
pは2−4であり;そして
qは0−4である。〕
の化合物、またはその生理学的に許容される塩を提供する。
【0045】
一つの態様において、本発明は、式(2A):
【化22】

〔式中、
はハロであり;
はS(O)0−219であり;
はメトキシ、エトキシまたはイソプロポキシであり;
は−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化23】

から選択される基であり;
ここで、R、R、R、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、Lおよびpは式(1)または(2)で定義した通りである。〕
の化合物を提供する。
【0046】
いくつかの例で、本発明は、式(3):
【化24】

〔式中、
はハロであるか;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって1−3個のNヘテロ原子を含む、所望により1−2個のR10基で置換されていてよい5−6員環を形成してよく;
5aおよびR5bは独立してハロ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルコキシであり;
はS(O)0−219であり;
、R、R、R10およびR19は式(1)または(2)で定義した通りである。〕
の化合物を提供する。
【0047】
上記式(3)の特定の態様において、R5aはメトキシまたはイソプロポキシであり;
5bはまたはメチルであり;
は−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化25】

から選択される基であり;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、Lおよびpは式(1)または(2)で定義した通りである。
【0048】
他の特定の態様において、本発明は、式(3A)、(3B)、(3C)または(3D):
【化26】

〔式中、
5aはメトキシまたはイソプロポキシであり;
5bはメチルであり;
10b、R10e、R10fおよびR10hは独立してHまたはC1−6アルキルであり;
10a、R10c、R10dおよびR7gは独立してH、ハロ、C1−6アルキル、NR、または所望により置換されていてよいフェニルであり;そして
、R、R、RおよびRは式(1)または(2)で定義した通りである。〕
の化合物を提供する。
【0049】
上記式(3A)、(3B)、(3C)または(3D)のいずれにおいても、Rは−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化27】

から選択される基であってよく;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16、Lおよびpは上で定義した通りであり;そして
17およびR18は独立してC1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであるか;またはR17はHである。
【0050】
他の局面において、本発明は、(4)または(5):
【化28】

〔式中、
ZはNR9aまたはOであり;
およびRは独立してH、C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであり;
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって次のものから選択される環を形成し:
【化29】

5aおよびR5bは独立してハロ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルコキシであり;
はS(O)0−219、S(O)NRR20またはC(O)NR(R20)であり;ここで、R19およびR20は独立してC1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであるか;またはR20はHであり;
各R9aは独立してH、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;−(CR)−OR17、−L−C(O)−R17、−C(O)O−R17または−L−C(O)−NRR17であり;ここで、RおよびR17は、NRR17のNと一体となって所望によりOまたはSを含んでよい5−6員環を形成してよく;
Lは(CR)1−4または結合であり;
17およびR18は独立してベンジル、所望によりハロで置換されていてよいC1−6アルキル、または所望によりC1−6アルキルまたはハロで置換されていてよいC3−7シクロアルキルであるか;またはR17はHであり;
21、R22、R24、R27およびR29は独立してHまたはC1−6アルキルであり;
23、R25、R26およびR28は独立してH、C1−6アルキル、NRまたはハロであり;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;
pは2−4である;
ただし、R22およびR23は両方ともHではなく;R24、R25およびR26は全てHではなく;そしてR27およびR28は両方ともHではない。〕
の化合物、またはその生理学的に許容される塩を提供する。
【0051】
さらに別の局面において、本発明は、式(6)
【化30】

〔式中、
Wは1−3個の窒素原子を含む5−6員環であり;
はC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、この各々は所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基;ハロ、ニトロ、シアノ、CR(OR17)R17、OR17、NR(R17)、CR(R17)NRR17、(CR)Y、C(O)O0−117、C(O)NR(R17)、C(O)CRR17−NR(R17)、C(O)NR(CR)NR(R17)、C(O)NR(CR)OR17、C(O)NR(CR)SR17、C(O)NR(CR)S(O)1−218、S(O)0−218、(CR)1−6NR(CR)OR17、(CR)1−6NR(CR)C(O)R18、S(O)NRR17、S(O)NR(CR)NR(R17)、またはS(O)NR(CR)OR17で置換されていてよく;
17およびR18は独立して(CR)YまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、この各々は所望によりハロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、カルボキシルまたはYで置換されていてよく;またはR17はHであり;
19はC1−6アルキルであり;
YはC3−12炭素環式環、C6−10アリール;または5−10員ヘテロアリールまたは4−10員ヘテロ環式環であり;この各々は所望により1−3個のR基で置換されていてよく;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;
pは2−4であり;
qは0−4である。〕
を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって:
a) 式(6a)
【化31】

の化合物と式(6b)
【化32】

の化合物またはその薬学的に許容される塩を、式(6c)
【化33】

の中間体を形成させるのに十分な条件下で接触させ;
b) 該式(6c)の中間体と酸化剤を接触させて、式(6d);
【化34】

〔式中、XおよびXは脱離基である。〕
の中間体を形成させ;そして
c) 該式(6d)の中間体と式(6e)
【化35】

またはその薬学的に許容される塩を、式(6)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成させるのに十分な条件下で接触させることを含む、方法を提供する。
【0052】
一つの態様において、本発明は、式(6f)、(6g)、(6h)または(6i):
【化36】

〔式中、
5aはメトキシまたはイソプロポキシであり;
5bはメチルであり;
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f、R10gおよびR10hは独立してH、ハロ、C1−6アルキル、NH、ハロ、または所望により置換されていてよいフェニルであり;そして
各R19は上記式(6)で定義した通りである。〕
の化合物の合成方法を提供する。
【0053】
さらに別の局面において、本発明は、式(9)または(10):
【化37】

〔式中、
は、1−3個のR基で置換されているアリールであるか、または所望により1−3個のR基で置換されていてよいヘテロアリールであり;
はアリールまたはヘテロアリールであり;
環Eは所望により二重結合を含んでよく;
、ZおよびZの一つはO、SO0−2、NRまたはNRであり、残りはCRであり;
はNRまたはNRであり;
およびRは独立してH、C(O)R10、C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであり;
およびRは独立してハロ、OR17、NR(R17)、SR17;所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;C(O)R17、NC(O)R18、C(O)NRR17、S(O)NRR17、NS(O)18、S(O)0−218;または所望により置換されていてよいC3−12炭素環式環、C6−10アリール;またはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5−10員ヘテロアリールまたはヘテロ環式環であり;
あるいは、RおよびRの一方はHであるか、またはRおよびRが、それらが結合している炭素原子と一体となって、所望により1−2個のR基で置換されていてよく、そして所望によりN、OおよびSから選択される1−3個のヘテロ原子を含んでよい9−12員環を形成してよく;
、RおよびRは独立してC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、この各々は所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基;ハロ、ニトロ、シアノ、CR(OR17)R17、OR17、NR(R17)、CR(R17)NRR17、(CR)Y、C(O)O0−117、C(O)NR(R17)、C(O)CRR17−NR(R17)、C(O)NR(CR)NR(R17)、C(O)NR(CR)OR17、C(O)NR(CR)SR17、C(O)NR(CR)S(O)1−218、S(O)0−218、(CR)1−6NR(CR)OR17、(CR)1−6NR(CR)C(O)R18、S(O)NRR17、S(O)NR(CR)NR(R17)、またはS(O)NR(CR)OR17で置換されていてよく;ここで、Rは、縮合環の任意の位置に存在してよく;
はHであるか、または所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよいC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;ハロ、ニトロまたはシアノ;−CR(OR17)R17、−(CR)−OR17、(CR)−NR(R17)、−L−CR(R17)NRR17、−L−Y、−L−C(O)−R17、−(CR)1−4−C(O)O−R17または−L−C(O)−NRR17であり;
は−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−C(O)−CR(R17)−NRR17、−L−C(O)−NR−(CR)−NRR17、−L−C(O)NR(CR)OR17、−L−C(O)−(CR)−NR−C(O)−R18、−L−C(O)NR(CR)SR17、−L−C(O)NR(CR)S(O)1−218、(CR)NR(CR)OR17または(CR)NR−L−C(O)R18、−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化38】

から選択される基であり;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は独立してH、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルから選択され、この各々は所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよく;またはR11およびR12、R12およびR15、R15およびR16、R13およびR14、またはR13およびR15は、それらが結合している炭素および/または窒素原子と一体となって、所望によりC(O)、N、OおよびS(O)0−2から選択される3個までの原子または基を含んでよい3−7員の飽和、不飽和または部分的不飽和環を形成してよく;
Lは(CR)1−4または結合であり;
10、R17およびR18は独立して(CR)YまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、この各々は所望によりハロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、カルボキシルまたはYで置換されていてよく;またはR17はHであり;
YはC3−12炭素環式環、C6−10アリール;または5−10員ヘテロアリールまたは4−10員ヘテロ環式環であり;この各々は所望により1−3個のR基で置換されていてよく;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;
pは2−4であり;
qは0−4である;
ただし、ZおよびZ、ZおよびZの1個は、RおよびRの1個がハロ、OR17、NR(R17)、SR17;所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであるとき;またはRおよびRが一体となってフェニル、ピリジル、ピペリジル、または
【化39】

またはその互変異性体を形成するとき、NRであり;そして
がヘテロアリールであるとき、RおよびRは、それらが結合している炭素原子となって、環を形成する。〕
の化合物その薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
上記式の各々において、全ての不斉炭素原子は(R)−、(S)−または(R,S)−立体配置で存在し得る。故に、本化合物は異性体混合物または純粋異性体、例えば、純粋鏡像体またはジアステレオマーとして存在し得る。本発明はさらに本発明の化合物の可能な互変異性体を包含する。
【0055】
ここに記載する全ての式は、本化合物の標識されていない形態ならびに同位体標識された形態を示すことも意図する。同位体標識された化合物は、1個以上の原子が選択した原子質量または質量数を有する原子で置換されている以外、ここに示す式により示される構造を有する。本発明の化合物に包含できる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体、例えば各々H、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、125Iを含む。
【0056】
本発明は、ここに定義する種々の同位体標識された化合物、例えば、放射性同位体、例えばH、13C、および14Cが存在する化合物を含む。かかる同位体標識された化合物は薬剤または基質組織分布アッセイ、または患者の放射活性処置を含む、代謝試験(例えば、14Cを用いて)、反応導体試験(例えばHまたはHを用いて)、検出または造影技術、例えば陽電子放出断層撮影(PET)または一光子放射断層撮影(SPECT)に有用である。他の例として、18Fまたは標識化合物はPETまたはSPECT試験に使用し得る。本発明の同位体は化合物の代謝運命を変えるおよび/または物理的特性、例えば疎水性などを僅かに変える可能性がある。同位体はまた効果および安全性を高め、バイオアベイラビリティおよび半減期を改善し、タンパク質結合を変え、生物分布を変え、複数活性代謝物の比を変えおよび/または反応性または毒性代謝物を減らす可能性も有し得る。同位体標識された本発明の化合物およびそのプロドラッグは、非同位体標識された試薬を容易に入手可能な同位体標識された試薬に変えることにより、一般にスキームまたは実施例に記載された方法および以下に記載する製造方法を実施することにより製造できる。
【0057】
上記式の各々において、上記の通り、所望により置換されていてよい部分の各々はC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニルで置換されていてよく、この各々は、所望によりハロゲン化されていてよく、または所望によりN、S、O、またはそれらの組合せ(例えば、ヒドロキシルCアルキル、CアルコキシルCアルキル);ハロ、アミノ、アミジノ、C1−6アルコキシ;ヒドロキシル、メチレンジオキシ、カルボキシ;C1−8アルキルカルボニル;C1−8アルコキシカルボニル、カルバモイル、C1−8アルキルカルバモイル、スルファモイル、シアノ、オキソ、ニトロ、または所望により置換されていてよい炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールで置き換えられたまたは置換された炭素を有してよい。
【0058】
薬理学および有用性
本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩はインビトロで無細胞キナーゼアッセイおよび細胞アッセイで試験したとき価値ある薬理学的特性を示し、それ故に医薬として有用である。
【0059】
一局面において、(1)、(2)、(2A)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)の化合物は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)およびNPM−ALKの融合タンパク質のチロシンキナーゼ活性を阻害し得る。このタンパク質チロシンキナーゼは、ヌクレオフォスミン(NPM)とALKの遺伝子融合によりもたらされ、ALKリガンド非依存的タンパク質チロシンキナーゼ活性を付与する。NPM−ALKは、多数の造血および他のヒト細胞のシグナル伝達に重要な役割を有し、血液学的および新生物疾患、例えば未分化大細胞リンパ腫(ALCL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)、特にALK+NHLまたはAlkomas、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)および神経芽腫を引き起こす。(Duyster et al. 2001 Oncogene 20, 5623-5637)。NPM−ALKに加えて、他の遺伝子融合がヒト血液学的および新生物疾患で同定されている;例えば、TPM3−ALK(非筋肉トロポミオシンとALKの融合)。
【0060】
ALKチロシンキナーゼ活性の阻害は、既知の方法を使用して、例えばJ. Wood et al. Cancer Res. 60, 2178-2189 (2000)に記載されたVEGF−Rキナーゼアッセイに準じる、ALKの組み換えキナーゼドメインを使用して、証明し得る。一般に、GST−ALKタンパク質チロシンキナーゼを使用するインビトロ酵素アッセイは、フィルター結合アッセイとして96ウェルプレートで、20mM トリスHCl、pH=7.5、3mM MgCl、10mM MnCl、1mM DTT、0.1μCi/アッセイ(=30μl)[γ−33P]−ATP、2μM ATP、3μg/mL ポリ(Glu、Tyr 4:1)ポリ−EY(Sigma P-0275)、1%DMSO、25ng ALK酵素中で行う。アッセイ物を、10分間、環境温度でインキュベートする。50μlの125mM EDTAの添加により反応を停止させ、反応混合物を、予めメタノールで浸し、HOで5分間再水和させたMAIP Multiscreenプレート(Millipore, Bedford, MA, USA)に移す。洗浄(0.5%HPO)後、プレートを液体シンチレーションで計数する。IC50値を阻害パーセントの線形回帰分析により計算する。
【0061】
(1)、(2)、(2A)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)の化合物は、ヒトNPM−ALK過発現マウスBaF3細胞(DSMZ Deutsche Sammiung von Mikroorganismen und Zelikulturen GmbH, Germany)の増殖を強力に阻害し得る。NPM−ALKの発現を、BaF3細胞株を、NPM−ALKをコードする発現ベクターpClneoTM(Promega Corp., Madison WI, USA)でトランスフェクトし、続いてG418耐性細胞を選択することにより達成し得る。非トランスフェクトBaF3細胞は細胞生存をIL−3に依存する。対照的に、NPM−ALK発現BaF3細胞(以後BaF3−NPM−ALKと呼ぶ)は、NPM−ALKキナーゼを介して増殖性シグナルを得るため、IL−3の非存在下で増殖できる。NPM−ALKキナーゼの推定阻害剤は、それ故に増殖シグナルを無くし、抗増殖性活性を引き起こし得る。NPM−ALKキナーゼの推定阻害剤の抗増殖性活性は、しかしながらNPM−ALK非依存的機構で増殖シグナルを提供するIL−3の添加により打ち消される得る。FLT3キナーゼを用いる類似の細胞系も記載されている(E Weisberg et al. Cancer Cell; 1, 433-443 (2002)参照)。
【0062】
本発明の化合物の阻害活性を次の通り決定し得る。一般に、BaF3−NPM−ALK細胞(15,000/マイクロタイタープレートウェル)を、96ウェルマイクロタイタープレートに移す。ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した試験化合物を、DMSOの最終濃度が1%(v/v)を超えないような方法で、一連の濃度(希釈シリーズ)で添加する。添加後、プレートを2日間インキュベートし、その間に試験化合物無しのコントロールでは2回の細胞分裂サイクルが起こる。BaF3−NPM−ALK細胞の増殖を、YOPROTM染色[T Idziorek et al. J. Immunol. Methods; 185: 249-258 (1995)]の手段により測定する:20mM クエン酸ナトリウム、pH4.0、26.8mM 塩化ナトリウム、0.4%NP40、20mM EDTAおよび20mMを含む25μlの溶解緩衝液を各ウェルに添加する。細胞溶解は60分間、室温の間に完了し、DNAに結合したYOPROTMの総量を、Cytofluor II 96ウェルリーダー(PerSeptive Biosystems)で次の設定で決定する:励起(nm)485/20および放出(nm)530/25。
【0063】
IC50値を次の式を使用したコンピューター利用システムにより決定し得る:
IC50=[(ABS試験−ABS開始時)/(ABSコントロール−ABS開始時)]×100。
(ABS=吸収)
【0064】
これらの実験でのIC50値は、阻害剤無しのコントロールを使用して得られるよりも50%低い細胞計数をもたらす問題の試験化合物の濃度として示す。遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物は、例えば、本明細書に記載するインビトロ試験で示される通り、価値ある薬理学的特性を示し得る。一般に、本発明の化合物は、1nMから10μMのIC50値を有する。いくつかの例で、本発明の化合物は1nMから5μMの、より具体的に1nMから1μMIC50値を有する。他の例では、本発明の化合物は、1nM未満のまたは10μMを超えるIC50値を有する。本発明の化合物は、10μMでALKに対して50%より大きい阻害パーセント、または他の態様で、約70%より大きい阻害パーセントを示し得る。
【0065】
本発明の化合物の抗増殖性作用は、ヒトKARPAS−299リンパ腫細胞株(DSMZ Deutsche Sammiung von Mikroorganismen und Zelikulturen GmbH, Braunschweig, Germany,WG Dirks et al. Int. J. Cancer 100, 49-56 (2002)に記載)で、BaF3−NPM−ALK細胞株について上記したのと同じ方法を使用してまた決定し得る。ある態様において、本発明の化合物は、約0.01から1μMの範囲のIC50の阻害活性を示し得る。本発明の化合物のALKの自己リン酸化に対する作用は、ヒトKARPAS−299リンパ腫細胞株において、WG Dirks et al. Int. J. Cancer 100, 49-56 (2002)に記載する免疫ブロットの手段を用いて決定し得る。
【0066】
他の局面において、本発明の化合物は、接着斑キナーゼ(FAK)を阻害し得、FAKと関連するシグナルカスケードの機能不全が原因の状態の処置、例えば特定の腫瘍の処置に医薬として有用であり得る。内因性FAKシグナリングの阻害は運動性の低下をもたらし、ある例では細胞死を誘発する。他方で、外因性発現によるFAKシグナリングの亢進は、細胞運動性を増加させる。加えて、FAKは侵襲性および転移性上皮性、間葉性、甲状腺および前立腺癌で過発現する。結果として、FAK阻害剤は、抗腫瘍増殖および転移のための薬剤である可能性がある。本発明の化合物は、故に、新生物疾患、特に乳房腫瘍、腸(結腸および直腸)の癌、胃癌および卵巣および前立腺の癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝臓の癌、黒色腫、膀胱腫瘍および頭頚部の癌を有する脊椎動物およびより具体的に哺乳動物の予防および/または処置に有用であり得る。
【0067】
FAK阻害と免疫系の関係は、例えばG.A. van Seventer et al., Eur. J. Immunol. 2001, 31, 1417-1427に記載されている。それ故に、本発明の化合物は、例えば、免疫系障害、Tリンパ球、Bリンパ球、肥満細胞および/または好酸球が仲介する疾患または障害、例えば臓器または組織同種または異種移植片の急性または慢性拒絶、アテローム性動脈硬化症、血管傷害、例えば血管形成術による血管閉塞、再狭窄、高血圧、心不全、慢性閉塞性肺疾患、CNS疾患、例えばアルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症;癌;感染性疾患、例えばAIDS;敗血症性ショックまたは成人呼吸窮迫症候群、虚血/再潅流傷害、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、または外傷性ショックを有する脊椎動物およびより具体的に哺乳動物の予防および/または処置に有用であり得る。
【0068】
さらに別の局面において、本発明の化合物はゼータ鎖関連タンパク質70(ZAP−70)を阻害し得る。本発明の化合物のZAP−70タンパク質チロシンキナーゼ相互作用は、例えば、水溶液中のヒトZAP−70タンパク質チロシンキナーゼによるLAT−11 (T細胞の活性化のためのリンカー)のリン酸化を阻止する能力により証明し得る。それ故に、本発明の化合物は、ZAP−70阻害が役割を有する障害または疾患の予防または処置に有用であり得る。
【0069】
本発明の化合物はまたインスリン様増殖因子受容体1(IGF−1R)も阻害し得て、IGF−1R仲介疾患の処置に有用であり得る。IGF−1R仲介疾患の例は増殖性疾患、例えば腫瘍、例えば乳房、腎臓、前立腺、結腸直腸、甲状腺、卵巣、膵臓、神経、肺、子宮および胃腸腫瘍、ならびに骨肉腫および黒色腫を含み、これらに限定されない。本発明の化合物のIGF−1Rチロシンキナーゼ活性の阻害剤としての効果は、細胞性捕捉ELISAにより証明され得る。このアッセイにおいて、本発明の化合物のIGF−1Rの(IGF−1)誘発自己リン酸化に対する活性を決定する。
【0070】
本発明の化合物はまた急性または慢性炎症性疾患または障害または自己免疫性疾患、例えばリウマチ性関節炎、骨関節症、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、糖尿病(I型およびII型)およびその合併症、呼吸器疾患、例えば喘息または炎症性肝臓傷害、炎症性糸球体傷害、免疫仲介障害の皮膚発現または病気、炎症性および過増殖性皮膚疾患(例えば乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎およびさらなる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎)、炎症性眼疾患、例えばシェーグレン症候群、角結膜炎またはブドウ膜炎、炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎の処置および/または予防にも有用であり得る。
【0071】
前記によって、本発明は以下を提供する:
(1) 医薬として使用するための本発明の化合物;
(2) ALK阻害剤、FAK阻害剤、ZAP−70阻害剤および/またはIGF−1R阻害剤として使用するための、例えば、前記の特定の適応症のいずれかに使用するための、本発明の化合物;
(3) 活性成分として本発明の化合物を1個以上の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、例えば、前記の適応症のいずれかに使用するための医薬組成物;
(4) 処置を必要とする対象における前記の特定の適応症のいずれかの処置方法であって、有効量の本発明の化合物またはそれを含む医薬組成物を投与することを含む、方法;
(5) ALK、FAK、ZAP−70および/またはIGF−1R活性化が役割を有するまたは関与する疾患または状態の処置または予防用医薬の製造のための、本発明の化合物の使用;
(6) 治療的有効量の本発明の化合物および1個以上のさらなる医薬物質を、例えば同時にまたは連続して共投与することを含み、該さらなる医薬物質が前記の特定の適応症のいずれかに有用である、(4)の下に定義する方法;
(7) 治療的有効量の本発明の化合物および1個以上のさらなる医薬物質を含み、該さらなる医薬物質が前記の特定の適応症のいずれかに有用である、組合せ剤;
(8) 未分化リンパ腫キナーゼの阻害に応答する疾患の処置または予防用医薬の製造における、本発明の化合物の使用;
(9) 処置する疾患が未分化大細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、神経芽腫および新生物疾患から選択される、(8)に記載の使用;
(10) 化合物または薬学的に許容される塩が実施例の化合物のいずれか一つである、(8)または(9)に記載の使用;
(11) 未分化リンパ腫キナーゼの阻害に応答する疾患、特に未分化大細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、神経芽腫および新生物疾患から選択される疾患の処置方法であって、有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【0072】
投与および医薬組成物
一般に、本発明の化合物は、単独で、または他の異種以上の治療剤と組み合わせて、当分野で通常のおよび許容される方法のいずれかを使用して、治療的有効量で投与される。治療的有効量は疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康状態、使用する化合物の効力および当業者に既知の他の因子によって、広範囲に変わり得る。例えば、新生物疾患および免疫系障害の処置のために、必要投与量は投与方法、処置する特定の状態および望む効果によても変わる。
【0073】
一般に、満足いく結果が、約0.01から約100mg/kg体重、または特に、約0.03から2.5mg/kg体重の1非投与量で漸進的に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトの指示される1日投与量は、約0.5mgから約2000mg、またはより具体的に、約0.5mgから約100mgの範囲であってよく、簡便には、例えば、1日4回までの分割投与でまたは遅延形態で投与する。経口投与用の適当な単位投与形態は、約1から50mgの活性成分を含む。
【0074】
本発明の化合物は、医薬組成物として任意の慣用的な経路で;例えば、経腸的、例えば、経口的に、例えば、錠剤またはカプセル剤の形で;非経腸的、例えば、注射可能溶液または懸濁液の形で;または局所的に、例えば、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤またはクリーム剤の形で、または経鼻または坐薬形態で投与し得る。
【0075】
遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、慣用法で、混合、造粒、コーティング、溶解または凍結乾燥工程により製造し得る。例えば、本発明の化合物を少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤との慣用の混合により製造し得る。経口投与用の単位投与形態は、例えば、約0.1mgから約500mgの活性成分を含む。
【0076】
一つの態様において、医薬組成物は、活性成分の、懸濁液または分散液、例えば等張水溶液を含む溶液である。活性成分を単独でまたは担体、例えばマンニトールと共に含む凍結乾燥組成物の場合、分散液または懸濁液を使用前に調製できる。医薬組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含み得る。適当な防腐剤は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、または殺菌剤、例えばソルビン酸または安息香酸を含み、これらに限定されない。溶液または懸濁液は、さらに、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン類、または可溶化剤、例えばTween 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)を含み、これらに限定されない増粘剤を含み得る。
【0077】
油中懸濁液は、油成分として注射目的で慣用的な天然、合成、または半合成油を含み得る。例は、酸成分として8〜22個の炭素原子、またはある態様では12〜22個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸を含む液体脂肪酸エステル類を含む。適当な液体脂肪酸エステル類は、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン性(arachidic)酸、ベヘン酸または対応する不飽和酸類、例えばオレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸およびリノール酸を含み、これらに限定されず、望むならば、抗酸化剤、例えばビタミンE、3−カロテンまたは3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシトルエンを含み得る。これらの脂肪酸エステル類のアルコール成分は6炭素原子を含み、一価または多価、例えば一、二または酸価アルコールであり得る。適当なアルコール成分は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールまたはペンタノールまたはそれらの異性体;グリコールおよびグリセロールを含み、これらに限定されない。
【0078】
多の適当な脂肪酸エステル類はエチルオレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、LABRAFIL(登録商標)M 2375、(ポリオキシエチレングリセロール)、LABRAFIL(登録商標)M 1944 CS(杏仁油のアルコール分解により製造した不飽和ポリグリコール化グリセライド類であり、グリセライド類およびポリエチレングリコールエステルを含む)、LABRASOLTM(TCMのアルコール分解により製造した飽和ポリグリコール化グリセライド類であり、グリセライド類およびポリエチレングリコールエステルを含む;全てGaKefosse, Franceから入手可能)、および/またはMIGLYOL(登録商標)812(鎖長CからC12の飽和脂肪酸類のトリグリセライド、Huels AG, Germany)、および植物油類、例えば綿実油、アーモンド油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、ダイズ油、または落花生油を含み、これらに限定されない。
【0079】
経口投与用医薬組成物は、例えば、活性成分と1種以上の固体担体を合わせ、望むならば、得られた混合物を造粒し、混合物または顆粒をさらなる賦形剤の包含により、錠剤または錠剤コアに加工することにより、得ることができる。
【0080】
適当な担体類は、増量剤、例えば糖類、例えばラクトース、サッカロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロース製剤、および/またはリン酸カルシウム類、例えばリン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム、およびまた結合剤、例えばデンプン類、例えばトウモロコシ、小麦、コメまたはジャガイモデンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン、および/または、望むなばら、崩壊剤、例えば上記デンプン類、カルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを含み、これらに限定されない。さらなる賦形剤は、流動調整剤および滑剤、例えばケイ酸、タルク、ステアリン酸またはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール、またはその誘導体を含む。
【0081】
錠剤コアは、適当な、所望により腸溶性の、コーティングを、とりわけ、アラビアゴム(gum arable)、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタンを含み得る濃縮糖溶液、または適当な有機溶媒または溶媒混合物中のコーティング溶液、または、腸溶性コーティングの製造のために、適当なセルロース製剤、例えば酢酸フタル酸セルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの溶液の使用を通して、施してよい。染料または色素を錠剤または錠剤コーティングに、例えば同定目的でまたは活性成分の異なる量を示すために、添加してよい。
【0082】
経口投与用医薬組成物はまたゼラチンを含む硬カプセル、またはゼラチンと可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールを含む軟密閉カプセルも含み得る。硬カプセルは、例えば、増量剤、例えばコーンデンプン、結合剤、および/または流動促進剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および所望により安定化剤と混合された、顆粒の形の活性成分を含み得る。軟カプセルにおいて、活性成分は適当な液体賦形剤、例えば脂肪油類、パラフィン油または液体ポリエチレングリコール類またはエチレンまたはプロピレングリコールの脂肪酸エステル類に溶解または懸濁され、それに、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルタイプの安定化剤および界面活性剤も添加してよい。
【0083】
直腸投与に適当な医薬組成物は、例えば、活性成分と坐薬基剤の組合せを含む坐薬である。適当な坐薬基剤は、例えば、天然または合成トリグリセライド類、パラフィン炭化水素類、ポリエチレングリコール類または高級アルカノール類である。
【0084】
非経腸投与に適当な医薬組成物は、水可溶性形態の例えば水可溶性塩形態の活性成分の水溶液、または増粘剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストラン、および、望むならば、安定化剤を含む水性注射用懸濁液を含み得る。活性成分は、所望により賦形剤と共に、凍結乾燥された形であってよく、適当な溶媒の添加により非経腸投与前に溶液に調製できる。例えば、非経腸投与に使用されるためのような溶液はまた輸液用溶液としても用いることができる。注射可能製剤の製造は、通常滅菌条件下で行われ、例えば、アンプルまたはバイアルへの充填、および容器の密封も同様である。
【0085】
本発明の化合物は、唯一の活性成分として、または新生物疾患に対して有用なまたは免疫調節レジメンに有用な多の薬剤と共に投与してよい。例えば、本発明の化合物は、上記する種々の疾患に有効な医薬組成物、例えばシクロホスファミド、5−フルオロウラシル、フルダラビン、ゲムシタビン、シスプラスチン、カルボプラチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、リツキサン、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、またはイマチニブと;またはシクロスポリン類、ラパマイシン類、アスコマイシン類またはそれらの免疫抑制性アナログ、例えばシクロスポリンA、シクロスポリンG、FK−506、シロリムスまたはエベロリムス、コルチコステロイド、例えばプレドニゾン、シクロホスファミド、アザチオプレン、メトトレキサート、金塩類、スルファサラジン、抗マラリア剤、ブレキナール(brequinar)、レフルノミド、ミゾルビン、ミコフェノール酸、ミコフェノレート、モフェチル、15−デオキシスペルグアリン、免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球受容体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、CD40、CD45、CD58、CD80、CD86、CD152、CD137、CD154、ICOS、LFA−1、VLA−4またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体、または他の免疫調節性化合物、例えばCTLA41gと組み合わせて本発明に従い使用し得る。
【0086】
本発明はまた、a)ここに記載する遊離形または薬学的に許容される塩形態である本発明の化合物である第一剤、およびb)少なくとも1種の併用剤を含む組合せ剤、例えばキットも提供する。キットはその投与のための指示書を含み得る。
【0087】
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物の製造のための一般的方法は以下の実施例に記載する。記載する反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、チオ基またはカルボキシ基は、これらが最終生成物に望まれるとき、それらの望まない反応への参加を避けるために保護してよい。慣用の保護基を標準的実務に従い使用できる(例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991参照)。
【0088】
いくつかの例で、式(1)の化合物は、スキーム1に記載する合成法に従い製造し得る:
【化40】

【0089】
式(6)の化合物はまたスキーム2に記載する合成法に従い製造し得る。
【化41】

【0090】
本発明の化合物は、その塩を含み、水和物の形でも得ることができ、またはその結晶は、例えば結晶化に使用した溶媒を含み得る(溶媒和物として存在)。塩は、通常遊離形の化合物に、例えば、適当な塩基性剤、例えばアルカリ金属炭酸塩類、アルカリ金属水素炭酸塩類、またはアルカリ金属水酸化物、例えば炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムで処理することにより変換できる。塩基付加塩形態の本発明の化合物は、対応する遊離酸に適当な酸(例えば、塩酸など)での処理により変換できる。遊離形の新規化合物と、中間体として、例えば、新規化合物の精製または同定に使用され得る塩を含むその塩の形の密接な関係から、遊離化合物についての記載は、適当である限り、対応する塩についても述べていると理解すべきである。
【0091】
塩形成基を有する本発明の化合物の塩は、それ自体既知の方法で製造し得る。(1)、(2)、(2A)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)の化合物の酸付加塩は、故に、酸または適当なアニオン交換剤での処理により得ることができる。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩として、有機または無機酸と共に、塩基性窒素原子を有する(1)、(2)、(2A)、(3A)、(3B)、(3C)、(3D)、(4)または(5)の化合物の化合物から形成され得る。
【0092】
適当な無機酸類は、ハロゲン酸類、例えば塩酸、硫酸、またはリン酸を含み、これらに限定されない。適当な有機酸類は、カルボン酸、リン酸、スルホン酸またはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アミノ酸類、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、フタル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、桂皮酸、メタン−またはエタン−スルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン(disuifonic)酸、2−、3−または4−メチルベンゼンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、ドデシル硫酸、Nシクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−またはN−プロピル−スルファミン酸、または他の有機プロトン酸類、例えばアスコルビン酸を含み、これらに限定されない。単離または精製目的で、薬学的に許容されない塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩を使用することも可能である。治療使用のためには、薬学的に許容される塩または遊離化合物のみが用いられる(適当であれば薬学的製剤の形で)。
【0093】
酸化されていない形態の本発明の化合物を、本発明の化合物のN−オキシドから、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、リチウムボロハイドライド、水素化ホウ素ナトリウム、リントリクロライド、トリブロマイドなど)で適当な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0〜80℃で処理することにより製造できる。
【0094】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細は、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。例えば、適当なプロドラッグは、誘導体化されていない本発明の化合物と適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニル炭酸など)を反応させることにより製造できる。
【0095】
本発明の化合物の保護された誘導体は、当業者に既知の手段により製造できる。保護基の形成およびその除去に適用できる技術の詳細な記載は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999.に見ることができる。
【0096】
本発明の化合物は、その個々の立体異性体として、化合物のラセミ混合物と光学活性分割剤を反応させ、ジアステレオ異性化合物の対を形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋な鏡像体を回収することにより製造し得る。鏡像体の分割は、本発明の化合物の共有結合的ジアステレオマー誘導体、または開裂可能な複合体(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)を使用して実施し得る。ジアステレオマーは異なる物理的特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの差異を利用して容易に分離し得る。ジアステレオマーは分別結晶、クロマトグラフィー、または溶解度の差異に基づく分離/分割技術により分離し得る。次いで、光学的に純粋な鏡像体を、分割剤と共に、ラセミ化をもたらさない何らかの実際的な手段により回収する。化合物の立体異性体のそのラセミ混合物からの分割に適用可能な技術のより詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見ることができる。
【0097】
要約すると、本発明の化合物は実施例に記載された方法により製造でき;そして
(a) 所望により本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換し;
(b) 所望により本発明の化合物形態を非塩形態に変換し;
(c) 所望により酸化されていない形態の本発明の化合物を薬学的に許容されるN−オキシドに変換し;
(d) 所望によりN−オキシド形態の本発明の化合物をその非酸化形態に変換し;
(e) 所望により本発明の化合物の個々の異性体を異性体混合物から分割し;
(f) 所望により誘導体化されていない本発明の化合物を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換し;そして
(g) 所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を非誘導体化形態に変換する。
【0098】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、その化合物は既知であるか、または、当分野で既知のまたは以下の実施例に記載する方法に準じて製造できる。当業者は、上記の変換が本発明の化合物の製造方法の単なる例であり、他の既知の方法を同様に使用できることを認識する。本発明を、以下の、そして本発明の化合物の製造を例示する実施例によりさらに説明するが、限定しない。
【実施例】
【0099】
中間体の製造
中間体1
2,4,6−トリクロロピリミジン−5−カルボアルデヒド
【化42】

バルビツール酸(5.0g、39.1mmol)を、撹拌しているPOCl(23.5mL、252mmol)およびDMF(3mL、38.8mmol)の溶液に室温で、窒素雰囲気雰囲気下添加した。混合物を15時間還流し、次いで室温に冷却した。過剰のPOClを真空で除去し、得られた粘性物質を注意深く破砕氷(150g)に注いだ。薄褐色沈殿を濾過し、真空下で乾燥させて、2,4,6−トリクロロピリミジン−5−カルボアルデヒドを得た。
【0100】
中間体2
2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニルフェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボアルデヒド
【化43】

撹拌している2,4,6−トリクロロピリミジン−5−カルボアルデヒド(5.0g、23.8mmol)のDCM(50mL)溶液に、2−(イソプロピルスルホニル)アニリン(9.5g、47.6mmol)を0℃で、窒素雰囲気下添加した。反応混合物を徐々に室温まで温め、一夜撹拌した。固体を濾取し、濾液を真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/EtOAC/ヘキサン:15/15/70)で精製して、2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボアルデヒドを得た。MS (ES+): 374.0 (MH+)。
【0101】
中間体3
1−(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)エタノール
【化44】

2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボアルデヒド(797mg、2.14mmol)のTHF(10mL)溶液に、メチルマグネシウムブロマイド(ジエチルエーテル中3.0M、6.4mL,19.3mmol)を、−78℃で、窒素雰囲気下、添加した。反応混合物を徐々に室温まで温め、一夜撹拌した。反応混合物を20mLの飽和水性NHClに0℃で注ぎ、EtOAc(30mL×2)および塩水(10mL×2)に分配した。回収した有機抽出物をNaSOで乾燥させ、真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン:30/70)で精製して、1−(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)エタノールを得た。MS (ES+): 390.0 (MH+)。
【0102】
中間体4
1−(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)エタノン
【化45】

1−(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)エタノール(580mg、1.49mmol)のDCM(30mL)溶液に、PDC(561mg、1.49mmol)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。反応混合物をシリカゲルのパッドを通して濾過し、パッドを1LのDCMで洗浄した。濾液を真空で濃縮して、1−(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)エタノンを薄黄色固体として得た。MS (ES+): 388.0 (MH+)。
【0103】
中間体5
Tert−ブチル4−(4−(5−アセチル−4−クロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【化46】

1−(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)エタノン(113mg、0.29mmol)のEtOH(2mL)溶液に、tert−ブチル−4−(4−アミノ−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(203mg、0.58mmol)を添加し、反応混合物を130℃で30分間加熱した。反応物を真空で濃縮し、続いてシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAC/ヘキサン:3/7)で精製して、Tert−ブチル4−(4−(5−アセチル−4−クロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。MS (ES+): 700.3 (MH+)。
【0104】
最終化合物の製造
実施例1
1−(4−(4−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)−2−(ジメチルアミノ)エタノン(1)
【化47】

4−(5−イソプロポキシ−2−メチル−4−ニトロ−フェニル)−ピリジン
【化48】

4−ピリジンボロン酸(147mg、1.20mmol、1.1当量)を、2:1v/v混合物のジオキサンおよびHO(15mL)に溶解し、Nを5分間通して泡立てた。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(100mg、0.109mmol、0.1当量)、2−ジシクロヘキシルホスフィン−2’−6’−ジメトキシビフェニル(112mg、0.272mmol、0.25当量)、1−クロロ−5−イソプロポキシ−2−メチル−4−ニトロ−ベンゼン(250mg、1.09mmol、1.0当量)およびKPO(462mg、2.18mmol、2.0当量)をNブランケット下に添加した。反応容器を密閉し、マイクロ波照射で150℃で20分間加熱した。室温に冷却後、反応を酢酸エチルで希釈し、1N 水性NaOH(2回)で洗浄した。有機層を、次いでNaSOで乾燥させ、濾過し、た。濃縮後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンから30%酢酸エチルのヘキサン溶液への勾配)で精製して、4−(5−イソプロポキシ−2−メチル−4−ニトロ−フェニル)−ピリジンを褐色固体として得た:ESMS m/z 273.1 (M + H+)。
【0105】
4−(4−アミノ−5−イソプロポキシ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化49】

酢酸(30mL)に溶解した前工程からの4−(5−イソプロポキシ−2−メチル−4−ニトロ−フェニル)−ピリジン(438mg、1.61mmol)をTFA(0.24mL、3.22mmol)およびPtO(176mg、40%w/w)で処理した。反応混合物を、1気圧H下、36時間激しく撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を真空下濃縮した。得られた残留物を酢酸エチルで希釈し、1N 水性NaOH(2回)で洗浄した。有機層を、次いでNaSOで乾燥させ、濾過した。濃縮後、粗生成物(391mg)を無水CHCl(30mL)に溶解した。TEA(0.44mL、3.15、2当量)、続いてBocO(344mg、1.57当量、1当量)を添加した。反応を室温で30分間撹拌した。反応を真空下濃縮した。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンから30%酢酸エチルのヘキサン溶液への勾配)で精製して、4−(4−アミノ−5−イソプロポキシ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを粘性泡状物として得た:ESMS m/z 293.1 (M-tBu+H)+
【0106】
工程4および5:前工程からの4−(4−アミノ−5−イソプロポキシ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(170mg、0.488mmol)、(2,5−ジクロロ−ピリミジン−4−イル)−[2−(プロパン−2−スルホニル)−フェニル]−アミン(169mg、0.488mmol、1当量)、キサントホス(28mg、0.049mmol、0.1当量)、酢酸パラジウム(5.5mg、0.024mmol、0.05当量)、およびCsCO(477mg、1.46mmol、3当量)を無水THF(6mL)に溶解した。Nを反応混合物を通して5分間泡立て、反応容器を密閉し、マイクロ波照射で150℃で20分間加熱した。反応を濾過し、濾液を真空下濃縮した。濃縮後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサンから30%酢酸エチルのヘキサン溶液への勾配)で精製して、4−(4−{5−クロロ−4−[2−(プロパン−2−スルホニル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−2−イルアミノ}−5−イソプロポキシ−2−メチル−フェニル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを黄色薄膜として得た:ESMS m/z 658.3 (M + H+)。この生成物(105mg、0.160mmol)をCHCl(3mL)に溶解し、TFA(3mL)で処理した。45分後、反応を真空下濃縮した。EtO中1N HCl(5mL×2)を添加して、生成物のHCl塩を沈殿させた。溶媒を傾捨により除いた。得られた5−クロロ−N−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−ピペリジン−4−イル−フェニル)−N−[2−(プロパン−2−スルホニル)−フェニル]−ピリミジン−2,4−ジアミンを高真空下で乾燥させ、灰白色粉末を得た:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 + trace D2O) δ 8.32 (s, 1H), 8.27 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.67 (dd, 1H), 7.45 (dd, 1H), 7.42 (s, 1H), 6.79 (s, 1H), 4.56-4.48 (m, 1H), 3.49-3.32 (m, 3H), 3.10-2.91 (m, 3H), 2.09 (s, 3H), 1.89-1.77 (m, 4H), 1.22 (d, 6H), 1.13 (d, 6H); ESMS m/z 558.1 (M + H+)。
【0107】
1−(4−(4−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)−2−(ジメチルアミノ)エタノン
【化50】

N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンを5−クロロ−N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)ピリミジン−2,4−ジアミンに変えることにより、の方法で製造した。生成物を得た。MS (ES+): 643.28 (M+1)+
実施例2
【0108】
(S)−(4−(4−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)(ピロリジン−2−イル)メタノン(7)
【化51】

実施例1の方法に従い、N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンを5−クロロ−N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)ピリミジン−2,4−ジアミンに変え、2−(ジメチルアミノ)アセチルクロライドヒドロクロライドを(S)−ピロリジン−2−カルボニルクロライドヒドロクロライドに変えることにより製造した。生成物を得た。MS (ES+): 655.28 (M+1)。
【0109】
実施例3
(S)−(4−(4−(5−クロロ−4−(2−(ジフルオロメチルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)(ピロリジン−2−イル)メタノン(8)
【化52】

2,5−ジクロロ−N−(2−(ジフルオロメチルスルホニル)フェニル)−ピリミジン−4−アミン
【化53】

2,4,5−トリクロロピリミジン(1mmol)および2−(ジフルオロメチルスルホニル)アニリン(1mmol)の10mLのDMF溶液に、素化ナトリウム(2mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温に温めた後、50℃で1時間撹拌した。後処理(work-up)およびフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 9:1)後、生成物を得た。MS (ES+): 353.96 (M+1)+
【0110】
5−クロロ−N4−(2−(ジフルオロメチルスルホニル)フェニル)−N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)ピリミジン−2,4−ジアミン
【化54】

2,5−ジクロロ−N−(2−(ジフルオロメチルスルホニル)フェニル)−ピリミジン−4−アミン(0.5mmol)の1mLのイソプロパノール懸濁液に、2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)アニリン(0.5mmol)および4−メチルベンゼンスルホン酸(0.5mmol)を添加した。懸濁液を150℃で3時間撹拌した。後処理および分取HPLC後、生成物を得た。MS (ES+): 566.17 (M+1)+
【0111】
(S)−(4−(4−(5−クロロ−4−(2−(ジフルオロメチルスルホニル)−フェニルアミノ)−ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)(ピロリジン−2−イル)メタノン
実施例1の方法に従い、N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンを5−クロロ−N4−(2−(ジフルオロメチルスルホニル)フェニル)−N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)ピリミジン−2,4−ジアミンに変え、そして2−(ジメチルアミノ)アセチルクロライドヒドロクロライドを(S)−ピロリジン−2−カルボニルクロライドヒドロクロライドに変えることにより、生成物を得た。MS (ES+):663.23 (M+1)+
【0112】
1−(4−(4−(5−クロロ−4−(2−(ジフルオロメチルスルホニル)フェニルアミノ)−ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)−2−(ジメチルアミノ)エタノン
【化55】

実施例1の方法に従い、N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンを5−クロロ−N4−(2−(ジフルオロメチルスルホニル)フェニル)−N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)ピリミジン−2,4−ジアミンに変えることにより、生成物を得た。MS (ES+): 651.23 (M+1)+
【0113】
実施例4
6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−2−(1−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)ピペリジン−4−イル)−5−イソプロポキシイソインドリン−1−オン(9)
【化56】

2−クロロ−4−イソプロポキシ−5−ニトロ−安息香酸:
【化57】

2−クロロ−4−フルオロ−5−ニトロ−安息香酸(5.0g、22.8mmol)および炭酸セシウム(29.7g、91.1mmol)の2−プロパノール(100mL)の混合物を50℃で一夜加熱した。溶媒を真空で除去し、100mLの水を添加した。濃水性HClを、この溶液に0℃でpHが2になるまで滴下した。形成した生成物の沈殿を濾過により単離し、水で洗浄し、真空で乾燥させて、2−クロロ−4−イソプロポキシ−5−ニトロ−安息香酸を得た。
【0114】
4−(2−クロロ−4−イソプロポキシ−5−ニトロ−ベンゾイルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化58】

2−クロロ−4−イソプロポキシ−5−ニトロ−安息香酸(10g、38.5mmol)のDCM(200mL)およびDMF(1mL)中の溶液に、塩化チオニル(9.17g、77mmol)をシリンジからゆっくり添加した。混合物を3時間撹拌し、濃縮乾固した。得られた白色固体、2−クロロ−4−イソプロポキシ−5−ニトロ−ベンゾイルクロライドを真空下乾燥させた。4−アミノ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.44g、7.2mmol)およびトリエチルアミン(3mL、21.6mmol)のDCM(100mL)中の混合物に、DCM(10mL)に溶解した2−クロロ−4−イソプロポキシ−5−ニトロ−ベンゾイルクロライド(2g、7.2mmol)をシリンジからゆっくり添加した。混合物を室温で3時間撹拌し、濃縮した。得られた固体を酢酸エチルに溶解し、水および塩水各々で洗浄した。溶媒蒸発後、表題化合物を明黄色固体として得て、さらに精製せずに次工程に直接使用した。
【0115】
4−(4−イソプロポキシ−5−ニトロ−2−ビニル−ベンゾイルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化59】

前工程で得た4−(2−クロロ−4−イソプロポキシ−5−ニトロ−ベンゾイルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(7.2mmol)、ビニルボロン酸ジブチルエステル(1.72g、9.4mmol)および炭酸ナトリウム(5.34g、50.4mmol)のTHF/HO(100/25mL)中の混合物に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン(phospine))パラジウム(II)(442mg、5%mmol)を添加した。混合物をNで3分間パージし、90℃でN下、一夜、コンデンサーを備えた丸底フラスコで加熱した。混合物を室温に冷却し、飽和水性塩化アンモニア溶液に注いだ。混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し。有機抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製して、4−(4−イソプロポキシ−5−ニトロ−2−ビニル−ベンゾイルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを白色固体として得た。
【0116】
4−(5−イソプロポキシ−6−ニトロ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化60】

前工程で得た4−(4−イソプロポキシ−5−ニトロ−2−ビニル−ベンゾイルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.9g、4.38mmol)をDCM(100mL)に溶解し、−78℃に冷却した。O(g)を、溶液の色が青色/灰色に成るまで泡立てた。溶液を、次いでN(g)で、青色が消えるまで泡立てた。溶液を室温に温め、DCM(100mL)で予め膨張させたトリフェニルホスフィン樹脂(5g)で処理した。30分後、混合物を濾過し、濾液を濃縮し、得られた残留物をDCM/TFA(100mL/25mL)に溶解した。この混合物にトリエチルシラン(4.6mL、17.5mmol)を添加した。得られた混合物を室温で一夜撹拌した。反応混合物を濃縮し、DCMに再溶解し、DCM溶液を1N 水性HCl(3×20mL)で洗浄した。合わせた水性層を濃水性NaOHでpH=12まで処理した。水性層を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。明黄色固体が有機溶媒の蒸発後に得られた。
【0117】
固体をメタノールおよびトリエチルアミン混合物(100mL、9:1v/v)に溶解した。この混合物にジ−tert−ブチルジカーボネート(680mg、3.1mmol)を添加した。50℃で30分間撹拌後、混合物を濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:40〜50%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製して、4−(5−イソプロポキシ−6−ニトロ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.19 (s, 1H), 7.11 (s, 1H), 4.74 (q, 1H), 4.45-4.38 (m, 1H), 4.35 (s, 2H), 2.90-2.80 (m, 2H), 1.85-1.81 (m, 2H), 1.66-1.63 (m, 2H), 1.48 (s, 9H), 1.42 (d, 6H)。
【0118】
6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−(ピペリジン−4−イル)イソインドリン−1−オン
【化61】

前工程からの4−(5−イソプロポキシ−6−ニトロ−1−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(850mg、2mmol)のメタノール溶液に、Pd/C(10%炭素、100mg)を添加した。混合物を1気圧の水素ガス下に水素化した。4時間後、混合物を濾過し、濃縮した。黄色固体として得られたアニリンをさらに精製せずに次工程に使用した。前工程からの粗生成物(2mmol)、(2,5−ジクロロ−ピリミジン−4−イル)−[2−(プロパン−2−スルホニル)−フェニル]−アミン(770mg、2.2mmol)、炭酸セシウム(1.3g、4mmol)、およびキサントホス(115mg、0.2mmol)のTHF(20mL)中の混合物に、酢酸パラジウム(22mg、5%mmol)をマイクロ波チューブ中で添加した。混合物をNで3分間パージした。密閉チューブを150℃で20分間、マイクロ波照射下に加熱した。混合物を冷却し、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:65%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製して、黄色固体を得た。固体をDCM/TFA(1/1、10mL)で1時間処理し、続いて真空下濃縮した。分取RP LC−MSを使用した最終精製により、6−{5−クロロ−4−[2−(プロパン−2−スルホニル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−2−イルアミノ}−5−イソプロポキシ−2−ピペリジン−4−イル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オンを白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.38 (s, 1H), 10.13 (s, 1H), 9.60-9.50 (br, 1H), 9.34-9.21 (br, 1H), 8.46 (d, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.91 (dd, 1H), 7.71 (m, 1H), 7.34 (t, 1H), 7.03 (s, 1H), 4.30 (m, 1H), 4.53 (m, 1H), 4.33 (s, 2H), 3.62 (m, 2H), 3.21-3.09 (m, 3H), 2.31-2.21 (m, 2H), 2.09-2.05 (m, 2H), 1.41 (d, 6H), 2.30 (d, 6H); ESMS m/z 599.2 (M + H+)。
【0119】
6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−2−(1−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)ピペリジン−4−イル)−5−イソプロポキシイソインドリン−1−オン
6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−(ピペリジン−4−イル)イソインドリン−1−オン(20mg、0.03mmol)のDMF(1.0mL)溶液に、2−(ジメチルamion)アセチルクロライドヒドロクロライド(0.17mmol、26mg)およびトリエチルアミン(0.18mmol、18mg)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、固体副産物を濾過により除いた。残った濾液を分取RP−HPLCで精製して、6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)−フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−2−(1−(2−(ジメチルアミノ)アセチル)ピペリジン−4−イル)−5−イソプロポキシイソインドリン−1−オンを得た。
【0120】
実施例5
(S)−6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−(1−(1−メチルピロリジン−2−カルボニル)ピペリジン−4−イル)イソインドリン−1−オン(15)
【化62】

6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−(ピペリジン−4−イル)イソインドリン−1−オン(52mg、0.09mmol)のDMF(1.0mL)溶液に、(S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸(19mg、0.09mmol)、HATU(50mg、0.130mmol)、およびDIEA(0.174mmol、30μL)を連続的に添加した。反応混合物を1時間撹拌し、次いでEtOAcおよび水に分配した。有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮した。粗生成物をDCM(1mL)およびTFA(1mL)の溶液中で1時間撹拌し、次いで真空で濃縮した。得られた粗生成物の1mLのMeOHおよび1mLのTHF中の溶液に、3滴のAcOH、ホルムアルデヒド(37重量%の水溶液、0.09mmol、7mg)を添加した。1時間撹拌後、ナトリウムシアノボロハイドライド(0.18mmol、11mg)を添加し、反応混合物をさらに30分間撹拌した。反応混合物を濾過し、得られた濾液を分取RP−HPLCで精製して、(S)−6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−(1−(1−メチルピロリジン−2−カルボニル)ピペリジン−4−イル)イソインドリン−1−オンを得た。
【0121】
実施例6
2−(1−(アゼチジン−3−カルボニル)ピペリジン−4−イル)−6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシイソインドリン−1−オン(16)
【化63】

6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−(ピペリジン−4−イル)イソインドリン−1−オン(41mg、0.07mmol)のDMF(1.0mL)溶液に、1−(tert−ブトキシカルボニル)アゼチジン−3−カルボン酸(14mg、0.07mmol)、HATU(39mg、0.104mmol)、およびDIEA(0.138mmol、24μL)を連続的に添加した。反応混合物を1時間撹拌し、次いでEtOAcおよび水に分配した。有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、真空で濃縮した。粗生成物をDCM(1mL)およびTFA(1mL)の溶液中、室温で1時間撹拌した。得られた溶液を濃縮し、次いで分取RP−HPLCで精製して、2−(1−(アゼチジン−3−カルボニル)ピペリジン−4−イル)−6−(5−クロロ−4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル−アミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシイソインドリン−1−オンを得た。
【0122】
実施例7
2−(ジメチルアミノ)−1−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)エタノン(21)
【化64】

4−ヒドロキシル−6−メチルメルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン
【化65】

4−ヒドロキシ−6−メルカプト−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(14g)を水酸化ナトリウム(10g)の水(300mL)溶液に溶解した。溶液を5℃に冷却し、ヨウ化メチル(12g)と共に振盪した。15−20分後溶液を炭素処理(charcoaled)し、濾過し、酢酸で酸性化して、粗生成物を得た。酸中の再結晶により、所望の生成物を得た。MS (ES+): 183.0 (M+1)+
【0123】
4−クロロ−6−メチルメルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン
【化66】

40mLのリンオキシクロライドおよびジメチルアニリン(3mL)に、2.2gの粗4−ヒドロキシ−メチルメルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジンを添加した。溶液を30−60分間、全固体が溶解するまで還流した。過剰のリンを減圧下除去した。シロップ状残留物を激しく撹拌しながら氷と水の混合物に注いだ。10分後、水溶液をエーテルで抽出した。エーテル溶液を冷水で洗浄し、水硫酸ナトリウムで乾燥させた。反応を濾過し、エーテルを加圧下に除去して、生成物を得た。211.0 (M+1)+
【0124】
N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−6−(メチルチオ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【化67】

4−クロロ−6−メチルメルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(10mmol)および2−(N,N−ジメチルスルホニル)アニリン(10mmol)の100mLのイソプロパノール溶液を、還流で1時間撹拌した。室温に冷却後、トリエチルアミン(12mmol)を反応混合物に添加し、次いで溶液を0.5時間加熱還流した。後処理およびフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc4:1)後、生成物を得た。364.08 (M+1)+。
【0125】
N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【化68】

N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−6−(メチルチオ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(1mmol)の10mLの1,2−ジクロロ(dicholoro)エタン溶液に、MCPBA(3mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温に温めた後、1時間撹拌し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/MeOH 9:1)により得た。MS (ES+): 396.07 (M+1)+。
【0126】
N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン
【化69】

N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−6−(メチルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(0.5mmol)の1mLのイソプロパノール懸濁液に、2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)アニリン(0.5mmol)および4−メチルベンゼンスルホン酸(0.5mmol)を添加した。懸濁液を150℃で3時間撹拌した。分取HPLC後、最終生成物を得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.74-8.77 (d, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.92-7.96 (m, 2H), 7.65-7.70 (m, 1H), 7.27-7.33(m, 1H), 6.85(s, 1H), 4.60-4.67 (m. 1H), 3.71-3.74 (m, 2H), 3.25-3.32 (m, 1H), 2.78-2.97(m, 6H), 2.28-2.33 (m, 5H), 1.95-1.98 (m, 2H), 1.39-1.41(d, 6H), 1.33-1.35 (d, 6H); MS (ES+): 578.28 (M+1)+。
【0127】
2−(ジメチルアミノ)−1−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)エタノン
【化70】

N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(56mg)を3mLのジクロロメタンに溶解した。溶液を5℃に冷却し、2−(ジメチルアミノ)アセチルクロライドヒドロクロライド(24mg)、続いてトリエチルアミン(15mg)を溶液に添加した。溶液を室温で約30分間撹拌した。分取LC−MS後、最終生成物が得られる。MS (ES+): 649.32 (M+1)+。
【0128】
適当な出発物質を使用して、上記実施例(中間体および最終化合物)に記載した方法を繰り返して、表1に同定する次の式Iの化合物が得られた。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【0129】
実施例8
2−ブロモ−1−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)エタノン(24)
【化71】

N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(50mg、0.087mmol)のCHCl(3mL)中の混合物に、ブロモアセチルクロライド(10uL、0.095mmol)を0℃で滴下した。溶媒を減圧下除去し、残留物をEtOAc/ヘキサン(0−100%)の勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(2−ブロモ−1−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)エタノン)を明黄色固体として得た。MS: m/z=698.2 (M + 1)。
【0130】
実施例9
1−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)−2−(ピペリジン−1−イル)エタノン(29)
【化72】

実施例8からの2−ブロモ−1−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)エタノン(10mg、0.014mmol)、およびピペリジン(3uL、0.031mmol)のDMF中の混合物をrtで一夜撹拌した。粗混合物を直接逆相HPLCで精製して、1−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)−2−(ピペリジン−1−イル)エタノンを得た。MS: m/z=703.4 (M + 1), 352.2 (M/2 + 1). 1 H-NMR (400 MHz, CD3OD): δ=8.39 (brs, 1H), 7.98 (dd, 1H, J=1.6, 8.0 Hz), 7.70 (t, 1H, J=7.6 Hz), 7.53-7.49 (m, 2H), 6.88 (s, 1H), 4.73-4.69 (m, 1H), 4.62 (sept, 1H, J=6.0 Hz), 4.31 (d, 1H, J=16.4 Hz), 4.22 (d, 1H, J=16.4 Hz), 3.85-3.82 (m, 1H), 3.60 (t, 2H, J=12.0 Hz), 3.41-3.25 (m, 2H), 3.11-3.00 (m, 3H), 2.90-2.84 (m, 1H), 2.79 (s, 3H), 2.22 (s, 3H), 1.99-1.85 (m, 7H), 1.80-1.54 (m, 3H), 1.27 (d, 6H, J=6.0 Hz), 1.24 (d, 6H, J=6.8 Hz)。
【0131】
実施例10
−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(33)
【化73】

tert−ブチル4−(4−(5−アセチル−4−クロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−カルボキシレート(81mg、0.12mmol)のEtOH(2mL)溶液に、ヒドラジンジクロライド(36mg、0.34mmol)および酢酸ナトリウム(47mg、0.57mmol)を連続的に添加し、反応混合物を80℃で一夜加熱した。反応を室温に冷却し、真空で濃縮した。粗物質をTFA(2mL)のDCM(2mL)溶液に溶解し、反応を30分間撹拌し、続いて濃縮し、RP−HPLCで精製して、N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンを得た。MS (ES+): 578.3 (MH+)。
【0132】
実施例11
−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(34)
【化74】

N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(39mg、0.067mmol)の5.0mLのMeOHおよび5.0mLのTHF中の溶液に、1滴のAcOHおよびHCHO[MeOHおよびTHF中1N(v/v:1/1)、0.12mmol、120μL]を連続的に添加した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いでNaB(CN)H(6.6mg、0.12mmol)を添加し、反応混合物をさらに1時間撹拌した。飽和水性NHClを反応物に添加し、反応混合物を真空で濃縮した。粗物質をEtOAcおよび塩水に分配した。有機抽出物を濃縮し、RP−HPLCでの精製により、N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンを得た。MS (ES+): 592.3 (MH+)。
【0133】
実施例12
2−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)アセトアミド(35)
【化75】

N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(20mg、0.035mmol)、2−ブロモアセトアミド(DMF中0.1N、0.035mmol、0.35mL)およびトリエチルアミン(DMF中0.1N、0.105mmol、1.05mL)の混合物を100℃で10分間加熱した。得られた反応混合物のRP−HPLCでの精製により、2−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)アセトアミドを得た。MS (ES+): 635.3 (MH+)。
【0134】
実施例13
2−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)−N−メチルアセトアミド(36)
【化76】

N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(20mg、0.035mmol)、2−ブロモアセトアミド(DMF中0.1N、0.070mmol、0.70mL)およびトリエチルアミン(DMF中1.0N、0.105mmol、0.105mL)の混合物を100℃で10分間加熱して。得られた反応混合物のRP−HPLCでの精製により、2−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)−N−メチルアセトアミドを得た。MS (ES+): 649.3 (MH+)。
【0135】
実施例14
2−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)エタノール(37)
【化77】

N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(20mg、0.035mmol)、2−ブロモエタノール(DMF中0.1N、0.070mmol、0.70mL)およびトリエチルアミン(DMF中0.1N、0.18mmol、1.75mL)の混合物を100℃で10分間加熱した。得られた反応混合物のRP−HPLCでの精製により、2−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)エタノールを得た。MS (ES+): 622.3 (MH+)。
【0136】
実施例15
−(2−イソプロポキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)−5−メチルフェニル)−N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(38)
【化78】

N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(26.6mg、0.046mmol)、1−ブロモ−2−メトキシエタン(DMF中1.0N、0.46mmol、0.46mL)、およびトリエチルアミン(DMF中1.0N、0.46mmol、0.46mL)の混合物を100℃で10分間加熱した。得られた反応混合物のRP−HPLCでの精製により、N6−(2−イソプロポキシ−4−(1−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)−5−メチルフェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンを得た。MS (ES+): 636.3 (MH+)。
【0137】
実施例16
2−(6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(39)
【化79】

4−ヒドロキシ−3−メチル−6−メルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン
【化80】

この化合物を文献に記載された方法に従い製造した:J. med. Chem. 33: 2174-8 (1990)。
【0138】
4−ヒドロキシ−3−メチル−6−メチルメルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン
【化81】

4−ヒドロキシ−6−メルカプト−3−メチルピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(14g)を10gの水酸化ナトリウムの300mlの水溶液に溶解した。溶液を5℃に冷却し、12gのヨウ化メチルと振盪した。15−20分間後、溶液を炭素処理し、濾過し、酢酸で酸性化して、12gの粗生成物を得た。酸性酸中での再結晶により、生成物を得た。MS (ES+): 197.0 (M+1)+。
【0139】
4−クロロ−3−メチル−6−メチルメルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン
【化82】

40mLのリンオキシクロライドおよび3mLのジメチルアニリンに、2.2gの粗4−ヒドロキシ−3−メチル−6−メチルメルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジンを添加する。溶液を全固体が溶解したら30−60分間還流する。過剰のリンを減圧下除去した。残留物を激しく撹拌しながら氷水の混合物に注ぐ。10分後、水溶液をエーテルで抽出した。エーテル溶液を冷水で洗浄し、水硫酸ナトリウムで乾燥させた。生成物を濾過およびエーテルの減圧下の除去後に得た。215.0 (M+1)+
【0140】
N,N−ジメチル−2−(3−メチル−6−(メチルチオ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ベンゼンスルホンアミド
【化83】

4−クロロ−3−メチル−6−メチルメルカプトピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(10mmol)および2−(N,N−ジメチルスルホニル)アニリン(10mmol)の100mLのイソプロパノール溶液を1時間還流で撹拌した。室温に冷却後、トリエチルアミン(12mmol)を反応混合物に添加し、次いで溶液を0.5時間加熱還流した。生成物を後処理およびフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc4:1)後に得た。379.08 (M+1)+。
【0141】
N,N−ジメチル−2−(3−メチル−6−(メチルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ベンゼンスルホンアミド
【化84】

N−(2−(N,N−ジメチルスルホニル)フェニル)−3−メチル−6−(メチルチオ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(1mmol)の10mLの1,2−ジクロロ(dicholoro)エタンの溶液に、MCPBA(3mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した。後処理およびフラッシュクロマトグラフィー後、生成物を得た(CHCl/MeOH9:1)を得た。MS (ES+): 411.10 (M+1)+。
【0142】
2−(6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド
【化85】

N−(2−(N,N−ジメチルスルホニル)フェニル)−3−メチル−6−(メチルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(0.5mmol)の1mLのイソプロパノール懸濁液に、2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)アニリン(0.5mmol)および4−メチルベンゼンスルホン酸(0.5mmol)を添加した。懸濁液を150℃で3時間撹拌した。生成物を後処理および分取HPLC後に得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.23-8.25 (d, 1H), 7.79-8.12 (m, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.42-7.46(m, 1H), 7.28-7.32 (m, 1H), 6.77(s, 1H), 4.51-4.54 (m. 1H), 3.57-3.62 (m, 2H), 3.16-3.23 (m, 1H), 2.60-2.83(m, 11H), 2.54 (s, 3H), 2.38-2.47 (m, 3H), 2.04 (s, 3H), 1.86-1.95 (m, 2H), 1.25-1.27(d, 6H); MS (ES+): 593.18 (M+1)+。
【0143】
実施例17
N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−3−メチル−N4−(2−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(40)
【化86】

この化合物を、実施例15の方法に従い、2−(N,N−ジメチルスルホニル)アニリンを2−(メチルスルホニル)アニリンに変えて製造した。
【0144】
実施例18
2−(ジメチルアミノ)−1−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)エタノン(41)
【化87】

この化合物を、実施例15の方法に従い、2−(N,N−ジメチルスルホニル)アニリンを2−(イソプロピルスルホニル)アニリンに変え、そして2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)アニリンを1−(4−(4−アミノ−5−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)−2−(ジメチルアミノ)エタノンに変えて、製造した。
【0145】
実施例19
N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3,4,6−トリアミン(42)
【化88】

2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化89】

2,4,6−トリクロロピリミジン−5−カルボニトリル(1.0mmol)および2−(イソプロピルスルホニル)アニリン(1.0mmol)の5mLのDMF溶液に、水素化ナトリウム(24mg)を添加した。懸濁液を30℃で2時間撹拌した。生成物を後処理およびカラムクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン:EtOAc)後に得た。MS (ES+): 371.01 (M+1)+。
【0146】
4−クロロ−2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニルアミノ)−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル
【化90】

2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(0.5mmol)および2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)アニリン(0.5mmol)の3mLのイソプロパノール溶液に、4−メチルベンゼンスルホン酸(0.5mmol)を添加した。懸濁液を120℃で2時間撹拌した。生成物を後処理および分取HPLC後に得た。MS (ES+): 597.23 (M+1)+。
【0147】
N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−3,4,6−トリアミン(20)
【化91】

4−クロロ−2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニルアミノ)−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリル(0.1mmol)の5mLのイソプロパノール溶液に、ヒドラジン無水物(0.3mmol)を添加した。溶液を120℃で3時間加熱した。生成物を後処理および分取HPLC後に得た。MS (ES+): 593.29 (M+1)+. 1H NMR (MeOD, 400 MHz) δ 8.01-8.03 (d, 1H), 7.83-7.86 (m, 1H), 7.31-7.43 (m, 3H), 6.91(s, 1H), 4.56-4.59 (m. 1H), 3.64-3.68 (m, 2H), 3.19-3.24 (m, 3H), 2.93(s, 3H), 2.25 (s, 3H), 2.02-2.07 (m, 4H), 1.17-1.32 (m, 12H); MS (ES+): 593.18 (M+1)+。
【0148】
実施例20
N6−(2−イソプロポキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)−5−メチルフェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン(43)
【化92】

(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)(フェニル)メタノン
【化93】

2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボアルデヒド(112.3mg、0.3mmol)のTHF(1.0mL)溶液に、フェニルマグネシウムブロマイド(ジエチルエーテル中3.0M、1.0mL、3.0mmol)を0℃、アルゴン雰囲気下、添加した。添加後、反応混合物をゆっくり室温に温め、さらに一夜撹拌した。反応混合物に、次いで2.0mLの飽和水性NHClを0℃で添加し、EtOAc(50mL)に溶解し、HO(10mL)および塩水(10mL)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:EtOAcのヘキサン溶液:0〜33%)で精製して、(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)(フェニル)メタノールを無色油状物として得た。MS (ES+): 452.0 (MH+)。
【0149】
(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)(フェニル)メタノール(113.4mg、0.25mmol)のDCM(10mL)溶液に、PDC(236mg、0.63mmol)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。得られた混合物を、次いでシリカゲルのパッドを通して濾過し、パッドを5%EtOAcのDCM溶液(200mL)で洗浄した。濾液を真空で濃縮して、(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)(フェニル)メタノンを無色油状物として得た。MS (ES+): 450.0 (MH+)。
【0150】
(4−クロロ−2−(2−イソプロポキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)−5−メチルフェニルアミノ)−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)(フェニル)メタノン
【化94】

10mL マイクロ波反応チューブに、(2,4−ジクロロ−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)(フェニル)メタノン(24.1mg、0.0548mmol)、2−イソプロポキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)−5−メチルアニリン(16.8mg、0.0548mmol)、2−プロパノール(4mL)およびヒューニッヒ塩基(3滴)を連続的に添加した。得られた混合物を150℃で2時間、マイクロ波機を使用して撹拌した。反応溶液を真空で濃縮して、粗(4−クロロ−2−(2−イソプロポキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)−5−メチルフェニルアミノ)−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)(フェニル)メタノンをわずかに黄色の粘性油状物として得た。MS (ES+): 720.30 (MH+)。
【0151】
N6−(2−イソプロポキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)−5−メチルフェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン
【化95】

10mL マイクロ波反応チューブに、(4−クロロ−2−(2−イソプロポキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)−5−メチルフェニルアミノ)−6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)ピリミジン−5−イル)(フェニル)メタノン(0.0548mmol)、THF(4mL)およびHNNH(0.4mL)を添加した。得られた混合物を120℃で30分間、マイクロ波機を使用して撹拌した。反応溶液を真空で濃縮し、残留物を逆相HPLCで精製して、N6−(2−イソプロポキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)ピペリジン−4−イル)−5−メチルフェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミンをわずかに黄色固体として得た。MS (ES+): 698.30 (MH+)。
【0152】
表2は、上記実施例に記載した方法に従い製造し得る化合物を記載する。
【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【0153】
実施例21
N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−5−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジアミン(68)
【化96】

7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオール
【化97】

40g 6−アミノピリミジン−2,4−ジオール(1)(315mmol)の1.0Lの水溶液に、54.3g NaOAc(662mmol)および48mLの2−クロロアセトアルデヒド(50wt%のHO溶液、378mmol)を添加した。得られた混合物を加熱還流し、3時間撹拌する。反応混合物を室温まで冷却し、続いて300mLの2N HClのHO溶液をゆっくり添加した。沈殿を濾過し、HOで洗浄し、50℃で真空下で乾燥させて、表題化合物を得た。
【0154】
2,4−ジクロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
【化98】

11.5g(76mmol)7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジオール(2a)を40mLのトルエンに溶解し、21.3mLのPOCl(229mmol)を室温でゆっくり添加した。反応混合物を70℃に加熱し、26.5mLのDIPEA(153mmol)を、2時間にわたり、N下で滴下した。反応温度を106℃に上げ、混合物を一夜撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を200mL EtOAcおよび300mL 水の混合物に注ぎ、次いでセライトを通して濾過した。水性層を3×200mLのEtOAcで抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、活性炭で脱色し、セライトを通して濾過し、濃縮して、表題化合物を得た。
【0155】
5−ブロモ−2,4−ジクロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
【化99】

935mg 2,4−ジクロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(3a)(5.0mmol)の100mLの1,4−ジオキサン溶液に、256μLのBr(5.0mmol)を0℃で10分間にわたり添加した。30分間、0℃で撹拌後、反応混合物を150mLのEtOAcおよび150mLの飽和水性NaSOの混合物に注ぎ、次いでセライトを通して濾過した。水性相をEtOAc(3x100mL)で抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を得た。
【0156】
2,4−ジクロロ−5−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
【化100】

1.4g 5−ブロモ−2,4−ジクロロ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(4)(5.2mmol)を200mLのTHFに溶解した。−78℃に冷却後、9.75mLのBuLi(ヘキサン中1.6M溶液、15.6mmol)を30分間にわたりゆっくり添加し、次いで30分間、−78℃で撹拌し、その後396uLのMeI(6.24mmol)を反応混合物に1時間にわたり滴下した。反応混合物を−78℃ででさらに1時間撹拌し、20mLの飽和水性NHCl溶液をこの温度で添加することによりクエンチした。反応混合物を、次いで100mLの飽和NaHCOおよび100mLのEtOAcに分配した。有機層を分離し、水性層をEtOAc(3x100mL)で抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗表題化合物を得て、それをさらに精製せずに使用した。
【0157】
2,4−ジクロロ−5−メチル−7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
【化101】

503mg 2,4−ジクロロ−5−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(5)(2.5mmol)および523mg TsCl(2.75mmol)を20mLのDMFに溶解した。0℃に冷却後、200mg NaH(2.75mmol)を、N下ゆっくり添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、10mLの10%水性NHClをこの温度で添加することによりクエンチし、次いでEtOAc(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を明黄色固体として得た。
【0158】
2−(イソプロピルチオ)アニリン
【化102】

19.9g 2−アミノベンゼンチオール(7)(159mmol)および17.4mLの2−ヨードプロパン(175mmol)のEtOH200mL溶液に、23.2g KOBu−t(207mmol)を0℃でN下ゆっくり添加した。反応混合物を室温に温め、2時間撹拌し、次いでセライトを通して濾過し、濃縮した。残留物を300mLのEtOAcに再溶解し、水、次いで塩水で洗浄し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を明黄色油状物として得た。
【0159】
2−クロロ−N−(2−(イソプロピルチオ)フェニル)−5−メチル−7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン
【化103】

350mg 2,4−ジクロロ−5−メチル−7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(6)(1.0mmol)および255mg 2−(イソプロピルチオ)アニリン(8)(1.5mmol)を15mLのDMFに溶解した。336mg KOBu−t(3.0mmol)を、次いでN下にゆっくり添加した。2時間、環境温度で撹拌後、反応混合物を100mLの水に注ぎ、EtOAc(3x100mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を白色固体として得た。
【0160】
2−クロロ−N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−5−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン
【化104】

86mg mCPBA(0.38mmol)を、94mg 2−クロロ−N−(2−(イソプロピルチオ)フェニル)−5−メチル−7−トシル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(9)(0.19mmol)の10mLのCHCl溶液に室温でゆっくり添加した。2時間、環境温度で撹拌後、反応を5mLの飽和水性NaSO溶液の添加によりクエンチし、得られた2層を分離する。水性層をCHCl(3×10mL)で抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、濃縮した。残留物を5mLのMeOHに再溶解し、この溶液に1.1mLのNaOMe(MeOH中0.5M溶液、0.55mmol)を添加した。混合物を50℃に加熱し、30分間撹拌した。室温に冷却後、溶媒を真空下で除去し、残留物を20mLのEtOAcに再溶解し、飽和水性NaHCO溶液および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。
【0161】
N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−5−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジアミン
【化105】

32mg TsOH(0.165mmol)を、20mg N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−5−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジアミン(0.055mmol)および31.3mg 2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)アニリンHCl塩(0.11mmol)の0.2mLの2−プロパノール溶液に添加した。反応混合物を170℃に加熱し、40分間マイクロ波照射下に撹拌した。室温に冷却後、溶媒を真空下で除去し、残留物を1mLのDMSOに再溶解し、質量により引き金を引かれる(mass-triggered)HPLCで精製して、表題化合物を得た。
【0162】
実施例22
2−(4−(5−イソプロポキシ−4−(4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニルアミノ)−5−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−イルアミノ)−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)アセトアミド(69)
【化106】

82uLのEtN(0.69mmol)を、40mg N−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−5−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2,4−ジアミン(11)(0.069mmol)および28.5mg 2−ブロモアセトアミド(0.207mmol)の1mLのDMF溶液に添加した。反応混合物を100℃に加熱し、10分間、マイクロ波照射下に撹拌した。室温に冷却後、溶媒を真空下で除去し、残留物を1mLのDMSOに再溶解し、質量により引き金を引かれるHPLCで精製して、表題化合物を得た。
【0163】
表3は、上記実施例を、適当な出発物質を使用して繰り返して得ることができる化合物を記載する。
【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【0164】
実施例23
N5−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N7−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5,7−ジアミン(実施例82)
【化107】

5−アミノ−1−(4−メトキシベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド。
【化108】

1−(アジドメチル)−4−メトキシベンゼン(5g)および2−シアノアセトアミド(5g)の混合物を、ナトリウムエトキシド(1.6gのナトリウムの100mLのエタノール溶液から製造)溶液に添加した。得られた混合物を20時間還流した。それを室温に冷却し、溶媒を減圧下除去した。残った固体を水(20mL)に溶解し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、残留物を熱水から結晶化して、所望の生成物5−アミノ−1−(4−メトキシベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミドを得た。C1113(m/z)のESMS計算値: 247.1;実測値(M + H+): 248.1
【0165】
3−(4−メトキシベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5,7−ジオール
【化109】

5−アミノ−1−(4−メトキシベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド(0.9g)およびジエチルカーボネート(1.2mL)のTHF(30mL)溶液に、カリウムtert−ブトキシド(1.2g)を添加した。混合物を窒素下6時間還流した。それを、次いで室温に冷却した。水(20mL)を添加し、反応混合物を約20mLに濃縮した。それを1N HClでpH6に中和し、濾過した。固体を回収し、水で洗浄し、空気乾燥して、所望の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD-d4) δ 7.24 (d, 2H), 7.21 (m, 1H), 6.92 (d, 2H), 6.88 (m, 1H), 5.52 (s, 2H), 3.78 (s, 3H)ppm; C12H11N5O3(m/z)のESMS計算値: 273.0, 実測値(M + H+): 274.0。
【0166】
5,7−ジクロロ−3−(4−メトキシベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン
【化110】

3−(4−メトキシベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5,7−ジオール(0.8g)、リンオキシクロライド(3mL)およびコリジン(2.1mL)の混合物を120℃で3時間加熱し、室温に冷却した。氷水を添加し、混合物を酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。有機物を合わせ、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下除去し、粗5,7−ジクロロ−3−(4−メトキシベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジンをさらに精製せずに次工程に直接使用した。
【0167】
5−クロロ−N−(2−(イソプロピルチオ)フェニル)−3−(4−メトキシベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−アミン
【化111】

5,7−ジクロロ−3−(4−メトキシベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン(0.03g)および2−(イソプロピルチオ)アニリン(0.1g)のジオキサン(10mL)溶液を、100℃で10時間加熱した。それを、次いで室温に冷却し、酢酸エチル(20mL)を添加した。混合物を飽和重炭酸ナトリウム(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下除去し、残った残留物をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:10)で精製して、所望の生成物を得た。C21H21ClN6OS (m/z)のESMS計算値: 440.1; 実測値(M + H+): 441.1。
【0168】
5−クロロ−N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−(4−メトキシベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−アミン
【化112】

5−クロロ−N−(2−(イソプロピルチオ)フェニル)−3−(4−メトキシベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−アミン(0.1g)のジクロロメタン(25mL)溶液に、3−クロロペルオキシ安息香酸(77%、230mg)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。ジクロロメタン(20mL)を添加し、混合物を飽和重炭酸ナトリウム(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下除去し、残った残留物をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製して、純粋な所望の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, アセトン-d6) δ 10.81 (s, 1H), 8.82 (d, 1H), 7.96 (d, 1H), 7.82 (dd, 1H), 7.48 (dd, 1H), 7.42 (d, 2H), 6.92 (d, 2H), 5.82 (s, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.68 (m, 1H), 1.36 (d, 6H)ppm; C21H21ClN6O3S (m/z)のESMS計算値: 472.1, 実測値(M + H+): 472.2。
【0169】
N5−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)フェニル)−N7−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5,7−ジアミン(実施例87)
5−クロロ−N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−3−(4−メトキシベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−アミン(10mg)および2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(ピペリジン−4−イル)アニリン(7mg)の2M HCl/ジオキサン(2mL)溶液を加圧チューブに密閉し、110℃で2日間加熱した。それを室温に冷却し、溶媒を減圧下除去した。残った残留物をトリフルオロ酢酸(2mL)に溶解し、80℃で2時間加熱した。トリフルオロ酢酸を除去し、残った生成物を分取LC−MSで精製して、所望の生成物を得た。1H NMR (400 MHz, MeOD-d4) δ 8.67 (d, 1H), 7.98 (m, 2H), 7.74 (t, 1H), 7.43 (t, 1H), 6.82 (s, 1H), 4.61 (m, 1H), 3.57 (m, 2H), 3.38 (m, 1H), 3.18-3.24 (m, 2H), 2.26 (s, 3H), 2.03 (m, 2H), 1.82-1.93 (m, 2H), 1.41 (d, 6H), 1.31 (d, 6H)ppm; C28H36N8O3S (m/z)のESMS計算値: 564.2 (M + H+), 実測値: 565.2。
【0170】
実施例24
N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−N6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−7−メチル−7H−プリン−2,6−ジアミン(実施例89)
【化113】

2−クロロ−N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−7−メチル−7H−プリン−6−アミン
【化114】

MCPBA(2.2当量)のスラリーを、2−クロロ−N−(2−(イソプロピルチオ)フェニル)−7−メチル−7H−プリン−6−アミン(1当量)のCHCl(2mL/mmol)溶液に室温で添加する。2時間、環境温度で撹拌後、本反応を5mLの飽和水性NaSO溶液の添加によりクエンチし、得られた2層を分離する。水性層をCHClで抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、濃縮した。得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーを使用して精製して、所望の生成物を白色固体として得た。
【0171】
N2−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−N6−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−7−メチル−7H−プリン−2,6−ジアミン
2−クロロ−N−(2−(イソプロピルスルホニル)フェニル)−7−メチル−7H−プリン−6−アミン(1当量)のイソプロパノール懸濁液に、2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)アニリン(1当量)および4−メチルベンゼンスルホン酸(1当量)を添加した。懸濁液を150℃で3時間撹拌し、室温に冷却し、溶媒を蒸発させた。残留物を分取HPLCを使用して精製して、所望の生成物をガム状固体として得た。
【0172】
表4は、上記実施例を、適当な出発物質を使用して繰り返して得ることができる化合物を記載する。
【表31】

【表32】

【表33】

【0173】
アッセイ
本発明の化合物を、下記のアッセイならびに当分野で既知の他のアッセイを使用して、ALKを阻害する能力について評価し得る。
【0174】
Ba/F3細胞株パネルおよび試薬
Ba/F3はマウスIL−3依存性プロBリンパ腫細胞株である。親Ba/F3細胞を使用して、TELのアミノ末端部分(アミノ酸1−375)またはBCRとの融合により活性化された個々のチロシンキナーゼでの安定なトランスダクションにより、増殖および生存をIL−3非依存性としたサブラインのパネルである。Tel−チロシンキナーゼ(TK)融合物で形質転換されたBa/F3細胞株を得るために、親Ba/F3細胞を、各キナーゼドメインを担持するレトロウイルスに感染させ、ピューロマイシン選択に付し、IL−3回収して、IL−3非依存性の、形質転換Ba/F3細胞を得る。
【0175】
各形質転換Ba/F3細胞を10%FBS(Hyclone Cat #SV30014.03, Logan, UT)、4.5g/L グルコース(Sigma #G5400, St.Louis, MO)、1.5g/L 重炭酸ナトリウム(Biowhittaker #17-613E, Walkersville, MD)およびPen/Strep(Gibco #10378-016, Carlsbad, CA)を補ったRPMI−1640培地(Gibco Cat #11875093, Carlsbad, CA)で培養する。細胞を週に2回分ける。
【0176】
Ba/F3細胞生存能阻害アッセイ
試験化合物の種々のTel−TK形質転換Ba/F3系に対する効力を次の通り試験する。対数増殖期BaF3 Tel−TK細胞を新鮮な培地で75,000細胞/mLに希釈し、384ウェルプレート(3750細胞/ウェル)に50μL/ウェルでμFill液体ディスペンサー(BioTek, Winooski, VT, USA)を使用して播種する。デュプリケートプレートを各細胞株で用いる。試験および対照化合物をDMSOで連続的に希釈し、ポリプロピレン384ウェルプレートに配置する。50nLの化合物を、ピン−トランスファーデバイスを使用してアッセイプレートに移す、プレートを37℃(5%CO)で48時間インキュベートする。25μL Bright-Glo(Promega, Madison, WI, USA)を添加し、蛍光をAnalyst GT (Perkin Elmer, Wellesley, MA)を使用して定量する。カスタム曲線適合ソフトウェアを使用して、阻害剤濃度の対数の関数としての細胞生存能のロジスティックフィットを得る。IC50を、DMSO対照の50%に細胞生存能を減少させるのに必要な化合物濃度として内挿する。IL−3(最終1ng/ml)の存在下に維持し、培養している親Ba/F3細胞を、IL−3(最終1ng/ml)を含む新鮮な培地で75,000細胞/mLに希釈し、上記と同じ方法を続ける。
【0177】
Kapas 299細胞アッセイ
ルシフェラーゼ処理した(Luciferized)Karpas 299(Karpas299-Luc)を、ルシフェラーゼ遺伝子をコードするレトロウイルスに感染させ、10%FBS、1%P/S/L−Gluを補ったRPMI−1649培地で培養することにより産生する。1日目に、細胞を回収し、150,000細胞/ml(細胞数をViCell(BD)を使用して計算)の密度で再懸濁する。細胞を希釈懸濁液から384ウェルアッセイプレートに50μl体積でμFill(Bio-TEK)を使用して分配する。連続希釈化合物(DMSO中)を、50nLピンヘッドを使用してプレートに移す。アッセイプレートを37℃で48時間インキュベートする。4日目に、25μl/ウェルのBright-Glo試薬(Promega)をμFill(Bio-TEK)を使用して添加する。30分以内に、ルシフェラーゼシグナルを、ルシフェラーゼ検出用のデフォルト設定のAnalyst GTを使用して測定する。
【0178】
酵素的HTRFアッセイ
IGF−1RおよびINSR(インスリン受容体)をUpstateから購入する。次の試薬を社内で製造する;10×キナーゼ緩衝液(KB)(200mM トリス(pH7.0)、100mM MgCl、30mM MnCl、50nM NaVO)、10mM ATP、100mg/ml BSA、0.5M EDTA、4M KF。Perkin-ElmerからのProxiplate-384を計画したアッセイに使用する。基質(ビオチン−ポリ−GT(61GT0BLB)、Mab PT66-K、(61T66KLB)、ストレプトアビジン−XLent(611SAXLB))を含む全HTRF試薬をCIS-US, Inc.から購入する。
【0179】
基質/ATPミックスをATP(最終濃度、3μM)およびビオチニル化ポリ−GT(最終濃度、10ng/μl)を1×KBに添加することにより調製し、Proxiplate−384に5μl/ウェルでμFill(Bio-TEK)を使用して分配する。連続希釈化合物(DMSO中)を、50nLピンヘッドを使用してプレートに移す。5μLの調製した酵素ミックス(酵素(最終濃度、5ng/μl)、BSAおよびDTTと1×KB中で根号)をμFill(Bio-TEK)を使用して添加して、キナーゼ反応を開始させる。アッセイプレートを室温で2時間インキュベートする。検出ミックスをMab PT66-Kおよびストレプトアビジン−XLentの両方をKF(最終濃度、125mM)、EDTA(最終濃度、50mM)およびBSA(最終濃度、100μg/ml)含有0.5×KB溶液に添加することにより調製する。反応終了時、10μLの検出ミックスを添加し、30分間、室温でインキュベートした後、測定する。HTRFシグナルをAnalyst-GT(molecular dynamic)を使用して検出する。
【0180】
IGF1−S3−5またはINSR−S3−5についてRE1−pGL3を使用したU2OS細胞でのレポーターアッセイ
Mc−Coy 10%FBS中に10M細胞/T175 Flaskを播種し、4日間後培地を吸引し、新鮮培地を添加する。翌日(播種5日後)、細胞をトリプシン処理し、1回PBSで洗浄し、次いでP/S/Gを含むMc−Coy培地4%脱脂血清に再懸濁する。細胞を計数し、400,000細胞/mlに希釈する。
【0181】
95mlの細胞(400000細胞/ml(40M))に対し、次のDNA/Fugene6ミックスを調製する:血清なしの5ml Mc−Coy培地;120μg DNAミックス(20μg IGF1R−S3−5またはINSR−S3−5+100μg RE1−pGL3);および240μL Fugene6試薬。DNA/Fugene6ミックスを15分間インキュベートし、それを4%脱脂血清中の細胞に添加する。384ウェルプレートで50μL/ウェルに分配する。22−24時間後、50nLの連続希釈化合物をピンヘッドを使用して分配する。30分後、Mc−Coy 4%脱脂血清に希釈した2μLの26×IGF1(または100×インスリン)用量をμFillを使用して添加する。30時間後、25μL 100%bright-gloを添加し、蛍光測定のためにAnalyst-GTで読み取る。
【0182】
ここに記載する実施例および態様は説明のみを目的とするものであり、それに照らした種々の改変および変化が当業者には示唆され、本明細書の精神および範囲内におよび添付の請求の範囲の範囲内に包含されることは理解されるべきである。ここに引用する全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のために引用によりここに包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物または(2):
【化1】

〔式中、
およびRは独立してH、C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであり;
はハロ、C1−6アルキル、またはハロ置換C1−6アルキルであり;
はHであるか;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となってN、OおよびSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、所望により1〜2個のR10基で置換されていてよい、5−6員環を形成してよく、そしてR10はハロ、所望によりフェニルまたはNRで置換されていてよいC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルであり;
、RおよびRは独立してC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、この各々は所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基;ハロ、ニトロ、シアノ、CR(OR17)R17、OR17、NR(R17)、CR(R17)NRR17、(CR)Y、C(O)O0−117、C(O)NR(R17)、C(O)CRR17−NR(R17)、C(O)NR(CR)NR(R17)、C(O)NR(CR)OR17、C(O)NR(CR)SR17、C(O)NR(CR)S(O)1−218、S(O)0−218、(CR)1−6NR(CR)OR17、(CR)1−6NR(CR)C(O)R18、S(O)NRR17、S(O)NR(CR)NR(R17)、またはS(O)NR(CR)OR17で置換されていてよく;ここで、Rは、縮合環の任意の位置に存在してよく;
はS(O)0−219、S(O)NRR20またはC(O)NR(R20)であり;ここで、R19およびR20は独立してC1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキルまたはC3−7シクロアルキルであるか;またはR20はHであり;
各Rは独立して−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−C(O)−CR(R17)−NRR17、−L−C(O)−NR−(CR)−NRR17、−L−C(O)NR(CR)OR17、−L−C(O)−(CR)−NR−C(O)−R18、−L−C(O)NR(CR)SR17、−L−C(O)NR(CR)S(O)1−218、(CR)NR(CR)OR17または(CR)NR−L−C(O)R18、−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化2】

から選択される基であり;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は独立してH、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルから選択され、この各々は所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよく;またはR11およびR12、R12およびR15、R15およびR16、R13およびR14、またはR13およびR15は、それらが結合している炭素および/または窒素原子と一体となって、所望によりC(O)、N、OおよびS(O)0−2から選択される3個までの原子または基を含んでよい3−7員の飽和、不飽和または部分的不飽和環を形成してよく;
Lは(CR)1−4または結合であり;
17およびR18は独立してC1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであるか;またはR17はHであり;
YはC3−12炭素環式環、C6−10アリール;または5−10員ヘテロアリールまたは4−10員ヘテロ環式環であり;この各々は所望により1−3個のR基で置換されていてよく;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;
pは2−4であり;そして
qは0−4である。〕
の化合物、またはその生理学的に許容される塩。
【請求項2】
式(2A):
【化3】

〔式中、
はハロであり;
はS(O)0−219であり;
はメトキシ、エトキシまたはイソプロポキシであり;
は−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化4】

から選択される基であり;
ここで、R、R、R、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、Lおよびpは請求項1で定義した通りである。〕
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(3):
【化5】

〔式中、
はハロであり;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって1−3個のNヘテロ原子を含む、所望により1−2個のR10基で置換されていてよい5−6員環を形成してよく;
5aおよびR5bは独立してハロ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルコキシであり;
はS(O)0−219
、R、R、R10およびR19は請求項1で定義した通りである。〕
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
5aがメトキシまたはイソプロポキシであり;
5bがまたはメチルであり;
が−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化6】

から選択される基であり;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、Lおよびpは請求項1で定義した通りである、
請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式(3A)、(3B)、(3C)または(3D):
【化7】

〔式中、
5aはメトキシまたはイソプロポキシであり;
5bはメチルであり;
10b、R10e、R10fおよびR10hは独立してHまたはC1−6アルキルであり;
10a、R10c、R10dおよびR7gは独立してH、ハロ、C1−6アルキル、NR、または所望により置換されていてよいフェニルであり;そして
、R、R、RおよびRは請求項1で定義した通りである。〕
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が−L−CR(OR17)−C(2t+1)(式中、tは1−3である);−L−S(O)18、−L−S(O)NRR17、−L−S(O)NR(CR)NR(R17)、−L−S(O)NR(CR)OR17または式(a)、(b)、(c)または(d):
【化8】

から選択される基であり;
ここで、R11、R12、R13、R14、R15、R16、Lおよびpは請求項1で定義した通りであり;そして
17およびR18は独立してC1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであるか;またはR17がHである、
請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
およびRがHである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
次の群から選択される、請求項1に記載の化合物:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【請求項9】
式(4)または(5):
【化9】

〔式中、
ZはNR9aまたはOであり;
およびRは独立してH、C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであり;
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって次のものから選択される環を形成し:
【化10】

5aおよびR5bは独立してハロ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルコキシであり;
はS(O)0−219、S(O)NRR20またはC(O)NR(R20)であり;ここで、R19およびR20は独立してC1−6アルキルまたはハロ置換C1−6アルキルであるか;またはR20はHであり;
各R9aは独立してH、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;−(CR)−OR17、−L−C(O)−R17、−C(O)O−R17または−L−C(O)−NRR17であり;ここで、RおよびR17は、NRR17のNと一体となって所望によりOまたはSを含んでよい5−6員環を形成してよく;
Lは(CR)1−4または結合であり;
17およびR18は独立してベンジル、所望によりハロで置換されていてよいC1−6アルキル、または所望によりC1−6アルキルまたはハロで置換されていてよいC3−7シクロアルキルであるか;またはR17はHであり;
21、R22、R24、R27およびR29は独立してHまたはC1−6アルキルであり;
23、R25、R26およびR28は独立してH、C1−6アルキル、NRまたはハロであり;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;
pは2−4である;
ただし、R22およびR23は両方ともHではなく;R24、R25およびR26は全てHではなく;そしてR27およびR28は両方ともHではない。〕
の化合物、またはその生理学的に許容される塩。
【請求項10】
式(4)の化合物であり、そして次のものから成る群から選択される、請求項9に記載の化合物:
【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【請求項11】
化合物が式(5)であり、そしてR9aがH、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
化合物が次のものから成る群から選択される、請求項11に記載の化合物:
【表15】

【請求項13】
治療的有効量の請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物および生理学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項14】
Ros、IGF−1R、InsRおよび未分化リンパ腫キナーゼから選択されるキナーゼを細胞中で阻害する方法であって、該細胞と有効量の請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬組成物を接触させることを含む、方法。
【請求項15】
自己免疫性疾患、移植疾患、感染性疾患または細胞増殖性障害である、Ros、IGF−1R、InsRおよび未分化リンパ腫キナーゼから選択されるキナーゼが仲介する状態の処置に、所望により第二の治療剤と組み合わせて使用するための医薬の製造のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、またはその医薬組成物の使用。
【請求項16】
多発性骨髄腫、神経芽腫、リンパ腫、白血病、黒色腫、肉腫、骨肉腫、滑膜肉腫、ユーイング肉腫、肝細胞腫、消化器間質腫瘍または乳房の固形腫瘍、腎臓、前立腺、結腸直腸、甲状腺、卵巣、膵臓、肺、子宮、呼吸器、脳、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭頚部、甲状腺または副甲状腺である細胞増殖性障害の処置に、所望により第二の治療剤と組み合わせて使用するための医薬の製造のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物、またはその医薬組成物の使用。
【請求項17】
第二の治療剤が化学療法剤である、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
式(6)
【化11】

〔式中、
Wは1−3個の窒素原子を含む5−6員環であり;
は所望によりハロ、アミノまたはヒドロキシル基で置換されていてよいC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;ハロ、ニトロ、シアノ、CR(OR17)R17、OR17、NR(R17)、CR(R17)NRR17、(CR)Y、C(O)O0−117、C(O)NR(R17)、C(O)CRR17−NR(R17)、C(O)NR(CR)NR(R17)、C(O)NR(CR)OR17、C(O)NR(CR)SR17、C(O)NR(CR)S(O)1−218、S(O)0−218、(CR)1−6NR(CR)OR17、(CR)1−6NR(CR)C(O)R18、S(O)NRR17、S(O)NR(CR)NR(R17)、またはS(O)NR(CR)OR17であり;
17およびR18は独立して(CR)YまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、この各々は所望によりハロ、アミノ、アミド、ヒドロキシル、アルコキシ、シアノ、カルボキシルまたはYで置換されていてよく;またはR17はHであり;
19はC1−6アルキルであり;
YはC3−12炭素環式環、C6−10アリール;または5−10員ヘテロアリールまたは4−10員ヘテロ環式環であり;この各々は所望により1−3個のR基で置換されていてよく;
各RはHまたはC1−6アルキルであり;
pは2−4であり;
qは0−4である。〕
の化合物の合成方法であって:
a) 式(6a)
【化12】

の化合物と式(6b)
【化13】

の化合物またはその薬学的に許容される塩を、式(6c)
【化14】

の中間体を形成させるのに十分な条件下で接触させ;
b) 該式(6c)の中間体と酸化剤を接触させて、式(6d);
【化15】

〔式中、XおよびXは脱離基である。〕
の中間体を形成させ;そして
c) 該式(6d)の中間体と式(6e)
【化16】

またはその薬学的に許容される塩を、式(6)の化合物またはその薬学的に許容される塩を形成させるのに十分な条件下で接触させることを含む、方法。
【請求項19】
式(6)の化合物が式(6f)、(6g)、(6h)または(6i):
【化17】

〔式中、
5aはメトキシまたはイソプロポキシであり;
5bはメチルであり;
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f、R10gおよびR10hは独立してH、ハロ、C1−6アルキル、NH、ハロ、または所望により置換されていてよいフェニルであり;そして
各R19は請求項18に定義した通りである。〕
の化合物である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
式(6e)の化合物を、
i) 式(7)
【化18】

の化合物とアルキル化剤を反応させて、式(8)
【化19】

の中間体を形成させ;
ii) 該式(8)を還元して式(6e)の化合物を形成させ;
ここで、RおよびR19は請求項18で定義した通りである、
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
アルキル化剤がp−トルエンスルホン酸メチルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式(8)の中間体を水素化により還元する、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2011−516555(P2011−516555A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504086(P2011−504086)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/039383
【国際公開番号】WO2009/126515
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】