説明

タンパク質汚れの再堆積物を除去/防止する方法

タンパク質汚れを除去し、かつ表面上への汚れの再堆積を防止するための方法及び組成物が提供される。該組成物は、約1質量%〜約90質量%の糖類、約1質量%〜約80質量%のアルカリ源及び約1質量%〜約10質量%の界面活性剤成分を含む。該糖類は、サッカリド又は非サッカリド系糖類でよい。該組成物は、リン含有化合物を実質的に含まず、かつ約0.05質量%未満のアルカリ土類金属を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
一般に、本発明は、洗浄組成物の分野に関する。より詳細には、本発明は、タンパク質汚れの再堆積を除去/防止するための組成物及び方法である。
【背景技術】
【0002】
背景
物品洗浄及び洗濯業界において使用されている従来型の洗剤は、アルカリ性洗剤を含む。典型的には、工業用途及び消費者使用の両方を対象としたアルカリ性洗剤は、リン酸塩を含む。リン酸塩は、水の硬度を減らすだけでなく、洗浄力、再堆積防止性及び結晶変態を増やすために、洗剤中で概ね使用される多機能成分である。洗浄力は、汚れを湿らし、汚れを乳化し、汚れを懸濁し、汚れに浸透し、そして汚れを分散する能力として定義される。
【0003】
より詳細には、トリポリリン酸ナトリウムなどのポリリン酸塩及びそれらの塩が、それらの炭酸カルシウム沈殿を防ぐ能力及びそれらの汚れを分散及び懸濁する能力のために、洗剤に使用される。炭酸カルシウムが沈殿させられると、その結晶は、洗浄されている表面に付着して、好ましくない影響を引き起こすであろう。例えば、物品の表面上の炭酸カルシウム沈殿物は、物品の美的外観に悪影響を及ぼして、物品の外観を汚すことがある。洗濯領域では、炭酸カルシウムが沈殿して、布帛の表面上に付着すると、その結晶は、布帛の感触を硬くし、かつ手触りを粗くするであろう。炭酸カルシウムの沈殿を防ぐことに加えて、トリポリリン酸ナトリウムの汚れを分散し、かつ懸濁する能力は、汚れが洗浄溶液又は洗浄水中に再堆積しないようにすることにより、溶液の洗浄力を促進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生態系への懸念のために、洗剤中のリンの置換に関する研究が行われている。したがって、本技術分野では、リン酸塩、ホスホン酸塩、亜リン酸塩、及びアクリルホスフィネートポリマーなどのリン含有化合物の性質に取って代わることが可能であり、かつ環境的に配慮した多機能成分が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
一実施形態では、本発明は、表面からタンパク質汚れを除去して、該表面上へのタンパク質汚れの再堆積を防止する方法である。本方法は、洗浄サイクルの洗浄工程中にタンパク質除去/再堆積防止剤(タンパク質除去及び/又は再堆積防止剤)を導入する工程、洗浄サイクルの洗浄工程中に洗浄剤組成物を導入する工程、並びに表面にタンパク質除去/再堆積防止剤及び洗浄剤組成物を接触させる工程を含む。タンパク質除去/再堆積防止剤は糖類を含み、そして洗浄剤組成物は、アルカリ源及び界面活性剤成分を含む。界面活性剤は、洗浄剤組成物の最大で約15質量%を構成する。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、タンパク質汚れを除去し、かつ表面上への汚れの再堆積を防止するための組成物である。本組成物は、約1質量%〜約90質量%の糖類、約1質量%〜約80質量%のアルカリ源、約1質量%〜約10質量%の界面活性剤成分及び約0.05%未満のアルカリ土類金属を含む。糖類は、サッカリド又は非サッカリド系糖類でよい。
【0007】
さらに別の実施形態では、本発明は、糖類、アルカリ源及び界面活性剤を含む洗浄剤組成物である。本洗浄剤組成物の0.5%〜2.5%溶液は、約10〜約12.5のpHを有する。
【0008】
複数の実施形態が開示されているが、当業者にとっては、本発明の説明的な実施形態を示し、かつ説明している下記の詳細な説明から、本発明のさらに他の実施形態が明らかになるであろう。それ故に、図面及び詳細な説明は、実際には説明的なものと見なされるべきであり、限定的なものと見なされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本発明は、洗浄組成物、及び洗浄剤組成物を用いて、表面からタンパク質汚れを除去し、そして表面上の汚れの再堆積を防止する方法に関する。洗浄剤組成物は、タンパク質汚れを除去し、かつ再堆積を防止するための化学物質を含み、その化学物質はサッカリド及び/又は非サッカリド系糖類を含む。一実施形態では、洗浄剤組成物は、リン酸塩を実質的に含まない。今のところ当技術分野で知られているような大半の洗浄組成物とは異なり、本洗浄剤組成物は、有効であるためにリン酸塩を含む必要がない。したがって、本発明の洗浄剤組成物は、従来の洗浄組成物に代わる無公害の代替物を提供する。さらに、一実施形態では、本洗浄剤組成物は、アルカリ土類金属を実質的に含まない。本洗浄剤組成物は、限定されるものではないが:物品洗浄(企業及び消費者向け)、食品及び飲料、ヘルスケア及びテキスタイルケアを含む様々な業界で使用されることができる。より詳細には、本洗浄剤組成物は、ガラス、セラミック、プラスチック及び金属表面上で安全に使用されることができる。
【0010】
洗浄剤組成物は、タンパク質汚れの除去/洗浄されている表面上への汚れの再堆積の防止に役立つ糖類を含む。糖類は、タンパク質汚れを除去し、かつ再堆積防止剤として機能するために伝統的に利用されている成分に対して、コストの低い代替物を提供する。さらに、スクロース及びソルビトールなどの糖類は、生分解性であり、かつ一般に安全と認められている(Generally Recognized As Safe、グラス[GRAS])。糖類は、サッカリド又は非サッカリド系糖類であることができる。典型的かつ適切なサッカリド系糖類としては、限定されるものではないが:グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラフィノース、トレハロース、スクロース、マルトース、ツラノース、セロビオース、ラフィノース、メレチトース、マルトリオース(maltriose)、アカルボース、スタキオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース、セドヘプロース(sedohepulose)、オクトース(octuse)、ノノース、エリトロース、テオース(theose)及びそれらの組み合わせが挙げられる。特に適切なサッカリド系糖類の例としては、限定されるものではないが、グルコース及びスクロースが挙げられる。例示的かつ適切な非サッカリド系糖類としては、限定されるものではないが:アラビトール、エリスリトール、グリセロール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、水素化デンプン加水分解物(以下、「HSH」という)、スクラロース、グリチルリジン、モナチン、タガトース及びそれらの組み合わせが挙げられる。特に適切な非サッカリド系糖類の例としては、限定されるものではないが、ソルビトールが挙げられる。サッカリドと非サッカリド系糖類の組み合わせも使用されることができる。
【0011】
また、洗浄剤組成物は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、又はアルカリ金属ケイ酸塩などのアルカリ源を含む。適切なアルカリ源の例としては、限定されるものではないが:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、又はアルカリ金属水酸化物とアルカリ金属炭酸塩の混合物が挙げられる。特に適切なアルカリ源の例としては、限定されるものではないが:炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、又は炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合物が挙げられる。使用溶液を形成するために水が洗浄剤組成物に加えられるときに、アルカリ源は、得られた溶液のpHを制御する。十分な洗浄性を提供するために、洗浄剤組成物のpHは、アルカリ性の範囲に維持されなければならない。典型的な実施形態では、約0.5%〜約2.5%溶液では、洗浄剤組成物のpHは、約10〜約12.5である。洗浄剤組成物のpHが、低すぎるならば(例えば、約10を下回るならば)、洗浄剤組成物は、適切な洗浄性を提供しないであろう。洗浄剤組成物のpHが、高すぎるならば(例えば、約12〜12.5を上回るならば)、洗浄剤組成物は、アルカリ性になりすぎて、被洗浄面を損傷し始めるであろう。
【0012】
また、洗浄剤組成物は、消泡剤及び湿潤剤として主に機能する界面活性剤成分を含む。アニオン性、非イオン性、カチオン性及び両性界面活性剤を含む様々な界面活性剤が、使用されることができる。界面活性剤の詳細については、参照により本明細書に援用される「Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Third Edition,volume 8,pages 900-912」を参照されたい。
【0013】
洗浄剤組成物中で有用である適切なアニオン性界面活性剤の例としては、限定されるものではないが:アルキルカルボキシレート(カルボン酸塩)及びポリアルコキシカルボキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、ノニルフェノールエトキシレートカルボキシレートなどのカルボキシレート;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルアリールスルホネート、スルホン化脂肪酸エステルなどのスルホネート;硫酸化アルコール、硫酸化アルコールエトキシレート、硫酸化アルキルフェノール、アルキル硫酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルスルフェートなどのスルフェートが挙げられる。幾つかの特に適切なアニオン性界面活性剤としては、限定されるものではないが:ナトリウムアルキルアリールスルホネート、アルファ−オレフィンスルホネート及び脂肪族アルコールスルフェートが挙げられる。
【0014】
非イオン性界面活性剤は、脱泡のために湿潤剤として使用されることができる。洗浄剤組成物中で有用である典型的な非イオン性界面活性剤としては、界面活性剤分子の一部分としてポリアルキレンオキシドポリマーを有するものが挙げられる。適切な非イオン性界面活性剤の例としては、限定されるものではないが:脂肪族アルコールの、塩素−、ベンジル−、メチル−、エチル−、プロピル、ブチル−及びアルキル−キャッピングされたポリエチレングリコールエーテル;アルキルポリグルコシドなどのポリアルキレンオキシドを含まない非イオン性物質;ソルビタン及びスクロースエステル並びにそれらのエトキシレート;アルコキシ化エチレンジアミン;アルコールエトキシレートプロポキシレート、アルコールプロポキシレート、アルコールプロポキシレートエトキシレートプロポキシレート、アルコールエトキシレートブトキシレートなどのアルコールアルコキシレート;ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレングリコールエーテルなど;グリセロールエステル、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のエトキシ化物及びグリコールエステルなどのカルボン酸エステル;ジエタノールアミン縮合物、モノアルカノールアミン凝縮物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどのカルボン酸アミド;並びにエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーを含むポリアルキレンオキシドブロックコポリマーが挙げられる。特に適切な非イオン性界面活性剤の例としては、限定されるものではないが:3モルのエチレンオキシド(EO)及び6モルのプロピレンオキシド(PO)を有するC12〜C14脂肪族アルコール、並びにPO−EO−POブロックコポリマー界面活性剤が挙げられる。適切な市販の非イオン性界面活性剤の例としては、限定されるものではないが:BASF社(ニュージャージー州、フローラムパーク)から入手可能な「プルロニック(PLURONIC)25R2」;ゴールドシュミット・ケミカル(Goldschmidt Chemical)社(バージニア州、ホープウェル)から入手可能な「ABIL B 8852」;及びコグニス(Cognis)社(独国、モンハイムに本社がある)から入手可能な「デヒポン(Dehypon)LS−36」が挙げられる。
【0015】
洗浄剤組成物中に含有させるのに有用なカチオン性界面活性剤としては、限定されるものではないが:C18アルキル又はアルケニル鎖を有する一級、二級及び三級アミン、エトキシ化アルキルアミン、エチレンジアミンのアルコキシレートなどのアミン;1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン、2−アルキル−l−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリンなどのイミダゾール;並びに四級アンモニウム塩、例えば、n−アルキル(C12〜C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、n−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物などのアルキル四級アンモニウムクロリド界面活性剤、及びジメチル−1−ナフチルメチルアンモニウムクロリドなどのナフタレン置換型四級アンモニウムクロリドが挙げられる。界面活性剤の更に多数のリストについては、参照により本明細書に援用される「McCutcheon's Emulsifiers and Detergents」を参照されたい。
【0016】
濃縮形態では、洗浄剤組成物の成分濃縮物は、洗浄剤組成物が固体又は液状の状態であるかどうかに応じて、変わるであろう。固体形態では、洗浄剤組成物は、約1質量%〜約90質量%の糖類、約1質量%〜約80質量%のアルカリ源及び約1質量%〜約15質量%の界面活性剤成分を含む。詳細には、洗浄剤組成物は、約1質量%〜約60質量%の糖類、約1質量%〜約65質量%のアルカリ源及び約1質量%〜約10質量%の界面活性剤成分を含む。より詳細には、洗浄剤組成物は、約1質量%及び約35質量%の糖類、約1質量%〜約55質量%のアルカリ源並びに約1質量%〜約5質量%の界面活性剤成分を含む。また、他の実施形態では、類似する濃縮物が、本発明の洗浄剤組成物中に存在してよい。
【0017】
液体形態では、洗浄剤組成物は、約1質量%〜約60質量%の糖類、約1質量%〜約40質量%のアルカリ源及び約1質量%〜約10質量%の界面活性剤成分を含む。詳細には、洗浄剤組成物は、約1質量%〜約40質量%の糖類、約1質量%〜約25質量%のアルカリ源及び約1質量%〜約6質量%の界面活性剤成分を含む。より詳細には、洗浄剤組成物は、約1質量%〜約20質量%の糖類、約1質量%〜約15質量%のアルカリ源及び約1質量%〜約3質量%の界面活性剤成分を含む。また、他の実施形態では、類似する濃縮物が、本発明の洗浄剤組成物中に存在してよい。
【0018】
一実施形態では、タンパク質除去/再堆積防止剤(タンパク質除去及び/又は再堆積防止剤)は、洗浄剤組成物の約0.1質量%〜約85質量%を構成する。詳細には、タンパク質除去/再堆積防止剤は、洗浄剤組成物の約1質量%〜約60質量%を構成する。より詳細には、タンパク質除去/再堆積防止剤は、洗浄剤組成物の約2質量%〜約20質量%を占める。
【0019】
また、洗浄剤組成物は、リン含有化合物を実質的に含まない。「リンを実質的に含まない」とは、リン含有化合物を加えていない組成物をいう。典型的な実施形態では、洗浄剤組成物は、約2質量%未満の、リン酸塩、ホスホン酸塩、及び亜リン酸塩、又はそれらの混合物を含む。詳細には、洗浄剤組成物は、約1質量%未満の、リン酸塩、ホスホン酸塩、及び亜リン酸塩を含む。より詳細には、洗浄剤組成物は、約0.5質量%未満の、リン酸塩、ホスホン酸塩、及び亜リン酸塩を含む。最も詳細には、洗浄剤組成物は、約0.1質量%未満の、リン酸塩、ホスホン酸塩、及び亜リン酸塩を含む。
【0020】
また、一実施形態では、洗浄剤組成物は、アルカリ土類金属を実質的に含まない。「アルカリ土類金属を実質的に含まない」とは、アルカリ土類金属を加えていない組成物をいう。典型的な実施形態では、洗浄剤組成物は、約1質量%未満の、単数若しくは複数のアルカリ土類金属、又はそれらの混合物を含む。詳細には、洗浄剤組成物は、約0.5質量%未満の、アルカリ土類金属を含む。より詳細には、洗浄剤組成物は、約0.1質量%未満のアルカリ土類金属を含む。最も詳細には、洗浄剤組成物は、約0.05質量%未満のアルカリ土類金属を含む。
【0021】
追加機能性材料
洗浄剤組成物は、追加機能性材料などの追加の成分又は化学物質を含むことができる。ただし、幾つかの実施形態では、タンパク質除去/再堆積防止剤、アルカリ源及び界面活性剤成分を含む洗浄剤組成物が、洗浄剤組成物の全質量の大半又は全てを占めてもよく、例えば、実施形態では、追加機能性材料は、その中にほとんど又は全く分配されていない。機能性材料は、洗浄剤組成物へ所望の性質及び機能を提供する。本願については、用語「機能性材料」は、使用及び/又は濃縮溶液(例えば、水溶液など)に分散又は溶解されるときに、特定の用途において有効な性質を提供する材料を含む。所望により、タンパク質除去/再堆積防止剤、アルカリ源及び界面活性剤成分を含む洗浄剤組成物は、参照により本明細書に援用される米国特許第7,341,983号明細書に記述されている通り、他の汚れ消化成分、界面活性剤、消毒剤、殺菌剤、酸味剤、錯生成剤、錯化剤、腐食防止剤、発泡防止剤、染料、増粘若しくはゲル化剤、及び香料を含んでよい。機能性材料の幾つかの特定の例は、下記でより詳細に説明されるが、本技術分野及び他分野の当業者は、検討されている特定の材料が、単なる一例として示されており、そして広範な他の機能性材料が、使用されてもよいことを理解されたい。例えば、後述される多くの機能性材料は、洗浄及び/又は脱染用途で使用される材料に関しているが、他の実施形態は、他の用途に適した機能性材料を含んでよいことを理解されたい。
【0022】
増粘剤
本発明に有用な増粘剤としては、酸性製剤と相溶性のあるものが挙げられる。洗浄剤組成物の粘度は増粘剤の量に応じて増加し、そして粘性組成物は、洗浄剤組成物が表面に密着する場合の利用に有用である。適切な増粘剤としては、被処理面上に汚染残留物を残さないものを挙げることができる。一般に、本発明に使用されることができる増粘剤としては、キサンタンゴム、グアーガム、変性グアー、又は植物粘着物に由来する他のガムなどの天然ガム;アルギン酸塩、デンプン、及びセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)などのポリサッカリドを主成分とする増粘剤(ポリサッカリド系増粘剤);ポリアクリレート増粘剤;並びにペクチンなどの親水コロイド増粘剤が挙げられる。一般に、本発明の組成物又は方法に利用される増粘剤の濃度は、最終組成物内の所望の粘度により決定されるであろう。しかし、一般的な指針としては、本組成物内の増粘剤の粘度は、約0.1質量%〜約3質量%、約0.1質量%〜約2質量%、又は約0.1質量%〜約0.5質量%の範囲である。
【0023】
染料及び香料
また、様々な染料、香料を含む付臭剤、及び他の美観向上剤が、洗浄剤組成物に含有されることもできる。組成物の外観を変えるために、染料(例えば、FD&C染料、D&C染料などの種類のいずれか)を含有させることができる。追加の適切な染料としては、ダイレクトブルー86(マイルズ(Miles)社)、ファスツゾールブルー(Fastusol Blue)(モバイ・ケミカル(Mobay Chemical)社)、アシッドオレンジ7(アメリカン・シアナミド(American Cyanamid)社)、ベーシックバイオレット10(サンドス(Sandoz)社)、アシッドイエロー23(GAF社)、アシッドイエロー17(シグマ・ケミカル(Sigma Chemical)社)、サップグリーン(キーストン・アナリン・アンド・ケミカル(Keyston Analine and Chemical)社)、メタニルイエロー(キーストン・アナリン・アンド・ケミカル社)、アシッドブルー9(ヒルトン・デイビス(Hilton Davis)社)、サンドランブルー/アシッドブルー182(サンドス社)、ヒゾルファストレッド(キャピタル・カラー・アンド・ケミカル(Capitol Color and Chemical)社)、フルオレセイン(キャピタル・カラー・アンド・ケミカル社)、アシッドグリーン25(チバ・ガイギー(Ciba−Geigy)社)、ピラコールアシッドブライトレッド(Pylakor Acid Bright Red)(ピラム(Pylam)社)などが挙げられる。組成物に含めてよい芳香剤又は香料としては、例えば、シトロネロールなどのテルペノイド、桂皮アルデヒドなどのアルデヒド、cis−ジャスミン又はヤスマール/ジャスマルなどのジャスミン、バニリンなどが挙げられる。
【0024】
すすぎ助剤
所望により、洗浄剤組成物は、すすぎ助剤組成物、例えば、結合剤を用いて形成された固体組成物中で、他の含有物と合わせて湿潤又はシート化剤を含むすすぎ助剤製剤を含むことができる。すすぎ助剤成分は、洗浄水の表面張力を減らして、シート化作用を促進するか、及び/又は、例えば物品洗浄プロセスにおいて、すすぎが完了した後に、ビーズ状になった水により発生する染み付き又は筋付きを防ぐことができる。シート化剤の例としては、限定されるものではないが:エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又は混合物からホモポリマー又はブロック若しくはヘテロコポリマー構造として調製されるポリエーテル化合物が挙げられる。そのようなポリエーテル化合物は、ポリアルキレンオキシドポリマー、ポリオキシアルキレンポリマー又はポリアルキレングリコールポリマーとして知られる。そのようなシート化剤は、界面活性を分子に提供するために、個別の疎水性領域及び個別の親水性領域を必要とする。
【0025】
漂白剤
所望により、洗浄剤組成物は、物質を美白化又は漂白するための漂白剤を含むことができ、かつ典型的には洗浄工程中に見られる条件下で、Cl、Br、−OCl−及び/又は−OBr−などのような活性ハロゲン種を放出可能な漂白化合物を含むことができる。適切な漂白剤の例としては、限定されるものではないが:塩素、次亜塩素酸塩又はクロラミンなどの塩素含有化合物が挙げられる。適切なハロゲン放出化合物の例としては、限定されるものではないが:アルカリ金属ジクロロイソシアヌル酸塩、アルカリ金属次亜塩素酸塩、モノクロラミン、及びジクロロアミン(dichloroamine)が挙げられる。また、カプセル化された塩素源は、組成物中の塩素源の安定性を強化するために使用されることができる。例えば、米国特許第4,618,914号明細書及び米国特許第4,830,773号明細書を参照されたい。これらの開示内容は、参照により本明細書に援用される。また、漂白剤は、活性酸素源を含むか、又は活性酸素源として機能する化学物質を含んでよい。活性酸素化合物は、活性酸素源を提供するように機能し、かつ水溶液中で活性酸素を放出することができる。活性酸素化合物は、無機物、有機物又はこれらの混合物でよい。適切な活性酸素化合物の例としては、限定されるものではないが:テトラアセチルエチレンジアミンなどの活性剤の有無によらず、過酸素化合物、過酸素化合物付加物、過酸化水素、過ホウ酸塩、炭酸ナトリウム過酸化水和物、ホスフェートペルオキシ水和物、過モノ硫酸カリウム、並びに過ホウ酸ナトリウム一及び四水和物が挙げられる。
【0026】
殺菌剤/抗菌剤
所望により、洗浄剤組成物は、殺菌剤(又は抗菌剤)を含む。抗菌剤としても知られる殺菌剤は、材料系、表面などの微生物汚染及び劣化を防ぐために使用されることができる化学組成物である。一般に、これらの材料は、フェノール成分、ハロゲン化合物、四級アンモニウム化合物、金属誘導体、アミン、アルカノールアミン、ニトロ誘導体、アニリド、有機硫黄及び硫黄−窒素化合物及び混合型化合物を含む特定の種類に属する。
【0027】
所定の抗菌剤、化学組成及び濃度に応じて、微生物数のさらなる増殖を単純に制限するか、又は微生物個体群の全て又は一部を分解することができる。典型的には、用語「細菌(microbe)」及び「微生物(microorganism)」とは、主としてバクテリア、ウィルス、酵母、胞子及び真菌微生物をいう。使用中には、抗菌剤は、典型的には固体機能性材料の状態にされており、固体機能性材料は、希釈又は分配されるときに、所望により、例えば水流により、水性殺菌剤又は殺菌剤組成物を形成し、そして水性殺菌剤又は殺菌剤組成物は、各種の表面と接触できるので、微生物個体群の成長を阻害するか、又は微生物個体群の一部分を殺菌する。殺菌剤組成物によって、微生物個体群の数が10分の一まで減る(three log reduction)。例えば、抗菌剤の安定性を向上させるために、抗菌剤は、カプセル化されることができる。
【0028】
適切な抗菌剤の例としては、限定されるものではないが、ペンタクロロフェノール、オルトフェニルフェノール、クロロ−p−ベンジルフェノール、p−クロロ−m−キシレノールなどのフェノール性抗菌剤;アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、及びジデシルジメチルアンモニウムクロリドなどの四級アンモニウム化合物が挙げられる。適切なハロゲン含有抗菌剤としては、限定されるものではないが:ナトリウムトリクロロイソシアヌレート、ナトリウムジクロロイソシアネート(無水物又は二水和物)、ヨウ素−ポリ(ビニルピロリドン)複合体、臭素化合物(2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなど)、及び四級抗菌剤(塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、コリンジヨードクロリド、及びテトラメチルホスホニウムトリブロミドなど)が挙げられる。ヘキサヒドロ−l,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ジチオカーバメート(例えば、ナトリウムジメチルジチオカーバメートなど)などの他の抗菌剤組成物、及び各種の他の材料が、それらの抗菌性について当技術分野で知られている。
【0029】
上記漂白剤の項目において議論されたものなどの活性酸素化合物も、抗菌剤として機能してもよく、さらには殺菌活性を提供することができることも理解されたい。実際に、幾つかの実施形態では、活性酸素化合物が抗菌剤として機能する能力は、組成物内で追加の抗菌剤の必要性を減らす。例えば、過炭酸塩組成物は、優良な抗菌機能を提供すると証明されている。
【0030】
活性剤
幾つかの実施形態では、洗浄剤組成物の抗菌活性又は漂白活性は、洗浄剤組成物が使用されるときに活性酸素と反応して活性化された成分を形成する材料の追加により強化されることができる。例えば、幾つかの実施形態では、過酸又は過酸塩が形成される。例えば、幾つかの実施形態では、テトラアセチルエチレンジアミンは、洗剤組成物内に含有させられ、活性酸素と反応して、抗菌剤として機能する過酸又は過酸塩を形成することができる。活性酸素活性剤の他の例としては、遷移金属及びそれらの化合物、カルボキシル、ニトリル若しくはエステル部分を含む化合物、又は当技術分野で知られているような他の化合物が挙げられる。実施形態では、活性剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン;遷移金属;カルボキシル、ニトリル、アミン若しくはエステル部分を含む化合物;又はそれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態では、活性酸素化合物のための活性剤は、活性酸素と結合して、抗菌剤を形成する。
【0031】
幾つかの実施形態では、洗浄剤組成物は、固体ブロックの形態であり、そして活性酸素のための活性剤材料は、固体ブロックと結合させられる。ある固体洗剤組成物を別のものと合わせるための各種の方法のいずれかにより、活性剤は、固体ブロックと結合させられることができる。例えば、活性剤は、固体ブロックと結合しているか、付着しているか、接着しているか、他には粘着している固体の形態でよい。また、固体活性剤は、ブロックの周りに形成されて、ブロックを包むことができる。さらなる例として、固体活性剤は、プラスチック又は収縮包装又はフィルムなどにより、洗剤組成物のための容器又は包装により固体ブロックと結合していることができる。
【0032】
ビルダー又は充填物
所望により、洗浄剤組成物は、1つ以上の充填剤を少量であるが有効な量で含むことができ、そして充填剤は、必ずしもそのものが洗浄剤としての役割を果たさないが、組成物の全体的な洗浄能力を強化するために、洗浄剤と連携することができる。適切な充填剤の例としては、限定されるものではないが:硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デンプン、糖類、及びプロピレングリコールなどのC−C10アルキレングリコールが挙げられる。
【0033】
pH緩衝剤
さらに、使用に際して水中操作の場合(例えば水中洗浄操作)には、洗浄水が所望のpHを有するように、洗浄剤組成物は形成されることができる。例えば、テキスタイルのpHが特定の処理pHとおおよそ適合するように、酸洗い剤が洗浄剤組成物に加えられることができる。衣類がヒトの皮膚に触れるときにテキスタイルが皮膚を刺激しないように、酸洗い剤は、残留アルカリ源を中和し、かつテキスタイルのpHを低減するために使用される弱酸である。適切な酸洗い剤の例としては、限定されるものではないが:リン酸、ギ酸、酢酸、ヒドロフルオロケイ酸、飽和脂肪酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。飽和脂肪酸の例としては、限定されるものではないが:10個以上の炭素原子を有するもの、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、及びアラキジン酸(C20)などが挙げられる。ジカルボン酸の例としては、限定されるものではないが:シュウ酸、酒石酸、グルタル酸、コハク酸、アジピン酸、及びスルファミン酸が挙げられる。トリカルボン酸の例としては、限定されるものではないが:クエン酸及びトリカルバリル酸が挙げられる。適切な市販されている酸洗い剤の例としては、限定されるものではないが:ターボライザー(TurboLizer)、インジェクションサワー(Injection Sour)、ターボプレックス(TurboPlex)、アドヴァケアー120サワー(AdvaCare 120 Sour)、アドヴァケアー120サニタイジングサワー(AdvaCare 120 Sanitizing Sour)、カーボブライト(CarboBrite)、及びエコノサワー(Econo Sour)が挙げられ、そして全てがイーコラブ(Ecolab)社(ミネソタ州セントポール)から入手可能である。
【0034】
消泡剤
所望により、洗浄剤組成物は、泡の安定性を減らすための消泡剤を少量であるが有効量で含むことができる。適切な消泡剤の例としては、限定されるものではないが:シリコーン化合物(例えば、ポリジメチルシロキサンに分散されたシリカなど)、脂肪アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪族エステル、脂肪族アルコール、脂肪酸せっけん、エトキシレート、鉱油、ポリエチレングリコールエステル、及びアルキルリン酸エステル(例えば、モノステアリルホスフェートなど)が挙げられる。例えば、Martinらの米国特許第3,048,548号明細書、Brunelleらの米国特許第3,334,147号明細書及びRueらの米国特許第3,442,242号明細書において、消泡剤の詳細な説明を見つけることができ、これらの開示内容は、参照により本明細書に援用される。
【0035】
再堆積防止剤
所望により、洗浄剤組成物は、洗浄溶液中の汚れの持続的な懸濁を促進させ、かつ除去された汚れが洗浄中の基材に再堆積しないようにすることができる追加の再堆積防止剤を含むことができる。適切な再堆積防止剤の例としては、限定されるものではないが:脂肪酸アミド、フッ化炭素界面活性剤、複合リン酸エステル、ポリアクリレート、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、及びセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)が挙げられる。
【0036】
安定化剤
また、洗浄剤組成物は、安定化剤を含んでよい。適切な安定化剤の例としては、限定されるものではないが:ボレート、カルシウム/マグネシウムイオン、プロピレングリコール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
分散剤
また、洗浄剤組成物は分散剤を含んでよい。固体洗剤組成物中で使用されることができる適切な分散剤の例としては、限定されるものではないが:マレイン酸/オレフィンコポリマー、ポリアクリル酸、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
硬化剤/溶解性改質剤
洗浄剤組成物は、少量であるが有効量の硬化剤を含んでよい。適切な硬化剤の例としては、限定されるものではないが:アミド(例えば、ステアリル酸モノエタノールアミド又はラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルアミドなど)、固体ポリエチレングリコール、固体EO/POブロックコポリマー、酸性又はアルカリ性処理プロセスにより水溶性にされているデンプン、並びに冷却時に、加熱された組成物へ硬化性を与える様々な無機物が挙げられる。また、そのような化合物は、洗浄剤及び/又は他の有効成分が固体組成物から長期間に亘って分配されるように、使用中に水性媒体中の組成物の溶解性を変えることができる。
【0039】
補助剤
また、本組成物は、任意の数の補助剤を含むことができる。具体的には、洗浄剤組成物は、組成物に加えることができる幾つかの他の構成成分の中で、安定化剤、湿潤剤、発泡剤、腐食防止剤、殺生物剤及び過酸化水素を含むことができる。そのような補助剤は、本組成物と予め配合されているか、又は本組成物の添加と同時又は後に系へ加えられることができる。また、洗浄剤組成物は、用途に応じて必要とされるときには、既知であり、かつ本組成物の活性を促進できる任意の数の他の構成成分を含むことができる。
【0040】
本組成物の実施形態
典型的な濃縮組成物が下記表で提供される:
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
本発明の濃縮組成物は、固体、液体、又はゲル、又はそれらの組み合わせとして提供されることができる。一実施形態では、洗浄剤組成物は、洗浄剤組成物が何らかの添加水を実質的に含まないか、又は濃縮物が微量の水しか含まないように、濃縮物として提供されることができる。濃縮物を移動させる費用を低減するために、濃縮物は、何らかの水を使わずに配合されるか、又は比較的少量の水を与えられることができる。例えば、濃縮組成物は、水溶性材料を含めるか、又は含めずに、圧縮された粉末、固体、又は圧縮されていない粉末のカプセル若しくはペレットとして提供されることができる。材料中で組成物のカプセル又はペレットを提供する場合には、カプセル又はペレットは、ある体積の水に導入され、そして存在するのであれば、水溶性材料は溶解するか、分解するか、又は分散して、濃縮組成物を水と接触させる。本開示内容については、用語「カプセル」及び「ペレット」は、典型的な用途について使用されるが、本発明の輸送の態様を特定の形態に限定するものではない。
【0044】
液体濃縮組成物として提供されるとき、濃縮物は、アスピレーター、蠕動ポンプ、ギアポンプ、質量流量メーターなどを用いて、分配装置を通じて希釈されることができる。また、この液体濃縮物の実施形態は、ボトル、ジャー、投与ボトル、投与キャップを備えるボトルなどで輸送されることができる。液体濃縮組成物は、多室型カートリッジ差込み体中に充填されることができて、次に差込み体は、予め計測された量の水を充填されているスプレーボトル又は他の送達装置に設置される。
【0045】
さらに別の実施形態では、濃縮組成物は、容器中に入れられるまで崩壊又は他の分解に耐える固体形態で提供されることができる。そのような容器は、濃縮組成物を容器に入れる前に水を充填されるか、又は濃縮物を容器に入れた後に水を充填されてよい。いずれの場合にも、固体濃縮組成物は、水との接触時に、溶解するか、可溶化するか、さもなければ分解する。特定の実施形態では、固体濃縮組成物は、直ぐに溶解し、それによって濃縮組成物が使用溶液になることを可能にして、さらに最終使用者が洗浄を必要としている表面に使用組成物を適用することを可能にする。
【0046】
別の実施形態では、固体濃縮組成物は、分配装置により希釈されることができて、それにより、水が固体ブロックに噴霧されて、使用溶液が形成される。機械的、電気的又は水力的制御手段などを用いて、水流が比較的一定の速度で送達される。また、固体濃縮組成物は、分配装置により希釈されることができて、それにより、水は、固体ブロックの周囲を流れて、そして固体濃縮物が溶解するときに使用溶液を形成する。また、固体濃縮組成物は、ペレット、錠剤、粉末及びペースト分配器などにより希釈されることができる。
【0047】
洗浄剤組成物が濃縮物中に水を含むとき、水は、脱イオン水又は軟水として提供されてよいことを理解されたい。濃縮物の一部として提供された水は、余り硬度がないことがある。溶解した汚れの一部を除去するために、水は脱イオン化されてよいことを理解されたい。脱イオン水は、濃縮物を配合するために好ましいが、濃縮物は、脱イオン化されていない水を配合されてもよい。つまり、濃縮物は、溶解した汚れを含む水を配合されることができて、硬水として特徴付けられる水を配合されることができる。
【0048】
濃縮物を希釈するための水(希釈水)は、希釈の現場又は場所で入手可能である。希釈水は、現場に応じて様々な硬度を含むことができる。様々な市町村から入手可能な利水は、様々な硬度を有する。様々な市町村の利水に見られる硬度に対応できる濃縮物を提供することが好ましい。濃縮物を希釈するために使用される希釈水は、それが少なくとも1の殻粒硬度を含む場合に硬水として特徴付けられる。希釈水が、少なくとも5の殻粒硬度、少なくとも10の殻粒硬度、又は少なくとも20の殻粒硬度を含むことができることを理解されたい。
【0049】
所望の水準の洗浄性を有する使用溶液を提供するために、濃縮物が希釈水で希釈されるであろうことを理解されたい。使用溶液が、頑丈又は重い汚れを除去しなければならないならば、濃縮物は、少なくとも1:1から最大で1:8までの質量比で希釈水により希釈されることができると理解されたい。軽量型洗浄使用溶液が必要とされるならば、濃縮物は、最大で約1:256までの濃縮物:希釈水の質量比で希釈されることができると理解されたい。
【0050】
代替的な実施形態では、洗浄剤組成物は、そのままの状態で使える組成物(RTU組成物)として提供されることができる。洗浄剤組成物がRTU組成物として提供されるならば、より多量の水が、希釈剤として洗浄剤組成物に加えられる。濃縮物が液体として提供されるとき、それがポンプで送達されるか、又は吸引されることができるように、流動可能な形態でそれを提供することが好ましいであろう。少量の液体を正確にポンプで送達することは一般に困難であることを理解されたい。一般に、より大量の液体をポンプで送達することが、より有効である。それ故に、輸送コストを減らすために、できる限り少量の濃縮物を提供することが好ましいが、正確に分配されることができる濃縮物を提供することも好ましい。液体濃縮物の場合には、水は、約90質量%以下、詳細には約20質量%〜約85質量%、より詳細には約30質量%〜約80質量%、最も詳細には約50質量%〜約80質量%の量で存在するであろうと予想される。
【0051】
RTU組成物の場合には、上記で開示された組成物は、好ましくは、洗浄剤組成物の質量を基準として、約96質量%以下の水でさらに希釈されることができると理解されたい。
【0052】
使用時には、タンパク質除去/再堆積防止剤を含む洗浄剤組成物は、洗浄サイクルの洗浄工程中に洗浄されることになる表面に適用される。洗浄サイクルは、少なくとも洗浄工程及びすすぎ工程を含んでよく、所望により、予備すすぎ工程も含んでよい。洗浄サイクルは、例えば、アルカリ源、ビルダー、界面活性剤、腐食防止剤などのような成分を含むことができる洗浄剤組成物を溶解させる工程を伴う。すすぎ工程中、一般に温水又は熱水が、被洗浄面を越えて流れる。洗浄水は、例えば、界面活性剤又はすすぎ助剤などの成分を含んでよい。本発明のタンパク質除去/再堆積防止剤を含む洗浄剤組成物は、洗浄サイクルの洗浄工程中のみに使用され、すすぎ工程中には使用されない。
【0053】
洗浄工程中、タンパク質除去/再堆積防止剤を含む洗浄剤組成物は、表面と接触し、タンパク質及び表面に由来する他の残留物を洗浄するのに役立つ。さらに、タンパク質除去/再堆積防止剤は、汚れが表面上へ堆積することを防ぐのに役立つ。糖類系(糖類を主成分とする)タンパク質除去/再堆積防止剤は、洗浄剤組成物の一部となるものとして説明されているが、糖類は、所望により、個別の成分として、洗浄サイクルの洗浄工程へ加えられることができる。したがって、一実施形態では、糖類は、洗剤組成物から独立して、洗浄サイクルの洗浄工程中に導入される。個別の成分として提供されるとき、糖類は、比較的高い濃度(約100%以下)の糖類として、液体又は固体形態で提供されることができて、手動で又は自動的に導入されることができる。
【0054】
本発明の組成物は、各種の表面を洗浄するのに有用であろう。本発明の組成物は、限定されるものではないが:セラミック、セラミックタイル、グラウト、花こう岩、コンクリート、鏡、エナメル表面、アルミニウム含有金属、真鍮、ステンレス鋼、ガラス、プラスチックなどを含む硬質表面上の汚れを洗浄するために使用されることができる。また、本発明の組成物は、汚れたリネン製品(例えば、タオル、シート、及び不織ウェブなど)を洗浄するために使用されることができる。それ故に、本発明の組成物は、自動的に又は手動で、硬質表面洗浄剤、洗濯洗剤、オーブン洗浄剤、ハンドソープ、乗り物用洗剤、及び物品洗浄洗剤を配合するのに有用である。
【実施例】
【0055】
実施例
下記実施例において本発明をより詳細に説明するが、当業者にとっては本発明の範囲内において多数の改良及び変形が明らかであろうから、それらは説明のみを目的とするものである。他に明示しない限り、下記実施例で示されている全ての部、パーセント及び比率は、質量を基準としており、そして実施例で使用された全ての試薬は、後述される化学メーカーから得られたか、若しくは入手可能であるか、又は従来の技法により合成されることができる。
【0056】
使用された材料
デヒポン(Dehypon)LS−36:コグニス(Cognis)社(独国、モンハイムに本社を有する)から入手可能である、3モルのエチレンオキシド(EO)及び6モルのプロピレンオキシド(PO)を有するC12−C14脂肪族アルコール
【0057】
プルロニック(Pluronic)25R2:BASF社(ニュージャージー州、フローラムパーク)から入手可能である、PO−EO−POブロックコポリマー界面活性剤
【0058】
アクソール(Acusol)445ND:ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)社(ペンシルバニア州、フィラデルフィア)から入手可能である、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量4,500g/mol)ポリマー
【0059】
マルチサイクルスポット、フィルム及び汚物除去試験
組成物がガラス及びプラスチックを洗浄する能力を試験するために、12個のリビー(Libbey)社製10オンス耐熱ガラスタンブラー及び4個のニューポート(Newport)社製プラスチックタンブラーを使用した。それらのガラスタンブラーを使用前に洗浄した。
【0060】
ビーフシチュー及び熱点汚れを50/50で組み合わせて、食品汚れ溶液を調製した。溶液濃度は約2000ppmであった。汚れ溶液は、ディンティ・ムーア(Dinty Moore)ビーフシチュー(1360g)の2つの缶、トマトソースの1つの大きな缶(822g)、ブルー・ボネット(Blue Bonnet)マーガリン(1746g)の15.5個のスティック及び粉ミルク(436.4grams)を含んでいた。
【0061】
次に、食器洗い器に適量の水を充填した。食器洗い器に水を充填した後、複数の加熱器を稼動させた。最終すすぎ温度を約180°Fに調整した。キャンベル(Campbell)社製チキンスープのクリーム:ケンプ(Kemp)社製全乳の混合物(体積基準で1:1)中でこれらのガラス製品を3回転がすことにより、複数のガラス及びプラスチックタンブラーを汚した。次に、ガラス製品を約160°Fのオーブンに約8分間に亘って置いた。ガラス製品を乾燥しながら、約120gの食品汚れ溶液(これは、ポンプ中では約2000ppmの食品汚れに相当する)を食器洗い器に入れた。
【0062】
汚れたガラス及びプラスチックタンブラーをレーバン(Raburn)ラックに置いて(配置について下図を参照されたい;P=プラスチックタンブラー;G=ガラスタンブラー)、ラックを食器洗い器内に置いた。タンブラーを有する最初の2列を汚れ除去について試験し、一方で、タンブラーを有する2つ目の2列を再堆積について試験した。
【化1】

【0063】
次に、食器洗い器を稼動させて、自動サイクルに供した。サイクルが終わるとき、ガラス及びプラスチックタンブラーの上部を乾燥タオルで拭いた。汚れ除去について試験されているガラス及びプラスチックタンブラーを取り出して、スープ/ミルクによる汚れ手順を繰り返した。再堆積用ガラス及びプラスチックタンブラーは取り出さなかった。
【0064】
各サイクルの最初に、適量の洗剤及び食品汚物を洗浄タンクに加えて、すすぎ希釈の準備を整えた。汚染及び洗浄工程を7回のサイクルに亘って繰り返した。
【0065】
次に、クマシーブリリアントブルーR染色剤を用いて、ガラス及びプラスチックタンブラーをタンパク質集積について階級分けして、その後に酢酸/メタノール水溶液で脱染した。約1.25gのクマシーブリリアントブルーR染料に、蒸留水中の約45mLの酢酸及び約455mLの50%メタノールを合わせることにより、クマシーブリリアントブルーR染色剤を調製した。脱染溶液は、蒸留水中で45%メタノール及び10%酢酸から構成されていた。脱染後にガラス及びプラスチックタンブラー上に残っているタンパク質の量を1〜5の基準で視覚的に階級分けした。1の階級は、脱染後にはタンパク質が全く無いことを示していた。2の階級は、脱染後には任意の領域(辛うじて認識できる程度)がタンパク質で被覆されていることを示していた。3の階級は、脱染後には表面のおおよそ4分の1がタンパク質で被覆されていることを示していた。4の階級は、脱染後にはガラス/プラスチック表面のおおよそ半分がタンパク質で被覆されていることを示していた。5の階級は、脱染後には表面の全体がタンパク質で被覆されていることを示していた。
【0066】
ガラス表面から階級分けされた平均タンパク質除去値を決定するために、タンパク質除去について試験されたガラスタンブラーの階級の平均値を取り、そしてプラスチック表面から階級分けされた平均タンパク質除去値を決定するために、タンパク質除去について試験されたプラスチックタンブラーの階級の平均値を取った。同様に、ガラス表面について階級分けされた平均タンパク質再堆積値を決定するために、再堆積について試験されたガラスタンブラーの階級の平均値を取り、そしてプラスチック表面について階級分けされた平均タンパク質再堆積値を決定するために、タンパク質再堆積について試験されたプラスチックタンブラーの階級の平均値を取った。
【0067】
実施例1、2及び3並びに比較例A
実施例1、2及び3は、表3で示される通り、炭酸ナトリウム(ソーダ灰又は重灰)、重炭酸ナトリウム、単灰、メタケイ酸ナトリウム、界面活性剤予混合物、水酸化カリウム(45%)、水、クエン酸ナトリウム脱水物及び様々な糖類の成分濃度(質量%単位)を有する本発明の組成物である。最初に、デヒポンLS−36及びプルロニック25R2を含む界面活性剤予混合物を、残りの成分を混合する前に、まとめて混合する。
【0068】
実施例1、2及び3の組成物は、約15ppmのサッカリド系糖類を含んでいた。より詳細には、実施例1の組成物は、グルコースを含み、実施例2の組成物は、スクロースを含み、そして実施例3の組成物は、トレハロース脱水物を含んでいた。トレハロース脱水物は、二水和物(2つの水分子)として存在するので、質量の一部分が水であるため、グルコース及びスクロースより僅かに高い質量%が必要であった。
【0069】
比較例Aの組成物は糖類を含まないこと以外は、実施例1、2及び3の組成物と同様に、比較例Aの組成物を調製した。
【0070】
表3に、実施例1、2及び3並びに比較例Aの組成物についての成分濃度を示す。
【0071】
【表3】

【0072】
上記で説明した方法に従って、実施例1、2及び3並びに比較例Aの組成物を汚れ除去及び再堆積防止性について試験した。表4に、実施例1、2及び3並びに比較例Aの組成物で試験したガラス及びプラスチックタンブラーについて平均視覚的階級値を示す。一般に、3以下の平均階級値、特に2以下の平均階級値が、許容可能であると見なされる。
【0073】
【表4】

【0074】
表4から分かる通り、約15ppmのグルコースを含む実施例1の組成物は、ガラス及びプラスチックの両方からの汚れの除去において、比較例Aの組成物より優れていた。実施例1の組成物は、ガラス及びプラスチックについて許容可能な再堆積防止階級値を有し、かつガラス上の再堆積の防止について比較例Aの組成物より優れていた。
【0075】
約15ppmのスクロースを含んでいた実施例2の組成物は、ガラスからの汚れの除去について比較例Aの組成物より優れており、プラスチックからの汚れの除去について比較例Aの組成物と同等であった。また、実施例2の組成物は、ガラス上への汚れの再堆積の防止について許容可能な階級値を有し、かつガラス上への汚れの再堆積の防止について比較例Aの組成物より優れていた。
【0076】
最後に、約15ppmのトレハロース脱水物を含んでいた実施例3の組成物は、ガラス及びプラスチック上の汚れの除去及び再堆積の防止の両方で有効であった。また、実施例3の組成物は、全ての試験条件で、比較例Aの組成物と同等であるか、又は比較例Aの組成物より優れていた。
【0077】
実施例4、5及び6並びに比較例A
実施例4、5及び6は、表5で示される通り、炭酸ナトリウム(ソーダ灰又は重灰)、重炭酸ナトリウム、単灰、メタケイ酸ナトリウム、界面活性剤予混合物、水酸化カリウム(45%)、水、クエン酸ナトリウム脱水物及び様々な糖類の成分濃度(質量%単位)を有する本発明の組成物である。最初に、デヒポンLS−36及びプルロニック25R2を含む界面活性剤予混合物を、残りの成分と混合する前に、まとめて混合した。
【0078】
実施例4、5及び6の組成物は、約30ppmのサッカリド系糖類を含んでいた。より詳細には、実施例4の組成物は、グルコースを含み、実施例5の組成物は、スクロースを含み、そして実施例6の組成物は、トレハロース脱水物を含んでいた。トレハロース脱水物は、二水和物(2つの水分子)として存在するので、質量の一部分が水であるため、グルコース及びスクロースより僅かに高い質量%が必要であった。
【0079】
比較例Aの組成物は糖類を含まないこと以外は、実施例4、5及び6の組成物と同様に、比較例Aを調製した。
【0080】
表5に、実施例4、5及び6並びに比較例Aの組成物の成分濃度について示す。
【0081】
【表5】

【0082】
上記で説明した方法に従って、実施例4、5及び6並びに比較例Aの組成物を汚れ除去及び再堆積防止性について試験した。表6に、実施例4、5及び6並びに比較例Aの組成物で試験したガラス及びプラスチックタンブラーについて平均視覚的階級値を示す。一般に、3以下の平均階級値、特に2以下の平均階級値が、許容可能であると見なされる。
【0083】
【表6】

【0084】
表6から分かる通り、30ppmでは、サッカリド系糖類を含む組成物の性能は、タンパク質汚れの除去及び再堆積の防止について、約15ppmのみの同一サッカリド系糖類を含んでいた実施例1、2及び3の組成物と比べて向上していた。約30ppmでは、グルコースを含む組成物(実施例4)は、ガラス及びプラスチック表面上の汚れの除去及び再堆積の防止の両方で有効であった。また、実施例4の組成物は、全ての試験条件で、比較例Aの組成物と同等であるか、又は比較例Aの組成物より優れていた。
【0085】
スクロースを含んでいた実施例5の組成物は、ガラス及びプラスチック表面からの汚れの除去において、比較例Aの組成物より優れていた。しかし、試験基材がガラスである場合には、実施例5の組成物は、許容可能な水準のタンパク質汚れしか除去しなかった。30ppmでは、スクロースは、ガラス及びプラスチックの両方の表面上への再堆積の防止に有効であった。
【0086】
トレハロース脱水物を含む実施例6の組成物は、ガラスからの汚れの除去で有効であり、かつガラス及びプラスチック表面の両方からの汚れの除去について比較例Aの組成物より優れていた。また、実施例6の組成物は、ガラス上及びプラスチック上の両方の汚れの再堆積の防止で有効であった。
【0087】
実施例7、8及び9並びに比較例A
実施例7、8及び9は、表7で提供される通り、炭酸ナトリウム(ソーダ灰又は重灰)、重炭酸ナトリウム、単灰、メタケイ酸ナトリウム、界面活性剤予混合物、水酸化カリウム(45%)、水、クエン酸ナトリウム脱水物及び様々な糖類の成分濃度(質量%単位)を有する本発明の組成物である。最初に、デヒポンLS−36及びプルロニック25R2を含む界面活性剤予混合物を、残りの成分と混合する前に、まとめて混合した。
【0088】
実施例7、8及び9の組成物は、約60ppmのサッカリド系糖類を含んでいた。より詳細には、実施例7の組成物は、グルコースを含み、実施例8の組成物は、スクロースを含み、そして実施例9の組成物は、トレハロース脱水物を含んでいた。トレハロース脱水物は、二水和物(2つの水分子)として存在するので、質量の一部分が水であるため、グルコース及びスクロースより僅かに高い質量%が必要であった。
【0089】
比較例Aの組成物は糖類を含まないこと以外は、実施例7、8及び9の組成物と同様に、比較例Aの組成物を調製した。
【0090】
表7に、実施例7、8及び9並びに比較例Aの組成物についての成分濃度を示す。
【0091】
【表7】

【0092】
上記で説明した方法に従って、実施例7、8及び9並びに比較例Aの組成物を汚れ除去及び再堆積防止性について試験した。表8に、実施例7、8及び9並びに比較例Aの組成物で試験されたガラス及びプラスチックタンブラーについての平均視覚的階級値を示す。一般に、3以下の平均階級値、特に2以下の平均階級値が許容可能であると見なされる。
【0093】
【表8】

【0094】
表8から分かる通り、洗剤中の糖類の濃度が約60ppmへ増加すると直ぐに、サッカリド系糖類を含む組成物の性能の全ては、ガラス及びプラスチックの両表面上の汚れの除去及び再堆積の防止について許容可能な水準を示した。さらに、実施例7、8及び9の組成物のいずれかは、ガラス及びプラスチック表面についての両方の試験において、比較例Aの組成物と同等であるか、又は比較例Aの組成物より優れていた。
【0095】
実施例10、11、12及び13並びに比較例B
サッカリド系糖類の濃度が増加するにつれて、タンパク質汚れを除去し、かつ再堆積を防止する洗剤の能力も増加することが決定されると直ぐに、ポリマーを含む様々な組成物を形成した。ポリマーは、一般に水の硬度を制御するために使用されるので、糖類がポリマーの性能に影響するかどうかを決定するために試験を設定した。
【0096】
実施例10、11、12及び13は、表9で提供される通り、炭酸ナトリウム(ソーダ灰又は重灰)、重炭酸ナトリウム、単灰、メタケイ酸ナトリウム、界面活性剤予混合物、水酸化カリウム(45%)、水、クエン酸ナトリウム脱水物、アクソール445ND及び様々な糖類の成分濃度(質量%単位)を有する本発明の組成物である。最初に、デヒポンLS−36及びプルロニック25R2を含む界面活性剤予混合物を、残りの成分と混合する前に、まとめて混合した。
【0097】
実施例10、11、12及び13の組成物は、サッカリド系糖類を含んでいた。より詳細には、実施例10及び11の組成物は、グルコースを含み、そして実施例12及び13の組成物は、スクロースを含んでいた。実施例10と11の組成物の相違点は、実施例10の組成物は約30ppmのグルコースを含み、そして実施例11の組成物は約60ppmのグルコースを含むことのみであった。同様に、実施例12と13の組成物の相違点は、実施例12の組成物は、約30ppmのスクロースを含み、そして実施例13の組成物は、約60ppmのスクロースを含むことのみであった。
【0098】
比較例Bの組成物は糖類を含まないこと以外は、実施例10、11、12及び13の組成物と同様に、比較例Bの組成物を調製した。
【0099】
表9に、実施例10、11、12及び13並びに比較例Bの組成物についての成分濃度を示す。
【0100】
【表9】

【0101】
上記で説明した方法に従って、実施例10、11、12及び13並びに比較例Bの組成物を汚れ除去及び再堆積防止性について試験した。表10に、実施例10、11、12及び13並びに比較例Bの組成物で試験されたガラス及びプラスチックタンブラーについて平均視覚的階級値を示す。一般に、3以下の平均階級値、特に2以下の平均階級値、 が許容可能であると見なされる。
【0102】
【表10】

【0103】
表10では、約30ppm及び約60ppmの糖類を含む組成物は、タンパク質汚れの再堆積を除去/防止するという糖類の能力に影響しないことが示されている。より詳細には、実施例10、11、12及び13の組成物の全てが、ガラス及びプラスチック表面の両方からタンパク質汚れを除去するための許容可能な視覚的読み取り値を有していた。さらに、実施例10、11、12及び13の組成物は、ガラス及びプラスチックの両表面上の再堆積を防止するための許容可能な視覚的読み取り値も有していた。
【0104】
全体では、実施例10、11、12及び13の組成物のいずれかは、両試験において、比較例Bの組成物と同等であるか、又は比較例Bの組成物より優れていた。
【0105】
実施例14、15、16及び17並びに比較例A
様々なサッカリド系糖類が洗剤組成物のタンパク質汚れ除去/再堆積防止性の強化に有効であることが決定された後に、非サッカリド系糖類を用いて様々な濃度を調製して、非サッカリド系糖類が類似の作用を有するかどうかを調べた。
【0106】
表11で提供される通り、実施例14、15、16及び17は、炭酸ナトリウム(ソーダ灰又は重灰)、重炭酸ナトリウム、単灰、メタケイ酸ナトリウム、界面活性剤予混合物、水酸化カリウム(45%)、水、クエン酸ナトリウム脱水物及び様々な糖類の成分濃度(質量%単位)を有する本発明の組成物である。最初に、デヒポンLS−36及びプルロニック25R2を含む界面活性剤予混合物を、残りの成分と混合する前に、まとめて混合した。
【0107】
実施例14、15、16及び17の組成物は、非サッカリド系糖類を含んでいた。より詳細には、実施例14及び15の組成物は、ソルビトールを含み、そして実施例16及び17の組成物は、グリセリンを含んでいた。実施例14と15の組成物の相違点は、実施例14の組成物は、約30ppmのソルビトールを含み、そして実施例15の組成物は、約60ppmのソルビトールを含むことのみであった。同様に、実施例16と17の組成物の相違点は、実施例16の組成物は、約30ppmのグリセリンを含み、そして実施例17の組成物は、約60ppmのグリセリンを含むことのみであった。
【0108】
比較例Aの組成物は糖類を含まないこと以外は、実施例14、15、16及び17の組成物と同様に、比較例Aの組成物を調製した。
【0109】
表11に、実施例14、15、16及び17並びに比較例Aの組成物についての成分濃度を示す。
【0110】
【表11】

【0111】
上記で説明した方法に従って、実施例14、15、16及び17並びに比較例Aの組成物を汚れ除去及び再堆積防止性について試験した。表12に、実施例14、15、16及び17並びに比較例Aの組成物で試験されたガラス及びプラスチックタンブラーについて平均視覚的階級値を示す。一般に、3以下の平均階級値、特に2以下の平均階級値が許容可能であると見なされる。
【0112】
【表12】

【0113】
表12では、約60ppmの非サッカリド系糖類を含んでいた実施例15及び17の組成物は、ガラス及びプラスチックの両表面からタンパク質汚れを除去するための許容可能な視覚的階級値を有していたことが示される。しかし、30ppmの糖類では、実施例14の組成物は、プラスチックから許容可能な水準の汚れを除去するのみであり、そして実施例16の組成物は、ガラスから許容可能な水準の汚れを除去するのみであった。
【0114】
また、表12では、30ppm及び約60ppmの両方の糖類を含む組成物は、ガラス及びプラスチック表面上への汚れの再堆積を効果的に防止することが示されている。また、実施例14、15、16及び17の組成物は、汚れ再堆積の防止について、比較例Aの組成物と同等の視覚的階級値、又は比較例Aの組成物より優れた視覚的階級値を有していた。
【0115】
本発明の範囲から逸脱することなく、説明された典型的な実施形態に対して様々な改良及び追加を行なうことができる。例えば、上記で説明された実施形態は、特定の要件を参照するものであるが、本発明の範囲は、要件の異なる組み合わせを有する実施形態、及び上記で説明された要件の全てを含まない実施形態も含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)洗浄サイクルの洗浄工程中に、糖類を含むタンパク質除去/再堆積防止剤を導入する工程;
(b)該洗浄サイクルの洗浄工程中に洗浄剤組成物を導入する工程であって、該洗浄剤組成物は、アルカリ源及び界面活性剤成分を含み、そして該界面活性剤は、該洗浄剤組成物の最大で約15質量%を構成する工程;並びに
(c)表面に該タンパク質除去/再堆積防止剤及び該洗浄剤組成物を接触させる工程
を含む、該表面からタンパク質汚れを除去し、かつ該表面上へのタンパク質汚れの再堆積を防止する方法。
【請求項2】
硬質表面は、ガラス、セラミック、金属及びプラスチックの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記糖類は:グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラフィノース、トレハロース、スクロース、マルトース、ツラノース、セロビオース、ラフィノース、メレチトース、マルトリオース、アカルボース、スタキオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース、セドヘプロース、オクトース、ノノース、エリトロース、テオース、アラビトール、エリスリトール、グリセロール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、水素化デンプン加水分解物、スクラロース、グリチルリジン、モナチン及びタガトースの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記洗浄剤組成物を希釈する工程をさらにを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄剤組成物は、アルカリ土類金属を実質的に含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質除去/再堆積防止剤は、前記洗浄剤組成物の約0.1質量%〜約85質量%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(a)約1質量%〜約90質量%の糖類;
(b)約1質量%〜約80質量%のアルカリ源;
(c)約1質量%〜約10質量%の界面活性剤成分;及び
(d)約0.05質量%未満のアルカリ土類金属
を含む、タンパク質汚れを除去し、かつ汚れの再堆積を防止するための組成物。
【請求項8】
前記糖類はサッカリド系糖類である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記サッカリド系糖類は:グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラフィノース、トレハロース、スクロース、マルトース、ツラノース、セロビオース、ラフィノース、メレチトース、マルトリオース、アカルボース、スタキオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース、セドヘプロース、オクトース、ノノース、エリトロース及びテオースの少なくとも1つである、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記糖類は非サッカリド系糖類である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記非サッカリド系糖類は:アラビトール、エリスリトール、グリセロール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、水素化デンプン加水分解物、スクラロース、グリチルリジン、モナチン及びタガトースの少なくとも1つである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
約1質量%〜約60質量%の糖類を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
約1質量%〜約40質量%の糖類を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
リン含有化合物を実質的に含まない、請求項7に記載の組成物。
【請求項15】
(a)糖類;
(b)アルカリ源;及び
(c)界面活性剤成分;
を含む洗浄剤組成物であって、
(e)該洗浄剤組成物の0.5%〜2.5%溶液は、約10〜約12.5のpHを有する、洗浄剤組成物。
【請求項16】
ビルダーをさらに含む、請求項15に記載の洗浄剤組成物。
【請求項17】
充填剤をさらに含む、請求項15に記載の洗浄剤組成物。
【請求項18】
前記糖類は:グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラフィノース、トレハロース、スクロース、マルトース、ツラノース、セロビオース、ラフィノース、メレチトース、マルトリオース、アカルボース、スタキオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース、セドヘプロース、オクトース、ノノース、エリトロース及びテオースの少なくとも1つを含むサッカリド系糖類である、請求項15に記載の洗浄剤組成物。
【請求項19】
前記糖類は:アラビトール、エリスリトール、グリセロール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、水素化デンプン加水分解物、スクラロース、グリチルリジン、モナチン及びタガトースの少なくとも1つを含む非サッカリド系糖類である、請求項15に記載の洗浄剤組成物。
【請求項20】
リン含有化合物を実質的に含まない、請求項15に記載の洗浄剤組成物。

【公表番号】特表2013−502966(P2013−502966A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526150(P2012−526150)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053654
【国際公開番号】WO2011/024094
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】