説明

ダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉及び煙突上部構造

【課題】薪・椰子殻・麦藁及び流木等の固体バイオマスを燃料として、医療廃棄物等の廃プラスチックを含む焼却物を黒煙及びダイオキシン等の有害な排ガス成分の発生を最小限に抑制して焼却処理することによって、構造が簡単で、安価で、取扱いが極めて容易な小型焼却炉を提供する。
【解決手段】ダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉とするため、全体構成を直立型としガス流れ方向を上向きに統一し、燃料燃焼部下部からの輻射熱による焼却、固体バイオマス燃料のみの燃焼でも燃焼空気予熱によって燃焼ガス温度800℃以上での安定運転が可能、2秒以上の燃焼ガス滞留時間の確保、空気による誘引噴出による炉内圧の負圧化、炉運転中でもガス化ボックスの炉外引出しができるので焼却物の連続バッチ処理が可能、燃料投入作業及び焼却物焼却状態確認作業が安全で容易、風雨の強い時でも炉の運転を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃プラスチックを含む医療並びに産業廃棄物、農業用ビニール、一般ゴミなどの各種焼却対象物を、薪等の固体バイオマス燃料を燃焼させてその輻射熱で有害成分の発生を抑制して当該焼却対象物を焼却処理する小型焼却炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
焼却炉におけるダイオキシンの排出を抑制するための手段として、燃焼ガス流れを800℃以上の温度域で滞留時間を2秒間以上確保することによりダイオキシンの生成が抑制されることが広く知られている(出典/厚生労働省資料:ダイオキシンの排出削減にむけて)。
図21に従来の焼却炉の一例を示す。図21に於いて燃焼用空気ファン(103)から送り出された空気は燃焼用空気として一次燃焼室の火格子(36)の下側の一次空気導入口(109)及び二次空気導入口(110)に供給される。燃料・焼却物投入扉(106)から一次燃焼室(101)に投入された焼却対象物は別途設けられた着火手段によって火格子(36)の上で別途供給される薪等の燃料と混焼し、更にそれらの未燃ガス成分は二次空気導入口(110)からの空気並びに隔壁(108)に仕切られた二次燃焼室(102)の助燃バーナー(104)により燃焼する。二次燃焼室(102)を出た高温燃焼ガス(7)は、ファン(39)からの空気を誘引ノズル(112)に導くことにより誘引され、これにより、一次燃焼室(101)の負圧化が計られ、煙突(43)から大気へ放出される。一次燃焼室(101)で発生した灰及び未燃残渣は火格子(36)の下に落下し、灰掻出し扉(107)から外部に取り出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術に記載の従来の焼却炉の一例においては次のような欠点がある。
融点の低い廃プラスチック焼却物(以下、焼却物という)を投入すると、薪等と混焼するため焼却物がガス化する前に溶融した溶融液が火格子の下に流れ落ち、火格子の下に落下した薪等の灰の中に溶融液が混入して、溶融液のガス化並びに燃焼が著しく阻害される。
また、一次燃焼室と二次燃焼室とが隔壁(108)によって仕切られて水平方向に並んでいるため、構造が複雑であり、ガス流れが隔壁(108)を一旦ジャンプしてUターンしているため流路抵抗が大きい。このため、大きい誘引通風力が必要になりファン(39)は大きい容量のものが必要となり不経済である。
また、燃焼用空気は大気より直接供給しているので、燃焼室での燃料の燃焼による発生熱量が当該空気の加熱のために消費され、燃焼ガス温度の上昇がその分だけ損なわれている。本例では助燃バーナー(104)で温度上昇の不足分が補われているため、別途、燃料油等を消費している。
また、焼却対象物を炉内へ投入する投入口が燃料投入口と兼用で一つになっているため、一次燃焼室(101)の火格子(36)上に焼却物を燃料・焼却物投入扉(106)から投入すると、その位置での焼却物のガス化が一時的に激しく進むため、供給される燃焼用空気の量が一時的に著しく不足することにより燃焼不良を起こして激しい黒煙を煙突から排出することとなって著しく有害である。特に医療廃棄物の場合、医療廃棄物を取扱い上安全に収納しているセーフティボックスのボックス単位で投入する必要があり、焼却物である医療廃棄物を個々に少量ずつの投入ができないため、更に当該燃焼不良を生じやすい。
また、1つの燃料投入扉は薪等の燃料の燃焼開始初期における燃料の着火作業を容易にするため間口寸法が通常200mm(高さ)×250mm(幅)程度以上必要であり、燃料の着火以後に間歇的に行う燃料の補充作業をする際に前記投入口扉を開放せざるを得ないため、当該開放の都度、所要の燃焼に必要な空気量に比し多量の大気が炉内に一時的に吸引され、それに伴いそれまでに維持出来ている燃焼ガス温度が更に周期的に低下してダイオキシン生成抑制上不都合である。
また、焼却物の焼却終末時期では焼却物ガス化に伴う生成ガス(以下、生成ガスという)の発生が減退するのに伴い燃焼火力が徐々に減退していくと共に隅々への空気の供給が十分でないので、一次燃焼室底部に残留した焼却物溶融液の燃え尽きが十分に行われず、燃え残りの焼却物溶融液が焼却炉の消火シャットダウン後に短時間に残存固化する。残存固化したプラスチックは固くて被付着部からの剥離除去等の清掃が困難となるばかりでなく、焼却残渣に未燃分が多く残り、燃料灰とも一緒に混在して灰処分上問題がある。
また、煙突防雨構造は陣笠型天蓋(105)であるため、排ガスの放出及び上昇拡散が阻害され、排ガスの誘引抵抗を増加させるばかりでなく、排ガス及びその含有有害成分が焼却炉付近周辺の狭い範囲に高い濃度で散布されることになり有害である。また、横風が強い時は煙突から排出される排ガスの流通を阻害するため燃焼用空気の供給が乱れて不足し炉内の燃焼が不安定になる。更に、雨天が伴うと雨の侵入を防止できないため、特に医療廃棄物等の焼却運転中であれば焼却作業が中断されて、再焼却開始作業までの取扱い作業中の焼却作業者が健康上及び安全上極めて不都合な状態にさらされることとなる。
【0004】
本発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、油及びガス燃料の調達困難な地域において、薪・椰子殻・麦藁及び流木等の固体バイオマスを燃料として、医療廃棄物等の廃プラスチックを含む焼却物を黒煙及びダイオキシン等の有害な排ガス成分の発生を最小限に抑制して焼却処理することによって、地球環境の保護に有効であると同時に、構造が簡単で、安価で、取扱いが極めて容易なダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉及び小型焼却炉の煙突上部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を達成するために、請求項1の発明は、廃プラスチックの輻射熱による溶融ガス化と、有害ガスの炉外への漏洩防止のために自然通風でも燃焼室兼燃焼ガス滞留室とガス化ボックス収納室を負圧にすべく、炉全体構造を下方から上方に向かって、燃焼室兼燃焼ガス滞留室下部から放射される輻射熱によって廃プラスチック等の焼却物を溶融ガス化するガス化ボックス収納室、固体バイオマスを燃焼させる火格子を下部に備え火格子上面から0.7m以上の高さを有する燃焼室兼燃焼ガス滞留室、燃焼室兼燃焼ガス滞留室の上部に当該燃焼ガスを大気へ放出するための煙突を配置して、当該焼却物ガス化に伴う生成ガス、焼却物燃焼ガス及び燃料燃焼ガスのガス流れ方向を上向きにして、燃焼用空気を燃焼室兼燃焼ガス滞留室下部の火格子下部周囲から供給されるような構造を有することを特徴とする。
【0006】
また、請求項1の好ましい態様として、請求項2では、燃焼室兼燃焼ガス滞留室内のガス温度が800℃以上を容易に確保できるようにすると同時に燃料節約のため、煙突外周面から排ガスの余熱を直接回収して生成ガス及び燃料の燃焼用空気の温度を昇温するための燃焼空気加熱導入路を空気が煙突外周を下降する方向に配設し、そこで加熱された予熱空気を燃焼室兼燃焼ガス滞留室下部の火格子下部周囲から予熱空気分配ヘダーを経由して供給されるような流路を有する。
【0007】
また、請求項1又は請求項2の好ましい態様として、請求項3では、煙突内に空気を煙突出口方向に向け噴出する誘引噴出口を煙突上部側に設けた。
【0008】
また、請求項1の好ましい態様として、請求項4では、焼却物ガス化ボックスを炉外に引出し可能な構造とした。
【0009】
また、請求項1の好ましい態様として、請求項5では、焼却物ガス化ボックスの上部に多孔状の受熱調整受皿を設けた。
【0010】
また、請求項1の好ましい態様として、請求項6では、焼却物溶融液のガス化速度を調節するため、焼却物ガス化ボックスの底部に焼却物溶融液の落下を可能にするための開口を有する受熱調整遮熱板を設けた。
【0011】
また、請求項1の好ましい態様として、請求項7では、焼却物ガス化ボックスの底部にボックス内の可燃残渣の燃焼を促進させるため、炉外の大気を空気導入調節弁と当該調節弁を通じて吸気して焼却物溶融液溜り部上部に供給する装置を設けた。
【0012】
また、請求項1の好ましい態様として、請求項8では、生成ガス及び燃焼用空気が火格子上の中央部にある高温の燃料の燃焼火炎と無関係に火格子周辺部を自由に通過することによって生成ガスの不完全焼却及び燃焼用空気の無用な消費を防ぐため、火格子の上面または下面に当該周辺部を塞ぐバッフルプレートを設けた。
【0013】
また、請求項1の好ましい態様として、請求項9では、燃料着火後に間歇的に実施される補充の燃料投入を本来の燃料投入扉の開口以外からも行えるよう、開口の相当直径が150mm以下の補助燃料投入口を燃料投入扉以外または燃料投入扉自体に設けた。
【0014】
また、請求項1の好ましい態様として、請求項10では、降雨及び横風による煙突から炉内への雨水浸入防止及び煙突の排ガス上昇拡散性阻害を防止すると共に、煙突出口で横風の風圧を受け炉内圧の変動が生じ燃焼が不安定になるのを防止するため、煙突上部に煙突内径の1.5倍以上の内径を有する円筒型外覆いと内角が150度以下となるV字翼型天蓋を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項1の好ましい態様として、請求項11では、廃プラスチック等の焼却物の溶融液を回収する装置を有する。
【0016】
また、請求項12の発明は、降雨及び横風による煙突から炉内への雨水浸入防止及び煙突の排ガス上昇拡散性阻害を防止すると共に、煙突出口で横風の風圧を受け炉内圧の変動が生じ燃焼が不安定になるのを防止するため、煙突上部に煙突内径の1.5倍以上の内径を有する円筒型外覆いと内角が150度以下となるV字翼型天蓋を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
前記の手段を有する請求項1によれば、焼却物ガス化ボックスを火格子の下部に収納することにより、焼却物は火格子上の薪等の燃焼による高温火炎の輻射熱により加熱され、ガス化された生成ガスは火格子上の燃料の高温火炎中に混入され燃焼される。
この基本構造によって、廃プラスチックを焼却する場合、廃プラスチックのガス化速度の調節が輻射熱の受熱及び遮熱の調整によって可能となる。このことは、ダイオキシン生成の抑制を必要とし、且つ,少量づつの分散投入ができずセーフティボックス毎のブロック単位での処理が求められる医療廃棄物のような焼却物の場合であっても、焼却物が一気呵成に燃焼して炉内が異常に高温になったり、一方、その燃焼量に比し相対的に酸素(=供給空気)不足となって煙突から激しい黒煙が発生するのを防止できる。
また、炉本体内をガス流れが煙突に向かって上方流れで方向変化が無い構造になっているため、流れ抵抗が小さいので自然通風が可能である。
また、燃焼室兼燃焼ガス滞留室を火格子上面から0.7m以上の高さを有する構成にしたことにより、例えば図17に示す例から明らかなように、燃焼ガス流れを800℃以上の温度域で滞留時間を2秒間以上確保することが可能となり、これによりダイオキシンの生成を確実に抑制することができる。
【0018】
また、請求項2によれば、煙突の外周に煙突外筒を設けその外筒内面と煙突外面との間に燃焼用空気を大気より吸引して加熱し燃焼部に導入することによって、燃焼室の温度を高めるために煙突の高温排熱を再利用することになり、火格子上で燃焼する薪等の燃料消費量の減少が計られると共にそれに伴い燃焼ガス量の減少で燃焼ガス流速が減少するため炉内燃焼ガスの滞留時間が確保しやすくなる効果がある。
しかも、燃焼室兼燃焼ガス滞留室出口における燃焼ガス温度800℃以上を達成するためには、例えば図14に示す例のように、薪等の低カロリー燃料のみを燃料として使用する場合において、燃焼用空気として常温の大気をそのまま使用する場合の燃焼ガスの到達可能温度はせいぜい600〜670℃程度であるが、本発明による燃焼空気予熱装置を用いれば200℃以上に燃焼用空気の温度を上昇することが出来るので、安定して800℃以上の燃焼ガス温度での連続運転が容易に可能となる。
また、煙突内に流入する排ガス温度は、800℃以上と高温となっているが、その外面を流通空気で強制冷却することになるので、煙突のメタル温度を下げ、煙突の寿命を長くする効果がある。
【0019】
また、請求項3によれば、吸引力によって自然通風時より炉内負圧を強くして有害ガスの炉外への漏洩防止を強化すると共に、燃焼用空気の押込ファンを別途設けることなく、燃焼部に導入する燃焼用空気の量を増加させることができる。更に、燃焼用空気を煙突上部から吸引する場合においても有効である。
【0020】
また、請求項4によれば、焼却物をガス化ボックスに投入して、そのガス化ボックスは焼却炉火格子下の最下段のガス化ボックス収納室に挿入することが出来るため、床レベル位置でのガス化ボックスの挿入が可能であるため作業が容易である。
【0021】
また、請求項5、請求項6によれば、ガス化ボックス上部の多孔型の受熱調整受皿及び中央部に開口を有する受熱調整遮熱板は、焼却物及び焼却物ガス化ボックスの底部に溜まっている焼却物溶融液への火格子からの輻射熱の受熱強度を最適に調節することができ、また、請求項7によれば、分配供給する装置の例えばボックス下部の吸入空気分配管または分配トレー並びに空気導入調節弁は、ボックス内で輻射熱によって発生した生成ガスの燃焼を一部行ってボックス内の温度を適度に高め、残存する焼却物溶融液のガス化促進を行うことができる。これらの機能により、ボックス内でのガス化されたガスの発生量を燃焼室兼燃焼ガス滞留室の燃焼能力の範囲内に調節できるので、小型焼却炉において大きな医療廃棄物のセーフティボックスごとの焼却も容易に可能である。
【0022】
また、請求項8によれば、火格子の上面または下面に当該周辺部を塞ぐバッフルプレートを設けたことにより、生成ガス及び燃焼用空気が火格子上の中央部にある高温の燃料の燃焼火炎と無関係に火格子周辺部を自由に通過することによって生じる生成ガスの不完全焼却及び燃焼用空気の無用な消費を防ぐことができる。
【0023】
また、請求項9によれば、開口の相当直径が150mm以下の補助燃料投入口を別途に設けることにより、燃料の着火以後に間歇的に行う燃料の補充作業をする際に、所要の燃焼に必要な空気量に比し多量の大気が炉内に一時的に吸引されるのを防いで、例えば図20に示す例から明らかなように、燃焼ガス温度が周期的に大きく低下するのを回避でき、ダイオキシンの生成を抑制することができる。
【0024】
また、請求項11によれば、廃プラスチック等の焼却物の溶融液を回収する装置を設けることにより、溶融液のガス化を減らし焼却物の焼却処理量を減じて焼却時間を短くし焼却に伴うダイオキシン発生の総量を最小限にすることができる。
【0025】
また、請求項10、請求項12によれば、煙突フードを煙突の頂部に設置することにより、運転中にスコール等が襲来しても、雨の侵入が無く、また、横風の影響を受けないので、炉の運転を安定状態で継続することができる。
従来の陣笠型天蓋は排出ガスの上向き流れが阻害され、排ガス及びその含有有害成分が焼却炉付近周辺の狭い範囲に高い濃度で散布されることになり不都合が生じるが、本発明によれば、特に、煙突上部に煙突内径の1.5倍以上の内径を有する円筒型外覆いと内角が150度以下となるV字翼型天蓋を設けたことにより、例えば図18、図19に示す例から明らかなように、排ガスの上向きの流れが阻害されないので、排ガスの上空への拡散が良好に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
焼却物燃焼速度を適正に調整して黒煙の発生を防止すると共に、ダイオキシン生成抑制の必要条件である燃焼ガス温度800℃以上で滞留時間2秒間以上を炉運転中において安定して確保する。
燃焼用空気を煙突の排熱を利用して予熱することにより、高温の燃焼ガス温度が達成できると共に燃料消費量の低減を実現する。
炉運転中、炉内圧は大気圧以下の負圧となっており燃料投入時の燃料投入扉等の開閉作業及び焼却物ガス化ボックスの引き出し作業が安全に実施できる。
引出し可能な焼却物ガス化ボックスは焼却物の連続バッチ処理を可能とする。
可燃の焼却物残渣を殆ど残さない。
風雨の天候でも炉の運転を安定状態で実施または継続できる。
【実施例1】
【0027】
本発明による焼却炉の構成例を図1(焼却炉の全体構成)、図3〜図5(焼却物ガス化ボックス)、図8(受熱調整受皿の構造)、図9(受熱調整遮熱板の構造)図11(火格子周りのガス流れ/バッフルプレート有)、図12(煙突フード)、図13(V字翼型天蓋)に示す。
【0028】
図1より焼却炉の全体構成として、下方より焼却物のガス化ボックス収納室(35)、燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)、煙突(43)及び煙突フード(55)から構成されている。ガス化ボックス収納室(35)及び燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)は、側面、底面及び天井に断熱材(33)を内張りした直方体のケーシング(32)によって囲われて炉本体(31)を形成している。
【0029】
炉運転中は高さを有する炉本体(31)及び煙突(43)の自然通風力によって炉内圧は大気圧以下の負圧に保たれているので、炉内の有害成分を含む燃焼ガスが炉外に漏洩することがなく安全である。また、燃料補充時等に炉の開口部分を開放する際も高温のガスが外部に噴出することがなく安全である。
【0030】
炉本体(31)の最下部には前面に焼却物ガス化ボックス(38)を引き出し可能にするための開口があり、前記開口上部に炉運転中でも任意に開閉及び開度調節可能なスライド式遮熱板(40)を必要に応じて設けてもよい。火格子(36)より下方の内部スペースはガス化ボックス収納室(35)となっている。必要に応じて設けられるスライド式遮熱板(40)より下方のガス化ボックス収納室(35)に、焼却物ガス化ボックス(38)が引き出し可能に収納される。
【0031】
火格子(36)より上の内部スペースが燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)でその下部には薪等を燃焼させる火格子(36)があり、その下方に燃焼用空気吸込口(41)がケーシング(32)の周囲に複数組み込まれている。火格子(36)の上方の内部スペースは火格子上面から0.7m以上の高さを有する燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)となっており、ケーシング(32)の前面には薪等投入のための燃料投入扉(49)並びに開閉容易な蓋を有する開口の相当直径が150mm以下の補助燃料投入口(50)がある。補助燃料投入口(50)は実施例の図では燃料投入扉(49)以外に設けられているが、燃料投入扉(49)自体に設けてもよい。燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)には燃焼室出口温度計(60)が取り付けられている。
【0032】
燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)の上部に煙突(43)が接続されており、煙突出口付近に排ガスサンプリング座(59)がある。
【0033】
煙突(43)の先端には煙突フード(55)が取りつけられている。なお、煙突フード(55)の詳細構造については後述する。
【0034】
ここで、本実施例では、炉本体(31)は水平断面形状を矩形としているが、水平断面形状が円形であっても何ら差し支えないことはいうまでもない。
【0035】
図3〜図5及び図8〜図9は焼却物ガス化ボックス(38)の詳細構造を示す。
上方が開いた直方体のボックスケーシング(71)があって、前面は容器壁面と前面鏡板(72)とにより2重構造になっており、その間に断熱材(33)が充填されている。容器内部には下部から順に、左右方向に複数並設された吸気チャンネル(78)、受熱調整遮熱板(76)及び上部側の受熱調整受皿(75)がある。前面下部には吸気短管(82)が複数個配置され、各吸気短管(82)の吸気口側は吸気ヘダー(80)でカバーされている。吸気ヘダー(80)には他方を大気に通じた吸気量調節弁(81)が接続されており吸気量を調節できるようになっている。ここで、吸気量調節弁(81)の形式としては図示する螺子式ガス流量調節弁のほか、バタフライ式ダンパ若しくはボール弁等流量調節機能を有するものであればよい。
【0036】
前面鏡板(72)の中央部には引出し用取手(73)、上部にはスリット形の覗き窓(74)がある。吸気チャンネル(78)は等辺山形板を伏せた形で、一方端が吸気短管(82)の位置に合うように複数本配置し、吸気チャンネル(78)全体は一体ものとして容器上方開口より取りだし可能にした方が焼却物ガス化ボックス(38)内部の清掃時には好都合である。なお、吸気チャンネル(78)の断面形状は本図では等辺山形板を伏せた形としているが円形パイプを2分割した半円形状等であってもよい。
【0037】
吸気チャンネル(78)はその下端が容器の底面より一定の距離δ1(生成溶融液レベル以上)を有するようスペーサ(88)の上に乗せている。
【0038】
受熱調整遮熱板(76)は断熱材(33)を上下の鋼板で挟んで成型し、中心部に所定の遮熱板開口部(87)を有するものであって、吸気チャンネル(78)の上に乗せている。なお、図面では吸気チャンネル(78)、吸気短管(82)は複数配置されているが、必要に応じて1個でもよい。
【0039】
受熱調整受皿(75)は所定の開口率を持った多孔(92)の鋼板で周囲はL型に縁(93)を折り上げている。これをボックスケーシング(71)内壁の上部側に取り付けたストッパー(77)で支持する。焼却物(11)を収納する空間は受熱調整遮熱板(76)と受熱調整受皿(75)の間のスペースである。
【0040】
図10〜図11は火格子周りでの生成ガス(14)及び燃焼用空気(3)の流れと燃料(10)の高温燃焼ゾーン(25)との関係を模式的に示したものである。
図10は薪等の燃料を使用する場合、当該燃料の形及び大きさによっても若干の差異はあるものの、概ね火格子周辺部は当該燃料の散布状態が疎らとなることは止むを得ない。そして、その疎らとなっている火格子周辺部においては、生成ガス(14)及び燃焼用空気(3)の流れは燃料の高温燃焼ゾーン(25)を離れて素通りするため、この部分のダイオキシン生成抑制の効果が薄い。
従って、この問題を解消するために図11に示すバッフルプレート(54)の設置は有効である。バッフルプレート(54)は火格子(36)の上面又は下面(図では下面)の当該周辺部を塞ぐ箇所に設けられている。
【0041】
図12〜図13は煙突フード(55)及びV字翼型天蓋(85)の詳細構造を示す。円筒型外覆い(84)の内部にV字翼型天蓋(85)を有している。円筒型外覆い(84)とV字翼型天蓋(85)は煙突上部に設けられている。煙突内部への雨の降り込みと排ガスの排出抵抗を少なくするため円筒型外覆い(84)の内径(D3)は煙突先端内径(D1)の1.5倍以上(図18参照)とし、V字翼型天蓋(85)の内角(A)は150度以下(図19参照)とする必要がある。V字翼型天蓋(85)は平面投影形状が煙突先端内径の1.2倍以上の直径の円形状をなしうる楕円板を短軸線で折り曲げても、半楕円板を溶接等で接合してもよい。円筒型外覆い(84)とV字翼型天蓋(85)は固定用リブ(86)によって結合されると共に、煙突(43)の先端に取り付けられている。ここで、V字翼型天蓋(85)の展開形状は楕円状だけではなく矩形状であっても構わないことはいうまでもない。
【0042】
円筒型外覆い(84)は煙突出口で横風の風圧を受け炉内圧の変動が生じ燃焼が不安定になるのを防止すると共に、雨粒の煙突内への降り込み方向を規制している。
更に、V字翼型天蓋(85)は煙突(43)から排出される排ガスの排出抵抗を少なくして上空方向のガス流れを確保することによって煙突本来の上空拡散機能を保持している。また、上空から来る雨粒は円形状に投影されるV字翼型天蓋(85)に遮られると共に、雨水(26)は直線状の溝に沿って煙突(43)の外側に流れ落ちるので、煙突内への雨水侵入を完全に防止できる。
【0043】
以下に本発明による作用並びに効果を具体的に説明する。
まず炉全体について図1により、焼却時の運転手順にしたがって説明する。
まず、焼却物(11)を入れた焼却物ガス化ボックス(38)をガス化ボックス収納室(35)に挿入し収納する。火格子(36)の上に薪等の燃料(10)を燃料投入扉(49)から入れ、焚き付けとしての少量の紙等と共に着火しやすいように積み重ね点火する。着火が確認されたら、燃料投入扉(49)を閉めると炉内の温度が徐々に上昇するのに伴い炉内が大気圧以下の負圧にされるので、燃焼用空気として大気(1)が燃焼用空気吸込口(41)を経て火格子(36)の下部周囲から吸い込まれ、火格子を通って燃焼に寄与したあと燃焼ガスとなって燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)から煙突(43)へと流れる。この燃焼用空気(3)の流れによって、火格子(36)上に積み重ねられたまたは補充される薪等の燃料(10)の燃焼が促進され、炉本体が暖まるに従って燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)内の滞留ガスの温度も次第に上昇する。以後、燃料を主に補助燃料投入口(50)より投入し、燃焼ガス温度を燃焼室出口温度計(60)にて確認しながら昇温する。目標の温度(800℃以上)になったらその温度を持続させるため燃料の補充を続ける(図14参照)。
【0044】
火格子(36)上にて燃料の燃焼を続けると、焼却物ガス化ボックス(38)内の廃プラスチック類は溶融し始め、一部はガス化しながら焼却物ガス化ボックス(38)の底部に流れ落ちるが、上部からの輻射熱を受けガス化し上昇して、火格子(36)下部に吹出している燃焼空気と混合して一次燃焼し、すでに高温燃焼している火格子(36)上並びに燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)で二次燃焼する。排ガス(9)は燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)の天井から煙突(43)に流入し、煙突フード(55)より大気へ排出される。
【0045】
焼却物ガス化ボックス(38)から生成ガスが発生し燃焼を始めると、燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)内のガス温度は徐々に高くなるので、燃料の投入量を少なくして燃焼室出口温度が過上昇しないようにし焼却運転を続ける。焼却物ガス化ボックス(38)のスリット状の覗き窓(74)にて生成ガスの燃焼状態を火炎の有無で確認し、火炎が下火になれば焼却物ガス化ボックス(38)内の焼却は終了段階に近くなっている。そこで、ガス化ボックス下部に空気を供給するため吸気量調節弁(81)を開いて可燃残渣の燃焼を促進し、覗き窓(74)にて火炎が消滅したのを確認し薪の投入を止めて炉の運転を終了する。
継続して焼却する場合は、別の焼却物ガス化ボックス(38)に入れ替え、上記の焼却工程を繰り返す。
【0046】
ガス化ボックスの中での焼却物の取扱い並びにその挙動について説明すると、図3〜図5に示す焼却物ガス化ボックス(38)に焼却物を収納する場合は焼却物ガス化ボックス(38)を炉の外に出して、その上面開口から焼却物を受熱調整遮熱板(76)の上に置き、受熱調整受皿(75)にて蓋をする。これを炉のガス化ボックス収納室(35)に押し込んで設定する。下部の吸気量調節弁(81)は全閉に設定する。火格子(36)からの輻射熱が焼却物を加熱するが、その加熱強度は受熱調整受皿(75)によって適度に調整される。また、この受熱調整受皿(75)は火格子(36)の下に吸引されている燃焼用空気(3)を焼却物上面に巻き込んで直接に焼却物(11)に接触して焼却物(11)が急速燃焼するのを防止する効果がある。また、受熱調整受皿(75)は火格子(36)上で燃焼している燃料の落下灰を受け焼却物残渣との混合を防止するのに有効である。
【0047】
焼却物のうち、セーフティボックス(52)などの紙質類は受熱調整遮熱板(76)の上で炭化燃焼し灰になって残る。廃プラスチック類は溶融して一部は気化するが大部分は受熱調整遮熱板(76)の遮熱板開口部(87)より流れ落ちて焼却物ガス化ボックス(38)の底面に溜まる。底面の焼却物溶融液(12)は受熱調整遮熱板(76)を透過して伝達される適度の熱によって、可燃性の生成ガス(14)となり受熱調整遮熱板(76)の遮熱板開口部(87)より出て、受熱調整受皿(75)を通過し、火格子(36)へ上昇する。覗き窓(74)から火炎がみえなくなると、焼却の終了段階になり、この時点で吸気量調整弁(81)を開けて残存する焼却物溶融液(12)の溜まり近くに吸気短管(82)及び吸気チャンネル(78)を通じて空気を供給して受熱調整遮熱板(76)の上下の燃焼残渣の燃焼を促進する。焼却終了後、焼却物ガス化ボックス(38)の受熱調整受皿(75)の上には、火格子(36)からの落下灰が集められている。また、受熱調整遮熱板(76)の上及び焼却物ガス化ボックス(38)の底面には焼却物の灰が残る。これらの灰及び金属等の不燃物残渣は、焼却物ガス化ボックス(38)を炉外に引き出し、受熱調整受皿(75)と受熱調整遮熱板(76)吸気チャンネル(78)を取外すことにより、焼却物ガス化ボックス(38)の底面に集め、更に掃き集め清掃処理する。また、受熱調整受皿(75)の上の灰は火格子(36)の上で燃焼した燃料(10)の灰であり、焼却物(11)の灰と区別して処理することが可能である。
【実施例2】
【0048】
本発明による焼却炉の構成例を図2(焼却炉の全体構成)に示す。
実施例1より燃焼用空気を増加させたい場合は、煙突(43)に設けられた誘引噴出口(42)から噴出される空気噴流によって炉内圧は大気圧以下の更に強い負圧を起こさせることが出来る。
【0049】
火格子(36)より上の内部スペースが燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)でその下部には薪等を燃焼させる火格子(36)があり、その下方に予熱空気ヘダー(48)がケーシング(32)の左右面と後面に組み込まれている。予熱空気ヘダー(48)には予熱空気管(47)から予熱空気の供給を受ける予熱空気導入口(45)がある。
【0050】
燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)の上部に煙突(43)が接続されており、その外側に煙突外筒(44)があり、煙突(43)と煙突外筒(44)とによって適当な空気予熱スペース(18)を有する2重管を形成しており、当該スペースが燃焼空気予熱部(23)である。煙突(43)の上方内部には排ガス(9)を誘引する誘引噴出口(42)があり、ファン(39)からの空気が誘引空気管(56)及び誘引空気導入口(57)を経て煙突(43)の上方内部から上向きに噴き出すように誘引噴出口(42)は配置されている。誘引噴出口(42)から煙突出口までの高さは排ガス(9)と空気の適度な混合距離が考慮されている。
【0051】
以下に本発明による作用並びに効果を実施例1に準じ具体的に説明する。
着火が確認されたら、燃料投入扉(49)を閉め、ファン(39)を起動する。これにより、誘引噴出口(42)から常温の空気が噴き出し炉内が大気圧以下の負圧にされるのに伴い、燃焼用空気として大気が空気予熱スペース(18)に吸引され、予熱空気ハウジング(46)及び予熱空気管(47)を経て予熱空気分配ヘダー(48)に至り、火格子(36)の下部周囲から吹出し、火格子を通って燃焼に寄与したあと燃焼ガスとなって燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)から煙突(43)へと流れる。この予熱空気(2)の流れによって、火格子(36)上に積み重ねられたまたは補充される薪等の燃料(10)の燃焼が促進され、炉本体が暖まるに従って燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)内の滞留ガスの温度も次第に上昇する。以後、燃料を主に補助燃料投入口(50)より投入し、燃焼ガス温度を燃焼室出口温度計(60)にて確認しながら昇温する。目標の温度(800℃以上)になったらその温度を持続させるため燃料の補充を続ける。予熱空気流路を設けることにより燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)内のガス温度を容易に800℃以上にすることが可能となると同時に燃料の節約にも寄与する(図14参照)。
【0052】
排ガス(9)は燃焼室兼燃焼ガス滞留室(37)の天井から煙突(43)に流入し、誘引噴出口(42)からの低温空気と混合し、急冷されて煙突フード(55)より上向きに大気へ排出される。排ガスが煙突(43)を上昇する間に空気予熱スペース(18)で燃焼用空気と熱交換をするので、排ガス温度が低下し燃焼空気は加熱されて予熱空気ヘダー(48)より火格子下部に吸引される。
【実施例3】
【0053】
図3〜図5における吸気チャンネル(78)に代えて、空気を流出させる複数の孔(98)を有する吸気分配管(79)としたものを図6〜図7に示す。吸気分配管(79)は例えば円筒管からなり、複数の孔(98)はその下面側に等間隔で形成されている。
【実施例4】
【0054】
図15〜図16は焼却物(11)の焼却処理量を減じて焼却時間を短くし焼却に伴うダイオキシン発生の総量を最小限にするため、ボックスケーシング(71)の外部の例えば下部中央に溶融液溜(95)が別途設置される。また、焼却物溶融液(12)を別途設置の溶融液溜(95)に導く溶融液導管(96)及び継手(97)をボックスケーシング(71)の例えば底部中央に設けている。
なお、溶融液溜(95)に回収された焼却物溶融液(12)は溶融前の焼却物(11)に比し充分に体積が減少し以後の処分が容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
油及びガス燃料の調達困難な地域において、薪・椰子殻・麦藁及び流木等の固体バイオマスを燃料として、医療廃棄物等の廃プラスチックを含む焼却物を黒煙及びダイオキシン等の有害な排ガス成分の発生を最小限に抑制して焼却処理することによって、地球環境の保護に有効であると同時に、構造が簡単で、安価で、取扱いが極めて容易な小型焼却炉を提供する。
また、電力消費量が少ないのでソーラー発電装置との併用によって電力インフラの整っていない地域での利用にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1の焼却炉の全体構成図。
【図2】実施例2の焼却炉の全体構成図。
【図3】実施例1の焼却物ガス化ボックスの縦断面図。
【図4】図3のA−A矢視を示す焼却物ガス化ボックスの正面図。
【図5】図3のB−B断面を示す焼却物ガス化ボックスの横断面図。
【図6】(A)は実施例3の焼却物ガス化ボックスの縦断面図、(B)は実施例3の吸気分配管の下から見た斜視図。
【図7】図6のC−C断面を示す焼却物ガス化ボックスの横断面図。
【図8】(A)は実施例1の受熱調整受皿の構造を示す平面図、(B)は実施例1の受熱調整受皿の断面図。
【図9】実施例1の受熱調整遮熱板の構造を示す平面図、(B)は実施例1の受熱調整遮熱板の断面図。
【図10】バッフルプレートが無い場合の火格子周りのガス流れ図。
【図11】バッフルプレートが有る場合の火格子周りのガス流れ図。
【図12】(A)は実施例1の同図(B)のE−E矢視平面図、(B)は実施例1の煙突フードの斜視図。
【図13】(A)は図12のD−D断面のV字翼型天蓋の断面図とその平面投影図、(B)は同図(A)のV字翼型天蓋のV字折り曲げの前後の斜視図。
【図14】燃焼室兼燃焼ガス滞留室出口ガスの到達可能温度比較図。
【図15】実施例4の溶融液回収装置の縦断面図。
【図16】図15のE−E断面を示す溶融液回収装置の断面図。
【図17】滞留時間と燃焼室兼燃焼ガス滞留室高さの関係図。
【図18】煙突内径と煙突フード内径の関係図。
【図19】V字翼型天蓋の内角と排ガス排出圧力損失係数の関係図。
【図20】薪投入時の燃焼室兼燃焼ガス滞留室出口ガスの温度変動状態図。
【図21】従来の焼却炉の一例図。
【符号の説明】
【0057】
1 大気
2 予熱空気
3 燃焼用空気
4 燃料燃焼ガス
5 焼却物燃焼ガス
6 混合燃焼ガス
7 高温燃焼ガス
8 低温燃焼ガス
9 排ガス
10 燃料
11 焼却物
12 焼却物溶融液
13 焼却物溶融液溜り部
14 生成ガス
15 高温火炎
16 輻射熱
17 予熱空気雨傘
18 空気予熱スペース
19 予熱空気チャンバー
20 燃焼部
21 燃焼ガス滞留部
22 煙道部
23 燃焼空気予熱部
25 高温燃焼ゾーン
26 雨水
31 炉本体
32 ケーシング
33 断熱材
34 ベースプレート
35 ガス化ボックス収納室
36 火格子
37 燃焼室兼焼ガス滞留室
38 焼却物ガス化ボックス
39 ファン
40 スライド式遮熱板
41 燃焼用空気吸込口
42 誘引噴出口
43 煙突
44 煙突外筒
45 空気予熱導入口
46 予熱空気ハウジング
47 予熱空気管
48 予熱空気ヘダー
49 燃料投入扉
50 補助燃料投入口
52 セーフティボックス
53 医療廃棄物
54 バッフルプレート
55 煙突フード
56 誘引空気管
57 誘引空気導入口
59 排ガスサンプリング座
60 燃焼室出口温度計
71 ボックスケーシング
72 前面鏡板
73 引出し用取手
74 覗き窓
75 受熱調整受皿
76 受熱調整遮熱板
77 ストッパー
78 吸気チャンネル
79 吸気分配管
80 吸気ヘダー
81 吸気量調節弁
82 吸気短管
84 円筒型外覆い
85 V字翼型天蓋
86 固定用リブ
87 遮熱板開口部
88 スペーサ
89 短軸線
91 鋼板
92 多孔
93 縁
94 多孔
95 溶融液溜
96 溶融液導管
97 継手
98 孔
101 一次燃焼室
102 二次燃焼室
103 燃焼用空気ファン
104 助燃バーナー
105 陣笠型天蓋
106 燃料・焼却物投入扉
107 灰掻出し扉
108 隔壁
109 一次空気導入口
110 二次空気導入口
112 誘引ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックの輻射熱による溶融ガス化と、有害ガスの炉外への漏洩防止のために自然通風でも燃焼室兼燃焼ガス滞留室とガス化ボックス収納室を負圧にすべく、炉全体構造を下方から上方に向かって、燃焼室兼燃焼ガス滞留室下部から放射される輻射熱によって廃プラスチック等の焼却物を溶融ガス化するガス化ボックス収納室、固体バイオマスを燃焼させる火格子を下部に備え火格子上面から0.7m以上の高さを有する燃焼室兼燃焼ガス滞留室、燃焼室兼燃焼ガス滞留室の上部に当該燃焼ガスを大気へ放出するための煙突を配置して、当該焼却物ガス化に伴う生成ガス、焼却物燃焼ガス及び燃料燃焼ガスのガス流れ方向を上向きにして、燃焼用空気を燃焼室兼燃焼ガス滞留室下部の火格子下部周囲から供給されるような構造を有することを特徴とするダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項2】
燃焼室兼燃焼ガス滞留室内のガス温度が800℃以上を容易に確保できるようにすると同時に燃料節約のため、煙突外周面から排ガスの余熱を直接回収して生成ガス及び燃料の燃焼用空気の温度を昇温するための燃焼空気加熱導入路を空気が煙突外周を下降する方向に配設し、そこで加熱された予熱空気を燃焼室兼燃焼ガス滞留室下部の火格子下部周囲から予熱空気分配ヘダーを経由して供給されるような流路を有する請求項1記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項3】
煙突内に空気を煙突出口方向に向け噴出する誘引噴出口を煙突上部側に設けた請求項1又は請求項2記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項4】
焼却物ガス化ボックスを炉外に引出し可能な構造とした請求項1記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項5】
焼却物ガス化ボックスの上部に多孔状の受熱調整受皿を設けた請求項1記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項6】
焼却物溶融液のガス化速度を調節するため、焼却物ガス化ボックスの底部に焼却物溶融液の落下を可能にするための開口を有する受熱調整遮熱板を設けた請求項1記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項7】
焼却物ガス化ボックスの底部にボックス内の可燃残渣の燃焼を促進させるため、炉外の大気を空気導入調節弁と当該調節弁を通じて吸気して焼却物溶融液溜り部上部に供給する装置を設けた請求項1記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項8】
生成ガス及び燃焼用空気が火格子上の中央部にある高温の燃料の燃焼火炎と無関係に火格子周辺部を自由に通過することによって生成ガスの不完全焼却及び燃焼用空気の無用な消費を防ぐため、火格子の上面または下面に当該周辺部を塞ぐバッフルプレートを設けた請求項1記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項9】
燃料着火後に間歇的に実施される補充の燃料投入を本来の燃料投入扉の開口以外からも行えるよう、開口の相当直径が150mm以下の補助燃料投入口を燃料投入扉以外または燃料投入扉自体に設けた請求項1記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項10】
降雨及び横風による煙突から炉内への雨水浸入防止及び煙突の排ガス上昇拡散性阻害を防止すると共に、煙突出口で横風の風圧を受け炉内圧の変動が生じ燃焼が不安定になるのを防止するため、煙突上部に煙突内径の1.5倍以上の内径を有する円筒型外覆いと内角が150度以下となるV字翼型天蓋を設けた請求項1記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項11】
廃プラスチック等の焼却物の溶融液を回収する装置を有する請求項1記載のダイオキシン生成を抑制する固体バイオマス焚廃プラスチック小型焼却炉。
【請求項12】
降雨及び横風による煙突から炉内への雨水浸入防止及び煙突の排ガス上昇拡散性阻害を防止すると共に、煙突出口で横風の風圧を受け炉内圧の変動が生じ燃焼が不安定になるのを防止するため、煙突上部に煙突内径の1.5倍以上の内径を有する円筒型外覆いと内角が150度以下となるV字翼型天蓋を設けたことを特徴とする小型焼却炉の煙突上部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−85452(P2009−85452A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252626(P2007−252626)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(505410379)株式会社ステラ環境科学 (2)
【Fターム(参考)】