説明

ダイピックアップ装置

【課題】ダイシングシートに貼着されたダイをピックアップするダイピックアップ装置において、ダイ1個当たりのシート剥離に要する時間を短くしてタクトタイムを短縮する。
【解決手段】剥離ステージ18のシート吸引孔40は、複数のダイ21の貼着部分を同時に吸引できるように当該複数のダイ21の貼着部分に跨がるように形成されている。吸着ノズル30の下端部には、同時にピックアップする複数のダイ21の合計サイズとほぼ同一のサイズ又はそれより少し小さいサイズのパッド部30aが設けられている。吸着ノズル30のパッド部30aでダイシングシート上の複数のダイ21を吸着保持しながら、該複数のダイ21の貼着部分の手前側から剥離ステージ18を該複数のダイ21の貼着部分の真下へスライドさせることで、該複数のダイ21の貼着部分をシート吸引孔40で徐々にシート剥離した後、吸着ノズル30で同時に複数のダイ21をピックアップする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシングシートに貼着されたダイを吸着ノズルでピックアップする際に、吸着ノズルでピックアップするダイの貼着部分をダイシングシートの下面側から吸引して該ダイの貼着部分をシート剥離するダイピックアップ装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
ダイシングシートに貼着されたダイを剥離する方式には、突き上げ剥離方式とスライド剥離方式とがある。突き上げ剥離方式では、特許文献1(特開2010−129949号公報)に記載されているように、碁盤目状にダイシングされたウエハが貼着された伸縮可能なダイシングシート上のウエハから分割したダイを吸着ノズルで吸着してピックアップする際に、ダイシングシートのうちの吸着しようとするダイの貼着部分をその真下から突き上げポットで突き上げて該ダイの貼着部分をダイシングシートから部分的に剥離させながら、吸着ノズルで該ダイを吸着してダイシングシートからピックアップするようにしている。
【0003】
しかし、ダイが薄くて割れやすいダイの場合は、上記突き上げ剥離方式ではダイが割れてしまう可能性があるため、スライド剥離方式が用いられる。スライド剥離方式では、特許文献2(特許第3209736号公報)に記載されているように、多数のダイが貼着されたダイシングシート上のダイをピックアップする吸着ノズル(コレット)と、シート吸引孔を有する剥離ステージとを備え、吸着ノズルでダイシングシート上のダイを吸着保持しながら、該ダイの貼着部分の手前側から剥離ステージのシート吸引孔を該ダイの貼着部分の真下へスライドさせることで、該ダイの貼着部分を徐々にシート剥離するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−129949号公報
【特許文献2】特許第3209736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダイピックアップ装置のタクトタイムを短縮するには、シート剥離速度を速くしてシート剥離に要する時間を短くすることが効果的であるが、上記特許文献2のようなスライド剥離方式では、薄くて割れやすいダイをシート剥離するため、剥離ステージのスライド速度を速くすると、薄いダイが割れてしまったり、シート剥離に失敗する可能性がある。このシート剥離の失敗を防ぐには、吸引力を大きくすれば良いが、吸引力を大きくすると、薄いダイが割れやすくなるため、吸引力を大きくできない。このため、剥離ステージのスライド速度を速くすることができず、ダイ1個当たりのシート剥離に要する時間が長くなってダイピックアップ装置のタクトタイムが長くなるという欠点があった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ダイ1個当たりのシート剥離に要する時間を短くしてタクトタイムを短縮できるダイピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、ウエハを碁盤目状にダイシングして形成した多数のダイが貼着されたダイシングシート上のダイをピックアップする吸着ノズルと、前記吸着ノズルでピックアップするダイの貼着部分を前記ダイシングシートの下面側から吸引して該ダイの貼着部分をシート剥離する剥離ステージとを備え、前記剥離ステージは、前記ダイシングシートを吸引するシート吸引孔を有し、前記吸着ノズルで前記ダイシングシート上のダイを吸着保持しながら、該ダイの貼着部分の手前側から前記剥離ステージを該ダイの貼着部分の真下へスライドさせることで該ダイの貼着部分を徐々に前記シート吸引孔でシート剥離するダイピックアップ装置において、前記吸着ノズルは、複数のダイを同時にピックアップ可能に構成され、前記剥離ステージのシート吸引孔は、前記吸着ノズルで前記複数のダイを同時に吸着保持しながら該複数のダイの貼着部分を同時にシート剥離するように形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この構成では、ダイシングシート上の複数のダイの貼着部分を同時にシート剥離することができるため、ダイ1個当たりのシート剥離に要する時間を大幅に短縮できて、ダイピックアップ装置のタクトタイムを短縮できる。
【0009】
この場合、請求項2のように、吸着ノズルは、同時にピックアップ可能な複数のダイに対して各ダイ毎に独立して吸着/非吸着を切り換える手段を有する構成としても良い。このようにすれば、例えば、ピックアップ動作時に吸着ノズルで同時にピックアップ可能な複数のダイの中にバッドダイ(不良ダイ)があれば、そのバッドダイの吸着を非吸着に切り換えてバッドダイをダイシングシート上に残すことが可能となり、バッドダイの回収が容易である。
【0010】
また、請求項3のように、剥離ステージは、吸着ノズルで同時にピックアップ可能な複数のダイの貼着部分に対して各ダイ毎に独立して吸引/非吸引を切り換える手段を有する構成としても良い。このようにすれば、例えば、同時にシート剥離可能な複数のダイの中にバッドダイがあれば、そのバッドダイの貼着部分の吸引を非吸引に切り換えて、バッドダイをダイシングシートに貼着したままの状態で残すことが可能となり、バッドダイの回収が容易である。
【0011】
また、請求項4のように、吸着ノズルは、複数のダイを同時にピックアップした状態で上下反転可能に構成しても良い。このようにすれば、本発明のピックアップ装置を部品実装機にセットして使用する場合に、吸着ノズルで複数のダイを同時にピックアップした状態で該吸着ノズルを上下反転させて、部品実装機の装着ノズルで該吸着ノズル上の複数のダイを1個ずつ順番に吸着して回路基板に実装することができ、生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例1におけるダイピックアップ装置の斜視図である。
【図2】図2は実施例1のダイピックアップ装置をセットした部品実装機の斜視図である。
【図3】図3は実施例1のダイのシート剥離のスライド動作開始時の状態(ダイシングシートの図示を省略)を示す斜視図である。
【図4】図4は実施例1のダイのシート剥離のスライド動作終了時の状態(ダイシングシートの図示を省略)を示す斜視図である。
【図5】図5は実施例1のダイシングシート上の各ダイと剥離ステージのシート吸引孔との位置関係を説明する平面図である。
【図6】図6は実施例1のダイのシート剥離のスライド動作の途中の状態を示す部分拡大断面図である。
【図7】図7は実施例1の吸着ノズルのパッド部の構成を示す拡大斜視図である。
【図8】図8は実施例1の吸着ノズルのパッド部の構成を示す部分拡大縦断面図である。
【図9】図9は実施例2のダイのシート剥離のスライド動作時の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態を具体化した2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1を図1乃至図8を用いて説明する。
図1に示すように、本実施例1のダイピックアップ装置11は、マガジン保持部12(トレイタワー)、パレット引き出しテーブル13、パレット引き出し機構14、サブロボット15、シャトル機構16、反転機構17、剥離ステージ18(図3〜図6参照)、NGコンベア19、ノズルチェンジャー20等を備えた構成となっている。このダイピックアップ装置11は、図2に示すように、部品実装機25のフィーダセット用スロットにパレット引き出しテーブル13を差し込んだ状態にセットされる。
【0015】
ダイピックアップ装置11のマガジン保持部12内に上下動可能に収納されたマガジンには、ダイ21を載せたウエハパレット22と、トレイ部品を載せたトレイパレット(図示せず)とを多段に混載できるようになっている。ウエハパレット22は、碁盤目状にダイシングされたウエハ(多数のダイ21)を貼着した伸縮可能なダイシングシート29(図6参照)を、円形の開口部を有するウエハ装着板23にエキスパンドした状態で装着し、該ウエハ装着板23をパレット本体28にねじ止め等により取り付けた構成となっている。尚、ダイシングシート29のエキスパンドは、どのような方法で行っても良く、例えば、ダイシングシート29を下方から円形リングで押し上げた状態でウエハ装着板23に装着すれば良い。
【0016】
パレット引き出し機構14は、ウエハパレット22、トレイパレットのいずれかのパレットをマガジン保持部12内のマガジンからパレット引き出しテーブル13上に引き出すものであり、パレット上の部品やダイを部品実装機25(図2参照)の吸着ノズル(図示せず)でピックアップする位置(以下「部品実装機用引き出し位置」という)と、マガジンに近い引き出し位置(以下「サブロボット用引き出し位置」という)とのいずれの位置にもパレットを引き出し可能に構成されている。部品実装機用引き出し位置は、パレット引き出しテーブル13の前端の位置(マガジンから最も離れた位置)であり、サブロボット用引き出し位置は、サブロボット15の吸着ノズル30(図3、図4、図7、図8参照)でウエハパレット22のダイシングシート29上のダイ21を吸着可能な位置である。
【0017】
サブロボット15は、マガジン保持部12の背面部(サブロボット用引き出し位置側の面)のうちのパレット引き出しテーブル13の上方に位置して設けられ、XZ方向(パレット引き出しテーブル13の幅方向及び垂直方向)に移動するように構成されている。尚、サブロボット15の移動方向をX方向のみとし、ウエハパレット22に対するサブロボット15のY方向(パレット引き出し方向)の相対的位置は、パレット引き出し機構14によってウエハパレット22をY方向に徐々に引き出すことで制御している。
【0018】
このサブロボット15には、カメラ24が設けられ、このカメラ24の撮像画像に基づいて、ピックアップ対象となるダイ21の位置又はダイ21の吸着姿勢を確認できるようになっている。また、ダイシングシート29に貼着したダイ21の中にバッドダイ(不良ダイ)が存在する場合は、バッドダイの上面にバッドダイであることを示すマークが付され、カメラ24の撮像画像に基づいてバッドダイを認識できるようになっている。
【0019】
シャトル機構16は、サブロボット15の吸着ノズル30でピックアップされた部品をシャトルノズル26で受け取って部品実装機25の吸着ノズルでピックアップ可能な位置まで移送する。
【0020】
反転機構17は、サブロボット15から受け取るダイ21を必要に応じて上下反転させるものである。ダイ21の種類によっては、ウエハパレット22のダイシングシート29に上下反対に貼着されたダイ(例えばフリップチップ等)が存在するためである。
【0021】
剥離ステージ18(図3参照)は、パレット引き出しテーブル13の下側に配置され、剥離ステージ駆動手段であるXYロボット(図示せず)によってウエハパレット22のダイシングシート29の下面に沿ってXY方向(パレット引き出しテーブル13の幅方向及びその直角方向)に移動すると共に、ウエハパレット22のダイシングシート29の高さ位置に応じて剥離ステージ18の高さ位置を上下動させる機能を備えている。そして、部品実装機用引き出し位置とサブロボット用引き出し位置のいずれの位置にウエハパレット22を引き出した場合でも、部品実装機25又はサブロボット15の吸着ノズル30で吸着ノズル30上のダイ21をピックアップする際に、該吸着ノズル30でダイシングシート29上のダイ21を吸着保持しながら、該ダイ21の貼着部分の手前側から剥離ステージ18を該ダイ21の貼着部分の真下へスライドさせることで該ダイ21の貼着部分を徐々にシート剥離する。剥離ステージ18と吸着ノズル30の構成とシート剥離方法については、後で詳しく説明する。尚、NGコンベア19は、不良部品や吸着不良のダイ21を排出するコンベアである。
【0022】
以上のように構成したダイピックアップ装置11の制御装置32は、キーボード、マウス等の入力装置33と、液晶ディスプレイ等の表示装置34等の周辺装置を備えたコンピュータにより構成され、部品実装機25に供給する部品の種類に応じてパレットの引き出し位置と部品のピックアップ方法を選択すると共に、その選択結果に応じてパレット引き出し機構14、サブロボット15及びシャトル機構16、反転機構17、剥離ステージ18、吸着ノズル30等の動作を次のように制御する。
【0023】
ウエハパレット22上のダイ21をサブロボット15の吸着ノズル30でピックアップする場合は、マガジン保持部12内のマガジンからウエハパレット22をサブロボット用引き出し位置に引き出して、サブロボット15の吸着ノズル30で当該ウエハパレット22のダイシングシート29上の複数のダイ21を同時にピックアップし、当該複数のダイ21をシャトル機構16のシャトルノズル26で受け取って所定のピックアップ位置まで移送し、このピックアップ位置で、シャトル機構16のシャトルノズル26からダイ21を部品実装機25の装着ノズルでピックアップする。
【0024】
本実施例1では、サブロボット15の吸着ノズル30は、複数のダイ21を同時にピックアップした状態で上下反転可能に構成され、シャトル機構16を使用せずに、サブロボット15の吸着ノズル30から部品実装機25の装着ノズルへのダイ21の受け渡しが可能となっている。シャトル機構16を使用しない場合は、マガジン保持部12内のマガジンからウエハパレット22を部品実装機用引き出し位置に引き出して、サブロボット15の吸着ノズル30のパッド30aで複数のダイ21を同時にピックアップした状態で該吸着ノズル30を上下反転させ、部品実装機25の装着ノズルで該吸着ノズル30のパッド30a上の複数のダイ21を1個ずつ順番に吸着して回路基板に実装する。
【0025】
トレイ部品を部品実装機25に供給する場合は、マガジン保持部12内のマガジンからトレイパレットを部品実装機用引き出し位置に引き出して、当該トレイパレット上のトレイ部品を部品実装機25の装着ノズルで直接ピックアップする。
【0026】
次に、剥離ステージ18と吸着ノズル30の構成とシート剥離方法を図3〜図8を用いて説明する。尚、図3及び図4では、ダイシングシート29の図示を省略し、ダイ21と剥離ステージ18と吸着ノズル30のパッド部30aのみを図示している。
【0027】
剥離ステージ18は、パレット引き出しテーブル13の下側に配置され、剥離ステージ駆動手段であるXYロボット(図示せず)によってウエハパレット22のダイシングシート29の下面に沿ってXY方向に移動する。剥離ステージ18には、ダイシングシート29をその下面側から吸引するシート吸引孔40が上向きに形成され、該シート吸引孔40には、ダイ21のシート剥離に適した圧力に調整された負圧が供給されるように構成されている。シート吸引孔40は、複数(本実施例1では4個)のダイ21の貼着部分を同時に吸引できるように当該複数のダイ21の貼着部分に跨がるように形成されている(図5参照)。
【0028】
このシート吸引孔40のスライド方向側の縁部には、凸部41が形成され、同時にシート剥離する各ダイ21の貼着部分を凸部41で浮かせながらシート剥離するようになっている(図6参照)。尚、凸部41は、必ずしもシート吸引孔40のスライド方向側の縁部全体に沿って一直線状に形成する必要はなく、当該縁部の一部に1個又は複数個の凸部を形成するだけでも良く、また、各シート吸引孔40のスライド方向とは異なる方向の縁部にも凸部を形成しても良い。
【0029】
剥離ステージ18を駆動するXYロボットは、同時にシート剥離した複数のダイ21を吸着ノズル30でピックアップする毎に、図3に示すように、剥離ステージ18を次にピックアップする複数のダイ21の貼着部分の手前側へ移動させて、図4に示すように、該剥離ステージ18を該複数のダイ21の貼着部分の真下へスライドさせてシート吸引孔40で該複数のダイ21の貼着部分を該複数のダイ21がピックアップ可能となるように同時にシート剥離する。
【0030】
一方、サブロボット15の吸着ノズル30は、同時にピックアップする複数のダイ21の合計サイズに応じてノズルチェンジャー20で自動交換できるようになっている。吸着ノズル30の下端部には、同時にピックアップする複数のダイ21の合計サイズとほぼ同一のサイズ又はそれより少し小さいサイズのパッド部30aが設けられている。
【0031】
図7、図8に示すように、パッド部30aの吸着面部30bは、多数の微細孔を有する多孔質部材又は多孔板で形成され、同時にピックアップする各ダイ21毎に独立して吸着/非吸着を切り換える機能を持たせるために、パッド部30a内部の負圧導入空洞部42が各ダイ21毎に仕切壁43で仕切られ、各負圧導入空洞部42がそれぞれ電磁バルブ44を介して負圧源45(バキューム源)に接続されている。これにより、各負圧導入空洞部42の電磁バルブ44の開弁/閉弁を各ダイ21毎に独立して切り換えることで、同時にピックアップ可能な複数のダイ21に対して各ダイ21毎に独立して吸着/非吸着を切り換えることができるようになっている。このようにすれば、例えば、ピックアップ動作時に吸着ノズル30で同時にピックアップ可能な複数のダイ21の中にバッドダイがあれば、そのバッドダイを吸着する吸着面部30bを非吸着に切り換えてバッドダイをダイシングシート29上に残すことが可能となり、バッドダイの回収が容易である。
【0032】
以上説明した本実施例1では、吸着ノズル30で複数のダイ21を同時に吸着保持しながら剥離ステージ18で複数のダイ21の貼着部分を同時にシート剥離するようにしたので、ダイ1個当たりのシート剥離に要する時間を大幅に短縮できて、ダイピックアップ装置11のタクトタイムを短縮できる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の実施例2を図9を用いて説明する。但し、上記実施例1と実質的に同一部分については同一符号を付して説明を省略又は簡単化し、主として異なる部分について説明する。
【0034】
本実施例2で使用する剥離ステージ51は、吸着ノズル30で同時にピックアップ可能な複数のダイ21の貼着部分に対して各ダイ21毎に独立して吸引/非吸引を切り換えることができるように構成されている。
【0035】
具体的には、剥離ステージ51には、吸着ノズル30で同時にピックアップ可能な複数のダイ21の貼着部分毎にシート吸引孔52が仕切壁53で仕切り形成され、各シート吸引孔52がそれぞれ電磁バルブ54を介して負圧源55(バキューム源)に接続されている。これにより、各シート吸引孔52の電磁バルブ54の開弁/閉弁を各ダイ21毎に独立して切り換えることで、同時にシート剥離可能な複数のダイ21の貼着部分に対して各ダイ21毎に独立して吸引/非吸引を切り換えるようになっている。このようにすれば、例えば、同時にシート剥離可能な複数のダイ21の中にバッドダイがあれば、そのバッドダイの貼着部分の吸引を非吸引に切り換えて、バッドダイをダイシングシート29に貼着したままの状態で残すことが可能となり、バッドダイの回収が容易である。
【0036】
尚、上記実施例1,2では、同時に4個のダイ21をピックアップできるように構成したが、同時にピックアップするダイ21の個数は、適宜変更して実施しても良い。
また、上記実施例1,2では、複数のダイ21を同時にピックアップする吸着ノズル30のパッド部30aを一体に形成したが、独立した複数本の吸着ノズルで複数のダイ21を同時にピックアップするように構成しても良い。
【0037】
また、各ダイ21の貼着部分をそれぞれ複数のシート吸引孔で吸引するようにしても良く、また、シート吸引孔の形状も四角形に限定されず、円、楕円、長円、五角形以上の多角形等であっても良い。要は、ダイ21の貼着部分にその下面側から吸引力(負圧)を作用させるようにシート吸引孔を形成すれば良い。
【0038】
その他、本発明は、ダイピックアップ装置11の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
11…ダイピックアップ装置、12…マガジン保持部、13…パレット引き出しテーブル、14…パレット引き出し機構、15…サブロボット、16…シャトル機構、17…反転機構、18…剥離ステージ、19…NGコンベア、20…ノズルチェンジャー、21…ダイ、22…ウエハパレット、23…ウエハ装着板、24…カメラ、25…部品実装機、26…シャトルノズル、28…パレット本体、29…ダイシングシート、30…吸着ノズル、30a…パッド部、32…制御装置、40…シート吸引孔、41…凸部、42…負圧導入空洞部、43…仕切壁、44…電磁バルブ、45…負圧源、51…剥離ステージ、52…シート吸引孔、53…仕切壁、54…電磁バルブ、55…負圧源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを碁盤目状にダイシングして形成した多数のダイが貼着されたダイシングシート上のダイをピックアップする吸着ノズルと、前記吸着ノズルでピックアップするダイの貼着部分を前記ダイシングシートの下面側から吸引して該ダイの貼着部分をシート剥離する剥離ステージとを備え、前記剥離ステージは、前記ダイシングシートを吸引するシート吸引孔を有し、前記吸着ノズルで前記ダイシングシート上のダイを吸着保持しながら、該ダイの貼着部分の手前側から前記剥離ステージを該ダイの貼着部分の真下へスライドさせることで該ダイの貼着部分を徐々に前記シート吸引孔でシート剥離するダイピックアップ装置において、
前記吸着ノズルは、複数のダイを同時にピックアップ可能に構成され、
前記剥離ステージのシート吸引孔は、前記吸着ノズルで前記複数のダイを同時に吸着保持しながら該複数のダイの貼着部分を同時にシート剥離するように形成されていることを特徴とするダイピックアップ装置。
【請求項2】
前記吸着ノズルは、同時にピックアップ可能な複数のダイに対して各ダイ毎に独立して吸着/非吸着を切り換える手段を有することを特徴とする請求項1に記載のダイピックアップ装置。
【請求項3】
前記剥離ステージは、前記吸着ノズルで同時にピックアップ可能な複数のダイの貼着部分に対して各ダイ毎に独立して吸引/非吸引を切り換える手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のダイピックアップ装置。
【請求項4】
前記吸着ノズルは、複数のダイを同時にピックアップした状態で上下反転可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のダイピックアップ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−174742(P2012−174742A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32683(P2011−32683)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】