説明

ダイプレート

水中ペレタイザ用の中実フェースダイプレートは、高摩耗性材料の硬質耐磨耗性要素を保持し、押出オリフィスがポリマーを押し出すために開口している円形スロットを有するキャリアまたは保持プレートを含む。中実フェースダイプレートは、キャリア内に硬質耐磨耗性要素を埋め込むことでダイプレートの中央部に断熱材料またはプラグ材料を備える必要性をなくし、磨耗寿命をより長くするために硬質耐磨耗性の縁部を保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、同時係属の米国仮出願番号第60/800,030号(2006年5月15日出願)に対する優先権を有し、本明細書により優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、水中ペレタイザの分野に関し、より詳細には水中ペレタイザ用の中実フェース押出ダイプレートに関する。
【背景技術】
【0003】
既知の水中ペレタイザは、延長する押出オリフィスを有する押出ダイまたはダイプレートを含み、そのオリフィスを通って溶融ポリマーが押し出される。カッターナイフを有するカッターハブは、押出ダイプレートの表面に回転可能に対向する関係に配向されて、ストランド状のポリマーをペレットに切断する。水の入口と出口を備える水箱は、ストランド状の押し出されたポリマーを冷却し凝固させるために水を循環させて、カッターハブのナイフがストランドをペレットに切断できるようにする。水箱の中を循環する水はさらに、水箱の出口から排出される水とペレットのスラリーにペレットを混入させる。
【0004】
既知の方法は、押出ダイプレートのダイ表面に凹部を設け、その凹部に断熱材を配置して、押出ダイプレートと押出オリフィスから押し出される溶融ポリマーから水箱の中を循環する水への熱伝導を低減するものである。凹部に挿入される断熱材は、一般的には、適切なマスチック樹脂や接着剤などにより定位置にはめ込まれ、凹部内で金属薄板に覆われるガスケット材である。薄板は適切な締付具によりダイプレートに固定されて、断熱材を凹部内の定位置に保つ。断熱材は、凹部内で受ける温度によりかなりの劣化を被りやすく、場合によっては、ダイ表面の中央の凹部領域を効果的に断熱できない。効果のない断熱は、押出オリフィスから押し出される時に溶融ポリマーの過度な冷却につながり、ダイ表面での溶融ポリマーの凍結を引き起こす。
【0005】
これらの問題の1つの解決案は、米国特許第6,824,371号に示されたように、ダイ表面の凹部を十分にふさぐ円板型の断熱プラグを配設することである。本明細書内で十分に説明するように、この開示物全体を本明細書内に特に参照としてそのまま組み込む。本明細書内ではガスケットエリミネータプラグ(gasket eliminator plug:GEP)と呼ばれる米国特許第6,824,371号の円板は、押出ダイプレートのオリフィスから押し出される溶融ポリマーから水中ペレタイザの水箱の中を循環する水への熱伝導を低減し、さらに従来の断熱技術で受けるような低下や劣化を受けない。
【0006】
米国第6,824,371号のGEPまたは従来の断熱材とダイ表面との許容差は非常に小さい。したがって、定期メンテナンスの間でGEPを装着したり外したりする時に、ダイ表面を傷つけやすい。これは、GEPが製造するのに比較的高価であり、さらに、正確に作動するためには、ダイプレート内にぴったりとはまらなければならない点が問題である。
【発明の概要】
【0007】
先行技術の断熱技術に伴う既知の問題を克服するために、本発明は水中ペレタイザ用の中実フェースダイプレートを提供する。中実フェースダイプレートは、ダイプレートベース部材と取り外し可能な挿入体とを含む。ダイ挿入体は、その切断面側に中実フェースプレートを有する。中実フェースプレートは、押出ダイ孔を囲む1つの硬質耐摩耗性の要素(または複数の硬質耐摩耗性の要素)を有するキャリアまたは支持プレートから成る。キャリアは一部品の材料から成り、硬質耐磨耗性要素を保持するためのほぼ円形のスロットを有する。スロット内に嵌め込まれると、硬質耐磨耗性要素はキャリアに保持され、支持され、保護される。
【0008】
中実フェースダイプレートは、カッターナイフおよび切断室を流れる水と接触するようにダイ挿入体に添設される。このダイプレートは中実であるため、切断室を流れる水がダイプレートの裏に漏れるのを防ぎ、ダイプレートの裏の溶融ポリマーが確実に切断室内に漏れ出さないようにする。
【0009】
したがって、本発明の目的は、一体型構造のキャリアによりダイプレートの硬質耐磨耗性要素が保持され、支持され、保護される、水中ペレタイザ用の中実フェースダイプレートを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、開口中央部を有する従来のダイプレートの設計の場合に必要なガスケットエリミネータプラグまたは断熱材を必要としない中実フェースダイプレートを提供することである。この中実面の設計はさらに、断熱孔やノーズコーンのボルト孔の必要もない。
【0011】
本発明のさらなる目的は、断熱材の交換の必要性やダイの中央部に関するメンテナンスの必要性のない中実フェースダイプレートを提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、ダイプレートの硬質耐磨耗性要素、特に、キャリア内に硬質耐磨耗性要素がぴったりと嵌合する縁部を保護する一体型キャリアを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、ペレット化される製品の合間で行われるダイ交換をより迅速に行うことができる中実フェースダイプレートを提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、取り外せないように、または取り外し可能にダイ挿入体に取り付けることができ、取り外し可能な取付によりダイ挿入体が複数の中実フェースダイプレートと組み立てることが可能になる中実フェースダイプレートを提供することである。取り外し可能な取付はさらに、ダイ挿入体全体ではなく中実フェースダイプレートのみを交換する必要がある時にコストや時間の節約につながる。
【0015】
本発明のさらなる目的は、溶融ポリマーおよび水中ペレタイザのハウジングからカッターハブ、カッターナイフ、ダイ面と関連する水箱内を循環する水への熱伝導を低減する中実フェースダイプレートを提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、従来の製造形式に従うもので、採算性があり、長持ちし、動作時に比較的故障の少ない装置を提供できるように単純な構成で使いやすい水中ペレタイザ用の中実フェースダイプレートを提供することである。
【0017】
これらの目的は、続いて明らかになるその他の目的や利点と共に、以下で説明および請求される詳細な構成や動作で示され、これに関して一部を形成する添付図面が参照される。図面内では同じ符番は全体にわたって同じ部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のダイ挿入体に装着された中実フェースプレートを示す水中ペレタイザの部分断面図である。
【図2】図1のダイ挿入体と中実フェースプレートの斜視図を示す写真である。
【図3】図2のダイ挿入体と中実フェースプレートの前面図である。
【図4】図2のダイ挿入体と中実フェースプレートの背面図である。
【図5】図4のラインA−Aに沿った断面図である。
【図6】図5のラインB−Bに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面に示された本発明の好適な実施形態の説明では、明確にするために特定の専門用語を使用する。しかし、本発明はそのように選択された特定の用語に限定されず、それぞれの特定の用語は、同様の目的を達成するための同様の方法で動作する全ての技術的な等価物を含むものであることは理解されたい。
【0020】
図1は、本発明の中実フェースダイプレートを含む水中ペレタイザを示す図であり、忠実フェースダイプレートは、全体に渡って参照符号10で示され、参照符号12で示された押出機のハウジングに装着される。ハウジング12は、上流側の設備から溶融ポリマーを受け入れる入口通路14を含む。溶融ポリマーはノーズコーン16によって外側に流れが変わり、ダイプレート10の複数の押出オリフィス18を流れる。ダイプレート10はその外周から内側へ延在する径方向の加熱要素22と、ハウジング12のねじ切りされた開口部28にねじ込まれるボルト26を受承する複数の開口部24とを有するのが好ましい。
【0021】
中実フェースダイプレート10は、一体型構造にしてもよいし、また図1に示すようにダイプレートベース部材21とそこに嵌合される取り外し可能なダイ挿入体30とを含んでもよい。いずれの場合も、下流側に取付面32を有する。取付面32に装着されるのが、キャリア36と硬質耐磨耗性要素38とを含む、全体に渡って参照符号34で示された中実フェースプレートである。中実フェースダイプレート10はさらに、ダイプレート10の定位置にノーズコーン16を保持するのに使用される締結要素42を収容する穴40を含む。図1に示された実施形態では、穴40は中実フェースダイプレート10の一部であるダイ挿入体30内にある。
【0022】
全体に渡って参照符号50で示された中空ハウジングの形の水箱は、ボルト26によりダイプレート10とハウジング12とに固定されるフランジ52を含む。封止ガスケット27は、ダイプレート10とキャリア36と水箱50とを確実に水密封止する。
【0023】
水箱50は、水入口54と、水とペレットのスラリーの出口56と、駆動ユニット(図示せず)の同様のフランジに結合されるフランジ58とを含む。水箱内を循環する水は、ポリマーを冷却凝固させ、出口56から排出するためにペレットを水とペレットのスラリーに混入させる。駆動シャフト、カッターハブ、オリフィス18から押し出されるポリマーストランドをペレットに切断するカッターナイフなどの水箱とペレタイザに関連するその他の標準的な部品はここでは図示しないが、当業者に既知であるような中実フェースダイプレート10の押出孔またはオリフィス18を通って溶融ポリマーを押し出す周知の方法の従来の設計および機能とする。
【0024】
図2に示されるように、キャリア36内に嵌合される硬質耐磨耗性要素38を含む中実フェースプレート34はダイ挿入体30にぴったりとないし面一に重なり、溶接やろう付けまたはその他の同等の技術でダイ挿入体30に取り付けられてもよい。キャリア36内の硬質耐磨耗性要素38の埋め込み位置は、硬質耐磨耗性要素38の縁部60(図5、6を参照)を保護し縁部の損傷を防ぐ。キャリア36の一部品構造はさらに、断熱プレートまたは米国特許第6,824,371号記載のGEPを必要としない。GEPを製造するコストを考えると、この方がユーザにはコスト削減となる。
【0025】
ダイ挿入体30は一般に炭素鋼製であるが、硬質耐磨耗性要素38は炭化タングステンなどの高耐磨耗性材料製である。好ましい構造としては、キャリア36はHASTELLOY C−276合金またはINVAR 36合金などの鉄−ニッケル系合金製である。図2に示されるように、硬質耐磨耗性要素38は、中実炭化タングステンリングとして形成されるか、または当技術分野で既知の複数の炭化タングステンタイルで構成されてもよい。一般に、比較的小さいダイは中実フェースリングで作られるが、タイルは比較的大きなダイプレートの構造に使用される。
【0026】
図3の背面図に示されるように、ダイ挿入体30に形成された機械加工されたランプは押出材料を取付面32へ、また中実フェースプレート34の上流側へ送る。穴40は、ノーズコーン16をダイプレート10に接合するために中実中央プレート72内に穿孔される。ダイ挿入体30は、締結部材75を使用してダイ挿入体30をダイプレートベース部材21に締結するための孔74を配設したフランジ73を有する。
【0027】
複数の押出オリフィス18の出口開口部19を備えた、ダイ挿入体30に結合された時の中実フェースプレート34の前面図が図4に示されている。中実フェースプレート34を備えたダイ挿入体30の断面図は、図5、6に示されている。
【0028】
ダイ挿入体30上にろう付けされる以外に、本発明の中実フェースプレート34は定位置にボルトで固定されてもよい。この実施形態では、ソケットヘッド押さえねじなどの締結要素が硬質耐磨耗性要素の内面に設けられた座繰り孔に嵌合される(図示せず)。この構成で、中実フェースプレート34は交換可能であり、ダイ挿入体30とは切り離して交換することができ、ユーザにとってはコスト削減になる。ユーザはさらに、複数のキャリアを有する同じダイ挿入体を使用することもでき、製品の変更の合間のメンテナンスに役立つ。
【0029】
本発明の中実フェースプレート34と一体になって、断熱プレートまたはGEPを必要としなくなる。このことで、3つの穿孔および腐食損傷する可能性のある結合ボルトをなくすことができる。さらに、RTV断熱シーラーの必要もない。このため、メンテナンス時間は低減され、操作者の安全性が改善される。
【0030】
中実フェースプレート34はさらに、硬質磨耗性要素の残りの磨耗寿命を示す磨耗限度表示孔を設けてもよい。この孔はキャリア内に機械加工されてダイプレートが最大限度まで擦れた時に露出されるようにする。
【0031】
上述の説明や図面は、本発明の原理の一例にすぎないと考えるべきである。本発明はさまざまな形状やサイズで構成してもよく、好適な実施形態の寸法に限定されない。当業者はすぐに本発明の多数の応用例が思いつくであろう。したがって、本発明を開示した特定の例または図示され説明された厳密な構造および動作に限定するのは望ましくない。むしろ、本発明の範囲内の全ての適切な変更や等価物が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 中空フェースダイプレート
12 ハウジング
14 入口通路
16 ノーズコーン
18 押出オリフィス
21 ダイプレートベース部材
22 加熱要素
26 ボルト
28 開口部
24 開口部
30 ダイ挿入体
32 取付面
34 中実フェースプレート
36 キャリア
38 硬質耐摩耗性要素
40 穴
50 水箱
52 フランジ
27 封止ガスケット
54 水入口
56 出口
58 フランジ
60 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイプレートベース部材と、そこに嵌合される取り外し可能なダイ挿入体であって、前記ダイ挿入体は複数の押出オリフィスを有し、ポリマーが前記押出オリフィスから前記ダイ挿入体の下流側の取付面に押し出されるダイ挿入体と、
前記取付面に取り付けられる中実フェースプレートと
を備える、水中ペレタイザのポリマー押出のための中実フェースダイプレート。
【請求項2】
前記中実フェースプレートは、キャリアと前記キャリアに嵌合される硬質耐磨耗性要素とを含む、請求項1に記載の中実フェースダイプレート。
【請求項3】
前記中実フェースプレートは、前記ダイ挿入体に面一に重なる、請求項2に記載の中実フェースダイプレート。
【請求項4】
前記キャリアは、断熱プレートまたは断熱プラグを必要としない一部品構造である、請求項3に記載の中実フェースダイプレート。
【請求項5】
前記キャリアは、取付面に組み合わされる、請求項4に記載の中実フェースダイプレート。
【請求項6】
前記硬質耐磨耗性要素は、前記キャリアに埋め込まれて面一に重なり、前記硬質耐磨耗性要素の縁部が前記キャリアにより磨耗から保護される、請求項3に記載の中実フェースダイプレート。
【請求項7】
前記硬質耐磨耗性要素は炭化タングステン製であり、前記キャリアは鉄−ニッケル系合金製である、請求項2に記載の中実フェースダイプレート。
【請求項8】
前記中実フェースプレートは、前記中実フェースプレート外周の離間した前記押出オリフィスのための出口開口部を含み、前記出口開口部で囲まれた中央領域が中実である、請求項1に記載の中実フェースダイプレート。
【請求項9】
前記鉄−ニッケル系合金は、INVAR 36鉄−ニッケル合金である、請求項7に記載の中実フェースダイプレート。
【請求項10】
ハウジングと、ハウジング内で支持される回転可能なシャフトと、シャフトを駆動するための駆動機構と、押出ダイプレートと関連するシャフトの一端部にある、押し出されたポリマーを前記ハウジングの下流側でペレットに切断するためのカッターブレード組立体とを有する水中ペレタイザにおいて、前記ハウジングの下流側に取り付けられた中実フェースプレートを有する中実フェースダイプレートを備える、改良型の水中ペレタイザ。
【請求項11】
前記中実フェースダイプレートは、ダイプレートベース部材と、そこに嵌合される取り外し可能なダイ挿入体とを含み、前記中実フェースプレートは前記ダイ挿入体に組み合わされる、請求項10に記載の改良型の水中ペレタイザ。
【請求項12】
前記中実フェースプレートは、キャリアと、前記キャリア内に埋め込まれる硬質耐磨耗性要素とを、前記硬質耐磨耗性要素の縁部が磨耗から保護されるように含む、請求項10に記載の改良型の水中ペレタイザ。
【請求項13】
前記中実フェースプレートは、キャリアと、前記キャリア内に埋め込まれる硬質耐磨耗性要素とを含み、前記中実フェースプレートは前記ダイ挿入体に面一に重なる、請求項11に記載の改良型の水中ペレタイザ。
【請求項14】
前記キャリアは、断熱プレートまたは断熱プラグを必要としない一部品構造を有する、請求項13に記載の改良型の水中ペレタイザ。
【請求項15】
前記キャリアは、断熱プレートまたは断熱プラグを必要としない一部品構造を有する、請求項12に記載の改良型の水中ペレタイザ。
【請求項16】
前記中実フェースプレートは、前記ダイ挿入体を貫通する押出オリフィスのための出口開口部を含み、前記出口開口部は前記中実フェースプレートの外周で離間され、前記出口開口部で囲まれた中央領域が中実である、請求項11に記載の改良型の水中ペレタイザ。
【請求項17】
前記キャリアは、前記ダイ挿入体の下流側の取付面に付着される、請求項13に記載の改良型の水中ペレタイザ。
【請求項18】
前記硬質耐磨耗性要素は、炭化タングステン製であり、前記キャリアは鉄−ニッケル系合金製である、請求項13に記載の改良型の水中ペレタイザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−537351(P2009−537351A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510999(P2009−510999)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/011504
【国際公開番号】WO2007/142783
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(500092365)ガラ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (23)
【氏名又は名称原語表記】Gala Industries, Inc.
【Fターム(参考)】