説明

チオクト酸誘導体を含有する生理活性組成物。

【課題】安全性が高く生理活性の高いチオクト酸誘導体を低コストで提供すること。
【解決手段】チオクト酸誘導体に分岐または不飽和結合を有していてもよい炭素数8〜22、の炭化水素元基、又は、アシル基、又は炭素数9〜100のポリサイクリックアロマティクハイドロカーボンを結合した誘導体の低コスト合成法とこれを含む生理活性組成物を提供する。本発明のチオクト酸誘導体を含有する生理活性組成物は、従来のチオクト酸誘導体よりも安全性、安定性が高く、細胞や組織に吸収されやすく、吸収後は、細胞や組織中のチオクト酸濃度をより高めることができ、細胞や組織中でチオクト酸の活性を高く長時間発揮でき、既存の誘導体をはるかに凌駕する広範囲の生理学的効果を発揮できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
【0002】
本発明は、チオクト酸誘導体を含有することを特徴とする生理活性組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
生物の細胞や組織の分裂や促進、再生の技術は大きく進歩し産業上医療、医薬品、化粧品、食品、飼料などの分野で広く応用されている。特に細胞培養の培地やマトリクスの組成物に関する研究が進歩し、最近では全て人工的な培地やマトリクスを用いることにより、基礎的な研究を行いやすくなった。しかも、コストの削減、ロット差の解消、及び品質等の維持管理が容易となった。
また、細胞の増殖促進剤として、これまでにEGF(Epidermal Growth Factor)やGM−CSF(Granular Macrophage−Colony Stimulating Factor)等の因子が発見されている。
【参考文献1】
【0004】
Marchese C.,Rubin J.,Ron D.,Faggioni A.,Torrisi M..R.,Messina A.,Frati L.,Aaronson S.A.,J.Cell Physiol.144(2)326−332,1990,
【参考文献2】
Braunstein S.,Kaplan G.,Gottlieb A..B.,Schwartz M.,Walsh G.,Abalos R.M,.Fajardo T.T.,Guido L.S.,Krueger J.G.,J.Invest.Dermatol.,103(4)601−604,1994,
【参考文献3】
Paus R.,Luftl M.,CzarnetzkiB.M.,Br.J.Dermatol.130(2)174−180.,1994)。
【0005】
これらの因子は、ヒトや各種動物の創傷治癒を促進することから、創傷や火傷の治療を目的として研究されると共に、細胞生物学実験における細胞培養の成長因子として用いられてきた。従って、優れた細胞増殖及び組織形成促進剤や細胞培養用組成物の提供は、医療、美容、健康維持、老化防止、創傷治癒、畜産、発酵生産上及び細胞生物学的実験を行なう上では、非常に重要な位置を占めるものである。
【0006】
酸素毒性が、生体中の活性酸素種(ROS)の形成に起因することは公知であり、このROSには、生体構造に酸化的障害を誘発する、フリーラジカルおよび非ラジカルが挙げられる。ROSが、ヒト、畜産養殖動物、発酵生産生物を含む多くの生物の100を越える疾患および加齢プロセス、生物の老化、成長阻害、創傷治療に関与することが示されている。
【0007】
チオクト酸(別名リポ酸:以下略号LA)は、ビタミンCやビタミンビタミンE同様生体内で需要な抗酸化分子でありヒトからバクテリアまで多くの生物に存在している。チオクト酸、1,2−ジチオラン−3−ペンタン酸、1,2−ジチオラン−3−吉草酸または6,8−チオクト酸として公知である。チオクト酸は、1つの不斉炭素原子を有し、そして2つのエナンチオマー形態を生じる。
【0008】
ジヒドロチオクト酸(ジヒドロリポ酸)のような還元された形態のリポエートは、分子に対して非常に低い酸化電位(−0.29V)を提供する2つの−SH基を有する。従って、チオクト酸とDHLAの酸化還元共役は、殆ど全ての形態のROSと相互作用し、他の抗酸化剤をリサイクルし、そしてさらに生体系の酸化されたジスルフィド基を還元し得る優れた抗酸化剤である。次いで、これらの分子は、それらの生物学的な還元力および機能を回復させ得る。LAのこれらの性質の全てはまた、それを、酸化還元シグナル伝達における最も重要な分子の1つにしている。このためチオクト酸は老化防止、ラジカル疾患予防治療薬として使用される。
【0009】
チオクト酸の種々の誘導体(還元型を含む)は、すでに多くのものが公知となっている。例えば、米国特許第5,650,429号および同第5,532,269号は、循環器疾患へのチオクト酸の応用、米国特許第5,621,117号は、チオクト酸の消炎症性機能や鎮痛性を、米国特許第5,569,670号は、鎮痛性、抗炎症性、抗壊死性、抗糖尿病性を、米国特許第5,334,612号は、レトロウィルス疾患への応用を、米国特許第5,084,481号は、抗炎症性を、米国特許第5,693,664号は、糖尿病への応用、また米国特許第5,508,275号などもチオクト酸誘導体を既に開示している。
【0010】
ROSは、NF−κBを活性化し得ることが公知であり、ROSは、NF−κBを活性化する多数の刺激に関する最後の共通シグナルであると考えられている。
【参考文献4】
SenおよびPacker、The FASEB Journal、10巻、709〜720頁(1996)。NF−κBの活性化は、多数の疾患状態の原因または進行において少なくとも部分的に関与すると考えられる。
【参考文献5】
Packerら、Advances in Pharmacology、38巻、79〜101頁(1997)トコトリエニルチオクト酸が、米国特許仮出願第60/055,433号、1997年8月4日出願において、NF−κB活性化を調節するために提案されている。
【0011】
一方、外科手術などにおいて、皮膚、臓器、血管などの創部の閉鎖・接合、切除部の保護、補強、代用組織は、最も基本的な手技のひとつであり、現在では、高分子による縫合糸、接着用フィルム、ガーゼー、絆創膏、包帯、及び骨折補強材料等の生体用のインプラント等の組織再生用高分子組成物の利用が一般的になっている。組織再生用高分子組成物は創傷を接合させ、癒合し、組織を再生させやすい条件をつくるために用いられる。創部の閉鎖、接合、再生に組織再生用高分子組成物を用いる場合、特にそれが縫合用の糸や接着テープ、補強骨、代用組織の場合は適度な外力に耐えうる生物学的適合性、再生性のよい組織再生用高分子組成物にて行うことが考えられ、いくつかの組織再生用高分子組成物が臨床的に用いられている。特に生体内で吸収される吸収性高分子組成物は吸収後、組織再生用部位は異物を残すことなく通常の状態に回復するため、近年ではほとんどの体内手術においては縫合用糸、接着テープ材料、生体補強材料、生体組織代用材料に生体吸収性組織再生用高分子組成物が用いられるようになっている。これらの組織再生用高分子組成物が使用される術部、創傷部では、炎症反応が起こりやすく好中球浸潤によるヒドロキシラジカル等活性酸素が大量に発生し創傷部の速やかな治癒を遅延させる原因になっている。また、重金属等の解毒等にも効果がある。これらのラジカル種による創傷治癒遅延に対してチオクト酸のような抗酸化物質の投与は効果的である可能性が高く特に生体で効率的にチオクト酸活性を発現するチオクト酸誘導体の探索が行われていた。
【0012】
しかしながら、これら従来のチオクト酸には、高い抗酸化活性とは裏腹に不安定で安全性に問題があり組織や細胞への吸収性が悪く生体内で短時間で消費されチオクト酸の効果が十分に発揮できないという問題があった。また、安定なチオクト酸誘導体でも細胞や生体内でチオクト酸に変換されずチオクト酸の効果を発揮しない誘導体が存在するという問題があった。これは生体外で安定なチオクト酸誘導体の効果が、生体内で活性型に変化するためには立体特異性を持つ生体内酵素における加水分解反応等の生体内化学変化が関与する必要がある。このためにチオクト酸誘導体分子の固有の化学構造の変化、立体構造のわずかな変化、キラル構造等の変化でも反応性が異なり、実際に細胞系や生体系で評価しなければ設計したチオクト酸誘導体の効果を推定することはできない。チオクト酸誘導体の細胞内及び生体内効果を確認するには実際にチオクト酸誘導体を合成し細胞系や実際の生態で評価しなければならないという問題があった。従って例えチオクト酸単体で老化、成人病、脳梗塞、心筋梗塞、循環器障害、痛み、炎症、壊死、毒素、糖尿病、皮膚疾患に対して予防、改善、治療効果があったとしても新たに合成したチオクト酸誘導体でその効果を推定、保障することはできない。ましてや、新規誘導体の効果が従来のチオクト酸の効果を発揮するかどうかは一切不明である。これらについては以下の既知のチオクト酸の美容にかかわる効果についても同様である。即ち、皮膚の色素沈着を抑制、減少、予防させる効果、皮膚のニキビを抑制、減少、予防させる十分な効果、脂漏症関連障害の改善効果、皮膚のしわ、たるみを抑制、減少、予防する効果、皮膚のしわ、たるみを抑制、減少、予防させる効果、発毛促進効果、脱毛予防効果、毛穴縮小効果、きめ改善効果、痩身効果、活性酸素が関与する疾患。これら従来のチオクト酸誘導体の問題点をまとめると以下のようになる。
【0013】
既知のチオクト誘導体は安全性に問題があるものが存在し、細胞毒性、刺激性、アレルギー性が存在すること。既知のチオクト酸誘導体であっても実際に細胞内、生体内で評価しなければその実際の効果を予測することはできない。既知のチオクト誘導体は、製剤中で保存すると分解されやすく安定性が低い。既知のチオクト誘導体は、細胞や組織に吸収されにくい。既知のチオクト誘導体は、細胞や組織に吸収されても、細胞や組織中の十分に効果を発揮できるだけ十分なチオクト酸濃度を高めることができない。既知のチオクト誘導体は、チオクト酸に変換されにくく細胞や組織中でチオクト酸の活性を高く発揮できない。既知のチオクト誘導体は、細胞や組織中でチオクト酸の活性を長時間発揮できない。特に既知のチオクト誘導体は、以下の既に知られているチオクト酸の効果を十分に発揮できない。既知のチオクト酸の効果である多様な細胞の増殖や組織形成を促進できない。既知のチオクト誘導体では、細胞や組織形成の培養時間を十分に短縮できない。既知のチオクト誘導体では、培養細胞の継代数を増加させる効果が低い。既知のチオクト誘導体では、目的とする細胞を短時間に多く得ることができない。既知のチオクト誘導体では、細胞や組織中で抗酸化活性を持続的に高く発揮できない。既知のチオクト誘導体では、特定の生物種や細胞種により効果が限定され広範囲の生物種、細胞種に共通して効果を発揮できない。産業上有用な広範囲の畜産養殖ペット動物や発酵生産産業に使用される広範囲の産業上有用な単細胞生物の成長阻害やストレスに対して効果が十分に発揮できない。チオクト酸の効果として期待できる以下の効果が十分に発揮できない。ラジカル疾患、成人病、脳梗塞、心筋梗塞、循環器障害、鎮痛効果、炎症、壊死、糖尿病、色素沈着症、ニキビ、脂漏症、しわ、たるみ、肥満、むくみ、脱毛、毛穴拡大、肌荒れ。また、これらの既知のチオクト酸誘導体を合成するには、原料コストが高く、設備コストが高く、製造エネルギーコストが高く、反応が煩雑でコントロールしにくく得られたチオクト酸誘導体の純度が低く精製して高濃度のチオクト酸誘導体を得るのに高いコストがかかるという問題があった。
【0014】
また、上記のように、組織再生用高分子組成物として、適度な張力及び破断力に耐え、組織障害がなく生物学的適合性がよい組織再生用高分子組成物が求められている。しかしながら、従来から用いられている組織再生用高分子組成物は強度が低いため、術後に組織再生用不全などを起こしたり、生体組織に対し生体毒性を示し、組織の組織再生を妨げるという問題点もある。これまでに、より積極的に組織再生を促進するという作用を有する組織再生用高分子組成物はなく、組織再生を促進させ、より組織再生用力を高める組織再生用高分子組成物が望まれている。また、創傷は炎症を伴うことが多く感染症を受けやすく、免疫細胞や抗生物質などから発生する活性酸素による細胞組織障害を発生し創傷を直りにくくしている。現在のところこれらの創傷の炎症、感染症、活性酸素発生などの問題を総合的に解決する体組織用組織再生用高分子組成物は今のところ存在しない。本発明は上記問題点を解決するものであり、その目的は、より高い組織再生 促進作用を有すると共に、抗炎症作用、抗感染症作用、活性酸素発生などの問題を総合的に解決するより高い組織再生用効果をもつ組織再生用高分子組成物を提供することにある。
【0015】
チオクト酸の抗酸化特性は、金属イオンとキレートを形成し、かつ直接ラジカルを除去する能力と並んで、殊に、強い還元剤としての機能に基因する。
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、以下に記述される。
新規の誘導体でありながら安全性、刺激性、アレルギー性が既存のチオクト酸誘導体よりも低い誘導体を提供すること。製剤中で保存しても分解の少ない安定性の高いチオクト酸誘導体を提供すること。細胞や組織に吸収されやすいチオクト酸誘導体を提供すること。細胞や組織に吸収された後は、細胞や組織中のチオクト酸濃度を高めることができるチオクト酸誘導体であること。細胞や組織中でチオクト酸の活性を高く発揮できること。細胞や組織中でチオクト酸の活性を長時間発揮できること。以下のチオクト酸の効果をより高く発揮できる誘導体であること。多様な細胞の増殖や組織形成を促進するチオクト酸誘導体を提供すること。細胞や組織形成の培養時間を短縮できるチオクト酸誘導体を提供すること。培養細胞の継代数を増加させるチオクト酸誘導体を提供すること。特定の生物種や細胞種により効果が限定されることのない広範囲の生物種、細胞種に共通して効果を発揮できるチオクト酸誘導体を提供すること。目的とする細胞を短時間に多く得ることができるチオクト酸誘導体を提供すること。細胞や組織中で抗酸化活性を持続的に高く発揮できるチオクト酸誘導体を提供すること。従来の既知のチオクト酸の効果である以下の効果を十分に発揮できるチオクト酸誘導体を提供し、また最も高い効果を発揮するための相乗硬化剤を選択すること。ラジカル疾患、抗老化活性、成人病予防活性、脳梗塞、心筋梗塞、循環器障害、鎮痛効果、抗炎症硬化、抗壊死性効果、抗糖尿疾患、解毒、皮膚疾患の予防、改善、治療効果。皮膚の色素沈着を抑制、減少、予防させる効果、皮膚のニキビを抑制、減少、予防させる十分な効果、脂漏症関連障害の改善効果、皮膚のしわ、たるみを抑制、減少、予防する効果、皮膚のしわ、たるみを抑制、減少、予防させる効果、発毛促進効果、脱毛予防効果、毛穴縮小効果、きめ改善効果、痩身効果、活性酸素が関与する疾患。特定の生物種や細胞種により効果が限定されず広範囲の生物種、細胞種に共通して効果を発揮でき、特に産業上有用な広範囲の畜産養殖ペット動物や発酵生産産業に使用される広範囲の産業上有用な単細胞生物の成長阻害やストレスに対して効果を十分に発揮できるチオクト酸誘導体を提供すること。また、これらの既知のチオクト酸誘導体のコストを低下させるため、合成する原料コスト、設備コスト、製造エネルギーコストを低減させた合成方法を確立すること。反応が煩雑でなくコントロールしやすく得られたチオクト酸誘導体の純度も高く高純度のチオクト酸誘導体を得るための製法を確立すること。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題に基づいて鋭意研究を行った結果、多くのチオクト酸誘導体のうちある特定の長さの範囲の炭素鎖をもつ特殊なチオクト酸誘導体が、安全性、安定性、吸収性、チオクト酸活性、持続性においていずれも十分な効果を発揮し、また各種のチオクト酸の効果についてもそれぞれについて調査した結果高い効果を発揮することを見出し本発明を完成させた。
【0018】
本発明者らは、まず既知のチオクト酸誘導体を大量に集めて高温状態における安定性試験を行ったところ、チオクト酸及びジヒドロチオクト酸に炭素数2〜35の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群が極めて安定性が良好であることを見出した。
【0019】
次にこれらの炭素数2〜35の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群を6ヵ月後の力価変化、細胞毒性試験、細胞及び組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性試験、連続皮膚刺激試験、皮膚感作性試験、光毒性試験、変異原性試験、染色体異常試験を行った結果炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群がすべての安全性をクリアし同時に高い効果を発揮することを見出した。
【0020】
また、特に種々の効果試験を本発明のチオクト酸で試験したところ炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群(前記検体番号:37〜40、46〜48、特に好ましくは41〜45)及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜60、66〜68、特に好ましくは61〜65)が極めて高い効果を発揮することを見出し本発明を完成した。
【0021】
更に、上記のチオクト酸誘導体を産業上有用な多くの動物種、生物種、単細胞生物で試験を実施したところ特定の生物種や細胞種により効果が限定されず広範囲の生物種、細胞種に共通して効果を発揮でき、特に産業上有用な広範囲の畜産養殖ペット動物や発酵生産産業に使用される広範囲の産業上有用な単細胞生物の成長阻害や水銀などの有害金属等の解毒効果、ストレスに対して効果を十分に発揮できるチオクト酸誘導体であることが判明した。
【0022】
さらに、これらのチオクト酸誘導体の製造方法を検討したところ従来のチオクト酸に脂肪酸を結合させる製法では、製造コスト、反応コスト、原料コストがかさむが中級アルコールをチオクト酸に反応させチオクト酸誘導体を得る方法について誠意見当した結果チオクト酸1±0.5分子当量と炭素数8〜22の生理学的に許容される中鎖、長鎖の一価、二価、若しくは三価のアルコール1±0.5分子当量を不活性ガス雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン0.05±0.025分子当量を加え0±10℃で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド1.1±0.5分子当量を加えた後、25±10℃で1〜48時間攪拌し反応させることにより、製造コストが低減し、反応収率が極めて高い製法を確立することができた。また、精製方法についても反応混合物を分離後、ろ液を減圧下溶媒留去し得られた残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン重量% / 酢酸エチル重量%=10±5)で分離精製することにより低コストで高い純度を得ることができ本発明を完成した。
【0023】
すなわち、本発明は、チオクト酸誘導体を有効成分として含む細胞増殖及び組織形成促進用組成物である。本発明の請求項は以下のとおりである。
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるチオクト酸誘導体を含有することを特徴とする産業上有用な生理活性組成物。
【化1】

(式(1)中、R1は、分岐または不飽和結合を有していてもよい炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14から18の炭化水素元基、又は、アシル基、又は炭素数9〜100のポリサイクリックアロマティクハイドロカーボン又は炭素連続体を示す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表されるジヒドロチオクト酸誘導体を含有することを特徴とする産業上有用な生理活性組成物。
【化2】

(式(2)中、R1は、分岐または不飽和結合を有していてもよい炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14から18の炭化水素元基、又は、アシル基、又は、炭素数9〜100のポリサイクリックアロマティクハイドロカーボン又は炭素連続体を示す。)
【請求項3】
前記式(1)及び(2)中、R1が、以下の式(3)のいずれかから選択される基であることを特徴とする請求項1及び2に記載の産業上有用な生理活性組成物。
【化3】

(式(3)中、R6〜R8はそれぞれ独立に水素原子、アリール基、又は分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14〜18の炭化水素基を表す。)。
【請求項4】
前記式(3)中、R6が、分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14〜18の鎖状炭化水素基であり、R7及びR8が、それぞれ独立に、水素原子、又は分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14〜18の鎖状炭化水素基であることを特徴とする請求項3に記載の産業上有用な生理活性組成物。
【請求項5】
Cnが、分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、以下の化学構造を有するテトラデカノイルチオクト酸(n=14)、イソテトラデカノイルチオクト酸(n=14)、ペンタデカノイルチオクト酸(n=15)、イソペンタデカノイルチオクト酸(n=15)、ヘキサデカノイルチオクト酸(n=16)、イソヘキサデカノイルチオクト酸(n=16)、ヘプタデカノイルチオクト酸(n=17)、イソヘプタデカノイルチオクト酸(n=17)のいずれかを含む請求項1から4に記載の産業上有用な生理活性組成物。
【化4】

【請求項6】
Cnが、分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、以下の化学構造を有するテトラデカノイルジヒドロチオクト酸(n=14)、イソテトラデカノイルジヒドロチオクト酸(n=14)、ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=15)、イソペンタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=15)、ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸(n=16)、イソヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸(n=16)、ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=17)、イソヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=17)のいずれかを含む請求項1から4に記載の産業上有用な生理活性組成物。
【化5】

【請求項7】
チオクト酸誘導体濃度が細胞培地濃度又は組織中濃度を50〜3200ppmになるように添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物。
【請求項8】
ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−イソパルミチン酸、L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸、L−アスコルビン酸−3−エチル、アスコルビン酸−3−グルコシド、ナトリウムトコフェリルリン酸、ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン、レチノイン酸トコフェリルから選択される一種以上の化合物を同時に含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物。
【請求項9】
産業上有用な生理活性が、持続活性が高いこと、細胞への吸収性が高いこと、生体中での酵素変換活性が高いこと、生体中での活性が高いこと、細胞毒性が低いこと、細胞増殖促進活性が高いこと、から選択される1以上の生理活性効果を持つことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物。
【請求項10】
細胞が原核細胞、真核細胞、原生生生物細胞,真菌細胞、動物細胞、植物細胞から選択されるいずれかひとつである請求項9に記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項11】
細胞が幹細胞、神経細胞、腺維芽細胞、角化細胞、色素細胞、心筋細胞、肝細胞、口内粘膜上皮細胞、エナメル芽細胞、象牙芽細胞、毛母細胞、血管内皮細胞、造血幹細胞、多能性幹細胞、脂肪細胞である請求項11のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項12】
細胞が組織又は臓器である複数の細胞集合体である請求項9〜11のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項13】
生理活性組成物が以下のいずれかに記載の生理効果を持つ医薬品である請求項1〜12のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
ラジカル疾患治療予防効果、成人病治療予防効果、脳梗塞治療予防効果、心筋梗塞治療予防効果、循環器障害治療予防効果、抗感染症治療予防効果、創傷治癒効果、鎮痛効果、抗炎症効果、解毒効果、抗壊死効果、糖尿病治療予防効果、色素沈着症治療予防効果、ニキビ治療予防効果、脂漏症治療予防効果、紫外線照射障害治療予防効果、しわ治療予防効果、たるみ治療予防効果、肥満治療予防効果、むくみ治療予防効果、脱毛治療予防効果、毛穴拡大治療予防効果、肌荒れ治療予防効果、成長阻害治療予防効果、抗ストレス効果。
【請求項14】
生理活性組成物が以下のいずれかに記載の生理効果を持つ化粧品である請求項1〜12のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
鎮痛効果、鎮痒効果、解毒効果、創傷治癒効果、抗壊死効果、色素沈着症治療予防効果、ニキビ治療予防効果、脂漏症治療予防効果、紫外線照射障害治療予防効果、しわ治療予防効果、たるみ治療予防効果、むくみ治療予防効果、脱毛治療予防効果、毛穴拡大治療予防効果、肌荒れ治療予防効果、抗ストレス効果。
【請求項15】
生理活性組成物が組織再生用高分子組成物である請求項1〜14のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項16】
生理活性組成物が食品添加物である請求項1〜14のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項17】
生理活性組成物が飼料添加物である請求項1〜14のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項18】
請求項1〜6のいずれかに記載のチオクト酸誘導体の以下の製造方法。
チオクト酸1±0.5分子当量と炭素数8〜22の生理学的に許容される中鎖、長鎖の一価、二価、若しくは三価のアルコール1±0.5分子当量を不活性ガス雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン0.05±0.025分子当量を加えた。0±10℃で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド1.1±0.5分子当量を加えた後、25±10℃で1〜48時間攪拌し反応混合物を分離精製した。
【請求項19】
請求項1〜6のいずれかに記載のチオクト酸誘導体の以下の精製方法。
請求項24で得られた反応混合物を分離後、ろ液を減圧下溶媒留去し得られた残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン重量% / 酢酸エチル重量%=10±5)で分離精製した。
【0024】
本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物としてのチオクト酸誘導体は、下記一般式で表される。
【化9】

(式(9)中、R1は、分岐または不飽和結合を有していてもよい炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14から18の炭化水素元基、又は、アシル基、又は炭素数9〜100のポリサイクリックアロマティクハイドロカーボン又は炭素連続体を示す。)
【0025】
上記炭素数9〜100のポリサイクリックアロマティクハイドロカーボンとは、以下の一般式で表示される炭素と水素と水酸基のみからなる炭素連続体である。
【0026】
上記炭素数9〜100のポリサイクリックアロマティクハイドロカーボンとは、以下の一般式で表示される複数の炭素の連続環状構造体であればよい。
【化10】

【化11】

【化12】

(上式10,11,12中、Cは炭素原子を示し、好ましくは隣接する炭素と共有結合で結ばれた複数の環状構造体をとり、Rnは、Cに結合するn個の置換基であり、それぞれ独立して、同一又は別異に、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、水酸基、その水酸基と無機酸もしくは有機酸とのエステル基、その水酸基と糖との配糖体基、その水酸基とケトンとのケタール基又はその水酸基とアルデヒドのアセタール基を示す。nは1以上の整数を示す。Rnが炭素の場合は、隣接した炭素と共役系で結ばれた炭素のみからなる連続した環状構造体であることが望ましい。)
【0027】
本発明で使用できるポリサイクリックアロマティクハイドロカーボンの具体例としてはまた、以下参考文献に掲載されたピレン、コロネン、ナフタレン、フェナンスレン、ペリレン、ベンゾペリレン、テトラフェン、クリセン、アンタンスレン、オバレン、ペンタフェン、ペンタセン、トリインダン、コランニュレン、ドデカヘドラン、デカシクレンなどがある。
【参考文献6】
Douglas M.etc.The Astrophysical Journal,632:316−332,2005 October 10
【参考文献7】
L.T.Scott et al Science 295,1500(2002)
【参考文献8】
G.Mehta et al Tetrahedron 54,13325(1998)
【0028】
さらに、本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物としてのチオクト酸誘導体は、下記一般式で表される。
【化13】

(式(13)中、R1は、分岐または不飽和結合を有していてもよい炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14から18の炭化水素元基、又は、アシル基、又は、炭素数9〜100のポリサイクリックアロマティクハイドロカーボン又は炭素連続体を示す。)
【0029】
また、前記式(1)及び(2)中、R1が、以下の式(3)のいずれかから選択される基であってもよい。
【化14】

(式(3)中、R6〜R8はそれぞれ独立に水素原子、アリール基、又は分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14〜18の炭化水素基を表す。)。
【0030】
さらに、前記式(3)中、R6が、分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14〜18の鎖状炭化水素基であり、R7及びR8が、それぞれ独立に、水素原子、又は分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14〜18の鎖状炭化水素基であることを特徴とする請求項3に記載の細胞増殖及び組織形成促進用組成物でもよい。
【0031】
また、本発明は、以下の化学構造を有する新規物質であるテトラデカノイルチオクト酸(n=14)、イソテトラデカノイルチオクト酸(n=14)、ペンタデカノイルチオクト酸(n=15)、イソペンタデカノイルチオクト酸(n=15)、ヘキサデカノイルチオクト酸(n=16)、イソヘキサデカノイルチオクト酸(n=16)、ヘプタデカノイルチオクト酸(n=17)、イソヘプタデカノイルチオクト酸(n=17)を含むものであり。
【化15】

同時に本発明は、以下の化学構造を有する新規物質であるテトラデカノイルジヒドロチオクト酸(n=14)、イソテトラデカノイルジヒドロチオクト酸(n=14)、ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=15)、イソペンタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=15)、ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸(n=16)、イソヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸(n=16)、ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=17)、イソヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=17)を含むものである。
【化16】

さらに、本発明は、チオクト酸誘導体濃度が細胞培地濃度又は組織中濃度を50〜3200ppmになるように添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の細胞増殖及び組織形成促進用組成物がより好ましく。
【0032】
さらに、本発明は、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−イソパルミチン酸、L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸、L−アスコルビン酸−3−エチル、アスコルビン酸−3−グルコシド、ナトリウムトコフェリルリン酸、ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン、レチノイン酸トコフェリルから選択される一種以上の化合物を同時に含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の細胞増殖及び組織形成促進用組成物がより好ましい。
【0033】
さらに、本発明の対象となる細胞とは、原核細胞、真核細胞、原生生生物細胞,真菌細胞、動物細胞、植物細胞から選択されるいずれかひとつであればよく。
その細胞の中でも、幹細胞、神経細胞、腺維芽細胞、角化細胞、色素細胞、心筋細胞、肝細胞、口内粘膜上皮細胞、エナメル芽細胞、象牙芽細胞、毛母細胞、血管内皮細胞、造血幹細胞、多能性幹細胞、脂肪細胞であるのが望ましい。
【0034】
さらに、本発明には、前記細胞が組織又は臓器である細胞の集合体が含まれる。本発明の具体的な形態としては、前記記載の細胞増殖及び組織形成促進用組成物を含有してなる組織再生促進用医薬品、及び化粧品、組織再生用高分子組成物、組織再生用高分子組成物が含まれる。
【0035】
更に、本発明は前記記載のチオクト酸誘導体の以下の製造方法を含む。
チオクト酸1±0.5分子当量と炭素数8〜22の生理学的に許容される中鎖、長鎖の一価、二価、若しくは三価のアルコール1±0.5分子当量を不活性ガス雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン0.05±0.025分子当量を加えた。0±10℃で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド1.1±0.5分子当量を加えた後、25±10℃で1〜48時間攪拌し反応混合物を分離精製した。
【0036】
更に本発明は、前記記載のチオクト酸誘導体の以下の精製方法を含む。
請求項24で得られた反応混合物を分離後、ろ液を減圧下溶媒留去し得られた残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン重量% / 酢酸エチル重量%=10±5)で分離精製した。
【0037】
本発明のチオクト酸及びジヒドロチオクト酸の誘導体には、以下の高い効果を確認することができた。ラジカル疾患、成人病、脳梗塞、心筋梗塞、循環器障害、鎮痛効果、炎症、壊死、糖尿病、色素沈着症、ニキビ、脂漏症、しわ、たるみ、肥満、むくみ、脱毛、毛穴拡大、肌荒れ、創傷、成長阻害、ストレス。
【0038】
上記ラジカル疾患の具体例としては、皮膚の老化、色素沈着、皴、癌、脂漏症、日焼け、癌、アクネ、やけど、皮膚のたるみ、肥満、脱毛、ストレス、精神病、痴呆症、パーキンソン病、HIV、風邪、インフルエンザ、感染症、心筋梗塞、虚血性心疾患、心不全、狭心症、不整脈、動脈硬化症、肝臓脂質代謝障害、高脂血症、本態性高血圧、高血圧症、動脈硬化症、冠動脈硬化症、血栓症、閉塞性動脈硬化症、血管障害、抹消血管障害、胆汁うつ滞症、高コレステロール血症、膵障害、臓器不全、急慢性肝炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、消化器官障害胆嚢症、糖尿病、関節炎治療剤、リュウマチ、肝不全、肝障害、虚血性肝障害、肝臓脂質代謝障害、胆嚢障害、臓器移植障害、糖尿病、中毒症、臓器移植障害、虚血性再灌流障害、虚血性疾患である。
【0039】
これらのラジカル疾患が、ラジカルに起因又はその原因因子の一つが生体内ラジカルであることは、以下の参考文献及びその参考文献に引用された文献等により既知である。
【参考文献】
「活性酸素と病態」井上編、学会出版センター、1992及び「抗酸化物質」二木他編、学会出版センター、1994
【参考文献】
「現代医療」vol.25,No.10,1993
【0040】
本発明に関わるラジカル疾患の具体例としては、以下の疾患も含まれる。即ち、本発明のレドックス制御組成物の薬の対象となるラジカル疾患には、組織を交換するために行われる臓器移植時の臓器不全及び組織障害がある。即ち、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、胆嚢、胸腺、胃、肺、腸、皮膚等の臓器移植手術、冠動脈再疎通術等の血管及びそのバイパス手術及び以下に記載する疾病や事象により細胞や組織に流入する血流が停止または遅滞することに伴う臓器障害及びこれらの血流停止後の再灌流時又はその後に発生する細胞や組織の損傷、弊死や臓器不全に対する障害などを挙げることができ、これらの疾患にも本発明は、効果がある。また、本発明は、血管の血栓症、貧血症、阻血症、血管硬化症、血管収縮症、出血(OBAYASHI,PROC.SOC.EXP.BIOL.WED.,196,196,164−169,1990)等に起因する血流速度の物理的低下や停止に伴う細胞や組織の損傷、弊死や血管を含む臓器の疾患及び不全などが挙げられ、これらにも効果がある。本発明のレドックス制御組成物は、血管内の酸素圧低下等に起因する酸欠及び農薬や一酸化炭素中毒症等の化学物質による細胞又は組織の酸欠障害組織の一時的酸欠等も含むことができ、この後の輸血等の適当な処置又は事象により血流が再び正常又はそれに近い状態で細胞や組織に送り込まれたときに見出される細胞や組織の損傷、弊死や血管を含む臓器の疾患及び不全などを挙げることができ、これらにも効果がある。本発明のレドックス制御組成物は、虚血性再灌流疾患類にも効果があり、その例としては、虚血再灌流心筋障害(NARITA.W.J,J.LAB.CLIN.MED.,110,153−158,1987、Smith,L.L.Phil.Trans.R.Soc.Lond.,311,647−657,1985)、虚血再灌流肝臓障害(INOUE,M,INMUCOSAL IMMUNOLOGY,527−530,ELSEVIER,AMSTERDAM,1990、中浜、肝臓,32:1110−1123,1991、竹川、肝臓,30:459−467,1989、白杉、日消外会誌、26:358,1993)虚血再灌流腎臓障害、虚血再灌流膵臓障害(ISAJI,S.:MIE MED.J.,35:109−123,1985)、虚血再灌流胆嚢障害(TAOKA,GASTROENT.JPN.,26:633−644,1991)、虚血再灌流循環器障害、虚血再灌流消化器障害(岩井、日消会誌,87:1662−1669,1990、NAITO,Y.,FREE RED.RES.COMMS.,16:13.5,1992)、虚血再灌流筋障害、虚血再灌流血管障害、虚血再灌流眼障書等の虚血再灌流皮膚障害などにも効果がある。本発明のレドックス制御組成物は、活性酸素により誘発する以下のような各種障害にも効果がある。その具体例としては、ベーチェット病、放射線障害、抗ガン剤の副作用、細菌性ショック、悪液質、自己免疫疾患、火傷、ヘルペスウィルス、成人T細胞白血病、チオレドキシン症候群、外傷性ショック、菌萎縮性側索硬化症、無性心筋梗塞等である。さらに、本発明は、ヒト表皮角化細胞用無血清培地に添加してヒト表皮角化細胞を増殖させるための、又は、やけど、創傷若しくはアザの治療のための、前記記載のヒト表皮角化細胞増殖及び組織形成促進用組成物を含むものである。
【0041】
本発明のヒト表皮角化細胞増殖及び組織形成促進用組成物は、例えば、ヒトから得られた細胞を培養して組織まで増殖させることができる。また、市販されている細胞培養キットに本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物を添加して培養液を調製し、これを用いて細胞の増殖を促進させることもできる。
【0042】
本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物のチオクト酸誘導体の有効な濃度は、培養液等の細胞を培養している溶媒中の濃度や組織中濃度が1ppm〜10000ppmであるが、既知のチオクト酸に比較し凌駕した効果を持続的に得るには細胞培地濃度又は組織中濃度を50〜3200ppmにしなくてはならない。このチオクト酸誘導体の高度に効果的な有効濃度範囲が存在することは、細胞に対する安全性濃度であることは勿論のこと細胞の持つチオクト酸誘導体作用酵素の平衡反応特性によるものと思われる。
【0043】
また、本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物を医薬として適用する場合は、ヒト表皮角化細胞賦活作用により、各種疾患又は症状を治療又は改善する目的であれば、特に対象を限定しない。例えば、やけど、創傷又はアザ等に対する治療を特異目的として用いることができる。また、投与する方法は非経口により行い、その投与形態としては、クリーム剤、軟膏、パップ剤等が挙げられる。また、その投与量は動物か人間かによって、また、年齢、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変えることができる。この場合、本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物の有効量と適切な希釈剤及び薬理学的に使用し得る担体との組成物として投与される有効量は、0.01〜100mg/cm2皮膚/日であり、1日1回から数回に分けて2日以上投与される。
【0044】
本発明で用いられる組織再生用高分子組成物に使用される高分子は特に限定されないが生分解性高分子が好ましい。生分解性高分子としては、従来から組織再生用高分子組成物として使用されてきたもののいずれも使用可能であり、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)系高分子、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)系高分子、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)、ポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリアルキレンアルカノエート、ポリエステル系高分子、ポリプロピレン系高分子、ポリアミド系高分子、ポリテトラフルオロエチレン系高分子、PGA−PLA系高分子、ポリジオキサノン系高分子、キチン・キトサン系高分子、ポリアミノ酸系高分子、ポリ糖鎖系高分子、ポリ核酸系高分子、ハイドロキシアパタイト系高分子、リン酸カルシウム系高分子、などの生分解性高分子などが挙げられるが、特に限定されるものではない。組織再生用高分子組成物が生分解性高分子である場合には、創傷の癒合後に吸収されるため、体内異物として残存しないことが生体にとって好ましいときに特に適している。また、本発明の高分子組成物は市販の細菌除去用のメンブランフィルターのような直径1nmから1mmの細かな穴又は空間が存在する多孔質な構造を取ることにより、より多くの抗炎症因子、フリーラジカル消去因子、細胞成長因子、抗感染症因子、組織形成誘導因子から選択される単体又はその複合物分子を取り込むことができるために有効である。本発明が繊維の場合は中空繊維構造のものがより多くの抗炎症因子、フリーラジカル消去因子、細胞成長因子、抗感染症因子、組織形成誘導因子から選択されるの単体又はその複合物分子を取り込むことができるために有効である。
【0045】
上記の生分解性高分子としては、生体内で酵素や細胞、細菌等の力により分解吸収される素材であれば良く、羊や牛の腸をよってモノフィラメント状に加工したカットグットやPGA系高分子、PGA−PLA系高分子、ポリジオキサノン系高分子、キチン・キトサン系高分子組成物などが挙げられるが、生分解性を有する高分子組成物であれば特に限定されるものではない。
【0046】
生分解性高分子として好ましくは脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂がある。その例としては、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLLA)等のポリ(α−ヒドロキシ酸);ポリ−β−ヒドロキシ酪酸(PHB)等のポリ(β−ヒドロキシアルカノエート);ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)等のポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート);ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)等のポリアルキレンアルカノエート等が挙げられる。これらの樹脂は、単独重合体であってもよく、共重合可能な成分との共重合体であってもよい。これらの樹脂は、公知の方法により合成することができる。なお、これらの樹脂の重量平均分子量は、例えば少なくとも5万、好ましくは少なくとも7万、さらに好ましくは10万〜30万である。
【0047】
本発明の請求項22において、生分解性高分子以外の高分子としては、特に限定されることなく公知の種々の高分子を用いることができる。代表的なものを例示すれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレートの共重合体、ポリブチレンテレフタレートの共重合体、ポリエチレンナフタレートの共重合体等のポリエステル系樹脂;ナイロン系樹脂;スチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリエチレンには、極低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが含まれる。高分子の含有により、生分解性高分子の脆さ等の実用上の問題が改善される。特にポリオレフィン系樹脂を含有させると、疎水的効果が得られ、生分解性高分子の耐加水分解を向上させることができる。
【0048】
本発明にはこれらの高分子を相溶化させるための相溶化剤を常法により含有させることもでき、その例としては、アイオノマー樹脂、オキサゾリン系相溶化剤、エラストマー系相溶化剤、反応性相溶化剤、及び共重合体系相溶化剤などがあるがこれに限定されない。相溶化剤の含有により、生分解性高分子とそれ以外の高分子との相溶性が向上し、高分解性高分子の作用がより効果的になる。
【0049】
これらの高分子組成物には必要によりイオンを配合することもできる。
例えば、Li+、Na+、K+等のアルカリ金属イオン、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+等のアルカリ土類金属イオン、Zn2+、Cu2+、Mn2+、Ni2+、Co2+、Co3+、Fe3+、Cr3+等の遷移金属イオンが用いられる。また、陽イオンホスト高分子に対しては、C1−、Br−、I−等の陰イオンを配合することもできる。
【0050】
本発明に添加できる高分子としては、特に限定されないが、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、プロピレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、ブチレン−アクリル酸共重合体アイオノマー、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体アイオノマー、スチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー、スルホン化ポリスチレンアイオノマー、フッ素系アイオノマー、テレケリックポリブタジエンアクリル酸アイオノマー、スルホン化エチレン−プロピレン−ジエン共重合体アイオノマー、水素化ポリペンタマーアイオノマー、ポリペンタマーアイオノマー、ポリ(ビニルピリジウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルトリメチルアンモニウム塩)アイオノマー、ポリ(ビニルベンジルホスホニウム塩)アイオノマー、スチレン−ブタジエンアクリル酸共重合体アイオノマー、ポリウレタンアイオノマー、スルホン化スチレン−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンサルフェイトアイオノマー、酸−アミンアイオノマー、脂肪族系アイオネン、芳香族系アイオネン、ポリエチレン−ポリアミドグラフト共重合体(PE−PA GP)、ポリプロピレン−ポリアミドグラフト共重合体(PP−PA GP)等が挙げられる。また、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、アセタール基、マレイン酸基、オキサゾリン基及びカルボン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を含み、メルトフローレートが1以上の低粘度の共重合体高分子が挙げられ、具体的には、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、EVA・PVC・グラフト共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、水添スチレン−イソプロピレン−ブロック共重合体等が挙げられる。
【0051】
本発明の高分子組成物には必要により反応性相溶化剤を添加することもでき、その具体例としては、二重結合、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基などを有する化合物(低分子化合物又は高分子)であって、成形加工工程で相溶化させようとする高分子の一方または両方と反応してグラフトまたはブロック構造に基づく界面活性剤的な働きをして相溶化剤として機能するものである(参考文献:「高分子ロイ」基礎と応用、高分子学会編、1993年発行)。本発明に使用できる反応性相溶化剤としては、例えば、エチレングリシジルメタクリレート共重合体(E−GMA;共重合重量組成、例えばE/GMA=100/6〜12)、エチレングリシジルメタクリレート−ビニルアルコール共重合体(E−GMA−VA;共重合重量組成、例えばE/GMA/VA=100/3〜12/8〜5)、エチレングリシジルメタクリレート−メタクリレート共重合体(E−GMA−MA;共重合重量組成、例えばE/GMA/MA=100/3〜6/30)等が挙げられる。具体的には、住友化学製、ボンドファーストE、ボンドファースト2C;日本ポリオレフィン製、レクスパールRA、レクスパールET、レクスパールRC、エチレン無水マレイン酸エチルアクリレート共重合体(E−MAH−EA;住友化学製、ボンダイン)、エチレングリシジルメタクリレート−アクリロニトリルスチレン(EGMA−AS;共重合重量組成、例えばEGMA/AS=70/30)、エチレングリシジルメタクリレート−ポリスチレン(EGMA−PS;共重合重量組成、例えばEGMA/PS=70/30)エチレングリシジルメタクリレートーポリメチルメタクリレート(EGMA−PMMA、例えばEGMA/PMMA=70/30)、酸変性型ポリエチレンワックス(APEW;三井化学製、ハイワックス)、COOH化ポリエチレングラフト高分子、COOH化ポリプロピレングラフト高分子、イソシアネート基を5〜30重量%含むポリイソシアネート。具体的には、デグサ(degussa)社製、VESTANAT T1890)が挙げられる。これら反応性相溶化剤のうちの1種のみを用いてもよく、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
【0052】
本発明において、生分解性高分子100重量部に対して、前記相溶化剤を好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは1〜20重量部配合する。相溶化剤を複数種用いる場合には、それらの合計量が前記範囲となるようにするとよい。相溶化剤の配合量が0.1重量部未満であると、生分解性高分子とそれ以外の高分子との相溶化効果が得られにくく、高分子による改善効果が発現されにくい。一方、相溶化剤が100重量部を超えると、相溶化効果は飽和し、得られる生分解性高分子材料としての生分解性が低下する。生分解性高分子材料の用途を考慮して、相溶化剤の使用量を適宜決めるとよい。
【0053】
本発明において、生分解性高分子材料には、さらに他の添加剤、例えば、有機又は無機フィラー、難燃剤、アンチブロッキング剤、結晶化促進剤、ガス吸着剤、老化防止剤(エステル、アミド等)、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粘着付与剤、可塑剤(ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸又はそれらの金属塩等)、軟化剤(鉱物油、ワックス、パラフィン類等)、安定剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、変性剤、着色剤、カップリング剤、防腐剤、防カビ剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
【0054】
配合方法は、特に限定されることなく、通常の溶融混練方法により行うことができる。例えば、生分解性高分子、生分解性高分子以外の高分子、相溶化剤、及びその他の任意成分を、ロールニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機などの混練機で混練すると良い。混練は、前記混練機のうちから選ばれる1種の混練機を用いて行ってもよく、又は2種以上の混練機を用いて行ってもよい。
【0055】
生分解性高分子、生分解性高分子以外の高分子、相溶化剤を含む生分解性高分子材料を常法により成形して各種成形品とする。また、前記生分解性高分子材料にさらに必要に応じて添加剤を加えて、被覆材料、コーティング材料又は接着材料とすることも可能である。
【0056】
前記生分解性高分子材料からの各種成形品は、常法の成形法により製造することができる。例えば、押出成形品、射出成形品、ブロー成形品、Tダイから押出成形されたシート或いはフィルム、インフレーションフィルム、溶融紡糸法による繊維、糸、紐、ロープ、マルチフィラメント、モノフィラメント、フラットヤーン、ステープルファイバー、スパンボンド不織布、フラッシュ紡糸不織布等の繊維状構造物、各種発泡成形品が得られる。
本発明のチオクト酸誘導体と相乗効果を発揮するナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−イソパルミチン酸、L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸、L−アスコルビン酸−3−エチル、アスコルビン酸−3−グルコシド、ナトリウムトコフェリルリン酸、ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン、レチノイン酸トコフェリルの配合量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、本発明の組成物中に、好ましくは、10−6〜10重量%の範囲でありさらに好ましくは0.001重量%から1重量%の範囲である。
【0057】
また、本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物及び本発明の医薬品、化粧品、医療材料、組織再生用高分子組成物、組織再生用高分子組成物には、上述したチオクト酸誘導体のほか、一般に細胞増殖及び組織形成促進用組成物あるいは医薬品、医療材料、化粧料に用いられる成分を本発明の効果を損なわない量で配合することができる。本発明の製造に添加可能な材料例(例えば、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等)を以下に列挙するが、もちろん本発明はこれらの例に限定されるものではない。本発明に配合可能な成分としては、特に限定されるものではないが、たとえば、以下の参考文献に記載の成分が挙げられる。
【公開番号】
特開2005−343880(P2005−343880A)、段落番号[0050]〜[0062]記載の成分
【0058】
本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物およびそれを含む医薬品、化粧料は、使用時に皮膚と接触させて用いるものであればどのような剤型、形態であってもよく、皮下脂肪の代謝を所望する部位近傍の皮膚と接触させて用いるものがより好ましい。具体的には、たとえば、スキンミルク、スキンクリーム、ファンデーションクリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、シェービングクリーム、クレンジングフォーム、化粧水、ローション、パック、口紅、頬紅、アイシャドー、マニキュア、石鹸、ボディーシャンプー、ハンドソープ、シャンプー、リンス、ヘアトニック、トリートメント、ヘアクリーム、ヘアスプレー、育毛剤、養毛剤、染毛剤、整髪料、脱毛剤、ふけ防止剤、歯磨、義歯接着剤、うがい剤、パーマネントウェーブ剤、カーリング剤、スタイリング剤、軟膏剤、パップ剤、テープ剤入浴剤、制汗剤、日焼防止剤、等が広義には含まれ、使用時に皮膚に接触させるものなら種類を問わないが、特に化粧料として使用できる形態であることが好ましい。また使用者の性別、老若を問わない。さらには人の他に、動物類の皮膚に接触させるものも含む。また、本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物およびそれを含む化粧料は、どのような形状であってもよく、固体、液体、半固体、気体のほか、粉体、顆粒、錠形、ゲル状、泡状など多数の形態が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。なお、本発明の化粧料は、上述したその他の成分のうち、一般に化粧料として使用可能なものを用いることができ、これらに加えて既存の化粧品原料をさらに使用することもできる。たとえば、化粧品原料基準第二版注解、日本公定書協会編、1984(薬事日報社)、化粧品原料基準外成分規格、厚生省薬務局審査課監修、1993(薬事日報社)、化粧品原料基準外成分規格追補、厚生省薬務局審査課監修、1993(薬事日報社)、化粧品種別許可基準、厚生省薬務局審査課監修、1993(薬事日報社)、化粧品種別配合成分規格、厚生省薬務局審査課監修、1997(薬事日報社)、化粧品原料辞典、平成3年(日光ケミカルズ)及び新しい化粧品機能素材300、2002(シーエムシー出版)等に記載されている全ての化粧品原料を使用することができる。本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物および化粧料は、上述した成分を、所定の含有量となるように用いて、その態様に応じ常法に従い、溶解、混合あるいは分散等することにより製造することができる。
【0059】
本発明の細胞増殖及び組織形成促進用組成物を非経口投与する場合、安定剤、緩衝剤、保存剤、等張化剤等の添加剤を含有させることもできる。
【作用】
【0060】
本発明で用いられるチオクト酸誘導体及びジヒドロチオクト酸誘導体を検討したところ炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体、特に炭素数14〜18の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体は、6ヵ月後の力価変化、組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性の結果をまとめた総合的な評価で従来の既存のチオクト酸及びその誘導体に比較しいずれも経時的な力価変化、組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性のいずれの評価においてきわめて優れた性能を持つことが確認された。これらの複合的な作用により従来の既知のチオクト酸に比較し産業上極めて有用な作用を持ちえたことが推定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0062】
合成例1−1
<ヘプタデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)と1−ヘプタデカノール(2.56g,10mmol)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し淡黄色固体のヘプタデカノイルチオクト酸3.31gを得た。収率は、約75%であった。
この目的物の構造は下記の1H−NMRスペクトルにより確認された。
1H NMR(400MHz,CDCl3)d4.06(t,J=6.8Hz,2H),3.57(quin,J=6.4Hz,1H),3.17(m,1H),3.13(m,1H),2.46(sex,J=6.4Hz),2.32(t,J=7.2Hz,1H),1.89(sex,J=6.8Hz,1H),1.75−1.61(m,1H),1.26(bs,33H),0.88(t,J=6.0Hz,3H);
この目的物の構造は下記の13C−NMRスペクトルにより確認された。
13C NMR(75MHz,CDCl3)d173.5,64.5,56.3,55.7,40.2,38.4,34.9,34.6,34.1,31.9,29.7,29.6,29.5,29.3,29.2,28.7,28.6,25.9,25.4,24.7,22.7,14.1;この目的物の構造は下記のIR(KBr)スペクトルにより確認された。
IR(KBr)2918,2850,2120,1730,1472,1238,1178cm−1
【0063】
合成例1−2
α−リポ酸(2.06g、10mmol)と以下の化学式に示すオレイルアルコール[化17](2.68g,10mmol)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50mL)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し以下の化学式に示すα−リポ酸エステル[化18]を黄色液体で得た(4.4g,収率96%)。
【0064】
【化17】

【化18】

【0065】
この目的物の構造は下記の1H−NMRスペクトルにより確認された。
H NMR(400MHz,CDCl)δ5.34〜5.29(m,2H),4.01(t,J=6.8Hz,2H),3.52(dquin,J=6.4,1.6Hz,1H),3.17〜3.04(m,2H),2.42(sex,J=6.8Hz),2.27(t,J=7.2Hz,1H),1.97(bsex,J=7.2Hz,2H),1.84(sex,J=7.2Hz,1H),1.69〜1.54(m,4H),1.43(m,1H),1.24(bm,30H),0.83(t,J=6.8Hz,3H);
この目的物の構造は下記の13C−NMRスペクトルにより確認された。
13C NMR(75MHz,CDCl)δ173.5,129.9,129.7,64.5,56.3,40.2,38.4,34.6,34.1,32.6,31.9,29.7,29.7,29.6,29.5,29.4,29.3,29.2,29.2,28.7,28.6,27.2,27.2,25.9,24.7,22.6;
この目的物の構造は下記のIR(KBr)スペクトルにより確認された。
IR(KBr)2925,2854,1736,1458,1175cm−1;MS(ESI)positive,m/z=457.4(M+H),479(M+Na),495(M+K)
【0066】
<ヘキサデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とヘキサデカノール(2.58g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し黄色固体のヘキサデカノイルチオクト酸3.29gを得た。
【0067】
合成例3
<オクタデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とヘキサデカノール(2.57g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しオクタデカノイルチオクト酸の淡黄色固体3.15gを得た。
【0068】
合成例4
<ペンタデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とペンタデカノール(2.55g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しペンタデカノイルチオクト酸の淡黄色固体2.85gを得た。
【0069】
合成例
<テトラデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とテトラデカノール(2.51gl)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しテトラデカノイルチオクト酸の淡黄色固体3.25gを得た。
【0070】
合成例
<イコサノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とイコサノール(2.45gl)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しイコサノイルチオクト酸を淡黄色固体で得た(3.11gを得た。
【0071】
合成例
<ドコサノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とドコサノール(2.39g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しドコサノイルチオクト酸の淡黄色固体3.54gを得た。
【0072】
合成例
<ドデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とドデカノール(2.34)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しドデカノイルチオクト酸の淡黄色固体3.15gを得た。
【0073】
合成例
<デカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とデカノール(2.29g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しデカノイルチオクト酸の淡黄色固体2.99gを得た。
【0074】
合成例
<オクタノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とオクタノール(2.23g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しオクタノイルチオクト酸の淡黄色固体3.10gを得た。
【0075】
合成例
<ヘキサノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とヘキサノール(2.20g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し淡黄色固体のヘキサノイルチオクト酸3.08gを得た。
【0076】
合成例
<ペンタンノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とペンタノール(2.17g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し淡黄色固体のペンタノイルチオクト酸3.34gを得た。
【0077】
合成例
<ブタノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とブタノール(2.12g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しブタノイルチオクト酸の淡黄色固体3.24gを得た。
【0078】
合成例
<プロパノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とプロパノール(2.05g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し淡黄色固体のプロパノイルチオクト酸3.09gを得た。
【0079】
合成例
<エタノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とエタノール(1.99g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し黄色固体のエタノイルチオクト酸3.20gを得た。
【0080】
合成例
<メタノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とメタノール(1.97g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し淡黄色固体のメタノイルチオクト酸2.96gを得た。
【0081】
合成例
<ブチレングリコイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)と1,3−ブチレングリコール(5.12g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し淡黄色固体のブチレングリコイルチオクト酸を2.54g得た。
【0082】
合成例
<プロピレングリコイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とプロピレングリコール(4.23g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し黄色固体のプロピレングリコイルチオクト酸2.98gを得た。
【0083】
合成例
<イソヘキサデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とイソヘキサデカノール(2.55gl)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し淡黄色固体のイソヘキサデカノイルチオクト酸3.31gを得た。
【0084】
合成例
<ヒドロキシイソヘキサデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g、10mmol)とヒドロキシヘキサデカノール(2.76g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し黄色固体のヒドロキシイソヘキサデカノイルチオクト酸2.98gを得た。
【0085】
合成例
<メルカプトヘキサデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2.06g)とメルカプトヘキサデカノール(3.14g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し淡黄色固体メルカプトヘキサデカノイルチオクト酸を3.11g得た。
【0086】
合成例
<メルカプトヘキサデカノイルチオクト酸の合成>
チオクト酸(2g)と以下のアルコール群から選択されるアルコール類(3g)をアルゴン雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒(50ml)に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン(60mg,0.5mmol)を加えた。0度で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.26g,11mmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。反応混合物をセライトろ過した後、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製しそれぞれチオクト酸誘導体を得た。
【0087】
上記の製法により以下試料番号のチオクト酸誘導体である本発明を含む新規物質を製造し、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、IR(KBr)スペクトルにより目的物の構造が確認された。
,33)ブタノイルチオクト酸,34)ペンタノイルチオクト酸,35)ヘキサノイルチオクト酸,36)ヘプタノイルチオクト酸,37)オクタノイルチオクト酸,38)ノナノイルチオクト酸,39)デカノイルチオクト酸,40)ドデカノイルチオクト酸,41)テトラデカノイルチオクト酸,42)ペンタデカノイルチオクト酸,43)ヘキサデカノイルチオクト酸,44)ヘプタデカノイルチオクト酸,45)オクタデカノイルチオクト酸,46)ノナデカノイルチオクト酸,47)イコサノイルチオクト酸,48)ドコサノイルチオクト酸,49)テトラコサノイルチオクト酸,50)ヘキサコサノイルチオクト酸,51)オクタコサノイルチオクト酸,52)トリアコンタノイルチオクト酸,53)ブタノイルジヒドロチオクト酸,54)ペンタノイルジヒドロチオクト酸,55)ヘキサノイルジヒドロチオクト酸,56)ヘプタノイルジヒドロチオクト酸,57)オクタノイルジヒドロチオクト酸,58)ノナノイルジヒドロチオクト酸,59)デカノイルジヒドロチオクト酸,60)ドデカノイルジヒドロチオクト酸,61)テトラデカノイルジヒドロチオクト酸,62)ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸,63)ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸,64)ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸,65)オクタデカノイルジヒドロチオクト酸,66)ノナデカノイルジヒドロチオクト酸,67)イコサノイルジヒドロチオクト酸,68)ドコサノイルジヒドロチオクト酸,69)テトラコサノイルジヒドロチオクト酸,70)ヘキサコサノイルジヒドロチオクト酸,71)オクタコサノイルジヒドロチオクト酸,72)トリアコンタノイルチオクト酸,テトラデカノイルチオクト酸、イソテトラデカノイルチオクト酸、ペンタデカノイルチオクト酸、イソペンタデカノイルチオクト酸、ヘキサデカノイルチオクト酸、イソヘキサデカノイルチオクト酸、ヘプタデカノイルチオクト酸、イソヘプタデカノイルチオクト酸,93)イソブタノイルチオクト酸,94)イソペンタノイルチオクト酸,95)イソヘキサノイルチオクト酸,96)イソヘプタノイルチオクト酸,97)イソオクタノイルチオクト酸,98)イソノナノイルチオクト酸,99)イソデカノイルチオクト酸,100)イソドデカノイルチオクト酸,101)イソテトラデカノイルチオクト酸,102)イソペンタデカノイルチオクト酸,103)イソヘキサデカノイルチオクト酸,104)イソヘプタデカノイルチオクト酸,105)イソオクタデカノイルチオクト酸,106)イソノナデカノイルチオクト酸,107)イソイコサノイルチオクト酸,108)イソドコサノイルチオクト酸,109)イソテトラコサノイルチオクト酸,110)イソヘキサコサノイルチオクト酸,111)イソオクタコサノイルチオクト酸,112)イソトリアコンタノイルチオクト酸,113)イソブタノイルジヒドロチオクト酸,114)イソペンタノイルジヒドロチオクト酸,115)イソヘキサノイルジヒドロチオクト酸,116)イソヘプタノイルジヒドロチオクト酸,117)イソオクタノイルジヒドロチオクト酸,118)イソノナノイルジヒドロチオクト酸,119)イソデカノイルジヒドロチオクト酸,120)イソドデカノイルジヒドロチオクト酸,121)イソテトラデカノイルジヒドロチオクト酸,122)イソペンタデカノイルジヒドロチオクト酸,123)イソヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸,124)イソヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸,125)イソオクタデカノイルジヒドロチオクト酸,126)イソノナデカノイルジヒドロチオクト酸,127)イソイコサノイルジヒドロチオクト酸,128)イソドコサノイルジヒドロチオクト酸,129)イソテトラコサノイルジヒドロチオクト酸,130)イソヘキサコサノイルジヒドロチオクト酸,131)イソオクタコサノイルジヒドロチオクト酸,132)イソトリアコンタノイルチオクト酸
【0088】
本発明において、チオクト酸誘導体が細胞増殖及び組織形成促進用組成物として有効であることを裏付ける効果試験を以下に述べる。
【0089】
(安定性試験)
前記で製造した本発明の炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群(前記検体番号:37〜40、46〜48、41〜45)及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜60、66〜68、61〜65)と既存のチオクト酸誘導体(炭素数4〜7及び23〜30、前記検体番号29〜36、49〜52)、及び既存のジヒドロチオクト酸(検体番号53〜56、69〜72)及び既存のビタミン誘導体を含む各被験物質を、ダルベッコPBS(−)に分散し、1質量%の各被験物質溶液又は分散体を得た。得られた各被験物質を、40℃で6ヶ月間保存してそれぞれの力価を高速液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーで測定し平均値を求め0ヶ月を100%として6ヶ月後の力価を重量%で表した。
【0090】
1)チオクト酸,8%以下,2)ジヒドロチオクト酸,12%以下,3)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸,57%,4)マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸,68%,5)L−アスコルビン酸−2−グルコシド,79%,6)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸―6−パルミチン酸,48%,7)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸―6−イソパルミチン酸,32%,8)L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸,75%,9)L−アスコルビン酸―3−エチル,78%,10)ナトリウムトコフェリルリン酸,75%,11)ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン,21%,12)レチノイン酸トコフェリル,65%,13)ブタン酸,98%,14)ペンタン酸,96%,15)ヘキサン酸,91%,16)ヘプタン酸,90%,17)オクタン酸,85%,18)ノナン酸,86%,19)デカン酸,85%,20)ドデカン酸,83%,21)テトラデカン酸,82%,22)ペンタデカン酸,80%,23)ヘキサデカン酸,79%,24)ヘプタデカン酸,74%,25)オクタデカン酸,77%,26)ノナデカン酸,75%,27)イコサン酸,76%,28)ドコサン酸,73%,29)テトラコサン酸,70%,30)ヘキサコサン酸,66%,31)オクタコサン酸,65%,32)トリアコンタン酸,73%,33)ブタノイルチオクト酸,85%,34)ペンタノイルチオクト酸,83%,35)ヘキサノイルチオクト酸,78%,36)ヘプタノイルチオクト酸,77%,37)オクタノイルチオクト酸,72%,38)ノナノイルチオクト酸,73%,39)デカノイルチオクト酸,72%,40)ドデカノイルチオクト酸,70%,41)テトラデカノイルチオクト酸,69%,42)ペンタデカノイルチオクト酸,67%,43)ヘキサデカノイルチオクト酸,66%,44)ヘプタデカノイルチオクト酸,61%,45)オクタデカノイルチオクト酸,64%,46)ノナデカノイルチオクト酸,62%,47)イコサノイルチオクト酸,63%,48)ドコサノイルチオクト酸,60%,49)テトラコサノイルチオクト酸,57%,50)ヘキサコサノイルチオクト酸,53%,51)オクタコサノイルチオクト酸,52%,52)トリアコンタノイルチオクト酸,60%,53)ブタノイルジヒドロチオクト酸,90%,54)ペンタノイルジヒドロチオクト酸,88%,55)ヘキサノイルジヒドロチオクト酸,83%,56)ヘプタノイルジヒドロチオクト酸,82%,57)オクタノイルジヒドロチオクト酸,77%,58)ノナノイルジヒドロチオクト酸,78%,59)デカノイルジヒドロチオクト酸,77%,60)ドデカノイルジヒドロチオクト酸,75%,61)テトラデカノイルジヒドロチオクト酸,74%,62)ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸,72%,63)ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸,71%,64)ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸,66%,65)オクタデカノイルジヒドロチオクト酸,69%,66)ノナデカノイルジヒドロチオクト酸,67%,67)イコサノイルジヒドロチオクト酸,68%,68)ドコサノイルジヒドロチオクト酸,65%,69)テトラコサノイルジヒドロチオクト酸,62%,70)ヘキサコサノイルジヒドロチオクト酸,58%,71)オクタコサノイルジヒドロチオクト酸,57%,72)トリアコンタノイルチオクト酸,65%。
【0091】
(組織への吸収性の比較)
前記で製造した本発明の炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群(前記検体番号:37〜40、46〜48、41〜45)及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜60、66〜68、61〜65)と既存のチオクト酸誘導体(炭素数4〜7及び23〜30、前記検体番号29〜36、49〜52)、及び既存のジヒドロチオクト酸(検体番号53〜56、69〜72)及びチオクト酸及び既存のビタミン誘導体を含む各試料をポリアクリル酸系親水性ゲルに5%濃度で分散させ、皮膚組織吸収性(%)をヘアレスマウスの皮膚組織を使用して高速液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー法で測定した。角質層を除去したマウスの皮膚組織の3時間後の濃度を100%として皮膚組織中(表皮及び真皮)の3時間後の各濃度を測定し平均値を求めて以下に重量%で表示した。
【0092】
1)チオクト酸23%,2)ジヒドロチオクト酸25%,3)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸79%,4)マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸85%,5)L−アスコルビン酸−2−グルコシド74%,6)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸―6−パルミチン酸95%,7)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸―6−イソパルミチン酸99%,8)L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸87%,9)L−アスコルビン酸―3−エチル91%,10)ナトリウムトコフェリルリン酸89%,11)ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン93%,12)レチノイン酸トコフェリル91%,13)ブタン酸71%,14)ペンタン酸69%,15)ヘキサン酸68%,16)ヘプタン酸65%,17)オクタン酸66%,18)ノナン酸70%,19)デカン酸81%,20)ドデカン酸83%,21)テトラデカン酸85%,22)ペンタデカン酸88%,23)ヘキサデカン酸89%,24)ヘプタデカン酸89%,25)オクタデカン酸84%,26)ノナデカン酸83%,27)イコサン酸82%,28)ドコサン酸80%,29)テトラコサン酸80%,30)ヘキサコサン酸75%,31)オクタコサン酸72%,32)トリアコンタン酸70%,33)ブタノイルチオクト酸75%,34)ペンタノイルチオクト酸70%,35)ヘキサノイルチオクト酸78%,36)ヘプタノイルチオクト酸75%,37)オクタノイルチオクト酸76%,38)ノナノイルチオクト酸80%,39)デカノイルチオクト酸90%,40)ドデカノイルチオクト酸93%,41)テトラデカノイルチオクト酸95%,42)ペンタデカノイルチオクト酸98%,43)ヘキサデカノイルチオクト酸99%,44)ヘプタデカノイルチオクト酸99%,45)オクタデカノイルチオクト酸94%,46)ノナデカノイルチオクト酸93%,47)イコサノイルチオクト酸92%,48)ドコサノイルチオクト酸90%,49)テトラコサノイルチオクト酸90%,50)ヘキサコサノイルチオクト酸85%,51)オクタコサノイルチオクト酸82%,52)トリアコンタノイルチオクト酸80%,53)ブタノイルジヒドロチオクト酸79%,54)ペンタノイルジヒドロチオクト酸78%,55)ヘキサノイルジヒドロチオクト酸80%,56)ヘプタノイルジヒドロチオクト酸85%,57)オクタノイルジヒドロチオクト酸87%,58)ノナノイルジヒドロチオクト酸88%,59)デカノイルジヒドロチオクト酸91%,60)ドデカノイルジヒドロチオクト酸93%,61)テトラデカノイルジヒドロチオクト酸97%,62)ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸96%,63)ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸98%,64)ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸97%,65)オクタデカノイルジヒドロチオクト酸95%,66)ノナデカノイルジヒドロチオクト酸92%,67)イコサノイルジヒドロチオクト酸91%,68)ドコサノイルジヒドロチオクト酸89%,69)テトラコサノイルジヒドロチオクト酸89%,70)ヘキサコサノイルジヒドロチオクト酸83%,71)オクタコサノイルジヒドロチオクト酸81%,72)トリアコンタノイルチオクト酸78%
【0093】
(皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性)
前記で製造した本発明の炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群(前記検体番号:37〜40、46〜48、41〜45)及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜60、66〜68、61〜65)と既存のチオクト酸誘導体(炭素数4〜7及び23〜30、前記検体番号29〜36、49〜52)、及び既存のジヒドロチオクト酸(検体番号53〜56、69〜72)及びチオクト酸及び既存のビタミン誘導体を含む各試料についてヘアレスマウスの皮膚組織ホモジネート液に各試料を500ppm濃度で添加しフェントン反応系で発生させたヒドロキシラジカルの減少率をESR法で測定した。ポジティブコントロールをチオクト酸で設定し、このときのヒドロキシラジカルの減少率を100%として他の試料の減少率を測定し平均値を求めて以下に示した。
【0094】
1)チオクト酸100%,2)ジヒドロチオクト酸82%,3)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸59%,4)マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸49%,5)L−アスコルビン酸−2−グルコシド23%,6)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸51%,7)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸―6−イソパルミチン酸59%,8)L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸14%,9)L−アスコルビン酸―3−エチル25%,10)ナトリウムトコフェリルリン酸45%,11)ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン49%,12)レチノイン酸トコフェリル12%,13)ブタン酸1%,14)ペンタン酸1%,15)ヘキサン酸1%,16)ヘプタン酸1%,17)オクタン酸1%,18)ノナン酸1%,19)デカン酸1%,20)ドデカン酸1%,21)テトラデカン酸1%,22)ペンタデカン酸1%,23)ヘキサデカン酸1%,24)ヘプタデカン酸1%,25)オクタデカン酸1%,26)ノナデカン酸1%,27)イコサン酸1%,28)ドコサン酸1%,29)テトラコサン酸1%,30)ヘキサコサン酸1%,31)オクタコサン酸1%,32)トリアコンタン酸1%,33)ブタノイルチオクト酸73%,34)ペンタノイルチオクト酸75%,35)ヘキサノイルチオクト酸71%,36)ヘプタノイルチオクト酸69%,37)オクタノイルチオクト酸75%,38)ノナノイルチオクト酸79%,39)デカノイルチオクト酸80%,40)ドデカノイルチオクト酸84%,41)テトラデカノイルチオクト酸87%,42)ペンタデカノイルチオクト酸89%,43)ヘキサデカノイルチオクト酸95%,44)ヘプタデカノイルチオクト酸92%,45)オクタデカノイルチオクト酸90%,46)ノナデカノイルチオクト酸88%,47)イコサノイルチオクト酸85%,48)ドコサノイルチオクト酸80%,49)テトラコサノイルチオクト酸72%,50)ヘキサコサノイルチオクト酸74%,51)オクタコサノイルチオクト酸67%,52)トリアコンタノイルチオクト酸59%,53)ブタノイルジヒドロチオクト酸69%,54)ペンタノイルジヒドロチオクト酸61%,55)ヘキサノイルジヒドロチオクト酸65%,56)ヘプタノイルジヒドロチオクト酸63%,57)オクタノイルジヒドロチオクト酸67%,58)ノナノイルジヒドロチオクト酸62%,59)デカノイルジヒドロチオクト酸67%,60)ドデカノイルジヒドロチオクト酸68%,61)テトラデカノイルジヒドロチオクト酸82%,62)ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸70%,63)ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸73%,64)ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸74%,65)オクタデカノイルジヒドロチオクト酸71%,66)ノナデカノイルジヒドロチオクト酸68%,67)イコサノイルジヒドロチオクト酸58%,68)ドコサノイルジヒドロチオクト酸55%,69)テトラコサノイルジヒドロチオクト酸43%,70)ヘキサコサノイルジヒドロチオクト酸48%,71)オクタコサノイルジヒドロチオクト酸39%,72)トリアコンタノイルチオクト酸32%
【0095】
(皮膚刺激性試験)
前記で製造した本発明の炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群(前記検体番号:37〜40、46〜48、41〜45)及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜60、66〜68、61〜65)と既存のチオクト酸誘導体(炭素数4〜7及び23〜30、前記検体番号29〜36、49〜52)、及び既存のジヒドロチオクト酸(検体番号53〜56、69〜72)及びチオクト酸及び既存のビタミン誘導体を含む各試料について被験者の皮膚を使用して各試料のヒトに対する皮膚刺激性を測定した。
測定は、皮膚に24時間パッチ後の紅斑の赤色の強度を色差計を使用して測定前

見られなかった皮膚を100%とした。以下の値は刺激により赤みが増すほど

【0096】
1)チオクト酸83%,2)ジヒドロチオクト酸78%,3)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸79%,4)マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸86%,5)L−アスコルビン酸−2−グルコシド75%,6)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸―6−パルミチン酸69%,7)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸―6−イソパルミチン酸79%,8)L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸82%,9)L−アスコルビン酸−3−エチル65%,10)ナトリウムトコフェリルリン酸75%,11)ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン81%,12)レチノイン酸トコフェリル59%,13)ブタン酸50%,14)ペンタン酸53%,15)ヘキサン酸55%,16)ヘプタン酸57%,17)オクタン酸60%,18)ノナン酸63%,19)デカン酸65%,20)ドデカン酸68%,21)テトラデカン酸70%,22)ペンタデカン酸73%,23)ヘキサデカン酸75%,24)ヘプタデカン酸78%,25)オクタデカン酸80%,26)ノナデカン酸83%,27)イコサン酸87%,28)ドコサン酸90%,29)テトラコサン酸93%,30)ヘキサコサン酸96%,31)オクタコサン酸98%,32)トリアコンタン酸99%,33)ブタノイルチオクト酸32%,34)ペンタノイルチオクト酸35%,35)ヘキサノイルチオクト酸44%,36)ヘプタノイルチオクト酸49%,37)オクタノイルチオクト酸75%,38)ノナノイルチオクト酸80%,39)デカノイルチオクト酸85%,40)ドデカノイルチオクト酸88%,41)テトラデカノイルチオクト酸90%,42)ペンタデカノイルチオクト酸93%,43)ヘキサデカノイルチオクト酸94%,44)ヘプタデカノイルチオクト酸95%,45)オクタデカノイルチオクト酸93%,46)ノナデカノイルチオクト酸87%,47)イコサノイルチオクト酸87%,48)ドコサノイルチオクト酸91%,49)テトラコサノイルチオクト酸93%,50)ヘキサコサノイルチオクト酸96%,51)オクタコサノイルチオクト酸98%,52)トリアコンタノイルチオクト酸97%,53)ブタノイルジヒドロチオクト酸50%,54)ペンタノイルジヒドロチオクト酸53%,55)ヘキサノイルジヒドロチオクト酸55%,56)ヘプタノイルジヒドロチオクト酸60%,57)オクタノイルジヒドロチオクト酸68%,58)ノナノイルジヒドロチオクト酸71%,59)デカノイルジヒドロチオクト酸70%,60)ドデカノイルジヒドロチオクト酸75%,61)テトラデカノイルジヒドロチオクト酸79%,62)ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸82%,63)ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸82%,64)ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸84%,65)オクタデカノイルジヒドロチオクト酸87%,66)ノナデカノイルジヒドロチオクト酸85%,67)イコサノイルジヒドロチオクト酸87%,68)ドコサノイルジヒドロチオクト酸92%,69)テトラコサノイルジヒドロチオクト酸93%,70)ヘキサコサノイルジヒドロチオクト酸95%,71)オクタコサノイルジヒドロチオクト酸96%,72)トリアコンタノイルチオクト酸96%
【0097】
(総合評価インデックス)
前記で製造した本発明の炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群(前記検体番号:37〜40、46〜48、41〜45)及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜60、66〜68、61〜65)と既存のチオクト酸誘導体(炭素数4〜7及び23〜30、前記検体番号29〜36、49〜52)、及び既存のジヒドロチオクト酸(検体番号53〜56、69〜72)及びチオクト酸及び既存のビタミン誘導体を含む各試料について前記の6ヵ月後の力価変化、組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性の結果に基づき以下の式より総合評価インデックスを算出して総合的な評価を行った。総合評価インデックスは、下記の効果の評価方法によりA+ランクの効果、Aランクの効果、Bランクの効果、Cランクの効果、効果なしの5段階に評価した。力価変化(%)/100x吸収性(%)/100x酵素分解性及び抗酸化活性(%)100x皮膚刺激性(%)/100x100=総合評価インデックス
50以上(A+ランクの効果)=Aの効果に比較し有意に非常に高い効果がある、40以上(Aランクの効果)=Bランクの効果に比較し有意に非常に高い効果がある、30以上(Bランクの効果)=Cランクの効果に比較し有意に非常に高い効果がある、10以上30未満(Cランクの効果)=従来品のコントロールと同程度の効果、10未満=効果なし
【0098】
1)チオクト酸1.5,2)ジヒドロチオクト酸1.9,3)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸21.0,4)マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸24.4,5)L−アスコルビン酸−2−グルコシド10.1,6)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸16.0,7)ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−イソパルミチン酸14.8,8)L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸7.5,9)L−アスコルビン酸−3−エチル11.5,10)ナトリウムトコフェリルリン酸22.5,11)ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン7.8,12)レチノイン酸トコフェリル4.2,13)ブタン酸0.3,14)ペンタン酸0.4,15)ヘキサン酸0.3,16)ヘプタン酸0.3,17)オクタン酸0.3,18)ノナン酸0.4,19)デカン酸0.4,20)ドデカン酸0.5,21)テトラデカン酸0.5,22)ペンタデカン酸0.5,23)ヘキサデカン酸0.5,24)ヘプタデカン酸0.5,25)オクタデカン酸0.5,26)ノナデカン酸0.5,27)イコサン酸0.5,28)ドコサン酸0.5,29)テトラコサン酸0.5,30)ヘキサコサン酸0.5,31)オクタコサン酸0.5,32)トリアコンタン酸0.5,33)ブタノイルチオクト酸12.8,34)ペンタノイルチオクト酸13.8,35)ヘキサノイルチオクト酸18.5,36)ヘプタノイルチオクト酸19.5,37)オクタノイルチオクト酸30.8,38)ノナノイルチオクト酸36.9,39)デカノイルチオクト酸44.1,40)ドデカノイルチオクト酸48.1,41)テトラデカノイルチオクト酸51.3,42)ペンタデカノイルチオクト酸54.3,43)ヘキサデカノイルチオクト酸58.3,44)ヘプタデカノイルチオクト酸52.8,45)オクタデカノイルチオクト酸50.4,46)ノナデカノイルチオクト酸44.1,47)イコサノイルチオクト酸42.9,48)ドコサノイルチオクト酸41.3,49)テトラコサノイルチオクト酸34.4,50)ヘキサコサノイルチオクト酸32.0,51)オクタコサノイルチオクト酸28.0,52)トリアコンタノイルチオクト酸27.5,53)ブタノイルジヒドロチオクト酸21.3,54)ペンタノイルジヒドロチオクト酸20.2,55)ヘキサノイルジヒドロチオクト酸23.2,56)ヘプタノイルジヒドロチオクト酸26.3,57)オクタノイルジヒドロチオクト酸30.5,58)ノナノイルジヒドロチオクト酸30.2,59)デカノイルジヒドロチオクト酸32.9,60)ドデカノイルジヒドロチオクト酸35.6,61)テトラデカノイルジヒドロチオクト酸47.1,62)ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸39.7,63)ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸41.7,64)ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸44.0,65)オクタデカノイルジヒドロチオクト酸40.5,66)ノナデカノイルジヒドロチオクト酸35.6,67)イコサノイルジヒドロチオクト酸31.2,68)ドコサノイルジヒドロチオクト酸30.6,69)テトラコサノイルジヒドロチオクト酸22.1,70)ヘキサコサノイルジヒドロチオクト酸22.0,71)オクタコサノイルジヒドロチオクト酸17.3,72)トリアコンタノイルチオクト酸15.6。
(A+ランクの効果)=Aの効果に比較し有意に非常に高い効果がある
(Aランクの効果)=Bランクの効果に比較し有意に非常に高い効果がある
(Bランクの効果)=Cランクの効果に比較し有意に非常に高い効果がある
(Cランクの効果)=従来品のコントロールと同程度の効果、10未満=効果なし
【0099】
上記の結果課から前記で合成した炭素数8〜13及び19〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体(前記試料番号:37〜40、46〜48)は、6ヵ月後の力価変化、組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性の結果をまとめた総合ランク評価でA又はBであり、炭素数14〜18の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体(前記試料番号:41〜45)は総合評価でA+であり本発明のチオクト酸誘導体は前記で合成した既存のチオクト酸誘導体(炭素数4〜7及び23〜30、前記試料番号29〜36、49〜52)に比較し経時的な力価変化、組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性のいずれの評価においてもきわめて優れた性能を持つことが確認された。
【0100】
同様に、上記の結果課から前記で合成した炭素数8〜13及び19〜22の炭化水素基を持つジヒドロチオクト酸誘導体(前記試料番号:57〜60、66〜68、)は、6ヵ月後の力価変化、組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性の結果をまとめた総合ランク評価でBであり、炭素数14〜18の炭化水素基を持つジヒドロチオクト酸誘導体(前記試料番号:61〜65)は総合評価でAであり本発明のチオクト酸誘導体は前記で合成した既存のジヒドロチオクト酸(試料番号53〜56、69〜72)に比較し経時的な力価変化、組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性のいずれの評価においてもきわめて優れた性能を持つことが確認された。
【0101】
次の分岐鎖を持つ脂肪酸及びチオクト酸誘導体についても上記と同様の試験を行ったところ炭素数8〜13及び19〜22の炭化水素基を持つイソチオクト酸誘導体は、6ヵ月後の力価変化、組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性の結果をまとめた総合ランク評価でA又はBであり、炭素数14〜18の炭化水素基を持つイソチオクト酸誘導体は総合評価でA+であり本発明のイソチオクト酸誘導体は既存のイソチオクト酸誘導体に比較し経時的な力価変化、組織への吸収性、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、及び皮膚刺激性のいずれの評価においてもきわめて優れた性能を持つことが確認された。
【0102】
1)
【0103】
不飽和結合を有する炭素の影響を調べるため上記で既に試験した以下の37)から48)の対象区の本発明のチオクト酸誘導体に対して、本発明の請求項1から6のRn又はCn(nは整数)に不飽和結合を有する以下の試験区(A)237)から248)の不飽和結合を1つ含むチオクト酸誘導体の効果を上記の安定性試験、組織への吸収性の比較、皮膚組織ホモジネート液の酵素分解性及び抗酸化活性、皮膚刺激性試験の実験と同じ方法で調べ上記と同じ方法で総合評価インデックスを計算した。
【0104】
対象区(B)37)オクタノイルチオクト酸,38)ノナノイルチオクト酸,39)デカノイルチオクト酸,40)ドデカノイルチオクト酸,41)テトラデカノイルチオクト酸,42)ペンタデカノイルチオクト酸,43)ヘキサデカノイルチオクト酸,44)ヘプタデカノイルチオクト酸,45)オクタデカノイルチオクト酸,46)ノナデカノイルチオクト酸,47)イコサノイルチオクト酸,48)ドコサノイルチオクト酸,
【0105】
試験区(A)237)オクタノイルチオクト酸,238)ノナノイルチオクト酸,239)デカノイルチオクト酸,240)ドデカノイルチオクト酸,241)テトラデカノイルチオクト酸,242)ペンタデカノイルチオクト酸,243)ヘキサデカノイルチオクト酸,244)ヘプタデカノイルチオクト酸,245)オクタデカノイルチオクト酸,246)ノナデカノイルチオクト酸,247)イコサノイルチオクト酸,248)ドコサノイルチオクト酸。
【0106】
その結果を以下の示す。以下計算式の(b)の値は、上記実験のチオクト酸誘導体37)から48)の数値を用いた。以下の結果に示すごとく不飽和結合を含む本発明のチオクト酸誘導体(a)は、対象区の本発明の不飽和結合を含まないチオクト酸誘導体(b)に比較し特に酵素活性X抗酸化活性において優れた効果を示し評価指数においてより高い効果を示すことが判明した。この不飽和脂肪酸の効果はチオクト酸誘導体37)から48)の分子においては不飽和結合を2以上持つ分子の場合でも不飽和結合を1つ含む分子と同様な結果であることが示された。

【0107】
チオクト酸誘導体濃度とヒト上皮腺維芽細胞の細胞増殖率、組織形成率の関係を調べるために以下のチオクト酸誘導体濃度になるように培養液に前記で作成した本発明の炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群(前記試料番号:37〜40、46〜48、41〜45)及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、試料番号57〜60、66〜68、61〜65)と既存のチオクト酸誘導体(炭素数4〜7及び23〜30、前記試料番号29〜36、49〜52)、及び既存のジヒドロチオクト酸(試料番号53〜56、69〜72)をそれぞれ異なる濃度で添加して、3日間培養しそれぞれの誘導体濃度と細胞増殖率の関係をしらべた。その結果本発明のチオクト酸誘導体の細胞培地濃度又は組織中濃度が50〜3200ppmになると細胞増殖率、組織形成率が1.2倍に増加することが判明した。
【0108】
本発明のチオクト酸誘導体と以下の既存のビタミン誘導体の併用効果について調べるために、ヒト上皮腺維芽細胞の細胞増殖率、皮膚組織形成率を本発明のチオクト酸誘導体の単独投与の場合と本発明のチオクト酸誘導体と以下の既存のビタミン誘導体の併用区で比較した。その結果、本発明のチオクト酸誘導体の単独投与くに比較し本発明のチオクト酸誘導体と以下の既存のビタミン誘導体の併用区では、併用区の方が単独投与区に比較し最大1.3倍の細胞増殖率、皮膚組織形成率を示すことが判明した。
実験に使用した既存のビタミン誘導体:ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸―6−イソパルミチン酸、L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸、L−アスコルビン酸―3−エチル、アスコルビン酸−3−グルコシド、ナトリウムトコフェリルリン酸、ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン、レチノイン酸トコフェリル。チオクト酸誘導体濃度と各種細胞の細胞増殖率の関係を調べるためにチオクト酸誘導体濃度になるように培養液に前記で作成した本発明の炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群(前記試料番号:37〜40、46〜48、41〜45)及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、試料番号57〜60、66〜68、61〜65)と既存のチオクト酸誘導体(炭素数4〜7及び23〜30、前記試料番号29〜36、49〜52)、及び既存のジヒドロチオクト酸(試料番号53〜56、69〜72)をそれぞれ添加して、3日間培養しそれぞれの誘導体濃度と細胞増殖率の関係をしらべた。また、組織を形成するものについては組織形成率についても調べた。
その結果、パン酵母、食品用乳酸菌、ビフィズス菌、ナタデココ生産菌、納豆菌、紅麹菌、酒用麹菌、ペニシリン産生菌、ヒト由来細胞、カイコ由来細胞、車えび由来細胞、ニジマス由来細胞、ニワトリ由来細胞、豚、牛、羊、馬、犬、猫の胚由来細胞、アフリカツメガエル胚由来細胞、スッポン胚由来細胞、あわび由来細胞、ヒト及び牛、豚、ニワトリ由来の幹細胞、神経細胞、腺維芽細胞、角化細胞、色素細胞、心筋細胞、肝細胞、口内粘膜上皮細胞、エナメル芽細胞、象牙芽細胞、毛母細胞、血管内皮細胞、造血幹細胞、多能性幹細胞、脂肪細胞の細胞増殖促進作用が本発明のチオクト酸誘導体により既存のチオクト酸誘導体に比較し最大1.3倍に増加することが判明した。また、組織を形成する細胞については組織形成率が最大1.5倍に増加した。これらの効果は、前記の既存のビタミン誘導体を添加することによりさらに最大1.2倍増加した。
【0109】
前記で製造した本発明の炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群(前記検体番号:37〜48)及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜68)につてそれぞれ以下の製剤を作成してそれぞれを医薬品、化粧品、飼料添加物、食品添加物、生体用組織再生用高分子組成物、組織再生用高分子組成物とした。
【0110】
オイル状液体製剤:
本発明のチオクト酸誘導体群、前記検体番号:37〜48、及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜68をそれぞれ30%重量の濃度でオリーブオイルに溶解した。
【0111】
ゲル状製剤:
サーファクチンナトリウム1%重量にグリセリン9%重量をよく混ぜこれに上記のオイル状液体製剤90%重量を徐々に添加して混ぜ100%重量とし液晶状のオイルゲルを得た。
【0112】
水性乳化分散製剤:
上記のゲル状製剤40%重量に水60%重量を添加して分散させた。これをマイクロフルイタイザーで平均粒子径30μmの乳化粒子分散液を得た。
【0113】
水性ゲル:
キサンタンガム0.5%重量に水99.5%重量を添加して製造した水性ゲルに対して、上記水性乳化分散製剤を同重量添加してよく混合し、軟膏状の水性ゲルを作成した。
【0114】
粉末剤:
上記で製造したオイル状液体製剤5%をデキストリン95%に浸透分散し粉末剤を得た。
【0115】
固形材料:
多孔質シート状ポリ乳酸成型体に同重量の上記水性乳化分散製剤を減圧下で浸透させた後減圧乾燥させ固形材料とした。
【0116】
〔ヒト表皮角化細胞増殖及び組織形成試験〕
森永生科学研究所製の正常ヒト表皮角化細胞培養キットを用い、前記で製造した本発明の炭素数8〜22の炭化水素基を持つチオクト酸誘導体群、前記検体番号:37〜48、及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜68(以下これらを総称して本発明のチオクト酸誘導体という)、についてのヒト表皮角化細胞の増殖に及ぼす増殖促進用組成物としての効果を調べるため、以下の試験を行った。
【0117】
〔試験例1〕凍結した正常ヒト表皮角化細胞を融解後、表皮角化細胞用無血清培地で培養し、さらに2回継代した。そして、3回目の継代時に上記の無血清培地に濾過滅菌した本発明のチオクト酸誘導体(濃度1mg/ml)を加え、経時的に細胞数を計測するとともに、細胞の増殖の様子を形態学的に観察した。尚、本発明のチオクト酸誘導体を加えなかったものを対照として比較した。
【0118】
その結果、本発明のチオクト酸誘導体含有培養基では、対照培養基と比較して、最大で1.5倍もの顕著な細胞増加が認められた。
以上より、本発明のチオクト酸誘導体を加えることによってヒト表皮角化細胞の増殖活性を高めることができた。
【0119】
〔試験例2〕凍結した正常ヒト表皮角化細胞を融解後、表皮角化細胞用無血清培地に濾過滅菌した本発明のチオクト酸誘導体を添加した培地0.10mg/ml)で培養し、セミ・コンフルエント(付着細胞が培養器の面積の約80%を占める状態)に達したところで継代を行った。3回目の継代におけるセミ・コンフルエントに達する日数を調査しその結果の平均値を計算した。尚、本発明のチオクト酸誘導体を加えなかったものを対照区として比較した。以下にセミ・コンフルエント達成日数を示した。
【0120】
【表2】
対照区2.5日,37)オクタノイルチオクト酸1.7日,38)ノナノイルチオクト酸1.5日,39)デカノイルチオクト酸1.6日,40)ドデカノイルチオクト酸1.4日,41)テトラデカノイルチオクト酸1.1日,42)ペンタデカノイルチオクト酸1日,43)ヘキサデカノイルチオクト酸1日,44)ヘプタデカノイルチオクト酸1日,45)オクタデカノイルチオクト酸1.2日,46)ノナデカノイルチオクト酸1.3日,47)イコサノイルチオクト酸1.5日,48)ドコサノイルチオクト酸1.5日,49)テトラコサノイルチオクト酸,50)ヘキサコサノイルチオクト酸,51)オクタコサノイルチオクト酸,52)トリアコンタノイルチオクト酸,53)ブタノイルジヒドロチオクト酸,54)ペンタノイルジヒドロチオクト酸,55)ヘキサノイルジヒドロチオクト酸,56)ヘプタノイルジヒドロチオクト酸,57)オクタノイルジヒドロチオクト酸1.5日,58)ノナノイルジヒドロチオクト酸1.4日,59)デカノイルジヒドロチオクト酸1.5日,60)ドデカノイルジヒドロチオクト酸1.3日,61)テトラデカノイルジヒドロチオクト酸1.5日,62)ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸1日,63)ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸0.9日,64)ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸1.1日,65)オクタデカノイルジヒドロチオクト酸1.2日,66)ノナデカノイルジヒドロチオクト酸1.1日,67)イコサノイルジヒドロチオクト酸1.4日,68)ドコサノイルジヒドロチオクト酸1.5日
【0121】
(実施例A)PGA系高分子からなる縫合糸であるDavis&Greck社製、商品名「Dexon」の1.0gを前記実施例で作成した水性乳化分散製剤に浸漬した後、取り出した。風乾後、本発明の組織再生用高分子組成物の実施例である縫合糸を得た。この糸の重量増加は5mgであった。
(実施例B)PGA系高分子からなる縫合糸であるEthicon社製、商品名「Vicryl」の1.0gを前記実施例で作成した水性乳化分散製剤に浸漬した後、取り出した。風乾後、本発明の組織再生用高分子組成物の実施例である縫合糸を得た。この糸のの重量増加はそれぞれ5mgであった。
(実施例C)ポリジオキサノン系高分子からなる縫合糸であるEthicon社製、商品名「PDS」の1.0gを前記実施例で作成した水性乳化分散製剤に浸漬した後、取り出した。風乾後、本発明の組織再生用高分子組成物の実施例である縫合糸を得た。この糸の重量増加は5mgであった。
(実施例D)PGA系高分子からなる縫合糸であるEthicon社製、商品名「Vicryl」の1.0gを前記実施例で作成した水性乳化分散製剤に浸漬した後、取り出した。風乾後、本発明の組織再生用高分子組成物の実施例である縫合糸を得た。この糸の重量増加はそれぞれ5mgであった。
(実施例E)
上記実施例Aの糸を原料に常法により布を織りガーゼを作成した。このガーゼは常法によりエチレンオキサイトガスで滅菌し本発明の組織再生用高分子組成物の実施例であるガーゼとした。
(実施例F)
上記実施例Bの糸を原料に常法により不織布を作成しガーゼを作成した。このガーゼは常法によりエチレンオキサイトガスで滅菌し本発明の組織再生用高分子組成物の実施例である不織布ガーゼとした。
【0122】
(比較例1〜3)以下の耐抗張力試験のコントロールとしては、前記実施例で作成した水性乳化分散製剤に浸漬しなかった縫合糸のみを用いた。すなわち、Davis&Greck社製、商品名「Dexon」を比較例A’、Ethicon社製、商品名「Vicryl」を比較例B’、Ethicon社製、商品名「PDS」を比較例C’とした。
性能評価上記実施例A,B.Cの組織再生用縫合糸および比較例A’,B’,C’の縫合糸について、以下の方法により性能評価した。
10週齢のモルモットの背部を毛刈りし、背部正中線に垂直な方向にメスで長さ2cmの切創を作成した。各実施例、比較例の糸を用いて、この切創部を等間隔で5ケ所組織再生用して傷を修復させた。この処置の1週間後にモルモットをエーテル麻酔下で、切創中央部から左右に1cm幅の短冊状の皮膚組織を切除しレオメーターを用いて切創部の耐抗張力(g/cm)を測定した。それぞれの実施例および比較例について10匹のモルモットを用いて行い、耐抗張力(g/cm)はこれらモルモットについて得られた値の平均値を取った。結果を表1に示した。
【0123】
【表1】

表1より、本発明のチオクト酸誘導体を含有する組織再生用高分子組成物の実施例である縫合糸を使用した群では、それを含まない縫合糸を使用した群よりも、耐抗張力が大きく上昇したことが分かる。
【0124】
(実施例8)
本発明のチオクト酸誘導体群、前記検体番号:37〜48、及び本発明のジヒドロチオクト酸誘導体群、検体番号57〜68のそれぞれ1重量部に対し、ポリブチレンサクシネートPBS(ビオノーレ1001、昭和高分子製)84重量部、ポリエチレンテレフタレートPET(ダイヤナイトPA−500、三菱レイヨン製)10重量部、及びエチレングリシジルメタクリレート共重合体E−GMA(反応性相溶化剤、ボンドファーストE、住友化学製)1重量部をそれぞれ加え、2軸押出機(株式会社テクノベル製、KZW15−30MG)を用いて、240℃にて常法にて溶融混練し、約3mmの直径で水中に押し出し・固化し、次いで3mm長に切断し、それぞれの樹脂チップを得た。この際の押出条件は以下の通りであった。
【0125】
<押出条件>
温度設定:フィード180℃、混練部240℃、ヘッド180℃、回転数:60rpm
得られたそれぞれのチップをプレス成形(プレス成形機:株式会社神藤金属工業所製)しそれぞれの本発明の組織再生用高分子組成物の実施例である大腿骨補強材料及び骨折修復用ビスを作製した。
<プレス成形条件>
180℃のプレス温度で、10MPaで1分間加圧した後に、20MPaで2分間加圧した。その後、冷却プレスにて3分間冷却した。
【実施例】
【0126】
1wt%のアルギン酸ナトリウム水溶液に、スプレードライにより粒径50μm程度に調製した水酸アパタイト(HA)を10wt%になるように混合し、均一なスラリーとした。このスラリーを、1wt%の塩化カルシウム水溶液に3μlずつ滴下することにより、球状に成形した。上記のように成型した球状HAを60℃で12時間乾燥した後、1250℃で1時間焼結することにより、直径0.8±0.2の多孔質 球状骨材粒子を得た。この多孔質 球状骨材粒子を真空減圧し超純水に前記実施例で作成したそれぞれの水性乳化分散製剤を10%重量で溶解した水溶液を0.2μmのメンブランフィルターで滅菌ろ過したものを1:1で添加した後、凍結乾燥し本発明のチオクト酸誘導体が含有された本発明の組織再生用高分子組成物の実施例である骨修復用の多孔質球状骨材粒子を得た。
一方、第四リン酸カルシウム(TeCP)と第二リン酸カルシウム(DCP)を等モルずつ混合したものに10%重量の前記実施例で作成したそれぞれの水性乳化分散製剤を含む超純水で練和することにより本発明の組織再生用高分子組成物の実施例である骨修復用の自己硬化型リン酸カルシウムセメントペーストを調製した。
【0127】
次いで、上記自己硬化型リン酸カルシウムセメントペーストに上記骨材粒子を80vol%になるように混合したものを、ペースト内に気泡を取り込むように練和し、骨欠損部のCTデータを基に作製された骨欠損部位形状の印象型に充填し、大気中、室温で24時間放置して、骨欠損部位形状のセメント硬化体とした。上記方法により本発明の組織再生用高分子組成物の実施例である骨欠損部位形状のリン酸カルシウム多孔体を得ることができた。このリン酸カルシウム多孔体内には100μm程度のマクロポアと数ミクロンのミクロポアが分布していた。また、上記マクロポアは、隣接する骨材粒子内のミクロポアにより結合しており、連通孔ネットワークを形成していた。モルモット骨欠損モデルで試験したところ従来の抗炎症因子、フリーラジカル消去因子、細胞成長因子、抗感染症因子、組織形成誘導因子から選択されるの単体又はその複合物を含まない同素材と比較した結果骨形修復スピードが従来物より約3.5倍速く治癒した。
【0128】
食品製造分野の実施例
実施例.酒類の製造
0.1kgの前記実施例で作成したヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸を10,000リットルの芋焼酎薩摩霧島黒ラベルに加え、20−30分間混合した。得られた混合液を流速30dl/時で木炭フィルターに通し不溶解物を分離し、最終産物をビン詰めした。得られた芋焼酎はソフトで、スムーズな風味で、良い香がした;この焼酎を飲んだ後の二日酔いは通常のものに比べ軽度であった。
【0129】
実施例.乾燥飲料混合体とその製造方法
700gの砂糖を飲料混合体様の粉末に粉砕した。全て乾燥形状にある17gの粉砕した塩、17.5gの粉砕したクエン酸、0.5gの2ナトリウム塩、前記実施例で作成したヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸を続けて上記砂糖粉末の1/3に加えた。そのたびに混合体をよく振盪した。攪拌を続けながら粉末混合体に2.6cm3のオレンジ香味料を加えた。グミの乾燥果実粉末260gと上記砂糖粉末の残り(2/3)を香味料入り産物に加えた。得られた混合体を20gずつ小分けし、包装した。各包装は200cm3の飲料物を得るためのものである。
調製された乾燥混合体は均一なオレンジ色をした、甘酸っぱい風味と果物の香りがした。乾燥混合体より再生された飲料物は爽快にする作用を有し、毎日20gを摂取し三ヵ月後に体重を測定したところ有意に体重が軽減した。
【0130】
実施例.食用植物油およびその製造方法
重量比9:1の、前記実施例で作成したヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸および、前記実施例で作成したヘプタデカノイルチオクト酸の混合体0.02kgを10リットルの食用大豆油に加えた。溶液を振盪し、濾過した。大豆油をビン詰めし、密封し、貯蔵した。得られた大豆油は成人病予防の健康食品として使用できる。この食用油は、ヒートストレス軽減作用を有することからヒト用だけでなく有用な牛、馬、ニワトリ、豚、魚、えび、かに、あわび、カイコ、かえる、ミミズ、ビール酵母、パン酵母の経済動物及び経済微生物の増産にも使用できた。
【0131】
実施例.ビスケット製造法
ビスケット製造に関しては、伝統的成分を所定量の水と混合し、バターエマルジョンを得る。香味料として幾種類かの粉末種、例えばジラをエマルジョンに加える。小麦粉100kg当たりの成分量は次の通りであった:マーガリン15kg、香味料添加物4.5kg、砂糖7.0kg、塩2.3kg、食用ソーダ0.58kg、カーボン−アンモニウム塩4kg、クエン酸0.021kg、澱粉5kg、および、前記実施例で作成したヘプタデカノイルチオクト酸0.01kg。続いてこの混合体を振盪し、ビスケットの形に成形してから焼いた。ビスケットは伝統的なパンの代用品として高齢者向けに推奨される;これはこの製品が備えた食品特性によるものであり、熱ストレス軽減作用を有する高い生理学的作用を有した。
【0132】
化粧品および皮膚科学利用の例
実施例、頭皮ケア用化粧品
頭皮ケア用化粧品は以下の重量%の組成体重量%を有する様に調製された:約10%のイソプロピルパルミチン酸エステル、レシチン入りの約3%の濃縮フォスファチド、約3%のベントナイトクレー、約2%のケラチン加水分解物、約2%のシリコンワックス、約0.5%のα−トコフェロールのオイルエッセンス、約0.5%の芳香剤、約0.5%の、前記実施例で作成したヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸49%及びサーファクチン1%配合の乳化水溶液、約0.5%の保存剤であり、残り(約78%)は海産哺乳動物の皮下脂肪の乳化液状グリセリドである。得た頭皮ケア用化粧品は皮膚および毛髪に発毛刺激作用を与えた。頭皮ケア用化粧品は正常な湿潤した毛髪および頭皮に適用された;それは毛髪にそって均一に分配され、そして2−3分間皮膚に軽く擦り込まれた。作用から10分後、頭部は温水により洗浄した。頭皮ケア用化粧品は皮膚を健康にし、毛髪の成長を促進し、毛髪を蘇生し、そしてふけを解消する。
【0133】
実施例.日焼け皮膚治療用組成物
長時間日光(紫外線照射)に曝された皮膚の治療に冠し、以下の組成(重量%)を有する軟膏を調製した:約2%のアスパラギン酸のマグネシウム塩、約5%のカミツレ花抽出物の水−アルコール液、約1%のビタミンA、B1、D、E、C、PP、約4%のレシチン、約1%の硫酸マグネシウム、約2%の乳酸ナトリウム、約1%のヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸の50%エタノール液、約5%のグリセロール、約0.5%の保存剤、約3%の乳化剤、そして残りはエタノールである。火傷を起こした皮膚層内に形成された過酸化ラジカルに結合し、マグネシウムイオンを移動させることで皮膚細胞内の水−塩平行を活発に修復するヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸の存在と組成体中のその他活性成分の作用により、紫外線照射により損傷した皮膚は迅速に回復した。本発明による乳剤またはローションの形状の組成物は、柔らかな脱脂綿を使って、曝露皮膚域に3−4時間毎に適用した。
【0134】
動物および家禽に関する発明の実施態様
実施例.アミノ酸またはその誘導体、ビタミンまたはその誘導体、酵素、医薬品、ホルモン、炭水化物、微生物およびミネラル物質を含む生理学的活性物質の混合体が調製される;次にヘプタデカノイルチオクト酸が混合体に加えられ、混合体は攪拌される;得られた組成体は保護層でコーティングされ、顆粒状にされた。得られた顆粒状組成体は動物用飼料添加物として使用された;組成体は牛、豚、犬、猫の母親のミルク中の抗酸化活性レベル、免疫グロブリンGレベルを有意に高くすることができた。
【0135】
実施例.ペットのイヌおよびネコの早期老化防止を目的として、ヘプタデカノイルチオクト酸の水溶液およびアミノ酸とビタミンのグループに属するその他既知活性成分を生理食塩水に加えることで注射液を調製した。調製液は動物の腹腔内に注射された。
【0136】
実施例.ブロイラー用配合飼料は、高レベルの重金属およびヒ素を含む飼料添加物を含んだ。ブロイラーの肉中の前記物質レベルを下げるために、屠殺1週間前に比率2:3のヘプタデカノイルチオクト酸とヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸の混合物をそれらの配合飼料に加えた。配合飼料は良い影響を示した:ブロイラーの白身肉および赤身肉の水銀、カドミウム、鉛および亜鉛含有量はコントロールに比較し有意に低下した。
【0137】
実施例.ハマチ用配合飼料は、高レベルの水銀を含む飼料添加物を故意に含浸させた。ハマチの脂肪組織中の前記物質レベルを下げるために、解剖一ヶ月前に比率2:3のヘプタデカノイルチオクト酸とヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸の混合物をそれらの配合飼料に加えた。
配合飼料は良い影響を示した:ハマチの脂肪組織中の水銀含有量はコントロールに比較し有意に低下した。
【発明の効果】
【0138】
本発明で得られた効果を以下にまとめた。本発明のチオクト酸誘導体を含有する細胞増殖及び組織形成促進用組成物は、刺激性、アレルギー性が既存のチオクト酸誘導体よりも低く安全性が極めて高い。本発明のチオクト酸誘導体を含有する生理活性組成物は、製剤中で保存しても分解が少く安定性く、細胞や組織に吸収されやすく、細胞や組織に吸収された後は、細胞や組織中のチオクト酸濃度を高めることができ、細胞や組織中でチオクト酸の活性を高く発揮でき、且つ、細胞や組織中でチオクト酸の活性を長時間発揮できる。また、特に以下の効果をより高く発揮できる。多様な細胞の増殖や組織形成を促進し、細胞や組織形成の培養時間を短縮でき、培養細胞の継代数を増加させ、特定の生物種や細胞種により効果が限定されることのない広範囲の生物種、細胞種に共通して効果を発揮でき、目的とする細胞を短時間に多く得ることができ、細胞や組織中で抗酸化活性を持続的に高く発揮できる。更に、次の効果を十分に発揮できる細胞増殖及び組織形成促進用組成物である。その効果とは、ラジカル疾患、抗老化活性、成人病予防活性、脳梗塞、心筋梗塞、循環器障害、鎮痛効果、抗炎症硬化、抗壊死性効果、抗糖尿疾患、解毒、皮膚疾患の予防、改善、治療効果。皮膚の色素沈着を抑制、減少、予防させる効果、皮膚のニキビを抑制、減少、予防させる十分な効果、脂漏症関連障害の改善効果、皮膚のしわ、たるみを抑制、減少、予防する効果、皮膚のしわ、たるみを抑制、減少、予防させる効果、発毛促進効果、脱毛予防効果、毛穴縮小効果、きめ改善効果、痩身効果、活性酸素が関与する疾患。更に、特定の生物種や細胞種により効果が限定されず広範囲の生物種、細胞種に共通して効果を発揮でき、特に産業上有用な広範囲の畜産養殖ペット動物や発酵生産産業に使用される広範囲の産業上有用な単細胞生物の成長阻害やストレスに対して効果を十分に発揮できる。更に、本発明に使用されるチオクト酸誘導体の製造コストを低下させるため、合成する原料コスト、設備コスト、製造エネルギーコストを低減させた合成方法を確立し、反応が煩雑でなくコントロールしやすく得られたチオクト酸誘導体の純度も高く高純度のチオクト酸誘導体を得るための製法を確立した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるチオクト酸誘導体を含有することを特徴とする産業上有用な生理活性組成物。
【化1】

(式(1)中、Rは、分岐または不飽和結合を有していてもよい炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14から18の炭化水素元基、又は、アシル基、又は炭素数9〜100のポリサイクリックアロマティクハイドロカーボン又は炭素連続体を示す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表されるジヒドロチオクト酸誘導体を含有することを特徴とする産業上有用な生理活性組成物。
【化2】

(式(2)中、Rは、分岐または不飽和結合を有していてもよい炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14から18の炭化水素元基、又は、アシル基、又は、炭素数9〜100のポリサイクリックアロマティクハイドロカーボン又は炭素連続体を示す。)
【請求項3】
前記式(1)及び(2)中、Rが、以下の式(3)のいずれかから選択される基であることを特徴とする請求項1及び2に記載の産業上有用な生理活性組成物。
【化3】

(式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、アリール基、又は分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14〜18の炭化水素基を表す。)。
【請求項4】
前記式(3)中、Rが、分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14〜18の鎖状炭化水素基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子、又は分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数14〜18の鎖状炭化水素基であることを特徴とする請求項3に記載の産業上有用な生理活性組成物。
【請求項5】
Cnが、分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、以下の化学構造を有するテトラデカノイルチオクト酸(n=14)、イソテトラデカノイルチオクト酸(n=14)、ペンタデカノイルチオクト酸(n=15)、イソペンタデカノイルチオクト酸(n=15)、ヘキサデカノイルチオクト酸(n=16)、イソヘキサデカノイルチオクト酸(n=16)、ヘプタデカノイルチオクト酸(n=17)、イソヘプタデカノイルチオクト酸(n=17)のいずれかを含む請求項1から4に記載の産業上有用な生理活性組成物。
【化4】

【請求項6】
Cnが、分岐、不飽和結合もしくは置換基を有していてもよい、以下の化学構造を有するテトラデカノイルジヒドロチオクト酸(n=14)、イソテトラデカノイルジヒドロチオクト酸(n=14)、ペンタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=15)、イソペンタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=15)、ヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸(n=16)、イソヘキサデカノイルジヒドロチオクト酸(n=16)、ヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=17)、イソヘプタデカノイルジヒドロチオクト酸(n=17)のいずれかを含む請求項1から4に記載の産業上有用な生理活性組成物。
【化5】

【請求項7】
チオクト酸誘導体濃度が細胞培地濃度又は組織中濃度を50〜3200ppmになるように添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物。
【請求項8】
ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、マグネシウムL−アスコルビン酸−2−リン酸、L−アスコルビン酸−2−グルコシド、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸、ナトリウムL−アスコルビン酸−2−リン酸−6−イソパルミチン酸、L−アスコルビン酸−2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸、L−アスコルビン酸−3−エチル、アスコルビン酸−3−グルコシド、ナトリウムトコフェリルリン酸、ナトリウムトコフェリルジメチルグリシン、レチノイン酸トコフェリルから選択される一種以上の化合物を同時に含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物。
【請求項9】
産業上有用な生理活性が、持続活性が高いこと、細胞への吸収性が高いこと、生体中での酵素変換活性が高いこと、生体中での活性が高いこと、細胞毒性が低いこと、細胞増殖促進活性が高いこと、から選択される1以上の生理活性効果を持つことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物。
【請求項10】
細胞が原核細胞、真核細胞、原生生生物細胞,真菌細胞、動物細胞、植物細胞から選択されるいずれかひとつである請求項9に記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項11】
細胞が幹細胞、神経細胞、腺維芽細胞、角化細胞、色素細胞、心筋細胞、肝細胞、口内粘膜上皮細胞、エナメル芽細胞、象牙芽細胞、毛母細胞、血管内皮細胞、造血幹細胞、多能性幹細胞、脂肪細胞である請求項11のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項12】
細胞が組織又は臓器である複数の細胞集合体である請求項9〜11のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項13】
生理活性組成物が以下のいずれかに記載の生理効果を持つ医薬品である請求項1〜12のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
ラジカル疾患治療予防効果、成人病治療予防効果、脳梗塞治療予防効果、心筋梗塞治療予防効果、循環器障害治療予防効果、抗感染症治療予防効果、創傷治癒効果、鎮痛効果、抗炎症効果、解毒効果、抗壊死効果、糖尿病治療予防効果、色素沈着症治療予防効果、ニキビ治療予防効果、脂漏症治療予防効果、紫外線照射障害治療予防効果、しわ治療予防効果、たるみ治療予防効果、肥満治療予防効果、むくみ治療予防効果、脱毛治療予防効果、毛穴拡大治療予防効果、肌荒れ治療予防効果、成長阻害治療予防効果、抗ストレス効果。
【請求項14】
生理活性組成物が以下のいずれかに記載の生理効果を持つ化粧品である請求項1〜12のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
鎮痛効果、鎮痒効果、解毒効果、創傷治癒効果、抗壊死効果、色素沈着症治療予防効果、ニキビ治療予防効果、脂漏症治療予防効果、紫外線照射障害治療予防効果、しわ治療予防効果、たるみ治療予防効果、むくみ治療予防効果、脱毛治療予防効果、毛穴拡大治療予防効果、肌荒れ治療予防効果、抗ストレス効果。
【請求項15】
生理活性組成物が組織再生用高分子組成物である請求項1〜14のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項16】
生理活性組成物が食品添加物である請求項1〜14のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項17】
生理活性組成物が飼料添加物である請求項1〜14のいずれかに記載の産業上有用な生理活性組成物
【請求項18】
請求項1〜6のいずれかに記載のチオクト酸誘導体の以下の製造方法。
チオクト酸1±0.5分子当量と炭素数8〜22の生理学的に許容される中鎖、長鎖の一価、二価、若しくは三価のアルコール1±0.5分子当量を不活性ガス雰囲気下、脱水塩化メチレン溶媒に溶かし、触媒量のジメチルアミノピリジン0.05±0.025分子当量を加えた。0±10℃で攪拌しながら、ジシクロヘキシルカルボジイミド1.1±0.5分子当量を加えた後、25±10℃で1〜48時間攪拌し反応混合物を分離精製した。
【請求項19】
請求項1〜6のいずれかに記載のチオクト酸誘導体の以下の精製方法。
請求項24で得られた反応混合物を分離後、ろ液を減圧下溶媒留去し得られた残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン重量% / 酢酸エチル重量%=10±5)で分離精製した。

【公開番号】特開2009−137927(P2009−137927A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341701(P2007−341701)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(508011382)
【出願人】(506318388)
【Fターム(参考)】