説明

チオフェン誘導体、それらの製造及び医薬物質としての使用

本発明の対象は、式Iの化合物、それらの医薬として許容される塩、エナンチオマー形態、ジアステレオマー及びラセミ酸塩、上記の化合物の調製、それらを含む薬剤及びそれらの製造、並びに癌などの疾病の抑制又は予防における上記の化合物の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のチオフェン誘導体、それらの(R)−及び(S)−エナンチオマー及びラセミ酸塩、それらの製造のための方法、それらを含む薬剤及びそれらの製造、並びに医薬活性物質としてのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
転写制御は、細胞分化、増殖、及びアポトーシスにおける主な事象である。一連の遺伝子の転写活性化は細胞の運命を決定し、この理由から転写は様々な因子により厳重に制御されている。このプロセスに関連する制御機構の1つは、DNAの4次構造における変化であり、それは転写因子の標的DNAへの接近可能性を調節することにより転写に影響を与える。ヌクレオソームの完全性は、中心のヒストンのアセチル化状態により制御される。低アセチル化状態においては、ヌクレオソームは厳重に圧縮されており、転写に対して非許容状態である。他方、ヌクレオソームは中心のヒストンのアセチル化により緩み、その結果転写に対して許容状態となる。ヒストンのアセチル化状態は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)及びヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の活性のバランスにより統合されている。最近、HDAC阻害剤がいくつかのタイプの癌細胞、例えば大腸癌、T細胞リンパ腫及び赤白血病細胞における成長及びアポトーシスを止めることが見出された。アポトーシスが癌の進行の重要な因子であるならば、アポトーシスの効果的な誘導因子としての癌の治療のための有力な試薬である(Koyama,Y.,他,Blood 96(2000)1490−1495)。
【0003】
HDAC阻害剤のいくつかの構造のクラスが同定され、Marks,P.A.,他(J.Nat.Cancer Inst.92(2000)1210−1216)において概説されている。より具体的には、WO98/55449、US5,369,108、WO01/38322、WO01/70675、WO02/22577、WO03/011851、WO03/066579、WO03/075929、WO03/076395、WO03/076400、WO03/076401、WO03/076421、WO03/076422、WO03/076430、WO03/076438、WO03/087066及びWO2004/013130は、HDAC阻害剤活性を有する、アルカノイル、アルキレニル、アルケニレニル、アリール、ヘテロアリール、ベンジル、ビアリール及びシナミルヒドロキサマートを報告する。
【0004】
しかし、向上した治療特性、例えば2〜3例を挙げると、活性の強化、毒性の減少、より優れた溶解性及び向上した薬物動態プロファイルを有する新規の化合物に対する必要性は未だ存在する。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、式Iのチオフェン誘導体、並びにそれらの(R)−及び(S)−エナンチオマー及びラセミ酸塩
【化1】

{式中、
1は、任意に1又は複数のハロゲンにより置換されたアルキルであり;
Xは、フェニレン又はヘテロアリーレンであり;
Yは、飽和炭素環基;
飽和ヘテロ環基;
ヘテロアリール基;又は
置換フェニル基である}、
並びにそれらの全ての医薬として許容される塩に関する。
【0006】
本発明の化合物は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害剤であり、従って抗増殖活性を有する。本発明の対象は、式Iの化合物及びそれらの医薬として許容される塩、ジアステレオ異性体、ラセミ酸塩、特にそれらのエナンチオマー形態、その化合物の調製、このような化合物を含む薬剤及びこのような薬剤の製造、並びに疾病、特に以下で言及する疾病及び疾患の抑制又は予防或いは対応する薬剤の製造におけるこのような化合物の使用である。
【0007】
このような化合物又は薬剤で処置することのできる腫瘍の例は、大腸癌、乳癌(進行した乳癌を含む)、肺癌(例えば、腺癌及び小さくない細胞の肺癌を含む)、進行した疾病を含む前立腺癌、膵癌、リンパ系の造血系腫瘍(例えば、急性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫)、脊髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AM1))、甲状腺小胞癌、脊髄形成異常症候群(MSD)、間充織起源の腫瘍、黒色腫、奇形癌、神経芽細胞腫、神経膠腫、皮膚の良性腫瘍(例えば、角化棘細胞腫)、腎臓癌、卵巣癌、膀胱癌、及び表皮癌である。
【0008】
本明細書中で用いる場合、「アルキル」という用語は、1〜6個、好ましくは1〜3個の炭素原子を含む飽和、直鎖又は分岐鎖炭化水素、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、t−ブチルを意味する。
【0009】
前記アルキル基が1又は複数のハロゲン原子で任意に置換される場合は、好ましくは塩素及びフッ素、特にフッ素で置換される。例は、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチルなどである。
【0010】
本明細書で用いる場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素及び臭素、好ましくはフッ素及び塩素を意味する。
【0011】
「ヘテロアリーレン」という用語は、5〜10個の環原子を有する単環又は二環式の芳香環を意味し、これはN、O又はSから独立に選択される最大で3、好ましくは1又は2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子である。このようなヘテロアリーレンは、任意に1又は2個の上記で定義したアルキル、好ましくはメチルにより置換することができる。このようなヘテロアリーレンの例は、チオフェンジイル、イソキサゾールジイル、ピロールジイル、メチルチオフェンジイル、フランジイル、イミダゾールジイル、ピリジンジイル、ピリミジンジイル、ピラジンジイル、ピリダジンジイル、トリアジンジイル、ピラゾールジイル、オキサゾールジイル、メチルイソキサゾールジイル、チアゾールジイル、イソチアゾールジイル、チアジアゾールジイル、オキサチアゾールジイル、トリアゾールジイル、ベンゾチオフェンジイル、インドールジイル、キノリンジイル、イソキノリンジイル、ベンゾフランジイルなど、好ましくはチオフェンジイル、イソキサゾールジイル、ピロールジイル、特にチオフェンジイル、又は特にイソキサゾールジイルである。
【0012】
「飽和炭素環基」という用語は、3〜7個の環原子を有する単環飽和炭化水素環を意味する。このような飽和炭素環基は、任意に1又は2個の上記で定義したアルキル、好ましくはメチルにより置換することができる。このような飽和炭素環基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、及びシクロヘプチル、好ましくはシクロペンチル又はシクロヘキシル、特にシクロヘキシルである。
【0013】
「飽和ヘテロ環基」という用語は、5〜6個の環原子を有する飽和単環式炭化水素環を意味し、これはN、O又はSから独立に選択される最大で3、好ましくは1又は2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子である。このような飽和ヘテロ環基は、任意に1〜3個、好ましくは1又は2個の上記で定義したアルキル、好ましくはメチルにより置換することができる。このような飽和ヘテロ環基の例は、ピロリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、N−メチル−ピペラジニル又はピペリジル、特にモルホリノ、N−メチル−ピペラジニル又はピペリジルである。
【0014】
「ヘテロアリール基」という用語は、5〜10個の環原子を有する単環又は二環式の芳香環を意味し、これはN、O又はSから独立に選択される最大で3、好ましくは1又は2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素原子である。このようなヘテロアリール基は、任意に1又は2個のハロゲン、−CN、−C(O)OH、−C(O)CH3、−S−CH3、−NH2、−CH2NH2、−CH2OH又はアルキル、好ましくはアルキル(ここで、アルキル及びハロゲンは上記のように定義される)により置換することができる。このようなヘテロアリール基の例は、チオフェニル、メチルチオフェニル、ピラゾリル、ジメチルイソキサゾリル、ピリジル、ベンゾチオフェニル、インドリル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニルなど、好ましくはチオフェニル、メチルチオフェニル、ピラゾリル、ジメチルイソキサゾリル、ピリジル、ベンゾチオフェニル又はインドリルである。
【0015】
「置換フェニル基」という用語は、1〜3個のアルキル、ハロゲン、−O−アルキル、−S(O)2−アルキル、−NH(アルキル)又は−N(アルキル)2により置換されたフェニルを意味する:ここで、アルキル及びハロゲンは上記のように定義され、アルキル基は1又は複数のハロゲン原子、好ましくは塩素及びフッ素、特にフッ素で任意に置換することができる。
【0016】
本発明の化合物は、それらの医薬として許容される塩の形態で存在することができる。「医薬として許容される塩」という用語は、式Iの化合物の生物学的効果及び特性を保持し、適切な非毒性有機酸、無機酸、有機塩基又は無機塩基から形成される、通常の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。酸付加塩の実例としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸由来のもの、及び有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸などに由来するものが挙げられる。塩基付加塩の実例としては、アンモニウム、カリウム、ナトリウム及び第四級アンモニウム水酸化物、例えばテトラメチルアンモニウム水酸化物が挙げられる。医薬化合物(すなわち、薬物)の化学的修飾は、化合物の改善された物理的及び化学的な安定性、吸湿性、流動性及び可溶性を獲得するための、医薬化学者(pharmaceutical chemist)に良く知られた技術である。例えば、Stahl,P.H.,and Wermuth,G.,(編者),Handbook of Pharmaceutical Salts,Verlag Helvetica Chimica Acta (VHCA),Zurich (2002)、又はBastin, R.J.,他,Organic Proc.Res.Dev.4(2000)427−435を参照のこと。
【0017】
式Iの化合物において、R1は好ましくはメチル、エチル又はトリフルオロメチル、特にメチルである。
【0018】
更なる実施態様は、Xがフェニレン又はチオフェンジイルである式Iの化合物である。
【0019】
更なる実施態様は、Xがフェニレン、チオフェンジイル又はイソキサゾールジイルである式Iの化合物である。
【0020】
更なる実施態様は、Yが置換フェニル基又はヘテロアリール基である式Iの化合物である。
【0021】
本発明の実施態様は、式Iの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Yは置換フェニル基である}。
【0022】
本発明の別の好ましい実施態様は、式Iの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Xはイソキサゾールジイルである}。
【0023】
本発明の別の実施態様は、式Iの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Xはイソキサゾールジイルであり;且つ
Yは置換フェニル基である}。
【0024】
このような化合物は、例えば:
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(3−トリフルオロメチル− フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−エチル}−アミド);及び
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(4−トリフルオロメチル− フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−エチル}−アミド)である。
【0025】
本発明の別の好ましい実施態様は、式Iaの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩、
【化2】

{式中、
1は、任意に1又は複数のハロゲンにより置換されたアルキルであり;
Xは、フェニレン又はヘテロアリーレンであり;
Yは、飽和炭素環基;
飽和ヘテロ環基;
ヘテロアリール基;又は
置換フェニル基である}、
並びにそれらの全ての医薬として許容される塩である。
【0026】
本発明の別の実施態様は、式I−aの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Yは、飽和炭素環基である}。
【0027】
このような化合物は、例えば:
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4−シクロヘキシル−フェニル)−エチル]−アミド}5−ヒドロキシアミドである。
【0028】
本発明の更に別の好ましい実施態様は、式I−aの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Yは、飽和ヘテロ環基である}。
【0029】
このような化合物は、例えば:
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−ピペリジン−1−イル−フェニル)−エチル]−アミド};及び
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);酢酸塩である。
【0030】
本発明の更に別の好ましい実施態様は、式I−aの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Yは、ヘテロアリール基である}。
【0031】
このような化合物は、例えば:
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[4−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(3−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−フェニル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[3−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[3−(3,5−ジメチル−イソキサゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[3−(1H−インドール−5−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3−ピリジン−3−イル−フェニル)−エチル]−アミド};及び
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エチル]−アミド}である。
【0032】
本発明の別の実施態様は、式I−aの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Yは、置換フェニル基である}。
【0033】
このような化合物は、例えば:
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4’−ジメチルアミノ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’,4’,5’−トリフルオロ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(2’−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(2’−メチル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(2’−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(3’−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’−メチル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4’−クロロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(2’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(2’−メチル−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4’−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(2’−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4’−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(3’−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4’−メチル−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(2’−クロロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(3’−クロロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’−メチル−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};及び
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4’−メタンスルホニル−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド}である。
【0034】
本発明の更なる実施態様は、式I−bの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
【化3】

{式中、
1は、任意に1又は複数のハロゲンにより置換されたアルキルであり;;
Yは、飽和炭素環基;
飽和ヘテロ環基;
ヘテロアリール基;又は
置換フェニル基である}、
並びにそれらの全ての医薬として許容される塩である。
【0035】
本発明の別の実施態様は、式I−bの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Yは、飽和炭素環基である}。
【0036】
本発明の別の実施態様は、式I−bの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Yは、飽和ヘテロ環基である}。
【0037】
本発明の別の実施態様は、式I−bの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Yは、ヘテロアリール基である}。
【0038】
このような化合物は、例えば:
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{ [1−(5−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(3,5−ジメチル−イソキサゾール−4−イル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(1H−インドール−5−イル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド);及び
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(5−ピリジン−3−イル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド}である。
【0039】
本発明の別の実施態様は、式I−bの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩である
{式中、
Yは、置換フェニル基である}。
【0040】
このような化合物は、例えば:
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(2−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(5−o−トリル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(5−m−トリル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(5−p−トリル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(2−クロロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(4−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(4−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(3−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(4−クロロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(3−クロロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(2−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(3−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド);及び
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(4−メタンスルホニル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド)である。
【0041】
本発明の更に別の実施態様は、式IVの化合物を
【化4】

{式中、
R2はアルキル基である};
式VIIのラセミ酸、又は鏡像異性的に純粋な(R)−又は(S)−アミンと共に
【化5】

{式中、
X、Y及びR1が、式Iに対して上記で与えられる意味を有する}
適切な活性化剤の存在下で反応させて、
式VIIIの化合物を得、
【化6】

これを、ヒドロキシルアミンを用いて処理して、式Iの各化合物を得;そして
もし必要であれば、当該化合物をそれらの医薬として許容される塩に変換することによる、式Iの化合物、特にそれらの(R)−及び(S)−エナンチオマーの製造のための方法である。
【0042】
本発明の更に別の実施態様は、式IVの化合物を
【化7】

{式中、
2は、アルキル基である};
式IIIのラセミ酸、又は鏡像異性的に純粋な(R)−又は(S)−アミンと共に
【化8】

{式中、
X及びR1は、式Iに対して上記で与えられる意味を有し、且つFgは、ハロゲン、トリフレート、−ZnCl、ボロン酸、ボロン酸ピナコールエステル及びトリアルキルスタンナン(例えば、Me3Sn、Bu3Sn)のような、クロスカップリング反応に適切な官能基を表す。(セクション(3−1)、スキーム1も参照のこと)。}
適切な活性化剤の存在下で反応させて、
式Vの化合物を得
【化9】

これを式Xの化合物と反応させ
【化10】

{式中、Yは式Iに対して上記で定義される意味を有し、且つGはハロゲン、トリフレート、−ZnCl、ボロン酸、ボロン酸ピナコールエステル及びトリアルキルスタンナン(例えば、Me3Sn、Bu3Sn)のような、クロスカップリング反応に適切な官能基を表す。(セクション(3−1)、スキーム1も参照のこと)}
その後、ヒドロキシルアミンを用いて処理して、式Iの各化合物を得;そして
もし必要であれば、当該化合物をそれらの医薬として許容される塩に変換することによる、式Iの化合物、特にそれらの(R)−及び(S)−エナンチオマーの製造のための方法である。
【0043】
式Iの本化合物、又はそれらの医薬として許容される塩は、化学的に関連する化合物の調製に適用されることが知られている任意の方法により調製することができる。式Iのチオフェン誘導体又はそれらの医薬として許容される塩を調製するのに用いる場合、このような方法は、他に断りのない限り、Y、X及びR1が上記で定義した任意の意味を有する、以下の代表的な実施例により説明する。
【0044】
必要な出発物質は、有機化学の標準的な手順により得ることができる。このような出発物質の調製は、付随の実施例において説明する。或いは、必要な出発物質は、有機化学者の通常の技術の範囲内であり、説明したものに類似した手順により得られる。
【0045】
以下のスキームIにおいて、式Iの化合物を製造するためのいくつかの方法を説明する。
【0046】
【化11】

【0047】
スキームIにおいて、R1は式Iに対するように定義され、R3はアルキル又は任意に置換されたベンジルである。Fgは、ハロゲン、トリフレート、−ZnCl、ボロン酸、ボロン酸ピナコールエステル及びトリアルキルスタンナン(例えば、Me3Sn、Bu3Sn)のような、クロスカップリング反応に適切な官能基を意味する。
【0048】
一般式VII又はIIIのいくつかのアミン(式中、Y,X及びR1は、上記に定義した意味を有し、且つFgは上記に定義した適切な官能基を表す)は、商業的に入手可能である。それらは、例えば一般式VI及びIIの対応するケトンの還元的アミノ化により調製することもできる。
【0049】
還元的アミノ化反応は、典型的にはイミンの形成と共にワンポット反応として実施し、その後同一の反応容器においてアミンへの還元を生じさせる。反応混合物は通常、アンモニア源、例えばNH4OAc及び還元剤、例えばシアノ水素化ホウ素を含み、適切な溶媒、例えばメタノール中で加熱する。
【0050】
(1−2)スキームIに示されていない一般式VIIのアミンを調製するための別の方法は、グリニャール試薬R1−MgBr又は有機リチウム化合物Li−R1(R1は上記のとおり)の一般式IXの芳香族ニトリルへの添加
【化12】

{式中、環X及びYは上記に定義したとおりである}、及びその後のイミンの還元である(Synth.Commun.1998,28(21),4067)。
【0051】
(1−3)一般式VIIのアミン(式中、X=イソキサゾールジイル、Y=置換フェニル基、且つR1=メチル)は、例えば、ジエチルシュウ酸塩との混合したクライゼン縮合、及びその後のヒドロキシアミンとイソキサゾール環を形成させるための閉環により、適切にフェニル置換されたアセトフェノンから調製することができる(Baraldi,P.G.,他,J.Heterocyclic Chem.19(1982)557−560)。5−フェニル−イソキサゾール−3−カルボン酸エチルエステルのエステルをメチルマグネシウム臭化物と反応させて、メチルケトンを形成させ(Kikkawa,l,他,Synthesis 11(1980)877)、次にセクション(1−1)に記載した還元的アミノ化にかける。
【0052】
式VII又はIIIの純粋なアミンの(R)−及び(S)−エナンチオマー(Y、X、R1及びFgは、上記に定義した意味を有する)は商業的に入手可能であり、或いは商業的に入手可能な任意に鏡像異性的に純粋な前駆体から、有機化学の標準的な手順により調製することができる。
【0053】
(1−4)式VI又はIIIのアミンのキラル中心を導入する好ましい方法は、例えば式VI又はIIの対応するアリールアルキルケトンのエナンチオ選択的な還元である。この還元は、例えば、キラルCBS(Corey,Bakshi,Shibata)試薬及びボラン−THF複合体、ボラン−ジエチルアニリン複合体又はボラン−ジメチル硫化物の混合を伴うことができる(Corey,E.J.,他,Angew.Chemie 110(1998)2092−2118)。式VI又はIIのアリールアルキルケトンのエナンチオ選択的な還元のための更に別の好ましい方法は、適切な溶媒、例えばTHF中のジイソピノカンフェニルクロロボランを用い、その後、例えばH22/NaHCO3又はジエタノールアミンを用いてワークアップ(work up)する(Brown,H.C.,他,J.Am.Chem.Soc.110(1988)1539−1546;Wiegers,A.,and Scharf,H.D.,Tetr.Asym.7(1996)2303−2312)。別の好ましい方法は、Noyori型のキラル配位子を有する遷移金属触媒の存在下で、式VI又はIIのアリールアルキルケトンの不斉触媒水素化である(Noyori,R.,他,Angew.Chem.113(2001)40−75)。次に、式VI又はIIのアリールアルキルケトンのエナンチオ選択的な還元において得られるキラルアルコールは、例えばChen,C−P.,他,Tetrahedron lett.32(1991)7175−7178に記載されているように、合成化学の標準的な手順により式VII又はIIIのアミンへ変換することができる:Mitsunobu条件下(Mitsunobu,O.,Synthesis 1(1981)1−28)における、ヒドロキシ基の窒素官能基(例えば、アジド又はフタルイミド)による置換、及びその後のアミンへの変換(例えば、アジドのトリフェニルホスフィンによる還元、又は触媒水素化(Pd/D、H2、CF3COOH)、又はフタルイミドのヒドラジン分解)。
【0054】
(1−5)式VII又はIIIのラセミアミン(Y、X、R1、Fgは上記に定義した意味を有する)は、例えば、適切なキラル鏡像異性的に純粋な酸により形成されるジアステレオマー塩の分別結晶として知られている手順により、それらのエナンチオマーに分離することができる(Smith,H.E.,他,J.Am.Chem.Soc.105(1983)1578;US4,983,771)。これらの酸は、商業的に入手可能な、例えばマンデル酸、酒石酸、乳酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、N−アセチルロイシン、ジベンゾイル酒石酸であることができ、或いはそれらは特に、1−アリールエチルアミンの分解のために設計され、例えば2−ナフチルグリコール酸(Kinbara,K.,他,J.Chem.Soc,Perkin Trans.2(2000)1339−1348)又はイソプロピルイデングリセロール3−カルボキシ−2−ナフトエートである(Pallavicini,M.,他,Tetr.Asym.12(2001)2489−2495)。
【0055】
(1−6)式VII又はIIIのラセミアミンの2つのエナンチオマーの分離のための別の好ましい方法は、酵素により触媒される分解(例えば、カンジダ・アンタークチカ(Candida Antarctica)Bからのリパーゼによる)である(Rasor,J.P.,and Voss,E.,Applied Catalysis A:Genera1 221(2001)145−195;Iglesias,1.E.,他,Tetr.Asym.8(1997)2675−2677)。
【0056】
(1−7)1−(アリール)エチルアミンの不斉調製のための別の好ましい方法は、キラルオキシムエーテルへのメチルリチウムの求核付加(Yamazaki,N.,他,Tetrahedron lett.42(2001)5029−5032)、及びその後のアミンへの変換である。
【0057】
(2−1)一般式Vの化合物(式中、Y、X、Fg及びR1は上記に定義される意味を有する)は、式IVの化合物(式中、R2は(C1〜C4)アルキル基、好ましくはメチル、エチル又はt−ブチル基であり、又は任意にベンジル基により置換される)の式IIIのアミン(式中、Fg、X及びR1は、上記に定義された意味を有する)との反応により得ることができる。この反応は典型的に、2つの段階のワンポットの手順を伴う。
【0058】
第一の段階において、式IVのカルボン酸を活性化する。この活性化反応は、活性化剤の存在下で、不活性溶媒又は希釈剤、例えばジクロロメタン、ジオキサン、又はテトラヒドロフランの中で実施する。このような活性化酸誘導体は、例えば、酸及び無機酸塩化物(例えば、塩化チオニル)の反応により形成されるハロゲン化アシル(例えば、塩化アシル);例えば酸及びクロロギ酸塩(例えば、イソブチルクロロギ酸塩)の反応により形成される混合無水物;例えば酸及びフェノール(例えば、ペンタフルオロフェノール)の反応により形成される活性エステル;酸及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾールの反応により形成される活性エステル;例えば酸及びアジド(例えば、ジフェニルホスホリルアジド)の反応により形成されるアシルアジド;例えば酸及びシアン化物(例えば、ジエチルホスホリルシアン化物)により形成されるアシルシアン化物;又は酸及びカルボジイミド(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド)の反応の生成物、又は酸及びビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホリル塩化物の反応の生成物である。この反応は、−30℃〜60℃の間、通常0℃以下で実施する。
【0059】
第二段階において、式III(式中、R1は上記に定義した意味を有する)のアミンを、活性化に用いられる温度でその溶液に加え、温度を周囲温度までゆっくりと調節する。例えばトリエチルアミン、又はジイソプロピルエチルアミンのような適切なスカベンジャー塩基を、反応混合物に加えることができる。これらの方法は、当業者に対して周知である。原則として、例えばHouben−Weyl「Methoden der organischen Chemie」(Vols.XV/1及びXV/2,Georg Thieme Verlag,Stuttgart)に記載されているペプチド化学において用いられるアミドの合成に関する全ての方法も適用可能である。
【0060】
式IVの化合物は、文献、例えば米国特許第2,680,731号及びJ.Heterocyc1.Chem.28(1991)17において記載されている。これらのモノエステルは、そのジエステルの選択的鹸化又は対応するアルデヒドの酸化により通常調製されるが、他の方法も有用であり、当業者に周知である。
【0061】
式III(及び、対応する式II)中の官能基Fgは、式IIIのアミンの式IVの化合物による反応の前に保護基を有することができ、更なる変換のためにその後遊離されなければならない。
【0062】
(2−2)セクション(2−1)との類似において、式VIII(Y、X、R1及びR2は上記で定義した意味を有する)の化合物は、式IV(R2は上記に定義した意味を有する)の化合物から、式VIIのアミンとの反応により調製することができる。この反応は、セクション(2−1)における式IVの化合物の調製に関して記載した条件下で実施することができる。
【0063】
(3−1)式VIIIの化合物の調製のための1つの方法は、式Vの化合物(X、R1、R2及びFgが上記で定義した意味を有し、且つFgは上記のクロスカップリング反応に適した官能基を表す)の反応を伴う。
【0064】
a)式VIII(Yは、置換フェニル基又はヘテロアリール基である)の化合物は、V(式中、Y、R1及びR2は、上記に定義した意味を有し、Fgは上記の適切な官能基を表す)及び一般式Xの化合物の間のパラジウムで触媒されるクロスカップリング反応により調製することができる
【化13】

{式中、環Yは上記で定義される意味を有し、Gはクロスカップリング反応に適切で、上記のFgと適合する官能基を表す}。
【0065】
このパラジウムで触媒されるクロスカップリグ反応は、例えばSuzukiタイプ(Gがボロン酸、ボロン酸ピナコールエステルなどであって且つFgがハロゲンであるか、或いはFgがボロン酸、ボロン酸ピナコールエステルなどであって且つGがハロゲンである;例えば、Miyaura,N.,他,Chem.Rev.95(1995)2457−2483;Miyaura,N.,他,Synth.Commun.11(1981)513−519を参照のこと)、Negishiタイプ(GがZnClなどであって且つFgがハロゲンであるか、或いはFgがZnClなどであって且つGがハロゲンである;例えば、Negishi,E.,他,J.Org.Chem.42(1977)1821−1823を参照のこと)、又はStilleタイプ(Gがトリアルキルスタンナン(例えば、Me3Sn、Bu3Sn)であって且つFgがハロゲン、トリフレートであるか、或いはFgがトリアルキルスタンナン(例えば、Me3Sn、Bu3Sn)であって且つGがハロゲン、トリフレートである;例えば、Sti11e,J.K.,Angew.Chem.98(1986)504を参照のこと)であることができるが、これらに限定されない。
【0066】
式V、III又はII(式中、Fgがボロン酸、ボロン酸ピナコールエステル又はトリアルキルスタンナンなどである)の中間体は、有機化学の標準的な手順により、例えば対応するハロゲン化物(Fgはハロゲンである)から得ることができる。例えば、式V、III又はII(式中、Fgはボロン酸ピナコールエステルである)の化合物は、ピナコールボラン又はビス(ピナコレート)ジボロンとのパラジウムで触媒される(例えば、PdCl2(dppf)−CH2Cl2−複合体)カップリングにより臭化物から調製することができる。例えば、式V(式中、Fgはトリアルキルスタンナンである)の化合物は、ヘキサ−アルキル二スズとのパラジウムで触媒される(例えば、PdCl2(MeCN)2−複合体)カップリングにより臭化物から調製することができる。
【0067】
b)式VIII(式中、Yは飽和ヘテロ環アミン又はN含有ヘテロアリール基である)の化合物は、式Vの化合物及び式XIの化合物の間の、パラジウムで触媒されるクロスカップリング反応により調製することができる
【化14】

{式中、H原子は環YのN原子と結合する}。
【0068】
この反応は、例えばBuchwald−Hartwigタイプ及び関連する反応であることができるが、これに限定されない(Fgはヨウ化物、臭化物、トリフレート又は塩化物である;例えば、Kwong,F.Y.,他,Org.lett.4(2002)581−584;louie, J.,他,J.Org.Chem.62(1997)1268−1273;Wolfe,J.P.,他,J.Am.Chem.Soc.119(1997)6054−6058;Yin,J.,他,Org.lett.4(2002)3481−3484;Mann,G.,他,J.Am.Chem.Soc.120(1998)827−828を参照のこと)。
【0069】
別の好ましい方法は、式Xの化合物及び式Vのアリールボロン酸(式中、FgはB(OH)2である)の間の、パラジウムで触媒されるクロスカップリング反応である(例えば、Chan,D.M.T.,他,Tetrahedron lett.39(1998)2933−2936;lam,P.Y.S.,他,Tetrahedron lett.39(1998)2941−2944を参照のこと)。
【0070】
(4−1)式Iの化合物の生成のための1つの方法は、適切な塩基の存在下での、式VIII(式中、Y、X及びR1は上記で定義した意味を有し、且つR2は(C1〜C4)アルキル基、好ましくはメチル、エチル又はt−ブチル基或いは任意に置換されたベンジル基である)の化合物のヒドロキシルアミンとの反応に関連する。この反応は、不活性溶媒又は希釈剤、例えばメタノール又はエタノール中で、0℃〜100℃の温度、通常は周囲温度又は周囲温度付近で、10〜12のpHにおいて実施する。適切な塩基は、例えばアルコラート、例えばナトリウムメチラートである。ヒドロキシルアミンをそのまま発生させる代わりに、それは別々に放出させることができ、有機溶媒中の溶液、例えばメタノール又はエタノールのようなアルコールとして適用することができる。
【0071】
(4−2)式Iの化合物の調製のための別の方法は、式XIIのカルボン酸を経由した反応順序である
【化15】

{式中、Y、X及びR1は上記で定義した意味を有する}。
【0072】
式XIIのこれらの中間体は、式VIIIの化合物から加水分解により調製することができる。加水分解を実施する条件は、基R2の性質に依存する。R2がメチル又はエチル基である場合、この反応は、塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムの存在下で、不活性溶媒又は希釈剤、例えばメタノール又はエタノール中で実施する。R2がtert−ブチル基である場合、この反応は、酸、例えば塩酸の存在下で、不活性溶媒、例えばジエチルエーテル又はジオキサン、或いはジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸中で実施する。R2がベンジル基である場合、この反応は、優れた金属触媒、例えばパラジウム又は白金の存在下における、適切な担体、例えば活性化炭素上での水素添加分解により実施する。加水分解の全ての方法がY、X又はR1の全ての基と適合することは必要ではない。これらの基の特徴が加水分解の特定の方法の使用を可能にしない場合、調製の他の方法を適用する必要がある。
【0073】
式XIIの酸のヒドロキシルアミンとのその後の反応は、式Iの化合物を生成する。この反応は典型的には、2段階のワンポット手順を伴う。
【0074】
第一段階において、式XIIのカルボン酸を活性化する。この活性化反応は、不活性溶媒又は希釈剤、例えばジクロロメタン、ジオキサン、又はテトラヒドロフラン中で、活性化剤の存在下において実施する。このような活性化酸誘導体は、例えば、酸及び無機酸塩化物(例えば、塩化チオニル)の反応により形成されるハロゲン化アシル(例えば、塩化アシル);例えば酸及びクロロギ酸塩(例えば、イソブチルクロロギ酸塩)の反応により形成される混合無水物;例えば酸及びフェノール(例えば、ペンタフルオロフェノール)の反応により形成される活性エステル;酸及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾールの反応により形成される活性エステル;例えば酸及びアジド(例えば、ジフェニルホスホリルアジド)の反応により形成されるアシルアジド;例えば酸及びシアン化物(例えば、ジエチルホスホリルシアン化物)により形成されるアシルシアン化物;又は酸及びカルボジイミド(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド)の反応の生成物、又は酸及びビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホリル塩化物の反応の生成物である。この反応は、−30℃〜60℃の間、通常0℃以下で実施する。
【0075】
第二段階において、ヒドロキシルアミンを、活性化に用いられる温度でその溶液に加え、温度を周囲温度までゆっくりと調節する。これらの方法は、当業者に対して周知である。原則として、例えばHouben−Weyl「Methoden der organischen Chemie」(Vols.XV/1及びXV/2,Georg Thieme Verlag,Stuttgart)に記載されているペプチド化学において用いられるアミドの合成に関する全ての方法も適用可能である。
【0076】
式XIIの化合物は、新規であり本発明の対象でもある。
【0077】
以下において、化合物Iの調製のための以下の更なる方法(スキームIに明確に示されていない)を説明する。
【0078】
式Iの化合物の調製のための1つの代わりの経路は、式Iの化合物のヒドロキサム酸部分に対するO−保護基Qの導入、及び式Iの化合物の遊離させる最終的な反応段階における脱保護である。
【0079】
適切なO−保護基Qは、ベンジル−、p−メトキシベンジル−、tert−ブチルオキシカルボニル−、トリチル−、又はシリル基、例えばトリメチルシリル−又はジメチル−tert−ブチルシリル基であることができる。
【0080】
これらの保護基を中間体V又はVIIIに導入するために、セクション(4−2)において記載される類似の反応経路を選択することができる。第一段階は、対応するカルボン酸への加水分解であり、これは活性化され、そしてQ−O−NH2と反応して所望のO−保護ヒドロキサマートを得る。
【0081】
実施する最終的な脱保護反応は、保護基のタイプに依存する。保護基がベンジル−又はp−メトキシベンジル基である場合、実施する反応は、不活性溶媒、例えばメタノール又はエタノールのようなアルコール中での、優れた金属触媒、例えばパラジウムの存在下における、適切な担体、例えば炭素、硫酸バリウム、又は炭酸バリウム上での、周囲温度及び気圧における加水分解である。保護基がtert−ブチルオキシカルボニル−、トリチル−、又はシリル基、例えばトリメチルシリル−又はジメチル−tert−ブチルシリル基である場合、この反応は、酸の存在下で、−20℃〜60℃、好ましくは0℃〜周囲温度で実施する。酸は、不活性溶媒、例えばジエチルエーテル又はジオキサン中の塩酸、或いはジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸であることができる。保護基がシリル基、例えばトリメチルシリル又はジメチル−tert−ブチルシリル基である場合、この反応は、フッ化物源、例えばフッ化ナトリウム又はテトラブチルアンモニウムフッ化物の存在下で、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中で実施することもできる。全ての保護基QはY、X及びR1の全ての基と適合することは必要ではない。これらの基の特徴が特定の方法の使用を可能にしない場合、他の保護基Q又は調製の他の方法を適用する必要がある。
【0082】
式Iの化合物は、固相支持合成の方法により調製することもできる。2,5−チオフェンジカルボン酸を樹脂(例えばヒドロキシルアミンWang樹脂又はヒドロキシルアミン2−クロロトリチル樹脂)に結合したヒドロキシルアミン部分(−O−NH2)と反応させて、樹脂に結合したヒドロキサム酸を形成させる。第二のカルボン酸部分は、例えばHouben−Weyl,「Methoden der organischen Chemie」,Vols.XV/1及びXV/2に記載のアミド結合形成の標準的な方法により、式VII又はIII(式中、Y、X及びR1は上記で定義した意味を有し、Fgは上記の適切な官能基を表す)と反応させる。任意に、本官能基Fgは、一般式X(式中、環Yは上記の意味を有し、Gは上記の適切な官能基を表す)の化合物と反応させる。これはセクション(3−1)に記載した通りに実施することができる。
【0083】
この後に、ヒドロキサム酸を固体支持体から遊離させる。これは、例えばTFAを用いて行うことができる。典型的には、ヒドロキサム酸の開裂は、ジクロロメタン中の50%のTFAを用いた、トリイソプロピルシランの存在下での、周囲温度における樹脂の処理により達成することができる。粗生成物は、もし必要であればLC−MSにより精製することができる。
【0084】
式Iの純粋な(R)−及び(S)−エナンチオマーの生成のための方法は、セクション(1−4)〜(1−7)における上記の式Iの化合物の合成内の、式VII又はIIIの鏡像異性的に純粋なアミンの使用を含む。
【0085】
式Iの化合物の純粋な(R)−及び(S)−エナンチオマーの調製のための更に別の方法は、方法(1−1)〜(4−2)のラセミ化合物の合成である。ラセミ酸塩は、その後、最終生成物又は式VIIIの前駆体のいずれかの段階で、両方のエナンチオマーに分離することができる。この分離は、適切な溶離剤による、光学活性固定相を用いた分析的、半分取(semipreparative)又は分取規模のクロマトグラフィーによって実施することができる。適切は光学活性固定相としては、シリカ(例えば、ChiraSper,Merck;Chira1pak OT/OP,Baker)、セルロース又はアミロースエステル又はカルバメート(例えば、Chira1pak AD,Daice1 Chemical Industries Ltd.;Chiracel OD−CSP,Daicel;Chiracel OB/OY,Baker)又は他のもの(例えば、Crownpak,Daice1又はChirace1 OJ−R,Baker)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な溶離剤としては、ヘキサン、ヘプタン、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、水及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。エナンチオマーの分離のための他の方法も適用することができる。例えば、他の光学活性化合物、例えばカンファースルホン酸又はブルシンと共に式Iの化合物からのジアステレオマー化合物の形成、及びこれらのジアステレオマー化合物の分離、その後の光学活性剤の遊離である。
【0086】
本発明の対象は、医薬として許容される賦形剤及び/又は希釈剤との混合における、医薬として有効な量の、1又は複数の鏡像異性的に純粋な式Iの化合物を含む医薬組成物である。
【0087】
本発明の更なる側面に従って、医薬として許容されるアジュバントと共に、活性成分として1又は複数の鏡像異性的に純粋な式Iの化合物を含む薬剤を提供する。このような薬剤又は医薬組成物は、経口投与の場合は、例えば錠剤、コート錠、糖衣錠、カプセル、溶液、乳液又は懸濁液として;非経口注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、血管内又は注入)の場合は、滅菌溶液、懸濁液又は乳液として;局所的投与の場合は軟膏又はクリームとして、或いは直腸投与の場合は坐剤として、適切な形態であることができる。これらの医薬調製物は、医薬として不活性な無機又は有機担体と共に、本発明に従って化合物を処理することにより得ることができる。ラクトース、トウモロコシデンプン又はそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などは、例えば錠剤、コート錠、糖衣錠及び硬カプセルのための担体として用いることができる。軟カプセルのための適切な担体は、例えば植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどである。しかし、活性物質の性質に依存して、軟カプセルの場合は通常担体は必要とされない。溶液及びシロップの生成のための適切な担体は、例えば水、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤のための適切な担体は、例えば天然又は硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオールなどである。
【0088】
医薬調製物は、更に防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、顔料、香味剤(f1avorant)、浸透圧を変えるための塩類、バッファー、マスキング剤又は酸化防止剤を含むことができる。それらは更に、治療上価値のある物質も含むことができる。
【0089】
医薬組成物は以下のものを含んで成ることができる:
【表1】

【0090】
手順:
1.項目1、2及び3を適切なミキサー中で15分間混合する。
2.段階1からの混合粉体を20%のポビドンK30溶液(項目4)を用いて粒状にする。
3.段階2からの造粒物を50℃で乾燥させる。
4.段階3からの造粒物を適切な製粉器具に通す。
5.製粉した段階4の造粒物に項目5を加え、3分間混合する。
6.段階5からの造粒物を適切なプレス機上で圧縮する。
【0091】
別の医薬調製物は、例えば式Iの化合物のマイクロ−懸濁液である。当該マイクロ−懸濁液を得るために、以下の器具を用いた:
【0092】
一回の注射あたり7.5%の修飾ゼラチンXF20(Braun)の水溶液(溶解し、0.45μmのポアサイズ(pore size)でろ過し、オートクレーブする)、フィルター(特注、メッシュサイズ100μm)、フィルターホルダー、連結器、0.25mmの直径を有する洗浄したガラスビーズ、及び加熱滅菌したRetsch製粉機。
【0093】
典型的なバッチの調製のために、6244mgの式Iの化合物を、30gのガラスビーズと共に、2つの50mlのボトルフラスコに量り入れ、ヘラを用いて分散させ、ボルテックスした。ボトルをボルテックスし、遮光のためにアルミホイルでふたをして覆った。内容物をRetsch製粉機において30/sで14時間製粉した。次に、6回の洗浄段階を含む、マイクロ−懸濁液を400gでの2分間の遠心分離により、受容バイアルに連結したフィルターホルダー上のフィルター(100μm)の2つの層を用いてビーズから抽出し、130mlの最終体積を得た。
【0094】
均質化後に、含有量が45.7mg/ml(95%の収率に対応する)であることをHPLCにより決定した。マイクロ−懸濁液を18.6mlで希釈し、40mg/mlの最終濃度を得た。得られた球状の顆粒のような粒子は、顕微鏡検法により測定した場合1〜5μmを示す。保存のために、マイクロ−懸濁液を滅菌バイアルに満たし、ふた及びラベルをし、−20℃で保持した。使用の前に、マイクロ−懸濁液はボルテックスにより激しく均質化しなければならない。
【0095】
チオフェン誘導体は通常、温血動物に対して、その動物の体面積1平方メートルあたり5〜5000mgの範囲内において(すなわち、約0.1〜100mg/kg)、単位用量で投与し、これは通常治療上効果的な用量を提供する。単位用量、例えば錠剤又はカプセルは、例えば1〜250mgの活性成分を含むだろう。好ましくは、1〜100mg/kgの範囲の日用量を用いる。しかし、日用量は必然的に、処理する宿主、投与の特定の経路、及び処理する疾病の重症度に依存して変化するだろう。従って、最適な用量は、任意の特定の患者を処置する医師により決定され得る。
【0096】
薬理活性
本発明の化合物の活性を示すために、それらのヒト結腸癌細胞株への効果を、標準的なMTT−試験を用いて評価した。MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物)は、細胞毒性効果又はインビトロでの腫瘍細胞の化学的感受性の定量的測定に広く用いられている。この試験は、代謝活性細胞による、黄色のテトラゾリウム塩(MTT)の紫色のホルマザン結晶への開裂に基づいている。詳細については、Rubinstein,L.V.,他,J.Natl.Cancer Inst 82(1990)1113−1118を参照のこと。
【0097】
私たちは以下の通りに進行した:HT−29細胞(ヒト結腸癌細胞株、ATCC−No.HTB−38)を、GlutaMAX(登録商標)I(Invitrogen,Cat−No.61870−010)、2.5%のウシ胎仔血清(FCS、Sigma Cat−No.F4135(FBS))、2mMのグルタミン、100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン(=InvitrogenからのPen/Strep Cat.No.15140)を含むRPMI1640培地中で培養した。試験のために、細胞を、384ウエルプレートにおいて、同一の培地中に播いた(1ウエルあたり900個の細胞)。次の日に、化合物(DMSO中に10mMで溶解)を30μM〜1.5nMの範囲の様々な濃度で加えた。5日後に、主に製造者の指示に従ってMTT試験を実施した(細胞増殖キットI、MTT、Roche Molecu1ar Biochemicals)。簡潔には:MTT標識試薬を0.5mg/mlの最終濃度まで添加し、37℃、5%CO2において4時間インキュベートした。このインキュベーション時間の間に、紫色のホルマザン結晶が形成した。可溶化溶液(0.02MのHCl中における20%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS))の添加後、プレートを37℃、5%CO2において一晩インキュベートした。注意深く混合した後、プレートを550nmでVictor2(スキャニングマルチウエル(scanning multiwe11)分光光度計、Wallac)において測定した。
【0098】
生きた細胞の数の減少は、試料中の全代謝活性における減少をもたらす。この減少は、紫色のホルマザン結晶の可溶化による紫色の量に直接関連する。IC90の決定は、XL−fit(XLfitソフトウエア(ID Business So1ution Ltd.,Gui1ford,Surrey,UK))を用いて実施した。
【0099】
対照化合物は以下の構造を有する:
【化16】

【0100】
【表2】

【0101】
HDAC阻害剤としての本発明の化合物の活性を更に実証するために、以下の生化学的クエンチング試験を用いて、ヒストンデアセチラーゼ阻害におけるそれらの影響を評価した。
【0102】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の機能は、例えばヒストンH4におけるリジンの脱アセチル化である。ヒストンH4由来の17アミノ酸のペプチドを、C−末端においてはテトラメチルローダミン(TAMRA、蛍光プローブ、Invitrogen)、N−末端においてはQSY−7(登録商標)(クエンチャー色素、Invitrogen)で標識し、そして基質として用いた(TAMRA−ヒストンH4の最初の17aa−QSY7)。HDACによる脱アセチル化後、酵素LysCはリジンの後のペプチドを開裂することができる。これは、クエンチ効果の喪失及び高い蛍光シグナルをもたらす。LysCは基質を開裂することができず、クエンチ効果が持続するので、化合物によるHDACの阻害は低いシグナルをもたらす。
【0103】
用量反応曲線のために、10の濃度を30μMから1:3に希釈した。10μlの化合物希釈物を384ウエルプレートの各ウエルに入れた。10μlのHDACを加えた(HEK293細胞から精製した組み換えHDAC−1(アデノウイルス5フラグメントにより形質転換したヒト胎児腎臓細胞株、ATCC−No.CR11573);酵素活性は各調製物に関して評価すべきである)。10μlのペプチド異質を加えた(試験バッファー中で1:1000に希釈した1mMのストック溶液から得た、1μMの最終濃度)。室温における90分のインキュベーションの後に、3μg/mlのLysCおよび0.075%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む20μlの試験バッファーの添加により反応を止めた。一晩インキュベーションした後、TAMRAの蛍光シグナルを測定した(WallacからのVictor2、吸収544nm、放射590nm)。DMSO(ジメチルスルホキシド)で処理したコントロールウエルのO.D.を100%とし、化合物で処理したウエルの阻害(%)を100%に関して計算した。10の濃度に基づいて、XLfit3(XLfitソフトウエア(ID Business So1ution Ltd.,Gui1ford,Surrey,UK))を用いることによりIC50曲線を作成した。
【0104】
用いた試験バッファー:10mMの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)pH8、10mMのNaCl、10%のグリセロール、0.005%のTritonX100(登録商標)、0.1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.1mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の混合物。用いたプレート:384ウエルプレート(black,Greiner,781077)。
【0105】
対照化合物は以下の構造を有する。
【化17】

【0106】
【表3】

【0107】
本発明の実施態様は、腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘導による腫瘍細胞増殖の阻害のための上記で定義した薬剤である。
【0108】
本発明の実施態様は、造血系及びリンパ系の腫瘍の処置のための上記で定義した薬剤である。
【0109】
本発明の更に別の実施態様は、癌の処置のための上記で定義した薬剤である。
【0110】
本発明の更に別の実施態様は、結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、直腸癌、胃癌、膀胱癌、膵臓癌又は卵巣癌の処置のための上記で定義した薬剤である。
【0111】
本発明の更に別の実施態様は、腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘導による腫瘍細胞増殖の阻害のための薬剤の製造のための、1又は複数の式Iの鏡像異性的に純粋な化合物の使用である。
【0112】
本発明の更に別の実施態様は、癌の処置のための薬剤の製造のための、1又は複数の式Iの鏡像異性的に純粋な化合物の使用である。
【0113】
本発明の更に別の実施態様は、結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、直腸癌、胃癌、膀胱癌、膵臓癌又は卵巣癌の処置のための薬剤の製造のための、1又は複数の式Iの鏡像異性的に純粋な化合物の使用である。
【0114】
本発明の更に別の実施態様は、造血系及びリンパ系の腫瘍の処置のための薬剤の製造のための、1又は複数の式Iの鏡像異性的に純粋な化合物の使用である。
【0115】
本発明の更に別の実施態様は、有効量の1又は複数の式Iの鏡像異性的に純粋な化合物を腫瘍細胞に投与することによって、腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘導により腫瘍細胞増殖を阻害するための方法である。本発明のこの側面の更なる特徴により、このような処置が必要な温血動物、例えばヒトにおける抗増殖効果を生み出すための方法であって、有効量の上記で定義した鏡像異性的に純粋なチオフェン誘導体を当該動物に投与することを含んで成る方法を提供する。
【0116】
従って、本発明の更に別の実施態様は、腫瘍が結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、直腸癌、胃癌、膀胱癌、膵臓癌又は卵巣癌である上記の補正である。
【0117】
本発明のより好ましい側面により、治療によりヒト又は動物の体を処置する方法における使用のための、上記で定義した式Iの鏡像異性的に純粋な化合物を提供する。本発明の当該化合物がヒストン脱アセチル化酵素阻害活性から生じたと考えられる抗増殖特性を有することを私たちは見出した。従って、本発明の化合物は、悪性細胞の増殖を処置するための方法を提供する。従って、本発明の鏡像異性的に純粋な化合物は、抗増殖効果による癌の処置、特に乳房、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、膀胱、膵臓及び卵巣の癌の処置において有用であることが予想される。更に、本発明の誘導体が、肝臓、前立腺及び膵臓などの組織における、白血病、リンパ性悪性疾患及び固形腫瘍、例えば癌腫及び肉腫の範囲に対して活性を有するだろうことが予想される。
【0118】
上記で定義した抗細胞増殖処置は単独の治療として適用することができ、或いは本発明のチオフェン誘導体に加えて、1又は複数の他の抗腫瘍物質を伴うことができる。他の抗腫瘍物質は、例えば有糸分裂阻害剤、例えばビンブラスチン;アルキル化剤、例えばシスプラチン、カルボプラチン及びシクロホスファミド;微小管重合の阻害剤、例えばパクリタキセル又は他のタキサン;代謝拮抗物質、例えば5−フルオロウラシル、カペシタビン、シトシンアラビノシド及び水酸化尿素、又は例えば、挿入抗生物質、例えばアドリアマイシン及びブレオマイシン;免疫賦活剤、例えばトラスツマブ;DNA合成阻害剤、例えばジェムシタビン;酵素、例えばアスパラギナーゼ;トポイソメラーゼ阻害剤、例えばエトポシド;生物反応修飾物質、例えばインターフェロン;並びに、抗ホルモン、例えばタモキシフェンなどの抗エストロゲン又は例えば(4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)−プロピオンアニリドなどの抗アンドロゲン、或いは他の治療剤、及び例えばCancer:Principles&Practice of Oncology,Vincent T.DeVita,Jr.,SamuelHellmann,Steven A.Rosenberg;5th ed.,lippincott−Raven Publishers,1997に記載されている原則から選択されるものである。このような共同処置は、処置の各成分の同時的、順次的又は別の投与により達成することができる。本発明のこの側面に従って、癌の共同処置のための、上記で定義した式Iのチオフェン誘導体及び上記で定義した追加の抗腫瘍物質を含んで成る医薬生成物を提供する。
【0119】
以下の実施例及び引用文献は、本発明(添付した特許請求の範囲に記載した真の範囲)の理解を助けるために提供される。本発明の精神から逸脱することなく記載した手順において変更を行うことが可能であることが理解される。
【実施例】
【0120】
実施例1
段階1:(R)−5−[1−(4−ブロモ−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
450mlのジクロロエタン中の18.64g(0.100mol)のチオフェン−2,5−ジカルボン酸モノメチルエステルの溶液に、28.76g(0.150mol)のN’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩、22.96g(0.150mol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物及び15.21g(0.150mol)のトリエチルアミンを加えた。室温で30分後に、20.00g(0.100mol)のR−(+)−1−(4−ブロモ−フェニル)−エチルアミンを加えた。この反応混合物を5時間撹拌し、次に飽和水性NaHCO3溶液及び水を用いて抽出した。有機相をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣をジイソプロピルエーテル及びn−ヘプタンと共に粉砕し、30.29g(0.082mol)の(R)−5−[1−(4−ブロモ−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得た。
【0121】
段階2:(R)−5−[1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
45mlの乾燥ジメトキシエタン中の0.462g(0.0004mol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)に、(R)−5−[1−(4−ブロモ−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを加え、窒素雰囲気下において室温で10分間撹拌した。20mlのエタノール中の3.65g(0.0285mol)のチオフェン−2−ボロン酸及び14.3ml(0.0286mol)の2MのCs2CO3の水溶液を加え、その混合物を75〜80℃まで3時間加熱した。1.25時間後に、別の0.5当量のチオフェン−2−ボロン酸及びCs2CO3を、この混合物に加えた。この温かい反応混合物をろ過し、固体を酢酸エチルで洗い、そしてろ液の溶媒を蒸発させた。残渣をジクロロメタン中に溶解し、水で洗い、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして溶媒を取り除いた。粗生成物をn−ブタノール/n−ヘプタン 1:2から再結晶し、減圧下で乾燥させ、2.52g(0.00678mol)の(R)−5−[1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得た。
【0122】
表題の化合物は、実施例2、段階3に記載のもとの類似の方法(マイクロ波−補助反応)においても調製した。
【0123】
段階3:(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチル]−アミド}(化合物1−1)
100mlのジクロロメタン及び35mlのメタノール中の2.52g(0.00678mol)の(R)−5−[1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルの溶液に、メタノール中の34.1ml(0.0682mol)の2Mのヒドロキシルアミンの溶液、及び10mlのメタノール中の0.430g(0.00766mol)の水酸化カリウムを加えた。室温(rt)で3時間後に、この反応混合物をろ過紙、固体をメタノールで洗った。ろ液をドライアイスで処理して、pH値をほぼ中性まで下げた。15分間撹拌を継続し、形成した沈殿をろ過した。この固体をメタノールで洗い、混合した有機ろ液の溶媒を蒸発させた。残渣を、分取逆相クロマトグラフィーにより精製した。次に、生成物をトルエンとの粉砕により更に精製し、ジイソプロピルエーテルを用いて洗い、1.75g(0.0047mol)の(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチル]−アミド}(化合物1−1)を得た。計算したMW 372.47、見出されたMW(M+H) 372.9;1H−NMR(400MHz,d6−DMSO):δ=11.35(bs,1H),9.21(bs,1H),8.95(d,1H),7.83(m,1H),7.62(m,2H),7.57(m,1H),7.52(m,1H),7.46(m,1H),7.41(m,2H),7.12(m,1H),5.12(m,1H),1.49(d,3H)。
【0124】
適切な出発物質を用いて実施例1と同様に、以下の化合物を調製した:
【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

【0127】
【表6】

【0128】
実施例2
段階1:1−(3−ブロモ−フェニル)−エチルアミン
50mlのメタノール中の4.97g(0.0249mol)の1−(3−ブロモ−フェニル)−エタノン及び分子ふるいの混合物に、23g(0.298mol)の酢酸アンモニウム及び1.75g(0.0265mol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを加え、反応混合物を50℃で2d(HPLCコントロール)撹拌した。室温まで冷却した後、分子ふるいをろ過し、メタノールで洗った。混ぜ合わせたろ液の溶媒を蒸発させ、酢酸エチル及び水を残渣に加えた。撹拌しながら、この混合物を6Nの水性HCl溶液で酸性化した。水相を分離し、有機相を1Nの水性HCl溶液で2回抽出した。混ぜ合わせた水相に酢酸エチルを加え混合物を6NのNaOHで塩基性化した。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで更に2回抽出した。有機混合有機相をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、2.96g(0.0148mol)の1:1−(3−ブロモ−フェニル)−エチルアミンを得た。
【0129】
段階2:5−[1−(3−ブロモ−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸 メチルエステル
表題の化合物は、1−(3−ブロモ−フェニル)−エチルアミン及びチオフェン−2,5−ジカルボン酸モノメチルエステルから実施例1、段階1に記載したものと類似の方法において調製した。
【0130】
段階3:5−[1−(3−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
表題の化合物は、2つの異なる方法において調製した:実施例1、段階2に記載したものと類似の方法;以下に記載するマイクロ波−補助反応:
【0131】
2mlの乾燥ジエトキシエタン中の10.0mg(0.0086mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)の懸濁液に、100mg(0.272mmol)の5−[1−(3−ブロモ−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを加え、窒素雰囲気下において室温で10分間撹拌した。0.5mlのエタノール中の52.5mg(0.410mmol)のチオフェン−2−ボロン酸及び285μl(0.570mmol)の2MのNa2CO3の水溶液を加え、その混合物を電子レンジ(Emrys Optimizer)の中で100℃において25分間加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物をろ過し、その固体をエタノールで洗った。混ぜ合わせたろ液の溶媒を蒸発させた。残渣を酢酸エチル中に溶解し、塩水で洗った。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、そして残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘプタン 1:2)にかけて、81mg(0.218mmol)の5−[1−(3−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得た。
【0132】
段階4:チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{ [1−(3−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチル]−アミド}(化合物2−1)
表題の化合物は、5−[1−(3−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルから、実施例1、段階3において記載したものと類似の方法において調製した。化合物2−1:計算したMW 372.46、見出されたMW(M−H) 371.0;1H−NMR(400MHz,d6−DMSO):6=11.34(bs,1H),9.22(bs,1H),8.99(d,1H),7.84(m,1H),7.64(m,1H),7.61−7.46(m,4H),7.43−7.27(m,2H),7.14(m,1H),5.15(m,1H),1.51(d,3H)
【0133】
適切な出発物質を用いて実施例2−1と同様に、以下の化合物を調製した:
【0134】
【表7】

【0135】
【表8】

【0136】
【表9】

【0137】
【表10】

【0138】
【表11】

【0139】
【表12】

【0140】
【表13】

【0141】
実施例3
段階1:1−(5−ブロモ−チオフェン−2−イル)−エチルアミン
表題の化合物は、1−(5−ブロモ−チオフェン−2−イル)−エタノンから、実施例2、段階1に記載したものと類似の方法において調製した。
【0142】
段階2:5−[1−(5−ブロモ−チオフェン−2−イル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
表題の化合物は、1−(5−ブロモ−チオフェン−2−イル)−エチルアミン及びチオフェン−2,5−ジカルボン酸モノメチルエステルから、実施例1、段階1に記載したものと類似の方法において調製した。
【0143】
段階3:5−{1−[5−(2−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチルカルバモイル}−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
表題の化合物は、5−[1−(5−ブロモ−チオフェン−2−イル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル及び2−メトキシ−ベンゼン−ボロン酸から、実施例2、段階3に記載したものと類似の方法において調製した。
【0144】
段階4:チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(2−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド)(化合物3−1)
表題の化合物は、5−{1−[5−(2−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチルカルバモイル}−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルから、実施例1、段階3に記載したものと類似の方法において調製した。化合物3−1:計算したMW 402,49、見出されたMW(M+Na) 425.12;1H−NMR(400MHz,d6−DMSO):δ=11.36(bs,1H),9.24(bs,1H),9.08(d,1H),7.80(m,1H),7.65(m,1H),7.57(m,1H),7.41(m,1H),7.27(m,1H),7.12(m,1H),7.02−6.95(m,2H),5.38(m,1H),3.87(s,3H),1.60(d,3H)。
【0145】
適切な出発物質を用いて実施例3−1と同様に、以下の化合物を調製した:
【0146】
【表14】

【0147】
【表15】

【0148】
【表16】

【0149】
【表17】

【0150】
【表18】

【0151】
【表19】

【0152】
【表20】

【0153】
実施例4
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチル]−アミド}(化合物4−1)を、2つの異なる方法において調製した。
【0154】
実施例4a:鏡像異性的に純粋な、モルホリンとの(R)−5−[1−(4−ブロモ−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルのBuchwald−Hartwigカップリングによる
【0155】
実施例4b:商業的に入手可能な1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エタノンの還元的アミノ化及びキラルHPLCによるエナンチオマーの分離による
【0156】
実施例4a
段階1:(R)−5−[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
1mlの乾燥トルエン中の1.0mg(0.0045mmol)の酢酸パラジウム(II)、4.06mg(0.0065mmol)の2,2’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)及び125mg(0.384mmol)の炭酸セシウムの懸濁液に、100mg(0.272mmol)の(R)−5−[1−(4−ブロモ−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(実施例1、段階1を参照のこと)及び30.0mg(0.344mmol)のモルホリンをアルゴン雰囲気下で加えた。この混合物を、電子レンジ(Emrys Optimizer)中において160℃で15分間加熱した。室温まで冷却した後、反応混合物をろ過し、その固体をトルエンで洗った。混ぜ合わせたろ液の溶媒を蒸発させ、粗生成物を分取HPLCにより精製して、7.9mg(0.021mmol)の(R)−5−[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを得た。
【0157】
段階2:(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチル]−アミド}(化合物4−1)
表題の化合物は、(R)−5−[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルから、実施例1、段階3に記載したものと類似の方法において調製した。化合物4−1:計算したMW 375.45、見出されたMW(M+H) 376.0;1H−NMR(400MHz,d6−DMSO):δ=11.33(bs,1H),9.22(bs,1H),8.82(d,1H),7.80(m,1H),7.55(m,1H),7.23(m,2H),6.90(m,2H),5.04(m,1H),3.72(m,4H),3.05(m,4H),1.44(d,3H)。
【0158】
実施例4b
段階1:1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチルアミン
Goddard,C.J.,他,J.Heterocycl.Chem.28(1991)17
【0159】
段階2:5−「1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
表題の化合物は、1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチルアミン及びチオフェン−2,5−ジカルボン酸モノメチルエステルから、実施例1、段階1に記載したものと類似の方法において調製した。
【0160】
段階3:(R)−5−[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
ラセミ(R)−5−[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチルカルバモイル]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルを、Chira1pak ADカラム(Daice1 Chemica1 Industries Ltd.)を用いてキラルHPLCにより両方のエナンチオマーを分離した(溶離剤 ヘキサン/エタノール 80:20)。
【0161】
段階4:(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチル]−アミド}
表題の化合物は、実施例4a、段階2と同様に調製した。
【0162】
適切な出発物質を用いて実施例4−1と同様に、以下の化合物を調製した:
【0163】
【表21】

【0164】
【表22】

【0165】
実施例5
段階1:3−オキソ−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル
1.96g(0.0275mol)のナトリウムエトキシド及び22mlのエタノールの混合物を室温で20分間撹拌し、その後氷浴で冷却した。3.65g(0.025mol)のシュウ酸ジエチル、次いで4.7g(0.025mol)の1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−エタノンをゆっくりと加えた。この混合物を0〜5℃で30分間撹拌し、その後室温まで温めて、追加の25mlのエタノールを加えた。室温で1日後、溶媒を蒸発させた。水及びジエチルエーテルを残渣に加えた。有機相を分離し、水相をジエチルエーテルでもう一度抽出した。水相を2MのHClでpH2まで酸性化し、ジエチルエーテルで3回抽出した。混ぜ合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、残渣をペトロール(petro1)エーテルと共に粉砕して、5.35g(0.0185mol)の3−オキソ−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸エチルエステルを得た。
【0166】
段階2:5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−カルボン酸エチルエステル
45mlのエタノール中の5.35g(0.185mol)の3−オキソ−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル及び3.87g(0.056mol)ヒドロキシルアミン塩酸塩の混合物を、還流下で2時間加熱した。室温まで冷却しながら、沈殿した白色の固体をろ過した。ろ液を減圧して濃縮し、50mlの水で希釈し、そしてジエチルエーテルで3回抽出した。混ぜ合わせたエーテルを含む抽出物を塩類及び1Nの水性NaOHで洗い、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、トルエンを残渣に加えた。不溶性固体をろ過し、トルエンで洗い、そして混ぜ合わせたろ液の溶媒を蒸発させて、2.06g(0.00723mol)の5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−カルボン酸エチルエステルを得た。
【0167】
段階3:1−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−エタノン
10mlのトルエン中の4.6ml(0.014mol)のヨウ化メチルマグネシウム溶液(ジエチルエーテル中で3M)及び5.8ml(0.042mol)のトリエチルアミンの冷却(5〜10℃)した溶液に、20ml中の2.06(0.00723mol)の5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−カルボン酸エチルエステルの溶液を液滴により加えた。添加が完了した後、反応混合物を0〜5℃で2時間撹拌し、その後5.6mlの4Nの水性HCl溶液で処理した。この混合物をセライト上でろ過した。水相を分離し、有機層を水、5%水性NaHCO3溶液で洗い、そして水で2回洗った。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。残渣を、28mlのMeOH及び0.45mlの20%の水性KOH溶液の混合物中に溶解した。この溶液を45℃で30分間加熱し、その後冷却し、6NのHClの添加によりpH2まで酸性化した。溶媒を蒸発させ、残渣をトルエン及び水性NaHCO3溶液と共に混合した。この混合物をセライト上でろ過した。有機層を分離し、溶媒を蒸発させて、0.7g(0.00274mol)の1−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−エタノンを得た。
【0168】
段階4:1−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−エチルアミン
表題の化合物は、実施例2、段階1に記載したものと類似の方法において調製した。
【0169】
段階5:5−{1−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−エチルカルバモイル}−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル
表題の化合物は、実施例1、段階1に記載したものと類似の方法において調製した。
【0170】
段階6:チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−エチル}−アミド)(化合物5−1)
表題の化合物は、実施例1、段階3に記載したものと類似の方法において調製した。
【0171】
化合物5−1:計算したMW 425.39、見出されたMW(M+H) 426.0;1H−NMR(400MHz,d6−DMSO):δ=11.37(bs,1H),9.23(bs,1H),9.11(d,1H),8.22(s,1H),8.18(m,1H),7.90−7.74(m,3H),7.57(m,1H),7.26(s,1H),5.31(m,1H),1.59(d,3H)。
【0172】
適切な出発物質を用いて実施例5−1と同様に、以下の化合物を調製した:
【0173】
【表23】

【0174】
【表24】

【0175】
【表25】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩
【化1】

{式中、
1は、任意に1又は複数のハロゲンにより置換された(C1〜C6)アルキルであり;
Xは、フェニレン又はヘテロアリーレンであり;
Yは、飽和(C3〜C7)炭素環基;
飽和ヘテロ環基;
ヘテロアリール基;又は
1〜3個のアルキル、ハロゲン、−O−アルキル、−S(O)2−アルキル、−NH(アルキル)又は−N(アルキル)2により置換されたフェニル基である(ここで、アルキル基は1又は複数のハロゲン原子で任意に置換することができる)}、
並びに、それらの全ての医薬として許容される塩。
【請求項2】
Xがフェニレン、チオフェンジイル又はイソキサゾールジイルであることを特徴とする、請求項1に記載の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩。
【請求項3】
Xがフェニレンであることを特徴とする、請求項1に記載の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩。
【請求項4】
Xがチオフェンジイルであることを特徴とする、請求項1に記載の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩。
【請求項5】
Yが1〜3個のアルキル、ハロゲン、−O−アルキル、−S(O)2−アルキル、−NH(アルキル)又は−N(アルキル)2により置換されたフェニル基である(ここで、アルキル基は1又は複数のハロゲン原子で任意に置換することができる)ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Yがヘテロアリール基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物:
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(2−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(5−o−トリル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(5−m−トリル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(5−p−トリル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(2−クロロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(4−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(4−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(3−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(4−クロロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(3−クロロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(2−フルオロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(3−メトキシ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(4−メタンスルホニル−フェニル)−チオフェン−2−イル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(5−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[5−(3,5−ジメチル−イソキサゾール−4−イル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(1H−インドール−5−イル)−チオフェン−2−イル]−エチル−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(5−ピリジン−3−イル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4’−ジメチルアミノ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’,4’,5’−トリフルオロ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(2’−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(2’−メチル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(2’−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(3’−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’−メチル−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4’−クロロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(2’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(2’−メチル−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4’−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(2’−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4’−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(3’−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4’−メチル−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(2’−クロロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(3’−クロロ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’−メチル−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4’−メタンスルホニル−ビフェニル−3−イル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチル]−アミド};
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシルアミド 5−({1−[4−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[4−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3−チオフェン−2−イル−フェニル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(3−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−フェニル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[3−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[3−(1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−エチル−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−({1−[3−(3,5−ジメチル−イソキサゾール−4−イル)−フェニル]−エチル}−アミド) 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[3−(1H−インドール−5−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(3−ピリジン−3−イル−フェニル)−エチル]−アミド};及び
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−イミダゾール−1−イル−フェニル)−エチル]−アミド}
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−エチル]−アミド};
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−{[1−(4−ピペリジン−1−イル−フェニル)−エチル]−アミド};及び
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−エチル}−アミド);酢酸塩;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−{[1−(4−シクロヘキシル−フェニル)−エチル]−アミド} 5−ヒドロキシアミド;
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−エチル−アミド);及び
チオフェン−2,5−ジカルボン酸 2−ヒドロキシアミド 5−({1−[5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−イソキサゾール−3−イル]−エチル}−アミド)。
【請求項8】
式IVの化合物を
【化2】

{式中、
2はアルキル基である};
式VIIのラセミ酸、又は鏡像異性的に純粋な(R)−又は(S)−アミンと共に
【化3】

{式中、
X、Y及びR1は、請求項1で与えられる意味を有する}
適切な活性化剤の存在下で反応させて、
式VIIIの化合物を得、
【化4】

{式中、
X、Y及びR1は、請求項1で与えられる意味を有し、R2はアルキル基である}
これを、ヒドロキシルアミンを用いて処理して、式Iの各化合物を得;そして
もし必要であれば、当該化合物をそれらの医薬として許容される塩に変換することによる、式Iの化合物の(R)−又は(S)−エナンチオマー又はラセミ酸塩の製造のための方法。
【請求項9】
医薬として許容されるアジュバントと共に、活性成分として請求項1〜7のいずれか一項に記載の1又は複数の化合物を含む薬剤。
【請求項10】
腫瘍細胞増殖の阻害のための、請求項8に記載の薬剤。
【請求項11】
腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘導による腫瘍細胞増殖の阻害のための薬剤の製造のための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項12】
有効量の請求項1〜7の1つに記載の1又は複数の化合物を腫瘍細胞に投与することによって、腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘導により腫瘍細胞増殖を阻害するための方法。

【公表番号】特表2008−502626(P2008−502626A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515844(P2007−515844)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006292
【国際公開番号】WO2005/121134
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】