説明

チョッパ安定化された計装用増幅器

本開示は、チョッパ安定型計装用増幅器19を記載する。当該増幅器は、低周波数における安定した測定を非常に低い電力消費で達成するように構成される。計装用増幅器10は、差動アーキテクチャ及びミキサ増幅器14を使用して、増幅器によって生成される出力信号からノイズ及びオフセットを実質的になくす。低電力におけるチョッパ安定化から生じる動的な制限、すなわち、グリッチは、ミキサ増幅器14及びフィードバック16内の低インピーダンスノードにおけるチョッピングを組み合せることによって実質的になくなる。増幅器の信号路は、チョップ周波数又はその高調波において信号経路内に入るノイズ又は外部信号のエイリアシングを最小限に抑えることを可能にする連続時間システムとして動作する。増幅器を、埋め込み可能医療デバイスのような低電力システムにおいて使用して、安定した、低ノイズの出力信号を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅器に関し、より詳細には、正確な信号測定のための計装用増幅器(instrumentation amplifier)に関する。
【背景技術】
【0002】
計装用増幅器は、さまざまな試験信号及び測定信号を正確に測定するのに使用される。医療計装用増幅器は、たとえば、心電図信号(ECG)、筋電図信号(EMG)、脳電図信号(EEG)、圧力信号、インピーダンス信号、及び運動信号のような生理学的信号を測定するように構成することができる。計装用増幅器は通常、低オフセット、低ドリフト、低ノイズ、高いコモンモード阻止、高ループ利得、及び高入力インピーダンスを呈する差動増幅器として組立てられる。計装用増幅器は、高い精度を達成するために、回路構成要素の慎重なマッチング及び調整を必要とする場合が多い。
【0003】
計装用増幅器は、離散信号サンプルをを取得する離散時間スイッチドキャパシタアーキテクチャを用いて構成することができる。しかしながら、離散時間アーキテクチャは、測定信号の精度を損なう、ノイズ及び信号の望ましくないエイリアシングを生成する可能性がある。代替的に、計装用増幅器は、チョッパ回路が測定信号をより高い周波数帯域に上方変調してノイズ及びオフセットを除去するチョッパ安定型アーキテクチャを採用する場合がある。チョッパ安定型アーキテクチャは、制限された帯域幅を有することができるが、通過帯域において大きなリップルをもたらす。リップルは、低電力用途においてチョッパ安定型設計の実施を困難にするおそれがある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、チョッパ安定型計装用増幅器を説明する。計装用増幅器は、低周波数における安定した測定を非常に低い電力で達成するように構成される。計装用増幅器は、差動アーキテクチャ及びミキサ増幅器を使用して、当該増幅器によって生成される出力信号からノイズ及びオフセットを実質的になくす。低電力におけるチョッパ安定化から生じる動的な制限、すなわちグリッチは、ミキサ増幅器及びフィードバック内の低インピーダンスノードにおけるチョッピングを組み合せることによって、実質的になくなるか又は低減される。計装用増幅器の信号路は、チョップ周波数又はその高調波において信号経路に入るノイズ又は外部信号のエイリアシングを最小限に抑えることを可能にする連続時間システムとして動作する。このようにして、計装用増幅器を、埋め込み可能医療デバイスのような低電力システムにおいて使用して、安定した、低ノイズの出力信号を提供することができる。
【0005】
1つの実施例では、本発明は、差動入力信号の振幅を、クロック周波数で変調して、変調された信号を生成する第1の変調器と、前記変調された信号を増幅して、増幅された信号を生成し、当該増幅された信号を、クロック周波数で復調して、出力信号を生成するミキサ増幅器と、前記出力信号の振幅を、クロック周波数で変調する第2の変調器、及び、前記変調された出力信号を、差動フィードバック信号として、前記変調された入力信号に印加するフィードバック・パス(path)と、を備えるチョッパ安定化された計装用増幅器を提供する。
【0006】
他の実施例では、本発明は、生理学的状態(physiological condition)を示す、差動入力信号を生成する生理学的センサ、並びに、前記差動入力信号の振幅を、クロック周波数で変調して、変調された信号を生成する第1の変調器と、前記変調された信号を増幅して、増幅された信号を生成し、当該増幅された信号を、クロック周波数で復調して、出力信号を生成するミキサ増幅器と、前記出力信号の振幅を、クロック周波数で変調する第2の変調器と、前記変調された出力信号を、差動フィードバック信号として、前記変調された入力信号に印加するフィードバック・パスと、を備える、チョッパ安定化された計装用増幅器、を備える、生理学的検出デバイスを提供する。
【0007】
追加の実施例では、本発明は、差動入力信号の振幅を、クロック周波数で変調して、変調された信号を生成し、前記変調された信号をミキサ増幅器で増幅して、増幅された信号を生成し、前記増幅された信号を、ミキサ増幅器で、クロック周波数で復調して、出力信号を生成し、前記出力信号の振幅をクロック周波数で変調し、前記変調された出力信号を、差動フィードバック信号として、第1のフィードバック・パスを介して、前記変調された入力信号に印加する、ステップを含む方法を提供する。
【0008】
本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細を、添付の図面及び下記の説明において述べる。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、当該説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】低周波数における安定した測定を非常に低い電力で達成するように構成されるチョッパ安定型計装用増幅器を示すブロック図である。
【図2】図1の計装用増幅器の信号フロー経路を示す図である。
【図3A】図2の信号フロー経路内の1つのステージにおける信号の周波数成分を示すグラフである。
【図3B】図2の信号フロー経路内の1つのステージにおける信号の周波数成分を示すグラフである。
【図3C】図2の信号フロー経路内の1つのステージにおける信号の周波数成分を示すグラフである。
【図3D】図2の信号フロー経路内の1つのステージにおける信号の周波数成分を示すグラフである。
【図4A】図2の信号フロー経路内の1つのステージにおける信号を示すグラフである。
【図4B】図2の信号フロー経路内の1つのステージにおける信号を示すグラフである。
【図4C】図2の信号フロー経路内の1つのステージにおける信号を示すグラフである。
【図4D】図2の信号フロー経路内の1つのステージにおける信号を示すグラフである。
【図5】チョッパ安定型計装用増幅器の例示的なノイズパフォーマンスを示すグラフである。
【図6】計装用増幅器の一部を形成するチョッパ安定型ミキサ増幅器を示す回路図である。
【図7】図1の計装用増幅器の一実施形態例をより詳細に示すブロック図である。
【図8】電圧信号を測定するための図1の計装用増幅器の一実施形態例を示す回路図である。
【図9】インピーダンスを測定するための図1の計装用増幅器の別の実施形態例を示す回路図である。
【図10】ハイパスフィルタを構成するための負フィードバック経路を含む、本発明の一実施形態による計装用増幅器の信号路フローを示す図である。
【図11】図10の計装用増幅器を示す回路図である。
【図12】入力インピーダンスを増大させるための正フィードバック経路を含む、本発明の一実施形態による計装用増幅器の信号路フローを示す図である。
【図13】図12の計装用増幅器を示す回路図である。
【図14A】受信テレメトリ信号を復調するのに使用される、本発明の一実施形態による計装用増幅器の信号フロー経路を示す図である。
【図14B】図14Aのテレメトリ構成計装用増幅器のアンテナ入力及びフィードバック回路部を示す回路図である。
【図15A】図14Aのテレメトリ構成計装用増幅器を示すブロック図である。
【図15B】図15A内のクロックシンクロナイザをより詳細に示すブロック図である。
【図16】測定及び/又はテレメトリのための1つ又は複数の計装用増幅器を備える埋め込み可能医療デバイスを示すブロック図である。
【図17】テレメトリのための1つ又は複数の計装用増幅器を含む医療デバイスプログラマを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、チョッパ安定型計装用増幅器を説明する。計装用増幅器は、低周波数における安定した測定を非常に低い電力で達成するように構成される。計装用増幅器は、差動アーキテクチャ及びミキサ増幅器を使用して増幅器によって生成される出力信号からノイズ及びオフセットを実質的になくす。低電力におけるチョッパ安定化から生じる動的な制限、すなわちグリッチは、ミキサ増幅器及びフィードバック内の低インピーダンスノードにおけるチョッピングを組み合せることによって、実質的になくなる。計装用増幅器の信号路は、チョップ周波数又はその高調波において信号経路に入るノイズ又は外部信号のエイリアシングを最小限に抑えることを可能にする連続時間システムとして動作する。このようにして、計装用増幅器を、埋め込み可能医療デバイスのような低電力システムにおいて使用して、安定した、低ノイズの出力信号を提供することができる。
【0011】
チョッパ安定型計装用増幅器は、たとえば、心電図信号(ECG)、筋電図信号(EMG)、脳電図信号(EEG)、圧力信号、インピーダンス信号、運動信号、及び他の信号のような生理学的信号を測定する医療計装用増幅器として構成することができる。いくつかの実施形態において、計装用増幅器は、低周波電圧信号を取得するようにチョップされる、キャパシタベースのフロントエンドを含むことができる。他の実施形態において、計装用増幅器は、インピーダンス測定値を取得するようにチョップされる、電流源ベースのフロントエンドを含むことができる。さらなる実施形態において、計装用増幅器は、他のデバイスからテレメトリ信号を取得する、アンテナベースのフロントエンドを含むことができる。計装用増幅器は、生物医学的測定用途だけでなく、汎用試験及び測定の用途並びに無線テレメトリ用途にも有用であり得る。
【0012】
概して、本開示において説明される計装用増幅器は、電力の非常に低い用途向けに構成することができる。埋め込み可能医療デバイスは、たとえば、数ヶ月又は数年持続することが必要とされる有限電力資源によって特徴付けることができる。したがって、デバイス寿命を助長するために、検知回路及び治療回路は一般的に、非常に小さなレベルの電力しか消費しないように設計される。一例として、本開示において説明される計装用増幅器を組み込むセンサ回路の動作は、2.0マイクロアンペアを下回る、またより好ましくは1.0マイクロアンペアを下回る供給電流を必要とし得る。いくつかの実施形態において、このようなセンサ回路は、約100ナノアンペア〜1.0マイクロアンペアの範囲内の供給電流を消費し得る。このようなセンサは一般的に、微小消費電力センサと呼ぶことができる。医療デバイスは例示の目的で説明されるが、微小消費電力センサは、さまざまな医療試験及び非医療試験並びに測定の用途に使用することができる。いずれの場合においても、センサは、依然として厳密で正確な測定を提供しながら非常に低い電力を引き込むことが必要とされ得る。
【0013】
本開示のさまざまな実施形態によれば、チョッパ安定型計装用増幅器は、フロントエンドと、第1のチョッパと、AC増幅器と、第2のチョッパと、高い利得及び補償を有するベースバンド増幅器の形態の積分器と、少なくとも1つのフィードバック経路とを備えることができる。増幅器、第2のチョッパ、及び積分器は、まとめてミキサ増幅器と呼ぶことができる。計装用増幅器の信号路は、チョップ周波数又はその高調波において信号経路に入るノイズ又は他の望ましくない信号のエイリアシングを低減する連続時間システムとして動作する。フロントエンドは、ベースバンド、すなわち、試験又は測定の用途の目的の対象となる周波数帯域において差動入力信号を生成する。ベースバンドは、測定帯域と呼ぶこともできる。
【0014】
入力信号の増幅は、増幅器欠陥又は他の要因に起因する1/fノイズ又はポップコーンノイズのようなDCオフセット及び低周波ノイズを導入する可能性がある。DCオフセット及び低周波ノイズを低減するために、フロントエンド内の第1のチョッパステージは、入力信号をミキサ増幅器に印加する前に、入力信号をチョッパ周波数において変調する。入力信号が増幅された後、ミキサ増幅器内の第2のチョッパが、チョッパ周波数における入力信号を復調して、ベースバンド内の増幅出力信号を生成する。このプロセスは、増幅器によって生成されるノイズ及びオフセットをチョッパ周波数帯域に制限し、それによって、ノイズ及びオフセットが測定帯域に入ることが防止される。
【0015】
ミキサ増幅器は、信号が低インピーダンスノードにおいてチョップされて高速変調動態(dynamics:特性)が提供される、変更折り畳みカスコード増幅器アーキテクチャを有することができる。ミキサ増幅器は、復調信号からのチョッパ周波数におけるノイズ及びオフセットを実質的に除去し、それによって、低ノイズ信号を測定帯域に通過させる。しかしながら、ミキサ増幅器が低電力において動作している場合、増幅器の帯域幅が制限される可能性がある。帯域幅が制限される結果として、出力信号においてグリッチ、すなわち、リップル又はスパイクが生じる可能性がある。本開示において説明される計装用増幅器は、ミキサ増幅器に対する入力における信号変化を比較的小さく維持する負フィードバックを提供することができる。加えて、ミキサ増幅器の双方の入力に、差動−シングル変換を提供するフィードバックを提供することができる。結果として、計装用増幅器は、電力源から非常に低い電流を引き込みながら、安定した、低ノイズの出力を達成するように構成することができる。
【0016】
さらなるフィードバック経路を追加してパフォーマンスの増大を達成することができる。たとえば、正フィードバック経路を、計装用増幅器の入力インピーダンスの増大に使用することができる。別の例として、別の負フィードバック経路が、ハイパスフィルタの構成を可能にすることができる。各フィードバック経路は、差動フィードバック経路とすることができる。これらのさらなるフィードバック経路は、チョッパ安定型増幅器が適切に動作するためには必要でない場合があるが、パフォーマンスを向上させることができる。たとえば、これらのフィードバック経路を追加して、計装用増幅器を使用することができるさまざまな用途において有用であり得るさらなる信号処理又は調整を提供することができる。
【0017】
さまざまな実施形態例を提示する。計装用増幅器がその入力にわたる電圧の差を検知する場合に有用である一実施形態例によれば、フロントエンドは、連続時間スイッチドキャパシタネットワークを含むことができる。スイッチドキャパシタネットワークは、チョップ周波数における入力電圧間で切り替えを行う、スイッチド入力キャパシタの差動するセットを含む。スイッチド入力キャパシタをチョップすることによって、入力差動信号がチョッパ周波数に上方変調され、ミキサ増幅器の差動入力における変調信号がもたらされる。この実施形態は、脳電図(EEG)の用途、並びに、加速度計を用いる姿勢及び活動モニタリング、圧力センサを用いるカテーテルモニタリング、他の圧力関連生理学的モニタリング、心音のモニタリング、脳信号のモニタリング、及び、厳密なセンサ測定のための微小消費電力システムを必要とする他の生理学的モニタリングの用途のような生理学的モニタリング用途のための計装用増幅器として有用であり得る。
【0018】
別の実施形態例によれば、計装用増幅器は、組織インピーダンスのような生理学的に重要なインピーダンスを測定するように構成することができる。そのようなインピーダンスの測定を使用して、肺水腫、(たとえば、睡眠時無呼吸のための)分時換気呼吸量(minute ventilation respiration)、心力学、及び全組織インピーダンス(general tissue impedance)のような生理学的状態を測定することができる。このようなインピーダンスを測定するときに、興奮細胞を刺激すること又は電極腐食のような他の有害な効果が起こることを回避するために、刺激電流が小さい、たとえば、約10μA以下であることが重要である。この実施形態例において、フロントエンドは、すなわち患者の組織を通じてミキサ増幅器に交流結合されるAC変調信号を生成する。フロントエンドは、刺激電流をチョッパ周波数において変調して、当該刺激電流に応答して組織電圧信号の振幅を変調する。この方法では、組織はDC電流に曝されない。刺激電流を駆動するクロックと、ミキサ増幅器のチョップ周波数を駆動するクロックとの間の相対位相を、計装用増幅器が組織の抵抗又はリアクタンスのいずれかを測定することを可能にするように変更することができる。抵抗に関して、フロントエンド及びミキサ増幅器のチョップ周波数は通常互いに同相となる。
【0019】
さらなる一実施形態例によれば、計装用増幅器は、テレメトリ用途において有用であるように、たとえば、受信機内のダウンミキサとして構成することができる。この実施形態例において、計装用増幅器は、患者プログラマ若しくは臨床医プログラマ、又は、無線周波数(RF)テレメトリを介して臨床医プログラマ若しくは患者プログラマと通信する、患者内に埋め込まれる埋め込み可能パルス発生器(IPG)若しくは他の埋め込み可能医療デバイス(IMD)内に配置することができる。フロントエンドは、この実施形態例において、遠隔送信デバイス内に配置される送信機と、送信機からテレメトリ信号を受信する、受信デバイス内の受信アンテナとを備える。テレメトリ信号は、たとえば、約10kHz〜1GHzの範囲内、及びいくつかの実施形態では約175kHzの周波数を有することができるが、他の周波数も可能である。この例において、第1のチョッパは、実際には遠隔デバイスの送信機内に存在している。フロントエンドは、チョッパ周波数において変調された信号である送信信号を、ミキサからの1/fノイズ及びオフセットを実質的になくしながら、信号をベースバンドに直接下方変調するミキサ増幅器に結合する。送信機(フロントエンド)と受信機(ミキサ増幅器)とを互いに同相に維持するフィードバックを提供するために、位相ロックループ、又は他のクロック同期回路を含むことができる。
【0020】
テレメトリ信号は、データ、プログラミング命令等を含むことができる。たとえば、医療デバイスプログラマは、埋め込み式医療デバイスによって送達される治療のような、埋め込み式医療デバイスの動作態様を変更するプログラミング命令をダウンロードするためのテレメトリ信号を、埋め込み式医療デバイスに送信することができる。プログラミング命令は、新たな刺激プログラム若しくは薬剤送達プログラム又は既存のプログラムに対する調整を指定することができる。プログラミング命令は、電気刺激パルス振幅、パルス幅、パルスレート、又は持続時間、又は薬剤送達用量、薬剤送達レート、用量制限、ロックアウト間隔等のようなプログラミングパラメータに対する調整を指定することができる。同様に、埋め込み式医療デバイスは、テレメトリ信号を介して外部プログラマにデータを送信することができる。プログラマに送信することができるデータは、動作データ、診断データ、欠陥データ、センサデータ等を含むことができる。
【0021】
生理学的信号は一般的に、低周波数、たとえば、約100Hz以下、及び、多くの場合、約2Hz以下、又は約1Hz以下において見出される。生理学的信号の測定及び分析を使用して、慢性疾患状態又は急性疾患状態及び他の医療状態を診断することができる。生理学的信号の例は、上述のEEG信号、ECG信号、EMG信号、圧力信号、インピーダンス信号、及び運動信号を含む。このような信号を心虚血、肺水腫、呼吸、活動、姿勢、圧力、脳活動、胃腸活動等の検出又は測定に使用することができる。
【0022】
このような生理学的信号の測定に使用される計装用増幅器を含む埋め込み可能医療デバイスは、低ノイズ且つ低電力で動作する必要がある場合がある。低電力消費は、数年間使用されるように設計される、長期間埋め込まれる医療デバイス、特に生理学的信号を検知すると共に治療を送達するように構成される医療デバイスにおいて特に重要である場合がある。治療用医療デバイスの例は、埋め込み可能心臓ペースメーカ、埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ、神経刺激装置、筋刺激装置又は他の組織刺激装置のような埋め込み可能電気刺激装置、埋め込み可能薬剤送達デバイス及び他のデバイスである。
【0023】
計装用増幅器が、ノイズが生じて感度が低減するか又は誤った若しくは誤解を招く診断情報を生じることがないような低ノイズパフォーマンスを提供することが重要である。計装用増幅器が、限られたバッテリ資源を節約し、それによって、埋め込み可能医療デバイスの動作寿命を助長するするために、低電力で動作することも重要である。本開示において説明されるチョッパ安定型計装用増幅器は、低周波数における厳密な測定を低電力で達成するように構成することができる。説明されるように、チョッパ安定型計装用増幅器は、低インピーダンスノードにおいてチョッピングを適用すると共に、フィードバックを適用して増幅器の低帯域幅から生じるリップルを低減するように構成することができる。
【0024】
図1は、低周波数における安定した測定を非常に低い電力で達成するように構成されるチョッパ安定型計装用増幅器10を示すブロック図である。計装用増幅器10は、差動アーキテクチャ及びミキサ増幅器を使用して、1/fノイズ、ポップコーンノイズ、及びオフセットを実質的になくす。低電力におけるチョッパ安定化から生じる動的な制限、すなわち、グリッチは、フィードバック経路16を介して、ミキサ増幅器14及びフィードバック内の低インピーダンスノードにおけるチョッピングを組み合わせることによってなくなる。計装用増幅器の信号路は、チョップ周波数又はその高調波において信号経路に入るノイズ又は外部信号のエイリアシングを最小限に抑えることを可能にする連続時間システムとして動作する。結果として、計装用増幅器10は、たとえば、約2.0マイクロアンペア以下の供給電流、及びより好ましくは約1.0マイクロアンペア以下の供給電流を引き込むと共に、約2.0ボルト以下の供給電圧、及びより好ましくは約1.5ボルト以下の供給電圧を必要とする微小消費電力システムの制約下で動作しながら、生理学的信号のような低周波信号、及び、約100Hzを下回る周波数、及び好ましくは約2.0Hz以下の周波数、及びより好ましくは約1.0Hz以下の周波数を有する他の信号の安定した測定を提供することができる。
【0025】
図1に示すように、計装用増幅器10は、フロントエンド12と、ミキサ増幅器14と、フィードバック経路16とを備える。図1の例において、フロントエンド12は、たとえば、低周波電圧振幅の測定のための、ミキサ増幅器14に対するスイッチドインタフェース又は界面容量差動インタフェースを提供することができる。他の実施形態において、フロントエンド12は、インピーダンス測定又はテレメトリの用途向けに構成することができる。フロントエンド12は、対象の低周波信号を搬送波(チョッパ)周波数で搬送する差動変調(チョップされた)入力信号を結合する。換言すれば、フロントエンド12は、ミキサ増幅器14による低周波ノイズの導入を受ける低周波信号を、ミキサ増幅器14が信号内に実質的にノイズを導入しない搬送波周波数にシフトする。対象の低周波信号は、たとえば、0〜約100Hzの範囲内の周波数を有することができる。いくつかの実施形態において、搬送波(チョッパ)周波数は、約4kHz〜200kHzの周波数範囲内とすることができる。フロントエンド12は、本来のベースバンド(低周波数)信号成分が、低周波数においてミキサ増幅器14によって導入されるノイズ成分によって損なわれないように、低周波信号を、ミキサ増幅器14に導入される前に変調する。
【0026】
ノイズは一般的に、ミキサ増幅器14を通じて計装用増幅器10の信号路に入る。しかしながら、ミキサ増幅器14は、搬送波周波数における変調信号にノイズを導入するべきではない。そうではなく、ノイズ成分は通常、低周波数において存在し、1/fノイズ又はポップコーンノイズを含む場合がある。加えて、搬送波周波数においてdcオフセットの形態のノイズは導入され得ない。ミキサ増幅器14は、フロントエンド12からの上方変調入力信号を受信及び増幅する。再び、上方変調入力信号はチョッパ周波数に上方変調されて、入力信号が低周波ノイズ及びオフセットから保護される。
【0027】
ミキサ増幅器14は、測定帯域外のミキサ増幅器1/fノイズ及びオフセットを上方変調しながら、変調入力信号を、搬送波周波数から対象のベースバンドへ復調する。したがって、ミキサ増幅器14の低周波ノイズ及びオフセット成分がない本来の低周波数の信号成分が再びベースバンドに復調される。ミキサ増幅器14は、ベースバンド信号、すなわち、約100Hz以下の周波数成分を有する信号のみを出力として渡し、搬送波周波数に位置するノイズ成分を実質的に低減するか又はなくす。したがって、計装用増幅器10の出力は、対象の低周波信号成分を含む。加えて、ミキサ増幅器14は、入力信号を増幅する利得増幅器を提供する。このようにして、計装用増幅器10は、低電力で動作しながら低ノイズ出力を提供する。
【0028】
計装用増幅器10は、微小消費電力システムの制約下で動作し、したがって、制限された帯域幅を有する。計装用増幅器10の制限された帯域幅は、出力信号の通過帯域においてグリッチ又はリップルを引き起こす可能性がある。説明されるように、ミキサ増幅器14は、低インピーダンスノードにおいて、たとえば、CMOSスイッチを介してスイッチングを提供する、変更折り畳みカスコード増幅器アーキテクチャを有することができる。低インピーダンスノードにおけるスイッチングによってより高い周波数におけるチョッピングが可能となり、電荷注入残留オフセットが唯一の制限となる。
【0029】
フィードバック経路16は、ミキサ増幅器14の出力とフロントエンド12との間に結合され、リップルが低減される。フィードバック経路16は、ミキサ増幅器14に対する正味の入力信号をゼロに追いやることによって出力信号におけるグリッチを実質的になくす差動構成を有することができる。このようにして、フィードバック経路16は、ミキサ増幅器14の入力における信号変化を定常状態において比較的小さく維持する。結果として、計装用増幅器10は、低電力で動作しながら、安定した、低ノイズの、歪みの小さい出力を達成する。
【0030】
計装用増幅器10は、多くの異なる用途において有用であり得る。本開示は、計装用増幅器10のさまざまな実施形態例を提示する。しかしながら、これらの実施形態例は、本開示において広範に具体化及び説明されている計装用増幅器10を限定するものとみなされるべきではない。そうではなく、本開示において説明されている実施形態例は、本開示の範囲内の多くの異なる実施形態例の一部であることを理解されたい。
【0031】
いくつかの実施形態において、埋め込み可能医療デバイスのようなデバイスは、複数の計装用増幅器10を含むことができる。たとえば、複数の計装用増幅器10を、並列に作製して、複数の検知チャネルを提供することができる。複数の検知チャネルは、たとえば、異なる複数の位置若しくは角度において、又は異なる複数のセンサを介して同じ種類の生理学的情報を検知することができる。加えて、複数の検知チャネルは、インピーダンス、ECG、EEG、EMG、圧力、運動等のような異なる種類の生理学的情報を検知することができる。
【0032】
一実施形態例によれば、増幅器10のフロントエンド12は、連続時間スイッチドキャパシタネットワークを含むことができる。スイッチドキャパシタネットワークは、計装用増幅器10の正端子における入力電圧と、計装用増幅器10の負端子における入力電圧との間で切り替えを行うスイッチド入力キャパシタの差動セットを含む。チョッパ周波数においてスイッチド入力キャパシタの切り替えを行うことによって、差動入力信号がチョップされる。このようにして、差動入力信号は搬送波周波数に上方変調され、ミキサ増幅器14の差動入力における変調信号がもたらされる。この例において、計装用増幅器10は、ECG、EEG、EMG、圧力、運動等のような生理学的電圧信号を測定するように実施することができる。したがって、フロントエンド12に対する入力は、電極、又は、さまざまな加速度計、圧力センサ、ひずみゲージセンサ等のいずれかからの出力とすることができる。
【0033】
別の実施形態例によれば、計装用増幅器10のフロントエンド12は、インピーダンスセンサを含むことができる。特に、計装用増幅器10は、患者の組織、たとえば、筋組織、臓器組織、脳組織、脂肪組織、又は、複数の組織の組合せのインピーダンスを測定する生体インピーダンス検知デバイスを形成することができる。フロントエンド12によって形成されるインピーダンスセンサは、患者の組織を通じてミキサ増幅器14に交流結合されるAC変調信号を生成する。この場合、フロントエンド12は、刺激電流を変調して組織電圧信号の振幅を変調する。換言すれば、フロントエンド12は、刺激電流源をチョップする。したがって、患者は直流(DC)信号に曝されない。その上、変調信号は、実質的に組織を興奮させ得ず、それによって、患者が不快感又は変調信号からの他の有害な効果を経験し得る可能性が減少する。刺激電流を駆動するクロックと、ミキサ増幅器14のチョップ周波数を駆動するクロックとの間の相対位相を変化させて、計装用増幅器が組織の抵抗又はリアクタンスのいずれかを測定することを可能にすることができる。したがって、計装用増幅器10を、さまざまな生理学的信号、たとえば、肺水腫、分時換気量(睡眠時無呼吸)、心力学、及び全組織インピーダンスの測定に使用することができる。たとえば、刺激電流クロックとミキサ増幅器クロックとの間の相対位相を動的に調整して、測定の進行中に異なる複数の種類の測定値、たとえば、抵抗又はリアクタンスを取得することができる。
【0034】
さらなる一実施形態例によれば、フィードバック16は、上述の負フィードバック経路に加えて、計装用増幅器10の出力におけるグリッチを低減すると共に、増幅器10の公称利得を提供する第2のフィードバック経路を含むことができる。この第2のフィードバック経路は、ハイパスフィルタの構成を可能にする負フィードバックを提供する。第2のフィードバック経路は主として低周波数、すなわち、カットオフ周波数よりも低い周波数にあり、チョッパ安定型負フィードバック経路は主として通過帯域周波数にある。ハイパスフィルタは、たとえば、約2.5Hz、又は0.5Hz、又は0.05Hzにほぼ等しいカットオフ周波数を有することができる。この場合、第1のフィードバック経路、すなわち、出力におけるグリッチをなくす「チョッパ安定化」フィードバック経路は、主として通過帯域周波数にあり、第2の「ハイパスフィルタ」フィードバック経路は、主として低周波数にある。第2のフィードバック経路内のハイパスフィルタのコーナー周波数は、第1のフィードバック経路内のフィードバックキャパシタ、及び第2のフィードバック経路内のスイッチドキャパシタ積分器の時定数をスケーリングすることによって設定することができる。一例として、このフィードバック経路によって提供されるハイパスフィルタは、心臓モニタリング用途におけるペーシング後アーティファクトの拒絶及び電極オフセットのフィルタリング除去に有用であり得る。第2のフィードバック経路は、最も低い1/fノイズフロアに関してチョッパ安定化されるハイパス積分器を含むことができる。
【0035】
さらに別の実施形態によれば、フィードバック16は、第1のフィードバック経路に加えて第3のフィードバック経路を含むことができる。第3のフィードバック経路は、計装用増幅器10の入力インピーダンスを増大させる正フィードバックを提供する。入力インピーダンスの増大は、計装用増幅器10の出力をサンプリングすること、及びスケーリングされた電荷をフロントエンド12内のスイッチドキャパシタの入力に印加してセンサ入力において補償電荷を提供することによって達成される。スケーリングされた電荷は、入力信号のチョッピングの前に信号フロー内の或る点において印加することができる。注入電流は、フロントエンド12内の入力チョッパキャパシタのサンプリング中に失われた電荷に事実上「取って代わる」。この電荷置換フィードバックは、ベース電流補償と同様とみなすことができる。正フィードバックは、計装用増幅器10の等価低周波入力インピーダンスを1桁以上、増大させることができる。この第3のフィードバック経路はさまざまな用途において必要でない場合がある。しかしながら、増大された入力インピーダンスが所望される場合、この第3のフィードバック経路を容易に追加することができる。
【0036】
さらなる一実施形態例によれば、計装用増幅器10は、第1の(チョッパ安定化)フィードバック経路に加えて上述の第2のフィードバック経路及び第3のフィードバック経路を含むことができる。この場合、第3のフィードバック経路は、上述のように計装用増幅器10の出力信号を取り出さない。そうではなく、第3の、正フィードバック経路は、第2の、ハイパスフィルタフィードバック経路によって提供される積分信号を取り出すことができる。したがって、第1のフィードバック経路、第2ののフィードバック経路、及び/又は第3のフィードバック経路のさまざまな組合せを設けてグリッチ、低周波数拒絶、及び/又は増幅器入力インピーダンスに対処することができる。
【0037】
別の実施形態例において、計装用増幅器10をテレメトリ用途、より具体的には、比較的低い周波数、たとえば、医療デバイスにおいて約175kHz程度で、且つ低い電力で動作するテレメトリ用途において使用することができる。たとえば、計装用増幅器10は、無線周波数(RF)テレメトリを介して、臨床医プログラマ若しくは患者プログラマ、又は他の埋め込み式医療デバイス若しくは外部医療デバイスと通信する、患者内に埋め込まれる埋め込み可能パルス発生器(IPG)、埋め込み可能薬剤ポンプ、又は他の埋め込み可能医療デバイス(IMD)内のテレメトリ受信機として使用することができる。計装用増幅器10は逆に、患者内に埋め込まれるIPGと通信する臨床医プログラマ又は患者プログラマ内のテレメトリ受信機として使用することもできる。テレメトリ受信機として実施される場合、フロントエンド12は、送信機と、送信機からの送信信号を受信する受信アンテナとを備えることができる。しかしながら、フロントエンド12の送信機部分は実際には、信号を送信する遠隔デバイス内に存在している。フロントエンド12は、受信信号をミキサ増幅器14に結合し、ミキサ増幅器14は、1/fノイズ及びオフセットを実質的になくしながら、受信信号をベースバンドに直接ダウンミクスする(directly-down mix)。位相ロックループは、送信機におけるクロック及び受信機におけるクロックを互いに同相に維持するフィードバックを提供することができる。
【0038】
計装用増幅器10は、さまざまな実施形態において1つ又は複数の利点を提供することができる。たとえば、上述のように、計装用増幅器10は、低周波数における安定した測定を低電力で達成することができる。これは、計装用増幅器10の基本アーキテクチャの結果である。別の利点として、オンチップpoly−polyキャパシタを使用して計装用増幅器10内のフィードバックキャパシタを実施することができる。poly−polyキャパシタによって高速スイッチング動態が可能となり、poly−polyキャパシタは、他の増幅器構成要素と共にオンチップで形成することができる。poly−polyキャパシタは、2つのポリシリコン電極を組み合わせて二酸化ケイ素誘電体を介在させることによって、他のデバイスと共にオンチップで形成することができる。計装用増幅器の利得は、フィードバックキャパシタと入力キャパシタとの比によって設定することができ、選択された基準電圧を中心とすることができる。さらに、フロントエンド12における入力信号を変調することによって、コモンモード入力電圧がレールからレールへと変動することができ、ミキサ増幅器14は、依然として差動電圧を抽出することが可能である。これらの利点は例示に過ぎず、計装用増幅器10によって提供される潜在的な利点の一部とみなされるべきである。さらなる利点は、本開示において考察されるか、又は当業者であれば本開示を考慮すると想起することができる。その上、このような利点は、すべての実施形態において共存することはできない。
【0039】
図2は、例示的な計装用増幅器10の信号路フローを示すブロック図である。図2において、フロントエンド12は、低周波入力信号32を変調して変調入力信号21を生成する変調器20を備える。入力キャパシタンス(Cin)13は、変調器20の出力を加算ノード22に結合する。差動入力信号に関して、Cin13は、ミキサ増幅器14の第1の入力に結合される第1の入力キャパシタと、ミキサ増幅器14の第2の入力に結合される第2の入力キャパシタとを含むことができる。変調器20は、入力信号32の差動振幅を、クロック信号21Aによって提供される搬送波周波数に変調する。クロック信号21Aは、本開示において説明される他のクロック信号と同様に、事実上、所望のクロック周波数において信号に+1及び−1を乗算する方形波信号とすることができる。このようにして、モジュール20は、入力信号をミキサ増幅器14に印加する前に入力信号32をチョップする。変調器20は、いくつかの実施形態において、入力信号32を搬送波周波数に変調(チョップ)する、クロック信号21Aによって駆動される一対の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)単極双投(SPDT)スイッチを含むことができる。CMOS SPDTスイッチを互いに交差結合して(cross-coupled)、コモンモード信号を拒絶することができる。
【0040】
一実施形態例において、CMOSスイッチは、一組の差動キャパシタに結合して、ミキサ増幅器14の入力における入力キャパシタンスCinを形成する連続時間スイッチドキャパシタネットワークを形成することができる。この場合、フロントエンド12は、その出力において検知された生理学的パラメータに比例する入力信号32を生成する生理学的センサに結合することができる。たとえば、入力信号32は、一対の電極、又は加速度計、圧力センサ等からの差動出力信号とすることができる。別の実施形態例において、CMOSスイッチは、変調入力信号21をミキサ増幅器14の入力に交流結合するキャパシタに結合することができる。この場合、フロントエンド12は、患者の組織にわたって印加される刺激電流を変調するインピーダンスセンサとすることができる。さらなる一実施形態において、フロントエンド12は、テレメトリ送信機の一部とすることができる。この場合、入力信号32は、無線チャネルにわたって送信するためにクロック信号21Aによって搬送波周波数に変調される、データを符号化された電気信号である。
【0041】
フィードバック加算ノード22は、フィードバック経路16に関連して下記で説明する。加算ノード24は、ミキサ増幅器14内へのオフセット及び1/fノイズの導入を表す。加算ノード24において、入力信号32の本来のベースバンド成分は搬送波周波数に位置している。入力信号32のベースバンド信号成分は、0〜約100Hzの範囲内の周波数を有することができ、搬送波周波数は約4kHz〜約10kHzとすることができる。ノイズ23は、加算ノード24において信号経路に入り、ノイズの多い変調入力信号25を生成する。ノイズ23は、1/fノイズ、ポップコーンノイズ、オフセット、及び低(ベースバンド)周波数において信号経路に入るおそれがある任意の他の外部信号を含む場合がある。しかしながら、ノード24において、本来の低周波成分は、変調器20によってより高い周波数帯域にすでにチョップされている。したがって、低周波ノイズ23は、本来の低周波成分から分離される。
【0042】
ミキサ増幅器14は、ノード24からノイズの多い変調入力信号25を受信する。図2の例において、ミキサ増幅器14は、利得増幅器26と、変調器28と、積分器30とを備える。増幅器26は、ノイズの多い変調入力信号25を増幅して増幅信号27を生成する。変調器28は、増幅信号27を復調する。すなわち、変調器28は、ノイズ23を搬送波周波数に上方変調して、本来のベースバンド信号成分を、搬送波周波数から再びベースバンドへと復調する。変調器28は、ミキサ増幅器14の折り畳みカスコードアーキテクチャ内の低インピーダンスノードに配置されるスイッチ、たとえば、CMOS SPDTスイッチを含むことができる。変調器28は、クロック信号21Aと同じ搬送波周波数における、増幅信号27を復調するためのクロック信号21Bを供給される。そのため、クロック信号21A、21Bは、互いに同期しているべきである。いくつかの実施形態において、クロック信号21A及びクロック信号21Bは同じ信号とすることができる、すなわち、同じクロックによって供給される。他の実施形態において、たとえば、リアクタンスの測定のために、クロック信号21A、21B及び21Cの相対位相整合を変更することができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、クロック信号21A及びクロック信号21Bは、異なるクロックによって供給することができる。このような実施形態において、変調器20及び28は、厳密に互いに同相でない場合があり、さらなる回路部を追加して、クロック信号21A及び21Bが互いに同相のままであることを確実にすることができる。変調器20を、無線チャネルにわたる送信のために信号を変調するために遠隔デバイス内の送信機によって使用することができ、一方で変調器28を、受信信号を復調するために受信機によって使用することができるため、これは、計装用増幅器10がテレメトリ受信機として使用される場合に当てはまる。したがって、位相ロックループのようなさらなる信号処理を使用して、変調器20、28を互いに同相に維持することができる。
【0044】
積分器30は、復調信号29に対して動作して、ベースバンドにおける低周波信号成分を通過させ、搬送波周波数におけるノイズ成分23を実質的になくす。このようにして、積分器30は、補償及びフィルタリングを提供する。他の実施形態において、補償及びフィルタリングは、他の回路部によって提供することができる。しかしながら、本開示において説明される積分器30を使用することが望ましい場合がある。図6は、ミキサ増幅器14の一実施形態例の詳細な回路図を提供する。フィードバック経路16は、図2に示すように、出力信号31におけるグリッチを低減する、ミキサ増幅器14の入力に対する負フィードバックを提供する。具体的には、フィードバック経路16は、変調信号25を定常状態においてゼロに追いやる。このようにして、フィードバック16は、ミキサ増幅器14に対する入力における信号変化を小さく維持する。フィードバック経路16は、出力信号31を変調して、フロントエンド12とノード22にあるミキサ増幅器14との間の信号路に加えられる差動フィードバック信号35を生成する変調器34を含む。
【0045】
フィードバック経路16は、ミキサ増幅器14の入力キャパシタンスCinに対するキャパシタのスケーリングを提供して、減衰を生成し、それによって、増幅器10の出力における利得を生成する。したがって、フィードバック経路16は、ミキサ増幅器14の入力キャパシタンス(Cin)13の値が与えられると、所望の利得を生成するように選択されるフィードバックキャパシタンス(Cfb)17を含むことができる。積分器30は、測定帯域から上方変調オフセット及び1/fノイズのフィルタリング除去も行いながら、許容可能な帯域幅を有する安定したフィードバック経路16を提供するように設計することができる。
【0046】
クロック信号21Cは、フィードバック経路16内の変調器34を駆動して搬送波周波数において出力信号31を変調する。クロック信号21Cは、クロック信号21Bと同じクロックから導出することができる。しかしながら、出力信号31はシングルエンドであるため、フィードバック16は、負フィードバックをミキサ増幅器14の正入力端子及び負入力端子に適用する2つのフィードバック経路を含む。したがって、2つのフィードバック経路には、互いに180度の位相のずれがあるはずであり、これらのフィードバック経路のうちの一方は、変調器28と同期して変調している。これによって、負フィードバック経路が、半クロックサイクルのそれぞれの間に存在することが確実になる。
【0047】
代替案として、いくつかの実施形態において、ミキサ増幅器14は、シングルエンド出力信号ではなく、差動出力信号を生成するように構成することができる。差動出力信号は、正出力及び負出力を提供することができる。この場合、フィードバック経路16は、正出力をミキサ増幅器14の正入力にフィードバックして、負出力をミキサ増幅器の負入力にフィードバックすることができる。差動出力信号に関して、フィードバック経路16は、正出力及び負出力のそれぞれを変調する。しかしながら、正出力及び負出力は、位相がずれているのではなく、同相に変調している場合がある。差動出力が可能であるが、シングルエンド出力を差動フィードバックに変換するように構成されるフィードバック経路16を、本明細書において例示の目的で説明する。
【0048】
図2において、上述の負フィードバック経路16のみが示される。すなわち、入力インピーダンスを増大させてハイパスフィルタを構成する上述のフィードバック経路は、図2からは除外されている。これらのフィードバック経路は計装用増幅器10の適切な動作のためには必要でないため、図2においては除外されている。しかしながら、フィードバック経路は、図10及び図12における信号フロー経路図内には含まれており、いくつかの用途において非常に望ましい場合がある。
【0049】
図3A〜図3Dは、図2の信号フロー経路内のさまざまなステージにおける信号の周波数成分を示すグラフである。具体的には、図3Aは入力信号32の周波数成分を示す。周波数成分は、図3Aにおいてブロック40によって表され、ベースバンドに位置する。
【0050】
図3Bは、ノイズの多い変調入力信号25の周波数成分を示す。図3Bにおいて、ノイズの多い変調入力信号25の本来のベースバンド周波数成分は変調されており、奇数調波におけるブロック42によって表される。ノイズ23の周波数成分は点線43によって表される。図3Aにおいて、ノイズ23の周波数成分のエネルギーはベースバンドに位置し、本来の低周波成分のエネルギーは搬送波(チョップ)周波数及びその奇数調波に位置することが明らかである。
【0051】
図3Cは、復調信号29の周波数成分を示す。具体的には、復調信号29の本来の低周波成分は再びベースバンドに位置し、ブロック44によって表される。ノイズ23の周波数成分は変調されており、点線45によって表される。ノイズ23の周波数成分は図3Cにおいて、搬送波(チョップ)周波数奇数調波に位置する。図3Cは、積分器30によって復調信号29に適用され得るローパスフィルタの効果も示す。ローパスフィルタ効果は破線49によって表される。
【0052】
図3Dは、出力信号31の周波数成分を示すグラフである。図3Dにおいて、本来の低周波成分の周波数成分はブロック46によって表され、ノイズ23の周波数成分は点線47によって表される。図3Dは、積分器30が図3Cに示されるローパスフィルタの通過帯域の外側に位置していた、ノイズ23からの周波数成分を除去することを示す。明らかに、ノイズ23からのエネルギーは出力信号31から実質的になくなっているか、又は少なくとも、そうでなければ導入されることになる本来のノイズ及びオフセットと比較して大幅に低減されている。
【0053】
図4A〜図4Dは、計装用増幅器10内の異なる複数のステージにおけるチョッパ安定化された信号のステップ応答時間領域挙動を示すグラフである。具体的には、図2を参照すると、図4A〜図4Dはそれぞれ、ノイズの多い変調入力信号25、増幅信号27、復調信号29、及び出力信号31の時間領域挙動を示す。参考のために、図4A〜図4Dのそれぞれは、信号52、54、56、58及び選択された基準電圧50も示す。信号52、54、56、及び58はそれぞれ信号25、27、29、及び31に対応し、フィードバック経路16を介する負フィードバックがない場合の時間領域挙動を示す。図4A〜図4Cにおいて、信号25、27、及び29は、時刻ゼロにおける基準電圧50を中心とし、負フィードバックによって経時的に基準電圧50に向かって抑圧される。そのため、フィードバック経路16を介して負フィードバックを追加することによって、ac信号が定常状態におけるゼロに追いやられる。
【0054】
概して、図4A〜図4Dは、フィードバック経路16の使用及びミキサ増幅器14内の低インピーダンスノードにおけるスイッチングによって、計装用増幅器10内の過渡的なグリッチをなくすことを示す。このグリッチは、計装用増幅器10の動的な制限の結果生じる。しかしながら、フィードバック16は、ミキサ増幅器14内のアクティブな信号を、定常状態におけるゼロ又は図4A〜図4Dにおける基準電圧50に追いやることによって、グリッチを実質的に抑制する。
【0055】
図4Aにおけるグラフは、ノイズの多い変調入力信号25、及び、負フィードバックがない場合の対応する信号52を示す。信号25及び52は、基準電圧50を中心とする。ノイズの多い変調入力信号25は、ミキサ増幅器14によって増幅されて、増幅信号27が生成される。
【0056】
図4Bに示すように、増幅器26の制限される帯域幅は、その有限立ち上がり時間に起因する増幅信号27及び対応する信号54のエッジを軟化するか又は丸くする傾向にある。図4Cに示すように、増幅信号27が方形波を用いて復調されると、復調信号29が所望の信号に重ね合わされる一連のスパイクとして現れる。したがって、図4Dにおいて、出力信号31も、所望の信号に重ね合わされる一連のスパイクとして現れる。スパイクが所望の信号からエネルギーを差し引くため、出力信号31内のスパイクは、重大な感度誤差を生じる可能性がある。加えて、非常に高次のローパスフィルタなしに、スパイクを許容可能なレベルにまで抑制することは困難である。その上、スパイクは、内因性ECG心電位及び誘発ECG心電位又はEEG発作活動のような、対象となり得る信号に類似する場合があるため、特に問題である。
【0057】
計装用増幅器10は、フィードバック16を通じて定常状態におけるグリッチを実質的に抑制する。フィードバック16は、出力信号31をミキサ増幅器14の入力に再び印加して、ノイズの多い変調信号25を定常状態におけるゼロに追いやる。したがって、ミキサ増幅器14には動的パフォーマンスはほとんど必要とされない。これは、信号がミキサ増幅器14内に蓄積される前に変調プロセスを分割することによって達成され、それによって、スイッチング(変調)動態から全体のループ動態が分離される。その上、フィードバック経路を閉じることによって、計装用増幅器10の全体の利得が、入力キャパシタ、すなわち、フロントエンド12内のキャパシタCinと、フィードバックキャパシタ、すなわち、フィードバック経路16内のキャパシタCfbとの比によって設定される。キャパシタ比によって利得を設定することによって、感度は概してトランジスタ内のプロセス変動に影響されなくなる。このようにして、フィードバック16は、計装用増幅器10が低周波数における安定した(低ノイズの)測定を非常に低い電力で達成することを可能にする。
【0058】
計装用増幅器10の利得は、用途によって異なってもよい。ECG検知に関して、たとえば、約50の利得が望ましい場合がある。EEG検知に関して、500に近い利得が望ましい場合がある。一例として、たとえば、EEG検知に関して約500の利得を達成するために、Cinを20ピコファラッド(pF)に設定することができ、Cfbを40フェムトファラッド(fF)に設定することができる。別の例として、約50の利得を達成するために、Cinを10pFに設定することができ、Cfbを200fFに設定することができる。
【0059】
図5は、計装用増幅器10の例示的なノイズパフォーマンスを示すボード線図である。具体的には、ボード線図内の線58及び59はそれぞれ、チョッピングの前の(ミキサ増幅器14の入力の前の)ノイズ、及びノイズチョッピングの後の(ミキサ増幅器14の出力における)ノイズを表す。線58は、チョッピングの前のノイズ成分が主に低周波数に位置することを示している。高周波数においては、ホワイトノイズのみが存在している。好ましい一実施形態において、チョップ周波数は、1/fノイズのコーナー及び熱ノイズインターセプトポイントを上回る。したがって、線59は、チョッピングの後に信号内に含まれるノイズが実質的になくなっていることを示す。チョッピングの後に信号内に含まれるノイズは、本質的に理論的なホワイトノイズ限界である。
【0060】
図6は、計装用増幅器10のミキサ増幅器14の一実施形態例をより詳細に示す回路図である。上述のように、ミキサ増幅器14は、ノイズの多い変調入力信号25を増幅して増幅信号を生成し、当該増幅信号を復調する。ミキサ増幅器14はまた、復調信号からのノイズを実質的になくして出力信号31を生成する。図6の例において、ミキサ増幅器14は、低インピーダンスノードにおけるスイッチングを有する変更折り畳みカスコード増幅器である。変更折り畳みカスコードアーキテクチャは、分割される電流がノイズ効率を最大化することを可能にする。概して、折り畳みカスコードアーキテクチャは図6において、2組のスイッチを追加することによって変更される。一方の組のスイッチは図6においてスイッチ60A及び60B(まとめて「スイッチ60」と呼ばれる)として示され、他方の組のスイッチはスイッチ62A及び62B(まとめて「スイッチ62」と呼ばれる)を含む。
【0061】
スイッチ60は、チョップ周波数における復調のための増幅信号のチョッピングをサポートするチョップロジックによって駆動される。具体的には、スイッチ60は、増幅信号を復調して、フロントエンドオフセット及び1/fノイズを変調する。スイッチ62は、トランジスタM6、M7、M8及びM9によって形成される自己バイアスカスコードミラー内に埋め込まれ、チョップロジックによって駆動されて、トランジスタM8及びM9からの低周波誤差が上方変調される。トランジスタM6及びM7における低周波誤差は、トランジスタM8及びM9からのソースデジェネレーションによって減衰される。増幅器26の出力31はベースバンドにあり、これによって、トランジスタM10及びキャパシタ63(Ccomp)によって形成される積分器がフィードバック経路16(図6においては図示されない)及びフィルタ変調オフセットを安定化することが可能になる。
【0062】
ミキサ増幅器14は、3つの主要ブロック、すなわち、トランスコンダクタと、復調器と、積分器とを有する。その中心は折り畳みカスコードと同様である。トランスコンダクタ部分において、トランジスタM5は、入力トランジスタM1及びM2の差動対の電流源である。いくつかの実施形態において、トランジスタM5は、約800nAを渡すことができ、これはトランジスタM1とトランジスタM2との間で、たとえばそれぞれ400nAに分割される。トランジスタM1及びM2は、増幅器14に対する入力である。小さな電圧差が、通常の差動対のように、差動電流をトランジスタM1及びM2のドレイン内に誘導する。トランジスタM3及びM4は、ロー側電流シンクとしての役割を果たし、それぞれ約500nAをシンクすることができ、これは一定の、一般的に変化しない電流である。トランジスタM1、M2、M3、M4及びM5は共に差動トランスコンダクタを形成する。
【0063】
この例において、約100nAの電流が復調器部分の各脚部(leg:端子)を通じて引き込まれる。トランジスタM1及びM2からのチョップ周波数にあるAC電流も、復調器の脚部を通じて流れる。スイッチ60は、復調器の脚部の間で電流を前後に代わる代わる流して、測定信号を再びベースバンドに復調し、一方でトランスコンダクタからのオフセットはチョッパ周波数に上方変調される。既に考察したように、トランジスタM6、M7、M8及びM9は自己バイアスカスコードミラーを形成し、信号を、トランジスタM10及びキャパシタ63(Ccomp)によって形成される出力積分器内に通過させる前にシングルエンドにする。カスコード(M6〜M9)内に配置されるスイッチ62は、トランジスタM8及びM9からの低周波誤差を上方変調し、一方で、トランジスタM6及びトランジスタM7の低周波誤差は、それらがトランジスタM8及びM9から見込むソースデジェネレーションによって抑圧される。ソースデジェネレーションはまた、バイアスN2トランジスタ66からの誤差を抑圧したままにする。バイアスN2トランジスタM12及びM13は、チョッパスイッチングに対して低インピーダンスを提示すると共に信号電流をドレイン上の電圧とは無関係にトランジスタM6及びM7に渡す共通ゲート増幅器を形成する。
【0064】
出力DC信号電流及び上方変調された誤差電流は、トランジスタM10と、キャパシタ63と、下部NFET電流源トランジスタM11とによって形成される積分器に渡る。ここでも、この積分器は、フィードバック経路の安定化及び上方変調誤差源のフィルタリング除去の双方の役割を果たす。トランジスタM10のためのバイアスは約100nAとすることができ、トランジスタM8と比較してスケーリングされている。ロー側NFET M11のためのバイアスも約100nA(シンク)とすることができる。結果として、積分器は信号なしで平衡される。より多くの電流駆動が所望される場合、集積末端部(integration tail)における電流を、標準的な集積回路設計技法を使用して適切に増大させることができる。図6の例におけるさまざまなトランジスタは、電界効果型トランジスタ(FET)、及びより具体的にはCMOSトランジスタとすることができる。
【0065】
図7は、計装用増幅器10をより詳細に示すブロック図である。図7は例示に過ぎず、決して本発明を本開示において説明されるように限定するものとみなされるべきではないことを理解されたい。そうではなく、図7の目的は、計装用増幅器10の動作のより詳細な説明に使用される概観を提供することである。この概観は、本開示において提供される詳細な回路図に関連して上述の実施形態例を説明するための枠組みとして使用される。
【0066】
図7において、フロントエンド12は、変調差動入力信号25を出力する。変調差動入力信号は、搬送波周波数において対象の信号を搬送する。上述のように、フロントエンド12は、さまざまな異なる構成要素の形態をとることができる。フロントエンド12はたとえば、生理学的センサからの入力信号を変調(チョップ)する連続時間スイッチドキャパシタネットワーク、刺激電流を変調して、患者の組織を通じてミキサ増幅器14に交流結合されるAC変調信号を生成するインピーダンスセンサ、又は、データ符号化出力信号を無線チャネルにわたる送信のために搬送波周波数に変調するテレメトリ送信機の一部とすることができる。したがって、フロントエンド12は、本開示において広範に説明される差動変調入力信号を生成する任意の構成要素又は構成要素の組合せとすることができることを理解されたい。
【0067】
特に、生理学的センサに結合される連続時間スイッチドキャパシタネットワークを用いて実施される場合、連続時間スイッチドキャパシタネットワークは、生理学的センサによって出力される差動信号を搬送波周波数に変調(チョップ)する変調器として動作する。生理学的センサは、差動電圧信号を出力する一組の電極、加速度計、圧力センサ、電圧センサ又は他のセンサとすることができる。具体的には、生理学的センサはたとえば、ECG信号、EMG信号、EEG信号、又は他の信号のような生理学的信号に比例する差動信号を生成することができる。センサによって生成される差動信号は低周波信号である。一例として生理学的信号を使用すると、差動信号の周波数は約0Hz〜約100Hzの範囲内である場合があり、また約2Hzを下回り、また場合によっては約1Hzを下回る場合がある。
【0068】
生理学的センサ以外のセンサを使用することもできる。すなわち、センサは生理学的信号に比例する差動信号を出力する必要はない。そうではなく、センサは差動信号を出力する任意の電極、加速度計、圧力センサ、電圧センサ又は他のセンサとすることができ、差動信号は生理学的信号を表してもよいし若しくは表さなくてもよく、又は医療検知用途に役立つ場合もあれば若しくは役立たない場合もある。一方、生理学的センサの場合、搬送波周波数は、約4kHz〜約10kHzの範囲内とすることができるが、他の周波数も可能である。しかしながら、搬送波周波数が、対象のベースバンド信号の周波数よりも十分に高いと共に、信号内に重大なノイズを導入しない範囲内にある、すなわち、ミキサ増幅器14が信号内にノイズを導入することなく動作する周波数であることが重要である。
【0069】
この場合、フロントエンド12内の変調器は、入力信号の振幅を変調(チョップ)するために、生理学的センサの出力の間で切り替えられるスイッチ、たとえば、CMOSスイッチの差動セットを含むことができる。クロック96は、フロントエンド12内の変調器及びミキサ増幅器14内の復調器86が、搬送波(チョップ)周波数における差動入力信号を変調するために使用するクロック信号を供給する。一端において、スイッチは互いに交差結合され、センサの出力端子の間で切り替えを行ってコモンモード信号を拒絶し、連続時間プロセス、すなわち、非サンプリングプロセスとして動作する。スイッチは、他端においてミキサ増幅器14の入力キャパシタに結合されて、連続時間スイッチドキャパシタネットワークが形成される。このようにして、フロントエンド12は、ミキサ増幅器14に対する入力において差動入力信号を振幅変調(チョップ)する。したがって、フロントエンド12によって生成される変調差動入力信号は、搬送波周波数に等しい周波数を有する方形波である。この実施形態例の回路図は、図8において提供される。
【0070】
フロントエンド12は、インピーダンスセンサとして実施される場合、一端において基準電位に、また他端において対応する抵抗に結合される一組のCMOS SPDTスイッチを含むことができる。スイッチは、複数の基準電位の間で切り替えを行い、互いに交差結合されて、抵抗を通じて刺激電流を変調(チョップ)すると共にコモンモード信号を拒絶する。抵抗は、患者の組織を通じてミキサ増幅器14に交流結合されるそれぞれのキャパシタに直列接続することができる。チョップされた刺激電流は、ミキサ増幅器14に交流結合される搬送波周波数において変調された振幅を有する、組織に対するチョップされた電圧を生成する。この実施形態例の回路図は、図9において提供される。
【0071】
計装用増幅器10がテレメトリ信号を復調するために使用される場合、フロントエンド12を、テレメトリシステム内の送信機の一部とみなすことができる。具体的には、フロントエンド12は、テレメトリの技術分野において既知の、データ符号化信号を無線チャネルにわたる送信のための搬送波周波数に変調する任意の回路部を使用して実施することができる。たとえば、フロントエンド12は、患者内に埋め込まれて臨床医プログラマ又は患者プログラマと通信するIPG内に配置される受信機の一部とみなすことができる。代替的に、フロントエンド12は、患者内に埋め込まれるIPGと通信する臨床医プログラマ又は患者プログラマの受信機の一部とすることができる。この実施形態例の詳細なブロック図が図15Aにおいて提供される。
【0072】
いずれにせよ、フロントエンド12は、ミキサ増幅器14のための差動入力信号を生成する。ノイズ、たとえば、1/fノイズ、ポップコーンノイズ、及びオフセットは、ミキサ増幅器14において計装用増幅器10の信号路に入り、ノイズの多い変調入力信号25を生成する。ノイズの多い変調入力信号25は、搬送波周波数に上方変調されている本来の低周波成分と、ベースバンドにおけるノイズ成分とを含む。
【0073】
上述のように、ミキサ増幅器14は、図6において示される変更折り畳みカスコード増幅器アーキテクチャを使用して実施することができる。基準・バイアス生成器94は、バイアス電圧及び基準電圧をミキサ増幅器14に供給する。簡潔にするために、ミキサ増幅器14は、図7においては増幅器84と、復調器86と、積分器88とを含むものとして示されており、これらは図2における増幅器26、復調器28、及び積分器30に対応する。したがって、増幅器84はノイズの多い変調入力信号25を増幅し、復調器86は増幅信号27を復調する。より具体的には、復調器86は、増幅信号の本来の低周波信号成分を再びベースバンドに下方復調し、ノイズ23を搬送波周波数に上方変調し、それによって、所望の信号とノイズとの間の分離を維持する。クロック96は、復調器86を駆動するためのクロック信号を供給する。たとえば、図6の回路図に関連して、クロック96は、復調器86として動作するスイッチ60及び62を駆動するためのクロック信号を供給する。積分器88は、復調信号29を基準・バイアス生成器94によって供給される基準電圧に関して積分し、ベースバンドの外側の周波数を有する信号成分を実質的になくすローパスフィルタとして機能する。したがって、復調信号29の搬送波周波数にあるノイズは、積分器88の出力、すなわち、出力信号31から実質的になくなる。
【0074】
図7において、フィードバック16は、負フィードバック経路90と、負フィードバック経路92と、正フィードバック経路98とを含む。差動−シングル変換を提供するために、フィードバック経路90、92、及び98のそれぞれは、ミキサ増幅器14のそれぞれの正差動入力及び負差動入力にフィードバックを提供するための2つの対称フィードバック経路分岐を含むことができる。具体的には、負フィードバック経路90は、ミキサ増幅器14に対する入力において負フィードバックを提供して信号変化を小さく維持する。負フィードバック経路90のフィードバック経路分岐のそれぞれは、基準・バイアス生成器94によって提供される基準電圧を用いて出力信号31を変調する。負フィードバック経路が負フィードバック経路90内に常に存在することを確実にするために、フィードバック経路90の負フィードバック経路分岐に適用されるチョップ周波数は、フロントエンド12と同期しているフィードバック経路のうちの1つと互いに180度の位相のずれがあるべきである。このようにして、負フィードバック経路90のフィードバック経路分岐のうちの1つは、半クロックサイクルのそれぞれの間に負フィードバックを適用している。結果として、ミキサ増幅器14の入力における差動信号は小さく、基準電圧を中心としている。負フィードバック90は、計装用増幅器10の動的な制限、すなわち、出力信号31におけるグリッチを実質的になくす。
【0075】
負フィードバック経路92はハイパスフィルタの構成を可能にする。具体的には、負フィードバック経路92は、計装用増幅器10の出力、すなわち、出力信号31を、基準・バイアス生成器94によって供給される基準電圧に関して積分し、積分信号を、キャパシタを通じてミキサ増幅器14の入力に印加する。負フィードバック経路92のフィードバック経路分岐のそれぞれは、積分出力信号を基準電圧を用いて変調する。上述の負フィードバック経路90のフィードバック経路と同様に、負フィードバック経路92のフィードバック経路分岐の相対位相整合が、負フィードバック経路が半クロックサイクルのそれぞれにわたって存在することを確実にすべきである。動作中、負フィードバック経路92は主として低周波数にあり、計装用増幅器10のDC応答を抑制する。一方で、負フィードバック経路90は主として通過帯域周波数にある。フィードバック経路90内のフィードバックキャパシタのスケーリング及びフィードバック経路92の時定数は、フィルタのハイパスコーナーを設定する。換言すれば、フィードバック経路90及び92内のキャパシタは、ハイパスコーナーの設定に使用される。
【0076】
一例として、ハイパスフィルタは、計装用増幅器10が心臓モニタリング用途に使用される場合にはペーシング後アーティファクトの拒絶に、また、計装用増幅器が脳信号のモニタリングに使用される場合には電極オフセットのフィルタリング除去に有用であり得る。一例として、フィードバック経路92を、約2.5Hz、0.5Hz、又は0.05Hzに等しいカットオフ周波数を有するハイパスフィルタを構成するのに使用することができる。この場合、フィードバック経路92は主として、2.5Hz、0.5Hz、又は0.05Hzのカットオフ周波数を下回る周波数にあることができ、一方でフィードバック経路90は主として、これらのカットオフ周波数を上回る周波数にあることができる。一例では、フィードバック経路92は、約0.5Hzのカットオフ周波数を有することができ、それによって、フィードバック経路90が主として約0.5Hzを上回る、たとえば、約5Hz〜100Hzの周波数にあることが可能となる。
【0077】
正フィードバック経路98は、計装用増幅器10の入力インピーダンスを増大させる。より具体的には、正フィードバック経路98は、出力信号31をサンプリングして、チョッパ変調が入力信号に適用される前に、フィードバックをフロントエンド12に提供する。正フィードバックは事実上、サンプリングプロセス中に失われた、ミキサ増幅器14に対する入力キャパシタ上の「電荷に取って代わる」。正フィードバック経路98は、計装用増幅器10の入力インピーダンスを1桁以上増大させることができる。正フィードバック経路98の各フィードバック経路分岐は、補償電荷を入力キャパシタに付加するスイッチドキャパシタ構成を含むことができる。
【0078】
図7はフィードバック経路16を負フィードバック経路90、負フィードバック経路92、及び正フィードバック経路98を含むものとして示すが、負フィードバック経路90のみが、計装用増幅器10が低周波数における安定した測定を非常に低い電力で達成することを可能にすることができる。したがって、フィードバック経路92、98は、計装用増幅器10がさらなるパフォーマンス向上を達成することを可能とする任意選択の補助フィードバック経路とみなすことができる。したがって、本開示において説明される本発明のさまざまな実施形態例は、フィードバック経路92、98の一方若しくは双方を含んでもよく、又はいずれも含まなくてもよい。計装用増幅器がフィードバック経路92及び98を含む場合、正フィードバック経路98は、ミキサ増幅器14の信号をサンプリングする代わりに、負フィードバック経路92からの積分出力信号をサンプリングすることができる。フィードバック経路90、92、98の相対配置は、さらなる図面における以下の回路図からより明らかになり得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、クロック96は、1つ又は複数のクロックを含むことができる。たとえば、計装用増幅器10が単一チップに埋め込まれる場合、単一のクロックがフロントエンド12、ミキサ増幅器14、及びフィードバック経路16にクロック信号を供給することができる。しかしながら、計装用増幅器10がテレメトリ信号の復調に使用される場合のようないくつかの実施形態において、フロントエンド12は、ミキサ増幅器14及びフィードバック16とは別個のチップ上で実施される場合がある。この場合、フロントエンド12は或るクロックからクロック信号を供給されることができ、一方で異なるクロックがミキサ増幅器14及びフィードバック16にクロック信号を提供する。この場合、2つのクロックは互いに同相でなくてもよい。送信信号を確実に回復することができるようにするためには、クロックは互いに同相であるべきであるため、クロックを同期させるさらなる回路部が受信機において必要とされ得る。
【0080】
基準・バイアス生成器94は、フロントエンド12、ミキサ増幅器14、負フィードバック経路90、及び負フィードバック経路92にバイアス電圧を供給する。フロントエンド12が生理学的センサを含む場合、基準・バイアス生成器94は、生理学的センサを駆動する基準電圧を供給することができる。基準・バイアス生成器94は、インピーダンスセンサの電極に基準電圧を供給することもできる。ミキサ増幅器14に関して、基準・バイアス生成器94は、図6に示すようにトランジスタにバイアスをかけるためのバイアス電圧を供給することができる。上述のようなフィードバック経路90及び92内の信号と合成される基準電圧を、基準・バイアス生成器94によって供給することもできる。0ボルト〜1.2ボルト(バンドギャップ)又は0ボルト〜0.6ボルト(バンドギャップの半分)のバイアス電圧を、バイアス点として使用することができる。
【0081】
図8は、計装用増幅器100を示す回路図である。計装用増幅器100は、本開示において上述した計装用増幅器10の一実施形態例である。図8において、計装用増幅器100は、その出力102A及び102B(まとめて「出力102」と呼ばれる)にわたる差動電圧を生成するセンサ101を備える。出力102A及び102Bはそれぞれ、電圧Vin−plus及びVin−minusを提供する。センサ101は、生物物理学的信号を出力102にわたる差動電圧に変換する生理学的センサとすることができる。たとえば、センサ101は、加速度計、圧力センサ、力センサ、ジャイロスコープ、湿度センサ、一対の電極等とすることができる。
【0082】
入力102A及び102Bはそれぞれ、スイッチ104A及び104B(まとめて「スイッチ104」と呼ばれる)を通じてキャパシタ106A及び106B(まとめて「キャパシタ106」と呼ばれる)に接続される。スイッチ104は、システムクロック(図示せず)によって提供されるクロック信号によって駆動され、互いに交差結合されてコモンモード信号を拒絶する。キャパシタ106は、一端においてスイッチ104のうちの対応する一方に結合され、他端においてミキサ増幅器116の対応する入力に結合される。具体的には、キャパシタ106Aはミキサ増幅器116の正入力に結合され、キャパシタ106Bは増幅器116の負入力に結合され、それによって、差動入力が提供される。
【0083】
図8において、センサ101、スイッチ104、及びキャパシタ106はフロントエンド110を形成する。フロントエンド110は概して計装用増幅器10のフロントエンド12に対応する。具体的には、フロントエンド110は、フロントエンド12に関して上述したような連続時間スイッチドキャパシタネットワークとして動作する。スイッチ104は、入力102がクロック周波数においてキャパシタ106に結合されてセンサ101の出力が搬送波(クロック)周波数に変調(チョップ)される開状態と閉状態との間で切り替えを行う。上述のように、センサ101の出力は、約0Hz〜約100Hzの範囲内の低周波信号とすることができる。搬送波周波数は、約4kHz〜約10kHzの範囲内とすることができる。そのため、低周波数センサ出力は、より高いチョップ周波数帯域にチョップされる。
【0084】
スイッチ104は、互いに同相に切り替えを行って差動入力信号をミキサ増幅器116に提供する。クロック信号の第1の位相の間、スイッチ104Aはセンサ出力102Bをキャパシタ106Aに接続し、スイッチ104Bはセンサ出力102Aをキャパシタ106Bに接続する。第2の位相の間、スイッチ104は、スイッチ104Aがポート102Aをキャパシタ106Aに結合し、スイッチ104Bがポート102Bをキャパシタ106Bに結合するように、状態を変更する。スイッチ104は、第1の位相と第2の位相との間で同期して交互に切り替えを行い、搬送波周波数において出力102における差動電圧を変調する。結果としてのチョップされた差動信号はキャパシタ106にわたって印加され、キャパシタ106は差動信号をミキサ増幅器116の入力にわたって結合する。
【0085】
抵抗108A及び108B(まとめて「抵抗108」と呼ばれる)は、ミキサ増幅器116の入力における電圧バイアスを制御するDC伝導経路を提供する。換言すれば、抵抗108は、バイアスインピーダンスを高く維持するのに使用される等価抵抗を提供するように選択することができる。抵抗108はたとえば、5GΩの等価抵抗を提供するように選択することができるが、等価抵抗の絶対的な大きさ(absolute size:実寸)は計装用増幅器100のパフォーマンスにとっては重要ではない。概して、インピーダンスを増大させることによって、ノイズパフォーマンス及び高調波の拒絶が改善されるが、過負荷からの回復時間が延びてしまう。基準系を提供するために、5GΩの等価抵抗の結果、約25pFの入力キャパシタンス(Cin)に関して約20nV/rtHzの基準−入力(RTI)ノイズが生じる。これに鑑みて、インピーダンスを高く維持することに対するより強い動機は、半クロックサイクルのそれぞれの間のミキサ増幅器116の入力ノードにおけるセトリングに起因して信号チェーンにエイリアシングする可能性がある高周波数の高調波の拒絶である。
【0086】
抵抗108は例示であり、ミキサ増幅器116に入力される信号を制御する多くの異なるバイアス方式のうちの1つを示す役割を果たすに過ぎないことに留意することが重要である。実際、結果として生じる等価抵抗の絶対値は重要でないため、バイアス方式は適応性がある。概して、抵抗108及び入力キャパシタ106の時定数は、チョッピング周波数の逆数よりも約100倍長くなるように選択することができる。
【0087】
ミキサ増幅器116は、その入力に印加される差動信号内にノイズ及びオフセットを生成するおそれがある。このため、差動入力信号は、スイッチ104A、104B及びキャパシタ106A、106Bを介してチョップされ、対象の信号がノイズ及びオフセットとは異なる周波数帯域に置かれる。ついで、ミキサ増幅器116は、ノイズ及びオフセットをチョップ周波数帯域に上方変調しながら、増幅信号を再びチョップして、対象の信号をベースバンドに下方復調する。このようにして、計装用増幅器100は、ノイズ及びオフセットと対象の信号との間の十分な分離をを維持する。ミキサ増幅器116及びフィードバック経路118は低電力で動作しながら、ノイズの多い変調入力信号を処理して、センサ101によって出力される低周波信号の安定した測定を達成する。
【0088】
上述のように、低電力における動作は、ミキサ増幅器116の帯域幅を制限する傾向にあり、出力信号内に歪み(リップル)を生じる。ミキサ増幅器116及びフィードバック経路118は上述のミキサ増幅器14及びフィードバック経路16に対応し、したがって、上述のミキサ増幅器14及びフィードバック経路16と同様に動作する。より具体的には、フィードバック経路118は、図7において説明される負フィードバック経路90に対応する。ミキサ増幅器116及びフィードバック経路118はそれぞれ、低−インピーダンスノード及びACフィードバックにおけるチョッピングを組み合わせることによってチョッパ安定化の動的な制限を実質的になくす。
【0089】
図8において、ミキサ増幅器116は簡潔にするために、増幅器の回路記号を用いて表される。しかしながら、ミキサ増幅器116は、図6において提供される回路図に従って実施することができることを理解されたい。したがって、ミキサ増幅器116は、フロントエンド12に対する同期復調を提供し、信号からの1/fノイズ、ポップコーンノイズ、及びオフセットを実質的になくし、センサ101によって生成される差動電圧の増幅表現である信号を出力する。
【0090】
フィードバック経路118によって提供される負フィードバックが無い場合、低電力においては増幅器の帯域幅が制限されるため、ミキサ増幅器116の出力は所望の信号に重ね合わされるスパイクを含む。一方、フィードバック経路118によって提供される負フィードバックは、これらのスパイクを抑制し、それによって、定常状態における計装用増幅器100の出力は、ノイズがごくわずかである、センサ101によって生成される差動電圧の増幅表現となる。
【0091】
図8におけるフィードバック経路118は、差動−シングルエンドインタフェースを提供する2つのフィードバック経路を含むことができる。上方のフィードバック経路分岐は、ミキサ増幅器116の出力を変調してミキサ増幅器116の正入力端子に対する負フィードバックを提供する。このフィードバック経路分岐は、キャパシタ112Aとスイッチ114Aとを含む。同様に、フィードバック経路118の下方のフィードバック経路分岐は、ミキサ増幅器116の出力を変調してミキサ増幅器116の負入力端子に対する負フィードバックを提供するキャパシタ112B及びスイッチ114Bを含む。キャパシタ112A及び112Bはそれぞれ、一端においてスイッチ114A及び114Bに接続され、他端においてミキサ増幅器116の正入力端子及び負入力端子に接続される。
【0092】
スイッチ114A及び114Bはそれぞれ、基準電圧(Vref)とミキサ増幅器116の出力との間で切り替えを行ってキャパシタ112A及び112B上に電荷を置く。基準電圧は、たとえば、増幅器116の最大レール電圧と接地との間の中間レール電圧とすることができる。たとえば、増幅器回路が0ボルト〜2ボルトの電源を用いて給電される場合、中間レールVref電圧は、1ボルト程度とすることができる。重要なことには、負フィードバック経路が半クロックサイクルのそれぞれの間に存在することを確実にするために、スイッチ114A及び114Bには互いに180度の位相のずれがあるべきである。スイッチ114のうちの一方はまた、負フィードバックがミキサ増幅器116に対する入力信号の振幅を抑制して定常状態における信号変化を小さく維持するように、ミキサ増幅器116と同期しているべきである。信号変化を小さく維持すること、及び、たとえば、図6の回路図に示すようなミキサ増幅器116の低インピーダンスノードにおけるスイッチングによって、スイッチングノードにおいて大きな電圧遷移のみが生じる。したがって、ミキサ増幅器116の出力においてグリッチ(リップル)は実質的になくなるか又は低減される。
【0093】
スイッチ104及び114、並びにミキサ増幅器116の低インピーダンスノードにおけるスイッチは、CMOS SPDTスイッチとすることができる。CMOSスイッチは、スイッチングを連続プロセスとみなすことを可能にする、高速スイッチング動態を提供する。計装用増幅器100の伝達関数を下記の式(1)において提供される伝達関数によって定義することができ、式中、Voutはミキサ増幅器116の出力の電圧であり、Cinは入力キャパシタ106のキャパシタンスであり、ΔVinはミキサ増幅器116に対する入力における差動電圧であり、Cfbはフィードバックキャパシタ112のキャパシタンスであり、Vrefはスイッチ114がミキサ増幅器116の出力と合成する基準電圧である。
【0094】
Vout=Cin(ΔVin)/Cfb+Vref (1)
式(1)から、計装用増幅器100の利得が入力キャパシタCinとフィードバックキャパシタCfbとの比、すなわち、キャパシタ106とキャパシタ112との比によって設定されることが明らかである。Cin/Cfbの比は100程度になるように選択することができる。キャパシタ112は、poly−polyキャパシタ、オンチップキャパシタ又は他の種類のMOSキャパシタとすることができ、良好にマッチしている、すなわち、対称であるべきである。
【0095】
図8には図示されていないが、計装用増幅器100は、増幅器100の出力を自動的にゼロ化する並列フィードバック経路を含むことができる。並列フィードバック経路は、増幅器100を迅速にリセットするのに使用することができる。バイアスしているノードを迂回して増幅器を迅速にリセットするのに役立つ緊急再充電スイッチを設けることもできる。入力キャパシタ106の機能は、センサ101からの低周波差動電圧を上方変調するして、コモンモード信号を拒絶することである。上記で考察したように、上方変調を達成するために、差動入力は、SPDTスイッチ104を通じて検知キャパシタ106A、106Bに接続される。スイッチの位相整合によって、ac相互コンダクタンス合成増幅器116に対する差動入力が提供される。これらのスイッチ104はクロック周波数、たとえば、4kHzにおいて動作する。検知キャパシタ106は2つの入力の間で切り替えを行うため、差動電圧は搬送波周波数に上方変調され、一方で低周波コモンモード信号は電荷伝達関数におけるゼロによって抑圧される。より高い−帯域幅のコモン信号の拒絶は、この差動アーキテクチャ及びキャパシタの良好なマッチングに依存する。
【0096】
図8にさらに示すように、心臓ペースメーカ、心臓ディフィブリレータ、又は神経刺激装置によって送達される刺激パルスに関して測定が行われる用途に関して、ブランキング回路部を計装用増幅器100の、ミキサ増幅器116の入力及び結合キャパシタ106に追加して、入力信号が、ミキサ増幅器116をフロントエンド110に再接続する前に安定化することを確実にすることができる。たとえば、ブランキング回路部は、ミキサ増幅器116をフロントエンド110に選択的に結合し、フロントエンド110から分離するブランキングマルチプレクサ(MUX)111とすることができる。このブランキング回路部は、ミキサ増幅器を差動入力信号から選択的に減結合し、第1の変調器及び第2の変調器、すなわち、スイッチ104、114を、たとえば、刺激パルスの送達中に選択的にディセーブルする。
【0097】
ブランキングMUX111は任意選択であるが、望ましい場合がある。ミキサ増幅器116上の残留オフセット電圧は増幅器を数ミリ秒で飽和させるため、スイッチ104、114を変調器として機能するように駆動するクロック単純に遮断することはできない。このため、心臓ペースメーカ若しくはディフィブリレータによる、又は神経刺激装置による刺激の印加の間の指定時間期間及び印加に続く指定時間期間にわたって、増幅器116を入力信号から減結合するブランキングMUX111を提供することができる。
【0098】
適切なブランキングを達成するために、ミキサ増幅器116が入力信号の復調を継続している間に、入力スイッチ104及びフィードバックスイッチ114はディセーブルされているべきである。これによって、変調信号は積分器の入力には存在しないため、復調器がDCオフセットのチョッピングを継続している間、ミキサ増幅器116内の積分器の状態が保持される。したがって、ブランキングMUX111は、回路部をさらに含むか、又はブランキング間隔の間にスイッチ104、114を選択的にディセーブルするように構成される回路部に関連付けることができる。ブランキング後、いくらかの摂動が残る場合があるため、ミキサ増幅器116は、再び安定化するためにさらなる時間を必要とする場合がある。したがって、総ブランキング時間は、入力スイッチ104及びスイッチ114がディセーブルされている間に入力信号を復調するための時間、及び、任意の残った摂動を安定化させるための時間を含む。刺激パルスの印加に続くブランキング時間の一例は、ミキサ増幅器116のための5ms及びAC結合構成要素のための3msの約8msとすることができる。
【0099】
図9は、組織負荷211にわたってインピーダンスを測定する計装用増幅器200を示す回路図である。組織負荷211は、計装用増幅器200によってインピーダンスが測定される患者の組織を表す。組織211は、心臓組織、肺組織、若しくは脳組織、筋組織、脂肪組織、又は、慢性疾患状態若しくは急性疾患状態又は他の医療状態を診断するためにインピーダンスを測定することができる他の組織のような臓器組織とすることができる。インピーダンス測定の用途のいくつかの例は、肺水腫の検出、呼吸の分時換気量測定、心力学の測定、及び脳信号の測定を含む。概して、計装用増幅器200が組織内の興奮細胞を刺激せず、また電極腐食のような他の有害な効果を引き起こさないことが重要である。
【0100】
計装用増幅器200は該して、図1〜図7を参照して説明される計装用増幅器10に一致することができる。図9の例において、計装用増幅器200は、低い電力、固有の荷電平衡、電極電位の拒絶、及び小さな刺激電流を伴って組織負荷211のインピーダンスを正確に測定するための同期検出原理を適用する。計装用増幅器200は、上述の計装用増幅器10の一実施形態例である。計装用増幅器10と同様に、計装用増幅器200は、フロントエンド210と、ミキサ増幅器226と、フィードバック経路228とを含む。これらの特徴は概して、計装用増幅器10のフロントエンド12、ミキサ増幅器14、及びフィードバック経路16に対応することができる。
【0101】
図9において、フロントエンド210は、ポート202A及び202B(まとめて「ポート202」と呼ばれる)における入力電圧と、スイッチ204A及び204B(まとめて「スイッチ204」と呼ばれる)と、抵抗206A及び206B(まとめて「抵抗206」と呼ばれる)と、キャパシタ208A及び208B(まとめて「キャパシタ208」と呼ばれる)とを含む。概して、フロントエンド210は、組織負荷211上に電圧を生成する刺激電流を変調する。刺激電流は、1本又は複数本のリード線上に取り付けるか又は埋め込み可能医療デバイスハウジングの表面上に担持することができる2つ以上の電極を介して組織負荷211にわたって印加することができる。同様に、組織負荷211にわたる、結果として生じる電圧信号は、1本又は複数本のリード線上に又はデバイスハウジング上に配置される2つ以上の電極によって検知することができる。組織負荷211上の電圧はそれぞれ、キャパシタ222A及び222B(まとめて「キャパシタ222」と呼ばれる)によってミキサ増幅器226の正入力及び負入力に交流結合される。したがって、組織負荷211によって表される組織はDC電流に曝されない。その上、約10μA以下とすることができる小さな変調(AC)刺激電流は、組織負荷211によって表される組織を実質的に興奮させ得ない。
【0102】
スイッチ204は、ポート202における入力電圧(Vstim+及びVstim−)の間で切り替えを行って、抵抗206Aとキャパシタ208Aとから成る抵抗−キャパシタ(RC)対、及び抵抗206Bとキャパシタ208Bとから成る抵抗−キャパシタ(RC)対を通じて刺激電流を生成する。スイッチ204、抵抗206及びキャパシタ208は、211のような負荷に印加するための、クロック周波数における交流(ac)刺激電流を生成するac源を形成することができる。具体的には、スイッチ204、抵抗206及びキャパシタ208は、クロック周波数において第1の電圧Vstim+及び第2の電圧Vstim−を変調して、負荷に印加するための刺激電流を生成する変調器を形成する。しかしながら、他の種類のac電流源を使用してインピーダンス測定のためのac刺激電流を提供することができる。
【0103】
入力電圧Vstim+及びVstim−は、埋め込み可能医療デバイスのような、計装用増幅器200が採用されるデバイス内の調整された電力供給装置によって提供することができる。スイッチ204はチョッパ周波数において開閉し、事実上、ポート202における入力電圧によってRC対(206、208)を介して送達される、組織インピーダンスを測定するための入力刺激電流をチョップする。このようにして、フロントエンド210は、ミキサ増幅器226及びフィードバック経路228によって処理される変調差動入力信号を生成する。ポート202における刺激電流は、患者内に埋め込まれるIPGに接続されるリード線上に担持される電極によって提供することができる。これは、インピーダンス測定のための刺激電流の送達の一例である。代替形態として、インピーダンス測定のための刺激電流を1つ又は複数のスイッチド電流源によって生成することができる。ポート202における基準電圧並びに抵抗206及びキャパシタ208のサイズは、刺激電流、測定の線形性、及びスイッチ204を駆動するクロック(図示せず)と比較しての計装用増幅器200の時定数に対する制約によって決定され得る。
【0104】
一例として、10μAの刺激電流を使用して、ポート202A及び202Bにおける電圧は、それぞれ2V及び0Vを提供することができ、抵抗206は100kΩの抵抗として選択することができる。代替的に、2000kΩの抵抗を使用することによって、100kΩの抵抗で0.5μAの刺激電流がもたらされる。キャパシタ208に10nFのキャパシタを使用する結果として、1msの時定数を有する刺激電流が生じる。これは、安定化動態からの誤差が最小であることを確実にするために、刺激電流が約5kHzの周波数を有することを必要とする。この場合、測定の非線形性は、1kHzの負荷を想定すると、0.5%未満に抑制される。
【0105】
ミキサ増幅器226に対する入力は、ハイパスフィルタ212及び結合キャパシタ222A、222Bを含むことができる。いくつかの実施形態において、ハイパスフィルタ212は、心臓動的測定の最小値へのペーシング後回復の維持を支援する。図9において、ハイパスフィルタ212は、キャパシタ214A、214B(まとめて「キャパシタ214」と呼ばれる)及び抵抗216A、216B(まとめて「抵抗216」と呼ばれる)を含む。キャパシタ214及び抵抗216の値は、ハイパスフィルタ212が、任意の残留ペーシング誤差を2.5ms〜5msの時定数内で安定化させながら、最小位相誤差、たとえば、1%を下回る等価測定誤差がミキサ増幅器226において発生することを確実にするハイパスコーナー周波数を有するように選択することができる。心臓インピーダンス分析のようないくつかの用途に関して、ハイパスコーナー周波数は、たとえば、約300Hz〜約800Hzの範囲内とすることができる。
【0106】
抵抗224A及び224B(まとめて「抵抗224」と呼ばれる)は、ミキサ増幅器226の入力における電圧を制御する。したがって、抵抗224は、図7における抵抗108と同様であり、例示に過ぎない。上述のように、抵抗224又は異なるバイアス方式を選択して5GΩの等価抵抗を提供することができるが、この絶対値は重要ではない。
【0107】
ミキサ増幅器226及びフィードバック経路228は、ノイズの多い変調入力信号を処理して、低電力で動作しながら組織負荷211上の差動電圧の安定した測定を達成する。ミキサ増幅器226及びフィードバック経路228は概して、図7におけるミキサ増幅器116及びフィードバック経路118に対応する。したがって、ミキサ増幅器226は、フロントエンド12に対する同期復調を提供し、増幅出力信号からのノイズ、すなわち、1/fノイズ、ポップコーンノイズ、及びオフセットを実質的になくす。ミキサ増幅器226は、たとえば、図6に実質的に示すような、低インピーダンスノードにおけるスイッチングを有する、変更折り畳みカスコードアーキテクチャを使用して実施することができる。
【0108】
図9に示すように、フィードバック経路228は、負フィードバック及びシングル−差動インタフェースを提供する上方のフィードバック経路分岐及び下方のフィードバック経路分岐を含む。上方のフィードバック経路分岐及び下方のフィードバック経路分岐はそれぞれ、スイッチ232A及び232B(まとめて「スイッチ232」と呼ばれる)に接続されるキャパシタ230A及び230B(まとめて「キャパシタ230」と呼ばれる)を含む。スイッチ232A及び232Bには互いに180度の位相のずれがあり、ミキサ増幅器226の出力と基準電圧(Vref)との間で切り替えを行ってミキサ増幅器226の出力を変調する。したがって、フィードバック経路218は、本開示において上述したように、ミキサ増幅器226に対する入力における信号変化を小さく維持する負フィードバックを提供する。
【0109】
スイッチ206、スイッチ232、及びミキサ増幅器226内の低インピーダンスノードにおけるスイッチは、CMOS SPDTスイッチ又は高速スイッチング動態を提供する他のスイッチとすることができる。計装用増幅器200の伝達関数は上記の図7及び図8の説明において提供されている計装用増幅器100の伝達関数と同じである。したがって、フィードバックキャパシタ、すなわち、キャパシタ230のキャパシタンスと、入力キャパシタ、すなわち、キャパシタ222のキャパシタンスとの比が、計装用増幅器226の利得を設定する。キャパシタ222及び230は、poly−polyキャパシタ又は他の種類のMOSキャパシタとすることができ、良好にマッチしている、すなわち対称であるべきである。キャパシタ222及び230は、他の計装用増幅器の構成要素と共にチップ上に配置することができる。
【0110】
動作中、計装用増幅器200は、電磁干渉(EMI)を搬送波周波数及び奇数調波における変調入力信号に折り畳む(fold)ことができる。チャネルが損なわれるか否かを判断するために、刺激電流がフロントエンド210に印加されていない状態で計装用増幅器200の出力をモニタリングすることができる。代替的に、スペクトラム拡散技法を使用して、フロントエンド210とミキサ増幅器226との間の同期クロック検出を中断させることができる。スペクトラム拡散クロッキングは、相関インピーダンス測定を維持しながら、無相関ノイズを、ミキサ増幅器226によって実質的になくなる広帯域ノイズ信号に分解する。
【0111】
計装用増幅器200の出力を、組織負荷211のインピーダンスを測定するためのさらなる処理を適用するアナログ−デジタル変換器(ADC)(図示せず)に送信することができる。さらに、計装用増幅器200が患者内に埋め込まれる場合、組織−電極インタフェース(フロントエンド12)を測定回路(ミキサ増幅器226及びフィードバック経路228)から直流的に絶縁することができる。絶縁は、電極分極を拒絶して電極にわたる正味の荷電平衡を確実にするのに役立つ。
【0112】
計装用増幅器200は、リード線インピーダンスの測定を浮腫、分時換気量、及び心力学に関するインピーダンス測定から分離するのに使用することができる。この理由は、2つの測定に関して要件が異なることである。リード線インピーダンスは通常、ペーシング又は刺激パルスの送達の直前に、測定を必要とするいくつかのベクトルを有するサンプルを迅速に取り出すことを必要とする。刺激パルスは測定に直接には従わないため、検知チャネルの摂動は主要問題ではない。これには、大きな、速い、サンプリングされた刺激電流の印加が好ましい。しかしながら、浮腫、分時換気量及び心力学の測定は、検知チャネルに摂動及びノイズがあるべきではない低周波数において行われる。この測定、すなわち、リード線インピーダンスの測定からの大きな摂動は、検知チャネルのペーシング後の誘発電位を正確に検出する能力を損ない、結果として過剰検知してしまう可能性がある。したがって、浮腫、分時換気量及び心臓の動的測定には、連続時間方法を用いて平均化された低レベルの刺激が好ましい。計装用増幅器200は、浮腫、分時換気量及び心臓の動的測定をリード線インピーダンスの測定から分離することを可能にする。
【0113】
図9には図示しないが、心臓ペースメーカ又は神経刺激装置によって送達される刺激パルスに関して測定が行われる用途に関して、図8に示されるブランキングMUX111のようなブランキング回路部を計装用増幅器200に追加することができる。たとえば、ブランキングMUXは、入力キャパシタ222をミキサ増幅器226の入力から接続解除することができる。加えて、入力変調器及びフィードバック変調器をブランキング期間中にディセーブルすることができる。いくつかの実施形態において、ブランキングMUXをハイパスフィルタ212と結合キャパシタ222との間に配置して、ミキサ増幅器226をフロントエンド210に再接続する前に、入力信号が安定化することを確実にすることができる。そのため、ブランキング回路部は、選択的に、ミキサ増幅器226をフロントエンド210に結合し、またミキサ増幅器226をフロントエンド210から分離するマルチプレクサ(MUX)とすることができる。図8を参照して述べたように、ミキサ増幅器226上の残留オフセット電圧は増幅器を数ミリ秒で飽和させるためにスイッチを駆動するクロックを単純に切ることはできないため、ブランキング回路部が望ましい場合がある。
【0114】
適切なブランキングを達成するために、入力スイッチ222及びフィードバックスイッチ232は、ミキサ増幅器226が入力信号の復調を継続している間はディセーブルされているべきである。復調器がDCオフセットのチョッピングを継続している間、積分器の入力に変調信号は存在しないため、これによってミキサ増幅器226内の積分器の状態が保持される。ブランキング後、いくらかの摂動が残存するおそれがあるため、ミキサ増幅器226は、再び安定化するためにさらなる時間を必要とする場合がある。したがって、総ブランキング時間は、入力スイッチ及びフィードバックスイッチがディセーブルされている間に入力信号を復調するための時間と、任意の残存する摂動を安定化させるための時間とを含む。一例のブランキング時間は、ミキサ増幅器226のための5ms及びAC結合構成要素のための3msの約8msとすることができる。
【0115】
実験を通じて、計装用増幅器200を介しての測定の線形性は、500nAの刺激電流に対しての0.05%、及び10μAの刺激電流に対しての1.5%の理論的限界に適合することが分かった。最悪の場合の線形性は、ミキサ増幅器226の有限出力インピーダンスに起因する高インピーダンスにおけるものである。換言すれば、刺激電流が高くなれば、結果として非線形性も高くなる。実際には、観察可能な非線形性は、1kΩ程度の組織負荷を通る適度な刺激ベクトルに関しては小さい。
【0116】
実験は、計装用増幅器100及び200のような、ミキサ増幅器及び負フィードバックを含む計装用増幅器の測定されたノイズフロアが、約100nV/rtHzであることも示した。これは、1μAの刺激電流で動作しているミキサ増幅器226の入力トランジスタにおけるジョンソンノイズからの理論的予想と一致する。10μAの刺激電流に関して、これは、0.01ohms/rtHzの等価なノイズフロアに変換され、これは、多くの生理学的用途における要件を十分に下回っている。
【0117】
図10は、ハイパスフィルタを構成するための負フィードバックを含む計装用増幅器300のための一例の信号フローを示す図である。図2に関連して、図10における計装用増幅器300のアーキテクチャは計装用増幅器10のアーキテクチャと実質的に同じものとすることができるが、負フィードバック経路92が追加されている。したがって、図2及び図10における類似の参照符号の構成要素は、類似の機能を共有する。簡潔にすると共に冗長性を回避する目的で、フロントエンド10、ミキサ増幅器14及びフィードバック経路90を通る信号フローは詳細には説明しない。代わりに、負フィードバック経路92を通じてミキサ増幅器14によって生成される出力信号31のフローを説明する。
【0118】
概して、負フィードバック経路92は、出力信号31に対して、ミキサ増幅器14に対する入力におけるハイパスフィルタを構成するためのさらなる信号処理を実施する。ハイパスフィルタは、ハイパスフィルタのコーナー周波数を下回る周波数を有する信号成分を実質的になくす。たとえば、フィードバック経路92は、2.5Hz、0.5Hz、又は0.05Hzにほぼ等しいコーナー周波数を設定することができる。概して、負フィードバック経路92は、コーナー周波数とDCとの間の信号を抑制する。上述のように、フィードバック経路92は、対称フィードバック経路を通じてミキサ増幅器14のそれぞれの入力端子に差動フィードバックを提供する。クロックサイクルのうちの半サイクルのそれぞれの間に負フィードバックが適用されるように、フィードバック経路には、互いに180度の位相のずれがあるべきである。
【0119】
図10に示すように、負フィードバック経路92は、積分器302及び変調器304を含む。積分器302は、出力信号31を基準電圧に関して積分する。この基準電圧は、変調器20、28、及び34によって計装用増幅器300内の信号を用いて変調される同じ基準電圧であるべきである。いくつかの実施形態において、スイッチドキャパシタ積分器を積分器302に使用することができる。他の実施形態において、標準的なRC積分器を使用することができる。しかしながら、スイッチドキャパシタ積分器は、いくつかの利点を提供することができる。
【0120】
変調器304は、積分器302の出力を変調して、ミキサ増幅器14内への差動電圧を提供する。変調器304はフィードバック経路90と同期しているはずであるため、クロック信号21Cも変調器304を駆動する。クロック信号21Cは、図10に示すように、積分器302がスイッチドキャパシタ積分器として実施される場合、積分器302にも供給される。図10には、入力キャパシタンス(Cin)13、フィードバック経路90のためのフィードバックキャパシタンス(Cfb)17、フィードバック経路92のためのハイパスフィルタキャパシタンス(Chp)10も示される。
【0121】
動作中、積分器302は、変調器34のスイッチドキャパシタ上の電荷に対抗する、変調器304のスイッチドキャパシタに対する電圧を生成する。入力ステップがミキサ増幅器14に適用されると、信号は積分器30によって積分される。最初、復調信号29と積分器30の基準電圧との間の電圧差は比較的大きい。対照的に、出力信号31の電圧と、積分器302の基準電圧との間の差は比較的小さい。結果として、積分器30は、積分器302が変調器304のスイッチドキャパシタに電荷を蓄積するよりも迅速に、変調器34のスイッチドキャパシタに電荷を蓄積する。
【0122】
しかしながら、経時的に、復調信号29と積分器30における基準電圧との間の電圧差は減少し、積分器はその分電荷を蓄積しない。同時に、出力信号31と積分器302における基準電圧との間の電圧差は増大し、積分器302はより多くの電荷を変調器304におけるスイッチドキャパシタに蓄積する。したがって、定常状態において、フィードバック経路92はフィードバック経路90よりも優勢であり、フィードバック対向電荷は負フィードバック経路92を介して最も多く提供される。結果として、フィードバック経路92は、キャパシタ17とキャパシタ19と(CfbとChpと)の比、並びにキャパシタ、及び積分器302のクロック周波数によって設定される時定数によってハイパスコーナーを設定することができる。重要なことには、計装用増幅器300はその全体を単一チップ上に実装することができるため、オフチップキャパシタはハイパスフィルタリングには必要ない場合がある。
【0123】
図11は、計装用増幅器300を示す回路図である。図11に示すように、計装用増幅器300のアーキテクチャは、計装用増幅器100のアーキテクチャと実質的に同じであるが、負フィードバック経路92が追加されている。したがって、図7及び図10における類似の参照符号の構成要素は、同じ機能を共有する。これらの共有される構成要素の動作は、簡潔にすると共に冗長性を回避する目的で説明されない。しかしながら、フィードバック経路92の動作は説明される。
【0124】
負フィードバック経路92はミキサ増幅器116の出力を取り出し、負フィードバックをミキサ増幅器116の入力に適用する。図11の例において、積分器302は、スイッチドキャパシタ積分器である。ミキサ増幅器116内に設けられる積分器及び復調器に加えて、積分器302を設けることができる。スイッチドキャパシタ積分器は、スイッチ312Aを介して増幅器116の出力と接地との間に、且つスイッチ312Bを介して増幅器316の負入力と接地との間に結合されるキャパシタ310を備える。スイッチ312A及び312Bは、チョップ周波数において切り替えを行うが、互いに位相のずれがある。スイッチ312A及び312Bのクロック周波数を調整して積分器302の時定数を設定することができる。増幅器316の正端子は基準電圧(Vref)に結合され、当該基準電圧(Vref)は、計装用増幅器300内の他のステージにおける信号と合成される同じ基準電圧とすることができる。キャパシタ314は、増幅器316の出力を増幅器316の負端子に結合する。
【0125】
フィードバック経路92の2つのフィードバック経路は、積分器302の出力を取り出して、ミキサ増幅器116に負フィードバックを提供する。具体的には、上方のフィードバック経路分岐が積分器302の出力を変調してミキサ増幅器116の正端子に負フィードバックを提供する。上方のフィードバック経路分岐は、キャパシタ320Aと、スイッチ322Aとを含む。同様に、フィードバック経路92の下方のフィードバック経路分岐は、積分器302の出力を変調してミキサ増幅器116の負端子に負フィードバックを提供するキャパシタ320Bと、スイッチ322Bとを含む。
【0126】
キャパシタ320A及び320Bはそれぞれ、一端においてスイッチ322A及び322Bに接続され、他端においてミキサ増幅器116の正入力端子及び負入力端子に接続される。スイッチ322A及び322Bはそれぞれ、基準電圧(Vref)とミキサ積分器302の出力との間で切り替えを行い、キャパシタ320A及び320Bに電荷を置く。スイッチ322A及び322Bは互いに180度の位相のずれがある状態で切り替えを行う。重要なことには、スイッチ322A及び322Bはそれぞれ、スイッチ114A及び114Bと同期しているべきである。このようにして、負フィードバック経路はクロック信号の半サイクルのそれぞれの間に存在し、負フィードバック経路と同期している。
【0127】
図10において上述したように、積分器302は、スイッチ322A及び322B(まとめて「スイッチ322」と呼ばれる)によってキャパシタ320A及び320B(まとめて「キャパシタ320」と呼ばれる)上に置かれる電圧を蓄積する。キャパシタ320上の電荷は、定常状態においてキャパシタ106上の電荷に対抗する。より具体的には、キャパシタ320上の電荷は、低周波数に関して定常状態において、フィードバック経路において優位を占める。したがって、電流は実質的には、定常状態において負フィードバック経路92を通じて流れ、電流は負フィードバック経路118を通じてはほとんど又はまったく流れない。結果として、フィードバックキャパシタ112とフィードバックキャパシタ320との比、及び積分器302の時定数が、負フィードバック経路92によって提供されるハイパスフィルタのコーナー周波数を設定する。コーナー周波数は、約2.5Hz、0.5Hz、若しくは0.05Hz、又は他の所望の周波数に等しく設定することができる。フィードバックキャパシタ112がオンチップである場合、ハイパスフィルタ特性は動的に変化して、過負荷又は過渡信号からの回復に役立つことができる。
【0128】
スイッチ312及び322は、CMOS SPDTスイッチ又は高速スイッチング動態を提供する他のスイッチとすることができる。キャパシタ310、314、及び320は、poly−polyキャパシタ又は他の種類のMOSキャパシタとすることができる。
【0129】
フィードバック経路92は、図11に示すように、概して本開示において広範に説明されるような計装用増幅器に適用することができることを理解されたい。したがって、計装用増幅器300は、決して限定とみなされるべきではない。そうではなく、計装用増幅器300は、本開示において説明されるハイパスフィルタを構成するための負フィードバック経路を含むことができる計装用増幅器の多くの例のうちの1つである。たとえば、図11に示すフィードバック経路92を、図9における計装用増幅器200に追加することができる。
【0130】
図12は、計装用増幅器の入力インピーダンスを増大させるための正フィードバック経路を含む計装用増幅器400の例示的な信号フローを示す図である。計装用増幅器400のアーキテクチャは図2に関連して、計装用増幅器10のアーキテクチャと実質的に同じものとすることができるが、さらなる信号処理を提供するための正フィードバック経路98が含まれている。したがって、図12における類似の参照符号を付された構成要素は、図2及び図10における構成要素の同じ機能を共有する。簡潔にすると共に冗長性を回避する目的で、フロントエンド10、ミキサ増幅器14、及びフィードバック経路90を通る信号フローは詳細には説明しない。代わりに、ミキサ増幅器14によって生成される出力信号31の、正フィードバック経路98を通るフローを説明する。
【0131】
概して、正フィードバック経路98は、ミキサ増幅器14の出力、又は提供される場合には任意選択的にフィードバック経路92内の積分器302の出力を取り出す。正フィードバック経路98は、変調器20の前に、すなわち、チョッピング入力信号32が印加される前にフィードバックをフロントエンド12に提供する。図12に示すように、正フィードバック経路98は、クロック信号21Cによって駆動されるスイッチドキャパシタ構成404(Cpos)を含む。具体的には、スイッチドキャパシタ404は、計装用増幅器400の入力における実効抵抗に実質的に等しい抵抗を生成するのに使用される。計装用増幅器の実効入力抵抗(Reff)は下記の式(2)において与えられ、式中、クロック信号21A〜21Cの周波数がFclockであり、Cinは変調器20における入力キャパシタ106A、106Bのキャパシタンスである。したがって、計装用増幅器400を調べる(looking into)電荷引き込みは式(3)によって説明され、式中、Qは電荷であり、ΔVinは電圧の変化である。
【0132】
Reff=1/(Fclock・Cin) (2)
dQ/df=Cin・Fclock・ΔVin (3)
正フィードバック経路98は、再び変調器20のスイッチド入力キャパシタ13上に電荷を「戻す」か又は置くことによって実効抵抗を通過する電流を補償する。フィードバック経路98がない場合の計装用増幅器400の出力電圧は、差動入力電圧に、変調器20の入力キャパシタ106A、106BのキャパシタンスCinと、変調器34のフィードバックキャパシタ112A、112BのキャパシタンスCfbとの比を乗算した値に比例するため、スイッチドキャパシタ構成404(Cpos)は、ミキサ増幅器14の出力をサンプリングして、正フィードバックを使用して失われた電荷を戻す。換言すれば、正フィードバック経路98は、実効入力抵抗を通過する電流を補償する電流を注入する。正フィードバック経路98は、等価な低周波入力インピーダンスを1桁以上上昇させることができる。
【0133】
正フィードバック経路98を正フィードバック経路92と同時に使用することもできる。この場合、正フィードバック経路98は、正フィードバック経路92によって出力される積分信号の出力を取り出すことができる。図10に関連して、正フィードバック経路98は、ミキサ増幅器116の出力ではなく積分器302の出力を取り出すことができる。
【0134】
図13は、計装用増幅器400を示す回路図である。図13において、計装用増幅器400のアーキテクチャは、計装用増幅器300のアーキテクチャと実質的に同一であるが、正フィードバック経路98はミキサ増幅器116の出力を取り出し、フロントエンド110のキャパシタ106に正フィードバックを提供する。図13と図8及び図11との間で参照符号を共有する構成要素は、同じ機能を共有する。したがって、これらの構成要素の動作は、簡潔にすると共に冗長性を回避する目的で説明しない。しかしながら、正フィードバック経路98の動作は説明する。
【0135】
図13において、正フィードバック経路98は第1のフィードバック経路分岐及び第2のフィードバック経路分岐を通じて差動フィードバックを提供する。第1のフィードバック経路分岐(上方の分岐)は、ミキサ増幅器116の出力を変調してミキサ増幅器114の正入力端子に対する正フィードバックを提供する。第1のフィードバック経路分岐(図13における上方の分岐)は、キャパシタ410Aと、スイッチ412Aと、スイッチ412Bとを含む。スイッチ412Aは、キャパシタ410Aの一方の側を基準電圧Vref又はミキサ増幅器116の出力のいずれかに選択的に結合する。スイッチ412Bは、キャパシタ410Aの他方の側をVref又はセンサ101の入力ポート102Aのいずれかに選択的に結合する。第2のフィードバック経路分岐(図13における下方の分岐)は、キャパシタ410Bと、スイッチ412Cとを含む。キャパシタ410Bの一方の側は接地に結合される。スイッチ412Cは、キャパシタ410Bの他方の側を、ミキサ増幅器116の出力又はセンサ101の入力ポート102Bのいずれかに選択的に結合する。
【0136】
キャパシタ410A及び410Bは第1のクロック位相の間、双方ともにミキサ増幅器116の出力に結合される。したがって、第1のクロック位相の間、キャパシタ410A及び410Bはミキサ増幅器116の出力をサンプリングする。キャパシタ410Aの一端は第1の位相の間はVrefに結合される。第2のクロック位相の間、キャパシタ410A及び410Bはそれぞれ、一端において入力ポート102A、102Bに結合される。他端において、第2のクロック位相の間、キャパシタ410AはVrefに結合され、一方でキャパシタ410Bは接地に結合される。キャパシタ410A及び410Bのサイズは、フロントエンド変調の間に入力キャパシタ106A、106Bのサンプリングを補償するために必要とされる電荷に従って選択される。一例として、各キャパシタ410A、410Bは、それぞれの各フィードバックキャパシタ112A、112BのフィードバックキャパシタンスCfbの値の約2倍であるキャパシタンス値を有することができる。キャパシタ410A、410Bは、キャパシタ106A、106B及び112A、112Bに密接にマッチするためにオンチップで提供することができる。
【0137】
第2のクロック位相の間、すなわち、キャパシタ410Bがミキサ増幅器116の出力をサンプリングするように結合されている第1のクロック位相の後、第2のフィードバック経路分岐(下方)において、フロントエンドスイッチ104bに電荷が送達される。同様に、第2のクロック位相の間、第1のフィードバック経路分岐(上方)において、フロントエンドスイッチ104Aに電荷が送達される。ミキサ増幅器116のシングルエンド出力から差動電荷移動を発生させるために、第1のフィードバック経路分岐(上方)において、下方のフィードバック経路分岐)とは異なるスイッチング方式が採用される。スイッチ412A、412B、412Cを作動させるのに使用されるクロック周波数はチョッピング周波数と同じにすることができる。フィードバック経路98に使用される基準電圧、及び特にキャパシタ410Aが位相1及び位相2において結合される基準電圧は、フィードバック経路118において使用される基準電圧とマッチするべきである。
【0138】
スイッチ412A、412B及び412Cは、CMOS SPDTスイッチ又は高速スイッチング動態を提供する他のスイッチとすることができる。キャパシタ410A及び410Bは、poly−polyキャパシタ又は他の種類のMOSキャパシタとすることができ、キャパシタ112A、112B、106A及び106Bと共にオンチップで形成することができる。
【0139】
上述のように、正フィードバック経路98を負フィードバック経路92と同時に使用することもできる。この場合、参照として図11を使用して、正フィードバック経路98は積分器302の出力からサンプリングすることができる。すなわち、スイッチ412A及び412Cは、ミキサ増幅器116の出力ではなく積分器302の出力に接続することができる。
【0140】
図14Aは、テレメトリシステム内の受信機498の一部として使用される計装用増幅器500の信号フローを示す図である。計装用増幅器500は、たとえば、テレメトリを介して臨床医プログラマ又は患者プログラマのような外部プログラミングデバイスと通信する、患者内に埋め込まれる埋め込み可能パルス発生器(IPG)、埋め込み可能薬剤送達デバイス、又は他の種類の埋め込み可能医療デバイス(IMD)内の受信機498の一部として使用することができる。加えて、計装用増幅器500を、患者内に埋め込まれるIPG又は他の種類のIMDと通信する外部プログラミングデバイス内に配置することもできる。受信機498は、IMD又は外部プログラマに関連付けられる送信機499から信号を受信することができる。受信機498及び送信機499は共に、本開示において説明される計装用増幅器500を利用するテレメトリシステムを形成する。説明されるように、第1のチョッパステージは送信機499内に存在しており、一方で第2のチョッパステージ及びフィードバック経路は受信機498内の計装用増幅器500内に存在している。
【0141】
概して、計装用増幅器500は、IMD又は「アームズレングステレメトリ」を使用して通信するIMDのためのプログラミングデバイス内のテレメトリ回路部の一部として実施することができる。アームズレングテレメトリ(ALT)とは約10cm以上の距離にわたるテレメトリを指す。たとえば、ALTは、約50cmの距離又は約1メートルの距離にわたって動作することができる。したがって、ALTは、プログラミングデバイスを通信のためにIMDの直上に配置するという負担をなくす。しかしながら、ALTの信号レベルは、信号レベルがプログラミングデバイスとIMDとの間の距離の3乗に反比例して降下する結果として、数百マイクロボルト程度になる。したがって、ALTは、帯域攻撃者、すなわち、ノイズを抑制又は拒絶しながら送信信号を抽出する微小消費電力回路を必要とする。攻撃者は刺激ループ攻撃者及び同様の現象を含む。
【0142】
計装用増幅器500は、オン−オフキーイング(OOK)された信号の検出のための同期復調を提供するように構成することができる。一例として、このような信号は、175kHzの産業・科学・医療用(ISM)帯域において送信機499によって送信することができる。本開示において説明されるチョッパ安定型ミキサ増幅器、すなわち、負フィードバック経路90を有するミキサ増幅器14を、計装用増幅器500内に実装して、非常に低いオフセット及び安定した利得で同期復調を提供することができる。その上、計装用増幅器500の利得を、オンチップキャパシタ比、すなわち、負フィードバック経路90内のフィードバックキャパシタのキャパシタンスと、入力キャパシタのキャパシタンスとの比によって簡便に求めることができる。図14Aに示すように、計装用増幅器500は、送信機499におけるクロックと受信機498におけるクロックとの間の位相ずれを補正するクロックシンクロナイザ502も含む。クロックシンクロナイザ502は、本開示の一実施形態による別のチョッパ安定型ミキサ増幅器を含むことができる。
【0143】
一実施形態例において、受信信号は、プログラミングデバイスと、計装用増幅器500を組み込む受信機498がその中に存在するIMDとの間でデータを送信するための175kHz信号のオン−オフキーイングを使用して送信することができる。175kHz信号は、ISM帯域内に入る。データは4.4kbpsのレートを提供する22μsの固定間隔でフレーム化することができる。フレーム内の信号のデューティサイクルは、データビットが1であるか又は0であるかを表す。
【0144】
計装用増幅器500は上記プロトコルには限定されないことを理解されたい。そうではなく、このプロトコルは、ALTに使用することができるプロトコルの多くの例のうちの1つである。したがって、図14Aにおける計装用増幅器500及び計装用増幅器500の信号フローは、本開示において説明されるチョッパ安定型計装用増幅器500をアームズレングステレメトリのための信号の同期復調に使用することができる方法を広範に教示するための実施例とみなすべきであり、したがって、決して限定とみなされるべきではない。
【0145】
図14Aにおける計装用増幅器500の信号フローは、変調器520を備える送信機499から始まる。変調器520は、送信されるデータを含む入力データ信号532を受信し、入力信号をクロック信号521Aによって規定されるチョッピング周波数においてチョップして、送信アンテナ501及び受信機アンテナ503を介して受信機498に送信するための出力信号を生成する。変調器520によって生成される変調信号の送信を可能にするさらなる増幅器又はフィルタ構成要素を提供することができる。本開示において説明される他の計装用増幅器の実施形態の類似物に関して、送信機499及び変調器520は、事実上、信号フローの第1のチョッピングステージを提供するフロントエンド12を形成する。そのため、この場合、計装用増幅器500全体のフロントエンド12は、別個のデバイス、たとえば、IMD又はプログラマに関連付けられる送信機499である。送信機499は、デジタルビットストリームを生成して、当該デジタルビットストリームをアナログ波形(入力信号532)に変換し、当該アナログ波形は変調器520によって搬送波周波数、たとえば、175kHzに変調されて、無線チャネルにわたって送信するための無線信号533が生成される。無線チャネルは、この場合、プログラミングデバイスと、患者内に埋め込まれるIMDとの間の、無線信号533の経路である。
【0146】
無線信号533は、受信アンテナ502によって受信される。ミキサ増幅器14は、加算ノード522から信号525を受信する。図2、図10及び図12に関連して上述したように、ミキサ増幅器14は、増幅器26と、復調器28と、積分器30とを備えることができる。これらの図のそれぞれにおいて類似の参照符号を有する構成要素は、同様に動作することができる。たとえば、増幅器26は、入力信号525を増幅して増幅信号、すなわち、増幅信号527を生成する。変調器28は、チョップ周波数における増幅信号527を復調して復調信号529を生成する。復調信号529は、再びベースバンドに位置する本来のデータストリーム、及び175kHzに上方変調されているノイズを搬送する。積分器30は、ベースバンド成分を有する帯域の外にある信号成分を抑制し、それによって、実質的にノイズ523がない出力信号531が生成される。
【0147】
図10に関連して上述したように、負フィードバック経路90は、ミキサ増幅器14に対する入力における信号変化を小さく維持する負フィードバックを提供する。具体的には、負フィードバック経路90は、出力信号531を変調して、加算ノード522における信号路に加えられる差動フィードバック信号を生成する変調器34を含む。クロック信号521Cは、チョッピング搬送波周波数における出力信号531をフィードバックキャパシタ17(Cfb)を介して変調する変調器34を駆動する。負フィードバック経路90は、負フィードバックを差動ミキサ増幅器14の正入力端子及び負入力端子に適用する2つのフィードバック経路分岐を含むことができる。半クロックサイクルのそれぞれの間に負フィードバック経路が存在することを確実にするように、フィードバック経路には互いに位相のずれがある。このようにして、ミキサ増幅器14は、低電力で動作しながら安定した、低ノイズの出力を提供する。
【0148】
しかしながら、図14Aにおいて、クロック信号521Aを提供するクロック及びクロック信号521Bを提供するクロックは、同じ物理ロケーション内には配置されていない。具体的には、クロック信号521Aは送信機498内に配置されるクロックによって提供され、クロック信号521Bは受信機499内の計装用増幅器500内に配置されるクロックによって提供される。したがって、クロック信号521Bはクロック信号521Aと同期していない場合がある。クロック信号521Aとクロック信号521Bとの間の位相シフトの結果として、シフトが90度である場合は復調信号529において信号が無効になるか、又は、不可能でない場合は、受信信号の復号を非常に困難にするうなり周波数が生じるおそれがある。クロックシンクロナイザ503は、クロック信号521Aとクロック信号521Bとの間の位相ずれを補正する。
【0149】
図14Aに示すように、クロックシンクロナイザ502は受信信号、すなわち、入力信号533を使用してクロック信号521Aとクロック信号521Bとの間の位相ずれを補正する。クロック信号521Bは、変調器528によって増幅信号527をチョップするのに使用され、またフィードバック経路90内の変調器34によって加算ノード522に対するフィードバックのための出力信号531のチョッピングに使用される。クロック信号521B及びクロック信号521Aが互いに実質的に同期されている場合、復号器504は、出力信号531からデジタルビットストリームを生成することができる。復号器504は、アナログベースバンド信号をデジタルビットストリームに変換することができるスライサ又は類似の構成要素とすることができる。たとえば、復号器504は、出力信号のレベルを検出する比較器から形成されるスライサを含むことができる。比較器は、背景ノイズフロアの変動を計上する動的レベル調整を有することができる。軽度のヒステリシスをスライサに加えて、短い時間期間にわたってデジタル波形内の、小さな振幅遷移の複数のトリガを防止することができる。
【0150】
クロックシンクロナイザ502は、位相ロックループ、又は、無線周波数(RF)通信の技術分野において既知の、送信機におけるクロックと受信機におけるクロックとの間の位相ずれを補正する他の構成要素として実施することができる。一実施形態例において、クロックシンクロナイザ502は、本開示において説明されるチョッパ安定型ミキサ増幅器を含むことができる。チョッパ安定型ミキサ増幅器は、受信信号からのミキサクロック、すなわち、ミキサ増幅器14にクロック信号521Bを提供するクロックを導出するのに使用することができ、それによって、直角位相を再構成する必要がなくなる。換言すれば、本開示において説明される計装用増幅器の中心となる特徴は、受信信号から導出される同期クロックを作成するクロックシンクロナイザ502内の重要な構成ブロックとして使用することができる。この中心となる特徴は、負フィードバック90を有するミキサ増幅器14に関連して詳細に説明されている。
【0151】
クロックシンクロナイザ502内のチョッパ安定型ミキサ増幅器を使用してクロック信号を導出することは、いくつかの利点を有することができる。第1に、ミキサ増幅器はチョッパ安定化され、それによってアンテナを基準とした場合の最小オフセット(minimal referred to antenna offset)(RTAO)が可能となる。これによって、振幅の小さい受信信号を抽出するためのクリーン信号が提供され、当該クリーン信号は、100マイクロボルト程度とすることができる。フィードバック経路90及び補償ネットワークを使用すことによって、受信信号に対するロックを維持しながら、ループ動態を調整して帯域外過渡信号を抑制することが可能となる。加えて、信号処理は、電力供給装置から引き込まれる電流を最小限に維持するチョッパミキサ要素を用いて達成される。たとえば、ポーリングを有しない計装用増幅器500の正味のスタンバイ電流は、いくつかの実施形態において約5μA以下とすることができる。
【0152】
要約すると、受信機498は、3つの主要な構成ブロックを有することができる。アンテナ503におけるフロントエンドが2つのチョッパ安定型ミキサに取り付けられ、2つのチョッパ安定型ミキサのうちの一方は、基準クロックを導出する位相ロックループ502において使用され、他方は、帯域外攻撃者を抑制しながら、受信信号をベースバンドに変換すると共に増幅するミキサ増幅器14において使用される。概して、1つのチョッパ安定型ミキサ増幅器は、電圧制御発振器(VCO)における位相検出器として動作する線形ミキサとしてクロックシンクロナイザ502内に提供され、一方で他方のチョッパ安定型ミキサ増幅器は、データを抽出するための復調、増幅、及びローパスフィルタリングを提供する線形ミキサとして動作する。同相ミキサ増幅器14の出力は、デジタル化のために復号器504に渡される。図14Aのアーキテクチャは、帯域外攻撃者を拒絶しながら送信帯域内の受信信号に対して高感度であることが可能であり得る同期復調器を提供する。ミキサ増幅器14及びクロックシンクロナイザ502において使用することができるチョッパ安定型ミキサアーキテクチャによって低電力の同期復調が可能となる。
【0153】
図14Bは、図14Aのテレメトリ構成計装用増幅器の入力及びフィードバック回路部を示す回路図である。図14Bに示すように、ミキサ増幅器14は、入力キャパシタ106A、106B(Cin)を介して変調差動入力信号を受信する。入力キャパシタ106Aは、差動アンテナ信号(ANT+)の正端をミキサ増幅器14の正入力に供給する。入力キャパシタ106Bは、差動アンテナ信号(ANT−)の負端をミキサ増幅器14の負入力に供給する。ミキサ増幅器14の入力を設定して入力バイアスインピーダンスを設定するために、抵抗108A、108Bを設けることができる。他の実施形態のように、ミキサ増幅器14の正入力及び負入力を、フィードバックキャパシタ112A、112B(Cfb)及びスイッチ114A、114Bを介して、フィードバック経路90のフィードバック経路分岐に結合することができる。入力キャパシタ106(Cin)のキャパシタンスに関連するフィードバックキャパシタ112のキャパシタンス(Cfb)は、計装用増幅器全体の公称利得を設定する。他の実施形態のように、計装用増幅器のためのハイパスカットオフを設定する負フィードバック経路92も提供することができる。
【0154】
図15Aは、計装用増幅器500を示すブロック図である。本開示によれば、計装用増幅器500は図15Aにおいて、ミキサ増幅器14と、フィードバック経路16とを含むものとして示される。しかしながら、上述の実施形態とは異なり、フロントエンド12は図14A及び14Bと一致して、異なる物理ロケーションにある。具体的には、図14Aを参照して説明したように、フロントエンド12は、遠隔IMD又はプログラマ内の送信機499内に存在する。計装用増幅器500の受信アンテナ503によって受信される信号は、遠隔IMD又はプログラマにおいて既にチョップされている。計装用増幅器500は、遠隔デバイス内のフロントエンド12を駆動するクロックと、ミキサ増幅器14を駆動するクロックとの間の位相ずれを補正するクロックシンクロナイザ502を備える。クロックシンクロナイザ502は、ミキサ増幅器14によって提供されるデータ復調経路において使用するための位相基準を抽出する線形ミキサを提供する。
【0155】
図15Aに示すように、受信アンテナ503は、遠隔送信機によって出力される無線信号を受信する。計装用増幅器500のミキサ増幅器14は、上述のように動作し、低インピーダンスノードにおけるスイッチングを有する変更折り畳みカスコード増幅器として実施することができる。したがって、ミキサ増幅器14は図15Aにおいて、増幅器26と、復調器28と、積分器30とを備えるものとして示される。図15Aにおいて、ミキサ増幅器14は、受信アンテナ503から変調入力信号525を受信する。増幅器26は、変調入力信号525を増幅して増幅信号527を生成する。復調器28は、折り畳みカスコード増幅器の低インピーダンスノードにおけるスイッチングを使用して、増幅信号527を復調して復調信号529を生成する。しかしながら、復調信号529は、復調器28を駆動するクロックが送信機における変調器を駆動するクロックと同期していない限り、信号無効化(signal nulls)又はうなり周波数を受けるおそれがある。これが、計装用増幅器がクロックシンクロナイザ502を備える理由である。
【0156】
復調信号29は、搬送波周波数(175kHz)における1/fノイズ、ポップコーンノイズ、及びオフセット、並びにベースバンドにおける本来の信号成分を含み得る。積分器30は、復調信号529を積分して出力信号531を生成する。具体的には、積分器30は、受信機基準・バイアス生成器によって提供される基準電圧に関して復調信号529を積分し、ベースバンド外の周波数を有する信号成分を抑制するローパスフィルタとして機能する。したがって、復調信号529の搬送波周波数にあるノイズは実質的になくなり、安定した、低ノイズの出力信号531が生成される。
【0157】
ここでも、負フィードバック経路90によって負フィードバックが提供されるため、出力信号531は安定している。負フィードバック経路90がない場合、出力信号531は、所望の信号に重ね合わされる一連のスパイクを含み、これによって、信号をデジタルビットストリームにスライスしてデータを復調することが非常に困難になる。これらのスパイクは、ミキサ増幅器14の帯域幅を制限する非常に低い電力での動作の結果である。ミキサ増幅器14に対する入力において負フィードバックを提供することによって、信号変化が定常状態において小さく維持され、それによって、大きな電圧遷移のみがスイッチングノードにおいて発生する。負フィードバック経路90は、ミキサ増幅器14のそれぞれの正差動入力及び負差動入力に対する負フィードバックを提供する対称フィードバック経路分岐を含む。各フィードバック経路分岐は、受信機バイアス・基準電圧生成器によって提供される基準電圧を用いて出力信号531を変調する。フィードバック経路分岐には互いに180度の位相のずれがあり、それによって、半クロックサイクルのそれぞれの間にフィードバックが提供される。このようにして、ミキサ増幅器14及び負フィードバック経路90はグリッチを実質的になくして安定した、低ノイズの出力信号531を提供する。
【0158】
送信機クロックと受信機クロックとが互いに同相にない場合、出力信号531は、信号無効化又はうなり周波数を受けるおそれがある。送信機クロック信号は、ベースバンド信号を搬送波周波数、たとえば、175kHzに変調する変調器を駆動する。受信機クロックは、クロック信号をミキサ増幅器14及び負フィードバック経路90に供給する。より具体的には、受信機クロックは、受信増幅信号527を復調する復調器28を駆動するクロック信号、及び負フィードバック経路90内の出力信号531の変調を駆動する信号(複数可)を供給する。
【0159】
クロックシンクロナイザ502は、送信機クロックと受信機クロックとの間の位相ずれを補正する。具体的には、クロックシンクロナイザは、受信信号、すなわち、変調入力信号525から導出される同期クロックを作成して、ミキサ増幅器14内の復調器28及び負フィードバック経路90内の変調器によって使用される、位相ずれを補償するための補正信号を生成する。
【0160】
図15Aにおけるクロックシンクロナイザ502は、受信信号からミキサクロックを導出する比較器の使用に関連する場合がある問題を回避する。比較器の使用に関連する問題は、受信信号の電力が低いために方形波を生成することが困難であることを含む場合がある。すなわち、比較器が175kHzのクロック周波数においてミリボルト単位の信号を直角にすることが困難である場合がある。比較器はまた、通常、フロントエンド上のDCオフセットを除去するための、交流結合されるプリアンプ又は他の機構を必要とし、当該DCオフセットは、そうでなければミリボルト単位以下の信号に対して大きなデューティサイクル誤差及び/又はデッドゾーンをもたらす。さらに、比較器がメモリを有せず、したがって、任意の信号公差の結果として、信号がベースバンドに合成されることになる。これは、数百ミリボルトの程度の信号、より具体的には、175kHzのISM帯域における感度を有する数百マイクロボルト程度の信号の場合に問題である。
【0161】
図15Aにおいて、クロックシンクロナイザ502は、位相ロックループとして動作し、チョッパ安定型ミキサ増幅器560と、補償ネットワーク562と、電圧制御発振器(VCO)564と、遅延ユニット566及び568とを備える。ミキサ増幅器560は、ミキサ増幅器14と同様に又は同一に構成されるミキサ増幅器を含む。しかしながら、ミキサ増幅器560は、当該ミキサ増幅器の入力に対する負フィードバックを受信する代わりに、ミキサ増幅器560内の復調器に適用される直交位相クロックフィードバックを受信する。そのため、いくつかの実施形態において、チョッパ安定型ミキサ増幅器560は、本開示において説明されるミキサ増幅器14と同様の構成要素を含み、同様に動作することができる。たとえば、チョッパ安定型ミキサ増幅器560は、図15Aに関して、ミキサ増幅器を形成する増幅器と、復調器と、積分器とを含むことができ、安定した出力を生成するためのチョッパ安定化を提供する負フィードバック経路を受けるように結合されることができる。しかしながら、上記のように、ミキサ増幅器560によって受信される負フィードバックは、復調器のクロック周波数を調整する直交位相フィードバックとすることができる。直交位相フィードバックには、ミキサ増幅器560によって受信される入力信号と位相のずれがある。したがって、チョッパ安定型ミキサ増幅器560は、低インピーダンスノードにおけるスイッチングを有する変更折り畳みカスコード増幅器アーキテクチャを有するミキサ増幅器を含む。このアーキテクチャは、図6に示されている。チョッパ安定型ミキサ増幅器560は、図15Aにおいては単一ブロックとして示されている。
【0162】
概して、クロックシンクロナイザ502は、その出力とミキサ増幅器14の復調器28との間のフィードバック経路を提供する。チョッパ安定型ミキサ増幅器560は、受信アンテナ503から変調入力信号525を受信し、安定した、低ノイズの信号を生成する。重要なことには、チョッパ安定型ミキサ増幅器560は、受信信号からオフセットを実質的に除去し、方形波を実質的に又は厳密に近似する信号を出力する。結果として、チョッパ安定型ミキサ増幅器560は、比較器の使用に関連する、上記で考察した問題を回避することができる。
【0163】
補償ネットワーク562は、チョッパ安定型ミキサ増幅器560の出力を受信し、積分器及びハイパスにゼロを適用する。補償ネットワーク562において積分器を使用することによって、その出力は、フィードバッククロック(VCO564の出力)が受信信号と直交するように、VCO564を調整する。換言すれば、定常状態におけるチョッパ安定型ミキサ増幅器560によってゼロである正味の信号が出力されるため、送信機クロックとVCO564の出力とは直交する。補償ネットワーク562内の積分器を使用することによって、積分器は、受信信号が「オフ状態」にある(信号がなくなるため、チョッパ安定型ミキサ増幅器560の出力は依然としてゼロである)間に、VCO値を保持し、信号が再びハイになるとVCOを迅速に再取得することが重要である。このように、クロックシンクロナイザ502は、受信信号、すなわち、変調入力信号25に対して直交した状態でロックされる「位相ベクトルはずみ車(phasor fly wheel)」とみなすことができる。
【0164】
VCO564は、この実施形態例の目的のために、約350kHz(175kHzのISM周波数×2)において動作することができる。VCO564の出力は遅延ユニット566及び568によって処理されて、チョッパ安定型ミキサ増幅器560、復調器28、及び負フィードバック経路90内の復調器に直交信号が提供される。遅延ユニット568は、VCO564の出力をチョッパ安定型ミキサ増幅器560の復調器にフィードバックする。遅延ユニット566は、VCO564の逆位相に結び付けられ、復調器28及び負フィードバック経路90のための同相クロックが生成される。すなわち、VCO564の出力は入力信号に対して直交した状態でロックされるため、遅延ユニット566は、半クロックサイクルの遅延を導入してミキサ増幅器14(復調器28)及び負フィードバック経路90のための同相クロックを生成する。そのため、遅延ユニット566は、第1の位相Φを有するVCO564の出力をミキサ増幅器14の復調器28及び負フィードバック経路90の変調器34に供給するように構成され、一方で遅延ユニット568は、第2の位相Φ’を有するVCO564の出力をミキサ増幅器560内の復調器に供給するように構成される。遅延ユニット566及び568の出力には互いに90度の位相のずれがある。送信機クロックと同相にあるクロック信号を使用する復調器28を用いて、ミキサ増幅器14の出力に信号処理を適用して送信ビットを回復及び復号することができる。遅延ユニット566及び568は、D型フリップフロップ、又は、信号に遅延を導入するのに使用することができる他の構成要素とすることができる。
【0165】
概して、クロックシンクロナイザ502は、ミキサ増幅器14及び負フィードバック経路90のデータ復調経路のための位相基準を抽出する位相ロックループとすることができる。VCO564からのフィードバックは、チョッパ安定型ミキサ増幅器560の変調クロックを、当該変調クロックに、入力信号525のクロック周波数と90度の位相のずれがあるように調整する。この場合、チョッパ安定型ミキサ増幅器560は、Vin*cos(Φ)の大きさを有する(scales as)出力を有する線形位相検出器として機能することができ、ここで、Vinは受信アンテナ503からの入力電圧であり、Φはチョッパ安定型ミキサ増幅器560と入力信号との間の位相差である。結果として生じる伝達関数は、90度においてゼロを有する。フィードバック補償の目的で、その点を中心とする小さな変動を、直線関係として近似することができる。
【0166】
補償ネットワーク562によるVCO560の補償は、ループ利得が入力電圧によって大きさを変える(scales)という事実によって複雑になるおそれがある。補償ネットワーク562においてゼロを有する単純な積分器を使用することによって、アンテナ503における小さな信号に関して安定した位相ロックを取得することができる。しかしながら、大きな電圧に関して、補償ゼロは、チャネルを飽和させてVCOを混乱させる可能性があるクロック周波数における大きな信号を生成する。この信号の起源は、ロックにおけるミキサ出力の、DC成分を有しない「隠れ状態」であるが、ミキサ周波数においては大きな信号である。この問題をなくすために、第2の極を、ループ交差点を越えて補償ネットワーク562に追加することができる。この極の目的は、ミキサ周波数における信号を抑制してVCOジッタを最小化することである。ループ利得が過度に高くない限り、極の追加は問題にはならない。余分な極は補償ゼロに引き込まれ、これは、2つの積分器(1つはミキサ増幅器560からのもの、1つはVCO564の位相積分からのもの)を虚軸から左半面に引き込むように動作する。
【0167】
VCO564が慎重に補償される場合、テレメトリリンクの動的範囲にわたってロバストなロックを達成することができる。このように、ループは、当該ループがより遅く応答し、したがって、テレメトリリンク距離が増大して信号が減衰するにしたがって、外乱をより重くフィルタリングするという点において、最適に補償されることができる。実際には、受信信号強度(RSSI)によって駆動されるモードスイッチを提供して、一般的なテレメトリリンク範囲にわたって幾分均一な動態を維持することができる。モードスイッチを動作させて、入力信号のレベルに基づいてクロックシンクロナイザ502のループ利得を調整することができる。そのため、ループ利得は、より高い入力信号レベルに対しては減少し、より低い入力信号レベルに対しては増大し得る。
【0168】
図15Bは、図15Aにおけるクロックシンクロナイザ502をより詳細に示すブロック図である。図15Bは、概して図15Aに示すようなクロックシンクロナイザ502を示すが、ミキサ増幅器560の構成要素例をさらに示している。具体的には、ミキサ増幅器560は、増幅器26Bと、変調器28Bと、積分器30Bとを備えることができ、それらのすべてがミキサ増幅器14の増幅器26、変調器28及び積分器30と同様に機能することができる。しかしながら、図15Bに示すように、遅延ユニット568は、入力信号525と直交位相にあるVCO564の出力を供給してミキサ増幅器560の変調器28Bを調整する。そのため、変調器28Bに対するフィードバック信号には入力信号525と90度の位相のずれがあり、当該フィードバック信号は変調器28Bのクロック周波数を調整するのに使用され、それによって、ミキサ増幅器560のチョッパ安定化が維持される。
【0169】
図16は、本開示において説明される計装用増幅器を備える埋め込み可能医療デバイス(IMD)700のさまざまな構成要素を示すブロック図である。IMD700は、治療送達モジュール702と、プロセッサ704と、メモリ708と、テレメトリモジュール706と、センサ710と、電力源712と、治療要素714とを備える。概して、IMD700は、センサ710、テレメトリモジュール76、又はその双方の一部としてチョッパ安定型計装用増幅器を備える。
【0170】
センサ710は、圧力センサ、加速度計、活動センサ、インピーダンスセンサ、電気信号センサ、又は、心音、脳信号、及び/若しくは他の生理学的信号をモニタリングするように構成される他のセンサとすることができる。図16においてはIMD700内に含まれるものとして示されているが、センサ710の一部はIMD700の外側に配置されてもよい。たとえば、センサトランスデューサ又は1つ若しくは複数の電極は、患者内の目標部位に埋め込まれるリード線の遠位端上に配置して、導体を介してIMD700に電気的に結合することができる。代替的に、センサトランスデューサ又は1つ若しくは複数の電極は、IMD700のハウジング上又はIMD700のハウジング内に設けてもよい。たとえば、IMDハウジング内に又はIMDから延在するリード線内に加速度計を設けることができる。電気信号を検知するために、センサ710は、リード線上に配列される2つの以上電極、リード線上の1つの電極及びIMDハウジング上の1つの電極、IMDハウジング上に配列される2つ以上の電極、又は他の電極構成を含むことができる。センサ710に関連付けられるセンサ回路部は、IMD700のハウジング内のセンサ710内に設けることができる。
【0171】
概して、センサ710は、信号又はパラメータを出力電圧又は電流に変換することによって、生理学的信号又はパラメータの測定を提供する。チョッパ安定型計装用増幅器は、本開示において説明されるセンサ出力を増幅及びフィルタリングして、安定した、低ノイズの信号を非常に低い電力要件で生成する。このように、チョッパ安定型計装用増幅器は、IMD700が、再充電可能なバッテリ又は再充電不能なバッテリのような有限電力源712からの電力によって数ヶ月又は数年にわたって動作することを可能とすることができる。いずれにせよ、電力変換(power conversation)が望ましい。
【0172】
センサ710の出力、及びより具体的には、センサ710に関連付けられるチョッパ安定型計装用増幅器の出力をプロセッサ704によって受信することができる。プロセッサ704は、さらなる処理を適用することができ、たとえば、値をメモリ708内に記憶し且つ/又は値をテレメトリモジュール706を介して外部プログラマに送信する前に、出力を処理のためにデジタル値に変換することができる。テレメトリモジュール706は、チョッパ安定型計装用増幅器の少なくとも一部も含むことができる。プロセッサ704は、センサ710の出力に基づいて、患者への治療の送達を制御することもできる。
【0173】
IMD700は、治療要素714を介して患者に治療を送達することができる。他の実施形態において、IMD700は、検知専用としてもよく、治療送達モジュール702を含まなくてもよい。治療送達要素714は、1本又は複数本のリード線上に担持される電極、IMD700のハウジング上の電極、1つ又は複数の流体送達デバイス、又はそれらの任意の組合せとすることができる。したがって、治療送達モジュール702は、埋め込み可能刺激発生器、又は、プロセッサ704の制御下で、治療要素714を形成する電極のうちの少なくともいくつかを介して患者に電気信号、たとえば、パルス若しくは正弦波信号のような実質的に連続した信号を送達する他の刺激回路部を含むことができる。
【0174】
治療送達モジュール40によって生成される刺激エネルギーを、さまざまな心臓疾患若しくは神経疾患、又は患者の神経学的応答に影響される疾患のいずれかの治療のための刺激エネルギーとして定式化することができる。刺激治療例は、心臓ペーシング、心臓ディフィブリレーション、深部脳刺激(DBS)、脊髄刺激(SCS)、末梢神経刺激(PNFS)、骨盤底刺激、胃腸刺激等を含む。
【0175】
治療送達モジュール702、プロセッサ704、テレメトリモジュール706、メモリ708、及びセンサ710は、電力源712から動作電力を受け取る。電力源712は、小型の、再充電可能なバッテリ若しくは再充電不能なバッテリ、又は誘導的に結合されるエネルギーを経皮的に受け取る誘導電力インタフェースの形態をとることができる。再充電可能なバッテリの場合、電力源712は同様に、充電電力の経皮伝達のための誘導電力インタフェースを含むことができる。
【0176】
1つ又は複数の流体送達デバイスが治療要素714の一部である実施形態において、治療送達モジュール702は、1つ又は複数の流体容器、及び、流体容器から流体送達デバイスを通じて目標部位へ流体を圧送する1つ又は複数のポンプユニットを含むことができる。流体容器は、薬剤又は薬剤の混合物を含むことができる。流体容器は、たとえば、自己封止注入ポートを介して流体を経皮注入することによって充填を可能にすることができる。流体送達デバイスは、たとえば、流体容器から同じ目標部位又は異なる目標部位に薬剤を送達する、すなわち、注入又は散布するカテーテルを含むことができる。
【0177】
プロセッサ704は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、個別論理回路、又はこのような構成要素の組合せを含むことができる。プロセッサ704は、メモリ708内に記憶されている選択されたパラメータセットに従って治療の送達を制御するようにプログラムされる。具体的には、プロセッサ704は、治療送達モジュール702を、電気的刺激、薬剤治療、又はその双方の組合せを送達するように制御する。たとえば、プロセッサ704は、いずれの薬剤が送達されるか、及び、送達される薬剤の用量を制御することができる。
【0178】
プロセッサ704は、治療送達モジュール702を、選択されたパラメータセットのプログラムによって指定されるパルス振幅、パルス幅、及び周波数(すなわち、パルスレート)を有する電気的刺激を送達するように制御することもできる。プロセッサ704は、治療送達モジュールを、パラメータセットの、異なるプログラムに従って各パルスを送達するように制御することもできる。いくつかの実施形態において、プロセッサ704は、治療送達モジュール702を、パルス刺激ではなく実質的に連続した刺激波形を送達するように制御することができる。
【0179】
メモリ708は、患者によって電気刺激及び/又は薬剤治療の送達のために選択されるように利用可能であるパラメータセットを記憶することができる。メモリ42は、スケジュールを記憶することもできる。メモリ708は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ等のような、揮発性媒体、不揮発性媒体、取外し可能媒体、磁気媒体、光媒体、又はソリッドステート媒体の任意の組合せを含むことができる。
【0180】
プロセッサ704はまた、テレメトリモジュール706を、無線テレメトリによって臨床医プログラマ及び/又は患者プログラマのような外部プログラマと情報を交換するように制御する。プロセッサ704は、テレメトリモジュール706を、外部プログラマと継続的に、周期的な間隔をおいて、又はプログラマから要求されたときに通信するように制御することができる。加えて、いくつかの実施形態において、テレメトリモジュール706は、生理学的信号を検知すると共に当該信号をIMD700に送信する1つ又は複数の無線センサとの無線通信をサポートすることができる。
【0181】
テレメトリモジュール706は、外部プログラマからテレメトリ信号を受信すると共に、テレメトリ信号を外部プログラマに送信する送受信機として動作することができる。いくつかの実施形態において、テレメトリモジュール706は、チョッパ安定型計装用増幅器を含むことができる。より具体的には、図14及び図15を参照して、テレメトリモジュール706の受信機部分は、チョッパ安定型ミキサ増幅器と呼ばれる、チョッパ安定型計装用増幅器のバックエンドと、受信テレメトリ信号からベースバンド信号を生成するフィードバック経路とを含むことができる。対応するフロントエンドがIMD700と通信する外部プログラマの送信機部分内に配置されるため、受信機部分は本開示において、バックエンド(チョッパ安定型ミキサ増幅器)のみを備えるものとして説明される。
【0182】
受信機部分は、たとえば、図15Aを参照して説明された、別のチョッパ安定型ミキサ増幅器を含むクロックシンクロナイザも含むことができる。このチョッパ安定型ミキサ増幅器は、位相ロックループによって、テレメトリモジュール706の受信機部分を外部プログラマの送信機と同期するのに使用される補正信号を生成するのに使用することができる出力を生成する。
【0183】
テレメトリモジュール706は、IMD700から外部プログラマ又は別のIMD若しくは外部医療デバイスに信号を送信する送信機も含むことができる。送信機は、当該送信機が、外部プログラマ又は別の埋め込みまれるか若しくは外部の医療デバイスに送信するためのRF周波数を用いて入力信号を変調する第1のチョッパステージを含むことができるという意味において、チョッパ安定型計装用増幅器のフロントエンドを含むことができる。
【0184】
重要なことには、センサ710及びテレメトリモジュール706内の計装用増幅器は、安定した、低ノイズの信号を提供する微小消費電力回路である。したがって、IMD700は、動作のためにより多くの電力を必要とする計装用増幅器を使用する場合に可能な時間期間よりも長い時間期間にわたって動作することができる。
【0185】
図17は、患者又は臨床医がIMD700と通信することを可能にする一例の患者プログラマ又は臨床医プログラマ720を示すブロック図である。患者又は臨床医は、プログラマ720と対話して、治療、たとえば、電気刺激、薬剤治療、又はその双方の組合せをプログラムすることができる。示されている例において、プログラマ720は、プロセッサ722と、ユーザインタフェース724と、入出力726と、テレメトリモジュール728と、メモリ730と、電力源732とを備える。プログラマ720は、テレメトリモジュール728の一部としてチョッパ安定型計装用増幅器を含むことができる。
【0186】
本明細書においてユーザと呼ばれる患者又は臨床医は、電気刺激、薬剤治療、又はその双方の組合せの送達を制御するために、ユーザインタフェース724を介してプロセッサ722と対話することができる。ユーザインタフェース724は上述したように、ディスプレイ及びキーパッドを含むことができ、タッチスクリーン又は周辺ポインティングデバイスも含むことができる。プロセッサ722は、下記でより詳細に説明する、ユーザとの対話を容易にするグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供することもできる。プロセッサ722は、マイクロプロセッサ、コントローラ、DSP、ASIC、FPGA、離散ロジック回路部等を含むことができる。
【0187】
プログラマ720はメモリ730も備える。いくつかの実施形態において、メモリ730は、ユーザによって治療の送達のために選択されるように利用可能であるパラメータセットを記憶することができる。メモリ730は、スケジュールも記憶することができる。そのため、パラメータセット及びスケジュールを、IMD700、プログラマ720、又はその双方のうちに記憶することができる。プログラマ720は、プロセッサ722がIMD700と通信することを可能にするテレメトリモジュール728、及び、任意選択的に、プロセッサ722が別のプログラマと通信することを可能にする入出力回路部モジュール726も備える。
【0188】
プロセッサ722は、ユーザによって為されたパラメータセット選択を、ユーザインタフェース724を介して受信することができ、当該選択又は選択されたパラメータセットをテレメトリ回路部728を介してIMD700に送信して、選択されたパラメータセットに従って治療を送達することができる。プログラマ720がメモリ730内にパラメータセットを記憶する場合、プロセッサ722は、臨床医によるプログラミングの間に、入出力モジュール726を介して別のプログラマからパラメータセットを受信することができる。たとえば、患者プログラマは、臨床医プログラマからパラメータセットを受信することができる。
【0189】
テレメトリモジュール728は、無線通信のための送受信機、有線通信若しくは取外し可能電気媒体を介しての通信に適切なポート、又は取外し可能磁気媒体若しくは取外し可能光媒体を介しての通信に適切なドライブを含むことができる。無線通信が使用される場合、テレメトリモジュール728は、IMD700との無線通信及び別のプログラマとの無線通信の双方をサポートすることができる。
【0190】
IMD700のテレメトリモジュール706と同様に、テレメトリモジュール728は、IMD700及び場合によっては別のプログラマと信号を送受信する送受信機として動作する。テレメトリモジュール728の受信機部分は、主要信号路内に、送信信号を回復するように処理することができるベースバンド信号を生成するチョッパ安定型ミキサ増幅器を備えることができる。このチョッパ安定型ミキサ増幅器に対する対応するフロントエンドが、IMD700の送信機部分内に配置される。
【0191】
受信機部分は、クロックシンクロナイザ又は主要信号路の位相ロックループ内にチョッパ安定型ミキサ増幅器を含むこともできる。このチョッパ安定型ミキサ増幅器は、受信信号をベースバンドにダウンミクスして、位相ロックループによって同期クロックを導出するように処理される信号を生成する。テレメトリモジュール728の送信機部分は、入力信号をRF周波数においてIMD700又は他のプログラマ若しくはデバイスに送信するためにチョップする第1のチョッパステージを含むことができる。
【0192】
電力源732は、プログラマ720に電力を提供する。すなわち、電力源732は、プロセッサ722、ユーザインタフェース724、入出力モジュール726、テレメトリモジュール728、及びメモリ730に電力を提供する。テレメトリモジュール728内のチョッパ安定型ミキサ増幅器は非常に低い電力において動作するため、電力源732の寿命を増大させることができる。
【0193】
電力源732は、小型の、再充電可能なバッテリ若しくは再充電不能なバッテリ、又は、誘導的に結合されるエネルギーを経皮的に受け取る誘導電力インタフェースの形態をとることができる。再充電可能なバッテリの場合、電力源732は同様に、充電電力を経皮伝達するための誘導電力インタフェースを備えることができる。
【0194】
計装用増幅器及び関連回路部、デバイス、システム並びに方法を含む本発明は、さまざまな用途において有用であることができ、たとえば、本発明を適用して、心不整脈、心細動、慢性疼痛、振戦、パーキンソン病、癲癇、尿失禁又は便失禁、性的機能不全、肥満、又は胃不全麻痺のようなさまざまな症状又は状態の治療に関連する検知をサポートすることができ、患者の心臓、脳、脊髄、骨盤神経、末梢神経、又は消化管のようなさまざまな組織部位への電気刺激又は薬剤の送達を制御するのに有用である情報を提供することができる。
【0195】
そのため、本開示において説明される計装用増幅器は、カーディオバータ/ディフィブリレータ、脊髄刺激装置、骨盤神経刺激装置、深部脳刺激装置、胃腸刺激装置、末梢刺激装置、又は筋刺激装置のような外部医療デバイス又は埋め込み可能医療デバイスと一体化されるか、当該デバイス内に収容されるか、当該デバイスに結合されるか、又は他の様態で関連付けられることができ、埋め込み可能薬剤送達デバイス又は外部薬剤送達デバイスと併せて使用することもできる。たとえば、計装用増幅器及び/又は関連検知デバイスは、埋め込み可能医療デバイスハウジング又はこのようなデバイスに結合されるリード線若しくはカテーテル内に存在することができる。
【0196】
計装用増幅器は、心臓刺激、深部脳刺激(DBS)、脊髄刺激(SCS)、骨盤痛、失禁、若しくは性的機能不全のための骨盤刺激、胃不全麻痺、肥満、若しくは他の障害のための胃腸刺激、又は疼痛処理のための末梢神経刺激のような種々の治療用途に関連して使用することができる。刺激は、筋刺激、たとえば、筋肉の動きを促進するか又は萎縮を防止する機能的電気刺激(FES)に使用することもできる。
【0197】
本発明のさまざまな実施形態を説明してきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求項の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動入力信号の振幅をクロック周波数で変調して、変調された信号を生成する第1の変調器と、
前記変調された信号を増幅して、増幅された信号を生成し、当該増幅された信号を、前記クロック周波数で復調して、出力信号を生成するミキサ増幅器と、
前記出力信号の振幅を、前記クロック周波数で変調する第2の変調器と、
前記変調された出力信号を、差動フィードバック信号として、前記変調された入力信号に印加する、フィードバック・パスと、
を備える、チョッパ安定化された計装用増幅器。
【請求項2】
前記フィードバック・パスが、前記ミキサ増幅器の第1の入力に結合された(coupled)第1のフィードバック・パス・ブランチ、及び、前記ミキサ増幅器の第2の入力に結合された第2のフィードバック・パス・ブランチを含み、
前記第2の変調器が、前記第1のフィードバック・パス・ブランチ内の変調器、及び、前記第2のフィードバック・パス・ブランチ内の変調器、を含み、これらの変調器が、互いに位相がずれた(out of phase)形で、出力信号の振幅を変調するものである、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記第1の及び第2のフィードバック・パス・ブランチの各々が、フィードバック・キャパシタンスを含み、
前記ミキサ増幅器の前記第1の及び第2の入力の各々が、入力キャパシタンスを介して、差動入力信号を受け取るために結合され、
前記ミキサ増幅器のゲインが、少なくとも部分的に、前記フィードバック・キャパシタンスの、前記入力キャパシタンスに対する比率に依存する、
請求項2に記載の増幅器。
【請求項4】
請求項1に記載の増幅器であって、前記フィードバック・パスが、第1のフィードバック・パスであり、当該増幅器が更に、
前記出力信号を積分する積分器、
前記積分された出力信号を、前記クロック周波数で変調して、第2の差動フィードバック信号を生成する第3の変調器、及び、
前記第2の差動フィードバック信号を、前記変調された入力信号に印加する第2のフィードバック・パス、
を備える、請求項1に記載の増幅器。
【請求項5】
前記第2のフィードバック・パスが、前記ミキサ増幅器の第1の入力に結合された第1のフィードバック・パス・ブランチ、及び、前記ミキサ増幅器の第2の入力に結合された第2のフィードバック・パス・ブランチ、を含み、
前記第3の変調器が、前記第1のフィードバック・パス・ブランチ内の変調器、及び、前記第2のフィードバック・パス・ブランチ内の変調器を含み、これらの変調器が、互いに位相がずれた(out of phase)形で、前記積分された出力信号の振幅を変調するものである、
請求項4に記載の増幅器。
【請求項6】
前記第2のフィードバック・パスの前記第1の及び第2のフィードバック・パス・ブランチの各々が、フィードバック・キャパシタンスを含み、
前記第2のフィードバック・パスが、ハイパス・カットオフ周波数より低い周波数において支配的(dominant)であり、
前記第1のフィードバック・パスが、前記ハイパス・カットオフ周波数より高い周波数において支配的である、
請求項5に記載の増幅器。
【請求項7】
前記ミキサ増幅器の前記第1の及び第2の入力の各々が、入力キャパシタを介して、前記差動入力信号を受け取るために結合され、
前記増幅器が更に、
前記ミキサ増幅器の出力を、第1のスイッチト・キャパシタを介して、前記ミキサ増幅器の前記第1の入力に対応する(associated with)前記入力キャパシタに結合する第1のフィードバック・パス・ブランチと、
前記ミキサ増幅器の出力を、第2のスイッチト・キャパシタを介して、前記ミキサ増幅器の前記第2の入力に対応する(associated with)前記入力キャパシタに結合する、第2のフィードバック・パス・ブランチと、
を含む第2のフィードバック・パスを備える、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項8】
前記第1の及び第2のスイッチト・キャパシタの各々が、スケーリングされた補償電荷(a scaled compensatory charge)を、前記入力キャパシタのそれぞれの1つに印加する
ようにされる、
請求項7に記載の増幅器。
【請求項9】
前記増幅器に電力を供給するための電源を更に備え、
前記電源が、約2.0マイクロ・アンペア(microamps)より小さい電流を、作動中の前記増幅器に供給し、約2.0ボルトより低い電圧を回路に供給する、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項10】
前記作動入力信号が、約1.0Hzより低い又はそれと等しい周波数を有する、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項11】
前記ミキサ増幅器が、前記復調された信号を積分して、前記出力信号を生成する、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項12】
生理学的(physiological)検出デバイスであって、
生理学的状態を示す差動入力信号を生成する生理学的センサと、チョッパ安定化された計装用増幅器とを備え、
前記チョッパ安定化された計装用増幅器が、
前記差動入力信号の振幅を、クロック周波数で変調して、変調された信号を生成する第1の変調器と、
前記変調された信号を増幅して、増幅された信号を生成し、当該増幅された信号を、前記クロック周波数で復調して、出力信号を生成するミキサ増幅器と、
前記出力信号の振幅を、前記クロック周波数で変調する第2の変調器と、
前記変調された出力信号を、差動フィードバック信号として、前記変調された入力信号に印加するフィードバック・パスと、
を含む、
生理学的(physiological)検出デバイス。
【請求項13】
前記フィードバック・パスが、
前記ミキサ増幅器の第1の入力に結合された、第1のフィードバック・パス・ブランチと、
前記ミキサ増幅器の第2の入力に結合された、第2のフィードバック・パス・ブランチと、
を含み、
前記第2の変調器が、前記第1のフィードバック・パス・ブランチ内の変調器、及び、
前記第2のフィードバック・パス・ブランチ内の変調器を含み、それらが、互いに位相がずれた(out of phase)形で、前記出力信号の振幅を変調するものである、
請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の及び第2のフィードバック・パス・ブランチの各々が、フィードバック・キャパシタンスを含み、
前記ミキサ増幅器の前記第1の及び第2の入力の各々が、入力キャパシタンスを介して、前記差動入力信号を受け取るために結合され、
前記ミキサ増幅器のゲインが、少なくとも部分的に、前記フィードバック・キャパシタンスの、前記入力キャパシタンスに対する比率に依存する、
請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記フィードバック・パスが、第1のフィードバック・パスであり、前記デバイスが、更に、
前記出力信号を積分する積分器と、
前記積分された出力信号を、前記クロック周波数で変調して、第2の差動フィードバック信号を生成する第3の変調器と、
前記第2の差動フィードバック信号を、前記変調された入力信号に印加する第2のフィードバック・パスと、
を備える、
請求項12に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第2のフィードバック・パスが、
前記ミキサ増幅器の前記第1の入力に結合された第1のフィードバック・パス・ブランチ、及び、
前記ミキサ増幅器の第2の入力に結合された第2のフィードバック・パス・ブランチ、
を含み、
前記第3の変調器が、前記第1のフィードバック・パス・ブランチ内の変調器、及び、前記第2のフィードバック・パス・ブランチ内の変調器を含み、これらの変調器が、互いに位相がずれた(out of phase)形で、積分された出力信号の振幅を変調するものである、
請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第2のフィードバック・パスの前記第1の及び第2のフィードバック・パス・ブランチの各々が、フィードバック・キャパシタンスを含み、
前記第2のフィードバック・パスが、ハイパス・カットオフ周波数より低い周波数において支配的であり、
前記第1のフィードバック・パスが、ハイパス・カットオフ周波数より高い周波数において支配的である、
請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記ミキサ増幅器の前記第1の及び第2の入力の各々が、入力キャパシタを介して差動入力信号を受け取るために結合され、
前記増幅器が更に、
前記ミキサ増幅器の出力を、第1のスイッチト・キャパシタを介して、前記ミキサ増幅器の第1の入力に対応する前記入力キャパシタに結合する第1のフィードバック・パス・ブランチ、及び、
前記ミキサ増幅器の出力を、第2のスイッチト・キャパシタを介して、前記ミキサ増幅器の第2の入力に対応する前記入力キャパシタに結合する第2のフィードバック・パス・ブランチ、
を含むフィードバック・パスを備える、
請求項12に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の及び第2のスイッチト・キャパシタの各々が、スケーリングされた補償電荷を、前記入力キャパシタのそれぞれの1つに印加するようにされる、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記増幅器に電力を与える電源を更に備え、
前記電源が、約2.0マイクロ・アンペアより少ない電流を、作動中の前記増幅器に供給し、約2.0ボルトより低い電圧を、回路に供給する、
請求項12に記載のデバイス。
【請求項21】
前記差動入力信号が、約1.0Hzより低い、又は、それと等しい周波数を有する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項22】
前記センサが、加速度計、圧力センサ、及び、電圧センサの1つを含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項23】
センサが、心電図(ECG)センサ、筋電図(EMG)センサ、又は、脳電図(EEG)センサの1つを含む、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記生理学的検出デバイスが、埋め込み可能医療デバイス内に存在する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項25】
前記埋め込み可能医療デバイスが、心臓ペースメーカ、心臓除細動器、電気的神経刺激器(electrical neurostimulator)、及び、埋め込み可能薬品供給デバイスの1つを含む、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記ミキサ増幅器が、前記復調された信号を積分して、前記出力信号を生成する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項27】
差動入力信号の振幅を、クロック周波数で変調して、変調された信号を生成するための手段、
前記変調された信号を増幅して、増幅された信号を生成し、当該増幅された信号を、前記クロック周波数で復調して、出力信号を生成するための手段、
前記出力信号の振幅を、前記クロック周波数で変調するための手段、及び、
前記変調された出力信号を、差動フィードバック信号として、前記変調された入力信号に印加するための手段、
を備える、チョッパ安定化された計装用増幅器。
【請求項28】
差動入力信号の振幅を、クロック周波数で変調して、変調された信号を生成し、
ミキサ増幅器内で、前記変調された信号を増幅して、増幅された信号を生成し、
前記ミキサ増幅器内で、前記増幅された信号を前記クロック信号で復調して、出力信号を生成し、
前記出力信号の振幅を、前記クロック信号で変調し、そして、
前記変調された出力信号を、第1のフィードバック・パスを介して、差動フィードバック信号として、前記変調された入力信号に印加する、
ステップを含む方法。
【請求項29】
前記ミキサ増幅器の第1の入力に結合された、前記第1のフィードバック・パスの第1のフィードバック・パス・ブランチ、及び、
前記ミキサ増幅器の第2の入力に結合された、前記第1のフィードバック・パスの第2のフィードバック・パス・ブランチ、
を介して、前記差動フィードバック信号を印加するステップを更に含み、
出力信号の振幅を変調するステップが、
前記第1のフィードバック・パス・ブランチ内で前記出力信号の前記振幅を変調するステップと、
前記第1のフィードバック・パス・ブランチ内での変調と位相が外れた状態で、前記第2のフィードバック・パス・ブランチ内で前記出力信号の振幅を変調するステップと、
を含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の及び第2のフィードバック・パス・ブランチの各々が、フィードバック・キャパシタンスを含み、
前記ミキサ増幅器の前記第1の及び第2の入力の各々が、入力キャパシタンスを介して前記差動入力信号を受け取るために結合され、
前記ミキサ増幅器のゲインが、少なくとも部分的に、前記フィードバック・キャパシタンスの、前記入力キャパシタンスに対する比率に依存する、
請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記フィードバック・パスが、第1のフィードバック・パスであり、
前記方法が、更に、
前記出力信号を積分し、
前記積分された出力信号を、前記クロック周波数で変調して、第2の差動フィードバック信号を生成し、
前記第2の差動フィードバック信号を、第2のフィードバック・パスを介して、前記変調された入力信号に印加する、
ステップを含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第2のフィードバック・パスが、
前記ミキサ増幅器の第1の入力に結合された、前記第2のフィードバック・パスの第1のフィードバック・パス・ブランチ、及び、
前記ミキサ増幅器の第2の入力に結合された、前記第2のフィードバック・パスの第2のフィードバック・パス・ブランチ、
を含み、
前記積分された出力信号を変調するステップが、
前記第1のフィードバック・パス・ブランチ内で前記積分された出力信号の振幅を変調し、そして、前記第2のフィードバック・パス・ブランチ内で前記積分された出力信号の振幅を、前記第1のフィードバック・パス・ブランチ内の変調とは位相が外れた状態で、変調するステップを含む、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2のフィードバック・パスの前記第1の及び第2のフィードバック・パス・ブランチの各々が、フィードバック・キャパシタンスを含み、
前記第2のフィードバック・パスが、ハイパス・カットオフ周波数より低い周波数において支配的であり、
前記第1のフィードバック・パスが、ハイパス・カットオフ周波数より高い周波数において支配的である、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ミキサ増幅器の前記第1の及び第2の入力の各々が、入力キャパシタを介して、差動入力信号を受け取るために結合され、
前記方法が、更に、
前記ミキサ増幅器の出力からのフィードバックを、第1のスイッチト・キャパシタを介して、前記ミキサ増幅器の前記第1の入力に対応する(associated with)入力キャパシタに印加し、そして、
前記ミキサ増幅器の出力からのフィードバックを、第2のスイッチト・キャパシタを介して、前記ミキサ増幅器の前記第2の入力に対応する入力キャパシタに印加する、
ステップを含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項35】
スケーリングされた補償電荷を、それぞれの第1の及び第2のスイッチト・キャパシタを介して、前記入力キャパシタの各々に印加するステップを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
約2.0マイクロアンペアの電流より小さい電流、及び、約2.0ボルトの電圧より低い電圧で、作動中の前記ミキサ増幅器に電力を供給するステップを更に含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記差動入力信号が、約1.0Hzより低い、又は、それと等しい周波数を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記復調された信号を、ミキサ増幅器内で積分して、前記出力信号を生成するステップを更に含む、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2010−517472(P2010−517472A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548232(P2009−548232)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/066358
【国際公開番号】WO2008/094271
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(591007804)メドトロニック,インコーポレイテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】