ツイスターファイバー光学システムおよび医療用途におけるその使用
安全、正確かつ効率的な外科手術のための、向上したデバイスおよび方法が開示される。本開示のデバイスは、非対称遠位端部構成を備えた光ファイバーセットである。前記光ファイバーセットは、屈曲した先端ファイバーを含む。前記屈曲した先端ファイバーは、焼付スリーブと、回転可能なコネクタとを含む。前記焼付スリーブは、前記先端ファイバーと一体部分として設けられ、前記ファイバーの遠位(出力)端に設けられる。前記回転可能なコネクタは、近位(入力)側に設けられる。前記先端部の遠位端部に設けられたファイバー先端部および組織接触面は、集束特性を向上させるために異なる形状構成(例えば、凸状先端部)と共に構成され得る。前記凹状先端部は、発散放射または拡張ビーム先端部を達成することで、外科用電子器具によって得られる効果と同様の効果を達成する。グリップ部により、グリップ部をねじりおよび回転を行う能力が保証される。別の好適な実施形態において、特殊な構成により、ねじり操作が向上される。これらの特殊な機能(屈曲した先端および回転可能なコネクタ)双方により、多様な病状に対して向上した治療を行うことが可能になり、これにより、特定の組織へ効率的かつ容易に到達し、治療を行うことが可能になる。光ファイバーの操作性、ねじり可能性および回転により、より正確かつ向上した効果を組織の付与することが可能になる。これにより、治療をより容易、より迅速かつより正確に行うことが可能になる。例えば、本デバイスは、膀胱鏡に挿入して前立腺組織の高出力焼灼をBPH治療のために行うことも可能であるし、あるいは、本デバイスを操縦して前立腺葉のうちの1つに挿入して、この前立腺葉を内部から開削して、尿道の完全性を維持しつつ、尿道上への圧力を軽減することも可能である。他の用途としては、身体内の腫瘍組織、肥厚組織または他の不要な組織の除去がある。開示される光ファイバーセットは、多様な波長のレーザー源(例えば、デュアルレーザー源)と共に用いることが可能であるが、より高出力のLEDデバイスまたは極めて明るい光源を用いて、伝播させるための放射を生成することも可能である。。このような新規な設計により、記載のファイバーは位置決めが容易にでき、組織との接触状態を容易に維持でき、また耐久性も高い。また、医師にとっての感触も向上する。その結果、組織への出力移動をより効果的に行うことが可能になり、よって、手術の信頼性がより高くなり、手術時間も30%まで短縮される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.135USC119(e)下における国内優先権
本出願は、米国仮出願シリアルNo.61/245,484号(出願日:2009年9月24日)および米国仮出願シリアルNo.61/293,464号(出願日:2010年1月8日)(名称はそれぞれ、「Twister Fiber Optic Systems and their Use in Medical APplications」(Wolfgang Neuberger)ならびに米国シリアルNo.12/714,155号(出願日:2010年2月26日)(Wolfgang Neuberger、名称は同様に「Twister Fiber Optic Systems and their Use in Medical APplications」)による恩恵および優先権を主張する。本明細書中、同文献それぞれを参考のため援用する。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
本発明は、医療のためのレーザーシステムに関し、より詳細にはレーザー外科手術に関する。より詳細には、本発明は、多様な外科手術(例えば、良性前立腺過形成)による治療に用いられる光ファイバーシステムおよび方法に関する。
【0003】
3.情報開示陳述書
多くの患者が罹患している多くの重大な内科的疾患に起因して、身体から異常軟組織を除去するステップを含む治療が必要になる。不要な組織を挙げると、腫瘍および粥状斑、審美治療における過剰脂肪、または前立腺組織の一部がある。泌尿器学においては、例えば癌または良性前立腺肥大(BPH)などの前立腺疾患の場合、当該組織を部分的除去または完全除去する必要がある。
【0004】
組織除去は、多様な方法によって行うことが可能である。使用方法とは関係無く、この種の治療の主な目的は、周囲組織の損傷を回避しつつ不要な組織を全て除去することである。近年、この目的の達成のために、レーザーエネルギーが利用されている。
【0005】
組織上へのレーザーエネルギーの利用に基づいて、多数のアプローチが提案されている。レーザー技術が通常好適であるのは、高出力を小領域に送達することが可能であるという特性があるためであり、これにより、治療の精密度および正確度が向上し、周囲組織への望ましくない影響が低減する。米国における前立腺癌患者は毎年232,000人を越えている。前立腺癌患は悪性腫瘍成長であり、前立腺からの細胞からなる。この腫瘍は通常ゆっくりと成長し、多年にわたって前立腺内に留まる。この時期において、当該腫瘍からの症状または外的徴候(または身体診察における異常)はほとんど発生しない。しかし、癌進行と共に、この腫瘍は前立腺を越えて周囲組織内まで拡散し得る。また、前立腺癌は、身体の他の領域(例えば、骨、肺、および肝臓)にも転移し得る。転移前に検出された前立腺癌の場合場合、現在では、側方照射ファイバを用いたレーザー手術が、外科医および患者間において好まれている治療である。このレーザー手術の場合、失血少なく、回復期間も短くてすむ。
【0006】
良性前立腺過形成(BPH)または「前立腺肥大」とは、非癌性(良性)の前立腺成長を指す。BPHは50歳を過ぎた男性にとって最も一般的な前立腺関連問題であるが、前立腺の良性成長は25歳くらいから微細な小塊として発生し始めるが、40歳前に症状が出始めることはほとんどない。推計によれば、米国内の630万人の男性がBPHに罹患しており、毎年BPHに起因して640回の受診および400,000を越える入院件数が発生している。
【0007】
BPHの正確な原因は不明であるが、老化過程と関連するホルモン変化に関連すると一般的に考えられている。BPHにおいて、テストステロンが関与している可能性が高いと考えられている。なぜならば、テストステロンは、男性の一生涯にわたって継続的に生成され、思春期および早期成人期時における前立腺の発達を促すジヒドロテストステロン(DHT)に対する前駆体であるからである。完全に発達した状態の前立腺はほぼクルミと同じ大きさで有り、男性が40代半ばになるまでこの大きさのままである。40代半ばになると、前立腺は第2成長期に入り、この期間において、多くの男性において後にBPHとなる現象が前立腺中に発生する。
【0008】
早期成人期における前立腺が全体的に拡張するのとは対照的に、良性前立腺成長は、尿道を包囲している腺中央領域(内腺部分と呼ばれる)のみにおいて発生する。前立腺のこの領域の成長と共に、腺が尿道に押しつけられて、排尿困難または排尿痛に繋がる。最終的には、膀胱そのものが弱体化し、膀胱を空にする能力が失われる。
【0009】
BPHの閉塞症状(例えば、間欠流または排尿困難)があると、身体から排出される尿量が大幅に低下し得る。このような症状を未治療のまま放置した場合、急性尿閉に起因して他の重大な合併症(例えば、膀胱結石、尿路感染症、失禁)に繋がり得、稀ではあるが膀胱および腎臓が損傷を受ける場合もある。これらの合併症は、抗不整脈薬または降圧(非利尿性)薬物による治療を受けている高齢男性において頻発する傾向がある。BPHに関連する身体的問題に加えて、BPHを患っている多くの男性は、不安やクオリティーオブライフの低下も経験する。軽程度のBPH症状の場合、薬物治療(例えば、アルファブロッカーおよび抗アンドロゲン)によって治療されることがほとんどである。中程度から重程度のBPH症状の男性の場合、手術を受ける必要があることが多い。多数の異なるレーザー技術が用いられており、光を用いて、焼灼(蒸発)、熱凝結またはこれらのメカニズムの組み合わせのいずれかにより、余分な前立腺組織を除去する。観察される臨床効果は、(標的組織そのものおよび/または周囲流体による)光吸収およびその後の熱伝達によって得られる。このような光吸収および熱伝達の範囲は、レーザービームの出力および波長によって大きく異なる。
【0010】
多くの種類のレーザー手術により、尿流の改善がほぼ即時的に可能となっている。BPHを対象としたレーザー手術の場合、使用波長および技術に応じて、他にも利点があり得る(例えば、失血低減および治療時間の短縮、患者回復の早期化、治療後失禁のリスクの低下)。しかし、今でも、何らかの様態のレーザー手術を受けた後にさらにカテーテル治療を1〜2週間受けざるをない患者が多数存在している。
【0011】
泌尿器学におけるレーザー手術の成否の鍵を握る重要な要素として、外科医が周囲の健常組織を損傷すること無く不要な前立腺組織を除去して適切な組織焼灼を達成するという正確度がある。正確度は、機械的側面からだけでなく治療ビームによる制約も考慮して定義され、また、焼灼前に組織の大幅な傾瀉が発生していないかなどの問題も考慮される。一定の成功を収めるために、発明者らは、効率、正確度およびよって手術安全性を向上させることが可能な光ファイバー構成の開発に長年取り組んできた。ファイバーは、新規のレーザー源技術によって放出される高レーザーエネルギーにも耐えることができなければならない。BPH治療において、組織焼灼を最も有効に行うために、主要ファイバー軸に対してレーザービームを特定の角度で方向付けることが好ましい。米国特許第5,292,320号(Brownら)において、ファイバーコア内の複数の側方照射面を有する側方照射出力端についての開示がある。このファイバーコアには、複数の溝部と、レーザーエネルギーを横方向に反射するための傾斜端面とが設けられる。このアプローチの場合、効率向上には繋がるものの、作製するには構造が複雑であり、また、気をつけて扱わないと、操作先端部が壊れる可能性もある。さらに、コア部がエンドキャップ内へ接着されているため、高出力レーザー操作(例えば、50W以上)時において、この出力端が故障することが多い。
【0012】
米国特許第5,509,917号(Cecchettiら)において、横ビーミングレーザー先端部が開示されている。この横ビーミングレーザー先端部の内部の光ファイバーの出力端に対し、透明な石英キャップが設けられている。前記キャップは、光学コアの傾斜端面から反射されるレーザー放射のための多様な集束手段を有するものとして記載されている。このレーザー先端部は、一般的に作製するのが複雑であり、また、下側のファイバーへの接続も変動があり得、繰り返し再現するのが困難である場合がある。
【0013】
米国特許第5,366,456号(Rinkら)において、レーザー切断用外科用メスについての記載がある。このメスの場合、伝達された放射は、入射放射源およびツールに対して角度を以て送達される。このデバイスの照射先端部の挿入部には、高度研磨鏡面が光ファイバーの中央長手方向軸に対して特定の角度を以て設けられている。これにより、入射したレーザー放射を側方に反射させ、ファイバーに対してほぼ直角方向に送達させる。前記照射先端部はカニューレ先端に取り付け可能であり、装置全体はファイバーの中央軸周囲において回転可能である。Brekkeらは、米国特許公開第2006/0285798号において、装置軸方向に対して横方向に光をリダイレクトするための屈曲型側方照射レーザーを請求している。このようなファイバーの構造および用途の多様な局面が複雑であり、場合によっては、均一に再現するのが困難な場合もある。米国特許第5,428,699号(Pon)において、BrownおよびCeccheitiと類似する、レーザービームを横方向に方向付けるための光ファイバーについての開示がある。この光ファイバーの場合、肉厚のクラッディングを用いて、内部反射構造からの電磁放射散乱を低減させ、これにより、横方向に方向付けられるプローブの効率を向上させる。上述した3つの特許の場合、いずれもプローブ主軸に対して横方向に放射ビームを非接触的に出射させる。上述した3つの特許の場合、従来技術と比較していくつかの機能が向上しているものの、横方向照射型システムの欠点のうち多くが未解決のままである(例えば、均一な非接触状態を保持し、活性出射面の「ファウリング」を回避する方法)。
【0014】
米国特許第5,553,177号(Herringら)において、導光デバイスが記載されている。この導光デバイスは、光伝達軸に対して小さな曲げ半径と共に約90度の角度で屈曲された導光材料部からなる。出力は、ファイバー軸から非対称に照射される。この屈曲部は、導光部コア中の屈折率が均一になるように、処理される。ここでの問題として、鋭角での形成が困難であるため、特に小寸法ファイバーの場合において構造が壊れやすくなる点がある。米国特許第5,416,878号(Bruce)に記載されている側方照射レーザーファイバーの場合、外周周囲において精密縁部を有する平坦面において出力端が終端している。このファイバーの出射面の近隣において屈曲部が設けられているため、レーザービームは、光ファイバー本体の長手方向軸から特定の角度において方向付けられる。ここで、外科医による回転運動が困難であることに起因して、主な欠陥が発生する。また、屈曲部の形成において一定の改善が得られているものの、先端部は未だに偶発的に損壊することがある。別の不利点として、どちらの発明の場合も平坦面端部を用いているため、ファイバーの集光特性が限定される。例えば高出力において頻繁に発生する蒸気泡がファイバーの前方に発生した場合において、ファイバーの集光特性は重要である。さらに、平坦面の場合、標的組織でない箇所を損傷または穿孔する場合があり得る。
【0015】
米国特許第6,699,239号(Stillerらによる)において、生物組織の蒸発と、組織除去時におけるアプリケーションキャップ安定化とのためのレーザー器具が開示されている。このレーザー器具は、光導波路を導光部およびアプリケーションキャップと共に含む。前記導光部は、光を出射する。前記アプリケーションキャップは、光を伝送する光導波路に接続される。前記レーザー器具は、内視鏡に挿入可能である。生物組織の蒸発および除去を行う際には、アプリケーションキャップを位置決めできるように、前記レーザー器具を伸長または退避させることが可能である。本発明は、重大な障害を示すいくつかの特性を提示する。例えば、ファイバー先端部は受け入れ側スリーブと溶融接続されている一方、光導波路はシージングと受け入れ側スリーブとの間の接合によりアプリケーションガイドに機械的に接合されている。そのため、高温時においてデバイスが脆弱化する可能性があり、また、高エネルギーを受けた場合、身体内のエンドキャップが外れる可能性もあり、患者にとって危険であり、外科医にとっても複雑な事態となる。さらに、エンドキャップは2つの部品(主に曲線状グラス端部内に配置されたファイバー)から構成されてい。そのため、液状媒質(例えば、尿道内部)においては、レーザー放射はエンドキャップの材料を通じて伝播する(すなわち、プローブの曲線状部分の外側領域から伝播し)、複数部分から出て行く。そのため、放射を正確な方向に方向付けることが困難となるため、外科医にとって困難な事態となり得、健常組織も損傷を受ける。このような事態に起因して、出力密度も低下する。最後に、ファイバーとキャップとの間の光結合に起因して、光が失われ、反射に起因して治療効率も低下し得る。
【0016】
上述した特許から分かるように、先行特許にはいくつかの問題がある(例えば、操作の困難性、集束可能性およびエネルギー制限に関連する問題)。また、先行技術の場合、治療には時間がかかるため、治療によって必ずしも所望の効果が得られないという制約もある。より新規な技術の出現と共に、医師は患者を助けかつより多くの患者を毎日治療できるために。手術時間を短縮する努力をしている。
【0017】
そのため、以下のようなレーザー治療システムが必要とされている。すなわち、このレーザー治療システムは、当該分野の現状を向上させ、ファイバー器具を提供する。前記ファイバー器具は、レーザー切断による恩恵を維持しつつ、除去速度、取り扱い/操作の容易性を向上させる、より良好でよりロバストなファイバー器具である。本発明は、これらの必要性に対処する。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、外科手術(例えば、泌尿器治療および組織焼灼)を向上させるデバイスおよび方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、デバイスおよび方法を提供することである。前記デバイスおよび方法は、周囲組織を保持しつつ有効なレーザー放射を達成するために、より高速であり、より正確であり、より安全かつおよびより信頼性の高い治療を提供する。
【0020】
本発明の別の目的は、向上したレーザー外科手術のためのデバイスおよび方法を提供することである。前記向上したレーザー外科手術は、ファイバー操作性、自由回転および特殊な非対称遠位端部構成によって可能となる。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、前立腺組織と葉の開削との高出力蒸発により、良性前立腺過形成をより容易に治療することである。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、身体中の腫瘍組織または肥厚組織あるいは他の不要組織の除去を向上しかつ効率的な様態で行うための、外科用デバイスおよび方法を提供することである。
【0023】
簡潔に述べると、安全、正確かつ効率的な外科手術のための向上したデバイスおよび方法が開示される。本開示によるデバイスは、光ファイバーセットである。前記光ファイバーセットは、非対称遠位端部構成を備える。前記光ファイバーセットは、屈曲した先端ファイバーを含む。前記屈曲した先端ファイバーは、焼付スリーブと、回転可能なコネクタとを含む。前記焼付スリーブは、前記ファイバーの遠位(出力)端部に一体部分として配置される。前記回転可能なコネクタは、近位(入力)側に設けられる。前記先端部の遠位端部に配置されたファイバー先端部および組織接触面は、集束特性を向上させるために異なる形状構成(例えば、凸状先端部)と、凹状先端部と共に構成可能である。り、前記凹状先端部は、発散放射または拡張ビーム先端部を達成することで、外科用電子器具によって得られる効果と同様の効果を達成する。グリップ部により、グリップ部をねじりおよび回転を行う能力が保証される。別の好適な実施形態において、特殊な構成により、ねじり操作が向上される。これらの特殊な機能(屈曲した先端および回転可能なコネクタ)双方により、多様な病状に対して向上した治療を行うことが可能になり、これにより、特定の組織へ効率的かつ容易に到達し、治療を行うことが可能になる。光ファイバーの操作性、ねじり可能性および回転により、より正確かつ向上した効果を組織の付与することが可能になる。これにより、治療をより容易、より迅速かつより正確に行うことが可能になる。例えば、本デバイスは、膀胱鏡に挿入して前立腺組織の高出力焼灼をBPH治療のために行うことも可能であるし、あるいは、本デバイスを操作して前立腺葉のうちの1つに挿入して、この前立腺葉を内部から開削して、尿道の完全性を維持しつつ、尿道上への圧力を軽減することも可能である。他の用途としては、身体内の腫瘍組織、肥厚組織または他の不要な組織の除去がある。開示される光ファイバーセットは、多様な波長のレーザー源(例えば、デュアルレーザー源)と共に用いることが可能であるが、より高出力のLEDデバイスまたは極めて明るい光源を用いて、伝播させるための放射を生成することも可能である。このような新規な設計により、記載のファイバーは位置決めが容易にでき、組織との接触状態を容易に維持でき、また耐久性も高い。また、医師にとっての感触も向上する。その結果、組織への出力移動をより効果的に行うことが可能になり、よって、手術の信頼性がより高くなり、手術時間も30%まで短縮される。
【0024】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴および利点は、以下の記載を添付図面と共に読めば、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーセットは、屈曲した先端と、焼付キャップと、回転可能なコネクタと、グリップ部とを含む。
【図1b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーセットは、屈曲した先端と、焼付キャップと、回転可能なコネクタと、グリップ部とを含む。
【図1c】光ファイバー先端部およびその角度表記を示す、本発明の好適な実施形態の模式図である。
【図1d】本発明において開示されるデバイスによって治療されている組織の写真を示す。
【図2a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、丸みを帯びた凹状先端部を含む。
【図2b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、丸みを帯びた凹状先端部を含む。
【図2c】本発明の好適な実施形態の模式図である。この実施形態において、光ファイバーは、丸みを帯びた凹状隙間を凹状先端部において含む。
【図2d】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、丸みを帯びた凸状先端部を含む。
【図3a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、被覆された先端部を含む。
【図3b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、被覆された先端部を含む。
【図4】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、拡張したビーム先端部を含む。
【図5a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーセット設計により、向上したねじり可能性が可能となる。
【図5b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーセット設計により、向上したねじり可能性が可能となる。
【図6a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図6b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図6c】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図6d】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図6e】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図7a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、バンドル構成内に7本のファイバーが設けられる。
【図7b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、バンドル構成内に7本のファイバーが設けられる。
【図8a】本発明の別の実施形態の模式図である。この実施形態において、組織表面に対してファイバーが傾斜している。
【図8b】本発明の別の実施形態の模式図である。この実施形態において、組織表面に対してファイバーが傾斜している。
【図9】本発明の別の実施形態を示す。この実施形態において、遠位端部の領域が拡張している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
先行技術によれば、医療用レーザーファイバーは一般的には、ファイバー主軸(例えば、裸ファイバー、ボール先端付きファイバー、円錐ファイバーまたは側方出射型ファイバー)に対して外側方向から同心に構成される。
【0027】
これらのファイバーを外科手術において用いる場合、これらのファイバーには明かな欠陥がある。すなわち、ファイバー操作性が不適切な場合があり、そのため不満足な結果および効率低下の原因となり得る。さらに、これらの種類のファイバーが非接触型手術時において不注意により組織と接触した場合、ファイバーの焼失および破損が発生し得、また組織の望ましくない損傷も発生し得る。さらに、先行技術の光ファイバーの場合、簡単、効果的かつ正確な操縦性および回転機能に欠けているため、操作者は自信を持って操作することが困難である場合があり、そのため、良性前立腺過形成(BPH)などの多くの病状を治療する際に障害となる。これに起因して、組織開削および操縦が困難および遅延し得、その結果、手術によるストレスが増加し、患者の回復期間も余計に必要となることが多くなる。
【0028】
本発明は、安全かつ効率的な外科用光手術のための、向上したデバイスおよび方法を開示する。本発明において開示されるデバイスは、軸外構成の光ファイバーセットである。前記光ファイバーセットは、屈曲した先端ファイバーと、回転可能なコネクタとを備える。。前記焼付スリーブは、前記先端ファイバーと一体部分として設けられ、前記ファイバーの遠位(出力)端に設けられる。前記回転可能なコネクタは、近位(入力)側に設けられる。ファイバー形状は、軸方向に延びた部分と、軸方向に延びた先端部分と、組織接触面として記述され得る。前記軸方向に延びた部分は、長細軸を規定する。前記軸方向に延びた先端部分は、前記ファイバーの遠位端部に配置され、長細軸に対して鈍角で方向付けられる。前記組織接触面は、前記先端部分の遠位端部に配置される。グリップ部により、グリップ部をねじりおよび回転を行う能力が保証および向上される。
【0029】
本開示の発明に従って外科手術を行った場合、多数の利点が得られる。第1に、手術をより迅速かつより効率的に行うことが可能になる。ファイバーを組織と接触した状態で保持できるため、ファイバー劣化に起因するエネルギー損失は実際的にゼロである。また、光はファイバー先端部のみから出て行くため、ファイバー先端部からの迷光も実質的に無くなる。このような構造により、ファイバー耐久性が大幅に向上し、先行技術のファイバーの場合のような早期故障問題が解消される。最後に、好適な波長においては、手術時における出血はみられないため、良好な視界が得られ、治療領域およびファイバー先端部の視認性も良くなる。本発明において開示されるデバイスは、例えば膀胱鏡に挿入して、BPH治療のための前立腺組織の焼灼を高出力で行うことが可能である。さらに、本デバイスを操縦して前立腺葉のうちの1つに挿入して、組織を内部から開削して、尿道の完全性をできるだけ維持しつつ、尿道上への圧力を即時に軽減することも可能である。さらに、他にも恩恵が得られる。例えば、このような分かりやすい感触により、外科医は、最重要領域(例えば、括約筋および精丘)においてファイバー先端部を容易に取り扱うことが可能になる。市販の膀胱鏡と共に、手術を容易かつ効果的に実施することが可能である。
【0030】
他の用途としては、身体内の他の領域内の腫瘍組織、過形成組織または他の不要な組織の除去がある。
【0031】
図1aおよび図1bは、好適な実施形態の模式図である。この実施形態において、ツイスター光ファイバーセット100は、光ファイバーを含む。前記光ファイバーは、ジャケット付きファイバー102およびクラッド/コア104、焼付スリーブ/キャップ106、回転可能なコネクタ108、ならびにグリップ部110によって構成される。光ファイバーの遠位端部には、屈曲した先端ファイバークラッド/コア104と、焼付スリーブ106とが一体部分として設計されている。前記先端部分周囲において、スリーブが環状に延びる。軸方向に延びたクラッド/コア104によって出射面が規定され、スリーブ106のクラッド/コアおよび遠位部分の出射面により、組織接触面が規定される。焼付スリーブ106の長さは典型的には約15cmである。クラッド/コアファイバー104の寸法は、クラッド直径およびコア直径それぞれに対して、約50/10μm〜約1800/1700μmであり得る。焼付スリーブ106は石英であり、補強部として機能し、これにより、ほとんどの外科用電子器具において一般的な高エネルギーおよび取り扱いにファイバーが耐えることが可能になる。回転可能なコネクタ108が光ファイバーセット100の近位(入力)端部に設けられ、これにより、光ファイバーの自由回転およびねじり可能性が得られる。グリップ部110により、グリップ部110をねじりおよび回転を容易に行う能力が保証され、向上される。その結果、外科医はより円滑かつより正確な動きを円形様態で行うことが可能になる。治療要求および医師の選好に応じて、グリップ部を光ファイバーに沿って異なる位置に配置することができ、異なる形状で設計することが可能である。これらの特殊な機能(屈曲した先端および回転可能なコネクタ)双方により、多様な病状に対して向上した治療を行うことが可能になり、これにより、体内の特定の組織へ効率的かつ容易に到達し、治療を行うことが可能になる。
【0032】
図1cは、本発明の好適な実施形態の模式図であり、光ファイバー先端部と、その角度回転とを示す。軸方向に延びた先端部分により、軸方向長さLが約2mm〜約5mmの範囲において規定される。異なる組み合わせの半径および角度を用いてこのファイバーを開発することが可能である点に留意することが重要である。半径および角度の正確な値は、実行すべき治療、アクセス可能性、組織特性、スコープサイズなどを考慮して選択される。好適な実施形態において前記ファイバーの遠位端部に配置された、軸方向に延びる先端部分は、約20度〜約40度の角度φで長細軸に対して方向付けられる。
【0033】
図1dは、本発明において開示されるデバイスによって治療されている組織の写真を示す。光ファイバーの操縦性、ねじり性および回転性が向上しているため、組織に対し、向上した効果を付与することが可能になることが理解される。これに起因して、本発明に開示されるデバイスおよび方法により、治療をより容易、より迅速より正確かつ効果的に行うことが可能になる。
【0034】
図2a、図2b、図2cおよび図2dは、本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、ファイバー先端部は、レンズ形状の出力端において丸みを帯びた形状をしており、これにより、伝送された放射を特定の治療効果に応じて集束させる。ツイスター光ファイバーセット200は、光ファイバーを含む。前記光ファイバーは、クラッド22およびコア204と、焼付キャップ206と、回転可能なコネクタ208と、グリップ部210とによって構成される。光ファイバーの遠位端部は、屈曲した先端ファイバー204と、ファイバー204と一体部分として設計された焼付スリーブ206とによって構成される。放射を集中させたい場合、出射先端部212を図2aおよび図2bのように凸状にすることができる。出射先端部212は、図2cに示すように特定の屈折率の凹状隙間214を持ってもよく、これにより、集束特性が変化し、その結果、異なる放射パターンが達成される。あるいは、決定された焦点へ放射を分岐させたい場合、図2dに示す実施形態において出射先端部212を凹状とすることで、この効果が達成される。
【0035】
図3aおよび図3bに示すように、別の実施形態において、ツイスター光ファイバーセット300は、被覆された補強出射先端部を含む。光ファイバーセット300は、光ファイバー302およびクラッド/コア304と、焼付スリーブ/キャップ306と、回転可能なコネクタ308と、グリップ部310とを含む。光ファイバーの遠位端部は、屈曲した先端ファイバー304と、屈曲した先端ファイバー304と一体部分として設計された焼付スリーブ306とによって構成される。焼付スリーブ/キャップ306の長さは典型的には約15mmである。焼付スリーブ/キャップ306からは出射先端部312が突出しており、これにより、治療時においてファイバーが損傷から保護される。高レーザー出力が出射された場合、蒸気泡が形成されることが多い。蒸気泡はこの特殊な先端部構成によって所定位置において保持されるため、衝撃波が形成され、組織除去が促進される。さらに、丸みを帯びた焼付キャップが突出しているため、丸みを帯びた先端部構成が得られ、これにより、前進時における組織の損傷または引っかき傷が回避され、また、出力オフ時の出血も低減する。
【0036】
別の好適な実施形態において、前記ファイバー端部は、図4に示すように拡張したビーム先端部を有する。これは、iファイバー先端部を傾斜部分416および垂直部分418によって設計することにより、達成される。傾斜部分416の光学特性により、放射は垂直軸に沿って出射され、垂直部分418から前方方向に出射される。その結果、レーザー放射はより幅広のビームとして出射され、これにより、外科用電子器具の効果が模倣される。
【0037】
泌尿器科医によって用いられる掃引方法を、別の実施形態によって向上させることができる。この別の実施形態において、ファイバーの形状は、図5aおよび図5bに示すようになっている。焼付キャップ部分は曲線状となっており、これにより、ファイバー先端部はファイバーセットと同軸上にある。よって、ねじり可能性と、スコープを通じた視認性とが実質的に向上しする。上記実施形態と同様に、主軸に対して複数の角度で放射を出射するように、先端部を設計することができる。
【0038】
図6a、図6b、図6c、図6dおよび図6eは、本発明の別の好適な実施形態の模式図である。本発明の改変例において、3本以上のファイバーを近密に接触させた様態で組み合わせて、図6aに示すような1本のバンドル状とする。図6bおよび図6cは、レーザー放射線620を示す。この放射パターンの結果、医師が前進移動を行うたびに、大型溝部が生成され、これにより、手術時間の短縮および治療効率の向上が可能になることが理解される。さらに、ツイスターファイバーアセンブリは、折り畳みおよび展開することが可能であるため、直径全体を変化させることが可能になる。図6a、図6bおよび図6cは、部分展開状態のバンドルを示し、図6dおよび図6eは、完全に折り畳まれた状態のファイバーアセンブリおよび完全に展開した状態のファイバーアセンブリをそれぞれ示す。図示の実施形態において、バンドルが完全に展開した状態になった場合、バンドルは3本のファイバーによって構成されているため、ファイバー間の角度は約120度となる。この機能により、スコープまたはチャンネル(例えば、泌尿器手術において通常用いられる膀胱鏡)への挿入が容易になる。さらに、異なる展開特性により、放射パターンの変更も可能となる。例えば、ファイバーアセンブリを部分展開させることもできるし、完全展開させることもできるし、あるいは折り畳み状態のままにすることもできる。
【0039】
別の好適な実施形態において、複数の小直径のファイバーを近密に接触させた様態で束状にし、各ファイバーを屈曲および補強することで、より少量のエネルギーを搬送することが可能になる。このようにして、前記ファイバーがスコープ内にあるときには円形構成に適合させ、動作時においてスコープ端部を越えて展開されたときには、前記ファイバーを拡散させることで、大領域を「熊手」のように被覆することができる。また、直径を大幅に低減したファイバーを用いているため、大幅に小さなスポットサイズ内にレーザー放射が分配される。その結果、ファイバー遠位端部においてより高い出力密度が達成される。一例として、図7aおよび図7bは、本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、7本のファイバー702がバンドル700として配置されており、各ファイバーのコア直径(D1)は100μmであり、各ファイバーは、30Wの出力P1を伝送および照射するために用いられる。本実施形態のバンドル700内の各ファイバー702の遠位端部における出力密度δ1と、180Wの出力P2を伝送する、通常用いられる55Gμm(D2)のファイバーの遠位端部における出力密度62とを比較した場合、重要な利点が理解される。よって、以下のようになる。
【数1】
【0040】
上記結果から、本実施形態により、出力が6倍小さなレーザー出力源(30W対180W)を用いた場合、出力密度は5倍を超えることが分かる。その結果、より簡単な低出力のレーザーデバイスを用いて、治療をより効率的かつ効果的に行うことが可能になる。
【0041】
別の例において、コア直径が200μmである7本のファイバーが配置される。この例において、上記例と同様に計算をすると、出力密度は1.26倍高くなる。ここでも、高可撓性ファイバーにより、より高い出力密度が達成される。
【0042】
同一ファイバー構成を用いたさらに別の例において、より低出力の電源を用いて、同一出力密度が得られる。例えば、180Wにおいて550μmコアファイバーを用いた時に得られる出力密度と同一の出力密度を、100umコアファイバーにわずか6Wを付加するだけで得ることが可能である。
【0043】
ファイバーの出力端は、石英ガラスデバイスに焼き付けてもよいし、あるいは石英ガラスデバイス内に焼き付けてもよい。前記石英ガラスは、スペーサとしても機能する。コネクタ端部は、直線状構成として配置することができる。このような特殊な設計により、小直径ファイバーを屈曲させて小半径を形成し、ファイバー表面上への応力を大幅に低減する。その結果、ファイバーの可撓性および機械的応力の低減により、より小型のスコープへの挿入がより容易になる。、さらに、出力ビームによって拡散パターンを形成することが可能であるため、焼灼ゾーンを拡張することができ、その結果、組織除去をより均等かつ高速に行うことが可能になる。
【0044】
出力ビームによって形成される放射パターンは、バンドル構成によって異なる。所望の効果に応じて、ファイバー先端部を全て同一方向に向けて出した場合、集中しかつ集束した照射が可能になり、ファイバー先端部をラジアル方向に拡散させた場合、円錐ビームまたはこれらの任意の組み合わせが得られる。
【0045】
別の好適な実施形態において図8aに示すように、組織表面に対してファイバーを傾斜させた様態でファイバーを用いるよう、ファイバーを設計する。図8b中に模式的に示すような放射パターン820に起因して、より広範な浅い溝部が組織上に形成される。これは、下側組織を傷つけることなく組織表面部分のみを除去する必要がある場合に有用である。
【0046】
図9に示すような本発明の別の好適な実施形態において、ファイバー900がガラス先端部912において若干変形しており、これにより、遠位先端部の出力端におけるコアおよびファイバーの断面が、ファイバー近位端におけるコアおよびファイバーの断面の寸法と比較して拡張しており、その結果、ファイバー900の遠位端部における容積が増加する。組織接触面は、レーザーエネルギーがファイバーから組織接触面を通じて組織内へと到達するのを妨げることなく、組織焼灼時において組織接触面が摩耗するのに十分な厚さを規定する。好適な実施形態において、厚さは約1mm〜約4mmである。出射表面がこのように大きくなっているため、この摩耗表面構成により、出射放射の出力密度が低減し、その結果熱負荷が大幅に低下し、これにより、機械的安定性、熱安定性および出力安定性が向上する。さらに、この特殊な設計により、ファイバー耐久性および寿命が向上する。
【0047】
図10に示す別の好適な実施形態において、屈曲様態の小型焼付ファイバー1002が多数用いられており、これにより、屈曲部が強化され、ビームの逃げも最小化される。これは、例えば特殊な焼付および補強が施された遠位端部を備えた550μm、715μmまたは900μmのエンドキャップによって達成され、ここで、主要ファイバーに合わせて、比質量偏差に合わせて最適化された30〜40本の極めて小直径のファイバーを屈曲、焼付および適合させる。その結果、光透過をより効率的に行うことが可能になり、従って必要エネルギーも最小限となる。加えて、この構成によって組織接触部分が拡張されるため、やはり治療がより効率的になる。このような効率向上により、手術の精密度および安全性と、ファイバー耐久性とが向上する。本実施形態の別の例において、主要ファイバーの断面寸法と比較して遠位先端部を広げることにより、組織中により広い溝部を形成することが可能になる。
【0048】
上記実施形態の図面において、クラッドが焼付キャップ近位端において終端している様子を図示しているが、クラッドはファイバー遠位端部に到達するように設計することも可能である。
【0049】
本発明の別の実施形態において、モータにより、掃引動きを行うことができる。その結果、掃引動きを正確かつ周期的に行うことが可能になり、これにより、医師のストレスが大幅に低減し、患者の安全性も向上する。さらに、モータをグリップ部内に配置するかまたは他の場合にファイバーの近位側に沿って配置することで、振動を発生させるかまたは異なる種類の動きの組み合わせを発生させることが可能になる。医師は、特定の治療に、経験および個人的選好従って、所望の動きパターンを選択することができる。
【0050】
開示されるツイスター光ファイバーセットは、多様な波長のレーザーと共に用いることが可能である。好適な実施形態において、980nm、1470nm、1950nmの波長またはこれらの波長の適切な比率での組み合わせを用いることができ、合計出力レベルは200W以上となる。例えば、軸外遠位端部を有するツイスターファイバーセットを980nmレーザー源と共に用いた場合、側方ファイバーと比較して、より良好かつより効率的な結果が得られた。別の例において、3470nmおよび980nmの波長を組み合わせたレーザー源と共に開示のツイスターファイバーセットを用いた場合、BPH手術が高出力、安全かつ容易となる。どちらの場合においても、向上した効率に起因して、出力レベルが低くても所望の結果が得られ、これにより、健常組織の損傷リスクが低下し、ファイバー耐久性が向上する。
【0051】
他の好適な実施形態において、ダイオードレーザー、ファイバーレーザーおよびより高出力のLEDデバイスまたは極めて明るい光源を用いて、放射を伝送のために生成することが可能である。
【0052】
好適な実施形態において、ツイスター光ファイバーセットを膀胱鏡を挿入して、BPH治療のために前立腺組織の高出力蒸発を行うことができる。さらに、ツイスター光ファイバーセットを操縦して葉のうちの1つに挿入し、前記葉組織を内側から開削して、尿道の完全性をできるだけ維持しつつ、尿道上への圧力を軽減することも可能である。
【0053】
別の好適な実施形態において、開示の光ファイバーを用いて、身体内の腫瘍組織、肥厚組織または他の不要な組織を除去することができる。
【0054】
本発明において提案されるデバイス(全ての好適な実施形態を含む)は、接触モードで動作し、組織接触面を掃引的に組織上で移動させ、前記組織接触面と接触した組織を切除することにより、最良の結果を達成する。
【0055】
以下の例により、本発明についてさらに説明する。しかし、本発明はこれらの例に限定されない。
【0056】
実施例1
本発明中に開示されるBPH技術に従って、30grの前立腺に対して手術を行った。図1に示すようなツイスターファイバーセットを、デュアルレーザー源(1470+980nm)および市販の膀胱鏡と共に用いた。治療開始時におけるレーザー出力を100Wとし、その後6〜7分経過後にレーザー出力を120Wまで増加させた。合計手術時間は約11分間であり、合計送達エネルギーは80KJであった。
【0057】
実施例2
本発明中に開示されるBPH技術に従って、45grの前立腺に対して手術を行った。図1に示すようなツイスターファイバーセットを、デュアルレーザー源(1470+980nm)および市販の膀胱鏡と共に用いた。治療開始時におけるレーザー出力を100Wとし、その後6〜7分経過後にレーザー出力を130Wまで増加させた。合計手術時間は約15分間であり、合計送達エネルギーは110KJであった。
【0058】
上記の例双方において、約2gr/分の焼灼速度を容易に得ることができたため、先行技術技術と比較して大幅な向上が得られたことが分かる。第1の例からの情報を考慮すると、30grのうち22grが上記手術によって除去されたと推定される。第2の例において、45grのうち30grが上記手術によって除去されたと推定される。
【0059】
BPHのための市販の膀胱鏡または他の用途のための内視鏡により、手術を容易かつ効果的に行うことが可能である。より良好な代替例として、スコープ先端部の出口において誘導インサートが用いられる。また、経験から、裸ファイバーよりもツイスターファイバーの方がより容易に取り扱うことが可能であることも分かる。さらに、ファイバーセットの近位側における自由回転接合部と、遠位端部における軸外屈曲構造とにより、360度での回転もより穏やかかつ円滑に行うことが可能となり、掃引動きもより容易、円滑かつ効果的に達成される。
【0060】
本発明の非対称ファイバーセットは、所望の事前選択された動きおよび速度でスリーブ付き遠位ファイバー端部を振動させる手段も含み得、これにより、治療時における切除動作および開削動作が向上する。
【0061】
本発明の好適な実施形態について添付図面を参照しつつ説明してきたが、本発明はこれらの実施形態そのものに限定されず、当業者であれば、特許請求の範囲中に規定されているような本発明の範囲または意図から逸脱せずに変更および改変を行うことが可能であることが理解される。
【技術分野】
【0001】
1.135USC119(e)下における国内優先権
本出願は、米国仮出願シリアルNo.61/245,484号(出願日:2009年9月24日)および米国仮出願シリアルNo.61/293,464号(出願日:2010年1月8日)(名称はそれぞれ、「Twister Fiber Optic Systems and their Use in Medical APplications」(Wolfgang Neuberger)ならびに米国シリアルNo.12/714,155号(出願日:2010年2月26日)(Wolfgang Neuberger、名称は同様に「Twister Fiber Optic Systems and their Use in Medical APplications」)による恩恵および優先権を主張する。本明細書中、同文献それぞれを参考のため援用する。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
本発明は、医療のためのレーザーシステムに関し、より詳細にはレーザー外科手術に関する。より詳細には、本発明は、多様な外科手術(例えば、良性前立腺過形成)による治療に用いられる光ファイバーシステムおよび方法に関する。
【0003】
3.情報開示陳述書
多くの患者が罹患している多くの重大な内科的疾患に起因して、身体から異常軟組織を除去するステップを含む治療が必要になる。不要な組織を挙げると、腫瘍および粥状斑、審美治療における過剰脂肪、または前立腺組織の一部がある。泌尿器学においては、例えば癌または良性前立腺肥大(BPH)などの前立腺疾患の場合、当該組織を部分的除去または完全除去する必要がある。
【0004】
組織除去は、多様な方法によって行うことが可能である。使用方法とは関係無く、この種の治療の主な目的は、周囲組織の損傷を回避しつつ不要な組織を全て除去することである。近年、この目的の達成のために、レーザーエネルギーが利用されている。
【0005】
組織上へのレーザーエネルギーの利用に基づいて、多数のアプローチが提案されている。レーザー技術が通常好適であるのは、高出力を小領域に送達することが可能であるという特性があるためであり、これにより、治療の精密度および正確度が向上し、周囲組織への望ましくない影響が低減する。米国における前立腺癌患者は毎年232,000人を越えている。前立腺癌患は悪性腫瘍成長であり、前立腺からの細胞からなる。この腫瘍は通常ゆっくりと成長し、多年にわたって前立腺内に留まる。この時期において、当該腫瘍からの症状または外的徴候(または身体診察における異常)はほとんど発生しない。しかし、癌進行と共に、この腫瘍は前立腺を越えて周囲組織内まで拡散し得る。また、前立腺癌は、身体の他の領域(例えば、骨、肺、および肝臓)にも転移し得る。転移前に検出された前立腺癌の場合場合、現在では、側方照射ファイバを用いたレーザー手術が、外科医および患者間において好まれている治療である。このレーザー手術の場合、失血少なく、回復期間も短くてすむ。
【0006】
良性前立腺過形成(BPH)または「前立腺肥大」とは、非癌性(良性)の前立腺成長を指す。BPHは50歳を過ぎた男性にとって最も一般的な前立腺関連問題であるが、前立腺の良性成長は25歳くらいから微細な小塊として発生し始めるが、40歳前に症状が出始めることはほとんどない。推計によれば、米国内の630万人の男性がBPHに罹患しており、毎年BPHに起因して640回の受診および400,000を越える入院件数が発生している。
【0007】
BPHの正確な原因は不明であるが、老化過程と関連するホルモン変化に関連すると一般的に考えられている。BPHにおいて、テストステロンが関与している可能性が高いと考えられている。なぜならば、テストステロンは、男性の一生涯にわたって継続的に生成され、思春期および早期成人期時における前立腺の発達を促すジヒドロテストステロン(DHT)に対する前駆体であるからである。完全に発達した状態の前立腺はほぼクルミと同じ大きさで有り、男性が40代半ばになるまでこの大きさのままである。40代半ばになると、前立腺は第2成長期に入り、この期間において、多くの男性において後にBPHとなる現象が前立腺中に発生する。
【0008】
早期成人期における前立腺が全体的に拡張するのとは対照的に、良性前立腺成長は、尿道を包囲している腺中央領域(内腺部分と呼ばれる)のみにおいて発生する。前立腺のこの領域の成長と共に、腺が尿道に押しつけられて、排尿困難または排尿痛に繋がる。最終的には、膀胱そのものが弱体化し、膀胱を空にする能力が失われる。
【0009】
BPHの閉塞症状(例えば、間欠流または排尿困難)があると、身体から排出される尿量が大幅に低下し得る。このような症状を未治療のまま放置した場合、急性尿閉に起因して他の重大な合併症(例えば、膀胱結石、尿路感染症、失禁)に繋がり得、稀ではあるが膀胱および腎臓が損傷を受ける場合もある。これらの合併症は、抗不整脈薬または降圧(非利尿性)薬物による治療を受けている高齢男性において頻発する傾向がある。BPHに関連する身体的問題に加えて、BPHを患っている多くの男性は、不安やクオリティーオブライフの低下も経験する。軽程度のBPH症状の場合、薬物治療(例えば、アルファブロッカーおよび抗アンドロゲン)によって治療されることがほとんどである。中程度から重程度のBPH症状の男性の場合、手術を受ける必要があることが多い。多数の異なるレーザー技術が用いられており、光を用いて、焼灼(蒸発)、熱凝結またはこれらのメカニズムの組み合わせのいずれかにより、余分な前立腺組織を除去する。観察される臨床効果は、(標的組織そのものおよび/または周囲流体による)光吸収およびその後の熱伝達によって得られる。このような光吸収および熱伝達の範囲は、レーザービームの出力および波長によって大きく異なる。
【0010】
多くの種類のレーザー手術により、尿流の改善がほぼ即時的に可能となっている。BPHを対象としたレーザー手術の場合、使用波長および技術に応じて、他にも利点があり得る(例えば、失血低減および治療時間の短縮、患者回復の早期化、治療後失禁のリスクの低下)。しかし、今でも、何らかの様態のレーザー手術を受けた後にさらにカテーテル治療を1〜2週間受けざるをない患者が多数存在している。
【0011】
泌尿器学におけるレーザー手術の成否の鍵を握る重要な要素として、外科医が周囲の健常組織を損傷すること無く不要な前立腺組織を除去して適切な組織焼灼を達成するという正確度がある。正確度は、機械的側面からだけでなく治療ビームによる制約も考慮して定義され、また、焼灼前に組織の大幅な傾瀉が発生していないかなどの問題も考慮される。一定の成功を収めるために、発明者らは、効率、正確度およびよって手術安全性を向上させることが可能な光ファイバー構成の開発に長年取り組んできた。ファイバーは、新規のレーザー源技術によって放出される高レーザーエネルギーにも耐えることができなければならない。BPH治療において、組織焼灼を最も有効に行うために、主要ファイバー軸に対してレーザービームを特定の角度で方向付けることが好ましい。米国特許第5,292,320号(Brownら)において、ファイバーコア内の複数の側方照射面を有する側方照射出力端についての開示がある。このファイバーコアには、複数の溝部と、レーザーエネルギーを横方向に反射するための傾斜端面とが設けられる。このアプローチの場合、効率向上には繋がるものの、作製するには構造が複雑であり、また、気をつけて扱わないと、操作先端部が壊れる可能性もある。さらに、コア部がエンドキャップ内へ接着されているため、高出力レーザー操作(例えば、50W以上)時において、この出力端が故障することが多い。
【0012】
米国特許第5,509,917号(Cecchettiら)において、横ビーミングレーザー先端部が開示されている。この横ビーミングレーザー先端部の内部の光ファイバーの出力端に対し、透明な石英キャップが設けられている。前記キャップは、光学コアの傾斜端面から反射されるレーザー放射のための多様な集束手段を有するものとして記載されている。このレーザー先端部は、一般的に作製するのが複雑であり、また、下側のファイバーへの接続も変動があり得、繰り返し再現するのが困難である場合がある。
【0013】
米国特許第5,366,456号(Rinkら)において、レーザー切断用外科用メスについての記載がある。このメスの場合、伝達された放射は、入射放射源およびツールに対して角度を以て送達される。このデバイスの照射先端部の挿入部には、高度研磨鏡面が光ファイバーの中央長手方向軸に対して特定の角度を以て設けられている。これにより、入射したレーザー放射を側方に反射させ、ファイバーに対してほぼ直角方向に送達させる。前記照射先端部はカニューレ先端に取り付け可能であり、装置全体はファイバーの中央軸周囲において回転可能である。Brekkeらは、米国特許公開第2006/0285798号において、装置軸方向に対して横方向に光をリダイレクトするための屈曲型側方照射レーザーを請求している。このようなファイバーの構造および用途の多様な局面が複雑であり、場合によっては、均一に再現するのが困難な場合もある。米国特許第5,428,699号(Pon)において、BrownおよびCeccheitiと類似する、レーザービームを横方向に方向付けるための光ファイバーについての開示がある。この光ファイバーの場合、肉厚のクラッディングを用いて、内部反射構造からの電磁放射散乱を低減させ、これにより、横方向に方向付けられるプローブの効率を向上させる。上述した3つの特許の場合、いずれもプローブ主軸に対して横方向に放射ビームを非接触的に出射させる。上述した3つの特許の場合、従来技術と比較していくつかの機能が向上しているものの、横方向照射型システムの欠点のうち多くが未解決のままである(例えば、均一な非接触状態を保持し、活性出射面の「ファウリング」を回避する方法)。
【0014】
米国特許第5,553,177号(Herringら)において、導光デバイスが記載されている。この導光デバイスは、光伝達軸に対して小さな曲げ半径と共に約90度の角度で屈曲された導光材料部からなる。出力は、ファイバー軸から非対称に照射される。この屈曲部は、導光部コア中の屈折率が均一になるように、処理される。ここでの問題として、鋭角での形成が困難であるため、特に小寸法ファイバーの場合において構造が壊れやすくなる点がある。米国特許第5,416,878号(Bruce)に記載されている側方照射レーザーファイバーの場合、外周周囲において精密縁部を有する平坦面において出力端が終端している。このファイバーの出射面の近隣において屈曲部が設けられているため、レーザービームは、光ファイバー本体の長手方向軸から特定の角度において方向付けられる。ここで、外科医による回転運動が困難であることに起因して、主な欠陥が発生する。また、屈曲部の形成において一定の改善が得られているものの、先端部は未だに偶発的に損壊することがある。別の不利点として、どちらの発明の場合も平坦面端部を用いているため、ファイバーの集光特性が限定される。例えば高出力において頻繁に発生する蒸気泡がファイバーの前方に発生した場合において、ファイバーの集光特性は重要である。さらに、平坦面の場合、標的組織でない箇所を損傷または穿孔する場合があり得る。
【0015】
米国特許第6,699,239号(Stillerらによる)において、生物組織の蒸発と、組織除去時におけるアプリケーションキャップ安定化とのためのレーザー器具が開示されている。このレーザー器具は、光導波路を導光部およびアプリケーションキャップと共に含む。前記導光部は、光を出射する。前記アプリケーションキャップは、光を伝送する光導波路に接続される。前記レーザー器具は、内視鏡に挿入可能である。生物組織の蒸発および除去を行う際には、アプリケーションキャップを位置決めできるように、前記レーザー器具を伸長または退避させることが可能である。本発明は、重大な障害を示すいくつかの特性を提示する。例えば、ファイバー先端部は受け入れ側スリーブと溶融接続されている一方、光導波路はシージングと受け入れ側スリーブとの間の接合によりアプリケーションガイドに機械的に接合されている。そのため、高温時においてデバイスが脆弱化する可能性があり、また、高エネルギーを受けた場合、身体内のエンドキャップが外れる可能性もあり、患者にとって危険であり、外科医にとっても複雑な事態となる。さらに、エンドキャップは2つの部品(主に曲線状グラス端部内に配置されたファイバー)から構成されてい。そのため、液状媒質(例えば、尿道内部)においては、レーザー放射はエンドキャップの材料を通じて伝播する(すなわち、プローブの曲線状部分の外側領域から伝播し)、複数部分から出て行く。そのため、放射を正確な方向に方向付けることが困難となるため、外科医にとって困難な事態となり得、健常組織も損傷を受ける。このような事態に起因して、出力密度も低下する。最後に、ファイバーとキャップとの間の光結合に起因して、光が失われ、反射に起因して治療効率も低下し得る。
【0016】
上述した特許から分かるように、先行特許にはいくつかの問題がある(例えば、操作の困難性、集束可能性およびエネルギー制限に関連する問題)。また、先行技術の場合、治療には時間がかかるため、治療によって必ずしも所望の効果が得られないという制約もある。より新規な技術の出現と共に、医師は患者を助けかつより多くの患者を毎日治療できるために。手術時間を短縮する努力をしている。
【0017】
そのため、以下のようなレーザー治療システムが必要とされている。すなわち、このレーザー治療システムは、当該分野の現状を向上させ、ファイバー器具を提供する。前記ファイバー器具は、レーザー切断による恩恵を維持しつつ、除去速度、取り扱い/操作の容易性を向上させる、より良好でよりロバストなファイバー器具である。本発明は、これらの必要性に対処する。
【発明の概要】
【0018】
本発明の目的は、外科手術(例えば、泌尿器治療および組織焼灼)を向上させるデバイスおよび方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、デバイスおよび方法を提供することである。前記デバイスおよび方法は、周囲組織を保持しつつ有効なレーザー放射を達成するために、より高速であり、より正確であり、より安全かつおよびより信頼性の高い治療を提供する。
【0020】
本発明の別の目的は、向上したレーザー外科手術のためのデバイスおよび方法を提供することである。前記向上したレーザー外科手術は、ファイバー操作性、自由回転および特殊な非対称遠位端部構成によって可能となる。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、前立腺組織と葉の開削との高出力蒸発により、良性前立腺過形成をより容易に治療することである。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、身体中の腫瘍組織または肥厚組織あるいは他の不要組織の除去を向上しかつ効率的な様態で行うための、外科用デバイスおよび方法を提供することである。
【0023】
簡潔に述べると、安全、正確かつ効率的な外科手術のための向上したデバイスおよび方法が開示される。本開示によるデバイスは、光ファイバーセットである。前記光ファイバーセットは、非対称遠位端部構成を備える。前記光ファイバーセットは、屈曲した先端ファイバーを含む。前記屈曲した先端ファイバーは、焼付スリーブと、回転可能なコネクタとを含む。前記焼付スリーブは、前記ファイバーの遠位(出力)端部に一体部分として配置される。前記回転可能なコネクタは、近位(入力)側に設けられる。前記先端部の遠位端部に配置されたファイバー先端部および組織接触面は、集束特性を向上させるために異なる形状構成(例えば、凸状先端部)と、凹状先端部と共に構成可能である。り、前記凹状先端部は、発散放射または拡張ビーム先端部を達成することで、外科用電子器具によって得られる効果と同様の効果を達成する。グリップ部により、グリップ部をねじりおよび回転を行う能力が保証される。別の好適な実施形態において、特殊な構成により、ねじり操作が向上される。これらの特殊な機能(屈曲した先端および回転可能なコネクタ)双方により、多様な病状に対して向上した治療を行うことが可能になり、これにより、特定の組織へ効率的かつ容易に到達し、治療を行うことが可能になる。光ファイバーの操作性、ねじり可能性および回転により、より正確かつ向上した効果を組織の付与することが可能になる。これにより、治療をより容易、より迅速かつより正確に行うことが可能になる。例えば、本デバイスは、膀胱鏡に挿入して前立腺組織の高出力焼灼をBPH治療のために行うことも可能であるし、あるいは、本デバイスを操作して前立腺葉のうちの1つに挿入して、この前立腺葉を内部から開削して、尿道の完全性を維持しつつ、尿道上への圧力を軽減することも可能である。他の用途としては、身体内の腫瘍組織、肥厚組織または他の不要な組織の除去がある。開示される光ファイバーセットは、多様な波長のレーザー源(例えば、デュアルレーザー源)と共に用いることが可能であるが、より高出力のLEDデバイスまたは極めて明るい光源を用いて、伝播させるための放射を生成することも可能である。このような新規な設計により、記載のファイバーは位置決めが容易にでき、組織との接触状態を容易に維持でき、また耐久性も高い。また、医師にとっての感触も向上する。その結果、組織への出力移動をより効果的に行うことが可能になり、よって、手術の信頼性がより高くなり、手術時間も30%まで短縮される。
【0024】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴および利点は、以下の記載を添付図面と共に読めば、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーセットは、屈曲した先端と、焼付キャップと、回転可能なコネクタと、グリップ部とを含む。
【図1b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーセットは、屈曲した先端と、焼付キャップと、回転可能なコネクタと、グリップ部とを含む。
【図1c】光ファイバー先端部およびその角度表記を示す、本発明の好適な実施形態の模式図である。
【図1d】本発明において開示されるデバイスによって治療されている組織の写真を示す。
【図2a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、丸みを帯びた凹状先端部を含む。
【図2b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、丸みを帯びた凹状先端部を含む。
【図2c】本発明の好適な実施形態の模式図である。この実施形態において、光ファイバーは、丸みを帯びた凹状隙間を凹状先端部において含む。
【図2d】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、丸みを帯びた凸状先端部を含む。
【図3a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、被覆された先端部を含む。
【図3b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、被覆された先端部を含む。
【図4】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーは、拡張したビーム先端部を含む。
【図5a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーセット設計により、向上したねじり可能性が可能となる。
【図5b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、光ファイバーセット設計により、向上したねじり可能性が可能となる。
【図6a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図6b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図6c】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図6d】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図6e】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、3本のファイバーをまとめて1本のバンドル状にする。このバンドルは、折り畳みおよび展開することが可能である。
【図7a】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、バンドル構成内に7本のファイバーが設けられる。
【図7b】本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、バンドル構成内に7本のファイバーが設けられる。
【図8a】本発明の別の実施形態の模式図である。この実施形態において、組織表面に対してファイバーが傾斜している。
【図8b】本発明の別の実施形態の模式図である。この実施形態において、組織表面に対してファイバーが傾斜している。
【図9】本発明の別の実施形態を示す。この実施形態において、遠位端部の領域が拡張している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
先行技術によれば、医療用レーザーファイバーは一般的には、ファイバー主軸(例えば、裸ファイバー、ボール先端付きファイバー、円錐ファイバーまたは側方出射型ファイバー)に対して外側方向から同心に構成される。
【0027】
これらのファイバーを外科手術において用いる場合、これらのファイバーには明かな欠陥がある。すなわち、ファイバー操作性が不適切な場合があり、そのため不満足な結果および効率低下の原因となり得る。さらに、これらの種類のファイバーが非接触型手術時において不注意により組織と接触した場合、ファイバーの焼失および破損が発生し得、また組織の望ましくない損傷も発生し得る。さらに、先行技術の光ファイバーの場合、簡単、効果的かつ正確な操縦性および回転機能に欠けているため、操作者は自信を持って操作することが困難である場合があり、そのため、良性前立腺過形成(BPH)などの多くの病状を治療する際に障害となる。これに起因して、組織開削および操縦が困難および遅延し得、その結果、手術によるストレスが増加し、患者の回復期間も余計に必要となることが多くなる。
【0028】
本発明は、安全かつ効率的な外科用光手術のための、向上したデバイスおよび方法を開示する。本発明において開示されるデバイスは、軸外構成の光ファイバーセットである。前記光ファイバーセットは、屈曲した先端ファイバーと、回転可能なコネクタとを備える。。前記焼付スリーブは、前記先端ファイバーと一体部分として設けられ、前記ファイバーの遠位(出力)端に設けられる。前記回転可能なコネクタは、近位(入力)側に設けられる。ファイバー形状は、軸方向に延びた部分と、軸方向に延びた先端部分と、組織接触面として記述され得る。前記軸方向に延びた部分は、長細軸を規定する。前記軸方向に延びた先端部分は、前記ファイバーの遠位端部に配置され、長細軸に対して鈍角で方向付けられる。前記組織接触面は、前記先端部分の遠位端部に配置される。グリップ部により、グリップ部をねじりおよび回転を行う能力が保証および向上される。
【0029】
本開示の発明に従って外科手術を行った場合、多数の利点が得られる。第1に、手術をより迅速かつより効率的に行うことが可能になる。ファイバーを組織と接触した状態で保持できるため、ファイバー劣化に起因するエネルギー損失は実際的にゼロである。また、光はファイバー先端部のみから出て行くため、ファイバー先端部からの迷光も実質的に無くなる。このような構造により、ファイバー耐久性が大幅に向上し、先行技術のファイバーの場合のような早期故障問題が解消される。最後に、好適な波長においては、手術時における出血はみられないため、良好な視界が得られ、治療領域およびファイバー先端部の視認性も良くなる。本発明において開示されるデバイスは、例えば膀胱鏡に挿入して、BPH治療のための前立腺組織の焼灼を高出力で行うことが可能である。さらに、本デバイスを操縦して前立腺葉のうちの1つに挿入して、組織を内部から開削して、尿道の完全性をできるだけ維持しつつ、尿道上への圧力を即時に軽減することも可能である。さらに、他にも恩恵が得られる。例えば、このような分かりやすい感触により、外科医は、最重要領域(例えば、括約筋および精丘)においてファイバー先端部を容易に取り扱うことが可能になる。市販の膀胱鏡と共に、手術を容易かつ効果的に実施することが可能である。
【0030】
他の用途としては、身体内の他の領域内の腫瘍組織、過形成組織または他の不要な組織の除去がある。
【0031】
図1aおよび図1bは、好適な実施形態の模式図である。この実施形態において、ツイスター光ファイバーセット100は、光ファイバーを含む。前記光ファイバーは、ジャケット付きファイバー102およびクラッド/コア104、焼付スリーブ/キャップ106、回転可能なコネクタ108、ならびにグリップ部110によって構成される。光ファイバーの遠位端部には、屈曲した先端ファイバークラッド/コア104と、焼付スリーブ106とが一体部分として設計されている。前記先端部分周囲において、スリーブが環状に延びる。軸方向に延びたクラッド/コア104によって出射面が規定され、スリーブ106のクラッド/コアおよび遠位部分の出射面により、組織接触面が規定される。焼付スリーブ106の長さは典型的には約15cmである。クラッド/コアファイバー104の寸法は、クラッド直径およびコア直径それぞれに対して、約50/10μm〜約1800/1700μmであり得る。焼付スリーブ106は石英であり、補強部として機能し、これにより、ほとんどの外科用電子器具において一般的な高エネルギーおよび取り扱いにファイバーが耐えることが可能になる。回転可能なコネクタ108が光ファイバーセット100の近位(入力)端部に設けられ、これにより、光ファイバーの自由回転およびねじり可能性が得られる。グリップ部110により、グリップ部110をねじりおよび回転を容易に行う能力が保証され、向上される。その結果、外科医はより円滑かつより正確な動きを円形様態で行うことが可能になる。治療要求および医師の選好に応じて、グリップ部を光ファイバーに沿って異なる位置に配置することができ、異なる形状で設計することが可能である。これらの特殊な機能(屈曲した先端および回転可能なコネクタ)双方により、多様な病状に対して向上した治療を行うことが可能になり、これにより、体内の特定の組織へ効率的かつ容易に到達し、治療を行うことが可能になる。
【0032】
図1cは、本発明の好適な実施形態の模式図であり、光ファイバー先端部と、その角度回転とを示す。軸方向に延びた先端部分により、軸方向長さLが約2mm〜約5mmの範囲において規定される。異なる組み合わせの半径および角度を用いてこのファイバーを開発することが可能である点に留意することが重要である。半径および角度の正確な値は、実行すべき治療、アクセス可能性、組織特性、スコープサイズなどを考慮して選択される。好適な実施形態において前記ファイバーの遠位端部に配置された、軸方向に延びる先端部分は、約20度〜約40度の角度φで長細軸に対して方向付けられる。
【0033】
図1dは、本発明において開示されるデバイスによって治療されている組織の写真を示す。光ファイバーの操縦性、ねじり性および回転性が向上しているため、組織に対し、向上した効果を付与することが可能になることが理解される。これに起因して、本発明に開示されるデバイスおよび方法により、治療をより容易、より迅速より正確かつ効果的に行うことが可能になる。
【0034】
図2a、図2b、図2cおよび図2dは、本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、ファイバー先端部は、レンズ形状の出力端において丸みを帯びた形状をしており、これにより、伝送された放射を特定の治療効果に応じて集束させる。ツイスター光ファイバーセット200は、光ファイバーを含む。前記光ファイバーは、クラッド22およびコア204と、焼付キャップ206と、回転可能なコネクタ208と、グリップ部210とによって構成される。光ファイバーの遠位端部は、屈曲した先端ファイバー204と、ファイバー204と一体部分として設計された焼付スリーブ206とによって構成される。放射を集中させたい場合、出射先端部212を図2aおよび図2bのように凸状にすることができる。出射先端部212は、図2cに示すように特定の屈折率の凹状隙間214を持ってもよく、これにより、集束特性が変化し、その結果、異なる放射パターンが達成される。あるいは、決定された焦点へ放射を分岐させたい場合、図2dに示す実施形態において出射先端部212を凹状とすることで、この効果が達成される。
【0035】
図3aおよび図3bに示すように、別の実施形態において、ツイスター光ファイバーセット300は、被覆された補強出射先端部を含む。光ファイバーセット300は、光ファイバー302およびクラッド/コア304と、焼付スリーブ/キャップ306と、回転可能なコネクタ308と、グリップ部310とを含む。光ファイバーの遠位端部は、屈曲した先端ファイバー304と、屈曲した先端ファイバー304と一体部分として設計された焼付スリーブ306とによって構成される。焼付スリーブ/キャップ306の長さは典型的には約15mmである。焼付スリーブ/キャップ306からは出射先端部312が突出しており、これにより、治療時においてファイバーが損傷から保護される。高レーザー出力が出射された場合、蒸気泡が形成されることが多い。蒸気泡はこの特殊な先端部構成によって所定位置において保持されるため、衝撃波が形成され、組織除去が促進される。さらに、丸みを帯びた焼付キャップが突出しているため、丸みを帯びた先端部構成が得られ、これにより、前進時における組織の損傷または引っかき傷が回避され、また、出力オフ時の出血も低減する。
【0036】
別の好適な実施形態において、前記ファイバー端部は、図4に示すように拡張したビーム先端部を有する。これは、iファイバー先端部を傾斜部分416および垂直部分418によって設計することにより、達成される。傾斜部分416の光学特性により、放射は垂直軸に沿って出射され、垂直部分418から前方方向に出射される。その結果、レーザー放射はより幅広のビームとして出射され、これにより、外科用電子器具の効果が模倣される。
【0037】
泌尿器科医によって用いられる掃引方法を、別の実施形態によって向上させることができる。この別の実施形態において、ファイバーの形状は、図5aおよび図5bに示すようになっている。焼付キャップ部分は曲線状となっており、これにより、ファイバー先端部はファイバーセットと同軸上にある。よって、ねじり可能性と、スコープを通じた視認性とが実質的に向上しする。上記実施形態と同様に、主軸に対して複数の角度で放射を出射するように、先端部を設計することができる。
【0038】
図6a、図6b、図6c、図6dおよび図6eは、本発明の別の好適な実施形態の模式図である。本発明の改変例において、3本以上のファイバーを近密に接触させた様態で組み合わせて、図6aに示すような1本のバンドル状とする。図6bおよび図6cは、レーザー放射線620を示す。この放射パターンの結果、医師が前進移動を行うたびに、大型溝部が生成され、これにより、手術時間の短縮および治療効率の向上が可能になることが理解される。さらに、ツイスターファイバーアセンブリは、折り畳みおよび展開することが可能であるため、直径全体を変化させることが可能になる。図6a、図6bおよび図6cは、部分展開状態のバンドルを示し、図6dおよび図6eは、完全に折り畳まれた状態のファイバーアセンブリおよび完全に展開した状態のファイバーアセンブリをそれぞれ示す。図示の実施形態において、バンドルが完全に展開した状態になった場合、バンドルは3本のファイバーによって構成されているため、ファイバー間の角度は約120度となる。この機能により、スコープまたはチャンネル(例えば、泌尿器手術において通常用いられる膀胱鏡)への挿入が容易になる。さらに、異なる展開特性により、放射パターンの変更も可能となる。例えば、ファイバーアセンブリを部分展開させることもできるし、完全展開させることもできるし、あるいは折り畳み状態のままにすることもできる。
【0039】
別の好適な実施形態において、複数の小直径のファイバーを近密に接触させた様態で束状にし、各ファイバーを屈曲および補強することで、より少量のエネルギーを搬送することが可能になる。このようにして、前記ファイバーがスコープ内にあるときには円形構成に適合させ、動作時においてスコープ端部を越えて展開されたときには、前記ファイバーを拡散させることで、大領域を「熊手」のように被覆することができる。また、直径を大幅に低減したファイバーを用いているため、大幅に小さなスポットサイズ内にレーザー放射が分配される。その結果、ファイバー遠位端部においてより高い出力密度が達成される。一例として、図7aおよび図7bは、本発明の好適な実施形態を示す。この実施形態において、7本のファイバー702がバンドル700として配置されており、各ファイバーのコア直径(D1)は100μmであり、各ファイバーは、30Wの出力P1を伝送および照射するために用いられる。本実施形態のバンドル700内の各ファイバー702の遠位端部における出力密度δ1と、180Wの出力P2を伝送する、通常用いられる55Gμm(D2)のファイバーの遠位端部における出力密度62とを比較した場合、重要な利点が理解される。よって、以下のようになる。
【数1】
【0040】
上記結果から、本実施形態により、出力が6倍小さなレーザー出力源(30W対180W)を用いた場合、出力密度は5倍を超えることが分かる。その結果、より簡単な低出力のレーザーデバイスを用いて、治療をより効率的かつ効果的に行うことが可能になる。
【0041】
別の例において、コア直径が200μmである7本のファイバーが配置される。この例において、上記例と同様に計算をすると、出力密度は1.26倍高くなる。ここでも、高可撓性ファイバーにより、より高い出力密度が達成される。
【0042】
同一ファイバー構成を用いたさらに別の例において、より低出力の電源を用いて、同一出力密度が得られる。例えば、180Wにおいて550μmコアファイバーを用いた時に得られる出力密度と同一の出力密度を、100umコアファイバーにわずか6Wを付加するだけで得ることが可能である。
【0043】
ファイバーの出力端は、石英ガラスデバイスに焼き付けてもよいし、あるいは石英ガラスデバイス内に焼き付けてもよい。前記石英ガラスは、スペーサとしても機能する。コネクタ端部は、直線状構成として配置することができる。このような特殊な設計により、小直径ファイバーを屈曲させて小半径を形成し、ファイバー表面上への応力を大幅に低減する。その結果、ファイバーの可撓性および機械的応力の低減により、より小型のスコープへの挿入がより容易になる。、さらに、出力ビームによって拡散パターンを形成することが可能であるため、焼灼ゾーンを拡張することができ、その結果、組織除去をより均等かつ高速に行うことが可能になる。
【0044】
出力ビームによって形成される放射パターンは、バンドル構成によって異なる。所望の効果に応じて、ファイバー先端部を全て同一方向に向けて出した場合、集中しかつ集束した照射が可能になり、ファイバー先端部をラジアル方向に拡散させた場合、円錐ビームまたはこれらの任意の組み合わせが得られる。
【0045】
別の好適な実施形態において図8aに示すように、組織表面に対してファイバーを傾斜させた様態でファイバーを用いるよう、ファイバーを設計する。図8b中に模式的に示すような放射パターン820に起因して、より広範な浅い溝部が組織上に形成される。これは、下側組織を傷つけることなく組織表面部分のみを除去する必要がある場合に有用である。
【0046】
図9に示すような本発明の別の好適な実施形態において、ファイバー900がガラス先端部912において若干変形しており、これにより、遠位先端部の出力端におけるコアおよびファイバーの断面が、ファイバー近位端におけるコアおよびファイバーの断面の寸法と比較して拡張しており、その結果、ファイバー900の遠位端部における容積が増加する。組織接触面は、レーザーエネルギーがファイバーから組織接触面を通じて組織内へと到達するのを妨げることなく、組織焼灼時において組織接触面が摩耗するのに十分な厚さを規定する。好適な実施形態において、厚さは約1mm〜約4mmである。出射表面がこのように大きくなっているため、この摩耗表面構成により、出射放射の出力密度が低減し、その結果熱負荷が大幅に低下し、これにより、機械的安定性、熱安定性および出力安定性が向上する。さらに、この特殊な設計により、ファイバー耐久性および寿命が向上する。
【0047】
図10に示す別の好適な実施形態において、屈曲様態の小型焼付ファイバー1002が多数用いられており、これにより、屈曲部が強化され、ビームの逃げも最小化される。これは、例えば特殊な焼付および補強が施された遠位端部を備えた550μm、715μmまたは900μmのエンドキャップによって達成され、ここで、主要ファイバーに合わせて、比質量偏差に合わせて最適化された30〜40本の極めて小直径のファイバーを屈曲、焼付および適合させる。その結果、光透過をより効率的に行うことが可能になり、従って必要エネルギーも最小限となる。加えて、この構成によって組織接触部分が拡張されるため、やはり治療がより効率的になる。このような効率向上により、手術の精密度および安全性と、ファイバー耐久性とが向上する。本実施形態の別の例において、主要ファイバーの断面寸法と比較して遠位先端部を広げることにより、組織中により広い溝部を形成することが可能になる。
【0048】
上記実施形態の図面において、クラッドが焼付キャップ近位端において終端している様子を図示しているが、クラッドはファイバー遠位端部に到達するように設計することも可能である。
【0049】
本発明の別の実施形態において、モータにより、掃引動きを行うことができる。その結果、掃引動きを正確かつ周期的に行うことが可能になり、これにより、医師のストレスが大幅に低減し、患者の安全性も向上する。さらに、モータをグリップ部内に配置するかまたは他の場合にファイバーの近位側に沿って配置することで、振動を発生させるかまたは異なる種類の動きの組み合わせを発生させることが可能になる。医師は、特定の治療に、経験および個人的選好従って、所望の動きパターンを選択することができる。
【0050】
開示されるツイスター光ファイバーセットは、多様な波長のレーザーと共に用いることが可能である。好適な実施形態において、980nm、1470nm、1950nmの波長またはこれらの波長の適切な比率での組み合わせを用いることができ、合計出力レベルは200W以上となる。例えば、軸外遠位端部を有するツイスターファイバーセットを980nmレーザー源と共に用いた場合、側方ファイバーと比較して、より良好かつより効率的な結果が得られた。別の例において、3470nmおよび980nmの波長を組み合わせたレーザー源と共に開示のツイスターファイバーセットを用いた場合、BPH手術が高出力、安全かつ容易となる。どちらの場合においても、向上した効率に起因して、出力レベルが低くても所望の結果が得られ、これにより、健常組織の損傷リスクが低下し、ファイバー耐久性が向上する。
【0051】
他の好適な実施形態において、ダイオードレーザー、ファイバーレーザーおよびより高出力のLEDデバイスまたは極めて明るい光源を用いて、放射を伝送のために生成することが可能である。
【0052】
好適な実施形態において、ツイスター光ファイバーセットを膀胱鏡を挿入して、BPH治療のために前立腺組織の高出力蒸発を行うことができる。さらに、ツイスター光ファイバーセットを操縦して葉のうちの1つに挿入し、前記葉組織を内側から開削して、尿道の完全性をできるだけ維持しつつ、尿道上への圧力を軽減することも可能である。
【0053】
別の好適な実施形態において、開示の光ファイバーを用いて、身体内の腫瘍組織、肥厚組織または他の不要な組織を除去することができる。
【0054】
本発明において提案されるデバイス(全ての好適な実施形態を含む)は、接触モードで動作し、組織接触面を掃引的に組織上で移動させ、前記組織接触面と接触した組織を切除することにより、最良の結果を達成する。
【0055】
以下の例により、本発明についてさらに説明する。しかし、本発明はこれらの例に限定されない。
【0056】
実施例1
本発明中に開示されるBPH技術に従って、30grの前立腺に対して手術を行った。図1に示すようなツイスターファイバーセットを、デュアルレーザー源(1470+980nm)および市販の膀胱鏡と共に用いた。治療開始時におけるレーザー出力を100Wとし、その後6〜7分経過後にレーザー出力を120Wまで増加させた。合計手術時間は約11分間であり、合計送達エネルギーは80KJであった。
【0057】
実施例2
本発明中に開示されるBPH技術に従って、45grの前立腺に対して手術を行った。図1に示すようなツイスターファイバーセットを、デュアルレーザー源(1470+980nm)および市販の膀胱鏡と共に用いた。治療開始時におけるレーザー出力を100Wとし、その後6〜7分経過後にレーザー出力を130Wまで増加させた。合計手術時間は約15分間であり、合計送達エネルギーは110KJであった。
【0058】
上記の例双方において、約2gr/分の焼灼速度を容易に得ることができたため、先行技術技術と比較して大幅な向上が得られたことが分かる。第1の例からの情報を考慮すると、30grのうち22grが上記手術によって除去されたと推定される。第2の例において、45grのうち30grが上記手術によって除去されたと推定される。
【0059】
BPHのための市販の膀胱鏡または他の用途のための内視鏡により、手術を容易かつ効果的に行うことが可能である。より良好な代替例として、スコープ先端部の出口において誘導インサートが用いられる。また、経験から、裸ファイバーよりもツイスターファイバーの方がより容易に取り扱うことが可能であることも分かる。さらに、ファイバーセットの近位側における自由回転接合部と、遠位端部における軸外屈曲構造とにより、360度での回転もより穏やかかつ円滑に行うことが可能となり、掃引動きもより容易、円滑かつ効果的に達成される。
【0060】
本発明の非対称ファイバーセットは、所望の事前選択された動きおよび速度でスリーブ付き遠位ファイバー端部を振動させる手段も含み得、これにより、治療時における切除動作および開削動作が向上する。
【0061】
本発明の好適な実施形態について添付図面を参照しつつ説明してきたが、本発明はこれらの実施形態そのものに限定されず、当業者であれば、特許請求の範囲中に規定されているような本発明の範囲または意図から逸脱せずに変更および改変を行うことが可能であることが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじり可能性を有する、非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項2】
先端部が屈曲および補強された1本以上のファイバーをさらに備える、請求項1に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項3】
屈曲した遠位先端部を備えた少なくとも1本の光ファイバーをさらに含み、前記遠位先端部の出力端は、伝送された放射を軸外方向において所望の治療部位に向かって集束させるような形状である、請求項1に記載の非対称の光ファイバー医療デバイス。
【請求項4】
屈曲した遠位端部を備えた2本以上の光ファイバーをさらに含み、前記2本以上の光ファイバーは、イントロデューサを越えて伸長した状態になると、治療向上のための1つ以上の構成内に再配置することが可能である、請求項1に記載の非対称の光ファイバー医療デバイス。
【請求項5】
前記2本以上の光ファイバーは、3〜7本のファイバーであり、前記遠位端部はそれぞれ屈曲したおよび補強される、請求項4に記載の光ファイバー医療デバイス。
【請求項6】
前記複数のファイバーは、円形様態または「熊手」の様態で展開される、請求項5に記載の光ファイバー医療デバイス。
【請求項7】
可撓性向上のためにコア直径を低減したファイバーを少なくとも7本さらに含み、前記ファイバーは近密に用いられ、前記遠位端部において焼付され、補強される、請求項4に記載の光ファイバー医療デバイス。
【請求項8】
掃引動きを提供する生成手段をさらに含む、請求項1に記載の非対称出射型光ファイバー医療デバイス。
【請求項9】
事前選択されかつ計画された本質的に自動の動きとしてファイバーの遠位端部を振動させる手段をさらに含む、請求項1に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項10】
遠位先端部を含む非対称の光ファイバー医療デバイスであって、前記遠位先端部の出力端において、コアおよびファイバーの断面が、前記ファイバーの近位端の寸法よりも拡張している、非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項11】
長細軸を規定する軸方向に延びた部分を規定するファイバーと、組織接触面とをさらに含み、前記軸方向に延びた先端部分は、前記ファイバーの遠位端部に配置され、前記長細軸に対して鋭角で方向付けられ、前記組織接触面は、前記先端部分の遠位端部に配置され、治療すべき組織と接触するように構成され、前記ファイバーの先端部分は、前記ファイバーからのレーザーエネルギーを前記組織接触面を通じて伝送させて、前記組織接触面と接触している前記組織を切除する、請求項1に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項12】
前記組織接触面は摩耗表面であり、治療部位にある組織と接触するように構成され、前記ファイバーからのレーザーエネルギーを前記組織接触面を通じて前記治療部位にある前記組織内へと伝送させ、前記組織接触面は、レーザーエネルギーが前記ファイバーから前記組織接触面を通じて前記組織接触面と接触している前記組織内へと到達するのを妨げることなく、前記組織の焼灼時において前記組織接触面が摩耗するのに十分な厚さを規定する、請求項11に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項13】
前記鋭角は、約20度〜約40度である、請求項12に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項14】
前記軸方向に延びた先端部分は、約2mm〜約5mmの軸方向長さを規定する、請求項13に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項15】
前記先端部分の周囲において環状に延びるスリーブをさらに含み、前記スリーブは、前記組織接触面のうち少なくとも一部を形成する、請求項12に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項16】
前記ファイバーは出射面を規定し、前記スリーブは、前記出射面の周囲において環状に延びかつ前記出射面と実質的に同一平面上にあり、前記ファイバーの前記出射面および前記スリーブは前記組織接触面を規定する、請求項15に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項17】
前記ファイバーは、前記出射面を規定する軸方向に延びたコアを含み、前記コアの前記出射面および前記スリーブの遠位部分は、前記組織接触面を規定する、請求項16に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項18】
前記組織接触面を規定する前記スリーブの前記遠位部分は曲線状である、請求項17に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項19】
前記組織接触面を規定する前記出射面は曲線状であり、前記スリーブの前記遠位部分と実質的に同一平面上にある、請求項18に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項20】
前記スリーブは前記ファイバーに焼き付けられる、請求項17に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項21】
前記ファイバーの先端部分および前記先端部分の近位にある前記ファイバーの一部の全体において、前記スリーブは環状に軸方向に延びる、請求項20に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項22】
前記ファイバーはコアおよびクラッディングを含み、前記スリーブおよび前記クラッディングの外側部分は、実質的に同一材料で構成される、請求項21に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項23】
前記クラッディングの外側部分はガラスによって構成され、前記スリーブはガラス製であり、前記スリーブは、前記スリーブと前記クラッディングとの間の界面全体において前記クラッディングに実質的に熱焼付される、請求項22に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項24】
前記スリーブはキャップを形成し、前記キャップは、前記ファイバーの前記遠位端部を封入し、前記キャップの遠位端部は前記組織接触面を形成し、前記ファイバーの前記遠位端部は出射面を規定し、前記出射面は、レーザーエネルギーを前記ファイバーおよび前記キャップの組織接触面を通じて伝送させて、前記レーザーエネルギーを前記組織接触面と接触している組織内へと伝送させる、請求項15に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項25】
前記キャップの前記組織接触面は、前記組織接触面と接触している組織の焼灼時において、前記組織接触面内に穴を発生させること無く前記組織接触面が摩耗するのに十分な厚さを規定する、請求項24に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項26】
前記キャップの前記組織接触面は、約1mm〜約4mmの厚さを規定する、請求項25に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項27】
前記ファイバーはコアおよびクラッディングを含み、前記キャップおよび前記クラッディングの外側部分は、実質的に同一材料で構成される、請求項26に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項28】
前記クラッディングの外側部分はガラスによって構成され、前記スリーブはガラス製であり、前記スリーブは、前記スリーブと前記クラッディングとの間の界面全体において前記クラッディングに実質的に熱焼付される、請求項27に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項29】
ヒトまたは動物の組織中に空洞を開削または切除するための治療方法であって、前記方法は、前記組織の内側において光ファイバーデバイスを操縦または回転して行われる、方法。
【請求項30】
請求項1に記載のデバイスの掃引動きによって組織焼灼が支援される、医療方法。
【請求項31】
ヒトまたは動物の組織を開削または切除するための治療方法であって、前記方法は、軸外出射型の光ファイバーデバイスを振動させて行われる、方法。
【請求項32】
非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイスを提供するステップであって、前記非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイスは、長細軸を規定する軸方向に延びた部分を規定するファイバーと、軸方向に延びた先端部分と、組織接触面とを含み、前記軸方向に延びた先端部分は、前記ファイバーの遠位端部に配置され、長細軸に対して鋭角で方向付けられ、前記組織接触面は、前記先端部分の遠位端部に配置される、ステップと、
治療すべき組織と接触した様態で前記組織接触面を配置するステップと、
前記ファイバーから前記組織接触面を通じてレーザーエネルギーを伝送させるステップと、
前記レーザーエネルギーを伝送させるステップにおいて、前記組織接触面および組織のうち少なくとも1つを他方に対して移動させて、前記組織接触面と接触している前記組織を切除するステップと、
を含む、方法。
【請求項33】
前記移動させるステップは、前記組織接触面を前記組織上において掃引的に横方向に移動させ、前記接触している組織を切除するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記移動させるステップは、前記組織接触面を前記組織上におい横方向および軸方向に移動させて、前記接触している組織を切除するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組織接触面を通じた前記治療対象組織への前記レーザーエネルギー出力へ実質的に影響を与えることなく、前記伝送ステップおよび前記移動ステップ時において前記組織接触面を摩耗させるステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記方法は良性前立腺過形成の治療のためのものであり、前記治療対象組織は肥厚前立腺組織である、請求項35に記載の方法。
【請求項1】
ねじり可能性を有する、非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項2】
先端部が屈曲および補強された1本以上のファイバーをさらに備える、請求項1に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項3】
屈曲した遠位先端部を備えた少なくとも1本の光ファイバーをさらに含み、前記遠位先端部の出力端は、伝送された放射を軸外方向において所望の治療部位に向かって集束させるような形状である、請求項1に記載の非対称の光ファイバー医療デバイス。
【請求項4】
屈曲した遠位端部を備えた2本以上の光ファイバーをさらに含み、前記2本以上の光ファイバーは、イントロデューサを越えて伸長した状態になると、治療向上のための1つ以上の構成内に再配置することが可能である、請求項1に記載の非対称の光ファイバー医療デバイス。
【請求項5】
前記2本以上の光ファイバーは、3〜7本のファイバーであり、前記遠位端部はそれぞれ屈曲したおよび補強される、請求項4に記載の光ファイバー医療デバイス。
【請求項6】
前記複数のファイバーは、円形様態または「熊手」の様態で展開される、請求項5に記載の光ファイバー医療デバイス。
【請求項7】
可撓性向上のためにコア直径を低減したファイバーを少なくとも7本さらに含み、前記ファイバーは近密に用いられ、前記遠位端部において焼付され、補強される、請求項4に記載の光ファイバー医療デバイス。
【請求項8】
掃引動きを提供する生成手段をさらに含む、請求項1に記載の非対称出射型光ファイバー医療デバイス。
【請求項9】
事前選択されかつ計画された本質的に自動の動きとしてファイバーの遠位端部を振動させる手段をさらに含む、請求項1に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項10】
遠位先端部を含む非対称の光ファイバー医療デバイスであって、前記遠位先端部の出力端において、コアおよびファイバーの断面が、前記ファイバーの近位端の寸法よりも拡張している、非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項11】
長細軸を規定する軸方向に延びた部分を規定するファイバーと、組織接触面とをさらに含み、前記軸方向に延びた先端部分は、前記ファイバーの遠位端部に配置され、前記長細軸に対して鋭角で方向付けられ、前記組織接触面は、前記先端部分の遠位端部に配置され、治療すべき組織と接触するように構成され、前記ファイバーの先端部分は、前記ファイバーからのレーザーエネルギーを前記組織接触面を通じて伝送させて、前記組織接触面と接触している前記組織を切除する、請求項1に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項12】
前記組織接触面は摩耗表面であり、治療部位にある組織と接触するように構成され、前記ファイバーからのレーザーエネルギーを前記組織接触面を通じて前記治療部位にある前記組織内へと伝送させ、前記組織接触面は、レーザーエネルギーが前記ファイバーから前記組織接触面を通じて前記組織接触面と接触している前記組織内へと到達するのを妨げることなく、前記組織の焼灼時において前記組織接触面が摩耗するのに十分な厚さを規定する、請求項11に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項13】
前記鋭角は、約20度〜約40度である、請求項12に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項14】
前記軸方向に延びた先端部分は、約2mm〜約5mmの軸方向長さを規定する、請求項13に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項15】
前記先端部分の周囲において環状に延びるスリーブをさらに含み、前記スリーブは、前記組織接触面のうち少なくとも一部を形成する、請求項12に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項16】
前記ファイバーは出射面を規定し、前記スリーブは、前記出射面の周囲において環状に延びかつ前記出射面と実質的に同一平面上にあり、前記ファイバーの前記出射面および前記スリーブは前記組織接触面を規定する、請求項15に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項17】
前記ファイバーは、前記出射面を規定する軸方向に延びたコアを含み、前記コアの前記出射面および前記スリーブの遠位部分は、前記組織接触面を規定する、請求項16に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項18】
前記組織接触面を規定する前記スリーブの前記遠位部分は曲線状である、請求項17に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項19】
前記組織接触面を規定する前記出射面は曲線状であり、前記スリーブの前記遠位部分と実質的に同一平面上にある、請求項18に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項20】
前記スリーブは前記ファイバーに焼き付けられる、請求項17に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項21】
前記ファイバーの先端部分および前記先端部分の近位にある前記ファイバーの一部の全体において、前記スリーブは環状に軸方向に延びる、請求項20に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項22】
前記ファイバーはコアおよびクラッディングを含み、前記スリーブおよび前記クラッディングの外側部分は、実質的に同一材料で構成される、請求項21に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項23】
前記クラッディングの外側部分はガラスによって構成され、前記スリーブはガラス製であり、前記スリーブは、前記スリーブと前記クラッディングとの間の界面全体において前記クラッディングに実質的に熱焼付される、請求項22に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項24】
前記スリーブはキャップを形成し、前記キャップは、前記ファイバーの前記遠位端部を封入し、前記キャップの遠位端部は前記組織接触面を形成し、前記ファイバーの前記遠位端部は出射面を規定し、前記出射面は、レーザーエネルギーを前記ファイバーおよび前記キャップの組織接触面を通じて伝送させて、前記レーザーエネルギーを前記組織接触面と接触している組織内へと伝送させる、請求項15に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項25】
前記キャップの前記組織接触面は、前記組織接触面と接触している組織の焼灼時において、前記組織接触面内に穴を発生させること無く前記組織接触面が摩耗するのに十分な厚さを規定する、請求項24に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項26】
前記キャップの前記組織接触面は、約1mm〜約4mmの厚さを規定する、請求項25に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項27】
前記ファイバーはコアおよびクラッディングを含み、前記キャップおよび前記クラッディングの外側部分は、実質的に同一材料で構成される、請求項26に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項28】
前記クラッディングの外側部分はガラスによって構成され、前記スリーブはガラス製であり、前記スリーブは、前記スリーブと前記クラッディングとの間の界面全体において前記クラッディングに実質的に熱焼付される、請求項27に記載の非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイス。
【請求項29】
ヒトまたは動物の組織中に空洞を開削または切除するための治療方法であって、前記方法は、前記組織の内側において光ファイバーデバイスを操縦または回転して行われる、方法。
【請求項30】
請求項1に記載のデバイスの掃引動きによって組織焼灼が支援される、医療方法。
【請求項31】
ヒトまたは動物の組織を開削または切除するための治療方法であって、前記方法は、軸外出射型の光ファイバーデバイスを振動させて行われる、方法。
【請求項32】
非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイスを提供するステップであって、前記非対称の軸外放射型の光ファイバー医療デバイスは、長細軸を規定する軸方向に延びた部分を規定するファイバーと、軸方向に延びた先端部分と、組織接触面とを含み、前記軸方向に延びた先端部分は、前記ファイバーの遠位端部に配置され、長細軸に対して鋭角で方向付けられ、前記組織接触面は、前記先端部分の遠位端部に配置される、ステップと、
治療すべき組織と接触した様態で前記組織接触面を配置するステップと、
前記ファイバーから前記組織接触面を通じてレーザーエネルギーを伝送させるステップと、
前記レーザーエネルギーを伝送させるステップにおいて、前記組織接触面および組織のうち少なくとも1つを他方に対して移動させて、前記組織接触面と接触している前記組織を切除するステップと、
を含む、方法。
【請求項33】
前記移動させるステップは、前記組織接触面を前記組織上において掃引的に横方向に移動させ、前記接触している組織を切除するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記移動させるステップは、前記組織接触面を前記組織上におい横方向および軸方向に移動させて、前記接触している組織を切除するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組織接触面を通じた前記治療対象組織への前記レーザーエネルギー出力へ実質的に影響を与えることなく、前記伝送ステップおよび前記移動ステップ時において前記組織接触面を摩耗させるステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記方法は良性前立腺過形成の治療のためのものであり、前記治療対象組織は肥厚前立腺組織である、請求項35に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2013−505771(P2013−505771A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530872(P2012−530872)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/030879
【国際公開番号】WO2011/037651
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512152868)バイオリテック ファーマ マーケティング リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/030879
【国際公開番号】WO2011/037651
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512152868)バイオリテック ファーマ マーケティング リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]