説明

テンプレート処理装置及びインプリントシステム

【課題】複数のテンプレートに対して離型剤を連続的に成膜する。
【解決手段】テンプレート処理装置1は、テンプレート搬入出ステーション2と処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能で、且つ処理ステーション3に対してテンプレートTを搬入出する。処理ステーション3は、搬送ユニット20を有し、処理ブロックG1〜G4内に配置されている各種処理ユニットにテンプレートTを搬送する。処理ブロックG1、G2は、テンプレートTに離型剤を塗布する塗布ユニットと、テンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニットとをそれぞれ有している。処理ブロックG3、G4は、テンプレートTの表面を洗浄する洗浄ユニットと、テンプレートTの温度を調節する温度調節ユニットと、テンプレートTを焼成する加熱ユニットとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理装置、及び当該テンプレート処理装置を備えたインプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。この方法は、表面に微細なパターンを有するテンプレート(モールドや型と呼ばれることもある。)をウェハ上に形成したレジスト表面に圧着させ、その後剥離し、当該レジスト表面に直接パターンの転写を行うものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したインプリント方法を繰り返し行うと、すなわち一のテンプレートを用いて複数のウェハ上にレジストパターンを形成すると、ある時点からパターンの転写が正しく行われなくなる。例えばテンプレートの表面には、通常、レジストに対して撥液性を有する離型剤が成膜されているが、この離型剤が劣化してしまうことによる。このため、テンプレートを定期的に交換する必要がある。
【0007】
また、複数のウェハ上に異なるレジストパターンを形成する場合には、各レジストパターン毎にテンプレートを交換する必要がある。
【0008】
このように複数のウェハ上にレジストパターンを形成するためには、交換用のテンプレートが複数必要になる。すなわち、これら複数のテンプレートに対して、予めその表面に離型剤を形成しておく必要がある。
【0009】
しかしながら、従来のインプリント方法では、かかる離型剤の成膜を効率よく行うことは全く考慮されていなかった。例えば離型剤の成膜は、通常、テンプレート毎に手作業で行われている。このため、テンプレートを成膜するのに時間がかかり、要求されるタイミングでテンプレートを交換できない場合があった。また、テンプレート上の離型剤が不均一になる等、離型剤を精度よく均一に成膜することができない場合があった。したがって、複数のウェハに対して所定のレジストパターンを連続的に形成することは現実的に困難であり、半導体デバイスの量産化に対応できなかった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、複数のテンプレートに対して離型剤を連続的に成膜することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理装置であって、前記テンプレートに所定の処理を行い、当該テンプレートの表面に離型剤を成膜する処理ステーションと、複数の前記テンプレートを保有可能で、且つ前記処理ステーションに対して前記テンプレートを搬入出するテンプレート搬入出ステーションと、を有し、前記処理ステーションは、前記テンプレートの表面を洗浄する洗浄ユニットと、前記洗浄されたテンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布ユニットと、前記塗布された離型剤を焼成する加熱ユニットと、前記洗浄ユニット、前記塗布ユニット及び前記加熱ユニットに対して、前記テンプレートを搬送する搬送ユニットと、を有することを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、テンプレート搬入出ステーションが複数のテンプレートを保有できるので、当該テンプレート搬入出ステーションから処理ステーションにテンプレートを連続して搬送することができる。また、処理ステーションにおいては、搬送ユニットが洗浄ユニット、塗布ユニット、加熱ユニットの各種処理ユニットにテンプレートを搬送できるので、複数のテンプレートに対して所定の処理を連続して行うことができる。したがって、これら複数のテンプレートに対して離型剤を連続的に成膜することができる。
【0013】
前記加熱ユニットは、前記テンプレートを加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記テンプレートの転写パターン側に配置されていてもよい。
【0014】
前記塗布ユニットは、前記テンプレートの表面に液体状の離型剤を供給する離型剤供給部を有し、前記処理ステーションは、前記加熱ユニットで焼成された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンスユニットを有し、前記搬送ユニットは、前記リンスユニットに対しても前記テンプレートを搬送してもよい。かかる場合、前記塗布ユニット及び前記加熱ユニットに代えて、前記テンプレートの表面に離型剤を塗布し、且つ当該塗布された離型剤を焼成する塗布加熱ユニットを有していてもよい。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して吸着する部分以外をいう。
【0015】
また、前記塗布ユニットは、前記テンプレートの表面に気体状の離型剤を供給する離型剤供給部を有していてもよい。かかる場合、前記離型剤供給部は、前記テンプレートの表面に対向して配置され、前記離型剤供給部の下面には、前記テンプレートの表面に均一に前記気体状の離型剤を供給する複数の供給口が形成されていてもよい。また、前記塗布ユニットは、前記テンプレートの温度を制御する温度制御部を有していてもよい。
【0016】
複数の前記テンプレートは一のホルダーに保持されていてもよい。
【0017】
別な観点による本発明は、前記テンプレート処理装置を備えたインプリントシステムであって、前記処理ステーションで表面に離型剤が成膜された前記テンプレートを用いて、前記転写パターンを基板上に形成される塗布膜に転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットと、複数の前記基板を保有可能で、前記インプリントユニットに対して前記基板を搬入出する基板搬入出ステーションと、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のテンプレートに対して離型剤を連続的に成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図4】テンプレートの斜視図である。
【図5】搬送ユニットの構成の概略を示す側面図である。
【図6】搬送ユニットの構成の概略を示す平面図である。
【図7】塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図8】保持部材の構成の概略を示す平面図である。
【図9】塗布ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図10】リンスユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図11】洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図12】洗浄ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図13】加熱ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図14】離型剤処理の各工程を示したフローチャートである。
【図15】離型剤処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面が洗浄された様子を示し、(b)はテンプレートの表面に離型剤が塗布された様子を示し、(c)はテンプレート上の離型剤が焼成された様子を示し、(d)はテンプレート上に離型剤が成膜された様子を示す。
【図16】他の実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図17】塗布加熱ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図18】他の実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図19】他の実施の形態にかかる塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図20】離型剤処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面が洗浄された様子を示し、(b)はテンプレートの表面に気化した離型剤が堆積された様子を示し、(c)はテンプレート上の離型剤が焼成された様子を示す。
【図21】ホルダーの平面図である。
【図22】ホルダーの縦断面図である。
【図23】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す平面図である。
【図24】インプリントユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図25】インプリントユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図26】インプリント処理の各工程を示したフローチャートである。
【図27】インプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハ上にレジスト液が塗布された様子を示し、(b)はウェハ上のレジスト膜を光重合させた様子を示し、(c)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示し、(d)はウェハ上の残存膜が除去された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は、テンプレート処理装置1の構成の概略を示す側面図である。
【0021】
本実施の形態のテンプレート処理装置1では、図4に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成されたテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面Tといい、当該表面Tと反対側の面を裏面Tという。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。
【0022】
テンプレート処理装置1は、図1に示すように複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とテンプレート処理装置1との間で搬入出したり、テンプレートカセットCに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション2と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0023】
テンプレート搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10は、複数のテンプレートカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
【0024】
テンプレート搬入出ステーション2には、X方向に延伸する搬送路11上を移動可能なテンプレート搬送体12が設けられている。テンプレート搬送体12は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレートカセットCと処理ステーション3との間でテンプレートTを搬送できる。
【0025】
処理ステーション3には、その中心部に搬送ユニット20が設けられている。この搬送ユニット20の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックG1〜G4が配置されている。処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2が順に配置されている。処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第3の処理ブロックG3、第4の処理ブロックG4が順に配置されている。処理ステーション3のテンプレート搬入出ステーション2側には、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット21が配置されている。搬送ユニット20は、これらの処理ブロックG1〜G4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット21に対してテンプレートTを搬送できる。
【0026】
第1の処理ブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートTに液体状の離型剤を塗布する塗布ユニット30、テンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニット31が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックG2も同様に、塗布ユニット32、リンスユニット33が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室34、35がそれぞれ設けられている。
【0027】
第3の処理ブロックG3には、図3に示すようにテンプレートTに対して紫外線を照射し、テンプレートT上に離型剤が成膜される前の表面Tを洗浄する洗浄ユニット40、テンプレートTの温度を調節する温度調節ユニット41、42、テンプレートTを加熱処理する加熱ユニット43、44が下から順に5段に重ねられている。
【0028】
第4の処理ブロックG4にも、第3の処理ブロックG3と同様に、洗浄ユニット50、温度調節ユニット51、52、加熱ユニット53、54が下から順に5段に重ねられている。
【0029】
次に、上述した搬送ユニット20の構成について説明する。搬送ユニット20は、図5に示すようにテンプレートTを保持して搬送する搬送アーム100を複数、例えば2本有している。
【0030】
搬送アーム100は、図6に示すようにテンプレートTよりも大きい径の略3/4円環状に構成されたアーム部101と、このアーム部101と一体に形成され、且つアーム部101を支持する支持部102とを有している。アーム部101には、内側に向かって突出し、テンプレートTの角部を保持する保持部103が例えば4箇所に設けられている。搬送アーム100は、この保持部103上にテンプレートTを水平に保持することができる。
【0031】
搬送アーム100の基端部には、図5に示すようにアーム駆動部104が設けられている。このアーム駆動部104により、各搬送アーム100は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム100とアーム駆動部104は、基台105に支持されている。基台105の下面には、シャフト106を介して回転駆動部107が設けられている。この回転駆動部107により、基台105及び搬送アーム100はシャフト106を中心軸として回転でき、且つ昇降できる。
【0032】
次に、上述した塗布ユニット30、32の構成について説明する。塗布ユニット30は、図7に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング110を有している。
【0033】
ケーシング110内の中央部には、テンプレートTを保持して回転させる保持部材111が設けられている。保持部材111の中央部分は下方に窪み、テンプレートTを収容する収容部112が形成されている。収容部112の下部には、テンプレートTの外形より小さい溝部112aが形成されている。したがって、収容部112内では、溝部112aによってテンプレートTの下面内周部は保持部材111と接しておらず、テンプレートTの下面外周部のみが保持部材111に支持されている。収容部112は、図8に示すようにテンプレートTの外形に適合した略四角形の平面形状を有している。収容部112には、側面から内側に突出した突出部113が複数形成され、この突出部113により、収容部112に収容されるテンプレートTの位置決めがされる。また、搬送アーム100から収容部112にテンプレートTを受け渡す際に、搬送アーム100の保持部103が収容部112と干渉するのを避けるため、収容部112の外周には、切欠き部114が4箇所に形成されている。
【0034】
保持部材111は、図7に示すようにカバー体115に取り付けられ、保持部材111の下方には、シャフト116を介して回転駆動部117が設けられている。この回転駆動部117により、保持部材111は鉛直周りに所定の速度で回転でき、且つ昇降できる。
【0035】
保持部材111の周囲には、テンプレートTから飛散又は落下する離型剤を受け止め、回収するカップ120が設けられている。カップ120の下面には、回収した離型剤を排出する排出管121と、カップ120内の雰囲気を排気する排気管122が接続されている。
【0036】
図9に示すようにカップ120のX方向負方向(図9の下方向)側には、Y方向(図9の左右方向)に沿って延伸するレール130が形成されている。レール130は、例えばカップ120のY方向負方向(図9の左方向)側の外方からY方向正方向(図9の右方向)側の外方まで形成されている。レール130には、アーム131が取り付けられている。
【0037】
アーム131には、テンプレートT上に離型剤を供給する離型剤供給部としての離型剤ノズル132が支持されている。アーム131は、ノズル駆動部133により、レール130上を移動自在である。これにより、離型剤ノズル132は、カップ120のY方向正方向側の外方に設置された待機部134からカップ120内のテンプレートTの中心部上方まで移動できる。また、アーム131は、ノズル駆動部133によって昇降自在であり、離型剤ノズル132の高さを調整できる。なお、離型剤の材料には、後述するウェハ上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素樹脂等が用いられる。
【0038】
なお、例えば保持部材111の溝部112a内に、洗浄液、例えば有機溶剤を噴射する洗浄液ノズルを設けてもよい。この洗浄液ノズルからテンプレートTの裏面Tに洗浄液を噴射することによって、当該裏面Tを洗浄することができる。
【0039】
なお、塗布ユニット32の構成は、上述した塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0040】
次に、上述したリンスユニット31、33の構成について説明する。リンスユニット31は、図10に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング140を有している。
【0041】
ケーシング140内の底面には、テンプレートTを浸漬させる浸漬槽141が設けられている。浸漬槽141内には、テンプレートT上の離型剤をリンスするための有機溶剤が貯留されている。
【0042】
ケーシング140内の天井面であって、浸漬槽141の上方には、テンプレートTを保持する保持部142が設けられている。保持部142は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック143を有している。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くようにチャック143に保持される。チャック143は、昇降機構144により昇降できる。そして、テンプレートTは、保持部142に保持された状態で浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬され、当該テンプレートT上の離型剤がリンスされる。
【0043】
保持部142は、チャック143に保持されたテンプレートTの上方に設けられたガス供給部145を有している。ガス供給部145は、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを下方、すなわちチャック143に保持されたテンプレートTの表面Tに吹き付けることができる。これにより、浸漬層141でリンスされたテンプレートTの表面Tを乾燥させることができる。なお、リンスユニット31には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。
【0044】
なお、リンスユニット33の構成は、上述したリンスユニット31の構成と同様であるので説明を省略する。
【0045】
次に、上述した洗浄ユニット40、50の構成について説明する。洗浄ユニット40は、図11に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング150を有している。
【0046】
ケーシング150内には、テンプレートTを吸着保持するチャック151が設けられている。チャック151は、テンプレートTの表面Tが上方を向くように、その裏面Tを吸着保持する。チャック151の下方には、チャック駆動部152が設けられている。このチャック駆動部152は、ケーシング150内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール153上に取付けられている。このチャック駆動部152により、チャック151はレール153に沿って移動できる。
【0047】
ケーシング150内の天井面であって、レール153の上方には、チャック151に保持されたテンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部154が設けられている。紫外線照射部154は、図12に示すようにX方向に延伸している。そして、テンプレートTがレール153に沿って移動中に、紫外線照射部154から当該テンプレートTの表面Tに紫外線を照射することで、テンプレートTの表面T全面に紫外線が照射される。
【0048】
なお、洗浄ユニット50の構成は、上述した洗浄ユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0049】
次に、上述した加熱ユニット43、44、53、54の構成について説明する。加熱ユニット43は、図13に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング160を有している。
【0050】
ケーシング160内の底面には、テンプレートTが載置される載置台161が設けられている。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くように載置台161の上面に載置される。載置台161内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン162が設けられている。昇降ピン162は、昇降駆動部163により上下動できる。載置台161の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔164が形成されおり、昇降ピン162は、貫通孔164を挿通するようになっている。また、載置台161の上面には、テンプレートTを加熱する熱板165が設けられている。熱板165の内部には、例えば給電により発熱するヒータが設けられており、熱板165を所定の設定温度に調節できる。なお、この熱板165は、テンプレートTの上方、例えば後述する蓋体170の天井面に設けてもよい。また、テンプレートTの上方と下方に熱板165を設けてもよい。
【0051】
載置台161の上方には、上下動自在の蓋体170が設けられている。蓋体170は、下面が開口し、載置台161と一体となって処理室Kを形成する。蓋体170の上面中央部には、排気部171が設けられている。処理室K内の雰囲気は、排気部171から均一に排気される。
【0052】
なお、加熱ユニット44、53、54の構成は、上述した加熱ユニット43の構成と同様であるので説明を省略する。
【0053】
また、温度調節ユニット41、42、51、52の構成についても、上述した加熱ユニット43と同様の構成を有し、熱板165に代えて、温度調節板が用いられる。温度調節板の内部には、例えばペルチェ素子などの冷却部材が設けられており、温度調節板を設定温度に調節できる。また、この場合、加熱ユニット43における蓋体170を省略してもよい。
【0054】
以上のテンプレート処理装置1には、図1に示すように制御部200が設けられている。制御部200は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、テンプレート搬入出ステーション2と処理ステーション3との間のテンプレートTの搬送や、処理ステーション3における駆動系の動作などを制御して、テンプレート処理装置1における後述する離型剤処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部200にインストールされたものであってもよい。
【0055】
本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1は以上のように構成されている。次に、そのテンプレート処理装置1で行われる離型剤を成膜する処理について説明する。図14は、この離型剤処理の主な処理フローを示し、図15は、各工程におけるテンプレートTの状態を示している。
【0056】
先ず、テンプレート搬送体12によって、カセット載置台10上のテンプレートカセットCからテンプレートTが取り出され、処理ステーション3のトランジションユニット21に搬送される(図14の工程A1)。このとき、テンプレートカセットC内には、テンプレートTは、転写パターンCが形成された表面Tが上方を向くように収容されており、この状態でテンプレートTはトランジションユニット21に搬送される。
【0057】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、洗浄ユニット40に搬送され、チャック151に吸着保持される。続いて、チャック駆動部152によってテンプレートTをレール153に沿って移動させながら、紫外線照射部154から当該テンプレートTに紫外線が照射される。こうして、テンプレートTの表面T全面に紫外線が照射され、図15(a)に示すようにテンプレートTの表面Tが洗浄される(図14の工程A2)。
【0058】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは塗布ユニット30に搬送され、保持部材111に受け渡される。続いて、離型剤ノズル132をテンプレートTの中心部上方まで移動させると共に、テンプレートTを回転させる。そして、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給し、遠心力により離型剤SをテンプレートT上で拡散させて、図15(b)に示すようにテンプレートTの表面T全面に離型剤Sを塗布する(図14の工程A3)。
【0059】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは加熱ユニット43に搬送される。加熱ユニット43に搬入されたテンプレートTは、昇降ピン162に受け渡され、載置台161に載置される。続いて、蓋体170が閉じられ、テンプレートTは熱板165によって例えば200℃に加熱される。所定時間経過後、図15(c)に示すようにテンプレートT上の離型剤Sが焼成される(図14の工程A4)。
【0060】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは温度調節ユニット41に搬送され、テンプレートTが所定の温度に調節される。
【0061】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはリンスユニット31に搬送され、保持部142に保持される。続いて、保持部142を下降させ、テンプレートTを浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬させる。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみが剥離し、図15(d)に示すようにテンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される(図14の工程A5)。その後、保持部142を上昇させ、ガス供給部145から気体ガスをテンプレートTに吹き付け、その表面Tを乾燥させる。
【0062】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはトランジションユニット21に搬送され、テンプレート搬送体12によってテンプレートカセットCに戻される(図14の工程A6)。こうしてテンプレート処理装置1における一連の離型剤処理が終了し、テンプレートTの表面Tに、転写パターンCの形状に沿った離型剤Sが成膜される。
【0063】
以上の実施の形態によれば、テンプレート搬入出ステーション2が複数のテンプレートTを保有できるので、当該テンプレート搬入出ステーション2から処理ステーション3にテンプレートTを連続して搬送することができる。また、処理ステーション3においては、搬送ユニット20が各種処理ユニットにテンプレートTを搬送できるので、複数のテンプレートTに対して所定の処理を連続して行うことができる。したがって、これら複数のテンプレートTに対して、離型剤Sを連続的に成膜することができる。
【0064】
ここで、テンプレートTは、例えば6.35mmの厚みを有する。本実施の形態の加熱ユニット43、44、53、54内において、熱板165がテンプレートTの上方(テンプレートTの転写パターンC側)に配置されている場合、テンプレートTの表面T側から、当該表面T上の離型剤Sを直接加熱することができる。したがって、テンプレートTの厚みに関わらず、離型剤Sを効率よく加熱して焼成することができる。一方、熱板165がテンプレートTの下方に配置されている場合でも、熱伝導によってテンプレートTの裏面T側から離型剤Sを効率よく加熱することができる。
【0065】
以上の実施の形態では、処理ステーション3の塗布ユニット30、32において、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給することにより、テンプレートTの表面Tに離型剤Sを塗布していたが、例えばテンプレートTの幅方向に延伸し、下面にスリット状の供給口が形成された離型剤ノズルを用いてテンプレートT上に離型剤Sを塗布してもよい。かかる場合、離型剤ノズルをテンプレートTの辺方向に移動させながら、供給口から離型剤Sを供給し、テンプレートTの表面T全面に離型剤Sが塗布される。なお、この場合、離型剤ノズルを固定して、テンプレートTを移動させてもよい。さらに、例えば離型剤Sが貯留された浸漬槽にテンプレートTを浸漬させて、テンプレートT上に離型剤Sを塗布してもよい。
【0066】
以上の実施の形態のリンスユニット31、33では、浸漬層141に貯留された有機溶剤にテンプレートTを浸漬することで離型剤Sをリンスしていたが、図7及び図9に示した塗布ユニット30、32と同様の構成を有するリンスユニットを用いてもよい。かかる場合、塗布ユニット30、32の離型剤ノズル132に代えて、テンプレートT上に離型剤Sのリンス液としての有機溶剤を供給するリンス液ノズルが用いられる。
【0067】
そして、このリンスユニットでは、回転中のテンプレートT上に有機溶剤が供給し、テンプレートTの表面T全面をリンスする。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみが剥離し、テンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される。その後、有機溶剤の供給を停止した後、さらにテンプレートTを回転させ続け、その表面Tを振り切り乾燥させる。このようにして、テンプレートT上の離型剤Sがリンスされる。
【0068】
以上の実施の形態では、洗浄ユニット40、50において、テンプレートTを移動させながら、当該移動中のテンプレートTに紫外線を照射していたが、例えばテンプレートTの表面T全面を覆う紫外線照射部を用いて、テンプレートTに紫外線を照射してもよい。この紫外線照射部は、テンプレートTに対向するように、当該テンプレートTの上方に配置される。かかる場合、一度の照射でテンプレートTの表面T全面に紫外線を照射することができるので、テンプレートTの表面Tの洗浄を迅速に行うことができる。また、この場合、図7及び図9に示した塗布ユニット30、32と同様に、テンプレートTを回転させ、当該回転中のテンプレートTの表面T全面に紫外線を照射してもよい。
【0069】
以上の実施の形態では、テンプレートT上への離型剤Sの塗布とテンプレートTの加熱は、それぞれ別の処理ユニット(塗布ユニット30、32と加熱ユニット43、44、53、54)で行われていたが、一の処理ユニットで行われてもよい。かかる場合、図16に示すようにテンプレート処理装置1の第1の処理ブロックG1には、図2に示した塗布ユニット30に代えて、塗布加熱ユニット210が配置される。同様に、第2の処理ブロックG2にも、塗布ユニット32に代えて、塗布加熱ユニット211が配置される。また、この場合、図3に示した加熱ユニット43、44、53、54が省略される。
【0070】
図17に示すように塗布加熱ユニット210は、図7及び図9に示した塗布ユニット30と同様の構成に、さらに熱供給器212を有している。熱供給器212は、加熱された乾燥空気等の気体ガスを下方に吹き付けることができる。また、熱供給器212は、保持部材111に保持されたテンプレートTに対向するように、当該テンプレートTの上方に配置されている。なお、塗布加熱ユニット211についても、同様の構成を有している。
【0071】
かかる場合、離型剤ノズル132によってテンプレートTの表面T全面に離型剤Sを塗布した後、熱供給器212から加熱された気体ガスをテンプレートTに吹き付けて、当該テンプレートTを加熱することができる。このように一の塗布加熱ユニット210で離型剤Sの塗布とテンプレートTの加熱を連続して行うことができるので、処理ステーション3において、テンプレートT上に離型剤Sをより円滑に成膜することができ、離型剤処理のスループットを向上させることができる。また、テンプレート処理装置1の構成を簡略化することもできる。
【0072】
以上の実施の形態では、塗布ユニット30、32において、回転中のテンプレートT上に液体状の離型剤Sを供給することにより、テンプレートTの表面Tに離型剤Sを塗布していたが、テンプレートTの表面Tに気化した離型剤を堆積させて離型剤Sを成膜してもよい。かかる場合、図18に示すようにテンプレート処理装置1の第1の処理ブロックG1には、図2に示した塗布ユニット30とリンスユニット31に代えて、塗布ユニット220、221が配置される。同様に、第2の処理ブロックG2にも、塗布ユニット32とリンスユニット33に代えて、塗布ユニット222、223が配置される。
【0073】
塗布ユニット220は、図19に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング230を有している。ケーシング230の底面には、内部の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。
【0074】
ケーシング230内の底面には、テンプレートTが載置される載置台232が設けられている。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くように載置台232の上面に載置される。載置台232の上面には、テンプレートTの温度を制御する温度制御部としての温度制御板233が設けられている。温度制御板233は、例えばペルチェ素子などを内蔵し、テンプレートTを所定の温度に設定できる。載置台232内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン234が設けられている。昇降ピン234は、昇降駆動部235により上下動できる。載置台232の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔236が形成されおり、昇降ピン234は、貫通孔236を挿通するようになっている。
【0075】
ケーシング230内の天井面であって、載置台232の上方には、テンプレートT上に気化した離型剤を下方に供給する離型剤供給部としてのシャワーヘッド240が設けられている。シャワーヘッド240は、載置台232に載置されたテンプレートTの表面Tに対向して配置されている。シャワーヘッド240の内部には、離型剤供給源(図示せず)から供給された気化した離型剤が導入される内部空間241が形成されている。シャワーヘッド240の下面には、内部空間241に導入された離型剤を下方に向かって供給する複数の供給口242が、シャワーヘッド240の下面全体に分布させられた状態で設けられている。すなわち、シャワーヘッド240からテンプレートTの表面に対して、気化した離型剤が水平面内で均一に供給されるように複数の供給口242が形成されている。シャワーヘッド240から供給された離型剤は、テンプレートTの表面T上に転写パターンCに沿って堆積する。
【0076】
なお、塗布ユニット221、222、223の構成は、上述した塗布ユニット220の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0077】
次に、かかる塗布ユニット220、221、222、223が配置された処理ステーション3において、テンプレートTに離型剤Sを成膜する処理について説明する。
【0078】
処理ステーション3内では、先ず、テンプレートTは洗浄ユニット40に搬送され、図20(a)に示すようにテンプレートTの表面Tが洗浄される。その後、テンプレートTは塗布ユニット220に搬送され、図20(b)に示すようにテンプレートTの表面T上に気化した離型剤Sが供給され、当該離型剤Sが転写パターンCに沿って堆積する。このとき、テンプレートTは、温度制御板233によって所定の温度に設定されている。その後、テンプレートTは加熱ユニット43に搬送され、図20(c)に示すようにテンプレートT上の離型剤Sが焼成される。その後、テンプレートTは温度調節ユニット41に搬送され、テンプレートTが所定の温度に調節される。このようにして、テンプレートTの表面T上に、転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される。
【0079】
以上の実施の形態によれば、気化した離型剤SがテンプレートTの転写パターンCに沿って堆積するため、離型剤Sをリンスする必要がない。したがって、処理ステーション3において、テンプレートT上に離型剤Sをより円滑に成膜することができ、離型剤処理のスループットを向上させることができる。
【0080】
また、温度制御板233によって所定の温度に設定されたテンプレートT上に気化した離型剤Sを供給しているので、テンプレートT上に離型剤Sを効率よく堆積させることができる。
【0081】
さらに、シャワーヘッド240の複数の供給口242から気化した離型剤Sを供給しているので、複雑な駆動機構を必要としないため、塗布ユニット220の構成を簡略化することができる。
【0082】
なお、以上の実施の形態では、塗布ユニット220、221、222、223において、シャワーヘッド240の複数の供給口242から気化した離型剤Sを供給していたが、例えばテンプレートTの幅方向に延伸し、下面にスリット状の供給口が形成された離型剤ノズルを用いてテンプレートT上に気化した離型剤Sを供給してもよい。かかる場合、離型剤ノズルをテンプレートTの辺方向に移動させながら、供給口から気化した離型剤Sを供給し、テンプレートTの表面T全面に離型剤Sが塗布される。
【0083】
以上の実施の形態では、テンプレート処理装置1において、テンプレートTは個別に搬送され処理されていたが、図21に示すように複数、例えば9枚のテンプレートTが1つのホルダー250に保持されて処理されてもよい。かかる場合、ホルダー250には、図22に示すように各テンプレートTを収容するために下方に窪んだ収容部251が形成されている。収容部251の底面には例えば複数の吸引口(図示せず)が形成され、各テンプレートTは収容部251内に吸着保持されるようになっている。
【0084】
本実施の形態によれば、処理ステーション3において、複数のテンプレートTに対して一度に所定の処理を行うことができる。したがって、短時間でより多くのテンプレートT上に離型剤Sを成膜することができ、離型剤処理のスループットを向上させることができる。
【0085】
以上の実施の形態のテンプレート処理装置1は、図23に示すようにインプリントシステム300に配置されていてもよい。インプリントシステム300は、テンプレートTを用いて基板としてのウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット310と、複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とインプリントシステム300との間で搬入出したり、ウェハカセットCに対してウェハWを搬入出したりする基板搬入出ステーションとしてのウェハ搬入出ステーション311とを有している。また、テンプレート処理装置1とインプリントユニット310との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション312が配置されている。インプリントシステム300は、これらテンプレート処理装置1、インターフェイスステーション312、インプリントユニット310、ウェハ搬入出ステーション311を一体に接続した構成を有している。
【0086】
ウェハ搬入出ステーション311には、カセット載置台320が設けられている。カセット載置台320は、複数のウェハカセットCをX方向(図23中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション311は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
【0087】
ウェハ搬入出ステーション311には、X方向に延伸する搬送路321上を移動可能なウェハ搬送体322が設けられている。ウェハ搬送体322は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCとインプリントユニット310との間でウェハWを搬送できる。
【0088】
ウェハ搬入出ステーション311には、ウェハWの向きを調整するアライメントユニット323がさらに設けられている。アライメントユニット323では、例えばウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。
【0089】
インターフェイスステーション312には、X方向に延伸する搬送路330上を移動するテンプレート搬送体331が設けられている。また、搬送路330のX方向正方向側には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット332が配置され、搬送路330のX方向負方向側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット333が配置されている。テンプレート搬送体331は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、処理ステーション3、反転ユニット332、バッファカセット333、インプリントユニット310との間でテンプレートTを搬送できる。
【0090】
テンプレート処理装置1の処理ステーション3には、搬送ユニット20のインターフェイスステーション312側に、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット334が配置されている。
【0091】
次に、上述したインプリントユニット310の構成について説明する。インプリントユニット310は、図24に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング340を有している。
【0092】
ケーシング340内の底面には、ウェハWが載置されて保持されるウェハ保持部341が設けられている。ウェハWは、その被処理面が上方を向くようにウェハ保持部341の上面に載置される。ウェハ保持部341内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン342が設けられている。昇降ピン342は、昇降駆動部343により上下動できる。ウェハ保持部341の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔344が形成されおり、昇降ピン342は、貫通孔344を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部341は、当該ウェハ保持部341の下方に設けられた移動機構345により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0093】
図25に示すようにウェハ保持部341のX方向負方向(図25の下方向)側には、Y方向(図25の左右方向)に沿って延伸するレール350が設けられている。レール350は、例えばウェハ保持部341のY方向負方向(図25の左方向)側の外方からY方向正方向(図25の右方向)側の外方まで形成されている。レール350には、アーム351が取り付けられている。
【0094】
アーム351には、ウェハW上にレジスト液を供給するレジスト液ノズル352が支持されている。レジスト液ノズル352は、例えばウェハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル352には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル352の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。そして、レジスト液ノズル352は、レジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量等を厳密に制御できる。
【0095】
アーム351は、ノズル駆動部353により、レール350上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル352は、ウェハ保持部341のY方向正方向側の外方に設置された待機部354からウェハ保持部341上のウェハWの上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム351は、ノズル駆動部353によって昇降自在であり、レジスト液ノズル352の高さを調整できる。
【0096】
ケーシング340内の天井面であって、ウェハ保持部341の上方には、図24に示すようにテンプレートTを保持するテンプレート保持部360が設けられている。すなわち、ウェハ保持部341とテンプレート保持部360は、ウェハ保持部341に載置されたウェハWと、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部360は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック361を有している。チャック361は、当該チャック361の上方に設けられた移動機構362により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部341上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0097】
テンプレート保持部360は、チャック361に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源363を有している。光源363からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源363からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。
【0098】
本実施の形態にかかるインプリントシステム300は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム300で行われるインプリント処理について説明する。図26は、このインプリント処理の主な処理フローを示し、図27は、このインプリント処理の各工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
【0099】
先ず、テンプレート搬送体12によって、テンプレート搬入出ステーション2から処理ステーション3にテンプレートTが搬送される(図26の工程B1)。処理ステーション3では、テンプレートTの表面Tの洗浄(図26の工程B2)、表面Tへの離型剤Sの塗布(図26の工程B3)、離型剤Sの焼成(図26の工程B4)、離型剤Sのリンス(図26の工程B5)が順次行われ、テンプレートTの表面Tに離型剤Sが成膜される。なお、これら工程B2〜B5は、前記実施の形態における工程A2〜A5と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0100】
離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、トランジションユニット334に搬送される。続いて、テンプレートTは、インターフェイスステーション312のテンプレート搬送体331によって、反転ユニット332に搬送されて、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面Tが上方に向けられる。その後、テンプレートTは、テンプレート搬送体331によってインプリントユニット310に搬送され、テンプレート保持部360のチャック361に吸着保持される。
【0101】
このように処理ステーション3においてテンプレートTに離型剤処理を行い、インプリントユニット310へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション311では、ウェハ搬送体322により、カセット載置台320上のウェハカセットCからウェハWが取り出され、アライメントユニット323に搬送される。そして、アライメントユニット323において、ウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送体322によってインプリントユニット310に搬送される(図26の工程B6)。なお、ウェハ搬入出ステーション311において、ウェハカセットC内のウェハWは、その被処理面が上方を向くように収容されており、この状態でウェハWはインプリントユニット310に搬送される。
【0102】
インプリントユニット310に搬入されたウェハWは、昇降ピン342に受け渡され、ウェハ保持部341上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせをした後、レジスト液ノズル352をウェハWの径方向に移動させ、図27(a)に示すようにウェハW上にレジスト液が塗布され、塗布膜としてのレジスト膜Rが形成される(図26の工程B7)。このとき、制御部200により、レジスト液ノズル352から供給されるレジスト液の供給タイミングや供給量等が制御される。すなわち、ウェハW上に形成されるレジストパターンにおいて、凸部に対応する部分(テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は多く、凹部に対応する部分(転写パターンCにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は少なくなるように塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてウェハW上にレジスト液が塗布される。
【0103】
ウェハW上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図27(a)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面TがウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。続いて、光源363から光が照射される。光源363からの光は、図27(b)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図26の工程B8)。
【0104】
その後、図27(c)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの表面Tには離型剤Sが塗布されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面Tに付着することはない。その後、ウェハWは、昇降ピン342によりウェハ搬送体322に受け渡され、インプリントユニット310からウェハ搬入出ステーション311に搬送され、ウェハカセットCに戻される(図26の工程B9)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム300の外部において、図27(d)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
【0105】
以上の工程B6〜B9(図26中の点線で囲った部分)を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程B1〜B5を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T上に離型剤Sを成膜する。離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、インターフェイスステーション312のバッファカセット333に保管される。
【0106】
そして、所定枚数のウェハWに対して工程B6〜B9が行われると、ウェハ搬送体331によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット310から搬出され、反転ユニット332に搬送される(図26の工程B10)。続いて、ウェハ搬送体331によって、バッファカセット333内のテンプレートTがインプリントユニット310に搬送される。こうして、インプリントユニット310内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
【0107】
反転ユニット332に搬送された使用済みのテンプレートTは、その表裏面が反転される。その後、ウェハ搬送体331、搬送ユニット20、ウェハ搬送体12によって、テンプレートTはテンプレートカセットCに戻される。このようにして、インプリントシステム300において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
【0108】
以上の実施の形態のインプリントシステム300はテンプレート処理装置1を有しているので、インプリントシステム300において、テンプレートT上に離型剤Sを成膜しつつ、当該テンプレートTをインプリントユニット310に連続的に供給できる。これによって、例えばテンプレートTが劣化する前、あるいは複数のウェハW上に異なるレジストパターンPを形成する場合でも、インプリントユニット310内のテンプレートTを連続して効率よく交換することができる。したがって、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPを連続的に形成することができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
【0109】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜する際に有用であり、また当該テンプレートを用いて基板上に所定のパターンを形成する際に有用である。
【符号の説明】
【0111】
1 テンプレート処理装置
2 テンプレート搬入出ステーション
3 処理ステーション
20 搬送ユニット
30、32 塗布ユニット
31、33 リンスユニット
40、50 洗浄ユニット
43、44、53、54 加熱ユニット
132 離型剤ノズル
165 熱板
200 制御部
210、211 塗布加熱ユニット
220〜223 塗布ユニット
233 温度制御板
240 シャワーヘッド
242 供給口
250 ホルダー
300 インプリントシステム
310 インプリントユニット
311 ウェハ搬入出ステーション
312 インターフェイスステーション
C 転写パターン
G1〜G4 処理ブロック
P レジストパターン
R レジスト膜
S 離型剤
T テンプレート
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理装置であって、
前記テンプレートに所定の処理を行い、当該テンプレートの表面に離型剤を成膜する処理ステーションと、
複数の前記テンプレートを保有可能で、且つ前記処理ステーションに対して前記テンプレートを搬入出するテンプレート搬入出ステーションと、を有し、
前記処理ステーションは、
前記テンプレートの表面を洗浄する洗浄ユニットと、
前記洗浄されたテンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布ユニットと、
前記塗布された離型剤を焼成する加熱ユニットと、
前記洗浄ユニット、前記塗布ユニット及び前記加熱ユニットに対して、前記テンプレートを搬送する搬送ユニットと、を有することを特徴とする、テンプレート処理装置。
【請求項2】
前記加熱ユニットは、前記テンプレートを加熱する加熱部を有し、
前記加熱部は、前記テンプレートの転写パターン側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のテンプレート処理装置。
【請求項3】
前記塗布ユニットは、前記テンプレートの表面に液体状の離型剤を供給する離型剤供給部を有し、
前記処理ステーションは、前記加熱ユニットで焼成された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンスユニットを有し、
前記搬送ユニットは、前記リンスユニットに対しても前記テンプレートを搬送することを特徴とする、請求項1又は2に記載のテンプレート処理装置。
【請求項4】
前記塗布ユニット及び前記加熱ユニットに代えて、前記テンプレートの表面に離型剤を塗布し、且つ当該塗布された離型剤を焼成する塗布加熱ユニットを有することを特徴とする、請求項3に記載のテンプレート処理装置。
【請求項5】
前記塗布ユニットは、前記テンプレートの表面に気体状の離型剤を供給する離型剤供給部を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のテンプレート処理装置。
【請求項6】
前記離型剤供給部は、前記テンプレートの表面に対向して配置され、
前記離型剤供給部の下面には、前記テンプレートの表面に均一に前記気体状の離型剤を供給する複数の供給口が形成されていることを特徴とする、請求項5に記載のテンプレート処理装置。
【請求項7】
前記塗布ユニットは、前記テンプレートの温度を制御する温度制御部を有することを特徴とする、請求項5又は6に記載のテンプレート処理装置。
【請求項8】
複数の前記テンプレートは一のホルダーに保持されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のテンプレート処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のテンプレート処理装置を備えたインプリントシステムであって、
前記処理ステーションで表面に離型剤が成膜された前記テンプレートを用いて、前記転写パターンを基板上に形成される塗布膜に転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットと、
複数の前記基板を保有可能で、前記インプリントユニットに対して前記基板を搬入出する基板搬入出ステーションと、を有することを特徴とする、インプリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−9359(P2011−9359A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149849(P2009−149849)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】