説明

テープ貼付装置及び方法

【課題】貼り付けるテープの長さに対応した領域の加圧であって、テープの長短に依存することなく均一な加圧力での加圧が可能なテープ貼付装置を提供する。
【解決手段】テープ貼付装置1では、テープ11を加圧する加圧ヘッド4が、回転軸を中心として回転し、4つの加圧面の1つが選択されてテープに押し付けられ、被貼付面を構成するプリント配線基板14の表面にテープ11を貼り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ貼付装置及び方法に関し、更に詳しくは、テープ状の部材を加圧によって被圧着部材に貼り付けるテープ貼付装置及び方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ貼付装置として、例えば供給ロールから順次に供給したテープ状の異方性導電膜を、プリント配線基板の端子部分に貼り付ける異方性導電膜貼付装置が知られている。従来の異方性導電膜貼付装置では、異方性導電膜をプリント配線基板上に貼り付ける際に、1つの加圧・加熱ヘッド(ツール)を用いている。プリント配線基板の複数個所に異方性導電膜を貼り付ける際に、その複数箇所で異方性導電膜の長さが異なることがある。例えば、複数箇所の内で一番長い異方性導電膜に合わせた長さを有する加圧・加熱ヘッドを使用すると、そのような加圧・加熱ヘッドの長さを必要としない箇所においても、その長さの加圧・加熱ヘッドを使用することになる。このとき、プリント配線基板と加圧・加熱ヘッドとが接触する面積が多くなる。プリント配線基板と加圧・加熱ヘッドとが接触する箇所には、他の電気部品の実装が不可能であり、このためプリント配線基板上に電気部品の実装ができないエリアが大きくなり、スペースの無駄が生じる。
【0003】
特許文献1には、テープ状の異方性導電膜を熱加圧する際に、熱加圧ヘッドを後方から基板側に押し付ける加圧スライダの位置を、異方性導電膜の長さに応じて調整する異方性導電膜貼付装置が記載されている。加圧スライダの位置を調整することで、熱加圧ヘッドが異方性導電膜を加圧する作用点を制御し、所望の長さの異方性導電膜を圧着する。図5に、この公報記載の異方性導電膜貼付装置の熱加圧ヘッドの詳細を示した。符号45は加圧スライダを、符号38は熱加圧ヘッドを示している。同図では、加圧スライダ45が後方から熱加圧ヘッド38を押圧する際の2つの位置が、貼り付けられる異方性導電膜46の基準点からの2通りの長さ(2X、2Y)に対応して示されている。
【特許文献1】特開平7−287243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の異方性導電膜貼付装置では、加圧スライダが熱圧着加圧ヘッドを押圧する作用点が、貼り付けられる異方性導電膜の長さに応じて異なる。このため、長さが小さな異方性導電膜の場合には、熱加圧ヘッドには、導電膜の長さ方向に不均一な力が作用し、図示されているように、熱加圧ヘッドに僅かながら傾きが発生する。このため、異方性導電膜にかかる貼付力が不均一になるおそれがある。
【0005】
上記異方性導電膜貼付装置の問題は、テープ状の部材(以下、単にテープとも呼ぶ)を、加圧力によって、或いは、加熱を含むに加圧力よって、被圧着部材に貼り付ける場合に共通の問題である。
【0006】
従って、本発明は、複数種類の長さのテープを加圧力によって被圧着部材に貼り付けるテープ貼付装置であって、貼り付けるテープの長さに対応した領域の加圧が可能であり、且つ、テープの長短に依存することなく均一な加圧力による加圧が可能なテープ貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、テープ状部材を被貼付面上に供給するテープ供給装置と、前記被貼付面上で前記テープ状部材を切断する切断装置と、前記テープ状部材を前記被貼付面側に加圧する加圧ヘッドとを備え、前記加圧ヘッドは、テープ状部材の延長方向に長さが相互に異なる複数の加圧面と、該複数の加圧面の1つを選択する選択機構と、前記選択された加圧面と前記被貼付面との間で前記テープ状部材を加圧する加圧機構とを有することを特徴とするテープ貼付装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、テープ状部材を被貼付面上に供給するステップと、前記被貼付面上で前記テープ状部材を切断するステップと、前記テープ状部材を前記被貼付面側に加圧するステップとを有し、前記加圧するステップは、テープ状部材の延長方向に長さが相互に異なる複数の加圧面の1つを選択するステップと、前記選択された加圧面と前記被貼付面との間で前記テープ状部材を加圧するステップとを含むことを特徴とするテープ貼付方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のテープ貼付装置及び方法によると、貼り付けるテープの長さに対応した領域の加圧であって、テープの長短に依存することなく均一な加圧力による加圧が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面では、全図を通して同様な要素は同様な符号をつける。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るテープ貼付装置の構成を示す。本実施形態のテープ貼付装置1は、プリント配線基板14に長さが異なる異方性導電膜11を複数箇所に貼り付ける際に、加圧・加熱ヘッド4の加圧面をそれぞれの貼付箇所に応じて切替えることで、効率的にプリント配線基板の部品搭載可能な面積を確保する目的で使用される。
【0012】
テープ貼付装置1は、異方性導電膜リール(供給ロール)7、複数のガイドロール8、セパレータ巻取りロール9、セパレータ剥離ロール10、プリント基板搬送テーブル15、加圧・加熱ヘッド4、及び、制御装置2を有する。
【0013】
制御装置2のプログラムメモリ3には、予めプリント配線基板14に貼り付ける異方性導電膜11の長さ、及び、使用する加圧・加熱ヘッド4のデータを記述しておく。テープ貼付装置1上で貼付プログラムが実行されると、搬送テーブル15がプリント配線基板14を設定した位置に移動させ、設定した長さの異方性導電膜11を設定した加圧・加熱ヘッド4の加圧面でプリント配線基板に貼り付ける。加圧・加熱ヘッド4は貼り付ける異方性導電膜11の長さにより、必要最低限のツール幅を持ったものに設定しておくことで、プリント配線基板14と加圧・加熱ヘッド4との接触面積をより小さく出来る。一般的に、加圧・加熱ヘッド4とプリント配線基板14とが接触する部分には部品の搭載が出来ない。従って、プリント配線基板14と加圧・加熱ヘッド4とが接触する面積を小さくすることで、プリント配線基板14上において効率的な部品実装を行うことができる。
【0014】
異方性導電膜リール7には、セパレータ12が貼り合わされたテープ状の異方性導電膜11が装着されている。複数のガイドロール8は、異方性導電膜11をテープ貼付装置1の内部でガイドする。セパレータ巻取りロール9は、加圧が終了した異方性導電膜11のセパレータ12のみを挟み込んで引っ張ることで、セパレータ12を異方性導電膜11から分離する。カッター13は、セパレータ12を残して、異方性導電膜11を切断する。搬送テーブル15は、プリント配線基板14をセットして、これに異方性導電膜11を貼り付ける場所まで移動させる。加圧・加熱ヘッド4は、異方性導電膜11を加熱しつつプリント配線基板14の所定位置に押し付けることで、異方性導電膜をプリント配線基板の所定位置に貼り付ける。加圧・加熱ヘッド4の本体は、略直方体形状を有し、加圧・加熱ヘッド回転軸5の周りに回転可能である。アクチュエーター6は、加圧・加熱ヘッド4を上昇/下降させることで、加圧・加熱ヘッド4をプリント配線基板14に対して位置制御する。
【0015】
制御装置2のプログラムメモリ3には、プリント配線基板14の異方性導電膜を貼るすべての箇所に対して、その位置/長さ、及び、使用する加圧・加熱ヘッド4の設定を格納する。
【0016】
図2を参照すると、加圧・加熱ヘッド4の本体部には、その四方向に長さが異なる加圧・加熱部(加圧面)4a〜4dが形成されている。加圧・加熱ヘッド4は、加圧・加熱ヘッド回転軸5を中心として回転することで、その内の1つの加圧・加熱部が選択される。本実施形態では、加圧・加熱ヘッド4a〜4bの表面が加圧面を構成する。
【0017】
次に図1、図3及び図4を参照して、本実施形態の全体の動作について詳細に説明する。図3に示すように、テープ貼付装置1によって、プリント配線基板14上の4箇所(接続端子部A16、接続端子部B17、接続端子部C18、接続端子部D19)に異方性導電膜11を貼り付けるものと仮定する。制御装置2のコンピュータ上で動作するプログラムメモリ3には、予めプリント配線基板14に貼り付ける異方性導電膜11の位置、長さ、及び、使用する加圧・加熱ヘッド4のデータを記述しておく。具体的には、接続端子部16〜19に貼り付ける異方性導電膜11の長さが、接続端子部16〜19の長さを必要且つ十分に満たすように、所要のデータを記述する。また、使用する加圧・加熱ヘッド4に関しては以下の様に記述する。つまり、接続端子部A16に対しては加圧・加熱部4aを、接続端子部B17に対しては加圧・加熱部4dを、接続端子部C18に対しては加圧・加熱部4cを、接続端子部D19に対しては加圧・加熱部4bを、それぞれ使用するように予め記述する。
【0018】
1枚目の異方性導電膜の貼付について説明する。プリント配線基板14を搬送テーブル15に載せてテープ貼付装置1を動作させると、制御装置2のコンピュータは、プログラムメモリ3から接続端子部A16に関するデータ読み出す。コンピュータの制御により、セパレータ巻取りロール9が回転し、記述された長さの異方性導電膜11が異方性導電膜リール7から引き出される。また、搬送テーブル15が、プリント配線基板14をプログラムに記述された貼付位置に移動させる。次いで、カッター13が異方性導電膜11を切断する。
【0019】
加圧・加熱ヘッド4は、加圧・加熱ヘッド回転軸5を中心に回転し、加圧・加熱部4aを有する表面がプリント配線基板14の表面に対向するようにセットされる(図4(a))。次いで、アクチュエーター6が動作し加圧・加熱ヘッド4が降下する。引き続き、加圧・加熱部4aの加圧面が、プリント配線基板14に対して異方性導電膜11を加圧・加熱して圧着する(図4(b))。その後、アクチュエーター6が動作して、加圧・加熱ヘッド4が上昇する(図4(c))。次いで、セパレータ剥離ロール10が動作し、セパレータ12のみがプリント配線基板14から剥離される(図4(d))。
【0020】
次に、2枚目の異方性導電膜の貼付について説明する。コンピュータは、プログラムメモリ3から接続端子部B17に関するデータ読み出す。コンピュータの制御により、セパレータ巻取りロール9が回転し、プログラムに記述された長さの異方性導電膜11が異方性導電膜リール7から引き出される。また、搬送テーブル15が、プリント配線基板14を、プログラムに記述された貼付位置に移動させる。次いで、カッター13が異方性導電膜11を切断する。
【0021】
引き続き、加圧・加熱ヘッド4が、加圧・加熱ヘッド回転軸5を中心に回転し、加圧・加熱部4dを有する表面がプリント配線基板の表面に対向するようにセットされる(図4(e))。更に、アクチュエーター6が動作して、加圧・加熱ヘッド4が降下する。次いで、加圧・加熱部4dの加圧面が、プリント配線基板14に対して異方性導電膜11を加圧・加熱して圧着する(図4(f))。その後、アクチュエーター6が動作して、加圧・加熱ヘッド4が上昇する(図4(g))。更に、セパレータ剥離ロール10が動作し、セパレータ12がプリント配線基板14から剥離される(図4(h))。
【0022】
3枚目及び4枚目の異方性導電膜11の貼付に関しても、コンピュータがプログラムメモリ3から接続端子部C18、接続端子部D19に関するデータ読み出し、それぞれの長さの異方性導電膜11に対して加圧・加熱部4c、4bの加圧面を使用する加圧・加熱が行われる。
【0023】
上記実施形態のテープ貼付装置1では、必要にして十分な長さの加圧・加熱長さが得られ、無駄な実装面積を必要としないので、プリント配線基板の部品実装面積に無駄が生じない。その理由は、異方性導電膜を貼り付ける際に、その貼り付けたい長さに応じて、最適な長さの加圧・加熱ヘッドを選択する点にあり、プリント配線基板と加圧・加熱ヘッドとが接触する面積を最小限にすることが出来ることにある。
【0024】
また、異方性導電膜がプリント配線基板に効率的に貼り付けられる効果も得られる。その理由は、加圧・加熱ヘッドに数種類の加圧・加熱部を有して、ツールが回転することにより選択される機構を備えているので、加圧・加熱ヘッドの交換作業を不要にすることが出来ることにある。なお、上記実施形態では、加圧面を、加圧・加熱ヘッドに取り付けた加圧・加熱部の表面とした例を示したが、加圧・加熱ヘッドの各表面の形状を加工して、各表面を所定長さの加圧面としてもよい。
【0025】
本発明を特別に示し且つ例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明は、その実施形態及びその変形に限定されるものではない。当業者に明らかなように、本発明は、添付のクレームに規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ貼付装置の模式的断面図。
【図2】加圧・加熱ヘッドの動作態様を順次に示す側面図。
【図3】異方性導電膜が貼り付けられるプリント配線基板の部分平面図。
【図4】(a)〜(h)は、実施形態のテープ貼付装置の動作態様を順次に示す側面図。
【図5】関連技術のテープ貼付装置の熱加圧ヘッドの動作詳細を示す側面図。
【符号の説明】
【0027】
1. 貼付装置
2. 制御装置
3. プログラムメモリ
4. 加圧・加熱ヘッド
4a.加圧・加熱部A
4b.加圧・加熱部B
4c.加圧・加熱部C
4d.加圧・加熱部D
5. 加圧・加熱ヘッド回転軸
6. アクチュエーター
7. 異方性導電膜リール
8. ガイドロール
9. セパレータ巻取りロール
10.セパレータ剥離ロール
11.異方性導電膜
12.セパレータ
13.カッター
14.プリント配線基板
15.搬送テーブル
16.接続端子部A
17.接続端子部B
18.接続端子部C
19.接続端子部D
38.熱加圧ヘッド
45.加圧スライダ
46.異方性導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状部材を被貼付面上に供給するテープ供給装置と、
前記被貼付面上で前記テープ状部材を切断する切断装置と、
前記テープ状部材を前記被貼付面側に加圧する加圧ヘッドとを備え、
前記加圧ヘッドは、テープ状部材の延長方向に長さが相互に異なる複数の加圧面と、該複数の加圧面の1つを選択する選択機構と、前記選択された加圧面と前記被貼付面との間で前記テープ状部材を加圧する加圧機構とを有することを特徴とするテープ貼付装置。
【請求項2】
前記選択機構は、前記被貼付面と平行に延びる軸周りに前記複数の加圧面を回転させる、請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記テープ状部材が、異方性導電部材である、請求項1又は2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
テープ状部材を被貼付面上に供給するステップと、
前記被貼付面上で前記テープ状部材を切断するステップと、
前記テープ状部材を前記被貼付面側に加圧するステップとを有し、
前記加圧するステップは、テープ状部材の延長方向に長さが相互に異なる複数の加圧面の1つを選択するステップと、前記選択された加圧面と前記被貼付面との間で前記テープ状部材を加圧するステップとを含むことを特徴とするテープ貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−147330(P2010−147330A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324436(P2008−324436)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】