説明

ディスプレイシステム

【課題】ディスプレイシステムにおいて、安全性及び操作性の双方を確保することにある。
【解決手段】運転中であれば遠方ディスプレイ20に画面が表示されるため視線を落とすことなく、手元ディスプレイ10をタッチ操作することで遠方ディスプレイ20の画面の切り替えや所望の機能を発揮させることができる。また、停車中であれば手元ディスプレイ10に画面が表示されるため、表示された画面上のアイコンをタッチ操作することで容易に手元ディスプレイ10の画面の切り替えや所望の機能を発揮させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、例えばカーナビゲーションシステムやオーディオシステム等の情報を表示するディスプレイが設けられている。このディスプレイは、一般的にセンタークラスターパネルに格納されるとともに画面上にタッチセンサが配設される。ユーザは画面をタッチ操作することで所望の機能を発揮させることができる。この構成においては、ディスプレイを注視するとともに画面上をタッチ操作する必要があり、運転中のユーザにとって操作負担が大きく、安全運転の観点からは好ましくない。そこで、走行中に上記タッチ操作を規制する等の対策が講じられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、手元に設けられるタッチパッドのタッチ操作を通じて、同タッチパッドとは別に構成されるディスプレイの画面を操作して所望の機能を発揮させる構成が知られている(例えば特許文献2参照)。この構成において、運転中の視野内に、例えばダッシュボードのフロントガラス側に遠方ディスプレイを設置することで、運転中において視線を落とすことなく、タッチパッドのタッチ操作を通じて所望の機能を発揮させることができる。よって、運転中の操作における安全性が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−069662号公報
【特許文献2】特開2000−194502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記遠方ディスプレイを備えた構成においては、手元のタッチパッドを通じて遠方ディスプレイの操作を行う。この場合、上述のように安全性は向上するものの、ユーザはタッチパッドの画面と遠方ディスプレイの画面上のアイコンやカーソルとの位置対応関係を確認しつつタッチ操作する必要があり、上記特許文献1に記載される、直接画面上をタッチ操作する構成に比して操作性が劣る。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全性及び操作性の双方を確保したディスプレイシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、運転席におけるユーザによる操作が可能とされる位置に設けられる手元ディスプレイと、前記手元ディスプレイに設けられてその画面上へのタッチ操作を検出するタッチセンサと、運転中におけるユーザの視野内に設けられる遠方ディスプレイと、前記タッチセンサからの検出結果に基づき手元ディスプレイ又は遠方ディスプレイの画面表示を制御する制御装置と、を備え、同制御装置は、停車中である旨判断したとき前記手元ディスプレイに画面を表示し、運転中である旨判断したとき前記遠方ディスプレイに画面を表示することをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、運転中であれば遠方ディスプレイに画面が表示されるため視線を落とすことなく、手元ディスプレイをタッチ操作することで遠方ディスプレイの画面を切り替えることができる。すなわち、運転中において手元ディスプレイはタッチ操作のみに利用されるタッチパッドとして機能する。このように、手元ディスプレイをタッチパッドとして利用することで運転中に視線を落とす必要がないため安全性が高まる。
【0009】
また、停車中であれば手元ディスプレイに画面が表示されるため、表示された画面上をタッチ操作することで手元ディスプレイの画面を切り替えることができる。このように表示された画面上をタッチ操作できるため操作性が高まる。以上のように、運転中及び停車中で表示ディスプレイを切り替えることで、安全性及び操作性の双方を確保することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディスプレイシステムにおいて、前記手元ディスプレイは、その画面角度を変更可能に構成されるとともに、停車中は前記画面角度が、ユーザの視線方向が前記手元ディスプレイの画面に交わる第1の画面角度に設定され、運転中は前記画面角度が、その画面が車両上側を向く態様で前記第1の画面角度から回動した位置における第2の画面角度に設定されることをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、身体の自由度が低い運転中においてタッチパッドとして利用される手元ディスプレイの操作性を向上させることができる。停車中における第1の画面角度において、手元ディスプレイの画面上をタッチ操作するにはユーザは手首を上方に反らして操作する必要がある。運転中における第2の画面角度においては手首を上方に反らす角度を低減することができ、その操作負担を低減することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のディスプレイシステムにおいて、前記第2の画面角度は前記手元ディスプレイの画面が前記視線方向に沿ったときの角度であることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、第2の画面角度は手元ディスプレイの画面が視線方向に沿ったときの角度に設定される。従って、運転中に手元ディスプレイが視野に入ることが防止される。これにより、運転中にユーザが手元ディスプレイに画面が表示されているものと誤って、手元ディスプレイを注視することが抑制される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のディスプレイシステムにおいて、パーキングブレーキ及び前記手元ディスプレイ間に設けられ、前記パーキングブレーキがオフ位置にあるとき前記手元ディスプレイの画面を前記第2の画面角度とするとともに、前記パーキングブレーキがオン位置にあるとき前記手元ディスプレイの画面を前記第1の画面角度とするリンク機構を備えたことをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、パーキングブレーキと画面角度とを連動させるリンク機構が設けられる。運転中においてパーキングブレーキはオフとされ、停車中においてパーキングブレーキはオンとされる。よって、パーキングブレーキのオンオフに応じて画面角度を切り替えることで、簡易な構成で請求項2又は3の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ディスプレイシステムにおいて、安全性及び操作性の双方を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ディスプレイシステムの構成図。
【図2】手元ディスプレイ操作時における説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかるディスプレイシステムを具体化した一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
まず、ディスプレイシステムの電気的構成について説明する。
【0019】
図1に示すように、ディスプレイシステムは、手元ディスプレイ10と、遠方ディスプレイ20と、制御装置11と、タッチセンサ12と、ブレーキレバー位置センサ13とを備える。
【0020】
ブレーキレバー位置センサ13は、サイドブレーキのブレーキレバーがオン、オフ何れの位置にあるかを検出する。ブレーキレバーがオン位置のとき車輪の駆動が規制され、ブレーキレバーがオフ位置のとき車輪の駆動が許容される。よって、運転中にはブレーキレバーがオフ位置とされ、停車中にはブレーキレバーがオン位置とされる。ブレーキレバー位置センサ13は検出結果を制御装置11に出力する。
【0021】
制御装置11は、ブレーキレバー位置センサ13の検出結果に基づき手元ディスプレイ10及び遠方ディスプレイ20の何れかに制御対象を切り替える。具体的には、制御装置11は、ブレーキレバーがオン位置にある旨認識したとき、手元ディスプレイ10の表示画面を制御し、遠方ディスプレイ20の表示画面を制御しない。このとき、遠方ディスプレイ20には何も表示されない。また、制御装置11は、ブレーキレバーがオフ位置にある旨認識したとき、遠方ディスプレイ20の表示画面を制御し、手元ディスプレイ10の表示画面を制御しない。このとき、手元ディスプレイ10には何も表示されない。
【0022】
手元ディスプレイ10の画面上にはユーザの画面へのタッチ操作を検出するタッチセンサ12が設けられている。タッチセンサ12は手元ディスプレイ10の画面上へのタッチ操作を検出し、その検出結果を制御装置11に出力する。具体的には、タッチセンサ12はタッチ操作の有無及びその位置を検出する。タッチセンサ12の方式としては静電容量方式及び抵抗膜方式等あるが、タッチ操作を検出できれば何れの方式であってもよい。
【0023】
制御装置11は、タッチセンサ12の検出結果に基づき、手元ディスプレイ10又は遠方ディスプレイ20の表示画面の切り替えや所望の機能を発揮させる制御を行う。具体的には、制御装置11はブレーキレバーがオン位置にある旨認識したとき、手元ディスプレイ10を通じた表示画面とタッチ操作位置とを対応させる。すなわち、制御装置11は、タッチセンサ12を通じて、画面に表示されるアイコンに対応する位置が操作された旨認識すると、そのアイコンに応じた画面や機能を発揮させる制御を行う。例えば50音入力の場合には、入力したい音のアイコンを直接タッチ操作できるため操作性は高いものの、手元ディスプレイ10の画面に注視する必要がありユーザは運転中にこの操作を行うことができない。
【0024】
遠方ディスプレイ20に画面が表示されているとき手元ディスプレイ10はタッチパッドとして機能する。具体的には、制御装置11はブレーキレバーがオフ位置にある旨認識したとき、例えば遠方ディスプレイ20の画面上にカーソルを表示する。手元ディスプレイ10の画面上がトレースされるとタッチセンサ12を通じてそれが認識されて、トレースされた方向に遠方ディスプレイ20の画面上のカーソルが動かされる。このカーソルがアイコン上となるように手元ディスプレイ10の画面上をトレースして、その位置において同画面を軽く叩くあるいは押し込み操作をすることでそのアイコンに応じた画面や機能が発揮される。この場合には、上記画面上のアイコンを直接タッチ操作する場合に比べて直感的な操作は困難であり操作性は低いものの、ユーザは視線を落とすことなく運転中においても安全に手元ディスプレイ10へのタッチ操作を通じて遠方ディスプレイ20画面の操作ができる。
【0025】
以上によれば、運転中において安全に操作可能となるとともに、停車中においては高い操作性を実現することができる。
次に、ディスプレイシステムの機械的構成について説明する。
【0026】
図2に示すように、遠方ディスプレイ20はフロントガラス側のダッシュボードに設けられている。遠方ディスプレイ20は運転席におけるユーザが正面を向いているときの視野に入る位置に設けられている。よって、ユーザは運転中に視線を落とすことなく、遠方ディスプレイ20を視認することができる。
【0027】
手元ディスプレイ10は、運転席及び助手席間であって着座した状態で手が届く位置に設けられている。また、手元ディスプレイ10は、その下端部に設けられる車両幅方向(図2紙面方向)に延びる画面軸10aを中心に回動可能に支持されている。そして、手元ディスプレイ10は、リンク機構30を介してサイドブレーキのブレーキレバー15に機械的に連結されている。リンク機構30はブレーキレバー15の位置に応じて手元ディスプレイ10の画面角度を変える。
【0028】
図2の実線で示すように、ブレーキレバーがオン位置にあるとき手元ディスプレイ10は第1の画面角度とされる。第1の画面角度は、運転席のユーザが視線を落としたとき、その視線方向が手元ディスプレイ10の画面に対して垂直に交わる角度に設定されている。この第1の画面角度は、運転席のユーザが最も手元ディスプレイ10の画面を見易い角度に設定されている。第1の画面角度において、手元ディスプレイ10の画面をタッチ操作する場合にはユーザは手首を上方に反らして操作する必要がある。しかしながら、このとき車両は停車中であるところ、ユーザの身体の自由度は高く、手首を上方に反らした状態での操作は特に問題とならない。
【0029】
図2の一点鎖線で示すように、ブレーキレバー15がオフ位置にあるとき手元ディスプレイ10は第2の画面角度とされる。第2の画面角度は、手元ディスプレイ10が画面軸10aを中心として上記第1の画面角度に対する反時計方向へ回転したときの角度であって、運転席のユーザが視線を落としたときその視線方向が手元ディスプレイ10の画面方向に沿う角度に設定されている。すなわち、第2の画面角度においては視線方向が画面と交わることはなく、たとえ視線を落としてもユーザの視野に手元ディスプレイ10の画面が入ることはない。第2の画面角度において、手元ディスプレイ10の画面をタッチ操作する場合にはユーザは手首を上方に反らすことなく、自然に手首が延びた姿勢でタッチ操作できるためタッチ操作が容易となる。
【0030】
図2に示すように、リンク機構30は、第1〜第3の連結棒31〜33と、第1及び第2のリンク部材34,35と、第1及び第2の軸部36,37とを備える。リンク機構30は、車体に固定されるハウジングの内部に収納される。第1及び第2の軸部36,37及び画面軸10aは、ハウジングの内部において回動可能に支持されている。
【0031】
ブレーキレバー15はL字状に形成されるとともに、その屈曲部には車両幅方向(図2紙面方向)に延びるブレーキ軸15bが設けられる。ブレーキレバー15の左端部は上下に操作されることでブレーキ軸15bを中心に回動する。このとき、ブレーキレバー15の右下端は左右方向に変位する。ブレーキレバー15の右下端には、左側に延びる第1の連結棒31の一端が連結され、同じく他端には第1のリンク部材34に連結されている。第1のリンク部材34は、長板状に形成されるとともに、上下方向へ延びるように設けられている。
【0032】
第1のリンク部材34は、その厚さ方向に延びる第1の軸部36を中心に回動可能に支持されている。第1の軸部36は、第1のリンク部材34の上部に、第1の連結棒31は第1のリンク部材34における第1の軸部36の下方に連結されている。第1のリンク部材34の第1の連結棒31との連結部の下方には左側に延びる第2の連結棒32の一端が連結され、同じく他端には第2のリンク部材35が連結されている。
【0033】
第2のリンク部材35は、略三角板状に形成されるとともに、その厚さ方向に延びる第2の軸部37を中心に回動可能に支持されている。
ブレーキレバー15が図2に実線で示されるオン位置にある状態において、第2のリンク部材35はその上部に2つの角部がその下部に1つの角部が位置する。第2の軸部37は第2のリンク部材35の上部の右側の角部に設けられている。また、第2のリンク部材35の下部の角部には第2の連結棒32が連結されている。第2のリンク部材35の上部の左側の角部には上へ延びる第3の連結棒33の一端が連結されるとともに、その他端には手元ディスプレイ10の下面(表示画面と反対側の面)に連結されている。なお、第1〜第3の連結棒31〜33の各先端部は、第1及び第2のリンク部材34,35、手元ディスプレイ10及びブレーキレバー15に対して回動可能に連結されている。
【0034】
ブレーキレバー15がオフ位置からオン位置に操作されると、ブレーキレバー15の右下端部の左側への変位により第1の連結棒31が第1のリンク部材34を第1の軸部36を中心として時計方向に回動させる。これに伴い第2の連結棒32は左側に変位する。ここで、第1のリンク部材34において、第2の連結棒32は第1の連結棒31に比して第1の軸部36からの距離が大きい位置に連結されている。このため、第1のリンク部材34を介して第2の連結棒32の移動量は第1の連結棒31の移動量よりも大きく変換される。
【0035】
第2の連結棒32の左側への変位により第2のリンク部材35は第2の軸部37を中心として時計方向に回動する。これにより、第3の連結棒33は上方に変位する。すなわち、第2のリンク部材35は第2の連結棒32の左方向への運動を第3の連結棒33の上方向への運動に変換する。この変位に伴い画面軸10aを中心として手元ディスプレイ10が時計方向に回動する。これにより、手元ディスプレイ10は第2の画面角度から第1の画面角度に変位する。
【0036】
ブレーキレバー15がオン位置からオフ位置に操作された場合には上記と反対に動作する。すなわち、第1の連結棒31及び第2の連結棒32は右側に変位し、第3の連結棒33は下側に変位する。これにより、手元ディスプレイ10は第1の画面角度から第2の画面角度に変位する。
【0037】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)運転中であれば遠方ディスプレイ20に画面が表示されるため視線を落とすことなく、手元ディスプレイ10をタッチ操作することで遠方ディスプレイ20の画面の切り替えや所望の機能を発揮させることができる。また、停車中であれば手元ディスプレイ10に画面が表示されるため、表示された画面上のアイコンをタッチ操作することで容易に手元ディスプレイ10の画面の切り替えや所望の機能を発揮させることができる。このように、運転中及び停車中で表示ディスプレイを切り替えることで、安全性及び操作性の双方を確保することができる。
【0038】
(2)停車中における第1の画面角度において、手元ディスプレイ10の画面上をタッチ操作するにはユーザは手首を上方に反らして操作する必要がある。この点、運転中における第2の画面角度においては手首を上方に反らす角度を低減することができ、その操作負担を低減することができる。
【0039】
(3)第2の画面角度は視線方向に沿った角度に設定される。従って、運転中に手元ディスプレイ10が視野に入ることが防止される。これにより、運転中にユーザが手元ディスプレイ10に画面が表示されているものと誤って、運転中に手元ディスプレイ10を注視することが抑制される。
【0040】
(4)ブレーキレバー15と画面角度とを連動させるリンク機構30が設けられる。運転中においてブレーキレバー15はオフ位置とされ、停車中においてブレーキレバー15はオン位置とされる。よって、ブレーキレバー15の位置に応じて画面角度を切り替えることで、簡易な構成により上記(2)及び(3)の効果を得ることができる。
【0041】
(5)手元ディスプレイ10はディスプレイとしての機能のみならずタッチパッドとしても機能する。このため、上記背景技術におけるタッチパッド専用の構成を設けた場合に比べてディスプレイシステムの構成を簡略化できる。
【0042】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態においては、第1の画面角度は、視線方向が手元ディスプレイ10の画面に対して垂直となる角度に設定されていたが、ユーザが運転席から視認可能、すなわち画面に視線方向が交わっていればその角度に限定されない。また、第2の画面角度は、視線方向が手元ディスプレイ10の画面方向に沿った角度に設定されていたが、第1の画面角度から車両上側を向く態様で反時計方向に回転してユーザの操作負担が低減すればその角度に限定されない。また、第2の画面角度がユーザの視野に入る角度であってもよい。
【0043】
・上記実施形態においては、サイドブレーキのブレーキレバー15の位置に手元ディスプレイ10の角度が連動されていたが、サイドブレーキに限らずパーキングブレーキの位置に手元ディスプレイ10の角度が連動可能であればよい。すなわち、パーキングブレーキがフットブレーキに隣接して設けられている場合であっても、そのパーキングブレーキのオン及びオフ位置に応じてリンク機構30を通じて上記実施形態と同様に第1及び第2の画面角度間で画面角度を変更する。
【0044】
・上記実施形態においては、運転中であるか否か(正確にはブレーキレバー15の位置)に基づき手元ディスプレイ10の画面角度が切り替えられていた。しかし、運転中であるか否かに関わらず、画面角度は一定であってもよい。この場合でも上記(1)の効果が得られる。
【0045】
・上記実施形態におけるリンク機構30は一例であって、手元ディスプレイ10の画面角度を変更可能であれば上記構成に限定されない。
・また、リンク機構30を省略して構成してもよい。この場合には、例えばモータ等のアクチュエータを利用して手元ディスプレイ10の画面角度を変更する。すなわち、制御装置11は、ブレーキレバー位置センサ13を通じてブレーキレバー15がオン位置にある旨判断されるとき上記アクチュエータを通じて手元ディスプレイ10を第1の角度に設定する。また、制御装置11は、ブレーキレバー位置センサ13を通じてブレーキレバー15がオフ位置にある旨判断されるとき上記アクチュエータを通じて手元ディスプレイ10を第2の角度に設定する。
【0046】
本構成においては、ブレーキレバー15の位置以外、例えば車速センサやシフトレバーの位置を通じて運転中であるか否かの判断が可能となる。車速がゼロでないとき又はシフトレバーがドライブ位置若しくはリバース位置のとき運転中である旨判断されて、手元ディスプレイ10が第2の画面角度とされる。
【0047】
また、ブレーキペダル及びパーキングブレーキの両方の操作状態に基づき運転中であるか否かを判断してもよい。これらの場合には、より正確に運転中であるか否かを判断することができる。
【0048】
・上記実施形態においては、手元ディスプレイ10は運転席及び助手席間に設けられていた。しかし、運転者が着座した状態で手が届く範囲であれば、その他、運転席及び助手席間のコンソールボックスやインストールメンタルパネル等に設けられていてもよい。
【0049】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項2〜4のいずれか一項に記載のディスプレイシステムにおいて、前記第1の画面角度は、その画面が視線方向に対して垂直をなすときの角度であるディスプレイシステム。
【0050】
同構成によれば、画面が視線方向に対して垂直となるように第1の画面角度が設定される。よって、第1の画面角度における手元ディスプレイの視認性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0051】
10…手元ディスプレイ、11…制御装置、12…タッチセンサ、15…ブレーキレバー、20…遠方ディスプレイ、30…リンク機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席におけるユーザによる操作が可能とされる位置に設けられる手元ディスプレイと、
前記手元ディスプレイに設けられてその画面上へのタッチ操作を検出するタッチセンサと、
運転中におけるユーザの視野内に設けられる遠方ディスプレイと、
前記タッチセンサからの検出結果に基づき手元ディスプレイ又は遠方ディスプレイの画面表示を制御する制御装置と、を備え、
同制御装置は、停車中である旨判断したとき前記手元ディスプレイに画面を表示し、運転中である旨判断したとき前記遠方ディスプレイに画面を表示するディスプレイシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のディスプレイシステムにおいて、
前記手元ディスプレイは、その画面角度を変更可能に構成されるとともに、
停車中は前記画面角度が、ユーザの視線方向が前記手元ディスプレイの画面に交わる第1の画面角度に設定され、
運転中は前記画面角度が、その画面が車両上側を向く態様で前記第1の画面角度から回動した位置における第2の画面角度に設定されるディスプレイシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のディスプレイシステムにおいて、
前記第2の画面角度は前記手元ディスプレイの画面が前記視線方向に沿ったときの角度であるディスプレイシステム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のディスプレイシステムにおいて、
パーキングブレーキ及び前記手元ディスプレイ間に設けられ、前記パーキングブレーキがオフ位置にあるとき前記手元ディスプレイの画面を前記第2の画面角度とするとともに、前記パーキングブレーキがオン位置にあるとき前記手元ディスプレイの画面を前記第1の画面角度とするリンク機構を備えたディスプレイシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−46054(P2012−46054A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189314(P2010−189314)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】