説明

デジタルヴァーチャルテストシステムにおけるテストパターンのアクセスアドレス確認方式

【課題】LSIテスタ又はLSIテスタシミュレーションモデルでは、LSIテスタ側からテストパターンを送信する際に、DUTメモリのどの範囲のアドレス領域をアクセスしたかを知ることはできず、テストパターンの不備を事前に検出できない。
【解決手段】半導体シミュレーションモデルとLSIテスタシミュレーションモデルを含むデジタルヴァーチャルテストシステムにおいて、半導体シミュレーションモデルのメモリ機能モデルをアクセスするアドレス信号が、メモリ機能モデルのアドレス範囲のうち所定のアドレスをアクセスしたかどうかを比較判定する判定手段を設けてLSIテスタまたはLSIテスタシミュレーションモデルを使用したテストパターンの不備を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルヴァーチャルテストシステム(以下、「DVT」と称する)におけるテストパターンのアクセスアドレス確認方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、SRAM(Static Random Access Memory),DRAM(Dynamic Random Access Memory),ROM(Read Only Memory),Flashメモリ(書換可能な不揮発性半導体メモリ)などのメモリを内蔵するマイコンやASSP(Application Specific Standard Product:特定の分野を対象に機能を特化させた汎用集積回路)などの半導体において、出荷時にメモリの正常動作をテストするテストパターンを用いてLSI(Large Scale Integration)テスタにてそのテストパターンがパスすることを確認することによって、出荷後メモリの動作保証を行っている。
【0003】
しかしながら、以下のような場合には、メモリのテストが不十分で出荷後の不良率が上がってしまう品質上の問題が発生し、特に、このような不良率の高い半導体が、顧客の量産用のセットに実装されて組み込まれた場合には、動作しないセットが多数発生し、顧客の費用的な損害が甚大となる可能性があった。
(1)メモリの正常動作をテストするテストパターンが、全く適用されずテストが行われないためメモリの動作不良品をリジェクトできない。
(2)メモリの正常動作をテストするテストパターンにおいて、テストパターンの不足によってメモリのアドレス領域を全てアクセスできないために、テストできていないアドレス領域に存在するメモリ動作不良がリジェクトできない。
【0004】
上記(1)及び(2)の場合とも、テストパターンの適用漏れや適用忘れ、他の製品からテストパターンを流用した際に修正ミスを犯し、所定のアドレス領域をテストできないテストパターンを作成してしまうなどヒューマンエラーによって問題が発生した可能性があり、これらのテストパターンを用いた場合、LSIテスタでの試験ではパスすることとなるためテストパターンの不備を事前に検出できないと言う欠点があった。
【0005】
そこで、LSIテスタをシミュレーションモデル化し、また、DUT(Device Under Test:被検査装置)である半導体装置部分をシミュレーションモデル化したものを加えたデジタルヴァーチャルテストシステム(DVT)を形成して、メモリの正常動作をテストするテストパターンの不備をシミュレーションにより事前に検出する手法が検討されている。
【0006】
図9は、従来のDVTにおけるシミュレーションモデルを示している。図9において、LSIテスタシミュレーションモデル101から送信されるテストパターンに対応したクロック信号、リセット信号及び入出力信号などの命令信号が、被検査装置(DUT)である半導体シミュレーションモデル201へ送信され、半導体シミュレーションモデル201に設けられたCPU機能モデル204がLSIテスタシミュレーションモデル101からの命令信号を受信して、アドレス発生回路205によりメモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203に対するRead/Write信号とアドレス信号を生成して、メモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203の検査テストを行っている。
【0007】
また、LSIテスタの負荷を軽減させるメモリテスト回路としては、例えば、特許文献1に、アドレス発生手段とデータ読出手段と比較手段とを備え、読みだしたデータとテストデータを比較し、一致しない場合、読み出したデータ及びそのアドレスをLSIテスタに出力するテスト回路などが知られている。
【特許文献1】特開平9−62588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のDVT(図9参照)においては、LSIテスタ側から半導体に内蔵されるメモリのテストを実行するテストパターンを送信することによって、そのテストパターンがメモリのどこまでのアドレス領域をアクセスしたかを知ることはできないという問題点があった。
【0009】
この場合、実際のLSIテスタを用いた場合と同様に、検査をパスすることのみの確認が可能であるに過ぎず、テストパターンがメモリのどこまでのアドレス領域をアクセスしたかを知るためには、テストパターンの実行内容をすべて解読して分析する必要があり、テストパターンは通常、機械語レベルで記述されているので、その解読に多大な時間を要するという問題点があった。またそのテストパターンの元になっている命令語レベルでの解読であればそれほど時間は必要としないが、今度はそのテストパターンと命令語レベルの一致性の確認が必要になり、実用的な解決策とはならないという問題点があった。
【0010】
また、特許文献1に記載の技術では、メモリテストの比較対象として格納データを用いることが必要であり、LSIテスタの負荷の軽減が不十分であると共に、テストパターンがメモリのどこまでのアドレス領域をアクセスしたかを知ることはできないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のテストパターンのアクセスアドレス確認方式は、DUTに対応した半導体シミュレーションモデル201とLSIテスタシミュレーションモデル101から成るデジタルヴァーチャルテストシステムにおいて、前記半導体シミュレーションモデル201が、メモリ機能モデル202,203と、アドレス発生回路205を含むCPU機能モデル204と、を備えており、前記メモリ機能モデル202,203をアクセスするための前記アドレス発生回路205から出力されるアドレス信号が、前記LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンに対応した複数の所定のアドレスをアクセスしたかどうかを判定する判定手段206を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体に内蔵されているメモリに対応したメモリ機能モデルを有するDVTにおいて、メモリをテストするテストパターンをDVT上で実行させることによって、このテストパターンが所定の全アドレスをアクセスすることを事前に確認することができる。
【0013】
したがって実際の半導体の生産工場でのLSIテスタによるメモリテストにおいて使用されるテストパターンを所定のアドレスを全て検査できる適切なテストパターンにすることができ、半導体の出荷後においてメモリ動作不良のない高い品質を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1のDVTにおけるシミュレーションモデルである。LSIテスタシミュレーションモデル101は、テストパターン発生部102と入出力信号制御、出力信号制御、入力信号判定回路103とにより構成され、半導体シミュレーションモデル201は、メモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203とCPU機能モデル204により構成され、CPU機能モデル204内にアドレス発生回路205が形成されている。
【0016】
LSIテスタシミュレーションモデル101及び半導体シミュレーションモデル201は、それぞれ、例えば、シミュレータ上の検証に使用できるHDL(Hardware Description Language:ハードウェア記述言語)で記述され、検証が終了したLSIテスタシミュレーションモデル101及び半導体シミュレーションモデル201はそれぞれ実際のLSIテスタあるいは半導体装置と同じ動作を実行することが可能である。
【0017】
図1のデジタルヴァーチャルテストシステム(DVT)では、LSIテスタシミュレーションモデル101のテストパターン発生部102が、被測定対象(DUT:Device Under Test)に対するテストパターンを発生し、入出力信号制御、出力信号制御、入力信号判定回路103が、テストパターンに対応したクロック信号、リセット信号及び入出力信号などの命令信号を生成して、半導体シミュレーションモデル201側へ送信する。
【0018】
半導体シミュレーションモデル201のCPU機能モデル204は、LSIテスタシミュレーションモデル101からの命令信号を受信して解析し、アドレス発生回路205により、メモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203に対するRead/Write信号とアドレス信号を生成して、メモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203を検査する。
【0019】
図2は、CPUが実行するメモリ1,2の機能モデルを検査する手順を示すプログラムのフローチャート例である。図2において、ステップS201において検査がスタートされると、ステップS202において、メモリアドレス発生回路205にスタートアドレスを設定する。この場合、メモリ1機能モデルの場合にはスタートアドレス0番地を設定し、メモリ2機能モデルの場合にはスタートアドレス100000H番地を設定する。
【0020】
次に、ステップS203において、上記アドレスにデータ00Hを書き込む。
その後、ステップS204において、アドレスがエンドアドレス(例えば、FFFFH番地)か否かの判定を行う。ステップS204において、アドレスがエンドアドレスでない(No)の場合には、ステップS205において、アドレスをインクリメント(次の番地に移行)し、ステップS203において、上記アドレス番地へのデータ00Hの書き込みを繰り返す。ステップS204において、アドレスがエンドアドレスである(Yes)の場合には、ステップS206に移行する。
【0021】
続いて、ステップS206において、メモリアドレス発生回路205にスタートアドレスを設定する。この場合、ステップS202と同様に、メモリ1機能モデルの場合にはスタートアドレス0番地を設定し、メモリ2機能モデルの場合にはスタートアドレス100000H番地を設定する。
【0022】
次に、ステップS207において、上記アドレスからデータ00Hを読み出し、ステップS208において、上記アドレスにデータFFHを書き込む。その後、ステップS209において、アドレスがエンドアドレス(例えば、FFFFH番地)か否かの判定を行う。ステップS209において、アドレスがエンドアドレスでない(No)の場合には、ステップS210において、アドレスをインクリメント(次の番地に移行)し、ステップS207のデータ00Hを読み出しとステップS208のデータFFHの書き込みを繰り返し、ステップS209において、アドレスがエンドアドレスである(Yes)の場合には、ステップS211に移行する。
【0023】
更に、ステップS211において、メモリアドレス発生回路205にスタートアドレスを設定する。この場合、ステップS202と同様に、メモリ1機能モデルの場合にはスタートアドレス0番地を設定し、メモリ2機能モデルの場合にはスタートアドレス100000H番地を設定する。
【0024】
次に、ステップS212において、上記アドレスからデータFFHを読み出す。その後、ステップS213において、アドレスがエンドアドレス(例えば、FFFFH番地)か否かの判定を行う。ステップS213において、アドレスがエンドアドレスでない(No)の場合には、ステップS214において、アドレスをインクリメント(次の番地に移行)し、ステップS212のデータFFHの読み出しを繰り返し、ステップS214において、アドレスがエンドアドレスである(Yes)の場合には、ステップS215に移行して検査を終了する。
【0025】
以上のフローチャートにおいて、メモリ1機能モデル202のアドレス範囲(0番地〜FFFFFH番地)とメモリ2機能モデル203のアドレス範囲(100000H番地〜FFFFFFH番地)には、ステップS203からステップ206において、一旦、すべてのアドレス範囲に‘0’が書き込まれ、次いで、ステップS206からステップ209において、すべてのアドレス範囲から‘0’が読み出されて、代わりに‘1’が書き込まれ、更に、ステップS211からステップ214において、すべてのアドレス範囲から‘1’が読み出されるという検査が行われる。
【0026】
上記のメモリ1機能モデル202のアドレス範囲(0番地〜FFFFFH番地)とメモリ2機能モデル203のアドレス範囲(100000H番地〜FFFFFFH番地)は一例を示したものであり、実際のアドレス範囲は、LSIテスタシミュレーションモデル101で発生されるテストパターンに対応した命令信号によって設定されるものである。
【0027】
図1に示されるように本発明の実施例1のデジタルヴァーチャルテストシステム(DVT)は、アドレス判定回路206を備えている。このアドレス判定回路206の具体的な構成は、例えば、後述する図5〜図8に示されている。
【0028】
半導体シミュレーションモデル201のCPU機能モデル204は、LSIテスタシミュレーションモデル101で発生されるテストパターンに対応した命令信号を受信し、その命令信号を解析してアドレス発生回路205からアドレス信号とRead/Write信号を出力する。アドレス判定回路206は、アドレス発生回路205から出力されるアドレス信号とRead/Write信号を検出して、LSIテスタシミュレーションモデル101のテストパターンが被検査対象の半導体シミュレーションモデル201のアドレス領域を正しくアクセスできたかどうかを判定する。
【0029】
アドレス判定回路206による判定は、Read/Write信号の発生に対応させて、予め設定されたメモリの所定のアドレス値とCPU機能モデル204のアドレス発生回路205から出力されるアドレス値とを比較することにより行われる。そして、判定結果は、外部、例えば、パーソナルコンピュータ等との情報入出力ルートを介して、ディスプレイ上に表示することにより出力される。また、所定のアドレスをアクセスしていない場合には警報(アラーム)を表示するようにすることもできる。なお、アドレス判定回路206の具体的な構成及び動作については、図5〜図8において後述する。
【実施例2】
【0030】
図3は、本発明の実施例2のメモリBIST(Built-in Self Test:組み込み自己テスト)回路を有する場合のDVTシミュレーションモデルである。図3の実施例2では、メモリBIST回路207とスイッチング素子208が、例えば、HDL(Hardware Description Language:ハードウェア記述言語)で記述されて、半導体シミュレーションモデル201に組み込まれている。
【0031】
メモリBIST回路207は、メモリ1機能モデル202及びメモリ2機能モデル202に対して特定のパターンを発生し、メモリ1機能モデル202及びメモリ2機能モデル203からの読み出しデータと期待値を比較してメモリ1機能モデル202及びメモリ2機能モデル203の良否判定を行う。スイッチング素子208は、CPU機能モデル204のアドレス発生回路205からの信号またはメモリBIST回路207からの信号を選択的にメモリ1機能モデル202及びメモリ2機能モデル202に送信する。
【0032】
アドレス判定回路206は、LSIテスタシミュレーションモデル101で発生されるテストパターンに対応してた命令信号を受信し、その命令信号を解析してアドレス発生回路205から出力されるアドレス信号とRead/Write信号、あるいは、メモリBIST回路207が出力する特定のパターンに対応したアドレス信号とRead/Write信号を検出して、LSIテスタシミュレーションモデル101で発生されるテストパターンに対応したアドレス信号が被検査対象の半導体シミュレーションモデル201のアドレス領域を正しくアクセスできたかどうかを判定する、あるいは、メモリBIST回路207が発生する特定のパターンに対応したアドレス信号が、被検査対象の半導体シミュレーションモデル201のアドレス領域を正しくアクセスできたかどうかを判定する。
【0033】
アドレス判定回路206による判定は、Read/Write信号の発生に対応させて、予め設定されたメモリの所定のアドレス値とCPU機能モデル204のアドレス発生回路205から出力されるアドレス値とを比較することにより行われる。判定結果は、外部、例えば、パーソナルコンピュータ等との情報入出力ルートを介して、ディスプレイ上に表示することにより出力される。アドレス判定回路206の具体的な構成及び動作については、図5〜図8を用いて後述する。
【実施例3】
【0034】
図4は、本発明の実施例3のDVTにおけるメモリ以外にアドレスが割り当てられた機能モデルが存在する場合シミュレーションモデルである。
【0035】
図4の実施例では、実施例1,2におけるメモリ1機能モデル202及びメモリ2機能モデル203に代えて、メモリ1機能モデル202と、タイマー機能モデル210、シリアルI/F機能モデル211、あるいは、端子機能モデル212等が形成されている。
【0036】
CPUからアドレス割付されているのは、メモリだけではないので、それ以外のタイマー機能やシリアルインターフェース(I/F)機能、端子機能などの周辺機能の動作を確認することが必要になる。
【0037】
本発明の実施例3では、メモリ1機能モデル209とタイマー機能モデル210、シリアルI/F機能モデル211、あるいは、端子機能モデル212等の周辺機能についても、例えば、HDL(Hardware Description Language:ハードウェア記述言語)で記述されて、半導体シミュレーションモデル201に組み込まれている。
【0038】
各機能モデルには、メモリ機能モデル209のアドレス範囲(0番地〜FFFFFH番地)とは異なるアドレス範囲、例えば、タイマー機能モデル210には、FFFFFXH番地のアドレス範囲が割り当てられており、このアドレス範囲を指定して、例えば、タイマー機能の確認を行うことができる。
【0039】
アドレス判定回路206は、メモリ機能モデル209のアドレス範囲(0番地〜FFFFFH番地)内の所定のアドレス以外に、タイマー機能モデル210、シリアルI/F機能モデル211、あるいは、端子機能モデル212等のアドレス範囲内の所定のアドレスを指定して、LSIテスタシミュレーションモデル101のテストパターンが、メモリ1機能モデル209のみならず、タイマー機能モデル210、シリアルI/F機能モデル211、あるいは、端子機能モデル212等についてもアドレス領域を正しくアクセスできたかどうかを判定する。
【0040】
以上のように、本発明の実施例3のDVTシステムでは、本発明のアドレス判定回路206にて、周辺機能についてもアクセスされているかの確認が可能である。判定結果は、外部、例えば、パーソナルコンピュータ等との情報入出力ルートを介して、ディスプレイ上に表示することにより出力される。アドレス判定回路206の具体的な構成及び動作については、図5〜図8を用いて後述する。
【0041】
[構成例1]
図5は、本発明の各実施例に適用可能なアドレス判定回路206の第1の構成例である。図5のアドレス判定回路206は、論理比較回路301、アンド回路302、アドレス値メモリ303、一致フラグメモリ304を備えている。
【0042】
アドレス値メモリ303には、メモリ1のスタートアドレス値(例えば、メモリ1機能モデル202のスタートアドレス0番地)、メモリ1のエンドアドレス値(例えば、メモリ1機能モデル202エンドアドレスFFFFFH番地)、メモリ2のスタートアドレス値(例えば、メモリ2機能モデル203のスタートアドレス100000H番地)及びメモリ2のエンドアドレス値(例えば、メモリ2機能モデル203のエンドアドレスFFFFFFH番地)を予め記憶しておく。
【0043】
半導体シミュレーションモデル201内に形成されたCPU機能モデル204のアドレス発生回路205からのアドレス信号は、アドレス判定回路206の論理比較回路301に入力され、アドレス発生回路205からのRead/Write信号は、アドレス判定回路206のアンド回路302に入力される。
【0044】
論理比較回路301では、アドレス値メモリ303に予め記憶されたメモリ1のスタートアドレス値、メモリ1のエンドアドレス値、メモリ2のスタートアドレス値及びメモリ2のエンドアドレス値と、アドレス発生回路205からのアドレス信号とが比較され、これらが一致した場合に一致信号を出力する。
【0045】
アンド回路302は、アドレス発生回路205からのRead/Write信号が入力している時に、論理比較回路301の一致信号が入力されると信号を出力し、アドレス値メモリ303に予め記憶されたメモリ1のスタートアドレス値、メモリ1のエンドアドレス値、メモリ2のスタートアドレス値及びメモリ2のエンドアドレス値が記憶されたメモリ領域と対応する一致フラグメモリ304のメモリ領域の一致フラグ情報を、例えば、“0”から“1”に変更して、予め記憶された所定のアドレスをアクセスしたことをその一致フラグ情報により表示する。
【0046】
アドレス判定回路206は、一致フラグメモリ304の全てのメモリ領域に一致フラグ情報“1”が設定されていることを確認することにより、LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンに対応した命令信号により、被検査対象の半導体シミュレーションモデル201の、例えば、メモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203のアドレス領域を正しくアクセスできたかどうかを判定する。判定結果は、例えば、パーソナルコンピュータ等の外部の機器に情報を出力する。本構成例1では、所定のアドレス値を設定しそのアドレスをアクセスしたかどうかをディスプレイ上に表示することができる。
【0047】
[構成例2]
図6は、本発明の各実施例に適用可能なアドレス判定回路206の第2の構成例を示している。図6において、アドレス判定回路206は、第1の構成例と同様に、論理比較回路301、アンド回路302、アドレス値メモリ303、一致フラグメモリ304を備えている。
【0048】
アドレス値メモリ303には、メモリ1のスタートアドレス値(例えば、メモリ1機能モデル202のスタートアドレス0番地)、メモリ1のエンドアドレス値(例えば、メモリ1機能モデル202エンドアドレスFFFFFH番地)、メモリ2のスタートアドレス値(例えば、メモリ2機能モデル203のスタートアドレス100000H番地)及びメモリ2のエンドアドレス値(例えば、メモリ2機能モデル203のエンドアドレスFFFFFFH番地)のみならず、メモリ1の途中アドレス値、及びメモリ2の途中アドレス値をも、予め記憶しておくように構成されている。
【0049】
メモリ1の途中アドレス値、及びメモリ2の途中アドレス値は、LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンに対応した命令信号に特有な途中アドレス値を予め選定しておく。
【0050】
半導体シミュレーションモデル201内に形成されたCPU機能モデル204のアドレス発生回路205からのアドレス信号は、アドレス判定回路206の論理比較回路301に入力され、アドレス発生回路205からのRead/Write信号は、アドレス判定回路206のアンド回路302に入力される。
【0051】
論理比較回路301では、アドレス値メモリ303に予め記憶されたメモリ1のスタートアドレス値、メモリ1のエンドアドレス値、メモリ2のスタートアドレス値及びメモリ2のエンドアドレス値と、アドレス発生回路205からのアドレス信号のみならず、LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンに対応した命令信号に特有なメモリ1の途中アドレス値、及びメモリ2の途中アドレス値についても比較され、これらが一致した場合に一致信号を出力する。
【0052】
アンド回路302は、アドレス発生回路205からのRead/Write信号が入力している時に、論理比較回路301の一致信号が入力されると信号を出力し、アドレス値メモリ303に予め記憶されたメモリ1のスタートアドレス値、メモリ1のエンドアドレス値、メモリ2のスタートアドレス値、メモリ2のエンドアドレス値、メモリ1の途中アドレス値、メモリ2の途中アドレス値が記憶されたメモリ領域と対応する一致フラグメモリ304のメモリ領域の一致フラグ情報を、例えば、“0”から“1”に変更して、予め記憶された所定のアドレスをアクセスしたことをその一致フラグ情報により表示する。
【0053】
アドレス判定回路206は、一致フラグメモリ304の全てのメモリ領域に一致フラグ情報“1”が設定されていることを確認することにより、LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンに対応した命令信号により、被検査対象の半導体シミュレーションモデル201が、例えば、メモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203のアドレス領域を正しくアクセスできたかどうかを判定する。
【0054】
アドレス判定回路206の構成例2では、LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンに対応した命令信号に特有なメモリ1の途中アドレス値、及び、メモリ2の途中アドレス値の一致についても確認することができ、被検査対象の半導体シミュレーションモデル201が、例えば、メモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203のアドレス領域を正しくアクセスできたかどうかをより確実に判定することができる。
【0055】
[構成例3]
図7は、本発明の各実施例に適用可能なアドレス判定回路206の第3の構成例を示している。この第3の構成例では、設定したアドレス値とアドレス信号を比較するのではなく、アドレス信号の最大値と最小値を保持するようにして、アクセスしたアドレス範囲を明示できる構成を採用している。
【0056】
図7において、アドレス判定回路206は、論理比較回路301、複数のアンド回路302、アドレス値メモリ303、アドレス値保持レジスタ305を備えており、アドレス値保持レジスタ305は、メモリの最大アドレス保持レジスタ及びメモリの最小アドレス保持レジスタから構成され、メモリの最大アドレス保持レジスタ及びメモリの最小アドレス保持レジスタには、それぞれ、メモリの最大アドレス値とメモリの最小アドレス値が保持される。
【0057】
アドレス値保持レジスタ305に保持されたメモリの最大アドレス値とメモリの最小アドレス値は、論理比較回路301において、半導体シミュレーションモデル201内に形成されたCPU機能モデル204のアドレス発生回路205からのアドレス信号と比較され、最小アドレス値の保持データよりアドレス信号が小さい場合には、そのアドレス信号を、メモリの最小アドレス保持レジスタに最小アドレス値として更新・保持し、最大アドレス値の保持データよりアドレス信号が大きい場合には、そのアドレス信号を、メモリの最大アドレス保持レジスタに最大アドレス値として更新・保持する。メモリの最大アドレス値と最小アドレス値の更新・保持は、複数のアンド回路302によりアドレス発生回路205からのRead/Write信号 に同期して行われる。
【0058】
メモリのテストが終了すると、アドレス値保持レジスタ305のメモリの最大アドレス保持レジスタ及びメモリの最小アドレス保持レジスタには、それぞれ、メモリのテスト中にアクセスしたアクセス領域の最小アドレス値と最大アドレス値が更新・蓄積される。更新・蓄積された最小アドレス値と最大アドレス値を、外部、例えば、パーソナルコンピュータ等への情報出力ルートにより出力し、保持レジスタのデータからアクセスしたアドレス範囲をディスプレイ上に表示する。
【0059】
LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンに対応した命令信号を分析することにより、LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンによりアクセスされるアクセス領域の最小アドレス値と最大アドレス値を求めることができ、この最小アドレス値と最大アドレス値と、メモリのテスト中に更新・蓄積されたアドレス値保持レジスタ305の最大アドレス値とメモリの最小アドレス値とを比較することにより、LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンに対応した命令信号により、メモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203のアドレス領域を正しくアクセスできたかどうかを判定することができる。
【0060】
[構成例4]
図8は、本発明の各実施例に適用可能なアドレス判定回路206の第4の構成例(Read信号、Write信号別々に一致フラグを備えた場合)である。 図8のアドレス判定回路206は、論理比較回路301、複数のアンド回路302、アドレス値メモリ303、複数の一致フラグメモリ304を備えており、複数のアンド回路302と複数の一致フラグメモリ304は、それぞれ、Read信号/Write信号のRead信号とWrite信号に対応している。
【0061】
アドレス値メモリ303には、メモリ1のスタートアドレス値(例えば、メモリ1機能モデル202のスタートアドレス0番地)、メモリ1のエンドアドレス値(例えば、メモリ1機能モデル202エンドアドレスFFFFFH番地)、メモリ2のスタートアドレス値(例えば、メモリ2機能モデル203のスタートアドレス100000H番地)及びメモリ2のエンドアドレス値(例えば、メモリ2機能モデル203のエンドアドレスFFFFFFH番地)を予め記憶しておく。
【0062】
半導体シミュレーションモデル201内に形成されたCPU機能モデル204のアドレス発生回路205からのアドレス信号は、アドレス判定回路206の論理比較回路301に入力され、アドレス発生回路205からのRead/Write信号は、アドレス判定回路206のアンド回路302に入力される。
【0063】
論理比較回路301では、アドレス値メモリ303に予め記憶されたメモリ1のスタートアドレス値、メモリ1のエンドアドレス値、メモリ2のスタートアドレス値及びメモリ2のエンドアドレス値と、アドレス発生回路205からのアドレス信号とが比較され、これらが一致した場合に一致信号を出力する。
【0064】
複数のアンド回路302は、アドレス発生回路205からのRead信号またはWrite信号が入力している時に、論理比較回路301の一致信号が入力されると信号を出力し、アドレス値メモリ303に予め記憶されたメモリ1のスタートアドレス値、メモリ1のエンドアドレス値、メモリ2のスタートアドレス値及びメモリ2のエンドアドレス値が記憶されたメモリ領域と対応する複数の一致フラグメモリ304のメモリ領域の一致フラグ情報を、例えば、“0”から“1”に変更して、予め記憶された所定のアドレスをRead信号あるいはWrite信号に同期してアクセスしたことをその一致フラグ情報により表示する。
【0065】
アドレス判定回路206は、Write信号に対応した一致フラグメモリ304とRead信号に対応した一致フラグメモリ304の全てのメモリ領域に一致フラグ情報“1”が設定されていることを確認することにより、LSIテスタシミュレーションモデル101からのテストパターンに対応した命令信号により、被検査対象の半導体シミュレーションモデル201の、例えば、メモリ1機能モデル202とメモリ2機能モデル203のアドレス領域を、データの書き込み時にも読み出し時にも正しくアクセスできたかどうかを判定することができる。
【0066】
判定結果は、例えば、パーソナルコンピュータ等の外部の機器に情報を出力する。本構成例4では、データの書き込み時と読み出し時に、所定のアドレス値に設定したそのアドレスをアクセスしたかどうかをディスプレイ上に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、本発明の実施例1のDVTにおけるシミュレーションモデルである。
【図2】図2は、CPUが実行するメモリ1,2を検査するプログラム例である。
【図3】図3は、本発明の実施例2のDVTにおけるメモリBISTを有する場合のシミュレーションモデルである。
【図4】図4は、本発明の実施例3のDVTにおけてメモリ以外にアドレスが割り当てられた機能モデルが存在する場合シミュレーションモデルである。
【図5】図5は、本発明の各実施例に適用可能なアドレス判定回路の第1の構成例である。
【図6】図6は、本発明の各実施例に適用可能なアドレス判定回路の第2の構成例である。
【図7】図7は、本発明の各実施例に適用可能なアドレス判定回路の第3の構成例である。
【図8】図8は、本発明の各実施例に適用可能なアドレス判定回路の第4の構成例(Read信号、Write信号別々に一致フラグを備えた場合)である。
【図9】図9は、従来のDVTにおけるシミュレーションモデルである。
【符号の説明】
【0068】
101 LSIテスタシミュレーションモデル
102 テストパターン発生部
103 入出力信号制御、出力信号制御、入力信号判定回路
201 半導体シミュレーションモデル
202 メモリ1機能モデル
203 メモリ2機能モデル
204 CPU機能モデル
205 アドレス発生回路
206 アドレス判定回路
207 メモリBIST回路
208 スイッチング素子
209 メモリ機能モデル
210 タイマー機能モデル
211 シリアルI/F機能モデル
212 端子機能モデル
301 論理比較回路
302 アンド回路
303 アドレス値メモリ
304 一致フラグメモリ
305 アドレス値保持レジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DUTに対応した半導体シミュレーションモデルとLSIテスタシミュレーションモデルから成るデジタルヴァーチャルテストシステムにおいて、
前記半導体シミュレーションモデルが、メモリ機能モデルと、アドレス発生回路を含むCPU機能モデルと、を備えており、
前記メモリ機能モデルをアクセスするための前記アドレス発生回路から出力されるアドレス信号が、前記LSIテスタシミュレーションモデルからのテストパターンに対応した複数の所定のアドレスをアクセスしたかどうかを判定する判定手段を備えていることを特徴とするテストパターンのアクセスアドレス確認方式。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルヴァーチャルテストシステムにおけるテストパターンのアクセスアドレス確認方式において、
前記判定手段は、前記アドレス発生回路から出力される書き込み・読み出し信号に応じて、前記アドレス信号が前記複数の所定のアドレスをアクセスしたかどうかを判定することを特徴とするテストパターンのアクセスアドレス確認方式。
【請求項3】
請求項1に記載のデジタルヴァーチャルテストシステムにおけるテストパターンのアクセスアドレス確認方式において、
前記半導体シミュレーションモデルが、組み込み自己テスト回路を、更に備えており、前記判定手段が、前記組み込み自己テスト回路が出力するアドレス信号が複数の所定のアドレスをアクセスしたかどうかを判定することを特徴とするテストパターンのアクセスアドレス確認方式。
【請求項4】
請求項1に記載のデジタルヴァーチャルテストシステムにおけるテストパターンのアクセスアドレス確認方式において、
前記半導体シミュレーションモデルが、周辺機能モデルを、更に備えており、前記判定手段が、前記周辺機能モデルをアクセスするための前記アドレス発生回路から出力されるアドレス信号が、前記LSIテスタシミュレーションモデルからのテストパターンに対応した複数の所定のアドレスをアクセスしたかどうかを判定することを特徴とするテストパターンのアクセスアドレス確認方式。
【請求項5】
請求項1に記載のデジタルヴァーチャルテストシステムにおけるテストパターンのアクセスアドレス確認方式において、
前記判定手段が、論理比較回路とアドレス値メモリと一致フラグメモリとを備えており、前記論理比較回路が前記アドレス値メモリに予め記憶された前記テストパターンに対応した複数の所定のアドレス値と前記アドレス発生回路が出力するアドレス信号の値とを比較して一致信号を出力し、前記一致信号に基づいて前記一致フラグメモリの対応する記憶領域に一致フラグ情報を設定することを特徴とするテストパターンのアクセスアドレス確認方式。
【請求項6】
請求項1に記載のデジタルヴァーチャルテストシステムにおけるテストパターンのアクセスアドレス確認方式において、
前記判定手段が、論理比較回路とアドレス値保持レジスタとを備えており、前記論理比較回路が前記アドレス値保持レジスタに保持された最大アドレス値及び最小アドレス値と、前記アドレス発生回路が出力するアドレス信号の値とを比較して、アドレス値保持レジスタの最大アドレス値及び最小アドレス値を更新・保持し、前記最大アドレス値及び最小アドレス値と前記テストパターンに対応した所定の最大アドレス値及び最小アドレス値とを比較することを特徴とするテストパターンのアクセスアドレス確認方式。
【請求項7】
請求項1に記載のデジタルヴァーチャルテストシステムにおけるテストパターンのアクセスアドレス確認方式において、
前記判定手段が、論理比較回路とアドレス値メモリと書き込み信号と読み出し信号に対応した複数の一致フラグメモリとを備えており、前記論理比較回路が、前記書き込み信号と読み出し信号に応じて、前記アドレス値メモリに予め記憶された前記テストパターンに対応した複数の所定のアドレス値と前記アドレス発生回路が出力するアドレス信号の値とを比較して一致信号を出力し、前記一致信号に基づいて前記書き込み信号と読み出し信号に対応した複数の一致フラグメモリの対応する記憶領域に一致フラグ情報を設定することを特徴とするテストパターンのアクセスアドレス確認方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−49465(P2010−49465A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212780(P2008−212780)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(501358507)株式会社シスウェーブ (17)
【Fターム(参考)】