説明

デジタル無線端末装置

【課題】デジタル無線端末装置では、相手からの受信が終了したり、あるいは受信中でも相手からの音声がなく無音となると、デジタル無線受信機本体のノイズや電界ノイズ等の影響でホワイトノイズが出力され、受信者に耳障りで、非常に音質の悪い端末装置となる。
【解決手段】デジタル音声を処理する受信信号処理部は、上記デジタル音声をリニアnbitデータ(ここで、n:正の整数)に変換する音声コーデック202と、デジタルノイズフィルタ203および上記デジタルノイズフィルタの出力を音声信号に変換する手段とから構成され、上記音声コーデックから上記デジタルノイズフィルタに入力される上記リニアnbitデータから音声期間と無音声期間を判別して上記デジタルノイズフィルタの出力の内、上記無音声期間の上記リニアnbitデータの全てのbitを「0」とするようにデジタルノイズフィルタを制御するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル無線端末装置に関し、特に、無音時のホワイトノイズを低減するデジタル無線端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアナログ方式の無線通信装置で送受信を行っている場合、相手からの音声が受信されている時は、受信信号が増幅され、受信信号にノイズ等が混入しても、相手からの音声に影響を与えたり、聞き取りにくいと言うようなことはあまり発生しない。しかしながら相手からの受信が終了したり、あるいは受信中でも相手からの音声がなく無音となる期間(音声が途切れる期間)があると、ノイズだけが増幅され、雑音となり、非常に不快な音が発生する。従って、このような問題を低減するためにノイズスケルチ回路を無線通信装置に設けている。このノイズスケルチ回路は、例えば、ローパスフイルタ(Low Pass Filter)で構成され、ノイズのような高い周波数成分を除去する方法が知られている。また、音声信号を検出し、音声信号が検出されないと、増幅器の利得を小さくし、ノイズだけが増幅されないようにする等の対策が取られている。
【0003】
上述のアナログ方式の無線通信装置での無信号時の対策は、このように種々の方法が知られているが、最近、実用化されているデジタル無線通信装置では、まだ実用化されている方式がなく、また、良好な音質を保ちながら無信号時の雑音対策、所謂、ホワイトノイズ対策の実現が望まれている。
【0004】
【非特許文献1】ARIB−STD−T87(空港内デジタル移動通信システム)(社団法人電波産業会)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタル無線端末装置は、受信を行っている場合、通信相手からの音声が受信されている時は、受信信号が増幅され、ノイズ等の影響は非常に少ない。しかし、相手からの受信が終了したり、あるいは受信中でも相手からの音声がなく無音となる期間がある。このような場合、デジタル無線受信機本体のノイズや電界ノイズ等の影響でホワイトノイズが出力され、受信者に耳障りとなるばかりでなく、受信装置としては、非常に音質の悪い端末装置となる。
【0006】
本発明の目的は、デジタル無線端末装置の音声の質を良くするデジタル無線端末装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、無音時のホワイトノイズを低減するデジタル無線端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、デジタル音声を受信する受信部と上記受信部からのデジタル音声を処理する受信信号処理部および制御部とからなるデジタル無線端末装置において、上記受信信号処理部は、上記デジタル音声をリニアnbitデータ(ここで、n:正の整数)に変換する音声コーデックと、デジタルノイズフィルタおよび上記デジタルノイズフィルタの出力を音声信号に変換する手段とから構成され、上記制御部は、上記音声コーデックから上記デジタルノイズフィルタに入力される上記リニアnbitデータから音声期間と無音声期間を判別し、上記デジタルノイズフィルタの出力の内、上記無音声期間の上記リニアnbitデータの全てのbitを「0」とするようにデジタルノイズフィルタを制御するように構成される。
【0009】
また、本発明のデジタル無線端末装置において、上記デジタルノイズフィルタに入力される上記リニアnbitデータから音声期間と無音声期間との判別は、上記リニアnbitデータの上位mbit(ここで、n>mの関係があり、m:正の整数)が全て「0」又は「1」の期間を無音声期間、上記以外の期間を音声期間と判断するように構成される。
【0010】
また、本発明のデジタル無線端末装置において、上記デジタルノイズフィルタは、上記リニアnbitデータが入力される同期化回路と上記同期化回路から出力される上記リニアnbitデータを選択する信号選択回路からなり、上記制御部は、上記リニアnbitデータの音声期間と無音声期間の情報に基づいて上記信号選択回路を制御するように構成される。
【0011】
また、本発明のデジタル無線端末装置において、更に、タイマー装置を備え、上記無音声期間の上記リニアnbitデータの全てのbitを「0」とするタイミングを上記音声期間終了時点から所定時間遅延させる時間を上記タイマー装置に設定するように構成される。
【0012】
また、本発明のデジタル無線端末装置において、上記制御部は、記憶部を有し、上記記憶部に上記リニアnbitデータの上位mbit(ここで、n>mの関係があり、m:正の整数)が全て「0」又は「1」の期間を無音声期間、上記以外の期間を音声期間と判断するためのテーブルを記憶するように構成される。
【発明の効果】
【0013】
以上詳細に説明した様に、本発明を実施することによりデジタル無線端末装置の音声の質を良くすることは勿論のこと、デジタル無線端末装置より出力される受信音声の無音時に出力されるホワイトノイズの音量を大幅に削減することができ、更に、聞き易いデジタル無線端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
現在、実用化されているデジタル無線通信システムは、図5に示すようにデジタル基地局501とデジタル基地局501の通信エリア502(あるいは通信ゾーンとも言われる。)内にある複数の移動局M1、M2、・・・(なお、移動局を総称する場合は、移動局Mと呼ぶことにする。)との通信接続サービス、あるいは、移動局Mと通信エリア502の外に有る移動局m1、m2、・・・との通信接続サービスが行なわれるように構成されたシステムである。なお、図5では、移動局M1とm1のみ示してあるが、実際は、数百台から数千台の移動局から構成されている。
【0015】
図5においてデジタル基地局501には、例えば、上りと下りの無線周波数がペアで割り当てられており、デジタル基地局501から送信される送信波を下り波F1、移動局M1から基地局501へ送信される送信波を上り波f1と呼ぶことにする。これら上りと下りのペア波を用いて、デジタル基地局501と移動局M1間あるいは基地局501を経由した移動局M1と移動局m1間の通信を行う。また通信エリア502内は、デジタル基地局501の運用エリアである。また、移動局M1と通信エリア502の外に有る移動局m1との間の通信は、移動局間直接通信が行われる。このようなシステムは、MCA(Multi Channel Access)方式と呼ばれ、1音声チャンネル当たり1搬送波を割り当てる方式である。また、MCA方式、例えば、空港MCAシステムで使用される周波数は、400MHz帯の周波数が使用され、下り波F1は、例えば、460.225MHz、上り波f1は、例えば、421.725MHzが使用されている。なお、空港MCAシステムは、ARIB−STD−T87(空港内デジタル移動通信システム)(非特許文献1参照)で定められており、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0016】
さて、上記のような空港MCAシステムで使用されるデジタル無線端末装置について次に説明する。図1は、本発明の一実施例の概略構成を示すブロック図である。図1に示す本発明のデジタル無線端末装置は、例えば、空港MCAシステムで使用されるデジタル無線端末装置である。このデジタル無線端末装置は、MCAシステムで使用される端末装置であるが、これに限定されるものではない。
【0017】
而して、図1に示すデジタル無線端末装置は、デジタル無線機101と制御部102で構成されている。まず、デジタル無線機101について説明する。MCAシステムの、例えば、デジタル基地局501から送られてくるデジタル音声信号は、アンテナ103で受信され、アンテナ共用器104を介して受信部105に入力される。受信部105では、高周波増幅器106で高周波増幅された後、受信ミキサ107において周波数シンセサイザ110からの局部発信信号により周波数変換され、中間周波(IF)増幅器108を介して復調器109にて復調される。即ち、下り波F1:460.225MHzが中間周波(IF)に変換される。復調された受信信号は、ベースバンド信号処理部111の受信信号処理回路112にて信号処理され、D/A変換部113で、デジタル音声信号がアナログ音声に変換され、受話器114に出力され、音声として再生される。また、制御部102を介して表示部122に出力される。
【0018】
一方、送話器115からの音声信号は、A/D変換部116でデジタル音声に変換され、ベースバンド信号処理部111の送信信号処理部117に入力される。同様に制御部102からの入力データは、送信信号処理部117において信号処理された後、送信部118に入力される。送信部118では、送信信号処理部117からの出力信号が変調器119で所定の変調処理を施された後、周波数シンセサイザ110からの信号が供給される送信ミキサ120で高周波信号(上り波f1:421.725MHz)に変換され、送信電力増幅部121で電力増幅された後、アンテナ共用器104を介してアンテナ103からMCAシステムのデジタル基地局501に向け送信される。
【0019】
制御部102において、128は、このデジタル無線端末装置全体の制御を行う主中央処理装置(主CPU)、126は、制御プログラム、チャネル番号、送受信信号の伝送信号情報等の所定の定数、各種パラメータ、テーブル類を格納しているROM(Read Only Memory)である。125は、ワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、124は、入力キー123からのデータ入力および表示部122へのデータ出力を行うインターフェース部、129は、デジタル無線機101に対する電源投入/切断を制御するデジタル無線機電源制御部である。なお、これら各構成要素がデジタル無線機101のベースバンド信号処理部111とバス127により相互に接続されている。そして、この制御部102は、デジタル無線機101における送受信シーケンス動作の制御、送受信制御信号の変復調、送受信プロトコルの制御などの制御を行なうとともに、デジタル無線機101で受信された情報あるいは操作者に対する各種情報を表示部122で表示するための処理、入力キー123から入力されたデータをデジタル無線機101のベースバンド信号処理部111に出力する処理、その他デジタル無線端末装置全体の動作の制御を行う。なお、受信信号処理部112は、音声信号伝送に必要な伝送情報を除去し、デジタル音声信号に変換すると機能および後述するデジタルノイズフイルタ機能を有している。また、送信信号処理部117は、従来の送信信号処理部と同様にデジタル音声の伝送に必要な伝送情報を付加する機能を有している。
【0020】
次に、受信信号処理部112について図2を用いて説明する。図2は、本発明のデジタル無線端末装置に用いられるデジタルノイズフィルタの一実施例の概略構成を示すブロック図である。なお、受信信号処理部112は、デジタル音声に付加された信号伝送に必要な伝送情報を除去し、デジタル音声信号に変換する機能もあるが、これらは従来の機能と同じであるので、詳細については説明を省略する。
【0021】
図2は、受信信号処理部112内に設けられたデジタルノイズフィルタ203を説明するためのブロック図を示す。入力端子201には、復調部109からのデジタル音声が入力される。この入力されたデジタル音声は、音声コーデック(ここでは信号複合化のためのdecoderである。)202で、例えば、リニア14bitデータ信号(D0)に複合化され、デジタルノイズフィルタ203に入力され、ここで、後述するようにホワイトノイズを低減されたデジタル音声信号となり、出力端子204からD/A変換部113に供給される。D/A変換部113では、リニア14bitデータ信号がアナログ音声に変換する。なお、リニア14bitデータ信号(D0)は、一般的にはリニアnbitデータ信号(D0)(ここでnは、正の整数である。)である。また、nの値は、適宜定めることができるが、音質等を考慮して10bit以上に定めることが望ましい。
【0022】
音声コーデック202は、デジタル音声を、例えば、リニア14bitデータ信号(D0)に変換する符号化部である。即ち、この音声コーデック202は、デジタル音声信号をリニア14bitデータ信号に変換するためのもので、例えば、図4に示すようなテーブルがその内部のメモリ(図示せず。)に記憶され、デジタル音声が端子201に入力されると、このデジタル音声(電圧表示で0.7354V〜2.26470V)が16383段階のリニア14bitデータ信号(コード)に変換され、デジタルノイズフィルタ203に供給される。なお、図4の音声標準電圧(V)は、アナログ表示されているが、実際はデジタル音声信号であり、便宜上、アナログ標記してある。デジタルノイズフィルタ203は、同期化回路207、信号選択回路208および分周器209とで構成されている。なお、音声コーデック202は、デジタル音声信号をリニア14bitデータ信号への変換に限定されるものではない。
【0023】
次に図2に示す受信信号処理部112の動作を図3に示すタイムチャートに基づいてその動作を説明する。端子206には、図3(A)で示すシステムクロック、例えば、16.384MHzのクロック信号が供給されている。このシステムクロックは、分周器209で分周され、図3(B)で示される8KHzの同期化信号211と同図(C)に示される256KHzの同期クロック信号212を発生し、これら同期化信号211と同期クロック信号212は、同期化回路207および音声コーデック202にそれぞれ供給される。
【0024】
同期化回路207は、FPGA(Field Programmable Gate Array)の論理回路で構成されており、音声コーデック202から入力されるリニア14bit信号D0は、図3(D)で示されるように同期化回路207に入力される同期化信号211と同期クロック信号212により同期化される。同期化されたリニア14bit信号D1は、信号選択回路208に入力される。信号選択回路208は、制御部102の主中央処理装置(主CPU)128とバス127、端子210を介して接続され、主中央処理装置(主CPU)128によって制御されるように構成されている。即ち、主中央処理装置(主CPU)128には、同期化されたリニア14bit信号D1の情報が入力され、この情報に基づいて以下に説明するように信号選択回路208を制御する。
【0025】
以下この制御について説明する。ROM126には、信号選択回路208の選択基準が表1に示すテーブルとして前もって記憶されている。
【0026】
【表1】

表1において、選択グループAは、同期化されたリニア14bit信号D1の予め定められた上位mビット(ここでn>mの関係がある。)、例えば、上位8bitが全て「1」、または、上位8bitが全て「0」の時、信号選択回路208の出力信号D2は、14bitの全てのbitを「0」とすること、また、選択グループBは、リニア14bit信号D1の上位所定ビット、例えば、上位8bitが全て「1」でない、または、上位8bitが全て「0」でない場合は、リニア14bit信号D1をそのまま出力すると言うように定めている。なお、表1では、上位所定ビット数を8bitとして説明したが、8bitに限定されるものではなく、音声信号期間と無音声期間に存在するノイズとが区別できることが望ましい。従って、ホワイトノイズを低減するために上位何bitに設定するかは、システムの状況、周囲の環境等により適宜実験的に定めることができることは言うまでもない。
【0027】
さて、このようにROM126に表1に示すテーブルを設定しておくと、デジタル音声が音声コーデック202でリニア14bit信号D1に変換され、同期化回路207で同期化された信号が信号選択回路208に入力されるが、このときリニア14bit信号D1の情報が主中央処理装置(主CPU)128に供給される。主中央処理装置(主CPU)128では、この情報に基づき信号選択回路208をROM126に記憶されている表1に示す設定基準に従い制御する。即ち、信号選択回路208に入力されるリニア14bit信号D1のデジタル音声の電圧レベルが、例えば、上記実施例で説明した上位8bitが全て「1」、または、上位8bitが全て「0」の場合は、信号選択回路208の出力D2の全bitは、強制的に「0」となるように制御されるので、ホワイトノイズが低減される。また、上位8bitが全て「1」でない、または、上位8bitが全て「0」でない場合は、同期化回路207の出力信号D1がそのまま出力され、出力端子204からD/A変換部113に供給される。D/A変換部113では、リニア14bitデータ信号がアナログ信号に変換され、受話器114から音声が再生される。
【0028】
なお、図4において、音声標準電圧(V)の基準値は、1.5000Vに定めてあり、小さい音ほど1.5000Vに近くなり、また、大きい音の最大値は、2.2647または0.7354と設定されている。従って、上述のように、例えば、上位8bit全て「0」または「1」の場合は、小さい音、即ち、ノイズレベルに相当するので、これがカットされ、ホワイトノイズが低減される。換言すれば、上位bitの数を少なくすると、大きいノイズをカットし、上位bitの数を大きくすると、小さいノイズ音のみがカットされるようになるので、このbit数を適宜実験的に定めるのがよい。
【0029】
次に本発明の他の一実施例を図6を用いて説明する。上述した実施例では、音声信号が検出されない時は、直ちに無音声期間と判断し、強制的に信号選択回路208の出力の全bitを「0」にしている。しかし、このようにすると再生される音声信号が聞く人にとって音声に違和感があり、音質があまり良くないことが実感的に確認されている。図6に示す実施例では、これを改善するものである。
【0030】
図6において、601は、タイマー回路、602は、主中央処理装置(主CPU)128からの制御信号入力端子である。なお、図2と同じものには同じ符号が付されている。この回路の動作を図7を用いて説明する。図7(A)は、図2で示す回路の動作を示している。即ち、P1点は、同期化回路207の出力D1の上位8bitが全て「0」又は「1」の検出時点を示し、このP1点を境にして音声信号期間T1と無音声期間T2に分けられる。そして、図2の回路では、無音声期間T2では、信号選択回路208の出力D2の全bitは、強制的に「0」とされ、ホワイトノイズが低減されることを説明した。
【0031】
しかしながら図6に示す回路では、P1点が主中央処理装置(主CPU)128で検出されると、タイマー回路601が主中央処理装置(主CPU)128の制御によって図7(B)に示すようにONされる。即ち、カウント動作を開始する。そして、例えば、1秒(sec)後にタイマー回路601がOFFされる。即ち、図7(C)に示すようにP2点で、タイマー回路601がOFFされ、このタイミングで信号選択回路208の出力D2の全bitは、強制的に「0」とするように主中央処理装置(主CPU)128がタイマー回路601および信号選択回路208の動作を制御する。このように動作させると音声信号期間T1の終了するP1点で直ちに信号選択回路208の出力D2の全bitが強制的に「0」とはならず、P1点から1秒後のP2点で信号選択回路208の出力D2の全bitが強制的に「0」となる。即ち、有音時(音声信号期間T1)が終わってから1秒後にノイズカットの無音が出力されるようになる。このようにすると再生される音声信号が聞く人にとって音声に違和感がなく、音質が良くなるということが実験的に確認されている。
【0032】
なお、図6に示す回路では、タイマー回路601をデジタルノイズフィルタ203内に設けた実施例が示されているが、主中央処理装置(主CPU)128は、タイマー機能を有しているので、タイマー回路601に代えて主中央処理装置(主CPU)128に入力キー123から所定の時間を設定することもできる。また、上記実施例では、P1とP2間を1秒と設定したが、これに限らず音質が向上するようにこの期間は適宜変更することが可能である。また、上記各実施例で説明したデジタルノイズフィルタ203は、FPGAで構成することもできる。
【0033】
図8は、本発明の更に他の一実施例を説明するためのブロック図である。上述した実施例では、受信信号処理部112にデジタルノイズフィルタ203を設けた場合について説明したが、図1に示す送信信号処理部117にも上述したデジタルノイズフィルタ203を設けることもできる。図8はその構成を示すもので、入力端子801には、A/D変換部116からの信号が入力され、端子802には、システムクロックが供給される。803は、音声コーデック(ここでは、暗号化のためのencoderとして作用する。)、804は、出力端子で、変調器119に接続される。なお、図6と同じものには、同じ符号が付されている。
【0034】
而して、送話器115からの音声信号は、A/D変換部116で、前述と同様に、例えば、リニア14bit信号D0に変換され、デジタルノイズフィルタ203に入力される。デジタルノイズフィルタ203では、図6で説明した場合と同様の動作が行われ、ホワイトノイズの低減したデジタル音声が音声コーデック803に入力され、ここで暗号化され、変調器119に供給される。このように構成すると、送信時においても無音時のホワイトノイズの低減ができ、ノイズ対策の優れたデジタル無線端末装置を実現できる。
【0035】
以上詳述したが本発明のデジタル無線端末装置においては、音声コーデック部から出力される音声データを予め定められた音量レベル未満の信号ノイズをデジタル的に除去することにより無音時のホワイトノイズを大幅に低減することができる。また、送信時にも同様の回路を設けることでノイズ対策の優れたデジタル無線端末装置を実現できる。
【0036】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載されたデジタル無線端末装置の実施例に限定されるものではなく、上記以外のデジタル無線端末装置に広く適応することが出来ることは、言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に使用される受信信号処理部の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】本発明で使用する音声信号電圧とリニア14bit信号との対応を示す図である。
【図5】本発明のデジタル無線通信システムの概略構成を示す図である。
【図6】本発明に使用される受信信号処理部の他の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示す回路の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の更に他の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
101:デジタル無線機、102:制御部、103:アンテナ、104:アンテナ共用器、105:受信部、106:高周波増幅部、107:受信ミキサ、108:IF増幅部、109:復調部、110:周波数シンセサイザ、111:ベースバンド信号処理部、112:受信信号処理部、113:D/A変換部、114:受話器、115:送話器、116:A/D変換部、117:送信信号処理部、118:送信部、119:変調部、120:送信ミキサ、121:送信電力増幅部、122:表示部、123:入力キー、124:インターフェース、125:RAM、126:ROM、127:バス、128:主CPU、129:デジタル無線機電源制御部、130:電源、201、801:入力端子、202:音声コーデック、203:デジタルノイズフィルタ、204、804:出力端子、206、802:システムクロック入力端子、207:同期化回路、208:信号選択回路、209:分周器、210、602:制御信号入力端子、211:同期化信号、212:同期クロック信号、501:基地局、502:通信エリア、601:タイマー回路、803:音声コーデック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル音声を受信する受信部と上記受信部からのデジタル音声を処理する受信信号処理部および制御部とからなるデジタル無線端末装置において、上記受信信号処理部は、上記デジタル音声をリニアnbitデータ(ここで、n:正の整数)に変換する音声コーデックと、デジタルノイズフィルタおよび上記デジタルノイズフィルタの出力を音声信号に変換する手段とから構成され、上記制御部は、上記音声コーデックから上記デジタルノイズフィルタに入力される上記リニアnbitデータから音声期間と無音声期間を判別し、上記デジタルノイズフィルタの出力の内、上記無音声期間の上記リニアnbitデータの全てのbitを「0」とするようにデジタルノイズフィルタを制御することを特徴とするデジタル無線端末装置。
【請求項2】
請求項1記載のデジタル無線端末装置において、上記デジタルノイズフィルタに入力される上記リニアnbitデータから音声期間と無音声期間との判別は、上記リニアnbitデータの上位mbit(ここで、n>mの関係があり、m:正の整数)が全て「0」又は「1」の期間を無音声期間、上記以外の期間を音声期間と判断することを特徴とするデジタル無線端末装置。
【請求項3】
請求項1記載のデジタル無線端末装置において、更に、タイマー装置を備え、上記無音声期間の上記リニアnbitデータの全てのbitを「0」とするタイミングを上記音声期間終了時点から所定時間遅延させる時間を上記タイマー装置に設定したことを特徴とするデジタル無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−128836(P2006−128836A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311657(P2004−311657)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】