説明

デスモソーム分解促進剤

【課題】皮膚上でデスモソーム分解酵素の酵素活性が低下している場合には、十分な角層が剥離することが困難な場合が多く認められ、くすみの原因となっている。このため、くすみ改善のために、より効果的に短時間で、皮膚の角質剥離の促進手段の提供が望まれている。
【解決手段】本発明のデスモソーム分解促進剤は、ナツメ、ユキノシタ、キイチゴから選ばれる1種以上の植物抽出物を含有することを特徴とする。皮膚外用剤は、ナツメ、ユキノシタ、キイチゴから選ばれる1種以上の植物抽出物を含有し、さらには顆粒を含有することを特徴とする。
【効果】デスモソーム分解酵素活性を促進する効果を有し、さらには角質細胞除去効果に優れていることから、角質の肥厚を防ぎ、肌のくすみを予防、改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デスモソーム分解促進剤及び皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
くすみの原因の一つとして、角質肥厚による透明感の低下が知られており、この角質層の肥厚を抑制するとくすみの防止になることがわかってきている。こうした理由から、化粧料等の皮膚外用剤に要求される大きな目的の一つに古い角質層を除去する効果がある。
【0003】
この目的を達成するために、従来、AHA(α−ヒドロキシ酸)(特開昭58−8007)、スクラブ(特公平5−7362)等の角質除去効果を有する原料を配合することが行われてきた。しかし、AHAは人によっては肌に悪い影響を与える例も報告されている。また、スクラブ剤としては、クルミ殻、ポリエチレン末等が用いられるが、スクラブ粒が真球状でなければ肌を傷つける恐れもあると考えられる。
【特許文献1】特開昭58−8007
【特許文献2】特公平5−7362
【0004】
角質層の肥厚化は、角質細胞の剥離がその剥離時期を逸するために起こることであり、この一つとして角質細胞の各細胞間を接着している物質であるデスモソームの分解酵素活性が関与していることが報告されている。
【非特許文献1】Arch.Dermatol.Res.,286,249−255,1994.
【0005】
デスモソーム分解酵素活性を活性化することは、皮膚のターンオーバーを正常化又は促進することや、機能不全の角質層を積極的に取り除くことで、くすみの防止又は解消につながると期待される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
皮膚上でデスモソーム分解酵素の酵素活性が低下している場合には、AHAやスクラブ剤では十分に角層を剥離させることが困難な場合が多く認められ、より効果的に短時間で、皮膚の角層剥離を促進させる手段が提供されることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、ナツメ、ユキノシタ、キイチゴから選ばれる1種以上の植物抽出物がデスモソーム分解酵素の活性を有意に促進することを確認した。また、これらの植物抽出物を配合した皮膚外用剤に、さらに顆粒を配合することによって、角層の剥離効果は一層向上し、くすみが改善されることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明で用いるナツメはクロウメモドキ科に属し、ナツメ(学名:Zizyphus jujuba var.inermis Rehd)又はその近縁植物であり、北アメリカからヨーロッパ西部に原産地がある落葉性高木である。果実を乾燥したもの(生薬名:大棗)などを利用することができる。
【0009】
本発明で用いるユキノシタはユキノシタ科に属し、学名:Saxifraga stolonifera L.であり、日本や中国などに分布する多年性草本である。全草を利用することができる。
【0010】
本発明で用いるキイチゴはバラ科に属し、ヨーロッパキイチゴ(学名:Rubus idaeus L.)又はその近縁種であり、果樹として広く栽培されている。ラズベリー(果実)を利用することができる。
【0011】
本発明のナツメ、ユキノシタおよびキイチゴの抽出物の抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであっても良いし、常温又は低温で抽出したものであっても良い。また、抽出溶媒としては、例えば、水、低級1価アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等)、炭化水素(ヘキサン、ペンタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)、アセトニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。好ましくは、水あるいは水溶性溶媒(水と任意の割合で混合可能な溶媒。例えば、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等)のうち1種又は2種以上の溶媒を用いるのが良い。抽出物はそのまま用いても良いし、溶媒を一部、又は全部留去して用いても良い。
【0012】
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭等の処理をして用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良いし、カラム精製等を行って有効成分を濃縮したり単離してから用いても良い。
【0013】
本発明のデスモソーム分解促進剤、及び皮膚外用剤には、上記ナツメ抽出物、ユキノシタ抽出物及びキイチゴ抽出物をそのまま使用しても良いが、効果を損なわない範囲内で、通常の外用剤に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤等の成分を配合することもできる。
【0014】
本発明に用いるデスモソーム分解剤及び皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品又は医薬品のいずれにも用いることができ、その剤型としては、例えば、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いるナツメ抽出物、ユキノシタ抽出物及びキイチゴ抽出物の配合量は特に限定されないが、乾燥物として0.0001〜10重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.001〜5重量%である。0.0001重量%以下では効果が低く、また10重量%を超えても効果に大きな増強はみられにくく、効率的でない。また、添加の方法については、予め加えておいても製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すればよい。
【0016】
本発明に用いる顆粒としては、通常皮膚外用剤や洗浄料、化粧料、マッサージ料等に配合することができるものであればどのようなものでもよいが、好ましくは、特公平5−7362号公報記載の水添ホホバ油や、特許第3242742号記載のスクラブ顆粒等を用いることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、デスモソーム分解酵素活性を促進する効果を有し、さらには、角質細胞除去効果に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる抽出物の製造例、処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例に示す配合量は重量%を示す。
【実施例1】
【0019】
製造例1 ナツメの熱水抽出物
ナツメの乾燥果実20gに精製水800mLを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してナツメの熱水抽出物を3.3g得た。
【0020】
製造例2 ナツメの30%1,3−ブチレングリコール抽出物
ナツメの乾燥果実20gに精製水280g及び1,3−ブチレングリコール120gを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、ナツメの30%1,3−ブチレングリコール抽出物を330g得た。
【0021】
製造例3 ナツメの50%エタノール抽出物
ナツメの乾燥果実40gに精製水400mL及びエタノール400mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固し、ナツメの50%エタノール抽出物を2.4g得た。
【0022】
製造例4 ユキノシタの熱水抽出物
ユキノシタ全草の乾燥物30gに精製水800mLを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してユキノシタの熱水抽出物を6.2g得た。
【0023】
製造例5 ユキノシタの30%1,3−ブチレングリコール抽出物
ユキノシタの乾燥葉20gに精製水280g及び1,3−ブチレングリコール120gを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、ユキノシタの50%1,3−ブチレングリコール抽出物を330g得た。
【0024】
製造例6 ユキノシタの50%エタノール抽出物
ユキノシタ全草の乾燥物40gに精製水400mL及びエタノール400mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固し、ユキノシタの50%エタノール抽出物を4.5g得た。
【0025】
製造例7 キイチゴの熱水抽出物
キイチゴの冷凍果実60gに精製水600mLを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してキイチゴの熱水抽出物を2.4g得た。
【0026】
製造例8 キイチゴの30%1,3−ブチレングリコール抽出物
キイチゴの凍結乾燥果実20gに精製水280g及び1,3−ブチレングリコール120gを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、キイチゴの30%1,3−ブチレングリコール抽出物を330g得た。
【0027】
製造例9 キイチゴの50%エタノール抽出物
キイチゴの冷凍果実100gに精製水1L及びエタノール1Lを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固し、キイチゴの50%エタノール抽出物を2.0g得た。
【実施例2】
【0028】
次に、本発明に係る実施例の処方を示す。
【0029】
処方例1 クリーム1
処方 配合量(重量%)
1.ナツメの熱水抽出物(製造例1) 0.6
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.1,3−ブチレングリコール 8.5
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.精製水 67.55
[製造方法]成分2〜9を加熱して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0030】
処方例2 クリーム2
処方例1において、ナツメの熱水抽出物をユキノシタの熱水抽出物(製造例4)に置き換えたものをクリーム2とした。
【0031】
処方例3 クリーム3
処方例1において、ナツメの熱水抽出物をキイチゴの熱水抽出物(製造例7)に置き換えたものをクリーム3とした。
【0032】
処方例4 クリーム4
処方 配合量(重量%)
1.ナツメの熱水抽出物(製造例1) 0.2
2.ユキノシタの熱水抽出物(製造例4) 0.2
3.キイチゴの熱水抽出物(製造例7) 0.2
4.スクワラン 5.5
5.オリーブ油 3.0
6.ステアリン酸 2.0
7.ミツロウ 2.0
8.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
9.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
10.ベヘニルアルコール 1.5
11.モノステアリン酸グリセリン 2.5
12.香料 0.1
13.1,3−ブチレングリコール 8.5
14.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
16.精製水 67.55
[製造方法]成分4〜11を加熱して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1〜3及び13〜16を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分12を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0033】
処方例5 クリーム5
処方 配合量(重量%)
1.ナツメの熱水抽出物(製造例1) 0.2
2.ユキノシタの熱水抽出物(製造例4) 0.2
3.キイチゴの熱水抽出物(製造例7) 0.2
4.スクワラン 5.5
5.オリーブ油 3.0
6.ステアリン酸 2.0
7.ミツロウ 2.0
8.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
9.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
10.ベヘニルアルコール 1.5
11.モノステアリン酸グリセリン 2.5
12.香料 0.1
13.1,3−ブチレングリコール 8.5
14.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
16.精製水 66.05
17.顆粒1(粒径0.105〜2mm) 0.75
18.顆粒2 0.75
[製造方法]成分4〜11を加熱して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1〜3及び13〜16を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分12を加え、更に30℃まで冷却した後、成分17及び18を均一に分散させ製品とする。なお、顆粒1とは特公平5−7362号公報記載の水添ホホバ油であり、そして、顆粒2とは、特許第3242742号記載のスクラブ顆粒である。
【0034】
比較例1 従来のクリーム1
処方例1において、ナツメの熱水抽出物を精製水に置き換えたものを従来のクリームとした。
【0035】
比較例2 従来のクリーム2
処方例5において、ナツメの熱水抽出物、ユキノシタの熱水抽出物およびキイチゴの熱水抽出物を精製水に置き換えたものを従来のクリーム2とした。
【0036】
処方例6 化粧水
処方 配合量(重量%)
1.ナツメの30%1,3−ブチレングリコール
抽出物(製造例2) 1.0
2.ユキノシタの30%1,3−ブチレングリコール
抽出物(製造例5) 1.0
3.キイチゴの30%1,3−ブチレングリコール
抽出物(製造例8) 1.0
4.1,3−ブチレングリコール 8.0
5.グリセリン 2.0
6.キサンタンガム 0.02
7.クエン酸 0.01
8.クエン酸ナトリウム 0.1
9.エタノール 5.0
10.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
11.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
12.香料 0.1
13.精製水 81.57
[製造方法]成分1〜8及び13と、成分9〜12をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
【0037】
処方例7 乳液
処方 配合量(重量%)
1.ナツメの50%エタノール抽出物(製造例3) 0.05
2.ユキノシタの50%エタノール抽出物(製造例6) 0.05
3.キイチゴの50%エタノール抽出物(製造例9) 0.05
4.スクワラン 5.0
5.オリーブ油 5.0
6.ホホバ油 5.0
7.セタノール 1.5
8.モノステアリン酸グリセリン 2.0
9.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
10.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート 2.0
11.香料 0.1
12.プロピレングリコール 1.0
13.グリセリン 2.0
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
15.精製水 73.05
[製造方法]成分4〜10を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1〜3及び12〜15を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分11を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0038】
処方例8 軟膏
処方 配合量(重量%)
1.ナツメの抽熱水出物(製造例1) 0.5
2.ユキノシタの熱水抽出物(製造例4) 0.5
3.キイチゴの熱水抽出物(製造例7) 0.5
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
5.モノステアリン酸グリセリン 10.0
6.流動パラフィン 5.0
7.セタノール 6.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.プロピレングリコール 10.0
10.精製水 65.4
[製造方法]成分4〜7を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1〜3及び8〜10を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0039】
処方例9 ファンデーション
処方 配合量(重量%)
1.ナツメの熱水抽出物(製造例1) 0.5
2.ユキノシタの熱水抽出物(製造例4) 0.5
3.キイチゴの熱水抽出物(製造例7) 0.5
4.ステアリン酸 2.4
5.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 1.0
(20E.O.)
6.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
7.セタノール 1.0
8.液状ラノリン 2.0
9.流動パラフィン 3.0
10.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
11.パラオキシ安息香酸ブチル 0.1
12.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
13.ベントナイト 0.5
14.プロピレングリコール 4.0
15.トリエタノールアミン 1.1
16.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
17.二酸化チタン 8.0
18.タルク 4.0
19.ベンガラ 1.0
20.黄酸化鉄 2.0
21.香料 0.1
22.精製水 59.5
[製造方法]成分4〜11を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分22に成分12をよく膨潤させ、続いて、成分1〜3及び13〜16を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分17〜20を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。この水相に油相をかき混ぜながら加え、冷却し、45℃で成分21を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0040】
処方例10 浴用剤
処方 配合量(重量%)
1.ナツメの熱水抽出物(製造例1) 5.0
2.ユキノシタの熱水抽出物(製造例4) 5.0
3.キイチゴの熱水抽出物(製造例7) 5.0
4.炭酸水素ナトリウム 50.0
5.黄色202号(1) 0.05
6.香料 0.25
7.無水硫酸ナトリウム 34.7
[製造方法]成分1〜7を均一に混合し製品とする。
【実施例3】
【0041】
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例をあげる。
【0042】
実験例1 デスモソーム分解酵素活性促進作用
刈・剃毛した白色ハートレー系雌モルモットの背部皮膚の表面をメスで削り、角質細胞の粉末を得た。それを0.1%Triton X−100を含む0.2M Tris−HCl緩衝液(pH9.0)に10mg/mLに懸濁して分散し、ホモジナイズした後1500rpmで10分間遠心分離し、上清を得た。これをデスモソーム分解酵素の粗酵素溶液とした。デスモソーム分解酵素の測定は、セリンプロテアーゼ活性として、合成基質(Boc−Phe−Ser−Arg−MCA;ペプチド研究所製)を用いて測定した。すなわち、粗酵素液0.45mLに10mg/mLの試料を0.05mL加えて37℃で1時間インキュベートした。その後、5mMの合成基質0.04mLを加えて37℃で90分間インキュベートし、合成基質を分解させた。反応終了後、ただちに蛍光分光光度計にて蛍光強度(Ex/Em=380/460)を測定した。活性測定の結果は、試料未添加の場合を100%として表した。
【0043】
これらの試験結果を表1に示した。その結果、ナツメ、ユキノシタ、キイチゴの抽出物には優れたデスモソーム分解酵素活性促進効果が認められた。
【0044】
【表1】

【0045】
実験例2 角質細胞除去作用
処方例1〜4のクリーム、比較例1の従来のクリーム1をヒトの皮膚に塗布し、一定時間おいた後洗浄した場合に、使用感の良し悪し及び角質細胞除去作用があるかどうかを試験した。
【0046】
洗顔後、一定時間手などで触れずに安静にしておいたヒトの片頬に植物抽出物を配合したクリームを1mL、もう片頬に従来のクリームを同量、それぞれ塗布した。塗布した位置は両頬とも頬中央の同じ位置一ヶ所2cm四方とした。塗布後8時間経ってから両頬を同様に水で洗顔し、塗布した部分に粘着テープを貼ってはがし、テープをエオジン法で染色して1cm四方内で染色された細胞数を数えた。
【0047】
これらの結果を表3にまとめた。処方例1〜4のクリームは優れた角質細胞除去効果が認められた。また、ナツメの抽出物、ユキノシタの抽出物とキイチゴの抽出物を併用することで相乗的に角質細胞除去効果が促進された。
【0048】
【表2】

【0049】
実験例3 くすみ改善試験
実施例4、5のクリーム、比較例1、2の従来のクリーム1、2を用いて、くすみで悩む女性10人(21〜46才)を対象にくすみ改善試験を行った。
【0050】
片頬に植物抽出物を配合したクリームを1mL、もう片頬に従来のクリームを同量、それぞれ塗布し、5分間マッサージを行った。塗布した位置は両頬とも頬中央の同じ位置一ヶ所2cm四方とした。判定には色彩色素計(ミノルタ製、CR−200)を用い、クリーム塗布前及びマッサージ後洗顔し、試験部位の色変化を測定した。測定方法は、試験部位及び隣接する部位の明度を計測し、測定した試験部位及び隣接する部位の明度を差し引いたものを明度指数とした。尚、各明度指数から下記の表3の評価基準によりくすみ改善効果を判定した。
【0051】
【表3】

【0052】
これらの結果を表4にまとめた。処方例4、5のクリームは優れたくすみ改善効果が認められた。また顆粒を配合することで、くすみの改善効果が一層向上することが確認された。
【0053】
【表4】

【0054】
実験例4 使用試験
処方例1〜4のクリームを用いて、女性30人(21〜46才)を対照に3ヶ月間使用試験を行ったが、試験期間中皮膚トラブルは一人もなく、安全性においても問題なかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の活用例として、化粧品、医薬部外品又は医薬品のいずれにも用いることができる。その剤型としては、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅等が挙げられ、デスモソームの分解酵素活性を活性化することで、角質の肥厚を防ぎ、肌のくすみを予防、改善する効果が得られる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナツメ、ユキノシタ、キイチゴから選ばれる1種以上の植物抽出物を含有することを特徴とするデスモソーム分解促進剤。
【請求項2】
請求項1記載のデスモソーム分解促進剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項3】
顆粒を含有することを特徴とする請求項2記載の皮膚外用剤。


【公開番号】特開2007−191438(P2007−191438A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11961(P2006−11961)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】