説明

デッキに取り付けられる水中水流タービン

流水により駆動することができるタービンシステムのための支持構体において、ひとつ又は複数のタービンアセンブリ(3)が、水流と作用上協働するために流線形断面のデッキ又はプラットフォーム(1)に取り付けられ、前記タービンアセンブリ(3)はこの又はこれらのタービンアセンブリが水流を横切って、すなわち、水の流れ方向(DW)に対して垂直に配置されるように取り付けられ、かつ前記デッキ又はプラットフォームは水流に対してのその抵抗を最小にするために水流と水平に整列されている。前記デッキ又はプラットフォームは、前記流水の底から直立する少なくとも2つの支持脚又はストラット(2)により高い位置に支持されているか、又は、浮力があり、海、川又は河口の底(SB)に固定されている引張りケーブル、ロープ又はタイ(5)により水柱中に下降されて高い位置に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンを水流中に沈めて水流の運動エネルギーにより駆動させるように設置する支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人の英国特許GB2556011B,GB2311566B,GB2348250B、及び英国特許出願第0227739.0号において、本出願人は次に述べるような、水により駆動することができるタービンに関する構成を開示している。すなわち、このタービンのロータは海、川又は河口の水柱中に支持され、その結果、水流はロータを回転せしめて、所要の目的のために電気又は軸動力を生じせしめる。上述した文献から、所要の目的のためにタービンをどのようにして用いるか及びタービンを支持するための種々の種類の構体がまた知られている。
【0003】
タービンが水流により駆動されるように用いられるときには、水流からのエネルギーの取り出しは通過する水の運動量の減少を生じせしめ、それから、タービンに大きな反力を生じせしめ、この反力は、それ自身、主として、水の流れ方向に作用するスラスト力として現われ、このスラスト力はロータを通過する平均速度の2乗に比例する。
【0004】
この現象は、物理現象の法則の結果であり、可動タービン構成部品への流水運動量の伝達から生じ、タービンロータの設計に関係なく発生する。すべての場合において、ロータ上のスラストは、ロータを通過する水流及びロータのスイープ区域の水流の平均速度の2乗の積に直接比例する。一般に、例えば“ランアウェイ”のような一定の状態の下で、たとえタービンが多くの又はいくらかの有効動力を軸方向に伝達しないときでも、大きなスラスト力が生じるけれども、タービンロータの動力及び効率が高くなればなるほど、耐えることが必要とされる力も大きくなる。この状態は、勿論、ロータを適所に保持するために必要とされる力がタービンロータを回転させるためにロータに伝達される力への反作用であって、これがロータの軸動力発生効率の大きさを与えることの直接の結果である。
【0005】
また、このようなタービンは、例えば乱流、通過する波、水流中の速度せん断(すなわち、深さにともなう速度の変化)及び渦流の作用のような現象により生ずる多数の繰り返し荷重に、追加的にさらされ、これは支持構体に変動する疲労荷重を課し、したがって十分な構造一体性を与えることが必要とされる。したがって、このようなタービンに対して本質的な要求は、エネルギーを取り出すロータを適所に十分な強さを保有している構体でもって保持することにあり、この構体の十分な強さとは静的及び動的力に耐えるのに十分な強さである。
【0006】
このような構体の設置は、幾つかの他の一般的な要求、例えば、構体が水柱中に存在することにより発生する伴流はロータを通過する水流に過度に干渋してはならない(すなわち、過度の干渋はロータの効率を減少せしめるからである)要求により、複雑とされる。したがって、例えば、構体はその伴流がロータを理想的にかつ完全に外れるような構成とする必要があり、また構体はシステムのコストを最少にするためにできる限り経済的に作らなければならず、更に強い水流を伴なう場所に構体を設置するために実際的でかつコスト的に有利な方法が必要とされ、更に他に単一又は複数のタービンロータを構体に取付けるために、及びそれからこの又はこれらのロータを維持しまた必要な時には交換又は修繕するためにこの又はこれらのロータへアクセスできるようにするために実際的でかつコスト的に有利な方法が必要とされる。
【0007】
本発明により提案されている、水流タービン用支持構体に関する種々の一層詳細な考察は、次のように示される。
【0008】
第1に、エネルギーを捕獲するタービンの使用のために適当である十分に速い速度を伴なう場所での水柱中の流れは深さとともに変化し、最大速度は水面に近いところであることを留意すべきである。また、水流は、水柱中で遅くなり、海(又は川、若しくは河口)の底の近くでは非常に遅く動く。更に、海、川又は河口の一様でない自然の地形は海底の近くに水の流れの途絶及び乱流を生じせしめ、海底の自然地形が非常にでこぼこであるときには、ゆっくり動く乱流境界層の厚さはより大きくなる。
【0009】
第2に、すでに提案されている種類のタービンロータ(軸流又は直交流型ロータ、あるいは往復水中翼型の装置)を用いて、水流から運動エネルギーを有効にかつ確実に取り出すためには、前記ロータを通過する又は可動水中翼を通り過ぎる水流の速度をスイープ区域にわたってできる限り均一にし、これにより、水流をできる限り速く動かしまた乱流をできる限り小さくすることが望まれることを留意すべきである。換言すれば、能動ロータ又は水中翼を最速でかつ最高に均一でありまた乱流のない水の流れ中に位置させる手段を有することが望まれ、これにより、でこぼこの海、川又は河口の底により生ずる境界層をロータが切り通すのを除去する。また、このようなロータ又は水中翼を最大の静的及び動的力に耐えることができる構体でもって支持することは絶対必要なことであり、これにより、多数年の作動期間にわたって高度の信頼性を得ることができよう。
【0010】
第3に、重要な他の考察は、水柱(海、川又は河口の水柱)の流れ中に沈められている装置に、メンテナンス、修繕又は交換のために時折アクセスする必要があることである。速い水流における水中作業は、潜水装置を人間が携帯して行うにしても、又は遠隔操作の水中船(ROVs)により行うにしても、非常に困難であり、ほとんどの場合、このような水中作業は、約0.5m/sよりも遅い水流が生じているときのみ行われる。しかし、このような遅い速度が生じている期間は、せいぜいほとんど小規模水中作業を可能にするだけで、それよりも大きい規模の水中作業を可能にするにはあまりにも短い。
【0011】
その結果、本発明により処理される問題は、メンテナンス又は修繕を必要とする構成部品、特に、機械的なドライブトレーン及び発電機を一緒に備えているタービンロータ及び/又は水中翼にアクセスするための手段の設置にあり、これは、このような構成部品を流水の水面よりも上に上昇させることができるように行われ、これにより、水上船からのアクセスが可能となり、ダイバー又は遠隔操作潜水艦による水中作業は必要とされない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、水流タービンを支持する特別の目的のための支持構体を提供することにあり、この支持構体は“偽海底”と称されている(場合によって、タービンは海、川又は河口中に支持される)。
【0013】
より詳細には、本発明の目的は、本出願人の上述した英国特許GB2311566B及びGB2348250Bにすでに記載されるようなひとつ又はそれ以上の、水により駆動することができるタービンシステムを支持することができる構体を提供することにある。
【0014】
しかしながら、水流により駆動することができ、これにより電気の発生のための発電機、又は他の有益な適用、例えばポンプ又は圧縮機を駆動することができる公知のいかなる型式のタービンロータにも本発明を適用できるものであり、これにより、本発明の他の目的は、例えば、一般に下記の型式であるタービンロータを支持するのに適当な支持構体を提供することにある。
・軸流又はプロペラ型式(すなわち、水の流れ方向と平行な軸線のまわりを回転するロータである)
・直交流型式(又はダリウス型式)(水の流れ方向にほぼ垂直な軸線のまわりを回転するロータである)
・往復水中翼(アーチ状にわたって往復動して水の流れをさえぎる)
【0015】
どのような型式のタービン水中翼も、上述した要求を満たすような種々の方法で、海、川又は河口であっても、その流水の水柱中で翼全体が(場合によって)回転又は往復動する。換言すれば、能動構成部品はその通常の作動モードの間中完全に水中に沈められたままである。
【0016】
本発明の更に他の重要な目的は、タービンロータ及び他の可動部品、例えばパワートレーンを水面よりも上に明らかに上昇させることができる手段を提供することにあり、これにより、前記能動構成部品の取付け、メンテナンス、修繕及び交換のために水上船から安全にかつ有効にアクセスすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
概括的には、本発明の第1の態様によれば、流水により駆動することができるタービンシステムのための支持構体において、ひとつ又は複数のタービンアセンブリが、水流と作用上協働するために、流水の柱中で、流線形断面のデッキ又はプラットフォームに取り付けられ、前記デッキ又はプラットフォームは流水の底に関して高い位置に設置され、かつ前記デッキ又はプラットフォームはこのデッキ又はプラットフォームが水流に対してのその抵抗を最小にするために水流と水平に整列するように水平に整列されていることを特徴とする支持構体が提供される。追加の支持面をタービンロータの軸線の高さ位置に、又はタービンロータ高さ位置よりも上方の位置に、若しくはこれらの両方の位置に、主支持面と平行な面として追加することができる。
【0018】
また、前記追加の支持面は、好適には、弦及び厚さを最も下の支持面よりも小さくすることができるが、しかし、等しい大きさ又は大きくすることができる。
【0019】
好適には、流線形断面の前記デッキ又はプラットフォームは非対称の流線形断面を有し、上面及び下面が凸面で、一方の表面が他方の表面よりも大きくて、一方の表面の凸面が他方の表面よりも大きくすることができる。
【0020】
好適には、流線形断面の矩形の平らなデッキ又はプラットフォームをその支持体から解放し、浮力を利用して制御した方法で水面にまで上昇させることができるように、又は、一般には電気又は液圧的に駆動させられるリフト機構を持つことができるように設置することができ、これにより、タービンの配列体を完備している、流線形断面の矩形の平らなデッキ又はプラットフォームの全体を水面にまで到達させることが容易となり、その結果、メンテナンス又は修繕のために水上船を用いてタービンにアクセスすることができる。
【0021】
好適には、流線形断面の矩形の平らなデッキ又はプラットフォームは、非対称の流線形断面を有し、上下の両方の表面(上面及び下面は一方が他方よりも大きな凸面とすることができる)又は一方の表面(上面又は下面)が凸面であると共に他方の表面が実質的に平面又は凹面であって、一方の表面の凸面が他方の表面と比べて大きくすることができる。この効果は、前記大きな凸面の表面を横切る流れを加速させて、ガスタービンロータを通しての速度せん断を減少せしめることにある(速度せん断は、水柱中の上方部分の水を海底に近い水よりも速く動かす傾向にある)。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、水流により駆動することができるタービンシステムのための支持構体において、ひとつ又は複数のタービンアセンブリが、水流と作用上協働するために流線形断面のデッキ又はプラットフォームに取り付けられ、前記タービンアセンブリはこの又はこれらのタービンアセンブリが水流を横切って、すなわち、水の流れ方向に対して垂直に配置されるように取り付けられ、かつ前記デッキ又はプラットフォームは水流に対してのその抵抗を最小にするために水流と水平に整列されていることを特徴とする支持構体が提供される。
【0023】
好適には、前記デッキ又はプラットフォームは矩形の平らな形状である。
【0024】
好適には、前記タービンを担持している前記デッキ又はプラットフォームは、前記流水の底から直立する少なくとも2つの支持脚又はストラットにより前記高い位置に支持されているか、又は、前記底に固定されている引張りケーブル、ロープ又はタイにより水柱中に降下されて前記高い位置に保持される。
【0025】
好適には、前記デッキ又はプラットフォームをその作動位置と水面に隣接する第2の位置とに移動させることができる手段が設けられ、これにより前記デッキ又はプラットフォームと関連している前記タービンが少なくとも水面に到達することができ、これにより前記タービンに水上船を用いてメンテナンス又は修繕のためにアクセスすることができる。
【0026】
好適な構成において、流線形断面の少なくともひとつの他のデッキ又はプラットフォームが、“複葉”又は“三葉”の形に配置され、この配置により、支持構体の構造強さを改善するようにする。この他のデッキ又はプラットフォームは、前記デッキ又はプラットフォームと関連している前記タービンの軸線の高さ位置に、又はこの軸線の高さ位置よりも上方に、若しくはこの軸線の高さ位置及びこの軸線の高さ位置よりも上方の両方に、前記デッキ又はプラットフォームの表面と平行な表面を形成するように配置される。
【0027】
前記デッキ又はプラットフォームの表面と平行な前記表面の形成により、前記大きな凸面が上面である場合には、前記大きな凸面の表面を横切る流れは、加速されて、タービンの性能を増大せしめる働きをなす。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、矩形の平らなデッキ又はプラットフォームのために次に述べるような非対称の流線形断面が使用される。すなわち、この非対称の流線形断面においては、もし前記大きな凸面の表面が下向きに面している場合には、発生したリフト力の結果として下向きのスラストを生じせしめ、この下向きのスラストが前記デッキ又はプラットフォームをその支持体上にしっかりと定着させるのを助け、又は、前記大きな凸面の表面が上向きに面している場合には、リフト力の結果として上向きのスラストを生じせしめ、この上向きのスラストが引張り脚浮き固定装置の引張り及び安定性を維持するのを助けることができるようにする。
【0029】
好適には、前記矩形の平らなデッキ又はプラットフォームがその下面よりも大きな凸面の上面を有している場合には、前記一列のタービンを通る水流を加速するために、流線形断面の前記矩形の平らなデッキ又はプラットフォームの下の空間は適当な封鎖体により実質的に封鎖され、これにより、水流の大部分を付勢せしめて上昇せしめると共にその凸面の上面にわたってかつ前記タービンアセンブリのロータを通して加速せしめ、また、前記水流の小量部分を、流線形断面の前記矩形の平らなデッキ又はプラットフォームの下面と前記封鎖体の頂部との間の狭いスロットを通して流出させることができるようにし、これにより乱流境界層が流線形断面の前記矩形の平らなデッキ又はプラットフォームの頂部にわたってそらされるのを防止し、これにより前記タービンロータを通しての平均水流速度の十分な増大が得られ、これにより前記タービンロータの動力出力を改善するようにする。また、このような適当な設計では、速度せん断を減少せしめ、より一層の均一性を与えて、タービンロータを通る乱流を少なくし、これによりエネルギー捕獲効率を増大せしめると共に、タービンロータ上の疲労荷重を減少せしめるようにする。
【0030】
概括的に、本発明の第4の態様によれば、少なくともひとつのタービン、一般には複数のタービン(すなわち、水により駆動可能なロータは有益な動力を発生することができる)のためのデッキ又は浮き台の形の支持装置であって、ほぼ矩形(すなわち、真上から見たときである)のプラットフォームの平らで滑らかな支持面を提供し、前記支持面が過度に柔軟ではない適当な構造一体性を有して水柱中にデッキ又はブリッジのように配置され、その結果、ひとつ又はそれ以上、一般には一列のタービンを支持するためのフロアを形成し、これにより前記支持面が“偽海底”を果たし、この“偽海底”が滑らかな表面を有して、これを横切る水の均一性を真の海底を横切る水流と比べて増大せしめるようにした支持装置が提供される。
【0031】
前記支持面は、脚のような重量支えストラット上に支持され、これにより、複数の脚上に立っているテーブルとよく似ているように、海、川又は河口の底上に位置するか、又は、浮力があり、鎖でつないだ矩形の引張りブイとよく似ているような適当なグラウンドアンカーを用いて海、川又は河口の底に固定されている複数の引張りケーブルにより水柱中に保持されて水柱中に降下して浮くようにすることができる。
【0032】
前記平らで滑らかな支持面は、一般には、平面図において矩形であり、長辺の寸法はどんなに多くの独立するタービンがその上面に取り付けられても、その全体の幅に適応するのに十分なものとされる。また、長辺の側は一般に水の流れ方向に対して垂直に配置され、これにより、支持面の上面に取り付けられるタービンは水流を横切って配置され、すべてのロータの作動姿勢は水流に対して垂直であって、可能の限り多くの水流をさえぎる。実際に、支持構体は水柱中に沈められている矩形の平らな“翼”と似ており、この“翼”はその上に配置されている一列のタービンを備えている。
【0033】
矩形の支持面又はデッキの断面形状は、次の2つの理由により流線形とされている。すなわち、第1の理由は通過する水流から生ずるドラグを最小にすること、及び第2の理由は支持面の頂部を横切ってロータを通過する水流中の乱流を最小にするように水流を方向づけるのを助けることにある。流線形の支持面を提供するためには、水流に関しての断面形状の前縁及び後縁は、航空機の翼、又は潜水艦若しくは船スタビライザーの水中翼の前翼とよく似ているに、テーパされて、鋭い縁又は細いが丸い縁とされる。ある状況において、潮流が生じ、流れの方向が周期的に逆なる場合(干潮及び満潮)には、支持面は断面が対称とされ、これにより、水の流れが一方の方向又はそれとは逆の方向でもドラグは低く生ずる。
【0034】
また、平らで滑らかな矩形の支持面又はデッキの形状を、その上面に取り付けたタービンロータを通過する水流の速度を増大するようにまたタービンロータを通過する水流の均一性を改善するようにすることができる。この方法では、支持面又はデッキは、タービンロータを担持するための構体として働くのみならず、タービンロータを通過する水流の均一性またおそらくは速度を増大せしめるように設計され、これにより、変化しない水流中における作動と比べて性能及び効率を増大せしめる。
【0035】
このような水流の増大を達成するために、矩形の平らな支持面又はデッキの断面は、空中翼又は水中翼と非常に同じ方法で流れに対して垂直であるリフト力を発生せしめるような非対称又は上反りした断面(すなわち、一方の側が凸面で、またおそらくは他方の側が凹面、平らな面又は一方の側の凸面よりも小さい凸面)とすることができる(これは、特定の場合であって、すべての場合ではない)。支持面又はデッキが脚又はストラットにより支持されている場合には、前記非対称の断面形状は垂直下向きのリフト力を発生せしめるように配置され、これにより、海、川又は河口の底への脚の係合を改善せしめる。しかし、支持面又はデッキが浮いて引張り係留索により下向きに保持されている場合には、前記断面形状は垂直上向きに作用するリフト力を発生せしめるような非対称な形状とされ、これにより水流が増大するにつれて支持ケーブルの引張りを増大せしめ、これにより水柱中の支持構体を安定せしめ、支持構体が水流からのスラストにより激しく動くのを除去する。
【0036】
本発明の支持体は、したがって、上に取り付けられているタービンを備えている翼様構体と似ており、これらのロータ又は従動水流翼は水流に対して垂直な水平方向の列に配列されている。前記翼は、対称的な流線形とすることができると共に複数の脚又はストラット上に支持することができるし、又は、浮力を持たせて、海、川又は河口の底にしっかりと固定している引張りケーブル又は部材により保持することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明をより良く理解しまた本発明が実際にどのようにして実施されるかを示すために、以下添付図面を参照して本発明の実施例について詳述する。
【0038】
図1A,1B及び1Cを参照するに、これらの図は、それぞれ、本発明の概念を具体化する支持構体、すなわち、プラットフォーム又はデッキ1の第1の実施例の重要な要素の等角投影図、側面/端面図及び正面図を示す。プラットフォーム又はデッキ1は、例えば、川、河口又は海の底SBから直立して多数の水流被駆動タービン3を担持する複数の脚2により、適所に固定されている。多数のタービン3は、これらのタービンを通り過ぎる水の流れ方向DFに対して垂直な列に配列されている。これらの図は4つの軸流タービンの使用を示しているが、しかし、他の異なる数のタービンを用いることができるものである。また、種々の他の異なる型式のタービンを前述したように用いることができるものである。図1A〜1Cに示される基本的な実施例において、4つのタービン3は、前述した個々の片持式の流線形支持ストラット4上に支持されている。これらの図において、水の流れ方向DFは水の可逆流れがあることを示すために両端矢印により示されている。
【0039】
図面の他の残りの図の内容を実際に考察する前に、これらの図に関連して説明される種々の支持構体の一般的な形成及び発展の概観を述べることは都合がよいものと考えられる。したがって、基本的な構体としての図1A,1B及び1Cの実施例に関し、これにより表される本発明の基本的な概念の発展は例えば次に述べるような追加の特徴と包含することができる。
【0040】
構体が複葉翼の配列体に似るように、前述したプラットフォーム又はデッキ1、すなわち、主支持面と平行にかつその上方に、第2の組の平らな水平部材を各タービン間に設けること。この第2の組の平らな部材も、また、流線形とすることができ、かつ、一般には(しかし、必ずではない)、主翼様支持デッキよりも小さい断面積の大きさとされる。
【0041】
例えば圧縮空気を用いて平らな支持面又はデッキから水を排出することにより、支持面又はデッキを浮くように作る手段を設けること(これは、支持面又はデッキが不変に浮力を有していない場合である)。及び、支持面又はデッキを海、川又は河口の底に取り付けている支持部材から支持面又はデッキを解放する手段を設けること。このような手段を設けることにより、支持面又はデッキを制御した方法で海、川又は河口の水面にまで浮かすことができ、その結果、支持面又はデッキの頂部上のタービンは海、川又は河口の水面よりも上に現れ、それから、点検整備又はメンテナンスのために水上船からタービンに容易にアクセスすることができる。
【0042】
平らな支持面又はデッキを海、川又は河口の水面にまで浮かすことを行う主たる方法として浮力を用いない場合において、適当なリフティング装置を用いて支持面又はデッキを物理的に上昇せしめる手段を設けること。
【0043】
平らな支持面又はデッキを海、川又は河口の底に取り付けている部材又は係留索から、タービンを完備している支持面又はデッキを完全に取り外し、その後再び取り付ける任意の手段を設けること。このような手段を設けることにより、修繕又はメンテナンスのために、タービンを完備している支持面又はデッキを浮かせ、それから、クレーンを用いて作業船にまで持ち上げるか、又は陸地まで浮き船として曳航することができる。同様なタービンを完備している支持面又はデッキのユニットが、それから、動力の発生を連続せしめるために、代用されて、適所に取り付けられる。
【0044】
平らな支持面又はデッキの下の空間を全部又は部分的に封鎖する任意の手段を設けること。このような手段を設けることにより、水は支持面又はデッキの下に流れるのを全部又は部分的に禁止され、その効果により支持面又はデッキの頂部を横切ってタービンロータを通過する水の流れが更に加速され、これによりシステムにより得られる動力を増大せしめる。好適な実施例は、海底と支持面又はデッキとの間の空間のほとんどを封鎖しているが、しかし、支持面又はデッキの真下に比較的垂直な狭い通路を残し、これにより支持面又はデッキの真下の流れをきれいにすることができるようにしている。このような方法においては、海、川又は河口の底の上を流れる乱流境界層が前述した空間を通して支持面又はデッキの下に流出され、これにより支持面又はデッキの頂部上を横切る流れができるだけ乱流がないように維持される。
【0045】
流線形の垂直又はほぼ垂直のストラットにより支持して、タービンの高さ位置よりも上に担持することができる任意の他の流線形の平らな翼様部材を設けること。この翼様部材は、前述した主たる支持部材に合わせて同様に矩形の平らな形状を有する。この配置は、“翼”間に配置している動力装置、この場合にはタービンを備えている多エンジン型複葉航空機と非常に似ている外形を有する。タービン間に配置している前述した第2の組の平らな部材は、選択的に、タービンの高さ位置よりも上方に担持することができる前述した任意の他の流線形の平らな翼様部材に置換することができる。
【0046】
任意の他の流線形の平らな翼様部材がタービンの高さ位置よりも上に取り付けられている場合においては、他の一組のタービンをこの第2の高い翼の上に取り付けて、2列のタービンを提供することができる。
【0047】
要するに、ひとつ、2つ又は3つの流線形の平らな支持面を、“単葉”“複葉”又は“三葉”の配置で、水の流れを横切る水平面内に配置することができる。複葉又は三葉の配置の利点及び目的は、一部分として、構造強さを改善せしめること、また、他の一部分として、流線形の翼様部材を作ることにある。このような流線形の翼様部材を作ることにより、タービンロータを通過する水の流れは、より一層均一にさせられ(すなわち、タービンロータの垂直高さにわたる速度せん断が少なくされる)、また、ある場合には、加速させられ、その結果、支持翼はまたロータの一定の断面を通過するエネルギー束を増大せしめる流れ増強器として有効に作用する。
【0048】
前述したことから、本発明の主たる態様は、水の流れ方向を横切って配置される一列の水流動力タービンを担持するために、水柱中に固定される流線形の平らな支持面又はデッキの使用にあり、この流線形の支持面又はデッキは単一又は複数の水流タービンのための構造支持体として働くことを認識されよう。この流線形の平らな支持面又はデッキは、また、浮かぶように作ることができ、その結果、この支持面又はデッキはその上面上に配置されている単一又は複数のタービンにアクセスすることができる水位にまで浮くことができる。流線形の平らな支持面又はデッキの形状は、単一又は複数のタービンロータを通過する水の流れをより一層均一にせしめると共に、ある場合には、単一又は複数のタービンロータを通過する水の局部速度を加速せしめてタービンロータの一定の断面積についてのエネルギー捕獲を増大せしめる。
【0049】
さて、図2A及び2Bを参照するに、これらの図は例えば図1A〜1Cに示されるようなプラットフォーム又はデッキ1をどのようにして水面にまで上昇させることができるかを示す側面/端面図及び正面図である。この実施例においては、プラットフォーム又はデッキ1の各隅部からケーブル、チェーン又はロープ5を繰り出すことにより、プラットフォーム又はデッキ1を浮かすように作っており、各ケーブル、チェーン又はロープ5は基礎支持体2にしっかりと取り付けられている。この方法は、プラットフォーム又はデッキ1が戻って海底に取り付けられている支持体2に接触するまで、ケーブル、チェーン又はロープ5を巻き取ることによってプラットフォーム又はデッキ1を下向きに引張ることにより、逆とすることができる。支持構体のこの実施例の本質的な特徴は、タービン3を担持しているプラットフォーム又はデッキ1を、水中作業の必要性なしに、メンテナンス、修繕又は交換のためにタービンにアクセスすることができる水面にまで、なにがしかの方法で上昇させることができる(又は機械的に持ち上げることができる)ことにある。
【0050】
図3A,3B,3C及び3Dは、図1A,1B及び1Cの実施例の変形例としてみることができる支持構体の実施例を、側面/端面図及び正面図で示す。この実施例においては、プラットフォーム又はデッキ1が、適当な固定体6に取り付けられている伸縮可能な係留索5により水中に沈められているとき及び水面上であるときの両方において不変に浮かんでいる状態に維持されて適所に保持されている。固定体6は、海又は川の底に埋設又は固定され、さらされる揚圧力に耐えることができなければならない。
【0051】
図4,4B及び図5A,5Bは、支持構体の更に他の実施例を(それぞれ側面/端面図及び正面図で)示す。この実施例においては、伸縮可能でフレキシブルなチェーン、ケーブル又はロープの使用に代えて、プラットフォーム又はデッキ1が2つ、又は(ここに示しているように)4つ(若しくは他の異なる数の複数)の脚7に拘束されており、これらの脚7は海又は川の底SBに埋設されていると共に水の表面レベル、すなわち水面WLよりも上に延びている。そして、これらの脚7はタービンを担持しているプラットフォーム又はデッキ1の垂直移動を適当な滑動スリーブ又は他の取付具8により案内するようにしている。滑動スリーブ又は他の取付具8は、脚7に関して垂直に動くことができると共に、脚7に追従するように拘束されている。
【0052】
タービンを担持しているプラットフォーム又はデッキの垂直移動を案内する(図4A,4B及び図5A,5Bに示されている)脚7の上方部分は、図示されているように、選択的に、細くして、水の流れ中におけるそれらのドラグを減少せしめることができる(脚の上方部分の断面積は楕円形に似ているようにされる)ことを見ることができよう。また、脚はタービンのロータ間に配置され、その結果、水が流れているときのそれらの伴流がロータに衝突することがなく、又は少なくともロータ間の干渉及び伴流が最少とされることを留意すべきである。これらは、図5A及び5Bに明確に示されているように好適な構成である。
【0053】
次に図6A及び6Bを参照するに、これらの図はそれぞれ“複葉”型式の構成の、水の流れ方向WFから見た等角投影図及び正面図である。この構成においては、組立体の構造強さを改善するために、第2の翼様プラットフォーム又はデッキ9がタービン3のロータ3Aの中心線の高さ位置でタービン3間に挿入されている。この構成は、個々のタービンロータが横ブレースなしに個々の片持式支持体上に取り付けられている図1Aの等角投影図の“単葉”型式の構成と比較されるべきである。
【0054】
図7Aは、他の“複葉”型式の構成を示す。この構成においては、第2の流線形の平らなプラットフォーム10がタービン3の真上でそれらの垂直支持ストラット4から延長部11上に取り付けられている。図7Aは等角投影図であり、これに対して、図7B及び7Cはそれぞれ水の流れのWFから見た端面/側面図及び正面図である。この構成は、組立体全体の構造強さを増大せしめる役割を果たし、また、より多くの数のタービン又はより大きい大きさのタービン3に適応するために、その支持体2間のスパンをより大きな距離にすることができる。また、下側の支持プラットフォーム1の上向きに面する凸面の表面と上側のプラットフォーム10の下向きに面する凸面の表面との効果は、ベンチェリ効果と同様であり(図7Bの側面図を参照)、ロータの上流側の流れと比べると、ロータを通過する流れを加速せしめる。これは、ロータの単位面積あたりの捕獲エネルギーを改善せしめ、一定の動力出力のために、他の方法が必要とされる場合よりもより小さなロータを用いることができるようにする。
【0055】
図8A,8B及び8Cの実施例は、図6A,6Bの構成と図7A,7B,7Cの構成とを組み合わせた支持体の実施例として、都合よく見ることができる。この実施例は、実際に、3つの翼様プラットフォーム、すなわち、支持プラットフォーム1と、タービンロータ3Aの高さ位置にある中間プラットフォーム9(図6A,6B及び6Cに示されているものと同じである)と、上側のプラットフォーム10(図7A,7B及び7Cに示されているものと同じである)とを備えている“三葉”型式の構成である。この構成の主たる利点は、構造強さをより大きくすることにあるが、しかし、ロータに干渋するドラグが過剰になると共に伴流がより大きくなる犠牲を払う。しかしながら、上述したベンチェリ効果がこれに対して補いをするであろう。
【0056】
図7A,7B,7C及び図8A,8B,8Cの構成において、上側のプラットフォーム10は、一般には(しかし、必ずではない)、好適な実施例として、下側の支持プラットフォーム1よりも弦長さ及び断面積が小さくされる。これは、実質的に、図7A,7B,7C及び図8A,8B,8Cに示されている。
【0057】
また、水が十分に深い場所では、上側翼の上に他の一列のタービンを加えることができる。実際に、たとえ多くの場合において好適な実施例が単列のタービンであって、これがメンテナンスのためにアクセスを容易にし、また最も簡単な構造配置を提供するとしても、多くの列のタービンをそれらの直径に関連して水柱の深さに適応して設けることができる。この多層のオプションは、ここには示されていない。
【0058】
図2A,2B,図3A−3D,図4A,4B及び図5A,5Bのグループに示されている同じリフティング装置は、また、図6A,6B、図7A−7C及び8A−8Cのグループに示されている“複葉”及び“三葉”型式の構成のために用いることができる。
【0059】
次に、図9A及び9Bは、リフティング柱2Aを備えている支持体2により担持されている単一の平らな支持面又はデッキ1を包含する実施例を略図的に示す。しかし、その原理は、図6A,6B,図7A−7C及び図8A−8Cのグループに示されているような“複葉”及び“三葉”型式の構成に等しく適用できるものである。
【0060】
図9A(水の流れ方向WFから見た正面図である)は、支持プラットフォーム又はデッキ1が下降して作動している状態を示す。これに対し、図9Bは支持プラットフォーム又はデッキ1がメンテナンスのために水面にまで上昇している状態を示す。これらの図は平らな支持面、すなわち、プラットフォーム又はデッキ1が複数のタービン3を担持することができる構成を示す。この場合において、プラットフォーム又はデッキ1は、このプラットフォーム又はデッキを上昇せしめるのに浮力に頼る必要がないような方法で支持され、タービンの配列体を完備しているプラットフォーム又はデッキアセンブリの全体を水面にまで上昇させるために、液圧ラム又は電気ジャッキ若しくはウィンチ(図示せず)を使用する機械的手段が設けられている。プラットフォーム又はデッキ1の浮力は、リフトの代用として用いることができ、これにより必要とされるリフティング力を減少せしめる。これらの図9A及び9Bは、タービンを担持している平らな支持面、すなわち、プラットフォーム又はデッキを上昇せしめるために異なる方法を用いることができることを明らかに示していることを理解されよう。また、図9A及び9Bにより示されている実施例においては、リフティング柱2Aが常時水面WLよりも上に突き出て、水平構造部材10により連結されているが、この水平構造部材は任意の追加であることを留意すべきである。
【0061】
図10A及び10Bは、図1A−1C又は図6A,6Bの主支持プラットフォーム又はデッキ1(及び他のすべての図に示されている主支持プラットフォーム又はデッキ1)の断面形状の他の例を示す断面図である。すなわち、以上述べた各図の支持プラットフォーム又はデッキは対称の流線形の楕円断面形状を有するように示されているけれども、図10Aの例は上側よりも下側が大きな凸面である非対称の断面を有している。この上側は、図示するように、多少凹面とすることができる。しかし、上側が平面でも又は下側よりも小さい凸面である場合においても、同じ原理が適用される。図10Bは、下側よりも上側が大きな凸面である非対称の断面のプラットフォーム又はデッキ1を示す。
【0062】
これらの図10A及び10Bは、流線形の形のプラットフォーム又はデッキの上方及び下方において流動する水柱中の粒子に追随する水の流れを示す。
【0063】
図10A及び10Bの両方において、プラットフォーム又はデッキ1の左側である上流の断面“A−A”では、水柱にわたってのフロープロフィル又は速度傾きは海、川又は河口の潮流の何一つ邪魔のない典型的な流れであり、最速で流れる水はこの流れの上方の50%であり、また一般に、速度の指数低下はこの流れの下方の50%に生じ、零に達して、水が底に直接接触する(速度は図10A及び10Bに矢印の長さにより示されており、各流線は断面“A−A”を横切っている)。
【0064】
断面“B−B”で示されている水柱にわたっての速度プロフィルは、どのようにして水が定形プラットフォーム又はデッキにより生じた妨害の存在により影響されるかを示し、水の流れは妨害の上流でそれるようにスタートする。同様に、断面“C−C”での速度プロフィルは、タービン3が配置されている位置でのプラットフォーム又はデッキ1の真上及び真下のだいたいの速度分布を示す。実際に、断面“B−B”での速度プロフィルは、断面“A−A”での速度プロフィルと断面“C−C”での速度プロフィルとの間の中間である。
【0065】
図10A及び10Bは、流体力学の連続の法則から明らかにされている周知の効果を示し、流れは、もし長い通路に追随しなければならない場合又は流れが流れる断面が滑らかに減少する場合には加速される。したがって、流線は一緒に圧搾され、流れは非対称の流線形のプラットフォーム又はデッキの大きな凸面側にわたって加速し、また流れは小さい凸面又は凹面の側では減速して、流線は広く離れるように広がる傾向となる。これは、実際に、翼又は水中翼を通過する流れと同様であり、随伴効果(これもまたよく知られている)により、速く動く流体は圧力の減少を生じせしめ、これに対し、遅く動く流体は圧力の増大を生じせしめる。その結果生ずる、流線形のプラットフォーム又はデッキの圧力差は、水中翼又は翼の効果と同様であり、流れ方向に対して直角の力を生じせしめ、この力は図10A及び10Bに“L”として示されているリフト力を発生せしめる。このリフト力“L”よりも非常に小さいドラグ力“D”が、また、流れの方向に発生する。これらのリフト力及びドラグ力は、支持構体又は引張り係留索により耐えさせる必要がある。
【0066】
図10A及び10Bの両方は、非対称の形状とした支持プラットフォーム又はデッキの効果がその上面にわたって比較的均一な流れを生じせしめることにあることを示しており、この均一な流れは、大きな凸面の側が上向きである場合(図10Bに示されている)には、自由な流れ状態(断面“A−A”の位置に示されている)と比べて多少加速され、また、大きな凸面の側が下向きである場合(図10Aに示されている)には、自由な流れ状態と比べて多少減速される。
【0067】
タービンロータを非対称の支持プラットフォーム又はデッキの上の空間に配置することにより(図10A及び10Bに略図的に示されている)、タービンロータを通る流れをより一層均一にすることができる(これは、効率とタービンロータの最少の摩耗及び引き裂きとの両方の見地から利益がある)。また、最大の凸面が上向き又は下向きに面しているかどうかによって、自由流れ速度を、少しではあるが潜在的には有益な量だけ増大又は減少することができる。これは、また、海又は川の底SBの真上に生ずる、流水の流れの乱流境界層BLをタービンロータ3のできる限り下及び外に維持させるようにすることにより、部分的に達成される(図10A及び10B)。境界層は、水の流れが海又は川の底と相互に作用する乱流により作られ、もしこの境界層の均一性が一様でなく又は欠けている場合には、境界層はすばやく厚くなり、もしタービンロータが非常にかく乱した流れのこの区域に入り込んだ場合には、性能の損失及びタービンロータの底部への損傷を生じせしめる。
【0068】
最後に、非対称の支持プラットフォーム又はデッキにより発生したリフト力は、支持プラットフォーム又はデッキの安定性を改善するために用いることができる。すなわち、図10Aの場合においては、プラットフォーム又はデッキ1が圧縮支持体(又は脚)上に取り付けられ、下向きの力Lが実際に過剰の下向きスラストを作ってプラットフォーム又はデッキを支持体上にしっかりと保持する。図10Bの場合においては、支持プラットフォーム又はデッキを浮かして引張り係留索により適所に保持させ、上向きに作用するリフト力は、係留索の引張りを維持するのに必要とされる浮力効果に加えることにより、プラットフォーム又はデッキを安定させるようにする。リフト力及びドラグ力の両方は流れの速度の2乗に比例するので、これらの力は強い流れ中でも十分に大きな力で持ってシステムを安定させ、リフト成分とドラグ成分とは釣り合ったままでいる。
【0069】
図11は、図10Bに示されている実施例の変形例を示す。この変形例においては、支持プラットフォーム又はデッキ1の下の空間がこの空間を封鎖するために設けられていると共に“X−X”で示されている封鎖体によりほとんど完全に封鎖されている。この効果は、断面“A−A”の位置で水柱中の流水の大部分を上昇せしめるように強制すると共に、タービン3が配置されている断面“C−C”の位置での水柱の減少した高さにわたって流れを圧搾することにあることを、見ることができよう。
【0070】
プラットフォーム又はデッキの凸面の上側の形状は、水面を横切る流れが均一で加速されるようにする。小量の水は、図11に示されているように、封鎖体“X−X”の上でかつプラットフォーム又はデッキの真下のひとつ又は複数のスロット12を通して、プラットフォーム又はデッキの下を任意に漏出することができるようにされている。これは、主として、乱流境界層がプラットフォーム又はデッキの頂部を横切る流れと衝突するのを防止するものであり、基本的には、下側で漏れる小量の水の流れが、滑らかに流動する主流の一部分をプラットフォーム又はデッキの下に流出することにより、境界層の高さを制限する。
【0071】
図11の実施例を用いる利点は、タービンを通る水の流れをより一層均一にして乱流を少なくすることのみならず、水の流れを十分に加速させて小さなタービンからより大きくの動力を得ることができることにある。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1A】流水により駆動可能なタービンを取り付けるための、本発明の第1の実施例による支持構体の等角投影図であって、一列のタービンが前記支持構体により担持されている。
【図1B】図1Aの等角投影図の端面図である。
【図1C】図1Aの等角投影図の正面図である。
【図2A】本発明の第2の実施例によるタービン支持構体及び関連するタービンの端面図であって、タービンが上昇した位置である前記支持構体を示す。
【図2B】図2Aの実施例の正面図である。
【図3A】本発明の第3の実施例によるタービン支持構体及び関連するタービンの端面図であって、タービンが作動位置である前記支持構体を示す。
【図3B】図3Aの実施例の正面図である。
【図3C】本発明の前記第3の実施例によるタービン支持構体及び関連するタービンの端面図であって、タービンが上昇した位置である前記支持構体を示す。
【図3D】図3Cの実施例の正面図である。
【図4A】本発明の第4の実施例によるタービン支持構体及び関連するタービンの端面図であって、タービンが作動位置である前記支持構体を示す。
【図4B】本発明の第4の実施例によるタービン支持構体及び関連するタービンの端面図であって、タービンが上昇した位置である前記支持構体を示す。
【図5A】図4Aの実施例によるタービン支持構体の正面図である。
【図5B】図4Bの実施例によるタービン支持構体の正面図である。
【図6A】流水により駆動可能なタービンを取り付けるための、本発明の第5の実施例による支持構体の等角投影図であって、一列のタービンが前記支持構体により担持されている。
【図6B】海底に取り付けられたときの図6Aの実施例の正面図である。
【図7A】流水により駆動可能なタービンを取り付けるための、本発明の第6の実施例による支持構体の等角投影図であって、一列のタービンが前記支持構体により担持されている。
【図7B】海底に取り付けられたときの図7Aの実施例の端面図である。
【図7C】図7Bの実施例の正面図である。
【図8A】流水により駆動可能なタービンを取り付けるための、本発明の第7の実施例による支持構体の等角投影図であって、一列のタービンが前記支持構体により担持されている。
【図8B】海底に取り付けられたときの図8Aの実施例の端面図である。
【図8C】図8Bの実施例の正面図である。
【図9A】流水により駆動可能なタービンを取り付けるための、本発明の第8の実施例による支持構体の等角投影図であって、一列のタービンが前記支持構体により担持され、これらのタービンが水面よりも下の作動位置であるときを示す。
【図9B】図9Aの実施例を示す図であって、一列のタービンが水面よりも上の位置に上昇させられているときを示す。
【図10A−10B】本発明の概念を具体化する2つの異なる支持構体に関しての水の流れを示す図である。
【図11】図10Bに示されている実施例の変形例を示す図である。











【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水により駆動することができるタービンシステムのための支持構体において、ひとつ又は複数のタービンアセンブリ(3)が、水流と作用上協働するために、流水の柱中で、流線形断面のデッキ又はプラットフォーム(1)に取り付けられ、前記デッキ又はプラットフォームは流水の底(SB)に関して高い位置に設置され、かつ前記デッキ又はプラットフォームはこのデッキ又はプラットフォームが水流に対してのその抵抗を最小にするために水流と水平に整列するように水平に整列されていることを特徴とする支持構体。
【請求項2】
水流により駆動することができるタービンシステムのための支持構体において、ひとつ又は複数のタービンアセンブリ(3)が、水流と作用上協働するために流線形断面のデッキ又はプラットフォーム(1)に取り付けられ、前記タービンアセンブリ(3)はこの又はこれらのタービンアセンブリが水流を横切って、すなわち、水の流れ方向(DW)に対して垂直に配置されるように取り付けられ、かつ前記デッキ又はプラットフォームは水流に対してのその抵抗を最小にするために水流と水平に整列されていることを特徴とする支持構体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の支持構体において、前記デッキ又はプラットフォーム(1)は矩形のプラットフォーム又はデッキであることを特徴とする支持構体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の支持構体において、前記タービンを担持している前記デッキ又はプラットフォーム(1)は前記流水の底から直立する少なくとも2つの支持脚又はストラット(2)により前記高い位置に支持されていることを特徴とする支持構体。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の支持構体において、前記デッキ又はプラットフォーム(1)は浮力があり、前記底に固定されている引張りケーブル、ロープ又はタイ(5)により水柱中に降下されて前記高い位置に保持されていることを特徴とする支持構体。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の支持構体において、前記デッキ又はプラットフォーム(1)をその作動位置と水面(WL)に隣接する第2の位置とに移動させることができる手段が設けられ、これにより前記デッキ又はプラットフォーム(1)と関連している前記タービン(3)が少なくとも水面に到達することができ、これにより前記タービン(3)に水上船を用いてメンテナンス又は修繕のためにアクセスすることができることを特徴とする支持構体。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の支持構体において、流線形断面の少なくともひとつの他のデッキ又はプラットフォーム(10)を包含し、この他のデッキ又はプラットフォームは“複葉”又は“三葉”の形に配置され、この配置により、支持構体の構造強さを改善するようにしたことを特徴とする支持構体。
【請求項8】
請求項7記載の支持構体において、前記他のデッキ又はプラットフォーム(10)は、前記デッキ又はプラットフォーム(1)と関連している前記タービン(3)の軸線の高さ位置に、又はこの軸線の高さ位置よりも上方に、若しくはこの軸線の高さ位置及びこの軸線の高さ位置よりも上方の両方に、前記デッキ又はプラットフォーム(1)の表面と平行な表面を形成するように配置されていることを特徴とする支持構体。
【請求項9】
請求項8記載の支持構体において、前記デッキ又はプラットフォーム(1)の表面と平行な前記表面(10)はその弦及び厚さが前記デッキ又はプラットフォーム(1)と同じ大きさか、又はそれよりも小さいか若しくは大きいことを特徴とする支持構体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の支持構体において、流線形断面の前記デッキ又はプラットフォーム(1)は非対称の流線形断面を有し、上面及び下面が凸面で、一方の表面が他方の表面よりも大きくて、一方の表面の凸面が他方の表面よりも大きいことを特徴とする支持構体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の支持構体において、流線形断面の前記デッキ又はプラットフォーム(1)は非対称の流線形断面を有し、一方の表面が凸面であると共に他方の表面が実質的に平面又は凹面であって、一方の表面の凸面が他方の表面と比べて大きく、この断面形状により、前記大きな凸面の表面を横切る流れを加速させて前記ガスタービンのロータを通しての速度せん断を減少せしめることを特徴とする支持構体。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の支持構体において、流線形断面の前記デッキ又はプラットフォーム(1)は非対称の流線形断面を有し、一方の表面が凸面であると共に他方の表面が実質的に平面又は凹面であって、一方の表面の凸面が他方の表面と比べて大きく、この断面形状により、前記デッキ又はプラットフォーム(1)が支持体(2)に取り付けられて前記大きな凸面の表面が下向きに面しているときには、前記デッキ又はプラットフォーム(1)を横切る水流が発生したリフト力の結果として下向きのスラストを生じせしめ、この下向きのスラストが前記デッキ又はプラットフォーム(1)をその支持体上にしっかりと定着させるのを助け、また、前記大きな凸面の表面が上向きに面しているときには、前記デッキ又はプラットフォーム(1)を横切る水流がリフト力の結果として上向きのスラストを生じせしめ、この上向きのスラストが引張り脚浮き固定装置(5)の引張り及び安定性を維持することを助けることができるようにしたことを特徴とする支持構体。
【請求項13】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の支持構体において、流線形断面の前記デッキ又はプラットフォーム(1)は非対称の流線形断面を有し、一方の表面が凸面であると共に他方の表面が実質的に平面又は凹面であって、一方の表面の凸面が他方の表面と比べて大きく、この断面形状により、前記デッキ又はプラットフォーム(1)が前記底(SB)に固定されている引張りケーブル、ロープ又はタイ(5)により水柱中に降下されて前記高い位置の保持されて、前記大きな凸面の表面が上向きに面しているときには、前記デッキ又はプラットフォーム(1)を横切る水流がリフト力の結果として上向きのスラストを生じせしめ、この上向きのスラストが引張り脚浮き固定装置(5)の引張り及び安定性を維持するのを助けることができるようにしたことを特徴とする支持構体。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の支持構体において、流線形断面の前記デッキ又はプラットフォーム(1)はその下面よりも大きな凸面の上面を有し、前記一列のタービンを通る水流を加速するために、流線形断面の前記矩形のデッキ又はプラットフォーム(1)の下の空間は封鎖体(X−X)により実質的に封鎖され、これにより、前記デッキ又はプラットフォームは、このデッキ又はプラットフォームに関しての水流の大部分を上昇せしめると共にその凸面の上面にわたってかつ前記タービンアセンブリ(3)のロータを通して加速せしめ、また、前記水流の小量部分を、流線形断面の前記矩形のデッキ又はプラットフォーム(1)の下面と前記封鎖体(X−X)の頂部との間の狭いスロット(12)を通して流出させることができるようにし、これにより乱流境界層が流線形断面の前記矩形のデッキ又はプラットフォーム(1)の頂部にわたってそらされるのを防止し、これにより前記タービンアセンブリ(3)のロータを通しての平均水流速度の十分な増大が得られ、これにより前記タービンアセンブリ(3)の動力出力を改善するようにしたことを特徴とする支持構体。

【図11】
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【公表番号】特表2006−521498(P2006−521498A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506017(P2006−506017)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001284
【国際公開番号】WO2004/085845
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505111166)マリーン カレント タービンズ リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】MARINE CURRENT TURBINES LIMITED
【住所又は居所原語表記】THE COURT,THE GREEN,STOKE GIFFORD,BRISTOL BS34 8PD, G.B.
【Fターム(参考)】