説明

データ再生装置

【課題】特定の地域や場所のみでの再生が望まれるデータを、それ以外の場所で再生できないようにする。
【解決手段】現在位置の位置情報を検出するGPSアンテナ2と、楽曲情報Bと再生位置情報Aとを対応づけて記憶する楽曲情報記憶部3と、該楽曲情報記憶部3に記憶されている楽曲情報Bを再生する楽曲情報再生部4と、GPSアンテナ2により検出された現在位置の位置情報が、楽曲情報記憶部3に記憶されている再生位置情報Aと一致しているときに、当該再生位置情報Aに対応づけられた楽曲情報Bの再生を可能にするよう楽曲情報再生部4を制御する制御部6とを備える音楽再生装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、位置情報に対応づけて楽曲データを記憶しておき、GPS装置によって検出した現在位置が記憶されている位置情報に一致した場合に、当該位置情報に対応づけて記憶されている楽曲データを再生する携帯電話機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示された発明は、携帯電話機を有しているユーザが山中にいるか海岸近郊にいるか等の位置情報に応じて、その場所に応じて予め設定されている楽曲データを着信音として再生させるものである。
【0003】
また、自動車の周囲環境に応じた楽曲データを自動的に選択して再生するカーオーディオ装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献1および特許文献2に開示されているデータ再生装置は、予め登録されている楽曲データをGPS装置によって検出した現在位置情報に応じて自動再生するに留まり、楽曲データ自体はユーザの要求によりいつでも再生できる。
【0004】
【特許文献1】特開2006−154087号公報
【特許文献2】特開平4−317835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、データの著作者や作成者によっては、特定の地域や場所以外の場所においてそのデータがユーザによって再生されることを望まない場合がある。例えば、特定の地域や場所に身を置いて初めて得られる音や香りや情景等をそのデータの不可欠の前提としている場合である。従来のデータ再生装置では、ユーザの要求によりデータを特定の地域や場所以外でも再生できるので、前提を欠いたものとなり、著作者や作成者の要求を必ずしも満たすことはできないという不都合があった。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、特定の地域や場所のみでの再生が望まれるデータを、それ以外の場所で再生できないようにするデータ再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、現在位置の位置情報を検出する位置検出部と、再生可能なデータと再生位置情報とを対応づけて記憶するデータ記憶部と、該データ記憶部に記憶されている再生可能なデータを再生するデータ再生部と、前記位置検出部により検出された現在位置の位置情報が、前記データ記憶部に記憶されている再生位置情報と一致しているときに限り、当該再生位置情報に対応づけられた前記再生可能なデータの再生を可能にするよう前記データ再生部を制御する制御部とを備えるデータ再生装置を提供する。
【0008】
上記発明においては、前記位置検出部により検出された現在位置の位置情報が、前記データ記憶部に記憶されている再生位置情報と一致あるいは近接していることを報知する報知部を備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定の地域や場所のみでの再生が望まれるデータを、それ以外の場所で再生できないようにすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施形態の、データ再生装置について説明する。
本実施形態のデータ再生装置は、現在位置の位置情報を検出する位置検出部と、再生可能なデータと再生位置情報とを対応づけて記憶するデータ記憶部と、該データ記憶部に記憶されている再生可能なデータを再生するデータ再生部と、位置検出部により検出された現在位置の位置情報が、データ記憶部に記憶されている再生位置情報と一致しているときに限り、当該再生位置情報に対応づけられた再生可能なデータの再生を可能にするようデータ再生部を制御する制御部とを備える。
【0011】
本実施形態によれば、位置検出部が、現在位置の位置情報を取得すると、制御部は、再生位置情報と取得された現在位置の位置情報とを比較する。ここで、再生位置情報は、データ記憶部に、再生可能なデータと対応づけて記憶されている。
そして、再生位置情報と取得された現在位置の位置情報とが一致している場合に、その再生位置情報に対応した再生可能なデータの再生を許可するようにデータ再生部が制御される。
【0012】
すなわち、視聴者は、再生可能なデータに対応づけて記憶されている再生位置情報に対応する地域あるいは場所に行くことで、初めてそのデータを再生することが可能となる。その結果、特定の地域あるいは場所に身を置いて初めて得られる環境等を前提とするデータを、その前提を満たした状態でのみ再生することができる。逆に、特定の地域あるいは場所以外では、そのデータの前提(特定の環境等でのみ視聴すること)を欠いた状態であるため、データが再生されることを禁止することができる。
【0013】
また、再生可能なデータに対応づけて記憶されている再生位置情報に対応する地域あるいは場所に行くことが、そのデータを再生する前提となるので、視聴者をその地域や場所に誘導することが可能となる。その結果、その地域あるいは場所への旅行や地域での経済行為等により付加的な経済効果を得ることができる。特に、データが楽曲である場合、再生位置情報として、作曲者や歌手に関係の深い地域や場所を設定することにより、その場所でその楽曲を聴きたいという視聴者の心理により購買意欲をかき立てて、当該楽曲の販売あるいは配信を促進することが可能となる。
【0014】
上記のデータ再生装置においては、位置検出部により検出された現在位置の位置情報が、データ記憶部に記憶されている再生位置情報と一致あるいは近接していることを報知する報知部を備えることとしてもよい。
このようにすることで、表示部に現在位置の位置情報と再生位置情報との一致あるいは近接が報知されるので、視聴者をその地域や場所に誘導することができる。その結果、その地域や場所でしか再生できないデータを聞き逃して、その地域や場所を通過してしまう不都合を防止し、より確実に再生することができる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る音楽再生装置1について、図1〜図3を参照して、以下に説明する。
本実施形態に係る音楽再生装置1は、図1に示されるように、現在位置の地理的な座標(位置情報)を受信するGPSアンテナ(位置検出部)2と、楽曲データ(再生可能なデータ)を記憶する楽曲情報記憶部(データ記憶部)3と、該楽曲情報記憶部3に記憶されている楽曲データを再生する楽曲情報再生部(データ再生部)4と、楽曲情報を表示する表示部5と、GPSアンテナ2により受信された現在位置の座標に基づいて楽曲情報再生部4を制御する制御部6と、報知部7とを備えている。図中符号8は、楽曲情報再生部4により再生される楽曲データを音響信号に変換するスピーカである。
【0016】
楽曲情報記憶部3は、図2に示されるように、特定の地理的な座標あるいは座標範囲を示す座標情報Aと楽曲情報Bとを対応づけて記憶する。楽曲情報Bには、楽曲データの他、楽曲名、作曲家名、作詞家名、歌手名および再生時間等の付加情報が含まれている。
【0017】
表示部5は、楽曲データが再生されている際に、付加情報のいずれかあるいは全てを表示する。また、再生可能な楽曲名を一覧表示してもよい。制御部6は、GPSアンテナ2により受信される現在位置の座標が、楽曲情報記憶部3に記憶されているいずれかの楽曲情報Bと対応づけられている座標情報Aと一致しているか、あるいは、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標範囲内にあるか否かを常時監視している。
【0018】
そして、制御部6は、現在位置の座標が、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標情報Aと一致あるいは近接している場合、あるいは、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標範囲内にある場合に、当該座標情報Aあるいは座標範囲に対応づけて記憶されている楽曲データを楽曲情報再生部4により再生可能とするように楽曲情報再生部4を制御する。
【0019】
報知部7は、制御部6において、現在位置の座標が、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標情報Aと一致していると判断された場合、あるいは、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標範囲内にあると判断された場合に、その旨を報知する。報知の方法としては、LEDを点灯あるいは点滅させたり、音を鳴らしたり、振動させたりする任意の方法を採用できる。
【0020】
このように構成された本実施形態に係る音楽再生装置1によれば、電源を入れることにより(ステップS1)、再生可能状態にすると、表示部5に再生可能な楽曲名のリストが一覧表示される(ステップS2)。これにより、ユーザがリスト内から特定の楽曲名を選択したか否かが判断され(ステップS3)、再生指示が入力された場合には、選択された楽曲情報が楽曲情報再生部4によって再生される(ステップS4)。
【0021】
また、GPSアンテナ2により現在位置の座標が受信されると(ステップS5)、制御部6は、受信された座標と、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標情報Aとを対比する。受信された座標に一致する座標情報Aあるいは受信された座標を含む座標範囲が楽曲情報記憶部3に記憶されている場合(ステップS6)には、制御部6は、当該座標情報Aあるいは座標範囲に対応づけて記憶されている楽曲情報B内の楽曲データを再生可能にする(ステップS7)。
これにより、表示部5の再生可能な楽曲名のリストに、新たな楽曲名が追加されて表示され、ユーザはこれを選択して再生することができるようになる。
【0022】
また、音楽再生装置1を携帯したユーザが移動することにより、GPSアンテナ2により受信される現在位置の座標が、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標情報Aと相違し、あるいは座標範囲から外れた場合(ステップS6)には、制御部6が、当該座標情報Aあるいは座標範囲に対応づけて記憶されている楽曲情報B内の楽曲データの再生を不可能にする(ステップS9)。
【0023】
これにより、表示部5の再生可能な楽曲名のリストから当該楽曲名が消去され、ユーザはこれを選択することができないので、再生することが禁止される。
そして、電源が切られたか否かが判断され(ステップS8)、電源が入れられている限り、ステップS2〜S9が繰り返される。
【0024】
このように、本実施形態に係る音楽再生装置1によれば、楽曲情報Bに対応づけて記憶されている座標情報Aに対応する地域あるいは場所に行くことで、初めてその楽曲情報Bを再生することが可能となる。その結果、特定の地域あるいは場所に身を置いて初めて得られる環境等を前提とする楽曲を、その前提を満たした状態でのみ聴くことができる。逆に、特定の地域あるいは場所以外では、その楽曲の前提(特定の環境等でのみ視聴すること)を欠いた状態であるため、楽曲が聴かれることを禁止することができる。
【0025】
また、本実施形態に係る音楽再生装置1によれば、楽曲情報Bに対応づけて記憶されている座標情報Aに対応する地域あるいは場所に行くことが、その楽曲を聴く前提となるので、ユーザをその地域や場所に誘導することが可能となる。これにより、ユーザのその地域あるいは場所への旅行や地域での経済行為等により付加的な経済効果を得ることができる。
【0026】
特に、座標情報Aとして、作曲者や歌手に関係の深い地域や場所を設定することにより、その場所でその楽曲を聴きたいというユーザの心理に訴えることができる。また、音楽アルバムCD内、あるいは、インターネットからダウンロードした音楽アルバム内に、その場所に行ったユーザだけが聴くことができる楽曲をその座標情報Aとともに含めておくことにより、ユーザの購買意欲をかき立てて、当該音楽アルバムCDの販売あるいは配信を促進することができるという効果もある。
【0027】
また、本実施形態に係る音楽再生装置1によれば、ユーザの携帯する音楽再生装置1が自らGPSアンテナ2を介して取得した現在位置情報に基づいて、自ら記憶している楽曲情報Bを再生できる。したがって、再生を許可する地域や場所に特別の装置を設ける必要がないため、容易に実用化することができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、GPSアンテナ2により受信された現在位置の座標が、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標情報Aあるいは座標範囲に一致あるいは近接したときに、報知部7によりその旨が報知されるので、ユーザがその地域や場所を気づかずに通過して聞き逃してしまう不都合の発生をより確実に防止することができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、音楽再生装置1として、ユーザが携帯するポータブルのプレーヤ、携帯電話機等を想定して説明したが、これに代えて、車載式のナビゲーションシステムに備えられたものに適用してもよいことは言うまでもない。
【0030】
また、本実施形態においては、制御部6は、現在位置の座標が、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標情報Aと一致あるいは近接している場合、あるいは、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標範囲内にある場合に、当該座標情報Aあるいは座標範囲に対応づけて記憶されている楽曲データを楽曲情報再生部4により再生を開始するように楽曲情報再生部4を制御してもよい。
【0031】
この場合、現在位置の座標が、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標情報Aと一致あるいは近接したと同時に、あるいは、楽曲情報記憶部3に記憶されている座標範囲内にあると同時に、当該座標情報Aあるいは座標範囲に対応づけて記憶されている楽曲データが再生される。その結果、ユーザがその地域や場所を気づかずに通過して聞き逃してしまう不都合の発生をより確実に防止することができる。
また、この場合や、楽曲情報Bに付加情報が含まれていない場合は、表示部5を省略してもよい。従って、ステップS2からS4は省略することができる。また、ステップS7または、S9における、表示部5に表示されるリストへの楽曲名の追加または消去を省略することができる。
【0032】
また、本実施形態においては、位置検出部として、GPSアンテナ2を用いたが、これに代えて、携帯電話や、ホットスポット用の通信端末の通信手段を適用してもよい。この場合、携帯電話や、ホットスポット用の通信端末の通信手段によって、現在位置の座標を受信することができる。
【0033】
また、本実施形態においては、再生可能なデータとして、楽曲データを用いたが、これに代えて、音声データ、画像データ、動画データ等の各種データとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る音楽再生装置を示すブロック図である。
【図2】図1の音楽再生装置の楽曲情報記憶部内に記憶されるデータの一例を示す図である。
【図3】図1の音楽再生装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
A 座標情報(再生位置情報)
B 楽曲情報(再生可能なデータ)
1 音楽再生装置(データ再生装置)
2 GPSアンテナ(位置検出部)
3 楽曲情報記憶部(データ記憶部)
4 楽曲情報再生部(データ再生部)
6 制御部
7 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置の位置情報を検出する位置検出部と、
再生可能なデータと再生位置情報とを対応づけて記憶するデータ記憶部と、
該データ記憶部に記憶されている再生可能なデータを再生するデータ再生部と、
前記位置検出部により検出された現在位置の位置情報が、前記データ記憶部に記憶されている再生位置情報と一致しているときに限り、当該再生位置情報に対応づけられた前記再生可能なデータの再生を可能にするよう前記データ再生部を制御する制御部とを備えるデータ再生装置。
【請求項2】
前記位置検出部により検出された現在位置の位置情報が、前記データ記憶部に記憶されている再生位置情報と一致あるいは近接していることを報知する報知部を備える請求項1に記載のデータ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−192750(P2009−192750A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32446(P2008−32446)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】