説明

データ記録装置

【課題】リアルタイム性が要求されるにデータを記録しているときに、記録が途中で途切れたり、止まってしまったりすることがある。
【解決手段】データ記録装置が、データを記録するための着脱可能な複数の記録媒体101〜103におけるデータ領域の空き状態を確認し、空き状態を示す空き情報を出力する記録媒体確認手段106と、記録媒体確認手段106が出力する空き情報と記録条件109に基づいて、複数の記録媒体101〜103の高速記録可能領域と低速記録領域とを判定し、データを記録する領域を判断する記録領域判断手段107と、記録領域判断手段107が判断した領域にデータを記録する記録手段105とを備えることにより、データが途切れることなく記録することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録媒体に渡って連続でデータの記録を行うデータ記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容量の比較的小さいリムーバブルな蓄積メディアを複数個用い、AVデータのような大容量データを連続して記録する場合、複数ファイルを1つのファイルとみなして分割記録できるように複数のSDメモリカードの論理セクタ領域を連続的に取り扱えるようにするため、単一の論理デバイスとして扱うようにしていた。
【0003】
一方、リムーバブルな蓄積メディアにはフラッシュメモリが使われている。フラッシュメモリは消去単位ごとにしか書き込みを行うことができないが、近年、大容量化に伴い、消去単位が比較的大きくなってきている。
【0004】
図7は消去単位内で使われている領域が存在した場合、消去単位内で空き領域に書き込みを行うには、既に記録されている領域を一旦読み出し、新たに書き込む領域を加えて一気に書き込みを行う一般的なフラッシュメモリの記録手順を示している。
【0005】
図7から、消去単位内で既に使われている領域の大きさにより同じサイズのデータを記録する場合に記録にかかる時間が大きくことなる。つまり、連続で書き込むデータのビットレートと記録装置の性能と、どれだけ消去単位内で使われている領域があるかによって、高速で書き込むことができる高速記録可能領域が決まる。
【0006】
1つの記憶媒体の中では、FATファイルシステムを用いた場合、クラスタと呼ばれる書き込み単位で管理され、その書き込み単位が1つ以上集まって消去単位が形成される。図8は、各消去単位内におけるクラスタの使用状況を表した例である。クラスタが連続で記録されていない状態になるのは、比較的小さなファイルの書き込みを繰り返し行い、そのうちのいくつかを削除することを繰り返すことにより発生する。この場合、図8のように、1つの消去単位の中で、既に記録済みのクラスタの数と、記録するAVストリームのビットレート、AVストリームを蓄えるバッファ、記録媒体の性能などの条件により、リアルタイムにAVストリームが記録可能な高速記録可能領域とリアルタイム記録には不向きな低速記録領域にわけられる。
【0007】
データを記録する際、同じ記録装置内で高速記録可能領域と低速記録領域が混在している場合、高速記録可能領域か低速記能領域かに関わらず、空き領域を見つけたところに記録を行うか、高速記録可能領域がなくなった後には、そのまま低速記録領域に記録を行っていた。
【特許文献1】特開2005−4514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、リアルタイム性を要求されるAVストリームを低速記録領域に記録する場合、記録時間が間に合わずに、ストリームが途中で途切れたり、また止まってしまったりする場合があり、長時間の記録ができないという課題があった。また、記録を止めないために一時バッファを用いて、記録が間に合わない分をバッファに保存しておく方法もあるが、記録装置の性能や、空き状態によっては、大容量のメモリが必要となるという課題があった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、途中で記録が途切れたり、記録が止まってしまったりしないデータ記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明のデータ記録装置は、データを記録するための着脱可能な複数の記録媒体におけるデータ領域の空き状態を確認し、空き状態を示す空き情報を出力する記録媒体確認手段と、前記記録媒体確認手段が出力する前記空き情報と記録条件に基づいて、前記複数の記録媒体の高速記録可能領域と低速記録領域とを判定し、データを記録する領域を判断する記録領域判断手段と、前記記録領域判断手段が判断した領域にデータを記録する記録手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明のデータ記録装置は、高速記録可能領域を優先的に選択してストリームを記録していくため、途中で記録の中断や、ストリームが途切れることがなく、記録時間を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施例におけるデータ記録装置の構成例を示すブロック図である。図1において101、102、103はデータを記録する記録媒体であり、図1には記録媒体が3つの例を示しているが、2つ以上であれば、いくつでも構わない。108は記録媒体101〜103に記録するデータ、104は記録するデータを一時的に蓄えておくバッファ、106は記録媒体101〜103に記録されている記録単位毎の記録済みまたは未記録の領域の情報を取得し、取得した情報から各消去単位内での空領域を示す空き情報を作成するまたは、記録媒体101〜103に既に記録されている各消去単位内での空き情報を取得するまたは、記録媒体101〜103から各消去単位内での空き情報を通知されることにより空き情報を取得し、空き情報を後述する記録領域判断手段107へ渡す記録媒体確認手段である。
【0014】
109は記録媒体101〜103へ記録するデータの種別及びビットレート、バッファ104のバッファサイズ、記録サイズなどを与える記録条件である。記録のビットレートは、FINE/NORMAL/ECONOMYなどの画質情報として与えられてもよい。107は記録媒体101〜103から、記録媒体101〜103の記録性能(書き込みスピードなど)を取得し、記録条件109のうち記録するデータのビットレート、バッファ104のバッファサイズから、記録が途中で途切れないことを満たす消去単位内での空き情報を記録媒体確認手段106より渡された情報から検索を行い、検索の結果記録が途中で途切れない領域を高速記録可能領域、それ以外を低速記録領域と判断し、記録条件109におけるデータの種別から高速記録可能領域に記録するか、低速記録領域に記録するかを判断し、記録条件109における記録サイズから、記録媒体101〜103においてデータを記録する位置を決定し、記録位置及び、記録サイズなどの記録領域情報を記録手段105に渡す機能をもつ、記録領域判断手段である。
【0015】
105は、記録領域判断手段107から受け取った記録領域情報に基づいて、バッファ104より記録データを取得して、記録媒体101〜103へ記録を行う記録手段である。
【0016】
以上のように構成されたデータ記録装置において以下、その動作について説明する。図2は本発明の実施の形態1のデータ記録装置において、記録を開始する前処理のフローチャートである。まず、記録媒体確認手段106により記録媒体から記録単位毎の記録済み/未記録の情報を取得する(S201)。取得した情報から、各消去単位で空き情報を作成する(S202、S203)。作成した情報は、記録領域判断手段107へと渡される(S204)。
【0017】
次に図3は、本発明の実施の形態1における記録処理のフローチャートである。記録が開始されるとき、記録条件109により記録ビットレート、バッファサイズ、記録サイズ、動画記録か静止画記録かを表す種別が与えられる(S301)。記録条件109と消去単位での空き領域を示す空き情報から、記録媒体毎にそれぞれ、高速記録可能領域、低速記録領域の判定を行う(S302)。ここで、記録条件109から、動画を記録する場合(S303)には、例えば、記録媒体101から記録を行うとして、まず、ステップS302で判定した高速記録可能領域で指定記録サイズを記録できる領域があるかどうかを判定する(S304)。ここで、指定サイズには満たないが、高速記録可能領域がある場合には、記録領域ありと判定し、実際に記録するサイズを変更し、再度、同一判定を行ってもよい。ここで、記録領域がない場合には、次に、記録媒体102の高速記録可能領域を同様に判定する(S305)。さらに、記録媒体102にもない場合には記録媒体103を検索する(S306)。検索する記録媒体の順番は任意で構わない。S304〜S306の中で記録領域がある場合には、記録する媒体、位置、サイズを指定し、バッファからデータを取り出し、記録を行う(S310〜S312)。もし、記録する領域がない場合には、各記録媒体において、低速記録領域に記録領域があるかを判定し(S313〜S315)、記録領域がある場合には、記録を試みてみる(S310〜S312)。低速記録領域は、動画が途切れる可能性がある領域であるため、高速記録可能領域がなくなった時点で記録を中断してもよい。一方、バッファ104に収まる程度の静止画の場合、動画用に領域を確保しておくため、まず、低速記録領域から記録領域を探すことにしている(S307〜S309)。
【0018】
これにより、図3の動作をするデータ記録装置は、記録媒体101〜103の空き領域を確認して、高速記録可能領域か低速記録領域かを判断した後に、データ108を記録するので、動画のように連続に高速記録が必要なデータを連続で記録可能な時間を確保することができ、データ108が途切れることなく記録することができるものである。
【0019】
次に図4は、本発明の実施の形態1における記録処理の別のフローチャートである。これは、本発明の実施の形態1の記録装置が記録媒体101〜103に動画を記録するときに、高速記録可能領域の残りサイズがわずかであるときの動作を示すものである。図3の記録処理のフローチャートと、記録条件109により記録ビットレート、バッファサイズ、記録サイズ、動画記録か静止画記録かを表す種別が与えられ、記録媒体毎にそれぞれ、高速記録可能領域、低速記録領域の判定を行い、記録種別により処理をわけるステップまでは同等である。また、静止画の記録に関しても、図3のフローチャートと同等である。
【0020】
動画記録において、記録媒体101に高速記録可能領域と判定した領域に指定記録サイズを記録できる領域があるかどうかを判定し(S404)、さらに記録できる高速記録可能領域の記録可能サイズが残りわずかの場合(S407)には、残りの領域に記録を行うのではなく、記録媒体102に指定記録サイズを記録できる高速記録可能領域があるかどうかの判定を行う(S405)。ここで、記録可能サイズが残りわずかであるとは、閾値により記録可能サイズが所定値以下であるかどうかに基づいて判定する。そして同様に、記録媒体102の指定記録サイズを記録可能な高速記録可能領域のサイズが残りわずかの場合(S408)には、記録媒体103に指定記録サイズを記録できる高速記録可能領域があるかどうかの判定を行い(S406)、記録媒体103の高速記録可能領域のサイズが残りわずかかどうかの判定も行う(S409)。記録媒体103の高速記録可能領域サイズが残りわずかの場合には、記録媒体101〜103の高速記録可能領域のうち残りのサイズが大きいものを選択し(S416、S417)、記録処理を行う(S413〜S415)。図4の処理により、図3の処理と同様の効果を奏し、さらにはデータ108を記録しようとする記録媒体の残りサイズがわずかであるときに、残りサイズが十分な記録媒体へデータ108を記録することが可能になるので、途中で途切れることなく記録媒体にデータ108を記録することができる。
【0021】
次に図5は、本発明の実施の形態1における記録開始前処理のフローチャートである。記録開始前処理として、はじめに、記録媒体に既に記録されている消去単位毎の空き情報を取得する(S501)。取得した情報は、記録領域判断手段107へと渡される(S502)。これは、あらかじめ記録媒体101〜103に空き情報が記録されており、この空き情報を取得することにより、記録領域判断手段は高速記録可能領域及び低速記録領域を判定して、データを記録する領域を判断する。また、記録媒体101〜103へのデータ108の記録後に、空き情報が記録媒体101〜103に記録される。その他の記録処理に関しては、図3または図4の処理と同等である。これにより、データ記録装置がデータ108を記録するときに、記録媒体確認手段による記録媒体101〜103の空き情報の確認ステップを省略することができるので、記録媒体確認手段106による空き領域の検索時間の短縮が可能であり、記録媒体確認手段106の構成を省略してもよい。
【0022】
次に図6は、本発明の実施の形態1における記録開始前処理のフローチャートである。まず、記録媒体から空き情報の通知が行われるまで、ループを繰り返す(S601)。記録媒体から空き情報の通知信号を受けたら、消去単位毎の空き情報を記録媒体から受け取り(S602)取得した空き情報を記録領域判断手段107へと渡す(S603)。これは、あらかじめ記録媒体101〜103に空き情報が記録されており、この空き情報が記録媒体101〜103からデータ記録装置に通知されるものであり、記録領域判断手段が高速記録可能領域及び低速記録領域を判定して、データ108を記録する領域を判断する。その他の記録処理に関しては、図3または図4の処理と同等である。また、図6の処理と同様に、データ記録装置がデータ108を記録するときに、記録媒体確認手段による記録媒体101〜103の空き情報の確認ステップを省略することができるので、記録媒体確認手段106による空き領域の検索時間の短縮が可能であり、記録媒体確認手段106の構成を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明にかかるデータ記録装置は、高速記録可能領域をもつデバイスを優先的に選択してストリームを記録していくため、途中で記録の中断や、ストリームが途切れることがなく、記録時間を確保することができるという利点を有し、複数の記録装置に渡って連続でストリームの記録を行うことに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1におけるデータ記録装置のブロック図
【図2】同データ記録装置の記録前処理を示すフローチャート
【図3】同データ記録装置の記録処理を示すフローチャート
【図4】同データ記録装置の記録処理を示すフローチャート
【図5】同データ記録装置の記録前処理を示すフローチャート
【図6】同データ記録装置の記録前処理を示すフローチャート
【図7】フラッシュメモリ内の記録手順を示す図
【図8】各消去単位内におけるクラスタの使用状況を示す図
【符号の説明】
【0025】
101、102、103 記録媒体
104 バッファ
105 記録手段
106 記録媒体確認手段
107 記録領域判断手段
108 入力データ
109 記録条件

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記録するための着脱可能な複数の記録媒体におけるデータ領域の空き状態を確認し、空き状態を示す空き情報を出力する記録媒体確認手段と、
前記記録媒体確認手段が出力する前記空き情報と記録条件に基づいて、前記複数の記録媒体の高速記録可能領域と低速記録領域とを判定し、データを記録する領域を判断する記録領域判断手段と、
前記記録領域判断手段が判断した領域にデータを記録する記録手段と、
を備えるデータ記録装置。
【請求項2】
前記記録領域判断手段は、高速記録可能領域の残りサイズに基づいて、データを記録する領域を判断する請求項1記載のデータ記録装置。
【請求項3】
前記記録媒体は、前記空き情報を記憶しており、
前記記録媒体確認手段が、前記記録媒体に記憶されている前記空き情報を取得する請求項1または請求項2に記載のデータ記録装置。
【請求項4】
前記記録媒体は、前記空き情報を記憶しており、
前記記録媒体に記憶されている前記空き情報が、前記記録媒体から前記記録媒体確認手段に通知される請求項1または請求項2に記載のデータ記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−87149(P2007−87149A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275703(P2005−275703)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】