説明

トリテルペン酸を豊富に含む食用オリーブポマースオイル、該オイルを取得するために使用される物理的精製プロセス、および粗製オイル内に存在する機能成分の回収

ポマースを遠心分離またはデカンテーションすることによって得られる粗製のオリーブポマースオイルを精製する方法は、0.1μm〜20μmの孔径を有するフィルタを用いて、70℃未満、好ましくは35℃〜45℃の温度で実施される、原材料としての粗製のオリーブポマースオイルを濾過するステップを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は食品技術の分野に関し、高温での連続した減圧蒸留による遊離脂肪酸の中和に基づく新規な物理的精製プロセスについて記載する。具体的には、本発明は、高濃度のトリテルペン酸を含有し、食品の構成物質として直接利用することができる食用オイルを、遠心分離またはデカンテーションによってオリーブポマースオイルから取得するプロセスを開示する。また、本発明の目的の一つは、トリテルペン酸を豊富に含んでいる濃縮物を回収すること、およびこの回収プロセスの副生成物に基づいて、粗製オイルに含有される他の機能成分を回収することである。なお、これらの濃縮物やその他の機能成分は、食品、化粧品およびエネルギーなどのさまざまな分野での用途に向けて設計したり、化学産業および医薬品産業における利用が期待される薬用調製物および動物用調製物などの化合物の供給源として設計したりすることもできるものである。
【0002】
〔背景技術〕
ポマース(pomace)とは、オリーブが、機械的な手段によってオリーブオイルを抽出する主プロセスを経たときに、オリーブオイルの工場で得られる固形残留物である。ポマースの大部分は、オリーブの果肉、表皮および種子に由来する固形残留物、固形廃棄物の形態で保持された(この固形廃棄物を従来の機械的なプロセスで抽出することが不可能であった)オイル、(実際のオリーブに由来する)構成物質の水、ならびにオイルの抽出プロセスの間に添加された水から構成されている(Sanchez Moral and Ruiz Mendez, 2006)。このオイルを抽出して「粗製のポマースオイル」を生成する従来のプロセスは、水と混和しないヘキサンを使用して実施される。このヘキサンは、オイルから得られる軽質炭化水素である。このプロセスは、ポマースを約8%の湿度にまで乾燥させる最初のステップと、その後に、溶媒を用いて抽出を行うステップとの、2つのステップからなる。
【0003】
ただし、この従来の方法を用いて抽出したポマースオイルは、2つの明らかな短所を有する。まず、抽出されたオイルは、リン脂質やワックスの量が比較的多く、また、多量の異常な化合物(例えば石鹸やエチルエステルなど)を含んでいる。さらに、この二相の系をバージンオリーブオイルの取得プロセスにおいて使用すると、その後のポマースの乾燥処理を非常に高い温度で実施しなければならなくなる。このような厳しい条件を使用することによって、得られる粗製ポマースオイルも、種々の多環芳香族炭化水素(Polycyclic Aromatic Hydrocarbon;以後、PAH)を尋常ではないほど多量に含んでしまう(ベンゾ−α−ピレンの含有量が400ppb〜200ppbである。)(Leon Camacho et al., 2003)。
【0004】
スペイン特許第2 048 667号明細書(Artacho, Oleicola El Tejar, 1994)には、オリーブポマースオイル中にこれらのすべての成分が含まれてしまうことを回避および/または低減するために、溶媒の使用の代替となるプロセスが提案されている。このプロセスでは、ポマースの最初の乾燥が回避される。この特許には、有機溶剤を使用せずにオリーブポマースオイルを抽出するための、完全に機械的なプロセスが開示されている。この代替プロセスを使用することによって、保持されているオイルの40%〜60%が二相のポマースにおいて依然達成可能である。このプロセスは、バージンオリーブオイルを始めに分離し、次いで、水平型遠心分離機、つまり「デカンター」にて、原材料としてのポマースオイル(新鮮なものでも、貯蔵されていたものでもよい)に対して二度目の遠心分離処理を行うことからなる。この遠心分離処理によって、いわゆる「再圧搾したオイル(re−pressed oil)」が取得される。このオイルが、商業的には「粗製ポマースオイル」として分類されるものであり、非常に少量のPAHおよびリン脂質しか含有しないので注目を集めている。PAHが生成されないのは、乾燥ステップが行われないからである。また、リン脂質については、取得プロセスにおいて溶媒が使用されないからである。
【0005】
また、機械的な抽出によって得られるオリーブポマースオイルには、上記の化合物の含有量が大幅に低減されることのほかにも大きな特徴がある。その特徴の一つは、生理活性および機能性を有する関心の高い化合物(例えば、トリテルペン酸など)がオリーブポマースオイルに極めて多量に含まれていることである。
【0006】
トリテルペン酸は、植物中および食品中に存在する天然の化合物であり、健康に対する有益な特性を有している。それゆえ、トリテルペン酸は、食品産業、化粧品産業、および薬品産業からの需要が高い。トリテルペン酸からもたらされる有益な特性の例としては、抗菌活性および抗高血糖活性(Horiuchi et al, 2007, Sato et al, 2007)、抗炎症活性および抗腫瘍活性(Marquez-Martin et al., 2006, Braga et al., 2007, Martin et al., 2007)、マスの食事に使用された場合の成長刺激因子としての作用(Fernandez-Navarro et al., 2006)、ならびに肝臓防護効果(Liu et al., 1995)などがあげられる。
【0007】
トリテルペン酸は、オリーブの表皮の構成物質であって、オリーブおよびポマースの中で起こる加水分解性のプロセスが原因となって、オイルに移る。したがって、トリテルペン酸は、エクストラバージンオリーブオイル中には大量に存在しないが、1%を超える酸性度のポマースオイルおよびバージンオリーブオイル中には大量に存在する(Perez Camino and Cert., 1999)。さらに、トリテルペン酸の濃度は、ポマースの保存期間とともに増加し、7ヶ月後には15g/kgを超える濃度に到達することがある。この場合、主要なトリテルペン酸として、オレアノール酸およびマスリン酸の2種類が特定される。遠心分離によって得られるポマースオイル中には、マスリン酸の方が、オレアノール酸よりも多く含まれている(Garcia et al., 2008)。
【0008】
一般的に、オリーブポマースオイルはこのタイプの化合物の非常に大きな供給源であると考えられている。そして、この認識が正しいことが、トリテルペン酸をオリーブのポマース自身から取得するプロセス、オリーブオイルを抽出した後の固形残留物から取得するプロセス(Garcia Granados, 1998)、およびオイル処理の副生成物(Kuno, 2003)から取得するプロセスの、複数のプロセスによって、立証されている。なお、これらのプロセスについては最近特許が付与された。
【0009】
一方、これらのオイルを食用として使用するためには、精製しなければならない。オイルの精製とは、消費者が好まない色、臭い、および味覚の特徴をもたらすか、または製品の安定性に影響するという理由で望ましくない化合物を、除去することを目的としたプロセスである。これらの化合物は、オイル中に天然に存在するもの(例えば、リン脂質または遊離酸)もあれば、分解化合物(過酸化物)もあれば、プロセスの間に添加された試薬(苛性ソーダ、土など)もある(De Greyt and Kellens, 2000)。
【0010】
現在、オリーブポマースオイルによく適用される従来のプロセスは、脱ガム、脱酸、脱蝋、脱色、および脱臭のステップを含む、化学的精製と呼ばれるプロセスである(Antonopoulos et al., 2006)。簡潔に説明すれば、最初の脱ガムステップは、水和剤を添加することによって、リン脂質を除去することを目的とする。その後、脱ガムステップを経たオイルをアルカリ性溶液で処理して、遊離脂肪酸(例えば石鹸)を沈殿させると同時に、残存する微量のリン脂質を除去する。脱蝋ステップでは、冷却に続いて濾過または遠心分離することによって、大気温度で沈殿する化合物(主に、中性オイルに含まれるワックスおよび飽和トリグリセリド)を除去する。脱色ステップでは、色素、酸化物、および微量の金属を除去する。化学的精製の最後のステップである脱臭ステップでは、オイルの中に少量存在して、臭いおよび味覚の原因となる、アルデヒド、ケトン、アルコール、および炭化水素などの化合物を除去する。最後に、最終的に消費するのに許容できる色および味覚を有するオイルを得る(De Greyt and Kellens, 2000)。ポマースオイルの従来のアルカリ精製法の主な短所は、苛性ソーダを使用することによって、遊離脂肪酸だけではなく、石鹸の形態でオイルに含まれるトリテルペン酸をも除去してしまう脱酸ステップに存在する(Servege, 1983)。現在研究が進んでいる代替となる脱酸法は、超臨界流体を用いた脂肪酸の除去(Bondioli, 1992)または分子蒸留ステップによる脂肪酸の除去(Lanzani et al., 1988)に基づいている。
【0011】
したがって、精製開始時に存在するトリテルペン酸をすべて含有する消費に適したオリーブポマースオイルを取得するための従来のアルカリ精製法の代替として、本発明は物理的精製プロセスを使用する。このプロセスでは、減圧高温下での連続的な蒸留ステップにおいて遊離脂肪酸が除去される。
【0012】
また、従来の化学的精製は、この連続式の相分離において最大6つのステップを必要とすることがあるが、連続した相分離が100%の効率で実施されることは決してない。一方で、提案する物理的精製プロセスは、わずか3つのステップしか必要としない。したがって、提案するプロセスのもう一つの長所は、脱ガム、アルカリを用いた脱酸、洗浄、および脱蝋のステップをなくすことによって、中性オイルの損失が低減され、プロセスの最終的な収量が増加するとともに、石鹸を含んだ水による汚染が緩和されることである。
【0013】
提案する物理的精製プロセスのもう一つの長所は、非常に高品質の副生成物の回収が可能になることである。最初にオイルを濾過することによって、オイルに不溶なトリテルペン酸を分離して、50%を超える純度を有する濃縮物を取得することが可能になる。また、その一方で、物理的精製プロセスの構成成分の異なる蒸留からの副生成物自身が、付加価値の高い化合物を取得するための優れた原料となる。濃縮されたトリテルペン酸を含有する最終生成物としてのオリーブポマースオイルの他に、本発明の対象となるプロセスの間には、これらの副生成物の一例としての遊離脂肪酸が得られるだけではなく、この数十年間にわたって激烈な研究活動の対象であった、かなりの量の植物ステロール、炭化水素およびトコフェロールも得られる。
【0014】
このように、本発明は、新しい物理的精製プロセスに基づくものであり、このプロセスでは、遠心分離またはデカンテーションによって得られるオリーブポマースオイルを出発物質(原材料)として使用し、蒸留ステップを制御することによって遊離脂肪酸の低減を達成し、プロセスにおいてリン酸および水酸化ナトリウムなどの化学物質を使用することを回避する。これによって、トリテルペン酸を、揮発度が比較的低い最終生成物としてのオイルの中に残留させることが可能になり、精製開始時のポマースに含まれていたトリテルペン酸を豊富に含む消費に適したオイルを取得することが可能になる。さらに、産業上および医学上の大きな関心事であるトリテルペン酸、メチルエステルおよびエチルエステル、ステロール、またはスクアレンを豊富に含む種々の画分および濃縮物を取得することが可能になる。
【0015】
〔発明の説明〕
(発明の概要)
本発明は、トリテルペン酸を豊富に含む、消費に適した精製済みのオリーブポマースオイルをこのオイル自身から取得することを、初めて可能にする精製プロセスを開示する。この目的を実現するために、物理的精製プロセスを提案するが、この物理的精製プロセスは、遠心分離またはデカンテーションによって得られた出発生成物であるオリーブポマースオイルを濾過して得られる生成物を使用する。この物理的プロセスは、濾過および脱色されたオイルを制御されたステップにおいて蒸留することによって、含有された遊離脂肪酸を除去することに基づいている。さらに、提案する精製プロセスは、このプロセスの間に生成される、価値の高いすべての副生成物の使用を可能にする。
【0016】
したがって、本発明の第1の態様は、遠心分離またはデカンテーションによって得られるオリーブポマースオイルを濾過するプロセス、すなわち、図1に示すステップa)からなる。この濾過のプロセスは、原材料としての粗製のオリーブポマースオイルの濾過を、20μm〜0.1μmの孔径を有するフィルタを用いて、大気温度よりも高く70℃よりも低い温度、好ましくは35℃〜45℃の温度で実施することを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の態様は、先行するステップで得られる濾過されたオリーブポマースオイル中に存在する遊離脂肪酸を除去する精製プロセスからなる。この精製プロセスは連続式の制御された蒸留によって実施される。また、この精製プロセスは、従来の化学的精製にて確立されている、脱ガムステップ、アルカリ中和ステップ、洗浄ステップ、および脱蝋ステップを含まない。また、該精製プロセスは、揮発度が比較的低いトリテルペン酸を保持して最終生成物としてのオイルの中に存在させることを目的としている。該精製プロセスは、以下のステップ(図1)を含んでいる。すなわち、
b)適量の科学技術的な補助剤、好ましくは活性化されたブリーチングアース(bleaching earth)(0.5%〜2%)、アモルファスシリカ(トリシル)(0.1%〜0.5%)、および活性炭(0.05%および0.2%)を添加することによって、先行するステップ(a)において得られる濾過済みオイルを脱色するステップ。プロセスを実施するには、原材料としての濾過済みオイルを脱気して、通常の脱色温度である80℃〜120℃まで加熱する。続いて、必要な科学技術的な補助剤を添加して、70mbar未満の圧力条件、好ましくは40mbarで、最大30分間撹拌する。最後に、濾過プロセスを実施して、添加した科学技術的な補助剤を除去する。
【0018】
c)遊離脂肪酸を蒸留するステップ。1回目の蒸留(c1)では、ステップ(b)において得られた、脱色済み生成オイルに対して、超薄膜蒸留器(fine layer distiller)中で200℃未満の温度および10mbar未満の減圧下で蒸留を実施する(窒素流または蒸気流を使用しても使用しなくてもよい)。こうすることによって、留出物[2]が副生成物として得られる。2回目の蒸留(c2)を250℃未満の温度および5mbar未満の減圧下で実施することによって、上記処理(c1)で得られた生成オイル中に残留する遊離脂肪酸が除去される。こうすることによって、留出物[3]がさらに得られる。
【0019】
d)ステップ(c)で得られたオイルを、3mbar未満の圧力および低温(220℃未満)で、蒸気流を用いて減圧蒸留によって脱臭および安定化して、トリテルペン酸の含有量が150ppmを超える消費に適したオイル[4]を取得するステップ。
【0020】
e)3回目の蒸留を215℃未満の温度において分子蒸留または高真空短行程蒸留(0.1mbar〜0.001mbar)によって実施することによって、比較的揮発性が高い画分[5]および鹸化不可能な物質の濃縮物[6]を、ステップ(c)において得られた生成物(留出物[3])の蒸留副生成物として取得するステップ。
【0021】
本発明の第3の態様は、濾過ステップa)において保持された生成物を、有機溶剤(好ましくはヘキサンおよびエタノール)を用いて固液抽出するプロセス、すなわち、ステップf)からなる。
【0022】
本発明の第4の態様は、ステップa)およびf)を適用することによって得られること、ならびに20%を超える濃度(通常50%を超える濃度)のトリテルペン酸を有しており、オレアノール酸よりもマスリン酸が高い割合を占めていること、を特徴とする濃縮抽出物[1]からなる。
【0023】
本発明の第5の態様は、ステップa)、b)およびc1)を適用することによって得られること、ならびに60%を超える濃度の遊離脂肪酸と、10%を超える総濃度のエチルエステルとを有していること、を特徴とする留出物[2]からなる。
【0024】
本発明の第6の態様は、ステップa)、b)、c1)およびc2)を適用することによって得られること、ならびに30%を超える濃度の遊離脂肪酸と、5%を超える総濃度のエチルエステルとを有していること、を特徴とする留出物[3]からなる。
【0025】
本発明の第7の態様は、ステップa)、b)、c1)、c2)およびd)を適用することによって得られること、ならびに150ppmを超える濃度のトリテルペン酸(好ましくはマスリン酸およびオレアノール酸)を有していること、を特徴とする精製済みオリーブポマースオイル[4]からなる。
【0026】
本発明の第7の態様は、ステップa)、b)、c1)、c2)およびe)を適用することによって得られること、ならびに短い直鎖アルコールを有する脂肪酸エステル、スクアレンおよび遊離脂肪酸を少なくとも含有することを特徴とする留出物[5]からなる。
【0027】
本発明の第8の態様は、ステップa)、b)、c1)、c2)およびe)を適用することによって得られること、ならびに鹸化不可能な物質の含有量が15%を超える(大部分はステロールからなる)ことを特徴とする濃縮物[6]からなる。
【0028】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、遠心分離によって得られるオリーブポマースオイル中に精製開始時に存在するトリテルペン酸を最大限に保存する、消費に適した精製済みポマースオイルを提供するという課題の解決を試みるものである。トリテルペン酸を豊富に含むこのオリーブポマースオイルは、処理の間に、リン酸および水酸化ナトリウムなどの化学物質を使用することを回避する、物理的精製プロセスによって得られる。
【0029】
本特許において提案するプロセスは、機械的に得られるオリーブポマースオイルを濾過する最初のステップ(a)からスタートする。このオイルの濾過は、20μm、10μm、5μm、1μmおよび0.1μmのフィルタを順に用いて実施される。なぜなら、遠心分離によって得られるポマースオイルは、多量の固形物を懸濁液中に含有しており、仮に最初に小さなメッシュを使用すると、フィルタが破損してオイルの流れが妨げられるからである。このため、複数のフィルタを孔径が減少する順に設置する。保持される固形物の大部分はトリテルペン酸からなるが、このトリテルペン酸は濃度が高く、かつ、溶解度が低いために、ここでのオイルには溶解しない。
【0030】
上記の濾過は、大気温度より高く70℃より低い温度で実施され、こうすることによって、トリテルペン酸を可溶化・分離することなく、オイルの粘性を低減し、流動性を増加させる。トリテルペン酸を豊富に含む副生成物中および濾液中の固形残留物は透明なポマースオイルである。この透明なポマースオイルは、次の脱色ステップからスタートする精製プロセスに供される。
【0031】
次の脱色ステップ(b)の間に、オイルの色の原因となる各種化合物(主に色素、葉緑素およびカロチンなど)と、共役二重結合を有する炭化水素鎖としての発色基を有する分解化合物とが除去される。この脱色は、目的の化合物を活性中心に吸着する活性化されたブリーチングアース(ケイ酸アルミニウム−マグネシウム)を添加することによって実施される。石鹸およびリン脂質などの極性を有する物質は、このブリーチングアースの活性中心を破壊してしまい、活性中心が葉緑素やその他の発色化合物に対して効果的に機能することができなくなる。このため、本ステップおよび次の蒸留ステップの目的を達成するには、アモルファスシリカ(例えばトリシル(グレース))を用いて除去を効果的に実施することが極めて重要である。本ステップでは、活性炭を使用して、ポマースオイルのこげ茶色の原因となる酸化化合物、および多環芳香族炭化水素などの汚染物質を除去することも好ましい。
【0032】
上述した処理は、70mbar未満の減圧下で実施される。通常のプロセスは以下のように実施される。すなわち、オイルを脱気して、作業温度である80℃〜120℃まで加熱する。続いて、必要な科学技術的な補助剤を添加して、最大30分間攪拌する。その後、オイルを濾過して、添加した補助剤を除去する。
【0033】
得られた脱色済みのオイルは蒸留(c)に供される。この目的は、遊離脂肪酸の含有量が0.5%未満になるまで、遊離脂肪酸をオイルから除去することである。この蒸留では、液体成分の揮発度と沸点との差を利用して、液体成分を分離する。また、この蒸留は、温度、圧力、混合物の組成、液体と蒸気とのバランスなどの変数に依存する。作業圧力が減少すると、化合物の揮発度が上昇して、低温での煮沸が引き起こされる。これによって、熱に不安定な化合物の劣化を回避することができる。
【0034】
本特許に記載のプロセスを開発するためには、遊離脂肪酸の除去に好適な薄膜蒸留器を使用することが好ましい。この場合、遊離脂肪酸は、カラムの上部を介して除去される主要な揮発性化合物である。
【0035】
実施の際には、蒸留は、沸騰する液体組成物の組成の変化に合わせて温度を変更する複数のステップによって実施される。本例の場合、2つの蒸留ステップを適用する。1回目の蒸留(c1)によって、酸性度が低い(オレイン酸に換算して3%未満の)オイルおよび留出物[2]が得られる。この留出物[2]には、遊離脂肪酸、短鎖アルコール(例えばエチルおよびメチルなど)を含んでいる脂肪酸エステル、および少量の鹸化不可能な物質が主化合物として含まれている。この蒸留は、オレオ化学およびバイオエナジーの分野において適用可能である。蒸留は、超薄膜蒸留器の中で200℃未満の温度および10mbar未満の減圧下で実施され、依然0.5%を超える酸性度(オレイン酸の割合として換算)を有するオイルが得られる。
【0036】
2回目のオイルの蒸留(c2)は、遊離脂肪酸を完全に分離することを目的とする。ステップ(c1)において得られた生成物は、超薄膜蒸留器の中で250℃未満の温度および5mbar未満の減圧下で蒸留に供される(窒素流または蒸気流は使用しても使用しなくてもよい)。この蒸留によって、酸性度が低い(オレイン酸に換算して0.5%未満の)オイルおよび留出物[3]が得られる。なお、この留出物[3]は、遊離脂肪酸、短鎖アルコールを有する脂肪酸エステル、および鹸化不可能な物質(特にスクアレンおよびステロール)を豊富に含んでいる。
【0037】
最後に、従来の脱臭ステップ、つまり精製プロセス(d)を実施することによって、本プロセスは完了する。これは、高温にて減圧蒸留を行うプロセスであり、水蒸気流によって実施される。ただし、別の構成として、窒素流を使用することも記載されている(Huesa and Dobarganes, 1990)。脱臭に使用する温度は180℃〜270℃である。この温度限定は、本ステップ(Sjoeberg, 1991)の間に発生する分解および加水分解の化学反応によって決定される。
【0038】
必要とされる最短時間は、通常、実現したい加熱脱色の程度に依存する。本ステップにおいて生成される揮発性物質の量は、処理に供するオイルの量の0.1%未満である。
【0039】
消費に適したトリテルペン酸の含有量が150ppmを超えるオイル[4]が得られ、本特許の目的が達成される。
【0040】
〔副生成物の使用〕
〔1.濾過によって得られる副生成物の使用:トリテルペン酸の濃縮物の取得〕
固形物を濾過する手段から濃縮物[1]を分離するために、固液抽出、すなわち、図1に示すステップf)が実施される。このプロセスは、連続的に実施することおよび不連続的に実施することの両方が可能であるし、あるいは、組み合わせた系(例えば不連続的な固形物の抽出器および連続的に溶媒を濃縮するシステム)において徐々にミセラ濃度を高めながら実施することも可能である。
【0041】
使用する濾過手段がセルロース製であれば、フィルタに詰まったオイル(主にトリグリセリドおよびワックス)を除去するために、トリテルペン酸を可溶化しない非極性の有機溶剤(好ましくはヘキサン)が必要になる。次いで、トリテルペン酸を可溶化および分離するために、極性を有する60℃〜80℃の溶媒(好ましくはエタノール)が必要になる。
【0042】
使用するフィルタが金属または磁器であれば、保持するオイルが存在しないので、このエタノールを用いたトリテルペン酸の抽出ステップで十分である。
【0043】
次に、抽出物を濾過または遠心分離することによって清澄化が実施される。そして、清澄な液体(clarificate)が、溶媒を減圧蒸発させることによって、抽出物の総体積が、溶媒に浸されている最初の体積の20%〜50%に達するまで濃縮される。最後に、抽出物を真空乾燥して、抽出物を粉末形態で取得してもよい。
【0044】
マスリン酸はオイルに対する不溶性がより強いので、より大きな割合のマスリン酸が常に得られる。
【0045】
〔2.蒸留の副生成物の使用:生理活性を有する濃縮物の取得〕
ステップ(c2)において得られた留出物[3]から、3回目の蒸留によって、揮発性が最も高い画分[5]および鹸化不可能な物質の濃縮物[6]が得られる。このプロセスでは、作業温度が215℃よりも低い、高真空短行程蒸留(0.1mbar〜0.001mbar)、すなわち分子蒸留を使用して、或る種の生理活性を有する化合物を豊富に含有する画分を取得する。操作条件は、得られる留出物[3]の質に合わせて調節される。
【0046】
揮発性が最も高い画分(留出物[5]と呼ぶ)は、短い直鎖アルコール、スクアレン、および遊離脂肪酸とともに、脂肪酸エステルを含有しているが、これらの含有率は可変であることを特徴とする。
【0047】
揮発性が最も低い画分(濃縮物[6]と呼ぶ)は、15%を超える鹸化不可能な物質を含有し、この物質の大部分をスクアレンおよびステロールが占めている。この濃縮物[6]は、産業分野における利用可能性が大きく、一体化された形態、全体または一部を濃縮または希釈した形態、または一部を除去した形態で、ヒトの食品、動物の食品、薬理学、および化粧品の分野において直ちに応用することができる。このようにして、特許請求の範囲に記載した発明の目的が達成される。
【0048】
両方の画分に対して、種々の化合物を隔離(insulation)するための処理を、後に実施してもよい。
【0049】
〔本発明の実施例〕
上記プロセスの主な特徴点は複数の形態で実現可能であるが、このような形態は本発明の範囲を狭めるものではない。
【0050】
〔ステップ1:トリテルペン酸の含有量が多い消費に適したオリーブポマースオイルの取得〕
(1.1 濾過)
まず、遠心分離によって得られる粗製のオリーブポマースオイルの濾過が実施される。濾過は、セルロース製のフィルタを孔径が減少する順(20μmのフィルタ、10μmのフィルタ、5μmのフィルタ、1μmのフィルタおよび0.1μmのフィルタの順)に用いて40℃で実施した。濾過開始時のオイルおよび濾過済みオイルの特性を表1にまとめて示す。
【0051】
【表1】

【0052】
(1.2 脱色)
得られた濾過済みオイルに、0.2%の活性炭(Tonsil 4121 FF、SuedChemie社、ドイツ)および0.1%のTRISYL(GRACE社、米国)を含有する2重量%のブリーチングアースを添加し、温度を110℃に上昇させた。そして、この条件のまま40mbarの減圧下にて20分間維持した。次に、テフロン(登録商標)プレート(10cm×10cm)および濾紙を備えた実験室用のプレスフィルタにてオイルを濾過した。
【0053】
(1.3 1回目の蒸留)
脱色済みオイルを、短鎖アルコールを有する脂肪酸エステルおよび遊離脂肪酸に関する1回目の蒸留に供した。この1回目の蒸留は、超薄膜蒸留器中にて190℃未満の温度および4.5mbarの減圧下で窒素流も蒸気流も使用せずに実施した。酸性度が2.6%の、オレイン酸および留出物[2]を含んだオイルが得られた。
【0054】
(1.4 2回目の蒸留)
残存している遊離脂肪酸を分離するために、先の処理から得られた生成オイルの2回目の蒸留を、超薄膜蒸留器中にて230℃の温度および0.5mbarの減圧下で、窒素流も蒸気流も使用せずに実施した(表2)。オレイン酸が0.5%であるという酸性度が低いオイルが得られた。また、遊離脂肪酸、短鎖アルコールを有する脂肪酸エステル、および鹸化不可能な物質(特にスクアレンおよびステロール)に富む留出物[3]も得られた。
【0055】
【表2】

【0056】
〔1.5 脱臭および安定化〕
先の処理において得られたオイルを、2mbarの減圧蒸留によって215℃の温度で、蒸気流を用いて脱臭および安定化した。濃度900ppmのトリテルペン酸を含んでいる、消費に適したオイル[4]が得られた。オイル[4]の特性を下の表3に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
〔ステップ2:副生成物の使用〕
(2.1 トリテルペン酸の濃縮物の取得プロセス)
トリテルペン酸の濃縮物の取得プロセスを、容量が2kgの固体容器および容量が20Lの液体フラスコを備えたソックスレー反応器を用いて実施し、固液抽出を行った。
【0059】
まず、10μm、5μm、1μmおよび0.1μmのセルロース製フィルタを固体容器中に導入し、非極性を有する化合物であるヘキサンを用いて抽出を4時間、実施した。得られた抽出物は、ヘキサンに溶解しない化合物を含んでいた。このため、この抽出物を濾過または遠心分離することによって清澄化を実施して、固形物を得た。この固形物は、以下のステップにおいて得られる濃縮物と合わせた。
【0060】
次いで、フィルタ中に保持された化合物を、エタノールを用いて8時間、抽出した。得られた抽出物に対して、濃縮物が粉末状態になるまで、真空乾燥を実施した。
【0061】
60%のテルペン酸(40%がマスリン酸に相当し、20%がオレアノール酸に相当する)を含んだ濃縮物[1]が得られた。
【0062】
(2.2 生理活性を有する濃縮物の取得プロセス)
得られた留出物は、短鎖アルコールを有する脂肪酸の非グリセリドエステル(例えばエチルおよびメチル)の含有量が高い(10%を超えている)こと、および遊離脂肪酸の含有量が約50%であることを特徴としている。
【0063】
留出物[2]の画分は、主に、遊離脂肪酸(73.33%)、短鎖アルコールを有する脂肪酸エステル(16.85%)、およびわずかな鹸化不可能な物質(0.88%)からなる。
【0064】
揮発性が最も高い画分(つまり留出物[5])と、この画分よりも揮発性の低い、鹸化不可能な物質[6]を豊富に含有する画分とが、留出物[3]から得られた。このプロセスでは、高真空短行程蒸留(0.01mbar)を210℃にて使用し、或る種の活性に富む化合物を豊富に含んだ2つの画分を取得した(表4)。揮発性が最も高い画分中に存在する鹸化不可能画分は、基本的にスクアレンからなり、揮発性が最も低い画分はステロールを豊富に含んでいる。
【0065】
【表4】

【0066】
〔参考文献〕
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【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の精製プロセスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポマースを遠心分離またはデカンテーションすることによって得られた粗製のオリーブポマースオイルを精製するプロセスであって、
a)原材料としての粗製のオリーブポマースオイルを、0.1μm〜20μmの孔径を有するフィルタを用いて、70℃未満の温度、好ましくは35℃〜45℃の温度にて濾過するステップ、
を含んでいることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
b)先行するステップにて濾過されたオイルを、80℃〜120℃の温度、70mbar未満の圧力、好ましくは40mbarの圧力にて脱色するステップと、
b1)科学技術的な補助剤を添加するステップと、
b2)該オイルと該科学技術的な補助剤との混合物を、好ましくは最大30分間撹拌するステップと、
b3)添加した該補助剤を濾過して除去するステップと、
をさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
c)先行するステップにて得られた、脱色された前記オイルを蒸留するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップc)が1回以上の蒸留を含んでいることを特徴とする請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップc)が、好ましくは2回の蒸留を含んでいることを特徴とする請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
1回目の蒸留(c1)が、200℃未満の温度および10mbar未満の圧力にて実施されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
2回目の蒸留(c2)が、250℃未満の温度および5mbar未満の圧力にて実施されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
d)220℃未満の温度および3mbar未満の圧力にて、蒸気流を用いて蒸留するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
e)分子蒸留または短行程蒸留を、215℃未満の温度および0.1mbar〜0.001mbarの圧力にて実施するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
f)固液抽出を、有機溶剤、好ましくはヘキサンおよびエタノールを用いて実施するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
請求項1および10に記載のプロセスを適用することによって得られる濃縮物[1]であって、20%を超える濃度のトリテルペン酸を有していることを特徴とする濃縮物。
【請求項12】
オレアノール酸よりもマスリン酸の方が高い割合を占めていることを特徴とする請求項11に記載の濃縮物。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセスを適用することによって得られる留出物[2]であって、60%を超える濃度の遊離脂肪酸と10%を超える総濃度のエチルエステルとを有していることを特徴とする留出物。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセスを適用することによって得られる留出物[3]であって、30%を超える濃度の遊離脂肪酸と5%を超える総濃度のエチルエステルとを有していることを特徴とする留出物。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセスを適用することによって得られる精製済みオリーブポマースオイル[4]であって、150ppmを超える濃度のトリテルペン酸を有していることを特徴とするオリーブポマースオイル。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセスを適用することによって得られる留出物[5]であって、短い直鎖アルコールを有する脂肪酸エステル、スクアレンおよび遊離脂肪酸を少なくとも含有していることを特徴とする留出物。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセスを適用することによって得られる濃縮物[6]であって、15%を超える鹸化不可能な物質を含有していることを特徴とする濃縮物。
【請求項18】
請求項11および12に記載の濃縮物[1]の、好ましくは栄養補助食品としての、食品分野における、使用。
【請求項19】
請求項13に記載の留出物[2]の、
好ましくはバイオディーゼルを得るために設計される生体エネルギーの分野、および、
好ましくは脂肪酸(例えばオレイン酸およびステアリン酸)を得るためのオレオ化学の分野における、使用。
【請求項20】
請求項14に記載の留出物[3]の、
一体化された形態、全体または一部を濃縮または希釈した形態あるいは一部を除去した形態での、
ヒトの食品、動物の食品、薬理学、オレオ化学および化粧品における、使用。
【請求項21】
請求項15に記載の精製済みオリーブポマースオイル[4]の、
一体化された形態または他の機能成分を希釈もしくは濃縮した形態での、
ヒトの食品における直接的な、および薬理学における、使用。
【請求項22】
請求項16に記載の留出物[5]の、
一体化された形態、全体または一部を濃縮または希釈した形態あるいは一部を除去した形態での、
ヒトの食品、動物の食品、薬理学および化粧品における、使用。
【請求項23】
請求項17に記載の濃縮物[6]の、
一体化された形態、全体または一部を濃縮または希釈した形態、または一部を除去した形態での、
ヒトの食品、動物の食品、薬理学および化粧品における、使用。

【図1】
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【公表番号】特表2011−528748(P2011−528748A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519199(P2011−519199)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/ES2009/070298
【国際公開番号】WO2010/010219
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511000083)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS(CSIC)
【住所又は居所原語表記】C/Serrano,117,E−28006 Madrid,Spain
【出願人】(511020106)
【氏名又は名称原語表記】OLEICOLA EL TEJAR,S.C.A.
【住所又は居所原語表記】Ctra.Cordoba−Malaga,Km.100 E−14915 Benameji(Cordoba),Spain
【Fターム(参考)】