説明

トロイダル式無段変速機

【課題】パワーローラのスリップを抑制することとコスト増大の抑制とを両立することができるトロイダル式無段変速機を提供すること。
【解決手段】入力ディスク20bと出力ディスク21bとの間で動力を伝達し、かつ第一パワーローラおよび第二パワーローラを含む複数のパワーローラ22と、第一パワーローラの傾転角に応じた第一圧力P1を出力する第一圧力出力機構101と、第二パワーローラの傾転角に応じた第二圧力P2を出力する第二圧力出力機構102と、第一圧力と第二圧力との差圧に応じてパワーローラのスリップを抑制する信号圧Psを出力する信号圧出力機構103と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロイダル式無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トロイダル式無段変速機におけるディスクとパワーローラとの接触部における滑り率を算出する技術が開示されている。例えば、特許文献1には、入出力ディスク回転数及びローラ傾転角に基づいて平均滑り率を算出し、平均滑り率が所定値以上になった場合に、入出力ディスクとローラとの間におけるトラクション係数が最大値近傍にあると判定するトロイダル式CVTの制御装置の技術が開示されている。特許文献1のトロイダル式CVTの制御装置によれば、ディスクとローラとの間におけるマクロスリップを精度よく予測することができ、スリップを防止することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−344867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トロイダル式無段変速機におけるスリップを抑制することについて、なお改良の余地がある。例えば、傾転角を検出するセンサを要することなくスリップを抑制することができれば、スリップ抑制を実現するためのコスト増加を抑制することが可能となる。トロイダル式無段変速機において、スリップの抑制とコスト増大の抑制とを両立できることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、パワーローラのスリップを抑制することとコスト増大の抑制とを両立することができるトロイダル式無段変速機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のトロイダル式無段変速機は、入力ディスクと出力ディスクとの間で動力を伝達し、かつ第一パワーローラおよび第二パワーローラを含む複数のパワーローラと、前記第一パワーローラの傾転角に応じた第一圧力を出力する第一圧力出力機構と、前記第二パワーローラの傾転角に応じた第二圧力を出力する第二圧力出力機構と、前記第一圧力と前記第二圧力との差圧に応じて前記パワーローラのスリップを抑制する信号圧を出力する信号圧出力機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記トロイダル式無段変速機において、更に、前記入力ディスクと前記出力ディスクとが前記複数のパワーローラを挟み込む挟圧力を補正する挟圧力補正機構を備え、前記挟圧力補正機構は、前記信号圧に応じて前記挟圧力を増加させることが好ましい。
【0008】
上記トロイダル式無段変速機において、前記信号圧出力機構は、前記第一圧力と前記第二圧力との差圧が閾値以上である場合に前記信号圧を出力することが好ましい。
【0009】
上記トロイダル式無段変速機において、更に、前記第一圧力と前記第二圧力との差圧に基づいて、前記入力ディスクに対して動力を出力する原動機の出力を低減させることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るトロイダル式無段変速機は、入力ディスクと出力ディスクとの間で動力を伝達し、かつ第一パワーローラおよび第二パワーローラを含む複数のパワーローラと、第一パワーローラの傾転角に応じた第一圧力を出力する第一圧力出力機構と、第二パワーローラの傾転角に応じた第二圧力を出力する第二圧力出力機構と、第一圧力と第二圧力との差圧に応じてパワーローラのスリップを抑制する信号圧を出力する信号圧出力機構と、を備える。本発明に係るトロイダル式無段変速機によれば、パワーローラのスリップ発生時に各機構がスリップを抑制する信号圧を自動的に生成することで、パワーローラのスリップを抑制することとコスト増大の抑制とを両立することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態に係るトロイダル式無段変速機の概略断面図である。
【図2】図2は、実施形態に係るトロイダル式無段変速機の一対のパワーローラ周りの概略断面図である。
【図3】図3は、実施形態の油圧制御装置に係る油圧回路の概略構成図である。
【図4】図4は、実施形態に係る挟圧力補正システムの概略構成図である。
【図5】図5は、第一圧力出力機構の動作説明図である。
【図6】図6は、第1変形例に係る挟圧力補正システムの概略構成図である。
【図7】図7は、第1変形例に係る制御のフローチャートである。
【図8】図8は、第2変形例に係る挟圧力補正システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係るトロイダル式無段変速機につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[実施形態]
図1から図5を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、トロイダル式無段変速機に関する。図1は、実施形態に係るトロイダル式無段変速機の概略断面図、図2は、実施形態に係るトロイダル式無段変速機の一対のパワーローラ周りの概略断面図、図3は、実施形態の油圧制御装置に係る油圧回路の概略構成図である。
【0014】
本実施形態のトロイダル式無段変速機は、複数個のパワーローラの内、一つのスリップを検出してフェールセーフする機構を備えている。具体的には、一つのパワーローラの傾転角(変速比)に応じた第一圧力P1を出力する第一圧力出力機構(図4の符号101参照)と、他の一つのパワーローラの傾転角(変速比)に応じた第二圧力P2を出力する第二圧力出力機構(図4の符号102参照)と、第一圧力P1と第二圧力P2との差圧に応じてパワーローラのスリップを抑制する信号圧Psを出力する信号圧出力機構(図4の符号103)とが設けられている。これにより、本実施形態のトロイダル式無段変速機によれば、パワーローラのスリップ抑制と、コストの低減とを両立させることができる。
【0015】
図1に示すように、車両1は、駆動源となるエンジン5と、エンジン5に連結されたトルクコンバータ6と、トルクコンバータ6に連結された前後進切換機構7と、前後進切換機構7に連結されたトロイダル式無段変速機8とを備えている。また、トロイダル式無段変速機8には減速装置9が連結されると共に、減速装置9には差動装置10が連結され、さらに、差動装置10には駆動輪11が連結されている。
【0016】
エンジン5は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等が用いられており、円筒形状に形成されるシリンダの中心軸方向にピストンが往復運動し、ピストンの往復運動を回転運動に変換するクランクシャフト15から駆動力を出力する。エンジン5は、トロイダル式無段変速機8の入力ディスク20a,20bに対して動力を出力する原動機である。なお、上記の構成に限らず、原動機としてエンジン5に代えてモータなどの電動機を用いてもよく、また、エンジン及び電動機を併用してもよい。
【0017】
トルクコンバータ6は、流体クラッチの一種であり、エンジン5から出力された駆動力を、作動油を介して前後進切換機構7に伝えるものである。また、トルクコンバータ6は、例えば、ロックアップ機構を有するものがあり、エンジン5からの出力トルクを増加させて、あるいはそのままの出力トルクで、前後進切換機構7に伝達する。
【0018】
トロイダル式無段変速機8は、前後進切換機構7から入力される駆動力の回転速度を、車両の運転状態に応じて所望の回転速度に変更して出力する。なお、トロイダル式無段変速機8の詳細な説明は後述する。
【0019】
減速装置9は、トロイダル式無段変速機8から入力された駆動力の回転速度を減速して差動装置10に駆動力を伝達する。差動装置10は、車両1が旋回する際に生じる旋回の中心側、つまり内側の駆動輪11と、外側の駆動輪11との速度差を吸収する。
【0020】
従って、車両1において、エンジン5が駆動すると、エンジン5から出力された駆動力は、クランクシャフト15を介してトルクコンバータ6に伝達される。そして、トルクコンバータ6によって出力トルクが増幅された駆動力は、前後進切換機構7に伝達され、前後進切換機構7によって所望の回転方向に変更される。所望の回転方向となった駆動力は、トロイダル式無段変速機8に入力され、入力された駆動力は、トロイダル式無段変速機8の所定の変速比に応じて、回転速度が変更される。トロイダル式無段変速機8によって回転速度が変更された駆動力は、減速装置9に入力され、入力された駆動力は、減速装置9によって減速された後、差動装置10に出力される。そして、差動装置10が入力された駆動力を駆動輪11に伝達することにより、駆動輪11が回転し、これにより、車両1が走行する。
【0021】
次に、トロイダル式無段変速機8について説明する。トロイダル式無段変速機8は、エンジン5からの駆動力(出力回転数や出力トルク)を、車両1の走行状態に応じて、適切な駆動力に変換して駆動輪11に伝達するものであり、変速比を無段階(連続的)に制御することができる、いわゆるCVTである。
【0022】
図1および図2に示すように、トロイダル式無段変速機8は、入力軸28を介して駆動力が入力される一対の入力ディスク20a,20bと、一対の入力ディスク20a,20bの間に配設されると共に、各入力ディスク20a,20bに対向するように配設された一対の出力ディスク21a,21bと、各入力ディスク20a,20bと各出力ディスク21a,21bとの間にそれぞれ設けられた対となる2組のパワーローラ22と、を備えている。これら複数のパワーローラ22は、入力ディスク20aと出力ディスク21aとの間、および入力ディスク20bと出力ディスク21bとの間でそれぞれ動力を伝達する。
【0023】
各パワーローラ22(22a,22b,22c,22d)は、各トラニオン23に回転自在に支持されている。また、トロイダル式無段変速機8は、各入力ディスク20a,20bと各出力ディスク21a,21bとを接近させて各パワーローラ22を挟持させるディスク押圧機構24と、各トラニオン23を揺動軸61a,61b(図2参照)に沿って移動させて各パワーローラ22を中立位置と変速位置との間で移動させる油圧サーボ機構25と、を備えており、ディスク押圧機構24および油圧サーボ機構25は、油圧制御装置26により制御されている。
【0024】
トロイダル式無段変速機8は、ディスク押圧機構24により各入力ディスク20a,20bと各出力ディスク21a,21bとの間に各パワーローラ22を挟み込み、この状態で、油圧サーボ機構25により各トラニオン23を揺動軸61a,61bに沿って移動させることができる。これにより、各パワーローラ22が中立位置から変速位置に移動することで、各パワーローラ22が傾転し、入力ディスク20a,20bと出力ディスク21a,21bとの回転数比である変速比が変更される。
【0025】
一対の入力ディスク20a,20bは、トロイダル式無段変速機8の入力軸28に連結されたバリエータ軸30に軸支されている。一対の入力ディスク20a,20bは、軸線X1を中心にバリエータ軸30と一体となって回転する。そして、一対の入力ディスク20a,20bは、バリエータ軸30に対して、フロント側(エンジン5側)にフロント側入力ディスク20aが設けられ、フロント側入力ディスク20aに対して所定の間隔をあけてリア側(駆動輪11側)にリア側入力ディスク20bが設けられる。
【0026】
各入力ディスク20a,20bは、バリエータ軸30の径方向外側に突出する円板形状に形成され、その軸心には、バリエータ軸30が挿通される開口が形成されている。そして、各入力ディスク20a,20bの各出力ディスク21a,21bと対向する面には、各パワーローラ22にそれぞれ接触するトロイダル面33aが形成されている。
【0027】
フロント側入力ディスク20aは、ボールスプライン35を介してバリエータ軸30に支持されている。このため、フロント側入力ディスク20aは、バリエータ軸30に対して周方向への変位が規制される一方、バリエータ軸30に対して軸方向への変位が許容される。一方、リア側入力ディスク20bは、スプライン36を介してバリエータ軸30に支持されていると共に、バリエータ軸30のリア側端部に設けられたスナップリング37により軸方向への移動が規制されている。このため、リア側入力ディスク20bは、バリエータ軸30に対して周方向への変位が規制される一方、バリエータ軸30に対して軸方向リア側への変位が規制され、軸方向フロント側への変位が許容される。なお、詳細は後述するが、フロント側入力ディスク20aは、ディスク押圧機構24によりバリエータ軸30に対して軸方向リア側に押圧され、リア側入力ディスク20bは、ディスク押圧機構24によりバリエータ軸30に対して軸方向フロント側に押圧される。
【0028】
一対の出力ディスク21a,21bは、バリエータ軸30に対し回転自在に軸支されており、軸線X1を中心に回転する。そして、一対の出力ディスク21a,21bは、一対の入力ディスク20a,20bの間に配設されており、バリエータ軸30に対して、フロント側にフロント側出力ディスク21aが設けられ、フロント側出力ディスク21aに対して所定の間隔をあけてリア側にリア側出力ディスク21bが設けられる。
【0029】
各出力ディスク21a,21bも、各入力ディスク20a,20bと同様に、バリエータ軸30の径方向外側に突出する円板形状に形成され、その軸心には、バリエータ軸30が遊挿される開口が形成されている。そして、各出力ディスク21a,21bの各入力ディスク20a,20bと対向する面には、各パワーローラ22にそれぞれ接触するトロイダル面33bが形成されている。
【0030】
フロント側出力ディスク21aおよびリア側出力ディスク21bは、ベアリングを介してバリエータ軸30に支持されている。一対の出力ディスク21a,21bの間には、出力ギア40が連結されており、この出力ギア40は、一対の出力ディスク21a,21bと一体となって回転する。また、出力ギア40には、カウンターギア41が噛み合わされており、このカウンターギア41に出力軸42が連結されている。従って、各出力ディスク21a,21bが回転することにより出力ギア40が回転し、出力ギア40からカウンターギア41に回転を伝達することで、出力軸42が回転する。そして、この出力軸42は、減速装置9、差動装置10等を介して駆動輪11に接続されている。
【0031】
ここで、入力軸28周りには、各出力ディスク21a,21bに対し各入力ディスク20a,20bを接近させるディスク押圧機構24が配設されている。つまり、ディスク押圧機構24は、各入力ディスク20a,20bと各出力ディスク21a,21bとの間に一対のパワーローラ22を挟み込んで、挟圧力を作用させるものである。このディスク押圧機構24は、挟圧力発生油圧室45と、挟圧押圧力ピストン46とを有している。
【0032】
挟圧力発生油圧室45は、フロント側入力ディスク20a側に設けられており、入力軸28とフロント側入力ディスク20aとの間に配置される。なお、詳細は後述するが、挟圧力発生油圧室45には、油圧制御装置26のディスク押圧油圧系83から作動油が供給される(図3参照)。
【0033】
挟圧押圧力ピストン46は、円板状に形成され、その中心が軸線X1とほぼ一致するようにバリエータ軸30のフロント側の一端部に設けられる。具体的に、バリエータ軸30のフロント側端部には、フランジ部47が形成され、このフランジ部47に挟圧押圧力ピストン46のフロント側端面の中央部を当接させると共に、挟圧押圧力ピストン46のフロント側端面の外周部には、入力軸28が連結されている。つまり、バリエータ軸30のフランジ部47は、入力軸28と挟圧押圧力ピストン46との間に配設されている。そして、挟圧押圧力ピストン46は、X1軸方向に対して、バリエータ軸30のフランジ部47とフロント側入力ディスク20aとの間に所定の間隔をあけて配置される。これにより、この挟圧押圧力ピストン46とフロント側入力ディスク20aとの間には、上述の挟圧力発生油圧室45が形成される。
【0034】
また、挟圧押圧力ピストン46は、このバリエータ軸30と共に軸線X1を中心として回転可能に設けられると共に、軸線X1に沿った方向に移動可能に設けられる。これにより、リア側入力ディスク20b、バリエータ軸30および挟圧押圧力ピストン46は、入力軸28と一体となって軸線X1を中心に回転可能に構成され、軸線X1に沿った方向に移動可能に構成される。また、フロント側入力ディスク20aは、リア側入力ディスク20b、バリエータ軸30および挟圧押圧力ピストン46と共に一体となって軸線X1を中心として回転可能である一方で、ボールスプライン35によって、このリア側入力ディスク20b、バリエータ軸30および挟圧押圧力ピストン46に対して軸線X1に沿った方向に相対的に移動可能である。
【0035】
また、フロント側入力ディスク20aは、そのフロント側端面が、フロント側入力ディスク20aを移動させるための油圧の第1作用面50となっており、挟圧押圧力ピストン46は、そのリア側端面が、リア側入力ディスク20bを移動させるための油圧の第2作用面51となっている。つまり、挟圧力発生油圧室45は、その一部が第1作用面50および第2作用面51により区画されている。
【0036】
従って、ディスク押圧機構24は、挟圧力発生油圧室45内に供給される作動油の油圧により、フロント側入力ディスク20aを軸線X1の軸方向リア側へ移動させると共に、挟圧押圧力ピストン46を軸線X1の軸方向フロント側へ移動させる。これにより、フロント側入力ディスク20aとフロント側出力ディスク21aとの間に配設された一対のパワーローラ22a,22bは、フロント側入力ディスク20aとフロント側出力ディスク21aとにより挟持される。一方、リア側入力ディスク20bとリア側出力ディスク21bとの間に配設された一対のパワーローラ22c,22dは、挟圧押圧力ピストン46が軸線X1の軸方向フロント側へ移動することにより、リア側入力ディスク20bがフロント側へ移動するため、リア側入力ディスク20bとリア側出力ディスク21bとにより挟持される。この結果、トロイダル式無段変速機8は、各パワーローラ22を介して各入力ディスク20a,20bと各出力ディスク21a,21bとの間で、動力伝達を行うことが可能となる。
【0037】
次に、2組一対のパワーローラ22は、各入力ディスク20a,20bと各出力ディスク21a,21bとの間にそれぞれ配設される。具体的には、一方の一対のパワーローラ22a,22bは、フロント側入力ディスク20aとフロント側出力ディスク21aとの間に配設され、他方の一対のパワーローラ22c,22dは、リア側入力ディスク20bとリア側出力ディスク21bとの間に配設されている。そして、各パワーローラ22は、ディスク押圧機構24により各入力ディスク20a,20bおよび各出力ディスク21a,21bに挟持された状態で転動することにより、各入力ディスク20a,20bから各出力ディスク21a,21bに駆動力を、あるいは各出力ディスク21a,21bから各入力ディスク20a,20bに被駆動力を伝達する。このとき、各パワーローラ22は、トロイダル式無段変速機8に供給されるトラクションオイルにより各パワーローラ22と各入力ディスク20a,20bとの間および各パワーローラ22と各出力ディスク21a,21bとの間に形成される油膜のせん断力を用いて駆動力あるいは被駆動力を伝達する。
【0038】
さらに具体的に、各パワーローラ22は、パワーローラ本体55と、外輪56とにより構成されている。パワーローラ本体55は、その外周面が各入力ディスク20a,20bおよび各出力ディスク21a,21bのトロイダル面33a,33bに対応した曲面状の接触面57に形成されている。図2に示すように、パワーローラ本体55は、外輪56に形成された回転軸58に対し、ラジアルベアリングRBを介して回転自在に支持されている。また、パワーローラ本体55は、外輪56のパワーローラ本体55と対向する面に対して、スラストベアリングSBを介して回転自在に支持されている。従って、パワーローラ本体55は、外輪56の回転軸58の軸線X2を回転中心として回転可能となっている。
【0039】
外輪56には、上述の回転軸58と共に偏心軸59が形成されている。偏心軸59は、その軸線X3が回転軸58の軸線X2に対してずれた位置となるように形成されている。偏心軸59は、後述するトラニオン23に対し、ラジアルベアリングRBを介して回転自在に支持されている。従って、外輪56は、偏心軸59の軸線X3を中心として回転可能である。つまり、各パワーローラ22は、軸線X3を中心として公転可能でかつ軸線X2を中心として自転可能となる。
【0040】
各パワーローラ22を回転自在に支持する各トラニオン23は、各入力ディスク20a,20bおよび各出力ディスク21a,21bに対し、各パワーローラ22を中立位置と変速位置との間で移動させるものである。各トラニオン23は、本体部60と、揺動軸61a,61bとを有している。
【0041】
本体部60には、パワーローラ22が配置される空間部が形成されている。また、本体部60には、パワーローラ22の移動方向における両端部に揺動軸61a,61bがそれぞれ一体形成されている。揺動軸61a,61bは、柱状に形成されており、軸線X4を回転中心として本体部60を回転可能に軸支している。図示下方に延びる一方の揺動軸61aは、ロアリンク62を介してケーシング(不図示)に支持されており、図示上方に延びる他方の揺動軸61bは、アッパリンク63を介してケーシング(不図示)に支持されている。また、揺動軸61aは、ラジアルベアリングRBを介してロアリンク62に回転自在かつ軸方向に移動自在に支持され、揺動軸61bは、ラジアルベアリングRBを介してアッパリンク63に回転自在かつ軸方向に移動自在に支持されている。従って、トラニオン23は、本体部60が揺動軸61a,61bと共に軸線X4を中心として回転自在に支持され、また、軸線X4に沿った方向に移動自在に支持されている。
【0042】
ここで、各トラニオン23の揺動軸61a,61b周りには、各トラニオン23をX4軸方向に移動させる油圧サーボ機構25が配設されている。つまり、油圧サーボ機構25は、各トラニオン23を介して各パワーローラ22を中立位置から変速位置へ移動させるものである。この油圧サーボ機構25は、変速制御油圧室65と、変速制御ピストン66とを有しており、変速制御油圧室65に導入される作動油の油圧を変速制御ピストン66により受圧することで、各トラニオン23を軸線X4に沿った2方向(A1方向及びA2方向)に移動させる。
【0043】
変速制御ピストン66は、ピストンベース70とフランジ部71とにより構成されている。ピストンベース70は、円筒形状に形成され一方の揺動軸61aに挿入されて固定されている。フランジ部71は、ピストンベース70から揺動軸61aの径方向外側に突出して円板状に形成されると共にピストンベース70に固定的に設けられている。
【0044】
変速制御油圧室65は、シリンダボディ75内に形成されており、シリンダボディ75は、ボディ本体76と、ボディ本体76の底部に配設されたロアカバー77とにより構成されている。ボディ本体76は、その底部に変速制御油圧室65となる円柱中空状の凹部が形成されている。そして、ロアカバー77は、ボディ本体76の凹部の開口を塞ぐようにボディ本体76の底部に固定される。これにより、変速制御油圧室65は、ボディ本体76とロアカバー77とにより軸線X4を中心とした円柱状(シリンダ状)に区画される。
【0045】
そして、変速制御ピストン66のフランジ部71は、変速制御油圧室65内に収容されると共に、変速制御油圧室65を第1油圧室OP1と第2油圧室OP2とに区分けする。このとき、第1油圧室OP1は、軸線X4に沿ったA2方向側に形成され、第2油圧室OP2は、軸線X4に沿ったA1方向側に形成される。
【0046】
従って、第1油圧室OP1の内部に作動油が供給されると、油圧によりフランジ部71が軸線X4に沿ったA1方向に移動する一方、第2油圧室OP2の内部に作動油が供給されると、油圧によりフランジ部71が軸線X4に沿ったA2方向に移動する。これにより、油圧サーボ機構25は、各トラニオン23を軸線X4に沿った方向に移動させることにより、各入力ディスク20a,20bおよび各出力ディスク21a,21bに対し、各パワーローラ22を中立位置から変速比に応じた変速位置に移動させることで、各入力ディスク20a,20bおよび各出力ディスク21a,21bに対し、各パワーローラ22を傾転させることができる。そして、この後、再び各パワーローラ22を中立位置に戻すことで、変速比の変更を完了する。
【0047】
フランジ部71の径方向外側の先端部には、環状のシール部材Sが設けられており、環状のシール部材Sは、第1油圧室OP1および第2油圧室OP2の内部の作動油が互いに漏れないようにシールしている。なお、一対のパワーローラ22を支持する一対のトラニオン23において、一方のトラニオン23の揺動軸61a周りに形成された第1油圧室OP1および第2油圧室OP2は、他方のトラニオン23の揺動軸61a周りに形成された第1油圧室OP1および第2油圧室OP2に対し、位置関係が逆となっている。
【0048】
ディスク押圧機構24および油圧サーボ機構25は、油圧制御装置26により制御されている。図3に示すように、油圧制御装置26は、作動油を貯留するオイルタンク80と、エンジン5により駆動するオイルポンプ81と、オイルポンプ81により汲み上げた作動油を各部へ向けて供給するライン圧系82と、ライン圧系82に接続されたディスク押圧油圧系83と、ライン圧系82に接続されたサーボ油圧系84とを備えている。サーボ油圧系84は、例えば、ディスク押圧油圧系83に比して、ライン圧系82の上流側に接続されている。
【0049】
オイルポンプ81は、エンジン5の運転、例えばクランクシャフト15の回転に連動して作動するものであり、オイルタンク80に貯留されている作動油を吸引、加圧し、吐出するものである。そして、加圧されて吐出された作動油は、ライン圧系82を介して、ディスク押圧油圧系83やサーボ油圧系84等に供給される。
【0050】
ライン圧系82は、オイルポンプ81から吐出された作動油を各部、例えば、前後進切換機構7、ディスク押圧機構24および油圧サーボ機構25等に供給している。ライン圧系82内における油圧は、エンジン5の運転時において、オイルポンプ81により作動油が供給されることで、所定の油圧(ライン圧)に保持されている。
【0051】
ディスク押圧油圧系83は、ディスク押圧機構24の駆動源(油圧源)となっており、ライン圧系82と挟圧力発生油圧室45とを接続している。ディスク押圧油圧系83には、挟圧力発生油圧室45に供給する作動油の流量を調整するディスク押圧制御弁88が配設されている。
【0052】
ディスク押圧制御弁88は、ECU90により制御されている。ECU90は、ディスク押圧制御弁88を制御することで、ライン圧系82と挟圧力発生油圧室45との接続状態を切り替え、これにより、挟圧力発生油圧室45に作動油を供給する。挟圧力発生油圧室45に作動油を供給する場合、ECU90は、所定の挟圧力となる弁制御量に基づいて、ディスク押圧制御弁88を開弁する。ディスク押圧制御弁88は、例えば、圧力制御弁であり、挟圧力発生油圧室45に供給する作動油の圧力を制御することができる。ディスク押圧制御弁88は、例えば、スプール弁とすることができる。ディスク押圧制御弁88は、付勢部材によって付勢されたスプール弁子、オイルポンプ81と連通した入力ポート、挟圧力発生油圧室45と連通した出力ポート、およびドレンポートを有する。ディスク押圧制御弁88は、油圧あるいは電磁力等によって駆動されるスプール弁子が増圧側あるいは減圧側に移動することで挟圧力発生油圧室45に供給する油圧を制御する。
【0053】
例えば、スプール弁子が増圧側に駆動されると、入力ポートと出力ポートとを接続する流路の流路断面積が増加し、あるいは出力ポートとドレンポートとを接続する流路の流路断面積が減少する。これにより、挟圧力発生油圧室45の油圧が増加する。一方、スプール弁子が減圧側に駆動されると、入力ポートと出力ポートとを接続する流路の流路断面積が減少し、あるいは出力ポートとドレンポートとを接続する流路の流路断面積が増加する。これにより、挟圧力発生油圧室45の油圧が減少する。また、ディスク押圧制御弁88は、入力ポート、出力ポート、ドレンポートのいずれのポートも他のポートと連通させない状態として、挟圧力発生油圧室45の油圧を維持することも可能である。
【0054】
ECU90は、例えば、ディスク押圧制御弁88のスプール弁子を駆動する油圧である信号圧を調節することによって、挟圧力発生油圧室45の油圧を制御することができる。あるいは、ECU90は、ディスク押圧制御弁88のスプール弁子を駆動するソレノイド等の電磁力を調節することによって、挟圧力発生油圧室45の油圧を制御することができる。
【0055】
サーボ油圧系84は、油圧サーボ機構25の駆動源(油圧源)となっており、ライン圧系82と第1油圧室OP1および第2油圧室OP2とを接続している。サーボ油圧系84には、ライン圧系82から第1油圧室OP1に供給する作動油の流量を調整する第1変速制御弁92が配設され、ライン圧系82から第2油圧室OP2に供給する作動油の流量を調整する第2変速制御弁93が配設されている。
【0056】
第1変速制御弁92は、ECU90により制御されており、ECU90により第1変速制御弁92を制御することで、ライン圧系82と第1油圧室OP1との接続状態を切り替え、これにより、ライン圧系82から第1油圧室OP1に作動油を供給し、また、第1油圧室OP1からオイルパン94へ作動油を排出する。第2変速制御弁93も、第1変速制御弁92と同様に構成され、ECU90により制御されており、ECU90により第2変速制御弁93を制御することで、ライン圧系82と第2油圧室OP2との接続状態を切り替え、これにより、ライン圧系82から第2油圧室OP2に作動油を供給し、また、第2油圧室OP2からオイルパン94へ作動油を排出する。
【0057】
従って、フランジ部71を軸線X4に沿ったA1方向に移動させる場合、ECU90により第1変速制御弁92を制御して、ライン圧系82から第1油圧室OP1に作動油を供給する一方、ECU90により第2変速制御弁93を制御して、第2油圧室OP2からオイルパン94へ作動油を排出する。一方、フランジ部71を軸線X4に沿ったA2方向に移動させる場合、ECU90により第1変速制御弁92を制御して、第1油圧室OP1からオイルパン94へ作動油を排出する一方、ECU90により第2変速制御弁93を制御して、ライン圧系82から第2油圧室OP2に作動油を供給する。
【0058】
ECU90は、例えば、車速およびアクセル開度等に基づいてトロイダル式無段変速機8の目標変速比を決定し、目標変速比に基づいて各パワーローラ22の目標傾転角を決定する。ECU90は、目標傾転角を実現するように、油圧サーボ機構25によって各トラニオン23の軸線X4方向の移動制御を行う。また、ECU90は、エンジン5の出力トルク、トロイダル式無段変速機8の変速比等に基づいて各パワーローラ22を挟圧する挟圧力の目標値を決定する。ECU90は、決定した目標挟圧力を実現するようにディスク押圧制御弁88によって挟圧力発生油圧室45の油圧を制御する。
【0059】
ここで、各パワーローラ22と入力ディスク20a,20bのトロイダル面33aとの間、あるいは各パワーローラ22と出力ディスク21a,21bのトロイダル面33bとの間において、スリップが発生することがある。パワーローラ22とトロイダル面33a,33bとのスリップの発生を適切に抑制できることが望ましい。
【0060】
本実施形態のトロイダル式無段変速機8は、挟圧力補正システム100を備えている。図4は、挟圧力補正システム100の概略構成図である。挟圧力補正システム100は、各パワーローラ22とトロイダル面33a,33bとのスリップを抑制するように各パワーローラ22を挟圧する挟圧力を補正する機能を有している。挟圧力補正システム100は、ディスク押圧制御弁88、第一圧力出力機構101、第二圧力出力機構102、信号圧出力機構103を有する。
【0061】
第一圧力出力機構101は、複数のパワーローラ22a,22b,22c,22dの一つである第一パワーローラの傾転に連動して駆動し、当該駆動によりライン圧を調整して第一圧力P1を出力する第一バルブ機構である。つまり、第一圧力出力機構101は、第一パワーローラの傾転角に応じた第一圧力P1を出力することができる。また、第二圧力出力機構102は、複数のパワーローラ22a,22b,22c,22dの他の一つである第二パワーローラの傾転に連動して駆動し、当該駆動によりライン圧を調整して第二圧力P2を出力する第二バルブ機構である。第二圧力出力機構102は、第二パワーローラの傾転角に応じた第二圧力P2を出力することができる。
【0062】
ここでは、第一パワーローラが、リア側入力ディスク20bとリア側出力ディスク21bとの間に配置された一対のパワーローラ22a,22bの一方22a(以下、「第一パワーローラ22a」とも記載する。)であり、第二パワーローラが、当該一対のパワーローラ22a,22bの他方22b(以下、「第二パワーローラ22b」とも記載する。)である場合について説明する。
【0063】
第一圧力出力機構101および第二圧力出力機構102は、例えば、スプール弁とすることができる。第一圧力出力機構101は、弁本体101a、スプール弁子101b、スプリング101c、ピストン101dを有する。弁本体101aは、軸線X1に沿った方向に延在している。弁本体101aは、入力ポート101e、出力ポート101f、フィードバックポート101gおよびドレンポート101hを有する。フィードバックポート101gは、弁本体101aの一端に形成されており、弁本体101aの他端に向けて入力ポート101e、出力ポート101f、ドレンポート101hがこの順に配置されている。
【0064】
入力ポート101eには、元圧、例えばライン圧が供給される。出力ポート101fは、信号圧出力機構103の第一圧力ポート103hに接続されている。出力ポート101fは、更に、絞り106を介してフィードバックポート101gに接続されている。ドレンポート101hは、例えば、オイルパン94に接続されている。
【0065】
スプール弁子101bは、弁本体101a内に配置されており、入力ポート101eおよび出力ポート101fに対して軸方向に相対移動することにより、出力ポート101fを介して出力する油圧(第一油圧P1)を調圧する。スプール弁子101bは、第一弁部101iおよび第二弁部101jを有する。第一弁部101iは、入力ポート101eを開閉して入力ポート101eと出力ポート101fとの間の潤滑油の流路面積を制御する。第二弁部101jは、ドレンポート101hを開閉して出力ポート101fとドレンポート101hとの間の潤滑油の流路面積を制御する。フィードバックポート101gは、第一弁部101iを挟んで出力ポート101fと反対側に位置している。従って、第一弁部101iには、出力ポート101fとフィードバックポート101gとの差圧に応じた軸方向の力が作用する。
【0066】
スプール弁子101bにおけるフィードバックポート101g側と反対側の端部は、スプリング101cを介してピストン101dと接続されている。第二弁部101jは、スプリング101cによるスプリング力Fsp、および出力ポート101fの圧力をそれぞれ受けている。
【0067】
ピストン101dは、第一パワーローラ22aの傾転角に応じて弁本体101aの軸方向に移動する。ピストン101dは、ピン104およびロッド105を介して第一パワーローラ22aと連結されている。ロッド105は、第一パワーローラ22aの傾転と連動して軸線X4まわりに回転する。ロッド105は、例えば、第一パワーローラ22aを支持するトラニオン23に接続されており、第一パワーローラ22aから軸線X1に関する径方向の外側に向けて突出している。ロッド105における径方向の外側端部には、ピン104が接続されている。ピン104は、ピストン101dによって支持されている。言い換えると、ロッド105とピストン101dとは、ピン104によって連結されて弁本体101aの軸方向に移動可能であると共に、ピン104を回転中心として相対回転可能である。
【0068】
図5は、第一圧力出力機構101の動作説明図である。第一パワーローラ22aの傾転角が変化すると、図5に示すように、ロッド105は、軸線X4を回転中心として第一パワーローラ22aと共に回転する。これにより、ピン104が弁本体101aの軸方向に移動し、ピストン101dを当該軸方向に駆動する。例えば、傾転角の変化に連動してピストン101dがB1方向(弁本体101aの軸方向において、ドレンポート101hからフィードバックポート101gに向かう方向)に駆動されると、ピストン101dがスプリング101cを押し縮める方向に移動することとなり、スプリング101cのスプリング力Fspが増加する。これにより、スプール弁子101bがB1方向に移動して入力ポート101eを開放し、出力ポート101fに出力される第一圧力P1が増加する。
【0069】
出力ポート101fとフィードバックポート101gとは連通していることから、フィードバックポート101gを介してスプール弁子101bに作用する第一圧力P1がスプリング力Fspによる押圧力と釣り合う圧力まで増加すると、スプール弁子101bが中立位置に戻り、入力ポート101eを閉じる。絞り106は、スプリング力Fspに応じて第一圧力P1を調圧するときの供給圧の振動を抑制する。
【0070】
一方、傾転角の変化に連動してピストン101dがB2方向に駆動されると、ピストン101dがスプリング101cを伸張させる方向に移動することとなり、スプリング力Fspが減少する。これにより、スプール弁子101bがB2方向に移動してドレンポート101hを開放し、出力ポート101fから供給する供給圧が減少する。供給圧がスプリング力Fspによる押圧力と釣り合うまで減少すると、スプール弁子101bが中立位置に戻り、ドレンポート101hを閉じる。
【0071】
このようにして、第一圧力出力機構101は、第一パワーローラ22aの傾転角に応じた第一圧力P1を出力することができる。第一圧力P1とスプリング力Fspとの関係は、スプール弁子101bのバルブ面積(例えば、弁部101iの断面積)をAとした場合に、下記式(1)で表される。
P1×A = Fsp…(1)
【0072】
第二圧力出力機構102は、第二パワーローラ22bに設けられており、第一圧力出力機構101と同様の方法により、第二パワーローラ22bの傾転角に応じた第二圧力P2を出力することができる。第二圧力出力機構102は、ライン圧の供給を受けており、第二パワーローラ22bの傾転角に応じて調圧した第二圧力P2を出力ポートに出力する。第一圧力出力機構101と第二圧力出力機構102とは、同じ傾転角に対して同じ圧力を出力することができる。すなわち、第一パワーローラ22aの傾転角と第二パワーローラ22bの傾転角とが等しい場合、第一圧力P1と第二圧力P2とは同圧となる。
【0073】
信号圧出力機構103は、第一圧力P1と第二圧力P2との差圧が所定の閾値以上となった場合にパワーローラ22のスリップが抑制されるように信号圧Psを出力する補正用バルブ機構である。信号圧出力機構103は、第一圧力P1と第二圧力P2との差圧に応じてパワーローラ22のスリップを抑制する信号圧Psを出力することができる。
【0074】
信号圧出力機構103は、弁本体103a、スプール弁子103b、第一スプリング103c、第二スプリング103dを有する。弁本体103aは、第一入力ポート103e、第二入力ポート103f、出力ポート103g、第一圧力ポート103h、第二圧力ポート103iを有する。第一圧力ポート103hは、弁本体103aの一端に形成され、第二圧力ポート103iは、弁本体103aの他端に形成されている。第一入力ポート103eおよび第二入力ポート103fは、第一圧力ポート103hと第二圧力ポート103iとの間に形成されており、第一入力ポート103eは、第二入力ポート103fよりも第一圧力ポート103h側に配置されている。出力ポート103gは、第一入力ポート103eと第二入力ポート103fとの間に形成されている。
【0075】
第一圧力ポート103hには、第一圧力出力機構101によって出力される第一圧力P1が供給される。第二圧力ポート103iには、第二圧力出力機構102によって出力される第二圧力P2が供給される。また、第一入力ポート103eおよび第二入力ポート103fには、共通の圧力源からの元圧、例えばライン圧が供給される。
【0076】
スプール弁子103bは、弁本体103a内に配置されており、弁本体103aの軸方向に移動することによって第一入力ポート103eあるいは第二入力ポート103fを開閉する。スプール弁子103bは、第一弁部103jおよび第二弁部103kを有する。第一弁部103jは、第一入力ポート103eを開閉し、第二弁部103kは、第二入力ポート103fを開閉する。
【0077】
第一スプリング103cは、スプール弁子103bに対して第一圧力ポート103h側に配置されており、スプール弁子103bを第二圧力ポート103i側に付勢している。一方、第二スプリング103dは、スプール弁子103bに対して第二圧力ポート103i側に配置されており、スプール弁子103bを第一圧力ポート103h側に付勢している。スプール弁子103bは、中立位置において第一入力ポート103eおよび第二入力ポート103fをそれぞれ閉塞する。例えば、第一圧力P1と第二圧力P2とが等しい場合、スプール弁子103bに対して作用する第一圧力ポート103h側に向かう力と第二圧力ポート103i側に向かう力とが中立位置において均衡する。これにより、スプール弁子103bは各入力ポート103e,103fを閉塞し、信号圧は出力されない。
【0078】
第一パワーローラ22aおよび第二パワーローラ22bのいずれもスリップしていない場合など、第一パワーローラ22aの傾転角と第二パワーローラ22bの傾転角とが等しい場合、第一圧力P1と第二圧力P2とは等しい。この場合、信号圧出力機構103は、信号圧を出力しない。第一パワーローラ22aや第二パワーローラ22bにおいてスリップが生じ、目標とする傾転角と実際の傾転角とにずれが生じると、第一圧力P1と第二圧力P2との差圧が生じる。例えば、第一パワーローラ22aにスリップが生じた場合、第一パワーローラ22aの傾転角のずれが大きくなるほど第一圧力P1と第二圧力P2との差圧が大きくなる。
【0079】
信号圧出力機構103は、第一圧力P1と第二圧力P2との差圧(以下、単に「差圧ΔP」と記載する。)に応じた信号圧を出力ポート103gに出力する。例えば、第一圧力P1が第二圧力P2よりも高圧となると、スプール弁子103bは、差圧ΔPによってC1方向(弁本体103aの軸方向において第一圧力ポート103hから第二圧力ポート103iへ向かう方向)に駆動される。これにより、第二入力ポート103fが開放される。差圧ΔPの大きさが大きいほど第二入力ポート103fの開度が増加し、信号圧Psが大きくなる。このように、スリップによって第一圧力P1が増加すると、第一圧力P1の増加の度合いに応じた大きさの信号圧Psが信号圧出力機構103によって出力される。
【0080】
一方、第一圧力P1が第二圧力P2よりも低圧となると、スプール弁子103bは、差圧ΔPによってC2方向(弁本体103aの軸方向において第二圧力ポート103iから第一圧力ポート103hへ向かう方向)に駆動される。これにより、第一入力ポート103eが開放される。差圧ΔPの大きさが大きいほど第一入力ポート103eの開度が増加し、信号圧Psが大きくなる。このように、スリップによって第一圧力P1が減少すると、第一圧力P1の減少の度合いに応じた大きさの信号圧Psが信号圧出力機構103によって出力される。
【0081】
信号圧出力機構103は、第一圧力P1と第二圧力P2との差圧ΔPの大きさが予め定められた閾値以上である場合に信号圧を出力するように構成されることができる。この閾値は、バルブ径(バルブ面積A)とスプリング103c,103dのばね係数によって調節可能である。例えば、信号圧出力機構103は、個々の部品のばらつきにより生じる程度の第一圧力P1と第二圧力P2との差圧ΔPを許容して信号圧Psを出力しないように設定されてもよい。また、信号圧出力機構103は、極小さな度合いのスリップによる差圧ΔPを許容して信号圧Psを出力しないように設定されてもよい。
【0082】
スリップによって第二圧力P2が変動する場合についても同様であり、第二圧力P2が増加する度合いおよび第二圧力P2が減少する度合いに応じた信号圧Psが信号圧出力機構103によって出力される。
【0083】
信号圧出力機構103によって出力される信号圧Psは、ディスク押圧制御弁88に入力される。信号圧Psは、ディスク押圧制御弁88によって発生させる挟圧力を増圧させる。ECU90によるディスク押圧制御弁88に対する弁制御量と、信号圧Psによるディスク押圧制御弁88に対する弁制御量とは、重畳的に作用し、ディスク押圧制御弁88の開度を増加させる。例えば、ディスク押圧制御弁88がスプール弁である場合、ECU90の指令によって油圧等によりディスク押圧制御弁88のスプール弁子を駆動する駆動力と、信号圧Psがディスク押圧制御弁88のスプール弁子を駆動する駆動力とが重畳的に作用し、挟圧力発生油圧室45内の圧力を増加させる方向にスプール弁子を移動させる。
【0084】
つまり、本実施形態のディスク押圧制御弁88は、入力ディスク20a,20bと出力ディスク21a,21bとがパワーローラ22を挟み込む挟圧力を補正し、かつ信号圧Psに応じて挟圧力を増加させる挟圧力補正機構としての機能を有する。
【0085】
信号圧Psに応じてディスク押圧制御弁88が挟圧力発生油圧室45の油圧を増加させることにより、各パワーローラ22を挟圧する挟圧力が増加する。挟圧力の増加により、傾転角の同期ずれ等によるパワーローラ22のスリップを抑制することが可能となる。本実施形態のトロイダル式無段変速機8では、傾転角を検出するセンサ等を設けることなく、挟圧力補正システム100によって機械的にパワーローラ22のスリップを抑制することができる。よって、パワーローラ22のスリップの抑制とコスト増大の抑制とを両立することができる。
【0086】
また、差圧ΔPの大きさの増加に応じて信号圧Psが増加し、パワーローラ22に対する挟圧力の補正量、すなわち挟圧力の増分が大きくなる。よって、スリップ率が大きい場合など、第一パワーローラ22aの傾転角と第二パワーローラ22bの傾転角との角度差が大きくなるほど挟圧力が増加し、適切にスリップを抑制することができる。
【0087】
本実施形態によれば、スリップ発生時に精度よくフェール判定(フェール検出)してフェールセーフ動作を実施することができる。例えば、従来のようにアクチュエータの位置から推定した変速比に基づいてフェール判定する方法の場合、スリップ発生時には正しくフェール判定できない虞がある。スリップ発生時には、複数のパワーローラが同じようにスリップしない場合がある。一例として、4個のパワーローラの内、3個のパワーローラはスリップせず、1個のパワーローラだけスリップした場合は、スリップしていない場合との変速比の変化が小さく、正しくフェール判定できない可能性がある。
【0088】
これに対して、本実施形態のトロイダル式無段変速機8によれば、1個のパワーローラ22だけスリップした場合のように、一部のパワーローラ22のみスリップした場合であっても、油圧回路によって精度よくスリップを検出してフェールセーフ動作を実施することができる。本実施形態のトロイダル式無段変速機8では、ECU90が介在することなく、油圧回路によって自動的にスリップの抑制がなされる。よって、ECU90の負荷を軽減することができる。
【0089】
なお、パワーローラ22の傾転角に応じた圧力を出力する圧力出力機構は、本実施形態で例示したものには限定されない。
【0090】
本実施形態では、リア側入力ディスク20bとリア側出力ディスク21bとの間に配置された一対のパワーローラ22の一方22cを第一パワーローラとし、他方22dを第二パワーローラとする場合について説明したが、これには限定されない。第一パワーローラおよび第二パワーローラは、任意である。例えば、フロント側入力ディスク20aとフロント側出力ディスク21aとの間に配置された一対のパワーローラ22の一方22aを第一パワーローラとし、他方22bを第二パワーローラとしてもよい。
【0091】
また、フロント側に配置された一対のパワーローラ22a,22bの一方を第一パワーローラとし、リア側に配置された一対のパワーローラ22c,22dの一方を第二パワーローラとしてもよい。また、フロント側あるいはリア側の一対のパワーローラ22の傾転角の差に応じた信号圧Psを出力する信号圧出力機構103に加えて、フロント側のパワーローラ22の傾転角とリア側のパワーローラ22の傾転角との差に応じた信号圧Psを出力する信号圧出力機構103が設けられてもよい。
【0092】
なお、信号圧Psに基づいて、エンジン5の出力を低減させるようにしてもよい。例えば、信号圧Psを検出するセンサを設け、このセンサの検出結果に基づいてECU90がエンジン5の出力を低減させる制御を行うようにしてもよい。例えば、挟圧力補正システム100による挟圧力の補正に加えて、エンジン5の出力を低減させることにより、パワーローラ22のスリップをより早いタイミングで抑制することや、パワーローラ22のスリップ率をより低減させることが可能となる。
【0093】
あるいは、信号圧Psにより機械的にエンジン5の出力を低減させる機構を設けてもよい。例えば、信号圧Psによってスロットルバルブの開度を低減させる機構や、燃料噴射量を低減させる機構が設けられてもよい。また、これら以外にも、パワーローラ22のスリップを抑制するスリップ抑制機構を信号圧Psに応じて作動させることができる。なお、エンジン5の出力を低減させる機構を含むスリップ抑制機構は、信号圧Psにより駆動されることに代えて、第一圧力P1と第二圧力P2との差圧に基づいて作動するものであってもよい。
【0094】
第一圧力P1と第二圧力P2との不一致に基づいてフェールを検出する油圧回路、および検出したフェールに基づいてフェール動作を行う油圧回路は、本実施形態で例示したものには限定されない。
【0095】
なお、本実施形態では、信号圧Psに応じて挟圧力を増加させる挟圧力補正機構としての機能をディスク押圧制御弁88が兼ね備えていたが、これに限定されるものではない。例えば、ディスク押圧制御弁88とは独立して、信号圧Psに応じて挟圧力を増加させる挟圧力補正機構が設けられてもよい。
【0096】
[第1変形例]
第1変形例について説明する。信号圧出力機構103の信号圧によって挟圧力を補正することに代えて、第一圧力出力機構101が出力する第一圧力P1等を検出して挟圧力を補正するようにしてもよい。図6は、第1変形例に係る挟圧力補正システム110の概略構成図、図7は、第1変形例に係る制御のフローチャートである。
【0097】
図6に示すように、リア側に配置された一対のパワーローラ22の一方22cには、第一圧力出力機構101が設けられている。また、第一圧力出力機構101によって出力される第一圧力P1を検出する油圧センサ107が設けられている。同様にして、リア側に配置された一対のパワーローラ22の他方22d(図1参照)には、第二圧力出力機構102が設けられている。また、第二圧力出力機構102によって出力される第二圧力P2を検出する油圧センサ108が設けられている。油圧センサ107,108は、ECU90に接続されており、油圧センサ107,108の検出結果を示す信号は、ECU90に対して出力される。
【0098】
更に、フロント側に配置された一対のパワーローラ22a,22b(図1参照)には、それぞれ図示しない圧力出力機構および油圧センサが設けられている。各圧力出力機構は、対応するパワーローラ22の傾転角に応じた圧力を出力し、油圧センサはそれらの圧力を検出してECU90に対して検出結果の信号を出力する。ECU90は、各パワーローラ22a,22b,22c,22dの傾斜角に応じた圧力に基づいてフェール判定およびフェールセーフ動作を実行する。
【0099】
図7を参照して、本変形例に係る制御について説明する。図7に示す制御フローは、例えば、車両1の走行中に実行される。
【0100】
まず、ステップS1では、ECU90により、複数の角度値の最大と最小の差が所定値よりも大であるか否かが判定される。ステップS1では、各パワーローラ22の傾転角に所定値を超える角度差が生じているか否かが判定される。複数の角度値の最大と最小との差が所定値を超える場合、パワーローラ22のスリップが発生していると判定することができる。ECU90は、各パワーローラ22に配置された油圧センサの検出結果に基づいて各パワーローラ22の傾転角を取得し、取得した傾転角に基づいてステップS1の判定を行う。ステップS1の判定の結果、複数の角度値の最大と最小の差が所定値よりも大であると判定された場合(ステップS1−Y)にはステップS2に進み、そうでない場合(ステップS1−N)には本制御フローは終了する。
【0101】
ステップS2では、ECU90により、フェールセーフ動作が実行される。ECU90は、ディスク押圧制御弁88が発生する油圧をアップさせ、パワーローラ22に対する挟圧力を増加させる。また、ECU90は、エンジン5の出力をダウンさせ、トロイダル式無段変速機8に入力されるトルクを低減させる。挟圧力の増加、あるいはエンジントルクの低減の少なくともいずれか一方を実施することにより、パワーローラ22のスリップが抑制される。ステップS2が実行されると、本制御フローは終了する。
【0102】
本変形例では、複数の角度値(角度値に対応する圧力)の最大値と最小値との比較結果に基づいてフェールセーフ動作を実施することができる。また、それぞれの角度値および角度値の変動を任意のタイミングでモニタすることが可能である。例えば、いずれかのパワーローラ22において他のパワーローラ22と異なる圧力の変動が生じた場合にスリップ判定を行うことが可能である。一例として、同じ期間においていずれかのパワーローラ22に係る圧力変動が他のパワーローラ22に係る圧力変動よりも大きな圧力変動である場合にスリップが発生したと判定することが可能である。
【0103】
なお、角度値の最大と最小との差に基づくフェール判定に代えて、あるいは加えて、入出力回転数から計算した変速比と油圧に基づく変速比との不一致に基づいてフェール判定を行うようにしてもよい。例えば、トロイダル式無段変速機8の入力回転数と出力回転数とに基づいて算出した変速比と、第一圧力P1に基づく傾転角(変速比)が一致しない場合、パワーローラ22cがスリップしていると判定することが可能である。
【0104】
[第2変形例]
第2変形例について説明する。パワーローラ22の傾転角に応じた圧力を出力する圧力出力機構に代えて、パワーローラ22の傾転角を検出する角度センサが設けられてもよい。図8は、第2変形例に係る挟圧力補正システム120の概略構成図である。
【0105】
図8に示すように、トラニオン23の揺動軸61bには、傾転角センサ109が配置されている。傾転角センサ109は、軸線X4まわりの揺動軸61bの回転角度に基づいてパワーローラ22の傾転角を検出する。傾転角センサ109は、各パワーローラ22a,22b,22cおよび22dに対してそれぞれ配置されている。傾転角センサ109は、ECU90に接続されており、各傾転角センサ109の検出結果を示す信号は、ECU90に出力される。なお、傾転角センサ109は、揺動軸61bに限らず、パワーローラ22の傾転角あるいはパワーローラ22の傾転と連動して変化する角度その他の物理量を検出できるように配置されていればよい。
【0106】
ECU90は、各傾転角センサ109の検出結果に基づいて、フェールセーフ動作を実施する。例えば、ECU90は、上記第1変形例(図7)と同様のフローチャートに従って、フェール判定およびフェールセーフ動作を実施するようにしてもよい。この場合において、ステップS1では、上記第1変形例の油圧センサに基づく角度値に代えて、傾転角センサ109により検出された角度値を参照するようにすればよい。ECU90は、傾転角センサ109により検出された複数の角度値の最大値と最小値との差が所定値を超える場合にフェールセーフ動作を実施する。フェールセーフ動作の内容は、上記第1変形例と同様とすることができる。
【0107】
なお、角度値の最大と最小との差に基づくフェール判定に代えて、あるいは加えて、入出力回転数から計算した変速比と傾転角センサ109の検出結果に基づく変速比との不一致に基づいてフェール判定を行うようにしてもよい。
【0108】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 車両
8 トロイダル式無段変速機
20a フロント側入力ディスク
20b リア側入力ディスク
21a フロント側出力ディスク
21b リア側出力ディスク
22a,22b,22c,22d パワーローラ
23 トラニオン
88 ディスク押圧制御弁(挟圧力補正機構)
90 ECU
100 挟圧力補正システム
101 第一圧力出力機構
102 第二圧力出力機構
103 信号圧出力機構
P1 第一圧力
P2 第二圧力
Ps 信号圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ディスクと出力ディスクとの間で動力を伝達し、かつ第一パワーローラおよび第二パワーローラを含む複数のパワーローラと、
前記第一パワーローラの傾転角に応じた第一圧力を出力する第一圧力出力機構と、
前記第二パワーローラの傾転角に応じた第二圧力を出力する第二圧力出力機構と、
前記第一圧力と前記第二圧力との差圧に応じて前記パワーローラのスリップを抑制する信号圧を出力する信号圧出力機構と、
を備えることを特徴とするトロイダル式無段変速機。
【請求項2】
更に、前記入力ディスクと前記出力ディスクとが前記複数のパワーローラを挟み込む挟圧力を補正する挟圧力補正機構を備え、
前記挟圧力補正機構は、前記信号圧に応じて前記挟圧力を増加させる
請求項1に記載のトロイダル式無段変速機。
【請求項3】
前記信号圧出力機構は、前記第一圧力と前記第二圧力との差圧が閾値以上である場合に前記信号圧を出力する
請求項1または2に記載のトロイダル式無段変速機。
【請求項4】
更に、前記第一圧力と前記第二圧力との差圧に基づいて、前記入力ディスクに対して動力を出力する原動機の出力を低減させる
請求項1から3のいずれか1項に記載のトロイダル式無段変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−237370(P2012−237370A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106481(P2011−106481)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】