説明

トンネルの防災システム

【課題】 トンネル内で火災、事故等の異常が発生した場合に、トンネル内に存在している車両のドライバ等が、適切な対応をとることができるトンネルの防災システムを提供することを目的とするものである。

【解決手段】 個別のアドレスが付与されている車両との間で、無線交信するトンネル内無線機器を設け、異常検出手段からネットワークを介して、異常情報を受信し、トンネル内無線機器からネットワークを介して、各車両のアドレスと状態情報とを受信し、受信した異常情報と各車両の状態情報とに基づいて、車両毎に告知する車両用個別告知情報を演算し、演算された車両用個別告知情報を、ネットワークとトンネル内無線機器とを介して、該当する車両に該当アドレスを付して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル内で火災、事故等の異常が発生した場合、車両のドライバは、トンネル案内板に表示されている情報、またはラジオから流れる情報に従って、避難行動をとる。
【0003】
また、火災時に道路利用者が、必要な情報をタイミングよく得ることができるように、中央情報提供装置に集められた各種情報を、通信システムを介して提供し、利用者の適切な意思決定を支援する情報提供システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−288783公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、トンネル案内板は、最寄の避難口を表示することができるが、消火装置の存在をアピールしていないので、初期消火の機会を失うことがあるという問題があり、さらに、ドライバがたとえ火災発生を知ったとしても、火災規模を把握できないので、適切な対応をとることが困難であるという問題がある。
【0005】
また、ラジオから流れる情報によって、ドライバが火災発生を知ったとしても、その情報は、トンネル内に一律に流す同じ内容であるので、火源からの各車両の位置等の詳細な情報をドライバが知ることができず、したがって、適切な対応をとることが困難であるという問題がある。
【0006】
また、上記のように、異常が発生した場合、一般のドライバは、トンネル内の異常に対する日常の訓練が充分ではなく、この点からも、適切な避難行動、消火活動を実行することが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、トンネル内で火災、事故等の異常が発生した場合に、トンネル内に存在している車両のドライバ等が、適切な対応をとることができるトンネルの防災システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トンネル内における異常を検出し、個別のアドレスが付与されている異常検出手段を設け、個別のアドレスが付与されている車両との間で、無線交信するトンネル内無線機器を設け、上記異常検出手段からネットワークを介して、異常情報を受信し、上記トンネル内無線機器からネットワークを介して、上記各車両のアドレスと状態情報とを受信し、上記受信した異常情報と各車両の状態情報とに基づいて、車両毎に告知する車両用個別告知情報を演算し、上記演算された車両用個別告知情報を、上記ネットワークと上記トンネル内無線機器とを介して、該当する車両に該当アドレスを付して送信する制御装置を設けたトンネルの防災システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トンネル内で火災、事故が発生した場合に、トンネル内に存在している車両のドライバ等が、適切な行動をとることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1であるトンネルの防災システムTS1を示す概念図である。
【0012】
トンネルの防災システムTS1は、トンネル防災センタ(図示せず)等に設けられている制御装置100と、消防200と、トンネル内に設置されているアンテナA1〜Anと、火災感知器SE1〜SEnと、避難口D1〜Dnと、消火栓W1〜Wnと、カメラCM1〜CMnとを有する。
【0013】
また、車両C1、C2〜Cnが、トンネル内を走行し、これら車両C1〜Cnのそれぞれに、車両用アンテナCA1〜CAnと、車両用表示手段DP1〜DPnとが設置されている。
【0014】
また、消防200と、トンネル内に設置されているアンテナA1〜Anと、火災感知器SE1〜SEnと、避難口D1〜Dnと、消火栓W1〜Wnと、カメラCM1〜CMnと、車両C1、C2〜Cnとのそれぞれに、個別のアドレスが付与されている。
【0015】
火災感知器SE1〜SEnは、トンネル内における異常を検出し、個別のアドレスが付与されている異常検出手段の例である。
【0016】
アンテナA1〜Anは、個別のアドレスが付与されている車両との間で、無線交信するトンネル内無線機器の例である。
【0017】
制御装置100は、異常検出手段からネットワークを介して、異常情報を受信し、上記トンネル内無線機器からネットワークを介して、上記各車両のアドレスと状態情報とを受信し、上記受信した異常情報と各車両の状態情報とに基づいて、車両毎に告知する車両用個別告知情報を演算し、上記演算された車両用個別告知情報を、上記ネットワークと上記トンネル内無線機器とを介して、該当する車両に該当アドレスを付して送信する制御装置の例である。
【0018】
ここで、トンネルの防災システムTS1を構成する各装置のアドレスは、このシステムTS1内の火災感知器SE1〜SEnや、カメラCM1〜CMn等、個々の装置を特定できればよく、また、各車両C1〜Cnのアドレスは、個々の車両を特定できればよく、これらのアドレスは、無関係であっても、制御装置100が各装置と各車両との個々のアドレスを認識できれば問題はない。
【0019】
なお、これらのアドレスにグローバルなアドレスとして、たとえばIPv6に対応したIPアドレスを用いることによって、制御装置100が各装置や各車両の情報を個々に読み出して、収集することができ、また、各車両C1〜Cnに情報提供することができ、しかも、カメラCM1〜CMnの画像等を、制御装置100が制御しなくても、各車両C1〜Cnと各装置との間で直接情報を送受信することができる。
【0020】
次に、上記実施例の動作について説明する。
【0021】
図2、図3、図4は、上記実施例における制御装置100の動作1を示すフローチャートである。
【0022】
まず、トンネルTN1内の火災感知器SE1、SE2〜SEnが異常情報としての火災発報すると(S1)、火源位置としてその火災発報した火災感知器が設置されている位置を、その火災発報した火災感知器のアドレスに基づいて特定し、また、トンネルTN1内および近傍に存在している各車両から車両走行位置信号を受信し(S2)、この受信した車両走行位置信号に基づいて、トンネルTN1から見た車両位置を、車両ごとに判断する(S3)。
【0023】
ここで、トンネルTN1と車両C1〜Cnとの関係について説明する。各車両C1〜Cnは、特定のトンネルだけを利用するのではないので、トンネルTN1を、車両側で認識するか、トンネルTN1が、各車両C1〜Cnの進入を認識する必要がある。
【0024】
このようにするために、車両C1〜Cnは、いわゆるナビゲーションシステムを搭載し、走行中に進入するトンネルを把握し、また、全トンネルの制御装置のアドレスをナビゲーションシステム内に保有することによって、たとえば、トンネルTN1の制御装置100に、進入することを通知することができる。
【0025】
このように、ナビゲーションシステムによって、トンネルTN1への進入と離脱とを通知することよって、制御装置100は、トンネルTN1内に存在する各車両C1〜Cnのアドレスを把握し、保持することができ、異常の発生時に、制御装置100から情報を取得することができる。
【0026】
そして、車両走行位置信号に関して、各車両C1〜Cnがナビゲーションシステムによる位置情報を提供することができるが、各車両C1〜CnとアンテナA1〜Anとの間で無線信号の強度等によって、制御装置100側で車両位置を特定することもできる。
【0027】
車両位置がトンネルTN1の入口の手前であれば(S3)、火災発生情報と、停車命令と、その車両のアドレスとを指定して、その車両に送信する(S11)。その車両が停車していれば(S12)、その後の状況をその都度、送信する(S13)。これによって、その車両のアドレスと同じアドレスが付与されている車両において、そのナビゲーションシステムのディスプレイ等を利用した表示手段に、火災発生情報が表示され、また停車命令が表示され、その車両のドライバ等が、火災発生位置、火災規模等を把握することができ、また、安全のために停車する契機を得る。なお、火源位置を最適なカメラCM1〜CMnで撮影し、この撮影画像を逐次送信し、表示させるようにしてもよい。
【0028】
ところで、その停車命令にもかかわらず、走行している場合には(S12)、情報を再度送信し、警告する(S14)。
【0029】
車両がトンネルTN1の出口の先に存在していれば(S3)、その車両の車速データを受信し(S21)、この受信した車速に基づいて、渋滞していないと判断すれば(S22)、情報を発信する必要がないので、情報の発信を行わない(S23)。そのときに渋滞していれば(S22)、停車、避難を指示する(S40)。この停車、避難の指示については、後述する。
【0030】
車両がトンネルTN1の内部に存在していれば(S3)、車速データを受信し(S31)、この受信した車速データに基いて、当該車両が渋滞の中に存在していると判断すれば(S32)、火源とその車両との距離を演算し(S33)、距離がある程度長ければ(火源から遠ければ)、停車、避難を指示する(S40)。火源と車両との距離が短く(火源から近く)(S33)、火災情報としての火災規模が大きければ(S34)、停車、避難を指示する(S40)。火災情報としての火災規模が比較的小さければ(S34)、停車、避難、消火活動を指示する(S50)。この停車、避難、消火活動の指示については、後述する。
【0031】
車両位置がトンネルTN1の内部であり(S3)、渋滞がないと判断すれば(S32)、火源に対する車両位置を演算し、当該車両の後方に火源が存在していれば(S35)、当該車両に情報を発信する必要がないので、情報の発信を行わない(S36)。当該車両の前方に火源が存在していれば(S35)、当該車両と火源との距離と、火災規模とに基いて、当該車両への指示内容を判断する(S37)。この指示内容が、停車、避難指示であれば(S38)、ステップS40に進み、停車、避難、消火活動の指示であれば(S38)、ステップS50に進み、火災現場を通り抜ける指示であれば(S38)、ステップS60に進む。
【0032】
制御装置100が、当該車両に、停車、避難を指示する場合(S40)、各車両位置、火災位置、避難口位置をマッピングし(S41)、各車両に、火災情報(火災規模、火源位置等)を表示し、指示内容(停車命令、直近の避難口位置等)を表示する(S42)。この指示に応じて、当該車両が停止しない場合(S43)、停車を再警告し(S44)、停車した場合(S43)、その後に監視を続行する(S45)。なお、ステップS42の時点で、制御装置100は、停車、避難を指示した車両に、最寄りの避難口や消火栓等を、図示しない表示灯の点滅等によってアピール表示させる。
【0033】
制御装置100が、当該車両に、停車、避難、消火活動を指示する場合(S50)、各車両位置、火災位置、避難口位置、消火栓位置をマッピングし(S51)、各車両に、火災情報(火災規模、火源位置等)を表示し、指示内容(停車命令、直近の避難口位置、直近の消火栓位置等)を表示する(S52)。この指示に応じて、当該車両が停止しない場合(S53)、停車を再警告し(S54)、停車した場合(S53)、その後に監視を続行する(S55)。なお、ステップS52の時点で、制御装置100は、ステップS42の時点と同様のアピール表示を行う。
【0034】
制御装置100が、当該車両に、火災現場からの通り抜けを指示する場合(S60)、各車両に火災情報(火災規模、火源位置等)を表示し、火災現場を通り抜けるように指示する(S61)。この指示に応じて、当該車両が火災現場を通り抜けた場合(S62)、その後の監視を継続する(S63)。上記通り抜けの指示があり(S61)、当該車両が停車し(S62)、すなわち、車両が連なって待っている状態であるときに、当該車両の近傍の車両を見て(S64)、その停車している車両の数がそれ程多くなければ(S65)、停車している車両に避難口を表示する(S66)。上記停車の指示があっても(S61)、当該車両が停車し(S62)、その停車している車両の数が相当多ければ(S65)、通り抜けられない状況であると判断し、当該車両の近傍に位置する車両にも、その現場を通り抜けることができないという情報を流し、停車している車両に避難口を表示する(S67)。
【0035】
図5は、上記実施例における制御装置100の別の動作である火災車両への指示動作を示すフローチャートである。
【0036】
まず、トンネルTN1内の火災感知器SE1、SE2〜SEnが異常情報としての火災発報すると(S1)、火源位置としてその火災発報した火災感知器が設置されている位置を、その火災発報した火災感知器のアドレスに基づいて特定し、また、トンネルTN1内および近傍に存在している車両から車両走行位置信号を受信し(S2)、火災車両を特定し、その車速データを受信する(S103)。
【0037】
この車速データに基づいて、当該火災車両が走行中であれば(S104)、火災規模、渋滞の有無、トンネルTN1の出口までの距離に基づいて、当該車両への指示内容を判断する(S105)。この指示内容が、停車、避難指示であれば(S106)、ステップS40に進み、停車、避難、消火活動の指示であれば(S106)、ステップS50に進み、トンネルTN1を通り抜ける指示であれば(S106)、ステップS160に進む。
【0038】
なお、当該火災車両が停車しており(S104)、火災情報としての火災規模が相当大きければ(S107)、ステップS40に進み、火災規模がそれ程大きくなければ(S107)、ステップS50に進む。
【0039】
トンネルTN1を通り抜けるように指示する場合(S160)、通り抜ける指示を行うとともに、トンネルTN1の出口までの距離、その出口を出た後の行動の指示を表示する(S161)。そして、当該火災車両がトンネルTN1を通り抜けた場合(S162)、制御装置100は待機する(S163)。一方、当該火災車両が火災現場を通り抜けることができず、停車している場合(S162)、当該火災車両にとって直近の避難口、直近の消火栓位置を表示し(S164)、制御装置100が待機する(S165)。
【0040】
なお、上記実施例は、火災発生の場合の説明であるが、上記火災発生を、事故発生に置き換えて考えることができる。つまり、上記実施例は、トンネルTN1内で、火災発生、事故発生等の異常が生じた場合に、トンネルTN1内に存在している個々の車両に、個別に、必要な情報を提供することができ、各ドライバ等が、適切な行動をとることができるシステムである。
【0041】
ここで、事故発生の場合、避難の指示を省いてもよく、消火活動を指示する代わりに、救助活動を指示するようにしてもよい。火災車両かどうかを判断する場合、たとえば、温度情報または衝撃情報または速度情報が所定値を外れる等の異常を示す場合とし、その車両の位置情報が、上記特定された火源位置と一致する場合、その車両を火災車両と判断することができる。
【0042】
異常な温度情報として、たとえばエアコンの温度センサが所定温度以上を示す情報を用いられ、異常な衝撃情報として、たとえばエアバック作動時の衝撃センサの出力情報またはシートベルト等のロック作動時の衝撃センサの出力情報が用いられる。さらに、異常な速度情報として、たとえば近傍の車両速度に対する当該車両の速度の比率が所定値以下である情報が用いられ、または、速度がゼロまたはマイナスの速度計の出力情報が用いられる。なお、速度情報には、方向を含むようにしてもよい。
【0043】
つまり、上記実施例は、トンネルTN1内における異常を検出し、個別のアドレスが付与されている異常検出手段と、個別のアドレスが付与されている車両との間で、無線交信するトンネル内無線機器と、上記異常検出手段からネットワークとしてのインターネットを介して、異常情報を受信し、上記トンネル内無線機器からインターネットを介して、上記各車両のアドレスと状態情報とを受信し、上記受信した異常情報と各車両の状態情報とに基づいて、車両毎に告知する車両用個別告知情報を演算し、上記演算された車両用個別告知情報を、上記インターネットと上記トンネル内無線機器とを介して、該当する車両に該当アドレスを付して送信する制御装置とを有するトンネルの防災システムの一例である。
【0044】
このようにすると、トンネル内で火災や事故等の異常が発生した場合に、トンネル内に存在している各車両のドライバ等が適切な行動をとることができる。
【0045】
上記の場合、上記車両の状態情報は、各車両の位置情報、速度情報、温度情報、衝撃情報のうちの少なくとも1つの情報であれば足りる。
【0046】
この状態情報として、車両搭載の火災センサによる火災情報が用いられ、また、位置情報として、トンネル入口からの距離のほかに、車線位置情報が用いられるようにしてもよい。
【0047】
このようにすると、少ない情報で、トンネル内のいずれの災害に対しても、停止、避難、消火、救助を判断する上で必要な各車両の状態を知ることができる。なお、各車両の車線位置情報は、往復一車線の場合は、位置情報から得た走行方向に基づいて、車線を判断し、複数車線の場合は、たとえばカメラの画像処理装置等によって判断するようにしてもよい。
【0048】
また、上記車両個別告知情報は、火源位置情報、火災規模情報、避難口位置情報、消火栓位置情報のうちの少なくとも1つの情報であれば足りる。
【0049】
さらに、上記車両個別告知情報は、停車指示、避難指示、消火指示、火災現場を通り抜ける通り抜け指示のうちの少なくとも1つの指示を内容とする情報である。
【0050】
そして、制御装置100は、上記各車両に設置されているナビゲーションシステムの表示画面に、上記車両個別告知情報を表示させる装置である。
【0051】
また、制御装置100は、上記各車両に設けられているエアコン温度センサの出力信号、エアバック作動時の衝撃センサの出力信号のうちの少なくとも一方の出力信号と、上記出力信号を出力した車両の位置情報とを受信する装置である。
【0052】
さらに、制御装置100は、上記出力信号が異常である場合、上記出力信号を出力した車両の位置情報に基づいて、トンネルTN1に設けられているカメラCM1〜CMnのうちで、上記出力信号を出力した車両の位置に近いカメラの信号を入力し、当該車両の状態を詳細確認する装置である。
【0053】
このようにすると、より正確な車両の状態を早急に知ることができ、トンネル内の全車両に不要な混乱を招くことはない。
【0054】
そして、制御装置100は、上記各車両のシート内部に設置されている乗員検出センサが出力した乗員情報と、上記乗員情報を出力した車両の位置情報とを受信し、必要に応じて、消防に上記乗員情報を通報する装置である。
【0055】
このようにすると、防災センタや消防の救助側が、車両内の残留者を把握することができ、避難誘導や救助を効率的に行うことができる。
【0056】
また、制御装置100は、上記避難指示、消火活動指示を受信した車両に、最寄りの避難口、消火栓を、点滅等でアピール表示させる装置である。このようにすると、避難指示、消火活動指示が表示画面において注意を喚起されるので、上記指示の存在がすぐに分かり、また、避難または消火活動をしようとするときに、現場での電飾等で避難口や消火栓をすぐに発見できるので、迅速に対応することができ、被害も縮小できる。
【0057】
さらに、制御装置100は、上記各車両の表示手段に、自車両位置、火源位置、避難口位置、消火栓位置のうちの必要なもののみを、表示させる装置である。
【0058】
そして、制御装置100は、トンネルTN1内における車両位置、火源に対する車両位置、車両の速度、火災規模を解析し、この解析された結果を、上記車両用個別告知情報として、車両毎に告知する装置である。
【0059】
たとえば、車両位置、火源位置、車両速度、火災規模のデータに基づいて解析し、停車指示要否、避難指示要否、消火活動指示要否、通り抜け指示要否等を判断し、これらを車両の状況に応じて、車両用個別告知情報として各車両に告知する。また、当該車両が火災元である場合、上記各データから停車指示要否、避難指示要否、消火活動指示要否、通り抜け指示要否を判断し、同様に告知する。このようにすると、各車両が、状況に合った必要な情報とともに指示を得ることができ、各車両のドライバ等が、適切な行動をとることができる。
【0060】
また、上記実施例は、インターネットを介して、情報を送受信しているが、インターネットの代わりに、他のネットワークを使用するようにしてもよい。このようにすると、そのトンネルで既に備えられているネットワークや防災専門のネットワークを使うことができるので、必要な関係者だけに情報が送られ、不要な混乱を回避することができる。なお、インターネットを利用すると、トンネル内で火災、事故等の異常が発生した場合にも、消防のほか、関係する組織や個人が、事故情報やトンネル内での人の安否を確認することが可能になる。
【0061】
さらに、上記実施例において、ネットワークを使用せずに、制御装置100が、アンテナA1〜Anと直接接続され、火災感知器SE1〜SEn、消火栓W1〜Wn等と直接接続されるようにしてもよい。
【0062】
つまり、この変形例は、トンネル内における異常を検出し、個別のアドレスが付与されている異常検出手段と、個別のアドレスが付与されている車両との間で、無線交信するトンネル内無線機器と、上記異常検出手段から異常情報を受信し、上記トンネル内無線機器から上記各車両のアドレスと状態情報とを受信し、上記受信した火災情報と各車両の状態情報とに基づいて、車両毎に告知する車両用個別告知情報を演算し、上記演算された車両用個別告知情報を、上記トンネル内無線機器を介して、該当する車両に該当アドレスを付して送信する制御装置とを有するトンネルの防災システムの例である。
【0063】
このようにすると、ネットワークを使用しないので、トンネル外部でのシステムダウン等があっても防災システムを利用することができ、トンネル内での火災、事故等の異常の発生時に、確実に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例1であるトンネルの防災システムTS1を示す概念図である。
【図2】上記実施例における制御装置100の動作を示すフローチャートである。
【図3】上記実施例における制御装置100の動作を示すフローチャートである。
【図4】上記実施例における制御装置100の動作を示すフローチャートである。
【図5】上記実施例における制御装置100の別の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
TS1…トンネルの防災システム、
100…制御装置、
200…消防、
C1〜Cn…車両、
CA1〜CAn…車両用アンテナ、
DP1〜DPn…車両に設置されている表示手段、
A1〜An…トンネルTN1内設置のアンテナ、
SE1〜SEn…火災感知器、
D1〜Dn…避難口、
W1〜Wn…消火栓、
CM1〜CMn…カメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内における異常を検出し、個別のアドレスが付与されている異常検出手段と;
個別のアドレスが付与されている車両との間で、無線交信するトンネル内無線機器と;
上記異常検出手段からネットワークを介して、異常情報を受信し、上記トンネル内無線機器からネットワークを介して、上記各車両のアドレスと状態情報とを受信し、上記受信した異常情報と各車両の状態情報とに基づいて、車両毎に告知する車両用個別告知情報を演算し、上記演算された車両用個別告知情報を、上記ネットワークと上記トンネル内無線機器とを介して、該当する車両に該当アドレスを付して送信する制御装置と;
を有することを特徴とするトンネルの防災システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記車両個別告知情報は、火源位置情報、火災規模情報、避難口位置情報、消火栓位置情報のうちの少なくとも1つの情報であることを特徴とするトンネルの防災システム。
【請求項3】
請求項1において、
上記車両個別告知情報は、停車指示、避難指示、消火指示、火災現場を通り抜ける通り抜け指示のうちの少なくとも1つの指示を内容とする情報であることを特徴とするトンネルの防災システム。
【請求項4】
請求項1において、
上記制御装置は、上記車両の位置情報に基づいて、トンネルに設けられているカメラのうちで、上記車両の位置に近いカメラの信号を入力し、当該車両の状態を詳細確認する装置であることを特徴とするトンネルの防災システム。
【請求項5】
請求項1において、
上記制御装置は、上記避難指示、消火活動指示を受信した車両に、最寄りの避難口、消火栓をアピール表示させる装置であることを特徴とするトンネルの防災システム。
【請求項6】
請求項1において、
上記制御装置は、トンネル内における車両位置、火源に対する車両位置、車両の速度、火災規模を解析し、この解析された結果を、上記車両用個別告知情報として、車両毎に告知する装置であることを特徴とするトンネルの防災システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−252365(P2006−252365A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70265(P2005−70265)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】