説明

ドアウェザーストリップ及びその組付構造及び組付方法

【課題】組付きバラツキが生じてもシール機能を維持しつつ、組付作業性に優れるドアウェザーストリップ及びその組付構造及び組付方法を提供する。
【解決手段】ドアインナーパネル2の第一面2A,第二面2B間のコーナー部内側と、先端部に略L字状部位41を有するドアトリム40間に取付けられ、ドアインナーパネル2に弾接するドア側シール部63,64とボディパネル1に弾接するボディ側シール部62を有するドアウェザーストリップ60の組付けで、ドア側シール部は、第一面2A側に延びる第一シール部63と、ドアトリム40先端部が差し込まれる嵌合部65の車外側に重ねられた二重中空シール部64を有し、予めドアトリム40の先端部を嵌合部65に嵌合した一体化部品を、ドアインナーパネル2に対して、第一シール部63を第一面2Aに、二重中空シール部64を第二面2Bに押し付けて組付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアインナーパネルに取付けられ、ドアとボディパネルのドア開口縁との間をシールするドアウェザーストリップ及びそのドアウェザーストリップの組付構造及びそのドアウェザーストリップの組付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5及び図6に示すように、自動車のベルトラインより下部のロア側の位置において、ドアインナーパネル2とドアアウターパネル3とよりなるドアDのドアインナーパネル2に取付けられ、ドアDとボディパネル1のドア開口縁との間をシールするドアウェザーストリップ10が知られている。
ドアウェザーストリップ10は、ドアインナーパネル2に形成された段部2aの車内側に取付けられる取付基部11と、取付基部11の車内側に一体成形され、ドアDの閉時にはボディパネル1のドア開口縁に弾接する中空シール部12を備えている。
【0003】
そして、ドアインナーパネル2に対するドアウェザーストリップ10の組付けとして、図6(a)に示すように、ドアインナーパネル2の車内側においてドアインナーパネル2の段部2a側に延びるドアトリム4の端部4aで、ドアウェザーストリップ10の取付基部11の端縁をドアインナーパネル2に押さえ込んで固定するものや、図6(b)に示すように、ドアインナーパネル2の段部2aにクリップ5で、ドアウェザーストリップ10の取付基部11を所定の間隔をおいて固定するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−117473号公報
【0004】
また、ドアインナーパネル2に対するドアウェザーストリップ20の組付けとして、図7に示すように、ドアインナーパネル2とドアトリム4との間にドアウェザーストリップ20に形成された中空部21を差し込んで固定するものも考えられる。なお、ドアウェザーストリップ20には、ボディパネル1に弾接する中空シール部22やドアインナーパネル2に弾接するリップ部23及び中空シール部24が形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来例で示したドアウェザーストリップ10,20の組付けの場合、ドアウェザーストリップ10,20とドアトリム4あるいはクリップ5とは別体品であり、自動車メーカーの組立てラインにおいてそれぞれ個別に組付ける必要があるので組付作業が煩雑で時間がかかるといった問題があった。
【0006】
これに対して、本出願人は、図8に示すように、予めドアトリム40の先端部を略L字状にしてその部位41の折曲部41aを、ドアウェザーストリップ30のドア側シール部33,34とボディ側シール部32との間の基部31に形成された嵌合部35に嵌合して一体化部品にした後、ドアインナーパネル2に対して一体化部品を、ドアウェザーストリップ30のドア側シール部33,34をドアインナーパネル2に押し付けるようにして組付けることを考えた。なお、ドアトリム40の先端部は嵌合部35に設けられた複数の保持リップ37によって強固に保持されている。また、ボディパネル1のドア開口縁車内側に形成されたフランジFには、取付基部51と中空シール部52が一体成形されたボディ側ウェザーストリップ50が取付けられ、取付基部51とフランジFはピラーガーニッシュ55によって覆われている。
【0007】
しかし、組付けバラツキによって、ドアウェザーストリップ30に嵌合するドアトリム40の位置がドアインナーパネル2から離れる方向、すなわち車内側にずれた場合、図9に示すように、ドア側シール部となるドア側リップ部33とドア側中空シール部34のドアインナーパネル2に対するラップ量が少なくなり、シール切れを起こす恐れもある。
逆に、ドアウェザーストリップ30に嵌合するドアトリム40の位置がドアインナーパネル2に近づく方向、すなわち車外側にずれた場合、図10に示すように、ドア側中空シール部34が底付きした状態まで撓み、その変形がドア側中空シール部34に繋がるボディ側シール部32の変形に影響を与えてしまう恐れがあり、その結果、ボディパネル1とのシールに悪影響が生じることが懸念される。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、組付きバラツキが生じてもシール機能を維持しつつ、組付作業性に優れるドアウェザーストリップの組付方法及びドアウェザーストリップの組付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ドア(D)閉時にドアインナーパネル(2)と、該ドアインナーパネル(2)側に延びるドアトリム(40)との間に取付けられ、前記ドアインナーパネル(2)に弾接するドア側シール部(63,64)とボディパネル(1)のドア開口縁車外側に弾接するボディ側シール部(62)を有し、車内外をシールするドアウェザーストリップ(60)であって、
前記ドアウェザーストリップ(60)は、前記ドアトリム(40)の先端部の車外側に重ねて設けられ前記ドアインナーパネル(2)に押圧される二重中空シール部(64)を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、ドア(D)閉時にドアインナーパネル(2)と、該ドアインナーパネル(2)側に延びるドアトリム(40)との間に取付けられ、前記ドアインナーパネル(2)に弾接するドア側シール部(63,64)とボディパネル(1)のドア開口縁車外側に弾接するボディ側シール部(62)を有し、車内外をシールするドアウェザーストリップ(60)の組付構造であって、
前記ドアウェザーストリップ(60)は、前記ドアトリム(40)の先端部の車外側に重ねて設けられ前記ドアインナーパネル(2)に押圧される二重中空シール部(64)を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、前記ドアトリム(40)の先端部は、前記ドアインナーパネル(2)に略平行になるように折れ曲がっている略L字状をした部位(41)を有し、前記略L字状をした部位(41)と前記ドアインナーパネル(2)との間に、前記二重中空シール部(64)を挟持することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、前記ドアインナーパネル(2)は、車外側に延びる第一面(2A)とその第一面(2A)から略垂直に延びる第二面(2B)との間に形成されるコーナー部を備え、前記二重中空シール部(64)は、前記第二面(2B)に押圧され、前記ドア側シール部(63,64)は、前記第一面(2A)に押圧される第一シール部(63)をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、前記ドアウェザーストリップ(60)の第一シール部(63)は、断面略舌状のシール部であり、前記ドアインナーパネル(2)に対する組付けのときには、前記第一シール部(63)の車内側が前記ドアインナーパネル(2)の第一面(2A)に弾接し、前記第一シール部(63)の車外側は前記二重中空シール部(64)に弾接することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、前記ドアウェザーストリップ(60)の第一シール部は、中空状のシール部であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に係る発明は、ドア(D)閉時にドアインナーパネル(2)と、該ドアインナーパネル(2)側に延びるドアトリム(40)との間に取付けられ、前記ドアインナーパネル(2)に弾接するドア側シール部(63,64)とボディパネル(1)のドア開口縁車外側に弾接するボディ側シール部(62)を有し、車内外をシールするドアウェザーストリップ(60)の組付方法であって、
前記ドア側シール部(63,64)は、前記ドアトリム(40)の先端部の車外側に重ねて設けられ前記ドアインナーパネル(2)に押圧される二重中空シール部(64)を有し、
予め前記ドアトリム(40)の先端部を前記ドアウェザーストリップ(60)に一体化した一体化部品を、前記ドアインナーパネル(2)に組付けることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に係る発明は、前記ドアウェザーストリップ(60)には、前記ドアトリム(40)の先端部が差し込まれる嵌合部(65)が形成され、予め前記ドアトリム(40)の先端部を前記ドアウェザーストリップ(60)に形成された嵌合部(65)に嵌合した一体化部品を、前記ドアインナーパネル(2)に組付けることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9に係る発明は、前記ドアウェザーストリップ(60)には、前記ドアトリム(40)の先端部が差し込まれる嵌合部(65)が形成され、予め前記ドアトリム(40)の先端部を前記ドアウェザーストリップ(60)に形成された嵌合部(65)に嵌合した一体化部品を、前記ドアインナーパネル(2)に対して、前記一体化部品のドアウェザーストリップ(60)の第一シール部(63)を前記ドアインナーパネル(2)の第一面(2A)に押し付けるとともに、前記ドアウェザーストリップ(60)の二重中空シール部(64)を前記ドアインナーパネル(2)の第二面(2B)に押し付けて組付けることを特徴とする。
【0018】
また、請求項10に係る発明は、前記ドアウェザーストリップ(60)のボディ側シール部(62)を、前記二重中空シール部(64)のうち前記ドアトリム(40)の先端部側の内側中空部(64a)の側面で、前記二重中空シール部(64)の内側中空部(64a)に対する外側中空部(64b)の付け根部から前記ボディパネル(1)側に離間させた位置に接続して設けたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項11に係る発明は、前記一体化部品を、前記ドアウェザーストリップ(60)を前記ドアインナーパネル(2)に組付ける組立工程のラインに納入した後、前記組立工程で、前記一体化部品を前記ドアインナーパネル(2)に組付けることを特徴とする。
【0020】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための最良の形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1及び請求項2に記載のドアウェザーストリップ及びドアウェザーストリップの組付構造によれば、二重中空シール部をドアトリムの先端部の車外側に重ねて設け、ドアインナーパネルに押圧するようにしたので、ドアウェザーストリップとドアインナーパネル間のシール性は十分確保される。
【0022】
また、請求項3に係る発明によれば、ドアトリムの先端部の略L字状の部位の面を利用して、略L字状の部位とドアインナーパネルとの間に、ドアウェザーストリップの車外側となる二重中空シール部を挟持したので、ドアウェザーストリップはドアインナーパネルのコーナー部内側に対して強固に組付けられる。
【0023】
また、請求項4に係る発明によれば、二重中空シール部は、ドアインナーパネルの第二面に押圧され、ドア側シール部の第一シール部は、ドアインナーパネルの第一面に押圧されるので、ドアウェザーストリップはドアインナーパネルのコーナー部内側に対して強固に組付けられる。
【0024】
また、請求項5に係る発明によれば、ドアウェザーストリップの第一シール部は、断面略舌状のシール部であり、ドアインナーパネルに対する組付けのときには、第一シール部の車内側がドアインナーパネルの第一面に弾接し、第一シール部の車外側は二重中空シール部に弾接するようにしたので、第一シール部が車内側に向いて転びシール不足となることはなく、ドアインナーパネルの第一面とドアウェザーストリップとは第一シール部によって確実にシールされる。
なお、請求項6に係る発明のように、ドアウェザーストリップの第一シール部を、中空状のシール部として中空部でドアインナーパネルの第一面とドアウェザーストリップとをシールすることもできる。
【0025】
また、請求項7に係る発明によれば、ドアインナーパネルに対して、ドアウェザーストリップとドアトリムを予め一体化した部品を組付けるので、別々に組付ける場合と比較して組付けを容易にしかも早く行うことができる。
また、ドアウェザーストリップが有するドア側シール部は、二重中空シール部でドアインナーパネルに押圧するとともに、ボディ側シール部は、ボディパネルのドア開口縁車外側に弾接するので、優れたシール性が得られる。
【0026】
また、請求項8に係る発明によれば、予めドアトリムの先端部をドアウェザーストリップに形成された嵌合部に嵌合した一体化部品を、ドアインナーパネルに組付けるので、一体化部品は安定した状態で組付けられる。
【0027】
また、請求項9に係る発明によれば、ドアウェザーストリップの第一シール部を前記ドアインナーパネルの第一面に押し付けるとともに、ドアウェザーストリップの二重中空シール部をドアインナーパネルの第二面に押し付けて組付けるので、ドアウェザーストリップはドアインナーパネルのコーナー部内側に対して強固に組付けられる。
仮に、ドアウェザーストリップがドアインナーパネルの第二面から離れる方向に組付けバラツキが起こり、二重中空シール部のシール切れにより第二面との間に隙間が生じたとしても、ドアインナーパネルの第一面との間は、第一シール部によって確実にシールされる。よって、ドアインナーパネルとドアウェザーストリップとの間から車内側に水が浸入することが防止される。
一方、仮に、ドアウェザーストリップがドアインナーパネルの第二面に近づく方向に組付けバラツキが起こり、二重中空シール部が大きく撓んだとしても、弾接に対する第二面から受ける反力は、嵌合部の車外側に重ねて設けられドアインナーパネルの第二面側に延びる二重中空シール部と、ドアトリムの先端部の略L字状の部位の面によって十分受けとめられるので、二重中空シール部の底付き状態の発生を抑制することができる。
これによって、ドアインナーパネルに対して組付けられる、ドアトリムと一体化されたドアウェザーストリップに仮に組付きバラツキが生じたとしてもシール機能を維持することできる。
【0028】
また、請求項10に係る発明によれば、ドアウェザーストリップのボディ側シール部を、二重中空シール部のうち嵌合部側の内側中空部の側面で、二重中空シール部の内側中空部に対する外側中空部の付け根部からボディパネル側に離間させた位置に接続して設けたので、ドアウェザーストリップがドアインナーパネルの第二面から離れる方向の組付けバラツキを吸収するため、ドアインナーパネルの第二面に対する二重中空シール部の外側中空部のラップ量を大きくするように調整したり、逆に、一方、ドアウェザーストリップがドアインナーパネルの第二面に近づく方向の組付けバラツキを吸収するため、外側中空部の外壁の肉厚や、外側中空部と内側中空部間の隔壁の肉厚などを調整したとしても、外側中空部の変形が直接、ボディ側シール部のボディパネルに対する弾性変形に影響を与えることは少ない。
よって、ボディパネルとドアウェザーストリップとの間において十分なシール機能を維持することができる。
【0029】
また、請求項11に係る発明によれば、例えば、部品メーカーなどで予めドアトリムとドアウェザーストリップを一体化した後、例えば、自動車メーカーにおける組立工程のラインに納入して一体化部品をドアインナーパネルに組付けるので、ドアトリムとドアウェザーストリップとを別体でそれぞれドアインナーパネルに取付けるものと比較して、部品点数が減り、組立工程における取付作業性が飛躍的に向上するとともに、部品管理も容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1乃至図4を参照して、本発明の実施形態に係るドアウェザーストリップの組付構造及び組付方法について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るドアウェザーストリップが組付けられた状態の要部を示す断面図である。図2は、図1に示すドアウェザーストリップの組付工程の様子を示す断面図である。図3は、組付けバラツキによりドアインナーパネルから離れた位置にドアウェザーストリップが組付けられた状態の要部を示す断面図であり、図4は、組付けバラツキによりドアインナーパネルに近づいた位置にドアウェザーストリップが組付けられた状態の要部を示す断面図である。従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
【0031】
本発明の実施形態に係るドアウェザーストリップの組付方法は、ドアインナーパネル2に形成されたコーナー部内側と、先端部が略L字状をした部位41を有するドアトリム40との間に、組付けバラツキによる影響を受け難くした、車内外をシールするドアウェザーストリップ60を組付ける方法である。
【0032】
図1に示すように、自動車のボディパネル1のドア開口縁とドアDのドアインナーパネル2に形成されたコーナー部内側との間にドアウェザーストリップ60が設けられ、車内外をシールしている。
ドアインナーパネル2のコーナー部は、ドアDの閉時にドアインナーパネル2の車内側から車外側(図1の紙面においては下側から上側)に延びる第一面2Aとその第一面2Aの車外側に連設して略垂直(図1の紙面において左側から右側)に延びる第二面2Bとの間に形成され、その内側、すなわち車内側にドアウェザーストリップ60はドアトリム40を介して組付けられる。
【0033】
ドアウェザーストリップ60は、基部61と、ドアDの閉時にはボディパネル1のドア開口縁車外側に弾接する中空状のボディ側シール部62と、ドアDに対する組付け時にはドアインナーパネル2に弾接するドア側シール部63,64を備えている。
【0034】
ドアウェザーストリップ60の基部61は、内部にドアトリム40の先端部が差し込まれる断面略矩形状の嵌合部65が形成されている。その嵌合部65は、ドアウェザーストリップ60をドアDに組付けたときに、ドアインナーパネル2の第二面2Bに略平行して延びる、内方には複数の保持リップ67を形成し、嵌合部65に嵌め込まれるドアトリム40の先端部の周囲を包み込むように挟んで保持するようにしている。
複数の保持リップ67の数は特に限定されるものではないが、ここでは基部61の車外側壁面に2個(67a,67b),車内側壁面に2個(67c,67d),車外側壁面と車内側壁面との間に1個(67e),車外側壁面から車内側に延び先端部がドアトリム40にドアインナーパネル2の第一面2A側から弾接する断面略舌状のシールリップ部68の付け根部に1個(67f)形成した。
【0035】
ドア側シール部は、ドアウェザーストリップ60の基部61のシールリップ部68の付け根部付近におけるドアインナーパネル2の第一面2A側(ボディパネル1側とは逆側)からドアインナーパネル2の第一面2A側に向かって延びる断面略舌状の第一シール部63と、嵌合部65の車外側に重ねて設けられ、ドアインナーパネル2の第二面2B側に延びる二重中空シール部64とからなる。
二重中空シール部64は、嵌合部65に直接重ねられた内側中空部64aとその内側中空部64a側の車外側に重ねられた、内側中空部64aよりも中空形状の横幅(第二面2Bの延びる方向の幅)の小さい外側中空部64bとからなる。なお、外側中空部64bの中空形状の縦幅(高さ)は、内側中空部64aの中空形状の縦幅(高さ)よりも大きい。
【0036】
第一シール部63は、ドアウェザーストリップ60をドアDのドアインナーパネル2に組付けするときには、図1に示すように、第一シール部63が車外側に向けて倒れ込み、第一シール部63の車内側がドアインナーパネル2の第一面2Aに弾接し、第一シール部63の車外側は二重中空シール部64の内側中空部64aに弾接するようになっている。
【0037】
また、二重中空シール部64は、ドアウェザーストリップ60をドアDのドアインナーパネル2に組付けするときには、図1に示すように、外側中空部64bの車外側がドアインナーパネル2の第二面2Bに弾接し、これにともない、外側中空部64bと内側中空部64aが、ドアインナーパネル2の第二面2Bの延びる方向に平行に広がるように同時に撓むようなっている。
このとき、外側中空部64bの外壁の肉厚rと、外側中空部64bと内側中空部64a間の隔壁の肉厚sと、基部61の車外側壁の肉厚tは、外側中空部64bの外壁と、外側中空部64bと内側中空部64a間の隔壁とが弾接することなく、かつ外側中空部64bと内側中空部64a間の隔壁と、基部61の車外側壁とが弾接することがないように設定されている。
【0038】
またドアウェザーストリップ60のボディ側シール部62の車外側付け根部62aは、二重中空シール部64の内側中空部64aの側面で、二重中空シール部64の内側中空部64aに対する外側中空部64bのボディパネル1側の付け根部64cからボディパネル1側に偏肉部P1を介在させることにより離間させた位置に接続され、ボディ側シール部62の車内側付け根部62bは、基部61のボディパネル1側に偏肉部P2を介在させることにより離間させた位置に接続されている。
このようにボディ側シール部62を、二重中空シール部64の外側中空部64bから分断された状態で設けることにより、外側中空部64bの変形が、ボディ側シール部62がボディパネル1に弾接することによる変形に影響を与え難くい構造としている。
なお、ボディ側シール部62の車外側には、ドアインナーパネル2の第二面2Bに弾接するリップ片62cが形成されている。
【0039】
なお、嵌合部65が形成された基部61の材質としては、ソリッド材を使用し、ボディ側シール部62及びドア側シール部である第一シール部63,二重中空シール部64の材質としては、スポンジ材を使用しているが、これに限定されることなく、例えば、ドアウェザーストリップ60全体をスポンジ材で構成するなど、種々の態様が考えられる。
【0040】
ドアトリム40は、ドアインナーパネル2の表面を車内側から覆って、外観上見栄えよくしている。
ドアトリム40の周端部は、ドアインナーパネル2の第一面2Aに略平行で第二面2Bに向かって延びている。そして、ドアトリム40の先端部はドアインナーパネル2の第二面2Bに略平行になるように、すなわち略L字状に折れ曲っている。略L字状をした部位41の折曲部41aの折れ曲がり方向は、外周側、すなわちボディパネル1側である。
そして、ドアトリム40先端の略L字状をした部位41の折曲部41aは、ドアウェザーストリップ60の基部61に形成された嵌合部65に嵌合し、ドアウェザーストリップ60と一体化されている。
またドアトリム40は、装飾部材として機能するものであり、多種多様の色やデザインを施すことができ、材質についても樹脂製,ゴム製など多種多様である。
【0041】
このように構成されたドアウェザーストリップ60をドアD、より具体的にはドアDのドアインナーパネル2に組付けるには、自動車メーカーにおける組立てラインに納入する前に、部品メーカーにおいて予めドアトリム40の先端部に形成された略L字状をした部位41の折曲部41aをドアウェザーストリップ60の嵌合部65から差し込むことにより嵌合して一体化部品とする。このとき、嵌合部65に差し込まれたドアトリム40の折曲部41aは嵌合部65内方に設けられた複数の保持リップ67(67a〜67f)とシールリップ部68によって強固に保持され、これによってドアトリム40とドアウェザーストリップ60とは嵌合部65において仮止めされる。
次に、ドアトリム40とドアウェザーストリップ60が一体化したものをサブアッシーとして自動車メーカーの組立てラインに納入する。
【0042】
そして、自動車メーカーにおける組立工程で、ドアインナーパネル2に対して、サブアッシー化された一体化部品のドアウェザーストリップ60のドア側シール部として機能する第一シール部63をドアインナーパネル2の第一面2Aに押し付けるとともに、二重中空シール部64をドアインナーパネル2の第二面2Bに押し付けるようにして、ドアウェザーストリップ60をドアインナーパネル2のコーナー部内側に組付けるとともに、一体化部品のドアトリム40をドアインナーパネル2に組付ける。なお、ドアインナーパネル2に対するドアウェザーストリップ60の押付けは、図2に示すように、第一シール部63がドアインナーパネル2の第一面2Aに押し付けられる位置で、第二面2Bに垂直なX方向に向かって行われる。これにかえて、コーナー部に向けて、すなわちX方向よりも若干、第一面2A側に傾く方向であってもよい。
このとき、ドアウェザーストリップ60は、嵌合部65に嵌合されたドアトリム40の略L字状をした部位41に形成された平坦状の折曲部41aから面としての押圧力を受け、ドアインナーパネル2のコーナー部内側に押し付けられる。
【0043】
以上説明したような組付方法によれば、ドアインナーパネル2のコーナー部を形成する第一面2Aと第二面2Bには、ドアウェザーストリップ60の第一シール部63と二重中空シール部64がそれぞれ弾接するので、図3に示すように、仮に、ドアウェザーストリップ60がドアインナーパネル2の第二面2Bから離れる方向に組付けバラツキが起こり、二重中空シール部64のシール切れにより第二面2Bとの間に隙間が生じたとしても、第一面2Aとの間は、第一シール部63によって確実にシールされる。よって、ドアインナーパネル2とドアウェザーストリップ60との間から車内側に水が浸入することが防止される。
【0044】
また、ドアウェザーストリップ60がドアインナーパネル2の第二面2Bから離れる方向の組付けバラツキに対しては、ドアインナーパネル2の第二面2Bに対する二重中空シール部64の外側中空部64bのラップ量を大きくするように調整することによっても防止することができ、このように、外側中空部64bのラップ量を大きくしてもその外側中空部64bとボディ側シール部62とは偏肉部P1によって分断されているので、外側中空部64bの変形が直接、ボディ側シール部62のボディパネル1に対する弾性変形に影響を与えることは少ない。よって、ボディパネル1とドアウェザーストリップ60との間において十分なシール機能を維持することができる。
【0045】
一方、図4に示すように、仮に、ドアウェザーストリップ60がドアインナーパネル2の第二面2Bに近づく方向に組付けバラツキが起こり、二重中空シール部64が大きく撓んだとしても、弾接に対する第二面2Bから受ける反力は、外側中空部64bと内側中空部64aが第二面2Bに対して垂直な方向に重ね合わされた二重中空シール部64と、ドアトリム40の先端部の略L字状の部位41を形成する平担状の折曲部41aによって十分受けとめられるので、二重中空シール部64をなす外側中空部64bと内側中空部64aが互いに弾接したり、内側中空部64aとドアウェザーストリップ60の基部61の車外側壁面が互いに弾接したりする底付き状態の発生を抑制することができる。
【0046】
また、ドアウェザーストリップ60がドアインナーパネル2の第二面2Bに近づく方向の組付けバラツキに対しては、外側中空部64bの外壁の肉厚rと、外側中空部64bと内側中空部64a間の隔壁の肉厚sと、基部61の車外側壁の肉厚tを調整することによっても防止することができ、このように、肉厚r,肉厚s,肉厚tを調整しても外側中空部64bとボディ側シール部62とは偏肉部P1によって分断されているので、外側中空部64bの変形が直接、ボディ側シール部62のボディパネル1に対する弾性変形に影響を与えることは少ない。よって、ボディパネル1とドアウェザーストリップ60との間において十分なシール機能を維持することができる。
【0047】
また、このような組付方法によれば、ドアウェザーストップ60とドアトリム40とが組立てラインに納入される前段階、例えば、部品メーカーにおいて一体化された後、サブアッシー化された状態で組立てラインに納入され、そこでドアインナーパネル2に一体化部品として同時に組付けられるので、ドアウェザーストリップ60とドアトリム40とを別体でそれぞれドアインナーパネル2に取付けるものと比較して、部品点数が減り、組立工程における取付作業性が飛躍的に向上するとともに、部品管理も容易になる。
【0048】
また、組立ラインにおける組立工程においても、ドアウェザーストリップ60は、その基部61に形成された嵌合部65に嵌合されたドアトリム40の先端部の略L字状の部位41を形成する平担状の折曲部41aを利用して、ドアウェザーストリップ60の車外側をドアインナーパネル2の第二面2Bに向けて折曲部41aの面によって押し付けるようにして組付けられるので、ドアウェザーストリップ60はドアインナーパネル2に対して強固に組付けられる。また、ドアウェザーストリップ60の嵌合部65には、ドアトリム40の折曲部41aを保持するための複数の保持リップ67が設けられているので、ドアウェザーストリップ60からドアトリム40が容易に外れることはない。
【0049】
本発明の実施形態では、ドアウェザーストリップ60からドアインナーパネル2の第一面2A側に延びる第一シール部63を断面略舌状のシールリップ部としたが、これにかえて中空シール部として第一面2Aとの間をシールするような構造にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係るドアウェザーストリップが組付けられた状態の要部を示す断面図である。
【図2】図1に示すドアウェザーストリップの組付工程の様子を示す断面図である。
【図3】組付けバラツキによりドアインナーパネルから離れた位置にドアウェザーストリップが組付けられた状態の要部を示す断面図である。
【図4】組付けバラツキによりドアインナーパネルに近づいた位置にドアウェザーストリップが組付けられた状態の要部を示す断面図である。
【図5】自動車の側面図である。
【図6】従来例に係るドアウェザーストリップが組付けられた状態を示す、図5のA−A線拡大断面図であり、(a)はドアトリムを利用して組付けた場合、(b)はクリップを利用して組付けた場合を示す。
【図7】従来例に係る別のドアウェザーストリップが組付けられた状態の要部を示す断面図である。
【図8】本出願人が先に考えたドアウェザーストリップを示し、(a)はそのドアウェザーストリップが組付けられた状態を示す、図5のA−A線拡大断面図であり、(b)はドアウェザーストリップが正規(通常)の位置で組けられた状態の要部を示す断面図である。
【図9】図8に示すドアウェサストリップが組付けバラツキによりドアインナーパネルから離れた位置に組付けられた状態の要部を示す断面図である。
【図10】図8に示すドアウェサストリップが組付けバラツキによりドアインナーパネルに近づいた位置に組付けられた状態の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ボディパネル
2 ドアインナーパネル
2a 段部
2A 第一面
2B 第二面
3 ドアアウターパネル
4 ドアトリム
4a 端部
5 クリップ
10 ドアウェザーストリップ
11 取付基部
12 中空シール部
20 ドアウェザーストリップ
21 中空部
22 中空シール部
23 シール部
24 中空シール部
30 ドアウェザーストリップ
31 基部
32 ボディ側シール部
33 ドア側リップ部
34 ドア側中空シール部
35 嵌合部
37 保持リップ
40 ドアトリム
41 略L字状をした部位
41a 折曲部
50 ボディ側ウェザーストリップ
51 取付基部
52 中空シール部
55 ピラーガーニッシュ
60 ドアウェザーストリップ
61 基部
62 ボディ側シール部
62a 車外側付け根部
62b 車内側付け根部
62c リップ片
63 第一シール部(ドア側シール部)
64 二重中空シール部(ドア側シール部)
64a 内側中空部
64b 外側中空部
64c 付け根部
65 嵌合部
67(67a〜67f) 保持リップ
68 シールリップ部
D ドア
F フランジ
P1 偏肉部
P2 偏肉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア閉時にドアインナーパネルと、該ドアインナーパネル側に延びるドアトリムとの間に取付けられ、前記ドアインナーパネルに弾接するドア側シール部とボディパネルのドア開口縁車外側に弾接するボディ側シール部を有し、車内外をシールするドアウェザーストリップであって、
前記ドアウェザーストリップは、前記ドアトリムの先端部の車外側に重ねて設けられ前記ドアインナーパネルに押圧される二重中空シール部を有することを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項2】
ドア閉時にドアインナーパネルと、該ドアインナーパネル側に延びるドアトリムとの間に取付けられ、前記ドアインナーパネルに弾接するドア側シール部とボディパネルのドア開口縁車外側に弾接するボディ側シール部を有し、車内外をシールするドアウェザーストリップの組付構造であって、
前記ドアウェザーストリップは、前記ドアトリムの先端部の車外側に重ねて設けられ前記ドアインナーパネルに押圧される二重中空シール部を有することを特徴とするドアウェザーストリップの組付構造。
【請求項3】
前記ドアトリムの先端部は、前記ドアインナーパネルに略平行になるように折れ曲がっている略L字状をした部位を有し、
前記略L字状をした部位と前記ドアインナーパネルとの間に、前記二重中空シール部を挟持することを特徴とする請求項1又は2に記載のドアウェザーストリップ及びその組付構造。
【請求項4】
前記ドアインナーパネルは、車外側に延びる第一面とその第一面から略垂直に延びる第二面との間に形成されるコーナー部を備え、前記二重中空シール部は、前記第二面に押圧され、前記ドア側シール部は、前記第一面に押圧される第一シール部をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載のドアウェザーストリップ及びその組付構造。
【請求項5】
前記ドアウェザーストリップの第一シール部は、断面略舌状のシール部であり、前記ドアインナーパネルに対する組付けのときには、前記第一シール部の車内側が前記ドアインナーパネルの第一面に弾接し、前記第一シール部の車外側は前記二重中空シール部に弾接することを特徴とする請求項4に記載のドアウェザーストリップ及びその組付構造。
【請求項6】
前記ドアウェザーストリップの第一シール部は、中空状のシール部であることを特徴とする請求項4に記載のドアウェザーストリップ及びその組付構造。
【請求項7】
ドア閉時にドアインナーパネルと、該ドアインナーパネル側に延びるドアトリムとの間に取付けられ、前記ドアインナーパネルに弾接するドア側シール部とボディパネルのドア開口縁車外側に弾接するボディ側シール部を有し、車内外をシールするドアウェザーストリップの組付方法であって、
前記ドア側シール部は、前記ドアトリムの先端部の車外側に重ねて設けられ前記ドアインナーパネルに押圧される二重中空シール部を有し、
予め前記ドアトリムの先端部を前記ドアウェザーストリップに一体化した一体化部品を、前記ドアインナーパネルに組付けることを特徴とするドアウェザーストリップの組付方法。
【請求項8】
前記ドアウェザーストリップには、前記ドアトリムの先端部が差し込まれる嵌合部が形成され、予め前記ドアトリムの先端部を前記ドアウェザーストリップに形成された嵌合部に嵌合した一体化部品を、前記ドアインナーパネルに組付けることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載のドアウェザーストリップ及びその組付構造及び組付方法。
【請求項9】
前記ドアウェザーストリップには、前記ドアトリムの先端部が差し込まれる嵌合部が形成され、予め前記ドアトリムの先端部を前記ドアウェザーストリップに形成された嵌合部に嵌合した一体化部品を、前記ドアインナーパネルに対して、前記一体化部品のドアウェザーストリップの第一シール部を前記ドアインナーパネルの第一面に押し付けるとともに、前記ドアウェザーストリップの二重中空シール部を前記ドアインナーパネルの第二面に押し付けて組付けることを特徴とする請求項4乃至6のうちいずれか一つに記載のドアウェザーストリップ及びその組付構造及び組付方法。
【請求項10】
前記ドアウェザーストリップのボディ側シール部を、前記二重中空シール部のうち前記ドアトリムの先端部側の内側中空部の側面で、前記二重中空シール部の内側中空部に対する外側中空部の付け根部から前記ボディパネル側に離間させた位置に接続して設けたことを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか一つに記載のドアウェザーストリップ及びその組付構造及び組付方法。
【請求項11】
前記一体化部品を、前記ドアウェザーストリップを前記ドアインナーパネルに組付ける組立工程のラインに納入した後、前記組立工程で、前記一体化部品を前記ドアインナーパネルに組付けることを特徴とする請求項7乃至10のうちいずれか一つに記載のドアウェザーストリップ及びその組付構造及び組付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−167957(P2010−167957A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13449(P2009−13449)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】