説明

ナノ粒子バイオセンサとその製造方法および使用

本発明は、バイオセンサ分野、より詳細には、磁性コアと、シリカ層と、1つ以上の外側金属層と、合成または天然の有機または無機バイオセンサ分子の層とを含み、外側金属層は、異なる種類のものを交互に堆積し、その外側に固定したものであっても良く、バイオセンサ分子は生体分子と結合可能である、ナノ粒子バイオセンサに関する。本発明はまた、このナノ粒子バイオセンサを得る方法と、その様々な使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサ分野、特に、特定配列の天然核酸(DNAまたはRNA)のハイブリダイゼーションを検出するための、ナノ粒子に固定したペプチド核酸(PNA)プローブの使用に関する。特にこのナノ粒子は磁性コアと外側の金属層とから成り、その上には同定および検出の対象物に対して相補的な塩基配列を持つ適当なプローブが固定されている。このナノ粒子の磁気的、電気的、および光学的性質を利用して、正ハイブリダイゼーション試験(positive hybridization assay)に関連する、修飾前後の前記ナノ粒子から得られる、磁気的、光学的、または電気的信号の差に注目した方法を改良する。更に本発明に関わる試験の種類は、巨視的な金属表面において分光学的に行うことができる。
【背景技術】
【0002】
1953年、ワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造を発表して以来、遺伝学、ゲノミクス、およびバイオテクノロジー技術の発展はめざましく、このときから分子生物学の時代が始まった。DNAを利用した分析法で最も発展したものの1つは、特定の相補配列を持つ別のDNAまたはRNA分子の検出であり、ヌクレオチド間の結合特異性を、そのヌクレオチド塩基、つまりワトソン−クリックのパリティ則として知られる、アデニン(A)とチミン(T)、グアニン(G)とシトシン(C)から求めるものである。つまり、ある数のヌクレオチドから成るある配列は、1つ以上の種のゲノム内部で特有のものとなるため、この配列を持つ生物の存在の検出および特定にこれを用いることができる。現在の技術的発展に鑑みれば、生物、菌株、または他の変異株とたった1つしかヌクレオチドが違っていない変異株の存在を検出することも可能であり、例えば、全く同一の微生物の2つの突然変異体を判別することができる。
【0003】
数千もの分子プローブ(主に、核酸またはタンパク)を固体の支持体(ガラス、ニトロセルロース、ナイロンなど)に共有結合によって固定させた、チップまたはマイクロチップとも呼ばれるマイクロアレイ技術の開発(Southern et al., 1994; reviews in Nature Genetics 21, supplement, 1999; Harris, 2005)は、バイオテクノロジーの分野に大きな進展をもたらした。DNAマイクロアレイを用いて、遺伝子発現の研究、ヌクレオチド多型(SNP)の研究、微生物の分類、およびミニ配列分析を行うことができる。この技術は、E. Southern の開発した実験手法(Southern, 1975)を使用しており、これによれば、核酸(長鎖および短いオリゴヌクレオチドの両者)を固体支持体に固定し、放射線または蛍光で標識化したそれらの相補核酸と安定なハイブリッドを形成させることができる。ハイブリッドの安定性は、ヌクレオチド配列の相補性の程度や、培地のイオン強度、pH、または温度などの外部要因によって求める(Parinov et al., 1996; Hacia, 1999; Relogio et al., 2002)。
【0004】
一部の用途での天然核酸に類似した分子の使用もバイオテクノロジーにおいて適切であった。これらの分子の中でも、1991年に Nielsen らが最初に報じた(Nielsen et al., 1991)ペプチド核酸(PNAと略される)の場合が特に興味深い。PNAは、天然核酸(DNAおよびRNA)に典型的な糖とリン酸から成る骨格とは異なり、その骨格がペプチドの性質を持つポリマーから構成されている。PNA骨格は、ペプチド結合で繋がったN−(2−アミノエチル)グリシン単位で構成され、アキラルで電気的に中性であり、リン原子を含まない(Egholm et al., 1992; Egholm et al., 1993)。プリン(AおよびG)およびピリミジン(CおよびT)ヌクレオチド塩基が、天然核酸のヌクレオチド塩基と正確に相互作用を行えるようなコンホメーションで、メチレンカルボニル結合によりPNA骨格に結合している。
【0005】
PNAの特徴は、ワトソン−クリックの塩基パリティ則に従って、相補DNAと安定かつ特異的にハイブリリダイズする能力である(Egholm et al., 1993)。実際に、一本鎖PNA(ssPNA)は、PNAと同じ配列を持つssDNAよりも相補ssDNAに対して大きな親和性を持つ。これは主に、PNAが電気的に中性で、DNA−DNA相互作用の中にあるストランド間の反発がないためである(Nielsen et al., 1991; Wittung et al., 1994)。DNAに対するPNAの高い親和性は、“鎖侵入(strand invasion)”と呼ばれる方法によって(Demidov et al., 1995; Nielsen, 2001; Demidov et al., 2002)、二重鎖DNA(dsDNA)へのssPNAのハイブリダイズさえも可能とし、PNAプローブを用いて特定遺伝子の組み換えおよび/または特異的阻止を誘導することもできる(Rogers et al., 2002)。更に、PNAのDNAに対する作用は非常に特異的であり、生成可能な殆ど全ての塩基対に対して、正しい対合と誤った対合との熱安定性の違いが、DNA−DNA二本鎖よりもPNA−DNA二本鎖中で大きい(Egholm et al., 1993)。故に、完全な対合が起きている温度と、塩基の1つが対合していない温度との差は、DNA−DNAの場合よりPNA−DNAの場合の方が大きい。このため、固定化PNAプローブを用いたバイオセンサは、標的核酸分子中の突然変異およびSNPの検出において、DNAを用いた他のバイオセンサよりも有効であると考えられる。
【0006】
その人工的なペプチドに似た骨格構造から見て、PNAは、DNAse類、RNase類、またはプロテアーゼ類などの天然生分解性酵素の作用を受けにくいため、その生物学的安定性はDNAやRNAよりも遙かに大きい(Nielsen, 1999)。最後に、更にPNAがpHやイオン強度の変化の影響を受けにくいことも、その化学的安定性を高め、様々な媒体組成物中での様々な分子に対するそのハイブリダイゼーションについての実験的可能性をより大きくする(Egholm et al., 1993; Kambhampati et al., 2001)。以上のように、天然核酸を検出および定量する装置でPNAを使用するため、その物理化学的特性を開発することは非常に興味深い。
【0007】
PNA/DNAまたはPNA/RNAハイブリダイゼーションに伴う物理化学的変化の一部は明瞭である。その一つは、この対合に伴う質量の増加である。これを利用して、相補配列間のハイブリダイゼーション後に生じる僅かな質量変化を検出する非常に感度の高い装置として水晶振動子微量天秤を用いた(Wang et al., 1997)、あるいは、MALDI−TOF型の質量分析器を用いた(Griffin et al., 1997; Arlinghaus et al., 2003; Brandt et al., 2003)、PNA/DNA(RNA)バイオセンサが開発されている。
【0008】
PNAプローブとDNA標的とのハイブリダイゼーションを検出するためのその他の装置として、リンシグナルの出現によってハイブリダイゼーションを検出するものも開発されている。これはこの元素(リン)が、PNAストランド中には存在しないが、標的DNA(またはRNA)ストランド骨格を構成していることを利用している。この可能性は、SIRIMP(Sputter-Initiated Resonance Ionization Microprobe Phosphorous Image)法を用いて Arlinghaus らによって示されている(Arlinghaus et al., 1997)。本発明の発明者は、金表面を備えた平板上に固定したPNAプローブにおいて、X線光電子放出分光法(XPS)法を用いて、相補DNA標的とのハイブリダイゼーションの前後で同様な結果を得た。XPSにより、ハイブリダイゼーション(および、標的の非特異的結合を防ぐため、制御条件下で適当な洗浄を行った後)を行うと、窒素シグナル(基材のAu4fピークに対して正規化した、N1sに対応する光電子放出ピーク)が2〜4倍大きくなり、PNA中にはなかったリンシグナル(Au4fに対して正規化したP2pピーク)が出現することが観測された(Briones et al., 2004; Briones et al., 2005)。
【0009】
標的DNAまたはRNA分子は一般に天然試料中では非常に希薄であり、ハイブリダイゼーション反応は通常、予めPNAプローブ分子を固定した表面で起きることから、均一相でこれらの試験の多くを行うには多くの問題がある。プローブの量は当該表面の一層のPNA分子に限られ、正信号を発生するには分析すべき試料をこれと接触させる必要があるため、これが試験法のネックとなる。これはまた、これらの技術の感度や検出限界も制限する。
【0010】
ナノ粒子、特に磁性ナノ粒子を用いれば、少量の磁性ナノ粒子を大量の試料中に懸濁させた後に、外部磁界をかけて回収できることから、この点において著しい進展が図れる。これにより、ナノ粒子上に固定したPNAと特異的にハイブリダイズする極微量で希薄な標的DNAを精製および/または再濃縮して、検出限界を著しく下げることが可能となる。このようなタイプの装置によって、例えば、特徴的なDNA配列を持つ生物種または菌株の存在による危害を防止するため、目的とする特定のDNA配列を速やかに検出することが重要である場合に、その存在を確認することができる。この事実は、ヒトや動物の生体臨床医学、特に、i)ウィルス、細菌、真菌、または原虫型病原体の検出、ii)前記病因を薬剤耐性とし、あるいは免疫系またはワクチンから免れ易くする、前記病因中の突然変異または遺伝子多型(SNP)の特定、iii)疾病または罹患し易さに関わる、ヒトまたは動物遺伝子中の突然変異またはSNPの特定、iv)特定の腫瘍マーカーの検出、などに広く応用できる。同様に、この検出法は、食物および環境制御においても重要な用途を持ち、例えば、i)特定の微生物、病原体、または汚染物質の検出、ii)遺伝子組み換えまたは遺伝子操作生物(GMO)の存在の検出、またその存在が検出限界以上であれば定量、などが考えられる。これら全ての場合において、多量の試料に僅か数マイクログラムのナノ粒子を懸濁させ、次にこれに外部磁界をかけて濃縮することで、多量の試料を分析できる。これにより検出感度を数桁上げることが可能となる。
【0011】
粒度分布の狭い安定な強磁性体または強磁性ナノ粒子の懸濁液である鉄流体(ferrofluid)は、本発明特許の意図する分析用途において特に興味深い。このようなタイプのナノ粒子は当初、磁性を持つ酸化鉄試料を機械的に粉砕することで得ていた。しかしこの方法は高価で時間がかかる上、得られる粒子の粒度分布が大きくなってしまう。別の方法として共沈殿法が考え出され、この方法では、適当なイオンを含む溶解塩(例えば、1:2の比のFe2+とFe3+)を用い、この溶液が不安定になって所望の固体が沈殿するような条件(同じ例では、溶液を1MのNaOHとして沸騰させると沈殿が生じる)とする。これらの方法によって超常磁性を持つために十分小さいナノ粒子が生成する。この現象は、1つの粒子が非常に小さいため粒子中に永久磁区は1つしかないが、回転する能力を備えていることで生じる。従って、鉄流体においては、各ナノ粒子の磁気モーメントはランダムな方向を向いて互いに打ち消し合うため、外部磁界がない場合、この液体は磁性固体ではないかのように振る舞う。このナノ粒子に磁界をかけると、溶液内部での回転またはその磁界の配向性により、外部磁界に従って配向する。これによって液体全体に及ぶ強力な粒子−粒子引力が生じる。外部磁界をかけると粒子を濃縮できることは非常に興味深いが、全体が配向し、凝集や凝固が生じ易くなるほど磁気的相互作用が強くなることは好ましくない。
【0012】
故に、適度に強い磁界の下で安定な、すなわち、粒子間の引力が粒子に付随する熱エネルギーより小さい鉄流体を得るには、後者は非常に小さくなければならない。超常磁性に典型的な単一磁区が現れるためには、室温で許される粒経の上限は、鉄で約3nm、Fe(マグネタイト)およびその酸化型のγ−Fe(磁赤鉄鉱)で約10nmである。CoFe(コバルトフェライト)の場合、粒径は20nmに達する。この限界を超えると、大きすぎる粒子は凝集核となって成長し、懸濁液は不安定となる。粒径が小さく、粒子集団内での粒度分布が狭いことが必要であることは疑いなく明らかである。これらの特性により、鉄流体は、磁場勾配によって移動または制御可能な物質の安定な相によって構成される。挙げられた3種の酸化物は、適当かつ揃った粒径となるよう合成されていれば、これらの目的に広い適応性を持つ。
【0013】
溶液中で、粒度分布の狭いマグネタイトの磁性ナノ粒子を直接得る主な方法は、鉄塩を開始材料とするものである(Massart, 1981)。磁性ナノ粒子は、ごく小さい磁気飽和を持った非常に分散の良い粒子を生じる、レーザ熱分解などの気相法(Veintenillas et al., 1998)、あるいは、多分散粒子を生じるフレーム法(Urakawa et al., 1996)でも合成可能である。更に、シリカマトリックスを用いても磁性ナノ粒子は得られるが、粒度分布は非常に広い(del Monte et al., 1997)。
【0014】
現在、溶液中で球状のマグネタイトナノ粒子が得られる合成法はいくつか知られている。その体系の1つでは、水酸化第二鉄懸濁液を様々な酸化剤で部分的に酸化する。硝酸イオン存在下でFeSOをKOHと混ぜ合わせ、得られたゲルを90℃で数時間保つと、限界を30〜1100nmとした範囲で粒度分布の狭い球状マグネタイトナノ粒子が得られる(Sugimoto and Matijevic, 1980)。しかし、直径が30nm以上のマグネタイトナノ粒子は超常磁性でなくなるため、この方法の適用は限られる。
【0015】
いずれも、これまで述べてきたように、球状ナノ粒子を得る主な方法は、水酸化第一鉄と水酸化第二鉄の混合溶液を水媒体中でエージングする工程から成る、Massart法である(Massart and Cabuil, 1987)。大きさと化学組成が非常に揃った粒子は、Fe2+/Fe3+の化学量が0.5の場合に得られる。更に、沈殿媒体のpHとイオン強度を調整すると、平均粒径をナノメータの1桁の範囲(1.6〜12.5nm)で制御可能で(Jolivet et al., 1983)、pHおよびイオン強度を上げると粒径が小さくなることが認められている。2つの因子は、粒子表面の等静変化(isostatic change)、つまり表面の化学組成を決定する。
【0016】
このような材料を調製するための記述の1つにおいて、沈殿に用いる塩基の性質(NHOH、NaOH、またはKOH)と温度を変えることで、8〜14nmの球状マグネタイト粒子が得られた。これらの粒子を沈殿させるため、強く撹拌しながら、0.33M FeClと0.66M FeClとを含む50mlの水溶液を、450mlの1M 塩基溶液に加えた。塩基溶液には予めNガスを通し、最終沈殿物がマグネタイトだけから成るようにした。1重量%のポリビニルアルコール(PVA)を加えた1M KOH溶液を、室温で鉄塩の混合物に加えると、最も小さい粒子が得られた(Lee et al., 1996)。
【0017】
CoFeナノ粒子の合成には、Massart法と似た方法が用いられ、この方法では、Fe2+をCo2+に変え、もう一つの実験条件、例えば試薬を塩基性媒体に加える温度を変える。工程は、先に述べたマグネタイト法と同様である(Wagner et al., 2002)。
【0018】
先の方法で合成した適当な大きさの磁性粒子は、マグネタイトでは7付近、コバルトフェライトの場合には9の等電点を持つため、中性pHでは水溶液中において非常に不安定となり、等電点の±2単位のpH値で既に若干の凝集が見られ、±1.5単位のpH値で沈殿する。この理由のため、中性に近いpH値において水中懸濁液を安定化させる化合物でこれらを覆う必要がある。この被覆は、ポリマー、有機物、または様々な金属または酸化物など、様々な種類のものとすることができる。粒子をシリカ層で覆って前記ナノ粒子間に生じる磁力とファン・デル・ワールス相互作用を低下させると、凝集に対して非常に安定になる。熱処理に対する耐性も生じる(Tartaj et al., 2001)。シリカ被覆に伴う問題点としては、この層の撹拌タンク内での機械的強度が低いことである。更に、このシリカは個々のナノ粒子に被覆できず、約5個のナノ粒子の凝集体に被覆される(Philipse et al., 1994)。一方、前記シリカ層の存在は、その中性pHにおける安定性以外にも、例えば、シラン型結合分子内にある官能基を加えることでその表面を修飾できるなど、多くの利点がある。このような分子は、その一方の端にトリアルコキシシラン基を持ち、ケイ素の自由結合(free bond)から出ている鎖の端に適当な官能基(アミノ、メルカプト、ヒドロキシド、エポキシドなど)を含む短い鎖を持つものである。こうして、シリカ層の中にナノ粒子を閉じ込める代わりに、化学的修飾を行って所望の官能化表面を作ることができる。
【0019】
このように、外側金層を用いた修飾はシリカナノ粒子上で行われた(Oldenburg et al., 1998)。そのため、シリカ表面を3−アミノプロピルトリエトキシシランでシラン化して多数のアミノ基を表面に付着させる。予め合成しておいた金ナノ粒子をこれらの基に固定した後、金(III)イオンを還元して所望の程度、シリカ上の金層が閉じるまで成長工程を行う。
【0020】
この外側金属層(望ましくは金または銀)は、シリカ被覆磁性ナノ粒子にその他多くの性質を加える。中でも、特異的な光学的性質、表面プラズモン現象は本発明において特筆に価する。
【0021】
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【非特許文献47】Watson, J.D. & Crick, H.D. Molecular Structure of Nucleic Acids: A Structure for Deoxyribose Nucleic Acid. Nature 171: 737-738 (1953).
【非特許文献48】Wittung, P., Nielsen, P. E., Buchardt, O., Egholm, M. & Norden, B. DNA-like double helix formed by peptide nucleic acid. Nature 368: 561-563 (1994).
【非特許文献49】Yeni, P.G., Hammer, S.M., Carpenter, C.C., Cooper, D.A., Fischl, M.A., Gatell, J.M., Gazzard, B.G., Hirsch, M.S., Jacobsen, D.M., Katzenstein, D.A., Montaner, J.S., Richman, D.D., Saag, M.S., Schechter, M., Schooley, R.T., Thompson, M.A., Vella, S. & Volberding, P.A. Antiretroviral treatment for adult HIV infection in 2002: updated recommendations of the International AIDS Society-USA Panel. JAMA 288, 222-235 (2002).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかし、先に述べた全ての性質と、相補有機分子間のハイブリダイゼーションを検出するための支持体としてのその使用の可能性や、ナノバイオテクノロジーの新たなツールまたは技術基盤の発展でのその応用の可能性とを備えたナノ粒子は知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の態様は、磁性ナノ粒子と、シリカ層と、1つ以上の外側金属層と、合成または天然の有機または無機バイオセンサ分子の層とを含み、外側金属層は、異なる種類のものを交互に堆積して、その外側に固定したものであっても良く、バイオセンサ分子は生体分子と結合可能である、ナノ粒子バイオセンサに関するものである。本発明のナノ粒子バイオセンサは、望ましくは、直径4〜30nmの磁性ナノ粒子と、厚さ1〜20nmのシリカ層と、厚さ1〜200nmの金属層と、生体分子と結合可能な合成または天然の有機または無機バイオセンサ分子の層とを含んでいる。
【0024】
本発明の第2の態様は、本発明のナノ粒子バイオセンサの製造方法に関するものであって、この方法は、4〜20nmの大きさの磁性粒子のコロイドを調製する工程と、コロイドの調整を行って、塩基性pH(pH7以上)において安定とする工程と、塩基性媒体中において、コロイド状ナノ粒子を厚さ1〜20nmのシリカ層で被覆する工程と、前工程でシリカを被覆した磁性ナノ粒子の表面を金属層で化学的に官能化する工程と、得られたナノ粒子の表面に有機バイオセンサ分子を固定する工程とを含む。
【0025】
本発明の第3の態様は、本発明のナノ粒子バイオセンサの様々な用途に関する。
【0026】
本発明の第4の態様は、本発明のナノ粒子バイオセンサに固定した有機または無機バイオセンサ分子に対する、生体分子のハイブリダイゼーションまたは結合を測定する方法に関する。前記方法は、望ましくは、可視光または赤外線を用いた分光学的検出法、ラマン分光法、XPS、または電気化学的検出法である(但しこれらに限定しない)。
【0027】
本発明のその他の態様は、本発明の記述を見れば当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、生体分子の同定および判定用の新たなツール、より詳細には、高い感度と特異性で核酸と結合可能な新たなバイオセンサの提示の問題に関する。
【0029】
発明者らは、天然核酸(DNAまたはRNA)とそれに類似した分子(より詳細には、PNA)との間に起こるハイブリダイゼーションが、磁性コアを持つナノ粒子の金属表面にこれらのPNAプローブを固定すると判別可能であることを発見した。本発明はこの事実に基づくものである。
【0030】
金属層を被覆したこれらの磁性ナノ粒子の表面には、この表面の性質によって、あらゆる種類の有機または無機分子が固定でき、このような分子は、アミノ基またはチオール基(実施例1参照)などの電子的密度を受容できる官能基を含んでいる。固定された分子は、自己組織化単分子膜(SAM)の形に配列させることも可能で、この場合、最良充填密度が得られる。SAMの形成は、例えば、金表面にチオール化PNAを固定した場合に起こる。
【0031】
このように、その表面に有機または無機分子を固定したナノ粒子の、統合され、互いに補完し合うこの新たな磁気的、電気的、および光学的性質は、特定の目的を持つバイオセンサの開発に用いることができる。第1に、磁性表面コアにより、この粒子を外部磁界によって捕集し、濃度が低い場合には分析試料を濃縮することができる。第2に、供試生体試料中に存在する相補核酸のハイブリダイゼーションの前と後とで、表面にバイオセンサ分子を固定した前記ナノ粒子によって生じる光学的信号の違いを分析することが可能である(実施例2および実施例3参照)。
【0032】
外側層として用いられる金属は更に、特異な光学的性質、表面プラズモン現象を示す。この現象は、金属表面の電子の集団的振動から成り、紫外可視領域(ナノ粒子の大きさと金属に特徴的)の前記電子に共鳴条件が生じる波長に吸収帯を生じる。表面プラズモン現象は化学結合の振動エネルギー域にも関係するため、表面強化ラマン分光(SERS)(Vo-Dinh, 1998)や、表面強化赤外吸収(SEIRA)(Osawa et al., 1991)効果を引き起こす。これは金属表面に置かれた分子の特定の振動モードを著しく大きくし、SERSの場合には10倍に達し、SEIRAでは10倍に大きくすることができる。このような光学信号の増幅効果は基本的にそれを引き起こす物質(Au、Ag、Cu)、層の厚さ、およびその外側の粗さに応じて、あるいは、厚さ(シートの場合)または粒子の直径(ナノ粒子の場合)に応じて変わり、分光学的手法で測定することができる。
【0033】
最後に、金属表面によってもたらされるもう一つの性質は、自己組織化単分子膜の支持体、特に金表面のチオール基の支持体として作用し易いことである(Madoz et al., 1997; Madoz-Gurpide et al.,2000; Abad et al., 2002; Briones et al., 2004)。
【0034】
このように、本発明の第1の態様は、a)磁性ナノ粒子と、b)シリカ層と、c)1つ(以上)の外側金属層と、d)合成または天然の有機または無機バイオセンサ分子の層とを含むナノ粒子バイオセンサによって構成される。外側金属層は異なる種類のものを交互に堆積し、その外側に固定したものであっても良く、バイオセンサ分子は生体分子と結合可能である。
【0035】
本発明で用いる“ナノ粒子バイオセンサ”とは、5〜250ナノメートル(nm)、望ましくは50〜100nm、より望ましくは60nmの大きさを持ち、更に、先に述べた特性の全てを備えた粒子を指す。
【0036】
ナノ粒子の大きさは、前述の様々な層の厚さに応じて変えることができ、これらの層は、例えば以下のように変えることができる。
i)磁性粒子は4〜30nm
ii)シリカ層の厚さは1〜20nm
iii)金属層の厚さは1〜200nmに調節
【0037】
磁赤鉄鉱(γ−Fe)とマグネタイト(Fe)は、多くの酸化鉄類の中でも永久磁性を持つものである(Garcell et al., 1998; Solinas et al., 2001)。更に、マグネタイトに典型的な逆スピネル構造と同じ構造を持ち、酸化数IIの鉄がコバルトで置き換えられたコバルトフェライト(CoFe)のナノ粒子も使用できる。ここに述べたものに代わる別の磁性材料の例として鉄−白金(FePt)があるが、これは酸化物ではない。
【0038】
このように、本発明で用いる“磁性ナノ粒子”とは、それぞれ、以下の群のひとつまたはそれらの組み合わせに属する、酸化または非酸化磁性材料を指す(これらは説明のためであって、本発明の範囲を制限するものではない)。
i)マグネタイト(Fe)およびその酸化型の磁赤鉄鉱(γ−Fe)などの酸化鉄、または、コバルトフェライト(CoFe)などの酸化コバルト鉄、あるいは、
ii)鉄−白金(FePt)などの非酸化物磁性材料
【0039】
本発明で用いる“外側金属層”とは、分光器の信号を増幅させる金属であって、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、あるいはこれらの金属の一部または全てから成る合金などの金属を指す(これらは説明のためであって、本発明の範囲を制限するものではない)。
【0040】
本件で用いる“バイオセンサ分子”とは、物理的支持体として働くナノ粒子上に固定した、有機または無機の生体分子または生体分子に類似した分子であって、他の生体分子またはその類似体と特異的に結合またはハイブリダイズすることが可能で、その結合過程が追跡できる分子を指す。このような生体分子または生体分子類似体は、その化学吸着または物理吸着を伴う電子的密度を受容できる官能基、例えば、アミノ基、チオール基、エポキシ基、ジスルフィド基、ジアルキルスルフィド、更に、白金中のアミンおよびアルコールなど(これらは説明のためであって、本発明を制限するものではない)を更に含んでいる。分子構造自体の中にこのような官能基を持つ分子と、合成によってこれらの基が付加して持つようになった分子のいずれもが使用でき、このような分子は、次の群の1つから選ぶことができる(これらは説明のためであって、本発明を制限するものではない)。
a)天然生体分子:一本鎖または二本鎖核酸類(DNAまたはRNA)、酵素類、抗体類、膜タンパク類、熱ショックタンパク類、シャペロニン類(chaperonins)、その他のタンパク類、単糖類、多糖類、糖タンパク類、脂肪酸類、テルペン類、ステロイド類、その他脂質の性質を持つ分子、リポタンパク類、ホルモン類、ビタミン類、代謝物、炭化水素類、抗生作用または抗ウィルス活性を持つ天然分子、またはタンパク類および/または核酸類から成る高分子凝集体、あるいは先に述べた分子の他の組み合わせ
b)in vitro選択法によって得られた天然生体分子:アプタマー類、リボザイム類、またはアプタザイム類
c)人工生体分子:PNA類、その他の天然核酸類似体、天然および人工核酸のキメラ、認識型(recognize shapes)となり得るポリマー(“分子インプリントポリマー(molecular imprinted polymer)”またはMIP)、人工抗体類、組み換え抗体類、ミニ抗体類、あるいは抗生作用または抗ウィルス活性を持つ合成分子
【0041】
本発明において“ハイブリダイゼーション”とは、天然核酸またはその人工類似体の2つの相補ストランド間の相互作用、あるいは一般的には、2つのタンパク質、抗体とそれを認識する抗原との、または結合タンパク質とそのリガンドとの特異的相互作用を指す。
【0042】
また本発明のナノ粒子は、抗原−抗体、レセプター−リガンド、酵素−基質、または酵素−阻害物質間の分子認識に基づく様々なバイオセンサの形式に使用できる。このようなバイオセンサ内では、分子認識が起こると系の光学的および/または電気的性質の変化が生じ、これは、本発明の対象であるナノ粒子の組成および構造により、紫外、可視、または赤外分光法、ラマン分光法および表面増感ラマン分光法(SERS)、ラマン顕微鏡法、FTIRおよび赤外顕微鏡法などの透過赤外法、表面増感赤外吸収法(SEIRA)および減衰全反射分光法(ATR)、X線に基づく技術、XPS、NEXAFS、XANESなどで検出できる。
【0043】
本発明において“核酸”とは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、またはペプチド核酸(PNA)配列を指し、その長さは、2ヌクレオチド以上(DNAまたはRNA)、あるいはその対応する骨格に結合した2ヌクレオチド塩基以上(PNA)であって(ntと略記する)、一本鎖または二本鎖である。
【0044】
本発明において“ペプチド核酸(PNA)”とは、構造的にはDNAに似ているが、その構造骨格が、N−(2−アミノエチル)グリシンの重合によって生成したペプチドの性質を持つポリマーであり、これに核塩基がメチレンカルボニル結合によって結合している分子を指す。
【0045】
本発明において“組み換え抗体”または“ミニ抗体”とは、組み換えDNA技術によって作られた抗体に由来するフラグメントであって、その小ささにも拘わらず、抗原結合領域がその中に存在する少なくとも1つの不変免疫グロブリンドメイン(Fab)を保有しているため、抗原結合能を保っているフラグメントを指す。ミニ抗体としては、Fab、F(ab’)2、scFv、および組み換え単一ドメイン抗体などが挙げられる(これらは説明のためであって、本発明の範囲を限定するものではない)。本発明の文脈においては、独立した結合能と認識能とを備えた組み換え単一ドメイン抗体および/または免疫グロブリン型ドメインは、重鎖(heavy chain)可変ドメイン(VH)、軽鎖(light chain)可変ドメイン(VL)、組み換えキャメル化(camelid)抗体(VHH)、ヒト化組み換えキャメル化抗体、その他のキャメル化種の組み換え抗体、軟骨魚類のIgNAR単一ドメイン抗体として理解されている。即ち、本来単一ドメインであるドメイン(VHHおよびIgNARなど)と、抗原と作用するよう遺伝子工学により改変され、その安定性と溶解性とを向上させた抗体の両方が含まれる。
【0046】
本発明の具体的な実施の形態の一つは、本発明のナノ粒子バイオセンサによって構成され、この中では、磁性ナノ粒子はコバルトフェライトから成り、シリカ層はアミノ基とチオール基で官能化され、金属層は金で作られ、固定化生体分子は、その一端を修飾されたPNAであり、この修飾は、前記末端にチオール基を挿入するものである(実施例1.1参照)。
【0047】
もう一つの本発明の具体的な実施の形態は、ナノ粒子バイオセンサによって構成され、この中では、磁性ナノ粒子はコバルトフェライトから成り、シリカ層はアミノ基とチオール基で官能化され、金属層は銀層とそれに続く別の金層とで作られ、固定化生体分子は、その一端を修飾したPNAであり、この修飾は、前記末端にチオール基を挿入するものである(実施例1.4参照)。
【0048】
本発明の別の具体的な態様では、ナノ粒子バイオセンサは、密集型(mass)ナノ粒子バイオセンサ、即ち、磁性コアまたはシリカ層を持たず、金属コアのみから成るものであっても良い。
【0049】
本発明の第2の態様は、本発明のナノ粒子バイオセンサを得る方法によって構成されている。以後、本発明の方法は以下の工程を含むものとする。
a)4〜30nmの磁性粒子のコロイドを調製する工程
b)コロイドの調整を行って、塩基性pH(pH7以上)において安定とする工程
c)塩基性媒体中において、コロイド状ナノ粒子を厚さ1〜20nmのシリカ層で被覆する工程
d)官能基を導入するため、工程c)で得られたナノ粒子の表面を化学的に官能化する工程
e)工程d)で官能化した磁性ナノ粒子に金属層を被覆する工程であって、この工程は以下の工程を含む。
e.i)水に安定な直径3〜20nmの金属ナノ粒子を合成する工程
e.ii)前述の工程d)で得られたナノ粒子に金属ナノ粒子を化学吸着させる工程
e.iii)e.ii)で得られた生成物の上に金属層を成長させ、厚さを1〜200nmに制御した層を形成する工程
f)工程e)で得られたナノ粒子の表面にバイオセンサ分子を固定する工程
【0050】
本発明の望ましい態様は、磁性粒子を、以下の酸化または非酸化磁性材料のそれぞれから、あるいはそれらの組み合わせ(説明のためであって、本発明を限定するものではない)から作る、本発明の方法よって構成される。
i)マグネタイト(Fe)およびその酸化型の磁赤鉄鉱(γ−Fe)などの酸化鉄、あるいはコバルトフェライト(CoFe)などの酸化コバルト鉄
ii)鉄−白金(FePt)などの非酸化物磁性材料
【0051】
前記の方法では、鉄およびコバルト酸化物は、望ましくはコバルトフェライト(実施例1参照)、マグネタイト(Fe)またはその酸化型(γ−Fe)である。
【0052】
本発明のより望ましい態様は、本発明の方法の工程b)の調整をテトラメチルアンモニウム=ヒドロキシドを用いて行う、本発明の方法によって構成される。
【0053】
更に、本発明のより望ましい態様は、本発明の方法の工程c)のシリカ被覆を、ケイ酸ナトリウム溶液で処理することで行う、本発明の方法によって構成される。
【0054】
更に、本発明の方法の工程c)のシリカ層の厚さは、所望とするナノ粒子の大きさに応じて変えることができる。このため本発明のもうひとつの実施の形態は、次の工程を更に含む本発明の方法によって構成される。
c2)ケイ酸ナトリウムによる処理の後、シリカ層が更に成長し易いよう、オルトケイ酸テトラエトキシを用いて工程c)の延長を行う工程
【0055】
本発明の望ましい実施の形態は、本発明の方法の工程d)の表面の化学官能化を、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、または両者の混合物(これらは説明のためであって、本発明の範囲を制限するものではない)などのトリアルコキシシラン型試薬で行う、本発明の方法によって構成される。望ましくは、一般にどのようなトリアルコキシシラン型分子を導入しても、あるいはこの構造を持つ様々な分子を同時に導入して、所望の官能化を行うことができる。
【0056】
本発明の方法のもうひとつの具体的な実施の形態は、本発明の方法の工程e)の金属層を、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、または白金(Pt)、あるいはこれらの金属の一部または全てから成る合金、例えば、Au/AgまたはAu/Cuなどの金属(これらは説明のためであって、本発明の範囲を限定するものではない)から調製する方法によって構成される。
【0057】
本発明の方法の別の具体的な実施の形態において、工程e.i)の金属ナノ粒子は、テトラキス(ヒドロキシフェニル)ホスホニウム=クロリドを加えた塩基性水溶液に溶解したHAuClを還元して調製した金ナノ粒子である。
【0058】
本発明の方法の更に別の具体的な実施の形態では、工程e.ii)の化学吸着を起こすため、金属ナノ粒子が過剰となるよう、工程d)のナノ粒子を工程e)のものと混合する。
【0059】
本発明の方法の別の望ましい実施の形態では、本発明の方法の工程e.iii)に述べた金層の成長を、塩酸ヒドロキシルアミンを用いたAu3+の核生成種上での連続的段階還元によって行う。
【0060】
本発明の方法の別の具体的な実施の形態では、本発明の方法の工程e.iii)に述べた金層の成長を、ホルムアルデヒドを用いたAu3+の核生成種上での連続的段階還元によって行う。
【0061】
本発明の方法の別の更に望ましい実施の形態においては、本発明の方法の工程e.iii)の金属層の成長は、アンモニア存在下におけるホルムアルデヒドを用いたAgの核生成種上での連続的段階還元によって行われる、金/銀合金の生成から成る(実施例1.2参照)。
【0062】
本発明の別の具体的な目的は、本発明の方法の工程f)で固定化したバイオセンサ分子が、以下の群のいずれか1つである(これらは説明のためであって、本発明の範囲を制限するものではない)、本発明の方法によって構成される。
a)天然生体分子:一本鎖または二本鎖核酸類(DNAまたはRNA)、酵素類、抗体類、膜タンパク類、熱ショックタンパク類、シャペロニン類、その他のタンパク類、単糖類、多糖類、糖タンパク類、脂肪酸類、テルペン類、ステロイド類、脂質の性質を持つその他の分子、リポタンパク類、ホルモン類、ビタミン類、代謝産物、炭化水素類、抗生作用または抗ウィルス活性を持つ天然分子、またはタンパク類および/または核酸類から成る高分子凝集体、あるいは先に述べた分子の他の組み合わせ
b)in vitro選択法によって得られた天然生体分子:アプタマー類、リボザイム類、またはアプタザイム類
c)人工生体分子:PNA類、その他の天然核酸類似体、天然および人工核酸 chimers、認識型となり得るポリマー(“分子インプリントポリマー”またはMIP)、人工抗体類、組み換え抗体類、ミニ抗体類、または抗生作用または抗ウィルス活性を持つ合成分子
【0063】
先に述べたように、前記バイオセンサ分子は、分子の構造自体の中と、官能基の合成的付加の両方により、電子的密度を受容できる官能基、例えば、アミノ基、チオール基、ジスルフィド基、ジアルキルスルフィド類、エポキシ基、更に、白金中のアミン類およびアルコール類など(これらは説明のためであって、本発明の範囲を限定するものではない)を含んでいる。
【0064】
本発明の別の具体的な態様は、本発明の方法の工程f)で固定した生体分子がペプチド核酸(PNA)分子である、本発明の方法によって構成される。
【0065】
これらの固定化されたバイオセンサ分子の特性を考えるならば、制御されたハイブリダイゼーションと洗浄条件下において、バイオセンサ分子、例えばPNA分子を、それらの完全な相補DNAストランドとのみハイブリダイズさせることができる。この検出特異性は、単一突然変異または遺伝子多型(SNP)が異なっている2つの標的DNA分子を判別できるほど高くすることができる。故に、このような固定化生体分子は、適当な方法を用いて試料中のDNAストランドの存在を検出でき、これによって様々な産業部門、主に、ヒトおよび動物の生体臨床医学、食品、および環境制御にこれらを応用することができる。
【0066】
故に、本発明の第3の態様は、例えば、以下の態様の少なくとも1つである、本発明のナノ粒子バイオセンサの様々な用途における使用によって構成される。
i)ウィルス、細菌、真菌、または原虫型病原体の検出
ii)前記病因を薬剤耐性とし、またはワクチンより免れ易くする、前記病因中の突然変異または遺伝子多型(SNP)の特定
iii)疾病または罹患し易さに関わるヒトまたは動物遺伝子中の突然変異またはSNPの特定
iv)特定の腫瘍マーカーの検出
v)食品中の特定の微生物、病原体、または汚染物質の検出
vi)環境を汚染している微生物または毒素の検出
【0067】
更に、本発明のナノ粒子バイオセンサは、特定の生物要素(例えば、特定の配列を持つ核酸)に向けられた本発明のナノ粒子バイオセンサによってマイクロアレイの各点が構成されている、マイクロアレイまたは微量測定器(micrometric)の製造にも使用できる。これにより、多くの様々な種類のナノ粒子バイオセンサ上で起こる、異なるハイブリダイゼーションの一群を平行分析することが可能となる。つまり、本発明のもう一つの具体的な目的は、マイクロマトリックスまたはマイクロアレイ型表面に配置した一連の本発明のナノ粒子バイオセンサから成るバイオセンサデバイスによって構成される。
【0068】
本発明の第4の態様は、ある生体分子と、本発明のナノ粒子バイオセンサに固定した分子とのハイブリダイゼーション、結合、または相互作用を測定するための試験によって構成される。以後、本発明のハイブリダイゼーション測定試験は、次の工程を含むものとする。
i)本発明のナノ粒子バイオセンサを、固定有機生体分子に対して相補的配列を持つ、または持たない、候補となる生体試料を含む可能性のある試料と、そのハイブリダイゼーションに適した条件下で反応させる工程
ii)磁気沈殿によってナノ粒子バイオセンサを捕集する工程
iii)工程i)で起きた、または起きなかったハイブリダイゼーションを測定する工程
iv)候補生体分子を含む可能性のある試料中における生体分子の有無を推定し、適当ならば、この候補生体分子のナノ粒子バイオセンサとのハイブリダイゼーションの程度に従って生体分子の配列を推定する工程
v)必要に応じて、試料中の候補生体分子の濃度を定量する工程
【0069】
先に述べたように、本発明の具体的な実施の形態は、ハイブリダイゼーション測定試験の工程i)の固定化バイオセンサ分子としてその表面にPNAを含む、ナノ粒子バイオセンサであって、ハイブリダイゼーションの標的は、天然核酸(DNAまたはRNA)から成る候補生体分子である。このため、本発明のもう一つの具体的な態様は、ハイブリダイゼーション測定試験の工程i)のハイブリダイゼーションの有無の測定が、ナノ粒子バイオセンサに固定したPNA分子と、供試試料中に存在するDNA分子とのハイブリダイゼーションから成る、本発明のナノ粒子バイオセンサの使用によって構成される。
【0070】
本発明のもう一つの具体的な実施の形態は、ハイブリダイゼーション測定試験の工程i)の固定化バイオセンサ分子として、その表面に、天然抗体、人工抗体、組み換え抗体、またはミニ抗体を持つナノ粒子バイオセンサであって、ハイブリダイゼーションまたは結合の標的は、前記抗体によって特異的に認識される抗原である。この場合、抗原はその分子構造内に、抗体として作用するタンパクのものとは別の、分光学的または電気化学的手法で検出されるような官能基を含んでいなければならない。タンパク内には存在しないこのような抗原特異的官能基としては、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、複素環類、D−アミノ酸類、また、窒素、イオウ、リン、または配位結合を形成する金属類を含む官能基が挙げられる(これらは説明のためであって、本発明の範囲を限定するものではない)。
【0071】
本発明の別の具体的な実施の形態は、ハイブリダイゼーション測定試験の工程i)の固定化バイオセンサ分子として、アプタマー類、リボザイム類、アプタザイム類、またはその他の核酸をその表面に備えたナノ粒子バイオセンサであって、これらのバイオセンサ分子は、in vitro選択法によって、特定のリガンドに対する認識能を持ち(または強化し)、また特異的にこれと結合するよう選ばれたものである。この場合、その結合を検出できるリガンドは、その分子構造内に、バイオセンサ分子として作用する核酸のものとは異なる官能基、即ち、以下のもの(リボース、デオキシリボース、リン酸エステル、プリン、またはピリミジン窒素化塩基)以外の基を持っていなくてはならない。このようなリガンドに特異的な官能基としては、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、複素環類、D−アミノ酸類、および、窒素、イオウ、リン、または配位結合を形成する金属類を含む官能基が挙げられる(これらは説明のためであって、本発明の範囲を限定するものではない)。
【0072】
本発明の望ましい実施の形態は、分光学的検出法で行われるハイブリダイゼーションまたは結合測定試験の、工程iii)のハイブリダイゼーション検出法によって構成される。望ましくは、紫外線を用いて分光学的検出測定を行う。より望ましくは、赤外線を用いて分光学的測定を行う。
【0073】
本発明の別の望ましい態様において、ハイブリダイゼーションの検出はラマン分光法を用いて行う。
【0074】
ラマンおよび赤外(IR)法は、化学結合に起こる異なる現象を検出する技術であるが、電磁放射スペクトルとして分子の振動エネルギーに相当する同じ領域を測定している。その違いは、IRは、一方の振動または他方に従って励起される結合の極性変化の信号を用いるもので、ラマン法は、結合の受ける分極率の変化を用いる点である。分光学的測定により一連の吸収帯(IRの場合)または散乱帯(ラマン法の場合)が得られ、この中から、ナノ粒子に固定したバイオセンサ分子と、その存在を検出すべき候補生体分子との非共通部分の振動数を探し出す。ナノ粒子に固定したPNAを使用するDNAまたはRNAの検出の場合、これらの帯域は、その上に核塩基が配置されている骨格に相当し、これは既に述べたように、PNAの場合にはペプチドの性質を持つストランドであって、天然核酸(DNAおよびRNA)では、糖リン酸型のもの(リン酸ジエステル結合で繋がった、それぞれ、2−デオキシリボースまたはリボース)である。
【0075】
このように、本発明のある具体的な実施の形態は、ナノ粒子にハイブリダイズした核酸の赤外領域における分光学的検出法によって構成される。この検出は、以下のような方法で行われる(これらは説明のためであって、本発明の範囲を限定するものではない)。
a)赤外線装置を用い、透過によってナノ粒子の吸収を測定する方法
b)赤外線装置を用い、減衰全反射(ATR)によってナノ粒子の吸収を測定する方法
c)赤外線装置を用い、斜角モードでナノ粒子の吸収を測定する方法
【0076】
本発明のある具体的な実施の形態において、先のa)で使用される赤外線装置は実験室内に置かれた卓上装置であり、スペクトルの分解のためフーリエ変換(FT)法で積分し、フッ化バリウム、フッ化カルシウム透過窓、または赤外線に対して透明なその他の種類の窓、例えば、臭化カリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、または臭化ナトリウムなど(これらに限定するものではない)を使用している。前記方法の別の具体的な実施の形態では、赤外線に対して透明な窓に流れ構造を採用して、次の試料を連続的に分析することができる。
【0077】
本発明の望ましい実施の形態では、先のa)で用いられる赤外線装置は、現場試料を分析するための携帯用機器であって、フーリエ変換装置としても使える、あるいは逆に、分散型連続照射装置と、対象の振動数に限定された検出器とを備えたものである。
【0078】
本発明の更に望ましい実施の形態において、先のb)において、減衰全反射(ATR)モードで使用される赤外線装置では、セル中に置かれた磁性ナノ粒子を保つ外部磁界をかける、またはかけない、流れ構造を採用することができる。本発明の更に望ましい実施の形態では、先のb)において、流れ構造中、減衰全反射(ATR)モードで使用される赤外線装置では、外部磁界をかけたサーモスタットセルを用いることができる。これにより温度勾配を利用して、ナノ粒子に固定したPNAプローブと標的核酸(DNAまたはRNA)とのハイブリダイゼーションの安定性に対する前記温度の影響を調べることができる。
【0079】
本発明の別の具体的な実施の形態では、b)で用いられる赤外線装置は、セレン化亜鉛窓を備え、この窓は、ATR法に適した別の結晶(例えば、ゲルマニウムなど)で置き換えることができる。もう一つの具体的な実施の形態では、ATR法に適した結晶を薄い金または銀の被膜で覆っても良い。
【0080】
前記方法の別の具体的な実施の形態では、PNAプローブを含むナノ粒子バイオセンサを表面の個々の区画に規則的に配置し、ハイブリダイゼーション工程の後、これらを赤外顕微鏡法を用いて個々に分析することができ、またはマイクロアレイ配列として分析できる。
【0081】
更に、ナノ粒子に備えられた外側金属層はもう一つの性質をもたらし、その表面に沿って電気を伝えることができる。これによりナノ電極としての特性が得られ、重力または外部磁界の作用によって磁性粒子が捉えられている電極へ溶液中の電気信号を伝えることが可能となる。チオール化PNA単分子層で官能化した金円板電極を用いた、この実施例の実用的な例を図5に示す。本特許に示す磁性ナノ粒子バイオセンサを用いても、同様な結果が得られた。
【0082】
前記方法のある具体的な実施の形態では、本発明のハイブリダイゼーション測定試験の工程i)において、固定化PNAプローブを含むナノ粒子を、前記PNAに対して相補的な配列を持つ核酸分子を含むと考えられる溶液と反応させることができる。本発明のハイブリダイゼーション測定試験の工程ii)では、ハイブリダイズした核酸を含むナノ粒子を回収し、酸化還元化合物、即ち、その酸化状態とその還元状態とで異なる性質を持つ化合物を含む溶液中で培養する。この酸化還元化合物は、その酸化状態では概して正電荷を持つが、その還元状態では電荷を持たない。これらの化合物を、以後、酸化還元メディエイターと呼び、このような化合物としては、チオニン化合物、メチレンブルー化合物、ビピリジル−オスミウム化合物、またはベンジルビオロゲン(viologen)化合物など(これらは説明のためであって、本発明の範囲を限定するものではない)が挙げられる。
【0083】
本発明を支持する独創的な実験的事実の一つは、前記酸化還元メディエイターが相補PNAストランドとハイブリダイズしたDNAストランドに静電気的に吸着することである。しかし、実験的に観察されているように、電気化学的に還元した後、前記酸化還元メディエイターはその電荷を失ってDNAに対する静電気的親和力を失い、このため媒体中に拡散して電気化学的に検出することができる。この現象は、PNA/DNAヘテロ二本鎖が密集型(mass)電極上に形成されている場合に起き、また、集電極上に堆積され、または外部磁界によってその上に引き付けられてナノ電極アレイとして働く、導電性ナノ電極上に形成されている場合にも起こる。媒体へ拡散した酸化還元メディエイターの分子は適当な酵素、例えば、ペルオキシダーゼ酵素(説明のためであって、本発明の範囲を制限するものではない)の触媒作用によって還元可能であり、これにより増幅効果が得られることが実験的に確認されている(実施例3参照)。
【0084】
このように、本発明の一つの具体的な実施の形態は、動的技術として知られる電気分析法による、iii)のハイブリダイゼーションの測定法によって構成される。
【0085】
本発明のある具体的な実施の形態において、動的技術は、サイクリックおよび/またはリニアボルタンメトリーおよびクロノアンペロメトリーなどの(これらは説明のためであって、本発明の範囲を制限するものではない)制御された電位を備えた電気化学的技術の部類に属する。当業者に受け入れられているように、掃引およびパルスモードと、静止および回転電極モードは、これらの技術において可変である。
【0086】
本発明のある具体的な実施の形態において、動的技術は、小振幅または大振幅の、制御された電流を備えた電気化学的技術の部類に属する。特に、クロノポテンシオメトリーとクーロメトリーが含まれる(これらは説明のためであって、本発明の範囲を制限するものではない)。
【0087】
本発明のある具体的な実施の形態において、ボルタンメトリー法は、ストリッピングおよびその変形(線形掃引、示差パルス、方形波示差線形掃引ストリッピング)の部類に属する。
【0088】
本発明の望ましい実施の形態では、金属ナノ粒子の代わりに、PNAプローブの支持体としての金属電極を用いて、電気分析法の変形を行うことができる。これらの電極は、円板、ワイヤ、環、球、または回転楕円体の形(これらは説明のためであって、本発明の範囲を制限するものではない)とすることができる。
【0089】
以下の実施例では、本発明のある特定の実施の形態をより詳細に示す。
【実施例】
【0090】
<実施例1>
[本発明の金属化磁性ナノ粒子バイオセンサの合成]
(実施例1.1)
[金ナノ粒子バイオセンサ]
この実施の形態の第1の目的は、大きさの均一なコバルトフェライト(CoFe)ナノ粒子に、アミノ基で官能化した薄いシリカ層を被覆し、最後に金層を被覆して加えたもの(図1に示すように)の上に、バイオセンサ分子の例としてチオール化PNA分子を化学吸着させて生成する、磁性懸濁液の調製である。シリカの被覆は、個々の磁性ナノ粒子上で起こり、またいくつかの磁性コアが同時に被覆されたものを得ることもできる。こうして調製したナノ粒子は求められた性質に従うものであり、懸濁液中では長時間安定であるが磁界が存在すると沈殿する。更にナノ粒子は、この磁界を取り除いて静かにかき混ぜると分散するものでなければならない。
【0091】
ある具体的な実施例では、17±3nmの大きさと、適当な磁気的性質(M=73emu/g)を持つよう合成した逆スピネル構造を持つコバルトフェライトを用いる。このようなナノ粒子は、ワグナー法(Wagner et al., 2002)により、沸騰アルカリ溶液中でFe3+とCo2+とを共沈させて合成する。こうして得られたナノ粒子は約8.5に等電点を持つため、pH7〜10の水溶液中では非常に不安定となる。以下の工程は、この鉄流体をシリカ層で被覆し、これによりナノ粒子の等電点を3に下げて中性pHの溶液中で安定とするものである。ナノ粒子の表面で作用するよう、シリカ層にも後に官能基を加えることができる。
【0092】
ナノ粒子を次のようにシリカで被覆する。予め合成したコバルトフェライト鉄流体30mlを取り、水で150mlに希釈する。500μlのテトラメチルアンモニウム(TMA)ヒドロキシドを後に加えるとpHは11.5〜12に上昇する。これを反応フラスコに移す。次に、0.50%のケイ酸ナトリウム溶液100mlを調製し、予め合成したDowex WX8樹脂を加え、pHを10.5に下げた後、濾紙でイオン交換樹脂を濾別する。
【0093】
鉄流体を加えたフラスコを還流装置で加熱沸騰させ、100mlのケイ酸ナトリウムを2時間に亘って加える。初めの1.5時間は滴下し、その後は蠕動ポンプを用いる。容積を一定に保たなければならないため、必要ならば蒸気の一部を次第に放出する。反応を終えたら室温まで放冷する。反応生成物をセロファンチューブに入れ、TMAを2滴加えてpH10とした水と相対させて4日間透析する。透析水は毎日交換する。
【0094】
既にシリカを被覆した磁性ナノ粒子の表面にアミノ基を導入するため、Stober法(Wang et al., 1996)に基づく反応を用いて、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)のシラン基と、先の工程で鉄流体の上に堆積させたシリカ層との間でシロキサン基を縮合させる。このため、1%のアンモニアと、1.5%の鉄流体と、1ミリモル(mM)濃度のAPTESとを加えた適当量の無水エタノールを反応フラスコに入れ、ガラス棒を用いて400回転/分(rpm)で翌日まで穏やかに撹拌する。次に、磁気を用いて粒子を沈殿させ、エタノールで洗い、2回洗った後、元の量の鉄流体と同じ体積に再分散させる。これには、短時間(15〜20秒間)超音波浴に入れる必要がある。
【0095】
官能化した鉄流体を水相に移すため、ナノ粒子を磁気的に沈殿させてエタノールを傾しゃし、等量の20mMのHEPES水溶液(pH12)で置換する。次にこれを良く分散させるために必要な時間、超音波浴に入れる。この方法を3回行って全てのエタノールを除く。
【0096】
平行して、D. Duff および A. Baiker(Duff and Baiker, 1993)の示した、金 (III)塩を還元する方法に従って金ナノ粒子を合成する。この場合、60mMのNaOHと、1mMの還元剤、[テトラキス(ヒドロキシフェニル)ホスホニウム=クロリド(THPC)]と、1mMのHAuClの最終濃度の塩基性溶液を調製する。水媒体にこれらの化合物をこの順で、調製される最終量に合ったカラム中、600rpmで撹拌しながら加える。金塩を加えると数秒でコロイドが生成し、その後これをポアサイズ450nmのワットマン(Whatman)硝酸セルロースフィルタで濾過し、保存する。
【0097】
アミノおよび/またはチオール基の金に対する公知の親和性、化学吸着の発生を利用して、金ナノ粒子を、このような官能基への自己組織化により、これらの基で官能化したコバルトフェライト鉄流体の表面に固定する。具体的には、金ナノ粒子が官能化した磁性ナノ粒子の近くにあると、前者による後者の表面修飾が起き、それぞれの磁性ナノ粒子がいくつもの金ナノ粒子で覆われる。これらの金ナノ粒子は表面で金属が還元するための種であり、金または銀層がナノ粒子上に成長し易くなる。これは、ナノ粒子を被覆する金属イオンと、金属表面を成長させるが二次核生成は起こさない穏やかな還元剤とが存在する場にこれを置いた場合に起こる。
【0098】
2つの分散液、官能化コバルトフェライト鉄流体と、金ナノ粒子とが塩基性pHであるならば、後の自己組織化の際のフロック発生の問題がなく、2つのコロイドを混合することができる。まず等量の両方の液体を加え、次にボルテックス中でホモジナイズしてこの混合物を2時間反応させる。次に、ナノ粒子を磁気によって沈殿させ、上澄み液中に金ナノ粒子があるかどうかを分光測光法で確認する。検出されなければ、沈殿物を再分散させ、更に金ナノ粒子を加える。この工程を、磁性ナノ粒子表面が金ナノ粒子で飽和するまで繰り返す。飽和すると、過剰の金が上澄み液中に検出される。次に、この粒子を磁気沈殿させた後、20mM HEPES媒体(pH11)に再分散させ、これを3回行って洗浄して過剰の金ナノ粒子を除く。
【0099】
既に金ナノ粒子で修飾した先のナノ粒子の上に、ヒドロキシルアミン(NHOH)などの、新たに金粒子を核生成するのではなく成長を助ける穏やかな還元剤を用いたHAuClの還元により、金層を成長させる。それぞれの還元において、金ナノ粒子で修飾された磁性ナノ粒子は核生成中心として働く。この還元工程を何度も繰り返すことで、連続した金層が磁性ナノ粒子上に形成される。更に、加えられる金の量と還元工程の数により、様々な粒径とすることができる。これは表面プラズモン共鳴吸収帯に現れ、加えた金の量に応じてシフトする。
【0100】
本実施例で製造されるナノ粒子バイオセンサの最終的な大きさは、透過型電子顕微鏡で確認されるように、直径50〜80nmである(図2参照)。ナノ粒子のコアを成す磁性粒子は18±3nmであり、シリカ層の厚さは1〜15nmである。
【0101】
(実施例1.2)
[金/銀合金ナノ粒子バイオセンサの合成]
Au/Ag合金で被覆されたナノ粒子を得る方法は、実施例1.1に示した方法で得られた、金ナノ粒子で修飾した磁性ナノ粒子の上で銀イオンを還元するものである。このため、500μlの、金粒子で修飾した鉄流体と、400μlの0.5M グリシンと、600μlの水(Milli-Q純度)と、20μlの12mM AgNOと、100μlの10mM アスコルビン酸とを加えた。この溶液を、室温、暗所中に6時間置いた。ナノ粒子を、磁気的に沈殿させ、それぞれ500μlの水に再懸濁させる工程を3回繰り返して洗浄した(Huang et al., 2004)。PNA分子の固定化は、実施例1.4に詳細に述べる方法で行う。
【0102】
(実施例1.3)
[金、銀、および金ナノ粒子バイオセンサの合成]
実施例1.1に述べた方法で合成したコバルトフェライト鉄流体2mlを取り、50〜80%が3−APTES、残りが3−MPTMSである、様々な割合の2つのシラン類の混合物と反応させる。これらの試薬の添加量は50μlまでとする。これは全て、フラスコ中、ガラス棒で穏やかに撹拌しながら(100rpm)行う。まず288mlの無水エタノールと10mlの25% NHとを加え、次に鉄流体を注ぎ込み、最後にシラン類を加える。これを翌日まで室温で反応させる。続いてこれを洗浄し、20mlのエタノールに2回、更に水に3回再懸濁させて、最終的な容量を10mlとする(このようにナノ粒子の濃度は5倍に希釈され、約3mg/mlとなる)。
【0103】
更に、実施例1.1に述べた方法に従って金ナノ粒子を合成する。
【0104】
官能化した磁性ナノ粒子に金ナノ粒子を加え、金が鉄流体に固定するよう、懸濁液を酸性化して1時間以上置く。次にこれを洗い、5mlの水に再懸濁させてから、1N NaOHを用いてpHを11に上げる。この時点で、磁石で引き付けた際に、溶液中に金が残っていてはならない。
【0105】
次にこれを、N. Halasの述べたホルムアルデヒド法(Hallas et al.,2005)に従って銀で被覆する。完全な被覆ができるよう、この工程を必要な回数行う。この方法は、0.15mM濃度のAgNOを加えた水9mlを取り、金で修飾した磁性ナノ粒子500μlを加えるものである。次に、50μlの37% ホルムアルデヒドを加え、ボルテックスで素早くかき混ぜ、すぐに50μlの25% NHを注ぐ。再びかき混ぜ、2分後に磁気を用いてこれを沈殿させる。上澄み液のプラズモンを測定した後、2回洗浄し、ナノ粒子のプラズモンを測定する。全ての被覆工程において、銀のプラズモンが全可視範囲に広がり、この時点で銀層が実質的に閉じたと見なされるまで、これらの測定を行う。
【0106】
続いて、この銀層に更に、実施例1.1に述べた方法で、3mg/mlに代えて0.3mg/mlと希釈を大きくし、再懸濁させて金を被覆する。最終的に得られたナノ粒子は溶液中での安定性がより高くなり、凝集しない。3回の金被覆工程は以下の条件で行う。5mlの0.3mg/mlのナノ粒子と、50μlの25mM HAuClと、80μlの100mM NHOH・HClとをボルテックス中で撹拌する。これを2回洗い、被覆の進行を表面プラズモン共鳴帯の変化で追跡する。被覆の進行を示す、520nmの帯域の増大と、極大の長波長側へのシフトを観察する。この場合のように、より希釈してナノ粒子を10回被覆すると、その安定性はより高くなる。
【0107】
(実施例1.4)
[外側に金または銀層を備えたナノ粒子バイオセンサへのPNAの固定]
実施例1.1〜実施例1.3に述べた工程の後、こうして作られた金被覆磁性ナノ粒子にバイオセンサ分子を固定する。特にこの実施例では、PNA型の有機分子を用いることで、本発明のナノ粒子バイオセンサに、PNAの配列に対して相補的な配列を持つ天然核酸(DNAまたはRNA)とハイブリダイズできる機能を与える。ナノ粒子の外側金層は支持体としての性質を備え、チオール化した化合物がそれに化学吸着することができる。このため、ナノ粒子上に固定されるPNAは一方の端にシステイン(Cys)に由来するチオール基を持つものであり、これにより、先に本発明者が金結晶を用いて示したように(Briones et al., 2004; 2005)、これらは配向したPNAストランド単分子層を形成すると考えられる。
【0108】
この実施例のある特定の実施の形態では、いずれもそのアミノ端にシステインを持つ、異なる2つの一本鎖PNA分子が用いられている。PNA分子は、Cysの後ろに、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸分子に相当する2つの“O”型スペーサー基を持ち、これらが共に長さ3nmのスペーサーとなることで、ナノ粒子上に固定した分子の端と、核酸と結合可能なセンサ部とを離しておくことができる。使用される第1のPNA分子は“P−G”と呼ばれ、11ヌクレオチド塩基の長さを持ち、その配列(アミノ端からカルボキシル端に向かって記述)は、Cys−O−O−配列番号1である。この配列は、口蹄病ウィルス(FMDV)カプシドのVP1タンパクの最も抗原性の領域(いわゆる“RGDループ”)に相当するため、動物ウィルス学におけるその関連性から選ばれた(Martinez et al., 1997)。
【0109】
第2のPNA配列は“P−M”と呼ばれ、その配列(9ヌクレオチド塩基の長さ)は、Cys−O−O−配列番号2である。この配列は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)のポル(pol)遺伝子の逆転写酵素(RT)領域のコドン41に対して相補的な配列を含むため、その生物衛生的関連性から選ばれた。この位置には、ジドブジン(AZT)と呼ばれる抗ウィルス薬のHIV抵抗性に関わるM41L突然変異が頻出することが報告されている(Yeni et al., 2002)。
【0110】
PNAをナノ粒子に固定するため、先に調製した金を被覆した鉄流体76μlを取り、水(Milli-Q純度)に10μMの濃度に希釈したPNA分子溶液4μlを、20〜25℃の温度で3時間15分かけて加える。次に、ナノ粒子を磁気を用いて沈殿させ、上澄み液を水に代える。ナノ粒子を再び懸濁させ、この工程を更に2回繰り返してナノ粒子の金被覆と反応しなかったPNAを全て除く。PNAで既に修飾されているナノ粒子を磁界の作用下で濃縮し、PNA分子の吸着を透過型赤外分光法で確認する(図3の点線)。実施例2に示すように、ナノ粒子上のPNAのこのスペクトルは、後に、試料のDNAに対するナノ粒子のハイブリダイゼーション実験において“ブランク”とすることができる。
【0111】
<実施例2>
[金とPNAとを被覆したナノ粒子バイオセンサと、PNAの配列に対して相補的な配列を持つDNA分子とのハイブリダイゼーション。DNAとPNAとのハイブリダイゼーションによる赤外吸収帯強度の増大による測定]
先に示したように、PNAと天然核酸との最も重要な構造の違いは、前者はペプチドの性質を備えた骨格を持ち、それに対し、DNAとRNAの骨格は連続したデオキシリボース (DNA)またはリボース(RNA)とリン酸基とを備えている点である(Nielsen et al., 1991; Egholm et al., 1992)。このためPNAにはリン酸基とグルコシド環がなく、これは、DNAまたはRNAのハイブリダイズを検出するバイオセンサの設計において特に有用となる。この実施例では、PNA/DNAハイブリダイゼーションによって赤外領域に生じる最も顕著な変化は、DNAのリン酸基による(リン酸基はP=O結合の反対称伸張(antisymmetrical tension)(1260〜1200cm−1範囲の広い帯)と対称伸張(1100cm−1付近)とを持つため)という事実がまさに用いられている。DNA/RNAストランドのデオキシリボースまたはリボース部分に起因すると考えられるその他のスペクトル上の現象は1065cm−1に検出される。これらの吸収帯は、PNAおよびDNAヌクレオチド塩基もPNAペプチド類似骨格も吸収を持たないスペクトル域に見られる。更に、窒素化塩基の対合により、1580cm−1付近の信号が大きくなる(図3および図4参照)。
【0112】
この実施例では、金で被覆し、実施例1.4に示す配列を持つ“P−G”または“P−M”PNA分子で官能化した磁性ナノ粒子を用い、前記PNAに対して相補的な中心領域を持つ一本鎖DNA分子が設計された。FMDVの野生型と突然変異体の配列(その中心位置でのG→A“転位”型突然変異により異なっている、それぞれ“DNA−G”5’−配列番号3−3’、および“DNA−E”5’−配列番号4−3’)および、HIVの野生型と突然変異体の配列(その中心位置でのA→T“塩基転換(transversion)”型突然変異により異なっている、それぞれ“DNA−M”5’−配列番号5−3’、および“DNA−L”5’−配列番号6−3’)に対応する、31ヌクレオチド(nt)の長さを持つ4つの標的DNA分子が設計され、合成された。このようにして、試料中の相補DNAまたはRNAの存在を検出するだけでなく、点突然変異を持つDNAまたはRNA配列間も識別する、特定の種類のPNAで官能化されたナノ粒子の各ファミリーの能力を調べる。このようにして、病原性ウィルスの特徴的なDNA/RNA配列を検出するため、またこの配列が、免疫系をすり抜け、ワクチンから逃れ、または抗ウィルス薬に耐性を持つ可能性のあるウィルス群の存在を知らせるかどうかを調べるため、このバイオセンサ装置を動物およびヒトの生物衛生分野に応用する。いずれの場合も、PNA/DNA相補性配列は無視できる(例えば、PNA“P−G”と、DNA“DNA−M”および“DNA−L”)ため、他のファミリーのDNA配列は、非ハイブリダイゼーション対照、すなわち、起きてはならないハイブリダイゼーション(または、起こる場合には、完全に洗い流されなければならない)として用いられる。
【0113】
更に、20ntの長さを持つ2つの一本鎖DNA分子が設計合成されており、これらも、いずれかの向き:“DNA−GM”:5’−配列番号7−3’(“P−G”に対して平行、“P−M”に対して逆行性のハイブリダイゼーション)、および“DNA−MG”:5’−配列番号8−3’(“P−G”に対して逆行性、“P−M”に対して平行のハイブリダイゼーション)で用いられる、2つのPNAに対して相補性である。このため、これら2つのDNA分子はそれぞれ、異なるナノ粒子それぞれに被覆されている2つのPNAとハイブリダイズすることができる。
【0114】
全ての場合において、PNAを被覆したナノ粒子とDNAとのハイブリダイゼーションは、41〜58℃の温度、DNA濃度100μMで1時間行い、次に37〜50℃の温度で、15分サイクルの洗浄を2回行う。ハイブリダイゼーション溶液(HS)および洗浄溶液(WS)には2種類あり、i)7mM NaCl+0.7mM クエン酸Naから成るHS(pH7.2)と、45mM NaCl+4.5mM クエン酸Naから成るWS(pH7.0)、ii)HSおよびWSが、60mM NaCl+6mM クエン酸Na+0.72% ラウリルサルコシンから成るものであった。いずれの場合も、分析前に(Milli Q)水中で最終洗浄を行って塩残留物を除いた。
【0115】
生成した結果の例として、金である金属被覆を備え、“P−G”型PNAを被覆したナノ粒子バイオセンサを“DNA−MG”とハイブリダイズし、洗浄した後に得られた赤外スペクトルを図3の実線で示す。この中では、PNAと完全に相補的なDNAとのハイブリダイズ後、特に、ハイブリダイゼーションが起きたことを明示する信号として、1220と1060cm−1の振動数にDNAリン酸基に相当するピークが出現することが明らかである。
【0116】
金/銀/金の連続した層から成る金被覆を備えたナノ粒子バイオセンサで得られた結果の例として、図4の上側に、“P−G”型PNAを被覆したこれらのナノ粒子バイオセンサを、相補的配列を持つ“DNA−MG”とハイブリダイゼーションした後に得られた赤外スペクトルを示す。比較用の、下側のスペクトルは、先のものと同じナノ粒子(“P−G”型PNAで被覆)であるが、PNAに対して相補的な配列を持つDNAプローブ(“DNA−L”)とハイブリダイズしたものであり、これは特異的にハイブリダイズされないため、洗浄サイクルの際に除去される。図の上側のスペクトルは、銀層の影響によって図3での位置より僅かにシフトした、DNAリン酸基に相当する1225と1036cm−1にピークを示している。更に、図3で観測されたものと同様に、PNAと相補DNAとのハイブリダイゼーションを示すその他のスペクトル上の特徴は、PNAの窒素化塩基とDNAのそれとの特異的な対合に相当する、1590cm−1の吸収帯である。
【0117】
<実施例3>
[金およびPNAを被覆したナノ粒子バイオセンサと、PNAに対して相補的な配列を持つDNA分子とのハイブリダイゼーション。DNAストランドのリン酸部分とのイオン性相互作用によって結合したチオニンのサイクリックボルタモグラム]
実施例1で詳細に述べた方法で調製したナノ粒子バイオセンサを使用し、異なるハイブリダイゼーション検出技術を用いて、実施例2に示した方法を行った。実施例1.4に示したPNA分子で修飾した平面金電極を用い、様々な濃度の相補DNAと培養して、サイクリックボルタモグラムを得た。この場合、ハイブリダイゼーションおよび洗浄を行った後、ハイブリダイズしたナノ粒子をチオニン溶液と培養し、ペルオキシダーゼおよびHの存在下でサイクリックボルタンメトリーにかける。
【0118】
図5に、“P−M”PNAで官能化したナノ粒子を用い、“DNA−M”の濃度範囲を10−14〜10−6Mとして得られた電流を示す。その後の感度の上昇は、反応物の容量を小さくすることで得られ、これにより、10−16M(即ち、0.1フェムトモル)のDNA検出感度が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】ナノ粒子バイオセンサの様々な層を示す図解図である。
【図2】金/シリカ/コバルトフェライトナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す図である(12万倍の画像、白線は50nmを示す)。
【図3】外側に金層を備え、その表面に公知の配列を持つチオール化PNA層(“P−G”、実施例1参照)を化学吸着させた磁性ナノ粒子と、同調製物を、相補DNA分子(“DNA−G”、実施例2参照)の存在下で培養し、洗浄して可能性のある非特異的ハイブリダイゼーション除いた後の、赤外領域における透過スペクトルを示す図である。
【図4】外側に金−銀−金層を備え、その表面に既知の配列“P−G”(実施例1参照)を持つチオール化PNA層を化学吸着させた、磁性ナノ粒子の赤外領域における透過スペクトルを示す図である。上のスペクトルにおいて、洗浄サイクルに耐え、ハイブリダイズした状態を保っている相補DNA“DNA−MG”と培養したこれらのナノ粒子は、IRにその特徴的な吸収帯を示す。下のスペクトルにおいて、PNAとハイブリダイズしないため洗浄サイクルで完全に除かれる非特異的DNA“DNA−L”と培養したナノ粒子では、工程の最後に測定したIR帯域はPNAに特有のものだけである(実施例2参照)。
【図5】チオール化PNA単層を被覆し、相補DNA溶液(図中に示した濃度で)中で培養して洗浄後、10−6M チオニンと、10−3M Hと、0.1mg/mlのペルオキシダーゼ酵素中で培養した、金電極(直径3mmの円板)のサイクリックボルタンメトリーを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.磁性ナノ粒子と、
b.シリカ層と、
c.1つ以上の外側金属層と、
d.合成または天然の有機または無機バイオセンサ分子の層と、
を含み、
前記外側金属層は、異なる種類のものを交互に堆積して、その外側に固定したものであっても良く、
前記バイオセンサ分子は生体分子と結合可能である、
ことを特徴とするナノ粒子バイオセンサ。
【請求項2】
a.前記磁性コアの直径は、最小4nm、最大30nmであり、
b.前記シリカ層の厚さは、最小1nm、最大20nmの範囲であり、
c.前記金属層の厚さは、最小1nm、最大200nmの範囲である、
ことを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子バイオセンサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のナノ粒子バイオセンサであって、
前記磁性コアは、
a.酸化鉄
b.酸化コバルト鉄
c.非酸化物磁性材料
のいずれか、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とするナノ粒子バイオセンサ。
【請求項4】
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のナノ粒子バイオセンサであって、
前記外側金属層は、金、銀、銅、白金、あるいはこれらの金属の一部または全てから成る合金のいずれかを含むことを特徴とするナノ粒子バイオセンサ。
【請求項5】
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のナノ粒子バイオセンサであって、
前記バイオセンサ分子は、
a.天然生体分子
b.in vitro選択法によって得られた天然生体分子
c.人工生体分子
より選ばれる1つ以上の分子を含むことを特徴とするナノ粒子バイオセンサ。
【請求項6】
請求項5に記載のナノ粒子バイオセンサであって、
in vitro選択法によって得られた前記天然生体分子は、アプタマー類、リボザイム類、またはアプタザイム類であることを特徴とするナノ粒子バイオセンサ。
【請求項7】
請求項5に記載のナノ粒子バイオセンサであって、
前記人工生体分子はペプチド核酸(PNA)であることを特徴とするナノ粒子バイオセンサ。
【請求項8】
請求項5に記載のナノ粒子バイオセンサであって、
前記人工生体分子は、人工抗体類、組み換え抗体類、またはミニ抗体類(mini-antibodies)であることを特徴とするナノ粒子バイオセンサ。
【請求項9】
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のナノ粒子バイオセンサであって、
a.前記磁性ナノ粒子はコバルトフェライトであり、
b.前記シリカ層は、アミノ基またはチオール基で官能化されており、
c.前記金属層は金または銀層であり、またこれに続く別の金層であり、
d.前記固定化生体分子は、その末端の一方が修飾されたPNAであって、前記修飾は、前記末端へのチオール基の挿入から成る、
ことを特徴とするナノ粒子バイオセンサ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項のナノ粒子バイオセンサの製造方法であって、
前記製造方法は、
a.4〜30nmの大きさの磁性粒子のコロイドを調製する工程と、
b.前記コロイドの調整を行って、塩基性pH(pH7以上)において安定とする工程と、
c.塩基性媒体中において、前記コロイド状ナノ粒子を厚さ1〜20nmのシリカ層で被覆する工程と、
d.官能基を導入するため、工程c)で得られたナノ粒子の表面を化学的に官能化する工程と、
e.工程d)で官能化した磁性ナノ粒子に金属層を被覆する工程と、
f.工程e)で得られたナノ粒子の表面にバイオセンサ分子を固定する工程と、
を含むことを特徴とするナノ粒子バイオセンサの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のナノ粒子バイオセンサの製造方法であって、
工程d)で官能化した磁性ナノ粒子を金属層で被覆する工程は、
a.水に安定な直径3〜20nmの金属ナノ粒子を合成する工程と、
b.工程d)で得られたナノ粒子に前記金属ナノ粒子を化学吸着させる工程と、
c.工程b)で得られた生成物の上に金属層を成長させ、厚さを1〜200nmに制御した層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするナノ粒子バイオセンサの製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載のナノ粒子バイオセンサの製造方法であって、
オルトケイ酸テトラエトキシを用いてシリカ層を更に成長させるよう、請求項10の工程c)の延長を行うことを特徴とするナノ粒子バイオセンサの製造方法。
【請求項13】
各点がナノ粒子バイオセンサによって形成されている、マイクロアレイまたはマイクロマトリックスの製造における、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のナノ粒子バイオセンサの使用。
【請求項14】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のナノ粒子バイオセンサの、
a.ウィルス、細菌、真菌、または原虫型病原体の検出
b.前記病因を薬剤耐性とし、またはワクチンより免れ易くする、前記病因中の突然変異または遺伝子多型(SNP)の特定
c.疾病または罹患し易さに関わる、ヒトまたは動物遺伝子中の突然変異またはSNPの特定
d.特定の腫瘍マーカーの検出
e.食品中の特定の微生物、病原体、または汚染物質の検出
f.食品中の遺伝子組み換えまたは遺伝子操作生物(GMO)の存在の検出
g.環境を汚染している微生物または毒素の検出
の少なくとも1つの用途における使用。
【請求項15】
請求項1から請求項9のいずれか1項のナノ粒子バイオセンサに固定した有機生体分子に対する、生体分子のハイブリダイゼーションまたは結合の測定方法であって、
前記測定方法は、
a.本発明のナノ粒子バイオセンサを、候補となる生体分子を含む可能性のある試料と反応させる工程と、
b.磁気沈殿によって前記ナノ粒子バイオセンサを捕集する工程と、
c.工程a)で起きたハイブリダイゼーションを測定する工程と、
d.前記候補生体分子を含む可能性のある前記試料中における前記候補生体分子の存在を推定する工程と、
e.必要に応じて、前記試料中の前記候補生体分子の濃度を定量する工程と、
を含むことを特徴とするハイブリダイゼーションの測定方法。
【請求項16】
請求項15に記載のハイブリダイゼーションの測定方法であって、
前記測定方法は分光学的検出によって行われることを特徴とするハイブリダイゼーションの測定方法。
【請求項17】
請求項16に記載のハイブリダイゼーションの測定方法であって、
使用される分光学的検出法は紫外線によることを特徴とするハイブリダイゼーションの測定方法。
【請求項18】
請求項16に記載のハイブリダイゼーションの測定方法であって、
使用される分光学的検出法は可視光によることを特徴とするハイブリダイゼーションの測定方法。
【請求項19】
請求項16に記載のハイブリダイゼーションの測定方法であって、
使用される分光学的検出法は赤外線によることを特徴とするハイブリダイゼーションの測定方法。
【請求項20】
請求項16に記載のハイブリダイゼーションの測定方法であって、
使用される分光学的検出法はラマン分光法によることを特徴とするハイブリダイゼーションの測定方法。
【請求項21】
請求項19に記載のハイブリダイゼーションの測定方法であって、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のナノ粒子にハイブリダイズまたは結合させた生体分子の分光学的検出は、赤外線装置を使用し、透過または減衰全反射により、あるいは斜角モード(grazing angle mode)において前記ナノ粒子の吸収を測定することによって行うことを特徴とするハイブリダイゼーションの測定方法。
【請求項22】
請求項21に記載のハイブリダイゼーションの測定方法であって、
透過による前記ナノ粒子の吸収の測定では、スペクトルの分解のためフーリエ変換法で積分を行い、フッ化バリウムまたはフッ化カルシウム透過窓、あるいは赤外線に対して透明なその他の種類の窓を使用することを特徴とするハイブリダイゼーションの測定方法。
【請求項23】
請求項22に記載のハイブリダイゼーションの測定方法であって、
赤外線に対して透明な窓は流れ構造を採用できることを特徴とするハイブリダイゼーションの測定方法。
【請求項24】
電気化学プローブの検出方法であって、
前記検出方法は、リニア、サイクリック、またはパルス型電気化学的手法によって行われ、
前記プローブは、請求項1から請求項9のいずれか1項のナノ粒子バイオセンサに固定した中性PNAストランドとハイブリダイズしたDNAまたはRNAストランドによって運ばれる陰電荷に静電気的に引きつけられることを特徴とする検出方法。
【請求項25】
請求項24に記載の検出方法であって、
前記電気化学プローブは、酸化状態では陽イオンであり、還元状態では中性または陰イオンである分子であることを特徴とする検出方法。
【請求項26】
請求項25に記載の検出方法であって、
中性または負に荷電した状態にある前記電気化学プローブは、酵素またはその他の触媒の作用によって再び酸化され、その正に荷電した状態になることを特徴とする検出方法。
【請求項27】
請求項24から請求項26のいずれか1項に記載の検出方法であって、
前記触媒は前記電気化学プローブから電子を得て、これを適当な試薬に移動させることを特徴とする検出方法。
【請求項28】
請求項26に記載の検出方法であって、
前記酵素はペルオキシダーゼであることを特徴とする検出方法。
【請求項29】
請求項27に記載の検出方法であって、
前記試薬は過酸化水素であることを特徴とする検出方法。
【請求項30】
請求項26に記載の検出方法であって、
前記プローブはチオニン分子であることを特徴とする検出方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公表番号】特表2009−509132(P2009−509132A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530551(P2008−530551)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/ES2006/070134
【国際公開番号】WO2007/034021
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(593005895)コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス (67)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS
【出願人】(508079670)インスティトゥト ナシオナル デ テクニカ アエロエスパシアル (2)
【Fターム(参考)】