説明

ナビゲーションシステム

【課題】内部で発生されたデータを有効に活用できるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ユーザデータ発生手段12で発生されたユーザデータを記憶するユーザデータ記憶部11と、動作の停止を検知する停止検知手段14と、着脱可能な可搬型記憶媒体7の接続の有無を検知する接続検知手段15と、停止および可搬型記憶媒体の接続が検知された場合に、記憶されているユーザデータを可搬型記憶媒体に自動的に書き込むエクスポート手段16と、可搬型記憶媒体からユーザデータを読み込んで加工した後に、再び書き込むユーザデータ加工部8と、起動を検知する起動検知手段17と、起動および可搬型記憶媒体の接続が検知された場合に、可搬型記憶媒体からユーザデータを読み込んでユーザデータ記憶部に書き込むインポート手段18と、ユーザデータ記憶部に記憶されているユーザデータを用いて処理を実行するユーザデータ処理手段13を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザを目的地まで案内するナビゲーションシステムに関し、特に、ナビゲーションシステムで取り扱うデータを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムで取り扱うデータを処理する技術として、特許文献1は、ユーザが独自に走行ルートを設定することのできる地図情報処理システムを開示している。この地図情報処理システムにおいては、情報処理装置において、表示部に表示された地図画面上で、ユーザが走行したい道路を順次繋げて選択することによりユーザ独自の走行ルートが入力され、制御部がその選択入力された走行ルートをリンク番号またはノード番号からなるリンク列として、その時の地図データとともに走行ルートデータを作成して記憶部に記憶し、通信部またはメモリカードのような可搬型記録媒体を通じてナビゲーション装置に転送する。
【0003】
【特許文献1】特開2004−125700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された地図情報処理システムは、ユーザが所望する走行ルートデータをナビゲーション装置にインポートすることはできるが、ナビゲーション装置の内部で発生されたデータを外部ヘエクスポートすることはできない。そこで、ナビゲーション装置を使用することにより発生されたデータを外部にエクスポートし、このエクスポートされたデータを必要に応じて外部で加工し、再びナビゲーション装置にインポートして種々のアプリケーションプログラムで使用することにより、ナビゲーション装置で発生されたデータを有効に活用することが望まれている。
【0005】
この発明は、上述した要請に応えるためになされたものであり、その課題は、使用によって発生されたデータを有効に活用できるナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るナビゲーションシステムは、上記課題を解決するために、外部から設定されたデータおよび走行記録を含むユーザデータを発生するユーザデータ発生手段と、ユーザデータ発生手段によって発生されたユーザデータを記憶するユーザデータ記憶部と、動作の停止を検知する停止検知手段と、着脱可能な可搬型記憶媒体の接続の有無を検知する接続検知手段と、停止検知手段によって動作の停止が検知され、且つ、接続検知手段によって可搬型記憶媒体が接続されていることが検知された場合に、ユーザデータ記憶部に記憶されているユーザデータを可搬型記憶媒体に自動的に書き込むエクスポート手段と、エクスポート手段によって書き込まれたユーザデータを可搬型記憶媒体から読み込んで加工した後に、該可搬型記憶媒体に書き込むユーザデータ加工部と、起動を検知する起動検知手段と、起動検知手段によって起動が検知され、且つ、接続検知手段によって可搬型記憶媒体が接続されていることが検知された場合に、該可搬型記憶媒体に格納されている加工されたユーザデータを読み込んでユーザデータ記憶部に書き込むインポート手段と、ユーザデータ記憶部に記憶されているユーザデータを用いて処理を実行するユーザデータ処理手段を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るナビゲーションシステムによれば、内部で発生されたユーザデータをユーザデータ記憶部に記憶しておき、ナビゲーションシステムが起動され、且つ、可搬型記憶媒体が接続されている場合に、ユーザデータ記憶部に記憶されているユーザデータを可搬型記憶媒体に自動的にエクスポートし、外部のユーザデータ加工部においてエクスポートされたユーザデータを可搬型記憶媒体から読み込んで加工した後に、該可搬型記憶媒体に書き込み、ナビゲーションシステムが起動され、且つ、可搬型記憶媒体が接続されている場合に、該可搬型記憶媒体に格納されている加工されたユーザデータをインポートしてユーザデータ記憶部に格納し、このユーザデータ記憶部に格納されたユーザデータを用いて処理を実行するように構成したので、ナビゲーションシステムの使用によって発生されたデータに対して外部のユーザデータ加工部において高度な処理を施すことが可能になり、使用によって発生されたデータを有効に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。このナビゲーションシステムは、入力部1、地図データ格納部2、制御部3、表示部4、位置情報取得部5および音声出力部6から構成されている。
【0009】
入力部1は、例えばボタンスイッチ、リモートコントローラ、タッチパネルまたは音声入力装置などの少なくとも1つから構成されており、ユーザが操作によって種々の指示を入カするために使用される。この入力部1から入力された指示は、制御部3に送られる。地図データ格納部2は、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)またはHDD(Hard Disk Drive)といったメモリデバイスから構成されており、地図データを格納する。この地図データ格納部2に格納されている地図データは、制御部3によって読み出される。
【0010】
制御部3は、例えばマイクロコンピュータから構成されており、入力部1から送られてくる指示に従って、ナビゲーションシステムの種々の機能を実現するための処理を実行する。例えば、制御部3は、入力部1から送られてくる指示に従って、指示されたエリアの地図データを地図データ格納部2から読み出し、そのエリアの地図を表示するための表示データを作成して表示部4に送る。この制御部3は、詳細は後述するが、ユーザデータ記憶部11、アプリケーションプログラム(APP1)12およびアプリケーションプログラム(APP2)13を含む。
【0011】
表示部4は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成されており、制御部3から送られてくる表示データにしたがって地図、種々のメッセージなどを表示する。位置情報取得部5は、例えばGPS(Global Positioning System)衛星から位置情報を取得するGPS受信機、自律航法用センサ(方位センサ、車速パルスセンサなど)などから構成されており、自己の現在位置を表す位置情報を取得する。この位置情報取得部5で取得された位置情報は、制御部3に送られる。音声出力部6は、例えばスピーカから構成されており、制御部3から送られてくる音声データにしたがって案内誘導音声などを出カする。
【0012】
上記のように構成されるナビゲーションシステムには、例えばSDカード、USBメモリといった可搬型記憶媒体7が着脱可能になっており、ユーザデータを記憶する。ここで、ユーザデータは、ユーザが入力部1から入力したデータ、例えば、経路探索時に設定した目的地または経路探索条件(例えば、有料道路の使用の可否など)などを表すデータ、および、車の走行記録を表すデータを含む。この可搬型記憶媒体7は、ユーザデータ加工部8に対しても着脱可能になっている。
【0013】
ユーザデータ加工部8は、例えばパーソナルコンピュータから構成されており、装着された可搬型記憶媒体7からユーザデータを読み出して加工し、再び、可搬型記憶媒体7に格納する。このユーザデータ加工部8は、ナビゲーションシステムの制御部3より高い処理能力を有し、高度なデータ処理を実行することができる。なお、ユーザデータ加工部8は、パーソナルコンピュータに限らず、ナビゲーションシステムの制御部3より高い処理能力を有する種々の機器から構成することができる。
【0014】
次に、制御部3の詳細を説明する。図2は、制御部3の詳細な構成を示す機能ブロック図である。この制御部3は、ユーザデータ記憶部11、第1アプリケーションプログラム(APP1)12、第2アプリケーションプログラム(APP2)13、停止検知手段14、接続検知手段15、エクスポート手段16、起動検知手段17およびインポート手段18から構成されている。
【0015】
ユーザデータ記憶部11は、第1アプリケーションプログラム12によって発生されたユーザデータを記憶する。第1アプリケーションプログラム12は、この発明のユーザデータ発生手段に対応し、ユーザデータを発生する。この第1アプリケーションプログラム12によって発生されたユーザデータは、ユーザデータ記憶部11に書き込まれる。第2アプリケーションプログラム13は、この発明のユーザデータ処理手段に対応し、ユーザデータ記憶部11に格納されているユーザデータを用いて種々の処理を実行する。
【0016】
停止検知手段14は、例えば、図示しないイグニッションスイッチがオフされたことを検知するセンサから構成されており、ナビゲーションシステムの動作の停止を検知する。この停止検知手段14における検知結果は、停止信号としてエクスポート手段16に送られる。接続検知手段15は、例えばマイクロスイッチまたは光センサなどから構成されており、可搬型記憶媒体7がナビゲーションシステムに装着されているか否かを検知する。この接続検知手段15における検知結果は、接続信号としてエクスポート手段16に送られる。
【0017】
エクスポート手段16は、停止検知手段14から送られてくる停止信号が動作の停止を示しており、且つ、接続検知手段15から送られてくる接続信号が、可搬型記憶媒体7が接続されていることを示している場合に、自動的に、ユーザデータ記憶部11からユーザデータを読み出し、可搬型記憶媒体7に書き込む。
【0018】
起動検知手段17は、例えば、図示しないイグニッションスイッチがオンされたことを検知するセンサから構成されており、ナビゲーションシステムが起動されたことを検知する。この起動検知手段17における検知結果は、起動信号としてインポート手段18に送られる。
【0019】
インポート手段18は、起動検知手段17から送られてくる起動信号が、ナビゲーションシステムが起動されたことを示しており、且つ、接続検知手段15から送られてくる接続信号が、可搬型記憶媒体7が接続されていることを示している場合に、自動的に、可搬型記憶媒体7に格納されているユーザデータを読み込み、ユーザデータ記憶部11に書き込む。
【0020】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの動作を、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、このナビゲーションシステムでは、発生した事象(イベント)に応じて処理を進めるイベント駆動方式が採用されているものとする。
【0021】
図示しないイグニッションスイッチがオンされることによって起動イベントが発生すると、まず、起動処理Aが行われる(ステップST11)。この起動処理Aでは、制御部3は、例えば変数の初期化などといった、ナビゲーションシステムの動作開始に先立って実行すべき処理を実行する。次いで、可搬型記憶媒体7が接続されているかどうかが調べられる(ステップST12)。すなわち、インポート手段18は、起動検知手段17から送られてきた起動信号が起動されたことを示しているという条件の下に、接続検知手段15から送られてきている接続信号が、可搬型記憶媒体7が接続されていることを示しているかどうかを調べる。
【0022】
上記ステップST12において、可搬型記憶媒体7が接続されていることが判断されると、ユーザデータのインポートが行われる(ステップST13)。すなわち、インポート手段18は、可搬型記憶媒体7に記憶されているユーザデータを読み出し、ユーザデータ記憶部11に書き込む。この場合、可搬型記憶媒体7に格納されているデータが不正なデータである場合は、その旨をユーザに知らせ、ユーザデータのインポートを停止するように構成することができる。上記ステップST12において、可搬型記憶媒体7が接続されていないことが判断されると、ステップST13の処理はスキップされる。
【0023】
次いで、起動処理Bが実行される(ステップST14)。この起動処理Bにおいては、ユーザデータを使用して、初期状態の時点において実行すべき各種処理が実行される。例えば、起動処理Bにおいては、ユーザデータによって目的地が設定されている場合は、現在地から目的地までの経路計算を行う経路探索処理が実行される。
【0024】
次いで、停止イベントがあるかどうかが調べられる(ステップST15)。すなわち、制御部3は、停止検知手段14から送られてきている停止信号が動作の停止を示しているかどうかを調べる。このステップST15において、停止イベントがないことが判断されると、他のイベント処理が実行される(ステップST16)。他のイベント処理には、例えば、自車位置が移動することによる地図描画処理、交通情報受信処理またはユーザの各種操作に対応した処理などが含まれる。その後、シーケンスはステップST15に戻り、以下、上述したステップST15およびST16の処理が繰り返される。
【0025】
上記ステップST15およびST16の繰り返し処理の途中で、ステップST15において、停止イベントがあることが判断されると、停止処理Cが実行される(ステップST17)。この停止処理Cは、例えば終了画面の表示などといった停止処理の初めに行わなければならない処理である。次いで、可搬型記憶媒体7が接続されているかどうかが調べられる(ステップST18)。すなわち、エクスポート手段16は、停止検知手段14から送られてきている停止信号が動作の停止を示しているという条件の下に、接続検知手段15から送られてきている接続信号が、可搬型記憶媒体7が接続されていることを示しているかどうかを調べる。
【0026】
このステップST18において、可搬型記憶媒体7が接続されていることが判断されると、ユーザデータのエクスポートが行われる(ステップST19)。すなわち、エクスポート手段16は、ユーザデータ記憶部11に記憶されているユーザデータを読み出し、可搬型記憶媒体7に書き込む。一方、ステップST18において、可搬型記憶媒体7が接続されていないことが判断されると、ステップST19の処理はスキップされる。
【0027】
次いで、停止処理Dが実行される(ステップST20)。この停止処理Dは、停止処理の最後に行われる処理である。この停止処理Dにおいては、制御部3は、例えば周辺機器の電源遮断などを行う。その後、ナビゲーションシステムにおける処理は終了する。
【0028】
ステップST19において、可搬型記憶媒体7にエクスポートされたユーザデータは、例えばユーザデータ加工部8において読み取られ、必要に応じて加工されて再び可搬型記憶媒体7に書き込まれる。この可搬型記憶媒体7に書き込まれた、加工されたユーザデータは、ステップST13におけるインポート処理よって、ユーザデータ記憶部11に格納され、例えば第2アプリケーションプログラム13によって使用される。
【0029】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムによれば、ユーザは、ナビゲーション装置を使用することにより発生されたユーザデータを可搬型記憶媒体7にエクスポートし、このエクスポートされたユーザデータをベースとし、外部のユーザデータ加工部8において加工することにより所望のユーザデータを得ることができる。したがって、所望のユーザデータを外部で作成する場合に、ゼロから作成するよりも効率が良い。また、例えば、車の走行記録など、外部ではゼロから作成することができないユーザデータの加工も可能になる。
【0030】
また、ナビゲーションシステムから取り出したユーザデータを、他のナビゲーションシステムで使用することが可能になる。例えば、ユーザが、通勤用の車に搭載されたナビゲーションシステムaと、レジャー用の車に搭載されたナビゲーションシステムbとを所有する場合において、普段はナビゲーションシステムaを使用し、休日はナビゲーションシステムbを使用するような場合、可搬型記憶媒体7をナビゲーションシステムaまたはナビゲーションシステムbに装着するだけでよく、ナビゲーションシステムaのユーザデータをナビゲーションシステムbに登録または学習させ、または、ナビゲーションシステムbのユーザデータをナビゲーションシステムaに登録または学習させるといった作業は不要になる。
【0031】
また、実施の形態1に係るナビゲーションシステムによれば、第1アプリケーションプログラム12で発生されたユーザデータをユーザデータ記憶部11に保存し、この保存されたユーザデータを可搬型記憶媒体7にエクスポートし、外部のユーザデータ加工部8において可搬型記憶媒体7に格納されているユーザデータを加工した後、可搬型記憶媒体7からユーザデータ記憶部11にインポートし、このインポートしたユーザデータを第2アプリケーションプログラム13で使用することができる。例えば、車両の走行記録(第1アプリケーションプログラム12が発生するユーザデータ)を可搬型記憶媒体7にエクスポートし、外部のユーザデータ加工部8において、可搬型記憶媒体7にユーザデータとして格納されている走行記録から、車がある道路を走っているときに次に走る道路の予測確率を計算する経路予測(Path Prediction)のアプリケーションプログラムを実行する。ここで、経路予測とは、ナビゲーションシステムで目的地を設定しない状態で、車がどの道を通るか予測することをいう。
【0032】
一般に、予測確率の計算には膨大な計算量が必要であり、ナビゲーションシステムの制御部3に搭載されているCPUで計算すると、ナビゲーションシステムの制御に遅れが生じ、ナビゲーションシステムの性能が低下する。この問題は、外部のユーザデータ加工部8で予測確率の計算を実施することにより解消されるので、ナビゲーションシステムの性能を低下させることなく経路予測の機能を実現することができ、ナビゲーションシステムの機能を強化することが可能になる。また、経路予測の機能を実現できる結果、経路予測の情報を利用して、進路の直近にカーブが存在する時は、カーブの警告を発することができ、進路の直近に坂があるときは、経路予測の情報を利用してエンジンの出力を制御することにより燃料の節約運転が可能となる。
【0033】
また、実施の形態1に係るナビゲーションシステムによれば、ユーザが特別な操作をすることなく、ナビゲーションシステムの内部で発生されたユーザデータが可搬型記憶媒体7に自動的に保存されるので、エンジンを切った後、再びエンジンをかけることなく、ナビゲーションシステムからユーザデータを取り出すことができる。
【0034】
なお、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムでは、第2アプリケーションプログラム13は、ユーザデータ記憶部11に格納されているユーザデータを用いて処理を行うように構成したが、第2アプリケーションプログラム13は、接続検知手段15によって可搬型記憶媒体7が接続されていることが検知された場合は、ユーザデータ記憶部11に記憶されている多くのユーザデータの中から、起動時にインポート手段18によって可搬型記憶媒体7から読み込まれてユーザデータ記憶部11に書き込まれたユーザデータを優先的に用いて処理を実行するように構成できる。この構成により、常に最新のユーザデータを使用した処理が可能になる。
【0035】
また、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムにおいては、第2アプリケーションプログラム13は、ユーザデータ記憶部11に格納されているユーザデータを使用して処理を行うように構成したが、ユーザデータを第2アプリケーションプログラムから分離して可搬型記憶媒体7に記憶させておき、第2アプリケーションプログラム13は、図1に破線で示すように、可搬型記憶媒体7からユーザデータを直接に読み込み、この読み込んだユーザデータを使用して処理を実行するように構成することができる。
【0036】
この構成によれば、ユーザが運転を交代して可搬型記憶媒体7が差し替えられたときに、ユーザデータをユーザデータ記憶部11にインポートする時間が不要になる。また、ユーザデータはナビゲーションシステムに残されないので、車またはナビゲーションシステムが盗難にあった場合に、ユーザの個人情報、例えばユーザの自宅の位置やユーザが設定した登録地などが流出するのを防止できる。
【0037】
また、上述した実施の形態1に係るナビゲーションシステムにおいては、第2アプリケーションプログラム13として音声認識プログラムを使用し、可搬型記憶媒体7に格納するユーザデータとして特定話者の音声認識用データ(以下、「特定話者適応データ」という)を使用するように構成することができる。この場合、第2アプリケーションプログラム13は、この発明の音声認識手段に対応する。
【0038】
この構成によれば、図4に示すように、可搬型記憶媒体7をナビゲーションシステムaまたはナビゲーションシステムbに装着するだけで音声認識機能を実現できるので、ユーザが運転を交代して可搬型記憶媒体7が差し替えられたときに、ユーザデータをユーザデータ記憶部11にインポートする時間が不要になる。また、ユーザデータはナビゲーションシステムに残されないので、車またはナビゲーションシステムが盗難にあった場合に、可搬型記憶媒体7に格納されている特定話者適応データ以外のユーザの個人情報、例えばユーザの自宅の位置やユーザが設定した登録地などが流出するのを防止できる。
【0039】
さらに、ユーザが、通勤用の車に搭載されたナビゲーションシステムaと、レジャー用の車に搭載されたナビゲーションシステムbとを所有する場合においては、上述したように、各ナビゲーションシステムにユーザデータを登録または学習させるといった作業は不要になる。
【0040】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムは、ナビゲーションシステムの機能の一部をナビゲーションシステムの外部で実現するようにしたものである。
【0041】
図5は、この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムの制御部3を中心とした構成を示すブロック図である。制御部3は、エクスポート手段16が、ユーザデータ記憶部11に記憶されているユーザデータのみならず、第2アプリケーションプログラム13をも可搬型記憶媒体7にエクスポートする点が、実施の形態1のそれと異なる。
【0042】
また、ユーザデータ加工部8は、装着された可搬型記憶媒体7から第2アプリケーションプログラム13およびユーザデータを読み出し、第2アプリケーションプログラムにしたがってユーザデータを使用した処理を実行し、その結果を、入力部1を介して制御部3に送る。この場合、入力部1を無線インタフェースによって構成し、ユーザデータ加工部8は、第2アプリケーションプログラムによる処理結果を、無線で入力部1に送信するように構成することができる。
【0043】
次に、上記のように構成される実施の形態2に係るナビゲーションシステムの動作を説明する。今、第2アプリケーションプログラム13として音声認識プログラムが用いられ、ユーザデータとして特定話者の音声認識用データが用いられるものとする。
【0044】
エクスポート手段16は、停止検知手段14から送られてくる停止信号が動作の停止を示しており、且つ、接続検知手段15から送られてくる接続信号が、可搬型記憶媒体7が接続されていることを示している場合に、自動的に、ユーザデータ記憶部11からユーザデータとしての特定話者の音声認識用データを読み出して可搬型記憶媒体7に書き込むとともに、音声認識プログラムとしての第2アプリケーションプログラム13を読み出して可搬型記憶媒体7に書き込む。
【0045】
ユーザデータ加工部8は、装着された可搬型記憶媒体7から音声認識プログラムおよび特定話者の音声認識用データを読み出し、特定話者の音声認識用データを使用して、音声認識プログラムにしたがって音声認識処理を実行する。そして、音声認識の結果として得られた例えばコマンドを、無線によって入力部1に送信する。入力部1は、無線インタフェースで受信したコマンドを制御部3に送る。これにより、制御部3は、入力部1から送られてくるコマンドにしたがった処理を実行する。
【0046】
図6は、実施の形態2に係るナビゲーションシステムを用いた音声入力の概念を示す図である。運転席の話者1(運転者)と助手席の話者2(助手)の各々が発した音声は、ユーザデータ加工部8によって、各々に適応した音声認識用データを用いて音声認識される。したがって、精度の良い特定話者の認識機能で認識された音声をナビゲーションシステムの入力とすることができる。なお、ユーザデータ加工部8で実現される機能はナビゲーションシステム以外の機器の入力とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの制御部の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの使用方法の一例を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムの制御部を中心とした構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係るナビゲーションシステムを用いた音声入力の概念を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 入力部、2 地図データ格納部、3 制御部、4 表示部、5 位置情報取得部、6 音声出力部、7 可搬型記憶媒体、8 ユーザデータ加工部、11 ユーザデータ記憶部、12 第1アプリケーションプログラム、13 第2アプリケーションプログラム、14 停止検知手段、15 接続検知手段、16 エクスポート手段、17 起動検知手段、18 インポート手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から設定されたデータおよび走行記録を含むユーザデータを発生するユーザデータ発生手段と、
前記ユーザデータ発生手段によって発生されたユーザデータを記憶するユーザデータ記憶部と、
動作の停止を検知する停止検知手段と、
着脱可能な可搬型記憶媒体の接続の有無を検知する接続検知手段と、
前記停止検知手段によって動作の停止が検知され、且つ、前記接続検知手段によって前記可搬型記憶媒体が接続されていることが検知された場合に、前記ユーザデータ記憶部に記憶されているユーザデータを前記可搬型記憶媒体に自動的に書き込むエクスポート手段と、
前記エクスポート手段によって書き込まれたユーザデータを前記可搬型記憶媒体から読み込んで加工した後に、該可搬型記憶媒体に書き込むユーザデータ加工部と、
起動を検知する起動検知手段と、
前記起動検知手段によって起動が検知され、且つ、前記接続検知手段によって可搬型記憶媒体が接続されていることが検知された場合に、該可搬型記憶媒体に格納されている加工されたユーザデータを読み込んで前記ユーザデータ記憶部に書き込むインポート手段と、
前記ユーザデータ記憶部に記憶されているユーザデータを用いて処理を実行するユーザデータ処理手段
とを備えたナビゲーションシステム。
【請求項2】
ユーザデータ処理手段は、接続検知手段によって可搬型記憶媒体が接続されていることが検知された場合は、インポート手段によって前記可搬型記憶媒体から読み込まれてユーザデータ記憶部に書き込まれたユーザデータを優先的に用いて処理を実行する
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
ユーザデータ処理手段は、接続検知手段によって可搬型記憶媒体が接続されていることが検知された場合は、前記可搬型記憶媒体からユーザデータを直接に読み込んで処理を実行する
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
ユーザデータ処理手段は、入力された音声を認識する音声認識手段から成り、該ユーザデータ処理手段で用いられるユーザデータは、特定話者の音声認識用データである
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
可搬型記憶媒体は、
特定話者用の音声認識用データと、
前記音声認識用データを用いて音声認識処理を行うための音声認識プログラム
とを記憶し、
前記ユーザデータ加工部は、
前記可搬型記憶媒体から読み込んだ音声認識プログラムにしたがって、前記可搬型記憶媒体から読み込んだ音声認識用データを用いて音声認識処理を行うことにより得られた音声認識結果を、加工されたユーザデータとして前記可搬型記憶媒体に書き込む
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−39601(P2008−39601A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214657(P2006−214657)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】