説明

ナビゲーションシステム

【課題】車載装置のモニタによらずに、当該車載装置から、移動電話機のナビゲーション機能を利用可能とする「ナビゲーションシステム」を提供する。
【解決手段】移動電話機5のナビゲーション機能がコマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応している場合には、ナビゲーション機能で生成した案内画像(a)をコマンドモニタ装置6に送信し、コマンドモニタ装置6に表示装置64に表示させる。ナビゲーション機能がコマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応していない場合には、進路変更前のタイミングで進路変更方向を、ナビゲーション機能からコマンドモニタ装置6に通知し、コマンドモニタ装置6において、予め用意された矢印図形(b)のうちから、通知された進路変更方向を表す矢印図形を選択し表示装置64に表示する(c)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内を行うナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、経路案内を行うナビゲーション機能を備えた移動電話機が知られている(たとえば、特許文献1)。ここで、この特許文献1の移動電話のナビゲーション機能は、移動電話網を介してナビゲーションサーバにアクセスし、ナビゲーションサーバから、移動電話機の周辺の地図や目的地までの経路の情報を取得し、取得した情報に基づいて、移動電話機の周辺の地図上に移動電話機の現在位置や目的地までの経路を表す画像を、ユーザの経路案内を行うためのナビゲーション用画像として表示するものである。
【0003】
また、このような移動電話機のナビゲーション機能において、ユーザの経路案内を行うためのナビゲーション用画像として、進路変更方向(左折や右折等)を表す矢印のみを表示することにより、経路案内を簡易的に行う技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開-20070号公報
【特許文献2】特開-48576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車に搭載されている入力装置とモニタとを備えた車載装置を、前述した移動電話機のナビゲーション機能の操作入力と表示出力に用いることにより、当該車載装置から、移動電話機のナビゲーション機能を利用可能として、移動電話機のナビゲーション機能のユーザインタフェースの操作性と視認性を向上することが考えられる。
【0006】
しかしながら、このようにするときに、車載装置のモニタの解像度に適合するナビゲーション画像を出力する機能を、移動電話機のナビゲーション機能が備えていない場合には、当該車載装置から、移動電話機のナビゲーション機能を適正に利用することができない場合がある。一方で、任意の車載装置から利用され得る移動電話機のナビゲーション機能に、全てのモニタの解像度に適合するナビゲーション画像を出力する機能を備えることは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、車載装置のモニタによらずに、当該車載装置から、移動電話機などの携帯端末のナビゲーション機能を利用可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、表示装置を備えた車載装置と、当該車載装置に選択的に接続される携帯端末とより構成されるナビゲーションシステムにおいて、前記携帯端末に、現在位置を算出する現在位置算出手段と、前記現在位置周辺の地図データと、目的地までの経路を表すルートデータとを取得する案内情報取得手段と、前記地図データが表す地図上に前記現在位置と前記ルートデータが表す経路を描画した、所定の解像度に適合した案内画像を生成し、前記車載装置に送信する第1案内情報提供手段と、前記ルートデータが表す経路に従って進路変更することとなる交差点に、前記現在位置が接近したときに、前記経路に従った当該交差点の通過方向を表す進路変更方向通知を前記車載装置に送信する第2案内情報提供手段と、当該携帯端末が前記車載装置に接続されたときに、前記車載装置の前記表示装置の解像度が、前記所定の解像度である場合に、前記第1案内情報提供手段を動作させて当該第1案内情報提供手段に前記案内画像の生成と前記車載装置への送信を行わせ、前記車載装置の前記表示装置の解像度が前記所定の解像度でない場合に、前記第2案内情報提供手段を動作させて当該第2案内情報提供手段に前記進路変更方向通知を前記車載装置に送信させる制御手段とを設け、前記車載装置に、前記携帯端末より前記案内画像を送信された場合に、当該案内画像を前記表示装置に表示し、前記携帯端末より前記進路変更方向通知を受信したときに、当該進路変更方向通知が表す前記通過方向を表す図形を前記表示装置に表示する案内情報表示手段を設けたものである。
【0009】
このようなナビゲーションシステムによれば、携帯端末が車載装置の表示装置の解像度に対応している第1案内情報提供手段を備えている場合には、車載装置の表示装置に案内画像を表示する態様によって経路案内が行われる。また、携帯端末に必ず第2案内情報提供手段を設けるようにすることにより、移動電話機が車載装置の表示装置の解像度に対応している第1案内情報提供手段を備えていない場合にも、必ず、第2案内情報提供手段によって、車載装置の表示装置に表示した図形によって交差点における進路変更方向を提示する簡易的な経路案内を行うことができるようになる。
【0010】
ここで、このようなナビゲーションシステムにおいて、前記携帯端末には、表示部と、当該携帯端末が前記車載装置に接続されていないときに、前記地図データが表す地図上に前記現在位置と前記ルートデータが表す経路を描画した案内画像を前記表示部に表示する第3案内情報提供手段とを備えるようにしてもよい。
【0011】
また、このようなナビゲーションシステムにおいて、前記携帯端末の案内情報取得手段は、移動体通信網を介して、前記現在位置周辺の地図データと、目的地までの経路を表すルートデータとを、外部のサーバから取得するものであってもよい。
また、このようなナビゲーションシステムにおいて、前記携帯端末には、当該携帯端末が前記車載装置に接続されたときに、前記車載装置の前記表示装置の解像度が、前記所定の解像度でない場合に、前記第1案内情報提供手段を、前記車載装置の前記表示装置の解像度に適合した案内画像を生成できる前記第1案内情報提供手段に更新するための更新情報を、前記移動体通信網を介して外部より取得し、取得した前記更新情報に従って前記第1案内情報提供手段を更新する更新手段を設けるようにしてもよい。
【0012】
また、以上のようなナビゲーションシステムにおいて、前記携帯端末は、移動電話端末としての機能を備えた移動電話機であってよい。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、車載装置のモニタによらずに、当該車載装置から、携帯端末のナビゲーション機能を利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る案内情報提供部起動処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る案内情報取得処理と案内情報提供処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る案内情報提供処理の動作を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る表示エージェント処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示す。
図示するように、ナビゲーションシステムは、移動電話機5と、移動電話機5にBluetooth(登録商標)などのPANや近距離無線通信を介して接続するコマンドモニタ装置6とより構成される。
ここで、移動電話機5は、移動電話網4と、移動電話網4に接続したインターネット等のWAN1とを介して、WAN1に接続したナビゲーションセンタ2と、WAN1に接続したダウンロードセンタ3とにアクセスすることができる。
ここで、ナビゲーションセンタ2は、ナビゲーションサーバ21と地図データベース22とを有し、ダウンロードセンタ3はアプリケーションダウンロードサーバ31とアプリケーションデータベース32とを有する。
また、移動電話機5は、移動電話網4に無線通信を介して接続する移動電話網インタフェース51、PANや近距離無線通信を介してコマンドモニタ装置6に選択的に接続するホストインタフェース52、移動電話網4を利用した電話機能を提供する移動電話機能部53、ナビゲーション機能を提供するナビゲーションクライアント54、操作部55、表示部56、衛星測位によって現在位置を算出するGPS受信機57を有している。
【0016】
また、ナビゲーションクライアント54は、制御部541、案内情報取得部542、複数の案内情報提供部543を備えている。ここで、このように複数備えられる案内情報提供部543には、単独案内用の案内情報提供部543と、簡易案内用の案内情報提供部543とが必ず含まれる。また、複数備えられる案内情報提供部543には、各々特定の表示装置解像度に対応する特定解像度用の案内情報提供部543を1または複数含むことができる。
【0017】
次に、コマンドモニタ装置6は、PANや近距離無線通信を介して移動電話機5に選択的に接続する移動電話機インタフェース61、ナビゲーションエージェント62、入力装置63、表示装置64とを備えている。
ただし、ナビゲーションセンタ2、ダウンロードセンタ3、移動電話機5、コマンドモニタ装置6の各々は、マイクロプロセッサや、メモリや、その他の周辺デバイスなどの一般的なハードウエア構成を備えたコンピュータを利用して構成されるものであってよく、この場合、以上に示した各部、または、その一部は、コンピュータが所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものである。また、特に、移動電話機5のダウンロードクライアントの制御部541、案内情報取得部542、複数の案内情報提供部543の各々は、移動電話機5が備えるマイクロプロセッサが所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものである。
【0018】
以下、このようなナビゲーションシステムの動作について説明する。
移動電話機5のナビゲーションクライアント54の制御部541は、操作部55を介したユーザのナビゲーション機能の利用開始操作等に応じて起動される。そして、起動された制御部541は、まず、案内情報取得部542を起動する。
次に、制御部541は、図2に示す案内情報提供部起動処理を行って、複数の案内情報提供部543のいずれか一つを起動する。
図示するように、この案内情報提供部起動処理では、まず、移動電話機5がコマンドモニタ装置6に接続されているかどうかを調べ(ステップ202)、接続されていなければ、単独案内用の案内情報提供部543を起動する(ステップ204)。そして、移動電話機5のコマンドモニタ装置6への接続の発生を監視し(ステップ206)、移動電話機5のコマンドモニタ装置6への接続が発生したならば、起動中の案内情報提供部543を停止し(ステップ208)、ステップ202からの処理に戻る。
【0019】
一方、移動電話機5がコマンドモニタ装置6に接続されている場合には(ステップ202)、コマンドモニタ装置6のナビゲーションエージェント62との間に制御/情報系のデータ送受信用のデータリンクを確立する(ステップ210)。また、データリンクを介して、コマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度の情報をコマンドモニタ装置6のナビゲーションエージェント62より取得し、コマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応する案内情報提供部543が存在するかどうかを判定する(ステップ212)。
【0020】
そして、コマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応する特定解像度用の案内情報提供部543が存在する場合には、当該存在した特定解像度用の案内情報提供部543を起動する(ステップ214)、そして、移動電話機5のコマンドモニタ装置6への接続の解除の発生を監視し(ステップ216)、移動電話機5のコマンドモニタ装置6への接続が発生したならば、起動中の案内情報提供部543を停止し(ステップ208)、ステップ202からの処理に戻る。
【0021】
一方、ステップ212において、コマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応する特定解像度用の案内情報提供部543が存在しないと判定された場合には、簡易案内用の案内情報提供部543を起動する(ステップ218)、そして、移動電話機5へのコマンドモニタ装置6への接続の解除の発生を監視し(ステップ216)、移動電話機5へのコマンドモニタ装置6への接続が発生したならば、起動中の案内情報提供部543を停止し(ステップ208)、ステップ202からの処理に戻る。
【0022】
以上、移動電話機5のナビゲーションクライアント54の制御部541が行う案内情報提供部起動処理について説明した。
次に、上述のように制御部541によって起動された、移動電話機5のナビゲーションクライアント54の案内情報取得部542が行う案内情報取得処理について説明する。
図3aに、この案内情報取得処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、案内情報取得部542は、移動電話網4、WAN1を介してナビゲーションセンタ2にアクセスし、ナビゲーションセンタ2から地図データを取得する(ステップ302)。地図データの取得は、GPS受信機57が算出した現在位置を指定した地図データ要求をナビゲーションサーバ21に発行することにより行う。
【0023】
ナビゲーションサーバ21は、地図データ要求を受け取ると、指定された現在位置に基づいて、送信地図データ領域を算定し、算定した送信地図データ領域内の地図を表す地図データを地図データベース22より抽出し、地図データ要求発行元のナビゲーションクライアント54に送信する。ここで、ナビゲーションサーバ21は、送信地図データ領域を次のように算定する。すなわち、地図データ要求発行元のナビゲーションクライアント54に対して初めて地図データを送信する場合には、地図データ要求で指定された現在位置から所定距離A内の地域を送信地図データ領域とし、地図データ要求発行元のナビゲーションクライアント54に対して二回目以降に地図データを送信する場合には、地図データ要求で指定された現在位置から所定距離A内の地域のうちの、過去に地図データ要求発行元のナビゲーションクライアント54に対して地図データを送信していない地域を、送信地図データ領域とする。
【0024】
そして、以降、案内情報提供部543は、GPS受信機57で算出される現在位置が変化する度(ステップ304)に、地図データの更新が必要かどうかを判定し(ステップ306)、必要であれば、現在位置を指定した地図データ要求をナビゲーションサーバ21に発行することにより地図データを取得する処理を行う(ステップ308)。ここで、地図データの更新が必要かどうかの判定は、現在位置から所定距離B(B<A)内の地域内の全ての地図データを既に取得していない場合に、地図データの更新が必要と判定することにより行う。
【0025】
また、案内情報提供部543は、ユーザから目的地が設定されたならば(ステップ310)、ナビゲーションセンタ2から現在位置から目的地までの経路を表すルートデータを取得する(ステップ312)。ここで、ルートデータの取得は、ナビゲーションサーバ21に現在位置と目的地とを指定したルートデータ要求を送信することにより行う。ルートデータ要求を受けとったナビゲーションサーバ21は、地図データベース22の地図データを参照して、指定された現在位置から目的地までの経路を探索し、探索した経路を表すルートデータを、ルートデータ要求発行元のナビゲーションクライアント54に送信する。
【0026】
なお、ユーザからの目的地の設定の受け付けは、ナビゲーションクライアント54の制御部541が行う。すなわち、制御部541は、移動電話機5がコマンドモニタ装置6に接続されていないときには、操作部55の所定操作に応じて、移動電話機5の表示部56に目的地設定用のメニューを表示すると共に、当該メニューに対する移動電話機5の操作部55を用いたユーザ操作に応じて目的地の設定を受け付ける。また、移動電話機5がコマンドモニタ装置6に接続されてるときには、入力装置63の所定操作に応じてナビゲーションエージェント62がデータリンクを介して目的地設定要求をナビゲーションクライアント54に送信し、目的地設定要求を受信したナビゲーションクライアント54の制御部541において、データリンクを介してコマンドモニタ装置6のナビゲーションエージェント62に、目的地設定用のメニューを規定するメニューデータを送信する。そして、メニューデータを受信したコマンドモニタ装置6のナビゲーションエージェント62において受信したメニューデータが規定するメニューを表示して、当該メニューに対する入力装置63を用いたユーザ操作を受け付けて、受け付けたユーザ操作を移動電話機5のナビゲーションクライアント54に送信し、ユーザ操作を受信したナビゲーションクライアント54の制御部541において、受信したユーザ操作に応じて、ユーザからの目的地の設定を受け付ける。
【0027】
以上、案内情報取得部542が行う案内情報取得処理について説明した。
次に、移動電話機5のナビゲーションクライアント54の制御部541によって起動された案内情報提供部543が行う案内情報提供処理について説明する。
まず、単独案内用の案内情報提供部543が行う案内情報提供処理を図2b1に示す。
図示するように、この処理では、GPS受信機57が算出する現在位置が変化する度に(ステップ352)、移動電話機5の表示部56の解像度に応じた解像度と表示内容を備えた案内画像を生成し(ステップ354)、表示部56に表示する(ステップ356)処理を繰り返す。
【0028】
ここで、案内画像とは、前述した案内情報取得処理によって取得した地図データとルートデータと現在位置に基づいて生成される画像であり、図4aに示すように、案内画像400は、現在位置周辺の地図を表す地図画像401上に、現在位置を表す現在位置マーク402と、ルートデータが表す経路の地図画像401が表す地図内の部分を表すルート図形403を表したものである。また、目的地が地図画像401が表す地図内に含まれる場合には、地図画像上に目的地を表す目的地マークも表示する。
【0029】
次に、特定解像度用の案内情報提供処理を図2b2に示す。
図示するように、この処理では、まず、コマンドモニタ装置6のナビゲーションエージェント62との間に、画像データを転送するための画像リンクを確立する(ステップ362)。
そして、以降は、GPS受信機57が算出する現在位置が変化する度に(ステップ364)、対応する特定解像度すなわちコマンドモニタ装置6の解像度に適合する解像度と表示内容を備えた案内画像を生成し(ステップ366)、ナビゲーションエージェント62に画像リンクを介して送信する(ステップ368)処理を繰り返す。
【0030】
ここで、特定の解像度に適合する解像度とは、案内画像の画素サイズが当該特定の解像度に適合していることを言う。また、特定の解像度に適合する表示内容とは、当該特定の解像度に対して予め定められている表示内容であり、当該特定の解像度で案内画像を表示したときに、視認性が確保できるように当該表示内容は定められている。すなわち、たとえば、案内画像の地図画像に関する表示内容としては、高解像度に対しては、詳細な地図や詳細な地形表示や地名表示が設定されており、低解像度に対しては概略的な地図のみが表示内容として設定される。
【0031】
次に、簡易案内用の案内情報提供処理を図2b3に示す。
図示するように、この処理では、GPS受信機57が算出する現在位置が変化する度に(ステップ372)、現在位置が案内交差点に接近しているかどうか調べる(ステップ374)。ここで、案内交差点とは、ルートデータが表す経路に従って進路変更(右左折等)することになる交差点のうちの、次に通過することになる交差点を言う。また、ステップ374では、現在位置から案内交差点までの間に他の交差点が存在せず、現在位置から案内交差点までの距離が所定距離(たとえば、300m)以内である場合に、現在位置が案内交差点に接近していると判定する。
【0032】
そして、案内交差点に現在位置が接近していなければ、ステップ372に戻って、次の現在位置の変化を待ち、案内交差点に現在位置が接近していれば、案内交差点のルートデータが表す交差点の通過方向(右方向、左方向、右斜前方向、左斜前方向、右斜後方向、左斜後方向等)を進路変更方向通知としてデータリンクを介してコマンドモニタ装置6のナビゲーションエージェント62に送信する(ステップ376)。そして、現在位置の案内交差点の通過を待って(ステップ378)、進路変更案内終了をデータリンクを介してコマンドモニタ装置6のナビゲーションエージェント62に通知し(ステップ380)、ステップ372に戻る。
【0033】
以上、案内情報提供部543が行う案内情報提供処理について説明した。
次に、コマンドモニタ装置6のナビゲーションエージェント62が行う表示エージェント処理について説明する。
図5に、この表示エージェント処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、移動電話機5のナビゲーションクライアント54から案内画像を画像リンクを介して受信する度に(ステップ502)、受信した案内画像を表示装置64に表示する処理を行う(ステップ504)。
また、データリンクを介して移動電話機5のナビゲーションクライアント54から送信される進路変更方向通知を受信する度に(ステップ506)、以下の処理を行う。
すなわち、まず、受信した進路変更方向通知が表す、交差点の通過方向(右方向、左方向、右斜前方向、左斜前方向、右斜後方向、左斜後方向等)に対応する進路案内図形を表示装置64に表示する(ステップ508)。
ここで、ナビゲーションクライアント54には予め、図4bに示すように、右方向、左方向、右斜前方向、左斜前方向、右斜後方向、左斜後方向等の交差点の各通過方向に各々対応する進路案内図形の図形データを記憶している。ここで、図4bにおいて、b1は左方向に対応する進路案内図形を、b2は右方向に対応する進路案内図形を、b3は左斜前方向に対応する進路案内図形を、b4は右斜前方向に対応する進路案内図形を、b5は左斜後方向に対応する進路案内図形を、b6は右斜後方向に対応する進路案内図形を表している。
【0034】
そして、ステップ508では、記憶している進路案内図形のうちから、進路変更方向通知が表す交差点の通過方向に対応する進路案内図形の図形データを読み出して、たとえば、図4cに示すように,読み出した図形データが表す進路案内図形450を表示装置64に表示する。
【0035】
なお、図4cは、進路変更方向通知が表す交差点の通過方向が左方向である場合の、表示装置64の表示を表している。
そして、データリンクを介して移動電話機5のナビゲーションクライアント54から送信される進路変更案内終了の受信を待って(ステップ510)、進路案内図形の表示を消去する(ステップ512)。
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように、本実施形態によれば、移動電話機5がコマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応している案内情報提供部543を備えている場合には、コマンドモニタ装置6の表示装置64を用いて図4aに示したような案内画像による経路案内が行われる。また、移動電話機5がコマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応している案内情報提供部543を備えていない場合にも、各移動電話機5に必ず備えられている簡易案内用の案内情報提供部543によって、必ず、コマンドモニタ装置6の表示装置64を用いて、図4cに示す矢印図形によって次交差点における進路変更方向を提示する簡易的な経路案内が行われることになる。
【0036】
ところで、以上の実施形態においては、移動電話機5とコマンドモニタ装置6が接続したときに、コマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応する案内情報提供部543が存在しないときには、前記移動電話機5のナビゲーションクライアント54の制御部541において、ダウンロードセンタ3のダウンロードサーバから、コマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応できる特定解像度用の案内情報提供部543のプログラムをダウンロードするようにしてもよい。ここで、ダウンロードセンタ3のダウンロードサーバは、ナビゲーションクライアント54からの要求に応じて、アプリケーションデータベース32に蓄積されているプログラムのうちから、要求された案内情報提供部543のプログラム(ここでは、移動電話機5が接続したコマンドモニタ装置6の表示装置64の解像度に対応できる特定解像度用の案内情報提供部543のプログラム)を抽出し、要求元のナビゲーションクライアント54に送信する。
【0037】
また、この場合には、ナビゲーションクライアント54の制御部541は、プログラムのダウンロード完了後の適当な機会(案内交差点までの距離が大きいときなど)に、起動中の案内情報提供部543を停止させた上で、図2の案内情報提供部起動処理を再度行って、稼働させる案内情報提供部543を、ダウンロードしたプログラムによる案内情報提供部543に切り替えるようにしてもよい。
【0038】
また、以上の実施形態は、ナビゲーション機能を備えた移動電話機5に代えて、ナビゲーション機能を備えているポータブル型のナビゲーション装置をコマンドモニタ装置6に接続して利用する場合などにも同様に適用することができる。また、以上の移動電話機5やポータブル型のナビゲーション装置のナビゲーション機能は、これらが備えた地図データを用いて、ナビゲーションセンタ2を利用せずに、単独で実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…WAN、2…ナビゲーションセンタ、3…ダウンロードセンタ、4…移動電話網、5…移動電話機、6…コマンドモニタ装置、21…ナビゲーションサーバ、22…地図データベース、31…アプリケーションダウンロードサーバ、32…アプリケーションデータベース、51…移動電話網インタフェース、52…ホストインタフェース、53…移動電話機能部、54…ナビゲーションクライアント、55…操作部、56…表示部、57…GPS受信機、61…移動電話機インタフェース、62…ナビゲーションエージェント、63…入力装置、64…表示装置、541…制御部、542…案内情報取得部、543…案内情報提供部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を備えた車載装置と、当該車載装置に選択的に接続される携帯端末とより構成されるナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末は、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
前記現在位置周辺の地図データと、目的地までの経路を表すルートデータとを取得する案内情報取得手段と、
前記地図データが表す地図上に前記現在位置と前記ルートデータが表す経路を描画した、所定の解像度に適合した案内画像を生成し、前記車載装置に送信する第1案内情報提供手段と、
前記ルートデータが表す経路に従って進路変更することとなる交差点に、前記現在位置が接近したときに、前記経路に従った当該交差点の通過方向を表す進路変更方向通知を前記車載装置に送信する第2案内情報提供手段と、
当該携帯端末が前記車載装置に接続されたときに、前記車載装置の前記表示装置の解像度が、前記所定の解像度である場合に、前記第1案内情報提供手段を動作させて当該第1案内情報提供手段に前記案内画像の生成と前記車載装置への送信を行わせ、前記車載装置の前記表示装置の解像度が前記所定の解像度でない場合に、前記第2案内情報提供手段を動作させて当該第2案内情報提供手段に前記進路変更方向通知を前記車載装置に送信させる制御手段とを有し、
前記車載装置は、
前記携帯端末より前記案内画像を送信された場合に、当該案内画像を前記表示装置に表示し、前記携帯端末より前記進路変更方向通知を受信したときに、当該進路変更方向通知が表す前記通過方向を表す図形を前記表示装置に表示する案内情報表示手段を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末は、
表示部と、
当該携帯端末が前記車載装置に接続されていないときに、前記地図データが表す地図上に前記現在位置と前記ルートデータが表す経路を描画した案内画像を前記表示部に表示する第3案内情報提供手段とを有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1または2記載のナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末の案内情報取得手段は、移動体通信網を介して、前記現在位置周辺の地図データと、目的地までの経路を表すルートデータとを、外部のサーバから取得することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項3記載のナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末は、当該携帯端末が前記車載装置に接続されたときに、前記車載装置の前記表示装置の解像度が、前記所定の解像度でない場合に、前記第1案内情報提供手段を、前記車載装置の前記表示装置の解像度に適合した案内画像を生成できる前記第1案内情報提供手段に更新するための更新情報を、前記移動体通信網を介して外部より取得し、取得した前記更新情報に従って前記第1案内情報提供手段を更新する更新手段を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載のナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末は、移動電話端末としての機能を備えた移動電話機であることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項6】
表示装置を備えた車載装置に選択的に接続される移動電話機であって、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
前記現在位置周辺の地図データと、目的地までの経路を表すルートデータとを取得する案内情報取得手段と、
前記地図データが表す地図上に前記現在位置と前記ルートデータが表す経路を描画した、所定の解像度に適合した案内画像を生成し、前記車載装置に送信する第1案内情報提供手段と、
前記ルートデータが表す経路に従って進路変更することとなる交差点に、前記現在位置が接近したときに、前記経路に従った当該交差点の通過方向を表す進路変更方向通知を前記車載装置に送信する第2案内情報提供手段と、
当該移動電話機が前記車載装置に接続されたときに、前記車載装置の前記表示装置の解像度が、前記所定の解像度である場合に前記第1案内情報提供手段を動作させて当該第1案内情報提供手段に前記案内画像の生成と前記車載装置への送信を行わせ、前記車載装置の前記表示装置の解像度が前記所定の解像度でない場合に、前記第2案内情報提供手段を動作させて当該第2案内情報提供手段に前記進路変更方向通知を前記車載装置に送信させる制御手段と、
表示部と、
当該移動電話機が前記車載装置に接続されていないときに、前記地図データが表す地図上に前記現在位置と前記ルートデータが表す経路を描画した案内画像を前記表示部に表示する第3案内情報提供手段を有することを特徴とする移動電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−261803(P2010−261803A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112636(P2009−112636)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】