説明

ナビゲーション装置およびその案内方法

【課題】 指定された目的地または経由地への誘導に代えて、目的地または経由地の周囲にある充電施設への誘導を行う。
【解決手段】
ナビゲーション装置は、施設の充電の可否を特定可能な充電施設情報を格納する記憶手段と、目的地の指定を受け付ける受付手段と、現在地を取得する手段と、現在地から目的地へ到る推奨経路を探索する経路探索手段と、特定の位置の施設における充電の可否を、充電施設情報を用いて判定する充電可否判定手段と、特定の位置の周辺の充電可能な施設を検索する充電施設検索手段と、推奨経路を誘導する経路誘導手段と、を備え、経路探索手段は、受付手段により受け付けた目的地において充電が不可能であると充電可否判定手段により判定された場合に、充電施設検索手段により検索された当該目的地の周辺の充電可能な施設の一つを、目的地として置き換えて推奨経路を探索する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置では、電力を動力とする車両のために、目的地に充電設備がない場合には、目的地近傍の充電可能な施設を検索して提示する技術が用いられている。特許文献1には、このようなナビゲーション装置についての技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−294463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなナビゲーション装置は、充電施設の場所を提示し、当該充電施設での充電時間に応じて、食事やレジャーに関する周囲の施設を案内するものでしかない。
【0005】
本発明の目的は、使用者から指定された目的地または経由地への案内に代えて、目的地または経由地の周囲にある充電施設への案内を行うナビゲーション技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明に係るナビゲーション装置は、施設の充電の可否を特定可能な充電施設情報を格納する記憶手段と、目的地の指定を受け付ける受付手段と、現在地を取得する手段と、前記現在地から前記目的地へ到る推奨経路を探索する経路探索手段と、特定の位置の施設における充電の可否を、前記充電施設情報を用いて判定する充電可否判定手段と、特定の位置の周辺の充電可能な施設を検索する充電施設検索手段と、前記推奨経路を誘導する経路誘導手段と、を備え、前記経路探索手段は、前記受付手段により受け付けた目的地において充電が不可能であると前記充電可否判定手段により判定された場合に、前記充電施設検索手段により検索された当該目的地の周辺の充電可能な施設の一つを、前記目的地として置き換えて推奨経路を探索する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るナビゲーション装置の案内方法では、前記ナビゲーション装置は、施設の充電の可否を特定可能な充電施設情報を格納する記憶手段と、目的地の指定を受け付ける受付手段と、現在地を取得する手段と、前記現在地から前記目的地へ到る推奨経路を探索する経路探索手段と、特定の位置の施設において充電が可能であるか否かを、前記充電施設情報を用いて判定する充電可否判定手段と、特定の位置の周辺の充電可能な施設を検索する充電施設検索手段と、前記推奨経路を誘導する経路誘導手段と、を備え、前記受付手段により受け付けた目的地において充電が不可能であるか否かを判定する充電可否判定ステップと、前記充電可否判定ステップにおいて充電が不可能であると判定された場合に、前記充電施設検索手段により検索された当該目的地の周辺の充電可能な施設の一つを、前記目的地として置き換える置換ステップと、前記置き換えた目的地について推奨経路を探索する経路探索ステップと、前記推奨経路を誘導する経路誘導ステップと、を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、使用者から指定された目的地または経由地への案内に代えて、目的地または経由地の周囲にある充電施設への案内を行うナビゲーション技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、リンクテーブルの構成を示す図である。
【図3】図3は、施設テーブルの構成を示す図である。
【図4】図4は、バッテリー状態テーブルの構成を示す図である。
【図5】図5は、演算処理部の機能構成図である。
【図6】図6は、充電施設検索処理のフロー図である。
【図7】図7は、充電施設検索処理による目的地変更の例を示す図である。
【図8】図8は、経由地充電施設検索処理のフロー図である。
【図9】図9は、経由地充電施設検索処理による経由地変更の例を示す図である。
【図10】図10は、行き先履歴テーブルの構成を示す図である。
【図11】図11は、充電施設検索処理の変形例のフロー図である。
【図12】図12は、充電施設検索処理の変形例による履歴表示画面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の第一の実施形態を適用したナビゲーション装置について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に、ナビゲーション装置100の全体構成図を示す。ナビゲーション装置100は、地図情報を表示して、ナビゲーション装置100の現在地を示す地点と、設定された目的地までの経路を誘導する情報とを示すことが可能ないわゆるナビゲーション装置である。なお、ナビゲーション装置100は、図示しない通信網を介して図示しない外部のサーバと通信を行うことが可能であり、当該外部のサーバ等から種々の情報、例えば地図の更新情報や施設ごとの充電設備等の詳細な情報を定期的あるいは使用者からの指示により受信することができる。
【0012】
ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(音声入力装置としてマイクロフォン41、音声出力装置としてスピーカ42を備える)と、入力装置5と、ROM装置6と、車速センサ7と、ジャイロセンサ8と、GPS(Global Positioning System)受信装置9と、FM多重放送受信装置10と、ビーコン受信装置11と、通信装置12と、を備えている。
【0013】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ7,8やGPS受信装置9、FM多重放送受信装置10等から出力される情報に基づいて現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3あるいはROM装置6から読み出す。
【0014】
また、演算処理部1は、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2へ出力する。また、記憶装置3あるいはROM装置6に記憶されている地図データ等を用いて、使用者から指示された出発地又は現在地と、目的地(または、経由地や立ち寄り地)と、を結ぶ最適な経路(以下、推奨経路という)を探索する。また、スピーカ42やディスプレイ2を用いて使用者を誘導するための誘導情報を生成し、生成した誘導情報をスピーカ42やディスプレイ2に出力する。
【0015】
また、演算処理部1は、後述するように、目的地あるいは経由地を設定した経路探索時に、目的地、経由地、バッテリーの充電状態等が所定の条件を満たすか否かを判定し、条件を満たす場合には、目的地あるいは経由地を、その周辺の充電施設と置き換える充電施設検索処理および経由地充電施設検索処理を行うことができる。
【0016】
ナビゲーション装置100の演算処理部1は、各デバイス間をバス25で接続した構成である。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1と接続するためのI/F(インターフェイス)24と、を有する。
【0017】
ディスプレイ2は、文字や画像の表示を行うための画面を備え、演算処理部1等で生成されたグラフィックス情報を前記画面上に表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0018】
記憶装置3は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカードといった、少なくとも読み書きが可能な記憶媒体で構成される。
【0019】
この記憶媒体には、通常の経路探索装置に必要な地図データ(地図上の道路を構成するリンクのリンクデータを含む)であるリンクテーブル200と、施設ごとに、施設の充電サービスに関する情報が格納される施設テーブル300と、バッテリーの充電状態を管理するためのバッテリー状態テーブル400と、が記憶されている。
【0020】
図2は、リンクテーブル200の構成を示す図である。リンクテーブル200は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)201ごとに、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ202を含んでいる。
【0021】
リンクデータ202は、リンクの識別子であるリンクID211ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報222、リンクを含む道路の種別を示す道路種別223、リンクの長さを示すリンク長224、予め記憶されたリンク旅行時間225、当該リンクの開始ノードに接続するリンクである開始接続リンクと、当該リンクの終了ノードに接続するリンクである終了接続リンクと、を特定する開始接続リンク、終了接続リンク226、リンクを含む道路の制限速度を示す制限速度227、などを含んでいる。
【0022】
なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理するようにしている。
【0023】
図3は、施設テーブル300の構成を示す図である。施設テーブル300は、外部に存在するサーバ等から無線通信網等を介して受信した、施設ごとの充電サービスに関する情報を格納する。なお、施設テーブル300は、あらかじめ、施設ごとの充電サービスに関する情報が格納されており、上記受信した情報によって定期的にあるいは使用者からの指示に応じて更新される。
【0024】
施設ID301には、所定の施設を特定する識別子である施設IDが格納される。例えば、ショッピングモールや、ガソリンスタンド、駐車場、その他の施設を識別することのできる識別子が格納される。
【0025】
また、施設ID301により特定される施設の情報に含まれる位置情報311には、施設ID301に格納された情報に対応付けられた施設の位置を特定する情報が格納される。例えば、施設ID301に対応付けられた施設の位置を特定する情報として、当該施設の緯度経度等の情報が格納される。なお、当該施設の緯度経度とは、あらかじめ施設を代表する位置として定められた緯度経度の情報である。また、当該施設の緯度経度とは、施設の中心位置や、施設の入口の位置等を特定する情報である。
【0026】
施設ID301により特定される施設の情報に含まれる施設種類312には、施設ID301に格納された情報に対応付けられた施設の種類を特定する情報が格納される。例えば、施設ID301に対応付けられた施設の種類を特定する情報として、「ショッピングセンター」等の情報が格納される。
【0027】
また、施設ID301により特定される施設の情報に含まれる駐車場利用可313には、施設ID301に格納された情報に対応付けられた施設が駐車場として利用可であるか否かを特定する情報が格納される。例えば、施設ID301に対応付けられた施設の駐車場としての利用可であるか否かを特定する情報として、「Yes」、「No」の情報が格納される。なお、駐車場として利用可である施設は、充電完了後も所定の利用条件を満たす限りにおいて、例えば駐車料金を支払う場合には、駐車場として利用できる施設である。駐車場として利用可でない施設は、充電完了後は速やかに当該施設から退出しなければならない施設であるとする。
【0028】
施設ID301により特定される施設の情報に含まれる充電設備有無314には、施設ID301に格納された情報に対応付けられた施設が充電設備を備えるか否かを特定する情報が格納される。例えば、施設ID301に対応付けられた施設の充電設備の有無を特定する情報として、「有」、「無」等の情報が格納される。
【0029】
施設ID301により特定される施設の情報に含まれる外来充電可否315には、施設ID301に格納された情報に対応付けられた施設が外来者に対して充電サービスを提供するか否かを特定する情報が格納される。なお、ここでは、外来者とは、一時利用者のことをいう。施設ID301に対応付けられた施設が、外来者に対して充電サービスの提供が可能でない施設とは、施設の利用者に限定して充電サービスを提供する施設等のことである。例えば、当該施設が宿泊施設である場合に、宿泊客に限定して充電施設を利用可とするもの等があてはまる。
【0030】
図4は、バッテリー状態テーブル400の構成を示す図である。バッテリー状態テーブル400は、車載バッテリーを用いて走行可能な残距離を特定するための情報を格納する。具体的には、バッテリー状態テーブル400には、満充電走行可能距離401と、充電残量402と、走行可能距離403と、が格納される。なお、満充電走行可能距離401には、あらかじめ定められた値が格納されている。
【0031】
満充電走行可能距離401には、ナビゲーション装置100が搭載された車両の動力用車載バッテリーが満充電である場合に、所定の電圧(バッテリー管理モジュールごとに異なる)を維持してバッテリーすなわち充電池から電気を取り出すことができる電気量によって走行可能な距離が格納される。例えば、満充電状態から200km連続走行できる場合には、「200km」の距離情報が格納される。
【0032】
充電残量402には、ナビゲーション装置に搭載された車両の動力用車載バッテリーが、所定の電圧(バッテリー管理モジュールごとに異なる)を維持してバッテリーすなわち充電池から電気を取り出すことができる電気量のうち、バッテリーの残量が占める比率を特定する情報が格納される。例えば、満充電状態の状態から使用可能な電気量のうち、「40%」を消費した場合には、充電残量402には「60%」の比の情報が格納される。
【0033】
走行可能距離403には、ナビゲーション装置に搭載された車両の動力用車載バッテリーから、所定の電圧(バッテリー管理モジュールごとに異なる)を維持して取り出すことができる電気量によって走行可能な距離を特定する情報が格納される。例えば、満充電の状態から使用可能な電気量によって200km走行可能な車両において、充電残量が60%である場合には、走行可能距離403には200kmの60%にあたる「120km」の走行可能距離の情報が格納される。
【0034】
図1に戻って説明する。音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、使用者やその他の搭乗者が発した声などのナビゲーション装置100の外部の音声を取得する。
【0035】
スピーカ42は、演算処理部1で生成された使用者へのメッセージ等の音声情報を音声として出力する。マイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配されている。ただし、一体の筐体に収納されていても良い。ナビゲーション装置100は、マイクロフォン41及びスピーカ42を、それぞれ複数備えることができる。
【0036】
入力装置5は、使用者からの指示を使用者による操作を介して受け付ける装置である。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示しない)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。
【0037】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面側に搭載され、表示画面を透視可能である。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0038】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、回転角度を求める。
【0039】
ROM装置6は、CD-ROMやDVD-ROM等のROM(Read Only Memory)や、IC(Integrated Circuit)カードといった、少なくとも読み取りが可能な記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、動画データや、音声データなどが記憶されている。
【0040】
車速センサ7,ジャイロセンサ8およびGPS受信装置9は、ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。車速センサ7は、車速を算出するのに用いる値を出力するセンサである。ジャイロセンサ8は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置9は、GPS衛星からの信号を受信し移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度および進行方位を測定するものである。
【0041】
FM多重放送受信装置10は、FM放送局から送られてくるFM多重放送信号を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information Communication System:登録商標)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報などやFM多重一般情報としてラジオ局が提供する文字情報などがある。
【0042】
ビーコン受信装置11は、VICS情報などの概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報や緊急警報などを受信する。例えば、光により通信する光ビーコン、電波により通信する電波ビーコン等の受信装置である。
【0043】
通信装置12は、図示しない無線通信網に接続する。このような通信装置12は、例えば携帯電話網に接続して外部の情報配信センター等のセンターのサーバとデータ通信を行う装置であり、例えば使用者の携帯電話機を取り付けられて通信が可能となるものを含む。
【0044】
図5は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、出力処理部103と、バッテリー管理部104と、充電管理部105と、経路探索部106と、施設検索部107と、を有する。
【0045】
主制御部101は、様々な処理を行う中心的な機能部であり、処理内容に応じて、他の処理部を制御する。また、各種センサ7、8、GPS受信装置9等の情報を取得し、マップマッチング処理等を行って現在地を特定する。また、随時、走行した日付および時刻と、位置と、を対応付けて、リンクごとに走行履歴を記憶装置3に記憶する。さらに、各処理部からの要求に応じて、GPS受信装置9によって受信したGPS情報に含まれる現在時刻を出力する。また、主制御部101は、他の処理部から推奨経路の情報を要求されると、当該情報を出力する。
【0046】
入力受付部102は、入力装置5またはマイクロフォン41を介して入力された使用者からの指示を受け付け、その要求内容に対応する処理が実行されるように、受け付けた要求内容を主制御部101に出力する。例えば、使用者が推奨経路の探索を要求したときは、受け付けた推奨経路の探索要求を主制御部101へ出力する。
また、所定の機能メニュー画面がディスプレイ2に表示されている状態で、メニュー内の様々な操作について、タッチパネル51を介して入力を受け付ける。
【0047】
出力処理部103は、例えば表示対象の画面の構成情報を受け取り、ディスプレイ2に描画するためのグラフィックス情報に変換して、ディスプレイ2に対して描画する指示を行う。また、処理内容に応じて、スピーカ42から出力する指示を行う。
【0048】
バッテリー管理部104は、バッテリーに関する情報を管理する。具体的には、バッテリー管理部104は、バッテリーの残量を監視し、他の処理部から残量情報の要求を受け付けると、残量を示す情報を当該要求元に出力する。なお、本実施例においては、バッテリー管理部104は、バッテリーの残量の情報を、バッテリーに付属するバッテリー管理モジュール(図示せず)から百分率で取得し、残量の情報として充電残量402に格納する。また、バッテリー管理部104は、所定の電圧を維持してバッテリーから電力を取り出せる電力量によって走行できる距離(以降、「満充電走行可能距離」という)およびバッテリーの充電残量402により走行できる距離(以降、「走行可能距離」という)をバッテリー状態テーブル400に記憶させる。そのため、バッテリー管理部104は、他の処理部から満充電走行可能距離または走行可能距離の情報の開示要求を受け付けると、これらの情報を当該要求元に出力する。
【0049】
充電管理部105は、経路探索の指示と目的地の指定を受け付け、充電残量の程度等の所定の条件に応じて、目的地をその周辺の充電施設に置き換える充電施設検索処理を行う。充電施設検索処理の詳細は後述する。なお、充電施設検索処理において目的地を充電施設に置き換えるか否かは、目的地で充電が可能か否か、目的地への到着時点の予測充電残量が所定の割合以下か否か、目的地の周辺に充電施設があるか否かに応じて判定する。
【0050】
また、充電管理部105は、経由地についても、その周辺の充電施設に置き換える経由地充電施設検索処理を行う。経由地充電施設検索処理の詳細は後述する。なお、経由地充電施設検索処理において、経由地を充電施設に置き換えるか否かは、目的地への到着時点の予測充電残量が所定の割合以下か否か、目的地の周辺に充電施設があるか否か、経由地で充電が可能か否か、経由地の周辺に充電施設があるか否か等の条件に応じて判定する。
【0051】
経路探索部106は、使用者から指示された出発地又は現在地と、目的地と、を結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。当該経路探索においては、ダイクストラ法等の経路探索ロジックを用いて、道路の所定の区間(リンク)に対して予め設定されたリンクコストに基づいて経路を探索する。なお、経路探索部106は、経路探索の際に、現在の日時に基づいて予測した到着日時・日の種類に対応する統計情報に含まれるリンクコストを用いて探索するようにしてもよい。
【0052】
施設検索部107は、他の処理部からの指示を受けて、指定された地点の周辺の充電施設を検索する。また、施設検索部107は、他の処理部からの指示を受けて、現在地の周辺の充電施設を検索する。具体的には、施設検索部107は、所定の地点が指定されている場合にはその地点から、所定の地点が指定されていない場合には現在地を主制御部101から取得して当該現在地から、所定の距離内(例えば、200m以内)にある充電施設を抽出する。そして、指示元の処理部へ抽出した充電施設を出力する。なお、施設検索部107は、施設テーブル300の位置情報311が指定された地点または現在地から所定の距離内にあるか否かによって、周辺施設の検索を行う。また、施設検索部107は、充電設備有無314の値が「有」であって、かつ、駐車場利用可313の値が「Yes」であり、外来充電可否315の値が「可」である施設を、充電施設として特定する。
【0053】
上記した演算処理部1の各機能部、すなわち主制御部101、入力受付部102、出力処理部103、バッテリー管理部104、充電管理部105、経路探索部106、施設検索部107は、CPU21が所定のプログラムを読み込み実行することにより構築される。そのため、RAM22には、各機能部の処理を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0054】
なお、上記した各構成要素は、ナビゲーション装置100の構成を、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。そのため、構成要素の分類の仕方やその名称によって、本願発明が制限されることはない。ナビゲーション装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0055】
また、各機能部は、ハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0056】
[動作の説明]次に、ナビゲーション装置100が実施する充電施設検索処理の動作について説明する。図6は、ナビゲーション装置100が実施する充電施設検索処理を示すフロー図である。このフローは、ナビゲーション装置100が稼働している状態において、所定の機能メニュー表示画面が操作されると開始される。
【0057】
まず、入力受付部102は、タッチパネル51等を介して検知した入力情報を受け付けて、目的地および経路探索指示を受け付け、主制御部101へ選択された内容を出力する(ステップS001)。そして、主制御部101は、入力受付部102、出力処理部103、バッテリー管理部104、充電管理部105、経路探索部106、施設検索部107に順次指示を出して、以下の処理を実行させる。
【0058】
まず、充電管理部105は、現在地を取得する(ステップS002)。具体的には、充電管理部105は、主制御部101に対して現在地の情報を要求し、主制御部101は当該要求を受け付けると、現在地を特定する情報を充電管理部105に出力する。
【0059】
そして、経路探索部106は、現在地から目的地へ到る経路を探索し、主制御部101へ出力する。主制御部101は、探索した経路を経路誘導を行う対象である推奨経路として設定する(ステップS003)。なお、当該経路探索部106による経路探索において、経路探索部106は、上述のとおりダイクストラ法等による通常の経路探索を行う。
【0060】
そして、主制御部101から処理の指示を受けた充電管理部105は、ステップS001にて受け付けた目的地について、当該目的地において充電が可能であるか否かを判定する(ステップS004)。具体的には、充電管理部105は、施設テーブル300を参照して、ステップS001にて受け付けた目的地となる施設が、充電可能であるか否かを判定する。なお、充電管理部105は、当該施設が充電可能であるか否かを判定する処理においては、充電設備有無314の値が「有」であって、かつ、駐車場利用可313の値が「Yes」であり、外来充電可否315の値が「可」である施設を、充電施設として特定する。
【0061】
目的地で充電が可能であれば(ステップS004にて「Yes」)、充電管理部105は、充電施設検索処理を終了する。すなわち、主制御部101は、ステップS003にて設定された推奨経路について経路誘導を開始する。
【0062】
目的地で充電が可能でなければ(ステップS004にて「No」)、充電管理部105は、満充電走行可能距離および走行可能距離を取得する(ステップS005)。具体的には、充電管理部105は、バッテリー管理部104に満充電走行可能距離および走行可能距離を要求する。そして、バッテリー管理部104は、バッテリー状態テーブル400を参照して、満充電走行可能距離401の値に充電残量402の割合を乗じて走行可能距離403に格納するとともに、満充電走行可能距離401の値と、走行可能距離403の値とを充電管理部105に出力する。
【0063】
充電管理部105は、目的地への到着時の充電残量を予測する(ステップS006)。具体的には、充電管理部105は、下式(1)に従って、目的地への到着時の充電残量を算出し、予測値とする。
【0064】
目的地到着時充電残量=(現在の走行可能距離−推奨経路の経路長)/満充電走行可能距離×100・・・式(1)
【0065】
上記式(1)において、現在の走行可能距離とは、ステップS005にて取得した走行可能距離に相当するものである。すなわち、現在の走行可能距離は、充電施設検索処理のステップS005の処理実施時点での充電残量にあたる。また、推奨経路の経路長とは、ステップS003にて探索した推奨経路の経路長に相当するものである。また、満充電走行可能距離とは、ステップS005にて取得した満充電走行可能距離に相当するものである。
【0066】
充電管理部105は、上記式(1)により求めた目的地への到着時の充電残量の予測値(つまり、予測残量)が所定の割合(例えば、50%)を上回っているか否かを判定する(ステップS007)。
【0067】
予測残量が所定の割合を上回っている場合(ステップ007にて「Yes」)、充電管理部105は、充電施設検索処理を終了する。すなわち、主制御部101は、ステップS003にて設定された推奨経路について経路誘導を開始する。
【0068】
予測残量が所定の割合以下である場合(ステップS007にて「No」)、施設検索部107は、目的地の周辺にある充電施設の検索を行う(ステップS008)。そして、充電管理部105は、目的地周辺の充電施設の検索の結果、充電施設が存在するか否かを判定する(ステップS009)。
【0069】
充電施設が存在しない場合(ステップS009にて「No」)、充電管理部105は、充電施設検索処理を終了する。すなわち、主制御部101は、ステップS003にて設定された推奨経路について経路誘導を開始する。
【0070】
充電施設が存在する場合(ステップS009にて「Yes」)、充電管理部105は、当該充電施設を、経路探索の目的地として設定する(ステップS010)。具体的には、充電管理部105は、ステップS008にて検索した充電施設のうち、目的地との距離(例えば、直線距離)が最も近い充電施設を、経路探索の目的地として設定する。
【0071】
そして、経路探索部106は、現在地から経路探索の目的地へ到る経路を探索し、主制御部101へ出力する。主制御部101は、探索した経路を経路誘導を行う対象である推奨経路として設定する(ステップS011)。そして、主制御部101は、探索した経路を示す画面を構成し、出力処理部103に出力させる。なお、当該経路探索部106による経路探索においては、経路探索部106は、上述のとおりダイクストラ法等による通常の経路探索を行う。
【0072】
以上が、充電施設検索処理の処理内容である。このようにすることで、主制御部101は、推奨経路に従って経路の誘導情報を生成し、出力することができる。そのため、ナビゲーション装置100は、使用者から指定された目的地への案内に代えて、目的地の周囲にある充電施設への案内を行うことができるといえる。また、目的地に代えて充電施設への案内を行う条件は、目的地で充電可能でないこと、目的地への到着時に充電残量が所定の割合以下であること、目的地の周辺に充電施設があること、であるといえる。
【0073】
図7(a)は、ステップS003にて推奨経路が設定されたあと、出力処理部103によりディスプレイ2に表示される画面400の例を示す図である。画面400では、現在地および向きを示すカーマーク401と、目的地を示す目的地マーク402と、現在地から目的地へ到る経路を実線で示す経路403と、が地図上のそれぞれ対応する位置に表示される。ここで、主制御部101は、ステップS002にて取得した現在地をカーマーク401により表示し、ステップS001にて受け付けた目的地を目的地マーク402により表示し、ステップS003にて探索した推奨経路を経路403にて表示するよう画面情報を構成する。
【0074】
図7(b)は、ステップS011にて目的地に代えて充電施設への推奨経路が設定されたあと、出力処理部103によりディスプレイ2に表示される画面410の例を示す図である。画面410では、現在地および向きを示すカーマーク401と、元の目的地を示す目的地マーク402と、新たな目的地とされた充電施設を示す変更目的地マーク411と、現在地から新たな目的地とされた充電施設へ到る経路を実線で示す経路412と、変更目的地マーク411に対応付けられた、元の目的地への到着時点の充電残量の予測量が示される残量表示413と、が地図上のそれぞれ対応する位置に表示される。ここで、主制御部101は、ステップS002にて取得した現在地をカーマーク401により表示し、ステップS001にて受け付けた目的地を点線の目的地マーク402により表示し、ステップS010において探索目的地として設定した充電施設を変更目的地マーク411により表示し、ステップS011にて探索した推奨経路を経路412にて表示し、ステップS006にて算出した予測残量を残量表示413にて表示するよう、画面情報を構成する。
【0075】
次に、ナビゲーション装置100が実施する経由地充電施設検索処理の動作について説明する。図8は、ナビゲーション装置100が実施する経由地充電施設検索処理を示すフロー図である。このフローは、ナビゲーション装置100が稼働している状態において、目的地への経路が設定されている場合に、経由地設定用のメニューが操作されると開始される。
【0076】
まず、入力受付部102は、タッチパネル51等を介して検知した入力情報を受け付けて、経由地および経路探索指示を受け付け、主制御部101へ選択された内容を出力する(ステップS101)。そして、主制御部101は、入力受付部102、出力処理部103、バッテリー管理部104、充電管理部105、経路探索部106、施設検索部107に順次指示を出して、以下の処理を実行させる。
【0077】
まず、充電管理部105は、現在地を取得する(ステップS102)。具体的には、充電管理部105は、主制御部101に対して現在地の情報を要求し、主制御部101は当該要求を受け付けると、現在地を特定する情報を充電管理部105に出力する。
【0078】
そして、経路探索部106は、現在地から経由地を経由して目的地へ到る経路を探索し、主制御部101へ出力する。主制御部101は、探索した経路を経路誘導を行う対象である推奨経路として設定する(ステップS103)。なお、当該経路探索部106による経路探索において、経路探索部106は、上述のとおりダイクストラ法等による通常の経路探索を行う。
【0079】
そして、主制御部101から処理の指示を受けた充電管理部105は、満充電走行可能距離および走行可能距離を取得する(ステップS104)。具体的には、充電管理部105は、バッテリー管理部104に満充電走行可能距離および走行可能距離を要求する。そして、バッテリー管理部104は、バッテリー状態テーブル400を参照して、満充電走行可能距離401の値に充電残量402の割合を乗じて走行可能距離403に格納するとともに、満充電走行可能距離401の値と、走行可能距離403の値とを充電管理部105に出力する。
【0080】
充電管理部105は、目的地への到着時の充電残量を予測する(ステップS105)。具体的には、充電管理部105は、上述の式(1)に従って、目的地への到着時の充電残量を算出し、予測値とする。なお、経由地充電施設検索処理においては、上述の式(1)において、現在の走行可能距離とは、ステップS104にて取得した走行可能距離に相当するものである。すなわち、現在の走行可能距離は、経由地充電施設検索処理のステップS104の処理実施時点での充電残量にあたる。また、推奨経路の経路長とは、推奨経路の経路長のうち、目的地までの未走行部分の距離に相当するものである。また、満充電走行可能距離とは、ステップS104にて取得した満充電走行可能距離に相当するものである。
【0081】
充電管理部105は、上記式(1)により求めた目的地への到着時の充電残量の予測値(つまり、予測残量)が所定の割合(例えば、50%)を上回っているか否かを判定する(ステップS106)。
【0082】
予測残量が所定の割合を上回っている場合(ステップ106にて「Yes」)、施設検索部107は、目的地の周辺にある充電施設の検索を行う(ステップS107)。そして、充電管理部105は、目的地周辺の充電施設の検索の結果、充電施設が存在するか否かを判定する(ステップS108)。
【0083】
充電施設が存在しない場合(ステップS108にて「No」)、充電管理部105は、経由地充電施設検索処理を終了する。すなわち、主制御部101は、ステップS103にて設定された推奨経路について経路誘導を開始する。
【0084】
充電施設が存在する場合(ステップS108にて「Yes」)、充電管理部105は、当該充電施設を、経路探索の目的地として設定する(ステップS109)。具体的には、充電管理部105は、ステップS107にて検索した充電施設のうち、目的地との距離(例えば、直線距離)が最も近い充電施設を、経路探索の目的地として設定する。
【0085】
そして、経路探索部106は、現在地から経由地を経由して経路探索の目的地へ到る経路を探索し、主制御部101へ出力する。主制御部101は、探索した経路を経路誘導を行う対象である推奨経路として設定する(ステップS110)。そして、主制御部101は、探索した経路を示す画面を構成し、出力処理部103に出力させる。なお、当該経路探索部106による経路探索においては、経路探索部106は、上述のとおりダイクストラ法等による通常の経路探索を行う。そして、経路探索部106は、充電施設検索処理を終了する。すなわち、主制御部101は、ステップS110にて設定された推奨経路について経路誘導を開始する。
【0086】
予測残量が所定の割合以下である場合(ステップ106にて「No」)、充電管理部105は、ステップS101にて受け付けた経由地について、当該経由地において充電が可能であるか否かを判定する(ステップS111)。具体的には、充電管理部105は、施設テーブル300を参照して、ステップS101にて受け付けた経由地となる施設が、充電可能であるか否かを判定する。なお、充電管理部105は、当該施設が充電可能であるか否かを判定する処理においては、充電設備有無314の値が「有」であって、かつ、駐車場利用可313の値が「Yes」であり、外来充電可否315の値が「可」である施設を、充電施設として特定する。
【0087】
経由地で充電が可能であれば(ステップS111にて「Yes」)、充電管理部105は、経由地充電施設検索処理を終了する。すなわち、主制御部101は、ステップS103にて設定された推奨経路について経路誘導を開始する。
【0088】
経由地で充電が可能でなければ(ステップS111にて「No」)、施設検索部107は、経由地の周辺にある充電施設の検索を行う(ステップS112)。そして、充電管理部105は、経由地周辺の充電施設の検索の結果、充電施設が存在するか否かを判定する(ステップS113)。
【0089】
経由地周辺に充電施設が存在しない場合(ステップS113にて「No」)、充電管理部105は、経由地に到着するまでに充電するよう案内情報を表示する(ステップS114)。具体的には、充電管理部105は、主制御部101に対して「経由地に到着するまでに、最寄りの充電施設で充電を行ってください」と案内するメッセージをディスプレイ2に表示させ、音声メッセージをスピーカ42から出力するよう指示する。主制御部101は、当該メッセージを出力するよう出力処理部103に指示することで、当該メッセージが表示され、音声案内として出力される。そして、充電管理部105は、経由地充電施設検索処理を終了する。すなわち、主制御部101は、ステップS103にて設定された推奨経路について経路誘導を開始する。
【0090】
充電施設が存在する場合(ステップS113にて「Yes」)、充電管理部105は、当該充電施設を、経路探索の経由地として設定する(ステップS115)。具体的には、充電管理部105は、ステップS112にて検索した充電施設のうち、経由地との距離(例えば、直線距離)が最も近い充電施設を、経路探索の経由地として設定する。
【0091】
そして、経路探索部106は、現在地から経路探索の経由地を経由して経路探索の目的地へ到る経路を探索し、主制御部101へ出力する。主制御部101は、探索した経路を経路誘導を行う対象である推奨経路として設定する(ステップS116)。そして、主制御部101は、探索した経路を示す画面を構成し、出力処理部103に出力させる。なお、当該経路探索部106による経路探索においては、経路探索部106は、上述のとおりダイクストラ法等による通常の経路探索を行う。そして、経路探索部106は、充電施設検索処理を終了する。すなわち、主制御部101は、ステップS116にて設定された推奨経路について経路誘導を開始する。
【0092】
以上が、経由地充電施設検索処理の処理内容である。このようにすることで、主制御部101は、推奨経路に従って経路の誘導情報を生成し、出力することができる。そのため、ナビゲーション装置100は、使用者から指定された経由地への案内に代えて、経由地の周囲にある充電施設への案内を行うことができるといえる。また、経由地に代えて充電施設への案内を行う条件は、目的地への到着時に充電残量が所定の割合以下であること、経由地で充電可能でないこと、経由地の周辺に充電施設があること、であるといえる。
【0093】
図9(a)は、ステップS103にて推奨経路が設定されたあと、出力処理部103によりディスプレイ2に表示される画面500の例を示す図である。画面500では、現在地および向きを示すカーマーク501と、目的地を示す目的地マーク502と、経由地を示す経由地マーク503と、現在地から経由地を経由して目的地へ到る経路を実線で示す経路504と、が地図上のそれぞれ対応する位置に表示される。ここで、主制御部101は、ステップS102にて取得した現在地をカーマーク501により表示し、予め設定された目的地を目的地マーク502により表示し、ステップS101にて受け付けた経由地を経由地マーク503により表示し、ステップS103にて探索した推奨経路を経路504にて表示するよう画面情報を構成する。
【0094】
図9(b)は、ステップS116にて経由地に代えて充電施設への推奨経路が設定されたあと、出力処理部103によりディスプレイ2に表示される画面510の例を示す図である。画面510では、現在地および向きを示すカーマーク501と、目的地を示す目的地マーク502と、元の経由地を示す経由地マーク503と、新たな経由地とされた充電施設を示す変更経由地マーク511と、現在地から新たな経由地とされた充電施設を経由して目的地へ到る経路を実線で示す経路512と、目的地マーク502に対応付けられた、目的地への到着時点の充電残量の予測量が示される残量表示513と、が地図上のそれぞれ対応する位置に表示される。ここで、主制御部101は、ステップS102にて取得した現在地をカーマーク501により表示し、ステップS101にて受け付けた経由地を点線の経由地マーク503により表示し、ステップS115において探索経由地として設定した充電施設を変更経由地マーク511により表示し、ステップS116にて探索した推奨経路を経路512にて表示し、ステップS105にて算出した予測残量を残量表示513にて表示するよう、画面情報を構成する。
【0095】
以上、本発明の第一の実施形態について説明した。本発明の第一の実施形態によると、ナビゲーション装置100は、使用者から指定された目的地または経由地への案内に代えて、目的地または経由地の周囲にある充電施設への案内を行うことが可能となる。このことは、例えば、使用者が地理に詳しくない地域において、充電施設を適切に選択することの一助となり、不意にバッテリーが電力不足になってしまうトラブルを未然に回避することにつながる。
【0096】
本発明は、上記第一の実施形態に制限されない。上記第一の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、充電施設検索処理において、目的地への到着時の充電残量が所定の割合以下であれば、目的地を周辺の充電施設に置き換えているが、これに限られない。すなわち、当該目的地から自車の保管場所(車庫)のある地点(通常、自宅が該当する)まで充電残量が走行可能に維持されると見込まれる場合には、目的地を周辺の充電施設に置き換えないこととしてもよい。このようにすることで、十分な充電を行うことができる自宅に十分に近い目的地であれば、わざわざ充電施設を案内される煩わしさを避けることができる。
【0097】
また例えば、目的地/経由地の代わりに充電施設を探索目的地とする場合に、充電管理部105は、使用者から目的地/経由地の代わりに充電施設を探索目的地とすることの承諾を得て実施するようにしてもよい。このようにすることで、使用者の意図に反して勝手に目的地/経由地が置き換わってしまうことを避けることが可能となる。
【0098】
また例えば、充電施設のある自宅付近であれば、目的地に代える充電施設を優先的に自宅とするようにしてもよい。このようにすることで、ナビゲーション装置100は、自宅での充電を優先した経路の誘導が可能となる。
【0099】
また例えば、第1の実施形態における充電施設検索処理のステップS003において現在地から目的地へ到る経路を探索しているが、これを行わず、かつ、ステップS006において用いる経路長の代わりに現在地から目的地までの直線距離を用いるようにしてもよい。なお、この場合には、ステップS004で「Yes」である場合、ステップS007で「Yes」である場合、およびステップS009で「No」である場合にステップS011を実施するようにする必要がある。このようにすることで、経路探索処理を行う回数を減らすことができるようになり、応答速度を早くすることができる。
【0100】
また例えば、第1の実施形態における経由地充電施設検索処理のステップS106において、目的地への到着時の予測残量が50%を超過する場合(ステップS106にて「Yes」)、ステップS107〜ステップS110の処理を実施することとしているが、これに限られない。例えば、ステップS107の処理を開始する前に、充電管理部105は、目的地への到着時の予測残量が80%を超過するか否かを判定し、超過する場合には目的地周辺の充電施設の検索を行わずに経由地充電施設検索処理を終了させるようにしてもよい。このようにすることで、目的地に到着しても充電残量が十分にある場合に、必要以上に充電施設に立寄る経路を設定してしまうことを防ぐことができる。
【0101】
また例えば、ナビゲーション装置100には、通常、目的地あるいは経由地に設定した位置を履歴情報として記憶しておき、当該履歴から選択することで一度訪れた目的地に向う経路誘導を行う、履歴からの目的地設定機能を備えるものが多い。充電施設検索処理において充電施設を目的地に代えた場合には、本来向かった目的地が履歴に残らなくなってしまうため、当該履歴からの目的地設定機能にとって都合がよくないことがある。これを避けるため、以下のように変形するようにしてもよい。
【0102】
当該変形例においては、記憶装置3には、さらに、行き先履歴テーブル600を備え、充電施設検索処理においては、当該行き先履歴テーブル600に、元の目的地に関する情報を格納する。以下、具体的に第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0103】
図10は、記憶装置3に格納される行き先履歴テーブル600の構成を示す図である。行き先履歴テーブル600は、一件の経路探索を特定する探索履歴ID601と、当該探索履歴IDごとに、目的地/経由地の名称/住所611、位置情報612、行き先変更有無613、経路探索目的地614、最終探索日時615を備える。
探索履歴ID601には、探索履歴を特定する識別子である探索履歴IDが格納される。例えば、一つの目的地を設定して経路探索を行った探索を識別することのできる識別子が格納される。
【0104】
また、探索履歴ID601により特定される探索の情報に含まれる名称/住所611には、探索の目的地あるいは経由地の名称あるいは住所を特定する情報が格納される。
【0105】
また、探索履歴ID601により特定される探索の情報に含まれる位置情報612には、探索履歴ID601にて特定される探索における目的地/経由地の位置を特定する情報が格納される。例えば、目的地/経由地の位置を特定する情報として、緯度経度等の情報が格納される。なお、緯度経度は、あらかじめ目的地/経由地を代表する位置として定められた緯度経度の情報である。例えば、緯度経度は、目的地/経由地の中心位置や、入口の位置等を特定する情報である。
【0106】
また、探索履歴ID601により特定される探索の情報に含まれる行き先変更有無613には、探索履歴ID601にて特定される探索における目的地/経由地について、充電施設への置き換えがなされたか否かを特定する情報が格納される。
【0107】
また、探索履歴ID601により特定される探索の情報に含まれる経路探索目的地614には、探索履歴ID601にて特定される探索において目的地/経由地に置き換えた充電施設の位置を特定する情報が格納される。例えば、充電施設の位置を特定する情報として、緯度経度等の情報が格納される。なお、緯度経度は、あらかじめ充電施設を代表する位置として定められた緯度経度の情報である。
【0108】
また、探索履歴ID601により特定される探索の情報に含まれる最終探索日時615には、探索履歴ID601にて特定される探索がなされた日時を特定する情報が格納される。
【0109】
図11は、当該変形例における充電施設検索処理のフローを示す図である。当該変形例における充電施設検索処理は、基本的に、第1の実施形態にて説明した充電施設検索処理と同様の処理である。しかし、ステップS011の推奨経路の設定後に、ステップS001にて受け付けた目的地を行き先履歴テーブル600に記録するステップS212を実施する点において相違する。
【0110】
充電管理部105は、ステップS011の推奨経路の設定後、ステップS001にて受け付けた目的地を行き先履歴テーブル600に記録する(ステップS212)。具体的には、充電管理部105は、ステップS001にて受け付けた目的地の名称を、履歴管理テーブルの対応する履歴の名称/住所611に格納し、当該目的地の緯度経度の情報を位置情報612に格納する。そして、充電管理部105は、行き先変更有無615に「有」の値を格納し、経路探索目的地614にはステップS010にて経路探索目的地とした充電施設の緯度経度を格納する。そして、充電管理部105は、最終探索日時615に、ステップS212の処理開始時点の日時を特定する情報を格納する。
【0111】
以上が、変形例による充電施設検索処理である。このような処理を行うことで、ナビゲーション装置100は、履歴からの目的地設定機能を適切に実施できるよう履歴を記録できる。
【0112】
図12には、履歴からの目的地設定機能の操作画面700の例を示す。操作画面700には、設定する目的地/経由地を行き先履歴から選ぶよう使用者に依頼するメッセージ表領域701と、履歴ごとに、目的地/経由地の名称/住所711と、充電施設変更有無712と、最終探索日時713と、が表示される履歴表示領域710と、が含まれる。なお、充電施設変更有無712には、当該履歴により特定される探索において目的地あるいは経由地が充電施設に置き換えられて経路探索されたか否かを示す情報が表示される。
【0113】
主制御部101は、当該操作画面700を構成する処理において、行き先履歴テーブル600を参照し、各履歴について、名称/住所611、行き先変更有無613、最終探索日時615を、それぞれ、名称/住所等711、充電施設変更有無712、最終探索日時713、に表示させるよう画面情報を構成する。使用者は、当該操作画面700において、いずれかの履歴を指定することが可能であり、指定した履歴の目的地/経由地を、目的地/経由地とする経路誘導を受けることができる。したがって、たとえ経路探索の目的地が充電施設に置き換えられていた探索についても、使用者が指定した元の目的地が名称/住所711に表示されているため、使用者は目的地を明確に把握することができる。
【0114】
以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。なお、上記の実施形態では、本発明を車載ナビゲーション装置に適用した例について説明したが、本発明はナビゲーション装置に限らず、電力を消費することで動力を得る移動体の経路案内を行う装置全般に適用することができる。また、上記した技術的な各特徴は、さまざまに組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声出入力装置、5・・・入力装置、6・・・ROM装置、7・・・車速センサ、8・・・ジャイロセンサ、9・・・GPS受信装置、10・・・FM多重放送受信装置、11・・・ビーコン受信装置、12・・・通信装置、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・I/F、25・・・バス、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、51・・・タッチパネル、52・・・ダイヤルスイッチ、100・・・ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・入力受付部、103・・・出力処理部、104・・・バッテリー管理部、105・・・充電管理部、106・・・経路探索部、107・・・施設検索部、200・・・リンクテーブル、300・・・施設テーブル、400・・・バッテリー状態テーブル、600・・・行き先履歴テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の充電の可否を特定可能な充電施設情報を格納する記憶手段と、
目的地の指定を受け付ける受付手段と、
現在地を取得する手段と、
前記現在地から前記目的地へ到る推奨経路を探索する経路探索手段と、
特定の位置の施設における充電の可否を、前記充電施設情報を用いて判定する充電可否判定手段と、
特定の位置の周辺の充電可能な施設を検索する充電施設検索手段と、
前記推奨経路を誘導する経路誘導手段と、を備え、
前記経路探索手段は、
前記受付手段により受け付けた目的地において充電が不可能であると前記充電可否判定手段により判定された場合に、前記充電施設検索手段により検索された当該目的地の周辺の充電可能な施設の一つを、前記目的地として置き換えて推奨経路を探索する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、
前記受付手段により受け付けた目的地において充電が不可能であると前記充電可否判定手段により判定された場合に、当該目的地への到着時の充電残量を算出し、算出した充電残量が所定量以下であれば、前記充電施設検索手段により検索された当該目的地の周辺の充電可能な施設の一つを、前記目的地として置き換えて推奨経路を探索する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、前記受付手段により受け付けた目的地への到着時の充電残量を、現在の充電残量で走行可能な距離と、前記現在地から当該目的地へ到る経路長と、を用いて算出する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、さらに、
前記現在地から前記受付手段により受け付けた目的地へ到る経路の途中で経由する経由地の指定を受け付ける経由地受付手段を備え、
前記経路探索手段は、
前記現在地から前記経由地を経由して前記目的地へ到る経路を探索するものであって、当該目的地への到着時の充電残量を算出し、算出した充電残量が所定量以下であれば、前記充電施設検索手段により検索された当該経由地の周辺の充電可能な施設の一つを、前記経由地として置き換えて推奨経路を探索する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、前記経由地において充電が不可能である場合に、前記充電可能な施設の一つを、前記経由地として置き換えて推奨経路を探索する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置であって、さらに、
前記記憶手段は、経路探索を行った目的地あるいは経由地を含む履歴情報を格納し、
前記経路探索手段は、前記充電施設検索手段により検索した充電可能な施設に目的地または経由地を置き換えて経路を探索した場合には、置き換え前の目的地または経由地を前記履歴情報に格納する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
ナビゲーション装置の案内方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
施設の充電の可否を特定可能な充電施設情報を格納する記憶手段と、
目的地の指定を受け付ける受付手段と、
現在地を取得する手段と、
前記現在地から前記目的地へ到る推奨経路を探索する経路探索手段と、
特定の位置の施設において充電が可能であるか否かを、前記充電施設情報を用いて判定する充電可否判定手段と、
特定の位置の周辺の充電可能な施設を検索する充電施設検索手段と、
前記推奨経路を誘導する経路誘導手段と、を備え、
前記受付手段により受け付けた目的地において充電が不可能であるか否かを判定する充電可否判定ステップと、
前記充電可否判定ステップにおいて充電が不可能であると判定された場合に、前記充電施設検索手段により検索された当該目的地の周辺の充電可能な施設の一つを、前記目的地として置き換える置換ステップと、
前記置き換えた目的地について推奨経路を探索する経路探索ステップと、
前記推奨経路を誘導する経路誘導ステップと、
を実施することを特徴とする案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−237186(P2011−237186A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106299(P2010−106299)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】