説明

ナビゲーション装置及びその動作方法

【課題】地図データ格納デバイスの動作を適切な条件下で停止させて消費電力の低減を図ること。
【解決手段】本発明によるナビゲーション装置1は、地図データ格納デバイス40と、書き換え可能なメモリ24と、メモリに書き込んだ地図データに基づいて地図表示を制御する表示制御手段12と、地図データ格納デバイスへの電力供給状態を切り替える電力供給制御手段14と、省電力モードを指示するユーザ入力の有無を判断する入力判断手段16と、車両の現在位置情報と目的地の位置情報とに基づいて、車両の現在位置から目的地までの残距離が所定距離以内になったか否かを判断する残距離判断手段18とを備え、残距離が所定距離以内になり、且つ、省電力モードを指示するユーザ入力がある場合には、表示制御手段は、車両の現在位置から目的地までの区間に関連する地図データをメモリに書き込み、且つ、電力供給制御手段は、地図データ格納デバイスへの電力供給を遮断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データを格納する地図データ格納デバイスを備えるナビゲーション装置及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外部のサーバから通信により地図データ等を取得する通信型カーナビゲーションシステムにおいて、サーバで経路探索を行った結果を車両側端末に転送する場合、ユーザの希望する誘導方法に合ったデータを転送し、また地図データも必要な属性のみを転送する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−107169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ナビゲーション装置は、地図データを格納する地図データ格納デバイス(例えば、ハードディスクドライブ、CD,DVD,BD)を備えており、車両の現在位置等に応じて地図データ格納デバイスに随時アクセスして、地図表示を行っている。
【0005】
ところで、地図データ格納デバイスは、典型的には、ユーザのスクロール操作や縮尺変更操作のような各種操作や車両の移動等に伴って、不定期的な任意のタイミングでアクセスされるので(任意のタイミングで地図データの読み込みが行われるので)、従来の地図データ格納デバイスは、ナビゲーション装置の作動中は常時オン状態となっている。従って、地図データ格納デバイスには恒常的に電力供給が行われるが、地図データ格納デバイスは消費電力が大きいため、適切な条件下で地図データ格納デバイスの動作を止めること(地図データ格納デバイスへの電力供給を遮断すること)ができれば有用である。
【0006】
そこで、本発明は、地図データ格納デバイスの動作を適切な条件下で停止させて消費電力の低減を図ることができるナビゲーション装置及びその動作方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、地図データを格納する地図データ格納デバイスと、
書き換え可能なメモリと、
前記地図データ格納デバイス内の地図データの一部を前記メモリに書き込むと共に、該メモリに書き込んだ地図データに基づいて地図表示を制御する表示制御手段と、
前記地図データ格納デバイスへの電力供給状態を切り替える電力供給制御手段と、
省電力モードを指示するユーザ入力の有無を判断する入力判断手段と、
車両の現在位置情報と目的地の位置情報とに基づいて、車両の現在位置から目的地までの距離が所定距離以内になったか否かを判断する残距離判断手段とを備え、
前記残距離判断手段により車両の現在位置から目的地までの距離が所定距離以内になったと判断され、且つ、前記入力判断手段により省電力モードを指示するユーザ入力があると判断された場合には、前記表示制御手段は、前記地図データ格納デバイス内の地図データのうち、車両の現在位置から目的地までの区間に関連する地図データを前記メモリに書き込み、且つ、前記電力供給制御手段は、前記地図データ格納デバイスへの電力供給を遮断することを特徴とする、ナビゲーション装置が提供される。
【0008】
また、本発明のその他の一局面によれば、地図データを格納する地図データ格納デバイスと、書き換え可能なメモリとを備えるナビゲーション装置の動作方法であって、
車両の現在位置情報と目的地の位置情報とに基づいて、車両の現在位置から目的地までの距離が所定距離以内になったか否かを判断するステップと、
省電力モードを指示するユーザ入力の有無を判断するステップと、
車両の現在位置から目的地までの距離が所定距離以内であり、且つ、省電力モードを指示するユーザ入力が有る場合に、前記地図データ格納デバイス内の地図データのうち、車両の現在位置から目的地までの区間に関連する地図データを抽出し、該抽出した地図データを前記メモリに書き込むと共に、前記地図データ格納デバイスへの電力供給を遮断するステップと、
前記メモリ内の地図データに基づいて地図表示を制御するステップとを備えることを特徴とする、方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地図データ格納デバイスの動作を適切な条件下で停止させて消費電力の低減を図ることができるナビゲーション装置及びその動作方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例によるナビゲーション装置1の主要構成を示す構成図である。
【図2】地図DB用電源ブロック32の一例を示す図である。
【図3】本実施例の主演算装置10の主要機能を表す機能ブロック図である。
【図4】本実施例の主演算装置10により実行される主要処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【図5】本実施例の主演算装置10により実行される主要処理のその他の一例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0012】
図1は、本発明の一実施例によるナビゲーション装置1の主要構成を示す構成図である。ナビゲーション装置1は、CPUを中心として構成される主演算装置10を備える。主演算装置10には、第1の半導体記憶装置22と、第2の半導体記憶装置24とに接続される。第1の半導体記憶装置22は、例えばRAMからなり、バッファメモリとして機能する。第2の半導体記憶装置24は、任意の書き換え可能なメモリによって構成されてよく、例えばDRAM、フラッシュメモリ、EEPROM等であってよい。第2の半導体記憶装置24は、地図データ格納領域24aを備える。第2の半導体記憶装置24の機能については後に詳説する。
【0013】
主演算装置10には、主電源ブロック(メイン電源回路)30が接続される。主電源ブロック30は、各種電源ブロック(サブ電源回路)を備え、その1つとして、地図データベース40に対する地図DB(データベースの略)用電源ブロック32を備える。地図DB用電源ブロック32は、バッテリ34と地図データベース40との間を結ぶ電源線に設けられる。地図DB用電源ブロック32は、図2に示すように、バッテリ34から地図データベース40への電力供給を遮断する電源遮断スイッチ32aを備える。また、地図DB用電源ブロック32は、その他、電圧変換装置(電圧安定化回路)32b等を含んでもよい。尚、地図DB用電源ブロック32は、バッテリ34にイグニッションスイッチ(図示せず)を介して接続されてよい。
【0014】
主演算装置10は、主電源ブロック30(地図DB用電源ブロック32)に指令(例えば、地図DB用電源停止命令や地図DB用電力供給命令)を出力することで、地図データベースへの電力供給状態を制御する。この制御の詳細は後述する。
【0015】
主演算装置10には、地図データベース40が接続される。地図データベース40は、例えばハードディスクドライブ、CD、DVD、BD(ブルーレイディスク)のような、比較的容量の大きいメモリからなる(例えば数十Gbyte)。地図データベース40は、典型的には、第2の半導体記憶装置24よりも消費電力が大きく、且つ、第2の半導体記憶装置24(例えばMbyteのオーダー)よりも記憶容量が大きい。
【0016】
地図データベース40には、所与の地図データが格納されている。地図データの種類は任意である。典型的には、地図データには、交差点・高速道路の合流点/分岐点に各々対応する各ノードの座標情報、隣接するノードを接続するリンク情報、各リンクに対応する道路の幅員情報、車線情報、各リンクに対応する国道・県道・高速道路等の道路種別を表す情報等の道路情報が含まれている。また、地図データには、コンビニエンスストア、レストラン、駐車場、給油施設のような各種施設の種別や位置に関する施設情報が含まれている。地図データは、例えば外部(例えば情報提供センタのサーバ)からの更新情報に基づいて定期的に又は不定期的に更新されてもよい。
【0017】
主演算装置10は、通常モード時、ユーザのスクロール操作や縮尺変更操作のような各種操作や車両の移動等に伴って、地図表示の変更が必要となった場合に、地図データベース40にアクセスし、必要な地図データを地図データベース40から読み出して取得する。主演算装置10は、このようにして地図データベース40から読み出した地図データを用いて、地図表示を生成(変更)する。尚、地図表示には、自車位置表示が重畳されてもよい。自車位置表示は、後述のGPS受信機54から得られる自車位置情報に基づいて生成される。
【0018】
主演算装置10には、映像表示装置50が接続される。映像表示装置50は、車室内の運転者が視認しやすい場所に設けられる。映像表示装置50は、典型的には、インストルメントパネルに設けられるLCD(液晶ディスプレイ)である。映像表示装置50は、メーター内の表示器、若しくは、HUD(ヘッドアップディスプレイ)として構成されてもよい。主演算装置10は、上述の如く地図データを用いて生成した地図表示を映像表示装置50に出力する。
【0019】
主演算装置10には、ユーザインターフェース52が接続される。ユーザインターフェース52は、リモートコントローラや、映像表示装置50上のタッチスイッチ、音声認識技術を利用した音声入力、画像認識技術を利用したジェスチャ入力等のような任意の形態であってよい。ユーザは、ユーザインターフェース52を介して、主演算装置10に各種入力を行う。各種入力は、省電力モードを指示するための入力を含む。その他、例えば、ユーザは、ルート案内を希望するとき、ユーザインターフェース52を介して、目的地の入力や、それに応じて探索された複数の候補ルートの中から所望のルートの選択等の入力を行う。また、ユーザは、ユーザインターフェース52を介して、地図の縮尺の変更やルートスクロール等の地図表示を各種変更するための指示を入力することができる。尚、省電力モードの指示入力は、例えばコンソールボックスやステアリング、インストルメントパネル等に設けられる専用のスイッチ(ユーザインターフェース52の1つ)を介して実現されてもよい。
【0020】
主演算装置10は、ユーザインターフェース52を介して入力された各種入力に基づいて、映像表示装置50の表示の変更等を行う。尚、省電力モードを指示する入力が行われた場合の主演算装置10の処理については後述する。
【0021】
主演算装置10には、GPS受信機54が接続される。GPS受信機54は、GPSアンテナを介してGPS衛星から受信するGPS信号に基づいて、自車位置を測位・演算する。測位方法は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む)等の如何なる方法であってもよい。この際、自車位置は、車速センサやジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機及びFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてよい。自車位置は、また、マップマッチング技術により、不定期的に、地図データベース40内の地図データを用いて適宜補正されてもよい。
【0022】
図3は、本実施例の主演算装置10の主要機能を表す機能ブロック図である。主演算装置10は、主に、図3に示すように、表示制御部12、電源制御部14、モード判定部16、及び、残距離判断部18を実現する。これらの機能については、図4を参照しつつ説明する。
【0023】
図4は、本実施例の主演算装置10により実行される主要処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【0024】
ステップ400では、ユーザによりユーザインターフェース52を介して目的地が入力され、目的地が設定される。これに伴い、GPS受信機54から得られる自車位置(現在位置)から目的地までの案内ルートが探索・設定される。
【0025】
ステップ402では、残距離判断部18において、GPS受信機54から周期的に入力される最新の自車位置情報に基づいて、目的地までの距離(残距離)が算出されると共に、算出した残距離が所定距離D1より短いか否かが判定される。残距離は、案内ルートに沿って距離(高度差を考慮した距離でもよい)で算出されてもよいし、自車位置(現在位置)から目的地までの直線距離で算出されてもよい。所定距離D1は、主に、第2の半導体記憶装置24の記憶容量に依存して決定され、ここでは一例として10kmである。残距離が10km以内となった場合は、ステップ404に進む。このようにして、目的地までの残距離が10km以下になるまで、最新の自車位置情報に基づいて目的地までの残距離が監視される。
【0026】
尚、目的地までの残距離が10km以内となるまでの区間においては、後述の省電力モードの指示の有無に拘わらず、表示制御部12において、通常モードによる通常案内が実行される。
【0027】
ステップ404では、モード判定部16において、ユーザによりユーザインターフェース52を介して省電力モードの指示入力が有るか否かが判定される。省電力モードの指示の入力タイミングは任意である。例えば、省電力モードの指示は、事前にユーザによりユーザインターフェース52を介して入力されていてもよい。例えば、目的地設定時やエンジン始動時等に、対話式に通常モードと省電力モードの選択をユーザが行うこととしてもよい。また、省電力モードの指示は、他の電子機器又は運転モードと連動して自動的に入力されてもよい。例えば、ユーザがエコランモード又はその類のモードを選択した場合に、省電力モードの指示が連動して入力されてもよい。或いは、残距離が10km以内となった時点又はその直前に、ユーザに対して省電力モードを選択するか否かを問い合わせしてもよい。例えば、残距離が10km以内となった時点又はその直前に、「これより目的地まで省電力モードでの案内が可能です。ナビゲーションシステムの省電力モードを選択しますか?」といった趣旨のメッセージを音声及び/又は映像により出力し、映像表示装置50に、省電力モード又は通常モードを選択するタッチスイッチ(ユーザインターフェース52の1つ)を表示・設定してもよい。この場合、ユーザが省電力モードを希望する場合は、省電力モードを選択するタッチスイッチを操作することになる。
【0028】
本ステップ404において、省電力モードの指示入力が有ると判定された場合は、ステップ408に進み、省電力モードの指示入力がない(通常モードの指示入力がある)と判定された場合は、ステップ406に進む。
【0029】
ステップ406では、表示制御部12において、通常モードが維持され、通常案内が実行される。通常モード時には、電源制御部14による地図データベース40への電力供給の遮断は実行されない。即ち地図データベース40は電源がオンの状態に維持される。従って、表示制御部12は、必要なときに地図データベース40へアクセスして、必要な地図データを随時読み込み使用することができる。従って、例えばユーザが地図表示をスクロースさせる入力を行った場合は、表示制御部12は、地図データベース40へアクセスして、対応する地域の地図データを読み込んで描画を行う。
【0030】
ステップ407では、車両が目的地に到達したか否かが判定される。例えば、GPS受信機54から周期的に入力される最新の自車位置情報に基づいて、目的地までの距離(残距離)が所定距離(GPS受信機54に精度に依存するが、例えば、50m)以内になった場合に、目的地に到達したと判定されてもよい。車両が目的地に到達した場合は、そのまま終了し、車両が目的地に到達していない場合は、ステップ406に戻る。
【0031】
このようにして、ユーザが省電力モードを選択しない場合(又は通常モードを選択する場合)は、目的地までの残距離が10km以内となっても、目的地に到達するまで通常モードが維持される。尚、ステップ406での通常案内中に省電力モードの指示入力が発生した場合には、ステップ408に進むこととしてもよい。
【0032】
ステップ408では、表示制御部12において、地図データベース40内の地図データを分割して、車両の現在位置から目的地までの区間に関連する地図データのみを、他の地図データから切り分ける。本例では、目的地までの残距離10km分のルート周辺の地図データのみ(即ち、目的地までの残距離10km分のルート案内に必要な分だけの地図データ)が他の地図データから切り分けられる。この目的のため、地図データベース40内の地図データは、メッシュデータ毎に切り分けが可能に構成されることが望ましい。尚、この際、表示制御部12において、目的地までの残距離10km分のルート周辺の地図データのデータ容量と、第2の半導体記憶装置24の記憶容量とを比較し、第2の半導体記憶装置24に当該地図データを書き込みできることをチェックすることとしてもよい。書き込みが不能な場合は、目的地までの残距離10km分のルート周辺の地図データの一部データ(例えば道路情報のみ)を更に切り出すこととしてもよい。或いは逆に、第2の半導体記憶装置24に余裕がある場合は、目的地までの残距離10km分のルート案内に必要な分の地図データに加えて、更にその周辺の地図データを切り出すこととしてもよい。
【0033】
ステップ410では、表示制御部12において、上記ステップ408で切り出した地図データを、第2の半導体記憶装置24の地図データ格納領域24aに書き込む。尚、この書き込み(データ転送)は、例えばDMA(Direct Memory Access)方式で実行されてもよい。第2の半導体記憶装置24への地図データの書き込みが完了すると、地図データの読み込みアドレスが、地図データベース40側から第2の半導体記憶装置24側へと移行される。
【0034】
ステップ412では、電源制御部14において、地図データベース40への電力供給の遮断処理が実行される。具体的には、電源制御部14において、地図DB用電源停止命令が生成され、主電源ブロック30(地図DB用電源ブロック32)に送信される。これを受けて地図DB用電源ブロック32は、電源遮断スイッチ32a(通常モード時は閉じた状態)を開放して、バッテリ34から地図データベース40への電力供給を遮断する。これにより、地図データベース40(ハードディスクドライブ)の電源がオフとなり、電力消費が無くなり、省電力が図られる。
【0035】
ステップ414では、表示制御部12において、省電力モード時の表示制御が実行される。具体的には、表示制御部12において、上記ステップ410で書き込まれた第2の半導体記憶装置24内の地図データを用いて、地図表示が描画され、目的地案内が継続される。
【0036】
ステップ416では、上記ステップ407と同様の態様で、車両が目的地に到達したか否かが判定される。目的地に到達した場合は、そのまま終了し、車両が目的地に到達していない場合は、ステップ414に戻る。
【0037】
このようにして、ユーザが省電力モードを選択した場合は、目的地までの残距離が10km以内になってから省電力モードが開始され、目的地に到達するまで省電力モードが維持される。尚、ステップ416での省電力モードによる案内中に省電力モードの解除指示(通常モードの指示入力)が発生した場合には、電源制御部14において、地図DB用電力供給命令が生成され、主電源ブロック30(地図DB用電源ブロック32)に送信される。これを受けて地図DB用電源ブロック32は、電源遮断スイッチ32aを閉じ、バッテリ34から地図データベース40への電力供給を開始する。これにより、地図データベース40(ハードディスクドライブ)の電源がオンとなる。これと同時に、地図データの読み込みアドレスが、第2の半導体記憶装置24側から地図データベース40側へと移行され、通常モードが復帰される。
【0038】
尚、ユーザビリティを確保するため、目的地に到達した後、地図データベース40(ハードディスクドライブ)の電源を自動的にオンするかどうか(動作復帰させるかどうか)についてもユーザが設定可能であってもよい。
【0039】
ここで、上記ステップ406における通常モード時による表示制御と、上記ステップ414における省電力モード時による表示制御と主なる相違点の一例について説明する。
(1)通常モード時では、例えば案内ルートに沿った車両の進行に伴い、地図表示の変更が必要となった場合、地図データベース40にアクセスし、地図データベース40内の地図データを用いて地図表示が描画される。これに対して、省電力モード時では、同様に、案内ルートに沿った車両の進行に伴い、地図表示の変更が必要となった場合、第2の半導体記憶装置24にアクセスし、第2の半導体記憶装置24内の地図データを用いて地図表示が描画される。目的地までの残距離10km以内になってから案内ルートがリルート等で大きく変更されていない限り、案内ルートに沿った車両の進行に伴う地図表示の更新は、省電力モード時においても通常モード時と同様の態様で実現することができる。
(2)通常モード時では、例えばユーザが地図スクロール操作又は地図の縮尺を広域に変更する操作を行うことに伴い、地図表示の変更が必要となった場合、地図データベース40にアクセスして得られる地図データを用いて地図表示が描画される。これに対して、省電力モード時では、同様に、ユーザが地図スクロール操作又は地図の縮尺を広域に変更する操作を行うことに伴い、地図表示の変更が必要となった場合、第2の半導体記憶装置24にアクセスして得られる地図データを用いて地図表示が描画される。しかしながら、省電力モード時では、上述の如く第2の半導体記憶装置24内の地図データが限定的な範囲に限られているので、通常モード時では表示できる範囲を描画できない場合がある。このような場合、自動的に地図データベース40(ハードディスクドライブ)の電源をオンして通常モードに復帰してもよいし、若しくは、表示できない範囲を白抜き等で表示して省電力モードを維持してもよい。後者の場合、通常モードに復帰するか否かをユーザに問い合わせしてもよい。
(3)通常モード時では、例えばユーザが周辺施設の表示切替操作(例えばコンビニエンスストアの表示を指示する操作)を行うことに伴い、地図表示の変更(施設表示の変更)が必要となった場合、地図データベース40にアクセスして得られる地図データを用いて地図表示が描画される。これに対して、省電力モード時では、同様に、ユーザが周辺施設の表示切替操作を行うことに伴い、地図表示の変更が必要となった場合、第2の半導体記憶装置24にアクセスして得られる地図データを用いて地図表示が描画される。しかしながら、省電力モード時では、上述の如く特別な実施例として第2の半導体記憶装置24内の地図データに道路情報しか含まれない場合(即ち施設情報が含まれていない場合)がありえ、かかる場合は、通常モード時では表示できる施設を描画できない。このような場合、自動的に地図データベース40(ハードディスクドライブ)の電源をオンして通常モードに復帰してもよいし、若しくは、省電力モードに起因して表示できない旨のメッセージを出力すると共に、通常モードに復帰するか否かをユーザに問い合わせしてもよい。
【0040】
図5は、本実施例の主演算装置10により実行される主要処理のその他の一例の流れを示すフローチャートである。
【0041】
ステップ500、504−516の処理については、図4で示した対応するステップ400、404−416の処理と同様であってよいので、説明を省略する。但し、図4で示したステップ400、406−416の処理の説明において、適宜、「10km」を「所定距離D1」と読み替える。
【0042】
ステップ501では、通常モードから省電力モードへの移行が可能な残距離に対応する所定距離D1が決定される。ここで、図4で示したフローチャートでは、所定距離D1は、固定値(上記の例では10km)であった。しかしながら、同じ距離分の地図データであっても、地域によってはデータ量が有意に異なる。例えば、都市部における地図データは、道路や施設が多数存在することに起因して、地方部における地図データよりも、同じ距離分のデータ量が大きい傾向がある。従って、目的地が設定され、案内ルートが設定されると、目的地から遡ってどの地点から通常モードから省電力モードへの移行が可能であるかが判断される。即ち、第2の半導体記憶装置24の記憶可能なデータ量は既知(固定)であるので、目的地までの残距離D2分のルート周辺の地図データのデータ量が、第2の半導体記憶装置24に記憶可能なデータ量以下となる最大の残距離D2を算出し、当該算出した最大の残距離D2を所定距離D1として決定する。
【0043】
ステップ502では、残距離判断部18において、GPS受信機54から周期的に入力される最新の自車位置情報に基づいて、目的地までの距離(残距離)が算出されると共に、算出した残距離が、上記ステップ501で決定した所定距離D1より短いか否かが判定される。残距離は、案内ルートに沿って距離で算出されてもよいし、自車位置(現在位置)から目的地までの直線距離で算出されてもよいが、上記ステップ501での算出方法に合わせられる。残距離が所定距離D1以内となった場合は、ステップ504に進む。このようにして、目的地までの残距離が所定距離D1以下になるまで、最新の自車位置情報に基づいて残距離が監視される。
【0044】
尚、目的地までの残距離が所定距離D1以内となるまでの区間においては、ユーザからの省電力モードの指示の有無に拘わらず、表示制御部12において、通常モードによる通常案内が実行される。
【0045】
ステップ504では、モード判定部16において、ユーザによりユーザインターフェース52を介して省電力モードの指示入力が有るか否かが判定される。判定方法は、図4で示したステップ404と同様であってよい。本ステップ504において、省電力モードの指示入力が有ると判定された場合は、ステップ508に進み、省電力モードの指示入力がない(通常モードの指示入力がある)と判定された場合は、ステップ506に進む。
【0046】
図5に示す処理によれば、第2の半導体記憶装置24に記憶可能なデータ量と、目的地までの案内ルート周辺の地図データのデータ量との関係を考慮することで、通常モードから省電力モードへの移行タイミングを最適化することができる。これにより、例えば地図データのデータ量が比較的小さい地域周辺に目的地が設定された場合には通常モードから省電力モードへの移行を早めることが可能となるので、省電力効果を更に高めることができる。
【0047】
尚、図5に示すステップ501の処理において、所定距離D1を算出(決定)する際、目的地までの残距離D2分のルート周辺の地図データは、施設情報を含まない(道路情報のみの)地図データであってもよいし、若しくは、施設情報及び道路情報を含む地図データであってもよい。施設情報を含まない(道路情報のみの)地図データである場合、施設情報及び道路情報の双方を含む地図データである場合よりも、最大の残距離D2が長くなる。即ち、通常モードから省電力モードへの移行を早めることが可能となる。但し、この場合、通常モードに復帰しない限り施設情報をユーザが見られないという不便が生ずるので、ユーザからの指示(選択)に従うことが望ましい。かかる指示は、省電力モードの指示入力の際に取得しておいてもよい。例えば省電力モードのタイプを2種類提示し、ユーザインターフェース52を介してユーザに選択してもらってもよい。同様の観点から、所定距離D1を算出(決定)する際、目的地までの残距離D2分のルート周辺の地図データは、他の態様で限定した地図データであってもよい。例えば、目的地までの残距離D2分のルート周辺の地図データは、案内ルート沿いの施設情報のみの施設情報(目的地までの残距離D2分のルート周辺の全ての施設情報ではなくその一部)と、案内ルートに接続される道路のみ関する道路情報とを含む地図データであってもよい。この際、案内ルートに接続される道路に関する道路情報は、所定距離(リンク)分の道路情報のみであってもよい。
【0048】
以上説明した本実施例のナビゲーション装置1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0049】
上述の如く、本実施例では、目的地までの残距離が適切な近距離になった場合に、ユーザの省電力モードの選択に従って、必要な地図データのみを地図データベース40から抽出して第2の半導体記憶装置24に書き込むと共に、地図データベース40の電源をオフにするので、目的地までのナビゲーション機能を損なうことなく、地図データベース40の消費電力を低減することができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 ナビゲーション装置
10 主演算装置
12 表示制御部
14 電源制御部
16 モード判定部
18 残距離判断部
22 第1の半導体記憶装置
24 第2の半導体記憶装置
24a 地図データ格納領域
30 主電源ブロック
32 地図DB用電源ブロック
32a 電源遮断スイッチ
32b 電圧変換装置
34 バッテリ
40 地図データベース
50 映像表示装置
52 ユーザインターフェース
54 GPS受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを格納する地図データ格納デバイスと、
書き換え可能なメモリと、
前記地図データ格納デバイス内の地図データの一部を前記メモリに書き込むと共に、該メモリに書き込んだ地図データに基づいて地図表示を制御する表示制御手段と、
前記地図データ格納デバイスへの電力供給状態を切り替える電力供給制御手段と、
省電力モードを指示するユーザ入力の有無を判断する入力判断手段と、
車両の現在位置情報と目的地の位置情報とに基づいて、車両の現在位置から目的地までの距離が所定距離以内になったか否かを判断する残距離判断手段とを備え、
前記残距離判断手段により車両の現在位置から目的地までの距離が所定距離以内になったと判断され、且つ、前記入力判断手段により省電力モードを指示するユーザ入力があると判断された場合には、前記表示制御手段は、前記地図データ格納デバイス内の地図データのうち、車両の現在位置から目的地までの区間に関連する地図データを前記メモリに書き込み、且つ、前記電力供給制御手段は、前記地図データ格納デバイスへの電力供給を遮断することを特徴とする、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記残距離判断手段により車両の現在位置から目的地までの距離が所定距離以内でないと判断され、又は、前記入力判断手段による省電力モードを指示するユーザ入力がないと判断された場合には、前記電力供給制御手段は、前記表示制御手段が前記地図データ格納デバイスに随時アクセスできるように、前記地図データ格納デバイスへの電力供給を維持する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
地図データを格納する地図データ格納デバイスと、書き換え可能なメモリとを備えるナビゲーション装置の動作方法であって、
車両の現在位置情報と目的地の位置情報とに基づいて、車両の現在位置から目的地までの距離が所定距離以内になったか否かを判断するステップと、
省電力モードを指示するユーザ入力の有無を判断するステップと、
車両の現在位置から目的地までの距離が所定距離以内であり、且つ、省電力モードを指示するユーザ入力が有る場合に、前記地図データ格納デバイス内の地図データのうち、車両の現在位置から目的地までの区間に関連する地図データを抽出し、該抽出した地図データを前記メモリに書き込むと共に、前記地図データ格納デバイスへの電力供給を遮断するステップと、
前記メモリ内の地図データに基づいて地図表示を制御するステップとを備えることを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−128009(P2011−128009A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286635(P2009−286635)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】