説明

ナビゲーション装置及びナビゲーション方法

【課題】電気自動車に搭載され、バッテリの寿命を考慮したナビゲーションをするナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置100において、充電パターン決定部103は、バッテリ残量、走行ルート、充電施設の位置、及び、充電によるバッテリ寿命への負荷を考慮した場合に許されるバッテリ残量の取り得る範囲であり且つその負荷が最小となるバッテリ残量の値であるバッテリ残量基準値を含む許容残量範囲に基づいて、推奨充電パターンを決定する。そして、推奨充電パターンは、充電を推奨される少なくとも1つの推奨充電施設と各推奨充電施設における推奨充電量とによって規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に搭載するナビゲーション装置及びナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリン又はディーゼル等の化石燃料を動力源とする自動車に代わり、バッテリに蓄積された電力を動力源として走行する電気自動車の開発が目覚しい。
【0003】
電気自動車は走行中に電力を消費する。このため、バッテリ残量によっては、走行ルート上の充電施設においてバッテリの充電が必要となる場合がある。そこで、電気自動車においては、バッテリの充電を考慮したナビゲーション装置が有用となる。なお、バッテリ残量とは、電気自動車のバッテリに蓄積されている電力の残存容量である。また、充電施設とは、電気自動車のバッテリを充電するための充電装置を備えた施設である。
【0004】
従来、電気自動車のバッテリの充電を考慮したナビゲーション装置が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたナビゲーション装置は、バッテリ残量によって電気自動車が目的地へ到達可能か否かを判断する。バッテリ残量によって到達可能ではないと判断された場合、そのナビゲーション装置は、本装置に予め記憶された充電施設の地点を検索し、検索された充電施設における充電時間を考慮した到達時間を算出する。この到達時間は、バッテリ残量と、電気自動車の燃費と、電気自動車の現在地から充電施設までの距離と、充電施設から目的地までの距離とに基づいて算出される。
【0005】
また、従来、所謂ハイブリッド車両のための、バッテリの充電を考慮したナビゲーション装置が、特許文献2に開示されている。ハイブリッド車両とは、化石燃料で動くエンジン及び電力で動くモータの両方を搭載した車両である。ハイブリッド車両は、化石燃料及び電力を併用した走行(以下、「HV走行」と呼ぶ)と、電力のみを使用した走行(以下、「EV走行」と呼ぶ)とを使い分ける。
【0006】
特許文献2に開示されたナビゲーション装置は、バッテリの寿命が充電によって影響を受けることに鑑み、充電を考慮してバッテリの寿命が最長となるように、HV走行とEV走行を切替える。具体的には、HV走行よりもEV走行の割合が多くなると、バッテリに対してより多くの充電を行うことが必要となり、バッテリの寿命が短くなる。そのため、特許文献2に開示されたナビゲーション装置は、HV走行の割合を多くすることにより、バッテリの寿命を長くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−112932号公報
【特許文献2】特開2009−63555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示されたナビゲーション装置は、バッテリ残量に基づいて電気自動車が目的地へ到達可能か否かについての判断を行うが、バッテリ残量のバッテリ寿命に与える影響度合いを考慮していない。そのため、特許文献1に開示されたナビゲーション装置によって算出された充電施設において充電すると、バッテリの寿命に対しては悪影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
また、特許文献2に開示されたナビゲーション装置は、ハイブリッド車両を対象にしてバッテリ寿命が最長となる走行パターンを定めているため、EV走行のみを行う電気自動車には適用できない。
【0010】
本発明の目的は、電気自動車に搭載され、バッテリの寿命を考慮したナビゲーションをするナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様のナビゲーション装置は、電気自動車に搭載されるナビゲーション装置であって、前記電気自動車に搭載されたバッテリに残された電力量であるバッテリ残量に関する情報を取得するバッテリ情報取得手段と、前記電気自動車の走行ルートと前記走行ルート上に存在する充電施設の位置とに関する情報を取得する走行ルート情報取得手段と、前記バッテリ残量、前記走行ルート、前記充電施設の位置、及び、充電によるバッテリ寿命への負荷を考慮した場合に許されるバッテリ残量の取り得る範囲である許容残量範囲に基づいて、推奨充電パターンを決定する手段であって、前記推奨充電パターンは、充電を推奨される少なくとも1つの推奨充電施設と各推奨充電施設における推奨充電量とによって規定される、充電パターン決定手段と、を具備する。
【0012】
本発明の一態様のナビゲーション方法は、電気自動車に搭載されるナビゲーション装置におけるナビゲーション方法であって、前記電気自動車に搭載されたバッテリに残された電力量であるバッテリ残量に関する情報を取得し、前記電気自動車の走行ルートと前記走行ルート上に存在する充電施設の位置とに関する情報を取得し、前記バッテリ残量、前記走行ルート、前記充電施設の位置、及び、充電によるバッテリ寿命への負荷を考慮した場合に許されるバッテリ残量の取り得る範囲である許容残量範囲に基づいて、推奨充電パターンを決定し、前記推奨充電パターンは、充電を推奨される少なくとも1つの推奨充電施設と各推奨充電施設における推奨充電量とによって規定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電気自動車に搭載され、バッテリの寿命を考慮したナビゲーションをするナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の主要構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図
【図3】電気自動車が現在地から目的地まで移動する際のバッテリ残量推移の一例を示す図
【図4】走行ルート及び当該走行ルート上に存在する充電施設の位置情報の説明に供する図
【図5】決定された推奨充電パターンに従って充電を行い、現在地から目的地まで走行した場合のバッテリ残量の推移を表す図
【図6】バッテリ残量とバッテリ寿命負荷との関係を示す図
【図7】推奨充電パターン決定処理のフロー図
【図8】本発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置の主要構成を示すブロック図
【図9】充電パターン決定部の構成を示すブロック図
【図10】判定部及び推奨許容残量範囲決定部の処理の説明に供する図
【図11】推奨充電パターンの表示方法の説明に供する図
【図12】推奨充電パターンの表示方法の説明に供する図
【図13】本発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置の主要構成を示すブロック図
【図14】充電パターン決定部の構成を示すブロック図
【図15】推奨充電パターン決定部の動作説明に供するフロー図
【図16】推奨充電パターン決定部の動作説明に供する図
【図17】本発明の実施の形態4に係るナビゲーション装置の主要構成を示すブロック図
【図18】充電パターン決定部の構成を示すブロック図
【図19】推奨充電パターン決定部の動作説明に供するフロー図
【図20】充電量が調整された充電パターンの例を示す図
【図21】充電パターンに対するバッテリ残量の具体的な推移を示す図
【図22】図21に示された各充電パターンに対するバッテリ寿命負荷総量の説明に供する図
【図23】図21に示された各充電パターンにおけるバッテリ寿命の推移を示す図
【図24】推奨充電パターンの表示方法の説明に供する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0016】
[実施の形態1]
[ナビゲーション装置100の主要構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置100の主要構成を示す。ナビゲーション装置100は、電気自動車に搭載される。
【0017】
図1において、ナビゲーション装置100は、バッテリ情報取得部101と、走行ルート情報取得部102と、充電パターン決定部103とを有する。
【0018】
バッテリ情報取得部101は、本装置が搭載されている電気自動車に搭載されたバッテリに残された電力量(つまり、バッテリの残量)に関する情報(以下では、「バッテリ残量情報」と呼ぶ)を取得する。取得されたバッテリ残量情報は、充電パターン決定部103へ出力される。
【0019】
走行ルート情報取得部102は、本装置が搭載されている電気自動車の走行ルートに関する情報(以下では、「走行ルート情報」と呼ぶ)を取得すると共に、その走行ルート上に存在する充電施設の位置情報(以下では、「充電施設位置情報」と呼ぶ)を取得する。取得された走行ルート情報及び充電施設位置情報は、充電パターン決定部103へ出力される。
【0020】
充電パターン決定部103は、バッテリ残量情報と、走行ルート情報と、充電施設位置情報と、「許容残量範囲」とに基づいて、「推奨充電パターン」を決定する。ここで、「許容残量範囲」とは、充電によるバッテリ寿命への負荷(以下では、「バッテリ寿命負荷」と呼ぶ)を考慮した場合に許されるバッテリ残量の取り得る範囲である。すなわち、「許容残量範囲」は、上限値と下限値とによって規定される。上限値は、100%未満の値であり、下限値は、0%より大きい値である。また、「充電パターン」は、少なくとも1つの充電対象の充電施設(以下では、「充電対象施設」と呼ぶ)の位置情報と、各充電対象施設において充電すべき電力量とによって規定される。そして、「推奨充電パターン」は、バッテリ残量が許容残量範囲内に収まるように決定された、少なくとも1つの充電対象施設(以下では、「推奨充電施設」と呼ぶ)の位置情報と、各充電対象施設において充電すべき電力量(以下では、「推奨充電量」と呼ぶ)とによって規定される。
【0021】
[ナビゲーションシステム200の構成]
図2は、本発明の実施の形態1に係るナビゲーションシステム200の構成を示す。ナビゲーションシステム200は、ナビゲーション装置100の構成要素を含んで構成されている。
【0022】
図2において、ナビゲーションシステム200は、バッテリ情報出力部201と、地点情報取得部202と、地図情報保持部203と、走行ルート検出部204と、表示部205とを有する。
【0023】
バッテリ情報出力部201は、バッテリ残量情報をバッテリ情報取得部101へ出力する。バッテリ情報出力部201は、例えば、電気自動車に搭載されるバッテリに設けられてもよい。又は、バッテリ情報出力部201は、ダッシュボードなどの表示計からユーザによって読み取られたバッテリ残量をユーザがユーザインタフェースを利用して入力する入力部であってもよい。
【0024】
地点情報取得部202は、車両の現在地情報及び目的地情報を取得し、走行ルート検出部204へ出力する。ここで、地点情報取得部202が現在地情報及び目的地情報を取得する方法は、特に限定されない。例えば、現在地情報については、外部装置(図示せず)に備わるGPS(Global Positioning System)対応の受信機(図示せず)によって取得された情報が地点情報取得部202によって取得されてもよいし、又は、ユーザインタフェースを用いてユーザによって入力された情報が地点情報取得部202によって取得されてもよい。また、目的地情報については、ユーザインタフェースを用いてユーザによって入力された情報が地点情報取得部202によって取得されてもよい。ユーザインタフェースは、例えば、ナビゲーション装置に備えられたタッチパネル又はリモコンであってもよい。
【0025】
地図情報保持部203は、地図情報を保持する。地図情報は、道路情報と充電施設位置情報とを少なくとも含む。地図情報保持部203は、保持された地図情報を、走行ルート検出部204及び充電施設情報取得部102へ出力する。
【0026】
走行ルート検出部204は、地図情報保持部203から出力された地図情報、並びに、地点情報取得部202から出力された、車両の現在地情報及び目的地情報を入力とする。そして、走行ルート検出部204は、現在地情報、目的地情報、及び地図情報に基づいて走行ルートを検出し、検出された走行ルートに関する情報(以下では、「走行ルート情報」と呼ぶ)を、充電施設情報取得部102へ出力する。ここで、走行ルート検出部204によって検出される走行ルートは、例えば、走行時間が最短の走行ルートであってもよいし、走行距離が最短の走行ルートであってもよい。また、走行ルートの検出方法は特に限定されるものではなく、次のような周知技術が用いられてもよい。例えば、交差点同士は道路によって接続されるものと定義される。そして、各道路に対して走行時間又は走行距離に応じたコストが設定され、次の交差点に到達するためのコストが最小となるような道路が現在地から順に選択される。そして、目的地に到達した時点において、選択されている道路群の組合せが、現在地から目的地までの走行ルートとして採用される。
【0027】
表示部205は、充電パターン決定部103において決定された推奨充電パターンを表示する。例えば、表示部205は、走行ルートを表示するとともに、その表示された走行ルート上に推奨充電パターンに対応する1つ又は複数の推奨充電施設及び各推奨充電施設における推奨充電量を表示する。
【0028】
[ナビゲーションシステム200の動作]
以上の構成を有するナビゲーションシステム200の動作について説明する。
【0029】
(バッテリ情報取得処理)
バッテリ情報取得部101は、本装置が搭載されている電気自動車に搭載されたバッテリのバッテリ残量情報を取得する。
【0030】
図3は、電気自動車が現在地から目的地まで移動する際のバッテリ残量推移の一例を示す。図3Aにおいて、バッテリ残量は、現在地を出発した時点では75%以上であるが、目的地到着時点では25%以下となっている。なお、図3Aに示されるバッテリ残量推移において途中でバッテリ残量が若干増加しているのは、下り坂の走行により回生充電が行われたことを示している。また、図3Bには、図3Aのバッテリ残量推移を直線によって簡略化したものが示されている。以降の説明では、必要に応じて簡略化されたバッテリ残量推移を用いることがある。
【0031】
(走行ルート情報取得処理)
走行ルート情報取得部102は、本装置が搭載されている電気自動車の走行ルート情報を取得すると共に、その走行ルート上に存在する充電施設の位置情報(つまり、充電施設位置情報)を取得する。
【0032】
具体的には、走行ルート情報取得部102は、地図情報保持部203から取得した地図情報と走行ルート検出部204から取得した走行ルート情報とに基づいて、現在地から目的地までの走行ルート上に充電施設が存在するか否かを判定する。そして、走行ルート上に1つ又は複数の充電施設が存在すると判定された場合、走行ルート情報取得部102は、その充電施設の位置情報を地図情報から抽出する。そして、走行ルート情報取得部102は、抽出した充電施設位置情報と走行ルート検出部204から取得した走行ルート情報とを充電パターン決定部103へ出力する。なお、充電施設が存在しないと判定された場合、走行ルート情報取得部102は、充電施設が存在しないことを充電パターン決定部103に通知する。また、走行ルート情報取得部102が取得する走行ルートは1つに限定されるものではなく、複数であってもよい。
【0033】
図4は、走行ルート及び当該走行ルート上に存在する充電施設の位置情報の説明に供する図である。図4Aにおいて、走行ルート上に、充電施設A,B,C,Dが存在する。また、図4Bは、現在地、充電施設A,B,C,D、及び目的地の位置関係を、現在地からの距離に基づいて表した図である。すなわち、図4Bにおいて、着目する2つの充電施設間の間隔は、その2つの充電施設間の走行ルートに沿って定まる道なりの距離に比例する。例えば、現在地から目的地までの走行ルートに沿った道なりの距離が50kmである場合、現在地から充電施設A〜Dまでの道なりの距離は、それぞれ、12km、24km、35km、及び45kmといった値になり得る。
【0034】
(充電パターン決定処理)
充電パターン決定部103は、バッテリ残量情報と、走行ルート情報と、充電施設位置情報と、「許容残量範囲」とに基づいて、「推奨充電パターン」を決定する。
【0035】
図5は、決定された推奨充電パターンに従って充電を行い、現在地から目的地まで走行した場合のバッテリ残量の推移を表す。図5において、許容残量範囲は、一例として、下限値が20%、上限値が80%とされている。図5において、充電施設B,Dが推奨充電施設であり、当該推奨充電施設において推奨充電量の充電が行われることにより、バッテリ残量が増加している。なお、図5では、便宜上、バッテリ残量が単調減少するものとして表現されている。
【0036】
図6は、バッテリ残量とバッテリ寿命負荷との関係を示す。図6に示すように、バッテリ残量が多すぎたり少なすぎたりする状態は、バッテリに対してより大きな負荷を与えてしまい、バッテリの寿命をより早く縮めてしまう。例えば、図6に示す例の場合、バッテリ残量が20%の状態は、バッテリ残量が30%の状態よりも4倍以上、バッテリ寿命に対する負荷が高い。従って、バッテリ寿命負荷が最小となる「バッテリ残量基準値」を含み且つバッテリ寿命負荷が小さいバッテリ残量範囲に許容残量範囲を設定し、当該許容残量範囲内になるべく納まるようにバッテリ残量が推移する充電パターンを選択することにより、バッテリの寿命をより長く保つことができる。
【0037】
図7は、推奨充電パターン決定処理のフロー図である。
【0038】
ステップS301において、充電パターン決定部103は、許容残量範囲を設定する。ここでは、図5と同様に、現在地と目的地との間に充電施設A−Dが存在し、上限値及び下限値によって規定される許容残量範囲が設定されるものとして説明する。
【0039】
ステップS302において、充電パターン決定部103は、走行ルート検出部204において検出された走行ルートに沿って、車両の仮想位置を少しずつ進める。この仮想位置の進め方は、バッテリ残量の変化を確認できる程度の距離であればよく、必要に応じて1mずつ進めてもよいし、10mずつ進めてもよい。その際、充電パターン決定部103は、走行ルートの道路形状に基づいてバッテリ残量を変化させる。すなわち、平坦な道及び上り坂などを走行する場合にはバッテリ残量を減少させ、下り坂を走行する場合にはバッテリ残量を増加させるように、充電パターン決定部103は走行ルートの道路形状に基づいてバッテリ残量を増減させる。
【0040】
ステップS303において、充電パターン決定部103は、車両の仮想位置が目的地に到達したか否かを判定する。
【0041】
目的地に到達していないと判定された場合(ステップS303:NO)、ステップS304において、充電パターン決定部103は、車両の仮想位置が充電施設に到達したか否かを判定する。
【0042】
充電施設に到達していないと判定された場合(ステップS304:NO)、ステップS316において、充電パターン決定部103は、バッテリ残量が下限値以下であるか否かを判定する。
【0043】
下限値以下でないと判定された場合(ステップS316:NO)、フローがステップS302に戻り、充電パターン決定部103は、車両の仮想位置をさらに進める。
【0044】
車両の仮想位置を進めていった結果、充電施設に到達したと判定された場合(ステップS304:YES)、ステップS305において、充電パターン決定部103は、その充電施設に到達した時点におけるバッテリ残量が許容残量範囲の下限値以下であるか否かを判定する。
【0045】
充電パターン決定部103は、バッテリ残量が許容残量範囲の下限値以下ではないと判定された場合(ステップS305:NO)、フローがステップS302に戻り、充電パターン決定部103は、車両の仮想位置をさらに進める。
【0046】
車両の仮想位置を進めていった結果、バッテリ残量が許容残量範囲の下限値以下であると判定された場合(ステップS305:YES)、ステップS306において、充電パターン決定部103は、その到達充電施設の1つ前であり且つ未使用である充電施設が存在するか否かを判定する。ここでは、その到達充電施設を仮に充電施設Bとする。
【0047】
到達充電施設の1つ前であり且つ未使用である充電施設が存在する場合(ステップS306:YES)、充電パターン決定部103は、ステップS307において、その到達充電施設の1つ前であり且つ未使用である充電施設(ここでは、仮に充電施設Aとする)を推奨充電施設に加え、ステップS308において、充電施設Aにおいて許容残量範囲の上限値まで充電を行うために必要な充電量を充電施設Aにおける推奨充電量として記録する。そして、フローは、ステップS302へ戻る。
【0048】
到達充電施設の1つ前であり且つ未使用である充電施設が存在しない場合(ステップS306:NO)、充電パターン決定部103は、ステップS309において、現在の到達充電施設(つまり、充電施設B)を推奨充電施設に加え、ステップS310において、充電施設Bにおいて許容残量範囲の上限値まで充電を行うために必要な充電量を充電施設Bにおける推奨充電量として記録する。そして、フローは、ステップS302へ戻る。
【0049】
また、目的地に到達したと判定された場合(ステップS303:YES)、ステップS311において、充電パターン決定部103は、目的地に到達した時点におけるバッテリ残量が許容残量範囲の下限値以下であるか否かを判定する。
【0050】
バッテリ残量が許容残量範囲の下限値以下ではないと判定された場合(ステップS311:NO)、充電パターン決定部103は、ステップS315において、この時点までに選択された少なくとも1つの推奨充電施設及び各推奨充電施設における推奨充電量の組み合わせを推奨充電パターンとして決定する。
【0051】
バッテリ残量が許容残量範囲の下限値以下であると判定された場合(ステップS311:YES)、充電パターン決定部103は、ステップS312において、充電パターン決定部103は、目的地の1つ前であり且つ未使用である充電施設が存在するか否かを判定する。ここでは、その到達充電施設を仮に充電施設Dとする。
【0052】
目的地の1つ前であり且つ未使用である充電施設が存在する場合(ステップS312:YES)、充電パターン決定部103は、ステップS313において、目的地の1つ前の充電施設を推奨充電施設(ここでは、充電施設D)に加え、ステップS314において、充電施設Dにおいて許容残量範囲の上限値まで充電を行うために必要な充電量を充電施設Dにおける推奨充電量として記録する。そして、充電パターン決定部103は、ステップS315において、この時点までに選択された少なくとも1つの推奨充電施設及び各推奨充電施設における推奨充電量の組み合わせを推奨充電パターンとして決定する。
【0053】
また、目的地の1つ前であり且つ未使用である充電施設が存在しない場合(ステップS312:NO)にも、充電パターン決定部103は、ステップS315において、この時点までに選択された少なくとも1つの推奨充電施設及び各推奨充電施設における推奨充電量の組み合わせを推奨充電パターンとして決定する。
【0054】
こうして、充電パターン決定部103は、車両の仮想位置を進めて行き充電施設又は目的地に到達した時点で、バッテリ残量が下限値以下か否かを判定し、この判定結果に応じて、現在の到達充電施設、又は、当該現在の到達充電施設若しくは目的地の1つ前の充電施設を推奨充電施設として選択する。この処理を繰り返すことにより、少なくとも1つの推奨充電施設と各推奨充電施設に対応する推奨充電量が求められ、充電パターンが決定される。
【0055】
ステップS304において充電施設に到達していないと判定され且つステップS316においてバッテリ残量が許容残量範囲の下限値以下であると判定された場合、ステップS317において、充電パターン決定部103は、下限値を下回らずに目的地に到達することは不可能であると確定する。そして、充電パターン決定部103は、ステップS315において、この時点までに選択された少なくとも1つの推奨充電施設及び各推奨充電施設における推奨充電量の組み合わせを推奨充電パターンとして決定する。この場合には、許容残量範囲内で目的地に到達することは不可能である旨が表示部205に表示される。
【0056】
以上のように本実施の形態によれば、ナビゲーション装置100において、充電パターン決定部103は、バッテリ残量、走行ルート、充電施設の位置、及び、充電によるバッテリ寿命への負荷を考慮した場合に許されるバッテリ残量の取り得る範囲であり且つその負荷が最小となるバッテリ残量の値であるバッテリ残量基準値を含む許容残量範囲に基づいて、推奨充電パターンを決定する。そして、推奨充電パターンは、充電を推奨される少なくとも1つの推奨充電施設と各推奨充電施設における推奨充電量とによって規定される。
【0057】
こうすることで、充電によるバッテリ寿命への負荷を考慮した場合に許されるバッテリ残量の取り得る範囲である許容残量範囲内にバッテリ残量が収まる推奨充電パターンを決定できるので、バッテリの寿命を考慮したナビゲーションを実現できる。
【0058】
[実施の形態2]
実施の形態1では、許容残量範囲が1種類に固定される場合を前提とした。これに対して、実施の形態2では、複数の許容残量範囲が設定され、各許容残量範囲について許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在するか否かが判定され、存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内、最も幅の小さい許容残量範囲に対応する充電パターンが推奨充電パターンとして決定される。
【0059】
図8は、本発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置400の主要構成を示す。図8において、ナビゲーション装置400は、充電パターン決定部401を有する。
【0060】
充電パターン決定部401は、複数の許容残量範囲を保持している。各許容残量範囲は、バッテリ寿命負荷が最小となるバッテリ残量基準値を含み、且つ、上限値と下限値とによって規定される範囲である。
【0061】
そして、充電パターン決定部401は、各許容残量範囲について許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在するか否かを判定し、存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内、最も幅の小さい許容残量範囲に対応する充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0062】
具体的には、充電パターン決定部401は、図9に示すように、判定部411と、推奨許容残量範囲決定部412と、推奨充電パターン決定部413と、記憶部414とを有する。
【0063】
判定部411は、バッテリ残量情報と、走行ルート情報と、充電施設位置情報と、記憶部414に保持されている複数の許容残量範囲とに基づいて、各許容残量範囲について許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在するか否かを判定する。
【0064】
推奨許容残量範囲決定部412は、判定部411において許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内、最も幅の小さい許容残量範囲(以下では、「推奨許容残量範囲」と呼ぶ)を決定する。
【0065】
推奨充電パターン決定部413は、推奨許容残量範囲決定部412において決定された推奨許容残量範囲に対応する充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0066】
以上の構成を有するナビゲーション装置400の動作について説明する。
【0067】
記憶部414は、複数の許容残量範囲を有している。ここでは、下限値が30%であり且つ上限値が55%である第1の許容残量範囲、下限値が30%であり且つ上限値が70%である第2の許容残量範囲、下限値が15%であり且つ上限値が85%である第3の許容残量範囲が記憶部414に保持されている。
【0068】
判定部411は、バッテリ残量情報と、走行ルート情報と、充電施設位置情報と、記憶部414に保持されている複数の許容残量範囲とに基づいて、各許容残量範囲について許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在するか否かを判定する。
【0069】
図10に示すように、第1乃至第3の許容残量範囲のいずれにも、許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在している。図10Aには、第1の許容残量範囲に対応する充電パターンが示されている。ここでは、充電施設A−Cのすべてにおいて充電する充電パターンが示されている。図10Bには、第2の許容残量範囲に対応する充電パターンが示されている。ここでは、充電施設Bにおいて充電する充電パターンが示されている。図10Cには、第3の許容残量範囲に対応する充電パターンが示されている。ここでは、充電施設A−Cのいずれにおいても充電しない充電パターンが示されている。
【0070】
そして、推奨許容残量範囲決定部412は、判定部411において許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内、最も幅の小さい許容残量範囲を推奨許容残量範囲として決定する。そして、推奨充電パターン決定部413は、推奨許容残量範囲決定部412において決定された推奨許容残量範囲に対応する充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。すなわち、図10に示した例では、3つの許容残量範囲の内で第1の許容残量範囲の幅が最も狭いので、推奨充電パターン決定部412は、第1の許容残量範囲に対応する充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。こうして決定された推奨充電パターンは、ナビゲーションシステム200の表示部205に表示される。
【0071】
以上のように本実施の形態によれば、ナビゲーション装置400において、充電パターン決定部401は、複数の許容残量範囲を保持し、各許容残量範囲について許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在するか否かを判定し、存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内、最も幅の小さい許容残量範囲に対応する充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0072】
こうすることで、バッテリ残量が範囲内に収まる充電パターンが存在し且つバッテリ寿命に関して最も有利な許容残量範囲に対応する充電パターンを推奨充電パターンとして決定できる。
【0073】
なお、以上の説明では、推奨充電パターンのみが表示部205に表示されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、第1乃至第3の許容残量範囲のそれぞれに対応する充電パターン1乃至3の全てが表示されてもよい。そして、この場合、推奨充電パターンである充電パターン1の表示をハイライトにしてもよい。
【0074】
また、図11に示すように各充電パターンに対する予想到着時刻を表示し、バッテリ寿命負荷及び予想到着時刻のどちらを充電パターンの選択基準とするかについてはユーザの好みに任せ、ユーザが好みの充電パターンを選択できるようにしてもよい。
【0075】
また、図12に示すように、ユーザによって選択された充電パターンに合わせて、当該充電パターンにおいて推奨充電施設とされている充電施設がルート表示上でハイライトにされてもよい。また、ルート表示において道路に対応する線の太さをバッテリ残量に応じた太さにしてもよい。
【0076】
[実施の形態3]
実施の形態3では、実施の形態2の推奨許容残量範囲に対応する複数の充電パターンが存在する場合、目的地に到達した時点のバッテリ残量がバッテリ残量基準値に最も近い充電パターンが推奨充電パターンとして決定される。
【0077】
図13は、本発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置500の主要構成を示す。図13において、ナビゲーション装置500は、充電パターン決定部501を有する。
【0078】
充電パターン決定部501は、実施の形態2の充電パターン決定部401と同様に、複数の許容残量範囲を保持している。
【0079】
充電パターン決定部501は、各許容残量範囲についてその範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在するか否かを判定する。そして、充電パターン決定部501は、存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内で最も幅の小さい許容残量範囲に対応する複数の充電パターンの内、目的地におけるバッテリ残量がバッテリ残量基準値に最も近い充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0080】
具体的には、充電パターン決定部501は、図14に示すように、推奨充電パターン決定部511を有する。
【0081】
推奨充電パターン決定部511は、推奨許容残量範囲決定部412において決定された推奨許容残量範囲に対応する充電パターンを特定し、特定された充電パターンが複数存在する場合、その複数の充電パターンの内、目的地におけるバッテリ残量がバッテリ残量基準値に最も近い充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0082】
ここで、電気自動車が目的地に到達すると、一定時間以上停車し続けることが多い。電気自動車が停車された状態でもバッテリ残量に応じたバッテリ寿命負荷が存在し、この停車時のバッテリ寿命負荷は、バッテリ残量がバッテリ残量基準値に近い程小さくなる。従って、目的地におけるバッテリ残量がバッテリ残量基準値に最も近い充電パターンを推奨充電パターンとして決定することにより、バッテリ寿命の減少スピードを遅くすることができる。
【0083】
以上の構成を有するナビゲーション装置500の動作について説明する。図15は、推奨充電パターン決定部511の動作説明に供するフロー図である。
【0084】
ステップS601において、推奨充電パターン決定部511は、推奨許容残量範囲決定部412において決定された推奨許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンを特定する。すなわち、図16に示すように充電パターンA−Jが存在する場合、充電パターンA,C,Eの3つのパターンが推奨充電パターン決定部511によって特定される充電パターンである。
【0085】
ステップS602において、推奨充電パターン決定部511は、特定された複数の充電パターンの内、目的地におけるバッテリ残量がバッテリ残量基準値に最も近い充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。ここで、バッテリ残量基準値を50%とした場合、充電パターンC,Eの2つのパターンが推奨充電パターン候補となりうる。推奨充電パターン決定部511は、充電パターンC,Eの内のいずれか、又は、両方を推奨充電パターンとして決定する。
【0086】
以上のように本実施の形態によれば、ナビゲーション装置500において、充電パターン決定部501は、許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内、最も幅の小さい許容残量範囲を推奨許容残量範囲として決定する。そして、充電パターン決定部501は、推奨許容残量範囲に対応する複数の充電パターンの内、目的地におけるバッテリ残量がバッテリ残量基準値に最も近い充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0087】
こうすることで、目的地におけるバッテリ残量がバッテリ残量基準値に最も近い充電パターンを推奨充電パターンとして決定できるので、バッテリ寿命の減少スピードを遅くすることができる。
【0088】
[実施の形態4]
実施の形態3では、推奨許容残量範囲に対応する複数の充電パターンが存在する場合、目的地に到達した時点のバッテリ残量がバッテリ残量基準値に最も近い充電パターンが推奨充電パターンとして決定された。これに対して、実施の形態4では、推奨許容残量範囲に対応する複数の充電パターンが存在する場合、「バッテリ寿命負荷総量」が最も小さい充電パターンが推奨充電パターンとして決定される。
【0089】
図17は、本発明の実施の形態4に係るナビゲーション装置700の主要構成を示す。図17において、ナビゲーション装置700は、充電パターン決定部701を有する。
【0090】
充電パターン決定部701は、実施の形態3の充電パターン決定部501と同様に、複数の許容残量範囲を保持している。
【0091】
充電パターン決定部701は、各許容残量範囲について許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在するか否かを判定する。そして、充電パターン決定部701は、存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内で最も幅の小さい許容残量範囲に対応する複数の充電パターンの内、「バッテリ寿命負荷総量」が最も小さい充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0092】
具体的には、充電パターン決定部701は、図18に示すように、推奨充電パターン決定部711を有する。
【0093】
推奨充電パターン決定部711は、推奨許容残量範囲決定部412において決定された推奨許容残量範囲に対応する充電パターンを特定し、特定された充電パターンが複数存在する場合、その複数の充電パターンの内、「バッテリ寿命負荷総量」が最も小さい充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。ここで、「バッテリ寿命負荷総量」としては、現在地から目的地に到るまでの各地点(又は各時点)でのバッテリ残量とバッテリ残量基準値との差の絶対値(つまり、各地点又は各時点におけるバッテリ寿命負荷)をすべての地点(又は時点)について足し合わせることにより得られる値が用いられてもよいし、その差の2乗をすべての地点(又は時点)について足し合わせることにより得られる値が用いられてもよい。ここでは、バッテリ残量基準値を50%としている。
【0094】
以上の構成を有するナビゲーション装置700の動作について説明する。図19は、推奨充電パターン決定部711の動作説明に供するフロー図である。
【0095】
ステップS801において、推奨充電パターン決定部711は、ステップS601において特定した各充電パターンについて、出発地、推奨充電施設及び目的地の各隣接地点間のバッテリ寿命負荷量が最小となるように、各推奨充電施設における充電量を調整する。
【0096】
図20は、充電量が調整された充電パターンの例を示す。図20Aには、推奨充電施設が充電施設B及びDである充電パターンが示されている。また、図20Bには、推奨充電施設が充電施設A及びCである充電パターンが示されている。また、図20Cには、推奨充電施設が充電施設B及びCである充電パターンが示されている。ここで、いずれの推奨充電施設においても上限値まで充電が行われていない。
【0097】
図19に戻り、ステップS802において、推奨充電パターン決定部711は、ステップS801において充電量が調整された各充電パターンについて、出発地から目的地までのバッテリ寿命負荷総量を算出する。
【0098】
ステップS803において、推奨充電パターン決定部711は、ステップS802において算出されたバッテリ寿命負荷総量が最小である充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。こうして決定された推奨充電パターンは、ナビゲーションシステム200の表示部205に表示される。
【0099】
図21は、充電パターンに対するバッテリ残量の具体的な推移を示す。図21Aには、充電施設A、Bにおいて充電する充電パターンが示され、図21Bには、充電施設Bのみにおいて充電する充電パターンが示され、図21Cには、充電しない充電パターンが示されている。図22は、図21に示された各充電パターンに対するバッテリ寿命負荷総量の説明に供する図である。図22A−Cは、図21A−Cにそれぞれ対応する。ここでは、バッテリ寿命負荷として、現在地から目的地に到るまでの各地点(又は各時点)でのバッテリ残量とバッテリ残量基準値との差の2乗が用いられている。
【0100】
図21Aの充電パターンにおけるバッテリ寿命負荷総量は、7845である。図21Bの充電パターンにおけるバッテリ寿命負荷総量は、13524である。図21Cの充電パターンにおけるバッテリ寿命負荷総量は、15697である。バッテリ寿命負荷総量が小さいほど、バッテリの寿命の減少をより抑えた充電パターンということになる。バッテリ寿命負荷には、単位は無く、バッテリ寿命に対する負荷の度合いを充電パターン毎に比較するために用いられる。
【0101】
図23は、図21に示された各充電パターンにおけるバッテリ寿命の推移を示す。図23において、縦軸はバッテリ寿命の値であり、横軸は現在位置からの走行距離を示している。図23において、現在地から目的地に接近するにつれて、バッテリ寿命が現在数値(仮に現在のバッテリ寿命を8,000,000とした)から減少する様子が表されている。3つの充電パターンを比較すると、バッテリ寿命負荷総量が最小であった図21Aの充電パターンの場合、バッテリ寿命の減少度合いも最小となり、バッテリ寿命負荷総量が最大であった図21Cの充電パターンの場合に、バッテリ寿命の減少度合いも最大となっている。図21Aの充電パターンにおけるバッテリ寿命の推移を参照すると、充電施設Aにおける充電時に、バッテリ寿命が同じ位置で大きく減少するが、充電施設Aを出発して移動を開始するとバッテリ寿命の減少が緩やかになっている様子がわかる。
【0102】
なお、以上の説明では、推奨充電パターンのみが表示部205に表示されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図24に示すように、推奨許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンの全てが表示されてもよい。そして、この場合、推奨充電パターンである充電パターン1の表示をハイライトにしてもよい。
【0103】
また、図24に示すように各充電パターンに対する予想到着時刻を表示し、バッテリ寿命負荷及び予想到着時刻のどちらを充電パターンの選択基準とするかについてはユーザの好みに任せ、ユーザが好みの充電パターンを選択できるようにしてもよい。
【0104】
以上のように本実施の形態によれば、ナビゲーション装置700において、充電パターン決定部701は、許容残量範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内、最も幅の小さい許容残量範囲を推奨許容残量範囲として決定する。そして、充電パターン決定部701は、推奨許容残量範囲に対応する複数の充電パターンの内、バッテリ寿命負荷総量が最も小さい充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0105】
こうすることで、バッテリ寿命負荷総量が最も小さい充電パターンを推奨充電パターンとして決定できるので、バッテリ寿命の減少スピードを遅くすることができる。
【0106】
[他の実施の形態]
[1]実施の形態3では、推奨許容残量範囲決定部412において決定された推奨許容残量範囲を処理対象の許容残量範囲として説明を行った。しかしながら、これに限定されるものではなく、実施の形態1における固定された1つの許容残量範囲を処理対象としてもよい。すなわち、この場合には、実施の形態1のナビゲーション装置100における充電パターン決定部103は、固定された1つの許容残量範囲に対応する複数の充電パターンの内、目的地におけるバッテリ残量がバッテリ残量基準値に最も近い充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0107】
[2]実施の形態4では、推奨許容残量範囲決定部412において決定された推奨許容残量範囲を処理対象の許容残量範囲として説明を行った。しかしながら、これに限定されるものではなく、実施の形態1における固定された1つの許容残量範囲を処理対象としてもよい。すなわち、この場合には、実施の形態1のナビゲーション装置100における充電パターン決定部103は、固定された1つの許容残量範囲に対応する複数の充電パターンの内、バッテリ寿命負荷総量が最も小さい充電パターンを推奨充電パターンとして決定する。
【0108】
[3]上記各実施の形態における充電パターン決定処理は、ナビゲーション装置が走行ルートを自動的に更新する機能、いわゆるリルート機能を実施する際に行われてもよい。
【0109】
[4]実施の形態4において、各充電施設における充電速度の違い(つまり、倍速充電又は急速充電等の違い)が考慮されてもよい。この場合には、充電パターン決定部701は、各充電施設のタイプ(つまり、倍速充電又は急速充電等)を踏まえて、推奨充電施設における充電量の調整、バッテリ寿命負荷総量の算出、及び推奨充電パターンの決定を行う。
【0110】
[5]上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0111】
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0112】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0113】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明のナビゲーション装置及びナビゲーション方法は、電気自動車に搭載され、バッテリの寿命を考慮したナビゲーションをするものとして有用である。
【符号の説明】
【0115】
100,400,500,700 ナビゲーション装置
101 バッテリ情報取得部
102 走行ルート情報取得部
103,401,501,701 充電パターン決定部
200 ナビゲーションシステム
201 バッテリ情報出力部
202 地点情報取得部
203 地図情報保持部
204 走行ルート検出部
205 表示部
411 判定部
412 推奨許容残量範囲決定部
413,511,711 推奨充電パターン決定部
414 記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に搭載されるナビゲーション装置であって、
前記電気自動車に搭載されたバッテリに残された電力量であるバッテリ残量に関する情報を取得するバッテリ情報取得手段と、
前記電気自動車の走行ルートと前記走行ルート上に存在する充電施設の位置とに関する情報を取得する走行ルート情報取得手段と、
前記バッテリ残量、前記走行ルート、前記充電施設の位置、及び、充電によるバッテリ寿命への負荷を考慮した場合に許されるバッテリ残量の取り得る範囲である許容残量範囲に基づいて、推奨充電パターンを決定する手段であって、前記推奨充電パターンは、充電を推奨される少なくとも1つの推奨充電施設と各推奨充電施設における推奨充電量とによって規定される、充電パターン決定手段と、
を具備するナビゲーション装置。
【請求項2】
前記充電パターン決定手段は、複数の許容残量範囲を保持し、前記複数の許容残量範囲は、上限値及び下限値の内の少なくとも一方が異なり、
前記充電パターン決定手段は、各許容残量範囲について範囲内でバッテリ残量が収まる充電パターンが存在するか否かを判定し、存在すると判定された少なくとも1つの許容残量範囲の内、最も幅の小さい許容残量範囲に対応する充電パターンを、前記推奨充電パターンとして決定する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記許容残量範囲は、前記負荷が最小となるバッテリ残量の値であるバッテリ残量基準値を含み、
前記充電パターン決定手段は、前記許容残量範囲に対応する複数の充電パターンの内、前記電気自動車の目的地におけるバッテリ残量が前記バッテリ残量基準値に最も近い充電パターンを、前記推奨充電パターンとして決定する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記充電パターン決定手段は、前記許容残量範囲に対応する複数の充電パターンの内、バッテリ寿命負荷総量が最も小さい充電パターンを、前記推奨充電パターンとして決定する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記許容残量範囲は、前記負荷が最小となるバッテリ残量の値であるバッテリ残量基準値を含み、
前記充電パターン決定手段は、前記電気自動車の出発地から目的地に到るまでの各地点でのバッテリ残量と前記バッテリ残量基準値との差の絶対値又は当該絶対値を2乗した値を全ての地点について足し合わせることにより、前記バッテリ寿命負荷総量を算出する、
請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
電気自動車に搭載されるナビゲーション装置におけるナビゲーション方法であって、
前記電気自動車に搭載されたバッテリに残された電力量であるバッテリ残量に関する情報を取得し、
前記電気自動車の走行ルートと前記走行ルート上に存在する充電施設の位置とに関する情報を取得し、
前記バッテリ残量、前記走行ルート、前記充電施設の位置、及び、充電によるバッテリ寿命への負荷を考慮した場合に許されるバッテリ残量の取り得る範囲である許容残量範囲に基づいて、推奨充電パターンを決定し、前記推奨充電パターンは、充電を推奨される少なくとも1つの推奨充電施設と各推奨充電施設における推奨充電量とによって規定される、
ナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−11458(P2013−11458A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142992(P2011−142992)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】