説明

ナビゲーション装置及び地図スクロール処理方法

【課題】本発明は、ユーザのタッチ操作だけで簡単にユーザ所望のスクロール処理を実行できるようにする。
【解決手段】本発明は、ナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6に対して、連続的なスムーススクロール処理を行わせるため、運転席の位置に合わせて上記地図画像上の右下部分又は左下部分にスムーススクロール操作用アイコンSSAを表示し、ナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6上でスムーススクロール操作用アイコンSSAがタッチ操作されたことを検出したときスムーススクロール処理を行い、スムーススクロール操作用アイコンSSA以外の領域がタッチ操作されたことを検出したとき、当該タッチ操作された地点と現在タッチ操作されている地点との間が一定距離以内である場合にはタッチスクロール処理を実行し、当該タッチ操作された地点と現在タッチ操作されている地点との間が一定距離を超えている場合にはドラッグスクロール処理を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及び地図スクロール処理方法に関し、例えばポータブルナビゲーションデバイス(以下、これをPNDと呼ぶ)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヨーロッパ・北米を中心に、簡単に取り付け、取り外しが可能な小さな画面サイズのPND(Personal Navigation Device)の利用が増えている。このPNDでは、画面上に地図画像を表示した状態で、ユーザが直接画面上を指先でタッチしてなぞることにより当該地図画像をスクロールすることが可能であり、製品ごとに様々なスクロール操作手段を提供している。
【0003】
また、タッチセンサにより検出された位置が画面中央になるように地図画像をタッチスクロールするナビゲーションの画面表示制御装置(例えば、特許文献1参照)や、タッチセンサパネルを押下してスクロールさせる際に、タッチセンサパネルの押下された位置が表示画面の中心になるように地図をタッチスクロールさせると共に、押下がそのまま継続された場合には、その押下が解除されるまで、押下されている位置から表示画面中心方向へ地図画像を連続的にスムーススクロールさせる地図表示装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7-210137号公報
【特許文献2】特開2002-323850公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上述したかかる構成のPNDにおいては、いわゆるユーザのドラッグスクロール操作に応じて現在位置周辺をスクロール表示することは容易であるが、現在位置から離れた遠くの地点の地図画像を表示させたい場合、いわゆるスムーススクロール操作をユーザに行わせる必要がある。
【0005】
そのスムーススクロール操作方法としては、例えば画面上の任意の地点を一定時間以上指先で触れ続けることであり、このときPNDではスムーススクロール処理に遷移させる(一定時間以内指先で触れ続けたタッチスクロール操作のときには、その触れた地点を画面中央に移動させる所謂タッチスクロール処理に遷移させる)ようになされている。
【0006】
しかしながら、PNDでは、ユーザのスムーススクロール操作とタッチスクロール操作との違いが画面上の任意の地点を指先で触れ続けている時間の差だけであって、両者の操作が非常に似通っているため、ユーザ自身がスムーススクロール操作をしているつもりであるにも拘わらず、実際にはタッチスクロール操作をしていた関係でタッチスクロール処理に遷移してしまったり、或いはユーザ自身がタッチスクロール操作をしているつもりであるにも拘わらず、実際にはスムーススクロール操作をしていた関係でスムーススクロール処理に遷移してしまうという事態が生じ易く、操作性が悪いという問題があった。
【0007】
またPNDでは、画面上のタッチパネルに対するスクロール操作以外の方法でスムーススクロール処理を実行させる場合、リモートコントローラ等の入力手段を用いて地図画像のスケールを変更してから当該リモートコントローラを介してスムーススクロール操作を行わせる必要があり、リモートコントローラを用いた煩雑な操作をユーザに強いるという問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ユーザのタッチ操作だけで簡単にユーザ所望のスクロール処理を実行し得るナビゲーション装置及び地図スクロール処理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明においては、地図画像の上で現在位置から目的地までの走行経路を案内する際、表示手段に表示された地図画像上で連続的なスムーススクロール処理を行わせるためのスムーススクロール操作用アイコンを生成し、当該スムーススクロール操作用アイコンを運転席の位置に合わせて上記地図画像上の右下部分又は左下部分に表示し、スムーススクロール操作用アイコンがタッチ操作されたことを当該表示手段の前面に設けられたタッチセンサ手段によって検出したときスムーススクロール処理を実行し、表示手段の画面上でスムーススクロール操作用アイコン以外の領域がタッチ操作されたことをタッチセンサ手段によって検出したとき、当該タッチ操作された地点と現在タッチ操作されている地点との間が一定距離以内である場合には当該タッチ操作された地点を画面中心に移動させるタッチスクロール処理を実行し、当該タッチ操作された地点と現在タッチ操作されている地点との間が一定距離を超えている場合には当該タッチ操作の軌跡に沿った方向へドラッグスクロール処理を実行するようにしたことにより、スムーススクロール処理を容易に実行させるため運転席から近く操作し易い位置に表示されたスムーススクロール操作用アイコンと、タッチスクロール処理又はドラッグスクロール処理を実行させるためのスムーススクロール操作用アイコンの領域外部分とに区分けした表示状態をユーザに目視確認させ状態でユーザに選択操作させることが出来るので、ユーザが意図する種類のスクロール処理を同一画面上で正確に指示させるように促して操作性を格段に向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スムーススクロール処理を容易に実行させるため運転席から近く操作し易い位置に表示されたスムーススクロール操作用アイコンと、タッチスクロール処理又はドラッグスクロール処理を実行させるためのスムーススクロール操作用アイコンの領域外部分とに区分けした表示状態をユーザに目視確認させ状態でユーザに選択操作させることが出来るので、ユーザが意図する種類のスクロール処理を同一画面上で正確に指示させるように促して操作性を格段に向上させることができ、かくしてユーザのタッチ操作だけで簡単にユーザ所望のスクロール処理を実行し得るナビゲーション装置及び地図スクロール処理方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】PNDの外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】PNDの回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図3】スクロール処理の機能ブロックを示す略線的ブロック図である。
【図4】タッチスクロール処理の説明に供する略線図である。
【図5】ドラッグスクロール処理の説明に供する略線図である。
【図6】スムーススクロール処理の説明に供する略線図である。
【図7】スムーススクロール操作用アイコンの表示形態及びタッチ領域を示す略線図である。
【図8】地図スクロール処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0013】
(1)PNDの外観構成
図1において、1は全体として携帯型で持ち運び可能であり、主に車内で用いられるPNDを示し、矩形状の本体部2における前面にモニター3が設けられており、本体部2に内蔵された不揮発性メモリやハードディスク等に格納されている地図データに応じた地図画像等を生成し、モニター3に表示し得るようになされている。
【0014】
(2)PNDのハードウェア構成
図2に示すように、PND1はバッテリ29から供給される電力によって動作し、CPU(Central Processing Unit)20が全体を統括制御すると共に、不揮発性メモリ21に格納された基本プログラムや各種アプリケーションプログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)22上で実行することにより、通常のナビゲーション機能及び後述する地図スクロール処理機能を実現するようになされている。
【0015】
このPND1は、バッテリ29によりバックアップされたSRAM(Static Random Access Memory)やフラッシュメモリ等でなる不揮発性メモリ21に全国の地図を示す地図データが記憶されていると共に、各種施設などの関心地点を表すPOI(Point Of Interest)データが地図上の位置に対応付けられた状態で予め記憶されている。
【0016】
なおPND1は、例えばCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc- Read Only Memory)等の光ディスクやハードディスクドライブ等の外部メモリ28を有し、地図データ、POIデータ、検索情報若しくは音楽/映像のコンテンツデータ等の大容量データを保持し得るようになされている。
【0017】
またPND1は、GPS(Global Positioning System)衛生からの電波をGPSユニット23によって受信することにより、緯度、経度及び高度等からなるGPS情報を常時算出するようになされており、そのGPS情報をCPU20へ送出する。
【0018】
PND1のCPU20は、GPSユニット23から供給されるGPS情報と不揮発性メモリ21に記憶されている地図データとを比較することにより、現時点でPND1が存在する位置(すなわち、PND1が搭載された車両が存在する自車位置)を含む所定範囲の地図データを読み出し、その地図データに応じて自車位置とその周辺とを表す所定倍率の地図画像をモニター3のLCD(Liquid Crystal Display)24に表示するようになされている。
【0019】
またPND1のCPU20は、モニター3のLCD24の表面に設けられたタッチパネル25に対するユーザ操作に応じて、目的地としてPOIデータが任意に選択された場合、車両の自車位置からPOIデータに対応した目的地までの到達経路等を探索し、その到達経路を表したナビゲーション地図画像を生成し、LCD24に表示し得るようになされている。
【0020】
このときPND1のCPU20は、到達経路を表したナビゲーション地図画像をLCD24に表示すると共に、音声処理部26を介して車両が到達経路に従って目的地まで走行する間、ユーザの運転を誘導及び補助(以下、これらをナビゲートと呼ぶ)するための音声情報を生成し、そのナビゲート音声をスピーカ27から出力する。
【0021】
このようにしてPND1では、ユーザ所望の目的地まで車両をナビゲートするナビゲーション機能を提供し得るようになされている。
【0022】
なおPND1は、車両の車輪回転数を検知する車速センサ、車体の回転角速度を検知する振動ジャイロセンサ、車両の加速度を検知する加速度センサ、車両の振動を検知する振動センサ、車両の走行装置の状態を検出する例えばパーキングブレーキスイッチ検知センサ、ブレーキランプスイッチ検知センサ、ステアリング舵角センサ、スロットル開度センサ等からなるセンサ部30を有しており、このセンサ部30の検出結果と、GPSユニット23のGPS情報とに基づいて自車位置を一段と高精度に検出し得るようになされている。
【0023】
(3)PNDによる地図スクロール処理機能を実現するソフトウェア機能ブロック構成
続いて、PND1のCPU20が基本プログラムや各種アプリケーションプログラムに従い、ユーザからのスクロール操作を受け付けてモニター3のLCD24に表示したナビゲーション地図画像をスクロール処理する際のソフトウェア機能ブロックについて説明する。
【0024】
図3に示すようにPND1のCPU20は、モニター3のタッチパネル25に対するユーザの指先によるタッチ操作を入力情報処理部20Aによって受け付け、そのタッチ操作に応じた地図画像のLCD24に対する表示位置を計算する。
【0025】
このときPND1のCPU20は、地図画像の元となる地図データを不揮発性メモリ21(図2)若しくは外部メモリ28から読み出し、地図情報処理部20DによりLCD24に描画可能な構造に当該地図データを変換すると共に、GPSユニット23からのGPS情報に基づいて算出した自車位置から目的地までの到達経路を経路探索処理部20Bによって求める。
【0026】
そしてPND1のCPU20は、地図画像のLCD24に対する表示位置、当該表示位置に表示すべき地図画像に対応した所定範囲の地図データ、及び到達経路等の各種情報を基に、画面描画処理部20Cによってルート案内を行うためのナビゲーション地図画像を生成し、これをモニター3のLCD24に対して表示し、ユーザのスクロール操作に合わせたスクロール処理を実行するようになされている。
【0027】
このようにPND1のCPU20は、モニター3のLCD24にナビゲーション地図画像を表示した状態で、ユーザの指先によってタッチスクロール操作又はドラッグスクロール操作が行われたことをタッチパネル25によって検出すると、そのスクロール操作に応じてナビゲーション地図画像をスクロール処理し得るようになされている。
【0028】
なおPND1のCPU20は、スムーススクロール操作用アイコン生成部20Eにより、ユーザの指先によるタッチ操作に応じてナビゲーション地図画像を連続的にスムーススクロール処理するためのスムーススクロール操作用アイコン(後述する)を生成し、これをナビゲーション地図画像上に重ねて表示し得るようになされている。
【0029】
(4)スクロール処理
続いて、PND1のCPU20が行う各種のスクロール処理(タッチスクロール処理、ドラッグスクロール処理及びスムーススクロール処理)について具体的に説明する。
【0030】
(4−1)タッチスクロール処理
図4に示すように、PND1のCPU20は、モニター3のLCD24にナビゲーション地図画像NG1を表示した状態で、ユーザの指先でLCD24における画面上の任意の地点PO1がタッチ操作された場合、当該地点PO1をLCD24の画面中心に移動させる所謂タッチスクロール処理を実行することにより、その表示領域を移動させたナビゲーション地図画像NG2を表示するようになされている。
【0031】
すなわちPND1のCPU20は、LCD24に表示したナビゲーション地図画像NG1の任意の地点PO1がユーザによってタッチ操作されたことを認識すると、その地点PO1を画面中心とした表示領域からなるナビゲーション地図画像NG2をLCD24に表示することにより、当該LCD24の表示内容を瞬間的に切り換えるタッチスクロール処理を実行し得るようになされている。
【0032】
(4−2)ドラッグスクロール処理
図5に示すように、PND1のCPU20はモニター3のLCD24にナビゲーション地図画像NG3を表示した状態で、ユーザの指先でLCD24における画面上の任意の地点PO2がタッチ操作された状態のまま、指先が地点PO3、PO4へなぞられた場合、そのドラッグスクロール操作の軌跡に合わせて当該地点PO2〜地点PO4へ向かって地図を順次移動させたナビゲーション地図画像NG4、NG5を表示するようになされている。
【0033】
すなわちPND1のCPU20は、LCD24に表示したナビゲーション地図画像NG3の任意の地点PO2が指先でタッチ操作された状態で画面上をなぞられるドラッグスクロール操作が行われたことを認識すると、そのドラッグスクロール操作の軌跡に沿った方向へドラッグスクロール操作と共に地図の表示領域を移動させたナビゲーション地図画像NG4、NG5を順次表示することにより、LCD24の地図を徐々に移動させながら表示するドラッグスクロール処理を実行し得るようになされている。
【0034】
(4−3)スムーススクロール処理
図6に示すように、PND1のCPU20は、LCD24に表示したナビゲーション地図画像NG6の右隅に、右ハンドル仕様の車両に合わせたスムーススクロール操作用アイコンSSAが設けられており、そのスムーススクロール操作用アイコンSSAの所定方向を示す矢印部分がユーザの指先でタッチ操作された場合、タッチ操作され続けている時間だけ、その矢印方向へナビゲーション地図画像を高速に移動させ得るようになされている。
【0035】
すなわちPND1のCPU20は、ナビゲーション地図画像NG6の右隅に配されたスムーススクロール操作用アイコンSSAのうち、ユーザがスムーススクロール処理を希望する所定方向の矢印部分がユーザの指先でタッチ操作され続けている時間だけ、その矢印方向へ地図画像を高速に移動させることによりスムーススクロール処理を実行し得るようになされているため、地図の縮尺を変更することなく、同じ縮尺のまま、ナビゲーション地図画像NG6が表示している領域から大きく離れた地点の地図を短時間のうちに表示し得るようになされている。
【0036】
ここで図7(A)に示すように、スムーススクロール操作用アイコンSSAは、前後左右方向の矢印部分に加えて、斜め右上方向、斜め右下方向、斜め左上方向及び斜め左下方向を示した矢印部分を有し、その周囲にタッチ操作されたか否かを判別するための矩形状でなるタッチ領域TA1が形成されている。
【0037】
従ってPND1は、このスムーススクロール操作用アイコンSSAにおける前後左右方向の矢印部分、斜め右上方向、斜め右下方向、斜め左上方向及び斜め左下方向の矢印部分のうち、ユーザの指先で何れかの方向を示す矢印部分がタッチ操作されたことをタッチパネル25によって検出すると、その検出結果をCPU20へ供給することにより、当該CPU20に対してスムーススクロール処理の方向を決定させ得るようになされている。
【0038】
但しPND1では、スムーススクロール操作用アイコンSSAのサイズがユーザの指先に比べて必ずしも大きくなく、タッチ操作の誤りが生じ得ることを考慮し、図7(B)に示すように、タッチ領域TA1の中で所定太さの斜線部分によって区切られた上方向領域TA1U、下方向領域TA1D、右方向領域TA1R、左方向領域TA1L、斜め右上方向領域TA1RU、斜め右下方向領域TA1RD、斜め左上方向領域TA1LU及び斜め左下方向領域TA1LDがタッチ操作されたことをタッチパネル25によって検出し、その検出結果をCPU20へ供給することにより、当該CPU20に対してスムーススクロール処理の方向を決定させ得るようになされている。
【0039】
すなわちPND1では、タッチ領域TA1の中心から周囲へ向かって行くに連れて拡がった形状の上方向領域TA1U、下方向領域TA1D、右方向領域TA1R、左方向領域TA1L、斜め右上方向領域TA1RU、斜め右下方向領域TA1RD、斜め左上方向領域TA1LU及び斜め左下方向領域TA1LDに対するタッチ操作をタッチパネル25によって検出するようにしたことにより、スムーススクロール操作用アイコンSSAのサイズがユーザの指先に比べて必ずしも大きくなくタッチ操作の誤りが生じ易い状況を改善し得るようになされている。
【0040】
なおPND1のCPU20は、スムーススクロール操作用アイコンSSAをナビゲーション地図画像NG6の右隅に表示するようになされているが、このときタッチ領域TA1及びその上方向領域TA1U、下方向領域TA1D、右方向領域TA1R、左方向領域TA1L、斜め右上方向領域TA1RU、斜め右下方向領域TA1RD、斜め左上方向領域TA1LU及び斜め左下方向領域TA1LDについては表示しないようになされており、これによりあたかもスムーススクロール操作用アイコンSSAの矢印部分がタッチ操作されたことに反応してスムーススクロール処理を実行しているかのような印象をユーザに与え得るようになされている。
【0041】
因みにPND1のCPU20は、スムーススクロール操作用アイコンSSAをナビゲーション地図画像NG1(図4)及びナビゲーション地図画像NG3(図5)に対しても表示するようになされており、ナビゲーション地図画像NG1、NG3のスムーススクロール操作用アイコンSSAを選択させるか否かを基準に、タッチスクロール操作やドラッグスクロール操作をユーザに実行させるか、或いはスムーススクロール操作をユーザに実行させるかを容易に判別させ得るようになされている。
【0042】
(5)地図スクロール処理手順
続いて、上述したようにユーザのスクロール操作に応じてナビゲーション地図画像をスクロール処理する地図スクロール処理手順を、図8のフローチャートにより説明する。
【0043】
実際上、PND1のCPU20は、不揮発性メモリ21からRAM22上に立ち上げたアプリケーションプログラムである地図スクロール処理プログラムに従い、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移り、ユーザによって設定された目的地までの到達経路を含むナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6をモニター3のLCD24に表示し、次のステップSP2へ移る。
【0044】
ステップSP2においてPND1のCPU20は、LCD24に表示したナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6に対してユーザの指先によるタッチ操作が行われたか否かを判定し、否定結果が得られると再度ステップSP2へ戻ってタッチ操作が行われるまで待ち受けるのに対し、肯定結果が得られると次のステップSP3へ移る。
【0045】
ステップSP3においてPND1のCPU20は、LCD24に表示中のナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6の右隅に設けられたスムーススクロール操作用アイコンSSAがユーザの指先でタッチ操作されたか否かを判定する。
【0046】
ここで否定結果が得られると、このことはスムーススクロール操作用アイコンSSAがタッチ操作されておらず、ナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6のスムーススクロール操作用アイコンSSAを除く任意の地点がタッチ操作されたことを表しており、このときPND1のCPU20は次のステップSP4へ移る。
【0047】
ステップSP4においてPND1のCPU20は、ナビゲーション地図画像NG6のスムーススクロール操作用アイコンSSAを除き、ユーザの指先でタッチ操作された地点と現在の指先が位置する地点とが一定距離以内であるか否かを判定し、肯定結果が得られたときは所謂タッチスクロール操作が行われたと解釈し、このとき次のステップSP5へ移る。
【0048】
ステップSP5においてPND1のCPU20は、ユーザのタッチスクロール操作に合わせてタッチスクロール処理(図4)を実行し、次のステップSP8へ移って処理を終了する。
【0049】
これに対してステップSP4で否定結果が得られると、このことはユーザの指先でタッチ操作された地点と現在の指先が位置する地点とが一定距離を超えていること、すなわちドラッグスクロール操作が行われたと解釈し、このときPND1のCPU20は次のステップSP6へ移る。
【0050】
ステップSP6においてPND1のCPU20は、ユーザのドラッグスクロール操作に合わせてドラッグスクロール処理(図5)を実行し、次のステップSP8へ移って処理を終了する。
【0051】
一方、ステップSP3で肯定結果が得られると、このことはスムーススクロール操作用アイコンSSAがタッチ操作されており、そのタッチ操作されたスムーススクロール操作用アイコンSSAの矢印部分の矢印方向へスムーススクロール処理を行いたい旨の意志をユーザが持っていると解釈し、このときPND1のCPU20は次のステップSP7へ移る。
【0052】
ステップSP7においてPND1のCPU20は、ユーザの指先でタッチ操作されたスムーススクロール操作用アイコンSSAの矢印部分(実際は、タッチ領域TA1に設けられた上方向領域TA1U、下方向領域TA1D、右方向領域TA1R、左方向領域TA1L、斜め右上方向領域TA1RU、斜め右下方向領域TA1RD、斜め左上方向領域TA1LU及び斜め左下方向領域TA1LDの何れか)に対応した方向へスムーススクロール処理(図6)を実行し、次のステップSP8へ移って処理を終了する。
【0053】
(6)動作及び効果
以上の構成において、PND1のCPU20は、モニター3のLCD24に表示したナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6において、その右隅にスムーススクロール操作用アイコンSSAを設けたことにより、そのスムーススクロール操作用アイコンSSAの矢印部分がユーザの指先でタッチ操作されたとき、タッチ操作され続けている間だけ、ナビゲーション地図画像NG6をその矢印部分の矢印方向へ高速に移動させるスムーススクロール処理を行わせることを直感的にイメージさせることが出来る。
【0054】
またPND1のCPU20は、ナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6の右隅に配置されたスムーススクロール操作用アイコンSSAの領域外部分がユーザの指先でタッチ操作された場合、従来通り、タッチスクロール処理又はドラッグスクロール処理を行わせることをイメージさせることが出来る。
【0055】
すなわちPND1のCPU20は、ナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6の画面上で、スムーススクロール処理を実行させるためのスムーススクロール操作用アイコンSSAと、タッチスクロール処理又はドラッグスクロール処理を実行させるためのスムーススクロール操作用アイコンSSAの領域外部分とに区分けした表示状態をユーザに目視確認させることが出来るので、ユーザが意図する種類のスクロール処理を正確に指示させるよう促すことが出来る。
【0056】
またPND1のCPU20は、ナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6の縮尺を切り換える等の画面切換操作をユーザに行わせることなく、その画面上でスムーススクロール操作用アイコンSSA又はそれ以外の領域をタッチ操作させるだけで、ユーザの意志を正確に反映したスムーススクロール処理、タッチスクロール処理又はドラッグスクロール処理を実行することができる。
【0057】
以上の構成によれば、PND1のCPU20は、ナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6の画面上でユーザに簡単なタッチ操作を行わせることにより、ユーザ所望のスクロール処理を同一画面上で全て実行させることができ、煩わしい操作によるユーザのストレスを軽減し、その操作性を格段に向上させることができる。
【0058】
(7)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、スムーススクロール操作用アイコンSSAを右ハンドル用の車両に合わせてナビゲーション地図画像NG1、NG3及びNG6の右隅に配置するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、左ハンドル用の車両に合わせてスムーススクロール操作用アイコンSSAをナビゲーション地図画像NG1、NG3又はNG6の左隅に配置するようにしても良い。
【0059】
また上述の実施の形態においては、携帯型で持ち運び可能であり、主に車内で用いられるポータブル形式のPND1に本発明を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、車両の取り付け固定式のカーナビゲーション装置に本発明を適用するようにしても良い。
【0060】
さらに上述の実施の形態においては、スムーススクロール操作用アイコンSSAがタッチ操作され続けている時間だけスムーススクロール処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、スムーススクロール操作用アイコンSSAが一度タッチ操作されたことを検出したときにスムーススクロール処理を開始し、スムーススクロール操作用アイコンSSAが再度タッチ操作されたことを検出したときにスムーススクロール処理を停止するようにしても良い。
【0061】
さらに上述の実施の形態においては、PND1のCPU20が不揮発性メモリ21に格納されている地図スクロール処理プログラムに従い、上述した地図スクロール処理手順を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、記録媒体からインストールした地図スクロール処理プログラムや、インターネットからダウンロードした地図スクロール処理プログラム、その他種々のルートによってインストールした地図スクロール処理プログラムに従って上述した地図スクロール処理手順を実行するようにしても良い。
【0062】
さらに上述の実施の形態においては、表示手段としてのLCD24、タッチセンサ手段としてのタッチパネル25、アイコン生成手段及びスクロール制御手段としてのCPU20によって本発明のナビゲーション装置としてのPND1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる表示手段、タッチセンサ手段、アイコン生成手段、スクロール制御手段によってナビゲーション装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のナビゲーション装置及び地図スクロール処理方法は、例えばPND等のカーナビゲーション装置以外にも、ナビゲーション機能を搭載したノートブック型パーソナルコンピュータ、ナビゲーション機能を搭載したゲーム機、ナビゲーション機能を搭載した携帯電話機等のその他種々の電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1……PND、2……本体部、3……モニター、20……CPU、21……不揮発性メモリ、22……RAM、23……GPSユニット、24……LCD、25……タッチパネル、26……音声処理部、27……スピーカ、28……外部メモリ、29……バッテリ、30……センサ部、NG1〜NG6……ナビゲーション地図画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画像の上で現在位置から目的地までの走行経路を案内するナビゲーション装置であって、
上記地図画像を表示する表示手段と、
上記表示手段の前面に設けられたタッチセンサ手段と、
上記地図画像を連続的にスムーススクロール処理させるためのスムーススクロール操作用アイコンを生成し、当該スムーススクロール操作用アイコンを運転席の位置に合わせて上記地図画像上の右下部分又は左下部分に表示するアイコン生成手段と、
上記スムーススクロール操作用アイコンが上記タッチ操作されたことを上記タッチセンサ手段によって検出したとき、上記スムーススクロール処理を実行し、上記表示手段の画面上で上記スムーススクロール操作用アイコン以外の領域がタッチ操作されたことを上記タッチセンサ手段によって検出したとき、当該タッチ操作された地点と現在タッチ操作されている地点との間が一定距離以内である場合には当該タッチ操作された地点を画面中心に移動させるタッチスクロール処理を実行し、当該タッチ操作された地点と現在タッチ操作されている地点との間が一定距離を超えている場合には当該タッチ操作の軌跡に沿った方向へドラッグスクロール処理を実行するスクロール制御手段と
を具えるナビゲーション装置。
【請求項2】
地図画像の上で現在位置から目的地までの走行経路を案内するナビゲーション装置の地図スクロール処理方法であって、
表示手段に表示された地図画像上で連続的なスムーススクロール処理を行わせるためのスムーススクロール操作用アイコンを所定のアイコン生成手段により生成し、当該スムーススクロール操作用アイコンを運転席の位置に合わせて上記地図画像上の右下部分又は左下部分に表示するアイコン生成ステップと、
上記スムーススクロール操作用アイコンが上記タッチ操作されたことを当該表示手段の前面に設けられたタッチセンサ手段によって検出したとき、所定のスクロール制御手段によって上記スムーススクロール処理を実行し、上記表示手段の画面上で上記スムーススクロール操作用アイコン以外の領域がタッチ操作されたことを上記タッチセンサ手段によって検出したとき、当該タッチ操作された地点と現在タッチ操作されている地点との間が一定距離以内である場合には上記スクロール制御手段によって当該タッチ操作された地点を画面中心に移動させるタッチスクロール処理を実行し、当該タッチ操作された地点と現在タッチ操作されている地点との間が一定距離を超えている場合には上記スクロール制御手段によって当該タッチ操作の軌跡に沿った方向へドラッグスクロール処理を実行するスクロール制御ステップと
を有する地図スクロール処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−32546(P2010−32546A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256315(P2009−256315)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願2007−151770(P2007−151770)の分割
【原出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】