説明

ナビゲーション装置

【課題】 表示領域を有効に活用することのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 地図とTV映像とを同時に表示可能な表示部140を有し、車両の経路案内を行うナビゲーション装置1において、交通に関する走行補助情報を取得するFM多重受信処理部160と、パーキングブレーキの作動を検出して、車両の走行を検出するパーキングブレーキ操作状態取得部206とを備え、表示部140に地図及びTV映像が表示されているときに、パーキングブレーキ操作状態取得部206により車両の走行開始が検出された場合に、TV映像表示領域TAに、TV映像に代えて走行補助情報を表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の経路案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載型のナビゲーション装置においては、表示装置の表示領域の全体に地図等を表示する全画面表示に加え、表示領域が2分割されてなる2画面表示を可能にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、2画面表示可能なナビゲーション装置においては、一方の表示領域に地図を表示し、他方の表示領域にTV映像を表示して、地図とTV映像とを同時に表示するものが知られている。このようなナビゲーション装置では、走行の安全性を図るため、車両走行中はTV映像の表示を禁止し、TV映像の表示領域に、TV映像に代えて例えばイラスト等の静止画の表示するようにしている。
【特許文献1】特開2003−340578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、車両走行中に、TV映像の表示領域にイラスト等の静止画を表示する構成とすると、TV映像の表示領域が有効に活用されず、無駄になってしまう、という問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、表示領域を有効に活用することのできるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、地図とTV映像とを同時に表示可能な表示手段を有し、車両の経路案内を行うナビゲーション装置において、交通に関する走行補助情報を取得する走行補助情報取得手段と、車両の走行を検出する走行検出手段とを備え、前記表示手段に地図及びTV映像が表示されているときに、前記走行検出手段により車両の走行開始が検出された場合に、前記TV映像が表示されている表示領域に、前記TV映像に代えて前記走行補助情報を表示するようにしたことを特徴とする。
【0005】
なお、この発明において、TV映像は、例えば映画等のマルチメディア動画像を含む概念を示すものであり、例えば、TV放送波を受信して表示手段に表示する態様の他に、DVDやビデオテープなどに記録された映画などの動画像を表示手段に表示する態様であっても良い。
上記走行補助情報は、運転者に対して交通に関する補助的な情報を提供するものであり、例えば、VICS情報や目的地周辺の天気等の各種情報を含むものである。
【0006】
また本発明は、上記発明において、前記地図の表示領域よりも前記TV映像の表示領域の方が大きい場合には、前記TV映像の表示領域と、前記地図の表示領域とを入れ替え、前記TV映像の表示領域に、前記TV映像に代えて前記走行補助情報を表示するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記発明において、車両の速度を検出する車速検出手段を更に備え、前記車両の速度が大きくなるにしたがって前記地図の表示領域を大きくするようにしたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記発明において、前記走行検出手段により車両の停止が検出された場合に、前記TV映像の表示領域と、前記地図の表示領域とを、車両の走行前の大きさに戻すと共に、前記TV映像の表示領域に前記走行補助情報に代えて、前記TV映像を表示するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記発明において、前記地図の表示領域を大きくするのにあわせて、前記地図を拡大表示するようにしたことを特徴とする。
また本発明は、上記発明において、前記走行補助情報は、少なくともVICS情報を含むことを特徴とする。
また本発明は、上記発明において、前記走行補助情報を文字情報として前記表示手段に表示するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示領域を有効に活用することのできるナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は本実施の形態に係るナビゲーション装置1の外観構成を示す斜視図である。この図に示すように、ナビゲーション装置1は、車両のダッシュボード2に設けられた所定の収納スペースに嵌め込まれる装置本体10と、この装置本体10の正面に設けられた操作パネル11とを備えている。操作パネル11は、枠体としてのフェイスパネル12と、このフェイスパネル12上に設けられた複数の操作スイッチ13と、フェイスパネル12に嵌め込まれた表示パネル14とを有している。この表示パネル14には、現在地点の周辺地図、車両の現在位置、及び、目的地までの経路が表示され、これにより経路案内が行われる。
【0012】
操作パネル11は、図2に示すように、装置本体10の正面に設けられた収納部15に開閉自在に取り付けられている。具体的には、図3に示すように、収納部15両側の側壁16の面内には、上下に延びるガイド溝17が形成され、操作パネル11の上方両端側に設けられた突起18が上記ガイド溝17に移動自在に取り付けられると共に、操作パネル11の下方両端側には押出機構19が取り付けられている。この押出機構19は、装置本体10の正面に向けて突出して操作パネル11の下端部を押し出すものであり、図示せぬモータによって突出駆動されるスライドバー20を有し、このスライドバー20の先端が操作パネル11の側面下方に軸ピン20Aにより連結され、操作パネル11を回転自在に支持している。
【0013】
したがって、押出機構19による操作パネル11の下端部の押し出し動作に伴い、突起18がガイド溝17に沿って下方側に移動することで、操作パネル11が傾動し、前掲図2に示すように、操作パネル11が開かれ、そして、装置本体10の正面が露出する。これとは逆に、押出機構19が操作パネル11の下端部を引き戻し、突起18がガイド溝17に沿って上方側に移動することで、前掲図1に示すように操作パネル11が閉じ、装置本体10が操作パネル11に覆われた状態となる。この操作パネル11の開閉動作、すなわち、上記スライドバー20を駆動する図示せぬモータの始動は、操作パネル11のフェイスパネル12上に配設された操作スイッチ13の操作に基づいて行われる。
【0014】
装置本体10の正面には、前掲図2に示すように、メモリカード等のカード型記録媒体が挿入されるカード挿入口21や、このカード挿入口21からカード型記録媒体を排出するための排出ボタン22、CD(Compact Disc)或いはDVD(Digital Versatile Disk)等のディスク型記録媒体(光ディスク)が挿入されるディスク挿入口23、ディスク挿入口23からディスク型記録媒体を排出するための排出ボタン24などが設けられている。これらの挿入口21、23は、上述の通り、通常時は操作パネル11により覆われており、操作スイッチ13を操作して操作パネル11を開くことで、挿入口21、23にアクセス可能となる。
【0015】
次いで、操作パネル11に設けられた表示パネル14の構成について詳細する。図4に示すように、表示パネル14は、液晶駆動回路基板30と、液晶パネル31と、タッチパネル32とを有し、これらがこの順で積層配置されている。タッチパネル32には、抵抗膜方式のものが用いられ、透明度(光透過度)が高く、液晶パネル31の表示がタッチパネル32を通して視認可能になされている。したがって、液晶パネル31に各種操作のためのメニュー画面や操作画面が表示されているときに、タッチパネル32を指先等でタッチ操作することで、各種操作が可能となっている。このように、本ナビゲーション装置1にあっては、フェイスパネル12に設けた操作スイッチ13に加え、タッチパネル32による操作も行うことができるようになっている。なお、表示パネル14としては、上記液晶パネル31に代えて、例えば有機EL(Electro-Luminescence)パネル等を用いることも可能である。
【0016】
次に、ナビゲーション装置1の機能的構成について詳述する。図5において、制御部100は、ナビゲーション装置1の各部を中枢的に制御するものであり、演算・制御手段としてのメインCPU(Central Processing Unit)101と、ROM102、DRAM104及びSRAM106を有する記憶部110とを備えている。ROM(Read Only Memory)102はメインCPU101によって実行される制御プログラムやデータ等を格納するものである。ナビゲーション装置1の主電源投入時に、メインCPU101がROM102に格納されている制御プログラムやデータ等を読み出し、実行することで、各部の制御動作が行われる。DRAM(Dynamic Random Access Memory)104はメインCPU101がROM102から読み出したプログラムや、演算結果、演算途中のデータ等を一時的に格納するものである。SRAM(Static Random Access Memory)106はナビゲーション装置1の主電源切断時に、DRAM104に格納されているデータ等の記憶内容をバックアップするものであり、主電源切断後においても車両のバッテリーから電力が供給されており、主電源切断後もバックアップすべき記憶内容を保持可能になされている。
【0017】
主記憶部120は比較的容量の大きな各種アプリケーションプログラムやデータ等を格納するものであり、例えばハードディスク装置を備えている。主記憶部120に格納されるものとしては、例えば経路案内のためのプログラムや、表示パネル14の表示制御のためのプログラム、経路案内のための地図データ等がある。
【0018】
記録媒体読取部130は、制御部100の制御の下、上述したカード型記録媒体やディスク型記録媒体に記録されているデータを読み取り、制御部100に出力するものであり、カード型記録媒体読取装置や、CD/DVDドライブ装置等を備えている。なお、記録媒体に地図データを格納し、この地図データを経路案内に用いる構成としても良い。
音出力部135は制御部100の制御の下、音楽や音声を出力するものであり、例えば、記録媒体に記録された音楽データの再生にあっては、記録媒体読取部130によって読み取られた音楽データが音出力部135に出力され、音楽が再生される。
【0019】
表示部140は、制御部100の制御の下、地図等の各種情報を表示するものであり、描画回路142と、液晶駆動回路144と、上述した液晶パネル31とを備えている。描画回路142は、地図データ等を含む描画コマンドDSSを制御部100から受け取り、この描画コマンドDSSに基づく表示を行うべく液晶駆動回路144を制御するものであり、描画プロセッサ146とVRAM148とを備えている。描画プロセッサ146は、描画コマンドDSSに基づいて液晶パネル31に表示すべき描画データ(例えばビットマップ画像データ)を生成するものであり、VRAM(Video RAM)148は描画データを保持するものである。液晶駆動回路144はVRAM148に保持されている描画データを順次受け取り、この描画データに基づいて液晶パネル31に表示するものである。これら描画回路142及び液晶駆動回路144は、上述した液晶駆動回路基板30に実装されている。
【0020】
位置検出部150は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されているGPS電波を受信するアンテナ(レシーバでも良い)を備え、GPS電波に基づいて、車両の現在地点を示す位置座標と、進行方向とを計算し、位置検出信号PSとして制御部100に出力するものである。制御部100は、経路探索時においては、位置検出信号PSにより示される現在地点から目的地までの誘導経路を探索して探索結果を表示部140に表示し、また、経路案内時には、位置検出信号PSに基づいて現在位置の移動状況を地図と共に表示部140に表示して経路案内を行う。
【0021】
FM多重受信処理部160は、制御部100の制御の下、FM多重放送波を受信して、渋滞や事故、交通規制といったVICS情報や天気予報といった情報を取り出し、制御部100に出力するものである。また、ビーコン受信処理部170は、制御部100の制御の下、車両走行中の道路に関するVICS情報(道路交通情報)を受信し、制御部100に出力するものである。これらVICS情報や天気予報といった情報は、交通に関する情報であり、また、運転者にとって車両運転上の手助けとなる情報である。このような情報を以下の説明では走行補助情報と称することにする。本実施の形態では、FM多重受信処理部160及びビーコン受信処理部170は、走行補助情報を示す文字情報を取得しており、走行補助情報受信時には、この文字情報が制御部100に出力される。制御部100は、走行補助情報を表示部140に表示する際には、FM多重受信処理部160或いはビーコン受信処理部170から受け取った文字情報に基づいて描画コマンドDSSを生成し、表示部140に出力することで、走行補助情報の表示を行う。
【0022】
TV受信処理部180は、制御部100の制御の下、TV(テレビジョン)放送波を受信してTV映像及びTV音声を制御部100に出力するものであり、図示せぬTVチューナ回路を備えている。TV映像は動画像として液晶パネル31に表示され、また、TV音声は音出力部135から出力される。
【0023】
操作部190は、スイッチ操作部192と、タッチパネル操作部194とを備えている。スイッチ操作部192は、上述した操作スイッチ13に加え、この操作スイッチ13の操作を電気信号に変換してスイッチ信号SSを制御部100に出力するスイッチ回路基板(図示せず)を備えている。タッチパネル操作部194は、上述したタッチパネル32に加え、タッチパネル32の操作を電気信号に変換してタッチ信号TSを制御部100に出力するタッチパネル回路基板(図示せず)を備えている。タッチ信号TSには、タッチパネル32の面上の操作個所を示す座標情報が含まれており、これにより、制御部100が、液晶パネル31に表示されている操作ボタンのうち、どの操作ボタンが操作されたかを識別可能となる。
【0024】
車両情報取得部200は、車両の走行状態に関する情報を取得するものである。具体的には、車両情報取得部200は、イルミ情報取得部202と、車速パルス取得部204と、パーキングブレーキ操作状態取得部206とを備えている。イルミ情報取得部202は、車両に配設されたイルミ配線の電流(或いは電圧)を検知し、車両のスモールライト(車幅灯)のオン・オフを示すイルミ信号ILSを制御部100に出力するものである。車両のスモールライトのオン・オフを検出することで、車両の周囲の明るさを特定することが可能となり、イルミ信号ILSによって、スモールライトの点灯が示されている場合、制御部100は、描画回路142を制御することで、液晶パネル31の輝度を高め、液晶パネル31の表示が見えにくくなるのを防止する。
【0025】
車速パルス取得部202は、車両の走行速度を示す車速パルス信号を車両に搭載されたコンピュータ、或いは、車両に取り付けられたセンサから取得し、制御部100に車速信号CSSとして出力するものである。
パーキングブレーキ操作状態取得部204は、車両のパーキングブレーキレバー(或いはペダル)の操作状態を取得し、パーキングブレーキがかけられているか否かを示すパーキングブレーキ状態信号PBSを出力するものである。すなわち、このパーキングブレーキ状態信号PBSに基づいて車両が駐車中であるか否か、特に、車両が走行中(一時的な停止状態を含む)であるかが特定され、制御部100は、走行の安全を図るべく、車両が駐車中でない場合には、操作部190からのスイッチ信号SS及びタッチ信号TSの入力を無効とし、車両が駐車していないとき、特に車両走行中における操作を禁止している。また、本実施の形態では、車両が駐車中であるか否かに応じて、制御部100は、表示部140の表示内容を制御する。以下、かかる表示内容の制御について、表示の態様と共に詳述する。
【0026】
図6に示すように、ナビゲーション装置1は、液晶パネル31の表示領域31a全体に地図或いはTV映像を表示する全画面表示と、図7に示すように、液晶パネル31の表示領域31aを2つの領域に区分し、一方の表示領域に地図を表示すると共に、他方の表示領域にTV映像を表示する2画面表示との2つの表示態様を有している。以下の説明では、2画面表示において、地図が表示される表示領域を地図表示領域MAと称し、TV映像が表示される領域をTV映像表示領域TAと称する。
【0027】
2画面表示においては、操作部190(スイッチ操作部192或いはタッチパネル操作部194)の操作によって、地図表示領域MAとTV映像表示領域TAとの面積比率の変更が指示された場合には、制御部100は、この面積比率の変更を指示する描画コマンドDSSを表示部140に出力して、地図表示領域MAとTV映像表示領域TAとの面積比率を変更する。これにより、地図及びTV映像のうち、ユーザが注目したい方を適宜拡大表示可能となる。
【0028】
ここで、本実施の形態では、車両走行の安全性を図るため、TV映像表示を、車両が駐車中、すなわち、パーキングブレーキが作動している間に限定することとし、TV映像表示中に車両が走行を開始した場合には、TV映像表示領域TAにおけるTV映像の表示を停止し、その表示を上述したVICS情報や天気等の文字情報の表示に切り替え、その後、車両が駐車した場合に、再びTV映像表示に切り替えるようになっている。
【0029】
具体的には、図8に示すように、制御部100は、表示部140の画面表示がTV映像と地図との2画面表示状態となっているか否かを判断し(ステップS1)、2画面表示状態でない場合は(ステップS1:NO)処理を終了する。一方、TV映像と地図との2画面表示である場合(ステップS1:YES)、TV映像表示中であることから車両が駐車中であることが示される。そこで、制御部100は、車両が走行を開始した後、再度、駐車したときに、現在の2画面表示を再現し、TV映像と地図とを車両走行前の面積比率で表示部140に表示可能とすべく、TV映像表示領域TAと地図表示領域MAとの各々の面積(或いは面積比率)を取得して、記憶部110のSRAM106等に格納する(ステップS2)。このステップS2において、地図表示領域MA及びTV映像表示領域TAの各々の表示位置、幅、高さ等を記憶しておくことで、再度、車両が駐車したときに、前回の駐車時と同一の画面構成を再現することも可能である。
【0030】
そして、制御部100は、車両が走行状態になったかを、車両情報取得部200のパーキングブレーキ操作状態取得部206からのパーキングブレーキ状態信号PBSに基づいて判断する(ステップS3)。この判断の結果、車両が走行状態でないと判断された場合には、制御部100は処理手順をステップS1に戻し、表示部140の表示画面が2画面表示であるかの判断を再度繰り返す。一方、車両が走行状態であると判断された場合(ステップS3:YES)、制御部100は、TV映像表示を、上述したVICS情報や天気予報等の走行補助情報を示す文字情報の表示に切り替えるべく、次の処理を実行する。
【0031】
すなわち、制御部100は、先ず、TV映像表示領域TAと地図表示領域MAとの表示面積を比較して、TV映像表示領域TAの方が地図表示領域MAよりも大であるか否かを判断する(ステップS4)。この判断の結果、TV映像表示領域TAの面積の方が大である場合には(ステップS4:YES)、地図の視認性を高めるために、制御部100は、表示面積が大きなTV映像表示領域TAの方に、地図を表示するように表示部140を制御し、TV映像表示領域TAと地図表示領域MAとを入れ替える(ステップS5)。一方、ステップS4における判断の結果、TV映像表示領域TAの方が小である場合には(ステップS4:NO)、TV映像表示領域TAと地図表示領域MAとを入れ替える必要がないため、制御部100は、処理を次の手順に進める。
【0032】
次に、制御部100は、FM多重受信処理部160或いはビーコン受信処理部170によってVICS情報や天気等の走行補助情報が受信されているかを判断する(ステップS6)。走行補助情報が受信されている場合には(ステップS6:YES)、制御部100は、その受信されている情報をTV映像表示領域TAに表示する(ステップS7)。一方、走行補助情報が受信されていない場合(ステップS6:NO)、制御部100は、TV映像表示領域TAに走行補助情報の受信待ちであることを示す待ち受け画面を表示する(ステップS8)。
【0033】
これにより、例えば図9に示すように、駐車中に表示部140が2画面表示であった場合には、車両が走行を開始した際に、TV映像表示領域TAと地図表示領域MAとのうち面積が大きい方が地図表示領域MAに入れ替わると共に、TV映像表示領域TAに走行補助情報、或いは、走行補助情報の受信を待ち受ける待ち受け画面が表示されることになる。
【0034】
上記のようにしてTV映像表示から走行補助情報表示に切り替えた後、制御部100は、車両の速度に応じて地図表示領域MAの面積を変更する。具体的には、制御部100は、車両情報取得部200の車速パルス取得部204から出力された車速信号CSSを取得し(ステップS9)、図10に示すように、車速信号CSSにより示される車両速度が大きくなるにしたがい地図表示領域MAの面積を大きくすると共に、走行補助情報が表示されているTV映像表示領域TAの面積を小さくする(ステップS10)。このとき、地図表示領域MAの面積の拡大に伴って、車両の現在位置を中心として地図が拡大表示される。このように、走行中における地図表示を車両速度に連動させ、車両速度が大きくなるにつれて地図表示領域MAの面積を大として地図の視認性を向上させることで、走行の安全性を高めることができる。
【0035】
次いで、制御部100は、車両が現在も走行状態であるかを、パーキングブレーキ状態信号PBSに基づいて判断し(ステップS11)、いまだ走行状態である場合には(ステップS11:YES)、制御部100は処理手順をステップS11に戻し、車両速度に応じた地図表示領域MAの面積変更処理を繰り返す。一方、車両が走行状態でなく駐車した場合(ステップS11:NO)、制御部100は、画面表示を、走行状態前の2画面表示状態に戻した後(ステップS12)、処理手順をステップS1に戻す。ステップS12の処理について具体的には、制御部100は、走行状態になる前のTV映像表示領域TAと地図表示領域MAとの各々の表示面積をSRAM106等から読み出し、この表示面積にしたがって表示部140の表示領域をTV映像表示領域TAと地図表示領域MAとに区分し、TV映像表示領域TAにTV受信処理部180にて受信されたTV映像を表示すると共に、地図表示領域MAに地図を表示する。これにより、運転者(或いはユーザ)は、何ら操作することなく、TV映像を表示部140に表示することができ、TV放送を楽しむことができる。
【0036】
なお、TV映像表示が走行補助情報表示に切り替わった場合に、TV音声が停止せずに出力され続ける構成としても良く、また、例えばTV音声を停止し、その代わりに、受信したVICS情報等の走行補助情報を読み上げた音声が出力される構成としても良い。これにより、高速走行中に、TV映像表示領域TAが縮小し、走行補助情報の表示が小さくなった場合にも、運転者は、走行補助情報を音声により把握することが可能となる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ナビゲーション装置1が、表示部140に地図及びTV映像が表示されているときに、車両の走行開始が検出された場に、TV映像の表示領域TAに、TV映像に代えて走行補助情報を表示するようにしたため、車両走行中にTV映像の表示を禁止する構成であっても、TV映像表示領域TAを無駄にすることが無く有効に活用される。
特に、本実施の形態によれば、運転者等が何ら操作せずとも車両の走行開始に伴いTV映像から走行補助情報への表示の切り替えが自動で行われるため、運転者はナビゲーション装置1の操作に気を取られることなく、運転に集中することができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、ナビゲーション装置1が、地図表示領域MAよりもTV映像表示領域TAの方が大きい場合には、TV映像表示領域TAと、地図表示領域MAとを入れ替え、TV映像表示領域TAに、TV映像に代えて走行補助情報を表示するようにしたため、結果として、TV映像表示領域TAが小さくなると共に、走行中に経路案内等に使われる地図の地図表示領域MAが大きくなるため、地図の視認性が高められ、以って走行上の安全を高められる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、ナビゲーション装置1が、車両の速度が大きくなるにしたがって地図表示領域MAを大きくするようにしたため、車両速度にあわせて地図の視認性が高められる。これにより、運転比較的高速で車両が走行し、運転者が車両前方(進路上)を注視しなければならない場合であっても、瞬時に地図を把握することができ、以って、走行の安全性を維持しつつ、経路案内を行うことができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、ナビゲーション装置1が、地図の表示領域が大きくするのにあわせて、地図を拡大表示するようにしたため、高速走行時の地図の視認性を格段に向上させることができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、ナビゲーション装置1が、車両の駐車が検出された場合に、TV映像表示領域TAと地図表示領域MAとの大きさを、車両の走行前の大きさに戻すと共に、TV映像表示領域TAに走行補助情報に代えてTV映像を表示するようにしたため、運転者等のユーザは、何ら操作せずとも、走行前の表示状態(2画面表示状態)を復帰させることができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、ナビゲーション装置1が、TV映像表示領域TAに走行補助情報を表示する際に、この走行補助情報を文字情報として表示するようにしたため、車両の一時停止中(例えば信号待ちなど)等に、運転者等のユーザが走行補助情報を、ゆっくりと読むことができる。
【0043】
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形を加えることができる。
【0044】
例えば、上述した実施の形態では、車両の駐車中に、地図とTV映像とを同時に表示する2画面表示について説明したが、地図とTV映像とが同時に表示されている限りにおいて、3画面以上の複数画面表示であっても良い。
また例えば、上述した実施の形態では、車両の駐車中に、地図とTV映像とを同時に表示する場合を例示したが、TV映像表示に限らない。すなわち、車両走行中に、表示が禁止されているものであれば、TV映像に代えて、例えば光ディスク等の記録メディアに記録されたマルチメディア動画像(映画やTV録画映像、コンサート映像、ライブ映像等)であっても良く、また、各種操作のためのメニュー画面であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】操作パネルが開状態のときを示す上記ナビゲーション装置の外観構成を示す斜視図である。
【図3】操作パネルが開閉する機構を示す図である。
【図4】表示パネルの構成を示す分解斜視図である。
【図5】上記ナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】表示部(表示パネル)における全画面表示状態を模式的に示す図である。
【図7】表示部(表示パネル)における2画面表示状態を模式的に示す図である。
【図8】上記2画面表示状態における表示制御処理を示すフローチャートである。
【図9】表示領域の面積に応じた地図表示領域とTV映像表示領域の入れ替えを説明するための図である。
【図10】車両速度に応じた地図表示領域の拡大を説明するための図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ナビゲーション装置
11 操作パネル
31 液晶パネル
31a 表示領域
32 タッチパネル
100 制御部
140 表示部
150 位置検出部
160 FM多重受信処理部
170 ビーコン受信処理部
180 TV受信処理部
190 操作部
200 車両情報取得部
206 パーキングブレーキ操作状態取得部
MA 地図表示領域
TA TV映像表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図とTV映像とを同時に表示可能な表示手段を有し、車両の経路案内を行うナビゲーション装置において、
交通に関する走行補助情報を取得する走行補助情報取得手段と、
車両の走行を検出する走行検出手段とを備え、
前記表示手段に地図及びTV映像が表示されているときに、前記走行検出手段により車両の走行開始が検出された場合に、前記TV映像が表示されている表示領域に、前記TV映像に代えて前記走行補助情報を表示するようにした
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図の表示領域よりも前記TV映像の表示領域の方が大きい場合には、前記TV映像の表示領域と、前記地図の表示領域とを入れ替え、前記TV映像の表示領域に、前記TV映像に代えて前記走行補助情報を表示するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
車両の速度を検出する車速検出手段を更に備え、
前記車両の速度が大きくなるにしたがって前記地図の表示領域を大きくするようにした
ことを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地図の表示領域が大きくするのにあわせて、前記地図を拡大表示するようにした
ことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記走行検出手段により車両の停止が検出された場合に、前記TV映像の表示領域と、前記地図の表示領域とを、車両の走行前の大きさに戻すと共に、前記TV映像の表示領域に前記走行補助情報に代えて、前記TV映像を表示するようにした
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記走行補助情報は、少なくともVICS情報を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記走行補助情報を文字情報として前記表示手段に表示するようにしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−72132(P2006−72132A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257446(P2004−257446)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】