説明

ナビゲーション装置

【課題】運転者の個人的特性に基づいて渋滞を回避する経路を案内することによって、各々の運転者の個人的特性に適合した経路を案内することができるようにする。
【解決手段】設定した目的地までの経路を探索して案内を行うナビゲーション装置であって、探索データを格納する記憶手段と、前記探索データに基づいて前記目的地までの経路を探索する経路探索部と、該経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させる交通情報処理部と、探索された経路の案内を行う案内処理部とを有し、前記経路探索部は渋滞が発生している場合に該渋滞が発生している区間を回避する迂(う)回経路を探索し、前記案内処理部は、運転者の個人的特性に基づいて、前記迂回経路を案内するための基準を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置においては、運転者等の操作者が所定の入力部を操作して目的地を設定すると、該目的地、及び、現在位置検出処理部によって検出された車両の現在位置に基づいて、該現在位置から目的地までの経路が探索され、探索された経路が案内される。この場合、前記現在位置から目的地までの距離が最短となるように経路を探索したり、所要時間が最短となるように経路を探索したりするようになっている。
【0003】
また、道路の渋滞情報を受信して渋滞区間を避けた最適な経路を探索することができるように、道路交通情報をナビゲーション装置に送信するシステムも提供されている(例えば、特許文献1参照。)。例えば、VICS(R)(Vehicle Information & Communication System)と称される道路交通情報通信システムにおいては、警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して、道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の道路交通情報を作成し、これを通信手段によって、ナビゲーション装置に送信するようになっている。そして、前記道路交通情報を受信したナビゲーション装置は、前記道路交通情報に基づいて、渋滞を回避する経路を探索するDRG(Dynamic Route Guidance)を行うことができるようになっている。
【特許文献1】特開平7−83685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、運転者の個人的特性に関係なく、渋滞を回避する経路を探索し、探索された経路を案内するようになっている。そのため、目的地までの経路上に多少の渋滞が発生しても、経路を変更せずに当初の経路に沿って走行することを好む傾向がある運転者の個人的特性に適合しないものとなってしまう。また、前記従来のナビゲーション装置においては、当初の経路に沿って走行した場合の所要時間と渋滞を回避する経路に沿って走行した場合の所要時間との差が所定の値以上にならないと、渋滞を回避する経路を案内しないようになっているので、わずかの渋滞が発生しても経路を変更して渋滞を避けることを好む傾向がある運転者の個人的特性に適合しないものとなってしまう。
【0005】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、運転者の個人的特性に基づいて渋滞を回避する経路を案内することによって、各々の運転者の個人的特性に適合した経路を案内することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明のナビゲーション装置においては、設定した目的地までの経路を探索して案内を行うナビゲーション装置であって、探索データを格納する記憶手段と、前記探索データに基づいて前記目的地までの経路を探索する経路探索部と、該経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させる交通情報処理部と、探索された経路の案内を行う案内処理部とを有し、前記経路探索部は渋滞が発生している場合に該渋滞が発生している区間を回避する迂(う)回経路を探索し、前記案内処理部は、運転者の個人的特性に基づいて、前記迂回経路を案内するための基準を変更する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ナビゲーション装置は、運転者の個人的特性に基づいて渋滞を回避する経路を案内するようになっている。そのため、各々の運転者は、煩わしく感じることがなく、また、苛立ちを覚えたり、ストレスを感じたりすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図2は本発明の実施の形態における運転者の個人的特性を説明する図である。
【0010】
本実施の形態において、ナビゲーション装置は、乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両に搭載された車両用ナビゲーション装置であり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の記憶手段、通信インターフェイス等を備える一種のコンピュータである。前記ナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System)、地磁気センサ、距離センサ、ステアリングセンサ、ビーコンセンサ、ジャイロセンサ等によって現在位置を検出する現在位置検出処理部、道路データ、探索データ等を含む地図データ等を記憶する記憶手段としてのデータ記録部、入力された情報に基づいて、設定された目的地までの経路を探索する経路探索処理、経路の走行案内処理、地点や施設の検索を行うPOI(Point of Interest)検索処理等のナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部、入力部、表示部、音声入力部、音声出力部及び通信部を有し、設定された目的地までの経路を探索して案内を行うようになっている。
【0011】
そして、前記データ記録部は、探索データ等を含む地図データを記憶する。すなわち、前記データ記録部は、各種のデータファイルから成るデータベースを備え、経路を探索するための探索データの他、表示部の表示画面に、探索された経路に沿って案内図を表示したり、他の案内情報を表示したりするために、施設データ等の各種のデータを記録する。なお、前記データ記録部には、道路を構成する単位であるリンクに関する情報も含まれている。また、前記データ記録部には、所定の情報を音声出力部によって音声出力するための各種のデータも記録される。
【0012】
また、前記入力部は、走行開始時の位置を修正したり、目的地を入力したりするためのものであり、前記ナビゲーション装置本体に配設された操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー等から成るものであるが、リモートコントローラであってもよい。なお、表示部がタッチパネルである場合には、前記表示部の表示画面に表示された操作キー、操作メニュー等の操作スイッチから成るものであることが望ましい。この場合、通常のタッチパネルのように前記操作スイッチに触れる、すなわち、タッチすることによって、入力を行うことができる。
【0013】
そして、前記表示部の表示画面には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等が表示される。前記表示部としては、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
【0014】
本実施の形態において、前記ナビゲーション処理部は、入力された出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部、探索に使用する情報としての交通情報を取得して処理する交通情報処理部、及び、探索された経路の案内を行う案内処理部を有する。
【0015】
ここで、前記経路探索部は、通常のナビゲーション装置と同様に、出発地から目的地までの経路を探索する。なお、出発地は、通常、車両の現在位置が自動的に入力されるが、操作者が任意の地点を出発地として入力することもできる。そして、前記経路探索部は、データ記録部に格納されたデータベースにアクセスして、出発地から目的地までの距離が最短となるように経路を探索したり、所要時間が最短となるように経路を探索する。この場合、前記経路探索部は、交通情報処理部が取得した交通情報を参照して経路を探索し、前記交通情報に基づいて、経路上において渋滞が発生していることが判明したときには、渋滞区間を回避するような経路を探索するDRGを行うようになっている。
【0016】
また、前記交通情報処理部は、渋滞区間の位置、渋滞区間の長さ、渋滞区間の車速、渋滞区間の渋滞度、渋滞区間の渋滞傾向等の渋滞情報を含む交通情報を取得し、該交通情報の処理を行う。例えば、VICS(R)によって提供される交通情報であるVICS(R)情報、その他の交通情報提供センタが提供する交通情報、自車が取得した走行履歴である自車の実走行データ、プローブカー等の他車が提供する走行履歴情報である他車の実走行データ等の交通情報を取得することができる。なお、該交通情報は、VICS(R)リンクや道路リンクに対応付けられて取得されることが望ましい。ここで、該道路リンクとは、道路を構成する単位であり、通常、三叉(さ)路以上の交差点を境界にして区切られている。そして、通常のナビゲーション装置においては、道路リンクを識別する識別番号としての道路リンクIDが付与される。なお、前記交通情報処理部は、必要に応じて、過去の交通情報を蓄積して統計的に処理された統計的交通情報、実走行データとしての自車や他車の走行履歴情報等の交通情報をデータ記録部等に格納することができる。
【0017】
そして、前記案内処理部は、前記経路探索部が探索した経路が案内の対象としての経路、すなわち、案内経路として設定されると、前記表示部の表示画面に前記案内経路や該案内経路に沿った案内情報を表示させたり、音声出力部から案内情報を音声出力させることによって、経路案内を行う。また、前記案内処理部は、運転者の個人的特性を学習によって把握し、把握した個人的特性に基づいて、渋滞を回避する経路を案内するための基準を変更するようになっている。
【0018】
この場合、運転者の個人的特性とは、例えば、目的地までの経路上に多少の渋滞が発生しても、経路を変更せずに当初の経路に沿って走行することを好む傾向や性向、また、わずかの渋滞が発生しても経路を変更して渋滞を避けることを好む傾向や性向等のことである。ここでは、図2(a)に示されるように、目的地までの経路11が探索されて設定され、該経路11に沿って車両が走行しているものとして説明する。なお、12は車両の現在位置を示す現在位置マークであり、13は渋滞が発生している区間、すなわち、渋滞区間である。この場合、まず、ナビゲーション処理部は、交通情報処理部が取得した交通情報に基づき、車両の現在位置から目的地までの経路11上において渋滞が発生しているか否か、すなわち、経路11上に交通情報による渋滞区間13があるか否かを、所定の時間(例えば、16〔msec〕)間隔で繰り返し判断する。
【0019】
そして、経路11上に交通情報による渋滞区間13がある場合、ナビゲーション処理部の経路探索部は、渋滞区間13を回避する経路、すなわち、図2(a)に示されるような迂回経路14を探索するためにDRGを行う。該DRGを行った結果として、新しい経路、すなわち、迂回経路14が見つかると、案内処理部は、目的地までの経路11を前記迂回経路14を通るような経路に変更し、変更された経路の案内を行う。すなわち、車両が前記迂回経路14への分岐点の手前の所定距離内に到達すると、前記迂回経路14を通るような案内が表示部の表示画面に表示されたり、音声出力部から音声出力される。
【0020】
ここで、運転者が、個人的特性として、目的地までの経路11上に多少の渋滞が発生しても、経路を変更せずに当初の経路11に沿って走行することを好む傾向や性向を有する者である場合には、進路変更等を煩わしく感じるので、図2(b)において太線で示されるように走行すると考えられる。すなわち、渋滞区間13を回避する迂回経路14に沿って走行することなく、目的地までの経路11に沿って走行する。
【0021】
また、運転者が、個人的特性として、目的地までの経路11上にわずかの渋滞が発生しても経路を変更して渋滞を避けることを好む傾向や性向を有する者である場合には、わずかな渋滞に巻き込まれても苛立ちを覚えたり、ストレスを感じたりするので、図2(c)において太線で示されるように走行すると考えられる。すなわち、渋滞区間13を回避する迂回経路14に沿って走行する。
【0022】
なお、目的地までの経路11上にわずかの渋滞が発生しても経路を変更して渋滞を避けることを好む傾向や性向を有する運転者は、DRGが行われなくても、すなわち、迂回経路14の案内が行われない場合であっても、目的地までの経路11上に渋滞が発生したことを察知したときには、渋滞区間13を回避する迂回経路14を自分で選択して、該迂回経路14に沿って走行すると考えられる。
【0023】
そこで、本実施の形態において、案内処理部は、運転者の個人的特性を把握し、把握した該個人的特性に基づいて、渋滞を回避する迂回経路14を案内するか否かを判断するための基準となる閾(しきい)値を変更し、運転者の個人的特性に適合した経路を案内する。なお、前記閾値は、当初に探索された渋滞が発生している経路11を通った場合の所要時間と、新たに探索された渋滞を回避する迂回経路14を通った場合の所要時間との差に対応する数値である。すなわち、経路を変更して迂回経路14を通ったことによって短縮される所要時間である。そして、前記差が閾値以上になったときには、前記迂回経路14を案内するようになっている。
【0024】
この場合、前記閾値としては、あらかじめ初期値として、例えば、180秒が設定されている。該初期値は、平均的な個人的特性を有する運転者を対象にして設定されている。そして、交通情報処理部が取得した交通情報によって、当初に探索された経路11上に渋滞が発生していることが検出されると、経路探索部はDRGを行って渋滞区間13を回避する迂回経路14を探索する。すると、案内処理部は、経路11を通った場合の所要時間と迂回経路14を通った場合の所要時間との差を算出し、該差が閾値以上であるか否かを判断し、閾値以上であれば前記迂回経路14の案内を行う。
【0025】
なお、前記案内処理部は、運転者の個人的特性が、経路11上に多少の渋滞が発生しても、経路を変更せずに当初の経路11に沿って走行することを好む傾向や性向であると判断した場合には、前記閾値から一定値、例えば、30秒を加算した値が新たな閾値となるように、閾値を更新する。そのため、渋滞を回避する経路を案内するための基準が高くなり、迂回経路14の案内がより行われ難くなる。したがって、経路を変更して迂回経路14を通ったことによる所要時間の短縮度合いが大きくなければ、すなわち、迂回経路14を通ったことによるメリットが大きくなれば、迂回経路14の案内が行われないようになる。これにより、前記個人的特性の運転者は、迂回経路14の案内によって煩わされることがない。
【0026】
また、前記案内処理部は、運転者の個人的特性が、経路11上にわずかの渋滞が発生しても経路を変更して渋滞を避けることを好む傾向や性向であると判断した場合には、前記閾値から一定値、例えば、30秒を減算した値が新たな閾値となるように、閾値を更新する。そのため、渋滞を回避する経路を案内するための基準が低くなり、迂回経路14の案内がより行われ易くなる。したがって、経路を変更して迂回経路14を通ったことによる所要時間の短縮度合いが小さくても、すなわち、迂回経路14を通ったことによるメリットが小さくても、迂回経路14の案内が行われるようになる。これにより、前記個人的特性の運転者は、渋滞区間13に進入して苛立ちを覚えたり、ストレスを感じたりすることがない。
【0027】
次に、前記構成のナビゲーション装置の動作について説明する。
【0028】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【0029】
ここでは、DRGを行った結果に対する運転者の行動を学習することによって、運転者の個人的特性を把握する動作について説明する。この場合、まず、DRG処理が行われ、渋滞区間13を回避する迂回経路14、すなわち、新しい経路が探索される。続いて、案内処理部は、従来の経路の所要時間から新しい経路の所要時間を減算した値が閾値以上であるか否かを判断する。すなわち、当初に探索された経路11を通った場合の所要時間と、新たに探索された経路を通った場合の所要時間との差が閾値以上であるか否かを判断する。そして、前記差が閾値以上でない場合には処理を終了する。
【0030】
また、前記差が閾値以上である場合、前記案内処理部は、新しい経路の案内を行う。続いて、前記案内処理部は、従来の経路を走行したか否か、すなわち、車両が当初に探索された経路11に沿って走行したか否かを判断する。これは、DRGが行われて新しい経路の案内が行われても、運転者が必ずしも新しい経路に沿って車両を走行させるとは限らないためである。
【0031】
そして、車両が当初に探索された経路11に沿って走行しなかった場合、すなわち、新たに探索された経路を通った場合、前記案内処理部は、運転者の個人的特性を渋滞を避ける特性とする。すなわち、経路11上にわずかの渋滞が発生しても経路を変更して渋滞区間13を避けることを好む傾向や性向であると判断する。そして、前記案内処理部は、前記閾値からn秒を減算して処理を終了する。すなわち、閾値から一定値を減算した値が新たな閾値となるように、閾値を更新して処理を終了する。ただし、減算した値が0秒以下にならないようにする。なお、一定値としての前記nは任意に設定することができる。また、前記案内処理部は、今の閾値で問題なしとすることもできる。すなわち、該閾値を更新しないでおくこともできる。
【0032】
一方、車両が当初に探索された経路11に沿って走行した場合、すなわち、新たに探索された経路を通らなかった場合、前記案内処理部は、運転者の個人的特性を渋滞を避けない特性とする。すなわち、経路11上に多少の渋滞が発生しても経路を変更せずに当初に探索された経路11に沿って走行することを好む傾向や性向であると判断する。そして、前記案内処理部は、前記閾値にn秒を加算して処理を終了する。すなわち、閾値に一定値を加算した値が新たな閾値となるように、閾値を更新して処理を終了する。
【0033】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 DRG処理を行う。
ステップS2 従来の経路の所要時間から新しい経路の所要時間を減算した値が閾値以上であるか否かを判断する。従来の経路の所要時間から新しい経路の所要時間を減算した値が閾値以上である場合はステップS3に進み、従来の経路の所要時間から新しい経路の所要時間を減算した値が閾値以上でない場合は処理を終了する。
ステップS3 新しい経路の案内を行う。
ステップS4 従来の経路を走行したか否かを判断する。従来の経路を走行した場合はステップS6に進み、従来の経路を走行しなかった場合はステップS5に進む。
ステップS5 運転者の個人的特性を渋滞を避ける特性とし、閾値からn秒を減算、又は、今の閾値で問題なしとして処理を終了する。
ステップS6 運転者の個人的特性を渋滞を避けない特性とし、閾値にn秒を加算して処理を終了する。
【0034】
次に、ステップS1のサブルーチンにおける動作について説明する。
【0035】
図3は本発明の実施の形態におけるDRG処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0036】
まず、経路探索部は走行経路情報を取得する。該走行経路情報は、走行経路としての当初に探索された目的地までの経路11に関する情報であり、前記経路11の形状、前記経路11上における目的地までの距離、前記経路11に沿って走行した場合の目的地までの所要時間等の情報を含むものである。続いて、前記経路探索部は、走行経路の進行方向の渋滞情報を取得する。すなわち、車両の進行方向前方における経路11上の渋滞情報を取得する。なお、該渋滞情報は、交通情報処理部が取得した交通情報に含まれ、渋滞区間13の位置、渋滞区間13の長さ、渋滞区間13の車速、渋滞区間13の渋滞度、渋滞区間13の渋滞傾向等から成る。
【0037】
続いて、前記経路探索部は、渋滞を加味して新しい経路を演算してDRG処理を終了する。すなわち、渋滞区間13を回避するような経路としての迂回経路14を探索してDRG処理を終了する。なお、前記迂回経路14は、前記渋滞区間13を回避して迂回経路14を通ったことによって、所要時間が短縮される経路である。
【0038】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1−1 走行経路情報を取得する。
ステップS1−2 走行経路の進行方向の渋滞情報を取得する。
ステップS1−3 渋滞を加味して新しい経路を演算してDRG処理を終了する。
【0039】
次に、DRGを行わずに運転者の個人的特性を学習によって把握する動作について説明する。
【0040】
図4は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置のDRGを行わない場合の動作を示すフローチャートである。
【0041】
この場合、まず、走行経路又は走行道路の進行先に渋滞が検出される。ここで、目的地までの経路11があらかじめ探索され、車両が前記経路11に沿って走行している場合には、走行経路としての前記経路11上の進行先としての進行方向前方における渋滞が、交通情報処理部が取得した交通情報に基づいて検出される。また、目的地までの経路11が探索されていない場合には、車両が現在走行している道路上の進行方向前方における渋滞が、交通情報処理部が取得した交通情報に基づいて検出される。
【0042】
続いて、前記案内処理部は、右左折等によって経路又は進行先を変更したか否かを判断する。すなわち、車両が前記経路11に沿って走行している場合には、車両が経路を変更して当初に探索された経路11以外の経路を走行しているか否かを判断する。また、目的地までの経路11が探索されていない場合には、車両が進行方向を変更して現在まで走行していた道路から外れたか否かを判断する。
【0043】
そして、経路又は進行先を変更した場合、前記案内処理部は、運転者の個人的特性を渋滞を避ける特性とする。すなわち、経路11上にわずかの渋滞が発生しても経路を変更して渋滞区間13を避けることを好む傾向や性向であると判断する。そして、前記案内処理部は、渋滞を回避する迂回経路14を案内するか否かを判断するための基準となる閾値からn秒を減算して処理を終了する。すなわち、前記閾値から一定値を減算した値が新たな閾値となるように、閾値を更新して処理を終了する。ただし、減算した値が0秒以下にならないようにする。なお、一定値としての前記nは任意に設定することができる。
【0044】
また、経路又は進行先を変更しなかった場合、前記案内処理部は、運転者の個人的特性を渋滞を避けない特性とする。すなわち、経路11上に多少の渋滞が発生しても経路を変更せずに当初に探索された経路11に沿って走行することを好む傾向や性向であると判断する。そして、前記案内処理部は、前記閾値にn秒を加算して処理を終了する。すなわち、前記閾値に一定値を加算した値が新たな閾値となるように、閾値を更新して処理を終了する。また、前記案内処理部は、今の閾値で問題なしとすることもできる。すなわち、該閾値を更新しないでおくこともできる。
【0045】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 走行経路又は走行道路の進行先に渋滞が検出される。
ステップS12 右左折等によって経路又は進行先を変更したか否かを判断する。右左折等によって経路又は進行先を変更した場合はステップS13に進み、右左折等によって経路又は進行先を変更しなかった場合はステップS14に進む。
ステップS13 運転者の個人的特性を渋滞を避ける特性とし、閾値からn秒を減算して処理を終了する。
ステップS14 運転者の個人的特性を渋滞を避けない特性とし、閾値にn秒を加算、又は、今の閾値で問題なしとして処理を終了する。
【0046】
次に、学習によって把握した運転者の個人的特性に基づいて変更した閾値を基準にして迂回経路14を案内する動作について説明する。
【0047】
図5は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【0048】
ナビゲーション装置は、目的地までの経路11が探索され、該経路11に沿った走行が開始されると所定の時間間隔でDRG処理を継続的に繰り返して行い、車両の進行方向前方における経路11上の渋滞区間13を回避する迂回経路14を探索する。なお、DRG処理の動作については、図3に示されるフローチャートと同様であるので、その説明を省略する。そして、経路11を通った場合の所要時間と迂回経路14を通った場合の所要時間との差が閾値以上であるか否かを判断し、前記差が閾値以上である場合、前記案内処理部は、新しい経路の案内を行う。
【0049】
この場合、図5に示されるように、経路11を通った場合の所要時間と迂回経路14を通った場合の所要時間との差を、表示部の表示画面に表示することが望ましい。ここで、学習によって把握した運転者の個人的特性が渋滞を避ける特性である場合には、経路を変更して迂回経路14を通ったことによる所要時間の短縮度合いが小さくても、すなわち、短縮される所要時間が短くても、迂回経路14の案内が行われるので、図5(a)に示されるように、短縮される所要時間が、例えば、2分であっても、迂回経路14の案内が行われる。
【0050】
また、学習によって把握した運転者の個人的特性が渋滞を避けない特性である場合には、経路を変更して迂回経路14を通ったことによる所要時間の短縮度合いが大きくないと、すなわち、短縮される所要時間が長くないと、迂回経路14の案内が行われるので、図5(b)に示されるように、短縮される所要時間が10分であると、迂回経路14の案内が行われる。
【0051】
このように、迂回経路14を通った場合に短縮される所要時間を表示すると、個人的特性が渋滞を避ける特性である運転者は、わずかでも所要時間が短縮されることを認識することができるので、苛立ちを覚えたり、ストレスを感じたりすることがない。また、個人的特性が渋滞を避けない特性である運転者は、渋滞を避けない場合に所要時間が大幅に長くなることを認識することができるので、煩わしく思うことがない。
【0052】
ところで、前記閾値は、曜日毎、時間帯毎、場所毎等に応じた値をそれぞれ設定することができる。
【0053】
図6は本発明の実施の形態における閾値を示すテーブルである。
【0054】
前記閾値の初期値として、あらかじめ図6に示されるようなテーブルを作成し、データ記録部に記憶させておくことができる。この場合、前記閾値は、曜日毎、時間帯毎、場所(例えば、自宅等の登録地点からの距離で区分された地域)毎等に応じた値が設定されている。なお、自宅等の登録地点の位置は、あらかじめナビゲーション装置に登録されているものとする。そして、図5に示される例においては、自宅からの距離が遠くなるほど、閾値が大きくなるように設定されている。これは、自宅から離れるほど運転者にとって地理が不案内な場所であると考えることができ、地理が不案内な場所ではあまり進路を変更しないことが望ましいと考えることができるからである。図6に示されるように、前記閾値を曜日毎、時間帯毎、場所毎等に応じてきめ細かく設定することによって、より適切に迂回経路14の案内を行うことができる。なお、前記閾値は、週末と週日とで変化させてもよいし、五十日(ごとうび)、連休期間、連休明け、盆休み、年末年始、夏休み等の場合に変化させてもよい。
【0055】
このように、本実施の形態においては、運転者の個人的特性を学習によって把握し、把握した個人的特性に基づいて渋滞区間13を回避する迂回経路14を案内するようになっている。より具体的には、DRGによって探索された迂回経路14の案内が行われたときに、迂回経路14に沿って走行したか否かによって、運転者の個人的特性が渋滞を避ける特性であるか、渋滞を避けない特性であるかを判断する。そして、運転者の個人的特性が渋滞を避ける特性である場合には、迂回経路14を案内するか否かを判断するための基準となる閾値から一定値を減算して基準を低くし、運転者の個人的特性が渋滞を避けない特性である場合には、前記閾値に一定値を加算して基準を高くする。
【0056】
そのため、運転者の個人的特性が渋滞を避ける特性である場合には、迂回経路14の案内がより行われ易くなり、経路を変更して迂回経路14を通ったことによる所要時間の短縮度合いが小さくても、すなわち、迂回経路14を通ったことによるメリットが小さくても、迂回経路14の案内が行われるようになる。これにより、運転者は、渋滞区間13に進入して苛立ちを覚えたり、ストレスを感じたりすることがない。
【0057】
また、運転者の個人的特性が渋滞を避けない特性である場合には、迂回経路14の案内がより行われ難くなり、経路11を変更して迂回経路14を通ったことによる所要時間の短縮度合いが大きくなければ、すなわち、迂回経路14を通ったことによるメリットが大きくなれば、迂回経路14の案内が行われないようになる。これにより、運転者は、迂回経路14の案内によって煩わされることがない。
【0058】
なお、運転者の個人的特性の学習による把握は、図4に示されるフローチャートにおいて説明したように、DRGが行われて迂回経路14の案内が行われたときでなくても、行うことができる。
【0059】
また、本実施の形態においては、迂回経路14を案内するか否かを判断するための基準として、渋滞が発生している経路11を通った場合の所要時間と迂回経路14を通った場合の所要時間との差を使用した例についてのみ説明したが、前記基準として渋滞度を使用することもできる。この場合、該渋滞度に重み付けを行い、積極的に渋滞区間13を回避するようにする。そして、前記重み付けに運転者の個人的特性を加味するようにする。例えば、初期値としての重み付けが4である場合、運転者の個人的特性が渋滞を避ける特性であるときには、前記重み付けを5に変更する。これにより、渋滞に対してよりセンシティブになり、迂回経路14の案内が行われ易くなる。
【0060】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態における運転者の個人的特性を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるDRG処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置のDRGを行わない場合の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の表示画面を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における閾値を示すテーブルである。
【符号の説明】
【0062】
11 経路
13 渋滞区間
14 迂回経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定した目的地までの経路を探索して案内を行うナビゲーション装置であって、
(a)探索データを格納する記憶手段と、
(b)前記探索データに基づいて前記目的地までの経路を探索する経路探索部と、
(c)該経路探索部に交通情報を使用して経路を探索させる交通情報処理部と、
(d)探索された経路の案内を行う案内処理部とを有し、
(e)前記経路探索部は渋滞が発生している場合に該渋滞が発生している区間を回避する迂回経路を探索し、
(f)前記案内処理部は、運転者の個人的特性に基づいて、前記迂回経路を案内するための基準を変更することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記案内処理部は前記迂回経路に対する運転者の行動を学習することによって前記運転者の個人的特性を把握する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記案内処理部は、前記運転者の個人的特性が渋滞を避ける特性である場合には閾値を変更して前記基準を低くし、前記運転者の個人的特性が渋滞を避けない特性である場合には閾値を変更して前記基準を高くする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記閾値は、渋滞が発生している区間を通った場合の所要時間と、前記迂回経路を通った場合の所要時間との差である請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記案内処理部は、前記運転者が前記迂回経路を通った場合に前記運転者の個人的特性が渋滞を避ける特性であると判断し、前記運転者が前記迂回経路を通らなかった場合に前記運転者の個人的特性が渋滞を避けない特性であると判断する請求項3又は4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記閾値は、曜日、時間帯又は場所に応じて設定される請求項4に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−90877(P2006−90877A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277504(P2004−277504)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】