説明

ナビゲーション装置

【課題】道路の幅の広狭に関わらず、経路沿いに位置する施設をより適切に抽出し、検出対象とすることのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】記憶部10には、道路の幅についての情報である道路幅情報を含む地図情報が記憶されており、施設抽出部44は、経路から、その道路幅が広いほど長く設定される所定距離以内に位置する施設を、経路沿いに位置する施設として抽出することとした。これにより、経路の道路幅が広い場合、経路から、長く設定される所定距離以内に位置する施設が検索対象として検索され、経路の道路幅が狭い場合、経路から、短く設定される所定距離以内に位置する施設が検索対象として検索されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在地から目的地までの経路沿いに位置する施設を検索対象として、検索条件に適う施設を検索するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この文献に記載のナビゲーション装置は、まず、現在地から目的地までの経路と施設との間の最短直線距離を算出し、最短直線距離が「150[m]」以内の施設を「経路沿いの施設」として抽出する。そして、ナビゲーション装置は、この抽出した「経路沿いの施設」を検索対象として、検索条件に適う施設を検索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−264750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、現在地から目的地までの経路は、道路の中心線に沿ういわゆるベクトルデータとして算出される。
【0005】
そのため、例えば中国や米国等において、「300[m]」を超える幅広な道路が経路に含まれている場合、この道路に面していることから「経路沿いの施設」として抽出され、検索対象とされるべき施設であるにもかかわらず、幅広な道路であるために中心線からの最短直線距離が「150[m]」よりも長く、「経路沿いの施設」として抽出されず、検索対象から除外されてしまう施設がある。
【0006】
このような施設が「経路沿いの施設」として抽出され、検索対象とされるよう、最短直線距離を「150[m]」よりも長く設定すると、幅の狭い道路が込み合った地域においては、道路から1ブロック以上も離れ、ユーザにとって「経路沿いの施設」と認識することのできない施設をも、「経路沿いの施設」として抽出し、検索対象に含めてしまうことがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、道路の幅の広狭に関わらず、経路沿いに位置する施設をより適切に抽出し、検出対象とすることのできるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、地図情報を記憶する記憶部と、現在地を検出する位置検出部と、目的地及び検索条件を入力するための入力部と、前記地図情報に基づいて、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出部と、前記地図情報に基づいて、経路沿いに位置する施設を抽出する施設抽出部と、前記施設抽出部によって抽出された施設を検索対象として、前記検索条件に適う施設を検索する施設検索部とを備えるナビゲーション装置において、前記記憶部には、道路の幅についての情報である道路幅情報を含む地図情報が記憶されており、前記施設抽出部は、前記経路から、その道路幅が広いほど長く設定される所定距離以内に位置する施設を、前記経路沿いに位置する施設として抽出することを特徴とする。
【0009】
ナビゲーション装置としてのこのような構成では、経路の道路幅が広い場合、経路から、長く設定される所定距離以内に位置する施設が検索対象として検索され、経路の道路幅が狭い場合、経路から、短く設定される所定距離以内に位置する施設が検索対象として検索されるようになる。そのため、道路の幅の広狭に関わらず、経路沿いに位置する施設をより適切に抽出し、検出対象とすることができるようになる。
【0010】
具体的には、請求項1に記載の構成において、請求項2に記載の発明のように、前記所定距離は、道路幅の半分の幅に所定値を加えた距離であることとしてもよい。さらには、上記請求項2に記載の構成において、請求項3に記載の発明のように、前記所定値は、前記経路と前記経路の隣に位置する道路との離間距離よりも小さい値であることとしてもよい。請求項3に記載の構成によれば、経路沿いに位置する施設として、経路とこの経路の隣に位置する道路との離間距離よりも小さい値が道路幅を半分とした幅に加えられた距離以内に位置する施設が抽出されるため、経路沿いに位置する施設をより確実に検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の一実施の形態について、その構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態によって実行される経路沿い施設の抽出処理について、その処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の一実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は、ナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。
【0013】
この図1に示されるように、ナビゲーション装置1は、記憶部10、GPS受信部20、入力部30、制御部40、表示部50及び音声出力部60を備えており、制御部40は、経路算出部41、経路案内部42、施設検索部43及び施設抽出部44を備える。また、このナビゲーション装置1は、図示しない車両に搭載されている。
【0014】
このうち、記憶部10は、例えばハードディスクドライブ装置やフラッシュメモリ等によって構成されており、地図情報が記憶されている。この地図情報には、道路の幅についての情報である道路幅情報が含まれており、例えばコンビニエンスストアやガソリンスタンド等の施設の中心の位置情報である施設位置情報も含まれている。なお、車両に搭載されるナビゲーション装置において使用されている地図データでは、地図の縮尺ごとに定義された情報単位(レイヤ)を有し、各レイヤではさらに一定の面積ごとに区切られた情報単位(メッシュ)を有している。また、記憶部10は、制御部40に接続されており、この制御部40によって地図情報等が適宜読み出される。
【0015】
GPS受信部20は、例えば図示しないGPSアンテナを有して構成されており、図示しない複数のGPS衛星から発せられるGPS信号を受信する。また、GPS受信部20は、制御部40に接続されており、この受信したGPS信号を制御部40に出力する。
【0016】
入力部30は、例えばタッチパネルや音声入力装置等の適宜の入力装置にて構成されており、制御部40に接続されている。当該ナビゲーション装置1のユーザは、この入力部30によって、目的地、施設の検索条件、及び、現在地から目的地までの経路沿いに位置する施設(以下、「経路沿いの施設」とも記載する)を検索対象として検索条件に適う施設を検索する旨を入力することができる。そして、入力部30は、目的地についての情報である目的地情報、施設の検索条件、及び、経路沿いの施設を検索対象とする旨を制御部40に出力する。
【0017】
経路算出部41は、記憶部10及びGPS受信部20に接続されており、GPS受信部20によって受信されるGPS信号を取得するとともに、記憶部10に記憶されている地図情報を読み出す。そして、経路算出部41は、これらGPS信号及び地図情報を利用して、車両の現在地を検出する。なお、経路算出部41及びGPS受信部20が特許請求の範囲に記載の位置検出部に相当する。
【0018】
また、経路算出部41は、入力部30に接続されており、この入力部30から目的地情報を取得すると、現在地、目的地情報及び地図情報を利用して、車両の現在地から目的地への経路を算出する。なお、経路算出部41は、経路を算出する際、当該ナビゲーション装置1を搭載する車両の速度及び角速度を取得し、これら速度及び角速度並びに地図情報に基づいて周知のマップマッチングを実行する。
【0019】
経路案内部42は、例えばLCD等によって構成される表示部50及び例えばスピーカ等によって構成される音声出力部60に接続されており、これら表示部50及び音声出力部60によってユーザに経路を案内する。詳しくは、経路案内部42は、ユーザが視認できるように表示部50に経路を表示したり、ユーザに聞こえるように音声出力部60から音声案内あるいは警告音を出力したりする。
【0020】
施設検索部43は、入力部30に接続されており、この入力部30から施設の検索条件を取得すると、この検索条件に適う施設を地図情報を利用して検索する。また、施設検索部43は、入力部30から経路沿いの施設を検索対象とする旨を取得すると、経路沿いの施設を検索対象として、検索条件に適う施設を地図情報を利用して検索する。
【0021】
施設抽出部44は、施設検索部43に接続されており、この施設検索部43が経路沿いの施設を検索対象として検索条件に適う施設を検索する際、図2に示す経路沿い施設の抽出処理を実行する。
【0022】
以下、図2を併せ参照して経路沿い施設の抽出処理について説明する。なお、この抽出処理S1は、入力部30から施設検索部43へ、経路沿いの施設を検索対象とする旨が入力されると、施設抽出部44によって実行開始される。
【0023】
この抽出処理S1が実行開始されると、施設抽出部44は、まず、ステップS10の処理として、施設と経路との最短直線距離を算出する。詳しくは、施設抽出部44は、ステップS10の処理として、経路が含まれるメッシュ内に位置する施設の中心位置と経路の中心線との最短直線距離を算出する。
【0024】
最短直線距離を算出すると、施設抽出部44は、続くステップS20の処理として、上記施設の中心点との直線距離が最短となる経路上の地点(最短距離地点)における道路幅を取得するとともに、続くステップS30の処理として、取得した道路幅を用いて、最短直線距離が「道路幅/2+10[m]」以下である施設を経路沿いの施設として抽出し、検索対象に設定する。
【0025】
そして、施設抽出部44は、この経路沿い施設の抽出処理S1を終了する。ちなみに、施設沿いの施設抽出処理を実行すると、施設検索部43は、抽出された施設を検索対象として、検索条件に適う施設を検索する。
【0026】
以上説明した実施の形態では、記憶部10には、道路の幅についての情報である道路幅情報を含む地図情報が記憶部10に記憶されており、施設抽出部は、経路から、その道路幅の半分の幅に所定値(実施の形態では「10[m]」)加えた距離以内に位置する施設を、経路沿いに位置する施設として抽出することとした。これにより、道路の幅の広狭に関わらず、経路沿いに位置する施設をより適切に抽出し、検出対象とすることができるようになる。
【0027】
なお、上記実施の形態では、施設抽出部44は、ステップS30の処理として、最短直線距離が「道路幅/2+10[m]」以下である施設を経路沿いの施設として抽出していたが、所定値は「10[m]」といった固定値に限らない。他に例えば、所定値として「経路に隣接する道路との離間距離よりも小さい値」といった可変値を採用してもよい。これにより、経路沿いに位置する施設をより確実に検出することができるようになる。
【0028】
また、「道路幅/2」に所定値を加えなくとも、「道路幅」に所定値を加えることとしてもよく、そもそも「道路幅」や「道路幅/2」に所定値を加えなくともよい。要は、経路から、その道路幅が広いほど長く設定される所定距離を採用すればよい。これにより、道路の幅の広狭に関わらず、経路沿いに位置する施設をより適切に抽出し、検出対象とすることはできる。
【符号の説明】
【0029】
1…ナビゲーション装置、10…記憶部、20…GPS受信部(位置検出部)、30…入力部、40…制御部(位置検出部)、41…経路算出部、42…経路案内部、43…施設検索部、44…施設抽出部、50…表示部、60…音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する記憶部と、
現在地を検出する位置検出部と、
目的地及び検索条件を入力するための入力部と、
前記地図情報に基づいて、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出部と、
前記地図情報に基づいて、経路沿いに位置する施設を抽出する施設抽出部と、
前記施設抽出部によって抽出された施設を検索対象として、前記検索条件に適う施設を検索する施設検索部とを備えるナビゲーション装置において、
前記記憶部には、道路の幅についての情報である道路幅情報を含む地図情報が記憶されており、
前記施設抽出部は、前記経路から、その道路幅が広いほど長く設定される所定距離以内に位置する施設を、前記経路沿いに位置する施設として抽出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記所定距離は、道路幅の半分の幅に所定値を加えた距離であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記所定値は、前記経路と前記経路の隣に位置する道路との離間距離よりも小さい値であることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−203984(P2010−203984A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51266(P2009−51266)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】