説明

ナビゲーション装置

【課題】誘導経路上の複数の分岐点における自車が進行すべき方向を簡便、迅速かつ確実に把握することができる「ナビゲーション装置」を提供すること
【解決手段】分岐案内表示手段37は、自車位置から誘導経路における進行方向前方側に向かって数えて複数の分岐点を同時に案内表示可能とされ、かつ、複数の分岐点の案内表示の際に、複数の分岐点のそれぞれにおいて分岐される誘導経路を含む複数の道路を示す線図を、複数の道路の分岐方向を反映させた表示態様で複数の分岐点のそれぞれに対応させて表示することによって、複数の分岐点のそれぞれにおける自車が進行すべき方向の案内表示を行うこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、特に、誘導経路上の分岐点を案内表示するのに好適なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置においては、設定された誘導経路にしたがった経路誘導の際に、経路誘導の一環として、自車位置に対する進行方向前方側に存在する誘導経路上の分岐点を表示部に表示して案内する案内表示が行われていた。また、このような分岐点の案内表示の際には、分岐点において自車が進行すべき方向を、矢印や音声等によって案内するようになっていた。
【0003】
図8は、このような従来の分岐点の案内表示の一例として、分岐点としての高速道路のジャンクションを案内する案内表示画面1を示したものである。
【0004】
図8に示すように、案内表示画面1は、地図画面2とデフォルメ画面3とによって構成されている。
【0005】
ここで、地図画面2には、自車位置および自車位置に対する進行方向前方側の直近のジャンクションを含む自車位置の周辺の所定の領域を示す地図4が含まれている。この地図4上における自車位置には自車位置マーク5が、誘導経路上には強調表示画像6が、それぞれ重畳表示されている。また、地図4上における直近のジャンクションに該当する位置には、ジャンクションを示すマーク7が重畳表示されている。
【0006】
一方、デフォルメ画面3には、誘導経路を直線状にデフォルメした線図8が含まれている。この線図8上における一方(図8における下方)の端部の近傍位置には、線図8における他方(図8における上方)の端部側に向かう方向を自車の進行方向に見立てた自車位置マーク5が重畳表示されている。また、線図8上には、誘導経路上に存在する複数(図8において3つ)のジャンクションをそれぞれ示す複数の案内画像10が、自車位置から近いジャンクションの順番にしたがって、自車位置マーク5側から順次間隔を設けるようにして重畳表示されている。各案内画像10には、ジャンクション名が記述されている。さらに、デフォルメ画面3には、直近のジャンクションにおいて自車が進行すべき方向を示す矢印マーク11が含まれており、この矢印マーク11は、直近のジャンクションを示す案内画像10に対応付けて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−72341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図8にも示したように、従来は、直近の分岐点については分岐点における進行すべき方向の案内を行っていたものの、その先の分岐点については行っていなかった。このため、ユーザが事前にその先の分岐点における進行すべき方向を知りたい場合には、地図をスクロールさせてその先の分岐点を探して、進行すべき方向を確認するといった煩雑な操作を強いられることを余儀なくされるといった問題が生じていた。
【0009】
また、特に、ジャンクションが連続する首都高速のような短い走行区間内に多数の分岐点が存在する道路においては、直近の分岐点に止まらず事前にその先の分岐点における進行すべき方向を知りたいというユーザ心理は働きやすいが、従来の案内表示では、このようなユーザの要求に応えることができないことも問題点として指摘されていた。
【0010】
さらに、複数の分岐点を同時に案内表示する際に、分岐点における進行すべき方向を矢印や音声によって案内しただけでは、分岐点における道路の分岐数や分岐方向を把握することができないため、分岐点における具体的な走行方法を事前に正確にイメージすることが困難であるといった問題も生じていた。
【0011】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、誘導経路上の複数の分岐点における自車が進行すべき方向を簡便、迅速かつ確実に把握することができるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するため、本発明に係るナビゲーション装置は、設定された誘導経路にしたがった経路誘導の際に、前記誘導経路上の分岐点を案内表示する分岐案内表示手段を備えたナビゲーション装置であって、前記分岐案内表示手段は、自車位置から前記誘導経路における進行方向前方側に向かって数えて複数の前記分岐点を同時に案内表示可能とされ、かつ、前記複数の分岐点の案内表示の際に、前記複数の分岐点のそれぞれにおいて分岐される前記誘導経路を含む複数の道路を示す線図を、前記複数の道路の分岐方向を反映させた表示態様で前記複数の分岐点のそれぞれに対応させて表示することによって、前記複数の分岐点のそれぞれにおける自車が進行すべき方向の案内表示を行うことを特徴としている。
【0013】
そして、このような構成によれば、分岐案内表示手段により、自車位置から誘導経路における進行方向前方側に向かって数えて複数の分岐点のそれぞれにおける自車が進行すべき方向の案内表示を兼ねた複数の分岐点の案内表示を行うとともに、各分岐点における進行すべき方向の案内表示を、分岐点において分岐される複数の道路をその分岐方向とともに示す複数の線図の表示によって行うことにより、各分岐点における道路の分岐数および分岐方向の把握をともないつつ、各分岐点における進行すべき方向を一目で確実に把握することができる。
【0014】
また、前記分岐点は、高速道路のジャンクションを含み、前記分岐案内表示手段は、前記ジャンクションの案内表示を、前記ジャンクションの名称の表示によって行ってもよい。
【0015】
そして、このような構成によれば、誘導経路上の自車位置に対する進行方向前方側のジャンクションにおける進行すべき方向を、ジャンクションの名称とともに確実に把握することができる。
【0016】
さらに、前記分岐点には、高速道路のジャンクションを含み、前記分岐案内表示手段は、前記ジャンクションの案内表示を、前記ジャンクションにおいて分岐される複数の道路のそれぞれに対応する方面の表示によって行ってもよい。
【0017】
そして、このような構成によれば、誘導経路上の自車位置に対する進行方向前方側のジャンクションにおける進行すべき方向を、分岐先の方面とともに確実に把握することができる。
【0018】
さらにまた、前記分岐点には、インターチェンジの分岐点を含み、前記分岐案内表示手段は、前記インターチェンジの分岐点の案内表示を、前記インターチェンジの分岐点において分岐される複数の道路のそれぞれに該当する方面の表示によって行ってもよい。
【0019】
そして、このような構成によれば、誘導経路上の自車位置に対する進行方向前方側のインターチェンジの分岐点における進行すべき方向を、分岐先の方面とともに確実に把握することができる。
【0020】
また、前記分岐点は、高速道路における本線とサービスエリアへの進入路との分岐点を含み、前記分岐案内表示手段は、前記本線と前記サービスエリアへの進入路との分岐点の案内表示を、前記サービスエリアの名称の表示によって行ってもよい。
【0021】
そして、このような構成によれば、誘導経路上の自車位置に対する進行方向前方側の高速道路本線とサービスエリアへの進入路との分岐点における進行すべき方向を、分岐先のサービスエリアの名称とともに確実に把握することができる。
【0022】
さらに、前記分岐点は、高速道路における本線とパーキングエリアへの進入路との分岐点を含み、前記分岐案内表示手段は、前記本線と前記パーキングエリアへの進入路との分岐点の案内表示を、前記パーキングエリアの名称の表示によって行ってもよい。
【0023】
そして、このような構成によれば、誘導経路上の自車位置に対する進行方向前方側の高速道路本線とパーキングエリアに向かう分岐道路との分岐点における進行すべき方向を、分岐先のパーキングエリアの名称とともに確実に把握することができる。
【0024】
さらにまた、前記分岐案内表示手段は、前記誘導経路に対応する前記線図と前記誘導経路以外の道路に対応する前記線図とを互いに異なる表示態様で表示してもよい。
【0025】
そして、このような構成によれば、各分岐点における進行すべき方向をさらに確実に把握することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、誘導経路上の複数の分岐点における自車が進行すべき方向を簡便、迅速かつ確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を示す構成図
【図2】図1のナビゲーション装置のブロック図
【図3】図1のナビゲーション装置によって表示される第1の分岐点案内表示画面を示す模式図
【図4】図1のナビゲーション装置によって表示される第2の分岐点案内表示画面を示す模式図
【図5】図1のナビゲーション装置によって表示される第3の分岐点案内表示画面を示す模式図
【図6】図1のナビゲーション装置によって表示される第4の分岐点案内表示画面を示す模式図
【図7】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を示すフローチャート
【図8】従来の分岐点の案内表示の一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0029】
なお、従来と基本的構成が同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態におけるナビゲーション装置12は、大別して、ナビゲーションメインユニット14と、このナビゲーションメインユニット14にそれぞれ接続されたGPSレシーバ15、自律航法センサ16、操作部17、ディスプレイ18およびスピーカ20とによって構成されている。
【0031】
ここで、GPSレシーバ15は、図示しないGPS衛星から配信されるGPS情報(時刻や軌道に関する情報)を受信し、受信したGPS情報をナビゲーションメインユニット14側に出力するようになっている。
【0032】
また、自律航法センサ16は、自車の車速、加速度(角速度)および方位等を検出し、検出結果をナビゲーションメインユニット14側に出力するようになっている。この自律航法センサ16は、車速センサやジャイロセンサ等からなるものであってもよい。
【0033】
さらに、操作部17は、ナビゲーション装置12に対する種々の入力操作に用いられるようになっている。この操作部17は、リモコン、ディスプレイ18のタッチパネル、リニアエンコーダ、ロータリエンコーダまたは音声入力用のマイク等であってもよい。
【0034】
次に、ナビゲーションメインユニット14について詳述すると、図1に示すように、ナビゲーションメインユニット14は、システムバス21にそれぞれ接続されたナビCPU22、ハードディスクドライブ(HDD)24、フラッシュメモリ25、RAM26、ユーザインターフェース(I/F)27、画像インターフェース(I/F)28および音声インターフェース(I/F)29を有している。
【0035】
ここで、ナビCPU22は、自車位置算出機能、地図表示機能、経路探索機能、経路誘導機能および検索機能等のナビゲーション装置12の各種の機能を実行するようになっている。
【0036】
また、ハードディスクドライブ24には、地図データおよびナビCPU22の実行プログラムが記憶されている。なお、地図データには、道路を示す道路データ、河川や緑地等の背景を示す背景データ、経路探索用の経路計算データ(道路ネットワークデータ等)および目的地等を検索するための検索データが含まれている。このうち、道路データは、リンク、リンクID、ノード、ノードID、通行条件および道路名称等をデータ構成要素としている。また、背景データは、点、ポリラインおよびポリゴン等をデータ構成要素としている。さらに、経路計算データは、リンク、ノードおよび通行条件等をデータ構成要素としている。さらにまた、検索データは、住所、郵便番号およびPOI(Point of Interest)情報等をデータ構成要素としている。なお、POI情報は、施設等のPOIの属性(例えば、名称、種別、住所およびPOIに紐付けられたリンクのリンクID等)を示す情報である。
【0037】
さらに、フラッシュメモリ25には、ナビゲーション装置12の起動とともにナビCPU22によってハードディスクドライブ24から読み出されたナビCPU22の実行プログラムが格納されるようになっており、この格納された実行プログラムがナビCPU22によって適宜実行されることによって、ナビゲーション装置12の各種の機能が適宜実行されるようになっている。
【0038】
さらにまた、RAM26は、ナビCPU22による処理結果等の各種のデータの一時的な保存等に用いられるようになっている。
【0039】
また、ユーザインターフェース27、画像インターフェース28および音声インターフェース29には、操作部17、ディスプレイ18およびスピーカ20がそれぞれ接続されている。
【0040】
次に、ナビCPU22について更に詳述すると、図2に示すように、ナビCPU22は、その機能ブロックの1つとしての自車位置算出部31を有しており、この自車位置算出部31には、GPSレシーバ15から出力されたGPS情報および自律航法センサ16から出力された検出結果が入力されるようになっている。そして、自車位置算出部31は、GPSレシーバ15側から入力されたGPS情報に基づいて、自車位置を絶対座標として算出する衛星航法を行うようになっている。また、自車位置算出部31は、自律航法センサ16側から入力された検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの変化分である相対位置として算出する自律航法を行うようになっている。さらに、自車位置算出部31は、ハードディスクドライブ24に記憶されている地図データを用いることによって、衛星航法または自律航法によって算出された自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に補正するマップマッチング処理を行うようになっている。そして、自車位置算出部31は、マップマッチング処理が適正に行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置を最終的な算出結果とするようになっている。
【0041】
また、図2に示すように、ナビCPU22は、その機能ブロックの1つとしての地図描画部32を有している。この地図描画部32は、ハードディスクドライブ24に記憶されている地図データを用いることによって、例えば、自車位置算出部31によって算出された自車位置の周辺の所定領域を示す地図をディスプレイ18に表示するようになっている。
【0042】
さらに、図2に示すように、ナビCPU22は、その機能ブロックの1つとしての目的地設定部33を有している。この目的地設定部33は、ナビゲーションの目的地を設定するための操作画面をディスプレイ18に表示した上で、この表示された操作画面に対する操作部17を用いた入力操作に応じた目的地を設定するようになっている。
【0043】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU22は、その機能ブロックの1つとしての経由地設定部34を有している。この経由地設定部34は、ナビゲーションの経由地を設定するための操作画面をディスプレイ18に表示した上で、この表示された操作画面に対する操作部17を用いた入力操作に応じた経由地を設定するようになっている。
【0044】
また、図2に示すように、ナビCPU22は、その機能ブロックの1つとしての経路探索部35を有している。この経路探索部35は、ハードディスクドライブ24に記憶されている地図データ(経路計算データ)に基づいて、自車位置算出部31によって算出された自車位置から目的地設定部33によって設定された目的地までの予め設定された経路計算条件に応じた最適経路を探索するようになっている。経路計算条件は、デフォルトで設定されているものであってもよいし、ユーザが操作部17を用いた入力操作によって設定したものであってもよい。具体的な経路計算条件としては、例えば、目的地までの所要時間が最短となる経路を計算する旨の条件、目的地までの距離が最短となる経路を計算する旨の条件、一般道を優先的に走行する経路を計算する旨の条件、道幅が広い道路を優先的に走行する経路を計算する旨の条件等の種々の条件を考えることができる。そして、経路探索部35は、このようにして探索された最適経路を、ディスプレイ18への表示によって誘導経路の候補としてユーザに提示するようになっている。なお、経路探索部35は、経由地設定部34によって経由地が設定されている場合には、設定された経由地を経由する目的地までの最適経路を探索して提示するようになっている。
【0045】
さらに、図2に示すように、ナビCPU22は、その機能ブロックの1つとしての経路誘導部36を有している。この経路誘導部36は、経路探索部35によって提示された最適経路を誘導経路に設定するための操作部17を用いた入力操作が行われると、この最適経路を誘導経路に設定するようになっている。誘導経路の設定は、例えば、誘導経路に関する情報(リンク、ノードおよび目的地等)をRAM26等に保存することによって行うようにしてもよい。そして、経路誘導部36は、誘導経路の設定の後に、設定された誘導経路にしたがった経路誘導を開始するようになっている。経路誘導は、交差点拡大図をディスプレイ18に表示することや、スピーカ20を介して交差点右左折案内用の音声を出力すること等によって行われるようになっている。
【0046】
そして、図2に示すように、経路誘導部36は、その機能ブロックとして、分岐案内表示手段としての分岐案内表示処理部37を有している。
【0047】
この分岐案内表示処理部37は、経路誘導部36による経路誘導の際に、経路誘導の一環として、誘導経路上の自車位置に対して誘導経路における自車の進行方向前方側に存在する誘導経路上の分岐点の案内表示を行うようになっている。分岐点の案内表示は、分岐点に該当または関連する道路施設(例えば、ジャンクションやインターチェンジ)の名称の表示や分岐点における分岐先の方面(例えば、行政区画や道路施設)の名称の表示によって行えばよい。
【0048】
また、分岐案内表示処理部37は、誘導経路上の進行方向前方側の分岐点が複数存在する場合には、それら複数の分岐点のうちの自車位置から進行方向前方側に向かって数えて複数(全部であってもよい)の分岐点を同時に案内表示するようになっている。なお、同時に案内表示する分岐点の最大数としては、画面サイズに応じた視認性を考慮して好適な数を設定すればよい。
【0049】
さらに、分岐案内表示処理部37は、このような複数の分岐点を同時に案内表示する際に、各分岐点のそれぞれにおける自車が進行すべき方向の案内表示を並行して行うようになっている。
【0050】
より具体的には、分岐案内表示処理部37は、同時に案内表示される複数の分岐点のそれぞれにおいて分岐される複数の道路をそれぞれ示す複数の線図を、各道路の分岐方向を反映させた表示態様で、案内表示される複数の分岐点のそれぞれに対応させて表示するようになっている。ただし、各分岐点ごとの複数の道路は、誘導経路と、分岐点において誘導経路から分岐される誘導経路以外の少なくとも1つの道路とによって構成される。
【0051】
なお、このような分岐点における進行すべき方向の案内表示を兼ねた分岐点の案内表示は、誘導経路上の進行方向前方に分岐点が1つだけ存在する場合にその分岐点について行ってもよいことは勿論である。
【0052】
ここで、分岐案内表示処理部37によって案内表示される分岐点には、少なくとも高速道路のジャンクションが含まれている。
【0053】
そして、分岐案内表示処理部37は、分岐点としてのジャンクションの案内表示を、当該ジャンクションの名称の表示によって行うようにしてもよいし、あるいは、ジャンクションにおいて分岐される複数の道路のそれぞれに対応する方面の表示によって行うようにしてもよい。
【0054】
また、ジャンクション以外にも、分岐案内表示処理部37によって案内表示される分岐点には、インターチェンジの分岐点が含まれていてもよい。この場合に、分岐案内表示処理部37は、インターチェンジの分岐点の案内表示を、当該分岐点において分岐される複数の道路のそれぞれに該当する方面の表示によって行うようにしてもよい。
【0055】
さらに、これ以外にも、分岐案内表示処理部37によって案内表示される分岐点には、高速道路における本線とサービスエリアへの進入路との分岐点が含まれていてもよい。この場合には、分岐案内表示処理部37は、当該本線とサービスエリアへの進入路との分岐点の案内表示を、当該サービスエリアの名称の表示によって行うようにしてもよい。
【0056】
さらにまた、これ以外にも、分岐案内表示処理部37によって案内表示される分岐点には、高速道路における本線とパーキングエリアへの進入路との分岐点が含まれていてもよい。この場合には、分岐案内表示処理部37は、当該本線とパーキングエリアへの進入路との分岐点の案内表示を、当該パーキングエリアの名称の表示によって行うようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態において、分岐案内表示処理部37は、分岐点における進入すべき方向の案内表示を行う際に、誘導経路に対応する線図と誘導経路以外の道路に対応する線図とを互いに異なる表示態様で表示するようになっている。具体的には、例えば、線図の色や太さを、誘導経路とこれ以外の道路との間で互いに異ならせるようにすればよい。
【0058】
次に、図3は、分岐案内表示処理部37による案内表示の一例として、分岐案内表示処理部37によって表示される第1の分岐点案内表示画面40を示したものである。この第1の分岐点案内表示画面40は、地図画面2とデフォルメ画面41とによって構成されている。地図画面2の構成については、図8で述べた案内表示画面1と同様であるので説明を省略する。
【0059】
一方、図3に示すように、デフォルメ画面41は、画面41の中央における下端部近傍位置に、画面41の上方を誘導経路における自車の進行方向前方に見立てた自車位置マーク5が配置されている。また、図3に示すように、自車位置マーク5に対する画面41の上方位置(換言すれば、進行方向前方側の位置)には、自車位置から誘導経路における進行方向前方側に向かって数えて複数(図3において3つ)のジャンクションをそれぞれ示す複数の案内画像42が、上下に所定の間隔を設けるようにして整列配置されている。各案内画像42は、横方向に長尺な矩形状の背景の上に、対応するジャンクションの名称が記述されてなる。また、各案内画像42は、対応するジャンクションの自車位置に対する位置関係すなわち距離にしたがった配置順に配置されており、自車位置マーク5の最も近傍に配置された案内画像42に対応するジャンクション(○○JCT)は、自車位置の直近のジャンクションとなっている。さらに、図3に示すように、各案内画像42のそれぞれの下部には、各案内画像42に対応するジャンクションにおいて分岐される複数の道路を示す複数の線図43,44が配置されている。これら複数の線図43,44のうちの1つの線図43は、誘導経路を示す第1の線図43とされており、他の線図44は、誘導経路以外の道路を示す第2の線図44とされている。図3に示すように、第1の線図43は、第2の線図44の下端部と、対応するジャンクションに見立てた交点Pにおいて互いに交わっている。また、第1の線図43と第2の線図44とは、交点Pから各線図43,44に該当する道路の分岐方向に相当する方向に向かってそれぞれ直線状に延出されているとともに、その延出方向の端部(上端部)が、対応するジャンクションを示す案内画像42に接続されている。さらに、図3に示すように、上下2つの案内画像42同士の間に配置された第1の線図43は、これら2つの案内画像42のうちの第1の線図43に対応する一方(上側)の案内画像42だけでなく、他方(下側)の案内画像42にも接続されている。さらにまた、図3に示すように、第1の線画43は、第2の線画44よりも線幅が太く形成されているとともに、第2の線画44とは異なる色を呈している。
【0060】
このような第1の分岐点案内表示画面40を見たユーザは、直近の「○○JCT」では、左右の2つの分岐方向のうちの誘導経路に相当する左方向に進み、その次の「△△JCT」では、直進または右方向の2つの分岐方向のうちの誘導経路に相当する右方向に進み、さらにその次の「××JCT」では、直進または左右の3つの分岐方向のうちの誘導経路に相当する直進方向に進めばよいことを瞬時に把握することができる。
【0061】
また、分岐案内表示処理部37は、図4に示すような第2の分岐点案内表示画面46を表示してもよい。この第2の分岐点案内表示画面46にも、第1の分岐点案内表示画面40と同様に、図3に示したものと同様の各ジャンクションにおける分岐方向を示す線図43,44と、各ジャンクションに対応する案内画像47とが配置されている。ただし、案内画像47は、第1の線図43および第2の線図44のそれぞれに対応する表示範囲47aごとに分割されている。そして、各表示範囲47aには、第1の線図43が示す道路および第2の線図44が示す道路のそれぞれに対応する方面(分岐先の方面)の名称が記述されている。また、各案内画像47の横には、対応するジャンクションの名称が記述されている。
【0062】
このような第2の分岐点案内表示画面46を見たユーザは、各ジャンクションにおける進むべき方向に加えて、分岐先の方面を予め把握することができる。
【0063】
なお、分岐案内表示処理部37は、第1の分岐点案内表示画面40と第2の分岐点案内表示画面46とを操作部17を用いたユーザ操作にともなって切り替え表示するようにしてもよい。
【0064】
また、これ以外も、分岐案内表示処理部37は、例えば、図5に示すような第3の分岐点案内表示画面48を表示してもよい。この第3の分岐点案内表示画面48には、ジャンクションの案内画像47以外にも、インターチェンジの入口分岐点の案内画像49が含まれている。なお、入口分岐点は、インターチェンジの入口料金所を通過した直後に複数の方面に分岐される複数の道路の分岐点である。図5に示すように、入口分岐点の案内表示は、入口分岐点における分岐先の方面の表示によって行われている。
【0065】
さらに、これ以外にも、例えば、図6に示すような第4の分岐点案内表示画面51を表示してもよい。この第4の分岐点案内表示画面51には、高速道路の本線とサービスエリアへの進入路との交点を案内表示する画像として、当該サービスエリアの名称が記述された案内画像52が含まれている。また、第4の分岐点案内表示画面51には、高速道路の本線とパーキングエリアへの進入路との交点を案内表示する画像として、当該パーキングエリアの名称が記述された案内画像53が含まれている。このような第4の分岐点案内表示画面51の表示は、サービスエリアやパーキングエリアを経由地とした経路誘導を行う場合に有益である。
【0066】
次に、本実施形態の作用について、図7を参照して説明する。
【0067】
なお、本実施形態においては、便宜上、初期状態においては、経路誘導部36によって、設定された誘導経路にしたがった経路誘導が開始されたものとする。
【0068】
そして、初期状態から、まず、図7のステップ1(ST1)において、分岐案内表示処理部37により、誘導経路上に、案内表示の対象となる分岐点が存在するか否かを判定する。この判定は、例えば、案内表示の対象とする分岐点に該当する道路施設(例えば、ジャンクション)または案内表示の対象とする分岐点に関連する道路施設(例えば、入口インターチェンジ、サービスエリアまたはパーキングエリア)のデータを設定しておき、このデータに該当する道路施設が誘導経路上に存在するか否かに基づいて行うようにしてもよい。そして、このステップ1(ST1)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ6(ST6)に進む。
【0069】
ここで、ステップ2(ST2)以後の処理について先に説明すると、まず、ステップ2(ST2)において、分岐案内表示処理部37により、案内対象となる誘導経路上の各分岐点に関連する情報(分岐点関連情報)を取得する。この分岐点関連情報としては、例えば、分岐点に該当または関連する道路施設の名称、分岐点の位置、分岐点において分岐される各道路のそれぞれの分岐方向および方面看板等を挙げることができる。このような分岐点関連情報は、経路誘導部36による誘導経路の設定結果や、その他の地図データに基づいて取得すればよい。
【0070】
次いで、ステップ3(ST3)において、分岐案内表示処理部37により、分岐点の案内表示を行うべきイベントが発生したか否かを判定する。このイベントは、例えば、自車(自車位置)が進行方向前方の直近の分岐点まで所定距離の地点に到達したことであってもよい。そして、ステップ3(ST3)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ4(ST4)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、経路誘導を継続しつつ、所定のタイミングでステップ3(ST3)の判定を繰り返し行う。
【0071】
次いで、ステップ4(ST4)において、分岐案内表示処理部37により、ステップ2(ST2)において取得された分岐点関連情報に基づいて、分岐点における進行すべき方向の案内表示をともなう分岐点の案内表示を行う。この案内表示は、図3〜図6に示した分岐点案内表示画面40,46,48,51の表示によって行うようにしてもよい。このステップ4(ST4)においては、図示はしないが、自車位置に対する進行方向前方側の分岐点の総数が、予め設定された案内表示の最大数を超えている場合には、自車位置から数えて当該最大数分の分岐点を現在案内表示すべき分岐点として決定する。一方、当該総数が当該最大数以下である場合には、すべての分岐点を現在案内表示すべき分岐点として決定する。また、ステップ4(ST4)においては、現在案内表示すべき分岐点として決定された各分岐点を示す各案内画像(図3〜図6参照)の配置位置を、自車位置から各分岐点までの距離に応じた位置に決定する。そして、決定された配置位置に、ステップ2(ST2)において取得された分岐点関連情報における分岐点に該当または関連する道路施設の名称や交通看板に基づいて、該当する分岐点の案内画像を予め設定された配色で画面表示する。さらに、ステップ4(ST4)においては、ステップ2(ST2)において取得された分岐点関連情報における分岐方向の情報に基づいて、現在案内表示すべき各分岐点のそれぞれに対応する線画の形状を決定する。そして、決定された形状の線画を、誘導経路およびそれ以外の分岐道路ごとに決められた配色で、案内画像と対応付けて画面上に表示する。このステップ4(ST4)における案内表示は、自車が直近の分岐点を通過するまで継続すればよい。
【0072】
次いで、ステップ5(ST5)において、ステップ4(ST4)における案内表示の終了後、経路誘導部36により、目的地に到着したか否かを判定する。そして、ステップ5(ST5)において肯定的な判定結果が得られた場合には、経路誘導を終了し、否定的な判定結果が得られた場合には、経路誘導を継続してステップ3(ST3)に戻る。なお、ステップ3(ST3)に戻るのは、誘導経路上に未案内の分岐点が存在することを条件とし、未案内の分岐点が存在しない場合には、ステップ5(ST5)を繰り返せばよい。
【0073】
一方、ステップ1(ST1)からステップ6(ST6)に進んだ場合には、ステップ6(ST6)において、経路誘導部36により目的地に到着したか否かを判定する。そして、ステップ6(ST6)において肯定的な判定結果が得られた場合には、経路誘導を終了し、否定的な判定結果が得られた場合には、経路誘導を継続してステップ6(ST6)の判定を繰り返す。
【0074】
以上述べたように、本実施形態によれば、分岐案内表示処理部37により、自車位置から誘導経路における進行方向前方側に向かって数えた複数の分岐点のそれぞれにおける自車が進行すべき方向の案内表示を兼ねた複数の分岐点の案内表示を行うとともに、各分岐点における進行すべき方向の案内表示を、分岐点において分岐される複数の道路をその分岐方向とともに示す複数の線図43,44の表示によって行うことができる。この結果、各分岐点における道路の分岐数および分岐方向の把握をともないつつ、各分岐点における進行すべき方向を一目で確実に把握することができる。
【0075】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものでなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【符号の説明】
【0076】
12 ナビゲーション装置
37 分岐案内処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された誘導経路にしたがった経路誘導の際に、前記誘導経路上の分岐点を案内表示する分岐案内表示手段を備えたナビゲーション装置であって、
前記分岐案内表示手段は、自車位置から前記誘導経路における進行方向前方側に向かって数えて複数の前記分岐点を同時に案内表示可能とされ、かつ、前記複数の分岐点の案内表示の際に、前記複数の分岐点のそれぞれにおいて分岐される前記誘導経路を含む複数の道路を示す線図を、前記複数の道路の分岐方向を反映させた表示態様で前記複数の分岐点のそれぞれに対応させて表示することによって、前記複数の分岐点のそれぞれにおける自車が進行すべき方向の案内表示を行うこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記分岐点は、高速道路のジャンクションを含み、
前記分岐案内表示手段は、前記ジャンクションの案内表示を、前記ジャンクションの名称の表示によって行うこと
を特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記分岐点には、高速道路のジャンクションを含み、
前記分岐案内表示手段は、前記ジャンクションの案内表示を、前記ジャンクションにおいて分岐される複数の道路のそれぞれに対応する方面の表示によって行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記分岐点には、インターチェンジの分岐点を含み、
前記分岐案内表示手段は、前記インターチェンジの分岐点の案内表示を、前記インターチェンジの分岐点において分岐される複数の道路のそれぞれに該当する方面の表示によって行うこと
を特徴とする請求項2または請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記分岐点は、高速道路における本線とサービスエリアへの進入路との分岐点を含み、
前記分岐案内表示手段は、前記本線と前記サービスエリアへの進入路との分岐点の案内表示を、前記サービスエリアの名称の表示によって行うこと
を特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記分岐点は、高速道路における本線とパーキングエリアへの進入路との分岐点を含み、
前記分岐案内表示手段は、前記本線と前記パーキングエリアへの進入路との分岐点の案内表示を、前記パーキングエリアの名称の表示によって行うこと
を特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記分岐案内表示手段は、前記誘導経路に対応する前記線図と前記誘導経路以外の道路に対応する前記線図とを互いに異なる表示態様で表示すること
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−180071(P2011−180071A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46594(P2010−46594)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】