説明

ナビゲーション装置

【課題】過去に走行したことのある道路を通過して目的地に到着する経路が探索されるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】出発地から目的地までの間で車両が走行した過去の走行経路(過去走行経路)を走行履歴記憶装置19に記憶し、目的地が入力装置18の操作によって設定されたとき、記憶されている過去走行経路の中から、設定された目的地を目的地とした過去走行経路を抽出し、抽出された過去走行経路の一部または全部を通過して、設定された目的地に到着する経路を探索し、探索された経路とともに、抽出された走行経路を表示モニタ61に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行履歴を記憶するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行軌跡データを使用して、通常の経路探索によって探索された通常経路の近傍に、過去に走行したことのある道路があるかどうかの判断を行い、過去に走行したことのある道路がある場合、その道路を通過して目的地に到着する経路を探索するナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−257985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている従来のナビゲーション装置は、過去に走行したことのある道路を通過した方が、通常経路を通過するより目的地に早く到着する場合に限り、過去に走行したことのある道路を通過して目的地に到着する経路を探索する。このため、遠回りしても過去に走行したことのある道路を通過して目的地に到着したい場合は、過去に走行したことのある道路を通過して目的地に到着する経路が探索されないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明のナビゲーション装置は、出発地を設定する出発地設定手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、出発地設定手段によって設定された出発地から目的地設定手段によって設定された目的地までを車両が走行した過去の走行経路(過去走行経路)を記憶する走行経路記憶手段と、目的地設定手段によって目的地が設定されたとき、走行経路記憶手段によって記憶されている過去走行経路の中から、目的地設定手段によって設定された目的地を目的地とした過去走行経路を抽出する走行経路抽出手段と、出発地設定手段によって設定された出発地から、経路抽出手段によって抽出された過去走行経路の一部または全部を通過して、目的地設定手段によって設定された目的地に到着する経路を探索する第1の経路探索手段と、第1の経路探索手段によって探索された経路とともに、経路抽出手段によって抽出された過去走行経路を表示モニタに表示させる経路表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、過去に走行したことのある道路を通過して目的地に到着する経路を探索することができ、ユーザに馴染みのある道路を通って目的地に到達するといった安心感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態のナビゲーション装置の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の走行履歴データを説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における経路探索処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態における経路探索処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態における経路探索処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】経路探索画面を説明するための図である。
【図7】表示モニタに表示された、探索された経路と走行経路とを説明するための図である。
【図8】図3のステップS107の処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図3のステップS107の処理を説明するための図である。
【図10】複数の走行経路の中から1つの走行経路を選択するときに表示される表示モニタの画像を説明するための図である。
【図11】異なる探索方法で探索された経路を同一地図上に表示したときの表示モニタの画像を説明するための図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の走行履歴データを説明するための図である。
【図13】本発明の第2の実施形態における経路探索処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】表示モニタに表示された、探索された経路と走行経路と立寄地点とを説明するための図である。
【図15】図13のステップS107の処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】図13のステップS107の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
−第1の実施形態−
本発明の第1の実施形態によるナビゲーション装置は、車両の走行履歴を記憶し、記憶された走行履歴の中から所定の走行経路を読み出して、その走行経路の一部または全部を通過して目的地に到着する経路を探索する。
【0009】
図1を参照して、本発明の第1の実施形態におけるナビゲーション装置1を説明する。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、走行履歴記憶装置19およびディスクドライブ110を有する。ディスクドライブ110には、地図データが記憶されたDVD−ROM111が装填される。
【0010】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなる。この制御回路11は、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。制御回路11は、DVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行い、その処理結果が経路として表示モニタ16に表示される。
【0011】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出する。GPSセンサ14cはGPS衛星から送信されるGPS信号に基づいて現在地を検出する。現在地検出装置14は、これらの装置14a〜14cが検出した情報を使用して車両の現在地を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲などを決定する。地図上の現在地には自車位置マークが表示される。
【0012】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなる。この画像データはDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示などを行うことができる。
【0013】
ディスクドライブ110は、DVD−ROM111から地図データを読み出す。この地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データは、道路のリンク情報およびノード情報を有する。
【0014】
リンク情報は、各リンクの旅行時間(以下、リンク旅行時間)の情報、リンク距離の情報、有料道路情報などを含む。リンク旅行時間とは、車両がそのリンクを通過するのに要する所要時間である。リンク距離の情報とは、リンクに対応する道路の長さの情報である。有料道路情報とは、リンクに対応する道路が有料であるか無料であるかの情報である。
【0015】
地図表示用データは、広域から詳細までの複数の縮尺の地図データを有する。これにより、ナビゲーション装置1は、ユーザの指示にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。
【0016】
なお、DVD−ROM111以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどから地図データを読み出すようにしてもよい。
【0017】
表示モニタ16は、現在地付近の地図などの各種情報を画面上に表示してユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドを設定するための入力スイッチを有し、操作パネルやリモコンなどによって実現される。入力装置18は、ユーザによる入力装置18の操作に応じた信号を制御回路11に出力する。
【0018】
走行履歴記憶装置19は、フラッシュメモリやハードディスクなどの書き換え可能な不揮発性記録媒体によって構成され、車両の走行履歴を走行履歴データとして記憶する。各走行履歴における車両が走行した経路を、以下、走行経路と呼ぶ。
【0019】
図2を参照して、本発明の第1の実施形態における走行履歴データ2Aを説明する。走行履歴データ2Aは、符号21に示すように、走行を開始する前にナビゲーション装置1に設定された目的地(G001〜G100)毎に各走行経路が記憶される。符号22に示すように、各目的地(G001〜G100)には、10個までの走行経路(R050−1〜R050−10)が記憶され、10個を越える場合、新しい走行経路のデータは、更新日が古い走行経路のデータに上書される。
【0020】
走行経路(R050−m)毎に、出発地の情報23、走行経路(R050−m)を構成するリンクの数24、走行経路(R050−m)を構成するリンクのリンクID25、車両が今までその走行経路(R050−m)を走行した回数26および最終更新日27が記憶される。
【0021】
ユーザは、表示モニタ16に表示された画像による指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を操作することにより、目的地を設定する。
【0022】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1は現在地検出装置14によって検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定の制御プログラムに基づいて行う。以下、このような経路演算を経路探索と呼ぶ。たとえば、ダイクストラ法などにより、出発地から目的地までの間の旅行時間(リンク旅行時間の合計)や距離(リンク距離の合計)が最小になるような経路を探索する。以下、このようにして探索された経路を最適経路と呼ぶ。
【0023】
また、ナビゲーション装置1は、一般道優先の経路探索を行ったり、有料道路優先の経路探索を行ったりすることができる。一般道優先の経路探索とは、一般道のみを通過して目的地に到着する経路を探索する経路探索であり、ナビゲーション装置1は、有料道路情報が無料であるリンクのみを使用して行う経路探索を行う。有料道路優先とは、有料道路を通過した方が目的地までの旅行時間が短くなる場合、有料道路を通過して目的地に到着する経路を探索する経路探索であり、ナビゲーション装置1は、有料道路情報の有料、無料に関係なくリンクを使用して経路探索を行う。
【0024】
探索された最適経路は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路と区別して表示される。これにより、ユーザは地図上の最適経路を画面上で認識することができる。
【0025】
ナビゲーション装置1は、最適経路にしたがって車両が走行できるように、画像や音声などによる進行方向の指示を行い、車両を経路誘導する。
【0026】
また、ナビゲーション装置1は、走行履歴データ2Aとして記憶されている走行経路の一部または全部を通過して目的地に到着する経路も探索することができる。この経路探索の詳細は後述する。このように探索された経路も表示形態を変えることによって、ほかの道路と区別して表示される。また、ナビゲーション装置1は、このように探索された経路にしたがって車両が走行できるように、画像や音声などによる進行方向の指示を行い、車両を経路誘導する。
【0027】
図3〜図5のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態における経路探索処理を説明する。図3〜図5の処理は、ユーザが図6に示す経路探索画面40を表示モニタ16に表示させるとスタートするプログラムで制御回路11において実行される。ナビゲーション装置1は、この経路探索処理と並行して、走行中の走行経路をRAM13に記憶しているものとして説明する。
【0028】
図6の経路探索画面40は、ユーザが車両の現在地31周辺の地図30を表示モニタ16に表示させているとき、入力装置18に対して所定の操作を行うと、表示モニタ16に表示される。経路探索画面40には、経路探索の方法を選択するための、一般道路優先ボタン41、有料道路優先ボタン42および過去ルートボタン43が表示される。ユーザは、入力装置18を操作して、これらのボタン41〜43の中から所望のボタンを選択することができる。一般道路優先ボタン41が選択されると、一般道路優先の経路探索が選択され、有料道路優先ボタン42が選択されると、有料道路優先の経路探索が選択され、過去ルートボタン43が選択されると、走行経路を一部または全部通過して目的地の到着する経路の探索が選択される。
【0029】
図3のステップS101では、過去ルートボタン43が選択されたか否かを判定する。過去ルートボタン43が選択された場合はステップS101が肯定判定され、ステップS102へ進む。過去ルートボタン43が選択されなかった場合はステップS101が否定判定され、ステップS114へ進む。ステップS102では、ユーザによって目的地が入力されたか否かを判定する。目的地が入力された場合はステップS102が肯定判定され、ステップS103へ進む。目的地が入力されない場合はステップS102を繰り返す。
【0030】
ステップS103では、走行履歴データ2Aの中から、ステップS102で入力された目的地と同一の目的地の走行経路を抽出する。ステップS104では、ステップS103で抽出した走行経路の中から、さらに更新日が最も遅い走行経路を抽出する。ステップS105では、現在地検出装置14を使用して現在地を検出する。ステップS106では、現在地を出発地に設定する。
【0031】
ステップS107では、出発地から、ステップS104で抽出した走行経路の一部または全部を通過して、目的地に到着する経路を探索する。この経路探索の詳細は後述する。ステップS108では、探索した経路とともにステップS104で抽出した走行経路を表示モニタ16に表示する。探索した経路と抽出した走行経路の表示例を図7に示す。図7に示すように、表示モニタ16には、探索した経路51と抽出した走行経路52が描画された地図50が表示される。地図50には、さらに、現在地53、目的地54および走行経路52の出発地55が表示される。
【0032】
ステップS109では、現在地検出装置14を使用して現在地を検出する。ステップS110では、ステップS109で検出した現在地に基づいて、目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合はステップS110が肯定判定され、ステップS111へ進む。目的地に到着していない場合はステップS110が否定判定され、ステップS109に戻る。
【0033】
ステップS111では、ステップS107で探索した経路にしたがって目的地に到着したか否かを判定する。ステップS107で探索した経路にしたがって目的地に到着した場合はステップS111が肯定判定され、ステップS112へ進む。ステップS107で探索した経路にしたがって目的地に到着しなかった場合、つまり、ステップS107で探索した経路から外れて目的地に到着した場合はステップS111が否定判定され、ステップS113へ進む。
【0034】
ステップS112では、RAM13に記憶している走行経路を消去する。そして、経路探索処理を終了する。一方、ステップS113では、RAM13に記憶していた走行経路を走行履歴記憶装置19に走行履歴データ2Aとして記憶する。そして、RAM13に記憶している走行経路を消去して、経路探索処理を終了する。
【0035】
ステップS114では、一般道優先ボタン41が選択されたか否かを判定する。一般道優先ボタン41が選択された場合はステップS114が肯定判定され、図4のステップS201へ進む。一般道優先ボタン41が選択されなかった場合はステップS114が否定判定され、ステップS115へ進む。
【0036】
ステップS115では、有料道路優先ボタン42が選択されたか否かを判定する。有料道路優先ボタン42が選択された場合はステップS115が肯定判定され、図5のステップS301へ進む。一般道優先ボタン41が選択されなかった場合はステップS115が否定判定され、ステップS101に戻る。
【0037】
図4のステップS201では、現在地検出装置14を使用して現在地を検出する。ステップS202では、現在地を出発地に設定する。ステップS203では、一般道優先で、出発地から目的地までの最適経路を探索する。ステップS204では、最適経路を表示モニタ16に表示する。
【0038】
ステップS205では、現在地検出装置14を使用して現在地を検出する。ステップS206では、ステップS205で検出した現在地に基づいて、目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合はステップS206が肯定判定され、ステップS207へ進む。目的地に到着していない場合はステップS206が否定判定され、ステップS205に戻る。
【0039】
ステップS207では、ステップS203で探索した最適経路にしたがって目的地に到着したか否かを判定する。ステップS203で探索した最適経路にしたがって目的地に到着した場合はステップS207が肯定判定され、ステップS208へ進む。ステップS203で探索した最適経路にしたがって目的地に到着しなかった場合、つまり、ステップS203で探索した最適経路から外れて目的地に到着した場合はステップS207が否定判定され、ステップS209へ進む。
【0040】
ステップS208では、RAM13に記憶している走行経路を消去する。そして、経路探索処理を終了する。一方、ステップS209では、RAM13に記憶していた走行経路を走行履歴記憶装置19に走行履歴データ2Aとして記憶する。そして、RAM13に記憶している走行経路を消去して経路探索処理を終了する。
【0041】
図5のステップS301では、現在地検出装置14を使用して現在地を検出する。ステップS302では、現在地を出発地に設定する。ステップS303では、有料道路優先で、出発地から目的地までの最適経路を探索する。ステップS304では、最適経路を表示モニタ16に表示する。
【0042】
ステップS305では、現在地検出装置14を使用して現在地を検出する。ステップS306では、ステップS305で検出した現在地に基づいて、目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合はステップS306が肯定判定され、ステップS307へ進む。目的地に到着していない場合はステップS306が否定判定され、ステップS305に戻る。
【0043】
ステップS307では、ステップS303で探索した最適経路にしたがって目的地に到着したか否かを判定する。ステップS303で探索した最適経路にしたがって目的地に到着した場合はステップS307が肯定判定され、ステップS308へ進む。ステップS303で探索した最適経路にしたがって目的地に到着しなかった場合、つまり、ステップS303で探索した最適経路から外れて目的地に到着した場合はステップS307が否定判定され、ステップS309へ進む。
【0044】
ステップS308では、RAM13に記憶している走行経路を消去する。そして、経路探索処理を終了する。一方、ステップS309では、RAM13に記憶していた走行経路を走行履歴記憶装置19に走行履歴データ2Aとして記憶する。そして、RAM13に記憶している走行経路を消去して経路探索処理を終了する。
【0045】
次に、図8のフローチャートおよび図9を参照して、図3のステップS107の処理を説明する。
【0046】
ステップS401では、現在地53と目的地54とを結ぶ直線61と直交して、現在地53を通る直線62を形成する。ステップS402では、図3のステップS104で抽出された「走行経路A」52上の各地点の中で直線62を境界として、目的地54の反対側63にある地点を除外する。図9では、「走行経路A」52上の全ての地点は、目的地54側に存在するので、除外する地点はない。
【0047】
ステップS403では、ステップS402で除外されなかった「走行経路A」52上の各地点の中で、現在地53に最も近い地点B64を算出する。算出する方法としては、たとえば、「走行経路A」52を構成する各リンクの端の点、つまり、ノードと、現在地53との間の距離を順次算出し、距離が最も短いノードを「地点B」64とする方法がある。ステップS404では、現在地53を出発地とし、「地点B」64を目的地として、現在地53と「地点B」64との間の「最適経路C」65を一般道優先で探索する。
【0048】
ステップS405では、「最適経路C」65と、「地点B」64−目的地54間の走行経路52とを結んで現在地53から目的地54までの経路を形成する。この経路が、図7に示す経路51になる。
【0049】
なお、ステップS402で除外されなかった走行経路A上の各地点の中で、現在地に最も近い点Bが走行経路Aの出発地である場合、ステップS405では、出発地から、走行経路Aの全部を通過して目的地に到着する経路を形成することになる。
【0050】
以上の第1の実施形態におけるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)出発地から目的地までの間で車両が走行した過去の走行経路(過去走行経路)を記憶し、目的地が設定されたとき、記憶されている過去走行経路の中から、設定された目的地を目的地とした過去走行経路を抽出し、抽出された過去走行経路の一部または全部を通過して、設定された目的地に到着する経路を探索し、探索された経路とともに、抽出された過去走行経路を表示モニタ61に表示するようにした。これにより、過去に走行したことのある道路を通過して目的地に到着する経路を探索することができ、ユーザに馴染みのある道路を通って目的地に到達するといった安心感を与えることができる。また、探索された経路のみを表示する場合に比べて、過去走行経路を通過したときの様子を容易に思い出すことができるので、これからどのような経路を通過するのかを予め認識することができる。
【0051】
(2)最適経路から外れて目的地に到着したときの走行経路を記憶し、最適経路にしたがって目的地に到着したときの走行経路を記憶しないようにした。これにより、最適経路を探索すれば再現できる走行経路を記憶しなくてすみ、限られた記憶容量の中で、記憶しなければ再現できない走行経路を数多く記憶することができる。
【0052】
(3)過去走行経路上の各地点の中から出発地に最も近い地点において過去走行経路に進入し、過去走行経路を通過して目的地に到着する経路を探索するようにした。これにより、最適経路に比べて過度に遠回りならないようにして過去に走行したことのある道路を通過して目的地に到着する経路を探索することができる。
【0053】
(4)過去走行経路上の各地点の中で、出発地と目的地とを結ぶ直線と直交して出発地を通る直線を境界として目的地の反対側にある地点を除いて、過去走行経路に進入する地点を決定するようにした。これにより、最適経路に比べて過度に遠回りならないようにして過去に走行したことのある道路を通過して目的地に到着する経路を探索することができる。
【0054】
(5)走行経路の一部または全部を通過して目的地に至る経路を探索する経路探索、一般道路優先で最適経路を探索する経路探索および有料道路優先で最適経路を探索する経路探索の中から、探索方法を選択できるようにした。これにより、ユーザは目的に応じて適切な経路を探索することができ便利である。
【0055】
以上の第1の実施形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)目的地が同じ過去走行経路の中で、最も遅く更新されたものを抽出するようにしたが、抽出する走行経路をユーザが選択できるようにしてもよい。
【0056】
たとえば、図10(a)に示すように、走行履歴データ2Aに記憶されている走行経路の中で目的地54が同一である走行経路52a〜52dを地図50に重ねて表示モニタ16に表示し、入力装置18の操作によって選択できるようにしてもよい。符号55a〜55dは、走行経路52a〜52dの出発地を示し、選択された出発地55bの表示態様は、他の出発地55a,55c,55dの表示態様と異なる。
【0057】
また、図10(b)に示すように、走行履歴データ2Aに記憶されている走行経路の中で目的地54が同一である走行経路をリスト70として表示モニタ16に表示し、入力装置18の操作により選択できるようにしてもよい。リスト70には、いつ走行したときの走行経路であるかを認識できるようにするため、更新日71a〜71fが表示される。また、選択された走行経路にはマーク72が表示される。
【0058】
(2)図11に示すように、走行経路52の一部または全部を通過して目的地54に至る経路51、一般道路優先で探索された最適経路56および有料道路優先で探索された最適経路57を同一の地図50上に表示するようにしてもよい。ユーザは、探索された経路51,56,57を比較でき、便利である。また、入力装置18の操作によって、これらの経路51,56,57の中から経路誘導を受ける経路を選択できるようにしてもよい。最適な経路を選択して経路誘導を受けることができるので、ナビゲーション装置1の利便性が向上する。
【0059】
(3)車両のイグニッションスイッチがオンされた地点を出発地とし、車両のイグニッションスイッチがオフされた地点を目的地として、走行経路が走行履歴データ2Aに記憶されるようにしてもよい。ユーザが目的地を設定しないときの走行経路も走行履歴データ2Aに記憶することができ、便利である。
【0060】
(4)走行履歴データとして、車両が走行したときの時間や曜日、祭日の場合はその祭日を記憶するようにしてもよい。そして、走行履歴データから走行経路を抽出するとき、目的地のほかに日時や曜日、祭日等を考慮に入れて走行経路が抽出されるようにしてもよい。これにより、さらに適切な走行経路を抽出することができる。
【0061】
(5)ユーザが目的地に到着すると、ナビゲーション装置1はユーザに対して走行経路の記憶の可否を問い合わせるようにし、ユーザが走行経路の記憶の可を入力すると、走行経路が記憶されるようにしてもよい。これにより、記憶する必要がない走行経路の走行履歴記憶装置19への記憶を防止することができる。
【0062】
(6)車両が最適経路から外れて再経路探索を行った場合、走行経路を走行履歴記憶装置19に記憶するようにし、再経路探索を行わなかった場合、走行経路を走行履歴記憶装置19に記憶しないようにしてもよい。ナビゲーション装置の再経路探索(リルート)機能を利用することにより、車両が最適経路から外れたか否かの判断を別途行う必要がない。
【0063】
−第2の実施形態−
本発明の第2の実施形態によるナビゲーション装置について説明する。このナビゲーション装置は、車両の走行履歴とともに車両が立ち寄った地点を記憶する。そして、走行経路の一部または全部を通過して目的地に到着する経路を表示するとき、立ち寄った地点も表示することができる。
【0064】
本発明の第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成は、第1の実施形態によるナビゲーション装置1の構成と同一であるので、本発明の第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成の説明は省略する。
【0065】
図12を参照して、本発明の第2の実施形態における走行履歴データ2Bを説明する。第1の実施形態における走行履歴データ2Aと同じ構成要素については同じ符号を付し、第1の実施形態における走行履歴データ2Aと異なる部分を主に説明する。
【0066】
第2の実施形態における走行履歴データ2Bの場合、さらに出発地から目的地までの間に車両が立ち寄った地点(以下、立寄地点と呼ぶ)の数28、立寄地点の位置座標29が記憶される。立寄地点は、出発地から目的地までの間に車両のイグニッションスイッチがオフされ、さらにオンされた地点を現在地検出装置14によって検出してRAM13や走行履歴記憶装置19などに記憶される。
【0067】
図4、図5および図13のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施形態における経路探索処理を説明する。図4、図5、図13の処理は、ユーザが図6に示す経路探索画面40を表示モニタ16に表示させるとスタートするプログラムで制御回路11において実行される。ナビゲーション装置は、この経路探索処理と並行して、走行中の走行経路および立寄地点をRAM13に記憶しているものとして説明する。図4、図5、図13の処理と共通するステップについては図4、図5、図13と共通の符号を付し、図4、図5、図13の処理と異なる部分を主に説明する。
【0068】
図13のステップS108の次はステップS501へ進む。ステップS501では、ステップS104で抽出した走行経路の立寄地点をステップS108で表示した走行経路とともに表示する。立寄地点の表示例を図14に示す。図14に示すように、表示モニタ16には、探索した経路51と抽出した走行経路52が描画された地図50が表示される。地図50には、現在地53、目的地54および走行経路52の出発地55のほかに立寄地点71a,71bが表示される。そして、ステップS109へ進む。
【0069】
次に、図15のフローチャートおよび図16を参照して、図13のステップS107の処理を説明する。図8の処理と同一のステップには同一の符号を付し、図8の処理と異なる部分を主に説明する。
【0070】
ステップS403の次はステップS601へ進む。ステップS601では、地点B−目的地間に走行経路の全ての立寄地点があるか否かを判定する。地点B−目的地間に走行経路の全ての立寄地点がある場合はステップS601が肯定判定され、ステップS404へ進む。地点B−目的地間にない走行経路の立寄地点がある場合はステップS601が否定判定され、ステップS602へ進む。たとえば、図16(a)の場合、立寄地点71cは走行経路52の「地点B」64−目的地54間にあるが、立寄地点71dは走行経路52の「地点B」64−目的地54間にない。したがって、図16(a)の場合、ステップS601は否定判定される。
【0071】
ステップS602では、図16(b)に示すように、走行経路52の出発地55に最も近い「立寄地点D」71dと現在地53との間の最適経路72を一般道路優先で探索する。ステップS603では、「最適経路E」72と、「立寄地点D」71d−目的地54間の走行経路73とを結んで、現在地53から目的地54までの経路を形成する。
【0072】
以上の第2の実施形態におけるナビゲーション装置は第1の実施形態におけるナビゲーション装置1の作用効果のほかに次のような作用効果を奏する。
(1)出発地から目的地までの間に車両が立ち寄った立寄地点を過去の走行経路(過去走行経路)とともに記憶し、過去走行経路とともに、立寄地点を表示するようにした。これにより、過去走行経路を以前走行して立ち寄った地点を再び立ち寄ることができ便利である。
【0073】
(2)出発地に最も近い地点において過去走行経路に進入して目的地に到着する経路が、過去走行経路における立寄地点を通過しない場合、その立寄地点において過去走行経路に進入して目的地に到着する経路を探索するようにした。これにより、探索した経路を走行することによって、過去走行経路を以前走行して立ち寄った地点を再び立ち寄ることができ便利である。
【0074】
以上の第2の実施形態のナビゲーション装置を、第1の実施形態のナビゲーション装置1の変形例(1)〜(6)と同様に変形することができる。
【0075】
本発明には、携帯型ナビゲーション装置やナビゲーション機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)なども含まれる。
【0076】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0077】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0078】
1 ナビゲーション装置
2A,2B 走行履歴データ
11 制御回路
13 RAM
14 現在地検出装置
16 表示モニタ
18 入力装置
19 走行履歴記憶装置
50 地図
51 経路
52,52a〜52d 走行経路
53 現在地
54 目的地
55,55a〜55d 出発地
56,57 最適経路
71a〜71d 立寄地点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地を設定する出発地設定手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記出発地設定手段によって設定された出発地から前記目的地設定手段によって設定された目的地までを車両が走行した過去の走行経路(過去走行経路)を記憶する走行経路記憶手段と、
前記目的地設定手段によって目的地が設定されたとき、前記走行経路記憶手段によって記憶されている過去走行経路の中から、前記目的地設定手段によって設定された目的地を目的地とした過去走行経路を抽出する走行経路抽出手段と、
前記出発地設定手段によって設定された出発地から、前記経路抽出手段によって抽出された過去走行経路の一部または全部を通過して、前記目的地設定手段によって設定された目的地に到着する経路を探索する第1の経路探索手段と、
前記第1の経路探索手段によって探索された経路とともに、前記経路抽出手段によって抽出された過去走行経路を表示モニタに表示させる経路表示制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記出発地設定手段によって設定された出発地から、前記目的地設定手段によって設定された目的地までの最適経路を探索する第2の経路探索手段を備え、
前記走行経路記憶手段は、前記最適経路から外れて前記目的地に到着したときの走行経路を過去走行経路として記憶し、前記最適経路にしたがって前記目的地に到着したときの走行経路を記憶しないことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記第1の経路探索手段は、前記経路抽出手段によって抽出された過去走行経路上の各地点の中から前記出発地に最も近い地点において前記経路抽出手段によって抽出された過去走行経路に進入する経路を、探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記第1の経路探索手段は、前記経路抽出手段によって抽出された過去走行経路上の各地点の中で、前記出発地と前記目的地とを結ぶ直線と直交して前記出発地を通る直線を境界として前記目的地の反対側にある地点を除いて、前記経路抽出手段によって抽出された過去走行経路に進入する地点を決定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記走行経路記憶手段は、前記出発地設定手段によって設定された出発地から、前記目的地設定手段によって設定された目的地までの間に、前記車両が立ち寄った地点を前記過去走行経路とともに記憶し、
前記経路表示制御手段は、前記経路抽出手段によって抽出された過去走行経路とともに、前記車両が立ち寄った地点を表示させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項3または4に記載のナビゲーション装置において、
前記走行経路記憶手段は、前記出発地設定手段によって設定された出発地から、前記目的地設定手段によって設定された目的地までの間に、前記車両が立ち寄った地点を前記走行経路とともに記憶し、
前記第1の経路探索手段は、前記出発地に最も近い地点において前記過去走行経路に進入して前記目的地に到着する経路が、前記過去走行経路における前記立ち寄った地点を通過しない場合、前記過去走行経路における前記立ち寄った地点において前記過去走行経路に進入して目的地に到着する経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項2乃至4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記第1の経路探索手段、一般道路を優先して最適経路を探索する第3の経路探索手段および有料道路を優先して最適経路を探索する第4の経路探索手段の中から、前記出発地設定手段によって設定された出発地と、前記目的地設定手段によって設定された目的地との間の経路を探索する経路探索手段を選択する選択手段を備え、
前記第2の経路探索手段は、前記第3の経路探索手段と、前記第4の経路探索手段とを有し、
前記経路表示制御手段は、前記選択手段によって選択された経路探索手段によって探索された経路を表示させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項2乃至4のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
複数の経路の中から1つの経路を選択する経路選択手段と、
前記経路選択手段によって選択された経路にしたがって経路誘導を行う経路誘導手段とを備え、
前記第2の経路探索手段は、一般道路を優先して最適経路を探索する第3の経路探索手段と、有料道路を優先して最適経路を探索する第4の経路探索手段とを有し、
前記選択手段は、前記第1の探索手段によって探索された経路、前記第3の探索手段によって探索された最適経路および前記第4の経路探索手段によって探索された経路の中から1つの経路を選択することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−38943(P2011−38943A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187831(P2009−187831)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】