説明

ナビゲーション装置

【課題】複数の車両間で共通の目的地への経路を案内するにあたり、実際の移動状況に応じて柔軟に経路設定を行うことができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】通信部11,21を介して外部装置とナビゲーション装置との通信を確立し、ナビゲーション装置を操作部15,26で受け付けた指示に基づき、目的地までの経路を外部装置に通知するマスターナビゲーション装置又は当該マスターナビゲーション装置から通知された経路で経路案内を行うスレーブナビゲーション装置に設定するペアリング処理部13,23を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部装置との相互通信によって経路を共有しながら経路案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の自動車間でサーバを介した車車間コミュニケーションで個々のメンバーから目的地及び経路に関する要求情報を収集し、当該収集した要求情報に基づいて目的地及び経路を、予め設定された調停ルールに従い決定するナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−132873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に代表される従来の技術では、実際に走行している車両に搭載されたナビゲーション装置ではなく、予め固定的に設けられたサーバが、メンバーから目的地及び経路に関する要求情報を収集し、当該収集された要求情報に基づいて経路を決定してメンバーのナビゲーション装置に通知している。このため、車両の実際の走行状況に応じた柔軟な経路案内ができないという課題があった。
【0005】
例えば、同時に移動していた車両のいずれかがはぐれた場合に、当該はぐれた車両からの要求情報も収集されるため、はぐれた車両が少数であっても、当該車両のためにグループ全体の経路が変更され、遠回りの経路が決定される可能性がある。なお、特定のリーダーとして予め登録されたメンバーから収集した要求情報を優先して目的地を絞り込む特定者優先ルールを適用しても、当該リーダーがはぐれてしまうと同様の不具合が発生する。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ナビゲーション装置を搭載又は保持する複数の移動体間で共通の目的地への経路を案内するにあたり、実際の移動状況に応じて柔軟に経路設定を行うことができるナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るナビゲーション装置は、通信部を介して外部装置とナビゲーション装置との通信を確立し、ナビゲーション装置を操作部で受け付けた指示に基づき、目的地までの経路を外部装置に通知するマスターナビゲーション装置又は当該マスターナビゲーション装置から通知された経路で経路案内を行うスレーブナビゲーション装置に設定するペアリング処理部を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ナビゲーション装置を搭載又は保持する複数の移動体間で共通の目的地への経路を案内するにあたり、実際の移動状況に応じて柔軟に経路設定を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1によるナビゲーション装置を利用したナビゲーションシステムにおける直接通信を模式的に示す図である。
【図2】実施の形態1によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1によるナビゲーション装置の通信方式の利用可否判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】直接通信する各種の通信方式における利用可能範囲を模式的に示す図である。
【図5】実施の形態1によるナビゲーション装置の車車間通信における初期ペアリング処理を模式的に示す図である。
【図6】実施の形態1のナビゲーション装置による初期ペアリング処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1によるナビゲーション装置の経路情報共有処理を模式的に示す図である。
【図8】マスターナビゲーション装置による経路探索及び経路情報共有処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】スレーブナビゲーション装置による経路情報共有処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ナビゲーション装置による自車両の走行中の情報共有処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】マスターナビゲーション装置による利用可能通信方式の判定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるナビゲーション装置を利用したナビゲーションシステムにおける直接通信を模式的に示す図である。実施の形態1のナビゲーション装置a,b,cは、サーバを介さずに相互通信が可能な通信部をそれぞれ備える。また、ナビゲーション装置a,b,cとしては、例えば、内蔵のハードディスクドライブ装置に格納された地図データを利用するナビゲーション装置、DVD等の外部記憶メディアに格納された地図データをディスク装置で再生して利用するナビゲーション装置、適宜取り外して車外に持ち出しが可能なPND(Personal Navigation Device)等がある。PNDを例示すると、地図データがフラッシュメモリ等に格納されたメモリー型ナビゲーション装置が挙げられる。
【0011】
図1の例では、車両Aにナビゲーション装置aが搭載され、車両Bにナビゲーション装置bが搭載され、車両Cにナビゲーション装置cが搭載されており、ナビゲーション装置a,b,c間でサーバを介さない直接通信が行われる。直接通信の通信方式としては、Bluetooth(登録商標、以下記載を省略する)等の近距離無線通信、無線LAN(Local Area Network)、携帯電話による電話通信があり、それぞれ通信方式(1)、通信方式(2)、通信方式(3)とする。
【0012】
図2は、実施の形態1によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。本発明のナビゲーション装置を利用したナビゲーションシステムは、複数の車両に搭載されたナビゲーション装置間で共通の目的地への経路を経路案内する、いわゆるグループナビゲーションを実行する。当該ナビゲーションシステムを構築するにあたり、各々のナビゲーション装置は、マスターナビゲーション装置1か、あるいはスレーブナビゲーション装置2に設定される。マスターナビゲーション装置1は、経路案内する経路をスレーブナビゲーション装置2に通知するナビゲーション装置である。また、スレーブナビゲーション装置2は、マスターナビゲーション装置1から通知された経路で経路案内を行うナビゲーション装置である。
【0013】
マスターナビゲーション装置1は、通信部11、通信方式記憶部12、ペアリング処理部13、経路探索部14、操作部15、表示部16、記憶部17、交通情報受信部18、及び自車位置算出部19を有する。なお、図2では、当該装置がマスターナビゲーション装置1に設定されているが、自装置1の操作部15又は外部のナビゲーション装置2,2a,2b,・・・,2nの操作部26を介した指示に応じて、ペアリング処理部13又はペアリング処理部23によって当該装置がスレーブナビゲーション装置に設定されることもあり得る。
通信部11は、1つ以上のスレーブナビゲーション装置2,2a,2b,・・・,2nとの間で直接通信を行う構成部である。通信部11の通信方式は、例えば、図1で示した通信方式(1)、通信方式(2)、通信方式(3)がある。なお、図2では簡略的に1つの通信部11を記載したが、各通信方式に対応する複数の通信部を備えていてもよいものとする。この場合は、予め設定された条件に基づいて選択した通信部で、ナビゲーション装置間の直接通信を行ってもよく、また装置起動時に利用可能な通信方式を判定し、対応する通信部を用いてもよい。
通信方式記憶部12は、通信部11が、グループナビゲーションを行う他の車両のナビゲーション装置の通信部21との間で直接通信が可能な通信方式が記憶される記憶部である。直接通信が可能な通信方式は、図3を用いて後述する通信方式の利用可否判定で決定される。
【0014】
ペアリング処理部13は、通信部11を介して外部のナビゲーション装置との間で相互認証処理を行い、相互通信を確立するとともに、操作部15又は外部のナビゲーション装置の操作部26で受け付けた指示に基づいて、通信部11を介して相互通信を確立した自装置と外部のナビゲーション装置のいずれかを、目的地までの経路をスレーブナビゲーション装置に通知するマスターナビゲーション装置に設定し、残りを当該マスターナビゲーション装置から通知された経路で経路案内を行うスレーブナビゲーション装置に設定する構成部である。
図2の例では、グループナビゲーションを行う複数のナビゲーション装置のうち、経路探索部14及び交通情報受信部18を有するナビゲーション装置がマスターナビゲーション装置1に設定され、他のナビゲーション装置がスレーブナビゲーション装置2,2a,2b,・・・,2nに設定されている。
上述したように、マスターナビゲーション装置とスレーブナビゲーション装置は、ペアリング処理部13によって固定的に設定されるものではなく、グループナビゲーションによる車両の走行状況に応じて適宜設定が切り替えられる。例えば、図2中でマスターナビゲーション装置1に設定されているナビゲーション装置が、グループナビゲーション処理の状況によってはスレーブナビゲーション装置に設定されることもあり、反対に、スレーブナビゲーション装置2,2a,2b,・・・,2nに設定されているナビゲーション装置のうちのいずれかが、マスターナビゲーション装置に設定されることもあり得る。
【0015】
経路探索部14は、地図データ及び自車の現在位置を基に、交通情報を参照しながら、グループナビゲーションで指定された目的地までの経路を探索する構成部である。操作部15は、ユーザによる操作入力を受け付ける構成部であり、例えば、表示部16及びその画面上に設けたタッチパネルで構成されるユーザインタフェースである。表示部16は、ナビゲーション処理においてユーザに提示すべき情報を表示する表示部であり、経路探索結果や経路情報が表示される。また、相互認証時にはパスワード入力画面などが表示される。記憶部17は、経路探索部14による経路探索及び経路案内で利用する地図データを記憶する記憶部であり、図1で示したHDD、DVD等の外部記憶メディア、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0016】
交通情報受信部18は、外部から交通情報を受信する構成部であり、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System、登録商標)情報を受信して渋滞情報等の交通情報を抽出し、経路探索部14へ出力する。自車位置算出部19は、自装置1を搭載する車両に設けた車両センサにより検出された自車両の移動状況に関する情報、及びGPS受信機から受信したGPS情報に基づいて、自車の現在位置を算出する構成部である。
【0017】
次に、スレーブナビゲーション装置2の構成について説明する。
スレーブナビゲーション装置2は、通信部21、通信方式記憶部22、ペアリング処理部23、自車位置算出部24、燃料残量算出部25、操作部26、表示部27及び記憶部28を有する。なお、図2では、当該装置がスレーブナビゲーション装置2に設定されているが、自装置2の操作部26又は外部のナビゲーション装置1,2a,2b,・・・,2nの操作部を介した指示に応じて、ペアリング処理部23又はペアリング処理部13によって当該装置がマスターナビゲーション装置に設定されることもあり得る。
通信部21は、マスターナビゲーション装置1の通信部11との間で直接通信を行う構成部である。通信部21の通信方式は、通信部11と同様に、例えば、図1で示した通信方式(1)、通信方式(2)、通信方式(3)がある。なお、図2では簡略的に1つの通信部21を記載したが、各通信方式に対応する複数の通信部を備えていてもよいものとする。この場合は、予め設定された条件に基づいて選択した通信部で、ナビゲーション装置間の直接通信を行ってもよく、また装置起動時に利用可能な通信方式を判定し、対応する通信部を用いてもよい。
通信方式記憶部22は、通信部21が、グループナビゲーションを行う他の車両のナビゲーション装置の通信部11との間で直接通信が可能な通信方式が記憶される記憶部である。直接通信が可能な通信方式は、図3を用いて後述する通信方式の利用可否判定で決定される。
【0018】
ペアリング処理部23は、通信部21を介して外部のナビゲーション装置との間で相互認証処理を行い、相互通信を確立するとともに、操作部26又は外部のナビゲーション装置の操作部15,26で受け付けた指示に基づいて、通信部21を介して相互通信を確立した自装置と外部のナビゲーション装置のいずれかを、目的地までの経路をスレーブナビゲーション装置に通知するマスターナビゲーション装置に設定し、残りを当該マスターナビゲーション装置から通知された経路で経路案内を行うスレーブナビゲーション装置に設定する構成部である。
図2の例では、グループナビゲーションを行う複数のナビゲーション装置のうち、経路探索部14及び交通情報受信部18を有さないナビゲーション装置がスレーブナビゲーション装置2,2a,2b,・・・,2nに設定されている。
なお、グループナビゲーション処理の状況によっては、スレーブナビゲーション装置2,2a,2b,・・・,2nに設定されているナビゲーション装置のうちのいずれかが、マスターナビゲーション装置に設定されることもあり得る。
【0019】
自車位置算出部24は、自装置2を搭載する車両に設けた車両センサによって検出された自車両の移動状況に関する情報及びGPS受信機から受信したGPS情報に基づいて、自車の現在位置を算出する構成部である。
燃料残量算出部25は、自装置2を搭載する車両で消費された燃料量をモニタして当該車両の現在の燃料残量を算出する構成部である。自車両が電気自動車やハイブリッド型自動車である場合には、燃料残量算出部25は、当該車両で消費されたバッテリの電力量をモニタして、当該車両の現在の電力残量を算出するように構成してもよい。また、燃料残量算出部25は、例えば、車内LANを介して車両のECU(Electonic Control Unit)から車両で消費された燃料量(消費電力量)を取得する。
【0020】
操作部26は、ユーザによる操作入力を受け付ける構成部であり、例えば、表示部27及びその画面上に設けたタッチパネルで構成されるユーザインタフェースである。表示部27は、ナビゲーション処理においてユーザに提示すべき情報を表示する表示部であり、経路探索結果や経路情報が表示される。また、相互認証時にはパスワード入力画面などが表示される。記憶部28は、経路案内で使用する地図データを記憶する記憶部であり、図1で示したHDD、DVD等の外部記憶メディア、フラッシュメモリ等が挙げられる。
なお、上述したスレーブナビゲーション装置2の構成は、ナビゲーション装置の形態によって適宜省略又は追加される。つまり、図2に示すスレーブナビゲーション装置2bのように、ナビゲーション装置が携帯電話に構築されている場合は、燃料残量算出部25が省略される。また、通信機器にナビゲーション装置が構築されたスレーブナビゲーション装置2aにおいて、当該通信機器が車両のECUとのインタフェースを有し、消費燃料量をモニタできる場合には、燃料残量算出部25を設けてもよい。
【0021】
次に、装置起動時の通信方式の利用可否判定について説明する。
なお、装置起動時には、マスターナビゲーション装置及びスレーブナビゲーション装置が設定されていないため、以下では、代表してナビゲーション装置と称して説明を行う。
図3は、実施の形態1によるナビゲーション装置の通信方式の利用可否判定処理の流れを示すフローチャートである。ナビゲーション装置が起動すると(ステップST1)、通信部11,21は、予め定められた順に通信方式の利用可否を判定し、判定結果を通信方式記憶部12,22に保存する(ステップST2からステップST4)。
利用可否の判定は、例えば、判定対象の通信方式でのセッション開始リクエストを送信し、これに対する応答(レスポンス)があるか否かで判定する。利用可否の判定結果は、例えばフラグを用いて示され、利用可能な場合にはフラグに「1」が設定され、利用不可の場合はフラグに「0」が設定される。利用可否を判定する順序は、例えば最初にBluetoothについて判定し、同様に無線LAN、携帯電話の順で利用可否を判定して、判定結果を通信方式記憶部12,22に保存する。
【0022】
図4は、直接通信する各種の通信方式における利用可能範囲を模式的に示す図である。図4に示すように、各通信方式で許容される通信距離は、通信方式(1)であるBluetooth、通信方式(2)である無線LAN、通信方式(3)である携帯電話の順に長くなる。データ通信方式の選択に際しては、図3で、図示しないが、電波品質(電波状況)、通信速度、又は通信料金を考慮し、判定する。電波品質、通信速度又は通信料金を考慮して、電波品質に応じた最も経済的な通信方式を利用する、あるいは最も品質の高い通信方式を利用する、あるいは最も経済的で高速な通信方式を利用するなどの設定を設け、受信設定を満たす通信方式を選択する。例えば、「(1)通信速度が速い、(2)通信料金が安い、(3)電波品質が劣化しにくい」通信方式を、(1)(2)(3)の優先順位で選択する場合には、無線LAN>Bluetooth>携帯電話の順に通信方式を選択することもあり得る。なお、通信方式の選択には、ナビゲーション装置相互間の距離を加味してもよい。ナビゲーション装置相互間の距離は電波状況に基づき確認可能である。
【0023】
次に、ナビゲーション装置間の初期ペアリング処理について説明する。
なお、ペアリング処理開始時には、マスターナビゲーション装置及びスレーブナビゲーション装置が設定されていないため、以下では、代表してナビゲーション装置と称して説明を行う。また、マスターナビゲーション装置及びスレーブナビゲーション装置が設定された後の処理では、マスターナビゲーション装置1及びスレーブナビゲーション装置2と称して説明を行う。
図5は、実施の形態1によるナビゲーション装置の車車間通信における初期ペアリング処理を模式的に示す図であり、図6は、初期ペアリング処理の流れを示すフローチャートである。グループナビゲーションを行おうとしている、車両A,B,Cの各ユーザは、操作部15,26を用いてペアリング処理部13,23にペアリングが可能なナビゲーション装置の検索指示を入力する(ステップST11)。検索指示は、例えば、表示部16,27の画面上に検索ボタンを表示して、操作部15,26を用いて当該ボタンを押下することによりなされる。
【0024】
ペアリング処理部13,23は、操作部15,26を用いて検索指示が実行されると、これに応じて、通信部11,21を介して検索ボタンが押下された旨を示す検索指示信号を送信する。この検索指示信号は、通信セッションを開始するための要求(リクエスト)に相当するものである。通信部11,21は、通信方式記憶部12,22から読み出した利用可能な通信方式で検索指示信号を送信し、ペアリング処理部13,23は、他の装置から、同一の通信方式で検索指示信号が送信されてくるか否かによって、ペアリング可能なナビゲーション装置(携帯電話や通信機などのナビゲーション機能を有した外部装置も含む)を検索する(ステップST12)。
ここで、ペアリング処理部13,23は、ステップST12の検索を予め設定した時間行って、当該時間内にペアリング可能なナビゲーション装置を検索できたか否かを判定する(ステップST13)。例えば、通信部11,21は、他のナビゲーション装置から同一の通信方式で検索指示信号が送信されてくると、これを受信するとともに、ペアリング可能であることを示す信号を再び送信する。このペアリング可能であることを示す信号は、通信セッションを開始するための要求(リクエスト)に対する応答(レスポンス)に相当するものである。ペアリング処理部13,23は、通信部11,21で他のナビゲーション装置からのペアリング可能であることを示す信号が受信されると、ペアリング可能なナビゲーション装置があると判定する(ステップST13;YES)。なお、ペアリング可能なナビゲーション装置がなければ(ステップST13;NO)、グループナビゲーションを行う相手がいないものと判断して処理を終了する。
【0025】
ステップST13でペアリング可能なナビゲーション装置があると判定された場合に、ペアリング処理部13,23は、当該ペアリング可能なナビゲーション装置を示す情報を表示部16,27に表示する(ステップST14)。ペアリング可能なナビゲーション装置を示す情報としては、例えば、ペアリング可能なナビゲーション装置として検索された装置に対して割り当てた通し番号を、各装置の識別番号として表示する。
ユーザは、ステップST14で表示された情報を参照し、操作部15,26を用いて、ペアリングを行うナビゲーション装置を選択する(ステップST15)。図5に示した例では、車両Aのナビゲーション装置aが、車両B及び車両Cのナビゲーション装置b,cをペアリング対象として選択し、反対に、車両B及び車両Cのナビゲーション装置b,cは、車両Aのナビゲーション装置aをペアリング対象として選択している。
【0026】
次に、ペアリング処理部13,23は、通信部11,21を介して、ペアリング対象のナビゲーション装置に対してペアリング要求を出力する。ペアリング対象のナビゲーション装置のペアリング処理部13,23は、通信部11,21でペアリング要求を受信すると、表示部16,27に認証画面を表示させる(ステップST16)。認証画面は、例えば、パスワード等の認証情報の入力を求める画面である。
ユーザは、認証画面を基に、操作部15,26を用いて認証情報を入力する(ステップST17)。なお、認証情報は、グループナビゲーションのサービスを行うユーザが予め登録したものであり、パスワードに限定されず、相互のPINコードなどの暗証番号を統一利用する、あるいはキーをUSBメモリなどに保存することにより相互認証を行うように構成してもよい。
【0027】
ペアリング対象のナビゲーション装置におけるペアリング処理部13,23は、操作部15,26を用いて認証情報が入力されると、通信部11,21を介して当該認証情報をペアリング要求元のナビゲーション装置へ送信する。ペアリング要求元のナビゲーション装置のペアリング処理部13,23は、通信部11,21を介して認証情報を受信すると、記憶部17,28に保存されている認証情報と照合を行い、グループナビゲーションを行うべきユーザであるか否かを判定する。これにより、ペアリング要求先のナビゲーション装置が認証されると、当該ナビゲーション装置のペアリング処理部13,23は、さらに自身の認証情報を、通信部11,21を介して、ペアリング要求先のナビゲーション装置へ送信する。ペアリング要求先のナビゲーション装置のペアリング処理部13,23は、通信部11,21を介してペアリング要求元のナビゲーション装置から認証情報を受信すると、自身の記憶部17,28に保存されている認証情報と照合を行い、グループナビゲーションを行うべきユーザであるか否かを判定する。これにより、ペアリング要求先とペアリング要求元のナビゲーション装置間で相互認証される(ステップST18)。
なお、ペアリング要求元となるナビゲーション装置は、例えば、ペアリング対象の装置の数が1台である装置を優先的にペアリング要求元としてもよく、ペアリング対象の装置の数が最も多い装置が同報的にペアリング要求を送信するようにしてもかまわない。
【0028】
ペアリング要求元とペアリング要求先のナビゲーション装置間で相互認証が成立し、相互通信が確立すると、マスターナビゲーション装置1及びスレーブナビゲーション装置2の設定が行われる(ステップST19)。すなわち、ペアリング処理部13,23が、自装置及び自装置と相互通信が確立した相手の装置を示す情報を、表示部16,27の画面上に表示し、ユーザが、当該画面を参照し、操作部15,26を用いて、いずれの装置をマスターナビゲーション装置及びスレーブナビゲーション装置に設定するかを指示する。ペアリング処理部13,23は、操作部15,26で受け付けた指示に基づいて、通信部11,21を介して相互通信を確立した自装置とペアリング相手のナビゲーション装置のいずれかを、マスターナビゲーション装置に設定し、残りをスレーブナビゲーション装置に設定する。
【0029】
初期ペアリング処理で、マスターナビゲーション装置とスレーブナビゲーション装置をどのように設定するかは、例えば下記の方法が挙げられる。
(1)交通情報を受信で可能である等、他の装置より高機能なナビゲーション装置をマスターナビゲーション装置に設定し、他の装置をスレーブナビゲーション装置に設定する。
つまり、相互通信が確立した装置間で自装置を識別するための識別情報及び自身の機能を示す情報をやり取りし、自装置が複数の装置との間で相互通信が確立している場合は、複数の装置の1つから受信した識別情報とその装置の機能を示す情報を、複数の装置の他の装置へも送信する。このように自装置の機能と識別情報を、グループナビゲーションを行う複数の装置のそれぞれでやり取りすることによって、複数の装置のうち、最も高機能な装置が、全ての装置間で認識される。このとき、各装置の表示画面で、当該最も高機能な装置を示す情報をハイライトで表示する等することで、ユーザは、当該画面を参照し、操作部を用いて最も高機能な装置をマスターナビゲーション装置に設定するよう指示し、さらにグループナビゲーションを行う他の装置をスレーブナビゲーション装置に設定するように指示する。なお、グループナビゲーションを行う複数の装置の各々は、いずれかの装置との間で相互通信を確立しており、また1対1のペアのみでなく、1対複数のペアを含むことにより、グループナビゲーションを行う複数の装置間で直接又は間接的に通信が可能であるものとする。
(2)相互通信を確立した相手装置の数が最も多い装置をマスターナビゲーション装置に設定し、他の装置をスレーブナビゲーション装置に設定する。
例えば、相互通信が確立した装置間で自装置を識別するための識別情報及び自装置が相互通信を確立した相手装置の数を示す情報をやり取りすることで、グループナビゲーションを行う複数の装置のうち、相互通信を確立した相手装置の数が最も多い装置が、全ての装置間で認識される。このとき、各装置の表示画面で、相互通信を確立した相手装置の数が最も多い装置を示す情報をハイライトで表示する等することで、ユーザは、当該画面を参照し、操作部を用いて、相互通信を確立した相手装置の数が最も多い装置をマスターナビゲーション装置に設定するよう指示し、さらにグループナビゲーションを行う他の装置をスレーブナビゲーション装置に設定するよう指示する。相互通信を確立した相手装置の数が最も多い装置は、グループナビゲーションを行う複数の装置で最も利用されている通信方式で直接通信を行う装置であるので、自身が探索した経路を通知するマスターナビゲーション装置として適当な装置となり得る。なお、相互通信を確立した相手装置の数が同じ装置が複数存在した場合には、装置の機能を比較して高機能なものをマスターナビゲーション装置に設定する。
【0030】
また、マスターナビゲーション装置とスレーブナビゲーション装置とが設定されると、スレーブナビゲーション装置に設定された装置のうち、マスターナビゲーション装置との間で相互通信を確立していなかった装置は、ステップST16からステップST18までの処理を行って、当該マスターナビゲーション装置との間で相互通信を確立する。これにより、全てのスレーブナビゲーション装置が、マスターナビゲーション装置と直接通信による相互通信が可能となる。
【0031】
なお、複数の装置がマスターナビゲーション装置に設定された場合は、経路探索部14や交通情報受信部18を有する等、ナビゲーション処理に必要な機能が高い装置を優先してマスターナビゲーション装置に設定してもよく、予め定めた優先順位に従ってマスターナビゲーション装置を設定してもよい。
また、相互通信を確立した複数の装置のうち、マスターナビゲーション装置に設定された装置がない場合においても、スレーブナビゲーション装置に設定された複数の装置のうち、ナビゲーション処理に必要な機能が高い装置を優先してマスターナビゲーション装置に設定してもよく、予め定めた優先順位に従ってマスターナビゲーション装置を設定してもよい。
【0032】
図5の例では、車両Aのナビゲーション装置aがマスターナビゲーション装置1に設定され、車両B,Cのナビゲーション装置b,cがスレーブナビゲーション装置2,2’に設定されている。
マスターナビゲーション装置1(車両A)の操作部15は、車両Aと車両B及び車両Cがはぐれた場合の次の合流地点に関する設定を受け付け、ペアリング処理部13を介して記憶部17に記憶する(ステップST20)。ここで、合流地点の設定は、現在位置に基づき都度更新を行う、初期経路設定時の目的地とする、○○キロ以上離れたら次の合流地点を設定するなど、種々設定可能である。さらに操作部15は、走行中のマスターナビゲーション装置1とスレーブナビゲーション装置2,2’との間の通信周期の設定を受け付け、ペアリング処理部13を介して記憶部17に記憶させ(ステップST21)、初期ペアリング処理を終了する。
【0033】
次に、経路探索及び探索した経路情報の共有について説明を行う。
図7は、実施の形態1によるナビゲーション装置の経路情報共有処理を模式的に示す図であり、図8はマスターナビゲーション装置による経路探索及び経路情報共有処理の流れを示すフローチャートであり、図9はスレーブナビゲーション装置による経路情報共有処理の流れを示すフローチャートである。
経路探索は、マスターナビゲーション装置1で行われ、探索された経路情報をマスターナビゲーション装置1及びスレーブナビゲーション装置2間で共有する。ここでは、マスターナビゲーション装置1による処理とスレーブナビゲーション装置2,2’による処理とに分けて説明を行う。
【0034】
まず、図7及び図8を参照しながら、マスターナビゲーション装置1における経路探索及び経路情報共有処理について説明する。
操作部15が、目的地及び到着時刻の設定と、経路探索指示の入力を受け付けると(ステップST31)、経路探索部14は、ステップST31の入力情報に基づいた経路を探索する(ステップST32)。すなわち、経路探索部14は、地図データ及び自車の現在位置を基に、交通情報を参照しながら、グループナビゲーションで指定された目的地までの経路を探索する。
次に、経路探索部14は、通信部11を介していずれかのスレーブナビゲーション装置の通信部21と相互通信を確立し、探索結果の経路を通知する(ステップST33)。この後、経路探索部14は、経路を共有するスレーブナビゲーション装置があるか否か、すなわち、全てのスレーブナビゲーション装置に探索結果の経路を通知したか否かを判定する(ステップST34)。ここで、探索結果の経路が未通知なスレーブナビゲーション装置が存在すれば(ステップST34;YES)、ステップST33の処理に戻って探索結果の経路を通知し、探索結果の経路が未通知なスレーブナビゲーション装置が存在しなければ(ステップST34;NO)、処理を終了する。
【0035】
次に、図7及び図9を参照しながら、スレーブナビゲーション装置2における経路情報共有処理について説明する。
スレーブナビゲーション装置2のペアリング処理部23は、通信部21を介してマスターナビゲーション装置1側から経路情報が入力されているか否か判定を行う(ステップST41)。ステップST41において経路情報が入力されていると判定された場合には、当該経路情報を取得し(ステップST42)、自車位置算出部24及び燃料残量算出部25から取得した現在位置情報及び燃料残量情報をマスターナビゲーション装置1側に送信する(ステップST43)。
【0036】
一方、ステップST41において経路情報が入力されていないと判定された場合には、ペアリング処理部23は、操作部26でユーザの経路情報読み出し操作が受け付けられたか否か判定する(ステップST44)。ここで、ユーザによる経路情報読み出し操作がなされている場合(ステップST44;YES)、ペアリング処理部23は、マスターナビゲーション装置1から既に経路情報が通知され、当該情報を記憶部28に保存していると判断して、記憶部28から経路情報を読み出し(ステップST45)、処理を終了する。
なお、ステップST44においてユーザによる読み出し操作が入力されていないと判定された場合には、ステップST41の判定処理に戻る。
【0037】
次に、グループナビゲーションを行う車両の走行中の処理について説明する。
図8及び図9の処理でマスターナビゲーション装置1とスレーブナビゲーション装置2で経路情報が共有されると、マスターナビゲーション装置1及びスレーブナビゲーション装置2は、当該経路情報が示す経路の経路案内を行う。各装置を搭載した車両の走行中においては、マスターナビゲーション装置1が、交通情報の取得、経路情報の更新、スレーブナビゲーション装置2の現在位置及び燃料残量の監視、データ通信の監視を行う。
図10は、実施の形態1のナビゲーション装置による自車両の走行中の情報共有処理の流れを示すフローチャートである。
マスターナビゲーション装置1の交通情報受信部18は、所定の間隔で交通情報を受信して経路探索部14に出力する(ステップST51)。経路探索部14は、ステップST51において入力された交通情報に基づき、必要に応じて経路情報の更新を行う。すなわち、経路探索部14は、新たな交通情報を入力すると、経路情報を更新するか否かを判定する(ステップST52)。経路情報が更新すると判定した場合(ステップST52;YES)、経路探索部14は、新たな交通情報を考慮した経路探索を実行して、探索結果の経路を示す経路情報及び当該新たな交通情報を、通信部11を介してスレーブナビゲーション装置2に通知する(ステップST53)。
【0038】
一方、ステップST52において経路情報を更新しないと判定した場合(ステップST52;NO)、経路探索部14は、タイマなどの不図示の計時手段を用いて、新たな交通情報を受信してから所定時間経過したか否かを判定する(ステップST54)。所定時間経過していないと判定された場合は(ステップST54;NO)、ステップST51の処理に戻る。所定時間経過したと判定された場合(ステップST54;YES)には、経路探索部14は、通信部11を介して、現在の経路情報及びステップST51で新たに受信した交通情報をスレーブナビゲーション装置に通知する(ステップST55)。ステップST53及びステップST55の情報通知に対して、スレーブナビゲーション装置は、自装置の現在位置情報又は自装置を搭載する車両の燃料残量情報のうちの少なくとも一方を取得し、取得した情報をマスターナビゲーション装置に返答する(ステップST56)。
【0039】
経路探索部14は、ステップST56でスレーブナビゲーション装置から受信した当該装置の現在位置又は当該装置を搭載する車両の燃料残量情報を参照し、新たな合流地点を設定するか否かを判定する(ステップST57)。例えば、スレーブナビゲーション装置の現在位置と当該装置を搭載する車両の燃料残量情報及び地図データから、当該車両が、現在の合流地点に到達できるか否かに基づいて、新たな合流地点を設定すべきか否かを判定する。ステップST57において新たな合流地点を設定する必要がないと判定した場合(ステップST57;NO)は、ステップST51の処理に戻り、現在の経路での経路案内を継続する。
一方、ステップST57で新たな合流地点を設定する必要があると判定した場合(ステップST57;YES)、経路探索部14は、スレーブナビゲーション装置の現在位置と当該装置を搭載する車両の燃料残量情報及び地図データを参照して再度経路探索を行い、新規の合流地点及び新規の経路情報を設定し、スレーブナビゲーション装置に通知する(ステップST58)。その後フローはステップST51の処理に戻り、上述の処理を繰り返す。
【0040】
次に、実施の形態1によるナビゲーション装置を搭載された車両が、経路案内に従って走行している際のデータ通信処理について説明する。
マスターナビゲーション装置1の通信部11は、ペアリング処理部14を介して記憶部17から読み出した所定の通信周期が経過したかを判定する。ここでの所定の通信周期とは、図6のフローチャートのステップST21において設定した通信周期である。所定の通信周期に達していない場合には、再び上記の判定処理に戻る。
また、所定の通信周期が経過したと判定された場合には、スレーブナビゲーション装置2の通信部21に対してデータ通信を実行し、所定の通信方式で通信可能か否かを判定する。このとき、通信可能であると判定された場合は、再び所定の通信周期に達したか否かの判定処理に戻り上述した通信状態の監視を継続する。
【0041】
一方、通信不可であると判定された場合には、さらに走行中にデータ通信が一定回数以上失敗したか否かを判定する。データ通信の失敗が所定回数未満であると判定された場合には、所定の通信周期に達したか否かの判定処理に戻り、通信状態の監視を継続する。
また、全ての通信方式でデータ通信の失敗が所定回数以上であると判定された場合は、設定された合流地点への誘導を開始する。
【0042】
図11は、実施の形態1のマスターナビゲーション装置による利用可能通信方式の判定処理の流れを示すフローチャートである。
マスターナビゲーション装置1の通信部11は、スレーブナビゲーション装置2に対してBluetoothによる通信を実行して通信可能であるか否かを判定する(ステップST61)。ステップST61の判定で最初に通信不可であると判定された場合であっても所定の回数(図11の例では5回)通信をリトライする。ステップST61において通信可能であると判定された場合(ステップST61;YES)には、Bluetoothでのデータ通信が行われる。
【0043】
一方、ステップST61において通信不可であると判定された場合(ステップST61;NO)は、異なる通信方式である無線LANでの通信が可能であるか否かを判定する(ステップST62)。なお、ステップST62の判定で最初に通信不可であると判定された場合であっても、所定の回数(図11の例では5回)通信をリトライする。
ステップST62において通信可能な場合(ステップST62;YES)には、無線LANでのデータ通信を行い、通信不可であった場合には携帯電話での通信が可能であるか否かを判定する(ステップST63)。なお、ステップST62の判定で最初に通信不可であると判定された場合であっても、所定の回数(図11の例では5回)通信をリトライする。
ステップST63において通信可能な場合(ステップST63;YES)は、携帯電話でのデータ通信を行い、経路探索部14が、上述した合流地点の設定及びこれを経由する経路の探索を行い、携帯電話によるデータ通信を介して、探索結果の経路をスレーブナビゲーション装置2へ通知する(ステップST64)。
【0044】
また、携帯電話での通信も不可であった場合(ステップST63;NO)は、上述したマスターナビゲーション装置1及びスレーブナビゲーション装置2は、前回に設定された合流地点を経由する経路での経路案内を継続する。
【0045】
図11の例では、Bluetooth、無線LAN、携帯電話の順に通信判定処理を行う例を示したが、通信方式の順序はこれに限定されるものではなく、例えば通信速度が最速、且つ通信料金が無料、且つ電波品質が劣化しにくい通信方式を優先的に選択するとの設定に基づき、無線LAN、Bluetooth、携帯電話の順に通信判定処理を行うように構成してもよい。
【0046】
この他、通信部11,21で通信状況を常にモニタし、当該通信状況を示す情報を、マスターナビゲーション装置とスレーブナビゲーション装置でやり取りする。この通信状況を示す情報に基づいて、現在のマスターナビゲーション装置とスレーブナビゲーション装置との相互通信がナビゲーションに支障を来すほど、通信レベルが劣化したと判断される場合、マスターナビゲーション装置とスレーブナビゲーション装置を再設定するようにしてもよい。この場合、例えば、その時点で他の装置と最もよい通信レベルにある装置を、マスターナビゲーション装置に設定する。
【0047】
以上のように、この実施の形態1によれば、外部からの操作入力を受け付ける操作部15,26と、現在位置を算出する自車位置算出部19,24と、外部装置と通信を行う通信部11,21と、操作部15,26で受け付けた指示に基づいて、通信部11,21を介して外部装置と相互通信を確立した自装置を、目的地までの経路をスレーブナビゲーション装置に通知するマスターナビゲーション装置又は当該マスターナビゲーション装置から通知された経路で経路案内を行うスレーブナビゲーション装置に設定するペアリング処理部13,23とを備える。このように構成することで、ナビゲーション装置を搭載する複数の車両間で共通の目的地への経路を案内するにあたり、実際の移動状況に応じて柔軟に経路設定を行うことができる。
【0048】
また、この実施の形態1によれば、外部装置との直接通信が可能な通信方式の複数の通信部11,21と、複数の通信部11,21の各通信方式を記憶する通信方式記憶部12,22とを備え、複数の通信部のうち、予め設定した条件に合致する通信部が、外部装置と直接通信する。このように、複数のナビゲーション装置をBluetooth、無線LAN、携帯電話などの通信方式を用いて直接ペアリングするように構成することにより、サーバ経由で情報を共有する必要がなく、サーバ開設費用やメンテナンス費用が不要となり、グループナビゲーションを行う複数の装置からなるナビゲーションシステムの維持管理コストを抑制することができる。
【0049】
さらに、この実施の形態1によれば、初期ペアリング時にはぐれた場合の次の合流地点に関する設定を受け付けるように構成したので、ペアリング時に合流地点を共有化することができ、ナビゲーション装置を搭載した各車両がはぐれるのを防止することができる。
【0050】
さらに、この実施の形態1によれば、マスターナビゲーション装置1において交通情報受信部18が所定間隔で受信した交通情報を、経路探索部14において監視して必要に応じて更新を行い、更新された経路情報をスレーブナビゲーション装置2に出力するように構成したので、複数の車両で目的地に向けて走行している場合にも、交通情報を加味した経路情報に基づいて走行することができる。また、スレーブナビゲーション装置2が交通情報を取得する機能を有していない場合であっても、マスターナビゲーション装置1が取得する交通情報を利用することができる。
【0051】
さらに、この実施の形態1によれば、スレーブナビゲーション装置2の現在位置情報又は燃料残量情報の少なくとも一方をマスターナビゲーション装置1に送信するように構成したので、マスターナビゲーション装置1及びスレーブナビゲーション装置2を搭載した車両が相互にはぐれるのを防止することができる。また次回の給油地点あるいは合流地点を共有化することができる。
【0052】
上述した実施の形態1では、マスターナビゲーション装置1が、経路探索部14及び交通情報受信部18を有する構成を示したが、経路探索部14及び交通情報受信部18を有さず、経路探索部及び交通情報受信部を備えた外部装置(外付け装置)でマスターナビゲーション装置1の現在位置と目的地から経路を探索し、マスターナビゲーション装置1が、その結果を受け取ってスレーブナビゲーション装置2に通知する構成であってもよい。
【0053】
上述した実施の形態1では、スレーブナビゲーション装置2の燃料残量を算出する燃料残量算出部25を設ける構成を示したが、燃料に限定されず、充電量の残量を算出するなど、移動体の種類に応じて適宜変更可能である。
【0054】
上述した実施の形態1のマスターナビゲーション装置1及びスレーブナビゲーション装置2に音声入力部及び音声再生部を追加して設け、ナビゲーション装置間の通信状況が良好な場合に音声通話が可能となるように構成してもよい。
【0055】
上記実施の形態1では、この発明に係るナビゲーション装置を車載用のナビゲーション装置に適用した場合を示したが、これに限定されるものではない。例えば、車載用のナビゲーション装置のみならず、携帯電話端末又は携帯情報端末(PDA;Personal Digital Assistance)に適用してもよい。また、車両、鉄道、船舶又は航空機等の移動体に、人が携帯して持ち込んで使用するPND等に適用してもかまわない。
【0056】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 マスターナビゲーション装置、2,2’,2a,2b,2n スレーブナビゲーション装置、11,21 通信部、12,22 通信方式記憶部、13,23 ペアリング処理部、14 経路探索部、15,26 操作部、16,27 表示部、17,28 記憶部、18 交通情報受信部、19,24 自車位置算出部、25 燃料残量算出部、A,B,C 車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力を受け付ける操作部と、
現在位置を算出する現在位置算出部と、
外部装置と通信を行う通信部とを備えたナビゲーション装置において、
前記通信部を介して前記外部装置と前記ナビゲーション装置との通信を確立するペアリング処理部を有し、
前記ペアリング処理部は、前記ナビゲーション装置を前記操作部で受け付けた指示に基づき、目的地までの経路を前記外部装置に通知するマスターナビゲーション装置又は当該マスターナビゲーション装置から通知された経路で経路案内を行うスレーブナビゲーション装置に設定するナビゲーション装置。
【請求項2】
目的地までの経路を探索する経路探索部を備え、
前記ペアリング処理部によりマスターナビゲーション装置に設定されると、前記経路探索部で探索された経路を、前記通信部を介してスレーブナビゲーション装置に通知することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
交通情報を受信する交通情報受信部を備え、
前記経路探索部は、前記交通情報受信部で受信された前記交通情報を参照して、目的地までの経路を探索することを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記外部装置との直接通信が可能な通信方式の複数の通信部と、前記複数の通信部の各通信方式を記憶する通信方式記憶部とを備え、
前記複数の通信部のうち、予め設定した条件に合致する通信部が、前記外部装置と直接通信することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ペアリング処理部により前記ナビゲーション装置がマスターナビゲーション装置に設定されると、前記経路探索部は、前記通信部を介して前記スレーブナビゲーション装置から受信した当該スレーブナビゲーション装置の現在位置、当該スレーブナビゲーション装置を搭載する移動体の燃料残量及び前記交通情報受信部で受信された交通情報のうちの少なくとも一つに基づいて、新たな合流地点を経由する経路を再び探索し、再探索の結果の経路を当該スレーブナビゲーション装置に通知することを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記ペアリング処理部によりスレーブナビゲーション装置に設定されると、前記通信部を介して現在位置又は燃料残量の少なくとも一方を前記マスターナビゲーション装置に送信することを特徴とする請求項5記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−141270(P2012−141270A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1266(P2011−1266)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】