説明

ニコチンアミドリボシドキナーゼ組成物およびその組成物を使用するための方法

本発明は、単離されたニコチンアミドリボシドキナーゼ(Nrk)核酸配列、これらを含有するベクターおよび培養細胞、ならびにこれによってコードされるNrkポリペプチドに関する。ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグ処置に対して感受性の個体または腫瘍を同定するための方法もまた提供される。本発明はさらに、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグを単離するため、およびニコチンアミドリボシドの天然の原料を同定するためのスクリーニング方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
導入
本出願は、2005年4月25日に出願された米国特許出願番号第11/113,701号の優先権の利益を主張する。前記米国特許出願番号第11/113,701号は、2005年2月9日に出願されたPCT出願番号PCT/US2005/004337の一部継続出願であり、これは、2004年2月10日に出願された米国仮特許出願第60/543,347号に対して35 U.S.C. §119による利益を主張し、その内容はその全体が本明細書において参考として援用される。
本出願は、米国国立癌研究所(助成金番号CA77738)によって資金提供された研究の過程においてなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0002】
ニコチン酸およびニコチンアミド、集号的にナイアシンは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)のビタミン形態である。真核生物は、NAD+をトリプトファンからキヌレニン経路を介してデノボ合成することができ(Krehl, et al. (1945) Science 101:489-490; Schutz and Feigelson (1972) J. Biol. Chem. 247:5327-5332)、ナイアシンの補充は、トリプトファン不足な食事を摂る集団において起こり得るペラグラを予防する。ニコチン酸がリン酸化されてニコチン酸モノヌクレオチド(NaMN)になり、次いでこれがアデニリル化されてニコチン酸アデニンジヌクレオチド(NaAD)を生成し、次にこれがNAD+を生成することは、よく確立されている(Preiss and Handler (1958) J. Biol. Chem. 233:488-492; Preiss and Handler (1958b) J. Biol. Chem. 233:493-50)。
【0003】
NAD+は、初期には、酸化還元酵素のための補酵素として特徴付けられていた。NAD+、NADH、NADPおよびNADPHの間での転換は、全補酵素の減少を伴わないが、NAD+は未知の目的のためにも細胞内で代謝回転されることが発見された(Maayan (1964) Nature 204:1169-1170)。S. cerevisiaeのSir2およびそのホモログなどのサーチュイン酵素は、等量のNAD+を消費してリジン残基を脱アセチル化し、この活性は、転写サイレンサーとしてSir2機能を必要とする(Imai, et al. (2000) Cold Spring Harb. Symp. Quant. Biol. 65:297-302)
【0004】
NAD+依存性脱アセチル化反応は、遺伝子発現における改変のためのみならず、リボソームDNA組み換えの抑制、およびカロリー制限に対する応答における寿命の延長のためにもまた必要である(Lin, et al. (2000) Science 289:2126-2128; Lin, et al. (2002) Nature 418:344-348)。NAD+は、Sir2によって消費され、2’−および3’O−アセチル化ADPリボソームに加えてニコチンアミドおよび脱アセチル化ポリペプチドを生成する(Sauve, et al. (2001) Biochemistry 40:15456-15463)。ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼおよびcADPリボースシンターゼを含むさらなる酵素もまたNAD+依存性であり、ニコチンアミドとADPリボシル生成物とを生成する(Ziegler (2000) Eur. J. Biochem. 267:1550-1564; Burkle (2001) Bioessays 23:795-806)。
【0005】
NAD+の非補酵素的特性は、NAD+生合成の重要性を新たにした。4つの最近の刊行物は、S. cerevisiaeにおけるNAD+への遺伝子産物および経路の全てを考慮すべきであることを示唆し(Panozzo, et al. (2002) FEBS Lett. 517:97-102; Sandmeier, et al. (2002) Genetics 160:877-889; Bitterman, et al. (2002) J. Biol. Chem. 277:45099-45107; Anderson, et al. (2003) Nature 423:181-185)、デノボ合成、ニコチン酸移入、およびNaMNでのニコチンアミド再利用からNAD+への流動の転換を表している(スキーム1)。
【0006】
【化1】

【発明の開示】
【0007】
発明の要旨
ここで、Haemophilus influenza(Gingrich and Schlenk (1944) J. Bacteriol. 47:535-550; Leder and Handler (1951) J. Biol. Chem. 189:889-899; Shifrine and Biberstein (1960) Nature 187:623)、これは、デノボ経路およびPreiss-Handler経路の酵素を欠失する(Fleischmann, et al. (1995) Science 269:496-512)などの細菌におけるNAD+前駆体として公知であるニコチンアミドリボシドは、以前は知られていなかったが、保存された真核生物のNAD+生合成経路におけるNAD+前駆体であることを、示した。NAD+代謝において特異的機能を有する酵母ニコチンアミドリボシドキナーゼNrk1およびヒトNrk酵素を、本明細書において提供する。これらの酵素の特異性は、これらが、チアゾフリンおよびベンズアミドリボシドなどの抗癌剤およびそのアナログの毒性NAD+アナログへの転換における第一の工程を行う、長年探索されていたチアゾフリンキナーゼであることを示す。さらに、酵母の特定の遺伝子型の変異体を使用して、ニコチンアミドリボシドの原料を同定した。牛乳がニコチンアミドリボシドの原料であることを示す。
【0008】
したがって、本発明は、真核生物ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする単離された核酸である。真核生物ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドは、以下:(a)配列番号1、配列番号2もしくは配列番号3のヌクレオチド配列;(b)配列番号1、配列番号2もしくは配列番号3のヌクレオチド配列またはその相補的ヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列であって、機能的なニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列;あるいは(c)(a)または(b)のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列であるが、遺伝子コードの縮重または非翻訳ヌクレオチド配列の存在に起因して(a)または(b)のヌクレオチド配列と異なるヌクレオチド配列、を含む。
【0009】
本発明はまた、真核生物ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする単離された核酸を含有する発現ベクターである。一態様において、前記発現ベクターは、薬学的に受容可能なキャリアを含有する組成物の一部である。別の態様において、前記組成物は、さらにプロドラッグを含有し、ここで該プロドラッグは、ニコチンアミドリボシド関連アナログであって、発現されたニコチンアミドリボシドキナーゼによってリン酸化されて、それによって前記プロドラッグを活性化する際の第一の工程を行う。
【0010】
本発明はまた、単離された真核生物のニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドである。一態様において、単離された真核生物のニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドは、配列番号4、配列番号5もしくは配列番号6のアミノ酸配列またはこれらの機能的フラグメントに対して少なくとも約70%のアミノ酸配列類似性を有するアミノ酸配列を有する。
【0011】
本発明はさらに、単離された真核生物のニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする単離された核酸またはそれによりコードされるポリペプチドを含有する培養細胞である。
なおさらに、本発明は、単離された真核生物のニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含有する組成物である。一態様において、組成物は、さらにプロドラッグを含有し、該プロドラッグは、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグであり、ニコチンアミドリボシドキナーゼによってリン酸化されて、それによって前記プロドラッグを活性化する際の第一の工程を行う。
【0012】
本発明はまた、癌を処置するための方法であって、癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることを疑われる患者に、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグの有効量を、単離された真核生物のニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドまたは真核生物のニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする単離された核酸と組み合わせて投与することを含み、ここで、ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドは、プロドラッグをリン酸化し、それによって前記癌の兆候または症状が低減するかまたは取り除かれる。
【0013】
本発明は、さらに、ニコチンアミドリボシドのための天然または合成の原料を同定するための方法である。該方法は、機能的なグルタミン依存性NAD+シンターゼを欠失する第一の細胞と、天然の原料または合成物からの単離抽出物とを接触させること;機能的なグルタミン依存性NAD+シンターゼおよびニコチンアミドリボシドキナーゼを欠失する第二の細胞と単離抽出物とを接触させること;ならびに、第二の細胞の増殖と比較して第一の細胞の増殖を決定することを含み、ここで、第一の細胞の増殖の存在および第二の細胞の増殖の不在は、単離抽出物中のニコチンアミドリボシドの存在の指標である。一態様において、天然の原料は牛乳である。
【0014】
さらに、本発明は、本発明の方法によって同定されたニコチンアミドリボシドとキャリアとを含有する栄養補助組成物である。
【0015】
さらに、本発明は、NAD+生合成のニコチンアミドリボシドキナーゼ経路に関連する疾患または状態を予防または処置するための方法である。該方法は、NAD+生合成のニコチンアミドリボシドキナーゼ経路に関連する疾患または状態を有する患者に、ニコチンアミドリボシド組成物の有効量を投与することを包含し、これによって、前記疾患または状態の兆候または症状が予防または低減される。一態様において、ニコチンアミドリボシドは、神経保護性である。別の態様において、ニコチンアミドリボシドは、抗真菌性である。さらなる態様において、ニコチンアミドリボシドは、トリプトファン、ニコチン酸、またはニコチンアミドと組み合わせて投与される。
【0016】
本発明はまた、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグを同定するためのin vivoの方法である。該方法は、ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドとニコチンアミドリボシド関連試験剤とを接触させること、および試験剤が前記ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドによってリン酸化されたか否かを決定することを含み、ここで、前記試験剤のリン酸化は、前記試験剤がニコチンアミドリボシド関連プロドラッグであることの指標である。この方法によって同定されるニコチンアミドリボシド関連プロドラッグもまた、本発明の内に包含される。
【0017】
本発明はさらに、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグを同定するための細胞に基づく方法である。この方法は、組み換えNrkポリペプチドを発現する第一の試験細胞と、ニコチンアミドリボシド関連試験剤とを接触させること;機能的なNrkポリペプチドを欠失する第二の試験細胞と同じ試験剤とを接触させること;ならびに、第一および第二の試験細胞のバイアビリティを決定することを含み、ここで、第一の細胞が感受性であり第二の細胞が感受性でないことが、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグの指標である。この方法によって同定されるニコチンアミドリボシド関連プロドラッグもまた、本発明の文脈の内に包含される。
【0018】
本発明はまた、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグによる処置に感受性である個体または腫瘍を同定するための方法である。この方法は、個体または腫瘍におけるニコチンアミドリボシドキナーゼにおける変異の存在またはニコチンアミドリボシドキナーゼの発現のレベルを決定することを含み、ここで、コントロールと比較した前記個体または腫瘍におけるニコチンアミドリボシドキナーゼの変異の存在または発現の変化が、前記個体または腫瘍がニコチンアミドリボシド関連プロドラッグによる処置に対して改変されたレベルの感受性を有することの指標である。
【0019】
発明の詳細な説明
グルタミン依存性NAD+シンターゼをコードするSaccharomyces cerevisiaeのQNS1遺伝子が特徴付けられており、グルタミナーゼ活性部位またはNAD+シンターゼ活性部位のいずれかの変異は、生存不能な細胞を生じる(Bieganowski, et al. (2003) J. Biol. Chem. 278:33049-33055)。qns1の欠失を含む株およびプラスミドに運ばれるQNS1遺伝子を得ることによって、スキーム1(Panozzo, et al. (2002) supra; Sandmeier, et al. (2002) supra; Bitterman, et al. (2002) supra; Anderson, et al. (2003)上記)のNAD+のための標準的(canonical)なデノボ、移入、および再利用経路が、S. cerevisiaeにおけるNAD+への代謝経路を完全に説明するか否かを決定することが可能となった。
【0020】
スキーム1に表される経路は、以下のことを示唆する:ニコチンアミドが脱アミドされてニコチン酸になり、その後、ピリジン環が再利用されてより多くのNAD+が作られるので、ニコチンアミドの補充は、ニコチンアミド含有前駆体を経路を通して分路することによって、qns1変異体をレスキューしないこと;ならびに、QNS1は3つの経路に共通であるので、qns1変異体をレスキューするNAD+前駆体は存在しない可能性があること。しかし、ここで、ニコチンアミドは1mMまたは10mMですらqns1変異体をレスキューしないが、一方、ニコチンアミドリボシドは、10μMでNAD+のビタミン形態として機能することを見出した。
【0021】
チアゾフリン(Cooney, et al. (1983) Adv. Enzyme Regul. 21:271-303)およびベンズアミドリボシド(Krohn, et al. (1992) J. Med. Chem. 35:511-517)などの抗癌剤は、細胞内で代謝されてNAD+アナログであるチアゾフリンアデニンジヌクレオチドおよびベンズアミドアデニンジヌクレオチドとなり、これらは、デノボのプリンヌクレオチド生合成のための律速酵素であるIMPデヒドゲナーゼを阻害することが示された。
【0022】
NMN/NaMNアデニリルトランスフェラーゼは、モノヌクレオチド中間体をNAD+アナログへ転換する酵素であると考えられ、このことの構造的基礎は知られている(Zhou et al. (2002)、上記)が、アデノシンキナーゼ、5’ヌクレオチダーゼ(Fridland, et al. (1986) Cancer Res. 46:532-537; Saunders, et al. (1990) Cancer Res. 50:5269-5274)、および特定のニコチンアミドリボシドキナーゼ(Saunders, et al. (1990)、上記)を含む数種の異なる酵素が、in vivoでのチアゾフリンのリン酸化に関与していることが提起されている。推定されるニコチンアミドリボシドキナーゼ(Nrk)活性が純化(purify)されたが、アミノ酸配列情報は得られておらず、したがって、その機能を評価するための遺伝子試験は行われていない(Sasiak and Saunders (1996) Arch. Biochem. Biophys. 333:414-418)。
【0023】
qns1欠失株であって、さらに、チアゾフリンをリン酸化することが提起されているヌクレオシドキナーゼをコードする候補遺伝子、すなわちアデノシンキナーゼado1(Lecoq, et al. (2001) Yeast 18:335-342)、ウリジン/シチジンキナーゼurk1(Kern (1990) Nucleic Acids Res. 18:5279; Kurtz, et al. (1999) Curr. Genet. 36:130-136)、およびリボキナーゼrbk1(Thierry, et al. (1990) Yeast 6:521-534)の酵母のアナログを欠失させたものを使用して、ヌクレオシドキナーゼが、ニコチンアミドリボシドの利用に独自に関連しているのか集合的に関連しているのかを決定した。これらの欠失にも関わらず、前記株は、タンパク質同化経路において、NAD+シンターゼに依存せず、ニコチンアミドリボシドを利用する能力を保持することを見出した。
【0024】
哺乳動物の薬理学が、推定の真菌Nrkの正体の有用な証拠を何ら提供しなかったことから、この遺伝子が、Haemophilus influenzaのNrkと共に保存されているのではないかと考えられた。H. influenzaのNrkドメインは、NadR遺伝子産物のアミノ酸225から421によってコードされている(このアミノ末端は、NMNアデニリルトランスフェラーゼである)。このドメインは、構造的に酵母のチミジル酸キナーゼに類似しているが(Singh, et al. (2002) J. Biol. Chem. 277:33291-33299)、感受性配列の検索から、細菌のNrkは、酵母においてオルトログを有さないことが明らかとなった。H. influenzaのNadRのNrkドメインの遺伝子検索から、NAD+前駆体としてニコチンアミドリボシドを利用すると予測される細菌ゲノムの同定されたリストは増えつつある(Kurnasov, et al. (2002) J. Bacteriol. 184:6906-6917)。したがって、真菌がNadR Nrk相同ドメインを有するのであれば、比較遺伝子学によって、酵母がニコチンアミドリボシドを再利用し得ることが既に予測されていたはずである。
【0025】
S. cerevisiaeのNrkを同定するために、酵素活性についてHPLCアッセイを構築し、生化学的ゲノミクスのアプローチと組み合わせて使用し、この活性をコードする遺伝子をスクリーニングした(Martzen, et al. (1999) Science 286:1153-1155)。S. cerevisiae中で発現させた90〜96のグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)に融合させたS. cerevisiaeオープンリーディングフレームの64個のプールを、GST融合物として精製し、ニコチンアミドリボシドとATPとをNMNとADPとに変換する能力についてスクリーニングした。
【0026】
殆どのプールは、入力ATPをいくらか消費する活性を含んだが、プール37のみは、ニコチンアミドリボシドを消費してNMNを産生した。プール37においては、1mMのATPの約半分がADPに変換され、500μMのニコチンアミドリボシドのピークは、ほぼ完全にNMNに転換された。プール37を得るために使用した94個のオープンリーディングフレームの試験から、YNL129W(配列番号1)が、予測された240アミノ酸のポリペプチドをコードし、これは、501アミノ酸の酵母ウリジン/シチジンキナーゼUrk1と23%の同一性を有する187アミノ酸のセグメントを有し、E.coliのパントテン酸キナーゼpanK(Yun, et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:28093-28099)のセグメントとは遠い類似性を有することが明らかになった(図1)。
【0027】
YNL129Wを細菌発現ベクターにクローニングした後、この代謝産物キナーゼのホモログが真核生物のNrkであるか否かを確認した。精製YNL129Wの特異的活性は、プール37の特異的活性の約100倍であり、このことは、プール37の全てのNrk活性が、このオープンリーディングフレームによってコードされているという考えと一致する。この遺伝子産物がニコチンアミドリボシドをin vivoでリン酸化するか否かを遺伝子学的に試験するために、qns1バックグラウンドでYNL129Wの欠失を作製した。qns1欠失株のニコチンアミドリボシドのレスキューが、この遺伝子産物に完全に依存することを見出した。YNL129Wが真のNrk活性をコードすることを生化学的におよび遺伝子学的に示し、この遺伝子をNRK1と命名した。
【0028】
S. cerevisiaeのNrk1ポリペプチドについてPSI-BLAST(Altschul, et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402)比較を行い、オルソロガスなヒトタンパク質Nrk1(NP_060351;配列番号5;図1)を見出した。遺伝子座9q21.31でコードされるヒトNP_060351タンパク質は、199アミノ酸のポリペプチドであり、ウリジンキナーゼファミリーの特徴付けられていないタンパク質として注解されている。さらに、第二のヒト遺伝子産物Nrk2(NP_733778;配列番号6;表1)は、ヒトNrk1に対して57%同一であることを見出した。Nrk2は、19p13.3でコードされる186アミノ酸の筋のインテグリンβ1結合タンパク質(ITGB1BP3)として記載されるもの(Li, et al. (1999) J. Cell Biol. 147:1391-1398; Li, et al. (2003) Dev. Biol. 261:209-219)の、230アミノ酸のスプライス形態である。
【0029】
S. cerevisiae、S. pombeおよびヒトのNrkホモログの間のアミノ酸保存、および同様にS. cerevisiaeのUrk1およびE. coliのpanKのフラグメントの間のアミノ酸保存性を、図1に示す。真菌およびヒトのNrk酵素は、パントテン酸キナーゼを含む代謝産物キナーゼスーパーファミリーのメンバーであるが、細菌のニコチンアミドリボシドキナーゼとは無関係である。グルコース上でGAL1プロモーターから発現された場合ですら、ヒトNRK1およびヒトNRK2のcDNAによって、qns1 nrk1がニコチンアミドリボシド添加培地中で増殖できなかったことに対する強力な補完(complementation)が提供された。
【0030】
表1に示すように、酵母Nrk1ならびにヒトNrk1およびNrk2の精製によって、ニコチンアミドリボシドおよびチアゾフリンのリン酸化についての高い特異性が明らかになった。
【0031】
【表1】

ヌクレオシド基質のリン酸化について、特異的活性をnmole mg-1 min-1で表した。
【0032】
酵母およびヒトのNrk1酵素の場合、酵素は、天然の基質であるニコチンアミドリボシドよりチアゾフリンを2倍好み、両方の酵素は、ウリジンおよびシチジンについてその最大特異的活性の7%未満を保持した。ヒトNrk2の場合、230アミノ酸形態は、ニコチンアミドリボシド、チアゾフリンおよびウリジンについて本質的に同等に活性であり、シチジンについての対応する活性は、10%未満であった。
【0033】
逆に、186アミノ酸のインテグリンβ1結合タンパク質形態は、このin vitroアッセイにおいては酵素活性を欠き、in vivoではNrkとして機能的でなかった。しかし、186アミノ酸および230アミノ酸のアイソフォームの両方が、in vivoで酵母ニコチンアミドリボシド利用アッセイにおいて機能した。したがって、Nrk2はウリジレート(uridylate)の生成に付加的に寄与し得るが、これらのデータは、真菌および哺乳動物が、NaMNを介した周知の経路に加えて、NMNを介してNAD+を合成するように機能する特異的なニコチンアミドリボシドキナーゼを所有することを実証する。したがって、Nrkの酵素活性の同定により、真菌および哺乳動物のNaMN/NMNアデニリルトランスフェラーゼの二重特異性が明らかとなる。
【0034】
SAGEデータに基づくと、NRK1は試験された多くの組織において稀なメッセージであるが、一方、NRK2は、心臓および骨格筋において高く発現し、網膜上皮および胎盤において低い発現レベルを有する(Boon, et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:11287-11292)。発現レベルは、癌細胞株によって非常に異なる(Boon, et al. (2002)、上記)。したがって、NRK1、NRK2が低い腫瘍を有する個体において、患者の腫瘍より心臓および筋肉においてチアゾフリンのNAD+への変換がより顕著に起こり得る。NRK1および/またはNRK2が高い腫瘍において、相当な量のチアゾフリンが、腫瘍においてチアゾフリンアデニンジヌクレオチドに変換され得る。
【0035】
酵母qns1変異体を使用して、ニコチンアミドリボシドの天然の原料をスクリーニングしたところ、牛乳の酸乳清(acid whey)調製物中に同定された。飢餓状態のイヌの黒舌病の快復のための、肝臓のタンパク質枯渇抽出物中のビタミンの元スクリーニング(Elvehjem, et al. (1938) J. Biol. Chem. 123:137-149)と異なり、このアッセイは、NAD+前駆体の同定において経路特異的である。このアッセイにおいては、qns1欠失に起因して、ニコチン酸およびニコチンアミドは、正のスコアを示さない。牛乳からの要因が増殖のためにニコチンアミドリボシドキナーゼを要求するので、栄養は明らかにニコチンアミドリボシドであって、NMNでもNAD+でもない。
【0036】
Nrk1ホモログとニコチンアミドリボシド再利用経路とを組み込んで修正したNAD+についての代謝スキームを、スキーム2に示す。ここで、二重矢印は、酵母およびヒトで共通の代謝工程を(酵母の遺伝子名で)表し、一重矢印は、ヒトに特有の工程(PBEF、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ)および酵母に特有の工程(Pnc1、ニコチンアミダーゼ)を表す。
【0037】
【化2】

【0038】
ヒトと酵母との間の相違は、その生物のニコチンアミドおよびニコチン酸の使用に関わる。これらは、抗黒舌病因子として共同定された2種類のナイアシンである(Elvehjem, et al. (1938))。ヒトは、Haemophilus ducreyiのnadV遺伝子のホモログをコードし、これはプレB細胞コロニー増強因子(colony enhancing factor)と称され、ニコチンアミドをNMNへ変換することができる(Rongvaux, et al. (2002) Eur. J. Immunol. 32:3225-3234)。対照的に、S. cerevisiaeは、nadVのホモログを欠き、代わりにE. coliのpncA遺伝子のホモログを有する。これは、PNC1と称され、ニコチンアミドをニコチン酸に変換してPreiss-Handler経路へ入れることができる(Ghislain, et al. (2002) Yeast 19:215-224; Sandmeier, et al. (2002)、上記)。
【0039】
Preiss-Handler経路は、しばしばニコチンアミドからの再利用経路であると考えられるが、これは、技術的には、ニコチン酸からNAD+への工程に言及するものである()、上記)。ニコチンアミダーゼが哺乳動物の肝臓から精製されたという1960年代の報告(Petrack, et al. (1965) J. Biol. Chem. 240:1725-1730)が、真菌および動物のNAD+生合成は、完全に保存されているという意見に寄与した可能性がある。しかし、ニコチンアミダーゼの動物遺伝子は未だ同定されておらず、ニコチンアミドおよびニコチン酸がNAD+前駆体として哺乳類において同じ経路を介して利用されるという、説得力のある証拠は存在しない。ニコチンアミドおよびニコチン酸の混合物としての「ナイアシン」の存続が、NAD+を生成するために複数の経路を利用することの有用性を証明し得、第三の移入可能なNAD+前駆体としてのニコチンアミドリボシドの補充が、特定の状態にとって有益であり得ることを示す。
【0040】
1955年に初めて報告されたのは、高用量のニコチン酸がコレステロールレベルの低下に有効であるということである(Altschul, et al. (1955) Arch. Biochem. Biophys. 54:558-559)。最初の報告の後、多くの制御された臨床学的研究によって、ニコチン酸調製物は、単独でおよびHMG CoA還元酵素阻害剤と組み合わせて、低密度リポタンパク質コレステロールの制御、高密度リポタンパク質コレステロールの増加、ならびにヒトにおけるトリグリセリドおよびリポタンパクaの低下に有効であることが示された(Pasternak, et al. (1996) Ann. Intern. Med. 125:529-540)。ニコチン酸処置は、重要な脂質の全てに所望の方向に作用し、標的集団の死亡率を低下させることが示されているが、(Pasternak, et al. (1996)、上記)、処方の性質によって著しく影響を受ける発熱および「フラッシング」と称される発赤の副作用に起因して、その使用は制限される(Capuzzi, et al. (2000) Curr. Atheroscler. Rep. 2:64-71)。
【0041】
したがって、ニコチンアミドリボシドの補充は、ヒトにおける脂質プロファイルを改善するための一つのルートであり得る。さらに、ニコチンアミドは、脳卒中の動物モデルにおいて保護性であり(Klaidman, et al. (2003) Pharmacology 69:150-157)、ニコチンアミドリボシドは、脳卒中などの急性期の状態のための重要な栄養補助剤であり得る。さらに、NAD+生合成酵素の調節は、腫瘍をチアゾフリンなどの化合物に対して感受性化する上で、正常組織をチアゾフリンアデニンジヌクレオチドなどの化合物の毒性から保護するために、およびチアゾフリン化学療法の最も賢明な使用のために患者を層別化するために、有用であり得る。
【0042】
本発明は、ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする真核生物のヌクレオチド配列を含む単離された核酸である。本明細書において使用される場合、単離された分子(例えば、ゲノムDNA、RNAもしくはcDNAなどの単離された核酸、または単離されたポリペプチド)とは、天然に存在する生物の他の成分(例えば細胞の構造的成分またはその分子に関連して共通で見出される他のポリペプチドもしくは核酸など)の少なくとも一部から分離しているかまたは実質的にフリーな分子を意味する。単離された分子がポリペプチドである場合、そのポリペプチドは、少なくとも約25%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%純粋であるかまたは99%より純度が高い(w/w)。
【0043】
一態様において、ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする真核生物のヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2または配列番号3のヌクレオチド配列である。別の態様において、ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする真核生物のヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2もしくは配列番号3のヌクレオチド配列またはその相補配列にストリンジェントな条件下においてハイブリダイズするヌクレオチド配列であり、ここで、このヌクレオチド配列は、機能的なニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする。さらなる態様において、ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする真核生物のヌクレオチド配列は、機能的なニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードするが、遺伝子コードの縮重または非翻訳ヌクレオチド配列の存在に起因して、配列番号1、配列番号2または配列番号3のヌクレオチド配列と異なるヌクレオチド配列を有する。
【0044】
本明細書において使用される場合、機能的なポリペプチドとは、少なくとも一つのそのポリペプチドに通常関連する生物学的活性を保持するポリペプチドである。あるいは、機能的なポリペプチドは、非改変ペプチドが所有する活性の全てを保持する。生物学的活性を保持するとは、そのポリペプチドが、天然のポリペプチドの生物学的活性の少なくとも約50%、60%、75%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、または99%より高くを保持する(および天然のポリペプチドより高い活性のレベルを有することさえあり得る)ことを意味する。非機能的ポリペプチドとは、そのポリペプチドに通常関連する検出可能な生物学的活性を本質的に(例えば、最大でも、微量しか、例えば、約10%未満または5%未満ですら)示さないポリペプチドである。
本明細書において使用される場合、用語ポリペプチドとは、他に指示しない限り、ペプチドおよびタンパク質の両方を包含する。
【0045】
ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドまたはNrkタンパク質とは、本明細書において使用される場合、広く解釈されるべきであり、ニコチンアミドリボシドをリン酸化することができる酵素を包含する。用語ニコチンアミドリボシドキナーゼまたはNrkはまた、改変された(例えば、変異した)Nrkであって生物学的機能を保持するもの(すなわち、ネイティブなNrkタンパク質の少なくとも一つの生物学的活性を有するもの)、切断型(truncated)分子を含む機能的Nrkフラグメント、選択的スプライスされたアイソフォーム(例えば、ヒトNrk2の選択的スプライスされたアイソフォーム)、および機能的Nrk融合ポリペプチド(例えば、Nrk−GSTタンパク質融合またはNrk−Hisタグ化タンパク質)を含む。
【0046】
当該分野において公知のあらゆるNrkポリペプチドまたはNrkをコードする核酸を、本発明によって使用することができる。NrkポリペプチドまたはNrkをコードする核酸は、酵母、真菌(例えば、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces pombe、Pichia sp.、Neurospora sp.など)の植物、動物(例えば、昆虫、鳥類(例えばニワトリ)、または哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ目、サル、ヒトなど)の原料に由来し得る。
【0047】
S. cerevisiaeのNrk1の代表的なcDNAおよびアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1および配列番号4に示す(図1)。ヒトNrk1の代表的なcDNAおよびアミノ酸配列を、それぞれ配列番号2および配列番号5に示す(図1)。ヒトNrk2の代表的なcDNAおよびアミノ酸配列を、それぞれ配列番号3および配列番号6に示す(図1)。本発明によって包含される他のNrk配列として、GENBANK登録番号NM_017881、AK000566、BC001366、BC036804、およびBC026243のNrk1、ならびにGENBANK登録番号NM_170678のNrk2が挙げられる。
【0048】
さらに、Candida glabrata CBS138ゲノムプロジェクトからの遺伝子座CAG61927(Dujon, et al. (2004) Nature 430:35-44)は、Saccharomyces cerevisiaeのNrk1タンパク質と54%同一である。本発明の特定の態様は、保存されたアミノ酸配列XXXXDDFXK(配列番号34)を有するNrkポリペプチドを包含する。ここで、XaaおよびXaaは、脂肪族アミノ酸残基であり、XaaはHisまたはSerであり、Xaaは親水性アミノ酸残基であり、Xaaは芳香族アミノ酸残基である。
【0049】
説明のために、低ストリンジェンシー条件、中間のストリンジェンシー条件、またはストリンジェントな条件下(例えば、それぞれ、35〜40%ホルムアミドに、5×デンハーツ溶液、0.5%のSDSおよび1×SSPEを加えた37℃での洗浄ストリンジェンシーによって代表される条件;40〜45%ホルムアミドに、5×デンハーツ溶液、0.5%のSDSおよび1×SSPEを加えた42℃での洗浄ストリンジェンシーによって代表される条件;および/または50%ホルムアミドに、5×デンハーツ溶液、0.5%のSDSおよび1×SSPEを加えた42℃での洗浄ストリンジェンシーによって代表される条件)において、本明細書において具体的に開示される配列に対して、かかる配列のハイブリダイゼーションを行ってもよい。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2d Ed. 1989) (Cold Spring Harbor Laboratory)を参照のこと。
【0050】
言い換えれば、本発明のNrkをコードする単離された核酸は、本明細書において具体的に開示される単離された核酸配列(または上記に定義されるそれらのフラグメント)と、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、または98%より高い配列類似性を有し、本明細書において定義されるような機能的Nrkをコードする。
【0051】
遺伝子コードの縮重に起因して、本発明のNrkをコードする核酸に可変性が存在することを、当業者は理解する。同じポリペプチドを異なる核酸配列がコードする事を可能にする遺伝子コードの縮重は、文献において周知である(表2を参照のこと)。
【0052】
【表2】

【0053】
核酸配列のさらなる変化は、イントロン配列、ならびに5’および3’非翻訳配列などの非翻訳の存在(または非存在)によって導入され得る。
さらに、本発明の単離された核酸は、本明細書において具体的に開示されるポリペプチド配列(またはそれらのフラグメント)と、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、または98%より高いアミノ酸配列類似性を有するNrkポリペプチドをコードする核酸を包含し、さらに、本明細書において定義されるような機能的Nrkをコードする。
【0054】
当該分野において公知であるように、核酸またはポリペプチドが公知の配列に対して配列同一性または類似性を有するか否かを同定するために、多数の異なるプログラムを使用することができる。配列同一性および/または類似性は、当該分野において公知の標準的技術を使用して決定することができる。そのような技術としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Smith & Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2:482の局所配列同一性アルゴリズム、Needleman & Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443の配列同一性アラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性の検索の方法、これらのアルゴリズムのコンピュータ化による実行(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, WI)、Devereux, et al. (1984) Nucl. Acid Res. 12:387-395によって記載されるBest Fit sequenceプログラム(初期設定を用いるか、または検討による)。
【0055】
有用なアルゴリズムの一例は、PILEUPである。PILEUPは、プログレッシブペアワイズアラインメントを用いて、関連する配列のグループから複数の配列のアラインメントを行う。これはまた、アラインメントを行うために使用したクラスタ関係を示す樹形図をプロットすることができる。PILEUPは、Feng & Doolittle (1987) J. Mol. Evol. 35:351-360のプログレッシブアラインメント法の簡易化を用いる;この方法は、Higgins & Sharp (1989) CABIOS 5:151-153によって記載される方法に類似している。
【0056】
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410およびKarlin, et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787によって記載されるBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、WU-BLAST-2プログラムであって、これは、Altschul, et al. (1996) Methods in Enzymology, 266:460-480; http://blast.wustl/edu/blast/README.htmlから入手される。WU-BLAST-2は、数種の検索パラメータを用い、これらは初期値に設定することができる。パラメータは、動的な値であって、プログラム自体によって、目的の配列を検索する対象とする特定の配列および特定のデータベースの組成に依存して規定される;しかし、感受性を高めるために値を調整してもよい。
さらなる有用なアルゴリズムは、Altschul, et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402によって報告されたgapped BLASTである。
【0057】
アミノ酸配列同一性のパーセント値は、アラインメントされた領域中のマッチする同一の残基の数を長い方の配列の残基の数で除算することによって決定することができる。長い方の配列は、アラインメントされた領域中の最大数の実際の残基を有する配列である(WU-Blast-2によってアラインメントスコアを最大化するために導入されるギャップは無視する)。
【0058】
アラインメントは、アラインメントされるべき配列中へのギャップの導入を含んでもよい。加えて、本明細書において具体的に開示されるポリペプチドより多いまたは少ないアミノ酸を含む配列について、一態様において、配列同一性のパーセンテージは、アミノ酸の総数に対する同一アミノ酸数に基づいて決定される。したがって、例えば、一態様において、本明細書において具体的に開示される配列より短い配列の配列同一性は、短い方の配列におけるアミノ酸の数を使用して決定される。同一性のパーセントの計算において、多様な配列可変性(例えば、挿入、欠失、置換など)の出現に対して相対的な重みは与えられない。
【0059】
一態様において、同一性のみが正(+1)にスコアされ、ギャップを含む全ての形態の配列可変性は、「0」の値を与えられ、これが、配列類似性の計算のために、以下に記載するような重み付けされたスケールまたはパラメータの必要性を除去する。配列類似性のパーセントは、例えば、アラインメントされた領域中のマッチする同一残基の数を短い方の配列の残基の総数で除算して100で乗算することによって計算する。長い方の配列は、アラインメントされた領域中の最大数の実際の残基を有する配列である。
【0060】
本明細書において具体的に開示されるかまたは当該分野において他で知られているNrkアミノ酸配列を改変するために、アミノ酸置換は、当該分野におけるあらゆる特徴に基づいてよい。そのような特徴として、アミノ酸側鎖置換基の相対的な類似性または相違、例えばそれらの疎水性、親水性、電荷、大きさなどが挙げられる。特定の態様において、Nrkをコードするアミノ酸配列中に、保存的置換(すなわち、類似の特性を有するアミノ酸残基による置換)を行う。
【0061】
アミノ酸置換を行う上で、アミノ酸のヒドロパシー指標を考慮してもよい。タンパク質について相関的な生物学的機能を参照する上でのヒドロパシーのアミノ酸指標の重要性は、当該分野において一般に理解されている(Kyte and Doolittle (1982) J. Mol. Biol. 157:105)。アミノ酸の相対的ヒドロパシー特性が、生じるタンパク質の二次構造に寄与し、これが次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を決定することは受け入れられている。
【0062】
各アミノ酸は、そのヒドロパシーおよび電荷の性質に基づいて、ヒドロパシー指標を与えられている(Kyte and Doolittle (1982)、上記)。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である。
【0063】
また、アミノ酸の置換が親水性に基づいて行われ得ることも、当該分野において理解される。米国特許第4,554,101号は、タンパク質の最大の局所的平均親水性は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配され、そのタンパク質の生物学的特性に相関することを述べている。
【0064】
米国特許第4,554,101号において詳細に述べられているように、アミノ酸残基に以下の親水性値が与えられている:アルギニン(+3.0);リジン(±3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。
【0065】
本発明の単離された核酸は、RNA、DNA(cDNAを含む)、およびそれらのキメラを含む。単離された核酸は、改変されたヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログをさらに含み得る。
Nrkをコードする単離された核酸を、適当な発現制御配列、例えば、転写/翻訳制御シグナルおよびポリアデニル化シグナルと結合させてもよい。
【0066】
所望のレベルまたは組織特異的発現に依存して、種々のプロモーター/エンハンサーエレメントを用いてもよいことが理解される。プロモーターは、所望の発現のパターンに依存して、構成的であっても誘導性であってもよい(例えば、メタロチオネインプロモーターまたはホルモン誘導性プロモーター)。プロモーターは、ネイティブであっても外来性であってもよく、天然の配列であっても合成の配列であってもよい。外来性とは、転写開始領域が導入される野生型宿主において転写開始領域が見出されないことを意図する。プロモーターは、目的の標的細胞(単数または複数)中で機能するように選択される。特定の態様において、プロモーターは、ラージスケールタンパク質産生の目的でNrkをコードする核酸を発現させるために使用される腫瘍細胞または細胞において機能する。同様に、プロモーターは、これらの細胞および組織に対して特異的であってもよい(すなわち、特定の細胞型または組織型においてのみ顕著な活性を示す)。
【0067】
説明するために、Nrkをコードする配列を、サイトメガロウイルス(CMV)主要最初期プロモーター、アルブミンプロモーター、伸長因子1−α(EF1−α)プロモーター、PγKプロモーター、MFGプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、またはグリセルアルデヒド−3−リン酸プロモーターと、作動的に結合させてもよい。
【0068】
さらに、挿入されたタンパク質コード配列の効率的な翻訳のためには、特異的開始シグナルが一般に必要とされる。ATG開始コドンおよび隣接する配列を含み得るこれらの翻訳制御配列は、天然および合成の多様な起源を有し得る。
【0069】
Nrkは、直接的に発現させるのみならず、異種ポリペプチド、すなわち、分泌のためのシグナル配列および/またはNrkの精製に役立つ他のポリペプチドとの融合タンパク質として発現させてもよい。一態様において、異種ポリペプチドは、Nrkから異種ペプチドを除去するための特異的な切断部位を有する。
【0070】
一般に、シグナル配列は、ベクターの成分であってもよく、宿主細胞によって認識されて処理される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものであるべきである。原核生物における産生のために、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱耐性エンテロトキシンIIのリーダーからの原核生物のシグナル配列を用いることができる。酵母の分泌のためには、例えば、酵母インベルターゼ、α因子、または酸ホスファターゼのリーダー、Candida albicansグルコアミラーゼリーダー(EP 362,179)など(例えば、WO 90/13646を参照のこと)を用いることができる。哺乳動物細胞での発現においては、同じ種または関連種の分泌ポリペプチドからのシグナル配列、ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペス糖タンパク質Dシグナルを用いることができる。
【0071】
Nrkに融合させることができる他の有用な異種ポリペプチドとして、融合タンパク質の発現または可溶性を増大するもの、またはアフィニティー精製においてリガンドとして作用することによって融合タンパク質の精製に役立つものが挙げられる。代表的な誘導発現ベクターとして、本明細書において例示されるモノ、ならびにpMAL(New England Biolabs, Beverly, Mass.)およびpRIT5(Pharmacia, Piscataway, NJ))が挙げられ、これらは、各々マルトースE結合タンパク質またはプロテインAを標的組み換えタンパク質と融合させる。
【0072】
Nrkをコードする単離された核酸を、、例えば、クローニングまたは他の実験操作、組み換えタンパク質産生、または遺伝子送達を目的として、ベクターに組み込んでもよい。特定の態様において、ベクターは発現ベクターである。例示的なベクターとしては、細菌人工染色体、コスミド、酵母人工染色体、ファージ、プラスミド、脂質ベクター、またはウイルスベクターが挙げられる。用語、核酸コード配列(特にNrkコード配列)を、発現する(express)、発現する(expresses)、または核酸コード配列の発現(expression)とは、その配列が転写され、必要に応じて翻訳されることを意味する。代表的には、本発明によれば、コード配列の転写および翻訳は、Nrkポリペプチドの産生を生じる。
【0073】
本発明の方法は、in vitroで(例えば、ラージスケールタンパク質産生のため、またはスクリーニングアッセイにおける使用のための)分裂する細胞および分裂しない細胞の両方を含む広範な宿主細胞において、Nrkをコードする核酸を送達し、必要に応じて発現するための手段を提供する。本発明の態様において、核酸を標的細胞において一時的に発現させても、例えば、細胞のゲノム中に組み込むことによってまたは安定に維持されるエピソーム(例えば、エプスタイン・バールウイルスに由来するもの)からの持続的発現によって、核酸を標的細胞に安定に組み込んでもよい。
【0074】
本発明の単離された核酸、ベクター、方法、および薬学的処方物は、Nrkをコードする核酸を被験体に投与する方法において用途を見出す。したがって、この様式において、Nrkを、被験体においてin vivoで産生させてもよい。被験体がNrkの欠損を有しても、または被験体における外来性Nrkの産生がなんらかの治療効果を与えてもよい。治療目的のためのNrkをコードする核酸の薬学的処方物または送達の方法は、本明細書において説明される。
【0075】
あるいは、Nrkをコードする単離された核酸を被験体に投与し、それによって被験体によって核酸が発現され、Nrkが産生されて、そこから、すなわち組み換えNrkタンパク質の原料として、精製してもよい。この態様によれば、Nrkは全身の循環中または別の体液(例えば、乳、リンパ液、脊髄液、尿)中へ分泌され、そこからNrkをさらに精製する。さらなる代替として、Nrkタンパク質を、鳥類の種において産生させて蓄積させ、卵タンパク質から都合よく単離してもよい。
【0076】
同様に、Nrkをコードする核酸を、細胞培養系において、スクリーニングアッセイの目的で、またはラージスケール組み換えタンパク質産生の目的で、一時的にまたは安定して発現させてもよい。細胞は、細菌、原虫、植物、酵母、真菌または動物細胞(例えば、昆虫、鳥類もしくは哺乳動物)であり得、別の態様においては、哺乳動物細胞(例えば、繊維芽細胞)である。
【0077】
本発明の単離された核酸を目的の標的の細胞または被験体に送達するために、任意の好適なベクターを使用し得ることを、当業者は理解する。送達ベクターの選択は、当該分野において公知の多数の要因に基づいて行うことができる。そのような要因として、標的宿主の年齢および種、in vitro送達対in vivo送達、所望の発現のレベルまたは持続時間、意図される目的(例えば、治療もしくは薬物スクリーニング)、標的の細胞または器官、送達の経路、単離された核酸のサイズ、安全の懸念などが挙げられる。
【0078】
好適なベクターとして、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アルファウイルス;ワクシニアウイルス;アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、または単純ヘルペスウイルス)、脂質ベクター、ポリリジンベクター、プラスミドなどの核酸分子と共に用いられる合成ポリアミノポリマーベクター等が挙げられる。
本明細書において使用される場合、用語ウイルスベクターまたはウイルス送達ベクターとは、核酸送達ビヒクルとして機能するウイルス粒子を指してもよく、これは、ビリオン中にパッケージされたベクターのゲノムを含む。あるいは、これらの用語は、ベクターのゲノムがビリオンの非存在下において核酸送達ビヒクルとして使用される場合、ベクターのゲノムを指すように用いられてもよい。
【0079】
組み換えウイルスベクターを生成するための、および核酸送達のためにウイルスベクターを使用するためのプロトコルは、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubel, F. M.ら(編)、Greene Publishing Associates、(1989)、および他の標準的な実験マニュアル(例えば、Vectors for Gene Therapy. In: Current Protocols in Human Genetics. John Wiley and Sons, Inc.: 1997)において見出すことができる。
ウイルスベクターおよび以前に核酸の送達のために使用されたものの特定の例として、例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、AAV、ヘルペスウイルス、およびポックスウイルスが挙げられる。
【0080】
本発明の特定の態様において、送達ベクターはアデノウイルスベクターである。用語アデノウイルスとは、本明細書において使用される場合、マストアデノウイルスおよびAviadenovirus属を含む全てのアデノウイルスを包含することを意図される。今日まで、少なくとも47種類のアデノウイルスのヒト血清種が同定されている(例えば、Fieldsら、Virology, volume 2, chapter 67 (3d ed., Lippincott-Raven Publishers)を参照のこと)。一態様において、アデノウイルスはヒト血清種Cアデノウイルスであり、別の態様において、アデノウイルスは血清種2(Ad2)もしくは血清種5(Ad5)、またはAdC68などのサルのアデノウイルスである。
【0081】
Douglas, et al. (1996) Nature Biotechnology 14:1574ならびに米国特許番号第5,922,315号;同第5,770,442号および/または同第5,712,136号において記載されるように、ベクターを改変するかまたは標的化してもよいことを、当業者は理解する。
アデノウイルスゲノムを、目的の核酸をコードして発現するが通常の溶菌性のウイルス生活環において複製する能力に関しては不活化されているように操作してもよい。例えば、Berknerら、(1988) BioTechniques 6:616; Rosenfeld, et al. (1991) Science 252:431-434;およびRosenfeldら、(1992) Cell 68:143-155を参照のこと。
【0082】
組み換えアデノウイルスは、非分裂細胞に感染することができないので、特定の状況において有利であり得、上皮細胞を含む広範な細胞型に感染させるために使用され得る。さらに、そのウイルス粒子は比較的安定であり、精製および濃縮化を許容し得、感染性の範囲に影響を及ぼすように改変することができる。さらに、導入されるアデノウイルスDNA(およびそれに含まれる外来性DNA)は、宿主のゲノムに組み込まれるのではなくエピソームのままであり、したがって、導入DNAが宿主のゲノムに組み込まれる場合において挿入変異の結果として起こり得る(例えば、レトロウイルスDNAを用いる場合に起こるような)問題を回避する。さらに、アデノウイルスゲノムが外来性DNAを運搬する能力は、他の送達ベクターと比較して大きい(Haj-Ahmand and Graham (1986) J. Virol. 57:267)。
【0083】
特定の態様において、アデノウイルスゲノムは欠失を含み、それによってアデノウイルスゲノムの領域の少なくとも一つは、機能的タンパク質をコードしない。例えば、アデノウイルスベクターは、E1遺伝子を含んでもよく、E1タンパク質を発現する細胞(例えば、293細胞)を用いてパッケージしてもよい。E3タンパク質もまた、その欠失について補完の必要がないので、しばしば欠失される。さらに、E4領域、E2a領域、プロテインIX領域、および線維タンパク質領域が、例えば、Armentanoら、(1997) J. Virology 71:2408;Gaoら、(1996) J. Virology 70:8934;Dedieuら、(1997) J. Virology 71:4626;Wangら、(1997) Gene Therapy 4:393;米国特許第5,882,877号によって記載されている。一般に、欠失は、パッケージング細胞に対する毒性を回避するために選択される。宿主細胞に対する毒性または他の有害効果を回避する欠失の組み合わせは、当業者によって慣用的に選択される。
【0084】
E3遺伝子を例外として、代表的には、さらなるウイルスを増殖(複製およびパッケージング)させるために、あらゆる欠失を補完する(例えば、パッケージング細胞によるトランス補完(transcomplementation)によって)必要が生じることを、当業者は理解する。
本発明はまた、本質的に全てのアデノウイルスゲノム配列が欠失しているguttedアデノウイルスベクターを用いて行ってもよい(この用語が当該分野において理解されていることは、例えば、Lieber, et al. (1996) J. Virol. 70:8944-60を参照のこと)。
【0085】
アデノ関連ウイルス(AAV)もまた、核酸送達ベクターとして使用されてきた。概説については、例えば、Muzyczkaら、Curr. Topics in Micro. and Immunol. (1992) 158:97-129を参照のこと。AVVは、それらのDNAを非分列細胞中に組み込ことができるいくつかのウイルスのうちの一つであり、ヒト染色体19中への高頻度での安定した組み込みを示す(例えば、以下を参照のこと:Flotte, et al. (1992) Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 7:349-356; Samulski, et al., (1989) J Virol. 63:3822-3828; McLaughlin, et al. (1989) J. Virol. 62:1963-1973)。AVVベクターを使用して多様な核酸が異なる細胞型中へ組み込まれてきた(例えば、以下を参照のこと:Hermonat, et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6466-6470; Tratschin, et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 4:2072-2081; Wondisford, et al. (1988) Mol. Endocrinol. 2:32-39; Tratschin, et al. (1984) J. Virol. 51:611-619; and Flotte, et al. (1993) J. Biol. Chem. 268:3781-3790)。
【0086】
本発明のNrkをコードする核酸を発現するAVVベクターを作製するために、任意の当該分野において公知の好適な方法を使用することができる(例示的な方法については、例えば、米国特許第5,139,941号;同第5,858,775号;同第6,146,874号を参照のこと)。一つの特定の態様においては、AVVの系統(stock)は、AVVのパッケージ機能をコードするrep/capベクターおよびAVVのcDNAをコードする鋳型を、ヘルパーアデノウイルスに感染させたヒト細胞中に共移入することによって、作製することができる(Samulski, et al. (1989) J. Virology 63:3822)。AVVのrep/cap遺伝子は、代替的に、その遺伝子を安定して発現するパッケージング細胞によって供給することができる(例えば、Gao, et al. (1998) Human Gene Therapy 9:2353; Inoue, et al. (1998) J. Virol. 72:7024;米国特許第5,837,484号;WO 98/27207;米国特許第5,658,785号;WO 96/17947を参照のこと)。
【0087】
本発明における使用のための別のベクターは、単純ヘルペスウイルス(HSV)である。HSVを、長期遺伝子維持のための潜在的な機能のみを示すベクターを作製することによって、細胞への核酸の送達のために改変することができる。HSVベクターは核酸送達のために有用である。なぜならば、HSVベクターは、20kbまでまたは20kbを超える大きなDNA挿入断片を許容し;極めて高い力価で作製することができ;中枢神経系において溶菌周期が起こらない限り長期間にわたり核酸を発現することが示されているからである。
【0088】
本発明の他の特定の態様において、重要な送達ベクターはレトロウイルスである。複製欠損型レトロウイルスのみを産生する特殊化した細胞株(パッケージング細胞と称される)の開発は、遺伝子治療のためのレトロウイルスの有用性を高め、欠陥レトロウイルスは、遺伝子治療を目的としての遺伝子の移入における用途について特徴付けられる(総説については、例えば、Miller (1990) Blood 76:271を参照のこと)。複製欠損型レトロウイルスは、標準的な技術によってヘルパーウイルスの使用を介して、標的細胞を感染させるために使用できるビリオンにパッケージすることができる。
【0089】
上記のもののようなウイルス移入法に加えて、非ウイルス法もまた使用することができる。多数の核酸移入の非ウイルス法は、巨大分子の取り込みおよび細胞内輸送のために哺乳動物細胞によって用いられる通常の機構に依存する。特定の態様において、非ウイルス核酸送達系は、標的細胞による核酸分子の取り込みのためのエンドサイトーシス経路に依存する。この型の例示的な核酸送達系としては、リポソーム誘導系、ポリリジン複合体、および人工ウイルスエンベロープが挙げられる。
【0090】
特定の態様において、プラスミドベクターが、本発明の実施において使用される。ネイキッドプラスミド(naked plasmid)は、組織への注入によって筋肉細胞中へ導入することができる。陽性細胞の数は比較的少ないが、発現は何ヶ月にもわたって延長し得る(Wolff, et al. (1989) Science 247:247)。カチオン性脂質は、培養中のいくつかの細胞中への核酸の導入に役立つことが示されている(Felgner and Ringold (1989) Nature 337:387)。マウスの循環中へのカチオン性脂質プラスミドDNA複合体の注入は、肺におけるそのDNAの発現をもたらすことが示されている(Brigham, et al. (1989) Am. J. Med. Sci. 298:278)。プラスミドDNAの一利点は、非複製細胞中へ導入することができる点である。
【0091】
代表的な態様において、核酸分子(例えばプラスミド)を、表面上に正電荷を帯びる脂質粒子中に封入することができ、必要に応じて、標的組織の細胞表面抗原に対する抗体でタグすることができる(Mizuno, et al. (1992) No Shinkei Geka 20:547;WO 91/06309;Japanese patent application 1047381;および欧州特許公開EP-A-43075)。
【0092】
両親媒性カチオン性分子からなるリポソームは、in vitroおよびin vivoにおける核酸送達のための有用な非ウイルスベクターである(Crystal (1995) Science 270:404-410; Blaese, et al. (1995) Cancer Gene Ther. 2:291-297; Behr, et al. (1994) Bioconjugate Chem. 5:382-389; Remy, et al. (1994) Bioconjugate Chem. 5:647-654;およびGao, et al. (1995) Gene Therapy 2:710-722において総説がなされている)。正に荷電されたリポソームは、負に荷電された核酸と静電気相互作用を介して複合し、脂質:核酸複合体を形成すると考えられる。脂質:核酸複合体は、核酸移入ベクターとしていくつかの利点を有する。ウイルスベクターと異なり、脂質:核酸複合体は、本質的に無制限のサイズの発現カセットを移入するために用いることができる。複合体はタンパク質を欠いているので、引き起こす免疫応答および炎症応答はより少ない。さらに、これらは複製することも再結合して感染性病原体を形成することもできず、低い組み込み頻度を有する。多数の刊行物が、両親媒性カチオン性脂質がin vivoおよびin vitroでの核酸送達を媒介し得ることを示している(Felgner, et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-17; Loeffler, et al. (1993) Methods in Enzymology 217:599-618; Felgner, et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:2550-2561)。
【0093】
上記に示すように、多様な目的(例えば、スクリーニングアッセイ、ラージスケールタンパク質産生、精製されたNrkの送達に基づく治療方法)のために、Nrkポリペプチドを、Nrkをコードする核酸を発現する培養細胞または生物体において産生し、必要に応じてこれらから精製することができる。
【0094】
特定の態様において、Nrkをコードする単離された核酸を、組み換えタンパク質産生のために、培養細胞、例えば、初代細胞株または不死化した細胞株中に導入することができる。組み換え細胞を、Nrkポリペプチドを産生するために使用することができ、Nrkは、細胞または細胞培養培地から収集される。同様に、組み換えタンパク質を、本質的にバイオリアクターとして用いられている生物体(例えば、微生物、動物または植物)において産生し、必要に応じてそれから精製してもよい。
【0095】
一般的に、単離された核酸は、発現ベクター(本明細書において記載されるようなウイルスまたは非ウイルス性のもの)中へ組み込まれる。多様な宿主と適合性の発現ベクターは、当該分野において周知であり、核酸の転写および翻訳のための好適なエレメントを含んでいる。代表的には、発現ベクターは発現カセットを含み、発現カセットは、5’から3’の方向に、プロモーター、プロモーターと作動的に連結されたNrkをコードするコード配列、および必要に応じて、RNAポリメラーゼのための停止シグナルおよびポリアデニラーゼのためのポリアデニル化シグナルを含む終止配列を含む。
【0096】
発現ベクターを、原核生物または真核生物の細胞におけるポリペプチドの発現のために設計することができる。例えば、ポリペプチドを、E. coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えばバキュウロウイルス発現系)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現させることができる。いくつかの好適な宿主細胞が、Goeddel (1990) Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CAにおいてさらに考察されている。酵母S. cerevisiaeにおける発現のためのベクターの例として、pYepSecl(Baldari, et al. (1987) EMBO J. 6:229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz (1982) Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultz, et al. (1987) Gene 54:113-123)、およびpYES2(INVITROGEN Corporation, San Diego, CA)が挙げられる。培養昆虫細胞(例えば、Sf 9細胞)においてタンパク質を産生するための核酸の発現に利用できるバキュウロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smith, et al. (1983) Mol. Cell. Biol. 3:2156-2165)およびpVLシリーズ(Lucklow and Summers (1989) Virology 170:31-39)が挙げられる。
【0097】
哺乳動物の発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed (1987) Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufman, et al. (1987) EMBO J. 6:187-195)が挙げられる。哺乳動物細胞において用いられる場合、発現ベクターの制御機能は、しばしばウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、一般的に用いられるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびサルウイルス40に由来する。
本明細書において考察される調節的制御配列に加え、組み換え発現ベクターは、さらなるヌクレオチド配列を含んでもよい。例えば、組み換え発現ベクターは、ベクターに組み込まれた宿主細胞を同定するための選択可能なマーカー遺伝子を有していてもよい。
【0098】
ベクターは、従来の形質転換技術または形質移入技術を介して原核生物または真核生物の細胞中へ導入することができる。本明細書において使用される場合、用語、形質転換および形質移入とは、宿主細胞中へ外来性核酸(例えばDNA)を導入するための当該分野において公知の多様な技術を指し、リン酸カルシウム共沈殿または塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン−媒介性形質移入、リポフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、DNA充填リポソーム、リポフェクタミン−DNA複合体、細胞超音波処理、高速微粒子銃を用いた遺伝子照射、およびウイルス媒介性形質移入が挙げられる。宿主を形質転換または形質移入するための好適な方法は、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press (1989))および他の実験マニュアルにおいて見出すことができる。
【0099】
しばしば、細胞(特に哺乳動物細胞)の一部のみが、外来性DNAをそのゲノム中に組み込む。これらの組み込み体を同定して選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする核酸を、目的の核酸と共に宿主細胞に導入することができる。特定の態様において、選択可能なマーカーとして、G418、ハイグロマイシン、およびメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を与えるものが挙げられる。選択可能なマーカーをコードする核酸を、目的の核酸を含むものと同じベクター上で宿主細胞中に導入しても、別個のベクター上で導入してもよい。導入された核酸によって安定して形質転換された細胞は、薬物選択(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅するもの)によって同定することができる。
【0100】
組み換えタンパク質はまた、そのタンパク質をコードする単離された核酸が核または色素体のゲノム中に挿入されているトランスジェニック植物において産生することができる。植物の形質転換は、当該分野において公知である。一般的には、Methods in Enzymology、第153巻(Recombinant DNA Part D)、1987年、WuおよびGrossman編、Academic Press、ならびに欧州特許出願EP 693554を参照のこと。
【0101】
本発明はさらに、本発明のスクリーニング方法およびラージスケールタンパク質産生方法(例えば、Nrkを産生させて細胞から収集し、必要に応じて精製するもの)における使用のための、Nrkをコードする単離された核酸を含有する培養細胞または組み換え細胞を提供する。特定の態様において、本発明は、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグを同定するためのスクリーニングアッセイにおける使用のための、上記のようなNrkをコードする単離された核酸を含む培養細胞を提供する。また、Nrkをコードする単離された核酸を治療上の有効量において被験体に投与することを含む方法によってin vivoで産生される細胞も提供される。
【0102】
in vitroでのスクリーニングアッセイおよび治療的投与について、Nrkポリペプチドを培養細胞から精製することができる。代表的には、ポリペプチドは、分泌されたポリペプチドとして培養培地から回収するが、分泌シグナルなしで直接的に発現される場合は、宿主細胞のライセートからもまた回収することができる。Nrkがヒト由来のもの以外の組み換え細胞において発現される場合、Nrkは、ヒト由来のタンパク質またはポリペプチドを全く含まない。しかし、Nrkについて実質的に均質である調製物を得るためには、組み換え細胞のタンパク質またはポリペプチドからNrkを精製することが必要である。第一の工程として、培養培地またはライセートを遠心分離して、粒子状の細胞組織片を除去する。次いで、膜および可溶性タンパク質の画分を分離する。次いで、Nrkを、可溶性タンパク質画分から精製することができる。その後、Nrkを、混入物の可溶性のタンパク質およびポリペプチドから、例えば以下の好適な精製手段によって精製する:免疫アフィニティーカラムまたはイオン交換カラム上での分画によるもの;エタノール沈殿;逆層HPLC;シリカ上での、またはDEAEなどのカチオン交換樹脂上でのクロマトグラフィー;等電点電気泳動;SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿;例えばSEPHADEX G-75を用いたゲルろ過;リガンドアフィニティークロマトグラフィーおよびIgGなどの混入物を除去するためのプロテインA SEPHAROSEカラム。
【0103】
Nrkはチアゾフリンをリン酸化し、チアゾフリンの活性化における第一の工程を行うので、Nrkは、Nrkによるリン酸化およびその後のアデニリル化の際にIMPDHを阻害する化合物を同定するための有用な標的である。IMPDH酵素の阻害剤は抗ウシウイルス性下痢ウイルス剤として機能すること(Stuyver, et al. (2002) Antivir. Chem. Chemother. 13(6):345-52);IMPDHの阻害剤はB型肝炎レプリコンコロニー形成効率を阻害すること(Zhou, et al. (2003) Virology 310(2):333-42);ならびに、チアゾフリン(Cooney, et al. (1983) Adv. Enzyme Regul. 21:271-303)およびベンズアミドリボシド(Krohn, et al. (1992) J. Med. Chem. 35:511-517)は、活性化された場合、IMPデヒドロゲナーゼを阻害することが示されているので、Nrkおよびニコチンアミドリボシド経路を薬物スクリーニングに使用することによって、抗ガン剤および抗ウイルス剤が同定されることが考えられる。したがって、本発明は、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグを同定するための方法を提供する。本明細書において使用される場合、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグとは、Nrkによってリン酸化された場合に、最終的に細胞死または抗ウイルス活性をもたらすことができるニコチンアミドリボシドの任意のアナログ(例えば、チアゾフリンおよびベンズアミドリボシド)である。
【0104】
一態様において、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグは、単離されたNrkポリペプチドを使用する細胞フリーアッセイにおいて同定される。このスクリーニングアッセイに含まれる工程として、Nrkポリペプチドを単離または精製すること;少なくとも一つのニコチンアミドリボシド関連試験剤を、単離されたNrk、およびATP、Mg−ATP、Mn−ATP、Mg−GTPまたはMn−GTPなどの好適なリン酸ドナーを含むプレート中のウェルなどの適用のポイントへ、接触させるかまたは添加すること;ならびに、前記試験剤が前記Nrkポリペプチドによってリン酸化されたか否かを決定すること(ここで、前記試験剤のリン酸化は、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグの指標である)が挙げられる。リン酸ドナーは、剤と共に添加されても剤の後で添加されてもよく、アッセイは、本明細書において例示されるもののような、リン酸化に好適なアッセイ条件下において行われる。
細胞フリーアッセイについて、試験剤は、合成されても、別の方法でプラスチックのピン、ガラスのスライドグラス、プラスチックのウェルなどの固体の基質に添付されていてもよい。さらに、単離されたNrkは、溶液中で遊離していても、固体支持体に添付されていても、または細胞表面に発現されてもよい。
【0105】
あるいは、マトリックスへのNrkの結合を促進するために、Nrk融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質を、グルタチオンSEPHAROSEビーズ(Sigma Chemical, St. Louis, MO)またはグルタチオン誘導性マイクロタイタープレート上へ吸着させてもよい。これらは、次いで、試験剤と組み合わせて、複合体形成を誘導する条件下において(例えば、塩およびpHについて生理学的条件で)および上記のようなリン酸化を誘導する条件下において、混合物をインキュベートする。
【0106】
別の態様において、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグを、細胞ベースのアッセイにおいて同定する。本発明のこのスクリーニングアッセイに含まれる工程として、組み換えNrkポリペプチドを発現する第一の試験細胞をニコチンアミドリボシド関連試験剤と接触させること;機能的なNrkポリペプチドを欠失する第二の試験細胞を同じ試験剤と接触させること;ならびに第一および第二の試験細胞のバイアビリティを決定すること(ここで、第一の試験細胞の感受性または細胞死があって第二の細胞ではないことが、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグの指標である)。細胞ベースのアッセイは、細菌、酵母、昆虫細胞(例えば、バキュウロウイルス発現系を用いて)、鳥類細胞、哺乳動物細胞、または植物細胞を含む任意の好適な細胞を使用して行うことができるが、特定の態様において、試験細胞は哺乳動物細胞である。さらなる態様において、前記細胞は、機能的な内因性Nrkを欠いている(例えば、内因性Nrkが欠失されているもしくは変異されているか、またはその細胞はNrkを発現しない)。
【0107】
前記第一の試験細胞は、外因性Nrkを含む発現ベクターで形質転換または形質移入され、それによって、試験剤への暴露の際に、形質転換細胞のバイアビリティを、あらゆるNrk活性を欠く第二の試験細胞と比較することができる。したがって、試験剤がNrk依存的な様式で活性化されているか否かを確認することができる。組み換えNrkを発現するように改変された細胞は、Nrkをコードする核酸で一時的に形質転換されても安定して形質転換されてもよい。安定して形質転換された細胞は、生物体のゲノム中への安定した組み込みによって、または安定して維持されるエピソーム(例えば、エプスタイン・バールウイルス由来エピソーム)からの発現によって生成することができる。
【0108】
細胞のバイアビリティを決定するための好適な方法は、当該分野においてよく確立されている。かかる方法の一つは、完全な細胞膜または活性な細胞代謝を有する細胞に進入しない非透過性色素(例えば、ヨウ化プロピジウム、7−アミノアクチノマイシンD)を使用する。損傷された細胞膜を有する細胞または不完全な細胞代謝を有する細胞もしくは細胞代謝を有さない細胞は、色素が細胞へ進入することを防ぐことが出来ない。細胞内に入ると、色素は細胞内構造に結合して蛍光性が高い付加体を産生し、これが、細胞が生存していないことを同定する。あるいは、細胞のバイアビリティは、非蛍光の基質を蛍光性が高い産物(例えば、蛍光ジアセテート)へ変換させる、活性な細胞代謝についてのアッセイによって決定することができる。
【0109】
本発明のスクリーニング方法の試験細胞は、標準的な温度、インキュベーション時間、至適密度、プレート密度、ならびに細胞の栄養要求および生理学的要求に対応する培地組成の条件下において培養することができる。しかし、試験細胞の維持および増殖のための条件は、本発明のスクリーニング方法においてアッセイする候補剤のための条件とは異なる可能性がある。当該分野において公知のあらゆる技術を、至適条件を確立するために適用することができる。
【0110】
本発明のスクリーニングアッセイは、多重反応の迅速な調製およびプロセシングを可能にする任意の形式、例えば、96ウェルの種類のマルチウェルプレートなどにおいて行うことができる。剤ならびにアッセイ成分のストック溶液を、手動で調製し、全てのその後のピペッティング、希釈、混合、洗浄、インキュベート、サンプル読み出しおよびデータ回収を、市販のロボットピペッティング器具、自動ワークステーション、およびアッセイの出力を検出するための分析機器を使用して行う。
【0111】
上記に提供される試薬に加えて、種々の他の試薬を本発明のスクリーニングアッセイに含めることができる。これらは、塩、中性タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤などを含む。また、他の方法でアッセイの効率を改善する試薬、例えばプロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗菌剤などを用いることができる。
【0112】
スクリーニングアッセイはまた、in vivoで動物において行うことができる。したがって、本発明は、Nrkをコードする単離された核酸を含むトランスジェニック非ヒト動物を提供し、これは、当該分野において周知の方法によって提供することができる。トランスジェニック非ヒト動物は、鳥類および非ヒト哺乳動物を含む任意の種であってよい。本発明によれば、好適な非ヒト哺乳動物として、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウシが挙げられる。癌、ウシ下痢ウイルス感染またはC型肝炎ウイルス感染についての哺乳動物モデルもまた使用することができる。
【0113】
Nrkをコードする核酸を、トランスジェニック動物中の細胞内へ安定して組み込む(代表的には、ゲノム中への安定した組み込みによって、または安定して維持されるエピソームによる誘導によって)。全ての細胞がトランスジーンを含むことは必要ではなく、動物は、十分な数の細胞がNrkトランスジーンを含んで発現し、それによって動物がスクリーニングツールとして有用である(例えば、試験剤の投与が検出可能な細胞死または抗ウイルス活性を生じる)限りにおいて、改変細胞と非改変細胞とのキメラであってよい。
トランスジェニック動物を作製する方法は当該分野において公知である。トランスジェニック動物を作製するために、DNAコンストラクトを鳥類または哺乳類の生殖系細胞中へ導入することができる。例えば、標準的なトランスジェニック技術によって、一コピーまたは数コピーのコンストラクトを、胚のゲノム中へ組み込むことができる。
【0114】
例示的な態様において、非ヒト動物の生殖系列中にトランスジーンを導入することによってトランスジェニック非ヒト動物を提供する。トランスジーンは、多様な発生段階において胚性標的細胞中へ導入することができる。胚性標的細胞の発生の段階に依存して、異なる方法が使用される。可能であれば、使用されるあらゆる動物の特定の系統が、良好な健康状態、良好な胚産生量、胚における良好な前核視感度、および良好な生殖適応度について選択される。
【0115】
胚へのトランスジーンの導入は、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、またはウイルスベクターなどの当該分野において公知の種々の手段のいずれによって達成してもよい。例えば、受精した哺乳動物の卵の前核へコンストラクトをマイクロインジェクションして、発生する哺乳動物の細胞中に一コピーまたは数コピーのコンストラクトが保持されるようにすることによって、哺乳動物へトランスジーンを導入してもよい。受精卵へのトランスジェニックコンストラクトの導入に続いて、卵を、in vitroで多様な長さの時間にわたりインキュベートしても、代理宿主中へ再移植しても、またはこの両方を行ってもよい。
【0116】
遺伝子導入によって操作された胚の子孫を、組織のセグメントのコンストラクトの存在について(例えば、サザンブロット分析によって)試験することができる。一コピー以上の外因性のクローニングされたコンストラクトがゲノムに安定して組み込まれている胚を使用して、遺伝子導入によって加えられたコンストラクトを運搬する恒久的なトランスジェニック動物系統を樹立することができる。
遺伝子導入によって改変された動物は、生後、出生児のゲノム中へのコンストラクトの組み込みについてアッセイすることができる。これは、ポリペプチドまたはそのセグメントをコードするDNA配列に対応するプローブを、子孫由来の染色体材料に対してハイブリダイズすることによって行うことができる。少なくとも一コピーのコンストラクトをそのゲノム中に含む子孫を、生育して成熟させる。
トランスジェニック鳥類を提供する方法もまた、当該分野において公知である。例えば、米国特許第5,162,215号を参照のこと。
【0117】
ニコチンアミドリボシド関連試験剤は、合成または天然の化合物のライブラリーを含む広範なソースから得ることができる。かかる剤として、ニコチンアミドリボシドのアナログまたは誘導体、ならびにチアゾフリンおよびベンズアミドリボシドおよびこれらのアナログまたは誘導体が挙げられ得る。
【0118】
あるいは、単離されたNrkポリペプチドを使用して、Nrkの結晶構造を生み出し、合成にアナログを設計してもよい。E. coli panKの結晶構造に基づき、Asp127が、パントテン酸キナーゼの転移ホスホリル基の遷移状態安定化において重要な役割を果たすと考えられる(Yun, et al. (2000) J. Biol. Chem. 275:28093-28099)。したがって、対応するNrk変異体、例えば、NRK2-E100Qが、Nrkとヌクレオチドとの間で安定な複合体を生成するために使用され得る(すなわち、NRK2-E100Q+ニコチンアミドリボシド+ATPが、結晶化するのに十分安定であり得る)ことが考えられる。あるいは、Nrkは、ATP模倣化合物(例えば、AMP−PNHPおよびAMP−PCHP)などの阻害剤の存在下において、安定な複合体を提供することができる。代謝物キナーゼについては、二基質阻害剤を非常に首尾よく使用されてきた。例えば、dTMP+ATP−>dTDP+AMPの反応を行うチミジレートキナーゼは、dTpppppAによって強く阻害され(Bone, et al. (1986) J. Biol. Chem. 261:16410-16413)、この阻害剤を用いて結晶構造が得られた(Lavie, et al. (1998) Biochemistry 37:3677-3686)。
【0119】
最もすぐれた阻害剤は、代表的には、組み合わされた二種類の基質より1個または2個多いリン酸を含むことが示されている(すなわち、dTppppAは、dTpppppA程すぐれた基質ではない)。アデノシンキナーゼによる同じ型の結果(Bone, et al. (1986)、上記)に基づいて、NrppppA(すなわち、2個の余分なリン酸を有するNAD+のアナログ)が、NrpppA(すなわち、1個の余分なリン酸を有するNAD+のアナログ、または、実際には、ニコチンアミドリボシド+AppNHp)よりもすぐれた阻害剤であることが考えられる。余分なリン酸を有するNAD+アナログは、標準的な酵素法(例えば、Guranowski, et al. (1990) FEBS Lett. 271:215-218を参照のこと)であって広範なアデニル化二ヌクレオチドポリリン酸を作るために最適化された方法(Fraga, et al. (2003) FEBS Lett. 543:37-41)、すなわち、Nrpp(ニコチンアミドリボシド二リン酸)およびNrppp(ニコチンアミドリボシド三リン酸)と、ホタルルシフェラーゼ−AMPとの反応を使用して生成することができる。NMNの二リン酸化形態(Nrpp)は、ウリジル酸(uridylate)キナーゼまたはシチジル酸(cytidylate)キナーゼを用いて調製する(NMN+ATP−>Nrpp)。NMNの三リン酸形態(Nrppp)は、次いで、ヌクレオシド二リン酸キナーゼを用いて調製する(Nrpp+ATP−>Nrppp)。結果として生じる阻害剤を、次いで、結晶化試験に使用するか、および/またはNrk結晶中へ浸漬する。
【0120】
Nrkの三次元構造が決定した後、試験剤の候補を、GRAM、DOCKまたはAUTODOCKなどのドッキングプログラムを使用するコンピューターモデル(Dunbrack, et al. (1997) Folding & Design 2:27-42)の使用を介して、試験してもよい。この手順は、候補のリガンドの形状および化学構造がどれくらいよくNrkと相互作用するかを確定するための、コンピューターによるNrkへの候補の剤の適合を含んでもよい。コンピュータープログラムはまた、試験剤の誘引力、反発力、および立体障害を概算するために使用してもよい。一般的に、適合が強いほど(例えば、立体障害が低いほど、および/または誘引力が高いほど)、その剤はよりすぐれた基質である。なぜならば、これらの特性は、より強い結合拘束力と一致するからである。さらに、候補試験剤の設計がより特異的であるほど、その剤は関連する哺乳動物タンパク質と緩衝しない可能性が高い。このことは、他のタンパク質との好ましくない相互作用に起因する副作用の可能性を最少化する。
【0121】
本発明はまた、本発明の単離された核酸、送達ベクター、またはポリペプチドを、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグとの組み合わせにおいて用いて、癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることが疑われる患者において癌を処置する方法である。ヒト被験体または動物に対する、本発明の核酸、送達ベクター、またはポリペプチドの投与は、核酸、ベクターまたはポリペプチドを投与するための当該分野において公知のあらゆる手段によるものであってよい。本明細書において使用される場合、患者とは、ヒト、農業において重要な動物、ペットまたは動物園の動物などのあらゆる哺乳動物を含むことを意図する。癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることが疑われる患者とは、癌の兆候もしくは症状を示すか、または遺伝、環境、もしくは自然の原因に起因して癌を罹患していることが疑われる患者である。
【0122】
Nrkをコードする核酸、同じものを含むベクター、またはNrkポリペプチドを、癌の兆候または症状(例えば、腫瘍の大きさ、脱力感(feeling of weakness)および痛みの知覚)を低減、緩和、または取り除くために有効な量において、被験体に投与することができる。癌の兆候または症状を低減、取り除く、または緩和する所望の結果を達成するために必要とされる剤の量は、剤の薬学的組成、患者および患者の状態、投与の形態、予防または処置される状態または疾患の型、患者の年齢および種、特定のベクター、ならびに送達される核酸に依存し、慣用的な様式において決定され得る。
【0123】
プロドラッグ、Nrk核酸、送達ベクター、またはポリペプチドは、同時に送達することができるが、代替的な態様においては、活性化された薬物または毒性の薬物を生成するように細胞をプレコンディションするために、Nrk核酸、送達ベクター、またはポリペプチドが始めに提供され、その後、プロドラッグが投与される。
【0124】
本発明の方法によって処置することができる癌の型として、以下が挙げられるが、これらに限定されない:膵臓癌、子宮内膜癌、肺の小細胞癌および非小細胞癌(扁平上皮細胞、腺癌、および大細胞型を含む)、頭部および頸部の扁平上皮癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸部癌、乳癌、腎臓癌、CNSの癌、および結腸癌、骨髄性およびリンパ球性の白血病、リンパ腫、肝腫瘍、甲状腺髄様癌、多発性骨髄腫、黒色腫、網膜芽細胞腫、ならびに軟組織および骨の肉腫。
【0125】
代表的には、ウイルスベクターに関連して、少なくとも約10個のウイルス粒子、少なくとも約10個のウイルス粒子、少なくとも約10個のウイルス粒子、少なくとも約10個のウイルス粒子、少なくとも約1011個のウイルス粒子、少なくとも約1012個のウイルス粒子、または少なくとも約1013個のウイルス粒子が、患者に処置1回あたり投与される。例示的な用量は、約10個〜約1015個の粒子、約10個〜約1014個の粒子、約10個〜約1013個の粒子、約1010個〜約1015個の粒子、約1011個〜約1015個の粒子、約1012個〜約1014個の粒子、または約1012個〜約1013個の粒子のウイルス力価である。
【0126】
本発明の特定の態様において、治療的レベルの核酸発現を達成するために、1回より多くの投与(例えば、2回、3回、4回または4回より多くの投与)が、多様な時間間隔(例えば、毎時、毎日、毎週、毎月など)にわたって使用される。
【0127】
チアゾフリンは、初めはシチジンジアミナーゼ阻害剤として合成されたヌクレオシドアナログである。チアゾフリンは、細胞の酵素によってNAD+のアナログであるTADに変換されるプロドラッグであることが示された。TADは、GTPおよびdGTPの生成における律速酵素であるIMPデヒドロゲナーゼを阻害する(Cooney, et al. (1983)、上記)。急性白血病の第I相/第II相試験において、チアゾフリンは、85%もの高さの応答率をもたらし、移行期または急性転化のCMLの処置のためのオーファンドラッグの地位を与えられた。培養細胞の処置によって、チアゾフリンがアポトーシスの誘導によって選択的に癌細胞を殺傷することが示された:この活性は、活発に複製する細胞のdGTPに対する依存性が高まること、および、多数の形質転換された遺伝子型が低分子量Gタンパク質を介するシグナルに対して習慣性であることの両方に起因する(Jayaram, et al. (2002) Curr. Med. Chem. 9:787-792)。
【0128】
NCI-60の癌細胞株のパネルの感受性の試験、およびチアゾフリンについての文献は、特定の胸部由来の腫瘍、腎臓由来の腫瘍、CNS由来の腫瘍、結腸由来の腫瘍、および非小細胞性の肺由来の腫瘍が、最も感受性が高く、一方、同じ器官部位からの他のものは最も耐性であることを示す(Johnson, et al. (2001) Br. J. Cancer 84:1424-1431)。本明細書において示されるように、ニコチンアミドリボシドのNAD+前駆体としての機能は、完全にNrk1に依存し、ヒトNrkは、チアゾフリンのリン酸化において、ニコチンアミドリボシドのリン酸化と同じくらい高い特異的活性を有する。Nrk2発現は筋肉特異的であり(Li, et al. (1999)、上記)、Nrk1は非常に低いレベルで発現されるが(Boon, et al. (2002)、上記)、NMN/NaMNATは制限されないので、Nrk遺伝子発現による腫瘍の層別化は、チアゾフリン感受性をほぼ予測し、その主な原因となることが考えられる。
【0129】
したがって、本発明はさらに、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグによる処置に対して感受性である個体または腫瘍を同定するための方法である。一態様において、個体または腫瘍におけるNrkタンパク質のレベルを、イムノアッセイにおいてNrk特異的抗体の結合によって検出する。別の態様においては、Nrk酵素活性のレベルを、例えば、本明細書において開示されるニコチンアミドリボシドのリン酸化アッセイを用いて決定する。別の態様において、NrkのRNA転写物レベルを、RNAのレベルを決定するためのあらゆる周知のRNAベースのアッセイを用いて検出する。検出した後、Nrkのレベルを既知の標準物質と比較する。標準物質と比較した場合のNrkのレベルの変化は、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグによる処置に対する感受性のレベルの変化の指標である。なおさらなる態様において、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグによる処置に対する感受性のレベルの変化をもたらすNrk遺伝子の変異または多型を同定することができる。
【0130】
ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグによる癌および他の疾患のための最適化された処置は、本明細書において提供される天然に高いレベルのNrkを有する細胞を対象とするか、またはより高いレベルのNrkを発現するように組み換え操作された細胞を対象とする。これらの処置の安全性、特異性、および効力は、NAD+前駆体、すなわち、トリプトファン、ニコチン酸、ニコチンアミド、またはニコチンアミドリボシドのいずれかの量の補充または制限によって調製することができる。
【0131】
Nrkタンパク質レベルの検出のために、Nrkを特異的に認識する抗体を生成する。これらの抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルのいずれでもよい。さらに、かかる抗体は、天然であっても、部分的にまたは完全に合成によって生成されてもよい。Nrkに結合して認識する能力を維持するその全てのフラグメントまたは誘導体(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、scFv、Fv、またはFdフラグメント)もまた、含まれる。抗体は、あらゆるイムノグロブリンクラスの一員であってよく、ヒトのクラス:IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEのいずれかを含む。
【0132】
Nrk特異的抗体は、古典的なクローニング技術および細胞融合技術を用いて生成することができる。例えば、Kohler and Milstein (1975) Nature 256:495-497; Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New Yorkを参照のこと。あるいは、Nrkに特異的に結合する抗体は、ファージディスプレイ法によって誘導される。ファージディスプレイ抗体を生成する方法は、当該分野において周知である(Huse, et al. (1989) Science 246(4935):1275-81)。
【0133】
Nrk特異的抗体の選択は、結合アフィニティーに基づき、種々の周知のイムノアッセイによって決定することができる。そのようなアッセイとしては、酵素結合免疫吸着アッセイ、免疫拡散化学発光アッセイ、免疫蛍光アッセイ、免役組織化学アッセイ、ラジオイムノアッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫電気泳動アッセイ、および免疫沈降アッセイなどが挙げられ、これらは、in vitro、in vivoまたはin situで行うことができる。かかる標準的技術は、当業者に周知である(例えば、「Methods in Immunodiagnosis」第2版、Rose and Bigazzi編、John Wiley & Sons, 1980;Campbellら、「Methods and Immunology」、W.A. Benjamin, Inc., 1964;およびOellerich, M. (1984) J. Clin. Chem. Clin. Biochem. 22:895-904を参照のこと)。
【0134】
特異的について完全に特徴付けられた後で、ELISA、ウェスタンブロッティング、または免疫組織化学法などの技術を介して、健常組織および疾患組織(すなわち、腫瘍)におけるNrkのレベルを評価するための診断または予測的方法において、抗体を使用することができる。
【0135】
Nrkタンパク質のレベルの検出のための一般的な方法は、サンプルとNrkに特異的に結合する抗体とを接触させること、サンプルを洗浄して非特異的相互作用を除去すること、ならびに、上記のイムノアッセイならびに抗原を検出および/または定量するために使用される多数の周知のイムノアッセイ(例えば、Harlow and Lane (1988)、上記を参照)のいずれか一つを用いて抗体−抗原複合体を検出することを提供する。かかる周知のイムノアッセイとして、抗体捕獲アッセイ、抗原捕獲アッセイ、二抗体サンドウィッチアッセイが挙げられる。
【0136】
Nrkをコードする核酸配列の検出のために、DNAベースの方法またはRNAベースの方法のいずれかを使用することができる。Nrk遺伝子座における変異(すなわち、誘導されたか、天然または遺伝由来の、フレームシフト変異、点変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異、スプライス変異、欠失または挿入)を検出するためのDNAベースの方法として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:DNAマイクロアレイ技術、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(変異型および野生型)、RNAベースのシークエンシング、一本鎖高次構造多型(SSCP)解析、ヘテロ二本鎖分析(HET)、PCR、または変性勾配ゲル電気泳動。変異は、例えばシークエンシングクロマトグラム上のデュアルベースコール(dual base call)として現れる。潜在的な変異は、多重の独立したPCR反応によって確認する。本発明の診断方法によって同定することができる例示的な単一ヌクレオチド多型として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ヒトNrk1については、NCBI SNP Cluster ID番号rs3752955、rs1045882、rs11519、およびrs3185880、ならびにヒトNrk2についてはCluster ID番号rs2304190、rs4807536、およびrs1055767。
【0137】
NrkをコードするRNA転写物のレベルを検出するために、標準的な方法(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New York)に従って個体または腫瘍の細胞から核酸を単離する。核酸は、ホールセルRNAであっても、Poly-A+に分画されていてもよい。RNAを相補DNA(cDNA)に変換することが望ましい場合もある。通常は、核酸を増幅する。
【0138】
個体または腫瘍から単離された核酸中に存在するNrkのRNA転写物のレベルを評価または定量するために、多様な方法を用いることができる。例えば、NrkのRNA転写物のレベルは、ノーザンブロット分析(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New Yorkを参照のこと);オリゴヌクレオチドもしくはcDNAフラグメントのハイブリダイゼーション(ここで、オリゴヌクレオチドもしくはcDNAは、チップまたはウェハ上でアレイを形成する);リアルタイムPCR分析、またはRT−PCR分析などの周知の方法を用いて評価することができる。
【0139】
当業者は、好適なプライマー、プローブ、またはかかる検出方法のために有用なオリゴヌクレオチドを、本明細書において提供されるNrk核酸配列から生成することができる。用語プライマーとは、本明細書において使用される場合、鋳型依存的なプロセスにおける新生の核酸の合成をプライミングすることができるあらゆる核酸を含むように意図される。代表的には、プライマーは、長さが10〜20塩基対のオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列もまた使用することができる。プライマーは、二本鎖または一本鎖の形態において生成することができる。プローブは、異なるように定義されるが、プライマーとしても作用させることができる。プローブは、おそらくプライミングを行うことはできるが、標的のDNAまたはRNAに結合することのために設計され、増幅プロセスにおいて使用されることは必要でない。一態様において、プローブまたはプライマーは、例えば、放射活性種(32P、14C、35S、H、もしくは他の標識物)またはフルオロフォア(ローダミン、フルオレッセイン)で標識される。用途に応じて、プローブまたはプライマーをコールド(すなわち、未標識で)使用してもよく、RNA分子またはcDNA分子が標識される。
【0140】
形式に応じて、視覚的手段(例えば、ゲルの臭化エチジウム染色)によって検出を行うことができる。あるいは、検出は、化学発光、放射標識もしくは蛍光標識を介する産物の間接的同定、または電気的インパルスもしくは熱インパルスのシグナルを使用する系(Bellus (1994) J. Macromol. Sci. Pure Appl. Chem. A311:1355-1376)を介する産物の間接的同定すら含むことができる。
【0141】
個体または腫瘍におけるNrkの変異または個体または腫瘍において存在するNrkのレベルの検出の後で、前記変異またはレベルを、既知のコントロールまたは標準物質と比較する。既知のコントロールは、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグによる処置に対して感受性であるかまたは感受性を欠く、統計学的に有意な個体の参照群であり得、個体または腫瘍に属する診断情報または予測的情報を提供し、それらの情報について分析が行われる。
【0142】
本明細書において記載される場合、除タンパクされた牛乳の乳清画分から単離されたニコチンアミドリボシドは、qns1変異体におけるNRK1依存的増殖を支持するのに十分であった。したがって、本明細書において作製された変異株は、栄養補助食品において使用するための他の天然または合成のニコチンアミドリボシドの原料の同定において有用である。したがって、本発明がまた包含するものは、かかる天然または合成の原料を同定するための方法である。この方法の第一の工程として、機能的なグルタミン依存的NAD+シンターゼを欠失する第一の細胞を、天然または合成の原料から単離された抽出物と接触させる。一態様において、第一の細胞は、URA3プラスミド上にQNS1遺伝子を有するqns1変異体(すなわち、NAD+シンターゼを有しない)である。あらゆる細胞を使用することができるが、特定の態様において、本発明のこの方法において酵母細胞を使用する。qns1変異株は、ニコチンアミドリボシドを補充される限りは、5−フルオロオロト酸上で正常な増殖を有する(すなわち、URA3 QNS1プラスミドが回復している)。
【0143】
この方法の第二の工程として、機能的なグルタミン酸依存的NAD+シンターゼを欠失する第二の細胞および機能的ニコチンアミドリボシドキナーゼを、先の工程の天然または合成の原料から単離された同じ抽出物と接触させる。qns1およびnrk1の二重変異体を使用して、本明細書において、NRK1遺伝子がニコチンアミドリボシド上での増殖のために必要であること:ニコチンアミドリボシドを用いてですらqns1およびnrk1が総合的に致死性であることを示した。この欠失株は、本発明のこのスクリーニングアッセイにおいて有用である。なぜならば、この欠失株によって、ニコチンアミドリボシドとNMNとNAD+とを効果的な栄養として区別することができるからである。
この方法のその後の工程として、第一の細胞および第二の細胞の増殖を比較する。単離された抽出物がニコチンアミドリボシドを含んでいる場合、第一の細胞は増殖し、第二の細胞は増殖しない。
【0144】
ニコチンアミドリボシドの合成の原料としては、Merck、Glaxo、Bristol Meyers Squibb、Monsanto/Searle、Eli Lilly、およびPharmaciaを含む、殆どの大きな化学会社から市販されているあらゆる化学物質のライブラリーが挙げられ得る。ニコチンアミドリボシドの存在について試験することができる天然の原料としては、牛乳、血清、肉、卵、果実および穀物が挙げられるが、これらに限定されない。天然の原料の単離された抽出物は、標準的な方法を用いて調製することができる。例えば、天然の原料を緩衝溶液中でホモジェナイズし、遠心分離して細胞組織片を除去し、塩、炭水化物、ポリペプチド、核酸、脂肪などを除去するために分画し、その後、本発明の変異株について試験する。本発明のアッセイにおいて正のスコアを得るニコチンアミドリボシドのあらゆる原料を、さらに分画して、HPLCおよび質量分析の標準的な方法によって確認する。
【0145】
ニコチン酸は、低密度リポタンパク質コレステロールを調節し、高密度リポタンパク質コレステロールを増加させ、ヒトにおけるトリグリセリドおよびリポタンパク質のレベルを低下させる上で、効果的な剤である(例えば、Miller (2003) Mayo Clin. Proc. 78(6):735-42を参照のこと)。ニコチン酸処置は、重要な脂質の全てに所望の方向において作用し、標的集団における死亡率を低下させること示されているが、処方の性質によって著しく影響を受ける熱およびフラッシングと称される発赤の副作用のために、その使用は限定される。さらに、ニコチンアミドは、ミトコンドリアNAD+レベルを増大させることおよびPARPを阻害することを含む多重の機構に起因して、モデル系において脳卒中の傷害から保護する(Klaidman, et al. (2003) Pharmacology 69(3):150-7)。NAD+前駆体の改変されたレベルは、酵母の遺伝子の数および寿命の調節に影響を及ぼすことが示されている(Anderson, et al. (2003) Nature 423(6936):181-5)。
【0146】
NAD+の投与およびNMNアデニリルトランスフェラーゼ(Nmnat1)発現もまた、神経を軸索変性から保護することが示されている(Araki, et al. (2004) Science 305:1010-1013)。ニコチンアミドリボシドは可溶性の輸送可能なNAD+のヌクレオシド前駆体であるので、アルツハイマー病、パーキンソン病、および多発性硬化症において起こるもののような軸索傷害から保護するために、ニコチンアミドリボシドを使用することができる。NRK1もしくはNRK2の遺伝子の発現、またはニコチンアミドリボシドもしくは安定なニコチンアミドリボシドプロドラッグの直接投与もまた、軸索変性からの保護を可能にする。
【0147】
NMNアデニリルトランスフェラーゼの過剰発現は、虚血およびビンクリスチン処置を含むトキシンへの暴露によって発症する軸索傷害から神経を保護することが示されている(Araki, et al. (2004) Science 305:1010-1013)。ビンクリスチンは、その使用が神経傷害性によって制限される多くの化学療法剤の一つである。したがって、ニコチンアミドリボシドまたは有効なニコチンアミドリボシドプロドラッグ誘導体の投与を、細胞傷害性の化学療法の前、その間、およびその後に、神経傷害性からの保護のために用いることができる。
【0148】
さらに、良性Candina glabrataの感染性形態である癒着性への転換は、NAD+の制限によって発現が調節されるアドヘシンをコードするEPA遺伝子の発現に対して依存性であり、このことは、これらの遺伝子のSir2依存的なサイレンシングをもたらす(Domergue, et al. (March 2005) Science, 10.1126/science.1108640)。ニコチン酸による処置はアドヘシンの発現を減少させ、マウス固形飼料中のニコチン酸を増加させると、Candida glabrataによる尿路感染が減少する。したがって、ニコチンアミドリボシドは、アドヘシンの発現を妨げることにより、真菌感染、特にCandida種のものの処置において使用することができる。
【0149】
したがって、発見されたNAD+生合成のニコチンアミドリボシドキナーゼ経路を介して作用する剤(例えば、ニコチンアミドリボシド)は、血漿の脂質プロフィールを改善し、脳卒中を予防し、化学療法処置に伴う神経保護を提供し、真菌感染を処置し、神経変性を予防もしくは低減し、または健康および福祉を持続させる上で、治療上の価値を有する可能性がある。したがって、本発明はさらに、ニコチンアミドリボシド組成物の有効量を投与することによって、NAD+生合成のニコチンアミドリボシドキナーゼ経路に関連する疾患または状態を予防または処置するための方法である。
【0150】
NAD+もしくはNAD+前駆体のレベルの変化を概して有する疾患もしくは状態、または、ニコチンアミドリボシドを用いる処置によるNAD+の生合成の増大によって利益を受ける疾患もしくは状態としては、例えば以下が挙げられるがこれらに限定されない:脂質障害(例えば、脂質代謝異常、抗コレステロール血症、もしくは高脂血症)、脳卒中、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー、パーキンソン、および多発性硬化症)、化学療法に伴って観察される神経傷害性、Candida glabrata感染、ならびに加齢に伴う一般的な健康低下。かかる疾患および状態は、ニコチンアミドリボシド組成物を用いる食事または治療処置レジメンを補充することによって、予防または処置することができる。
【0151】
ニコチンアミドリボシドの原料は、本発明の方法によって同定される天然または合成の原料からのものであっても、確立された方法(Tanimori (2002) Bioorg. Med. Chem. Lett. 12:1135-1137; Franchetti (2004) Bioorg. Med. Chem. Lett. 14:4655-4658)を用いて合成してもよい。加えて、ニコチンアミドリボシドは、ニコチンアミドリボシドの誘導体(例えば、L−バリンまたはL−フェニルアラニンのエステル)であってもよい。例えば、5’Oのアシクロビル(バラシクロビル)に対するL−バリル(バリン)エステルは、豊富なブチリルエステラーゼによる加水分解の後で、ヌクレオチドの輸送を促進し細胞送達を可能にすることによって、薬物の薬物動態特性を改善する(Han, et al. (1998) Pharm. Res. 15:1382-1386; Kim, et al. (2003) J. Biol. Chem. 278:25348-25356)。したがって、本発明はまた、ニコチンアミドリボシドの誘導体、特に、ニコチンアミドリボシドのL−バリンおよびL−フェニルアラニンのエステルを包含し、これらは、薬物動態特性(例えば、輸送および送達)が改善されていることが企図される。かかる誘導体は、単独で使用しても、本明細書において開示される薬学的に受容可能なキャリアを用いて処方してもよい。
【0152】
ニコチンアミドリボシドの有効量とは、予防または処置される疾患または状態の兆候または症状を、予防、低減、緩和または取り除く量であり、疾患または状態とともに変化する。かかる兆候または症状は、ニコチンアミドリボシドによる処置の前後に、熟練した医師によって評価され、処置レジメンの有効性を評価し、それにしたがって投与量を調整することができる。
特定の症状についてNAD+代謝の変更を最適化することが必要である可能性があるので、ニコチンアミドリボシド処置を、他のNAD+前駆体、例えば、トリプトファン、ニコチン酸および/またはニコチンアミドと組み合わせて、さらに使用することが企図される。
【0153】
本発明の方法によって生成されたかまたは同定されたポリペプチド、核酸、ベクター、栄養補助食品(すなわち、ニコチンアミドリボシド)、およびニコチンアミドリボシド関連プロドラッグは、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせた活性剤を含む組成物において、都合よく使用するかまたは投与することができる。かかる組成物は、当該分野において周知の方法によって調製することができ、当該分野において周知のキャリアを含有してよい。
【0154】
一般的に認識されるかかる方法および成分の概論は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Alfonso R. Gennaro編、第20版(Lippingcott Williams & Wilkins:Philadelphia、PA、2000)である。液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤または溶媒の被包材料などの、キャリア、薬学的に受容可能なキャリア、またはビヒクルは、目的の化合物を一つの器官または体の部分から別の器官または体の部分へ運搬または輸送することに関与する。各々のキャリアは、処方物の他の材料と適合性である意味において受容可能でなければならず、患者にとって有害であってはならない。
【0155】
キャリアとして役立ち得る材料の例として、以下が挙げられ得る:乳糖、ブドウ糖およびショ糖などの糖;コーンスターチまたは馬鈴薯デンプンなどのデンプン;セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのその誘導体;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐剤用蝋などの賦形剤;ピーナッツ油、綿花油、紅花油、胡麻油、オリーブ油、コーン油、および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;
【0156】
水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝化剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;pH緩衝化溶液;ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ無水物:ならびに処方物中に使用される他の無毒性の適合性物質。ラウリルリン酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの、湿潤剤、乳化剤、および潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤および芳香剤もまた、組成物中に存在することができる。
【0157】
本発明の方法によって生成または同定された、ポリペプチド、核酸、ベクター、栄養補助剤、およびニコチンアミドリボシド関連プロドラッグは、本明細書において以下で化合物として言及され、これらは、あらゆる経路を介して投与することができる。そのような経路として以下が挙げられるがこれらに限定されない:経口、直腸、局所、口腔内(例えば舌下)、膣内、非経口(例えば、皮下、筋肉内(骨格筋、心筋、横隔膜筋および平滑筋を含む)、皮内、静脈内、腹腔内)、局所(すなわち、皮膚表面および粘膜表面の両方、気道表面を含む)、鼻内、経皮、門脈内送達による肝臓を介する投与、ならびに直接的な器官注入(例えば、肝臓内へ、中枢神経系への送達のために脳内へ)。あらゆる所与の症例において最も好適な経路は、処置される状態の性質および重篤度ならびに使用されている特定の化合物に依存する。
【0158】
注入については、キャリアは、代表的には、滅菌パイロジェンフリー水、パイロジェンフリーリン酸緩衝化食塩水、静菌水、またはCremophor(BASF, Parsippany, N.J.)などの液体である。他の投与の方法については、キャリアは固体または液体のいずれであってもよい。
【0159】
経口治療投与については、化合物を、1種類または2種類以上のキャリアと組み合わせてもよく、経口摂取可能な錠剤、口腔用錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウェハース、チューインガム、食品などの形態において使用してもよい。かかる組成物および調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有するべきである。勿論、化合物および調製物のパーセンテージを変化させてもよく、都合よく、所与の単位投与形態の重量の約0.1%〜約100%の間であってよい。かかる組成物中の活性化合物の量は、効果的な投与レベルが得られるようにする。
【0160】
錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどはまた、以下を含んでもよい:トラガカントガム、アラビアゴム(acacia)、コーンスターチ、もしくはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;ならびにショ糖、果糖、乳糖もしくはアスパルテームなどの甘味剤、またはペパーミント、ウィンターグリーン油、もしくはチェリー香味料などの香味剤。上記のリストは、単に代表的なものであり、当業者は、他の結合剤、賦形剤、甘味剤などを想起することができる。単位投与形態がカプセルである場合、上記の型の材料に加えて、植物性油、またはポリエチレングリコールなどの液体のキャリアを含有させてもよい。種々の他の材料を、コーティング剤として、または固体単位投与形態の物理的形態を変化させるために存在させてもよい。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセルを、ゼラチン、蝋、シェラックまたは糖などでコーティングしてもよい。
【0161】
シロップまたはエリキシル剤は、上記の活性剤、甘味剤としてショ糖または果糖、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、色素、およびチェリー香味料またはオレンジ香味料などの香味料を含有し得る。勿論、あらゆる単位投与形態を調製する際に使用されるあらゆる材料は、使用される量において実質的に無毒性であるべきである。加えて、活性化合物を徐放調製物または徐放デバイスの中に組み込んでもよい。そのような調製物またはデバイスとして、浸透圧に依存して所望の放出プロフィールを得るものなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
非経口投与に適した本発明の処方物は、滅菌の水性または非水性の化合物の注射溶液を含み、この調製物は、一般に対象とするレシピエントの血液と等張である。これらの調製物は、抗酸化剤、緩衝化剤、静菌剤、および、処方物を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る。水性または非水性の滅菌懸濁液は、懸濁剤および濃縮化剤を含み得る。処方物を、単位\用量または複数用量の容器(例えば密封したアンプルおよびバイアル)において提示されてもよく、使用の直前に滅菌の液体キャリア(例えば注射用水)を転化するだけでよいように、フリーズドライ(凍結乾燥)した状態で保存してもよい。
【0163】
皮膚への局所投与に適した処方物は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、アエロゾル、またはオイルの形態をとり得る。使用することができるキャリアとしては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮増強剤、およびこれらの二つ以上の組合せが挙げられる。
【0164】
経皮投与に適した処方物を、長期間レシピエントの上皮と密接に接触した状態を保つように適用された、個別の貼付剤として提示してもよい。経皮投与に適した処方物をまた、イオン導入法によって送達してもよく(例えば、Pharmaceutical Research 3 (6):318 (1986)を参照のこと)、代表的には、必要に応じて緩衝化された化合物の水溶液の形態をとる。好適な処方物は、クエン酸もしくはビス\トリス緩衝液(pH6)またはエタノール/水を含有し、0.1〜0.2Mの化合物を含有する。
【0165】
あるいは、化合物を、鼻内投与のためまたは被験体の肺への他の方法による投与のために、あらゆる好適な手段によって処方してもよい。特定の態様において、化合物を、化合物を含む呼吸用粒子のアエロゾル懸濁液によって投与してもよい。呼吸用粒子は、液体または固体であり得る。用語アエロゾルとは、気管支梢または鼻腔内へ吸入されることが可能なあらゆる気体媒介性懸濁相を包含する。具体的には、アエロゾルは、計量された用量の吸入器またはネブライザーにおいて、またはミスト噴霧器において提供される液滴の気体媒介性懸濁液を包含する。
【0166】
アエロゾルはまた、吸入デバイスからのガス注入によって送達することができる、空気または他のキャリア気体中に浮遊する乾燥粉末組成物を包含する。例えば、Ganderton & Jones, Drug Delivery to the Respiratory Tract, Ellis Horwood (1987);Gonda (1990) Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 6:273-313;およびRaeburn, et al. (1992) J. Pharmacol. Toxicol. Methods 27:143-159を参照のこと。化合物を含有する液体粒子のアエロゾルは、当業者に公知であるような圧力誘導式アエロゾルネブライザーまたは超音波ネブライザーなどの、あらゆる好適な手段によって提供することができる。例えば、米国特許第4,501,729号を参照のこと。化合物を含有する固体粒子のアエロゾルも、同様に、薬学分野において公知の技術によって、あらゆる固体粒子医薬アエロゾル発生装置を用いて提供することができる。
あるいは、化合物を、全身ではなく局所において、例えば、デポー剤または持続放出処方物において、投与してもよい。
【0167】
さらに、本発明は、本明細書において開示される化合物およびその塩のリポソーム処方物を提供する。リポソーム懸濁液を形成するための技術は、当該分野において周知である。化合物またはその塩が水溶性の塩である場合、従来のリポソーム技術を使用して、同じものを脂質ビヒクル中に組み込むことができる。かかる例において、化合物または塩は、その水溶性に起因して、リポソームの親水性の中心またはコア内に実質的に同調化する。
【0168】
使用される脂質層は、あらゆる従来の組成物からなるものであってよく、コレステロールを含んでも、コレステロールフリーであってもよい。目的の化合物または塩が非水溶性である場合、再び、従来のリポソーム形成技術を使用して、塩を、リポソームの構造を形成する疎水性脂質二重層内に実質的に同調化させることができる。いずれの例においても、形成するリポソームは、標準的な超音波技術およびホモジェナイズ技術の使用を介して、サイズを減少させる。
【0169】
本明細書において開示される化合物またはその塩を含有するリポソーム形成物を凍結乾燥して、水などのキャリアを用いて再構成してリポソーム懸濁液を再生することができる凍結乾燥物を製造することができる。
【0170】
特定の態様において、化合物を、有効量(この用語が本明細書において定義されるように)において被験体に投与する。活性化合物の投与量は、当該分野において公知の方法によって決定することができる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Alfonso R. Gennaro編、第20版、(Lippingcott Williams & Wilkins:Philadelphia, PA, 2000)を参照のこと。選択された有効投与レベルは、以下を含む多様な要因に依存して変化する:使用される本発明の特定の化合物の活性、投与の経路、投与の時間、使用される特定の化合物の排出もしくは代謝の速度、処置の期間、使用される特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/もしくは材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康および以前の病歴、ならびに医学分野において周知の要因など。
【0171】
当該分野における通常の技術を有する医師または獣医師は、ヒト、農業において重要な動物、ペットまたは動物園の動物などの動物被験体における予防または処置のために必要とされる薬学的組成物の有効量を、容易に決定し、処方することができる。
本発明を、以下の非限定的実施例によって、より詳細に説明する。
【0172】
例1:S. cerevisiae株
QNS1およびURA3を含有するプラスミドpB175で形質転換された、qns1欠失についてヘテロ接合性である酵母の二倍体株であるBY165、およびqns1遺伝子の染色体欠失を有する一倍体であるBY165-1dは、当該分野において公知である(Bieganowski, et al. (2003)、上記)。遺伝子欠失を、プライマーから生成されたPCR産物による直接的な形質転換によって導入する(Brachmann, et al. (1998) Yeast 14:115-132)。完全培地上での24時間の増殖の後で、細胞を、5−フルオロオロト酸含有培地上に播種する(Boeke, et al. (1987) Methods Enzymol. 154:164-175)。
【0173】
ado1破壊カセットを、以下のプライマーおよび鋳型としてプラスミドpRS413を用いたPCRによって構築する:
【化3】

【0174】
酵母株BY165を、このPCR産物で形質転換し、ヒスチジン原栄養形質転換体における均質な組み換えを、以下のプライマーを用いたPCRによって確認した:
【化4】

この株を、プラスミドpB175で形質転換し、胞子形成および四分子解剖に供した。qns1欠失およびado1欠失ならびにプラスミドを有する一倍体株BY237を、さらなる実験のために選択した。
【0175】
鋳型としてのpRS415および以下のプライマーを使用するPCR増幅の産物による形質転換によって、urk1欠失を株BY237に導入した。
【化5】

生じた株をBY247と名付けた。
【0176】
rbk1破壊セットを、以下のプライマーおよび鋳型としてプラスミドpRS411を用いたPCRによって構築した:
【化6】

【0177】
この反応の産物での形質転換によって、株BY242中に破壊を導入し、以下のプライマーを用いたPCRによって確認した:
【化7】

生じた株は、qns1、ado1、urk1、rbk1遺伝子の欠失を有し、これを、BY252と名付けた。
【0178】
NRK1遺伝子座の破壊を有する酵母株を、以下のプライマーを用いたPCRによって破壊カセット中に導入したHIS3マーカーによる株BY165-1dの形質転換によって作製した:
【化8】

【0179】
NRK1遺伝子座中へのHIS3マーカーの正確な組み込みを、以下のプライマーを用いたPCRによって確認した:
【化9】

【0180】
例2:ニコチンアミドリボシドおよび乳清調製物
NMN(39.9mg;Sigma, St. Louis, MO)を、1250単位の仔ウシ腸アルカリホスファターゼ(Sigma)で、1時間37℃で、1mLの100mM NaCl、20mMのTris pH8.0、5mMのMgCl中で処置した。NMNのニコチンアミドリボシドへの加水分解を、HPLCによって確認し、反応を5,000Daのフィルターを通して遠心分離することによってホスファターゼを除去した(Millipore, Billerica, MA)。市販の無脂牛乳の乳清のビタミン画分を、55℃で10分間攪拌しながら、HClでpHを4に調整し、変性したカゼインを遠心分離によって除去し、5,000Daのフィルターを通すことによって調製した。酵母培地中で、ニコチンアミドリボシドを10μMで、および乳清ビタミン画分を50重量%で使用した。
【0181】
例3:酵母GST−ORFライブラリー
融合タンパク質ライブラリーの調製を、周知の方法(Martzen, et al. (1999) supra; Phizicky, et al. (2002) Methods Enzymol. 350:546-559)に従って、0.5リットルの培養スケールで、90〜96個のタンパク質コンストラクトの64個のプールの各々について行った。各々のプール調製物の10パーセントを、一晩インキュベーションしたものにおけるNrk活性についてアッセイした。
【0182】
例4:ニコチンアミドリボシドリン酸化アッセイ
100mMのNaCl、20mMのNaHEPES pH7.2、5mMのβ−メルカプトエタノール、1mMのATP、5mMのMgCl、および500μMのニコチンアミドリボシドまたは代替のヌクレオシドを含む反応物(0.2mL)を、30℃でインキュベートし、20mMまでのEDTAの添加および2分間100℃での加熱によって停止させた。酵素および基質に依存して50ng〜6μgの酵素を含む特異的活性アッセイを、30分間30℃でインキュベートし、開始速度条件を維持した。反応産物を、強アニオン交換カラム上で10mM〜750mMのKPO pH2.6の勾配を用いるHPLCで分析した。
【0183】
例5:NRKの遺伝子およびcDNAのクローニングおよび酵素精製
S. cerevisiaeのNRK1遺伝子を、全酵母DNAから、以下のプライマーを用いて増幅した:
【化10】

増幅したDNAフラグメントを、E. coliのために、プライマー配列中に含めたNdeIおよびXhoIの制限部位を使用して、発現ベクターpSG04(Ghosh and Lowenstein (1997) Gene 176:249-255)中にクローニングし、生じたプラスミドを、pB446と名付けた。
【0184】
ヒトのリンパ球および脾臓から作製したcDNAのサンプルを、以下のプライマーを用いるヒトNRK1の増幅のための鋳型として使用した:
【化11】

E. coli発現のために、この反応からのPCRアンプリコンを、ベクターpMR103(Munson, et al. (1994) Gene 144:59-62)のNcoIおよびBamHIの制限部位にクローニングし、プラスミドpB449を生じた。
【0185】
その後、プラスミドpB449を以下のプライマーを用いるPCRのための鋳型として用いた:
【化12】

この増幅の産物を、ベクターp425GAL1(Mumberg, et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22:5767-5768)のBamHI部位とXhoI部位の間にクローニングし、生じたGAL1プロモーターの制御下においてヒトNRK1遺伝子を運搬するプラスミドを、pB450と名付けた。
【0186】
ヒトNRK2のcDNAを以下のプライマーを用いて増幅した:
【化13】

増幅したフラグメントを、NdeI酵素で分解して、E. coli発現のためにプラスミドpSGA04中にクローニングした。Hisタグ化された酵素をNi-NTAアガロースで精製した。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】ヒトNrk1(配列番号5)、ヒトNrk2(配列番号6)、S. cerevisiae Nrk1(配列番号4)、S. pombe nrk1(配列番号7)の、S. cerevisiaeウリジン/シチジンキナーゼUrk1(配列番号8)およびE. coliパントテン酸キナーゼ(配列番号9)の部分と比較した場合の、アミノ酸配列のアラインメントおよび共通配列(配列番号34)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号34を含むアミノ酸配列を有する、ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする真核生物ヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【請求項2】
請求項1に記載の単離された核酸であって、以下:
(a)配列番号1、配列番号2もしくは配列番号3を含むヌクレオチド配列;
(b)配列番号1、配列番号2もしくは配列番号3を含むヌクレオチド配列またはその相補的ヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列であって、機能的なニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをコードする該ヌクレオチド配列;
(c)(a)または(b)のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列であるが、遺伝子コードの縮重または非翻訳ヌクレオチド配列の存在に起因して(a)または(b)のヌクレオチド配列と異なるヌクレオチド配列を有する該ヌクレオチド配列;
を含む、前記核酸。
【請求項3】
請求項1に記載の単離された核酸を含む発現ベクター。
【請求項4】
請求項3に記載の発現ベクターおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、さらにプロドラッグを含み、該プロドラッグがニコチンアミドリボシド関連アナログであり、発現されたニコチンアミドリボシドキナーゼによってリン酸化されて、それによって前記プロドラッグを活性化する、前記組成物。
【請求項6】
配列番号34を含むアミノ酸配列を有する、単離された真核生物ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチド。
【請求項7】
請求項6に記載の単離されたニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドであって、配列番号4、配列番号5もしくは配列番号6またはこれらの機能的フラグメントを含むアミノ酸配列に対して少なくとも約70%のアミノ酸配列類似性を有するアミノ酸配列を含む、前記ポリペプチド。
【請求項8】
請求項1に記載の単離された核酸を含む、培養細胞。
【請求項9】
請求項6に記載の単離されたニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドを含む、培養細胞。
【請求項10】
請求項6に記載の単離されたニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の組成物であって、さらにプロドラッグを含み、該プロドラッグがニコチンアミドリボシド関連アナログであり、ニコチンアミドリボシドキナーゼによってリン酸化されて、それによって前記プロドラッグを活性化する、前記組成物。
【請求項12】
癌を処置するための方法であって、癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることを疑われる患者に請求項5に記載の組成物の有効量を投与することを含み、それによって前記癌の兆候または症状が低減するかまたは取り除かれる、前記方法。
【請求項13】
癌を処置するための方法であって、癌を罹患しているかまたは癌を罹患していることが疑われる患者に請求項11に記載の組成物の有効量を投与することを含み、それによって前記癌の兆候または症状が低減するかまたは取り除かれる、前記方法。
【請求項14】
ニコチンアミドリボシドのための天然または合成の原料を同定するための方法であって、以下:
機能的なグルタミン依存性NAD+シンターゼを欠失する第一の細胞を、天然または合成の原料からの単離抽出物と接触させること;
機能的なグルタミン依存性NAD+シンターゼおよびニコチンアミドリボシドキナーゼを欠失する第二の細胞を、前記単離抽出物と接触させること;ならびに
第二の細胞の増殖と比較した第一の細胞の増殖を検出すること、
ここで、前記第一の細胞の増殖の存在および前記第二の細胞の増殖の不在が、前記単離抽出物中のニコチンアミドリボシドの存在の指標である、
を含む、前記方法。
【請求項15】
天然の原料が牛乳である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法によって同定されたニコチンアミドリボシドとキャリアとを含む、栄養補助組成物。
【請求項17】
請求項15に記載の方法によって同定されたニコチンアミドリボシドとキャリアとを含む、栄養補助組成物。
【請求項18】
NAD+生合成のニコチンアミドリボシドキナーゼ経路と関連する疾患または状態を予防または処置するための方法であって、NAD+生合成のニコチンアミドリボシドキナーゼ経路と関連する疾患または状態を有する患者にニコチンアミドリボシド組成物の有効量を投与することを含み、それによって前記疾患または状態の兆候または症状が防がれるかまたは低減される、前記方法。
【請求項19】
トリプトファン、ニコチン酸またはニコチンアミドの有効量を投与することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグを同定するための方法であって、配列番号34を含むアミノ酸配列を有するニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドをニコチンアミドリボシド関連試験剤と接触させること、ならびに、前記試験剤が前記ニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドによってリン酸化されたか否かを決定すること、それによってニコチンアミドリボシド関連プロドラッグを同定することを含む、前記方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法によって同定されたニコチンアミドリボシド関連プロドラッグ。
【請求項22】
ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグを同定するための方法であって、組み換えニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドを発現する第一の試験細胞をニコチンアミドリボシド関連試験剤と接触させること;機能的なニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドを欠失する第二の試験細胞を同じ試験剤と接触させること、ここで前記組み換えニコチンアミドリボシドキナーゼポリペプチドが、配列番号34を含むアミノ酸配列を有する;ならびに、前記第一および第二の細胞のバイアビリティを決定すること、ここで、第一の細胞の細胞死があって第二の細胞の細胞死がないことがニコチンアミドリボシド関連プロドラッグの指標である、を含む、前記方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法によって同定された、ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグ。
【請求項24】
ニコチンアミドリボシド関連プロドラッグによる処置に感受性である個体または腫瘍を同定するための方法であって、個体または腫瘍におけるニコチンアミドリボシドキナーゼにおける変異の存在またはニコチンアミドリボシドキナーゼの発現のレベルを検出することを含み、ここで、コントロールと比較した前記個体または腫瘍におけるニコチンアミドリボシドキナーゼの変異の存在または発現の変化が、前記個体または腫瘍がニコチンアミドリボシド関連プロドラッグによる処置に対して改変されたレベルの感受性を有することの指標である、前記方法。
【請求項25】
L−バリンまたはL−フェニルアラニンのエステルを用いて誘導されたニコチンアミドリボシドを含む、ニコチンアミドリボシド組成物。
【請求項26】
薬学的に受容可能なキャリアとの混合物中にニコチンアミドリボシドを含む、薬学的組成物。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−538923(P2008−538923A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509012(P2008−509012)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/015495
【国際公開番号】WO2006/116322
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(500375198)トラスティーズ・オブ・ダートマウス・カレッジ (5)
【Fターム(参考)】