説明

ニトロキシル媒介重合により製造したレベリング剤を含有するコーティング組成物

本発明は、ニトロキシル媒介重合により製造したポリマー又はコポリマーレベリング剤を含有するコーティング組成物に関するものである。別の態様は、平滑な表面コーティングの調製方法、及び前記ポリマー又はコポリマーの、コーティング組成物中のレベリング剤としての使用である。さらに別の態様は、原子移動ラジカル重合又はニトロキシル媒介重合によりコポリマーを得ることができる、特定のエチレン性不飽和モノマー組成物であり、このコポリマーはコーティング組成物中のレベリング剤として有用である。またさらに別の態様は、ポリ−t−ブチルアクリレート又はポリ−t−ブチルメタクリレートの、粉末コーティング組成物中のレベリング剤としての使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトロキシル媒介重合(nitroxyl-mediated polymerization)により製造したポリマー又はコポリマーレベリング剤を含有するコーティング組成物に関するものである。別の態様は、平滑な表面コーティングの調製方法、及び前記ポリマー又はコポリマーの、コーティング組成物中のレベリング剤としての使用である。さらに別の態様は、原子移動ラジカル重合又はニトロキシル媒介重合によりコポリマーを得ることができる、特定のエチレン性不飽和モノマー組成物であり、このコポリマーはコーティング組成物中のレベリング剤として有用である。またさらに別の態様は、ポリ−t−ブチルアクリレート又はポリ−t−ブチルメタクリレートの、粉末コーティング組成物中のレベリング剤としての使用である。
【0002】
本発明の文脈において、用語コーティング組成物は、有機コーティング組成物を定義することが理解される。
【0003】
平滑でクレーターのない表面が、ほとんど全てのコーティング用途で必要とされるが、その理由は、それらが美観ばかりでなく保護機能も与えるからである。もしコーティングが均質でなく、表面の一部にないか、極めて薄く被覆されただけの場合には、貧弱な保護が生じる。平滑な表面を実現するために、あらゆる種類のコーティングにレベリング剤を加える。適切なレベリング剤は、例えば、エチレン性不飽和モノマー、例えばアクリレート又はメタクリレートから誘導されたポリマー又はコポリマーである。液体コーティング配合物の場合、多数のレベリング剤が公知であり市販されている。コーティング配合物の粘度が低い間は、これらの従来のレベリング剤で十分なレベリングを得ることができる。粘度が高い時、例えば高固形分コーティングの場合、又は特に粉末コーティングの場合、問題が大きくなることが観察される。特に熱硬化性又は放射線硬化性粉末コーティングの場合、コーティングのレベリングを改良する添加剤への強い需要がある。
【0004】
したがって、ポリマー構造を制御することにより、熱硬化性コーティング中のレベリング剤の作用を改良する試みがなされている。例えばUS 6,197,883には、原子移動ラジカル重合技術(ATRP)を用いて重合したレベリング剤を含有する熱硬化性コーティング組成物が開示されている。
【0005】
WO03/027155にはさらに、ATRP法により製造したシロキサン又はペルフルオロアルキル部分を有する、コポリマーレベリング剤を含有する熱硬化性コーティング組成物が記載されている。
【0006】
しかし、例えばレベリング性能、黄変傾向、及び取り扱い適性に関する特性の、種々のバランス及び改良されたバランスを提供する、改良されたレベリング剤がまだ必要とされている。したがって、ポリマー構造の最適化された制御が改良の手がかりであると思われる。
【0007】
本発明は、ニトロキシル媒介ラジカル重合(NO・及びNOR)により合成したレベリング剤を含有するコーティング組成物に関する。使用するニトロキシルエーテル又はニトロキシルラジカルの官能性及び反応性に応じて、種々のモノマーで、直鎖状、分岐状、テーパー状、及びグラフト構造を得ることができる。このタイプの制御されたラジカル重合は、明確に規定した分子量及び狭い分子量分布を有するポリマー又はコポリマーの合成を可能にする。分子量を調節することにより、液体又は固体の(コ)ポリマーを得ることができる。
【0008】
特に、固体レベリング剤は、粉末コーティング用に極めて有利である。通常、液体レベリング剤はそれぞれの粉末コーティングにおいてマスターバッチを調製し、それをシリカ上に吸着させるか、又は別の固体キャリヤに付着することにより、固体の生成物形態に配合しなければならない。これは製造コスト並びに保存在庫の増加を導く。化合物はもはや100%有効ではないので、コーティング配合物に多目の量を加えなければならない。固体の有効材料は、種々のマスターバッチの保存在庫の問題を軽減し、配合物への少量添加を可能にする。本発明によれば、例えば狭い分子量分布及び30℃よりも高いガラス転移温度Tg又は融点Tmを有する種々のアクリレート/メタクリレートモノマーのホモポリマー又はコポリマーを含有する粉末コーティングを配合することができ、そのため、さらなる配合物を必要とせずに材料を固体の化合物として取り扱うことができる。
【0009】
多くのコーティング用途、例えばクリヤコート又は白色ソリッドの色合いに対して、全く黄色がからないか、又はわずかだけ黄色がかった外観は許容できるものである。驚くべきことには、本発明のレベリング剤は、先行技術のレベリング剤と比べて、コーティングの黄変の著しい低下を導くことが見出された。
【0010】
本発明の1つの態様は、
a1)物理的乾燥フィルム形成バインダ樹脂;
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂;
a3)放射線硬化性フィルム形成バインダ樹脂;
a4)自動酸化乾燥フィルム形成バインダ樹脂;又は
a5)a1)、a2)、a3)、若しくはa4)から選択される、少なくとも2種の異なる架橋機構のバインダ樹脂の組み合わせ;
b)ニトロキシルを介する制御されたラジカル重合により得られた、式(I):
In−[(M)x−(E)yn (I)
(式中、
Inは、重合反応を開始する開始剤フラグメントであり;
Mは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、アクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル;アミノ、(C1〜C22)アルキルアミノ、(C1〜C22)ジアルキルアミノ、−SO3H、エポキシ、フルオロ、ペルフルオロ又はシロキサン基で置換された、アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又はメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル;スチレン、置換スチレン、アクリルアミド及びメタクリルアミド、N−モノ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、N,N−ジ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、並びに2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーであり;
ただし、非置換アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又は/及びメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステルの量は、モノマー混合物の全重量に基づいて30重量%より多く;
Eは、酸素原子を介してポリマー若しくはコポリマーに結合した、少なくとも1種の安定なニトロキシルラジカルを含む基であるか;又は結合した安定なニトロキシルラジカルの置換若しくは脱離反応の結果、生じる基であり;
xは、モノマー単位の合計数であって、5〜5000の数であり;
yは、モノマーシーケンス(M)xに結合した末端基Eの平均数を表す1以上の数であり;
nは、1〜20の数である)のポリマー又はコポリマーレベリング剤;並びに
c)場合により水又は/及び1種以上の有機溶媒、
を含むコーティング組成物である。
【0011】
1〜C22アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。このようなアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、及びエイコシルである。C1〜C18アルキルが好ましい。
【0012】
a1)に挙げた物理的乾燥フィルム形成バインダ樹脂は通常、α,β−不飽和酸から誘導したもの及びその誘導体、例えばポリアクリレート及びポリメタクリレート;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリルである。例は、熱可塑性ポリアクリレート(TPA)である。
【0013】
別のクラスは、例えば天然ポリマーから誘導した、例えばセルロースアセテート又はブチレートである。物理的乾燥アルキド樹脂又はニトロセルロースラッカーも適切である。
【0014】
a2)に挙げた熱架橋フィルム形成バインダ樹脂は、例えば次に示すものである。
【0015】
1.アルデヒドを一方とし、他方をフェノール類、尿素及びメラミンとして、誘導した架橋ポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
【0016】
2.乾燥及び非乾燥アルキド樹脂。
【0017】
3.飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステルと架橋剤としてのビニル化合物から誘導した不飽和ポリエステル樹脂、並びにハロゲンを含有するこれらの低燃性変性物。
【0018】
4.置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートから誘導した架橋性アクリル樹脂。これらの樹脂は、通常、メラミン樹脂又は(ポリ)イソシアネート樹脂で架橋され、熱硬化性アクリル樹脂として公知である。
【0019】
5.メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート又はエポキシ樹脂で架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
【0020】
6.脂肪族、脂環式、複素環式、又は芳香族グリシジル化合物から誘導した架橋エポキシ樹脂、例えばビスフェノールA及びビスフェノールFのジグリシジルエーテルを、通常の硬化剤、例えば無水物又はアミンを用いて、促進剤ありか、又はなしで架橋した生成物。
【0021】
本発明でフィルム形成バインダ樹脂として用いることができる架橋アルキド樹脂は、特に自動車のコーティング(自動車仕上げラッカー)に用いる従来の焼付けラッカー、例えばアルキド/メラミン樹脂及びアルキド/アクリル/メラミン樹脂をベースとするラッカーである(H. Wagner and H. F. Sarx, "Lackkunstharze" (1977), pp. 99-123を参照)。他の架橋剤は、グリコウリル樹脂、ブロック化イソシアネート又はエポキシ樹脂を含む。
【0022】
本コーティング組成物を、木材、金属又はプラスチック基材に適用することができる。
【0023】
本コーティング組成物は、自動車のメタル仕上げコーティングとソリッド色合い(solid shade)仕上げの両方に、特にレタッチ仕上げ、並びに種々のコイルコーティング用途の場合、特に適切である。本発明によるコーティング組成物は、シングルコート法又はツーコート法の2種の方法により従来のやり方で適用するのが好ましい。後者の方法では、顔料を含有するベースコートをまず付着し、次にクリヤラッカーのカバーコートをその上に付着する。
【0024】
水溶性、水混和性又は水分散性のコーティングが望ましい場合、樹脂中に存在する酸基のアンモニウム塩を形成する。粉末コーティング組成物は、以下に概説するように、グリシジルメタクリレートと選択したアルコール成分との反応により製造することができる。
【0025】
成分b)のレベリング剤は、コーティング組成物中に有機溶媒又は水が存在しない場合に特に有用である。これは通常、粉末コーティングの場合である。
【0026】
粉末コーティングは公知技術であり、例えば、"Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Fifth, Completely Revised Edition, Volume A 18", pp. 438 - 444 (1991)に記載されている。粉末コーティングプロセスでは、粉末を通常、空気の供給で流動化し、静電帯電させ、接地された好ましくは金属基材に付着させる。続いて基材を加熱し、この間に付着した粉末は溶融し、融合し、金属表面に干渉性のフィルムを形成する。粉末コーティングは、溶媒を必要としないので、この技術は環境に特に優しい。
【0027】
粉末コーティングは、粉末形態で、主に金属基材に適用される熱可塑性又は焼付け可能な架橋性ポリマーを意味する。粉末を、コーティングする加工品と接触させる方法によって、種々の付着技術を特徴付けられ、例えばコロナ若しくは摩擦電気ピストル(triboelectric pistol)を用いる静電粉末噴霧、静電流動床焼結(electrostatic fluidized-bed sintering)又は磁気ブラシ技術を用いることである。
【0028】
本発明による粉末コーティング組成物のための好ましい有機フィルム形成バインダは、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル−ヒドロキシアルキルアミド、ポリエステル−グリコウリル、エポキシ−ポリエステル樹脂、ポリエステル−トリグリシジルイソシアヌレート、ヒドロキシ官能ポリエステル−ブロック化ポリイソシアネート、ヒドロキシ官能ポリエステル−ウレトジオン(uretdione)、硬化剤を伴うアクリレート樹脂又はこのような樹脂の混合物をベースとする焼付け系である。さらに対象となるのは、熱可塑性プラスチックの特性を有するフィルム形成バインダ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンジクロリド、又はポリビニリデンジフルオリドである。
【0029】
ポリエステルは、一般にヒドロキシ又はカルボキシ官能であり、通常、ジオールとジカルボン酸との縮合により製造する。ポリオール及び/又はポリ酸の付加は分岐状ポリエステルを生成し、次にこれを架橋剤の存在下で焼付け、コーティングに望ましい物性、例えば耐引掻性、衝撃強さ、及び曲げ強さを付与するネットワーク構造を引き起こす。多官能酸の代わりに、無水物又は酸塩化物、例えば無水マレイン酸、イタコン酸無水物、無水フタル酸、無水テレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸無水物、トリメリト酸無水物、ピロメリト酸二無水物又は無水コハク酸を使用することも可能である。揮発性アルコールの脱離を伴うエステル交換により重合を行う単純なエステル、例えばジメチルテレフタレートを使用することも可能である。同様に、エステル交換及び縮合の組み合わせによる生成物も使用できる。さらに、ポリエステルは、ヒドロキシカルボン酸、例えば12−ヒドロキシステアリン酸及びヒドロキシピバル酸、又は対応するラクトン、例えばε−カプロラクトンの重縮合により製造することができる。ジカルボン酸及びポリ酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、ピロメリト酸、3,6−ジクロロフタル酸、コハク酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含む。ジオール及びポリオールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチルペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、Esterdiol 204(ヒドロキシピバル酸及びネオペンチルグリコールのエステル)、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、ヒドロキシピバル酸、ヒドロキシピバレートエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール又は2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む。
【0030】
カルボキシ官能ポリエステル用の適切な架橋剤は、エポキシ化合物、例えばNovolac(登録商標)−エポキシ樹脂、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールA、及び、例えば脂肪族ジカルボン酸との反応により変性したビスフェノールAである。反応性エポキシ化合物、例えばトリグリシジルトリアゾリジン−3,5−ジオン、ポリ酸のグリシジルエステル、例えばジグリシジルテレフタレート及びジグリシジルヘキサヒドロテレフタレート、ヒダントインエポキシド(US-A-4 402 983)、及び、特に、トリグリシジルイソシアヌレート及び脂肪族ポリエポキシ化合物、例えば、Araldit(登録商標)PT910(先の Ciba Specialty Chemicals)、並びにエポキシ化ポリ不飽和脂肪酸エステル、例えばUranox(登録商標)(DSM)も適切である。カルボキシ官能ポリエステル用の他の架橋剤は、β−ヒドロキシアルキルアミド(US-A-4 076 917を参照)、例えば主に4官能のアジピン酸のβ−ヒドロキシアルキルアミドの誘導体(Primid(登録商標)XL552及びPrimid(登録商標)QM 1260、Rohm & Haas)である。低分子量アルコールでアルキル化したメラミン、ベンゾグアナミン及びグリコールウリルの誘導体も適切であることが見出された。例はテトラメチルメトキシグリコールウリル(Powderlink(登録商標)1174、American Cyanamid)である。他の公知架橋剤は、ビス−及びトリスオキサゾリジン、例えば1,4−ビスオキサゾリジノベンゼンである。
【0031】
最近の物質は、化学結合したエポキシ基を含み、その結果、それ自体で架橋することができるカルボキシ官能ポリエステルである(Molhoek et al., 22nd Fatipec Congress, 15. -19.5.95, Budapest, Vol. 1, 119-132)。
【0032】
架橋反応でエポキシ基又はグリシジル基とカルボキシル基又は無水物とが反応する全ての系において、触媒を使用することができる。例はアミン又は金属化合物、例えばアルミニウムアセチルアセトナト又はスズオクトエートである。
【0033】
ヒドロキシ官能ポリエステル用の架橋剤として、ポリイソシアネート架橋剤が特に重要である。イソシアネートの反応性が高いことに起因するための時期尚早な架橋を防ぐため、そして溶融粉末の良好なレベリングを得るために、ポリイソシアネートをブロックする(内部でウレトジオンとして、又はブロッキング剤との付加物として)。最も頻繁に使用されるブロッキング剤は、カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム又はブタノンオキシムである。他の適切なイソシアネート用ブロッキング剤は、G. B. Guise, G. N. Freeland and G. C. SmithによるJ. Applied Polymer Science, 23, 353 (1979)及び M. Bock and H. -U. Maier- Westhues の"Progress in Product Development for Powder Coating Technology, XIXth Int. Conf. on Organic Coatings, Science and Technol., Athens, 12-16 July", 1993の文献に記載されている。ブロック化及び非ブロック化ポリイソシアネートの例は、2−メチルペンタン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブタン1,4−ジイソシアネート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンジイソシアネート、トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、4,4′−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート及び、特に、イソホロンジイソシアネートを含む。非ブロック化ジイソシアネートの反応のために、金属触媒、例えばスズオクトエート、ジブチルスズオキシド又はジブチルスズジラウレートを、ポリイソシアネート配合物に加えるのが一般的である。
【0034】
さらなる適切なヒドロキシ官能ポリエステル用の架橋剤は、無水物、例えばトリメリト酸無水物、並びにそのジオール及びジアミンとの反応生成物である。このような架橋剤のさらなる例がT.A. Misevにより、"Powder Coatings: Chemistry and Technology", J. Wiley & Sons, Chichester pp. 123 - 124に記載されている。
【0035】
ヒドロキシル、カルボキシル又はグリシジル官能性を通常有するポリアクリレートも、粉末コーティング用バインダとして使用される。これらは、主にモノマー、例えば、スチレン及びアクリル酸又はメタクリル酸の直鎖状若しくは分岐状C1〜C8アルキルエステルから、通常の方法により製造する。他のエチレン性不飽和化合物、例えばジビニルベンゼン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、アクリロニトリル又はブタジエンを加えて、共重合することもできる。ヒドロキシル官能性は、ヒドロキシ官能モノマー、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートの共重合により確保する。カルボキシル官能性のために、エチレン性不飽和酸及び無水物、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、アクリル酸無水物又はメタクリル酸無水物(US-A-3 836 604)を用いる。グリシジル官能性は、EP-A-0 256 369及びUS-A-3 876 578に示されるように、モノマー、例えばグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートの共重合により得られる。ヒドロキシル又はカルボキシル官能性を有するポリアクリレート用架橋剤として、ヒドロキシル又はカルボキシル官能性を有するポリエステルについて、すでに記載したものと同じ化合物を基本的に用いることができる。さらなる適切な架橋剤は、US-A 0 045 040のエポキシ化合物である。グリシジル官能性を有するポリアクリレート用の適切な架橋剤は、ジカルボン酸、例えばセバシン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸及び無水物、例えばビストリメリト酸無水物及びUS-A-3 880 946に記載されている化合物である。さらに、DE-A-3 310 545から自動架橋(autocrosslinking)ポリアクリレートも公知である。
【0036】
粉末コーティング用エポキシ樹脂は主に、Novolac(登録商標)−エポキシ樹脂、又は、特に芳香族ポリオールをベースとするもの、特にビスフェノール、例えばビスフェノールAをベースとするものである。JP-A-58 187 464(1982)から変性のビスフェノール−エポキシ樹脂も公知である。エポキシ樹脂は、すでに記載した固体脂肪族アミン、固体芳香族アミン、アミン付加物、フェノール樹脂、ポリ酸及びカルボキシ官能ポリエステルのクラスからの架橋剤と組み合わせて使用する。硬化剤として特に、ジシアンジアミド(多くの場合、触媒、例えばルイス酸と共に使用する)、三フッ化ホウ素−アミン錯体、金属錯体、第三級又は第四級アミン及びイミダゾリン誘導体、例えば2−メチルイミダゾリンが挙げられる。
【0037】
本発明による粉末コーティング組成物では、樹脂及び架橋剤をほぼ化学量論量で使用するのが賢明である。化学量論量から30%より多く外れると、ほとんどの場合、硬化したコーティングフィルムの望ましい物性、例えば柔軟性、衝撃強さ、接着性、耐候性又は耐溶媒性の低下を導く。
【0038】
好ましい粉末コーティング組成物は、さらなる添加剤として、顔料、染料、充填剤、ワックス、レベリング助剤、脱ガス剤、電荷制御剤、蛍光増白剤、定着剤、酸化防止剤、光安定剤、硬化触媒、又は光開始剤の群からの成分1種以上を含む。粉末コーティング組成物は、コロージョンインヒビター、例えば防錆顔料、例えばホスフェート若しくはボレート含有顔料又は金属酸化物顔料、あるいは他の有機若しくは無機コロージョンインヒビター、例えばニトロイソフタル酸塩、リン酸エステル、工業銘柄アミン、又は置換ベンゾトリアゾールを含んでもよい。
【0039】
例えばUV光で硬化する放射線硬化性粉末コーティング組成物に適切な光開始剤は、ベンゾフェノン、フェニルグリオキサレート、ビス−及び/又はモノ−アシルホスフィンオキシド、α−ヒドロキシケトン、あるいはベンジルジメチルケタールをベースとするものである。光源として中圧又は高圧水銀灯を使用するのが賢明である。放射線硬化性コーティング組成物のより詳細な説明を、以下に示す。
【0040】
脱ガス剤の例は、EP-A-0 471 409に記載されているような脂肪酸アミド、ε−カプロラクタム、イソフタル酸メチル及びイソフタル酸ジメチル(EP-A-284 996)、特にベンゾインである。
【0041】
従来のレベリング助剤の例は、エポキシ化脂肪酸、アビエチルアルコール、ポリラウリルメタクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー、又は特に、C1〜C8アルキルアクリレートエステル又はアルキルメタクリレートエステルの低分子量ポリマー及びコポリマーである。
【0042】
定着剤は、例えば、変性シラン、チタネート、又はジルコネートをベースとする。
【0043】
蛍光増白剤の例は、Uvitex(登録商標)OB(Ciba Specialty Chemicals)である。
【0044】
顔料は、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、アルミニウム青銅、フタロシアニンブルー、又はアミノアントラキノンである。
【0045】
充填剤の例は、タルク、アルミナ、アルミニウムシリケート、アルミニウムホスフェート、バライト、マイカ、リトポン、シリカ、炭酸カルシウム若しくは炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、リン酸亜鉛又はこれらの混合物である。
【0046】
a3)に挙げた放射線硬化性フィルム形成バインダ樹脂は、前述の粉末コーティングのほかに、通常エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーであり、例を次に示す。
【0047】
放射線硬化性組成物の不飽和化合物は、エチレン性不飽和二重結合を1個以上含有することができる。これらは低分子量(モノマー)又は高分子量(オリゴマー)とすることができる。二重結合を有するモノマーの例は、ヒドロキシアルキルアクリレート及びメタクリレート、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレートである。さらなる例は、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、及びアクリル酸又はメタクリル酸である。
【0048】
二重結合を2個以上有するモノマーの例は、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Sartomer(登録商標)368; Cray Valley)である。
【0049】
放射線硬化性系において、オキシアルキレン化ポリオールのアクリルエステル、例えばグリセリンエトキシレートジアクリレート、グリセリンプロポキシレートジアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート又はネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレートを使用することもできる。使用するポリオールのオキシアルキレン度は変えることができる。
【0050】
さらなる極性基、例えば−OH、−COOH又はNH2を有する高分子量(オリゴマー)ポリ不飽和化合物の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化又はビニルエーテル又はエポキシ基を含有するポリエステル、ポリウレタン、及びポリエーテルである。不飽和オリゴマーのさらなる例は、通常、マレイン酸、フタル酸及びジオール1種以上から製造された分子量500〜3000の不飽和ポリエステル樹脂である。さらに、ビニルエーテルモノマー及びオリゴマー、並びにポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシド主鎖を有するマレエート末端オリゴマーを使用することもできる。特に、WO 90/01512に記載されているような、ビニルエーテル基を持つオリゴマー及びポリマーの組合せが、極めて適切であるが、マレイン酸及びビニルエーテルで官能化したモノマーのコポリマーも考えられる。このような不飽和オリゴマーをプレポリマーと言うこともできる。
【0051】
例えば、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、及び鎖又は側基にエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミド、及びポリウレタン並びにこれらのコポリマーが特に適切である。
【0052】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸及び不飽和脂肪酸、例えばリノレイン酸又はオレイン酸である。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0053】
適切なポリオールは、芳香族、及び特に脂肪族及び脂環式のポリオールである。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン並びにノボラック及びレゾールである。ポリエポキシドの例は、前記ポリオール、特に芳香族ポリオール及びエピクロロヒドリンをベースとするものである。ポリオールとして、ポリマー鎖又は側基にヒドロキシル基を含有するポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルアルコール及びそのコポリマー又はポリメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル又はそのコポリマーも適切である。さらに適切なポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0054】
脂肪族及び脂環式のポリオールの例は、好ましくは炭素原子数2〜12のアルキレンジオール、例えばエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量が好ましくは200〜1500であるポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセリン、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びソルビトールを含む。
【0055】
ポリオールは、1種又は異なる不飽和カルボン酸により部分的にエステル化される。
【0056】
エステルの例は、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセリンジ−アクリレートである。
【0057】
成分として、同一又は異なる不飽和カルボン酸と、アミノ基を好ましくは2〜6個、特に2〜4個有する芳香族、脂環式及び脂肪族のポリアミンとのアミドも適切である。このようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−、又は1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、並びにジ(β−アミノエトキシ)−及びジ(β−アミノプロポキシ)−エタンである。さらなる適切なポリアミンは、側鎖にさらなるアミノ基を有してもよいポリマー及びコポリマー、並びにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。このような不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレート及びN−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]−アクリルアミドである。
【0058】
アクリル酸、ヘキサンジオールモノアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、トリ(プロピレングリコール)グリセロレートジアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、グリセリン1,3−ジグリセロレートジアクリレート、ソルビトールモノアクリレート、N−(2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)−アクリルアミド、並びに対応するメタクリル酸及び誘導体が特に好ましい。
【0059】
本発明の文脈において、用語(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を含む。アクリレート又はメタクリレート化合物は、モノ−又はポリエチレン性不飽和化合物として特に用いる。
【0060】
本発明による方法で使用するのに適切な光開始剤は、基本的に、電磁波を照射した時に、ラジカル1種以上を形成する任意の化合物及び混合物である。これらは、互いに独立に又は相乗的に作用する、複数の開始剤及び系からなる開始剤系を含む。共開始剤、例えばアミン、チオール、ボレート、エノレート、ホスフィン、カルボキシレート及びイミダゾールに加えて、増感剤、例えばアクリジン、キサンテン、チアジン、クマリン、チオキサントン、トリアジン及び染料を使用することもできる。このような化合物及び開始剤系の記載を、例えばCrivello J.V., Dietliker K.K., (1999): Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coating, Inks & Paints 及び Bradley G.(ed.)Vol. 3: Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerisation 2nd Edition, John Wiley & Son Ltd.に見ることができる。工程b)での本発明による方法に適切な光開始剤は、不飽和基を有する開始剤でも、このような基を有しない開始剤でもよい。このような化合物及び誘導体は、例えば、次の化合物のクラス:ベンゾイン、ベンジルケタール、アセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、アシルオキシイミノケトン、アルキルアミノ置換ケトン、例えばミヒラーケトン、ペルオキシ化合物、ジニトリル化合物、ハロゲン化アセトフェノン、フェニルグリオキシレート、フェニルグリオキサレート二量体、ベンゾフェノン、オキシム及びオキシムエステル、チオキサントン、クマリン、フェロセン、チタノセン、オニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、ボレート、トリアジン、ビスイミダゾール、ポリシラン並びに染料から誘導される。前記化合物のクラスからの化合物の互いの組合せ、及び対応する共開始剤系及び/又は増感剤との組合せを使用することもできる。
【0061】
単独又は互いの混合状態で用いることができる個々の光開始剤の代表的な例を以下に挙げる。例えば、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えば(α−ヒドロキシ−シクロアルキルフェニルケトン又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン、ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−又はα−アミノ−アセトフェノン、例えば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノ−エタン、(4−モルホリノ−ベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−プロパン、(4−メチル−チオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノ−エタン、(4−モルホリノ−ベンゾイル)−1−(4−メチル−ベンジル)−1−ジメチルアミノ−プロパン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタール、フェニルグリオキサラート及びこれらの誘導体、フェニルグリオキサレート二量体、モノアシルホスフィンオキシド、例えば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、例えばビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンタ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキシド又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2,4−ジペンチルオキシフェニル)ホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド、フェロセニウム化合物又はチタノセン、例えばジシクロペンタジエニル−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピロロ−フェニル)−チタン及びホウ酸塩。
【0062】
共開始剤として、例えば、分光感度をシフトするか、又は広げて、そうして光重合の促進を生じさせる増感剤が考えられる。これらは、特に芳香族カルボニル化合物、例えばベンゾフェノン、チオキサントン、特にイソプロピルチオキサントン、アントラキノン及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン並びに3−(アロイルメチレン)−チアゾリン、カンファーキノン、並びにエオシン、ローダミン及びエリトロシン染料でもある。
【0063】
本発明によりグラフトした光開始剤層がベンゾフェノン又はベンゾフェノン誘導体からなる場合、例えばアミンを光増感剤であると考えることもできる。
【0064】
光増感剤のさらなる例は下記である。
1. チオキサントン類
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)−チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチル−チオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)−チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、N−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、N−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−チオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
2. ベンゾフェノン類
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジメチルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)−ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル−ベンゼンメタンアミニウムクロリド;
3. 3−アシルクマリン類
3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(プロポキシ)クマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3′−カルボニル−ビス[5,7−ジ(プロポキシ)クマリン]、3,3′−カルボニル−ビス(7−メトキシクマリン)、3,3′−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)−クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)−クマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)−クマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン;
4. 3−(アロイルメチレン)−チアゾリン類
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−ベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;
5. 他のカルボニル化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、9,10−アントラキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、α−(パラ−ジメチルアミノベンジリデン)ケトン、例えば2−(4−ジメチルアミノ−ベンジリデン)−インダン−1−オン又は3−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−1−インダン−5−イル−プロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド。
【0065】
代表的な個々の光開始剤濃度は、バインダ樹脂及びモノマーの重量に基づいて、0.01%〜5重量%の範囲である。
【0066】
成分c)として、場合により水及び/又は有機溶媒が存在してもよい。適切な有機溶媒は、基本的に、バインダ成分が可溶性である任意の物質である。水の場合、エマルション又は分散液を与える。適切な溶媒は、例えば、アルコール、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、芳香族炭化水素、例えばトルエン及びキシレン、エステル及びアルデヒド、例えば酢酸エチル、ギ酸エチル、脂肪族炭化水素、例えば石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、あるいはまた、オイル、天然油、ヒマシ油、植物油、並びに合成油である。この記載は決して全てではなく、単に例として示したものである。
【0067】
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂;又は
a3)放射線硬化性フィルム形成バインダ樹脂
を含むコーティング組成物が好ましい。
【0068】
さらに、
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂
を含むコーティング組成物が好ましい。
【0069】
特に、
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂
を含む、水及び有機溶媒を伴わない、固体粉末の形態である、コーティング組成物が好ましい。このタイプのコーティングは、すでに概説したように粉末コーティングと呼ぶのが都合よい。
【0070】
上述したように、成分b)の式(I)のポリマー又はコポリマーレベリング剤を、ニトロキシルを介する制御されたラジカル重合(CFRP)により製造することが必須である。Solomon らが、US 4,581,429でこのような方法を初めて記載している。
【0071】
US 4,581,429には、ポリマー鎖の制御された、すなわち「リビング」成長による、ラジカル重合法が開示されており、この方法は規定したオリゴマーのホモポリマー及びコポリマー(ブロック及びグラフトコポリマーを含む)を製造する。部分式R′R″N−O−Xの開始剤の使用が開示されている。重合工程中、ラジカル種R′R″N−O・及び・Xが発生する。・Xは、エチレン基を含有するモノマー単位を重合することができるラジカル基、例えばt−ブチル又はシアノイソプロピルラジカルである。
【0072】
上述の方法の変法がUS 5 322 912に開示されており、この中にホモポリマー及びブロックコポリマーの合成に、ラジカル開始剤と基本構造R′R″N−O・の安定なラジカル剤とを組み合わせて使用することが記載されている。
【0073】
これらの方法は、狭い分子量分布、したがって低い分散度を有するホモ−、ランダム−、ブロック−、テーパー−、グラフト−、又は櫛型(コ)ポリマーの製造に有効である。
【0074】
すでに挙げたように、(コ)ポリマーを、ニトロキシルを介する制御されたラジカル重合(CFRP)により得ることが不可欠である。本質的に2つの適切なルートがある。
b1)構造要素:
【0075】
【化9】

【0076】
を有するアルコキシアミン開始剤/調節剤化合物の存在下での重合;及び
b2)構造要素:
【0077】
【化10】

【0078】
を有する安定なニトロキシルラジカル及びラジカル開始剤(ラジカルの源)の存在下での重合。
【0079】
例えば、構造要素:
【0080】
【化11】

【0081】
を、環構造の一部とするか、又は置換して非環式構造を形成することができる。
【0082】
適切なニトロキシルエーテル及びニトロキシルラジカルは、US-A-4 581 429又はEP-A-621 878から主に公知である。WO 98/13392、WO 99/03894及びWO 00/07981に記載されている開鎖化合物、WO 99/67298及びGB 2335190に記載されているピペリジン誘導体、又はGB 2342649及びWO 96/24620に記載されている複素環化合物が、特に有用である。さらなる適切なニトロキシルエーテル及びニトロキシルラジカルが、WO 02/4805及びWO 02/100831に記載されている。
【0083】
分子中に2個以上のニトロキシル基を有する、ニトロキシルエーテル及びニトロキシルラジカルが、例えばUS 6,573,347、WO 01/02345、及びWO 03/004471に記載されている。これらの化合物は、分岐状、星型又は櫛型(コ)ポリマーを製造する場合に、申し分なく適切である。この場合、上記式(I)においてy及び/又はnは1より大きい。
【0084】
本発明の文脈において、用語アルコキシアミン及びニトロキシルエーテルは、当量で用いる。
【0085】
構造要素:
【0086】
【化12】

【0087】
を有する安定なラジカルが、例えばEP-A-621878に開示されている。
【0088】
例えば
【0089】
【化13】

【0090】
のような例が、WO 96/24620に示される。
【0091】
好ましくは、構造要素:
【0092】
【化14】

【0093】
は、5又は6員複素環の一部であり、場合によりこの環構造中にさらなる窒素又は酸素原子を有する。置換ピペリジン、モルホリン及びピペラジン誘導体が特に有用である。
【0094】
好ましくは、構造要素 :
【0095】
【化15】

【0096】
は、式(II)の構造要素であり、そして
構造要素:
【0097】
【化16】

【0098】
は、式(II′)の構造要素である。
【0099】
【化17】

【0100】
(式中、G1、G2、G3、G4は、独立に、C1〜C6アルキルであるか、G1とG2若しくはG3とG4、又はG1とG2及びG3とG4とは、一緒になって、C5〜C12シクロアルキル基を形成し、
5、G6は、独立に、H、C1〜C18アルキル、フェニル、ナフチル又はCOOC1〜C18アルキル基であり、;
Xは、−CH2−フェニル、CH3CH−フェニル、(CH32C−フェニル、(C5〜C6シクロアルキル)2CCN、(CH32CCN、
【0101】
【化18】

【0102】
−CH2CH=CH2、CH3CH−CH=CH2(C〜C4アルキル)CR20−C(O)−フェニル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C〜C4)アルコキシ、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−N−ジ(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH2(式中、R20は、水素又は(C〜C4)アルキルである)からなる群より選択され、そして
*は、原子価を意味する]。
【0103】
特に式(II)の構造要素は、式A、B又はO:
【0104】
【化19】

【0105】
[式中、mは1であり、
Rは、水素、非中断又は1個以上の酸素原子で中断されたC1〜C18アルキル、シアノエチル、ベンゾイル、グリシジルか、炭素原子数2〜18の脂肪族カルボン酸、炭素原子数7〜15の脂環式カルボン酸、炭素原子数3〜5のα,β−不飽和カルボン酸又は炭素原子数7〜15の芳香族カルボン酸の一価の基であり、
pは1であり、
101は、C1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C8アラルキル、C2〜C18アルカノイル、C3〜C5アルケノイル又はベンゾイルであり、
102は、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、非置換又はシアノ、カルボニル若しくはカルバミド基で置換されたC2〜C8アルケニルか、グリシジル、式−CH2CH(OH)−Zの基又は式−CO−Z若しくは−CONH−Zの基(式中、Zは、水素、メチル又はフェニルである)であり、
6は、水素であり、G5は、水素又はC1〜C4アルキルであり、
1及びG3は、メチルであり、かつG2及びG4は、エチル又はプロピルであるか、又はG1及びG2は、メチルであり、かつG3及びG4は、エチル又はプロピルである)であり、そして
Xは、−CH2−フェニル、CH3CH−フェニル、(CH32C−フェニル、(C5〜C6シクロアルキル)2CCN、(CH32CCN、
【0106】
【化20】

【0107】
−CH2CH=CH2、CH3CH−CH=CH2(C〜C4アルキル)CR20−C(O)−フェニル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C〜C4)アルコキシ、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−N−ジ(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH2(式中、R20は、水素又は(C〜C4)アルキルである)からなる群より選択される]である。
【0108】
上記化合物及びその製造は、GB 2 335 190及びGB 2 361 235に記載されている。
【0109】
ニトロキシルエーテルの別の好ましい基は、式(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)又は(IIh)のものである。
【0110】
【化21】

【0111】
[式中、R201、R202、R203及びR204は、互いに独立に、C1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニルか、OH、ハロゲン若しくは基−O−C(O)−R205で置換されたC1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニルか、少なくとも1個のO原子及び/若しくはNR205基で中断されたC2〜C18アルキルか、C3〜C12シクロアルキル又はC6〜C10アリールであるか、あるいはR201とR202及び/又はR203とR204は、結合炭素原子と一緒になってC3〜C12シクロアルキル基を形成し;
205、R206及びR207は、独立に、水素、C1〜C18アルキル又はC6〜C10アリールであり;
208は、水素、OH、C1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニルか、OH、ハロゲン若しくは基−O−C(O)−R205の1個以上で置換されたC1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニルか、少なくとも1個のO原子及び/若しくはNR205基で中断されたC2〜C18アルキルか、C3〜C12シクロアルキル又はC6〜C10アリール、C7〜C9フェニルアルキル、C5〜C10ヘテロアリール、−C(O)−C1〜C18アルキル、−O−C1〜C18アルキル又は−COOC1〜C18アルキルであり;
209、R210、R211及びR212は、独立に、水素、フェニル又はC1〜C18アルキルであり;そして
Xは、−CH2−フェニル、CH3CH−フェニル、(CH32C−フェニル、(C5〜C6シクロアルキル)2CCN、(CH32CCN、
【0112】
【化22】

【0113】
−CH2CH=CH2、CH3CH−CH=CH2(C〜C4アルキル)CR20−C(O)−フェニル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C〜C4)アルコキシ、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−N−ジ(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH2(式中、R20は、水素又は(C〜C4)アルキルである)からなる群より選択される。]
【0114】
より好ましくは、式(Ic)、(Id)、(Ie)、(f)、(Ig)、及び(Ih)において、R201、R202、R203及びR204の少なくとも2個が、エチル、プロピル又はブチルであり、残りがメチルであるか;又は
201とR202又はR203とR204が、結合炭素原子と一緒になってC5〜C6シクロアルキル基を形成し、残りの置換基の1個はエチル、プロピル又はブチルである。
【0115】
Xは、CH3CH−フェニルであるのが最も好ましい。
【0116】
上記化合物及びその製造は、GB 2342649に記載されている。
【0117】
他の適切な化合物は、式(III)の4−イミノ化合物である。
【0118】
【化23】

【0119】
[式中、G11、G12、G13及びG14は、独立に、C1〜C4アルキルであるか、G11とG12は一緒になって、かつG13とG14は一緒になって、又はG11とG12は一緒になって、若しくはG13とG14は一緒になって、ペンタメチレンであり、
15及びG16は、互いに独立に、水素又はC1〜C4アルキルであり、
Xは、前記定義の通りであり、
kは、1、2、3、又は4であり、
Yは、O、NR302であるか、nが1であり、R301がアルキル又はアリールを表す場合、Yはさらに直接結合であり、
302は、H、C1〜C18アルキル又はフェニルであり、
kが1の場合、
301は、H、非置換か、OH、C1〜C8アルコキシ、カルボキシ、C1〜C8アルコキシカルボニルの1個以上で置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状のC1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル又はC3〜C18アルキニル;
5〜C12シクロアルキル又はC5〜C12シクロアルケニル;
非置換か、C1〜C8アルキル、ハロゲン、OH、C1〜C8アルコキシ、カルボキシ、C1〜C8アルコキシカルボニル1個以上で置換されていてもよい、フェニル、C7〜C9フェニルアルキル又はナフチル;
−C(O)−C1〜C36アルキルであるか、又は炭素原子数3〜5のα,β−不飽和カルボン酸若しくは炭素原子数7〜15の芳香族カルボン酸のアシル部分;
−SO3-+、−PO(O-+2、−P(O)(OR22、−SO2−R2、−CO−NH−R2、−CONH2、COOR2又はSi(Me)3(式中、Q+は、H+、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンである)であり;
kが2の場合、
301は、非置換か、OH、C1〜C8アルコキシ、カルボキシ、C1〜C8アルコキシカルボニル1個以上で置換されていてもよい、C1〜C18アルキレン、C3〜C18アルケニレン又はC3〜C18アルキニレン;又は
キシリレン;又は、
301は、炭素原子数2〜36の脂肪族ジカルボン酸又は炭素原子数8〜14の脂環式若しくは芳香族ジカルボン酸のビスアシル基であり;
kが3の場合、
301は、脂肪族、脂環式又は芳香族のトリカルボン酸の三価の基であり;そして
kが4の場合、
301は、脂肪族、脂環式又は芳香族テトラカルボン酸の四価の基である]
【0120】
16は、水素であり、G15は、水素又はC1〜C4アルキル、特にメチルであり、G11及びG13は、メチルであり、かつG12及びG14は、エチル又はプロピルであるか、又はG11及びG12は、メチルであり、かつG13及びG14は、エチル又はプロピルであるのが好ましい。
【0121】
式Vの4イミノ化合物は、例えばE. G. Rozantsev, A. V. Chudinov, V. D. Sholle.: Izv. Akad. Nauk. SSSR, Ser. Khim. (9), 2114 (1980)にしたがって製造することができ、ヒドロキシルアミンとの縮合反応、及び後続のOH基の反応において、対応する4−オキソニトロキシドから出発する。これらの化合物はWO 02/100831に記載されている。
【0122】
式(II′)の構造要素が、式A′、B′又はO′:
【0123】
【化24】

【0124】
[式中、
mは1であり、
Rは、水素、非中断又は1個以上の酸素原子で中断されたC1〜C18アルキル、シアノエチル、ベンゾイル、グリシジルか、炭素原子数2〜18の脂肪族カルボン酸、炭素原子数7〜15の脂環式カルボン酸、炭素原子数3〜5のα,β−不飽和カルボン酸又は炭素原子数7〜15の芳香族カルボン酸の一価の基であり、
pは1であり、
101は、C1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C8アラルキル、C2〜C18アルカノイル、C3〜C5アルケノイル又はベンゾイルであり、
102は、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、非置換又はシアノ、カルボニル若しくはカルバミド基で置換されたC2〜C8アルケニル、グリシジル、式−CH2CH(OH)−Zの基又は式−CO−Z若しくは−CONH−Zの基(式中、Zは、水素、メチル又はフェニルである)であり、
6は、水素であり、G6は、水素又はC1〜C4アルキルであり、そして
1及びG3は、メチルであり、かつG2及びG4は、エチル又はプロピルであるか、又はG1及びG2は、メチルであり、かつG3及びG4は、エチル又はプロピルである]である化合物が好ましい。
【0125】
構造要素:
【0126】
【化25】

【0127】
が式(III'):
【0128】
【化26】

【0129】
[式中、
11、G12、G13、及びG14は、独立に、C1〜C4アルキルであるか、G11とG12は一緒になって、かつG13とG14は一緒になって、又はG11とG12は一緒になって、若しくはG13とG14は一緒になって、ペンタメチレンであり、
15及びG16は、互いに独立に、水素又はC1〜C4アルキルであり、
kは、1、2、3又は4であり、
Yは、O、NR302であるか、nが1であり、R301がアルキル又はアリールを表す場合、Yはさらに直接結合であり、
302は、H、C1〜C18アルキル、又はフェニルであり、
kが1の場合、
301は、H、非置換か、OH、C1〜C8アルコキシ、カルボキシ、C1〜C8アルコキシカルボニルの1個以上で置換されていてもよい、直鎖状又は分岐状のC1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル又はC3〜C18アルキニル;
5〜C12シクロアルキル又はC5〜C12シクロアルケニル;
非置換か、C1〜C8アルキル、ハロゲン、OH、C1〜C8アルコキシ、カルボキシ、C1〜C8アルコキシカルボニルの1個以上で置換されていてもよい、フェニル、C7〜C9フェニルアルキル又はナフチル;
−C(O)−C1〜C36アルキルであるか、又は炭素原子数3〜5のα,β−不飽和カルボン酸若しくは炭素原子数7〜15の芳香族カルボン酸のアシル部分;
−SO3-+、−PO(O-+2、−P(O)(OR22、−SO2−R2、−CO−NH−R2、−CONH2、COOR2又はSi(Me)3(式中、Q+は、H+、アンモニウム又はアルカリ金属カチオンである)であり;
kが2の場合、
301は、非置換か、OH、C1〜C8アルコキシ、カルボキシ、C1〜C8アルコキシカルボニルの1個以上で置換されていてもよい、C1〜C18アルキレン、C3〜C18アルケニレン又はC3〜C18アルキニレン;又は
キシリレン;又は
301は、炭素原子数2〜36の脂肪族ジカルボン酸又は炭素原子数8〜14の脂環式若しくは芳香族ジカルボン酸のビスアシル基であり;
kが3の場合、
301は、脂肪族、脂環式又は芳香族トリカルボン酸の三価の基であり;
そして
kが4の場合、
301は、脂肪族、脂環式又は芳香族テトラカルボン酸の四価の基である]である化合物も適切である。
【0130】
種々の置換基におけるアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。1〜18個の炭素原子を含有するアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシルである。
【0131】
炭素原子数3〜18のアルケニルは、例えばプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−2,4−ペンタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、n−2−オクテニル、n−2−ドデセニル、イソドデセニル、オレイル、n−2−オクタデセニル又はn−4−オクタデセニルのような直鎖状又は分岐状基である。
【0132】
炭素原子数3〜12、特に好ましくは3〜6のアルケニルが好ましい。
【0133】
炭素原子数3〜18のアルキニルは、例えばプロピニル(−CH2−C≡CH)、2−ブチニル、3−ブチニル、n−2−オクチニル又はn−2−オクタデシニルのような直鎖状又は分岐状基である。炭素原子数3〜12、特に好ましくは3〜6のアルキニルが好ましい。
【0134】
ヒドロキシ置換アルキルの例は、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル又はヒドロキシヘキシルである。
【0135】
ハロゲン置換アルキルの例は、ジクロロプロピル、モノブロモブチル又はトリクロロヘキシルである。
【0136】
少なくとも1個のO原子で中断されたC2〜C18アルキルは、例えば−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−CH2−CH2−O−CH3−、又は−CH2−CH2−O−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3−である。ポリエチレングリコールから誘導するのが好ましい。一般的な記載は−((CH2a−O)b−H/CH3(式中、aは1〜6の数であり、bは2〜10の数である)である。
【0137】
少なくとも1個のNR5基で中断されたC2〜C18アルキルは、一般に、−((CH2a−NR5b−H/CH3(式中、a、b及びR5は、前記定義の通り)と記載することができる。
【0138】
3〜C12シクロアルキルは、典型的には、シクロプロピル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル又はトリメチルシクロヘキシルである。
【0139】
6〜C10アリールは、例えばフェニル又はナフチルであるが、C1〜C4アルキル置換されたフェニル、C1〜C4アルコキシ置換されたフェニル、ヒドロキシ、ハロゲン又はニトロ置換されたフェニルも含む。アルキル置換されたフェニルの例は、エチルベンゼン、トルエン、キシレン及びその異性体、メシチレン又はイソプロピルベンゼンである。ハロゲン置換されたフェニルは、例えばジクロロベンゼン又はブロモトルエンである。
【0140】
アルコキシ置換基は、典型的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシ、及びこれらの対応する異性体である。
【0141】
7〜C9フェニルアルキルは、ベンジル、フェニルエチル又はフェニルプロピルである。
【0142】
5〜C10ヘテロアリールは、例えばピロール、ピラゾール、イミダゾール、2,4−ジメチルピロール、1−メチルピロール、チオフェン、フラン、フルフラール、インドール、クマロン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリジン、α−ピコリン、ピリダジン、ピラジン又はピリミジンである。
【0143】
Rがカルボン酸の一価の基である場合、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、カプロイル、ステアロイル、ラウロイル、アクリロイル、メタクリロイル、ベンゾイル、シンナモイル又はβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル基である。
【0144】
1〜C18アルカノイルは、例えば、ホルミル、プロピオニル、ブチリル、オクタノイル、ドデカノイルであるが、好ましくはアセチルであり、C3〜C5アルケノイルは、特にアクリロイルである。
【0145】
特に重合工程b1)は極めて適切である。工程b1)を用いる場合、上で概説した構造で表されるニトロキシルエーテルは、O−X結合の間が開裂する。こうして、式(I)中のフラグメント(E)はO−Nフラグメントに対応し、開始フラグメント(In)は、基XのC中心ラジカルに対応する。
【0146】
特に適切なニトロキシルエーテル及びニトロキシルラジカルは、式:
【0147】
【化28】

【0148】
のものである。
【0149】
本発明の極めて特定の態様では、ポリマー又はコポリマーレベリング剤は、式(O1):
【0150】
【化29】

【0151】
の化合物を用いて製造する。
【0152】
この場合、式(I)中の開始フラグメント(In)は、
【0153】
【化30】

【0154】
であり、そして基(E)は
【0155】
【化31】

【0156】
である。
【0157】
ルートb2)による工程を選択する場合、開始フラグメント(In)は、ラジカル開始剤から誘導されたラジカルに対応する。ルートb2)のラジカル開始剤は、アゾ化合物、過酸化物、ペルエステル又はヒドロペルオキシドであるのが好ましい。
【0158】
特定の好ましいラジカル源は、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミド)(遊離塩基又は塩酸塩)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)(遊離塩基又は塩酸塩)、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}又は2,2′−アゾビス{2−メチル−N− [1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド;アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−アミルペルネオデカノエート、t−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルペルピバレート、t−アミルペルピバレート、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(2−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジ過酸化ベンゾイル、t−ブチルペル2−エチルヘキサノエート、ビス−(4−クロロベンゾイル)−ペルオキシド、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペルマレイネート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルイソノナノエート、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジベンゾエート、t−ブチルペルアセテート、t−アミルペルベンゾエート、t−ブチルペルベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)プロパン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3−t−ブチルペルオキシ3−フェニルフタリド、ジ−t−アミルペルオキシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5−ジメチル1,2−ジオキソラン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンモノ−α−ヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド又はt−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0159】
基Eは必ずしも、酸素原子を介してポリマー又はコポリマーに結合した、安定なニトロキシルラジカルである必要がない。結合した安定なニトロキシルラジカルの置換又は脱離反応の結果、生じる基であることも可能である。
【0160】
鎖末端で別の基を導入するために、又はニトロキシル末端ポリマーを非反応性にするために、ニトロキシド(NO*)を除去するか、又は交換するいくつかの可能性が存在する。いくつかの具体例を以下に示す。
【0161】
ニトロキシド鎖末端は例えば、均一開裂するとラジカルを発生することができる化合物、例えばテトラフェニルエタン系生成物の使用により、交換することができる。ニトロキシド鎖末端の交換は、例えばテトラフェニルエタン誘導体の存在下で、開鎖及び閉鎖末端の間の平衡がアクティブである温度まで、ポリマーを加熱することにより行う。ニトロキシド及び均一開裂したテトラフェニルエタン誘導体の交換が起こる。これは、例えばBeyou, E.; Jarroux, N.; Zydowicz, N.; Chaumont, P. Macromol. Chem. Phys. 2001, 202, 974-79 (Functional End-Group Exchange of Nitroxide- or Bromo- Terminated Polystyrene)により記載されている。
【0162】
ニトロキシド鎖末端は、Zn/酢酸の使用により、鎖末端でのOH基の形成下、除去することもできる。これはChessa, G.; Scrivanti, A.; Matteoli, U.; Castelvetro, V. Polymer 2001, 42, 9347-53 (Syntheses of three- and six-arms polystyrene via living/controlled free radical polymerisation)により記載されている。
【0163】
別の可能性は、ラジカル重合を介して容易に単独重合することができない不飽和化合物の使用である。例は、モノマー、例えば無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、α−メチルスチレン、ジアルキルフマレート、あるいは非活性アルケン、例えばイソブテン、シクロヘキセン、1−オクテン又は異性体、アルキルアリルエーテル、アリルエステルである。このような不飽和化合物を、ニトロキシル媒介重合において反応性であるモノマーの消費及び/又は除去の後に、優先的にNO*末端ポリマーに加える。NO*末端ポリマー及び非重合反応性不飽和化合物を、高温、例えば100〜150℃に、ポリマーをさらなる鎖成長に対して不活性にするのに十分な期間加熱する。どんな理論にも縛られないが、このように非反応性モノマーで後処理することにより、全て、又はほとんどのNO*基がポリマーから分離し、そして非反応性不飽和化合物の1単位又はほんのわずかの単位がポリマー鎖末端に挿入されると考えられる。このような後処理による官能化の具体例は、Harth, E.; Hawker, C.J.; Fan, W.; Waymouth, R. M. Macromolecules 2001, 34(12), 3856-62 (Chain End Functionallization in Nitroxide-Mediated "Living" Free Radical Polymerizations)により記載されているように、二重結合の形成下での、無水マレイン酸やマレイミドとの反応である。
【0164】
さらに別の可能性は、鎖末端でのフラグメント化を引き起こすことのできる化合物の使用、例えば、ニトロキシド媒介ラジカル重合においてメタクリレートを用いることによるものである。アクリルポリマーのニトロキシド鎖末端は、例えば過剰なメチルメタクリレートと共に、開鎖及び閉鎖末端の平衡がアクティブである温度で加熱することにより除去することができる。Cheng, C.; Yang, N. -L. Polymer Preprints 2003, 41(1), 1010-11 C. Burguiere, M.-A. Dourges, B. Charleux, J.-P. Vairon, Macromolecules, 1999, 32, 3883-3890により記載されているように、鎖末端での二重結合の形成及びニトロキシドの除去を観察することができる。
【0165】
ニトロキシドを介する制御されたラジカル重合によるポリマーからのNO*の脱離の簡単な方法は、反応性モノマーを除去した後に高温に加熱することによる。これは、さらなるニトロキシル媒介重合に対して不活性であるポリマーを導く。どんな理論にも縛られないが、このような熱的後処理により、ポリマーからNO*基は除去又は交換されると考えられる。
【0166】
種々の方法により導入する基の例は、−OH、−CR=CR2、−O−C(O)−CR=CH2である。
【0167】
成分b)のレベリング剤の多分散度(polydispersity)は、1.0〜2.0、より好ましくは1.1〜1.5であるのが好ましい。
【0168】
例えば成分b)のレベリング剤のガラス転移温度は、20〜200℃、特に30〜150℃である。
【0169】
好適な態様では、成分b)のレベリング剤は、モノマー全重量に基づいて、30%以上、特に50重量%以上のt−ブチルアクリレート及び/又はt−ブチルメタクリレートで構成される。
【0170】
例えば成分b)のレベリング剤は、直鎖状ポリマー又はコポリマー、すなわち式(I)中、nは1である。
【0171】
成分b)の式(I)において、yが1であるのが好ましい。
【0172】
例えば成分b)のレベリング剤の分子量は、1000〜100000、好ましくは3000〜50000g/mol(ダルトン)である。
【0173】
成分b)のレベリング剤が、30%以上、より好ましくは50重量%以上のt−ブチルアクリレート及び/又はt−ブチルメタクリレート、並びに0.5〜50%、より好ましくは1〜20%のアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸(C1〜C6)ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C6)ヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸(C1〜C6)アルキルエステル及びメタクリル酸(C1〜C6)アルキルエステル(これらは、アミノ、(C1〜C6)アルキルアミノ、(C1〜C6)ジアルキルアミノ、エポキシ、フルオロ、ペルフルオロ、又はシロキサン基で置換されている)からなる群より選択される官能モノマーで構成されるコーティング組成物が好ましい。
【0174】
本発明の特定の態様では、成分b)のレベリング剤は、t−ブチルアクリレート及び/又はt−ブチルメタクリレート50重量%以上で構成され、そして室温で固体である。
【0175】
成分b)のレベリング剤は、フィルム形成バインダ樹脂、成分a)の重量に基づいて、0.1〜15%の量で存在するのが好ましく、より好ましくは、0.1〜10%、最も好ましくは、0.1〜3重量%である。
【0176】
別の好ましい態様では、成分b)のレベリング剤は、少なくとも2種の異なるモノマーMを含み、構造要素(M)x内のシーケンス構造が、異なるモノマーのジブロック−、多ブロック−、又はテーパー状ブロック様配列である。
【0177】
さらに別の好ましい態様では、成分b)のレベリング剤は、少なくとも1種の多官能モノマーを含み、これにより構造要素(M)x内のポリマー鎖が分岐状ポリマー鎖構造及びy>1をもたらす。代表的な多官能モノマーを、放射線硬化性コーティングの状況において挙げる。
【0178】
多官能モノマーは、制御されたラジカル重合の間に共重合することができる、不飽和二重結合を少なくとも2個有する化合物を含む。これが、多官能モノマーの反応性及び使用量に依存して、開始剤フラグメントInから成長したポリマー鎖(M)xの種々の分岐度を導く。
【0179】
多官能モノマーの代表的な例は、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、1,4−ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化ビスフェノール−Aジアクリレートである。
【0180】
コーティング組成物は、さらなる添加剤、例えば光安定剤、熱安定剤、顔料及び充填剤を含有してもよい。さらなる添加剤の例を次に示す。
【0181】
1. 酸化防止剤
1.1. アルキル化モノフェノール類、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、側鎖において直鎖状又は分岐鎖状であるノニルフェノール類、例えば2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1′−メチルウンデカ−1′−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1′−メチルヘプタデカ−1′−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1′−メチルトリデカ−1′−イル)フェノール及びそれらの混合物。
【0182】
1.2. アルキルチオメチルフェノール類、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
【0183】
1.3. ヒドロキノン類及びアルキル化ヒドロキノン類、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート。
【0184】
1.4. トコフェロール類、例えばα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びそれらの混合物(ビタミンE)。
【0185】
1.5. ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、例えば2,2′−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2′−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)、4,4′−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド。
【0186】
1.6. アルキリデンビスフェノール類、例えば2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2′−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2′−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチル−フェノール)、2,2′−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2′−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングルコールビス[3,3−ビス(3′−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン。
【0187】
1.7. O−,N−及びS−ベンジル化合物、例えば3,5,3′,5′−テトラ−tert−ブチル−4,4′−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート。
【0188】
1.8. ヒドロキシベンジル化マロネート類、例えばジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジ−オクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジ−ドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート。
【0189】
1.9. 芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
【0190】
1.10. トリアジン化合物、例えば2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。
【0191】
1.11. ベンジルホスホネート類、例えばジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホート、ジオクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩。
【0192】
1.12. アシルアミノフェノール類、例えば4−ヒドロキシラウルアニリド、4−ヒドロキシステアルアニリド、オクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート。
【0193】
1.13. β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル類 一価又は多価アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0194】
1.14. β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステル類 一価又は多価アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジノール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル;3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン。
【0195】
1.15. β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル類 一価又は多価アルコール類、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0196】
1.16. 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステル類 一価又は多価アルコール類、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
【0197】
1.17. β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド類 例えばN,N′−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N′−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N′−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N′−ビス[2−(3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(Naugard(登録商標)XL-1、Uniroyal社製)。
【0198】
1.18. アスコルビン酸(ビタミンC)
【0199】
1.19. アミン酸化防止剤、例えばN,N′−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−tert−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p′−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N′,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1′,3′−ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ及びジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルジフェニルアミン類の混合物、モノ及びジアルキル化ノニルジフェニルアミン類の混合物、モノ及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミン類の混合物、モノ及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミン類の混合物、モノ及びジアルキル化tert−ブチルジフェニルアミン類の混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ及びジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルフェノチアジン類の混合物、モノ及びジアルキル化tert−オクチルフェノチアジン類の混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イル−ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリド−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール。
【0200】
2. UV吸収剤及び光安定剤
2.1. 2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類、例えば2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−sec−ブチル−5′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−5′−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−5′−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−ドデシル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];ポリエチレングリコール300との2−[3′−tert−ブチル−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)−2′−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールのエステル交換生成物;
【0201】
【化32】

【0202】
(ここで、R=3′−tert−ブチル−4′−ヒドロキシ−5′−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル)、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(α,α−ジメチルベンジル)−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;2−[2′−ヒドロキシ−3′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5′−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール。
【0203】
2.2. 2−ヒドロキシベンゾフェノン類、例えば4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルルオキシ、4,2′,4′−トリヒドロキシ及び2′−ヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ誘導体。
【0204】
2.3. 置換又は非置換の安息香酸のエステル類、例えば4−tert−ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート。
【0205】
2.4. アクリレート類、例えばエチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチルα−カルボメトキシシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチルα−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメート及びN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン。
【0206】
2.5. ニッケル化合物、例えばn−ブチルアミン、トリエタノールアミン若しくはN−シクロヘキシルジエタノールアミンのような追加のリガンドを有するか、又は有さない1:1又は1:2錯体のような2,2′−チオビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバマート、モノアルキルエステル類のニッケル塩、例えばメチル又はエチルエステル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホン酸のニッケル塩、ケトオキシム類のニッケル錯体、例えば追加のリガンドを有するか、又は有さない、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニルウンデシルケトオキシム、1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体。
【0207】
2.6. 立体障害アミン類、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合物、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状又は環式縮合物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1′−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状又は環式縮合物、2−クロロ−4,6−ビス(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、2−クロロ−4,6−ジ−(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−と4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−シクロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの縮合物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン並びに4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物(CAS Reg. No. [136504-96-6]);1,6−ヘキサジアミンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンの、N,N−ジブチルアミンと4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの縮合物(CAS Reg. No. [192268-64-7]);N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシンイミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4,5]デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ−[4,5]デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテン、N,N′−ビス−ホルミル−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンとの4−メトキシメチレンマロン酸のジエステル、ポリ[メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)]シロキサン、2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジン又は1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとのマレイン酸無水物α−オレフィンコポリマーの反応生成物。
【0208】
2.7. オキサミド類、例えば4,4′−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2′−ジエトキシオキサニリド、2,2′−ジオクチルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブトキサニリド、2,2′−ジドデシルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブトキサニリド、2−エトキシ−2′−エチルオキサニリド、N,N′−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2′−エトキサニリド及び2−エトキシ−2′−エチル−5,4′−ジ−tert−ブトキサニリドとそれとの混合物、o−及びp−メトキシ−ジ置換オキサニリド類の混合物及びo−及びp−エトキシ−ジ置換オキサニリド類の混合物。
【0209】
2.8. 2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0210】
3. 金属不活性化剤、例えばN,N′−ジフェニルオキサミド、N−サリチラール−N′−サリチロイルヒドラジン、N,N′−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N′−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N′−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N′−ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N′−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド。
【0211】
4. ホスファイト類及びホスホナイト類、例えばトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス(tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12H−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチル−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、2,2′,2″−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3′,5,5′−テトラ−tert−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル)ホスファイト]、2−エチルヘキシル(3,3′,5,5′−テトラ−tert−ブチル−1,1′−ビフェニル−2,2′−ジイル)ホスファイト、5−ブチル−5−エチル−2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノキシ)−1,3,2−ジオキサホスフィラン。
【0212】
以下のホスファイト類が特に好ましい:
【0213】
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos(登録商標)168、Ciba-Geigy)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
【0214】
【化33】

【0215】
5. ヒドロキシルアミン、例えばN,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、水素化牛脂アミンから誘導されるN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン。
【0216】
6. ニトロン類、例えばN−ベンジル−α−フェニルニトロン、N−エチル−α−メチルニトロン、N−オクチル−α−ヘプチルニトロン、N−ラウリル−α−ウンデシルニトロン、N−テトラデシル−α−トリデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−ヘプタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘキサデシルニトロン、水素化牛脂アミンから誘導されるN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンから誘導されるニトロン。
【0217】
7. チオ相乗剤、例えばジラウリルチオジプロピオネート又はジステアリルチオジプロピオナート。
【0218】
8. 過酸化物スカベンジャー、例えばβ−チオジプロピオン酸のエステル類、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチル又はトリデシルエステル類、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの又は亜鉛塩、亜鉛ジブチルジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネート。
【0219】
9. ポリアミド安定剤、例えばヨウ化物及び/又はリン化合物と組み合わされた銅塩及び二価マンガンの塩。
【0220】
10. 塩基性共安定剤、例えば メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、ウレア誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウム及びパルミチン酸カリウム、ピロカテコール酸アンチモン又はピロカテコール酸亜鉛。
【0221】
11. 核剤、例えば、タルク、金属酸化物、例としては二酸化チタン又は酸化マグネシウム、好ましくはアルカリ土類金属のリン酸塩、炭酸塩又は硫酸塩のような無機物質;モノ−又はポリカルボン酸及びそれらの塩、例えば4−tert−ブチル安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸、コハク酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウムのような有機化合物;イオンコポリマー(イオノマー)のようなポリマー化合物。特に好ましくは1,3:2,4−ビス(3′,4′−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(パラメチルジベンジリデン)ソルビトール、及び1,3:2,4−ジ(ベンジリデン)ソルビトールである。
【0222】
12. 充填剤及び補強剤、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、ガラス球、石綿、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物及び水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、木粉又は他の天然生成物の粉末若しくは繊維、合成繊維。
【0223】
13. 他の添加剤、例えば可塑剤、滑剤、乳化剤、顔料、レオロジー添加剤、触媒、流量制御剤、蛍光増白剤、防炎加工剤、帯電防止剤及び発泡剤。
【0224】
14. ベンゾフラノン類及びインドリノン、例えばU.S. 4,325,863; U.S. 4,338,244; U.S. 5,175,312; U.S. 5,216,052; U.S. 5,252,643; DE-A-4316611;
DE-A-4316622; DE-A-4316876; EP-A-0589839若しくはEP-A-0591102に記載されたもの又は3−[4−(2−アセトキシエトキシ)−フェニル]−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−tert−ブチル−3−[4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル]ベンゾフラン−2−オン、3,3′−ビス[5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)ベンゾフラン−2−オン]、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン。
【0225】
本発明の別の態様は、上述したコーティング組成物のレベリングを向上させるための方法であり、この方法は、コーティング組成物を基材に適用し、均質な固体コーティングを得るために、それを熱エネルギー又は電磁波にさらす工程を含む。
【0226】
本発明のさらに別の態様は、ニトロキシルを介する制御されたラジカル重合により得られた式(I):
In−[(M)x−(E)yn (I)
(式中、Inは、重合反応を開始する開始剤フラグメントであり;
Mは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、アクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル;アミノ、(C1〜C22)アルキルアミノ、(C1〜C22)ジアルキルアミノ、−SO3H、エポキシ、フルオロ、ペルフルオロ、又はシロキサン基で置換されたアクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又はメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル;スチレン、置換スチレン、アクリルアミド、及びメタクリルアミド、N−モノ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、N,N−ジ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、並びに2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーであり;
ただし、非置換アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又は/及びメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステルの量は、モノマー混合物の全重量に基づいて30重量%より多く;
Eは、酸素原子を介してポリマー若しくはコポリマーに結合した、少なくとも1種の安定なニトロキシルラジカルを含む基であるか;又は結合した安定なニトロキシルラジカルの置換若しくは脱離反応の結果生じる基であり;
xは、モノマー単位の合計数である5〜5000の数であり;
yは、モノマーシーケンス(M)xに結合した末端基Eの平均数を表す1以上の数であり;
nは、1〜20の数である)のポリマー又はコポリマーの、
a1)物理的乾燥フィルム形成バインダ樹脂;
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂;
a3)放射線硬化性フィルム形成バインダ樹脂;
a4)自動酸化乾燥フィルム形成バインダ樹脂;又は
a5)a1)、a2)、a3)若しくはa4)から選択される、少なくとも2種の異なる架橋機構のバインダ樹脂の組み合わせ
を含むコーティング組成物のための、レベリング剤としての使用である。
【0227】
均質な固体コーティングを得るために、前記コーティング組成物を熱エネルギーにさらすことは、好ましくは、それを温度60〜180℃、より好ましくは80〜150℃に加熱することを意味する。熱硬化性粉末コーティングの場合、好ましい温度範囲は、150〜200℃である。
【0228】
コーティングを電磁波にさらすことは、好ましくは、紫外線にさらしてコーティングの硬化を生じさせることを意味する。
【0229】
両方の作用を組み合わせることもできる;例えば、組成物をまず紫外線で硬化させ、次に熱処理を適用して後硬化を生じさせる。
【0230】
硬化時間は、放射線硬化性コーティングの場合はわずか秒単位、熱硬化性コーティングの場合には1〜60分、あるいは自動酸化乾燥コーティングの場合には、数時間の範囲とすることができる。
【0231】
本発明の別の態様は、
a1)物理的乾燥フィルム形成バインダ樹脂;
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂;
a3)放射線硬化性フィルム形成バインダ樹脂;
a4)自動酸化乾燥フィルム形成バインダ樹脂;又は
a5)a1)、a2)、a3)若しくはa4)から選択される、少なくとも2種の異なる架橋機構のバインダ樹脂の組み合わせ;
b)原子移動ラジカル重合により製造した式(X):
【0232】
【化34】

【0233】
(式中、Inは、重合反応を開始する開始剤フラグメントであり;
Mは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、アクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル;アミノ、(C1〜C22)アルキルアミノ、(C1〜C22)ジアルキルアミノ、−SO3H、エポキシ、フルオロ、ペルフルオロ又はシロキサン基で置換された、アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又はメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル;スチレン、置換スチレン、アクリルアミド及びメタクリルアミド、N−モノ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、N,N−ジ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、並びに2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーであり;
ただし、t−ブチルアクリレートの量は、モノマー混合物の全重量に基づいて30重量%より多く;
Eは、Cl、Br、又はCl若しくはBrの求核置換により導入された基であり;
xは、モノマー単位の合計数である5〜5000の数である;
yは、モノマーシーケンス(M)xに結合した末端基Eの平均数を表す1以上の数であり;
nは、1〜20の数である)のポリマー又はコポリマーレベリング剤、並びに
c)場合により水又は/及び1種以上の有機溶媒
を含むコーティング組成物である。
【0234】
原子移動ラジカル重合(ATRP)は、例えばWO 96/30421に記載されている。WO 96/30421には、エチレン性不飽和モノマー、例えばスチレン又は(メタ)アクリレートの、ATRP法を使用することによる、制御された、すなわち「リビング」重合工程が開示されている。この方法によれば、異なる酸化状態の遷移金属のレドックス系、例えばCu(I)及びCu(II)の存在下で、ラジカル原子、例えば・Clを生じる開始剤を使用し、「リビング」、すなわち制御されたラジカル重合を与える。
【0235】
適切な開始化合物は、WO 96/30421及びWO 98/01480に記載されているように、ラジカル移動性原子又は基・Halを有する式(XI):
【0236】
【化35】

【0237】
である。好ましいラジカル移動性原子又は基・Halは、・Cl又は・Brであり、これは開始剤分子からラジカルとして開裂する。
【0238】
[In]は、モノマー又はオリゴマーの重合を開始することができる式(Xl):
【0239】
【化36】

【0240】
の重合開始剤の重合開始剤フラグメントを表し、この重合開始剤は、C1〜C8−アルキルハロゲン化物、C6〜C15−アラルキルハロゲン化物、C2〜C8α−ハロアルキルエステル、アレーンスルホニルクロリド、ハロアルカンニトリル、α−ハロアクリレート、及びハロアセトンからなる群より選択され、そして
p及びqは1を表す。
【0241】
特定の開始剤は、α,α′−ジクロロ−又はα,α′−ジブロモキシレン、p−トルエンスルホニルクロリド(PTS)、ヘキサキス−(α−クロロ−又はα−ブロモメチル)−ベンゼン、2−クロロ−又は2−ブロモプロピオン酸、2−クロロ−又は2−ブロモイソ酪酸、1−フェネチルクロリド又はブロミド、メチル又はエチル2−クロロ−又は2−ブロモプロピオネート、エチル−2−ブロモ−又はエチル−2−クロロイソブチレート、クロロ−又はブロモアセトニトリル、2−クロロ−又は2−ブロモプロピオニトリル、α−ブロモ−ベンゾ−アセトニトリル及びα−ブロモ−γ−ブチロラクトン(=2−ブロモ−ジヒドロ−2(3H)−フラノン)からなる群より選択される。
【0242】
本発明の方法で用いる被酸化性遷移金属錯体触媒塩中の遷移金属は、レドックス系の低い酸化状態で、被酸化性の錯体イオンとして存在する。このようなレドックス系の好ましい例は、V(B)、VI(B)、VII(B)、VIII、IB及びIIB族元素、例えばCu+/Cu2+、Cu0/Cu+、Fe0/Fe2+、Fe2+/Fe3+、Ru2+/Ru3+、Ru3+/Ru4+、Os2+/Os3+、Vn+/V(n+1)+、Cr2+/Cr3+、Co+/Co2+、Co2+/Co3+、Ni0/Ni+、Ni+/Ni2+、Ni2+/Ni3+、Mn0/Mn2+、Mn2+/Mn3+、Mn3+/Mn4+又はZn+/Zn2+からなる群より選択される。
【0243】
イオン電荷は、遷移金属の錯体化学において一般に公知のアニオン配位子、例えば水素化物イオン(H-)又は無機若しくは有機酸から誘導されたアニオン、例えばハロゲン化物、例えばF-、Cl-、Br-若しくはI-、タイプBF4-、PF6-、SbF6-若しくはAsF6-のフルオロ錯体、オキソ酸、アルコレート若しくはアセチリドのアニオン又はシクロペンタジエンのアニオンにより釣り合わせる。
【0244】
酸素酸のアニオンは、例えば、硫酸、リン酸、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、アンチモン酸、ヒ酸、硝酸、炭酸、C1〜C8カルボン酸のアニオン、例えばホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ベンゾエート、フェニルアセテート、モノ−、ジ−若しくはトリクロロ−又は−フルオロアセテート、スルホネート、例えばメチルスルホネート、エチルスルホネート、プロピルスルホネート、ブチルスルホネート、トリフルオロメチルスルホネート(トリフレート)、非置換又はC〜C4アルキル−、C〜C4アルコキシ−又はハロ−、特にフルオロ−、クロロ−若しくはブロモ−置換フェニルスルホネート又はベンジルスルホネート、例えばトシレート、メシレート、ブロシレート、p−メトキシ−若しくはp−エトキシフェニルスルホネート、ペンタフルオロフェニルスルホネート又は2,4,6−トリイソプロピルスルホネート、ホスホネート、例えばメチルホスホネート、エチルホスホネート、プロピルホスホネート、ブチルホスホネート、フェニルホスホネート、p−メチルフェニルホスホネート、又はベンジルホスホネート、C1〜C8カルボン酸から誘導したカルボキシレート、例えばホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ベンゾエート、フェニルアセテート、モノ−、ジ−若しくはトリクロロ−若しくは−フルオロアセテート、並びにC1〜C12−アルコレート、例えば直鎖状又は分岐状C1〜C12−アルコレート、例えばメタノレート又はエタノレートである。
【0245】
アニオン配位子及び中性配位子も、錯体カチオンの好ましい配位数、特に4、5又は6まで存在できる。さらなる負の電荷を、カチオン、特に一価のカチオン、例えばNa+、K+、NH4+又は(C〜C4アルキル)4+により釣り合わせる。
【0246】
適切な中性の配位子は、遷移金属の錯体化学において一般に公知の無機又は有機の中性配位子である。これらは、δ−、π−、μ−、η−結合又はこれらの任意の組合せを介して、錯体カチオンの好ましい配位数まで、金属イオンに配位結合する。適切な無機配位子は、aquo(H2O)、アミノ、窒素、一酸化炭素、及びニトロシルからなる群より選択される。適切な有機配位子は、ホスフィン、例えば(C653P、(i−C373P、(C593P若しくは(C6113P、ジ−、トリ−、テトラ−及びヒドロキシ−アミン、例えばエチレンジアミン、エチレンジアミノテトラアセテート(EDTA)、N,N−ジメチル−N′,N′−ビス(2−ジメチルアミノエチル)−エチレンジアミン(Me6TREN)、カテコール、N,N′−ジメチル−1,2−ベンゼンジアミン、2−(メチルアミノ)フェノール、3−(メチルアミノ)−2−ブタノール又はN,N′−ビス(1,1−ジメチルエチル)−1,2−エタンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチルトリアミン(PMD−ETA)、C1〜C8−グリコール若しくはグリセリド、例えばエチレン若しくはプロピレングリコール又はこれらの誘導体、例えばジ−、トリ−又はテトラ−グライム、及び単座又は二座複素環e-ドナー配位子からなる群より選択される。
【0247】
複素環e-ドナー配位子は、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ビス−ピリジン、ピコリルイミン、g−ピラン、g−チオピラン、フェナントロリン、ピリミジン、ビス−ピリミジン、ピラジン、インドール、クマロン、チオナフテン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ビス−チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、キノリン、ビス−キノリン、イソキノリン、ビス−イソキノリン、アクリジン、クロメン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、トリアジン、チアントレン、プリン、ビス−イミダゾール及びビス−オキサゾールからなる群からの非置換又は置換ヘテロアレーンから誘導する。
【0248】
被酸化性遷移金属錯体触媒は、別の予備反応工程で、その配位子から形成することができ、あるいは好ましくは、インサイチュで遷移金属塩、例えばCu(I)Clから形成し、これを次に、錯体触媒中に存在する配位子に対応する化合物の添加により(例えばエチレンジアミン、EDTA、Me6TREN、又はPMDETAを添加により)、錯体化合物に変換する。
【0249】
遷移金属錯体塩中の被酸化性遷移金属が、レドックス系の低酸化状態で、遷移金属錯体イオンとして存在するのが好ましい。
【0250】
遷移金属錯体イオンが、Cu(I)/Cu(II)系中のCu(I)錯体イオンであるのがより好ましい。
【0251】
式(XI):
【0252】
【化37】

【0253】
の開始剤及び被酸化性遷移金属は、モノマーに対して、例えば1:10〜1:100の量で存在する。被酸化性遷移金属の合計量対式(III)の開始剤は、例えば0.05:1〜2:1、特に0.2:1〜0.5:1である。全ての比は重量比である。
【0254】
ATRP法による櫛形コポリマーの製造は、例えばWO 01/51534に記載されている。
【0255】
ATRP技術を用いる場合、ポリマー末端に結合された塩素又は臭素原子を、除去するか、及び/又は官能基、例えばON(R)(R)基、NH2、−N(R)(R)、OH若しくは−O−C(O)−CR=CH2により置換することができる。このような置換の例が、WO 01/51534、WO 00/18807、WO 93/43719又はWO 98/40415に示される。
【0256】
さらに本発明の別の態様は、ポリ−t−ブチルアクリレート又はポリ−t−ブチルメタクリレートの、粉末コーティング組成物中のレベリング剤としての使用である。
【0257】
前述のコーティング組成物について示した定義及び選択を、本発明の他の態様にも適用する。
【0258】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0259】
実施例A:レベリング剤の重合
使用略語:
PD=多分散度
GPC=ゲル浸透クロマトグラフィーPS標準=ポリスチレン標準
PMA=プロポキシメチルアセテート
THF=テトラヒドロフラン
DEGDA=ジエチレングリコールジアクリレート
Zonyl−TM=2−(ペルフルオロアルキル)エチルメタクリレート
DMAEMA=ジメチルアミノエチルメタクリレート
PMDETA=N,N,N′,N″−ペンタメチレンジエチレントリアミン
【0260】
実施例1A:直鎖状高分子量ポリ(n−BA)の合成。化合物O1を用いる重合。
化合物O1:
【0261】
【化38】

【0262】
を、GB 2335190の実施例24にしたがって製造した。
【0263】
マグネチックスターラーバー、温度計、冷却器、及びセプタムを備えた250mLの三つ口丸底フラスコ中で、n−ブチルアクリレート80.0g(n−BA、128.17g/mol)、化合物O1 0.4g(317.48g/mol)、及びPMA2.5gを一緒に混合し、N2/真空で3回脱ガスし、N2下145℃で6時間重合した。残留モノマー及び溶媒を、120℃及び7mbarで留去した。収率:39%;GPC(THF、PS標準、Mn=19500g/mol;PD=1.38)、粘稠な液体。
【0264】
実施例2A:直鎖状高分子量ポリ(t−BMA−co−n−BA)の合成
マグネチックスターラーバー、温度計、冷却器、及びセプタムを備えた50mLの三つ口丸底フラスコ中で、t−ブチルメタクリレート19.0g(t−BMA、142.2g/mol)、n−ブチルアクリレート4.3g(n−BA、128.17g/mol)、化合物O1 0.5g(317.48g/mol)、及びPMA23.3gを一緒に混合し、N2/真空で3回脱ガスし、N2下120℃で7時間重合した。残留モノマーを120℃及び7mbarで留去した。収率49%、GPC(THF、PS標準:Mn=8000g/mol、PD=1.62)、固体。続いて、サンプルをジオキサン中の30w%から凍結乾燥して、流動性粉末を得た。
【0265】
実施例3A:直鎖状高分子量ポリ(t−BA)の合成
マグネチックスターラーバー、滴下漏斗、冷却器、及びセプタムを備えた50mLの三つ口丸底フラスコ中で、t−ブチルアクリレート25.6g(t−BA、128.17g/mol)、化合物O1 1.9g(317.48g/mol)、及びPMA20gを一緒に混合し、N2/真空で3回脱ガスし、N2下145℃で1時間重合した。t−ブチルアクリレート51.9gをこの混合物に加え、重合を120〜145℃でさらに6時間続けた。残留モノマーを120〜145℃及び7mbarで留去した。収率:75%、GPC(THF、PS標準、Mn=8600g/mol、PD=1.28)、固体。
【0266】
実施例4A:星型分岐状高分子量ポリ(n−BA)の合成
マグネチックスターラーバー、温度計、冷却器、及びセプタムを備えた100mLの三つ口丸底フラスコ中に、ジエチレングリコールジアクリレート2.7g(DEGDA、214.22g/mol)、化合物O1 0.2g(317.48g/mol)、及びPMA55gを加え、N2/真空で3回脱ガスし、N2下145℃で6時間重合した。溶媒及び残留ジアクリレートを減圧下留去した。収率69%。n−ブチルアクリレート38.6g(n−BA、128.17g/mol)及びPMA40gを加え、N2/真空で3回脱ガスし、145℃で6時間重合した。残留モノマーを120℃及び7mbarで留去した。収率17%、GPC(THF、PS標準、Mn=14200、PD=2.83)、粘稠な液体。
【0267】
ジオキサンを用いるバインダ系中の30w%マスターバッチを凍結乾燥することによりテストサンプルを調製した。
【0268】
実施例5A:直鎖状高分子量ポリ(t−BA−co−Zonyl−TM)の合成
マグネチックスターラーバー、滴下漏斗、冷却器、及びセプタムを備えた250mLの三つ口丸底フラスコ中で、t−ブチルアクリレート12.8g(t−BA、128.17g/mol)、Zonyl−TM2.8g(534g/mol)、化合物O1 0.95g(317.48g/mol)、及びPMA12gを加え、N2/真空で3回脱ガスし、N2下145℃で1時間重合した。t−ブチルアクリレート25.65g及びZonyl−TM5.63gの混合物を、滴下漏斗を通して反応混合物にゆっくり加えた。反応をN2下145℃でさらに12時間続けた。残留モノマー及び溶媒を、120〜145℃及び7mbarで留去した。収率58%、GPC(THF、PS標準、Mn=7400g/mol、PD=1.34)、固体。
【0269】
実施例6A:直鎖状高分子量ポリ(t−BA−co−n−BA−co−t−BMA)の合成
マグネチックスターラーバー、滴下漏斗、冷却器、及びセプタムを備えた250mLの三つ口丸底フラスコ中に、n−ブチルアクリレート3.0g(n−BA、128.17g/mol)、t−ブチルアクリレート15.0g(t−BA、128.17g/mol)、t−ブチルメタクリレート13.3g(t−BMA、142.2g/mol)、化合物O1 2.2g(317.48g/mol)、及びPMA24gを加え、N2/真空で3回脱ガスし、N2下145℃で1時間重合した。t−ブチルアクリレート30.06g、n−ブチルアクリレート6.01g、及びt−ブチルメタクリレート26.7gの混合物を、滴下漏斗を用いて、反応混合物にゆっくり加えた。反応をN2下145℃でさらに6時間続けた。残留モノマー及び溶媒を、120〜145℃及び7mbarで留去した。収率58%、GPC(THF、PS標準、Mn=7000g/mol、PD=1.59)、固体。
【0270】
実施例7A:直鎖状高分子量ポリ(t−BA−co−t−BMA)の合成
マグネチックスターラーバー、冷却器、及びセプタムを備えた250mLの三つ口丸底フラスコ中に、t−ブチルアクリレート32.04g(t−BA、128.17g/mol)、t−ブチルメタクリレート35.55g(t−BMA、128.17g/mol)、化合物O1 1.59g(317.48g/mol)、及びPMA20gを加え、N2/真空で3回脱ガスし、N2下135℃で7時間重合した。残留モノマー及び溶媒を、120〜145℃及び7mbarで留去した。収率68%、GPC(THF、PS標準、Mn=8800g/mol、PD=1.40)、固体。
【0271】
実施例8A:直鎖状高分子量ポリ(t−BA−co−t−BMA)の合成
マグネチックスターラーバー、冷却器、投与ポンプ、及びセプタムを備えた500mLの三つ口丸底フラスコ中に、t−ブチルアクリレート63.3g(t−BA、128.17g/mol)、t−ブチルメタクリレート3.7g(t−BMA、142.2g/mol)、化合物O1 4.95g(317.48g/mol)、及びPMA51.5gを加え、N2/真空で3回脱ガスし、N2下でわずかに還流させながら(120〜130℃)、変換率が40%程度に達するまで重合した。t−ブチルメタクリレート7.4g及びt−ブチルアクリレート126.7gの混合物を、投与ポンプ(1g/分)により反応容器に加えた。N2下でわずかに還流させながら、反応をさらに33時間続けた。残留モノマー及び溶媒を、120〜145℃及び7mbarで留去した。収率53%、GPC(THF、PS標準、Mn=6300g/mol、PD=1.41)、固体。
【0272】
実施例9A:直鎖状高分子量ポリ(t−BA−co−DMAEMA)の合成
マグネチックスターラーバー、冷却器、及びセプタムを備えた250mLの三つ口丸底フラスコ中に、t−ブチルアクリレート38.45g(t−BA、128.17g/mol)、ジメチルアミノエチルメタクリレート2.51g(DMAEMA、157.21g/mol)、化合物O1 0.95g(317.48g/mol)、及びPMA10.0gを加え、N2/真空で3回脱ガスし、N2下135℃で7時間重合した。残留モノマー及び溶媒を、120〜145℃及び7mbarで留去した。収率60%、GPC(THF、PS標準、Mn=8500g/mol、PD=1.34)、固体。
【0273】
実施例10A:臭素末端基を有する直鎖状高分子量ポリ(t−BA)の合成
供給:
t−ブチルアクリレート(t−BA、Fluka、purum)128.2g(1mol)
メチル−2−ブロモプロピオネート(MBP、Fluka、purum)2.39g(14.3mmol)
Cu(I)Br(Fluka、purum、酢酸で洗浄し乾燥)0.82g(5.7mmol)
Cu(II)Br2(Fluka、purum)0.064g(0.29mmol)
PMDETA(Fluka、purum)0.99g(5.71mmol)
アセトン(Fluka、puriss p.a.)36.3ml
【0274】
機械的攪拌並びにN2及び減圧用の入口/出口を備えた350mlの三つ口反応容器に、Cu(I)Br及びCu(II)Br2を加えた。容器を排気し、N2で3回リンスし、次にアセトン中のモノマーt−BAを加えた。反応混合物を再び排気し、N2で4回リンスし、機械的攪拌により均質化した。ここで配位子前駆物質PMDETAを、注射器でセプタムを介して加え、均質化し、開始剤MBPを加えた。均質化後、混合物を、攪拌しながら60℃に加熱した。変換率を1H−NMRにより追跡した:1.5時間後18%、19時間後81%、26時間後88%。反応混合物を室温に冷まし、酢酸エチル150mlで希釈し、Al23 70gの2つの部分上で30分間攪拌した。混合物をろ過し、真空中(p<0.1mbar)、90℃で1時間の間乾燥した。収量:103g。
【0275】
分析データ:
GPC(THF、PS標準):Mn:7750、Mw:9320、PDI=1.20(Mn(計算値):8050).
DSC(10℃/分):Tg=39℃。
TGA(10℃/分):減量:44%(T=170〜220℃)。
固形分試験機:13%の減量(200℃で10分放置した場合)。
【0276】
実施例11A:モルホリン末端基を有する直鎖状高分子量ポリ(t−BA)の合成
供給:
ポリ(t−ブチルアクリレート)(実施例10Aから)50.0g(6.2mmol末端基)
モルホリン(Fluka、puriss. p.a.)5.4g(62mmol)
トルエン50ml
【0277】
機械的攪拌並びにN2及び減圧用の入口/出口を備えた350mlの三つ口反応容器に、ポリマーを加えた。容器を排気し、N2で3回リンスし、次にモルホリンを加えた。反応混合物を、130℃に予熱したオイルバスで加熱した。反応混合物の温度が100℃に達したらすぐに、機械的攪拌を開始した。混合物を130℃で4時間加熱し、90℃に冷却し、トルエン50mlを加えた。室温に冷ました後、反応混合物をろ過し、真空中(p<0.1mbar)、90℃で1時間の間乾燥した。収量:47.7g。
【0278】
分析データ:
GPC(THF、PS標準):Mn:5950、Mw:8075、PD=1.36。
N含量(ケルダール分析):0.18%(計算値:0.17%)。
TGA(10℃/分):減量:47%(T=220〜250℃)。
固形分試験機:0.6%の減量(200℃で10分放置した場合)
【0279】
実施例12A:直鎖状高分子量ポリ(t−BA)の合成
マグネチックスターラーバー、滴下漏斗、冷却器、及びセプタムを備えた50mLの三つ口丸底フラスコ中で、t−ブチルアクリレート25.6g(t−BA、128.17g/mol)、化合物O1 1.9g(317.48g/mol)、及びPMA20gを一緒に混合し、N2/真空で3回脱ガスし、N2下でわずかに還流させながら、1時間重合した。51.9gを混合物に投与し、重合を120〜130℃でさらに6時間続けた。残留モノマーを120〜145℃及び7mbarで留去した。収率:45%、GPC(THF、PS標準、Mn=6400g/mol、PD=1.32)、固体。
【0280】
実施例13A:直鎖状高分子量ポリ(t−BA−co−DMAEMA)の合成
マグネチックスターラーバー、冷却器、及びセプタムを備えた250mLの三つ口丸底フラスコ中に、t−ブチルアクリレート38.45g(t−BA、128.17g/mol)、化合物O1 0.95g(317.48g/mol)、及びPMA10.0gを加え、N2/真空で3回脱ガスし、N2下135℃で6時間重合した。ジメチルアミノエチルメタクリレート2.51g(DMAEMA、157.21g/mol)をフラスコに加え、145℃でさらに1時間反応した。残留モノマー及び溶媒を、120〜145℃及び7mbarで留去した。収率57%、GPC(THF、PS標準、Mn=7900g/mol、PD=1.29)、固体。
【0281】
実施例14A:ポリ(t−BA−b−ステアリルA)の合成
マグネチックスターラーバー、滴下漏斗、冷却器、及びセプタムを備えた500mLの三つ口丸底フラスコ中で、t−ブチルアクリレート24.0g(t−BA、128.17g/mol)、オクタデシルアクリレート7.2g(ODA、324.55g/mol)、化合物O1 2.7g(317.48g/mol)、及びエチルヘキシルアセテート25gを一緒に混合し、N2/真空で3回脱ガスし、N2下でわずかに還流させながら1時間重合した。t−BA56g及びODA18.11gを混合物に投与し、重合を135℃でさらに6時間続けた。残留モノマーを120〜145℃及び7mbarで留去した、収率:65%、GPC(THF、PS標準、Mn=8600g/mol、PD=1.35)、固体。
【0282】
実施例15A:ポリ(t−BA−b−ベヘニルA)の合成
マグネチックスターラーバー、滴下漏斗、冷却器、及びセプタムを備えた500mLの三つ口丸底フラスコ中で、t−ブチルアクリレート34.61g(t−BA、128.17g/mol)、ベヘニルアクリレート11.42g(BhA、324.55g/mol)、化合物O1 3.85g(317.48g/mol)、及びエチルヘキシルアセテート40gを一緒に混合し、N2/真空で3回脱ガスし、N2下でわずかに還流させながら1時間重合した。t−BA80.74g及びBhA26.64gを混合物に投与し、重合を135℃でさらに6時間続けた。残留モノマーを120〜145℃及び7mbarで留去した。t−ブチルペルオクトエート0.3gを加え、90℃で4時間加熱した。収率:49%、GPC(THF、PS標準、Mn=6400g/mol、PD=1.23)、固体。
【0283】
B.応用例:粉末コーティング実施例
実施例1B:カルボキシ官能ポリエステル及び硬化剤としてヒドロキシアルキルアミドをベースとする非着色粉末コーティング。
粉末コーティング組成物は、表1に示すように、成分1〜4(レベリング剤を含まない配合物)又は成分1〜5(レベリング剤を含有する配合物)のカルボキシ官能ポリエステルをベースとする。
【0284】
【表1】

【0285】
a)Crylcoat(登録商標)2532、カルボキシ官能ポリエステル(UCB S.A., Drogenbos, Belgium)
b)Primid(登録商標)XL 552、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジパミド(EMS, Domat, Switzerland)
c)Ceridust(登録商標)9615、ワックス(Clariant AG, Muttenz, Switzerland)
d)ベンゾイン(Fluka AG)
e)Modaflow P 3(UCB Surface Specialties, USA)市販のレベリング剤
【0286】
プラネタリースターラを用いて、成分を混合した。次に、混合物をプリズム押出機で300回転/分、110℃で押出し、圧延した。粉末コーティング組成物をベンチカッターを用いて粗く粉砕し、0.75mmの環状穴スクリーンを有するRetsch ZM-1超遠心ミルで15,000回転/分で粉砕した。最後に粉末は、遠心ふるい分け機で125μmのふるいを通り抜けさせ、平均粒子サイズ30〜50μmを有する。
【0287】
完成した粉末コーティング組成物を、ESB-Wagner corona cup gunを用いて(60kV)、アルミニウムパネル上に、コート厚さ70〜80μmで静電吹付けした。被覆パネルを、電気オーブン中、180℃で10分硬化させた。
【0288】
次のパラメータを測定した:
1)黄色度:b* ISO 7724(ASTM D 2244)。b*の値が大きいことは、黄変が強いことを意味する。
2)光沢@20°:BYK Gardner haze-glossを用いて、製造メーカが提案する操作方法にしたがって測定。光沢値が高いことはコーティングフィルムの反射率が高いことを示す。
3)DOI(反射イメージの明確さ):BYK Gardner wave-scan DOIを用いて、製造メーカが提案する操作方法にしたがう。DOI値0は完全な拡散に対応し、一方DOI値100は完全なミラーイメージを意味し、極めて平滑な表面を表す。
4)Longwave:BYK Gardner wave-scan DOIを用いて、製造メーカが提案する操作方法にしたがう。Longwave値が小さいと、外観が平滑なコーティングを示す。
【0289】
【表2】

【0290】
実施例2B:カルボキシ官能ポリエステル及び硬化剤としてヒドロキシアルキルアミドをベースとする白色顔料着色粉末コーティング
実施例1Bで述べたように、全ての粉末コーティングを調製し、それらのパラメータを測定した。配合を表3に示す。
【0291】
【表3】

【0292】
a)Crylcoat(登録商標)2532、カルボキシ官能ポリエステル(UCB S.A., Drogenbos, Belgium)
b)Primid(登録商標)XL 552、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジパミド(EMS, Domat, Switzerland)
c)Ceridust(登録商標)9615、ワックス(Clariant AG, Muttenz, Switzerland)
d)ベンゾイン(Fluka AG)
e)Kronos(登録商標)2160(TiO2)(Kronos, Germany)
f)Modaflow(登録商標)P 3(UCB Surface Specialties, USA)市販のレベリング剤
【0293】
【表4】

【0294】
実施例3B:GMA−アクリル及び硬化剤としてDDDAをベースとする非着色粉末コーティング。
実施例1Bで述べたように、全ての粉末コーティングを調製し、それらのパラメータを測定した。
【0295】
【表5】

【0296】
a)Almatex(登録商標)PD7610、GMA−アクリル樹脂(Anderson, USA)
b)DDDAはドデカン二酸である(DuPont、Germany)
c)Tinuvin(登録商標)144 は立体障害アミン光安定剤である(Ciba Specialty Chemicals, Basel, Switzerland)
d)Tinuvin(登録商標)405はUV−吸収剤である(Ciba Specialty Chemicals, Basel, Switzerland)
e)Worlee(登録商標)ADD 902(Worlee Chemie, Germany)
f)Additol(登録商標) XL 490、市販の流動化剤(UCB Surface Specialties, USA)
【0297】
【表6】

【0298】
実施例4B:GMA−アクリル及び硬化剤としてDDDAをベースとする非着色粉末コーティング
実施例1Bで述べたように、全ての粉末コーティングを調製し、それらのパラメータを測定した。
【0299】
【表7】

【0300】
e)Powdermate(登録商標)468 CFL、市販のレベリング剤(Troy Chemical Company BV, Netherlands)
【0301】
【表8】

【0302】
実施例5B:GMA−アクリル及び硬化剤としてDDDAをベースとする非着色粉末コーティング
実施例1Bで述べたように、全ての粉末コーティングを調製し、それらのパラメータを測定した。
【0303】
【表9】

【0304】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a1)物理的乾燥フィルム形成バインダ樹脂;
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂;
a3)放射線硬化性フィルム形成バインダ樹脂;
a4)自動酸化乾燥フィルム形成バインダ樹脂;又は
a5)a1)、a2)、a3)若しくはa4)から選択される、少なくとも2種の異なる架橋機構のバインダ樹脂の組み合わせ;
b)ニトロキシルを介する制御されたラジカル重合により得られた式(I):
In−[(M)x−(E)yn (I)
(式中、
Inは、重合反応を開始する開始剤フラグメントであり;
Mは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、アクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル;アミノ、(C1〜C22)アルキルアミノ、(C1〜C22)ジアルキルアミノ、−SO3H、エポキシ、フルオロ、ペルフルオロ又はシロキサン基で置換された、アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又はメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル;スチレン、置換スチレン、アクリルアミド及びメタクリルアミド、N−モノ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、N,N−ジ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、並びに2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーであり;
ただし、非置換のアクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又は/及びメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステルの量は、モノマー混合物の全重量に基づいて30重量%より多く;
Eは、酸素原子を介してポリマー若しくはコポリマーに結合した、少なくとも1種の安定なフリーニトロキシルラジカルを含む基であるか;又は結合した安定なニトロキシルラジカルの置換若しくは脱離反応の結果、生じる基であり;
xは、モノマー単位の合計数であって、5〜5000の数であり;
yは、モノマーシーケンス(M)xに結合した末端基Eの平均数を表す1以上の数であり;
nは、1〜20の数である)のポリマー又はコポリマーレベリング剤;並びに
c)場合により水又は/及び1種以上の有機溶媒
を含むコーティング組成物。
【請求項2】
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂;又は
a3)放射線硬化性フィルム形成バインダ樹脂
を含む、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項3】
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂
を含む、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項4】
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂
を含み、水及び有機溶媒を伴わず、固体粉末の形態である、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項5】
式(I)のポリマー又はコポリマーレベリング剤を、
b1)構造要素:
【化1】


を有するアルコキシアミン開始剤/調節剤の存在下で重合することにより;又は
b2)構造要素:
【化2】


を有する安定なニトロキシルラジカル及びラジカル開始剤の存在下で重合することにより得る、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項6】
構造要素:
【化3】


が式(II)の構造要素であり、そして構造要素:
【化4】


が式(II′)の構造要素である、請求項5記載のコーティング組成物。
【化5】


[式中、
1、G2、G3、G4は、独立に、C1〜C6アルキルであるか、G1とG2若しくはG3とG4、又はG1とG2及びG3とG4とは、一緒になって、C5〜C12シクロアルキル基を形成し;
5、G6は、独立に、H、C1〜C18アルキル、フェニル、ナフチル又はCOOC1〜C18アルキル基であり;
Xは、−CH2−フェニル、CH3CH−フェニル、(CH32C−フェニル、(C5〜C6シクロアルキル)2CCN、(CH32CCN、
【化6】


−CH2CH=CH2、CH3CH−CH=CH2(C〜C4アルキル)CR20−C(O)−フェニル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C〜C4)アルコキシ、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−N−ジ(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH(C〜C4)アルキル、(C〜C4)アルキル−CR20−C(O)−NH2(式中、R20は、水素又は(C〜C4)アルキルである)からなる群より選択され、そして
*は、原子価を意味する]
【請求項7】
式(II)の構造要素が、式(O1)
【化7】


の化合物である、請求項6記載のコーティング組成物。
【請求項8】
成分b)のレベリング剤の多分散度が1.0〜2.0である、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項9】
成分b)のレベリング剤のガラス転移温度が、20〜200℃である、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項10】
成分b)のレベリング剤が、モノマー全重量に基づいて、少なくとも30重量%のt−ブチルアクリレート及び/又はt−ブチルメタクリレートで構成される、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項11】
成分b)のレベリング剤が、直鎖状ポリマー又はコポリマー、すなわち式(I)においてnが1である、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項12】
成分b)の式(I)において、yが1である、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項13】
成分b)のレベリング剤の分子量が、3000〜50000g/mol(ダルトン)である、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項14】
成分b)のレベリング剤が、t−ブチルアクリレート及び/又はt−ブチルメタクリレート30重量%以上、並びにアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸(C1〜C6)ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C6)ヒドロキシアルキルエステル;アミノ、(C1〜C6)アルキルアミノ、(C1〜C6)ジアルキルアミノ、エポキシ、フルオロ、ペルフルオロ又はシロキサン基で置換されたアクリル酸(C1〜C6)アルキルエステル及びメタクリル酸(C1〜C6)アルキルエステルからなる群より選択される官能モノマー0.5〜50%で構成される、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項15】
成分b)のレベリング剤が、t−ブチルアクリレート及び/又はt−ブチルメタクリレート50重量%以上で構成され、室温で固体である、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項16】
成分b)のレベリング剤が、成分a)のフィルム形成バインダ樹脂の重量に基づいて、0.1〜15重量%の量で存在する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項17】
請求項1記載のコーティング組成物のレベリングを向上させるための方法であって、
コーティング組成物を基材に付着し、均質な固体コーティングを得るために、それを熱エネルギー又は電磁波にさらす工程を含む方法。
【請求項18】
ニトロキシルを介する制御されたラジカル重合により得られた式(I):
In−[(M)x−(E)yn (I)
(式中、
Inは、重合反応を開始する開始剤フラグメントであり;
Mは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、アクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル;アミノ、(C1〜C22)アルキルアミノ、(C1〜C22)ジアルキルアミノ、−SO3H、エポキシ、フルオロ、ペルフルオロ又はシロキサン基で置換されたアクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又はメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、スチレン、置換スチレン、アクリルアミド及びメタクリルアミド、N−モノ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、N,N−ジ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、並びに2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーであり;
ただし、非置換アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又は/及びメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステルの量は、モノマー混合物の全重量に基づいて30重量%より多く;
Eは、酸素原子を介してポリマー若しくはコポリマーに結合した、少なくとも1種の安定なフリーニトロキシルラジカルを含む基であるか;又は結合した安定なフリーニトロキシルラジカルの置換若しくは脱離反応の結果生じる基であり;
xは、モノマー単位の合計数である5〜5000の数であり;
yは、モノマーシーケンス(M)xに結合した末端基Eの平均数を表す1以上の数であり;
nは、1〜20の数である)のポリマー又はコポリマーの、
a1)物理的乾燥フィルム形成バインダ樹脂;
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂;
a3)放射線硬化性フィルム形成バインダ樹脂;
a4)自動酸化乾燥フィルム形成バインダ樹脂;又は
a5)a1)、a2)、a3)若しくはa4)から選択される、少なくとも2種の異なる架橋機構のバインダ樹脂の組み合わせ
を含むコーティング組成物のための、レベリング剤としての使用。
【請求項19】
a1)物理的乾燥フィルム形成バインダ樹脂;
a2)熱架橋フィルム形成バインダ樹脂;
a3)放射線硬化性フィルム形成バインダ樹脂;
a4)自動酸化乾燥フィルム形成バインダ樹脂;又は
a5)a1)、a2)、a3)若しくはa4)から選択される、少なくとも2種の異なる架橋機構のバインダ樹脂の組み合わせ;
b)原子移動ラジカル重合により製造した式(X):
【化8】


(式中、
Inは、重合反応を開始する開始剤フラグメントであり;
Mは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、アクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル、メタクリル酸(C1〜C22)ヒドロキシアルキルエステル;アミノ、(C1〜C22)アルキルアミノ、(C1〜C22)ジアルキルアミノ、−SO3H、エポキシ、フルオロ、ペルフルオロ又はシロキサン基で置換されたアクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル又はメタクリル酸(C1〜C22)アルキルエステル;スチレン、置換スチレン、アクリルアミド及びメタクリルアミド、N−モノ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、N,N−ジ(C1〜C22)アルキルアクリルアミド、並びに2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーであり;
ただし、t−ブチルアクリレートの量は、モノマー混合物の全重量に基づいて30重量%より多く;
Eは、Cl、Br、又はCl若しくはBrの求核置換により導入された基であり;
xは、モノマー単位の合計数であって5〜5000の数であり;
yは、モノマーシーケンス(M)xに結合した末端基Eの平均数を表す1以上の数であり;
nは、1〜20の数である)のポリマー又はコポリマーレベリング剤;並びに
c)場合により水又は/及び1種以上の有機溶媒、
を含むコーティング組成物。
【請求項20】
ポリ−t−ブチルアクリレート又はポリ−t−ブチルメタクリレートの、粉末コーティング組成物中のレベリング剤としての使用。

【公表番号】特表2007−518843(P2007−518843A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543531(P2006−543531)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053186
【国際公開番号】WO2005/059048
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】