説明

ノズルクリーニング後のノズル検査

【課題】クリーニングによってノズルの目詰まりが解消しない可能性がある場合にも、それに起因する画質の劣化を緩和する。
【解決手段】インク滴を吐出できない非動作ノズルが検査部によって検出されること以外の所定の誘因に応じてクリーニング機構がクリーニングを実行したときに、当該クリーニングの後に検査部によるノズルの検査を自動的に実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のノズルからインク滴をそれぞれ吐出して印刷媒体の表面にドットを記録することによって画像を印刷する技術に関し、特に、各ノズルからのインク滴の吐出の有無を検査するノズル検査を利用した印刷技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、複数のノズルからインク滴を吐出して画像の印刷を行う。インクジェットプリンタの印刷ヘッドには、多数のノズルが設けられているが、インクの粘度の増加や気泡の混入等の原因によって、いくつかのノズルが目詰まりしてインク滴を吐出できない場合がある。ノズルが目詰まりすると画像内にドットの抜けが生じ、画質を劣化させる原因となる。なお、本明細書においては、ノズルの検査を「ドット抜け検査」とも呼ぶ。
【0003】
通常のインクジェットプリンタには、ノズルの目詰まりを解消するためにクリーニング機構が設けられている。ユーザは、プリンタのボタンを操作して、いつでもクリーニングを実行させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ノズルのクリーニングを行っても、必ずしも目詰まりが解消するとは限らない。また、クリーニング機構の構造やクリーニングシーケンスの工夫によって十分に対策がとられているので極まれにではあるが、場合によっては、クリーニング前には目詰まりしていなかったノズルが、クリーニングによって目詰まりを起こすこともある。このように、クリーニングによってノズルの目詰まりが解消しないことがあるので、クリーニングを行った後に印刷を行っても、所望の画質が得られない場合があるという問題があった。
【0005】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、クリーニングによってノズルの目詰まりが解消しない可能性がある場合にも、それに起因する画質の劣化を緩和することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、インク滴を吐出できない非動作ノズルが検査部によって検出されること以外の所定の誘因に応じてクリーニング機構がクリーニングを実行したときに、当該クリーニングの後に検査部によるノズルの検査を自動的に実行する。こうすれば、クリーニングによってノズルの目詰まりが解消しない可能性がある場合に、各ノズルの目詰まりの有無を知ることができる。従って、クリーニング後の目詰まりの有無に応じて適切な印刷動作を選択すれば、画質の劣化を緩和することができる。
【0007】
なお、クリーニング後のノズルの検査によって非動作ノズルが検出され、かつ、動作ノズルのみによって印刷に使用する使用ノズル列を構成できるときには、その後の印刷の実行時に、動作ノズルのみで構成される使用ノズル列を用いて印刷を実行することが好ましい。こうすれば、非動作ノズルが存在しても、動作ノズルのみで通常の印刷を実行することが可能である。
【0008】
また、クリーニング後のノズルの検査によって非動作ノズルが検出され、かつ、動作ノズルのみによっては印刷に使用する使用ノズル列を構成できないときには、その後の印刷の実行時に、使用ノズル列に含まれる非動作ノズルで記録されるべき主走査ライン上のドットを他の動作ノズルを用いて記録する補完動作を含む印刷動作に従って印刷を実行することが好ましい。こうすれば、非動作ノズルで記録すべきドットを他の動作ノズルで記録できるので、画質の劣化を防止することができる。
【0009】
なお、クリーニングは、複数のノズルからインクを外部に吸引する動作を含むようなものであってもよい。このようなクリーニングでは、クリーニング機構の構造やクリーニングシーケンスの工夫によって十分に対策がとられてはいるが、クリーニング前に目詰まりしていなかったノズルがクリーニング後に目詰まりを起こしている可能性が比較的高いと思われる。従って、このようなクリーニングの後に、ノズルの検査を行えば、上述した効果が特に大きい。更に、クリーニングの後にノズルの検査を実行するようにすれば、複雑なクリーニング機構を簡略化することも可能となる。
【0010】
なお、本発明は、印刷装置の制御方法、印刷方法、印刷装置、および、これらの方法や装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
A.装置の構成:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例としてのカラーインクジェットプリンタ20の主要な構成を示す概略斜視図である。このプリンタ20は、用紙スタッカ22と、図示しないステップモータで駆動される紙送りローラ24と、プラテン板26と、キャリッジ28と、ステップモータ30と、ステップモータ30によって駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ28のためのガイドレール34とを備えている。キャリッジ28には、多数のノズルを備えた印刷ヘッド36が搭載されている。
【0012】
図1の右端におけるキャリッジ28の待機位置には第1のドット抜け検査部40と、第2のドット抜け検査部42とが設けられている。第1のドット抜け検査部40は、発光素子40aと受光素子40bとを備えており、これらの素子40a,40bを利用してインク滴の飛行状態を調べることによってドット抜けを検査する。第2のドット抜け検査部42は、その表面に設けられた振動板がインク滴で振動するか否かを調べることによってドット抜けを検査する。各ドット抜け検査部による検査の詳細な内容については後述する。
【0013】
印刷用紙Pは、用紙スタッカ22から紙送りローラ24によって巻き取られて、プラテン板26の表面上を副走査方向へ送られる。キャリッジ28は、ステップモータ30により駆動される牽引ベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向に移動する。主走査方向は、副走査方向に垂直である。
【0014】
図2は、プリンタ20の電気的な構成を示すブロック図である。プリンタ20は、ホストコンピュータ100から供給された信号を受信する受信バッファメモリ50と、印刷データを格納するイメージバッファ52と、プリンタ20全体の動作を制御するシステムコントローラ54と、メインメモリ56とを備えている。システムコントローラ54には、キャリッジモータ30を駆動する主走査駆動ドライバ61と、紙送りモータ31を駆動する副走査駆動ドライバ62と、2つのドット抜け検査部40,42をそれぞれ駆動する検査部ドライバ63,64と、印刷ヘッド36を駆動するヘッド駆動ドライバ66とが接続されている。なお、紙送りモータ31は、クリーニング機構200(後述する)を動作させるモータとしても使用されている。
【0015】
ホストコンピュータ100のプリンタドライバ(図示せず)は、ユーザの指定した印刷モード(高速印刷モード、高画質印刷モード等)に基づいて、印刷動作を規定する各種のパラメータ値を決定する。このプリンタドライバは、さらに、これらのパラメータ値に基づいて、その印刷モードで印刷を行うための印刷データを生成して、プリンタ20に転送する。転送された印刷データは、一旦、受信バッファメモリ50に蓄えられる。プリンタ20内では、システムコントローラ54が、受信バッファメモリ50から印刷データの中から必要な情報を読取り、これに基づいて、各ドライバに対して制御信号を送る。
【0016】
イメージバッファ52には、受信バッファメモリ50で受信された印刷データを色成分毎に分解して得られた複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動ドライバ66は、システムコントローラ54からの制御信号に従って、イメージバッファ52から各色成分の印刷データを読出し、これに応じて印刷ヘッド36に設けられた各色のノズルアレイを駆動する。
【0017】
なお、このプリンタ20は、オーバーラップ印刷モードで印刷を実行可能である。「オーバーラップ印刷モード」とは、1回の主走査では各ラスタライン上において間欠的な画素位置のみを記録対象とするとともに、複数回の主走査によって各ラスタライン上の全画素位置を記録対象とするようなモードである。例えば、1本のラスタラインを2回の主走査で記録する場合には、そのラスタライン上の1回目の主走査では偶数画素位置のみ記録対象とし、2回目の主走査では奇数画素位置のみ記録対象とする。こうすれば、2回の主走査を行うことによって、各ラスタライン上のすべての画素位置を記録対象とすることができる。なお、本明細書において、「画素位置」と「ドット位置」とは同義語である。また、「主走査ライン」と「ラスタライン」も同義語である。
【0018】
オーバーラップ印刷モードにおいて、1本のラスタライン上の全画素位置を記録するために実行される主走査の回数を、以下では「スキャン繰り返し数」と呼ぶ。スキャン繰り返し数としては、2や4などの整数値が用いられることが多いが、一般には、1以上の任意の実数を選択することができる。スキャン繰り返し数が1よりも大きく2未満である場合は、「部分オーバーラップ印刷モード」と呼ばれる。部分オーバーラップ印刷モードでは、1回の主走査で全画素位置が記録対象となるラスタラインと、2回の主走査で全画素位置が記録対象となるラスタラインとが存在する。なお、オーバーラップ印刷モードを成立させる条件については、本出願人により開示された特開平10−278247号公報に詳述されているので、ここではその説明を省略する。
【0019】
オーバーラップ印刷モードでは、各ラスタラインが一つのノズルでは記録されず、複数のノズルを用いて記録される。従って、ノズルの特性(ピッチや吐出特性等)にばらつきがある場合にも、特定のノズルの特性の影響が1つのラスタラインの全体に及ぶことを防止でき、この結果、画質を向上させることができるという利点がある。
【0020】
なお、オーバーラップ印刷機能や、検査実行機能、補完対象登録機能、補完実行機能、クリーニング実行機能等は、システムコントローラ54によって実現される。なお、システムコントローラ54にこれらの機能を実現させるためのコンピュータプログラムは、メインメモリ56に格納されている。
【0021】
B.ドット抜け検査部の構成と原理:
図3は、第1のドット抜け検査部40の構成と、その検査方法(飛行滴検査法)の原理を示す説明図である。図3は、印刷ヘッド36を下面側から見た図であり、印刷ヘッド36の6色分のノズルアレイと、第1のドット抜け検査部40を構成する発光素子40aおよび受光素子40bが描かれている。
【0022】
印刷ヘッド36の下面には、ブラックインクを吐出するためのブラックインクノズル群KD と、濃シアンインクを吐出するための濃シアンインクノズル群CD と、淡シアンインクを吐出するための淡シアンインクノズル群CL と、濃マゼンタインクを吐出するための濃マゼンタインクノズル群MD と、淡マゼンタインクを吐出するための淡マゼンタインクノズル群ML と、イエローインクを吐出するためのイエローインクノズル群YD とが形成されている。
【0023】
なお、各ノズル群を示す符号における最初のアルファベットの大文字はインク色を意味しており、また、添え字の「D 」は濃度が比較的高いインクであることを、添え字の「L 」は濃度が比較的低いインクであることを、それぞれ意味している。なお、イエローインクノズル群YD の添え字「D 」は、このノズル群から吐出されるイエローインクが、濃シアンインクおよび濃マゼンタインクとほぼ等量ずつ混合されたときにグレー色となることを意味している。また、ブラックインクノズル群KD の添え字「D 」は、これらから吐出されるブラックインクがグレー色では無く、濃度100%の黒色であることを意味している。
【0024】
各ノズル群の複数のノズルは副走査方向SSに沿ってそれぞれ整列している。印刷時には、キャリッジ28(図1)とともに印刷ヘッド36が主走査方向MSに移動しつつ、各ノズルからインク滴が吐出される。
【0025】
発光素子40aは、外径が約1mm以下の光束Lを射出するレーザである。このレーザ光Lは、副走査方向SSに平行に射出され、受光素子40bで受光される。ドット抜け検査の際には、まず、図3のように、1色分(例えば濃イエローYD )のノズル群が、レーザ光Lの光路の上方に来るような位置に印刷ヘッド36を位置決めする。この状態において、ヘッド駆動ドライバ66(図2)を用いて濃イエローYD のノズルを1つずつ、かつ、所定の駆動期間ずつ順番に駆動して、各ノズルからインク滴を順次吐出させる。吐出されたインク滴は、途中でレーザ光Lの光路を遮るので、受光素子40bにおける受光が一時的に中断される。従って、あるノズルから正常にインク滴が吐出されていれば、レーザ光Lが受光素子40bで一時的に遮光されるので、そのノズルに目詰まりが無いと判断することができる。また、あるノズルの駆動期間内にレーザ光Lが全く遮光されないときには、そのノズルは目詰まりしていると判断することができる。なお、1滴のインクでは、レーザ光Lが遮断されたか否かを十分確実に検出できない可能性があるので、1つのノズルについて数滴ずつ吐出するようにすることが好ましい。
【0026】
1色分のすべてのノズルに関して目詰まりの検査がすむと、印刷ヘッド36を主走査方向に少し移動させて、次の色(図3の例では淡マゼンタML )のノズルの検査を実行する。
【0027】
この飛行滴検査法では、飛行中のインク滴を検出することによって各ノズルの目詰まりの有無(すなわちドット抜けの有無)を検査するので、比較的短時間で検査が終了するという利点がある。
【0028】
図4は、第1のドット抜け検査部40の他の構成を示す説明図である。図4では、レーザ光Lの進行方向が副走査方向SSからやや傾いた方向になるように、発光素子40aと受光素子40bの向きが調整されている。このレーザ光Lの進行方向は、1つのノズルから吐出されたインク滴をレーザ光Lで検出しようとするときに、このレーザ光Lが、他のノズルから吐出されるインク滴によって遮光されることがないように設定されている。換言すれば、レーザ光Lの光路が、複数のノズルからのインク滴の行路と干渉することが無いように設定されている。
【0029】
このように、レーザ光Lを副走査方向SSから傾いた斜めの方向に向けて射出するようにすれば、印刷ヘッド36をゆっくりと主走査方向に移動させつつ、各ノズルを1つずつ順番に駆動してインク滴を吐出させることによって、各ノズルの目詰まりを検査することが可能である。このようにすると、仮にいくつかのノズルから吐出されるインク滴が規定の位置や方向から多少それたときにも、そのノズルの目詰まりを検査することが可能であるという利点もある。
【0030】
図5は、第2のドット抜け検査部42の構成と、その検査方法(振動板検査法)の原理を示す説明図である。図5は、印刷ヘッド36の1つのノズルnの近傍の断面図であり、第2のドット抜け検査部42を構成する振動板42aとマイクロフォン42bも描かれている。
【0031】
各ノズルnに設けられたピエゾ素子PEは、ノズルnまでインクを導くインク通路80に接する位置に設置されている。ピエゾ素子Pに電圧を印加するとピエゾ素子PEが伸張し、インク通路80の一側壁を変形させる。この結果、インク通路80の体積がピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、インク滴Ipがノズルnの先端から高速に吐出される。
【0032】
ノズルnから吐出されたインク滴Ipが振動板42aに到達すると、振動板42aが振動する。マイクロフォン42bは、この振動板42aの振動を電気信号に変換する。従って、マイクロフォン42bからの出力信号(振動音信号)を検出すれば、インク滴Ipが振動板42aに到達したか否か(すなわちノズルの目詰まりの有無)を知ることができる。
【0033】
なお、このような振動板42aとマイクロフォン42bのセットは、1色分の複数のノズルの個数分と同じ数だけ副走査方向に沿って配列しておくことが好ましい。こうすれば、1色分のすべてのノズルについて、目詰まりの有無を同時に検査することが可能である。但し、隣接するノズルからインク滴Ipを同時に吐出すると、隣接する振動板42a同士が干渉してしまい、誤検出する可能性がある。このような誤検出を防止するためには、同時に検査の対象となるノズルを数個おきに設定することが好ましい。
【0034】
なお、図1には2つのドット抜け検査部40,42が示されているが、1つのプリンタには1つのドット抜け検査部が設けられていればよい。
【0035】
C.クリーニング機構の構成と動作:
図6は、クリーニング機構200の構成を示す概念図である。クリーニング機構200は、ヘッドキャップ210と、ホース220と、ポンプローラ230とを備えている。このクリーニング機構200は、図1の第1の検査部40の近傍の所定のクリーニング位置(インク吸引位置)に設けられているが、図1では図示を省略している。
【0036】
ヘッドキャップ210の箱体212の上面には、ゴム枠214が設けられている。クリーニング時に印刷ヘッド36が主走査方向の所定のクリーニング位置に移動すると、ヘッドキャップ210が上昇して印刷ヘッド36の下面にゴム枠214が密着する。この結果、印刷ヘッド36の下面とヘッドキャップ210とによって閉空間が形成される。
【0037】
ポンプローラ230は、その周縁部の近傍に2つの小ローラ232,234を有している。これらの2つの小ローラ232,234の周囲には、ホース220が巻回されている。紙送りモータ31(図2)に駆動されてポンプローラ230が矢印A方向に回転すると、小ローラ232,234によってホース220内の空気が押され、これによってヘッドキャップ210内の閉空間が排気される。この結果、印刷ヘッド36の各ノズルからインクが吸引され、ホース220を介して図示しない廃インク排出部に排出される。また、ノズル先端に存在するインクが排出されると、インクカートリッジ側から新しいインクがノズルに供給される。
【0038】
このように各ノズルからインクを吸引することによってノズルのクリーニングを行うと、クリーニング機構の構造やクリーニングシーケンスの工夫によって十分に対策がとられてはいるが、このクリーニングが原因となってノズルが目詰まりを起こすことがある。これは、以下のような種々の現象に起因するものと考えられる。第1の現象は、インクの吸引を行った後に、ヘッドキャップ210を印刷ヘッド36から分離する際に気圧変化が生じ、この結果、ヘッドキャップ210側からノズル内に気泡が入り込んでしまう現象である。第2の現象は、クリーニング前に印刷ヘッド36のインク通路80(図5)内に存在していた気泡が、インクの吸引によってノズル先端付近に移動してしまう現象である。このような現象が起こると、クリーニング前には目詰まりしていなかったノズルが、クリーニングによって目詰まりを起こす場合がある。
【0039】
ところで、ノズルのクリーニングは、以下に示すような種々の場合に実行される。
(1)ユーザの操作によるマニュアルクリーニング。
(2)プリンタの長期間不使用後の自動クリーニング。
(3)インクカートリッジ交換後の初期インク充填時の自動クリーニング。
【0040】
上記(2)のクリーニングは、インクの吐出が一定期間以上行われなかったときに、プリンタが自動的に実行するクリーニングである。また、上記(3)のクリーニングは、プリンタのインクカートリッジが交換された際に、インクをカートリッジから各ノズルに導くために行われるクリーニングである。
【0041】
これらのクリーニングの後では、上述した現象が起こると、かえってノズルが目詰まりを起こすことがある。そこで、本実施例では、上記(1)〜(3)のクリーニング後に、ノズルの目詰まり検査をプリンタが自動的に実行して、各ノズルの動作状態を確認するようにしている。
【0042】
なお、ノズルのクリーニング方法としては、ノズルからのインクの吸引を行わない方法も考えられる。しかし、ノズルからのインクの吸引を行わないクリーニング方法では、クリーニングによってノズルの目詰まりが発生する可能性は低いと考えられる。従って、特にノズルからのインクの吸引を含むクリーニングの後に、ノズルの検査を行うようにすれば、ドット抜けによる画質劣化を低減する効果が大きい。
【0043】
本明細書において、狭義の「クリーニング」とは、ノズルからインクを外部に吸引する動作を意味する。また、広義の「クリーニング」とは、ノズルからのインクの吸引を行わない方法も含む種々のクリーニングを意味している。本発明は、広義のクリーニングが行われる場合に適用可能であるが、上述したように、狭義のクリーニングが行われる場合に最も効果が大きい。
【0044】
なお、本明細書では、クリーニングが開始される誘因となる事象を「クリーニング誘因事象」と呼ぶ。上記(1)〜(3)の場合は、ユーザの操作と、プリンタの長時間不使用(インクの長時間不吐出)と、インクカートリッジの交換と、がそれぞれクリーニング誘因事象に相当する。
【0045】
これらのクリーニング誘因事象は、必ずしもノズルに目詰まりを起こしていることを意味していない。例えば、上記(1)のクリーニングは、ユーザが確実にノズルの目詰まり防止するために念のために行う場合がある。本発明は、このように、必ずしもノズルに目詰まりを起こしているとは限らないときに発生するクリーニング誘因事象に応じてクリーニング機構200がクリーニングを実行したときに、そのクリーニングの後にドット抜け検査部によるノズル検査を自動的に実行するところに特徴がある。こうすることにより、そのクリーニングによってノズルの目詰まりが発生しているか否かを知ることができる。また、ノズルの目詰まりが発生している場合には、後述するように、適切な印刷動作を選択することによって、画質の劣化を防止することが可能である。
【0046】
D.実施例の処理手順:
図7は、第1実施例における印刷処理手順を示すフローチャートである。ステップS1においてクリーニング誘因事象が発生すると、プリンタ20がステップS2〜S4までの処理を自動的に実行する。前述したように、クリーニング誘因事象は、ユーザの操作と、プリンタの長時間不使用(インクの長時間不吐出)と、インクカートリッジの交換と、の3つの事象を含んでいる。
【0047】
ステップS2では、クリーニング機構200(図6)を用いたノズルのクリーニングが実行される。そして、ステップS3では、ドット抜け検査部40を用いて6色分のすべてのノズルの目詰まり検査が実行される。なお、以下の説明において、特に断らない限り、第1のドット抜け検査部40を用いることとするが、この代わりに第2のドット抜け検査部42を用いることも可能である。
【0048】
ステップS4において非動作ノズル(すなわち目詰まりしているノズル)が無いと判断された場合には、その後の印刷時に、ステップS5の処理が実行される。ステップS5では、コンピュータ100から印刷命令を受け取ったときに、通常の印刷動作を選択し、ステップS7において印刷を実行する。
【0049】
一方、ステップS4において非動作ノズルが有ると判断された場合には、その後の印刷時に、ステップS6の処理が実行される。ステップS6では、コンピュータ100から印刷命令を受け取ったときに、非動作ノズルを使用しない印刷動作を選択し、ステップS7において印刷を実行する。
【0050】
図8は、ステップS6の詳細手順を示すフローチャートである。ステップS11では、動作ノズルのみで使用ノズル列を構成できるか否かが判断される。印刷時には、各ノズル群のすべてのノズルが使用されるとは限らず、印刷モードによっては各ノズル群からそれぞれ複数のノズルが選択されて使用される場合がある。「使用ノズル列」とは、各インクのノズル群の中で印刷動作に実際に使用されるノズル列を意味する。
【0051】
図9(A)は、動作ノズルのみで使用ノズル列を構成できる場合を示しており、図9(B)は、動作ノズルのみでは使用ノズル列を構成できない場合を示している。ここでは、印刷ヘッド36の1色分のノズル群が48個のノズル#1〜#48を有しているものと仮定している。また、使用ノズル列は、一定のノズルピッチkで並ぶ47個のノズルで構成されるものと仮定している。白丸は、動作ノズル(目詰まりの無いノズル)を示し、黒丸は非動作ノズル(目詰まりのある無いノズル)を示している。
【0052】
図9(A)に示すように、動作ノズルのみで使用ノズル列を構成できる場合には、この使用ノズル列を用いて通常の印刷動作を行うことが決定される(図8のステップS11,S13)。なお、図3の例のように、印刷ヘッド36に異なるインク用の複数のノズル列が設けられている場合には、各インクに関して同じ位置の動作ノズル(例えば図9(A)のノズル#2〜#48)で使用ノズル列を構成できることが好ましい。換言すれば、各インクに関して同じ位置の動作ノズルで使用ノズル列を構成できない場合には、「動作ノズルのみでは使用ノズル列を構成できない」と判断してもよい。
【0053】
図9(B)に示すように、動作ノズルのみでは使用ノズル列を構成できない場合には、非動作ノズルを含む使用ノズル列を用いて印刷動作を行う。この場合には、非動作ノズルが記録を担当する画素位置を他の動作ノズルを用いて記録する補完動作が行われるが、この補完動作は、印刷モードがオーバーラップ印刷モードであるか否かによって異なる。そこで、図8のステップS12においては、印刷モードがオーバーラップ印刷モードであるか否かが判断され、オーバーラップ印刷モードでなければ補完パスによる補完を伴う印刷動作が選択される(ステップS14)。一方、オーバーラップ印刷モードであれば、オーバーラップ時の補完を伴う印刷動作が選択される(ステップS15)。なお、ステップS14,S15の内容については後述する。
【0054】
このように、本実施例では、クリーニング誘因事象の発生によって、ノズルのクリーニングが行われたときに、そのクリーニング後に自動的にノズル検査を行うようにしている。この結果、クリーニングによって発生する可能性のあるノズルの目詰まりを確実に検出することが可能である。また、このノズル検査によって目詰まりのあるノズルが検出された場合には、その後の印刷の実行時に、非動作ノズルによるドット抜けの発生を防止するように印刷動作を選択している。従って、クリーニングに起因してノズルの目詰まりが発生しても、これによる画質の劣化を低減することが可能である。
【0055】
E.補完パスを伴う印刷動作:
図10は、補完パスを伴う補完動作(図8のステップS14)の一例を示す説明図である。なお、本明細書では、印刷動作中の1回の主走査を「パス」と呼ぶ。双方向印刷の場合には、1回の往路の走査が1つのパスであり、1回の復路の走査も1つのパスである。また、補完のために追加されるパスを「補完パス」と呼ぶ。
【0056】
図10では簡単のために、印刷ヘッド36が4つのノズルのみを有しているものと仮定しており、また、2番目のノズルが非動作ノズル(目詰まりを起こしているノズル)であり、他のノズルは動作ノズル(目詰まりを起こしていないノズル)であるものとしている。さらに、ノズルピッチkは3ドットであり、副走査送りは4ドットの一定の送り量Fで行われるものと仮定している。図10(A)は、補完を行わないときの通常の印刷動作を示している。ここでは2番目のノズルが目詰まりを起こしているので、パス1の印刷において、破線で示すラスタライン上のドットの記録ができない。補完動作を行わなければ、このラスタライン上にドットが形成されていない状態のままで、各パスの印刷が次々と実行されてゆく。
【0057】
図10(B)は、補完パスによる補完を伴う印刷動作を示している。パス1の印刷でドットの抜けが発生するのは図10(A)と同じである。ところで、図7のステップS3の検査においては、2番目のノズルが非動作ノズルであることが検出されているので、破線で示すラスタライン上でドット抜けが発生することも認識される。そこで、パス1の後に、まず、過渡的な送り量Faで副走査送りを行って、パス1においてドット抜けが発生しているラスタライン(破線で示す)上に、他の動作ノズルを位置決めする。図10(B)の例では、過渡的な副走査送り量Faを3ドットに設定することによって、1番目のノズルを、ドット抜けが発生しているラスタライン上に位置決めしている。この状態において補完のための1パスの印刷を行い、1番目のノズルを用いて、ドット抜けが発生しているラスタライン上の記録動作を実行する。このような補完動作を行うために、パス1の印刷を実行した後も、イメージバッファ52(図2)内にパス1の印刷データを保持しておき、その中からドット抜けが発生しているラスタライン上の印刷データを利用して上記の補完動作を行う。
【0058】
補完パスでは、ドット抜けが発生しているラスタライン上のドットの記録のみを実行してもよいが、他のラスタライン上のドットの記録も同時に実行するようにしてもよい。すなわち、補完パスでは、少なくともドット抜けが発生しているラスタラインを含む少なくとも1本のラスタライン上でドットの記録を再度実行するようにすればよい。但し、ドット抜けのあるラスタライン上のドット記録だけを実行すれば、正常に印刷されているラスタラインにおいてドットの余分な重ね打ちをしなくて済むので、より高い画質を達成できるという利点がある。また、インクを節約することができるという利点もある。
【0059】
補完パスが終了すると、過渡的な送り量Fbで副走査送りを行って、通常の印刷動作の次のパス(すなわちパス2)に適した位置に、印刷ヘッド36を移動させる。補完パスの後に行われる副走査送りの送り量Fbは、1回目の過渡送りの送り量Faとの和(Fa+Fb)が、通常の印刷動作における送り量Fに等しくなるように設定される。なお、「通常の印刷動作における送り量F」とは、ドット抜けが発生していないときの正規の送り量を意味している。なお、通常の印刷動作における送り量Fは、1回のパス毎に異なる値に設定されている場合もある。このように、補完パスの前後の2回の過渡的な副走査送りを併せたときに、通常の1回の副走査送りと同じ送り量を実現するようにすれば、通常の印刷動作の次のパスの位置に印刷ヘッド36を正しく位置決めすることができる。従って、印刷動作の全体を変更することなく、ドット抜けの補完を容易に実行することが可能である。なお、上述のような補完動作の制御は、システムコントローラ54によって実行される。
【0060】
図11は、補完パスによる補完を伴う印刷動作の他の例を示す説明図である。図11では、1番目のノズルが非動作ノズルであり、他のノズルは動作ノズルであるものとしている。図11(A)は、補完を行わないときの印刷動作を示しており、図11(B)は、補完を行うときの印刷動作を示している。この例では、非動作ノズルである1番目のノズルが副走査方向(紙送り方向)の最も後方にあるので、1回目の過渡送りの送り量Faとして正の値を設定しても、ドット抜けが発生しているラスタライン上に他の動作ノズルを位置決めすることができない。そこで、1回目の過渡送りの送り量Faを負の値(図10(B)の例では−3ドット)に設定して、他の動作ノズルである2番目のノズルを、ドット抜けが発生しているラスタライン上に位置決めしている。補完パスが終了したあとの2回目の過渡送りの送り量Fbは、図10の場合と同様に、1回目の過渡送りの送り量Faとの和(Fa+Fb)が通常の送り量Fに等しくなるように設定している。
【0061】
なお、前述した図10の場合にも、図11の場合と同様に、1回目の過度送りの送り量Faを負の値に設定することも可能である。但し、送り量が負である副走査送り(「バックフィード」とも呼ぶ)は、副走査送り機構のバックラッシュの影響で、比較的大きな送り誤差を含むことがある。大きな送り誤差は画質を劣化させるので、過渡送りの送り量Fa,Fbとしては、なるべく正の値を採用することが好ましい。
【0062】
このように、使用ノズル列が非動作ノズルを含む場合には、補完パスを追加し、この補完パスにおいて他の動作ノズルを用いてドット抜けを補完するようにすれば、ドット抜けの無い高画質の画像を印刷することが可能である。
【0063】
F.オーバーラップ時の補完を伴う印刷動作:
図12は、オーバーラップ印刷モードにおける通常の印刷動作を示す説明図である。ここで、「通常の印刷動作」とは、補完処理を行わない印刷処理を意味している。図12では簡単のために、印刷ヘッド36の8つのノズルを使用して印刷処理を行うものと仮定している。図中に示されている○で囲まれた番号は、ノズルの番号である。また、二重丸で囲まれた番号は、そのノズルが非動作ノズル(目詰まりを起こしているノズル)であることを示している。この例では、6番目のノズルが非動作ノズルとなっており、他のノズルは動作ノズル(目詰まりを起こしていないノズル)に保たれているものとしている。なお、副走査方向のノズルピッチkは3ドットである。
【0064】
このオーバーラップ印刷モードにおけるスキャン繰り返し数sは2である。「スキャン繰り返し数」は、前述したように、1本のラスタライン上の全画素位置を記録するために実行される主走査の回数である。すなわち、この例では、2回の主走査によって各ラスタライン上の全画素位置が記録対象となる。
【0065】
図12の通常印刷動作では、偶数画素位置を記録対象とする3回のパスと、奇数画素位置を記録対象とする3回のパスとが交互に実行される。パス1からパス3までは偶数画素位置を記録対象としており、パス4からパス6までは奇数画素位置を記録対象としている。偶数画素位置が記録対象となっているときのパスにおいて各ノズルで記録されるラスタラインは実線で描かれており、奇数画素位置が記録対象となっているパスにおいて各ノズルで記録されるラスタラインは一点鎖線で描かれている。また、非動作ノズルの記録対象となっているラスタライン(すなわちドット抜けのあるラスタライン)は点線で描かれている。従って、ドット抜けが無い1本のラスタラインは、実線と一点鎖線の2本の線で表現されている。
【0066】
図12の右側は、各ラスタライン上のドットの記録状態を示している。白丸はドット抜けの画素位置を示しており、斜線のパターンで塗りつぶされた丸は記録可能な画素位置を示している。例えば、ラスタラインL1は、パス2において6番目のノズルが偶数画素位置の記録を担当しており、パス5において2番目のノズルが奇数画素位置の記録を担当しているが、6番目のノズルは非動作なので、ラスタラインL1の偶数画素位置は記録されず、ドット抜けが発生している。同様に、ラスタラインL2,L3,L4等でも、6番目のノズルが記録を担当する画素位置においてドット抜けが発生している。
【0067】
なお、図12では、パス1において8番目のノズルのみが使用されると仮定している。従って、パス1においては6番目のノズルによるドット抜けは発生しない。
【0068】
各パスの間には、4ドットの一定の送り量Fで副走査送りが行われる。紙送りは図12の下方から上方に向けて実行されるが、図12では図示の便宜上、あたかも印刷ヘッド36が紙送りの方向とは逆の方向に移動しているかのように描いている。なお、副走査送り量Fは一定値である必要は無く、複数の異なる値を組み合わせて使用することも可能である。
【0069】
後述するように、オーバーラップ印刷モードにおける補完処理の具体的な内容は、非動作ノズルが先行ノズルであるか後行ノズルであるかに依存する。図13は、先行ノズルと後行ノズルの分類を示す説明図である。「先行ノズル」とは、そのノズルが記録を実行したラスタライン上に、その後のいずれかの主走査時に他のノズルが位置決めされるようなノズルを言う。また、「後行ノズル」とは、そのノズルが記録を実行したラスタライン上に、その後のいずれかの主走査時に他のノズルが位置決めされないようなノズルを言う。具体的には、図13(A)に示すように、スキャン繰り返し数sが2の場合には、5番目から8番目までのノズルが先行ノズルであり、1番目から4番目までのノズルが後行ノズルである。また、図13(B)に示すように、スキャン繰り返し数sが4の場合には、3番目から8番目までのノズルが先行ノズルであり、1番目と2番目のノズルが後行ノズルである。
【0070】
図13の例からも解るように、先行ノズルは、印刷処理に使用されているN個(Nは2以上の整数)のノズルのうちで、印刷用紙の先端に最も早く到達する{N・(s−1)/s}個のノズルである。また、後行ノズルは、印刷用紙の先端に最も遅く到達する(N/s)個のノズルである。なお、先行ノズルと後行ノズルの分類は、各インクのノズル列毎に行われる。例えば、図3に示すように、6色分のノズル列が存在するときには、6色分の各インク毎に先行ノズルと後行ノズルの分類がそれぞれ行われる。
【0071】
図14は、オーバーラップ印刷モードにおける印刷処理の手順を示すフローチャートである。まず、ステップS21では、1パスの印刷を実行する。ステップS21における1パス分の印刷処理は、後で詳しく説明するように、ドット抜けの補完処理を含んでいる。1パスの印刷が終了すると、ステップS22において、非動作ノズルが先行ノズルであるか後行ノズルであるかが判断される。
【0072】
非動作ノズルが先行ノズルである場合には、ステップS23において、後行ノズルによる事後補完処理を予約する。すなわち、ここでは直ちに補完処理を行わずに、その後のいずれかのパスにおいて、後行ノズルによる補完動作を行う旨がメインメモリ56(図2)内に補完情報として登録される。例えば、図12の例では、6番目のノズルが目詰まりを起こしており、ラスタラインL1上の偶数画素位置にドット抜けが発生している。6番目のノズルは先行ノズルなので、パス2の後のステップS23の処理では、ラスタラインL1の偶数画素位置の補完が必要であることが補完情報として登録される。同様に、パス3の後のステップS23の処理では、ラスタラインL2の偶数画素位置の補完が必要であることが補完情報として登録される。パス4以降の各パスについても同様である。なお、以下では、ドット抜けの検出後の通常印刷動作のいずれかのパスにおいて行われる補完処理を「事後補完処理」と呼ぶ。また、事後補完処理の対象となるラスタラインを「事後補完対象ライン」または単に「補完対象ライン」と呼び、事後補完処理の対象となる画素位置(すなわち、ドット抜けが発生している画素位置)を「事後補完対象画素位置」または単に「補完対象画素位置」と呼ぶ。
【0073】
なお、事後補完処理のための補完情報としては、補完対象ラインの位置を示す情報と、補完対象画素位置(偶数画素位置か奇数画素位置か)を示す情報と、を少なくとも含んでいる。また、補完対象画素位置の記録に使用されるはずであった印刷データ(例えばラスタラインL1の偶数画素位置の印刷データ)は、事後補完処理用の印刷データとして、イメージバッファ52内の補完処理用バッファ(図示せず)に格納されて、事後補完処理が実行されるまで保持される。
【0074】
非動作ノズルが後行ノズルである場合には、ステップS24が実行される。ステップS24の内容については後述する。ステップS23またはステップS24における処理が終了すると、ステップS25において、1ページ分の印刷が完了したか否かを判断し、完了していなければステップS21に戻り、1パス分の印刷を実行する。
【0075】
図15は、ステップS21の詳細手順を示すフローチャートである。ステップS31では、補完情報として登録されている補完対象ライン上での記録が実行されるか否かが判断される。補完対象ライン上での記録が実行されないときには、ステップS32に移行し、通常印刷動作と同じ1パス分の印刷が実行される。一方、補完対象ライン上での記録が実行されるときには、ステップS33に移行する。例えば、図12のパス2において補完対象ラインとして予約されたラスタラインL1は、パス5において2番目のノズルによる記録対象となる。そこで、パス5の印刷時には、ステップS33が実行される。
【0076】
ステップS33では、補完対象ライン上の補完対象画素位置のための印刷データが、通常のオーバーラップ印刷動作の印刷データと合成される。この「印刷データの合成」は、補完対象ライン上での補完を実行する動作ノズルに対して通常のオーバーラップ印刷動作時に供給される印刷データと、補完処理用印刷データとを、画素の配列順に並べる処理を意味する。例えば、図12のパス5において、2番目のノズルは、ラスタラインL1の奇数画素位置の記録を担当するので、2番目のノズルに対して通常のオーバーラップ印刷動作時に供給される印刷データは、このラスタラインL1上の奇数画素位置に関する印刷データのみである。一方、このラスタラインL1上の偶数画素位置に関する印刷データは、補完処理用印刷データとしてイメージバッファ52(図2)内に保持されている。そこで、ステップS33では、これらの2種類の印刷データを合成して、ラスタラインL1上における全画素位置に関する印刷データを生成する。なお、他のノズルに対する印刷データは、通常のオーバーラップ印刷動作時のものと同じである。ステップS34では、この合成後の印刷データを用いてドット抜けの補完処理を実行しつつ、1パスの印刷が実行される。
【0077】
図16は、オーバーラップ印刷モードにおいて先行ノズルが非動作である場合の補完動作を示す説明図である。パス1からパス4までは、図12に示した通常印刷動作と同じである。パス5では、2番目のノズルによって、ラスタラインL1上の全画素位置を対象として記録が実行される。また、パス6では、2番目のノズルによって、ラスタラインL2上の全画素位置を対象として記録が実行される。パス7以降の各パスにも同様である。図12と図16を比較すれば解るように、先行ノズルが非動作の場合には、補完のための特別なパスを追加する必要が無く、通常のオーバーラップ印刷動作のパスを利用してドット抜けを補完することが可能である。
【0078】
なお、スキャン繰り返し数sが2のときには、1回のパスにおいて各ラスタライン上の奇数画素位置のみ、または、偶数画素位置のみが記録対象となるのに対して、事後補完処理では補完対象ライン上の全画素位置が記録対象となる。このため、事後補完処理を行うときに、通常印刷動作と同じ主走査速度(キャリッジ速度)で印刷ヘッド36を移動させると、印刷ヘッド36の駆動特性上の制約から、正しい画素位置にドットを形成できない場合もある。このときには、事後補完処理を行う際に、通常印刷動作の場合よりも遅い主走査速度で印刷を実行する。
【0079】
また、スキャン繰り返し数sが4のときには、1回のパスにおいて、各ラスタライン上の4画素に1画素の割合の画素位置のみが記録対象となるのに対して、事後補完処理では補完対象ライン上の4画素に2画素の割合の画素位置が記録対象となる。このときにも、必要に応じて通常印刷動作の場合よりも遅い主走査速度で印刷を実行するようにすればよい。このような補完動作の際の主走査速度の調整は、後述する事前補完処理においても同様に行われる。
【0080】
ところで、非動作ノズルが後行ノズルである場合には、図14のステップS24が以下のように実行される。すなわち、ステップS24では、通常のパスの後に、非動作ノズルの近傍の動作ノズルを用いて直ちに追加補完処理を実行し、さらに、その後のパスにおいて非動作ノズルが記録を担当する予定である画素位置について、先行ノズルによる事前補完処理の予約を登録する。ここで、「追加補完処理」とは、通常印刷動作のパスではなく、補完のために特別に追加されたパスによって実行される補完処理を意味している。また、「事前補完処理」とは、ドット抜けが実際に発生する以前の通常印刷動作のパスで行われる補完処理を意味している。
【0081】
図17は、オーバーラップ印刷モードにおいて後行ノズルが非動作である場合の補完動作を示す説明図である。この例では、2番目のノズルが非動作となっている。また、パス1では4番目から8番目までのノズルのみが使用されると仮定している。従って、パス1においては2番目のノズルによるドット抜けは発生しない。
【0082】
ドット抜けが発生するパス2の後のステップS24の処理では、2番目のノズルの近傍の動作ノズルである1番目のノズルを用いて追加補完処理が実行される。すなわち、図17に示すように、パス2の後に過渡的な第1の送り量FCa(=3ドット)で副走査送りを行い、パス2においてドット抜けが発生していたラスタラインL1上に、近傍動作ノズルである1番目のノズルを位置決めする。そして、ラスタラインL1上の補完対象画素位置(すなわち奇数画素位置)に関する記録を1番目のノズルによって実行する。この追加補完処理は、間欠的な補完対象画素位置(ラスタラインL1上では偶数画素位置)のみを記録対象とするものなので、「間欠補完処理」とも呼ぶ。また、追加補完処理を行うパスを「補完パス」と呼ぶ。さらに、また、追加補完処理の対象となるラスタラインを「追加補完対象ライン」または単に「補完対象ライン」と呼び、追加補完処理の対象となる画素位置を「追加補完対象画素位置」または単に「補完対象画素位置」と呼ぶ。
【0083】
なお、過渡的な副走査送りとしては、送り量FCaがマイナスの値をとる「逆送り」も可能であるが、通常は、送り量FCaがプラスである「順送り」の方が副走査送り量の誤差が小さい。従って、追加補完動作を担当する近傍動作ノズルとしては、順送りを行えるように、非動作ノズルよりも後ろ側(紙送り方向に沿って後ろ側)に存在するノズルを選択することが好ましい。
【0084】
こうして補完パスが終了すると、第2の過渡的な送り量FCb(=1ドット)で副走査送りを行って、通常印刷動作時の次のパスのノズル位置を実現するように印刷ヘッド36を移動する。例えば、パス2の後の補完パスの終了後には、パス3の位置に印刷ヘッド36が位置決めされる。
【0085】
図17から解るように、過渡的な送り量FCa,FCbによる2回の副走査送りは、通常印刷動作の2回のパス(例えばパス2とパス3)の間に実行される。ドット抜けが無ければ、通常の2回のパスの間に実行される副走査送りの送り量Fは、4ドットである。従って、過渡的な副走査送りの2つの送り量FCa,FCbは、それらの合計値(FCa+FCb)が、通常の2回のパスの間に実行される副走査送りの送り量Fと等しい値になるように設定される。こうすれば、追加補完処理後も、通常印刷動作の次のパスに適した位置に印刷ヘッド36を位置決めすることができる。従って、印刷動作の全体を変更することなく、通常印刷動作の間に追加補完動作を挿入するだけでよいので、ドット抜けの補完を容易に実行することが可能である。
【0086】
図14のステップS24における事前補完処理予約の内容は、以下の通りである。目詰まりのある2番目のノズルは後行ノズルなので、2番目のノズルがその後に記録を実行する予定であるラスタラインは、2番目のノズルが記録を実行する以前に、いずれかのパスにおいて、先行ノズルによる記録対象となっているはずである。図17の例では、パス6において2番目のノズルが記録を実行する予定であるラスタラインL5が、それ以前のパス3において6番目のノズルによる記録対象となっている。
【0087】
そこで、パス2の直後のステップS24の処理では、パス3以降の各パスにおいて2番目のノズルが記録を実行する予定であるラスタラインが補完対象ラインとして予約される。具体的には、ラスタラインL2,L3,L4,L5…が、補完対象ラインとして予約される。こうすれば、パス3において図15の手順に従った処理が実行されるときに、ラスタラインL5が補完対象ラインとして予約されているので、このラスタラインL5上において、ステップS33,S34の処理が実行される。具体的には、6番目のノズルがラスタラインL5上の全画素位置についての記録を実行する。このように、ドット抜けの発生前に予め行われる補完処理を「事前補完処理」と呼ぶ。また、事前補完処理の対象となるラスタラインを「事前補完対象ライン」または単に「補完対象ライン」と呼び、事前補完処理の対象となる画素位置を「事前補完対象画素位置」または単に「補完対象画素位置」と呼ぶ。
【0088】
事前補完処理のために登録される補完情報は、補完対象ラインの位置を示す情報と、補完対象画素位置を示す情報と、を少なくとも含んでいる。但し、事前補完処理で使用する印刷データ(例えばラスタラインL5の偶数画素位置の印刷データ)は、通常印刷動作のパス3の実行時点ではホストコンピュータ100からプリンタ側に供給されていない可能性がある。この時には、事前補完処理で使用する印刷データがホストコンピュータ100から供給されてから、ステップS33,S34の事前補完処理(すなわちパス3の印刷処理)を実行する。
【0089】
なお、図17に示す補完対象ラインL1〜L7の中で、ラスタラインL2,L3,L4は、パス2以前のパス(図17では一部の図示が省略されている)において先行ノズルが既に記録を完了しているので、パス3以降に行われる事前補完処理の対象とすることができない。このような補完対象ラインL2,L3,L4については、ステップS5において、近傍動作ノズルを用いた追加補完処理が実行される。具体的には、図17に示されているように、パス3,4,5の直後には、パス3,4,5においてドット抜けが発生したラスタラインL2,L3,L4について、それぞれ追加補完処理が実行されている。
【0090】
一方、事前補完処理が実行される補完対象ラインL5,L6,L7…については、追加補完処理は不要である。従って、事前補完処理が完了しているラスタライン上に非動作ノズル(2番目のノズル)が位置決めされるパス6以降のパスでは、追加補完処理は不要になる。このように、図17の例では、通常印刷動作に補完パスを4回追加するだけですべての補完処理を行うことができるので、補完処理のために全体の印刷時間を過度に増大させることが無いという利点がある。
【0091】
なお、上述のような各種の補完動作の制御は、システムコントローラ54によって実行される。
【0092】
以上のように、オーバーラップ印刷モードにおいては、非動作ノズルの記録対象となるラスタラインが通常のオーバーラップ印刷動作のいずれかのパスにおいて他の動作ノズルの記録対象となるときに、その動作ノズルを用いて補完処理を実行している。従って、特別の補完パスをあまり追加せずに、ドット抜けを補完することができるという利点がある。
【0093】
G.第2実施例の処理手順:
図18は、第2実施例における印刷処理手順を示すフローチャートである。この手順は、前述した図7の手順のステップS4の後に、ステップS41〜S43を追加したものである。
【0094】
第2実施例では、クリーニング後のノズル検査(ステップS3,S4)において、非動作ノズルが検出されたときに、もう一度クリーニングとノズル検査とを実行する(ステップS41,S42)。そして、この2度目のクリーニングによって非動作ノズルの動作が回復したときには、ステップS5において通常の印刷動作を選択する。一方、2度目のクリーニングの後にも非動作ノズルが存在するときには、ステップS6において、非動作ノズルを使用しない印刷動作を選択する。こうすれば、非動作ノズルの動作が回復する可能性が高まるので、補完処理を行う必要性を低減することができるという利点がある。
【0095】
この第2実施例では、2回のクリーニングによってノズルの目詰まりが解消しないときにステップS4を実行するようにしているが、3回以上のクリーニングによってもノズルの目詰まりが解消しないときに、初めてステップS4を実行ようにしてもよい。すなわち、一般には、所定回数までのクリーニングによってノズルの目詰まりが解消したときには通常印刷動作を選択し、所定回数以上のクリーニングによってもノズルの目詰まりが解消しないときにのみ、印刷時に非動作ノズルを使用しないような印刷動作の選択を実行ようにすればよい。
【0096】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0097】
(1)上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0098】
(2)本発明は、一般にインク滴を吐出するタイプの印刷装置に適用可能であり、カラーインクジェットプリンタ以外の種々の印刷装置に適用可能である。例えば、インクジェット方式のファクシミリ装置やコピー装置にも適用可能である。
【0099】
(3)印刷媒体には、ドット抜けが目立ち易いものと、目立ち難いものとがある。例えば、インクジェット印刷専用の印刷用紙はドット抜けが目立ち易く、普通のコピー用紙はドット抜けが目立ち難い。そこで、ドット抜けが目立ち難い印刷媒体を使用する場合には、所定数のノズルが目詰まりするまで補完動作を行わないようにしてもよい。こうすれば、印刷速度をあまり低下させずに画質の低下を防止することできる。
【0100】
(4)印刷される画像の種類にも、ドット抜けが目立ち易いものと、目立ち難いものとがある。例えば、写真画像はドット抜けが目立ち易いが、文字のみを含むテキスト画像や、グラフなどの図形と文字とで構成されたグラフィック画像などはドット抜けが目立ち難い。なお、テキスト画像やグラフィック画像などのように、写真画像を含まない印刷画像を、本明細書では「非写真画像」と呼ぶ。このような非写真画像を印刷する場合には、所定数のノズルが目詰まりするまで補完動作を行わないようにしてもよい。なお、このように印刷画像の種類によって補完動作を調整する際には、例えばコンピュータからプリンタ側に送られる印刷データのヘッダ内に、印刷画像の種類を示す情報を登録するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施例としてのカラーインクジェットプリンタ20の主要な構成を示す概略斜視図。
【図2】プリンタ20の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】第1のドット抜け検査部40の構成と、その検査方法(飛行滴検査法)の原理とを示す説明図。
【図4】第1のドット抜け検査部40の他の構成を示す説明図。
【図5】第2のドット抜け検査部42の構成と、その検査方法(振動板検査法)の原を示す説明図。
【図6】クリーニング機構200の構成を概念図。
【図7】第1実施例の処理手順を示すフローチャート。
【図8】ステップS6の詳細手順を示すフローチャート。
【図9】動作ノズルで使用ノズル列を構成できる場合と構成できな場合とを示す説明図。
【図10】補完パスによる印刷動作を示す説明図。
【図11】補完パスによる印刷動作を示す説明図。
【図12】オーバーラップ印刷モードの通常の印刷動作を示す説明図。
【図13】スキャン繰り返し数sが2と4の場合における先行ノズルと後行ノズルの分類を示す説明図。
【図14】オーバーラップ印刷モードにおける印刷処理の手順を示すフローチャート。
【図15】ステップS21の詳細手順を示すフローチャート。
【図16】オーバーラップ印刷モードにおいて後行ノズルが非動作である場合の補完動作を示す説明図。
【図17】オーバーラップ印刷モードにおいて先行ノズルが非動作である場合の補完動作を示す説明図。
【図18】第2実施例の印刷処理の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0102】
20…カラーインクジェットプリンタ
22…用紙スタッカ
24…紙送りローラ
26…プラテン板
28…キャリッジ
30…キャリッジモータ
31…紙送りモータ
32…牽引ベルト
34…ガイドレール
36…印刷ヘッド
40…第1のドット抜け検査部
40a…発光素子
40b…受光素子
42…第2のドット抜け検査部
42a…振動板
42b…マイクロフォン
50…受信バッファメモリ
52…イメージバッファ
54…システムコントローラ
56…メインメモリ
61…主走査駆動ドライバ
62…副走査駆動ドライバ
63〜65…検査部ドライバ
66…ヘッド駆動ドライバ
80…インク通路
100…ホストコンピュータ
200…クリーニング機構
210…ヘッドキャップ
212…箱体
214…ゴム枠
220…ホース
230…ポンプローラ
232,234…小ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を吐出するための複数のノズルを有する印刷ヘッドと、前記複数のノズルのクリーニングを行うクリーニング機構と、前記複数のノズルのそれぞれがインク滴を吐出できるか否かを検査するための検査部と、を備えた印刷装置の制御方法であって、
インク滴を吐出できない非動作ノズルが前記検査部によって検出されること以外の所定の誘因に応じて前記クリーニング機構がクリーニングを実行したときに、当該クリーニングの後に前記検査部によるノズルの検査を自動的に実行することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置の制御方法であって、
前記クリーニング後のノズルの検査によって非動作ノズルが検出され、かつ、動作ノズルのみによって印刷に使用する使用ノズル列を構成できるときには、その後の印刷の実行時に、前記動作ノズルのみで構成される使用ノズル列を用いて印刷を実行する、印刷装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1記載の印刷装置の制御方法であって、
前記クリーニング後のノズルの検査によって非動作ノズルが検出され、かつ、動作ノズルのみによっては印刷に使用する使用ノズル列を構成できないときには、その後の印刷の実行時に、前記使用ノズル列に含まれる非動作ノズルで記録されるべき主走査ライン上のドットを他の動作ノズルを用いて記録する補完動作を含む印刷動作に従って印刷を実行する、印刷装置の制御方法。
【請求項4】
請求項1記載の印刷装置の制御方法であって、
前記クリーニングは、前記複数のノズルからインクを外部に吸引する動作を含む、印刷装置の制御方法。
【請求項5】
複数のノズルからインク滴を吐出することによって印刷を行う印刷装置であって、
前記複数のノズルを有する印刷ヘッドと、
前記複数のノズルのクリーニングを行うクリーニング機構と、
前記複数のノズルからのインク滴の吐出の有無を検査することによって、各ノズルが、インク滴を吐出できる動作ノズルとインク滴を吐出できない非動作ノズルとのうちのいずれであるかを決定する検査部と、
前記印刷ヘッドと前記記録媒体の少なくとも一方を駆動して主走査を行う主走査駆動部と、
前記主走査の最中に前記ノズル列を駆動してドットの記録を行わせるヘッド駆動部と、
前記主走査が終わる度に前記印刷ヘッドと前記記録媒体の少なくとも一方を駆動して副走査を行う副走査駆動部と、
前記各部を制御するための制御部と、を備え、
前記制御部は、
非動作ノズルが前記検査部によって検出されること以外の所定の誘因に応じて前記クリーニング機構によるクリーニングを実行したときに、当該クリーニングの後に前記検査部によるノズルの検査を自動的に実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記クリーニング後のノズルの検査によって非動作ノズルが検出され、かつ、動作ノズルのみによって印刷に使用する使用ノズル列を構成できるときには、その後の印刷の実行時に、前記動作ノズルのみで構成される使用ノズル列を用いて印刷を実行する、印刷装置。
【請求項7】
請求項5記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記クリーニング後のノズルの検査によって非動作ノズルが検出され、かつ、動作ノズルのみによっては印刷に使用する使用ノズル列を構成できないときには、その後の印刷の実行時に、前記使用ノズル列に含まれる非動作ノズルで記録されるべき主走査ライン上のドットを他の動作ノズルを用いて記録する補完動作を含む印刷動作に従って印刷を実行する、印刷装置。
【請求項8】
請求項5記載の印刷装置であって、
前記クリーニングは、前記複数のノズルからインクを外部に吸引する動作を含む、印刷装置。
【請求項9】
インク滴を吐出するための複数のノズルを有する印刷ヘッドと、前記複数のノズルのクリーニングを行うクリーニング機構と、前記複数のノズルのそれぞれがインク滴を吐出できるか否かを検査するための検査部と、を有する印刷装置を備えたコンピュータに、印刷を実行させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
インク滴を吐出できない非動作ノズルが前記検査部によって検出されること以外の所定の誘因に応じて前記クリーニング機構がクリーニングを実行したときに、当該クリーニングの後に前記検査部によるノズルの検査を自動的に実行する機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−69226(P2006−69226A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343144(P2005−343144)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【分割の表示】特願平11−154784の分割
【原出願日】平成11年6月2日(1999.6.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】