説明

ノズル面清掃装置およびこれを用いたメンテナンス方法、液滴吐出装置

【課題】ノズルに付着した異物を効率よく拭き取ることができるノズル面清掃装置を提供する。
【解決手段】インクジェットヘッド16のノズル面30を払拭するノズル面清掃装置60において、ノズル面30を払拭する払拭部材110と、液滴吐出ヘッド16を移動させるヘッド移動手段と、前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドのいずれかを振動させる微振動手段210と、を備え、微振動手段210が、前記ヘッド移動手段および払拭部材移動手段による移動と同一平面で異なる方向に振動させることを特徴とするノズル面清掃装置60である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル面清掃装置およびこれを用いたメンテナンス方法、液滴吐出装置に係り、特に、払拭部材をノズル面に当接させて、ノズル面を払拭するノズル面清掃装置およびこれを用いたメンテナンス方法、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置で用いられるインクジェットヘッドのノズル面およびノズルエッジには、使用によりインクの残渣、紙粉など様々な異物が付着する。ノズル面に異物が付着していると、ノズルから吐出されるインク液滴が影響を受けて、インク液滴の吐出方向にばらつきが生じ、記録媒体上の所定の位置にインク液滴を着弾させることが困難となり、画像品質が劣化する原因となる。そこで、インクジェット記録装置では、異物を定期的にワイピングやダミージェットなどのメンテナンス方法で除去することが重要となっている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、回転可能なブラシをヘッドのノズル面に接触させ、振動発生手段でブラシをノズル面に対して進退方向および平行方向に往復動させ、異物を除去することが記載されている。特許文献2には、クリーニングローラをインク吐出面に接触させ、相対的に移動させ、クリーニングローラの移動速度と回転速度を制御することで異物を除去することが記載されている。また、特許文献3には、超音波が付与された洗浄液を噴流し、圧力と超音波によりインクノズル内を洗浄することが記載されている。
【0004】
さらに、特許文献4は、ノズル面内で90度の範囲で回転可能な構造を有するワイピング部材(ブレード)を備え、ノズルプレートを第1方向にワイピングする第1ワイピング動作と、第1方向と直交する方向にワイピングする第2ワイピング動作を実行するインクジェット式記録装置を開示している。
【0005】
また、特許文献5は、吐出面に付着したインクを払拭するための払拭部材と、吐出面に付着したインクを吸収するための吸収部材と、を備え、払拭部材の払拭方向と略直交する方向に吸収部材を移動させるように構成されたインクジェット記録装置を開示している。
【0006】
特許文献6は、ワイパー部材を主走査方向に直交する方向へ往復移動させるとともに、インク吐出面と平行な面内において、インク吐出面に直交する方向に延びた軸を中心に揺動させて、ワイパー部材の長寿命化を図る記録装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−74671号公報
【特許文献2】特開2003−266717号公報
【特許文献3】特開2005−28758号公報
【特許文献4】特開平11−314374号公報
【特許文献5】特開2007−130807号公報
【特許文献6】特開2009−226610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されているような、振動を発生させノズル面に対して垂直方向に払拭を行うような場合では、ノズル面にダメージを与え、ノズル面に形成されている撥水膜を破壊するという問題があった。また、特許文献2に記載の方法は、一方向にワイピングするものであり、異物が取れやすい(それほど強力に付着していない)場合は、一方向のワイピングで除去可能であるが、除去困難な異物は、一方向のワイピングでは、一部しか除去できていなかった。特許文献3に記載の方法は、超音波を付与した洗浄液で洗浄を行うのみでは、不十分であった。そのため、これらのメンテナンス方法では、吐出方向が回復しないという問題が生じていた。
【0009】
上記の課題の他に、以下のような課題が存在している。図29(a)は、インクジェットヘッド600のノズル面602にインク604が付着した状態が模式的に図示されている。同図に示すインク604は、時間経過とともに乾燥、増粘して、ノズル面602に固着した強固な付着物となる。
【0010】
図29(b)は、ノズル面602に付着したインク604が固着した状態が図示されている。かかる状態において、ノズル面602に洗浄液が付与され、払拭ウエブ606を用いてノズル面602が払拭される状態を図29(c)に図示する。
【0011】
払拭ウエブ606は、ノズル面602に付着した増粘インクを引き伸ばしながらノズル面602を払拭する。払拭ウエブ606による払拭が一方向のみの場合は、インクジェットヘッド600の進行方向(矢印線を付して図示)におけるノズル608の内部のリードエッジ(払拭ウエブ606の進行方向上流側のエッジ)に付着物610が残ってしまう(図29(d)参照)。
【0012】
ノズル608の内部やノズル面602のノズル608近傍に付着物が存在すると、先に述べたようにノズル608から吐出される液滴の吐出方向にばらつきが生じてしまう。
【0013】
特許文献4は、ノズル面内で90度の範囲で回転可能な構造を有するワイピング部材(ブレード)を開示しているものの、具体的なワイピング方法(条件)を開示していない。
【0014】
特許文献5に開示された吸収部材は、吐出面に付着したインクを吸収するためのものであり、付着物を除去する効果は期待できない。また、特許文献5に開示された構成は、吐出口に対して実質的に一方向の払拭であり、強固な付着物を除去する効果も期待できない。
【0015】
特許文献6に開示された記録装置もまた、ノズルの開口に対して実質的に一方向の払拭であり、強固な付着物を除去することは困難である。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ノズルに付着したインク残渣などの異物を効率よく拭き取ることができるノズル面清掃装置およびこれを用いたメンテナンス方法、液滴吐出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、本発明に係るノズル面清掃装置は、液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するノズル面清掃装置において、前記ノズル面を払拭する払拭部材と、前記液滴吐出ヘッドを移動させるヘッド移動手段と、前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドのいずれかを振動させる微振動手段と、を備え、前記微振動手段が、前記ヘッド移動手段による移動と同一平面で異なる方向に振動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、微振動発生手段により、液滴吐出ヘッドの移動手段による移動の他に、同一平面で異なる方向に振動させており、複数の方向から払拭を行なうことができる。したがって、一方向に払拭するのみでは、拭き取ることが困難であった異物を効率よく除去することができる。
【0019】
すなわち、液滴吐出ヘッドと払拭部材の相対的な移動による払拭の他に、振動手段により異なる方向にも払拭を行なうことができるので、効果的にノズルに付着した異物の除去を行なうことができる。また、ノズル面清掃装置を備えた液滴吐出装置として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】インクジェット記録装置の画像記録部の概略構成を示す側面図である。
【図2】インクジェット記録装置の画像記録部の正面図である。
【図3】インクジェットヘッドのノズル面の平面透視図である。
【図4】洗浄液付与装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。
【図5】洗浄液付与ユニットの正面図である。
【図6】洗浄液付与ユニットの側面図である。
【図7】払拭装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。
【図8】払拭ユニットの平面図である。
【図9】払拭ユニットを画像記録位置側から見た側面図である。
【図10】払拭ユニットの側面部分断面図である。
【図11】払拭ユニットの正面部分断面図である、
【図12】払拭ユニットの背面図である。
【図13】押圧ローラの軸部を支持する軸支持部の構成を示す正面部分断面図である。
【図14】図13の14−14断面図である。
【図15】図11の15−15断面図である。
【図16】第1実施形態に係るノズル面の清掃方法を説明する図である。
【図17】払拭ウエブの払拭方向を説明する図である。
【図18】第2実施形態に係るノズル面の清掃方法を説明する図である。
【図19】第3実施形態に係るノズル面の清掃方法を説明する図である。
【図20】第4実施形態に係るノズル面の清掃方法を説明する図である。
【図21】払拭ウエブの当接幅を説明する図である。
【図22】ウエブユニットの加振を模式的に図示した説明図である。
【図23】払拭ウエブの多方向払拭を実現する条件を示す説明図である。
【図24】ウエブユニットの加振に係る第1具体例を示す模式図である。
【図25】ウエブユニットの加振に係る第2具体例を示す模式図である。
【図26】ウエブユニットの加振に係る第3具体例を示す模式図である。
【図27】他の実施形態に係るノズル面の清掃方法を説明する図である。
【図28】本発明の実施形態に係る応用例を説明する図である。
【図29】従来技術に係る課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って、本発明に係るノズル面清掃装置およびこれを用いたメンテナンス方法、液滴吐出装置の好ましい実施の形態について説明する。液滴吐出装置の一例としてインクジェット記録装置を例にして説明する。
【0022】
≪インクジェット記録装置の画像記録部の構成≫
図1は、インクジェット記録装置の画像記録部の概略構成を示す側面図である。
【0023】
同図に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置の画像記録部10は、記録媒体(枚葉紙)12を画像記録ドラム14によってドラム搬送する。そして、その画像記録ドラム14による搬送過程でC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロ)、K(クロ)の各色のインクの液滴を画像記録ドラム14の周囲に配設されたインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)16C、16M、16Y、16Kから吐出させて、記録媒体12の表面にカラー画像を画像記録する。
【0024】
画像記録ドラム14は、その回転軸18の両端部を一対の軸受22に軸支されて回転自在に設けられている(図2参照)。一対の軸受22は、インクジェット記録装置の本体フレーム20に設けられており、この一対の軸受22に回転軸18の両端部が軸支されることにより、画像記録ドラム14は水平に取り付けられる(水平な設置面に対して回転軸18が平行に取り付けられる。)。
【0025】
画像記録ドラム14の回転軸18には、図示しない回転伝達機構を介してモータが連結されている。画像記録ドラム14は、このモータに駆動されて回転する。
【0026】
また、画像記録ドラム14の周面には、記録媒体12の先端部を把持するグリッパ24が設けられている(本例では、外周面上の2カ所に設置されている。)。記録媒体12は、このグリッパ24に先端部を把持されて、画像記録ドラム14の外周面上に保持される。
【0027】
また、この画像記録ドラム14には、図示しない吸着保持機構(たとえば、静電吸着、真空吸着)が備えられている。先端部をグリッパ24に把持されて、画像記録ドラム14の外周面上に巻き掛けられた記録媒体12は、その裏面部を吸着保持機構によって吸着されて、画像記録ドラム14の外周面上に保持される。
【0028】
なお、本実施の形態のインクジェット記録装置において、記録媒体12は、前段の工程から搬送ドラム26を介して、画像記録ドラム14に受け渡される。搬送ドラム26は、画像記録ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、画像記録ドラム14に記録媒体12を受け渡す。
【0029】
また、画像記録後の記録媒体12は、搬送ドラム28を介して、後段の工程に受け渡される。搬送ドラム28は、画像記録ドラム14に並列して配置されており、タイミングを合わせて、画像記録ドラム14から記録媒体12を受け取る。
【0030】
4本のインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、記録媒体の幅に対応したラインヘッドで構成されており、画像記録ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。
【0031】
なお、本例では、4本のインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、画像記録ドラム14を挟んで左右対称になるように配置されている。すなわち、画像記録ドラム14の中心を通る鉛直な線分に対してシアンのインクジェットヘッド16Cとクロのインクジェットヘッド16Kとが左右対称に配置されるとともに、マゼンタのインクジェットヘッド16Mとイエロのインクジェットヘッド16Yとが左右対称に配置されている。
【0032】
このように配置された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、それぞれその下端部に形成されたノズル面30C、30M、30Y、30Kが、画像記録ドラム14の外周面に対向して配置されるとともに、それぞれそのノズル面30C、30M、30Y、30Kが、画像記録ドラム14の外周面から所定高さの位置に位置する(画像記録ドラム14の外周面とノズル面30C、30M、30Y、30Kとの間に同じ量のギャップが形成される。)。また、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに形成されたノズル列が、記録媒体12の搬送方向と直交して配置される。
【0033】
そして、このように配置された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kからは、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに形成されたノズルから画像記録ドラム14の外周面に向けて垂直にインクの液滴が吐出される。
【0034】
図3は、インクジェットヘッドのノズル面の平面透視図である。
【0035】
なお、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの構成は共通しているので、ここではインクジェットヘッド16として、そのノズル面30(30C、30M、30Y、30K)の構成を説明する。
【0036】
同図に示すように、ノズル面30は、長方形状に形成され、その幅方向(記録媒体搬送方向)の中央部に一定幅を有するノズル形成領域30Aが形成され、そのノズル形成領域30Aを挟んでノズル保護領域30Bが対称に形成される。
【0037】
ノズル形成領域30Aは、ノズルが形成される領域であり、その表面には所定の撥液処理が施されている(撥液膜が被覆されている)。
【0038】
ここで、図3に示すように、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、いわゆるマトリックスヘッドで構成され、ノズルNがノズル形成領域30Aに二次元マトリクス状に配置される。より具体的には、記録媒体12の搬送方向に対して所定角度傾斜した方向に複数のノズルNが一定ピッチで配置されたノズルの列が形成されるとともに、そのノズルの列が記録媒体12の搬送方向と直交する方向(ヘッドの長手方向)に一定ピッチで多数配列される。このようなノズルの配置構成とすることにより、ヘッドの長手方向(記録媒体12の搬送方向と直交する方向)に投影される実質的なノズルNの間隔を狭めることができ、ノズルNの高密度化を図ることができる。
【0039】
なお、マトリックスヘッドでは、このヘッドの長手方向に投影されるノズルの列が実質的なノズル列とされる。
【0040】
ノズル形成領域30Aの両側に配置されるノズル保護領域30Bは、ノズル形成領域30Aを保護するための領域であり、ノズル形成領域30Aは、このノズル保護領域30Bから所定量退避して凹状に形成されている(0.2mm程度)。
【0041】
なお、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、ノズル形成領域30Aにのみ撥液処理が施される(ノズル保護領域30Bには撥液処理は施されない)。この場合、ノズル保護領域30Bに液体が付着すると、液体はノズル保護領域30Bに濡れ広がる。
【0042】
また、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、いわゆるピエゾ方式でノズルNからインクの液滴を吐出させる。すなわち、ノズル面30に形成された各ノズルNは、それぞれ圧力室Pに連通されており、この圧力室Pの壁面をピエゾ素子で振動させることにより、圧力室Pの容積を拡縮させて、ノズルNからインクの液滴を吐出させる。
【0043】
なお、インクの吐出方式は、これに限らずサーマル方式や静電アクチュエーターで吐出させる構成とすることもできる。
【0044】
画像記録部10は、以上のように構成される。この画像記録部10において、記録媒体12は、前段の工程から搬送ドラム26を介して画像記録ドラム14に受け渡され、画像記録ドラム14の周面に吸着保持されて回転搬送される。そして、その搬送過程で各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの下を通過し、その通過時に各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kから吐出されたインクの液滴が記録面に打滴されて、記録面にカラー画像が形成される。画像が記録された記録媒体12は、画像記録ドラム14から搬送ドラム28に受け渡され、後段の工程へと搬送される。
【0045】
さて、以上のように構成される画像記録部10において、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、図2に示すように、ヘッド支持フレーム40に取り付けられて、画像記録ドラム14の周囲に配置される。
【0046】
ヘッド支持フレーム40は、画像記録ドラム14の回転軸18と直交して設けられた一対のサイドプレート42L、42Rと、その一対のサイドプレート42L、42Rを上端部で連結する連結フレーム44とで構成されている。
【0047】
一対のサイドプレート42L、42Rは、板状に形成されており、画像記録ドラム14を挟んで互いに対向するように配置されている。この一対のサイドプレート42L、42Rの内側には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kを取り付けるための取付部46C、46M、46Y、46Kが設けられている(図2では、便宜上、取付部46Yのみ図示)。
【0048】
取付部46C、46M、46Y、46Kは、画像記録ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置されている。各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、その両端に形成された被取付部48C、48M、48Y、48K(図2では、便宜上、被取付部48Yのみ図示)を取付部46C、46M、46Y、46Kに固定することにより、ヘッド支持フレーム40に取り付けられる。そして、このヘッド支持フレーム40に取り付けられることにより、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、画像記録ドラム14の回転軸18を中心とした同心円上に一定の間隔をもって放射状に配置される。
【0049】
ヘッド支持フレーム40は、図示しないガイドレールにガイドされて、画像記録ドラム14の回転軸18と平行にスライド移動自在に設けられている。そして、図示しないリニア駆動機構(たとえば、送りネジ機構など)に駆動されて、図2に実線で示す「画像記録位置」と図2に破線で示す「メンテナンス位置」との間を移動する。
【0050】
各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、ヘッド支持フレーム40を画像記録位置に位置させると、画像記録ドラム14の周囲に配置され、画像記録可能な状態になる。
【0051】
メンテナンス位置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが画像記録ドラム14から退避する位置に設定される。このメンテナンス位置には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kを保湿するための保湿ユニット50が設けられる。
【0052】
保湿ユニット50には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面を覆うキャップ52C、52M、52Y、52K(図2では、便宜上、キャップ52Yのみ図示)が備えられている。装置を長時間停止する場合などは、このキャップ52C、52M、52Y、52Kでノズル面が覆われる。これにより、乾燥による不吐出が防止される。
【0053】
なお、このキャップ52C、52M、52Y、52Kには、図示しない加圧・吸引機構が備えられており、ノズル内を加圧・吸引できるように構成されている。
【0054】
また、このキャップ52C、52M、52Y、52Kには、図示しない洗浄液供給機構が備えられており、内部に洗浄液を供給できるように構成されている。
【0055】
キャップ52C、52M、52Y、52Kの下方位置には廃液トレイ54が配置されている。キャップ52C、52M、52Y、52Kに供給された洗浄液は、この廃液トレイ54に廃棄され、廃液回収配管56を介して廃液タンク58に回収される。
【0056】
画像記録位置とメンテナンス位置との間には、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kを清掃するためのノズル面清掃装置60が設けられている。各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、メンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程で、または、画像記録位置からメンテナンス位置に移動する過程で、このノズル面清掃装置60によってノズル面30C、30M、30Y、30Kが清掃される。
【0057】
以下、このノズル面清掃装置60の構成について説明する。
【0058】
≪ノズル面清掃装置の構成≫
図2に示すように、ノズル面清掃装置60は、洗浄液付与装置(洗浄液噴射部)62とノズル面払拭装置64とを備えて構成されている。
【0059】
洗浄液付与装置62は、メンテナンス位置から画像記録位置に向かって移動する各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与する。
【0060】
ノズル面払拭装置64は、洗浄液が付与された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kに払拭ウエブを押圧当接させて、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭する。
【0061】
洗浄液付与装置62とノズル面払拭装置64は、ヘッド支持フレーム40の移動経路上に配置される。この際、洗浄液付与装置62がノズル面払拭装置64に対してメンテナンス位置側に配置される。これにより、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させた際、洗浄液の付与後に払拭ウエブでノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することができる。
【0062】
≪洗浄液付与装置の構成≫
図4は、洗浄液付与装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。
【0063】
洗浄液付与装置62は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して設けられた洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kと、その洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが搭載されるベース72とで構成され、保湿ユニット50に備えられた廃液トレイ54の内側に設置される(図2参照)。
【0064】
<ベースの構成>
ベース72は、水平に設置されており、図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられている。このベース72の上面部分には、洗浄液付与ユニット取付部72C、72M、72Y、72Kが形成されている。各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kは、このベース72に形成された洗浄液付与ユニット取付部72C、72M、72Y、72Kにボルト等で固定されて、所定位置に取り付けられる。そして、このベース72に取り付けられることにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kは、対応するインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動経路上に配置される(画像記録位置からメンテナンス位置への移動経路上に配置される。)。
【0065】
<洗浄液付与ユニットの構成>
次に、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの構成について説明する。
【0066】
なお、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの基本構成は共通しているので、ここでは洗浄液付与ユニット70として、その構成を説明する。
【0067】
図5、図6は、それぞれ洗浄液付与ユニットの正面図と側面図である。
【0068】
同図に示すように、洗浄液付与ユニット70は、ノズル面30に洗浄液を付与する洗浄液付与ヘッド74と、ノズル面30から落ちる洗浄液を回収する洗浄液回収皿76とを備えて構成される。洗浄液回収皿76は、上部が開口した矩形の箱状に形成されている。
【0069】
洗浄液付与ヘッド74は、上面が傾斜した四角いブロック状に形成されており、その上部に傾斜した洗浄液保持面74Aを有している。この洗浄液保持面74Aは、清掃対象とするヘッドのノズル面30と同じ傾斜角度で形成されており、ノズル面30の幅(記録媒体搬送方向の幅)よりも若干広い幅をもって形成されている。
【0070】
洗浄液保持面74Aの上部近傍には、洗浄液噴出口78が形成されており、この洗浄液噴出口78から洗浄液が吐出する。吐出された洗浄液はノズル面30のノズルに当たり、ノズル面に付着した異物を除去することができる。また、洗浄液噴出口78から流れ出た洗浄液は、傾斜した洗浄液保持面74Aを流れ落ちる。これにより、洗浄液保持面74Aの上に洗浄液の層(膜)が形成される。インクジェットヘッド16は、この洗浄液保持面74Aの上に形成される洗浄液の層にノズル面30を接触させることにより、ノズル面30に洗浄液が付与される。
【0071】
洗浄液付与ヘッド74の内部には、洗浄液噴出口78に連通する供給流路80が形成されている。この供給流路80は、洗浄液回収皿76に形成された連通流路76Aに連通されており、連通流路76Aは、洗浄液回収皿76に形成された洗浄液供給口76Bに連通されている。洗浄液付与ヘッド74は、この洗浄液供給口76Bに洗浄液が供給されることにより、洗浄液噴出口78から洗浄液が流れ出る。
【0072】
洗浄液は、洗浄液タンク(図示せず)から供給される。洗浄液供給口76Bには、この洗浄液タンクに接続された配管(図示せず)が接続される。この配管には洗浄液供給ポンプ(図示せず)及びバルブ(図示せず)が設けられ、このバルブを開けて、洗浄液供給ポンプを駆動することにより、洗浄液タンクから洗浄液付与ヘッド74に洗浄液が供給される。
【0073】
洗浄液供給口76Bの周囲には、超音波振動素子77が配置され、この超音波振動素子77に超音波発信器79が接続されている。超音波発信器79は、通電により超音波を発生させ、超音波振動素子77は、これを機械振動に変換する機能を有している。超音波は、超音波振動素子77により、700kHz以上(例えば、1MHz程度)の高周波数の超音波を付与することが好ましい。700kHz以上の超音波による洗浄(メガソニック洗浄)によれば、超音波によるノズルへのダメージを軽減することができる。
【0074】
洗浄液回収皿76は、上記のように上部が開口した矩形の箱状に形成されている。この洗浄液回収皿76の底部は、傾斜して形成されており、その傾斜方向の下端部に回収穴88が形成されている。この回収穴88は、洗浄液回収皿76の内部に形成された回収流路76Cを介して、洗浄液回収皿76の側面部に形成された洗浄液排出口76Dに連通されている。
【0075】
洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から噴出させた洗浄液は、洗浄液保持面74Aから流れ落ちて洗浄液回収皿76に回収される。この洗浄液回収皿76で回収された洗浄液は、ノズル面払拭装置64へと導かれ、廃液のフラッシングに供される。この点については、のちに詳述する。
【0076】
洗浄液付与ユニット70(70C、70M、70Y、70K)は、以上のように構成される。そして、この洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、ベース72に形成された洗浄液付与ユニット取付部72C、72M、72Y、72Kに取り付けられることにより、洗浄液付与装置62が構成される。
【0077】
なお、洗浄液付与装置62の動作は、図示しない制御装置によって制御される。制御装置は、昇降装置等の駆動を制御して、洗浄液付与装置62による洗浄液の付与動作を制御する。
【0078】
また、洗浄液としては、たとえば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを主成分とする洗浄液が用いられる。この種の洗浄液をノズル面30に付与することで、ノズル面30に付着したインク由来の固着物を溶解し除去しやすくすることができる。
【0079】
なお、洗浄液の噴射は、ポンプを使用することもできるし、水頭圧を利用しても良い。均一な洗浄液の付与を行うため、脈動がないことが好ましい。
【0080】
なお、図4から図6に示す洗浄液付与装置62は、ノズル面30と洗浄液保持面74Aが略平行になるように構成され、洗浄液噴出口78が、設置面に対して垂直方向になるように構成されているが、本発明はこれに限定されない。ノズル面30に形成されたノズルが所定の角度を有するテーパー状に形成されている場合、このノズルのテーパー角度に合わせて洗浄液を噴射する角度を調整しても良い。ノズルのテーパー角度に合わせて洗浄液を噴射することで、ノズル内部まで異物の除去を行なうことができる。
【0081】
洗浄液の噴射角度を制御する方法としては、洗浄液付与装置62の傾きを制御しても良いし、ノズルのテーパー角度にあわせた洗浄液付与装置62を用いても良い。
【0082】
<洗浄液付与装置の作用>
次に、以上のように構成された洗浄液付与装置62による洗浄液の付与動作について説明する。
【0083】
洗浄液付与装置62は、インクジェットヘッド16(16C、16M、16Y、16K)がメンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程でヘッドのノズル面30(30C、30M、30Y、30K)に洗浄液を付与する。具体的には、次のように洗浄液を付与する。
【0084】
洗浄液付与装置62は、全体が昇降自在に設けられている。清掃時以外、洗浄液付与装置62は、所定の待機位置に位置している。清掃時、洗浄液付与装置62は、待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
【0085】
洗浄液付与装置62が、作動位置に移動すると、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、所定の洗浄液付与位置にセットされる。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74によって各ヘッドのノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与することが可能になる。 各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kが、所定の洗浄液付与位置にセットされると、制御装置は、リニア駆動機構を駆動して、ヘッド支持フレーム40をメンテナンス位置から画像記録位置に向けて所定の移動速度で移動させる。
【0086】
その一方で制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの洗浄液付与ヘッド74に到達するタイミングに合わせて、洗浄液供給ポンプを駆動する。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から洗浄液が所定の流量で吐出される。洗浄液噴出口78から吐出された洗浄液は、ノズル面の異物を除去するとともに、洗浄液保持面74Aを流れ落ちる。これにより、洗浄液保持面74Aの上に洗浄液の層(膜)が形成される。
【0087】
画像記録位置に向かうインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kは、洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aの上に形成された洗浄液の層に接触することで、洗浄液が付与される。
【0088】
≪ノズル面払拭装置の構成≫
図7は、ノズル面払拭装置をメンテナンス位置側から見た側面図である。
【0089】
同図に示すように、ノズル面払拭装置64は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kに対応して設けられた払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kと、その払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kがセットされる払拭装置本体フレーム102とで構成されている。
【0090】
(払拭装置本体フレームの構成)
払拭装置本体フレーム102は、水平に設置されており、図示しない昇降装置によって昇降自在に設けられている。この払拭装置本体フレーム102は、上端部が開口した箱状に形成されており、その内部に各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを装着するための払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kが形成されている。
【0091】
払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kは、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを収容可能な空間として形成されており、上部が開口して形成されている。各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kは、各払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kの上部開口部から鉛直下向きに差し込むことにより、各払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kにセットされる。
【0092】
なお、各払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kには、図示しないロック機構が備えられ、装着された払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kをロックできるように構成される。ロック機構は、たとえば、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kに差し込むと、自動的に作動するように構成される。
【0093】
<払拭ユニットの構成>
次に、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの構成について説明する。
【0094】
なお、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの基本構成は共通しているので、ここでは払拭ユニット100として、その構成を説明する。払拭ユニット装着部104C、104M、104Y、104Kについても同様であり、払拭ユニット装着部104として説明する。
【0095】
図8は払拭ユニットの平面図、図9は払拭ユニットを画像記録位置側から見た側面図、図10は払拭ユニットの側面部分断面図、図11は払拭ユニットの正面部分断面図、図12は払拭ユニットの背面図である。
【0096】
図8〜図12に示すように、払拭ユニット100は、傾斜して設置された押圧ローラ118に帯状に形成された払拭ウエブ110を巻き掛け、この押圧ローラ118に巻き掛けた払拭ウエブ110をインクジェットヘッドのノズル面に押圧当接させることにより、インクジェットヘッドのノズル面を払拭清掃する。
【0097】
この払拭ユニット100は、ケース112と、帯状に形成された払拭ウエブ110を繰り出す繰出軸114と、払拭ウエブ110を巻き取る巻取軸116と、繰出軸114から繰り出された払拭ウエブ110が押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする前段ガイド120と、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウエブ110が巻取軸116に巻き取られるようにガイドする後段ガイド122と、払拭ウエブ110を搬送するグリッドローラ(駆動ローラ)124とを備えて構成される。
【0098】
ケース112は、ケース本体126と蓋128とで構成されている。ケース本体126は、縦方向に長い四角い箱状に形成されており、上端部と前面部とが開口して形成されている。蓋128は、ヒンジ130を介して、ケース本体126の前面部に取り付けられている。ケース本体126は、この蓋128によって前面部が開閉される。
【0099】
なお、蓋128には弾性変形可能なロック爪132が設けられており、このロック爪132をケース本体126に形成された爪受部134に弾性変形させて係合させることにより、ケース本体126に固定される。
【0100】
繰出軸114は、円柱状に形成され、その基端部をケース本体126に設けられた軸支持部136に固定(片持ち支持)されて、ケース本体126の内部に水平に設置される。この繰出軸114には繰出コア138が着脱自在に装着される。なお、繰出軸114は、繰出コア138の長さよりも若干短く形成される。したがって、繰出コア138が装着されると、繰出軸114は、繰出コア138の内周部に退避する。
【0101】
繰出コア138は、円筒状に形成される。帯状に形成された払拭ウエブ110は、この繰出コア138にロール状に巻回される。
【0102】
繰出コア138は、その内周部に繰出軸114を挿入して、繰出軸114に嵌めることにより、繰出軸114に装着される。繰出軸114に装着された繰出コア138は、繰出軸114の周りを回転して、回転自在に支持される。
【0103】
ここで、図10に示すように、ケース112の蓋128には、繰出軸114の設置位置に対応して繰出コア押え駒139が設けられている。蓋128が閉じられると、この繰出コア押え駒139が、繰出軸114に装着された繰出コア138の端面を軸方向に押圧し、繰出コア138にフリクションを与える。
【0104】
この繰出コア押え駒139は、軸部139Aと、その軸部139Aに摺動自在に設けられた押圧部139Bと、押圧部139Bを軸方向に付勢するバネ139Cとで構成される。
【0105】
軸部139Aは、円柱状に形成され、蓋128の内面に垂直に取り付けられる。この軸部139Aは、蓋128を閉めたときに、繰出軸114と同軸上に位置するように配置される。
【0106】
押圧部139Bは、ボス139B1とフランジ部139B2とで構成される。ボス139B1は、円筒状に形成され、その外周は、繰出コア138の内径とほぼ同じに形成され、繰出コア138の内周部に挿入可能に形成される。また、その内径は軸部139Aの外径とほぼ同じに形成され、軸部139Aに沿って摺動可能に形成される。フランジ部139B2は、ボス139B1の基端部に一体的に形成され、外周方向に張り出して形成される。このフランジ部139B2の基端部の内径は拡大して形成されており、この拡大して形成されたフランジ部139B2の内周部にバネ139Cが収容される。押圧部139Bは、このバネ139Cによって軸部139Aの先端方向に向けて付勢される。
【0107】
なお、軸部139Aの先端には、フランジ部が形成され、このフランジ部により、押圧部139Bの抜けが防止される。
【0108】
以上のように構成された繰出コア押え駒139は、ケース112の蓋128を閉じると、押圧部139Bのボス139B1が、繰出コア138の内周部に嵌入するとともに、フランジ部139B2が、繰出コア138の端面に当接し、バネ139Cの力によって、繰出コア138を軸方向に押圧する。これにより、繰出コア138は、繰出コア押え駒139とフランジ114Aとの間で押圧挟持され、回転に際してフリクションが与えられる。
【0109】
なお、払拭ウエブ110には、たとえば、PET、PE、NY、アクリル等の極微細繊維を用いた編み又は織りからなるシートが用いられ、払拭対象とするヘッドのノズル面の幅に対応した幅を有する帯状に形成される。
【0110】
巻取軸116は、繰出軸114の下方位置に水平に配設される。すなわち、巻取軸116と繰出軸114とは、上下に並列して配置される。
【0111】
この巻取軸116は、図10に示すように、主軸116Aと、その主軸116Aの周りを周方向に回転自在に設けられた滑り軸116Bと、主軸116Aと滑り軸116Bとを連結するトルクリミッタ116Cとで構成され、一定以上の負荷(トルク)が掛かると、主軸116Aに対して滑り軸116Bが滑るように構成されている。
【0112】
主軸116Aは、円柱の棒状に形成され、その基端部近傍をケース本体126に設けられた軸受部140に回動自在に支持される。
【0113】
滑り軸116Bは、円筒状に形成され、主軸116Aの外周部を周方向に回転自在に設けられる。
【0114】
トルクリミッタ116Cは、滑り軸116Bの先端内周部に配置され、主軸116Aと滑り軸116Bと連結する。このトルクリミッタ116Cは、同軸上に配置された入力側回転体(図示せず)と出力側回転体(図示せず)とを備えており、入力側回転体に対して出力側回転体に一定以上の負荷(トルク)が掛かると、その入力側回転体と出力側回転体との間で滑るように構成されている。トルクリミッタ116Cは、入力側回転体を主軸116Aに接続(たとえば、キーとキー溝、あるいは、ボスとボス孔とにより回転伝達可能に接続、又は、一体的に固定して回転伝達可能に接続)され、出力側回転体を滑り軸116Bに接続(たとえば、キーとキー溝、あるいは、ボスとボス孔とにより回転伝達可能に接続、又は、一体的に固定して回転伝達可能に接続)されて、主軸116Aと滑り軸116Bとを回転伝達可能に連結する。これにより、滑り軸116Bに一定以上の負荷がかかると、主軸116Aに対して滑り軸116Bが滑るように機能する。
【0115】
以上の構成の巻取軸116は、滑り軸116Bに作用する負荷(トルク)が一定範囲内であれば、滑りは発生せず、滑り軸116Bが主軸116Aと共に一体的に回転する。一方、滑り軸116Bに作用する負荷(トルク)が一定範囲を超えると、滑り軸116Bと主軸116Aとの間で滑りが生じ、主軸116Aに無理な負荷が掛かるのを防止することができる。
【0116】
この巻取軸116には、繰出コア138から繰り出された払拭ウエブ110を巻き取る巻取コア142が装着される。
【0117】
巻取コア142の構成は、繰出コア138の構成とほぼ同じである。すなわち、円筒状に形成される。繰出コア138に巻回された払拭ウエブ110の先端は、この巻取コア142に固定される。
【0118】
巻取コア142は、その内周部に巻取軸116を嵌めることにより、巻取軸116に装着される。
【0119】
ここで、図10に示すように、巻取コア142は、その内周部にキー溝142Cが形成されている。一方、巻取軸116の外周(滑り軸116Bの外周)には、そのキー溝142Cに嵌合するキー116Dが形成されている。巻取コア142の装着時には、この巻取軸116に形成されたキー116Dを巻取コア142に形成された形成されたキー溝142Cに嵌めて装着する。これにより、巻取軸116の回転を巻取コア142に伝達可能に装着される。
【0120】
また、図10に示すように、ケース112の蓋128の内側には、巻取軸116の設置位置に対応してガイド板143が設けられる。このガイド板143は、払拭ウエブ110の巻取径に対応した径の円盤状に形成され、蓋128が閉じられると、巻取軸116の先端に配置される。
【0121】
また、図10に示すように、巻取軸116の基端部には、ガイド板143とほぼ同径のフランジ116Eが形成される。巻取コア142は、巻取軸116に装着されて、ケース112の蓋128が閉じられると、このフランジ116Eとガイド板143との間に配置される。巻取コア142に巻き取られる払拭ウエブ110は、このフランジ116Eとガイド板143とによって両縁部をガイドされながら、巻取コア142に巻き取られる。
【0122】
巻取軸116の主軸116Aは、その基端部がケース本体126の外側に突出して設けられており、その突出した基端部に巻取軸ギア158が取り付けられる。巻取軸116(主軸116A)は、この巻取軸ギア158が回転駆動されることにより回転する。
【0123】
押圧ローラ118は、繰出軸114の上方に配置されており(本例では、押圧ローラ118と繰出軸114と巻取軸116とが同一直線上に配置されている。)、水平面に対して所定角度傾斜して配置されている。すなわち、この押圧ローラ118は、払拭ウエブ110をインクジェットヘッド16のノズル面30に押圧当接させるものであるため、払拭対象とするインクジェットヘッド16のノズル面30の傾きに合わせて傾けて配置されている(ノズル面と平行になるように配置されている)。
【0124】
また、押圧ローラ118は、払拭対象とするインクジェットヘッド16のノズル面30の断面形状に倣って中央部が拡径して形成されている(図13参照)。すなわち、本実施の形態のインクジェットヘッド16は、ノズル面30の中央部(ノズル形成領域30A)が凹状に退避して形成されているので、この凹状に形成されたノズル面30に対応して中央部が凸状に突出して形成されている。より具体的には、凹状に退避したノズル形成領域30Aに対応する領域(払拭時に当接する領域)が、その退避量に対応して突出(拡大)して形成されている。これにより、凹状に退避して形成されたノズル形成領域30Aに適切に払拭ウエブ110を当接させることができる。
【0125】
本実施形態においては、下記に記載するように、押圧ローラ118を振動させているので、凹状に形成されたノズル面30に押圧ローラ118の凸部がおさまり、かつ振動してもぶつからないように設計する必要がある。また、押圧ローラ118の凸部で払拭できるように、ノズル面30の凹部のノズル配置もあわせて設計することが好ましい。また、押圧ローラ118は、凸部を形成せず、フラットな軸とすることができる。この場合、ノズル面に押圧ローラを押しつける力で、ウエブと押圧ローラ、もしくはウエブのみを変形させて、ウエブを凹部にあるノズルに接触させ払拭を行なう。したがって、ウエブをノズルへ押しつける圧力は、変形を考慮して設定する必要がある。
【0126】
押圧ローラ118は、その両端部に軸部118L、118Rが突出して設けられており、この軸部118L、118Rを一対の軸支持部146L、146Rに軸支されて、回動自在かつ揺動自在に支持されている。
【0127】
なお、図7から12に符号170、172、174、176、178、182を付した部材は、押圧ローラ118を上下させるための機構を構成する部材である。
【0128】
図13は、押圧ローラ118の軸部を支持する軸支持部の構成を示す正面部分断面図である。また、図14は、図12の14−14断面図である。
【0129】
同図に示すように、軸支持部146L、146Rは、水平に設けられた昇降ステージ170の上に設けられている。この軸支持部146L、146Rは、ともに昇降ステージ170に垂直に立設された柱部150L、150Rと、その柱部150L、150Rの先端に屈曲して設けられた支持部152L、152Rとで構成されている。
【0130】
支持部152L、152Rは、押圧ローラ118の軸と直交するように設けられており、その内側に凹部154L、154Rが形成されている。凹部154L、154Rは、押圧ローラ118の軸部118L、118Rの幅とほぼ同じ幅を有する長方形状に形成されており、清掃の対象とするインクジェットヘッドのノズル面に対して直交して形成されている(図14参照)。押圧ローラ118は、その両端の軸部118L、118Rが、この支持部152L、152Rの凹部154L、154Rに遊嵌されている。この結果、押圧ローラ118は、清掃の対象とするインクジェットヘッドのノズル面に対して直交する面内で揺動自在に支持される。
【0131】
凹部154L、154Rの内側には、バネ156L、156Rが収容されており、凹部154L、154R内に遊嵌された押圧ローラ118の軸部118L、118Rは、このバネ156L、156Rによって上方に付勢されている。これにより、清掃の対象とするインクジェットヘッドのノズル面に倣って、押圧ローラ118の周面をノズル面に密着させることができる。
【0132】
図13に示すように、押圧ローラ118の軸部118Rを支持する軸支持部146Rには、押圧ローラ118を微振動させる加振手段210を備えている。加振手段210により押圧ローラ118を軸部118L、118Rに沿った方向で振動させることにより、払拭ウエブ110を振動させることができる。上述したように清掃の対象となるインクジェットヘッドのノズル面が押圧ローラ118に密着しているので、払拭ウエブ110を振動させることで、ノズル面をインクジェットヘッド16の移動方向と異なる方向に払拭することができる。
【0133】
加振手段210としては、図13に示すようにアクチュエーターを用いることができる。アクチュエーターとしては、ピエゾアクチュエーター、電磁石を利用したソレノイドアクチュエーター、静電力を利用した平行平板型静電アクチュエーター、櫛歯型静電アクチュエーターなど、熱を利用した熱バイモルフアクチュエーターなどを用いることができる。
【0134】
他の加振手段としては、偏心カムをモータにより駆動させることで振動を行なう方法、リニアモータにより振動を行なう方法を挙げることができる。
【0135】
前段ガイド120は、第1前段ガイド160と、第2前段ガイド162とで構成され、繰出軸114から繰り出された払拭ウエブ110が、傾斜して設置された押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。
【0136】
一方、後段ガイド122は、第1後段ガイド164と、第2後段ガイド166とで構成され、傾斜して設置された押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウエブ110が、水平に設置された巻取軸116に巻き取れるようにガイドする。
【0137】
この前段ガイド120と後段ガイド122は、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。すなわち、第1前段ガイド160と第1後段ガイド164とが押圧ローラ118を挟んで対称に配置されるとともに、第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とが押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。
【0138】
第1前段ガイド160は、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降ステージ170の上に垂直に立設されている。この第1前段ガイド160は、上縁部160Aが、払拭ウエブ110の巻き掛け部として形成されており、その表面が円弧状に形成されている。また、この上縁部160Aは、水平面に対して所定角度傾斜して形成されており、これにより、払拭ウエブ110の走行方向が変換される。
【0139】
第1後段ガイド164は、第1前段ガイド160と同じ構成である。すなわち、所定の幅を有する板状に形成されており、昇降ステージ170の上に垂直に立設されている。そして、その上縁部164Aが、払拭ウエブ110の巻き掛け部として形成され、円弧状に形成されるとともに、水平面に対して所定角度傾斜して形成されている。
【0140】
この第1前段ガイド160と第1後段ガイド164とが、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。繰出軸114から繰り出された払拭ウエブ110は、第1前段ガイド160に巻き掛けられることにより、繰出軸114と直交する方向から押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換される。また、後述する第2後段ガイド166に巻き掛けられた払拭ウエブ110は、第1後段ガイド164に巻き掛けられることにより、巻取軸116と直交する方向に方向転換される。
【0141】
第2前段ガイド162は、両端部にフランジ162L、162Rを有するガイドローラとして構成されている。この第2前段ガイド162は、第1前段ガイド160と押圧ローラ118との間に配置され、第1前段ガイド160に巻き掛けられた払拭ウエブ110が、押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。すなわち、第1前段ガイド160によって押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換された払拭ウエブ110が、押圧ローラ118と直交する方向に走行するように、払拭ウエブ110の走行方向を微調整する。また、両端のフランジ162L、162Rによって、払拭ウエブ110の斜行を防止する。
【0142】
この第2前段ガイド162は、一端をブラケット168Aに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット168Aは、図12及び図15に示すように、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体126の背面上端部に固定されている。そして、そのケース本体126の上端部から上方に向けて垂直に突出して設けられている。第2前段ガイド162は、このブラケット168Aの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
【0143】
第2後段ガイド166は、第2前段ガイド162と同じ構成である。すなわち、両端部にフランジ166L、166Rを有するガイドローラとして構成され、一端をブラケット168Bに片持ち支持されて、所定角度傾斜して設けられている。ブラケット168Bは、先端が屈曲したプレート状に形成されており、その基端部がケース本体126の背面上端部に固定されている。第2後段ガイド166は、このブラケット168Bの先端の屈曲部に片持ち支持されて回動自在に支持されている。
【0144】
この第2後段ガイド166は、押圧ローラ118と第1後段ガイド164との間に配置され、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウエブ110が、第1後段ガイド164に巻き掛けられるようにガイドする。
【0145】
この第2前段ガイド162と第2後段ガイド166とが、押圧ローラ118を挟んで対称に配置されている。第1前段ガイド160によって押圧ローラ118と略直交する方向に方向転換された払拭ウエブ110は、第2前段ガイド162に巻き掛けられることにより、押圧ローラ118と直交する方向に走行するように、走行方向が微調整される。また、押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウエブ110は、第1後段ガイド164に巻き掛けられるように、第2後段ガイド166によって走行方向が微調整される。そして、第1後段ガイド164に巻き掛けられることにより、巻取軸116と直交する方向に方向転換される。
【0146】
このように、前段ガイド120と後段ガイド122は、段階的に払拭ウエブ110の走行方向を切り換えることにより、払拭ウエブ110が、無理なく押圧ローラ118に巻き掛けられるようにガイドする。
【0147】
このため、第1前段ガイド160の傾斜角度に比べて第2前段ガイド162の傾斜角度は押圧ローラ118の傾斜角度に近い角度となっており、同様に第1後段ガイド164の傾斜角度に比べて第2後段ガイド166の傾斜角度は押圧ローラ118の傾斜角度に近い角度となっている。
【0148】
≪ノズル面清掃装置の作用≫
[第1実施形態]
次に本実施の形態のノズル面清掃装置60によるノズル面の清掃動作について説明する。
【0149】
ノズル面の清掃は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程で行われる。
【0150】
ノズル面の清掃指令が制御装置に入力されると、制御装置は、洗浄液付与装置62とノズル面払拭装置64とを所定の作動位置に移動させる。これにより、洗浄液付与装置62による洗浄液の付与と、ノズル面払拭装置64による払拭が可能になる。
【0151】
洗浄液付与装置62とノズル面払拭装置64とを所定の作動位置に移動させた後、制御装置は、ヘッド支持フレーム40をメンテナンス位置から画像記録位置に向けて所定の移動速度で移動させる。
【0152】
その一方で制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kの洗浄液付与ヘッド74に到達するタイミングに合わせて、洗浄液供給ポンプを駆動する。これにより、各洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kに備えられた洗浄液付与ヘッド74の洗浄液噴出口78から洗浄液が所定の流量で吐出し、異物の除去を行なうと供に、ノズル面に洗浄液を付与する。また、洗浄液付与ヘッド74の洗浄液保持面74Aを流れる洗浄液がノズル面30C、30M、30Y、30Kに接触し、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与される。
【0153】
洗浄液が付与されたノズル面30C、30M、30Y、30Kは、そのまま画像記録位置に向かって移動する。そして、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
【0154】
制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kに到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭ウエブ110を走行させる。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウエブ110が押圧当接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭清掃される。
【0155】
<払拭動作>
ノズル面払拭装置64は、全体が昇降自在に設けられている。清掃時以外、ノズル面払拭装置64は、所定の待機位置に位置している。清掃時、ノズル面払拭装置64は、待機位置から所定量上昇して、所定の作動位置に移動する。
【0156】
ノズル面払拭装置64が作動位置に移動すると、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kによってヘッドのノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することが可能になる。すなわち、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウエブ110を押圧当接することが可能になる。
【0157】
洗浄液付与装置62によってノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液が付与された各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kは、各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過する際、そのノズル面30C、30M、30Y、30Kに押圧ローラ118に巻き掛けられた払拭ウエブ110が押圧当接される。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが払拭される。
【0158】
制御装置は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kが、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kに到達するタイミングに合わせて、モータ194を駆動し、払拭ウエブ110を走行させる。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに走行する払拭ウエブ110が押圧当接され、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが走行する払拭ウエブ110によって払拭される。
【0159】
この際、払拭ウエブ110は、図16に示すように、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と同方向に走行して、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭する。なお、図16から図19はノズル面払拭装置64を簡略化し、第2前段ガイド162と、第2後段ガイド166を省略して記載する。インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動速度と払拭ウエブ110の移動速度については、特に限定されない。また、図16においては、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と払拭ウエブ110の移動方向を同一の方向としているが、逆方向とすることもできる。この場合、画像記録位置からメンテナンス位置に移動する過程において払拭を行なう。
【0160】
例えば図16に示すようにインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動速度をVh、払拭ウエブの移動速度をVwとしたとき、Vh<Vwの場合は、払拭方向がインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と同方向となる。また、加振手段210により、押圧ローラ118を払拭ウエブ110の移動方向と垂直方向に微振動させている。したがって、ノズル面の払拭を複数の方向から行なうことができるので、効率よく異物の除去を行なうことができる。
【0161】
図17は押圧ローラを微振動させた時の払拭ウエブによる払拭方向を説明する図である。押圧ローラを微振動させることで、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向に対して、同一平面で垂直方向に払拭ウエブ110を振動させることができるので、図17(b)に示すように、複数の方向から払拭を行なうことができる。
【0162】
加振手段210による押圧ローラ118の振動の周波数は、図17に示すように、払拭ウエブ110の進行方向に対するノズルの幅をLn、払拭ウエブ110のノズル面との接触面の幅(押圧ローラ118で押圧されることにより払拭ウエブ110が接触する幅)をLw、ノズル面30C、30M、30Y、30Kの移動速度をVhとすると、払拭ウエブ110の進行方向と垂直方向にノズル面を払拭するためには、ノズル幅Lnを払拭ウエブが通過する間に少なくとも1/2周期の振動を行なう必要がある。そのため、周波数は、下記式を満たすように設定することが好ましい。
【0163】
f≧Vh/(2×(Ln+Lw))
たとえば、Ln=20μm、Lw=1mm、Vh=10mm/secとした場合、f≧4.9Hzとすることが好ましい。
【0164】
また、振動の振幅は、ノズル内部の異物を掻き出すため、ノズル幅Ln’(図17(b))以上とすることが好ましい。ただし、振幅が大きすぎると、払拭ウエブ110を巻取軸116に巻き取る際、しわができてしまい、巻取りがうまくいかなくなる場合がある。
【0165】
また、払拭部材として帯状のウエブを用いることにより、常に新しい面を使ってノズル面30C、30M、30Y、30Kの払拭を行なうことができる。
【0166】
なお、払拭ウエブ110の走行は、次のように行われる。
【0167】
モータ194を駆動すると、その回転が駆動ギア192、回転伝達ギア188を介して巻取軸ギア158とグリッドローラギア186に伝達される。これにより、巻取軸116とグリッドローラ124とが回転する。
【0168】
グリッドローラ124が回転すると、払拭ウエブ110に送りが与えられ、払拭ウエブ110が繰出コア138から繰り出される。そして、巻取コア142に向けて送られる。
【0169】
この際、上記のように、繰出コア138にはフリクションが与えられているため、払拭ウエブ110に急な張力変化が生じても弛みを発生させることなく、払拭ウエブ110を繰り出すことができる。
【0170】
また、巻取軸ギア158が回転することにより、巻取コア142が回転し、これにより、払拭ウエブ110が巻き取られる。
【0171】
以上のように、払拭ウエブ110は、モータ194を駆動することにより、走行させることができる。そして、このように走行する払拭ウエブ110をノズル面に当接させることにより、ノズル面が払拭ウエブ110によって払拭される。
【0172】
払拭を終えた払拭ウエブ110は、上記のように巻取コア142に巻き取られる。
【0173】
制御装置は、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、洗浄液付与ユニット70C、70M、70Y、70Kを通過し終えると、洗浄液供給ポンプの駆動を停止し、洗浄液の供給を停止する。そして、洗浄液付与装置62を待機位置に退避させる。
【0174】
また、ノズル面30C、30M、30Y、30Kが、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを通過し終えると、モータ194の駆動を停止し、払拭ウエブ110の走行を停止する。そして、ノズル面払拭装置64を待機位置に退避させる。
【0175】
以上一連の工程でインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kのノズル面30C、30M、30Y、30Kの清掃が終了する。
【0176】
このように、本実施の形態のノズル面清掃装置60では、洗浄液付与装置62によってノズル面30C、30M、30Y、30Kに洗浄液を付与し、その後、ノズル面払拭装置64でノズル面30C、30M、30Y、30Kを払拭することにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kを清掃する。これにより、ノズル面30C、30M、30Y、30Kに付着した汚れ等を確実に除去することができる。
【0177】
[第2実施形態]
図18に第2実施形態に係るノズル面30C、30M、30Y、30Kの払拭方法を示す。第2実施形態に係る払拭方法は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と払拭ウエブ110の移動方向を同じ方向とし、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動速度Vhと払拭ウエブ110の移動速度Vwを変化させて払拭を行なう。
【0178】
第2実施形態においても、ノズルの清掃は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程で行なわれる。
【0179】
ノズルの清掃は、例えば、図18(a)に示すように、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動速度Vh>払拭ウエブ110の移動速度Vwの条件でノズル面30C、30M、30Y、30Kの払拭を行なう。Vh>Vwの条件で払拭を行なうことにより、払拭方向はノズル面30C、30M、30Y、30Kおよび払拭ウエブ110の移動方向と反対方向に払拭される。
【0180】
次に、図18(b)に示すように、Vh<Vwの条件で払拭を行なうことにより、払拭方向はインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kおよび払拭ウエブ110の移動方向と同方向となる。そして、加振手段により、同一平面で、払拭ウエブ110の移動方向に対して垂直方向に移動しながら払拭が行なわれている。なお、ノズル面と払拭ウエブの移動速度の変更については、どちらを先に行なってもよく、回数についても特に制限されない。
【0181】
したがって、(1)Vh>Vw、(2)Vh<Vwのそれぞれの条件で払拭を行なうことにより、複数の払拭方向から払拭を行なうことができるので、異物の除去効果を高めることができる。
【0182】
本実施形態においては、メンテナンス位置から画像形成位置に移動させる過程で行なわれるため、さらに、払拭を行なった場合は、ノズル面の払拭を行なった後、画像形成位置からメンテナンス位置に戻す必要がある。
【0183】
また、一方向からノズル面を移動させることで、洗浄液付与装置62をノズル面払拭装置64の片側にのみ設けることで、払拭を行なうことができるので、装置を簡略化することができる。
【0184】
[第3実施形態]
図19に第3実施形態に係るノズル面30C、30M、30Y、30Kの払拭方法を示す。第3実施形態に係る払拭方向は、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と払拭ウエブ110の移動方向とを逆方向にして払拭を行なう工程と、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と払拭ウエブ110の移動方向とを同方向とし、Vh>Vwで払拭を行なう工程と、を備え、それぞれの条件で少なくとも1回以上払拭を行なっている。第3実施形態においては、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kはノズル面払拭装置64の両側から移動するため、洗浄液付与装置62は、ノズル面払拭装置64の両側に設ける必要がある。
【0185】
第3実施形態においては、ノズルの清掃は、各インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kをメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程、および、画像記録位置からメンテナンス位置に移動させる過程の両方向から行なわれる。インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向を一定にし、払拭ウエブ110の移動方向を変更することも可能であるが、払拭ウエブ110を逆方向に移動させると、一度払拭を行なった払拭ウエブ110で、再度ノズル面を払拭することになるので、好ましくない。
【0186】
インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と払拭ウエブ110の移動方向を逆方向にして払拭を行なうことで、図19(a)に示すように、払拭方向をインクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向にすることができる。また、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と払拭ウエブ110の移動方向を同じ方向にして、Vh>Vwとすることで、インクジェットヘッド16C、16M、16Y、16Kの移動方向と反対方向にすることができる。
【0187】
したがって、図19に示すように、ノズル面の払拭方向を異ならせることができ、さらに、払拭ウエブ110を振動させているため、複数の方向から払拭を行なうことができ、異物の除去効果を高めることができる。また、メンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程、および、画像記録位置からメンテナンス位置に移動させる過程の往復で払拭を行なうことができるので、払拭時間を短くすることができる。
【0188】
[第4実施形態]
次に、図20から図26を用いて、本発明に係る第4実施形態について説明する。なお、以下の説明では、先の説明と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0189】
図20は、本実施形態に係るノズル面30の払拭方法を模式的に示す説明図である。同図に示すように、ノズル面30の払拭動作においては、長尺状の払拭ウエブ110が適用される。払拭ウエブ110はウエブ搬送用のモータ194(図7参照)によって送り出し側のロール110Aから巻き取り側のロール110Bへ移動され、常に新しい払拭ウエブ110がノズル面30に当接され、ノズル面30の付着物31の除去が行われる。
【0190】
同図中、払拭ウエブ110によってノズル面30から除去された付着物(インク等)は、符号31’を付して図示されている。
【0191】
ノズル面30には、洗浄液付与装置62から洗浄液が付与され、ノズル面30が洗浄液によって濡らされた後に、払拭ウエブ110による払拭が行われる。ノズル面30と洗浄液付与装置62との間には所定のクリアランス(符号sを付して図示)が設けられており、非接触で洗浄液が付与される。
【0192】
払拭ウエブ110は、ノズル面30の反対側から押圧ローラ118によって、符号Pを付した矢印線により図示した上方向へ所定の圧力で押圧される。同図には、押圧ローラ118によって払拭ウエブ110をノズル面30に押圧させる手段の一例として、バネ156L、156Rによる弾性力が適用される形態が図示されている。
【0193】
ここで、インクジェットヘッド16の速度をVh、払拭ウエブ110の速度をVwとすると、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対速度Vは、V=Vh−Vwと表される。なお、インクジェットヘッド16の速度Vhを表す矢印線の方向を正方向とする。
【0194】
図20におけるインクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対速度Vは、払拭ウエブ110の速度Vwは負方向となるので、V=Vh−(−Vw)=Vh+Vwである。例えば、Vh=40mm/s、Vw=4mm/sとすると、V=40−(−4)=44mm/sとなる。
【0195】
図21(a)〜(c)は、ノズル面30と払拭ウエブ110(押圧ローラ118)との当接幅の説明図である。押圧ローラ118は、表面にシリコンゴム等などの低硬度の材料が適用され、ノズル面30の払拭に必要な圧力限界をもって、払拭ウエブ110を介してノズル面30に当接される。
【0196】
図21(a)は、ノズル面30に対して押圧ローラ118(払拭ウエブ110)を当接させた状態をインクジェットヘッド16の短手方向から見た図である。また、図21(b)は、払拭ウエブ110の平面図(ノズル面30と当接させる面を見た図)である。
【0197】
図21(a),(b)に示すように、ノズル面30に当接させた押圧ローラ118は、弾性変形してインクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向について所定の当接幅Lwを持つ。
【0198】
例えば、押圧ローラ118の外径をφ20mm、押圧ローラ118の表面の硬度を5°、押圧力を20kPa(20×10N/m)とすると、ノズル面30と押圧ローラ118(払拭ウエブ110)との当接幅Lwは4mmとなる。ノズル面30と押圧ローラ118との当接幅Lwは押圧ローラ118の硬度、押圧ローラ118に付与される押圧力に依存し、実験的に求めることができる。
【0199】
図21(c)には、所定の当接幅Lwを持ってノズル面30に押圧ローラ118を押圧させたときの圧力プロファイルを示す。
【0200】
この当接幅Lwは、ノズルN(図3参照)の最大長さを超える長さであり、当接幅Lwの中には少なくともノズルNが1つ含まれている。なお、ノズルNの最大長さとは、開口形状が四角形の場合は対角線の長さであり、開口形状が円形状の場合は直径である。
【0201】
図22(a),(b)は、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向と略直交する方向について、払拭ウエブ110(押圧ローラ118)を往復移動(振動、揺動)させるための構成を模式的に図示した説明図である。
【0202】
先に説明したように、図22(a)に示すノズル面払拭装置64は、インクジェットヘッド16(16C、16M、16Y、16K、図1参照)のそれぞれに対応する払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kが搭載されており、画像記録ドラム14の回転軸18(図1参照)を延長した揺動軸18Aを揺動中心として揺動可能に支持されている。
【0203】
このように、揺動軸18Aの回りにノズル面払拭装置64を揺動させることで、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向と略直交する方向について、払拭ウエブ110を往復移動させることができる。
【0204】
図22(b)は、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向と略直交する方向における、払拭ウエブ110の往復移動の条件を説明する図である。同図に示すように、ノズル面30と払拭ウエブ110との当接幅をLw(mm)、インクジェットヘッド16の移動速度をVh(mm/s)、払拭ウエブ110の搬送速度をVw(mm/s)、払拭ウエブ110の往復移動の周波数をf(Hz)払拭ウエブ110の往復移動幅を2×A(mm)とする。
【0205】
ノズル面30と払拭ウエブ110との当接幅Lwを通過する間に払拭ウエブ110を一往復以上移動させる条件は、次式(3)のとおりである。
【0206】
f>(Vh+Vw)/Lw …(3)
図23は、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向に対して、払拭ウエブ110の往復移動方向が90°以上変化する条件を模式的に図示した説明図である。同図に示すx方向に払拭ウエブ110を移動させながらy方向について往復移動させると、払拭ウエブ110はノズル面30に対して略正弦(余弦)波形状に移動することと等価になる。
【0207】
ここで、当該略正弦波形状の原点Oにおける傾きをdy/dxとすると、dy/dx<1の条件を満たすときに、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向に対して払拭ウエブ110の往復移動方向が90°を超えて変化する。
【0208】
換言すると、x方向についてインクジェットヘッド16と払拭ウエブ110がLwだけ相対的に移動する間に、払拭ウエブ110がy方向に一往復以上するためには、dy/dx<1の条件を満たす必要がある。
【0209】
単位時間tあたりの払拭ウエブ110のy方向の移動量をYとすると、Y=(Vw+Vh)×tと表される。また、単位時間tあたりの払拭ウエブ110のx方向の移動量をXとすると、X=A×sin(2×π×f×t)と表される。
【0210】
dy/dxは、dy/dx=(dy/dt)×(dt/dx)=(Vw+Vh)×A/(2×π×f)と変形することができ、dy/dx<1は、次式(4)のように表すことができる。
【0211】
f×A>(Vw+Vh)/(2×π) …(4)
したがって、上記式(3)を満たし、かつ、上記式(4)を満たすように周波数fと振幅Aを設定することで、ノズル面30に対して多方向の払拭が実現される。
【0212】
例えば、インクジェットヘッドの移動速度Vhを20mm/s、払拭ウエブ110の移動速度Vwを4mm/s、当接幅Lwを4mmとすると、周波数fは、f>6Hzとなり、振幅Aは、A>0.38mmとなり、f=10Hz、A=0.5mmと設定される。
【0213】
以上説明したように、第4実施形態に係るノズル清掃装置(方法)によれば、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向に対して、払拭ウエブ110を略直交方向に往復移動(振動)させることで、ノズル面30(ノズルN)について多方向払拭となり、ノズルNの開口部やノズルNの開口部近傍への付着物の残留が防止され、良好なノズル面30の払拭が実現される。
【0214】
なお、図17(b)では、開口形状が略正方形のノズルNを例示したが、ノズル幅Ln、Ln’をノズルの直径と置き換えることで、略円形状の開口を有するノズルにも適用可能である。
【0215】
[払拭ウエブを振動させる構成の具体例]
(第1例)
図24は、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向に対して略直交する方向に払拭ウエブ110を往復移動させる構成の第1例の概略構成を模式的に示す説明図である。同図に示す例では、ノズル面払拭装置64は揺動中心(揺動軸)18Aにより保持され、揺動機構として、偏心カム200及びバネ(弾性付勢部材)202が用いられる。
【0216】
すなわち、ノズル面払拭装置64の払拭ウエブ110の揺動方向(矢印線により図示)における一方の端に偏心カム200を備えるとともに、他方の端にばね202を備え、偏心カム200を回転させることで、ノズル面払拭装置64を揺動中心18Aの回りに揺動させ、払拭ウエブ110をインクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向に対して略直交する方向へ往復移動させることができる。
【0217】
偏心カム200は、一秒間にf回転(rps)を超える回転数で回転させることで、上記した周波数fの条件が満たされる。
【0218】
なお、偏心カム200に代わり、複数の凸形状を有するスター型のカムを備え、凸形状の数に応じた回転数で該スター型のカムを回転させる形態も可能である。例えば、6つの凸部を有するスター型のカムを一秒間に一回転させると、ノズル面払拭装置64は6Hzで揺動され、払拭ウエブ110はインクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向と略直交する方向について、6Hzで往復移動する。
【0219】
ノズル面払拭装置64に搭載される払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの姿勢を固定するために、偏心カム200をロックするロック機構を備える形態が好ましい。
【0220】
かかる第1例によれば、ノズル面払拭装置64の全体を揺動させることで、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを一体的に揺動させることができ、揺動機構の構成及び揺動制御が複雑にならない。
【0221】
本例では、ノズル面払拭装置64を揺動中心18Aの回りに揺動させると、払拭ウエブ110の当接幅Lwが変動するものの、揺動の振幅Aの値が非常に小さいため、当接幅Lwの変動を与える揺動量も小さくなり、当接幅Lwには影響を与えない。
【0222】
(第2例)
次に、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向に対して略直交する方向に払拭ウエブ110を往復移動させる構成の第2例について説明する。
【0223】
図25は、第2例に係る概略構成を模式的に示す説明図である。同図に示す例では、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kごとに揺動軸(揺動中心)101C、101M、101Y、101Kにより保持され、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kごとに揺動可能に構成されている。
【0224】
すなわち、ノズル面払拭装置64のフレームと一方の端側の払拭ユニット100Cとはばね210により連結され、中央の払拭ユニット100Mと払拭ユニット100Yとはばね212により連結される。また、ノズル面払拭装置64のフレームと他方の端側の払拭ユニット100Kとはばね214により連結される。
【0225】
一方の端側の払拭ユニット100Cと中央の払拭ユニット100Mとの間には、偏心カム216が設けられ、中央の払拭ユニット100Yと他方の端側の払拭ユニット100Kとの間には、偏心カム218が設けられている。
【0226】
偏心カム216を回転させると、払拭ユニット100C及び払拭ユニット100Mをそれぞれ図示の矢印線で示すように揺動させることができる。また、偏心カム218を回転させると、払拭ユニット100Y及び払拭ユニット100Kをそれぞれ図示の矢印線で示すように揺動させることができる。
【0227】
各払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの揺動中心101C、101M、101Y、101Kは、実験的に求めることが可能である。
【0228】
かかる第2例によれば、1つの揺動機能の駆動系(モータ等)に対する負荷(慣性モーメント)を小さくすることができ、該駆動系の構成を小型化することが可能となる。
【0229】
(第3例)
次に、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向に対して略直交する方向に払拭ウエブ110を往復移動させる構成の第3例について説明する。
【0230】
図26は、第3例に係る概略構成を模式的に示す説明図である。同図に示す例では、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kごとに揺動軸(揺動中心)101C、101M、101Y、101Kにより保持され、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kごとに振動モータ(リニアモータ)220C、220M、220Y、220Kが設けられている。
【0231】
また、ノズル面払拭装置64のフレーム(不図示)と払拭ユニット100Cは、ばね222により連結され、払拭ユニット100Cと払拭ユニット100Mは、ばね224により連結される。
【0232】
さらに、払拭ユニット100Mと払拭ユニット100Y、払拭ユニット100Yと払拭ユニット100K、払拭ユニット100Kとフレームとは、それぞれ、ばね226、228、230により連結されている。
【0233】
振動モータ220C、220M、220Y、220Kは、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを一体に保持する保持部材(不図示)によって固定されている。
【0234】
同図に示す構成は、図示の両矢印線の方向について、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kごとに揺動可能となっている。
【0235】
振動モータ220C、220M、220Y、220Kを用いて、直接、払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kを振動させる構成によれば、高速で振動させることが可能であり、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動速度を上げることができ、払拭処理の時間短縮が見込まれる。
【0236】
例えば、振動モータ220C、220M、220Y、220Kを50Hzで振動させると、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動速度を200mm/sとすることができる。
【0237】
一方、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動速度を40mm/sとすると、上記式(4)の条件を満足するためには、A>0.127であるので、A=0.15mmでもノズルNの周辺を多方向に払拭できる条件を満足することが可能である。
【0238】
払拭ウエブ110を振動させることにより、付着物に対して複数方向から払拭ウエブ110の摩擦力を加えることができ、ノズルNの周辺の付着物の付着強度に依存するものの、A=0.15mmであれば、付着物を除去する効果を発揮しうる。
【0239】
なお、Aをより大きくすると、払拭ウエブ110の摩擦力により撥液膜に与えるダメージも大きくなるので、Aは撥液膜にダメージを与えない範囲に設定される。撥液膜にダメージを与えないAの範囲は実験やシミュレーションによりに求められる。
【0240】
なお、ばね222〜230は、振動モータ220C、220M、220Y、220Kの負荷となる慣性モーメントが小さい場合には、省略することも可能である。
【0241】
≪検知工程≫
本発明の払拭方法は、微振動を行わない通常のメンテナンス方法を行なった後、通常のメンテナンスでは異物が除去できない場合に、強力なメンテナンス方法として行なうこともできる。通常のメンテナンスとして、微振動を加えて払拭を行なうことも可能であるが、払拭回数の増加、振動による負荷で、ノズル面に形成された撥液膜、ノズルエッジにダメージを与える可能性があるので、除去しにくい異物が存在する場合に強烈なメンテナンス方法として行うことが好ましい。
【0242】
通常のメンテナンス方法で除去できない異物の検知する方法としては、通常のメンテナンス方法を行なった後、テストパターンの画像を記録し、確認することができる。
【0243】
また、事前にCCDカメラなどを用いて、ノズル面の汚れ部分を確認し、汚れがひどい部分に、本発明の強力なメンテナンス方法を用いて払拭を行なうことができる。
【0244】
≪他の実施形態のノズル面払拭装置の構成≫
なお、本発明においては、ドラム搬送に用いるインクジェットヘッドについて説明をした。そのため、ノズル面払拭装置64をインクジェットヘッドのノズル面の形状に合わせて斜めにした構成について説明を行った。本発明は、このインクジェットヘッドの形状に限定されず、ベルト搬送方式のインクジェットヘッドのように、ノズル面がベルトに対して水平のインクジェットヘッドにも用いることができる。
【0245】
図27に他の実施形態のノズル面払拭装置464の側面図を示す。図27に示すノズル面払拭装置464は、各インクジェットヘッド416C、416M、416Y、416Kのノズル面が、設置面に対して水平である場合のノズル面の払拭に用いることができる。図27に示すノズル面払拭装置の構成は、上述したノズル面払拭装置64の構成とほぼ同じであり、インクジェットヘッド416C、416M、416Y、416Kのノズル面に対応して、押圧ローラ518が設置面に対して水平方向となっている点が異なっている。
【0246】
インクジェットヘッド416C、416M、416Y、416Kに対応して設けられた払拭ユニット500C、500M、500Y、500Kが本体フレーム470にセットされる。各払拭ユニット500C、500M、500Y、500Kについても、上述した払拭ユニット100C、100M、100Y、100Kの構成と同様であり、払拭ウエブ510、押圧ローラ518、繰出軸(図示せず)、巻取軸516、駆動ローラ(図示せず)などにより構成されている。
【0247】
また、本実施形態では、本体フレーム470に加振手段520を設けている。加振手段520としては、上述した加振手段と同様の構成を用いることができる。本実施形態においては、インクジェットヘッド416C、416M、416Y、416Kのすべてのノズル面が設置面に対して水平方向に設けられているので、本体フレーム470に設けた加振手段520で払拭ウエブ510の移動方向に対して、同一平面で異なる方向に振動させることにより、複数の方向から払拭を行なうことができ、異物の除去を行なうことができる。
【0248】
≪応用例≫
次に、図28を用いて、本発明の応用例について説明する。
【0249】
図28(a)、(b)は、払拭ウエブ110の払拭面を拡大した図である。図28(a)は繊維が朱子織されたものであり、図28(b)は繊維が綾織されたものである。
【0250】
図示のように、払拭ウエブ110は布繊維で折り目の凹凸があり、凹部分111Aでは液滴を取り込む吸収層としての機能を有し、凸部分111Bでは固着物を払拭する物理力を発生させる機能を有する。
【0251】
したがって、ノズルNの近傍を凸部分111Bがより多方向に移動することが、固着物を払拭するには好ましい。一方、凸部分111Bの移動が極端に小さい場合は、良好な払拭がされない懸念がある。
【0252】
本発明に適用される払拭ウエブ110は、発塵しにくく、かつ、10μm程度の直径を有する微小繊維の布が適している。図示のように、微小繊維は束ねられて織られているため、折り目の幅Wwは数百μm程度となる。
【0253】
この折り目幅Wwよりも払拭ウエブ110の往復移動距離2×Aを大きくすることで、ノズルNの周辺の付着物を確実に除去しうる払拭が可能となる。すなわち、払拭ウエブ110の折り目幅Wwと、インクジェットヘッド16と払拭ウエブ110との相対移動方向と略直交する方向への払拭ウエブ110の往復移動距離2×Aと、の関係が次式(5)を満たすときに、良好な払拭が実現される。
【0254】
A>Ww/2 …(5)
また、押圧ローラ118とノズル面30との間に払拭ウエブ110をはさみ込んで払拭を行う形態において、押圧ローラ118と払拭ウエブ110との間に滑りが発生せず、払拭ウエブ110とノズル面30との間に滑りが発生するように構成することで、好ましい払拭が実現される。
【0255】
すなわち、ノズル面30と払拭ウエブ110との間の滑り摩擦係数μhwと、払拭ウエブ110と押圧ローラ118との間の静止摩擦係数μwrとの関係が、次式(6)の関係を満たすと、好ましい払拭が実現される。
【0256】
μhw<μwr …(6)
押圧ローラ118の払拭ウエブ110との当接面に払拭ウエブ110の凹凸に対応する凹凸を備えることで、ノズル面30と払拭ウエブ110との間の滑り摩擦よりも、払拭ウエブ110と押圧ローラ118との間の静止摩擦が大きい状態を実現することも可能である。
【0257】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るノズル面清掃装置及び方法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更、修正、追加、削除等をすることが可能である。
【0258】
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0259】
(発明1):液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するノズル面清掃装置において、前記ノズル面を払拭する払拭部材と、前記液滴吐出ヘッドを移動させるヘッド移動手段と、前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドのいずれかを振動させる微振動手段と、を備え、前記微振動手段が、前記ヘッド移動手段による移動と同一平面で異なる方向に振動させることを特徴とする。
【0260】
本発明によれば、微振動発生手段により、液滴吐出ヘッドの移動手段による移動の他に、同一平面で異なる方向に振動させており、複数の方向から払拭を行なうことができる。したがって、一方向に払拭するのみでは、拭き取ることが困難であった異物を効率よく除去することができる。
【0261】
すなわち、液滴吐出ヘッドと払拭部材の相対的な移動による払拭の他に、振動手段により異なる方向にも払拭を行なうことができるので、効果的にノズルに付着した異物の除去を行なうことができる。また、ノズル面清掃装置を備えた液滴吐出装置として好適に用いることができる。
【0262】
(発明2):発明1において、前記微振動手段による振動方向が、前記ヘッド移動手段の移動方向に対して略直角方向であることを特徴とする。
【0263】
かかる態様によれば、微振動手段による振動方向が、前記ヘッド移動手段の移動に対して略直角方向であるため、より効率的に異物の除去を行なうことができる。
【0264】
(発明3):発明1または2において、前記微振動手段による振動の周波数fが、下記の式の範囲であることを特徴とする。
【0265】
f≧Vh/(2×(Ln+Lw))
f:振動数、Vh:液滴吐出ヘッドの移動速度、Ln:払拭部材の進行方向に対するノズルの長さ、Lw:ノズル面に接触する払拭部材の長さ
かかる態様によれば、微振動手段による周波数を上記範囲とすることにより、ノズルのサイズに応じた振動数で微振動を行なうことができるので、効率良く異物の除去を行なうことができる。
【0266】
(発明4):発明1から3いずれかにおいて、前記微振動手段による振動の振幅が、前記ヘッド移動手段の移動方向に対して垂直方向のノズルの幅Ln’であることを特徴とする。
【0267】
かかる態様によれば、振幅をヘッド手段の移動方向に対して垂直方向のノズルの幅Ln’としているので、ノズル内部の異物を掻き出すことができる。
【0268】
(発明5):発明1から4いずれかにおいて、前記払拭部材が帯状のウエブであることを特徴とする。
【0269】
かかる態様によれば、払拭部材が帯状のウエブであるので、常に新しいウエブを用いてノズル面を払拭することができる。したがって、ウエブ自体にダメージがあっても振動で払拭を続けることができる。
【0270】
(発明6):発明1から5いずれかにおいて、前記払拭部材と、前記払拭部材を前記ノズル面に押し当てる押し当て部材と、前記払拭部材を移動させる払拭部材移動手段と、を本体フレーム内に設け、前記払拭部材移動手段は、前記払拭部材を繰り出す繰出軸と、前記払拭部材を巻き取る巻取軸と、前記繰出軸と前記押し当て部材と前記巻取軸との間を前記払拭部材が巻き掛けられ、回転駆動されて前記払拭部材を前記巻取軸に向けて送る駆動ローラと、からなることを特徴とする。
【0271】
かかる態様によれば、払拭部材を繰出軸から巻取軸まで送っているため、常に新しい払拭材料を用いて払拭を行なうことができる。
【0272】
(発明7):発明6において、前記微振動手段は、前記押し当て部材を振動させる加振部材であることを特徴とする。
【0273】
かかる態様によれば、微振動手段は、押し当て部材を振動させる手段としているので、払拭部材を容易に振動させることができる。また、押し当て部材を振動させているので、ノズル面が複数ある場合、別々に振動を制御することができる。
【0274】
(発明8):発明6において、前記微振動手段は、前記本体フレームを振動させる加振部材からなることを特徴とする。
【0275】
かかる態様によれば、各部材を設けた本体フレームを振動させることにより、払拭部材を振動させることができる。
【0276】
(発明9):発明7または8において、前記加振部材が、ピエゾアクチュエーターであることを特徴とする。
【0277】
(発明10):発明7または8において、前記加振部材が、偏芯カムとモータであることを特徴とする。
【0278】
(発明11):発明7または8において、前記加振部材が、リニアモータであることを特徴とする。
【0279】
発明9から11は、加振部材を規定したものであり、加振部材として、ピエゾアクチュエーター、偏芯カムとモータ、リニアモータを用いることができる。
【0280】
(発明12):発明1から11いずれかにおいて、洗浄液噴射部を、前記液滴吐出ヘッドの移動方向に対して、前記払拭部材による払拭位置の手前に備えることを特徴とする。
【0281】
かかる態様によれば、洗浄液を付与することでより効率よく異物の除去を行なうことができる。
【0282】
(発明13):発明6から12いずれかにおいて、前記液滴吐出ヘッドの移動方向と前記払拭部材移動手段による前記払拭部材の移動方向とが同一方向であり、前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhが前記払拭部材の移動速度Vwより速い条件と、および、前記払拭部材の移動速度Vwが前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhより速い条件と、のそれぞれの条件で、少なくとも1回以上払拭を行なう制御部を備えることを特徴とする。
【0283】
かかる態様によれば、液滴吐出ヘッドの移動方向と、払拭部材の移動方向と、を同一方向とし、液滴吐出ヘッドの移動速度および払拭部材の移動速度を異ならせている。そして、液滴吐出ヘッドの移動速度を速くした場合は、払拭方向が液滴吐出ヘッドの移動方向と反対方向になり、払拭部材の移動方向を速くした場合は、払拭方向が液滴吐出ヘッドの移動方向と同一方向になる。したがって、それぞれの条件で1回以上払拭を行ない、さらに、微振動手段により微振動を行なうことで、異なる方向に払拭を行なうことができ、異物の除去を効率よく行なうことができる。
【0284】
(発明14):発明6から12いずれかにおいて、前記洗浄液噴射部を、前記液滴吐出ヘッドの移動方向に対して、前記払拭部材による払拭位置の両側に備え、前記液滴吐出ヘッドの移動方向と、前記払拭部材移動手段による前記払拭部材の移動方向が逆方向で払拭を行なう条件と、前記液滴吐出ヘッドの移動方向と前記払拭部材移動手段による前記払拭部材の移動方向とが同一方向であり、前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhが前記払拭部材の移動速度Vwより速い条件と、のそれぞれの条件で、少なくとも1回以上払拭を行なう制御部を備えることを特徴とする。
【0285】
かかる態様によれば、液滴吐出ヘッドの移動方向と払拭部材の移動方向とを逆方向とする条件と、液滴吐出ヘッドの移動方向と払拭部材の移動方向を同一方向とし、液体吐出ヘッドの移動速度を速くする条件のそれぞれの条件で少なくとも1回以上払拭を行なっている。移動方向が異なる場合は、払拭方向は液滴吐出ヘッドの移動方向と反対方向になる。そして移動方向が同一で、液体吐出ヘッドの移動方向を速くした場合は、払拭方向が液滴吐出ヘッドの移動方向と反対方向になる。したがって、液体吐出ヘッドの移動方向を変更するとともに、微振動手段により微振動を行なうことで、異なる方向に払拭を行なうことができ、異物の除去を効率よく行なうことができる。
【0286】
(発明15):発明12から14いずれかにおいて、前記洗浄液噴射部により供給される洗浄液に、超音波を付与する超音波付与手段を備えることを特徴とする。
【0287】
かかる態様によれば、払拭を行なう前に付与する洗浄液に超音波を付与しているため、さらに異物を取れ易くすることができる。
【0288】
(発明16):発明15において、前記超音波の周波数が700kHz以上であることを特徴とする。
【0289】
かかる態様によれば、超音波の周波数を700kHz以上としているので、ノズルへのダメージを軽減して超音波を付与した洗浄液の吐出を行うことができる。
【0290】
(発明17):発明12から16において、前記ノズル面に形成されたノズルのテーパー角度に合わせて、前記洗浄液の噴射角度を制御することを特徴とする。
【0291】
かかる態様によれば、洗浄液の噴射角度をノズルのテーパー角度に合わせているため、洗浄液をノズル内部まで供給することができるので、ノズルのテーパーに隠れた異物を除去することができる。
【0292】
(発明18):発明1から17いずれかにおいて、前記微振動手段は、前記ヘッド移動手段の移動方向について、前記ノズル面と前記払拭部材との当接幅だけ前記液滴吐出ヘッドを移動させる間に、前記異なる方向について前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかを一往復以上移動させることを特徴とする。
【0293】
かかる態様によれば、ノズル面を払拭する際に、液滴吐出ヘッドの移動方向と略直交する異なる方向について、払拭部材を一往復以上移動させることで、ノズル面が多方向から払拭され、ノズル面に付着した付着物を確実に除去しうる。
【0294】
当接幅には、少なくとも1つのノズルが含まれる態様が好ましい。また、異なる方向への往復移動の際に、少なくとも1つのノズルを通過する態様が好ましい。
【0295】
(発明19):発明1から18いずれかにおいて、前記払拭部材は、液体に対する吸収性能を有するシート状のウエブであり、前記ウエブを前記ノズル面と接触する面の反対側面から押圧して、前記ウエブを前記ノズル面に押し当て、前記ウエブと接触する面が弾性変形する押し当て部材を備えたことを特徴とする。
【0296】
かかる態様によれば、払拭部材をノズル面に押圧させることで、ノズル面に付着した付着物を確実に除去しうる。
【0297】
かかる態様において、押し当て部材を付勢する付勢部材を備える態様が好ましい。
【0298】
(発明20):発明19において、前記押し当て部材は、表面に弾性部材が設けられたローラ形状を有する弾性ローラであることを特徴とする。
【0299】
かかる態様における弾性ローラは、所定の硬度を有するゴム材料が表面に巻き付けられたゴムローラを適用しうる。
【0300】
(発明21):発明18から20いずれかにおいて、前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における往路又は復路の移動量は、前記払拭部材が前記ヘッド移動手段の移動方向に対して前記異なる方向が90°以上となる条件を満たすことを特徴とする。
【0301】
(発明22):発明18から21いずれかにおいて、前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における往路又は復路の移動量をA、前記ヘッド移動手段の移動速度をV、前記ノズル面と前記払拭部材との当接幅をLwと、前記微振動手段の周波数fとの関係は、f>V/Lwを満たし、かつ、A>(Vw+Vh)/(2×π×f)を満たすことを特徴とする。
【0302】
(発明23):発明19から22いずれかにおいて、前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における移動量は、前記ウエブの折り目の幅以上であることを特徴とする。
【0303】
(発明24):発明19から23のいずれかにおいて、前記ウエブと前記押し当て部材との静止摩擦係数は、前記ノズル面と前記ウエブとの滑り摩擦係数を超えることを特徴とする。
【0304】
かかる態様によれば、ウエブと押し当て部材との間では滑りは発生せず、ノズル面とウエブとの間では滑りが発生するので、ノズル面に付着した付着物を確実に除去しうる。
【0305】
(発明25):記録媒体に対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、発明1から24のいずれかに記載のノズル面清掃装置と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【0306】
本発明のノズル面清掃装置は、液滴吐出ヘッドのノズル面の払拭に好適に用いることができるので、液滴吐出装置に好適に用いることができる。
【0307】
(発明26):液滴吐出ヘッドを移動させるヘッド移動工程と、前記ノズル面を払拭する払拭部材を、前記液滴吐出ヘッドの移動と相対的に移動させる払拭部材移動工程と、前記液滴吐出ヘッドまたは前記払拭部材のいずれかを加振し、前記液滴吐出ヘッドおよび前記払拭部材の移動と同一平面で異なる方向に振動させる微振動工程と、を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【0308】
かかる態様によれば、液滴吐出ヘッドまたは払拭部材を加振し、同一平面で異なる方向に振動させる微振動工程を有しているので、複数の方向から払拭を行なうことができる。したがって、一方向に払拭するのみでは、拭き取ることが困難であった異物を効率よく除去することができる。
【0309】
(発明27):発明26において、前記ヘッド移動工程による前記液滴吐出ヘッドの移動と、前記払拭部材移動工程による払拭部材の移動が同一方向であり、前記ヘッド移動工
程と前記払拭部材移動工程は、前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhを前記払拭部材の移動速度Vwより速く移動させる移動工程と、前記払拭部材の移動速度Vwを前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhより速く移動させる移動工程と、を含み、それぞれの前記移動工程とで少なくとも1回以上払拭を行うことを特徴とする。
【0310】
(発明28):発明26において、前記ヘッド移動工程による前記液滴吐出ヘッドの移動と、前記払拭部材移動工程による払拭部材の移動が逆方向である移動工程と、前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhを前記払拭部材の移動速度Vwより速く移動させる移動工程と、を含み、それぞれの前記第移動工程で少なくとも1回以上払拭を行なうことを特徴とする。
【0311】
発明27および発明28によれば、異なる払拭方向で異物の除去をすることができるとともに、微振動工程により微振動もしているので、異なる方向に払拭を行なうことができ、異物の除去を効率よく行なうことができる。
【0312】
(発明29):発明26から28いずれかにおいて、前記ノズル面の汚れを検知する検知工程を有し、前記検知工程により検知された汚れに応じて微振動工程を行なうことを特徴とする。
【0313】
かかる態様によれば、汚れを検知し、その検知した汚れに応じて微振動工程を行なっている。ノズル面を払拭することにより、ノズル面の撥液膜が劣化したり、ノズルエッジにダメージを与える場合がある。したがって、汚れのひどい部分のみに振動を与えて払拭を行なうことで、ノズル面へのダメージを軽減することができる。
【0314】
(発明30):発明29において、前記検知工程は、前記ノズル面から流体を吐出し、形成した画像を確認し行なうことを特徴とする。
【0315】
(発明31):発明29において、前記検知工程は、前記ノズル面をカメラで確認することで行なうことを特徴とする。
【0316】
発明30および発明31は、検知工程の方法を規定したものであり、実際に画像を形成し確認する、ノズル面をカメラで確認することにより行なうことができる。
【0317】
(発明32):発明25から31いずれかにおいて、前記微振動工程は、前記ヘッド移動工程の移動方向について、前記ノズル面と前記払拭部材との当接幅だけ前記液滴吐出ヘッドを移動させる間に、前記異なる方向について前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかを一往復以上移動させることを特徴とする。
【0318】
(発明33):発明25から32いずれかにおいて、前記払拭部材は、液体に対する吸収性能を有するシート状のウエブであり、前記ウエブを前記ノズル面と接触する面の反対側面から押圧して、前記ウエブを前記ノズル面に押し当て、前記ウエブと接触する面が弾性変形する押し当て部材を備えたことを特徴とする。
【0319】
(発明34):発明33において、前記押し当て部材は、表面に弾性部材が設けられたローラ形状を有する弾性ローラであることを特徴とする。
【0320】
(発明35):発明32から34いずれかにおいて、前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における往路又は復路の移動量は、前記払拭部材が前記ヘッド移動工程の移動方向に対して前記異なる方向が90°以上となる条件を満たすことを特徴とする。
【0321】
(発明36):発明32から35いずれかにおいて、前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における往路又は復路の移動量をA、前記ヘッド移動工程の移動速度をV、前記ノズル面と前記払拭部材との当接幅をLwと、前記微振動手段の周波数fとの関係は、f>V/Lwを満たし、かつ、A>(Vw+Vh)/(2×π×f)を満たすことを特徴とする。
【0322】
(発明37):発明33から36いずれかにおいて、前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における移動量は、前記ウエブの折り目の幅以上であることを特徴とする。
【0323】
(発明38):発明33から37のいずれかにおいて、前記押し当て部材との静止摩擦係数は、前記ノズル面と前記ウエブとの滑り摩擦係数を超えることを特徴とする。
【符号の説明】
【0324】
10…画像記録部、12…記録媒体(枚葉紙)、14…画像記録ドラム、16…インクジェットヘッド、30…ノズル面、40…ヘッド支持フレーム、60…ノズル面清掃装置、62…洗浄液付与装置、64、464…ノズル面払拭装置、70…洗浄液付与ユニット、77…超音波振動素子、79…超音波発信器、100、500…払拭ユニット、102…払拭装置本体フレーム、104…払拭ユニット装着部、110、510…払拭ウエブ、114…繰出軸、116…巻取軸、118、518…押圧ローラ、210、520…加振手段、470…本体フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するノズル面清掃装置において、
前記ノズル面を払拭する払拭部材と、
前記液滴吐出ヘッドを移動させるヘッド移動手段と、
前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドのいずれかを振動させる微振動手段と、
を備え、
前記微振動手段が、前記ヘッド移動手段による移動と同一平面で異なる方向に振動させることを特徴とするノズル面清掃装置。
【請求項2】
前記微振動手段による振動方向が、前記ヘッド移動手段の移動方向に対して略直角方向であることを特徴とする請求項1に記載のノズル面清掃装置。
【請求項3】
前記微振動手段による振動の周波数fが、下記の式の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のノズル面清掃装置。
f≧Vh/(2×(Ln+Lw))
f:振動数、Vh:液滴吐出ヘッドの移動速度、Ln:払拭部材の進行方向に対するノズルの長さ、Lw:ノズル面に接触する払拭部材の長さ
【請求項4】
前記微振動手段による振動の振幅が、前記ヘッド移動手段の移動方向に対して垂直方向のノズルの幅Ln’であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項5】
前記払拭部材が帯状のウエブであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項6】
前記払拭部材と、前記払拭部材を前記ノズル面に押し当てる押し当て部材と、前記払拭部材を移動させる払拭部材移動手段と、を本体フレーム内に設け、
前記払拭部材移動手段は、前記払拭部材を繰り出す繰出軸と、前記払拭部材を巻き取る巻取軸と、前記繰出軸と前記押し当て部材と前記巻取軸との間を前記払拭部材が巻き掛けられ、回転駆動されて前記払拭部材を前記巻取軸に向けて送る駆動ローラと、からなることを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項7】
前記微振動手段は、前記押し当て部材を振動させる加振部材であることを特徴とする請求項6に記載のノズル面清掃装置。
【請求項8】
前記微振動手段は、前記本体フレームを振動させる加振部材からなることを特徴とする請求項6に記載のノズル面清掃装置。
【請求項9】
前記加振部材が、ピエゾアクチュエーターであることを特徴とする請求項7または8に記載のノズル面清掃装置。
【請求項10】
前記加振部材が、偏芯カムとモータであることを特徴とする請求項7または8に記載のノズル面清掃装置。
【請求項11】
前記加振部材が、リニアモータであることを特徴とする請求項7または8に記載のノズル面清掃装置。
【請求項12】
洗浄液噴射部を、前記液滴吐出ヘッドの移動方向に対して、前記払拭部材による払拭位置の手前に備えることを特徴とする請求項1から11いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項13】
前記液滴吐出ヘッドの移動方向と前記払拭部材移動手段による前記払拭部材の移動方向とが同一方向であり、
前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhが前記払拭部材の移動速度Vwより速い条件と、および、前記払拭部材の移動速度Vwが前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhより速い条件と、のそれぞれの条件で、少なくとも1回以上払拭を行なう制御部を備えることを特徴とする請求項6から12いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項14】
前記洗浄液噴射部を、前記液滴吐出ヘッドの移動方向に対して、前記払拭部材による払拭位置の両側に備え、
前記液滴吐出ヘッドの移動方向と、前記払拭部材移動手段による前記払拭部材の移動方向が逆方向で払拭を行なう条件と、前記液滴吐出ヘッドの移動方向と前記払拭部材移動手段による前記払拭部材の移動方向とが同一方向であり、前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhが前記払拭部材の移動速度Vwより速い条件と、のそれぞれの条件で、少なくとも1回以上払拭を行なう制御部を備えることを特徴とする請求項6から12いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項15】
前記洗浄液噴射部により供給される洗浄液に、超音波を付与する超音波付与手段を備えることを特徴とする請求項12から14いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項16】
前記超音波の周波数が700kHz以上であることを特徴とする請求項15に記載のノズル面清掃装置。
【請求項17】
前記ノズル面に形成されたノズルのテーパー角度に合わせて、前記洗浄液の噴射角度を制御することを特徴とする請求項12から16いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項18】
前記微振動手段は、前記ヘッド移動手段の移動方向について、前記ノズル面と前記払拭部材との当接幅だけ前記液滴吐出ヘッドを移動させる間に、前記異なる方向について前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかを一往復以上移動させることを特徴とする請求項1から17いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項19】
前記払拭部材は、液体に対する吸収性能を有するシート状のウエブであり、
前記ウエブを前記ノズル面と接触する面の反対側面から押圧して、前記ウエブを前記ノズル面に押し当て、前記ウエブと接触する面が弾性変形する押し当て部材を備えたことを特徴とする請求項1から18いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項20】
前記押し当て部材は、表面に弾性部材が設けられたローラ形状を有する弾性ローラであることを特徴とする請求項19に記載のノズル面清掃装置。
【請求項21】
前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における往路又は復路の移動量は、前記払拭部材が前記ヘッド移動手段の移動方向に対して前記異なる方向が90°以上となる条件を満たすことを特徴とする請求項18から20いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項22】
前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における往路又は復路の移動量をA、前記ヘッド移動手段の移動速度をV、前記ノズル面と前記払拭部材との当接幅をLwと、前記微振動手段の周波数fとの関係は、f>V/Lwを満たし、かつ、A>(Vw+Vh)/(2×π×f)を満たすことを特徴とする請求項18から21いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項23】
前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における移動量は、前記ウエブの折り目の幅以上であることを特徴とする請求項19から22いずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項24】
前記ウエブと前記押し当て部材との静止摩擦係数は、前記ノズル面と前記ウエブとの滑り摩擦係数を超えることを特徴とする請求項19から23のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項25】
記録媒体に対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
請求項1から24いずれか1項に記載のノズル面清掃装置と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項26】
液滴吐出ヘッドを移動させるヘッド移動工程と、
前記ノズル面を払拭する払拭部材を、前記液滴吐出ヘッドの移動と相対的に移動させる払拭部材移動工程と、
前記液滴吐出ヘッドまたは前記払拭部材のいずれかを加振し、前記液滴吐出ヘッドおよび前記払拭部材の移動と同一平面で異なる方向に振動させる微振動工程と、を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項27】
前記ヘッド移動工程による前記液滴吐出ヘッドの移動と、前記払拭部材移動工程による払拭部材の移動が同一方向であり、
前記ヘッド移動工程と前記払拭部材移動工程は、前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhを前記払拭部材の移動速度Vwより速く移動させる移動工程と、
前記払拭部材の移動速度Vwを前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhより速く移動させる移動工程と、を含み、
それぞれの前記移動工程で少なくとも1回以上払拭を行うことを特徴とする請求項26に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項28】
前記ヘッド移動工程による前記液滴吐出ヘッドの移動と、前記払拭部材移動工程による払拭部材の移動が逆方向である移動工程と、
前記液滴吐出ヘッドの移動速度Vhを前記払拭部材の移動速度Vwより速く移動させる移動工程と、を含み、
それぞれの前記移動工程で少なくとも1回以上払拭を行なうことを特徴とする請求項26に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項29】
前記ノズル面の汚れを検知する検知工程を有し、
前記検知工程により検知された汚れに応じて微振動工程を行なうことを特徴とする請求項26から28いずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項30】
前記検知工程は、前記ノズル面から流体を吐出し、形成した画像を確認して行なうことを特徴とする請求項29に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項31】
前記検知工程は、前記ノズル面をカメラで確認することで行なうことを特徴とする請求項29に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項32】
前記微振動工程は、前記ヘッド移動工程の移動方向について、前記ノズル面と前記払拭部材との当接幅だけ前記液滴吐出ヘッドを移動させる間に、前記異なる方向について前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかを一往復以上移動させることを特徴とする請求項25から31いずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項33】
前記払拭部材は、液体に対する吸収性能を有するシート状のウエブであり、
前記ウエブを前記ノズル面と接触する面の反対側面から押圧して、前記ウエブを前記ノズル面に押し当て、前記ウエブと接触する面が弾性変形する押し当て部材を備えたことを特徴とする請求項25から32いずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項34】
前記押し当て部材は、表面に弾性部材が設けられたローラ形状を有する弾性ローラであることを特徴とする請求項33に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項35】
前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における往路又は復路の移動量は、前記払拭部材が前記ヘッド移動工程の移動方向に対して前記異なる方向が90°以上となる条件を満たすことを特徴とする請求項32から34いずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項36】
前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における往路又は復路の移動量をA、前記ヘッド移動工程の移動速度をV、前記ノズル面と前記払拭部材との当接幅をLwと、前記微振動手段の周波数fとの関係は、f>V/Lwを満たし、かつ、A>(Vw+Vh)/(2×π×f)を満たすことを特徴とする請求項32から35いずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項37】
前記異なる方向への前記払拭部材および前記液滴吐出ヘッドの少なくともいずれかの往復移動における移動量は、前記ウエブの折り目の幅以上であることを特徴とする請求項33から36いずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項38】
前記ウエブと前記押し当て部材との静止摩擦係数は、前記ノズル面と前記ウエブとの滑り摩擦係数を超えることを特徴とする請求項33から37のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドのメンテナンス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−71573(P2012−71573A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50595(P2011−50595)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】