説明

ノンフォトリアリスティックな3Dマップのためにフォトリアリスティックな3Dランドマークを再利用するための方法

ナビゲーションマップを表示する方法は、フォトリアリスティックな三次元データをオフラインで事前に処理する工程を含む。車両の位置は自動的にオンラインで測定される。地理的な領域内に配された物体に関連する事前に処理された三次元データの一部が特定される。地理的な領域は車両の位置を含む。ノンフォトリアリスティックな画像は、事前に処理されたデータの特定された一部に基づいてレンダリングされる。ノンフォトリアリスティックな画像は車両内のユーザーに電子的に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は電子ナビゲーションマップに関し、より具体的には、電子ナビゲーションマップ用に画像をレンダリングすることに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の詳細
ナビゲーションマップは、建物、地勢、および、興味のある場所(POI)、例えば、博物館、レストラン、公園およびショッピングセンターを含むランドマークを視覚的に強調するため、よく知らない都市を訪れる人にとって必要不可欠なリソースである。ほとんどの車載の、および、携帯性のナビゲーションデバイス(PND)は、二次元(2D)でこれらのランドマークを視覚化するために2Dのナビゲーションマップに依存しているが、三次元(3D)の車載ナビゲーションシステムが台頭しつつある。ほとんどのこれらの3Dナビゲーションシステムは、三次元のランドマークを視覚化するために、フォトリアリスティック(photorealistic)レンダリング技術を使用している。この視覚化体系では、正確な幾何学モデルと詳細なフォトリアリスティックの建物テクスチャが必要である。これらのシステムは、このようなレンダリングされた三次元の建物、道または他の対象の外観が、実際の建物、道または他の対象の外観と可能な限り一致することを必要とする。したがって、フロントガラス越しに実際の三次元の建物を見ると、ドライバーはフォトリアリスティックな一致(photorealistic match)を行うことで、三次元のランドマークを認識することができる。一方では、2Dナビゲーションシステムは、我々の三次元の世界の詳細をほとんどなにも視覚化しない。他方で、フォトリアリスティックな3Dマップに基づくナビゲーションシステムは、我々の三次元世界のあらゆる詳細を視覚化しようとするが、これは必要なくすることができる。
【0003】
ほとんどのデータプロバイダー(例えば、Tele Atlas)は、直接的なフォトリアリスティックレンダリングに適切な3Dマップ要素データ(例えば、3Dランドマーク)のみを提供する。より具体的には、ほとんどの3Dマップ要素データは、フォトリアリスティックなテクスチャによって取り付けられるポリゴンメッシュの形で提供される。なんの修正もなされない場合、これらのデータは直接的なフォトリアリスティックレンダリングにのみ使用することができる。したがって、これらのデータは直接的なノンフォトリアリスティックレンダリング(non−photorealistic)(NPR)には適していない。しかしながら、NPRは、NPRが、ユーザーが観察する現実視界の眺めにレンダリングを容易に一致させることができるような正確な(詳細を必要としない)方法で画像を示してもよく、NPRレンダリングをもたらすために低レベルの計算ソースしか必要とされないという点で、フォトリアリスティックレンダリング以上に有益である。
【0004】
先行技術で開示も示唆もされていないものは、フォトリアリスティックレンダリングのために意図される従来の市販の3Dマップ要素データを用いることによって、ナビゲーションマップ上に、建物、ランドマーク、および、他の3D物体のNPRレンダリングを提供する方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ノンフォトリアリスティック(NPR)または表現レンダリング技術を用いることによって、ナビゲーションのために重要な詳細のみを視覚化し強調することで、伝統的な2Dナビゲーションマップとフォトリアリスティック3Dマップの間のギャップを埋める3Dナビゲーションシステムを提供する。本発明によれば、利用可能なフォトリアリスティック3Dランドマークデータは、NPR 3Dナビゲーションマップでの表現に富んだ視覚化に再度使用されてもよい。より具体的には、フォトリアリスティック3Dランドマークデータは、最初にオフラインで処理されてもよく、その後、ノンフォトリアリスティックレンダリングは高性能を達成するためにランタイムで適用されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
フォトリアリスティック3Dランドマークデータの処理がコンピュータで集約されるため、フォトリアリスティックなデータの事前処理はオフラインで行なわれてもよい。言い換えれば、フォトリアリスティックなデータはすべて、NPRディスプレイのレンダリングよりも先に受け取られてもよい。さらに具体的に、事前処理はフォトリアリスティックなデータ上で行なわれてもよく、NPR情報(NPRエッジおよびNPRテクスチャ)を包含する事前に処理された3Dマップデータは、ユーザーに対する画像のレンダリングよりも先に準備されてもよい。その後、運転中に、事前に処理された3Dマップデータは、すでに特定されたエッジと、すでに変換されたテクスチャとを含んで受け取られてもよい。運転中に、ユーザーは、ディスク、CD、記憶装置、または、インターネットからこのデータを受け取ってもよい。もちろん、いくつかの特定のレンダリング処理は、運転手に対してNPR画像を表示するためのNPR情報を備えたデータを準備するために、リアルタイムで行なわれてもよい。
【0007】
同様に、別の実施形態では、フォトリアリスティックデータは運転中に受け取られることが可能であり、および、ノンフォトリアリスティックデータの変換が運転中に行われることも可能である。しかしながら、フォトリアリスティックデータの処理はコンピュータで集約されるため、多くの処理ハードウェアが要求されることがある。
【0008】
本発明は、その1つの形状において、オフラインでフォトリアリスティックな三次元データを事前に処理する工程を含む、ナビゲーションマップを表示する方法を含む。車両の位置はオンラインで自動的に測定される。地理的な領域内に配置される物体に関連する事前に処理されたフォトリアリスティックな三次元データの一部が特定される。地理的な領域は、車両の位置を含んでいる。ノンフォトリアリスティックな画像は、事前に処理されたデータの特定された一部に基づいてレンダリングされる。ノンフォトリアリスティックな画像は、車両内のユーザーに電子的に表示される。
【0009】
本発明は、その別の形状において、車両の位置を自動的に測定する工程を含む、ナビゲーションマップを表示する方法を含む。フォトリアリスティックな三次元データが受け取られる。データは、地理的な領域内に配置される物体に関連している。地理的な領域は、車両の位置を含んでいる。フォトリアリスティックなデータ中の物体のエッジは、自動的に特定され、ノンフォトリアリスティックレンダリングされる。フォトリアリスティックなデータ中のフォトリアリスティックなテクスチャは、ノンフォトリアリスティックなテクスチャに変換される。物体のノンフォトリアリスティックな画像は、ノンフォトリアリスティックなテクスチャ、マークを付けたエッジ、データ中のエッジの各々の幅値に基づいて生成される。ノンフォトリアリスティックな画像は、車両内のユーザーに電子的に表示される。
【0010】
本発明は、さらに別の形状で、物体に関連するフォトリアリスティックな三次元データ中の物体の透明なエッジと内部エッジを検出するとともに分割する工程を含む、3Dランドマークの処理方法を含む。フォトリアリスティックなデータ中の物体の透明でないエッジ、内部でないエッジ、および、分割したエッジは、完全なハーフエッジ構造(Complete Half Edge Structure)を構築するために使用される。完全なハーフエッジ構造における各々のエッジは、廃棄されるか、視点が独立したエッジとしてマークされるか、または、視点が依存したエッジとしてマークされる。完全なハーフエッジ構造の下部構造が特定される。下部構造の少なくとも1つのマーキングは、下部構造の種類に基づいて更新される。完全なハーフエッジ構造におけるエッジの余分なものは統合され、それによって、オンラインレンダリングのためのNPRエッジの最後の組(final set)を生成する。最後の組におけるエッジの各々について幅値が計算される。フォトリアリスティックデータ中のフォトリアリスティックなテクスチャは、ノンフォトリアリスティックなテクスチャに変換される。物体のノンフォトリアリスティックな画像は、ノンフォトリアリスティックなテクスチャと、ノンフォトリアリスティックレンダリングされるエッジの最後の組、最後の組におけるエッジの各々のマーキング、および、最後の組におけるエッジの各々の幅値に基づいて生成される。最後の組のエッジの各々は、視点が独立したエッジまたは視点が依存したエッジのいずれかとしてマークされる。
【0011】
本発明の利点は、NPRレンダリング技術が、フォトリアリスティックレンダリング技術と比較して、より単純で、かつ、より表現に富んだ視覚化を提供することができるということである。
【0012】
本発明の別の利点は、既存のフォトリアリスティック3Dナビゲーションシステムと比較して、3D車載ナビゲーション用のNPR 3Dマップがドライバーの方向づけ(driver orientation)とランドマークの認識を改善するということである。そもそも人は三次元世界に住んでいるため、3Dマップは2Dマップと比較してドライバーの方向づけを改善する。しかしながら、フォトリアリスティックな3Dレンダリングは、あまりにも多くの詳細を提供することがあり、それはナビゲーション目的に不必要な気晴らしを取り入れかねない。NPRレンダリングは、識別するために三次元物体の最も重要な特徴(例えば、形状、奥行きの手がかり(depth cue)、色の変化)を強調すること、および、些細な詳細を省略することによって、この問題を解決する。
【0013】
本発明のさらに別の利点は、既存のフォトリアリスティック3Dナビゲーションシステムと比較して、3D車載ナビゲーション用のNPR 3Dマップは、マップの更新の必要性を減らすということである。実際の三次元世界の詳細は頻繁に変わることもある。フォトリアリスティック3Dマップは、このような変化と同期して一致したマップの頻繁な更新を要求する。このような更新はエンドユーザとデータプロバイダーの両方にとって負担になりかねない。NPRは三次元世界のより単純かつ表現に富んだ視覚化を提供するため、マップの更新は著しく減ることになる。
【0014】
本発明のさらなる利点は、既存のフォトリアリスティック3Dナビゲーションシステムと比較して、3Dの車載ナビゲーション用のNPR 3Dマップが、「フォトリアリスティックな一致」を回避することによって、認識的負荷を軽減するということである。フォトリアリスティック3Dマップを使用する際、フォトリアリスティック3Dマップがユーザーのフォトリアリズムの期待をかきたてるため、ユーザーはレンダリングされた三次元物体の詳細すべてを実際の世界での詳細と一致させる傾向がある。フォトリアリズムの程度によっては、ユーザーが全ての詳細を一致させる(フォトリアリスティックな一致)のに長い時間がかかることもある。逆に、NPR 3Dマップが使用される場合、ユーザーは「フォトリアリスティックな一致」を回避することができる。例えば、郵便局が特定の様式(例えば、特定のNPR効果)で常にレンダリングされる場合、ユーザーは、フォトリアリスティックにレンダリングされた郵便局の外観を考えたり、その外観を実際の郵便局の建物の外観と一致させたりするかわりに、その建物が郵便局であるという事実をすぐに認めて理解することができるであろう。
【0015】
本発明のさらに別の利点は、既存のフォトリアリスティック3Dナビゲーションシステムと比較して、3Dの車載ナビゲーション用のNPR 3Dマップがユーザーにとってより訴求力が高いということである。様々なNPR様式によって提供される芸術的な効果を考慮すると、NPR 3Dマップは非常に魅力的であるかもしれない。さらに、ユーザーが異なれば好みも異なるため、各々のユーザーは、3Dナビゲーションマップ用のお気に入りのレンダリング様式を選択して、それを実施することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の上記および他の特徴および目的と、これらを成し遂げる手法がさらに明らかになるとともに、本発明そのものは、添付の図面と併せて取り込まれた本発明の実施形態の以下の記載を参照することによって、一層よく理解されるであろう。
【図1】本発明のオンラインでのNPRレンダリング用のNPR様式の3Dランドマークに、フォトリアリスティックな3Dランドマークをオフラインで変換する1つの実施形態の2つの部品を例証するフローダイアグラムである。
【図2】本発明のアルゴリズムによって特定される異なる種類のエッジを包含している3Dランドマークデータの未処理の(raw)幾何学的形状の例である。
【図3a】本発明の方法によって生成されるNPR 3Dマップレンダリングの1つの例である。
【図3b】本発明の方法によって生成されるNPR 3Dマップレンダリングの別の例である。
【図4】本発明のNPRエッジ同定アルゴリズムの1つの実施形態のフローチャートである。
【図5a】長方形の透明なエッジを含むポリゴンメッシュの例である。
【図5b】透明なエッジがレンダリングされない図5aのメッシュの断片的なレンダリングの例である。
【図5c】透明なエッジがレンダリングされる図5aのメッシュの断片的なレンダリングの例である。
【図6a】透明なエッジの例を例証する。
【図6b】図6aの透明なエッジを分割した結果を例証する。
【図7a】3Dランドマークポリゴンメッシュ中の内部エッジを例証する。
【図7b】内部エッジがレンダリングされていない図7aのメッシュの断片的なレンダリングを示す。
【図7c】内部エッジが実際にレンダリングされる図7aのメッシュの断片的なレンダリングを示す。
【図8a】構造の1つの面が構造の別の面によって部分的に塞がれる例を例証する。
【図8b】分割前に図8aの部分的に塞がれた面の内部エッジを例証する。
【図8c】分割後に図8aの部分的に塞がれた面の内部エッジを例証する。
【図9a】不規則なトポロジーを有するメッシュポリゴンの例を例証する。
【図9b】図9aの不規則なトポロジーの2つの境界エッジを例証する。
【図9c】2つの面が1つのエッジを共有する規則的または理想的なトポロジーの例を例証する。
【図10a】CHES構築前のCHES構造を例証する。
【図10b】CHES構築後のCHES構造を例証する。
【図11a】CHES構築での対のエッジの1つの実施例を例証する。
【図11b】CHES構築での対のエッジの別の実施例を例証する。
【図11c】CHES構築での対のエッジのさらに別の実施例を例証する。
【図12】図4のNPRエッジ同定アルゴリズムのマーキング段階の1つの実施形態のフローチャートである。
【図13a】本発明の1つの実施形態による二面角の計算を例証する斜視図である。
【図13b】図13aの実施形態による二面角の計算を例証する平面図である。
【図14】本発明の1つの実施形態によるマーキング規則の表である。
【図15a】3Dランドマークの建物のレンダリングの実施例である。
【図15b】図15aのレンダリングに基づいた3Dランドマークのポリゴンメッシュである。
【図15c】図15bのメッシュに含まれる柱の3Dポリゴンメッシュである。
【図16a】2つの隣接したエッジの統合の実例である。
【図16b】2つの部分的に重なるエッジの統合の実例である。
【図17】NPRエッジ用の幅と長さの関係のプロットである。
【図18】元々の二次元のテクスチャから強化された様々なNPR様式の実例である。
【図19】本発明の3Dマップレンダリング配置の1つの実施形態のブロック図である。
【図20】本発明の3Dマップレンダリング方法の少なくともいくつかの実施形態で使用するのに適した、大きさを変更できるリアルタイムの3Dアニメーション用の漫画様式のレンダリング技術の一例である。
【図21】本発明の3Dマップレンダリング方法の少なくともいくつかの実施形態で使用するのに適したペン画様式のレンダリングの一例である。
【図22】本発明の3Dマップレンダリング方法の少なくともいくつかの実施形態で使用するのに適した鉛筆画風レンダリング(pencil rendering)の一例である。
【図23】本発明の3Dマップレンダリング方法の少なくともいくつかの実施形態で使用するのに適した漫画様式のレンダリングの一例である。
【図24】ナビゲーションマップを表示するための、本発明の方法の1つの実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
対応する参照文字は、複数の図にわたって対応する部分を示している。本明細書で書かれる事例は本発明の実施形態を示しており、幾つかの形状では、以下に開示される実施形態は、包括的となるよう意図されたものではなく、かつ、本発明の範囲を開示された正確な形状に制限するものとして解釈されるように意図されたものでもない。
【0018】
本発明は、ナビゲーションマップでの三次元物体用の定型化した視覚化を含む、NPR 3Dマップを使用する3Dナビゲーションの方法を提供する。3Dナビゲーションマップに表示される三次元物体は、建物、ランドマーク、POI、危険スポット、および、道路を含む。NPR 3Dマップは、異なる方法で生成される三次元物体のデータに基づいて作成されてもよい。3Dデータは、フォトリアリスティックレンダリングのみに適したフォーマット(例えば、フォトリアリスティックなテクスチャを含むポリゴンメッシュ)で、データプロバイダーによって提供されてもよい。この場合、そのようなデータはNPRレンダリングのために強化されてもよい。
【0019】
ここで図面、特に図1に目を向けると、フォトリアリスティックな3Dランドマークを、自動車、船、飛行機などの車両内で使用される本発明のNPR様式の3Dランドマークに変換する方法の1つの実施形態の2つの構成要素が示されている。方法の構成要素の1つは、データ中の重要なエッジが自動的に特定されて、NPRレンダリングされる、自動的なNPRエッジ特定およびレンダリングである。これはNPR様式の視覚化に必要とされてもよい。構成要素のもう1つは、データの異なるセクション間の色の対照が誇張されるおよび/または強調されるNPRテクスチャの強化である。フォトリアリスティックな3Dランドマークデータに含まれるテクスチャは、フォトリアリズムを改善するように設計されてもよいが、NPRレンダリングに適していないこともある。画像処理アルゴリズムは、NPR様式の外観を有するように、これらのテクスチャの外観を変えるために適用されてもよい。典型的なNPR様式は、漫画様式、ペン画様式、鉛筆画様式などを含んでもよい。
【0020】
図2は、様々な種類のエッジ(例えば、表面エッジ、内部エッジ、境界エッジ、透明なエッジなど)を含む、3Dランドマークデータの未処理の幾何学的な形状を例証している。図2のこれらの種類のエッジの各々の例は、表面エッジ(30)、内部エッジ(32)、境界エッジ(34)、および、透明なエッジ(36)を含んでいる。三次元の建物について、典型的なNPRレンダリング様式(ペン画、漫画様式など)は、形状の情報を伝えるために強調される三次元建物の重要なエッジまたはNPRエッジを必要とする。本発明のアルゴリズムは、これらのNPRエッジをうまく特定することができてもよい。ひとたびこれらのエッジが特定されると、ストロークレンダリング(stroke rendering)技術(例えば、スプライト、ビルボード)は、手描きのNPR効果を達成するために、これらのエッジをレンダリングすべく使用されてもよい。ひとたび三次元の建物の形状が例証されると、建物のテクスチャは完全なNPRの外観を有するように向上される必要があってもよい。発明のアルゴリズム(「NPRテクスチャ強化」)の第2の構成要素はこのタスクを完了してもよい。
【0021】
図3aと3bでは、3Dランドマークの外観が本発明の使用によってノンフォトリアリスティックな3Dマップに関してどのように強化させられるのかという2つの例が示されている。すなわち、図3aおよび3bでは、発明の方法がノンフォトリアリスティックな3Dマップシステムで、NPR様式の3Dランドマークをレンダリングするために適用されている。同じ3Dランドマークは、図3aおよび3b内の2つの異なる様式でそれぞれレンダリングされる。
【0022】
発明のNPRエッジ同定アルゴリズムは、元々の未処理の3Dランドマークデータをオフラインで処理するために使用されてもよい。アルゴリズムの出力は、NPR様式の強化のためにマークされたエッジを含んでもよい。とりわけ、これらのエッジは、オンラインのNPRレンダリングの間に強調されてもよい。加えて、アルゴリズムは、同様に、各々がマークを付けられたNPRエッジのためにいくつかの重要な属性(例えば、エッジ幅など)を事前に計算してもよい。これらの情報の断片はすべて、ランタイムにNPRエッジのレンダリング工程を促進するために使用されてもよい。たとえ重要なエッジ検出(シルエットエッジ(silhouette edge)検出を含む)がNPRレンダリングの重要なトピックであっても、三次元の幾何学的形状とトポロジーが完全に規則的な防水性の表面に、たいて焦点が置かれる。本発明のアルゴリズムは、典型的な三次元の建物用のためのこれらの重要なエッジを検知する必要があり、この場合、3Dメッシュ構造は通常、明瞭ではないか、規則的ではない。最初に、発明のNPRエッジ同定アルゴリズムは、表面内のエッジまたは構造を備えた三次元の建物データに対処する必要がある。次に、建物の幾何学的形状は、一般的に、壁、屋根などのような別の部品によってモデル化される。結果として、建築のモデルは通常不規則なトポロジーを包含する。最後に、建物のいくつかの追加の幾何学構造は、発明のアルゴリズムにおいて特定の処理を要求する、3Dデータ中の分離したテクスチャクワッド(texture quads)によって表されることができる。発明のNPRエッジ検出アルゴリズムの別の潜在的な特徴は、NPRエッジの特定を促進するためにドメイン知識が使用されてもよいということである。例えば、発明のアルゴリズムの入力が三次元の建物に限定されるため、アルゴリズムは、自動的なNPRエッジ検出を促すために建物の下部構造(例えば、柱)を自動的に特定してもよい。
【0023】
発明のNPRエッジ同定アルゴリズムの1つの実施形態の概観が図4で示される。アルゴリズムは、事前マーキング、マーキング、および、事後マーキングを含む3つの主要な段階を有してもよい。入力はフォトリアリスティックな3Dランドマークデータであってもよい。幾何学的形状の一部は、2つのバッファー、すなわち、頂点バッファーとインデックスバッファーに記憶可能である。頂点バッファーは、メッシュの頂点すべてを包含してもよい。インデックスバッファーはメッシュの面(三角形)を構築するために使用されてもよく、これらの面は三次元の建物モデルのトポロジーを表してもよい。事前マーキングの第一段階で、ランドマークの透明なエッジと内部エッジが検知され分割されてもよい。元々のエッジと分割されたエッジを含むランドマークのエッジはすべて、完全なハーフエッジ構造(CHES)と呼ばれるデータ構造を構築する際に使用されてもよい。
【0024】
CHESに基づいて、発明のNPRエッジ同定アルゴリズムは、すべてのエッジを繰り返し、マーキング操作を行ってもよい。この工程では、いくつかのエッジが廃棄され、他のものは「TBD」または「FIX」のいずれかでマークされてもよい。「FIX」は視点が独立したNPRエッジを示してもよい。これらのエッジは観察方向に対する建物の方向づけとは無関係に、ランタイムの間にレンダリングされてもよい。「TBD」は視点が依存したNPRエッジを示してもよい。これらのエッジがレンダリングされるか否かは、観察者に対する建物の方向づけに左右されることがある。これらのエッジが視点が依存したシルエットエッジになる場合に限り、これらはレンダリングされてもよい。シルエット検査を通過したすべてのFIXエッジ、および、部分的なTBDエッジは、エッジがストローク様式でレンダリング可能となるように、テクスチャビルボードまたはテクスチャスプライトを用いてレンダリングされてもよい。
【0025】
次に、発明のNPRエッジ同定アルゴリズムは、事後マーキング段階に移ってもよい。この段階では、下部構造がエッジマーキングのための特別な要件を有することがあるため、アルゴリズムはマーキングのために三次元の建物からこれらの下部構造を同定してもよい。1つの実施形態において、柱状のような、および、アーチ道のような下部構造で曲面を表すパラレルエッジが同定され、これらのエッジはTBDラベルを用いてマークされてもよい。最後に、最終的な出力のために余分なNPRエッジを取り除くべく、統合が行われてもよい。各々の同定されたNPRエッジについては、ストロークレンダリング(stroke rendering)の幅値も同様に計算されてもよい。NPRエッジ同定アルゴリズムの最終的な出力は、「FIX」または「TBD」および幅値のラベルでマークされた、同定されたNPRエッジであってもよい。
【0026】
図5a−cは、3Dランドマークのフォトリアリスティックな視覚化のために透過性を有するテクスチャの典型的な使用を例示する。より具体的に、図5aは、長方形の透明なエッジを有するポリゴンメッシュを例示する。図5bは、透明なエッジがレンダリングされない場合を例示し、図5cは、透明なエッジが実際にレンダリングされる場合を例示する。したがって、図5b−cは、それぞれ透明なエッジのレンダリングが可能な場合と不可能な場合の効果の比較を提供する。とりわけ、建物がバットレス、アーチ道などを有する際に、透過性を有するテクスチャは三次元の建物のレンダリングで広く使用される。透明なテクスチャは、効率を考慮するために、三角形の数を少なく維持しながら、これらの複雑な構造を示すのにとても適している。しかしながら、三次元の建物のメッシュにおけるいくつかの三角形が、テクスチャマッピングの間に透明な領域によって部分的に覆われることが可能である。その結果、これらのエッジのいくつかは完全にまたは部分的に透明になってもよく、そのようなエッジがNPRエッジとしてたんに特定されるのは不適切なこともある。そうでなければ、図5a−cによって例示されるように、不正確な形状情報が伝えられてもよい。透明なエッジをマーキング段階に送る前に透明なエッジを検知し分割することは有利である。
【0027】
透明なエッジを検知および分割するための発明のアルゴリズムの1つの実施形態は、各々のエッジについて以下の工程を含んでいる。
1.各々のセグメントについて、エッジを多くのセグメントとサンプルの高密度のテクセルに分割する。
2.テクセルがそのαチャンネルによって透明かどうかチェックする。
3.透明なテクセルの割合が予め決められた閾値よりも大きい場合、セグメントは透明であると標識される。
4.透明なセグメントをすべて廃棄する。
5.エッジ中のすべてのセグメントが透明ではないと検知された場合、エッジは次の段階へ送られる。
6.そうでない場合、すべての透明でないセグメントを1つまたは複数の新しいエッジへと統合し、それらを次の段階に送る。
【0028】
図6a−bは発明のアルゴリズムの1つの実施形態による、透明なエッジの検知および分割を例示する。上記のように、透明なエッジの検知および分割は、事前のマーキング段階中に生じることがある。より具体的に、図6aは、透明なエッジの例を示し、図6bは、図6aの透明なエッジの分割された結果を示す。透明なエッジは廃棄され、透明でないエッジは次の段階へ送られてもよい。
【0029】
図4に示されるように、事前のマーキング段階では、透明なエッジの検知と分割のあとに、内部エッジの検知と分割が続いてもよい。図7aは、3Dランドマークメッシュ中の内部エッジを示し、図7bは、内部エッジがレンダリングされていない図7aのメッシュの断片的なレンダリングを示し、図7cは、内部エッジが実際にレンダリングされる図7aのメッシュの断片的なレンダリングを示す。3Dランドマークのメッシュは、一般的に多くの内部エッジを包含している。内部エッジがNPRエッジとしてレンダリングされる場合、図7cは、視覚アーチファクト(visualization artifacts)の例を示す。いずれのエッジもフォトリアリスティックな視覚化のためにレンダリングされたり、強調されたりしないため、フォトリアリスティックなレンダリングの効果は影響を受けない。しかし、定型化した視覚化のためにエッジを強調することができる場合、内部エッジはNPRレンダリングに影響することがある。結果として、内部エッジを検知および分割し、目に見える部分のみをマーキング段階に送ることは有利なことがある。
【0030】
内部エッジを検知および分割するための発明のアルゴリズムの1つの実施形態は、各々のエッジについて以下の工程を含んでいる。
1.エッジを多くのセグメントへと分割する。
2.メッシュの中心からエンドポイントまで光線を構築することによって、セグメントの各エンドポイントについて可視性をテストする。光線がエンドポイントに触れた後にメッシュの任意の面と交差する場合、エンドポイントは目に見えないものとして認識される。
3.2つのエンドポイントのいずれかが目に見えない場合、セグメントは目に見えない。
4.目に見えないセグメントをすべて廃棄する。
5.すべてのセグメントが目に見えると検知される場合、エッジは次の段階へ送られる。
6.そうでない場合、すべての目に見えるセグメントを新しいエッジに統合し、次の段階に送る。
【0031】
図8a−cは、事前のマーキング段階で内部エッジを検知および分割した結果を示す。エッジの目に見えないセグメントは廃棄され、目に見えるセグメントは次の段階へ送られる。より具体的には、面0および面1は、レンダリングされる構造の2つの面であってもよい。図8aで示されるように、破線によって描かれた面1の一部は面0によって塞がれる。少なくとも部分的に塞がれるか隠される図8a中の面1のエッジは、「内部エッジ」と呼ばれ、図8bでは点線で参照番号(38a)として描かれる。図8bは分割前の内部エッジ(38a)を示し、図8cは、分割後の内部エッジ(38b)を示す。
【0032】
完全なハーフエッジ構造(CHES)を構築する事前マーキング段階の最終段階が、図9a−cでより詳細に記載されてもよい。3Dモデル中の山と谷は、人々が形状情報を理解するための重要なてがかりとなることもある。ノンフォトリアリスティックレンダリングでは、山と谷にそったエッジは、通常、重要なエッジと見なされる。それらのエッジを同定するために、ほとんどの既存のアルゴリズムは、各々のエッジの2つの隣接する面の間の二面角の値をチェックする。通常の幾何学的形状の表面については、エッジの2つの隣接する面は、ハーフエッジデータ構造を構築することによって容易に見つけられる。本発明では、建物の幾何学的形状が一般的に壁、屋根、柱などを含む別の部品によってモデル化されるため、建物のトポロジーは全く不規則になることがある。図9a−cは、2つの視覚的に隣接する面が1以上のエッジを共有する例を示す。あるいは、1つのエッジは2つ以上の隣接する面を有する。その結果、従来のハーフエッジ構造はこれらのケースを扱うために拡張(augment)されてもよく、そのような拡張したデータ構造はCHESと呼ばれてもいい。より具体的には、図9aは、不規則なトポロジーを有するメッシュポリゴンの例を示し、図9bは、図9aの不規則なトポロジーの2つの境界エッジを示し、図9cは、2つの面が1つのエッジを共有する規則的または理想的なトポロジーの例を示す。
【0033】
3DランドマークについてのCHESを構築するための発明のアルゴリズムの1つの実施形態は、以下の工程を含んでいる。
A.従来のハーフエッジデータ構造を構築する。
B.各々のエッジについて、
1.エッジの境界エッジペアを測定する。境界エッジは、図10aのエッジ(40)またはエッジ(42)のような、たった1つの隣接した面を有するエッジである。境界エッジペアは、図10aのエッジ(40)またはエッジ(42)のような、互いに「触れる」2つの境界エッジを包含している。境界エッジペアは下記条件を満たしてもよい。
a.両方の2つのエッジが境界エッジである。
b.2つのエッジが互いに対して平行である。したがって、図11aのエッジ(44)およびエッジ(46)は、フィルタ処理が施される。
c.2つのエッジは互いに接近している。したがって、図11bで示された場合のエッジ(48)およびエッジ(50)はフィルタ処理が施される。
d.2つのエッジは重ねられなければならない。したがって、図11cで示された場合のエッジ(52)およびエッジ(54)はフィルタ処理が施される。
2.境界エッジの隣接する面を1つの群に統合する。エッジの1つに隣接する任意の面は両方のエッジによって参照される。
【0034】
ひとたびCHESが構築されると、エッジに隣接する面はすべてエッジの隣接する面の群に加えられる。図10aは、CHESを構築する前のCHES構造を示す。エッジ(40)は三角形の面(56)につなげられ、エッジ(42)は三角形の面(58)につなげられる。図10bは、CHESを構築した後のCHES構造を示す。エッジ(40)は両方の三角形の面(56)、(58)につなげられ、エッジ(42)も両方の三角形の面(56)および(58)につなげられる。
【0035】
図12は、図4のNPRエッジ同定アルゴリズムのマーキング段階を要約したフローチャートである。
CHESに基づいて、いくつかの試験動作が終わるまで、各々の対象エッジのラベルは測定されない(工程1202)。最初に、各々のエッジの隣接する面の数がチェックされる(工程1204)。群に1つの面しかない場合、エッジは境界エッジであり、そのラベルは「FIX」としてマークされる(工程1206)。しかしながら、群に2つの隣接した面がある場合、エッジの二面角は、以下の方程式(1)を用いて、これらの2つの面の法線(normal)に基づいて計算される(工程1208)
【0036】
【数1】

【0037】
図13a−bは、2つの面に基づいた二面角を計算する方法の1つの実施形態を示す。面f0およびf1の法線は、n0とn1とそれぞれ表される。
【0038】
群に2以上の面がある場合、2つの面ごとの最小の二面角は、エッジの二面角として選択される(工程1210)。各々のエッジの二面角および配向に基づいて、エッジのラベルは図14の表中の規則を適用することによって測定可能である(工程1212)。他のエッジと比較して、三次元の建物の垂直および水平方向のエッジは、3D形状情報を伝えるのにより重要である。したがって、図14に示されるように、特定のマーキング規則またはパラメータが異なる種類のエッジに使用されてもよい。図14の表によれば、「FIX」とマークされない条件と「TBD」とマークされない条件がいずれも満たされない場合、エッジは、上記のように「FIX」(工程1206)または「TBD」(工程1214)として、または、「SKIP」(工程1216)として、マークされてもよい。
【0039】
図4に示されるように、事後のマーキング段階は、マーキングの更新のために建物の下部構造を特定することを含んでもよい。図15aは3Dランドマーク建物の柱状構造のレンダリングを示す。複数の柱(60)が示され、そのような柱は3Dランドマーク建物の共通の下部構造である。図15bは図15aのレンダリングに基づいた3Dランドマークのポリゴンメッシュであり、図15cは図15bのメッシュに含まれる柱の3Dポリゴンメッシュである。柱中のすべての垂直エッジのなかで、現在の視点下でシルエットエッジになるもののみがレンダリング中に強調される。例えば、図15cで垂直エッジ(62a−b)は、柱の外形を形成するシルエットエッジである。結果として、これらのエッジはすべて「TBD」と標識される。典型的な建物の下部構造を自動的に特定し、下部構造の種類に基づいてマーキングを更新することが必要である。柱を発見するという問題は、クラスタ化問題として公式化される。K平均アルゴリズムのような典型的なクラスタ化アルゴリズムを適用するために、類似性測定基準(a similarity metric)が2つの垂直な柱エッジ間の距離を定量化すべく定義されてもよい。距離測定基準は、2つの線分の距離と長さの差を含んでもよい。クラスタ化の後、すべての3Dランドマークの垂直エッジは、個々のエッジまたは柱を表す異なる群にクラスタ化されてもよい。
【0040】
統合と明瞭化は、効率の目的で事後のマーキング段階の重要な工程である。マーキング段階中に検知されるいくつかのNPRエッジは、互いに対して平行かつ隣接してもよい。いくつかのNPRエッジは完全にまたは部分的に互いに重複してもよい。これらのエッジについては、エッジは個々にレンダリングされるか、または、統合後に1つの単一エッジとしてレンダリングされてもよい。後者の選択の方が好ましい。というのも、レンダリングされるNPRエッジの数を減らしながら、同じ視覚化効果が達成されるためである。したがって、レンダリング性能は劇的に改善される。
【0041】
図16a−bで例示されるように、下記条件をすべて満たすエッジが統合されてもよい。
1)エッジは「FIX」ラベルで前もってマークされる。
2)エッジは、隣接した場合を含めて、互いに完全にまたは部分的に重なる。
【0042】
統合の後、明瞭化が行われてもよい。ランドマークモデルの縮尺と比較して、いくつかのNPRエッジは比較的短すぎてもよい。短いエッジの除去は、NPRレンダリングの視覚的な質をほとんど変更しないが、レンダリング性能を向上させることができる。したがって、1つの実施形態では、長さがその閾値 SHORT_LEN_SCALE×MODEL_SCALE より短い任意のNPRエッジが取り除かれてもよく、SHORT_LEN_SCALE×MODEL_SCALE は、予め決められたパラメータであり、MODEL_SCALEは以下の式に基づいて計算される:
MODEL_SCALE=0.5×((BL+BW+BH)−min(BL、BW、BH))
式中、BL、BWおよびBHは、モデル全体の境界ボックスの長さ、幅、および、高さを表す。
【0043】
事後マーキング段階の次の工程はNPRエッジの幅の計算であってもよい。前の段階で検知されたNPRエッジは、ビルボード(テクスチャがマップされた長方形)を用いることによってレンダリングされてもよく、ビルボードの幅は計算される必要がある。この工程では、テクスチャがマップされたビルボード(ストロークを表す)は、基礎となるNPRエッジのまわりで回転することを許されてもよい。ビルボードの長さが基礎となるNPRエッジの長さと等しく、その一方で、ストロークの手動による線描効果が達成可能となるように、幅が注意深く計算される必要がある。ビルボードの幅は2つの観察に基づいて測定されてもよい。最初に、ビルボードの幅はその長さとともに増加しなければならない。結果として、幅を計算する関数は、長さの関数の単調な増加関数でなければならない。次に、ビルボードの幅が非線形的な手法で増大するのが望ましい。NPRエッジの長さがより短い場合、ビルボードの幅は急激に増えなければならず、NPRエッジの長さが大きい場合、ビルボードの幅は徐々に増える。結果として、短いエッジは知覚可能なストローク幅を依然として有してもよく、その一方で、長いエッジはレンダリングの間に非常に大きな幅値を割り当てられないことがある。上記の2つの観察に基づいて、二相の幅の関数が設計されてもよい。図17のプロットは、正規化した幅と正規化した長さの関係を示しており、以下の方程式によってさらに記載される。
NormalizedLength=Length/ModelScale
NormalizedWidth=MinimalNormalizedWidth+SpanFast×(1−exp(−KFast×NormalizedLength))+SpanSlow×(1−exp(−KSlow×NormalizedLength)
Width=NormalizedWidth×ModelScale
式中、
SpanFast=(MaxNormalizedWidth−MinNormalizedWidth)×percentageFast
SpanSlow=(MaxNormalizedWidth−MinNormalizedWidth)×(1−percentageFast)
MinimalNormalizedWidthとMaximalNormalizedWidthは、(ModelScaleに対する)NPRエッジの正規化した幅の下界と上界を制御する調整可能パラメータである。PercentageFastは急激に増える領域と徐々に増える領域とを分離するパラメータである。KFastとKSlowは2つの速度定数である。急激にかつ緩慢に半正規化された長さ(Fast hald and slow half normalized length)は、ln(2)/Kとして計算されてもよい。
【0044】
発明の方法の第1の構成要素(NPRレンダリングに関する重要なエッジの自動特定)が完了すると、第2の構成要素、NPRテクスチャの強化が行われてもよい。図18は、元々の二次元のテクスチャから強化された異なるNPR様式を示す。NPRテクスチャの強化は、未処理のランドマークデータ中の元々のフォトリアリスティックなテクスチャを入力として受け取るために、かつ、それを異なるNPR様式のテクスチャに変換するために定義されてもよい。様々な標準的な画像処理技術はこのタスクを遂行するために使用されてもよい。第三者の画像処理ソフトウェア(例えば、Adobe(登録商標)Photoshop(登録商標))もこの目的に使用可能である。
【0045】
上記の本発明はいくつかの新規な特徴を含んでいる。本発明は、ノンフォトリアリスティックな3Dマップにフォトリアリスティックな3Dランドマークを再使用する方法を提供してもよい。本発明は、防水表面以外の様々な構造を含む三次元の建物データからNPRエッジを自動的に同定することができる(例えば、下位アルゴリズムと、データ編成方法の完全なハーフエッジ構造CHESとのセットからなる)アルゴリズムを提供してもよい。
【0046】
ここで、図19には、自動車、船、飛行機などの車両に関連する本発明の3Dマップレンダリング配置(10)の1つの実施形態が示されている。すなわち、配置(10)は車に搭載して取り付けられてもよい。
【0047】
配置(10)は、事前に処理された3Dフォトリアリスティックなマップデータソース(14)、NPR 3Dマップエンジン(16)、および、ユーザーインタフェース(22)を含んでもよい。フォトリアリスティックな3Dマップデータソース(12)は、NPR 3Dマップエンジン処理構成要素(18)によって事前に処理され、事前に処理された3Dマップデータソース(14)となる。事前に処理された3Dマップデータソースは、コンパクトディスク(CD)または他の記憶装置の形状であってもよい。あるいは、3Dマップデータは、各々がそれぞれの3Dマップレンダリング配置(10)を有する多くの車両に、中央の送信機(図示せず)によって無線送信されてもよい。このような無線送信は、NPR3Dマップエンジンレンダリング構成要素(20)によって受け取られてもよい。
【0048】
事前に処理された3Dマップデータソース(14)は、リアルタイムで車両のグローバルな位置座標を測定するための全地球測位システム(GPS)モジュール(図示せず)も含んでよい。車両の現在の位置に基づいて、車両内の人々にとって興味深い対応する3Dマップデータが特定され、NPR3Dマップエンジン(16)のオンラインレンダリング構成要素(20)が提供される。
【0049】
NPR 3Dエンジン(16)は標準的な電子工程を含み、2つの構成要素、オフライン処理構成要素(18)とオンラインレンダリング構成要素(20)からなる。処理構成要素(18)は、ソース(12)からのフォトリアリスティックな3Dマップデータをオフラインで事前に処理してもよい。レンダリング構成要素(20)は、事前に処理された3Dマップデータソース(14)からノンフォトリアリスティックな画像をオンラインで生成してもよい。ノンフォトリアリスティックな画像は、漫画の、鉛筆画の、ペン画の、イラストの、油絵の効果、および、他の絵画様式などの様々な様式であってもよい。NPRレンダリングは、物体の表面および物体の典型的なまたは周知の特徴を描いてもよい。
【0050】
図20乃至23は、先行技術のナビゲーション領域に適用されていない様々なNPR様式を示す。図20乃至23のこれらの様式の各々は、本発明のNPR 3Dマップレンダリング方法とともに使用するのに適している。さらに具体的に、図20は、大きさを変更できるリアルタイムの3Dアニメーションのための漫画様式の定型化したレンダリング技術を示し、図21はペン画のレンダリングを示し、図22はリアルタイムの鉛筆画風レンダリングを示し、そして、図23は本発明によってレンダリングされるNPR 3Dマップの一例である漫画様式のNPR 3Dマップを示す。
【0051】
1つの実施形態では、ユーザーは、図23に描かれる画角を、地表レベルまたはそれより高い任意の視角または任意の位置に調節することができる。例えば、ユーザーは、建物のいずれかまたはすべてのまわりの360度のアークに沿った視界のほとんど無限の数から選んでもよい。さらに、ユーザーは、垂直面に沿った任意の下向きの視角を選んでもよい。
【0052】
ユーザーインタフェース(22)は、車両のダッシュボードに配置されてもよく、表示スクリーン(24)および制御装置(26)を含んでもよい。表示スクリーン(24)は、スクリーンまたはモニターに表示される情報または内容を制御するためのプロセッサーとメモリを含んでもよい。一般的に、表示スクリーン(24)は、レンダリング構成要素(20)から受け取ったNPR 3D画像データを示すか、または、このデータを描く。
【0053】
制御装置(26)は、ダイヤル、ノブ、プッシュボタン一式、ジョイスティック、マイクロホン、タッチインタフェース、または、上記のものの任意の組み合わせの形状であってもよい。ユーザーは、エンジン(16)にフィードバック(28)を提供するために制御装置(26)を使用してもよい。フィードバック(28)は、別の画像データ一式(例えば、別の場面、物体、または、物体一式を描く画像データ)を作るようエンジン(16)に指示してもよい。あるいは、フィードバック(28)は、現在の画像データ一式が見える視角を変更するようにエンジン(16)に指示してもよい。視角は、周囲環境の頭上の鳥瞰図から、地表レベルまたは地上レベルから建物または他のランドマークを見上げる角度まで、様々である。
【0054】
ナビゲーションマップを表示するための本発明の方法(2400)の実施形態が図24で示されている。第1の工程(2402)において、フォトリアリスティックな三次元データが事前に処理され記憶される。
【0055】
次の工程(2404)では、車両の位置が自動的に測定される。例えば、図19の配置は、配置に関連する車両の現在の位置(それはグローバル座標で表現されてもよい)を、自動的かつ連続的に更新するGPSまたは他の装置を含んでもよい。
【0056】
次に、工程(2406)では、車両の地理的な領域内に配されるランドマークに関連した、事前に処理された三次元データの一部が特定される。例えば、工程(2404)で測定された車両位置に基づいて、車両付近に関連するマップデータがCDなどの記憶装置から検索されてもよい。あるいは、車両付近に関連するマップデータは、マップデータのセントラル・レポジトリから無線で受け取られてもよい。どのように受け取られ、および/または、特定されるかにかかわらず、マップデータは、車両付近内の建物と自然のランドマークの形状、寸法、色、および、窓を記載した3Dデータを含んでもよい。
【0057】
次に、工程(2408)では、ノンフォトリアリスティックな画像は、事前に処理された3Dマップデータの特定された部分に基づいてレンダリングされる。図20乃至23は、画像がレンダリングされるノンフォトリアリスティック様式の例を示す。
【0058】
最終的な工程(2410)では、ノンフォトリアリスティックな画像は、車両内のユーザーに電子的に表示される。1つの実施形態では、エンジン(16)によってレンダリングされるNPR画像は、ユーザーインタフェース(22)のスクリーン(24)に表示される。
【0059】
この発明は例示的な設計を有するものとして記載されてきたが、本発明はこの開示の精神と範囲内でさらに修正されてもよい。したがって、この出願は一般的な原則を用いて本発明の任意の変化、用途、または、適応を対象にするように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションマップを表示する方法であって、
前記方法は、
フォトリアリスティックな三次元データをオフラインで事前に処理する工程と、
車両の位置を自動的にオンラインで測定する工程と、
車両の位置を含む地理的な領域内に配された物体に関連する事前に処理された三次元データの一部を特定する工程と、
事前に処理されたデータの特定された一部に基づいて、ノンフォトリアリスティックな画像をレンダリングする工程と、
車両内のユーザーにノンフォトリアリスティックな画像を電子的に表示する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記レンダリングする工程は、ノンフォトリアリスティックな画像を生成するために、物体のノンフォトリアリスティックレンダリングされたエッジと、物体のノンフォトリアリスティックなテクスチャとを組み合わせる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レンダリングする工程は、データ中のテクスチャに、視点が独立していようと依存していようとデータ中のエッジに、および、各々のエッジの幅に、依存して行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記事前に処理する工程は、フォトリアリスティックデータ中の物体のエッジを分割する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記事前に処理する工程は、完全なハーフエッジ構造を構築するために、フォトリアリスティックデータ中の物体の分割されていないエッジと、フォトリアリスティックデータ中の物体の分割されたエッジとを用いる工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記事前に処理する工程は、完全なハーフエッジ構造中のエッジの余分ないくつかを統合する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ナビゲーションマップを表示する方法であって、
前記方法は、
フォトリアリスティックな三次元データを事前に処理する工程と、
車両の位置を自動的に測定する工程と、
車両の位置を含む地理的な領域内に配された物体に関連する事前に処理された三次元データの一部を特定する工程と、
フォトリアリスティックデータ中の物体のエッジを自動的に特定するとともにノンフォトリアリスティックにレンダリングする工程と、
フォトリアリスティックデータ中のフォトリアリスティックなテクスチャをノンフォトリアリスティックなテクスチャに変換する工程と、
ノンフォトリアリスティックなテクスチャ、データ中の物体のマークされたエッジ、および、データ中の各々のエッジの幅値に基づいて、物体のノンフォトリアリスティックな画像を生成する工程と、
車両内のユーザーにノンフォトリアリスティックな画像を電子的に表示する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記レンダリングする工程は、データ中のテクスチャに、視点が独立していようと依存していようとデータ中のエッジに、および、各々のエッジの幅に、依存して行われることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記レンダリングする工程は、フォトリアリスティックデータ中の物体のエッジを分割する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
分割されるエッジの各々は、透明であるか、および/または、内部であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記レンダリングする工程は、完全なハーフエッジ構造を構築するために、フォトリアリスティックデータ中の物体の分割されていないエッジと、フォトリアリスティックデータ中の物体の分割されたエッジとを用いる工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記レンダリングする工程は、完全なハーフエッジ構造中のエッジの余分ないくつかを統合する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記統合する工程の後に、閾値長さ未満の長さを有する完全なハーフエッジ構造中のエッジのいくつかを廃棄する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記レンダリングする工程が、完全なハーフエッジ構造中の前記エッジの各々に関して、エッジを廃棄する工程と、視点が独立しているとしてエッジをマークする工程と、または、視点が依存しているとしてエッジをマークする工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
3Dのランドマークデータを処理する方法であって、
前記方法は、
三次元のフォトリアリスティックデータ中の物体の透明なエッジと内部のエッジを検知するとともに分割する工程と、
完全なハーフエッジ構造を構築するために、フォトリアリスティックデータ中の物体の非透明なエッジと、内部にないエッジと、内部のエッジとを用いる工程と、
完全なハーフエッジ構造中のエッジの各々に関して、エッジを廃棄する工程と、視点が独立しているエッジとしてエッジをマークする工程と、または、視点が依存しているエッジとしてエッジをマークする工程のいずれかの工程と、
完全なハーフエッジ構造内の複数の下部構造を特定する工程と、
下部構造の種類に基づいて、下部構造の少なくとも1つのマーキングを更新する工程と、
ノンフォトリアリスティックにレンダリングされたエッジの最後の組を生成するために、完全なハーフエッジ構造中のエッジの余分ないくつかを統合する工程と、
最後の組におけるエッジの各々に関して幅値を計算する工程と、
フォトリアリスティックデータ中のフォトリアリスティックなテクスチャを、ノンフォトリアリスティックなテクスチャに変換する工程と、
ノンフォトリアリスティックなテクスチャと、ノンフォトリアリスティックにレンダリングされたエッジの最後の組と、最後の組におけるエッジの各々のマーキングと、最後の組におけるエッジの各々についての幅値とに基づいて、物体のノンフォトリアリスティックな画像を生成する工程であって、最後の組におけるエッジの各々が、視点が独立しているエッジまたは視点が依存しているエッジのいずれかとしてマークされる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
完全なハーフエッジ構造の構築が隣接する境界エッジの統合を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
視点が独立しているエッジ、または、視点が依存しているエッジのいずれかとしてマークされ、かつ、1以上の隣接する面を有するエッジの各々は、エッジの配向および/または二面角に依存してマークされることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記統合する工程の後、閾値長さ未満の長さを有する完全なハーフエッジ構造中のエッジのいくつかを廃棄する工程をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
物体の見えるところにいる車両内のユーザーにノンフォトリアリスティックな画像を電子的に表示する工程をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
車両の位置を自動的に測定する工程と、
ノンフォトリアリスティックな三次元データの集中型のプロバイダーに、車両の位置を無線送信する工程をさらに含み、
物体に関連するフォトリアリスティックな三次元データは事前に処理され、集中型のプロバイダーから車両に無線送信されることを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9a−9c】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【図15a−15c】
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【図16a】
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【図16b】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図1】
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【図8a】
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【図18】
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【公表番号】特表2013−513900(P2013−513900A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544704(P2012−544704)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/060247
【国際公開番号】WO2011/081919
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(511150573)ロベルト ボッシュ ゲーエムベーハー (6)
【Fターム(参考)】