ハイブリッド型建設機械
【課題】要求負荷の増減に対して燃料消費率を更に向上することができるハイブリッド型建設機械を提供する。
【解決手段】ハイブリッド型建設機械1は、エンジン11と、電動発電機12と、蓄電手段120と、エンジン11の回転数及び電動発電機12の回転トルクを制御するコントローラ30Aとを備える。コントローラ30Aは、必要負荷を推定し、エンジン11の回転速度検出値に基づいてエンジン出力を算出し、回転速度検出値と、負荷に対応する回転速度目標値との偏差が所定の範囲に含まれる場合に、エンジン11の回転速度を維持しつつ、現在の出力と負荷との差に応じて発電またはアシストを行うように電動発電機12の回転トルクを制御し、偏差が所定の範囲から逸脱した場合に、エンジン11の回転速度を増速(又は減速)させる為の正の(又は負の)回転トルクを電動発電機12から出力させる。
【解決手段】ハイブリッド型建設機械1は、エンジン11と、電動発電機12と、蓄電手段120と、エンジン11の回転数及び電動発電機12の回転トルクを制御するコントローラ30Aとを備える。コントローラ30Aは、必要負荷を推定し、エンジン11の回転速度検出値に基づいてエンジン出力を算出し、回転速度検出値と、負荷に対応する回転速度目標値との偏差が所定の範囲に含まれる場合に、エンジン11の回転速度を維持しつつ、現在の出力と負荷との差に応じて発電またはアシストを行うように電動発電機12の回転トルクを制御し、偏差が所定の範囲から逸脱した場合に、エンジン11の回転速度を増速(又は減速)させる為の正の(又は負の)回転トルクを電動発電機12から出力させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド型建設機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、駆動機構の一部を電動化した作業機械が提案されている。このような作業機械は、例えばブーム、アーム、及びバケットといった可動部を油圧駆動するための油圧ポンプを備えており、この油圧ポンプを駆動するためのエンジン(内燃機関発動機)に交流電動機(電動発電機)を連結し、該エンジンの駆動力を補助する動作と、発電により得られる電力を蓄電池に充電する動作とを各々必要に応じて行う。
【0003】
一般的なハイブリット型作業機械では、エンジンの回転数が常に一定となるように制御される。例えば、アームやバケット等を揺動させるときはエンジンへの負荷が小さいので(低負荷モード)、エンジンの回転数を一定に維持しつつエンジンの余剰トルクによって電動発電機を駆動し、得られた電力をキャパシタに蓄える。また、エンジンへの負荷が当該回転数におけるエンジン出力を超えるような場合には(高負荷モード)、エンジンの回転数を一定に維持しつつ、キャパシタからの電力によって電動発電機を駆動し、エンジン出力に電動発電機の出力を加える。
【0004】
なお、特許文献1に記載された建設機械は、低負荷モード時(エンジンの必要馬力の等馬力線とガバナ特性線との交点がこのエンジンの定格出力よりも小さいエンジントルクとなるモード時)にエンジントルクを上昇させて燃料消費率の向上を図り、その余剰トルクにより発電機を駆動してキャパシタを充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−100621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、エンジンの回転数が常に一定となるように制御されると、次の問題が生じる。多くの場合、当該回転数は、或る中程度の負荷に対して燃料消費が最も低くなる値に設定される。当該回転数を維持した状態で負荷が増すと、不足するエンジン出力を電動発電機により補助することができるが、このような高負荷が継続すると、キャパシタの充電量によっては補助できない場合が生じる。この場合、より大きなエンジントルクが必要となり燃料消費率が高くなってしまう。
【0007】
一方、当該回転数を維持した状態で負荷が減ると、余剰エンジン出力を利用して電動発電機において発電することができるが、このような低負荷が継続すると、キャパシタの充電容量の制限のため発電ができない場合が生じる。この場合、より小さなエンジントルクで済むにも関わらず当該回転数を維持することとなり燃料消費率の向上を妨げてしまう。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、要求負荷の増減に対して燃料消費率を更に向上することができるハイブリッド型建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明による第1のハイブリッド型建設機械は、内燃機関発動機と、内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、内燃機関発動機に連結され、内燃機関発動機の駆動力により発電を行い、自身の駆動力により内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、内燃機関発動機の回転数及び電動発電機の回転トルクを制御する制御部とを備え、制御部は、当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる内燃機関発動機の負荷を算出し、回転速度検出値と、内燃機関発動機の負荷に対応する回転速度目標値との偏差が所定の範囲に含まれる場合に、内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、内燃機関発動機の駆動力による発電または内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように電動発電機の回転トルクを制御し、偏差が所定の範囲を超えた場合に、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて正の回転トルクを電動発電機から出力させ、偏差が所定の範囲を下回った場合に、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて負の回転トルクを電動発電機から出力させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による第2のハイブリッド型建設機械は、内燃機関発動機と、内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、内燃機関発動機に連結され、内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、内燃機関発動機の回転数及び電動発電機の回転トルクを制御する制御部とを備え、制御部は、当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる内燃機関発動機の負荷を算出し、内燃機関発動機の負荷から算出される必要トルクが所定のトルク範囲に含まれる場合に、内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、内燃機関発動機の駆動力による発電または内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように電動発電機の回転トルクを制御し、必要トルクが所定のトルク範囲を超えた場合に、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて正の回転トルクを電動発電機から出力させ、必要トルクが所定のトルク範囲を下回った場合に、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて負の回転トルクを電動発電機から出力させることを特徴とする。
【0011】
また、上記第1及び第2のハイブリッド型建設機械は、制御部が、電動発電機を回転トルクの制御から、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づく制御に切り替えるスイッチ部を有することを特徴としてもよい。この場合、制御部は、内燃機関発動機の負荷を判定する負荷判定部と、負荷判定部による負荷判定結果に基づいて内燃機関発動機の回転速度目標値を生成する指令値演算部とを有することが好ましい。
【0012】
また、上記第1及び第2のハイブリッド型建設機械は、制御部の指令値演算部が、負荷判定結果に基づいてポンプ馬力設定信号を更に生成することを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明による第3のハイブリッド型建設機械は、内燃機関発動機と、内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、内燃機関発動機に連結され、内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、内燃機関発動機の回転数及び電動発電機の回転トルクを制御する制御部とを備え、制御部が、当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる負荷を推定するとともに、速度検出部から提供される内燃機関発動機の回転速度検出値に基づいて内燃機関発動機の現在の出力を算出し、負荷から算出される必要トルクが回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれる場合に、内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、現在の出力と負荷との差に応じて内燃機関発動機の駆動力による発電または内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように電動発電機の回転トルクを制御し、必要トルクが所定のトルク範囲を超えた場合に、内燃機関発動機の回転速度を増速させる為の正の回転トルクを電動発電機から出力させ、必要トルクが所定のトルク範囲を下回った場合に、内燃機関発動機の駆動力による発電を行うことにより、内燃機関発動機の回転速度を減速させる為の負の回転トルクを電動発電機から出力させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるハイブリッド型建設機械によれば、要求負荷の増減に対して燃料消費率を更に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るハイブリッド型建設機械の外観を示す斜視図である。
【図2】ハイブリッド型建設機械の電気系統や油圧系統といった内部構成を示すブロック図である。
【図3】図2における蓄電手段の内部構成を示す図である。
【図4】コントローラの内部構成の一部を示すブロック図である。
【図5】ハイブリッド型建設機械の構成要素間における機能的な関わりを示す制御ブロック図である。
【図6】エンジンの等燃費率曲線を示すグラフである。
【図7】エンジンの回転数を基準トルク線に沿って変化させる際の動作を説明するための図であり、図6に示したグラフの一部を示している。
【図8】変形例に係るコントローラの内部構成の一部を示すブロック図である。
【図9】変形例における、ハイブリッド型建設機械の構成要素間の機能的な関わりを示す制御ブロック図である。
【図10】ハイブリッド型建設機械の電気系統や油圧系統といった内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明によるハイブリッド型建設機械の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド型建設機械の外観を示す斜視図である。本実施形態のハイブリッド型建設機械1は、いわゆるパワーショベルである。図1に示されるように、本実施形態のハイブリッド型建設機械1は、無限軌道を含む走行機構2と、走行機構2の上部に旋回機構3を介して回動自在に搭載された旋回体4とを備えている。旋回体4には、ブーム5と、ブーム5の先端にリンク接続されたアーム6と、アーム6の先端にリンク接続されたバケット7とが取り付けられている。ブーム5、アーム6、及びバケット7は、それぞれブームシリンダ8、アームシリンダ9、及びバケットシリンダ10によって油圧駆動される。また、旋回体4には、バケット7の位置や角度を操作する操作者を収容するための運転室4aや、油圧を発生するためのエンジン(内燃機関発動機)11といった動力源が設けられている。エンジン11は、例えばディーゼルエンジンで構成される。
【0018】
図2は、本実施形態のハイブリッド型建設機械1の電気系統や油圧系統といった内部構成を示すブロック図である。なお、図2では、機械的に動力を伝達する系統を二重線で、油圧系統を太い実線で、操縦系統を破線で、電気系統を細い実線でそれぞれ示している。また、図3は、図2における蓄電手段120の内部構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、ハイブリッド型建設機械1は電動発電機12および変速機13を備えており、エンジン11及び電動発電機12の回転軸は、共に変速機13の入力軸に接続されることにより互いに連結されている。エンジン11の出力に対する負荷が大きいときには、電動発電機12がこのエンジン11を駆動することによりエンジン11の駆動力を補助(アシスト)し、電動発電機12の駆動力が変速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。一方、エンジン11の出力に対する負荷が小さいときには、エンジン11の駆動力が変速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電を行う。電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータによって構成される。電動発電機12の駆動と発電との切り替えは、ハイブリッド型建設機械1における電気系統の駆動制御を行うコントローラ30Aにより、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
【0020】
変速機13の出力軸には、メインポンプ14が接続されている。メインポンプ14は、エンジン11の駆動力によって圧油を発生するための油圧ポンプであり、傾転角を制御するためのポンプ制御弁14Aを有する。このポンプ制御弁14Aは、ギアポンプに接続された電磁比例弁によって構成されており、この電磁比例弁がコントローラ30Aによって電気的に駆動されることにより、メインポンプ14の傾転角の制御が行われる。メインポンプ14から吐出される圧油は、図1に示した走行機構2を駆動するための走行用油圧モータ2a及び2b、旋回用油圧モータ2c、ブームシリンダ8、アームシリンダ9、並びにバケットシリンダ10といった各油圧駆動部を駆動するために、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17へ供給される。
【0021】
コントロールバルブ17は、ハイブリッド型建設機械1における油圧系の制御を行う装置である。コントロールバルブ17には、走行用油圧モータ2a及び2b、旋回用油圧モータ2c、ブームシリンダ8、アームシリンダ9、並びにバケットシリンダ10が高圧油圧ラインを介して接続されており、コントロールバルブ17は、これらに供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御する。
【0022】
メインポンプ14には、パイロットポンプ15が接続されている。パイロットポンプ15は、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生するための油圧ポンプである。パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続されている。操作装置26は、走行機構2、ブーム5、アーム6、及びバケット7を操作するための操作装置であり、操作者によって操作される。操作装置26には、油圧ライン27を介してコントロールバルブ17が接続される。操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を操作者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給される。
【0023】
電動発電機12の電気的な端子には、インバータ回路18の出力端が接続されている。インバータ回路18の入力端には、蓄電手段120が接続されている。蓄電手段120は、図3に示すように、直流母線であるDCバス110、昇降圧コンバータ100及びキャパシタ19を備えている。すなわち、インバータ回路18の入力端は、DCバス110を介して昇降圧コンバータ100の入力端に接続されることとなる。昇降圧コンバータ100の出力端には、蓄電装置としてのキャパシタ19が接続されている。また、DCバス110は、コンデンサ110aを含む。ここで、蓄電装置としてキャパシタ19の代わりに、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を用いても良い。
【0024】
インバータ回路18は、コントローラ30Aからの指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う。すなわち、インバータ回路18が電動発電機12を力行運転させる際には、必要な電力をキャパシタ19と昇降圧コンバータ100からDCバス110を介して電動発電機12に供給する。また、電動発電機12を回生運転させる際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス110及び昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に充電する。なお、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧値、キャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流値に基づき、コントローラ30Aによって行われる。これにより、DCバス110を、予め定められた一定電圧値に蓄電された状態に維持することができる。
【0025】
なお、本実施形態の昇降圧コンバータ100はスイッチング制御方式を備えており、図3に示すように、互いに直列に接続されたトランジスタ100a及び100bと、これらの接続点とキャパシタ19の正側端子との間に接続されたリアクトル101と、トランジスタ100aに対し逆方向に並列接続されたダイオード100cと、トランジスタ100bに対し逆方向に並列接続されたダイオード100dとを有する。トランジスタ100a及び100bは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成される。直流電力をキャパシタ19からDCバス110へ供給する際には、コントローラ30Aからの指令によってトランジスタ100aのゲートにPWM(Pulse Width Modulation)電圧が印加される。そして、トランジスタ100aのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力がダイオード100dを介して伝達され、この電力がDCバス110のコンデンサ110aにより平滑化される。また、直流電力をDCバス110からキャパシタ19へ供給する際には、コントローラ30Aからの指令によってトランジスタ100bのゲートにPWM電圧が印加されるとともに、トランジスタ100bから出力される電流がリアクトル101により平滑化される。
【0026】
コントローラ30Aは、本実施形態における制御部を構成する。コントローラ30Aは、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置によって構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUが実行することにより実現される。また、コントローラ30Aの電源は、キャパシタ19とは別のバッテリ(例えば24V車載バッテリ)である。コントローラ30Aは、電動発電機12の運転制御(アシスト運転及び発電運転の切り替え)、及び、昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるキャパシタ19の充放電制御を行う。
【0027】
図4は、コントローラ30Aの内部構成の一部を示すブロック図である。図4に示されるように、コントローラ30Aは、負荷推定部31と、トルク偏差算出部32と、負荷判定部33と、指令値演算部34とを含む。
【0028】
負荷推定部31は、当該ハイブリッド型建設機械1において必要とされる負荷、すなわちエンジン11に掛かる負荷を推定するための部分である。負荷推定部31は、メインポンプ14における油圧負荷の大きさを示す油圧負荷信号Sg1と、電動発電機12における電気負荷の大きさを示す電気負荷信号Sg2とを入力する。なお、図4において、電気負荷信号Sg2の符号は、アシスト時には正であり、発電時には負である。負荷推定部31は、油圧負荷信号Sg1と電気負荷信号Sg2との差を算出することにより、エンジン11に掛かる負荷を示すエンジン負荷信号Sg3を生成する。なお、図4に示すように、負荷推定部31は、電気負荷信号Sg2に電動発電機12の駆動効率を乗算する効率乗算部31aを含んでも良い。
【0029】
トルク偏差算出部32は、負荷から算出される必要トルクと基準トルクとの偏差を算出する部分である。トルク偏差算出部32は、負荷推定部31からエンジン負荷信号Sg3を入力する。また、トルク偏差算出部32は、エンジン11の回転速度を検出する回転速度センサ(速度検出部)から提供される、エンジン11の回転速度(エンジン回転数)の検出値を示す速度信号Sg4を入力する。トルク偏差算出部32は、これらの信号Sg3及びSg4と、エンジン11の基準トルクとに基づいて、次の数式(1)よりトルク偏差Δtを算出する。但し、数式(1)において、Dutyはエンジン11に掛かる負荷であり、Reはエンジン11の回転速度検出値であり、Trは基準トルクである。トルク偏差算出部32は、トルク偏差Δtを示す偏差信号Sg5を生成する。
【数1】
【0030】
負荷判定部33は、トルク偏差算出部32から偏差信号Sg5を入力し、トルク偏差Δtが正の所定の閾値を超えているか否か、並びにトルク偏差Δtが負の所定の閾値を下回っているか否かを判定する。換言すれば、負荷判定部33は、負荷から算出される必要トルクが回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、所定のトルク範囲は、図7に示されるエンジン11の等燃費率曲線において、低燃費領域を通る基準トルク線TSを含むように設定される。例えば、所定のトルク範囲とは、図7に示される上限トルク線Tmaxと下限トルク線Tminとによって規定される範囲である。
【0031】
そして、必要トルクが所定のトルク範囲に含まれる場合、負荷判定部33は、中負荷を示す判定信号Sg6を生成する。また、必要トルクが所定のトルク範囲を超えている場合、負荷判定部33は、高負荷を示す判定信号Sg6を生成する。また、必要トルクが所定のトルク範囲を下回っている場合、負荷判定部33は、低負荷を示す判定信号Sg6を生成する。負荷判定部33は、判定信号Sg6を指令値演算部34に提供する。
【0032】
指令値演算部34は、負荷判定部33から提供された判定信号Sg6に基づいて、以下の各指令値を演算する。指令値演算部34は、エンジン11の回転速度(回転数)に関する指令値を演算し、この指令値に関するエンジン回転数指令信号Sg7をECUに提供する。また、指令値演算部34は、メインポンプ14の油圧に関する指令値を演算し、この指令値に関するポンプ馬力設定信号Sg8をポンプ制御弁14A(図2参照)に提供する。
【0033】
本実施形態では、指令値演算部34は、図7の点Aにおいて高負荷であると判定した場合には、基準トルク線Trに基づいて、エンジン回転数をR1からR2へ上昇させるように、エンジン回転数指令信号Sg7を生成する。また、指令値演算部34は、これと同時に、図7に示されるエンジン出力P5の値を算出する。また、点Cにおいて低負荷であると判定した場合には、基準トルク線Trに基づいて、エンジン回転数をR3からR2へ低下させるように、エンジン回転数指令信号Sg7を生成する。指令値演算部34は、これと同時にエンジン出力P5の値を算出する。更に、指令値演算部34は、算出したエンジン出力P5と、油圧負荷信号Sg1とを基に、ポンプ馬力設定信号Sg8を求める。また、指令値演算部34は、油圧負荷信号Sg1とエンジン出力P5とに基づいて、アシストモータ出力Paを算出する(Pa=Sg1−P5)。そして、求められたアシストモータ出力Paを速度信号Sg10で除算することにより、後述するアシストモータトルク指令信号Sg9が算出される。
【0034】
図5は、ハイブリッド型建設機械1の構成要素間における機能的な関わりを示す制御ブロック図である。図5には、コントローラ30Aの内部構成の一部と、エンジン11と、電動発電機12と、変速機13と、エンジン11を制御するエンジンコントローラユニット(ECU)40と、回転速度センサ41,42とが示されている。回転速度センサ41は、エンジン11の回転速度を検出する回転速度検出部であり、上述した速度信号Sg4を生成する。回転速度センサ42は、電動発電機12の回転速度を検出するセンサである。
【0035】
図5に示されるように、電動発電機12の回転トルクTmは、変速機13によってN倍され、エンジン11に入力される。ここで、Nは、変速機13の減速比である。エンジン11では、このN倍されたトルクTmと、エンジン11自身が生み出したトルクTeとの和が入力され、回転速度(回転数)Rが出力される。エンジン11の回転速度(回転数)Reは、回転速度センサ41によって検出され、回転速度Reに関する速度信号Sg4がECU40へ送られる。また、電動発電機12の回転速度Rmは、回転速度ReをN倍した数値として表され、回転速度センサ42によって検出される。回転速度センサ42は、回転速度Rmに関する速度信号Sg10をコントローラ30Aに提供する。
【0036】
ECU40は、コントローラ30Aにおいて生成されたエンジン回転数指令信号Sg7と、現在のエンジン11の回転速度Reに関する速度信号Sg4との差を演算する。この差に基づいて、ECU40の速度制御部40aが噴射量を算出する。噴射量の算出には、例えばPID制御が用いられる。ECU40の噴射量制限部40bは、この噴射量に基づいて、燃料流量を決定し、この燃料流量を指令するための燃料指令信号Sg11を生成する。なお、この噴射量が許容上限値を超えた場合には、燃料流量は許容上限値を超えないように制限される。こうして生成された燃料指令信号Sg11に基づいて、エンジン11が制御される。
【0037】
図5に示されるように、コントローラ30Aは、トルク算出部35、速度制御部36、スイッチ部37、トルク制御部38、及び制御方法判定部39Aを更に含む。トルク算出部35には、アシストモータトルク指令信号Sg9と、回転速度センサ42から提供された速度信号Sg10とが入力される。トルク算出部35は、これらの信号Sg9及びSg10に基づいて、電動発電機12へのトルク指令値Ta1を算出する。
【0038】
また、速度制御部36には、エンジン回転数指令信号Sg7により示される回転速度指令値を減速比(N)倍した値と、速度信号Sg10により示される電動発電機12の回転速度Rmとの偏差が入力される。速度制御部36は、この偏差に基づいて、電動発電機12へのトルク指令値Ta2を算出する。
【0039】
スイッチ部37は、トルク指令値Ta1及びトルク指令値Ta2のいずれか一方を選択し、その選択した値をトルク制御部38に入力する。スイッチ部37の選択は、制御方法判定部39Aによって制御される。制御方法判定部39Aは、エンジン回転数指令信号Sg7と、速度信号Sg4と、燃料指令信号Sg11とを入力し、これらの信号に基づいてスイッチ部37を制御する。トルク制御部38は、電動発電機12の出力トルクがスイッチ部37により選択された値に近づくように、電動発電機12を制御するための信号をインバータ回路18(図2参照)へ出力する。
【0040】
ここで、制御方法判定部39Aによるスイッチ部37の制御方法について更に説明する。まず、制御方法判定部39Aは、速度信号Sg4に示されるエンジン11の回転速度Reに基づいて、エンジン11の現在の出力(パワー)を算出する。続いて、制御方法判定部39Aは、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差を算出する。そして、制御方法判定部39Aは、この偏差が所定の範囲に含まれる場合に、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。また、このとき、コントローラ30Aは、現在のエンジン11の回転速度Reを維持する為に、エンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持する。
【0041】
他方、制御方法判定部39Aは、上記偏差が所定の範囲から逸脱した場合に、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。上記偏差が所定の範囲を超えた場合、速度制御部36は、エンジン11の回転速度Reが増速するようにトルク指令値Ta2を生成する。これにより、コントローラ30Aは、回転速度Reを増速させる為の正の回転トルクを電動発電機12から出力させることとなる。また、上記偏差が所定の範囲を下回った場合、速度制御部36は、エンジン11の回転速度Reが減速するようにトルク指令値Ta2を生成する。具体的には、速度制御部36は、エンジン11の駆動力によって電動発電機12が発電を行うようにトルク指令値Ta2を生成する。これにより、コントローラ30Aは、回転速度Reを減速させる為の負の回転トルクを電動発電機12から出力させることとなる。ここで、トルク制御モードから速度制御モードへ切り替わる際に、トルクの急激な変化を防止する必要がある。このために、速度制御モードの間にトルク制御部38から出力される制御信号は、トルク制御モードで最後に用いたトルク指令値Ta1に対し、速度制御モードで生成したトルク指令値Ta2を加算、若しくは、減算して出力される。
【0042】
上述した所定の範囲について更に説明する。図6は、エンジン11の等燃費率曲線を示すグラフである。このグラフにおいて、エンジン11の回転数の下限値は回転数Lとして示され、上限値は回転数Hとして示されている。エンジン11の回転数は、回転数Lと回転数Hとの間に含まれるように制御される。図6の縦軸はエンジントルク(Nm)を示しており、横軸はエンジン回転数(rpm)を示している。図6において、エンジン11の等出力線が点線で示され、等燃費線が太い実線で示され、基準トルク線TSが太い一点鎖線で示されている。
【0043】
基準トルク線TSは、エンジン11の回転トルクが最大値に近く、且つ燃料消費率が少ない点を結んだ連続線である。この基準トルク線TSは、エンジン11の回転数が変化した際に、その回転数での回転トルクの最大値に近い領域において燃料消費率が低くなる点を結んだ線であり、エンジン11に固有の等燃費率曲線に基づいて予め設定される。
【0044】
エンジン11の回転トルクが基準トルク線TSの最小値より小さいときには、エンジン11の回転数は下限値である回転数Lに設定される。このとき、エンジン11に要求される回転トルクが増加しても、エンジン回転数は一定(回転数L)に維持される。すなわち、エンジン11の運転状態は図6の矢印A1に沿って変化する。エンジン11に要求される回転トルクが増加して基準トルク線TSの最小値に達すると、エンジン11の回転数を可変にしてエンジン11の回転トルクが制御される。すなわち、エンジン11の運転状態は基準トルク線TSに沿って図6の矢印A2の方向に変化する。
【0045】
図7は、エンジン11の回転数を基準トルク線TSに沿って変化させる際の動作を説明するための図であり、図6に示したグラフの一部を示している。基準トルク線TSを中心として回転トルクが大きい側に上限トルク線Tmaxが設定され、小さい側に下限トルク線Tminが設定される。
【0046】
いま、エンジン11が、基準トルク線TS上の回転数及び回転トルクを出力しているとする(図7の点A)。現在の回転トルクより大きな回転トルクが要求されると(すなわちエンジン負荷が増大すると)、制御方法判定部39Aは、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差に基づいてこの要求を知る。そして、制御方法判定部39Aは、この偏差が所定の範囲に含まれる場合、すなわち要求される回転トルクが上限トルク線Tmaxより小さい場合に、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。このとき、コントローラ30Aはエンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持するので、図7に示されるように、エンジン11の運転状態は、回転数が一定でトルクが上昇する方向、すなわち点Aから矢印aの方向に変化する。
【0047】
エンジン11に要求される回転トルクが基準トルク線TSからΔt1だけ増大して上限トルク線Tmaxに達すると(図7の点B)、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差が、上記した所定の範囲を超えることとなる。このとき、速度制御部36は、エンジン11の回転数が増大するようにトルク指令値Ta2を生成する。また、制御方法判定部39Aは、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。これにより、電動発電機12は、エンジン11の回転数を増大させる為の正の回転トルクを出力する。このとき、エンジン11の回転数は、所定の回転数Δr1だけ増大する。この回転数の増大は、図7において矢印bで示される。
【0048】
エンジン11の回転数をΔr1だけ増大させると、それに伴い出力も増大し、エンジン11の動作は点Cに移る。ここで、エンジン11に現在要求されている回転トルクは、点Bにおける回転トルクである。従って、点Cから矢印cで示される方向にエンジン11の動作状態を移すことにより、エンジン11の回転トルクをΔt2だけ小さくする。その結果、エンジン11の動作は点Cから点Dに移る。点Bと点Dはエンジン出力が互いに等しく、点Dは、点Bから等出力線に沿って移動した点となる。すなわち、点Dは、点Bを通る等出力線と基準トルク線TSとの交点である。
【0049】
以上のように、エンジン11に高負荷が掛かって回転トルクを増大する際には、基準トルク線TSからのトルク偏差Δt1に相当するエンジン回転数の増大分Δr1を求め、エンジン11の目標回転数を現在の回転数ReにΔr1を加えた値(Re+Δr1)に更新する。そして、エンジン11の回転数が更新した目標回転数(Re+Δr1)に近づくように、電動発電機12のインバータ回路18に力行運転指令を送る。これにより、エンジン11の回転数を増大させて出力を増大させながら、基準トルク線TSに沿った燃料消費率を達成することができる。
【0050】
また、エンジン11が、基準トルク線TS上の回転数及び回転トルクを出力しているとする(図7の点E)。現在の回転トルクより小さな回転トルクが要求されると(すなわちエンジン負荷が減少すると)、制御方法判定部39Aは、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差に基づいてこの要求を知る。そして、制御方法判定部39Aは、この偏差が所定の範囲に含まれる場合、すなわち要求される回転トルクが下限トルク線Tminより小さい場合に、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。このとき、コントローラ30Aはエンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持するので、図7に示されるように、エンジン11の運転状態は、回転数が一定でトルクが減少する方向、すなわち点Eから矢印eの方向に変化する。
【0051】
エンジン11に要求される回転トルクが基準トルク線TSからΔt3だけ減少して下限トルク線Tminに達すると(図7の点F)、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差が、上記した所定の範囲を下回ることとなる。このとき、速度制御部36は、エンジン11の回転数が低下するようにトルク指令値Ta2を生成する。また、制御方法判定部39Aは、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。これにより、電動発電機12は、エンジン11の回転数を低下させる為の負の回転トルクを出力する。すなわち、電動発電機12は、エンジン11の駆動力を利用して発電を行う。このとき、エンジン11の回転数は、所定の回転数Δr2だけ低下する。この回転数の低下は、図7において矢印fで示される。
【0052】
エンジン11の回転数をΔr2だけ低下させると、それに伴い出力も低下し、エンジン11の動作は点Gに移る。エンジン11に現在要求されている回転トルクは点Fにおける回転トルクなので、点Gから矢印gで示される方向にエンジン11の動作状態を移すことにより、エンジン11の回転トルクをΔt4だけ大きくする。その結果、エンジン11の動作は点Gから点Dに移る。点Fと点Dはエンジン出力が互いに等しく、点Dは、点Fから等出力線に沿って移動した点となる。すなわち、点Dは、点Fを通る等出力線と基準トルク線TSとの交点である。
【0053】
以上のように、エンジン11の負荷が減少して回転トルクを低下させる際には、基準トルク線TSからのトルク偏差Δt3に相当するエンジン回転数の増大分Δr2を求め、エンジン11の目標回転数を現在の回転数ReからΔr2を減じた値(Re−Δr2)に更新する。そして、エンジン11の回転数が更新した目標回転数(Re−Δr2)に近づくように、電動発電機12のインバータ回路18に発電指令を送る。これにより、エンジン11の回転数を低下させて出力を減少させながら、基準トルク線TSに沿った燃料消費率を達成することができる。
【0054】
以上に説明したハイブリッド型建設機械1においては、エンジン11の回転数を所定の範囲内で基準トルク線TSに沿って任意の回転数に制御しながら、燃料消費率が低くなる条件でエンジン11を動作させる。また、回転トルクが基準トルク線TSを中心にした所定の範囲を越えた(或いは下回った)場合にエンジン回転数を可変制御することにより、燃料消費率が低くなる条件でエンジン11を動作させる。従って、本実施形態のハイブリッド型建設機械1によれば、要求負荷の増減に対して燃料消費率を更に向上することができる。
【0055】
(第1の変形例)
続いて、上記実施形態の一変形例について説明する。なお、本変形例に係るハイブリッド型建設機械の構成のうち、コントローラ以外の構成については上述したハイブリッド型建設機械1と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0056】
図8は、本変形例に係るコントローラ30Bの内部構成の一部を示すブロック図である。図8に示されるように、コントローラ30Bは、負荷推定部31と、トルク偏差算出部32と、負荷判定部33と、指令値演算部34とを含む。なお、負荷推定部31、トルク偏差算出部32の構成および機能は、上述した実施形態と同様である。
【0057】
負荷判定部33は、トルク偏差算出部32から偏差信号Sg5を入力し、トルク偏差Δtが正の所定の閾値を超えているか否か、並びにトルク偏差Δtが負の所定の閾値を下回っているか否かを判定する。換言すれば、負荷判定部33は、負荷から算出される必要トルクが回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、所定のトルク範囲は、図7に示したエンジン11の等燃費率曲線において、低燃費領域を通る基準トルク線TSを含むように設定される。例えば、所定のトルク範囲とは、図7に示した上限トルク線Tmaxと下限トルク線Tminとによって規定される範囲である。
【0058】
そして、必要トルクが所定のトルク範囲に含まれる場合、負荷判定部33は、中負荷を示す判定信号Sg6を生成する。また、必要トルクが所定のトルク範囲を超えている場合、負荷判定部33は、高負荷を示す判定信号Sg6を生成する。また、必要トルクが所定のトルク範囲を下回っている場合、負荷判定部33は、低負荷を示す判定信号Sg6を生成する。負荷判定部33は、判定信号Sg6を指令値演算部34に提供する。
【0059】
指令値演算部34は、負荷判定部33から提供された判定信号Sg6に基づいて、以下の各指令値を演算する。指令値演算部34は、エンジン11の回転速度(回転数)に関する指令値を演算し、この指令値に関するエンジン回転数指令信号Sg7をECUに提供する。また、指令値演算部34は、メインポンプ14の油圧に関する指令値を演算し、この指令値に関するポンプ馬力設定信号Sg8をポンプ制御弁14A(図2参照)に提供する。
【0060】
本実施形態では、指令値演算部34は、図7の点Aにおいて高負荷であると判定した場合には、基準トルク線Trに基づいて、エンジン回転数をR1からR2へ上昇させるように、エンジン回転数指令信号Sg7を生成する。また、指令値演算部34は、これと同時に、図7に示されるエンジン出力P5の値を算出する。また、点Cにおいて低負荷であると判定した場合には、基準トルク線Trに基づいて、エンジン回転数をR3からR2へ低下させるように、エンジン回転数指令信号Sg7を生成する。指令値演算部34は、これと同時にエンジン出力P5の値を算出する。更に、指令値演算部34は、算出したエンジン出力P5と、油圧負荷信号Sg1とを基に、ポンプ馬力設定信号Sg8を求める。また、指令値演算部34は、油圧負荷信号Sg1とエンジン出力P5とに基づいて、アシストモータ出力Paを算出する(Pa=Sg1−P5)。そして、求められたアシストモータ出力Paを速度信号Sg10で除算することにより、後述するアシストモータトルク指令信号Sg9が算出される。
【0061】
図9は、本変形例における、ハイブリッド型建設機械の構成要素間の機能的な関わりを示す制御ブロック図である。図9には、コントローラ30Bの内部構成の一部と、エンジン11と、電動発電機12と、変速機13と、エンジン11を制御するECU40と、回転速度センサ41,42とが示されている。なお、これらの構成要素のうち、コントローラ30Bを除く他の構成は上記実施形態と同様である。
【0062】
コントローラ30Bは、トルク算出部35、速度制御部36、スイッチ部37、トルク制御部38、及び制御方法判定部39Bを更に含む。トルク算出部35には、アシストモータトルク指令信号Sg9と、回転速度センサ42から提供された速度信号Sg10とが入力される。トルク算出部35は、これらの信号Sg9及びSg10に基づいて、電動発電機12へのトルク指令値Ta1を算出する。
【0063】
また、速度制御部36には、エンジン回転数指令信号Sg7により示される回転速度指令値を減速比(N)倍した値と、速度信号Sg10により示される電動発電機12の回転速度Rmとの偏差が入力される。速度制御部36は、この偏差に基づいて、電動発電機12へのトルク指令値Ta2を算出する。
【0064】
スイッチ部37は、トルク指令値Ta1及びトルク指令値Ta2のいずれか一方を選択し、その選択した値をトルク制御部38に入力する。スイッチ部37の選択は、制御方法判定部39Bによって制御される。制御方法判定部39Bは、負荷判定部33(図8参照)からの判定信号Sg6を入力し、この判定信号Sg6に基づいてスイッチ部37を制御する。トルク制御部38は、電動発電機12の出力トルクがスイッチ部37により選択された値に近づくように、電動発電機12を制御するための信号をインバータ回路18(図2参照)へ出力する。
【0065】
ここで、制御方法判定部39Bによるスイッチ部37の制御方法について更に説明する。制御方法判定部39Bは、判定信号Sg6が中負荷を示す場合、すなわち負荷から算出される必要トルクが回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれる場合には、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Tb1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。また、このとき、コントローラ30Bは、現在のエンジン11の回転速度Reを維持する為に、エンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持する。
【0066】
他方、制御方法判定部39Bは、必要トルクが所定のトルク範囲から逸脱した場合に、トルク指令値Tb2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。必要トルクが所定のトルク範囲を超えた場合、速度制御部36は、エンジン11の回転速度Reが増速するようにトルク指令値Tb2を生成する。これにより、コントローラ30Bは、回転速度Reを増速させる為の正の回転トルクを電動発電機12から出力させることとなる。また、必要トルクが所定のトルク範囲を下回った場合、速度制御部36は、エンジン11の回転速度Reが減速するようにトルク指令値Tb2を生成する。具体的には、速度制御部36は、エンジン11の駆動力によって電動発電機12が発電を行うようにトルク指令値Tb2を生成する。これにより、コントローラ30Bは、回転速度Reを減速させる為の負の回転トルクを電動発電機12から出力させることとなる。ここで、トルク制御モードから速度制御モードへ切り替わる際に、トルクの急激な変化を防止する必要がある。このために、速度制御モードの間にトルク制御部38から出力される制御信号は、トルク制御モードで最後に用いたトルク指令値Tb1に対し、速度制御モードで生成したトルク指令値Tb2を加算、若しくは、減算して出力される。
【0067】
図6及び図7を再び参照して、本変形例における所定のトルク範囲について更に説明する。本変形例においても、エンジン11の回転数は、回転数Lと回転数Hとの間に含まれるように制御される。そして、エンジン11の回転トルクが基準トルク線TSの最小値より小さいときには、エンジン11の回転数は下限値である回転数Lに設定される。このとき、エンジン11に要求される回転トルクが増加しても、エンジン回転数は一定(回転数L)に維持される。すなわち、エンジン11の運転状態は図6の矢印A1に沿って変化する。エンジン11に要求される回転トルクが増加して基準トルク線TSの最小値に達すると、エンジン11の回転数を可変にしてエンジン11の回転トルクが制御される。すなわち、エンジン11の運転状態は基準トルク線TSに沿って図6の矢印A2の方向に変化する。
【0068】
いま、エンジン11が、基準トルク線TS上の回転数及び回転トルクを出力しているとする(図7の点A)。現在の回転トルクより大きな回転トルクが要求された場合(すなわちエンジン負荷が増大した場合)、判定信号Sg6が中負荷を示していれば、制御方法判定部39Bは、要求トルクが所定の範囲に含まれる(すなわち要求される回転トルクが上限トルク線Tmaxより小さい)と判断する。このとき、制御方法判定部39Bは、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。このとき、コントローラ30Bはエンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持するので、図7に示されるように、エンジン11の運転状態は、回転数が一定でトルクが上昇する方向、すなわち点Aから矢印aの方向に変化する。
【0069】
エンジン11に要求される回転トルクが基準トルク線TSからΔt1だけ増大して上限トルク線Tmaxに達すると(図7の点B)、判定信号Sg6が高負荷を示す。すなわち、要求トルクが所定の範囲を超えたこととなる。このとき、速度制御部36は、エンジン11の回転数が増大するようにトルク指令値Ta2を生成する。また、制御方法判定部39Bは、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。これにより、電動発電機12は、エンジン11の回転数を増大させる為の正の回転トルクを出力する。このとき、エンジン11の回転数は、所定の回転数Δr1だけ増大する。この回転数の増大は、図7において矢印bで示される。
【0070】
エンジン11の回転数をΔr1だけ増大させると、それに伴い出力も増大し、エンジン11の動作は点Cに移る。ここで、エンジン11に現在要求されている回転トルクは、点Bにおける回転トルクである。従って、点Cから矢印cで示される方向にエンジン11の動作状態を移すことにより、エンジン11の回転トルクをΔt2だけ小さくする。その結果、エンジン11の動作は点Cから点Dに移る。点Dは、点Bを通る等出力線と基準トルク線TSとの交点である。
【0071】
以上のように、エンジン11に高負荷が掛かって回転トルクを増大する際には、基準トルク線TSからのトルク偏差Δt1に相当するエンジン回転数の増大分Δr1を求め、エンジン11の目標回転数を現在の回転数ReにΔr1を加えた値(Re+Δr1)に更新する。そして、エンジン11の回転数が更新した目標回転数(Re+Δr1)に近づくように、電動発電機12のインバータ回路18に力行運転指令を送る。これにより、エンジン11の回転数を増大させて出力を増大させながら、基準トルク線TSに沿った燃料消費率を達成することができる。
【0072】
また、エンジン11が、基準トルク線TS上の回転数及び回転トルクを出力しているとする(図7の点E)。現在の回転トルクより小さな回転トルクが要求された場合(すなわちエンジン負荷が増大した場合)、判定信号Sg6が中負荷を示していれば、制御方法判定部39Bは、要求トルクが所定の範囲に含まれる(すなわち要求される回転トルクが下限トルク線Tminより大きい)と判断する。このとき、制御方法判定部39Bは、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。このとき、コントローラ30Bはエンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持するので、図7に示されるように、エンジン11の運転状態は、回転数が一定でトルクが減少する方向、すなわち点Eから矢印eの方向に変化する。
【0073】
エンジン11に要求される回転トルクが基準トルク線TSからΔt3だけ減少して下限トルク線Tminに達すると(図7の点F)、判定信号Sg6が低負荷を示す。すなわち、要求トルクが所定の範囲を下回ったこととなる。このとき、速度制御部36は、エンジン11の回転数が低下するようにトルク指令値Ta2を生成する。また、制御方法判定部39Bは、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。これにより、電動発電機12は、エンジン11の回転数を低下させる為の負の回転トルクを出力する。すなわち、電動発電機12は、エンジン11の駆動力を利用して発電を行う。このとき、エンジン11の回転数は、所定の回転数Δr2だけ低下する。この回転数の低下は、図7において矢印fで示される。
【0074】
エンジン11の回転数をΔr2だけ低下させると、それに伴い出力も低下し、エンジン11の動作は点Gに移る。エンジン11に現在要求されている回転トルクは点Fにおける回転トルクなので、点Gから矢印gで示される方向にエンジン11の動作状態を移すことにより、エンジン11の回転トルクをΔt4だけ大きくする。その結果、エンジン11の動作は点Gから点Dに移る。点Dは、点Fを通る等出力線と基準トルク線TSとの交点である。
【0075】
以上のように、エンジン11の負荷が減少して回転トルクを低下させる際には、基準トルク線TSからのトルク偏差Δt3に相当するエンジン回転数の増大分Δr2を求め、エンジン11の目標回転数を現在の回転数ReからΔr2を減じた値(Re−Δr2)に更新する。そして、エンジン11の回転数が更新した目標回転数(Re−Δr2)に近づくように、電動発電機12のインバータ回路18に発電指令を送る。これにより、エンジン11の回転数を低下させて出力を減少させながら、基準トルク線TSに沿った燃料消費率を達成することができる。
【0076】
以上に説明した変形例においては、エンジン11の回転数を所定のトルク範囲内で基準トルク線TSに沿って任意の回転数に制御しながら、燃料消費率が低くなる条件でエンジン11を動作させる。また、回転トルクが基準トルク線TSを中心にした所定のトルク範囲を越えた(或いは下回った)場合にエンジン回転数を可変制御することにより、燃料消費率が低くなる条件でエンジン11を動作させる。従って、本変形例のハイブリッド型建設機械によれば、要求負荷の増減に対して燃料消費率を更に向上することができる。
【0077】
(第2の変形例)
図10は、別の変形例に係るハイブリッド型建設機械の構成を示すブロック図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、旋回用油圧モータ2cに代えて旋回用電動機21を設けた点である。
【0078】
本変形例の蓄電手段120には、インバータ回路20が接続されている。インバータ回路20の一端には旋回用電動機21が接続されており、インバータ回路20の他端は蓄電手段120のDCバス110に接続されている。旋回用電動機21は、旋回体4を旋回させる旋回機構3の動力源である。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
【0079】
旋回用電動機21が力行運転を行う際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が旋回減速機24にて増幅され、旋回体4が加減速制御され回転運動を行う。また、旋回体4の慣性回転により、旋回減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させる。旋回用電動機21は、PWM制御信号によりインバータ回路20によって交流駆動される。旋回用電動機21としては、例えば、磁石埋込型のIPMモータが好適である。
【0080】
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出する。レゾルバ22が回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構3の回転角度及び回転方向が導出される。メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、コントローラ30Aからの指令によって、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構3に機械的に伝達する減速機である。
【0081】
なお、DCバス110には、インバータ回路18及び20を介して、電動発電機12及び旋回用電動機21が接続されているので、電動発電機12で発電された電力が旋回用電動機21に直接的に供給される場合もあり、旋回用電動機21で回生された電力が電動発電機12に供給される場合もある。
【0082】
操作装置26には、油圧ライン28を介して圧力センサ29が接続される。操作装置26から出力される2次側の油圧は、圧力センサ29によって検出される。圧力センサ29は、操作装置26に対して旋回機構3を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号は、コントローラ30A(30B)に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。
【0083】
コントローラ30A(30B)は、圧力センサ29から入力される信号のうち、旋回機構3を旋回させるための操作量を表す信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。
【0084】
たとえば本変形例のような構成のハイブリッド型建設機械であっても、上記実施形態による作用効果を好適に得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1…ハイブリッド型建設機械、2…走行機構、2a,2b…油圧モータ、3…旋回機構、4…旋回体、5…ブーム、6…アーム、7…バケット、8…ブームシリンダ、9…アームシリンダ、10…バケットシリンダ、11…エンジン、12…電動発電機、13…変速機、14…メインポンプ、15…パイロットポンプ、16…高圧油圧ライン、17…コントロールバルブ、18…インバータ回路、19…キャパシタ、26…操作装置、30A,30B…コントローラ、31…負荷推定部、32…トルク偏差算出部、33…負荷判定部、34…指令値演算部、35…トルク算出部、36…速度制御部、37…スイッチ部、38…トルク制御部、39A,39B…制御方法判定部、40…ECU、41,42…回転速度センサ、100…昇降圧コンバータ、101…リアクトル、110…DCバス、120…蓄電手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド型建設機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、駆動機構の一部を電動化した作業機械が提案されている。このような作業機械は、例えばブーム、アーム、及びバケットといった可動部を油圧駆動するための油圧ポンプを備えており、この油圧ポンプを駆動するためのエンジン(内燃機関発動機)に交流電動機(電動発電機)を連結し、該エンジンの駆動力を補助する動作と、発電により得られる電力を蓄電池に充電する動作とを各々必要に応じて行う。
【0003】
一般的なハイブリット型作業機械では、エンジンの回転数が常に一定となるように制御される。例えば、アームやバケット等を揺動させるときはエンジンへの負荷が小さいので(低負荷モード)、エンジンの回転数を一定に維持しつつエンジンの余剰トルクによって電動発電機を駆動し、得られた電力をキャパシタに蓄える。また、エンジンへの負荷が当該回転数におけるエンジン出力を超えるような場合には(高負荷モード)、エンジンの回転数を一定に維持しつつ、キャパシタからの電力によって電動発電機を駆動し、エンジン出力に電動発電機の出力を加える。
【0004】
なお、特許文献1に記載された建設機械は、低負荷モード時(エンジンの必要馬力の等馬力線とガバナ特性線との交点がこのエンジンの定格出力よりも小さいエンジントルクとなるモード時)にエンジントルクを上昇させて燃料消費率の向上を図り、その余剰トルクにより発電機を駆動してキャパシタを充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−100621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、エンジンの回転数が常に一定となるように制御されると、次の問題が生じる。多くの場合、当該回転数は、或る中程度の負荷に対して燃料消費が最も低くなる値に設定される。当該回転数を維持した状態で負荷が増すと、不足するエンジン出力を電動発電機により補助することができるが、このような高負荷が継続すると、キャパシタの充電量によっては補助できない場合が生じる。この場合、より大きなエンジントルクが必要となり燃料消費率が高くなってしまう。
【0007】
一方、当該回転数を維持した状態で負荷が減ると、余剰エンジン出力を利用して電動発電機において発電することができるが、このような低負荷が継続すると、キャパシタの充電容量の制限のため発電ができない場合が生じる。この場合、より小さなエンジントルクで済むにも関わらず当該回転数を維持することとなり燃料消費率の向上を妨げてしまう。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、要求負荷の増減に対して燃料消費率を更に向上することができるハイブリッド型建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明による第1のハイブリッド型建設機械は、内燃機関発動機と、内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、内燃機関発動機に連結され、内燃機関発動機の駆動力により発電を行い、自身の駆動力により内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、内燃機関発動機の回転数及び電動発電機の回転トルクを制御する制御部とを備え、制御部は、当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる内燃機関発動機の負荷を算出し、回転速度検出値と、内燃機関発動機の負荷に対応する回転速度目標値との偏差が所定の範囲に含まれる場合に、内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、内燃機関発動機の駆動力による発電または内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように電動発電機の回転トルクを制御し、偏差が所定の範囲を超えた場合に、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて正の回転トルクを電動発電機から出力させ、偏差が所定の範囲を下回った場合に、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて負の回転トルクを電動発電機から出力させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による第2のハイブリッド型建設機械は、内燃機関発動機と、内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、内燃機関発動機に連結され、内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、内燃機関発動機の回転数及び電動発電機の回転トルクを制御する制御部とを備え、制御部は、当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる内燃機関発動機の負荷を算出し、内燃機関発動機の負荷から算出される必要トルクが所定のトルク範囲に含まれる場合に、内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、内燃機関発動機の駆動力による発電または内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように電動発電機の回転トルクを制御し、必要トルクが所定のトルク範囲を超えた場合に、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて正の回転トルクを電動発電機から出力させ、必要トルクが所定のトルク範囲を下回った場合に、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて負の回転トルクを電動発電機から出力させることを特徴とする。
【0011】
また、上記第1及び第2のハイブリッド型建設機械は、制御部が、電動発電機を回転トルクの制御から、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づく制御に切り替えるスイッチ部を有することを特徴としてもよい。この場合、制御部は、内燃機関発動機の負荷を判定する負荷判定部と、負荷判定部による負荷判定結果に基づいて内燃機関発動機の回転速度目標値を生成する指令値演算部とを有することが好ましい。
【0012】
また、上記第1及び第2のハイブリッド型建設機械は、制御部の指令値演算部が、負荷判定結果に基づいてポンプ馬力設定信号を更に生成することを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明による第3のハイブリッド型建設機械は、内燃機関発動機と、内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、内燃機関発動機に連結され、内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、内燃機関発動機の回転数及び電動発電機の回転トルクを制御する制御部とを備え、制御部が、当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる負荷を推定するとともに、速度検出部から提供される内燃機関発動機の回転速度検出値に基づいて内燃機関発動機の現在の出力を算出し、負荷から算出される必要トルクが回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれる場合に、内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、現在の出力と負荷との差に応じて内燃機関発動機の駆動力による発電または内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように電動発電機の回転トルクを制御し、必要トルクが所定のトルク範囲を超えた場合に、内燃機関発動機の回転速度を増速させる為の正の回転トルクを電動発電機から出力させ、必要トルクが所定のトルク範囲を下回った場合に、内燃機関発動機の駆動力による発電を行うことにより、内燃機関発動機の回転速度を減速させる為の負の回転トルクを電動発電機から出力させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるハイブリッド型建設機械によれば、要求負荷の増減に対して燃料消費率を更に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るハイブリッド型建設機械の外観を示す斜視図である。
【図2】ハイブリッド型建設機械の電気系統や油圧系統といった内部構成を示すブロック図である。
【図3】図2における蓄電手段の内部構成を示す図である。
【図4】コントローラの内部構成の一部を示すブロック図である。
【図5】ハイブリッド型建設機械の構成要素間における機能的な関わりを示す制御ブロック図である。
【図6】エンジンの等燃費率曲線を示すグラフである。
【図7】エンジンの回転数を基準トルク線に沿って変化させる際の動作を説明するための図であり、図6に示したグラフの一部を示している。
【図8】変形例に係るコントローラの内部構成の一部を示すブロック図である。
【図9】変形例における、ハイブリッド型建設機械の構成要素間の機能的な関わりを示す制御ブロック図である。
【図10】ハイブリッド型建設機械の電気系統や油圧系統といった内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明によるハイブリッド型建設機械の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッド型建設機械の外観を示す斜視図である。本実施形態のハイブリッド型建設機械1は、いわゆるパワーショベルである。図1に示されるように、本実施形態のハイブリッド型建設機械1は、無限軌道を含む走行機構2と、走行機構2の上部に旋回機構3を介して回動自在に搭載された旋回体4とを備えている。旋回体4には、ブーム5と、ブーム5の先端にリンク接続されたアーム6と、アーム6の先端にリンク接続されたバケット7とが取り付けられている。ブーム5、アーム6、及びバケット7は、それぞれブームシリンダ8、アームシリンダ9、及びバケットシリンダ10によって油圧駆動される。また、旋回体4には、バケット7の位置や角度を操作する操作者を収容するための運転室4aや、油圧を発生するためのエンジン(内燃機関発動機)11といった動力源が設けられている。エンジン11は、例えばディーゼルエンジンで構成される。
【0018】
図2は、本実施形態のハイブリッド型建設機械1の電気系統や油圧系統といった内部構成を示すブロック図である。なお、図2では、機械的に動力を伝達する系統を二重線で、油圧系統を太い実線で、操縦系統を破線で、電気系統を細い実線でそれぞれ示している。また、図3は、図2における蓄電手段120の内部構成を示す図である。
【0019】
図2に示すように、ハイブリッド型建設機械1は電動発電機12および変速機13を備えており、エンジン11及び電動発電機12の回転軸は、共に変速機13の入力軸に接続されることにより互いに連結されている。エンジン11の出力に対する負荷が大きいときには、電動発電機12がこのエンジン11を駆動することによりエンジン11の駆動力を補助(アシスト)し、電動発電機12の駆動力が変速機13の出力軸を経てメインポンプ14に伝達される。一方、エンジン11の出力に対する負荷が小さいときには、エンジン11の駆動力が変速機13を経て電動発電機12に伝達されることにより、電動発電機12が発電を行う。電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータによって構成される。電動発電機12の駆動と発電との切り替えは、ハイブリッド型建設機械1における電気系統の駆動制御を行うコントローラ30Aにより、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
【0020】
変速機13の出力軸には、メインポンプ14が接続されている。メインポンプ14は、エンジン11の駆動力によって圧油を発生するための油圧ポンプであり、傾転角を制御するためのポンプ制御弁14Aを有する。このポンプ制御弁14Aは、ギアポンプに接続された電磁比例弁によって構成されており、この電磁比例弁がコントローラ30Aによって電気的に駆動されることにより、メインポンプ14の傾転角の制御が行われる。メインポンプ14から吐出される圧油は、図1に示した走行機構2を駆動するための走行用油圧モータ2a及び2b、旋回用油圧モータ2c、ブームシリンダ8、アームシリンダ9、並びにバケットシリンダ10といった各油圧駆動部を駆動するために、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17へ供給される。
【0021】
コントロールバルブ17は、ハイブリッド型建設機械1における油圧系の制御を行う装置である。コントロールバルブ17には、走行用油圧モータ2a及び2b、旋回用油圧モータ2c、ブームシリンダ8、アームシリンダ9、並びにバケットシリンダ10が高圧油圧ラインを介して接続されており、コントロールバルブ17は、これらに供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御する。
【0022】
メインポンプ14には、パイロットポンプ15が接続されている。パイロットポンプ15は、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生するための油圧ポンプである。パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続されている。操作装置26は、走行機構2、ブーム5、アーム6、及びバケット7を操作するための操作装置であり、操作者によって操作される。操作装置26には、油圧ライン27を介してコントロールバルブ17が接続される。操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を操作者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給される。
【0023】
電動発電機12の電気的な端子には、インバータ回路18の出力端が接続されている。インバータ回路18の入力端には、蓄電手段120が接続されている。蓄電手段120は、図3に示すように、直流母線であるDCバス110、昇降圧コンバータ100及びキャパシタ19を備えている。すなわち、インバータ回路18の入力端は、DCバス110を介して昇降圧コンバータ100の入力端に接続されることとなる。昇降圧コンバータ100の出力端には、蓄電装置としてのキャパシタ19が接続されている。また、DCバス110は、コンデンサ110aを含む。ここで、蓄電装置としてキャパシタ19の代わりに、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を用いても良い。
【0024】
インバータ回路18は、コントローラ30Aからの指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う。すなわち、インバータ回路18が電動発電機12を力行運転させる際には、必要な電力をキャパシタ19と昇降圧コンバータ100からDCバス110を介して電動発電機12に供給する。また、電動発電機12を回生運転させる際には、電動発電機12により発電された電力をDCバス110及び昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に充電する。なお、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧値、キャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流値に基づき、コントローラ30Aによって行われる。これにより、DCバス110を、予め定められた一定電圧値に蓄電された状態に維持することができる。
【0025】
なお、本実施形態の昇降圧コンバータ100はスイッチング制御方式を備えており、図3に示すように、互いに直列に接続されたトランジスタ100a及び100bと、これらの接続点とキャパシタ19の正側端子との間に接続されたリアクトル101と、トランジスタ100aに対し逆方向に並列接続されたダイオード100cと、トランジスタ100bに対し逆方向に並列接続されたダイオード100dとを有する。トランジスタ100a及び100bは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成される。直流電力をキャパシタ19からDCバス110へ供給する際には、コントローラ30Aからの指令によってトランジスタ100aのゲートにPWM(Pulse Width Modulation)電圧が印加される。そして、トランジスタ100aのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力がダイオード100dを介して伝達され、この電力がDCバス110のコンデンサ110aにより平滑化される。また、直流電力をDCバス110からキャパシタ19へ供給する際には、コントローラ30Aからの指令によってトランジスタ100bのゲートにPWM電圧が印加されるとともに、トランジスタ100bから出力される電流がリアクトル101により平滑化される。
【0026】
コントローラ30Aは、本実施形態における制御部を構成する。コントローラ30Aは、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置によって構成され、内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムをCPUが実行することにより実現される。また、コントローラ30Aの電源は、キャパシタ19とは別のバッテリ(例えば24V車載バッテリ)である。コントローラ30Aは、電動発電機12の運転制御(アシスト運転及び発電運転の切り替え)、及び、昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるキャパシタ19の充放電制御を行う。
【0027】
図4は、コントローラ30Aの内部構成の一部を示すブロック図である。図4に示されるように、コントローラ30Aは、負荷推定部31と、トルク偏差算出部32と、負荷判定部33と、指令値演算部34とを含む。
【0028】
負荷推定部31は、当該ハイブリッド型建設機械1において必要とされる負荷、すなわちエンジン11に掛かる負荷を推定するための部分である。負荷推定部31は、メインポンプ14における油圧負荷の大きさを示す油圧負荷信号Sg1と、電動発電機12における電気負荷の大きさを示す電気負荷信号Sg2とを入力する。なお、図4において、電気負荷信号Sg2の符号は、アシスト時には正であり、発電時には負である。負荷推定部31は、油圧負荷信号Sg1と電気負荷信号Sg2との差を算出することにより、エンジン11に掛かる負荷を示すエンジン負荷信号Sg3を生成する。なお、図4に示すように、負荷推定部31は、電気負荷信号Sg2に電動発電機12の駆動効率を乗算する効率乗算部31aを含んでも良い。
【0029】
トルク偏差算出部32は、負荷から算出される必要トルクと基準トルクとの偏差を算出する部分である。トルク偏差算出部32は、負荷推定部31からエンジン負荷信号Sg3を入力する。また、トルク偏差算出部32は、エンジン11の回転速度を検出する回転速度センサ(速度検出部)から提供される、エンジン11の回転速度(エンジン回転数)の検出値を示す速度信号Sg4を入力する。トルク偏差算出部32は、これらの信号Sg3及びSg4と、エンジン11の基準トルクとに基づいて、次の数式(1)よりトルク偏差Δtを算出する。但し、数式(1)において、Dutyはエンジン11に掛かる負荷であり、Reはエンジン11の回転速度検出値であり、Trは基準トルクである。トルク偏差算出部32は、トルク偏差Δtを示す偏差信号Sg5を生成する。
【数1】
【0030】
負荷判定部33は、トルク偏差算出部32から偏差信号Sg5を入力し、トルク偏差Δtが正の所定の閾値を超えているか否か、並びにトルク偏差Δtが負の所定の閾値を下回っているか否かを判定する。換言すれば、負荷判定部33は、負荷から算出される必要トルクが回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、所定のトルク範囲は、図7に示されるエンジン11の等燃費率曲線において、低燃費領域を通る基準トルク線TSを含むように設定される。例えば、所定のトルク範囲とは、図7に示される上限トルク線Tmaxと下限トルク線Tminとによって規定される範囲である。
【0031】
そして、必要トルクが所定のトルク範囲に含まれる場合、負荷判定部33は、中負荷を示す判定信号Sg6を生成する。また、必要トルクが所定のトルク範囲を超えている場合、負荷判定部33は、高負荷を示す判定信号Sg6を生成する。また、必要トルクが所定のトルク範囲を下回っている場合、負荷判定部33は、低負荷を示す判定信号Sg6を生成する。負荷判定部33は、判定信号Sg6を指令値演算部34に提供する。
【0032】
指令値演算部34は、負荷判定部33から提供された判定信号Sg6に基づいて、以下の各指令値を演算する。指令値演算部34は、エンジン11の回転速度(回転数)に関する指令値を演算し、この指令値に関するエンジン回転数指令信号Sg7をECUに提供する。また、指令値演算部34は、メインポンプ14の油圧に関する指令値を演算し、この指令値に関するポンプ馬力設定信号Sg8をポンプ制御弁14A(図2参照)に提供する。
【0033】
本実施形態では、指令値演算部34は、図7の点Aにおいて高負荷であると判定した場合には、基準トルク線Trに基づいて、エンジン回転数をR1からR2へ上昇させるように、エンジン回転数指令信号Sg7を生成する。また、指令値演算部34は、これと同時に、図7に示されるエンジン出力P5の値を算出する。また、点Cにおいて低負荷であると判定した場合には、基準トルク線Trに基づいて、エンジン回転数をR3からR2へ低下させるように、エンジン回転数指令信号Sg7を生成する。指令値演算部34は、これと同時にエンジン出力P5の値を算出する。更に、指令値演算部34は、算出したエンジン出力P5と、油圧負荷信号Sg1とを基に、ポンプ馬力設定信号Sg8を求める。また、指令値演算部34は、油圧負荷信号Sg1とエンジン出力P5とに基づいて、アシストモータ出力Paを算出する(Pa=Sg1−P5)。そして、求められたアシストモータ出力Paを速度信号Sg10で除算することにより、後述するアシストモータトルク指令信号Sg9が算出される。
【0034】
図5は、ハイブリッド型建設機械1の構成要素間における機能的な関わりを示す制御ブロック図である。図5には、コントローラ30Aの内部構成の一部と、エンジン11と、電動発電機12と、変速機13と、エンジン11を制御するエンジンコントローラユニット(ECU)40と、回転速度センサ41,42とが示されている。回転速度センサ41は、エンジン11の回転速度を検出する回転速度検出部であり、上述した速度信号Sg4を生成する。回転速度センサ42は、電動発電機12の回転速度を検出するセンサである。
【0035】
図5に示されるように、電動発電機12の回転トルクTmは、変速機13によってN倍され、エンジン11に入力される。ここで、Nは、変速機13の減速比である。エンジン11では、このN倍されたトルクTmと、エンジン11自身が生み出したトルクTeとの和が入力され、回転速度(回転数)Rが出力される。エンジン11の回転速度(回転数)Reは、回転速度センサ41によって検出され、回転速度Reに関する速度信号Sg4がECU40へ送られる。また、電動発電機12の回転速度Rmは、回転速度ReをN倍した数値として表され、回転速度センサ42によって検出される。回転速度センサ42は、回転速度Rmに関する速度信号Sg10をコントローラ30Aに提供する。
【0036】
ECU40は、コントローラ30Aにおいて生成されたエンジン回転数指令信号Sg7と、現在のエンジン11の回転速度Reに関する速度信号Sg4との差を演算する。この差に基づいて、ECU40の速度制御部40aが噴射量を算出する。噴射量の算出には、例えばPID制御が用いられる。ECU40の噴射量制限部40bは、この噴射量に基づいて、燃料流量を決定し、この燃料流量を指令するための燃料指令信号Sg11を生成する。なお、この噴射量が許容上限値を超えた場合には、燃料流量は許容上限値を超えないように制限される。こうして生成された燃料指令信号Sg11に基づいて、エンジン11が制御される。
【0037】
図5に示されるように、コントローラ30Aは、トルク算出部35、速度制御部36、スイッチ部37、トルク制御部38、及び制御方法判定部39Aを更に含む。トルク算出部35には、アシストモータトルク指令信号Sg9と、回転速度センサ42から提供された速度信号Sg10とが入力される。トルク算出部35は、これらの信号Sg9及びSg10に基づいて、電動発電機12へのトルク指令値Ta1を算出する。
【0038】
また、速度制御部36には、エンジン回転数指令信号Sg7により示される回転速度指令値を減速比(N)倍した値と、速度信号Sg10により示される電動発電機12の回転速度Rmとの偏差が入力される。速度制御部36は、この偏差に基づいて、電動発電機12へのトルク指令値Ta2を算出する。
【0039】
スイッチ部37は、トルク指令値Ta1及びトルク指令値Ta2のいずれか一方を選択し、その選択した値をトルク制御部38に入力する。スイッチ部37の選択は、制御方法判定部39Aによって制御される。制御方法判定部39Aは、エンジン回転数指令信号Sg7と、速度信号Sg4と、燃料指令信号Sg11とを入力し、これらの信号に基づいてスイッチ部37を制御する。トルク制御部38は、電動発電機12の出力トルクがスイッチ部37により選択された値に近づくように、電動発電機12を制御するための信号をインバータ回路18(図2参照)へ出力する。
【0040】
ここで、制御方法判定部39Aによるスイッチ部37の制御方法について更に説明する。まず、制御方法判定部39Aは、速度信号Sg4に示されるエンジン11の回転速度Reに基づいて、エンジン11の現在の出力(パワー)を算出する。続いて、制御方法判定部39Aは、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差を算出する。そして、制御方法判定部39Aは、この偏差が所定の範囲に含まれる場合に、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。また、このとき、コントローラ30Aは、現在のエンジン11の回転速度Reを維持する為に、エンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持する。
【0041】
他方、制御方法判定部39Aは、上記偏差が所定の範囲から逸脱した場合に、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。上記偏差が所定の範囲を超えた場合、速度制御部36は、エンジン11の回転速度Reが増速するようにトルク指令値Ta2を生成する。これにより、コントローラ30Aは、回転速度Reを増速させる為の正の回転トルクを電動発電機12から出力させることとなる。また、上記偏差が所定の範囲を下回った場合、速度制御部36は、エンジン11の回転速度Reが減速するようにトルク指令値Ta2を生成する。具体的には、速度制御部36は、エンジン11の駆動力によって電動発電機12が発電を行うようにトルク指令値Ta2を生成する。これにより、コントローラ30Aは、回転速度Reを減速させる為の負の回転トルクを電動発電機12から出力させることとなる。ここで、トルク制御モードから速度制御モードへ切り替わる際に、トルクの急激な変化を防止する必要がある。このために、速度制御モードの間にトルク制御部38から出力される制御信号は、トルク制御モードで最後に用いたトルク指令値Ta1に対し、速度制御モードで生成したトルク指令値Ta2を加算、若しくは、減算して出力される。
【0042】
上述した所定の範囲について更に説明する。図6は、エンジン11の等燃費率曲線を示すグラフである。このグラフにおいて、エンジン11の回転数の下限値は回転数Lとして示され、上限値は回転数Hとして示されている。エンジン11の回転数は、回転数Lと回転数Hとの間に含まれるように制御される。図6の縦軸はエンジントルク(Nm)を示しており、横軸はエンジン回転数(rpm)を示している。図6において、エンジン11の等出力線が点線で示され、等燃費線が太い実線で示され、基準トルク線TSが太い一点鎖線で示されている。
【0043】
基準トルク線TSは、エンジン11の回転トルクが最大値に近く、且つ燃料消費率が少ない点を結んだ連続線である。この基準トルク線TSは、エンジン11の回転数が変化した際に、その回転数での回転トルクの最大値に近い領域において燃料消費率が低くなる点を結んだ線であり、エンジン11に固有の等燃費率曲線に基づいて予め設定される。
【0044】
エンジン11の回転トルクが基準トルク線TSの最小値より小さいときには、エンジン11の回転数は下限値である回転数Lに設定される。このとき、エンジン11に要求される回転トルクが増加しても、エンジン回転数は一定(回転数L)に維持される。すなわち、エンジン11の運転状態は図6の矢印A1に沿って変化する。エンジン11に要求される回転トルクが増加して基準トルク線TSの最小値に達すると、エンジン11の回転数を可変にしてエンジン11の回転トルクが制御される。すなわち、エンジン11の運転状態は基準トルク線TSに沿って図6の矢印A2の方向に変化する。
【0045】
図7は、エンジン11の回転数を基準トルク線TSに沿って変化させる際の動作を説明するための図であり、図6に示したグラフの一部を示している。基準トルク線TSを中心として回転トルクが大きい側に上限トルク線Tmaxが設定され、小さい側に下限トルク線Tminが設定される。
【0046】
いま、エンジン11が、基準トルク線TS上の回転数及び回転トルクを出力しているとする(図7の点A)。現在の回転トルクより大きな回転トルクが要求されると(すなわちエンジン負荷が増大すると)、制御方法判定部39Aは、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差に基づいてこの要求を知る。そして、制御方法判定部39Aは、この偏差が所定の範囲に含まれる場合、すなわち要求される回転トルクが上限トルク線Tmaxより小さい場合に、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。このとき、コントローラ30Aはエンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持するので、図7に示されるように、エンジン11の運転状態は、回転数が一定でトルクが上昇する方向、すなわち点Aから矢印aの方向に変化する。
【0047】
エンジン11に要求される回転トルクが基準トルク線TSからΔt1だけ増大して上限トルク線Tmaxに達すると(図7の点B)、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差が、上記した所定の範囲を超えることとなる。このとき、速度制御部36は、エンジン11の回転数が増大するようにトルク指令値Ta2を生成する。また、制御方法判定部39Aは、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。これにより、電動発電機12は、エンジン11の回転数を増大させる為の正の回転トルクを出力する。このとき、エンジン11の回転数は、所定の回転数Δr1だけ増大する。この回転数の増大は、図7において矢印bで示される。
【0048】
エンジン11の回転数をΔr1だけ増大させると、それに伴い出力も増大し、エンジン11の動作は点Cに移る。ここで、エンジン11に現在要求されている回転トルクは、点Bにおける回転トルクである。従って、点Cから矢印cで示される方向にエンジン11の動作状態を移すことにより、エンジン11の回転トルクをΔt2だけ小さくする。その結果、エンジン11の動作は点Cから点Dに移る。点Bと点Dはエンジン出力が互いに等しく、点Dは、点Bから等出力線に沿って移動した点となる。すなわち、点Dは、点Bを通る等出力線と基準トルク線TSとの交点である。
【0049】
以上のように、エンジン11に高負荷が掛かって回転トルクを増大する際には、基準トルク線TSからのトルク偏差Δt1に相当するエンジン回転数の増大分Δr1を求め、エンジン11の目標回転数を現在の回転数ReにΔr1を加えた値(Re+Δr1)に更新する。そして、エンジン11の回転数が更新した目標回転数(Re+Δr1)に近づくように、電動発電機12のインバータ回路18に力行運転指令を送る。これにより、エンジン11の回転数を増大させて出力を増大させながら、基準トルク線TSに沿った燃料消費率を達成することができる。
【0050】
また、エンジン11が、基準トルク線TS上の回転数及び回転トルクを出力しているとする(図7の点E)。現在の回転トルクより小さな回転トルクが要求されると(すなわちエンジン負荷が減少すると)、制御方法判定部39Aは、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差に基づいてこの要求を知る。そして、制御方法判定部39Aは、この偏差が所定の範囲に含まれる場合、すなわち要求される回転トルクが下限トルク線Tminより小さい場合に、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。このとき、コントローラ30Aはエンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持するので、図7に示されるように、エンジン11の運転状態は、回転数が一定でトルクが減少する方向、すなわち点Eから矢印eの方向に変化する。
【0051】
エンジン11に要求される回転トルクが基準トルク線TSからΔt3だけ減少して下限トルク線Tminに達すると(図7の点F)、エンジン11の回転速度Reと、エンジン回転数指令信号Sg7に示された、エンジン11への負荷に対応する回転速度目標値との偏差が、上記した所定の範囲を下回ることとなる。このとき、速度制御部36は、エンジン11の回転数が低下するようにトルク指令値Ta2を生成する。また、制御方法判定部39Aは、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。これにより、電動発電機12は、エンジン11の回転数を低下させる為の負の回転トルクを出力する。すなわち、電動発電機12は、エンジン11の駆動力を利用して発電を行う。このとき、エンジン11の回転数は、所定の回転数Δr2だけ低下する。この回転数の低下は、図7において矢印fで示される。
【0052】
エンジン11の回転数をΔr2だけ低下させると、それに伴い出力も低下し、エンジン11の動作は点Gに移る。エンジン11に現在要求されている回転トルクは点Fにおける回転トルクなので、点Gから矢印gで示される方向にエンジン11の動作状態を移すことにより、エンジン11の回転トルクをΔt4だけ大きくする。その結果、エンジン11の動作は点Gから点Dに移る。点Fと点Dはエンジン出力が互いに等しく、点Dは、点Fから等出力線に沿って移動した点となる。すなわち、点Dは、点Fを通る等出力線と基準トルク線TSとの交点である。
【0053】
以上のように、エンジン11の負荷が減少して回転トルクを低下させる際には、基準トルク線TSからのトルク偏差Δt3に相当するエンジン回転数の増大分Δr2を求め、エンジン11の目標回転数を現在の回転数ReからΔr2を減じた値(Re−Δr2)に更新する。そして、エンジン11の回転数が更新した目標回転数(Re−Δr2)に近づくように、電動発電機12のインバータ回路18に発電指令を送る。これにより、エンジン11の回転数を低下させて出力を減少させながら、基準トルク線TSに沿った燃料消費率を達成することができる。
【0054】
以上に説明したハイブリッド型建設機械1においては、エンジン11の回転数を所定の範囲内で基準トルク線TSに沿って任意の回転数に制御しながら、燃料消費率が低くなる条件でエンジン11を動作させる。また、回転トルクが基準トルク線TSを中心にした所定の範囲を越えた(或いは下回った)場合にエンジン回転数を可変制御することにより、燃料消費率が低くなる条件でエンジン11を動作させる。従って、本実施形態のハイブリッド型建設機械1によれば、要求負荷の増減に対して燃料消費率を更に向上することができる。
【0055】
(第1の変形例)
続いて、上記実施形態の一変形例について説明する。なお、本変形例に係るハイブリッド型建設機械の構成のうち、コントローラ以外の構成については上述したハイブリッド型建設機械1と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0056】
図8は、本変形例に係るコントローラ30Bの内部構成の一部を示すブロック図である。図8に示されるように、コントローラ30Bは、負荷推定部31と、トルク偏差算出部32と、負荷判定部33と、指令値演算部34とを含む。なお、負荷推定部31、トルク偏差算出部32の構成および機能は、上述した実施形態と同様である。
【0057】
負荷判定部33は、トルク偏差算出部32から偏差信号Sg5を入力し、トルク偏差Δtが正の所定の閾値を超えているか否か、並びにトルク偏差Δtが負の所定の閾値を下回っているか否かを判定する。換言すれば、負荷判定部33は、負荷から算出される必要トルクが回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、所定のトルク範囲は、図7に示したエンジン11の等燃費率曲線において、低燃費領域を通る基準トルク線TSを含むように設定される。例えば、所定のトルク範囲とは、図7に示した上限トルク線Tmaxと下限トルク線Tminとによって規定される範囲である。
【0058】
そして、必要トルクが所定のトルク範囲に含まれる場合、負荷判定部33は、中負荷を示す判定信号Sg6を生成する。また、必要トルクが所定のトルク範囲を超えている場合、負荷判定部33は、高負荷を示す判定信号Sg6を生成する。また、必要トルクが所定のトルク範囲を下回っている場合、負荷判定部33は、低負荷を示す判定信号Sg6を生成する。負荷判定部33は、判定信号Sg6を指令値演算部34に提供する。
【0059】
指令値演算部34は、負荷判定部33から提供された判定信号Sg6に基づいて、以下の各指令値を演算する。指令値演算部34は、エンジン11の回転速度(回転数)に関する指令値を演算し、この指令値に関するエンジン回転数指令信号Sg7をECUに提供する。また、指令値演算部34は、メインポンプ14の油圧に関する指令値を演算し、この指令値に関するポンプ馬力設定信号Sg8をポンプ制御弁14A(図2参照)に提供する。
【0060】
本実施形態では、指令値演算部34は、図7の点Aにおいて高負荷であると判定した場合には、基準トルク線Trに基づいて、エンジン回転数をR1からR2へ上昇させるように、エンジン回転数指令信号Sg7を生成する。また、指令値演算部34は、これと同時に、図7に示されるエンジン出力P5の値を算出する。また、点Cにおいて低負荷であると判定した場合には、基準トルク線Trに基づいて、エンジン回転数をR3からR2へ低下させるように、エンジン回転数指令信号Sg7を生成する。指令値演算部34は、これと同時にエンジン出力P5の値を算出する。更に、指令値演算部34は、算出したエンジン出力P5と、油圧負荷信号Sg1とを基に、ポンプ馬力設定信号Sg8を求める。また、指令値演算部34は、油圧負荷信号Sg1とエンジン出力P5とに基づいて、アシストモータ出力Paを算出する(Pa=Sg1−P5)。そして、求められたアシストモータ出力Paを速度信号Sg10で除算することにより、後述するアシストモータトルク指令信号Sg9が算出される。
【0061】
図9は、本変形例における、ハイブリッド型建設機械の構成要素間の機能的な関わりを示す制御ブロック図である。図9には、コントローラ30Bの内部構成の一部と、エンジン11と、電動発電機12と、変速機13と、エンジン11を制御するECU40と、回転速度センサ41,42とが示されている。なお、これらの構成要素のうち、コントローラ30Bを除く他の構成は上記実施形態と同様である。
【0062】
コントローラ30Bは、トルク算出部35、速度制御部36、スイッチ部37、トルク制御部38、及び制御方法判定部39Bを更に含む。トルク算出部35には、アシストモータトルク指令信号Sg9と、回転速度センサ42から提供された速度信号Sg10とが入力される。トルク算出部35は、これらの信号Sg9及びSg10に基づいて、電動発電機12へのトルク指令値Ta1を算出する。
【0063】
また、速度制御部36には、エンジン回転数指令信号Sg7により示される回転速度指令値を減速比(N)倍した値と、速度信号Sg10により示される電動発電機12の回転速度Rmとの偏差が入力される。速度制御部36は、この偏差に基づいて、電動発電機12へのトルク指令値Ta2を算出する。
【0064】
スイッチ部37は、トルク指令値Ta1及びトルク指令値Ta2のいずれか一方を選択し、その選択した値をトルク制御部38に入力する。スイッチ部37の選択は、制御方法判定部39Bによって制御される。制御方法判定部39Bは、負荷判定部33(図8参照)からの判定信号Sg6を入力し、この判定信号Sg6に基づいてスイッチ部37を制御する。トルク制御部38は、電動発電機12の出力トルクがスイッチ部37により選択された値に近づくように、電動発電機12を制御するための信号をインバータ回路18(図2参照)へ出力する。
【0065】
ここで、制御方法判定部39Bによるスイッチ部37の制御方法について更に説明する。制御方法判定部39Bは、判定信号Sg6が中負荷を示す場合、すなわち負荷から算出される必要トルクが回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれる場合には、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Tb1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。また、このとき、コントローラ30Bは、現在のエンジン11の回転速度Reを維持する為に、エンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持する。
【0066】
他方、制御方法判定部39Bは、必要トルクが所定のトルク範囲から逸脱した場合に、トルク指令値Tb2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。必要トルクが所定のトルク範囲を超えた場合、速度制御部36は、エンジン11の回転速度Reが増速するようにトルク指令値Tb2を生成する。これにより、コントローラ30Bは、回転速度Reを増速させる為の正の回転トルクを電動発電機12から出力させることとなる。また、必要トルクが所定のトルク範囲を下回った場合、速度制御部36は、エンジン11の回転速度Reが減速するようにトルク指令値Tb2を生成する。具体的には、速度制御部36は、エンジン11の駆動力によって電動発電機12が発電を行うようにトルク指令値Tb2を生成する。これにより、コントローラ30Bは、回転速度Reを減速させる為の負の回転トルクを電動発電機12から出力させることとなる。ここで、トルク制御モードから速度制御モードへ切り替わる際に、トルクの急激な変化を防止する必要がある。このために、速度制御モードの間にトルク制御部38から出力される制御信号は、トルク制御モードで最後に用いたトルク指令値Tb1に対し、速度制御モードで生成したトルク指令値Tb2を加算、若しくは、減算して出力される。
【0067】
図6及び図7を再び参照して、本変形例における所定のトルク範囲について更に説明する。本変形例においても、エンジン11の回転数は、回転数Lと回転数Hとの間に含まれるように制御される。そして、エンジン11の回転トルクが基準トルク線TSの最小値より小さいときには、エンジン11の回転数は下限値である回転数Lに設定される。このとき、エンジン11に要求される回転トルクが増加しても、エンジン回転数は一定(回転数L)に維持される。すなわち、エンジン11の運転状態は図6の矢印A1に沿って変化する。エンジン11に要求される回転トルクが増加して基準トルク線TSの最小値に達すると、エンジン11の回転数を可変にしてエンジン11の回転トルクが制御される。すなわち、エンジン11の運転状態は基準トルク線TSに沿って図6の矢印A2の方向に変化する。
【0068】
いま、エンジン11が、基準トルク線TS上の回転数及び回転トルクを出力しているとする(図7の点A)。現在の回転トルクより大きな回転トルクが要求された場合(すなわちエンジン負荷が増大した場合)、判定信号Sg6が中負荷を示していれば、制御方法判定部39Bは、要求トルクが所定の範囲に含まれる(すなわち要求される回転トルクが上限トルク線Tmaxより小さい)と判断する。このとき、制御方法判定部39Bは、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。このとき、コントローラ30Bはエンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持するので、図7に示されるように、エンジン11の運転状態は、回転数が一定でトルクが上昇する方向、すなわち点Aから矢印aの方向に変化する。
【0069】
エンジン11に要求される回転トルクが基準トルク線TSからΔt1だけ増大して上限トルク線Tmaxに達すると(図7の点B)、判定信号Sg6が高負荷を示す。すなわち、要求トルクが所定の範囲を超えたこととなる。このとき、速度制御部36は、エンジン11の回転数が増大するようにトルク指令値Ta2を生成する。また、制御方法判定部39Bは、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。これにより、電動発電機12は、エンジン11の回転数を増大させる為の正の回転トルクを出力する。このとき、エンジン11の回転数は、所定の回転数Δr1だけ増大する。この回転数の増大は、図7において矢印bで示される。
【0070】
エンジン11の回転数をΔr1だけ増大させると、それに伴い出力も増大し、エンジン11の動作は点Cに移る。ここで、エンジン11に現在要求されている回転トルクは、点Bにおける回転トルクである。従って、点Cから矢印cで示される方向にエンジン11の動作状態を移すことにより、エンジン11の回転トルクをΔt2だけ小さくする。その結果、エンジン11の動作は点Cから点Dに移る。点Dは、点Bを通る等出力線と基準トルク線TSとの交点である。
【0071】
以上のように、エンジン11に高負荷が掛かって回転トルクを増大する際には、基準トルク線TSからのトルク偏差Δt1に相当するエンジン回転数の増大分Δr1を求め、エンジン11の目標回転数を現在の回転数ReにΔr1を加えた値(Re+Δr1)に更新する。そして、エンジン11の回転数が更新した目標回転数(Re+Δr1)に近づくように、電動発電機12のインバータ回路18に力行運転指令を送る。これにより、エンジン11の回転数を増大させて出力を増大させながら、基準トルク線TSに沿った燃料消費率を達成することができる。
【0072】
また、エンジン11が、基準トルク線TS上の回転数及び回転トルクを出力しているとする(図7の点E)。現在の回転トルクより小さな回転トルクが要求された場合(すなわちエンジン負荷が増大した場合)、判定信号Sg6が中負荷を示していれば、制御方法判定部39Bは、要求トルクが所定の範囲に含まれる(すなわち要求される回転トルクが下限トルク線Tminより大きい)と判断する。このとき、制御方法判定部39Bは、現在のエンジン出力と負荷との差に応じた制御を行う為に、トルク指令値Ta1を選択するようにスイッチ部37を制御する(トルク制御モード)。このとき、コントローラ30Bはエンジン回転数指令信号Sg7を一定に維持するので、図7に示されるように、エンジン11の運転状態は、回転数が一定でトルクが減少する方向、すなわち点Eから矢印eの方向に変化する。
【0073】
エンジン11に要求される回転トルクが基準トルク線TSからΔt3だけ減少して下限トルク線Tminに達すると(図7の点F)、判定信号Sg6が低負荷を示す。すなわち、要求トルクが所定の範囲を下回ったこととなる。このとき、速度制御部36は、エンジン11の回転数が低下するようにトルク指令値Ta2を生成する。また、制御方法判定部39Bは、トルク指令値Ta2を選択するようにスイッチ部37を制御する(速度制御モード)。これにより、電動発電機12は、エンジン11の回転数を低下させる為の負の回転トルクを出力する。すなわち、電動発電機12は、エンジン11の駆動力を利用して発電を行う。このとき、エンジン11の回転数は、所定の回転数Δr2だけ低下する。この回転数の低下は、図7において矢印fで示される。
【0074】
エンジン11の回転数をΔr2だけ低下させると、それに伴い出力も低下し、エンジン11の動作は点Gに移る。エンジン11に現在要求されている回転トルクは点Fにおける回転トルクなので、点Gから矢印gで示される方向にエンジン11の動作状態を移すことにより、エンジン11の回転トルクをΔt4だけ大きくする。その結果、エンジン11の動作は点Gから点Dに移る。点Dは、点Fを通る等出力線と基準トルク線TSとの交点である。
【0075】
以上のように、エンジン11の負荷が減少して回転トルクを低下させる際には、基準トルク線TSからのトルク偏差Δt3に相当するエンジン回転数の増大分Δr2を求め、エンジン11の目標回転数を現在の回転数ReからΔr2を減じた値(Re−Δr2)に更新する。そして、エンジン11の回転数が更新した目標回転数(Re−Δr2)に近づくように、電動発電機12のインバータ回路18に発電指令を送る。これにより、エンジン11の回転数を低下させて出力を減少させながら、基準トルク線TSに沿った燃料消費率を達成することができる。
【0076】
以上に説明した変形例においては、エンジン11の回転数を所定のトルク範囲内で基準トルク線TSに沿って任意の回転数に制御しながら、燃料消費率が低くなる条件でエンジン11を動作させる。また、回転トルクが基準トルク線TSを中心にした所定のトルク範囲を越えた(或いは下回った)場合にエンジン回転数を可変制御することにより、燃料消費率が低くなる条件でエンジン11を動作させる。従って、本変形例のハイブリッド型建設機械によれば、要求負荷の増減に対して燃料消費率を更に向上することができる。
【0077】
(第2の変形例)
図10は、別の変形例に係るハイブリッド型建設機械の構成を示すブロック図である。本変形例と上記実施形態との相違点は、旋回用油圧モータ2cに代えて旋回用電動機21を設けた点である。
【0078】
本変形例の蓄電手段120には、インバータ回路20が接続されている。インバータ回路20の一端には旋回用電動機21が接続されており、インバータ回路20の他端は蓄電手段120のDCバス110に接続されている。旋回用電動機21は、旋回体4を旋回させる旋回機構3の動力源である。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
【0079】
旋回用電動機21が力行運転を行う際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が旋回減速機24にて増幅され、旋回体4が加減速制御され回転運動を行う。また、旋回体4の慣性回転により、旋回減速機24にて回転数が増加されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させる。旋回用電動機21は、PWM制御信号によりインバータ回路20によって交流駆動される。旋回用電動機21としては、例えば、磁石埋込型のIPMモータが好適である。
【0080】
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転位置及び回転角度を検出するセンサであり、旋回用電動機21と機械的に連結することで回転軸21Aの回転角度及び回転方向を検出する。レゾルバ22が回転軸21Aの回転角度を検出することにより、旋回機構3の回転角度及び回転方向が導出される。メカニカルブレーキ23は、機械的な制動力を発生させる制動装置であり、コントローラ30Aからの指令によって、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させる。旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aの回転速度を減速して旋回機構3に機械的に伝達する減速機である。
【0081】
なお、DCバス110には、インバータ回路18及び20を介して、電動発電機12及び旋回用電動機21が接続されているので、電動発電機12で発電された電力が旋回用電動機21に直接的に供給される場合もあり、旋回用電動機21で回生された電力が電動発電機12に供給される場合もある。
【0082】
操作装置26には、油圧ライン28を介して圧力センサ29が接続される。操作装置26から出力される2次側の油圧は、圧力センサ29によって検出される。圧力センサ29は、操作装置26に対して旋回機構3を旋回させるための操作が入力されると、この操作量を油圧ライン28内の油圧の変化として検出する。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号は、コントローラ30A(30B)に入力され、旋回用電動機21の駆動制御に用いられる。
【0083】
コントローラ30A(30B)は、圧力センサ29から入力される信号のうち、旋回機構3を旋回させるための操作量を表す信号を速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。
【0084】
たとえば本変形例のような構成のハイブリッド型建設機械であっても、上記実施形態による作用効果を好適に得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1…ハイブリッド型建設機械、2…走行機構、2a,2b…油圧モータ、3…旋回機構、4…旋回体、5…ブーム、6…アーム、7…バケット、8…ブームシリンダ、9…アームシリンダ、10…バケットシリンダ、11…エンジン、12…電動発電機、13…変速機、14…メインポンプ、15…パイロットポンプ、16…高圧油圧ライン、17…コントロールバルブ、18…インバータ回路、19…キャパシタ、26…操作装置、30A,30B…コントローラ、31…負荷推定部、32…トルク偏差算出部、33…負荷判定部、34…指令値演算部、35…トルク算出部、36…速度制御部、37…スイッチ部、38…トルク制御部、39A,39B…制御方法判定部、40…ECU、41,42…回転速度センサ、100…昇降圧コンバータ、101…リアクトル、110…DCバス、120…蓄電手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関発動機と、
前記内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、
前記内燃機関発動機に連結され、前記内燃機関発動機の駆動力により発電を行い、自身の駆動力により前記内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、
前記電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、
前記内燃機関発動機の回転数及び前記電動発電機の回転トルクを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる前記内燃機関発動機の負荷を算出し、
前記回転速度検出値と、前記内燃機関発動機の負荷に対応する回転速度目標値との偏差が所定の範囲に含まれる場合に、前記内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、前記内燃機関発動機の駆動力による発電または前記内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように前記電動発電機の回転トルクを制御し、
前記偏差が前記所定の範囲を超えた場合に、前記内燃機関発動機の前記回転速度目標値に基づいて正の回転トルクを前記電動発電機から出力させ、
前記偏差が前記所定の範囲を下回った場合に、前記内燃機関発動機の前記回転速度目標値に基づいて負の回転トルクを前記電動発電機から出力させる
ことを特徴とする、ハイブリッド型建設機械。
【請求項2】
内燃機関発動機と、
前記内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、
前記内燃機関発動機に連結され、前記内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により前記内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、
前記電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、
前記内燃機関発動機の回転数及び前記電動発電機の回転トルクを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる前記内燃機関発動機の負荷を算出し、
前記内燃機関発動機の負荷から算出される必要トルクが所定のトルク範囲に含まれる場合に、前記内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、前記内燃機関発動機の駆動力による発電または前記内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように前記電動発電機の回転トルクを制御し、
前記必要トルクが前記所定のトルク範囲を超えた場合に、前記内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて正の回転トルクを前記電動発電機から出力させ、
前記必要トルクが前記所定のトルク範囲を下回った場合に、前記内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて負の回転トルクを前記電動発電機から出力させる
ことを特徴とする、ハイブリッド型建設機械。
【請求項3】
前記制御部は、前記電動発電機を回転トルクの制御から、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づく制御に切り替えるスイッチ部を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッド型建設機械。
【請求項4】
前記制御部は、
前記内燃機関発動機の負荷を判定する負荷判定部と、
前記負荷判定部による負荷判定結果に基づいて前記内燃機関発動機の前記回転速度目標値を生成する指令値演算部と
を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイブリッド型建設機械。
【請求項5】
前記制御部の前記指令値演算部は、前記負荷判定結果に基づいてポンプ馬力設定信号を更に生成することを特徴とする、請求項4に記載のハイブリッド型建設機械。
【請求項6】
内燃機関発動機と、
前記内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、
前記内燃機関発動機に連結され、前記内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により前記内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、
前記電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、
前記内燃機関発動機の回転数及び前記電動発電機の回転トルクを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる負荷を推定するとともに、前記速度検出部から提供される前記内燃機関発動機の回転速度検出値に基づいて前記内燃機関発動機の現在の出力を算出し、
前記負荷から算出される必要トルクが前記回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれる場合に、前記内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、前記現在の出力と前記負荷との差に応じて前記内燃機関発動機の駆動力による発電または前記内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように前記電動発電機の回転トルクを制御し、
前記必要トルクが前記所定のトルク範囲を超えた場合に、前記内燃機関発動機の回転速度を増速させる為の正の回転トルクを前記電動発電機から出力させ、
前記必要トルクが前記所定のトルク範囲を下回った場合に、前記内燃機関発動機の駆動力による発電を行うことにより、前記内燃機関発動機の回転速度を減速させる為の負の回転トルクを前記電動発電機から出力させる
ことを特徴とする、ハイブリッド型建設機械。
【請求項1】
内燃機関発動機と、
前記内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、
前記内燃機関発動機に連結され、前記内燃機関発動機の駆動力により発電を行い、自身の駆動力により前記内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、
前記電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、
前記内燃機関発動機の回転数及び前記電動発電機の回転トルクを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる前記内燃機関発動機の負荷を算出し、
前記回転速度検出値と、前記内燃機関発動機の負荷に対応する回転速度目標値との偏差が所定の範囲に含まれる場合に、前記内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、前記内燃機関発動機の駆動力による発電または前記内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように前記電動発電機の回転トルクを制御し、
前記偏差が前記所定の範囲を超えた場合に、前記内燃機関発動機の前記回転速度目標値に基づいて正の回転トルクを前記電動発電機から出力させ、
前記偏差が前記所定の範囲を下回った場合に、前記内燃機関発動機の前記回転速度目標値に基づいて負の回転トルクを前記電動発電機から出力させる
ことを特徴とする、ハイブリッド型建設機械。
【請求項2】
内燃機関発動機と、
前記内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、
前記内燃機関発動機に連結され、前記内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により前記内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、
前記電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、
前記内燃機関発動機の回転数及び前記電動発電機の回転トルクを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる前記内燃機関発動機の負荷を算出し、
前記内燃機関発動機の負荷から算出される必要トルクが所定のトルク範囲に含まれる場合に、前記内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、前記内燃機関発動機の駆動力による発電または前記内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように前記電動発電機の回転トルクを制御し、
前記必要トルクが前記所定のトルク範囲を超えた場合に、前記内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて正の回転トルクを前記電動発電機から出力させ、
前記必要トルクが前記所定のトルク範囲を下回った場合に、前記内燃機関発動機の回転速度目標値に基づいて負の回転トルクを前記電動発電機から出力させる
ことを特徴とする、ハイブリッド型建設機械。
【請求項3】
前記制御部は、前記電動発電機を回転トルクの制御から、内燃機関発動機の回転速度目標値に基づく制御に切り替えるスイッチ部を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッド型建設機械。
【請求項4】
前記制御部は、
前記内燃機関発動機の負荷を判定する負荷判定部と、
前記負荷判定部による負荷判定結果に基づいて前記内燃機関発動機の前記回転速度目標値を生成する指令値演算部と
を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイブリッド型建設機械。
【請求項5】
前記制御部の前記指令値演算部は、前記負荷判定結果に基づいてポンプ馬力設定信号を更に生成することを特徴とする、請求項4に記載のハイブリッド型建設機械。
【請求項6】
内燃機関発動機と、
前記内燃機関発動機の回転速度を検出する速度検出部と、
前記内燃機関発動機に連結され、前記内燃機関発動機の駆動力により発電を行うとともに、自身の駆動力により前記内燃機関発動機の駆動力を補助する電動発電機と、
前記電動発電機と電気的に接続された蓄電池と、
前記内燃機関発動機の回転数及び前記電動発電機の回転トルクを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
当該ハイブリッド型建設機械において必要とされる負荷を推定するとともに、前記速度検出部から提供される前記内燃機関発動機の回転速度検出値に基づいて前記内燃機関発動機の現在の出力を算出し、
前記負荷から算出される必要トルクが前記回転速度検出値に応じた所定のトルク範囲に含まれる場合に、前記内燃機関発動機の回転速度を維持しつつ、前記現在の出力と前記負荷との差に応じて前記内燃機関発動機の駆動力による発電または前記内燃機関発動機の駆動力の補助を行うように前記電動発電機の回転トルクを制御し、
前記必要トルクが前記所定のトルク範囲を超えた場合に、前記内燃機関発動機の回転速度を増速させる為の正の回転トルクを前記電動発電機から出力させ、
前記必要トルクが前記所定のトルク範囲を下回った場合に、前記内燃機関発動機の駆動力による発電を行うことにより、前記内燃機関発動機の回転速度を減速させる為の負の回転トルクを前記電動発電機から出力させる
ことを特徴とする、ハイブリッド型建設機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−25249(P2012−25249A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164886(P2010−164886)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
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