説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】クラッチの入力回転数と出力回転数とを素早く同期させる。
【解決手段】無段変速機の入力側にはエンジンが連結され、無段変速機の出力側にはクラッチを介して電動モータが連結される。また、電動モータには駆動輪が連結される。EVモードからHEVモードに切り換えるため、クラッチを締結状態に切り換える際には、エンジンの回転数制御および無段変速機の変速制御が実行され、車速に連動する出力回転数に向けて入力回転数が引き上げられる。この同期制御においては、エンジンは固定された目標回転数TNe2に向けて最大出力トルクで制御される。また、無段変速機は、入力回転数Nciと出力回転数Ncoとの回転数差を解消するように最大変速速度でアップシフトされる。これにより、入力回転数Nciを素早く引き上げることができ、入力回転数Nciと出力回転数Ncoとを素早く同期させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速機の入力側に連結されるエンジンと、無段変速機の出力側に連結される電動モータと、電動モータに連結される駆動輪とを備えるハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無段変速機を備えるハイブリッド車両として、無段変速機の入力側にエンジンを組み付ける一方、無段変速機の出力側に電動モータを組み付けるようにしたハイブリッド車両が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド車両はエンジンと電動モータとの間にクラッチを有しており、クラッチを制御することによって走行モードを切り換えることが可能となっている。すなわち、クラッチを解放することでエンジンを駆動輪から切り離すことが可能となり、クラッチを締結することでエンジンを駆動輪に接続することが可能となる。このクラッチを締結状態に切り換える際には、締結前にクラッチ前後の回転数を同期させることにより、クラッチの締結ショックを抑制することが重要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−266012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クラッチの入力回転数はエンジン回転数に連動する一方、クラッチの出力回転数は車速に連動している。したがって、走行中にクラッチを締結して走行モードを切り換える際には、エンジンを始動して回転数制御を行うことにより、車速に連動する出力回転数に向けて入力回転数を引き上げる必要がある。しかしながら、車速変化に伴って出力回転数が変化した場合には、入力回転数つまりエンジン回転数の目標値を変化させる必要があることから、クラッチの同期制御に時間が掛かるという問題がある。特に、エンジンの応答性は低いことから、頻繁にエンジンの目標回転数が変化する状況では、迅速な同期制御が困難となっていた。
【0005】
本発明の目的は、クラッチの入力回転数と出力回転数とを素早く同期させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、無段変速機の入力側に連結されるエンジンと、前記無段変速機の出力側に連結される電動モータと、前記電動モータに連結される駆動輪とを備えるハイブリッド車両の制御装置であって、前記エンジンと前記電動モータとの間に設けられ、前記駆動輪に前記エンジンを連結する際に締結状態に切り換えられる一方、前記駆動輪から前記エンジンを切り離す際に解放状態に切り換えられるクラッチと、前記クラッチを解放状態から締結状態に切り換える際に、前記エンジンの回転数および前記無段変速機の変速比を制御し、前記クラッチの入力回転数と出力回転数とを同期させる同期制御手段とを有し、前記同期制御手段は、前記エンジンの目標回転数を固定するとともに、前記無段変速機の目標変速比を前記入力回転数と前記出力回転数との回転数差に基づき変化させることを特徴とする。
【0007】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、前記クラッチは前記無段変速機と前記電動モータとの間に設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、前記同期制御手段は、前記目標回転数の所定範囲内に前記エンジンの回転数が収束する迄は、最大出力トルクで前記エンジンを制御する一方、前記所定範囲内に前記エンジンの回転数が収束した後には、前記エンジンの回転数と前記目標回転数との回転数差に基づき出力トルクを増減させて前記エンジンを制御することを特徴とする。
【0009】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、前記同期制御手段は、前記無段変速機を最大変速速度で制御する際の予測変速比と、前記エンジンを最大出力トルクで制御する際の予測回転数とに基づき、前記クラッチの前記入力回転数が前記出力回転数に同期するまでの同期時間を算出し、前記同期時間が経過したときの前記予測回転数を前記目標回転数として設定することを特徴とする。
【0010】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、前記同期制御手段は、車両加速度が所定値を上回る場合に、前記目標回転数を再設定することを特徴とする。
【0011】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、前記クラッチの前記入力回転数と前記出力回転数との回転数差が所定値以内となり、かつ前記クラッチの入力回転加速度と出力回転加速度との加速度差が所定値以内となる場合に、前記クラッチを締結状態に切り換えるクラッチ制御手段を有することを特徴とする。
【0012】
本発明のハイブリッド車両の制御装置は、前記エンジンと前記無段変速機との間に、締結状態と解放状態とに切り換えられる第2クラッチを有し、前記第2クラッチは、前記エンジンの回転数が所定値を超えてから締結状態に切り換えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、入力回転数と出力回転数とを同期させる際に、エンジンの目標回転数を固定したので、エンジン回転数を目標回転数付近に早期に収束させることができ、入力回転数と出力回転数とを素早く同期させることが可能となる。また、入力回転数と出力回転数とを同期させる際に、無段変速機の目標変速比を入力回転数と出力回転数との回転数差に基づき変化させたので、車速変化等の外乱が生じた場合であっても、確実に入力回転数と出力回転数とを同期させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ハイブリッド車両に搭載されるパワーユニットを示す概略図である。
【図2】(a)〜(c)はEVモードからHEVモードへの走行モードの切換過程を示す説明図である。
【図3】(a)〜(c)はEVモードからHEVモードへの走行モードの切換過程を示す説明図である。
【図4】パワーユニットとその制御系との一部の構成を示す概略図である。
【図5】仮目標回転数を算出する際の手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】仮目標回転数を算出する際に参照されるエンジン回転数の特性線図である。
【図7】仮目標回転数を算出する際に参照される変速比の特性線図である。
【図8】EVモードからHEVモードに走行モードを切り換える際の手順を示すフローチャートである。
【図9】EVモードからHEVモードに走行モードを切り換える際の手順を示すフローチャートである。
【図10】同期制御における入力回転数、出力回転数、変速比、エンジン回転数の変化を示すタイムチャートである。
【図11】無段変速機を最大変速速度でダウンシフトさせたときの変速比の上昇特性を示す特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はハイブリッド車両に搭載されるパワーユニット10を示す概略図である。このパワーユニット10は、本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の制御装置によって制御されている。図1に示すように、パワーユニット10は無段変速機11を有しており、無段変速機11の入力側にはトルクコンバータ12を介してエンジン13が連結される一方、無段変速機11の出力側にはクラッチ14を介してモータジェネレータ(電動モータ)15が連結されている。また、モータジェネレータ15には、デファレンシャル機構16を介して駆動輪17が連結されている。このようなパワーユニット10においては、クラッチ14を締結することでエンジン13を駆動輪17に連結することが可能となり、クラッチ14を解放することでエンジン13を駆動輪17から切り離すことが可能となる。
【0016】
無段変速機11は、プライマリ軸20とこれに平行となるセカンダリ軸21とを有している。プライマリ軸20にはプライマリプーリ22が設けられており、プライマリプーリ22の背面側にはプライマリ油室23が区画されている。また、セカンダリ軸21にはセカンダリプーリ24が設けられており、セカンダリプーリ24の背面側にはセカンダリ油室25が区画されている。さらに、プライマリプーリ22およびセカンダリプーリ24には駆動チェーン26が巻き掛けられている。プライマリ油室23およびセカンダリ油室25の油圧を調整することにより、プーリ溝幅を変化させて駆動チェーン26の巻き付け径を変化させることができ、プライマリ軸20からセカンダリ軸21に対する無段変速が可能となる。なお、チェーンドライブ式の無段変速機11に限られることはなく、ベルトドライブ式やトラクションドライブ式の無段変速機であっても良い。
【0017】
無段変速機11にエンジン動力を伝達するため、エンジン13とプライマリプーリ22との間にはトルクコンバータ12が設けられている。トルクコンバータ12は、クランク軸30に連結されるポンプインペラ31と、このポンプインペラ31に対向するとともにタービン軸32に連結されるタービンランナ33とを備えている。また、トルクコンバータ12にはロックアップクラッチ(第2クラッチ)34が組み込まれている。ロックアップクラッチ34はタービンランナ33に連結されるクラッチプレート35を有しており、このクラッチプレート35はフロントカバー36とタービンランナ33との間に配置されている。クラッチプレート35のタービンランナ33側にはアプライ室37が区画されており、クラッチプレート35のフロントカバー36側にはリリース室38が区画されている。アプライ室37に作動油を供給してリリース室38から作動油を排出することにより、クラッチプレート35はフロントカバー36に押し付けられ、ロックアップクラッチ34はクランク軸30とタービン軸32とを直結する締結状態となる。一方、リリース室38に作動油を供給してアプライ室37から作動油を排出することにより、クラッチプレート35はフロントカバー36から引き離され、ロックアップクラッチ34はクランク軸30とタービン軸32とを切り離す解放状態となる。なお、図示する場合には、トルクコンバータ12のタービン軸32と無段変速機11のプライマリ軸20とが直結されるが、これに限られることはなく、タービン軸32とプライマリ軸20との間に遊星歯車列等からなる前後進切換機構を組み付けても良く、タービン軸32とプライマリ軸20との間にギヤ列を組み付けても良い。
【0018】
前述したように、セカンダリプーリ24とモータジェネレータ15との間には、走行モードを切り換えるためのクラッチ14が設けられている。このクラッチ14は、セカンダリ軸21に連結されるクラッチ入力軸40と、モータジェネレータ15のロータ15aに連結されるクラッチ出力軸41とを備えている。クラッチ入力軸40には摩擦板42aを備えたクラッチドラム42が連結されており、クラッチ出力軸41には摩擦板43aを備えたクラッチハブ43が連結されている。また、クラッチドラム42には油圧ピストン44が組み込まれており、油圧ピストン44の背面側には締結油室45が区画されている。この締結油室45に作動油を供給することにより、油圧ピストン44を摩擦板42a,43aに向けて移動させることが可能となる。これにより、油圧ピストン44によって摩擦板42a,43aを互いに押し付けることができ、クラッチ14を締結状態に切り換えることが可能となる。一方、締結油室45から作動油を排出することにより、油圧ピストン44を摩擦板42a,43aから引き離すことが可能となる。これにより、摩擦板42a,43aの押し付けを解除することができ、クラッチ14を解放状態に切り換えることが可能となる。なお、クラッチ14としては、図示する油圧クラッチに限られることはなく、電磁力によって締結状態と解放状態とに切り換えられる電磁クラッチであっても良い。また、クラッチ14としては、図示する摩擦クラッチに限られることはなく、噛合クラッチであっても良い。
【0019】
無段変速機11、ロックアップクラッチ34、クラッチ14等に対して作動油を供給するため、エンジン13にはポンプインペラ31を介してオイルポンプ46が連結されている。また、オイルポンプ46にはバルブユニット47が接続されており、バルブユニット47を介して無段変速機11、ロックアップクラッチ34およびクラッチ14等に作動油が供給制御されている。なお、バルブユニット47には複数の電磁弁が組み込まれており、これらの電磁弁は後述する制御ユニット50によって制御されている。
【0020】
図2および図3はEVモードからHEVモードへの走行モードの切換過程を示す説明図である。図2(a)〜(c)には、EVモードにおいて無段変速機11が減速側(Low側)に停止している状況からの切換過程が示されている。また、図3(a)〜(c)には、EVモードにおいて無段変速機11が増速側(High側)に停止している状況からの切換過程が示されている。ここで、EVモードとは、クラッチ14を解放状態に切り換えることにより、駆動輪17からエンジン13を切り離して走行させる走行モードである。すなわち、動力源としてモータジェネレータ15のみが駆動輪17に連結されており、モータ動力のみが駆動輪17に伝達される状態となっている。また、HEVモードとは、クラッチ14を締結状態に切り換えることにより、駆動輪17にエンジン13を接続して走行させる走行モードである。すなわち、駆動源としてモータジェネレータ15およびエンジン13が駆動輪17に連結されており、モータ動力およびエンジン動力が駆動輪17に伝達される状態となっている。なお、HEVモードにおいて、モータジェネレータ15を空転状態に制御することにより、エンジン動力のみを駆動輪17に伝達することも可能である。
【0021】
図2(a)に示すように、クラッチ14が解放されるEVモードでの走行時には、クラッチ出力軸41は車速に連動して回転する一方、クラッチ入力軸40は停止した状態となっている。すなわち、クラッチ14の入力回転数Nciは出力回転数Ncoに比べて大幅に低下した状態となっている。このEVモードからクラッチ14を締結してHEVモードに移行させるためには、図2(b)に示すように、エンジン13を始動してエンジン13の回転数(エンジン回転数Ne)を引き上げることにより、クラッチ14の入力回転数Nciを出力回転数Ncoに向けて引き上げる必要がある。図2(a)に示すように、無段変速機11が減速側で停止している場合には、エンジン回転数Neが減速されてクラッチ入力軸40に伝達されるため、入力回転数Nciを素早く引き上げることが困難となる。そこで、図2(b)に示すように、エンジン回転数Neを引き上げるとともに、無段変速機11を増速側にアップシフトさせ、入力回転数Nciを出力回転数Ncoに向けて素早く上昇させている。そして、入力回転数Nciが出力回転数Ncoに到達すると、図2(c)に示すように、クラッチ14が締結状態に切り換えられ、EVモードからHEVモードへの切り換えが完了する。
【0022】
一方、図3(a)に示すように、無段変速機11が増速側で停止している場合には、エンジン回転数Neが増速されてクラッチ入力軸40に伝達されるため、前述したようにエンジン回転数Neを引き上げると、入力回転数Nciが出力回転数Ncoを上回ることが考えられる。そこで、無段変速機11の変速比iが小さすぎる場合、つまりエンジン回転数が所定回転数(例えば1000rpm)に保持されたときに入力回転数Nciが出力回転数Ncoを超える変速比である場合には、図3(b)に示すように、無段変速機11を減速側にダウンシフトしている。このように、入力回転数Nciを引き下げる方向に変速制御を実行することにより、入力回転数Nciを出力回転数Ncoに向けて収束させることが可能となる。そして、入力回転数Nciが出力回転数Ncoに到達すると、図3(c)に示すように、クラッチ14が締結状態に切り換えられ、EVモードからHEVモードへの切り換えが完了する。なお、同期制御においてエンジン回転数Neをアイドリング回転数(例えば600rpm)ではなく、所定回転数(例えば1000rpm)に保持する理由としては、オイルポンプ46を適切に駆動して無段変速機11の変速制御に必要な油圧を確保するためである。
【0023】
このように、クラッチ14を締結して走行モードをEVモードからHEVモードに切り換える際には、入力回転数Nciを出力回転数Ncoに対して素早く同期させることが重要となっている。そこで、本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の制御装置は、前述したように、エンジン13の回転数制御を実行するとともに無段変速機11の変速制御を実行している。以下、ハイブリッド車両の制御装置による同期制御について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、図2(b)に示した無段変速機11のアップシフトを伴う同期制御について説明した後に、図3(b)に示した無段変速機11のダウンシフトを伴う同期制御について説明する。
【0024】
図4はパワーユニット10とその制御系との一部の構成を示す概略図である。図4に示すように、エンジン13、ロックアップクラッチ34、無段変速機11、クラッチ14を制御するため、ハイブリッド車両の制御系には同期制御手段として機能する制御ユニット50が設けられている。制御ユニット50には、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ51、入力回転数Nciを検出する入力回転数センサ52、出力回転数Ncoを検出する出力回転数センサ53、車速を検出する車速センサ54、車両加速度を検出する加速度センサ55、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル開度センサ56等が接続されている。そして、制御ユニット50は、各種センサ等からの情報に基づき走行モードを判定し、エンジン13、ロックアップクラッチ34、無段変速機11、クラッチ14等に向けて制御信号を出力する。なお、制御ユニット50は、制御信号等を演算するCPUを備えるとともに、制御プログラム、演算式、マップデータ等を格納するROMや、一時的にデータを格納するRAMを備えている。
【0025】
図4に示すように、制御ユニット50は走行モード判定部60を有しており、走行モード判定部60は走行状態に基づき走行モード(EVモード,HEVモード)を判定する。また、制御ユニット50は、同期制御中にエンジン13の回転数制御を実行するため、仮目標回転数算出部61、目標回転数算出部62、エンジン制御部63を有している。仮目標回転数算出部61は、同期制御に備えてEVモード中に仮目標回転数TNe1を算出する。そして、同期制御が開始されると、目標回転数算出部62は、仮目標回転数TNe1に基づきエンジン13の目標回転数TNe2を設定し、エンジン制御部63は、目標回転数TNe2に基づき吸入空気量や燃料噴射量等を制御する。また、制御ユニット50はロックアップ制御部64を有しており、同期制御中にロックアップ制御部64はエンジン回転数Neに基づきロックアップクラッチ34の作動状態を制御する。また、制御ユニット50は変速制御部65を有しており、変速制御部65は同期制御に伴い無段変速機11の変速制御を実行する。さらに、制御ユニット50は、同期制御後にクラッチ14を締結状態に切り換えるため、同期判定部66とクラッチ制御部67とを有している。同期判定部66は、入力回転数Nciと出力回転数Ncoとに基づきクラッチ14の同期状態を判定し、クラッチ制御部67は、同期状態の判定結果に基づきクラッチ14の作動状態を制御する。
【0026】
以下、同期制御の内容について詳細に説明する。図5は仮目標回転数TNe1を算出する際の手順の一例を示すフローチャートである。また、図6は仮目標回転数TNe1を算出する際に参照されるエンジン回転数の特性線図である。さらに、図7は仮目標回転数TNe1を算出する際に参照される変速比の特性線図である。図5に示すように、ステップS1では同期時間Δtが「0」に設定され、続くステップS2では、現在の変速比iに基づいて、アップシフトを伴う同期制御が必要であるか否かが判定される。前述したように、エンジン回転数を1000rpmに保持したときに、入力回転数Nci(=1000/i)が出力回転数Nco以上に達する場合には、同期制御においてエンジン回転数を引き上げることなくダウンシフトを実施する必要がある。すなわち、ステップS2において、現在の出力回転数Ncoが、1000rpmを変速比iで除算して得られる入力回転数Nci以下となる場合には、ダウンシフトを伴う同期制御が必要となると判断される。この場合には、エンジン回転数を上昇させる所謂ブリッピングの必要がないことから、ステップS3に進み、エンジン13の仮目標回転数TNe1として1000rpmが設定される。このダウンシフトを伴う同期制御についてはアップシフトを伴う同期制御を説明した後に改めて説明する。
【0027】
一方、ステップS2において、現在の出力回転数Ncoが、1000rpmを変速比iで除算して得られる入力回転数Nciを上回る場合には、アップシフトを伴う同期制御が必要になると判断される。この場合には、エンジン回転数を上昇させる所謂ブリッピングの必要があることから、ステップS4からの手順に沿って、適切なエンジン13の仮目標回転数TNe1が設定される。ステップS4では所定時間tを加算して同期時間Δtが更新される。続くステップS5では、更新された同期時間Δtを用いて図6の特性線図を参照し、同期時間Δtが経過した時の予測回転数であるエンジン回転数Ne(t)が推定される。例えば、更新された同期時間がΔt1であった場合には、エンジン回転数としてNe(t1)が推定され、更新された同期時間がΔt2であった場合には、エンジン回転数としてNe(t2)が推定される。ここで、図6の特性線図は、エンジン13を最大出力トルクで制御した時の特性線図である。すなわち、図6の特性線図は、最速でエンジン回転数を上昇させたときの上昇特性を示す線図となっている。なお、図6の特性線図においては、符号aで示すように、同期時間Δtの起点が「エンジン回転数=0」となっているが、これに限られることはない。同期時間Δtの起点となるエンジン回転数は、ステップS1で同期時間Δtをリセットした時点でのエンジン回転数である。
【0028】
図5に示すように、続くステップS6では、更新された同期時間Δtを用いて図7の特性線図を参照し、同期時間Δtが経過した時の予測変速比である変速比i(t)が推定される。例えば、更新された同期時間がΔt1であった場合には、変速比としてi(t1)が推定され、更新された同期時間がΔt2であった場合には、変速比としてi(t2)が推定される。ここで、図7の特性線図は、無段変速機11を最大変速速度でアップシフト側に制御した時の特性線図である。すなわち、図7の特性線図は、無段変速機11を最速でアップシフトさせたときの変速比の下降特性を示す線図となっている。なお、図7の特性線図においては、符号aで示すように、同期時間Δtの起点が「最大変速比」となっているが、これに限られることはない。同期時間Δtの起点となる変速比は、EVモードで停止している無段変速機11の変速比、つまりクラッチ14が解放されてHEVモードからEVモードに切り換えられた時点での変速比である。なお、エンジン13が停止するとともにクラッチ14が解放されるEVモードにおいて、無段変速機11の変速比が変化してしまうことはない。
【0029】
続いて、ステップS7では、ステップS5で求められたエンジン回転数Ne(t)と、ステップS6で求められた変速比i(t)とを用い、以下の式(1)から同期時間Δtが経過した時の入力回転数Nci(t)を算出する。なお、図1に示すように、図示するパワーユニット10はクランク軸30とクラッチ入力軸40との間にギヤ列を有していないため、エンジン回転数Ne(t)と変速比i(t)とを用いて入力回転数Nci(t)を算出している。しかしながら、クランク軸30とクラッチ入力軸40との間にギヤ列を有している場合には、ギヤ列のギヤ比を考慮して入力回転数Nci(t)が算出される。
Nci(t)=Ne(t)/i(t) …(1)
【0030】
続いて、ステップS8では、ステップS7で算出された入力回転数Nci(t)と、出力回転数センサ53からの出力回転数Ncoとが比較判定される。入力回転数Nci(t)と出力回転数Ncoとの回転数差が所定値以内である場合には、ステップS9に進み、エンジン回転数Ne(t)が仮目標回転数TNe1として設定される。一方、入力回転数Nci(t)と出力回転数Ncoとの回転数差が所定値を超えた場合には、再びステップS4からの手順に沿って、同期時間Δtを更新して新たな入力回転数Nci(t)が算出される。この入力回転数Nci(t)の算出は、入力回転数Nci(t)と出力回転数Ncoとが同期するまで繰り返される。すなわち、入力回転数Nci(t)と出力回転数Ncoとが同期するまで、同期時間Δtを更新しながらエンジン回転数Ne(t)が求められ、最終的なエンジン回転数Ne(t)が仮目標回転数TNe1として設定されることになる。
【0031】
前述したように、図6の特性線図は、最大出力トルクでエンジン回転数を上昇させたときの上昇特性を示す線図である。また、図7の特性線図は、最大変速速度でアップシフトさせたときの変速比の下降特性を示す線図である。すなわち、図5のフローチャートに沿って最終的に更新された同期時間Δtは、出力回転数Ncoに入力回転数Nciが同期する迄の最短時間を意味している。そして、この最短の同期時間Δtを達成するために必要なエンジン回転数Ne(t)が、仮目標回転数TNe1として設定されることになる。
【0032】
続いて、図8および図9はEVモードからHEVモードに走行モードを切り換える際の手順を示すフローチャートである。なお、図8および図9のフローチャートは、符号a,bの箇所で互いに接続されている。最初はEVモードに設定されることから、ステップS11では、前述した手順に沿って仮目標回転数TNe1が設定される。続いて、ステップS12では、エンジン13が停止しているか否かが判定される。ステップS12において、エンジン13が停止していると判定された場合には、ステップS13に進み、車両状態に基づいてEVモードからHEVモードに切り換えるか否かが判定される。例えば、車速が上昇して高車速領域に達した場合、アクセルペダルが大きく踏み込まれた場合、図示しないバッテリの充電状態SOCが所定値を下回る場合等には、EVモードからHEVモードへの切り換えが選択される。
【0033】
ステップS13において、EVモードを維持すると判定された場合には、再びステップS11に進み、仮目標回転数TNe1が設定される。一方、ステップS13において、HEVモードに切り換えると判定された場合には、続くステップS14においてエンジン13が始動され、ステップS15においてエンジン13が完爆状態であるか否かが判定される。なお、ステップS15においては、エンジン回転数Neが例えば500rpmを上回った場合に、エンジン始動が完了した完爆状態であると判定される。このステップS15において、エンジン13が完爆状態であると判定された場合には、ステップS16に進み、ステップS11で設定されていた仮目標回転数TNe1がエンジン13の目標回転数TNe2として設定される。そして、次のステップS17では、目標回転数TNe2に向けてエンジン13が最大出力トルクで制御される。このステップS17においては、最大出力トルクが得られるように、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)が制御される。すなわち、図6の特性線図に沿うように、エンジン回転数が目標回転数TNe2に向けて素早く上昇することになる。
【0034】
続いて、図9に示すように、ステップS18に進み、車両加速度が所定値である閾値Aを下回るか否かが判定される。ステップS18において、車両加速度が閾値Aを上回ると判定された場合には、急加速や急減速に伴って出力回転数Ncoが大きく変動する状況であることから、再びステップS11に進み、仮目標回転数TNe1が再設定される。この場合には、既にエンジン13が始動されていることから完爆判定を行うことなく、ステップS12からステップS16に進み、仮目標回転数TNe1がエンジン13の目標回転数TNe2として設定される。一方、ステップS18において、車両加速度が閾値Aを下回ると判定された場合には、出力回転数Ncoが大きく変動しない状況であることから、ステップS19に進み、無段変速機11の変速制御が実行される。
【0035】
ステップS19においては、以下の式(2)を用いてエンジン回転数Neおよび出力回転数Ncoから目標変速比Tiを算出し、この目標変速比Tiに向けて最大変速速度で無段変速機11を制御する。このように、変速制御を実行することにより、無段変速機11の出力側に連結されるクラッチ入力軸40が、出力回転数Ncoに一致するように増速される。すなわち、出力回転数Ncoに入力回転数Nciを同期させるため、入力回転数Nciと出力回転数Ncoとの回転数差が「0」となるように、目標変速比Tiが設定されて変速制御が実行されることになる。なお、式(2)においては、プライマリプーリ22の回転数(プライマリ回転数)に相当する回転数としてエンジン回転数Neを用いているが、プライマリ回転数を検出するセンサを有する場合には、エンジン回転数Neに代えてプライマリ回転数が用いられる。
Ti=Ne/Nco …(2)
【0036】
続いて、ステップS20では、エンジン回転数Neがアイドリング回転数(例えば600rpm)以上であるか否かが判定される。ステップS20において、エンジン回転数Neが所定値であるアイドリング回転数を上回ると判定された場合には、ステップS21に進み、ロックアップクラッチ34が締結状態に切り換えられる。このように、早期にロックアップクラッチ34を締結状態に切り換えることにより、エンジン13をプライマリプーリ22に直結することができ、ステップS19での変速制御による入力回転数Nciの制御精度を向上させることが可能となる。しかも、エンジン回転数Neがアイドリング回転数を上回ってから、ロックアップクラッチ34を締結するようにしたので、クラッチ締結に伴う音や振動の発生を抑制することが可能となる。
【0037】
続いて、ステップS22では、目標回転数TNe2とエンジン回転数Neとの回転数差が、所定の閾値Bを下回るか否かが判定される。このステップS22において、回転数差(|TNe2−Ne|)が閾値Bを下回る場合、つまり目標回転数TNe2にエンジン回転数Neが近づいた場合には、ステップS23に進み、目標回転数TNe2に向けてエンジン13がフィードバック制御される。すなわち、目標回転数TNe2の所定範囲内にエンジン回転数Neが収束する迄は、前述したように最大出力トルクでエンジン13が制御される。そして、目標回転数TNe2の所定範囲内にエンジン回転数Neが収束した後には、エンジン回転数Neと目標回転数TNe2との回転数差に基づきエンジン13の出力トルクを増減させながらエンジン13が制御されている。
【0038】
続いて、ステップS24では、出力回転数Ncoと入力回転数Nciとの回転数差が、所定値である閾値Cを下回るか否かが判定される。さらに、ステップS24では、クラッチ出力軸41の出力回転加速度Acoとクラッチ入力軸40の入力回転加速度Aciとの加速度差が、所定値である閾値Dを下回るか否かが判定される。そして、回転数差(|Nco−Nci|)が閾値Cを下回り、かつ加速度差(|Aco−Aci|)が閾値Dを下回ると、ステップS25に進み、クラッチ14が締結状態に切り換えられる。このように、回転数差(|Nco−Nci|)だけでクラッチ14前後の同期判定を行うことなく、加速度差(|Aco−Aci|)を用いて同期判定を行うようにしたので、誤判定を防止して同期判定の精度を高めることが可能となる。なお、制御ユニット50によって、入力回転数Nciから入力回転加速度Aciが算出され、出力回転数Ncoから出力回転加速度Acoが算出されている。
【0039】
これまで説明したように、クラッチ14前後の同期制御を実行する際には、目標回転数を固定してエンジン13を制御するとともに、クラッチ14の同期状況に応じて目標変速比を増減させながら無段変速機11を制御している。このように、エンジン13の目標回転数を固定することにより、エンジン回転数を目標回転数付近に早期に収束させることができ、同期制御を迅速に完了させることが可能となる。また、入力回転数Nciと出力回転数Ncoとの回転数差に基づき無段変速機11の目標変速比を調整したので、確実に入力回転数Nciを出力回転数Ncoに収束させることが可能となる。すなわち、エンジン13の目標回転数が固定されることから、車速変化等の外乱によって出力回転数Ncoが変化した場合には、エンジン13の回転数制御によって入力回転数Nciを出力回転数Ncoに収束させることが不可能となる。しかしながら、入力回転数Nciと出力回転数Ncoとの回転数差に基づいて、無段変速機11の目標変速比がフィードバック制御されることから、外乱によって出力回転数Ncoが変化した場合であっても、確実に同期制御を実行することが可能となっている。特に、無段変速機11はエンジン13よりも制御性や応答性が高いことから、車速変化等の外乱に対して精度良く迅速に対応することができ、同期制御の品質を向上させることが可能となる。
【0040】
ここで、図10は同期制御における入力回転数Nci、出力回転数Nco、変速比i、エンジン回転数Neの変化を示すタイムチャートである。図10に示すように、エンジン13が始動されて完爆状態に到達すると(符号a)、エンジン13は目標回転数TNe2に向けて最大出力トルクで制御される。そして、目標回転数TNe2とエンジン回転数Neとの回転数差が閾値Bを下回ると(符号b)、エンジン13は回転数差に応じて出力トルクを増減させながら制御される。このように、目標回転数TNe2の所定範囲内にエンジン回転数Neが収束する迄はエンジン13を最大出力トルクで制御し、目標回転数TNe2の所定範囲内にエンジン回転数Neが収束した後にはエンジン13の出力トルクを抑制している。これにより、エンジン回転数の制御精度を確保しつつ、エンジン回転数を迅速に引き上げることが可能となる。なお、目標回転数TNe2に向けてエンジン13を制御する際には、目標回転数TNe2に向かう特性線Xを短期的な目標としながらエンジン13が制御されている。また、図示する場合には、エンジン回転数Neと目標回転数TNe2との間に回転数差ΔNを残したまま、エンジン回転数Neが安定した状態となっている。
【0041】
前述したように、エンジン13は最大出力トルクでエンジン回転数Neを上昇させ、無段変速機11は最大変速速度でアップシフトを実行することから、同期制御を迅速に完了させることが可能となる。また、無段変速機11の変速制御においては、入力回転数Nciと出力回転数Ncoとの回転数差を解消するように変速比iが制御されることから、エンジン回転数Neの安定後にも、回転数差ΔNに起因する入力回転数Nciと出力回転数Ncoとの回転数差を解消するために変速制御が継続される(符号α)。さらに、同期制御中に車速変化が発生して出力回転数Ncoがずれた場合には(符号d)、入力回転数Nciと出力回転数Ncoとの回転数差を解消するために変速制御が継続される(符号β)。このように、同期制御において変速制御を実行することにより、エンジン回転数のズレや車速変化等の外乱に対して適切に対処することができ、同期制御の精度を高めることが可能となる。
【0042】
次いで、図3(b)に示した無段変速機11のダウンシフトを伴う同期制御について説明する。前述したように、ステップS2において、現在の出力回転数Ncoが、1000rpmを変速比iで除算して得られる入力回転数Nci以下となる場合には、ダウンシフトを伴う同期制御が必要となると判断される。この場合には、エンジン回転数を上昇させる所謂ブリッピングの必要がないことから、ステップS3に進み、エンジン13の仮目標回転数TNe1として1000rpmが設定される。そして、ダウンシフトを伴う同期制御においては、図8および図9のフローチャートに沿って、エンジン13および無段変速機11が制御されることになる。このダウンシフトを伴う同期制御においても、アップシフトを伴う同期制御と同様に、仮目標回転数TNe1に基づき目標回転数TNe2(1000rpm)が設定され、この固定された目標回転数TNe2(1000rpm)に向けてエンジン13が制御される。そして、無段変速機11は、入力回転数Nciが出力回転数Ncoに同期するまで、図11の特性線図に沿って最大変速速度でダウンシフトされることになる。なお、図11は無段変速機11を最大変速速度でダウンシフトさせたときの変速比の上昇特性を示す特性線図である。このように、ダウンシフトを伴う同期制御においても、エンジン13の目標回転数を固定することにより、エンジン回転数を目標回転数付近に早期に収束させることができ、同期制御を迅速に完了させることが可能となる。また、入力回転数Nciと出力回転数Ncoとの回転数差に基づき無段変速機11の目標変速比を調整することにより、確実に入力回転数Nciを出力回転数Ncoに収束させることが可能となる。なお、同期制御においてエンジン回転数を所定回転数の1000rpmに保持する理由としては、オイルポンプ46を適切に駆動して変速制御に必要な油圧を確保するためである。したがって、エンジン13を制御するための目標回転数TNe2としては、1000rpmに限られることはなく、オイルポンプ46や無段変速機11等の仕様に応じて決定されることになる。
【0043】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前述の説明では、走行モードを切り換えるためのクラッチ14を、無段変速機11とモータジェネレータ15との間に設けているが、これに限られることはなく、エンジン13と無段変速機11との間に設けるようにしても良い。この場合には、エンジン13の回転数制御によってクラッチ14の入力回転数Nciが制御され、無段変速機11の変速制御によってクラッチ14の出力回転数Ncoが制御されることになる。また、図示するパワーユニット10は、エンジン13と無段変速機11との間にトルクコンバータ12を有しているが、これに限られることはなく、パワーユニット10からトルクコンバータ12を削減しても良い。
【符号の説明】
【0044】
11 無段変速機
13 エンジン
14 クラッチ
15 モータジェネレータ(電動モータ)
17 駆動輪
34 ロックアップクラッチ(第2クラッチ)
50 制御ユニット(同期制御手段)
Nci 入力回転数
Nco 出力回転数
Aci 入力回転加速度
Aco 出力回転加速度
Ne(t) エンジン回転数(予測回転数)
i(t) 変速比(予測変速比)
Δt 同期時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無段変速機の入力側に連結されるエンジンと、前記無段変速機の出力側に連結される電動モータと、前記電動モータに連結される駆動輪とを備えるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記エンジンと前記電動モータとの間に設けられ、前記駆動輪に前記エンジンを連結する際に締結状態に切り換えられる一方、前記駆動輪から前記エンジンを切り離す際に解放状態に切り換えられるクラッチと、
前記クラッチを解放状態から締結状態に切り換える際に、前記エンジンの回転数および前記無段変速機の変速比を制御し、前記クラッチの入力回転数と出力回転数とを同期させる同期制御手段とを有し、
前記同期制御手段は、前記エンジンの目標回転数を固定するとともに、前記無段変速機の目標変速比を前記入力回転数と前記出力回転数との回転数差に基づき変化させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記クラッチは前記無段変速機と前記電動モータとの間に設けられることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記同期制御手段は、前記目標回転数の所定範囲内に前記エンジンの回転数が収束する迄は、最大出力トルクで前記エンジンを制御する一方、前記所定範囲内に前記エンジンの回転数が収束した後には、前記エンジンの回転数と前記目標回転数との回転数差に基づき出力トルクを増減させて前記エンジンを制御することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記同期制御手段は、前記無段変速機を最大変速速度で制御する際の予測変速比と、前記エンジンを最大出力トルクで制御する際の予測回転数とに基づき、前記クラッチの前記入力回転数が前記出力回転数に同期するまでの同期時間を算出し、前記同期時間が経過したときの前記予測回転数を前記目標回転数として設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記同期制御手段は、車両加速度が所定値を上回る場合に、前記目標回転数を再設定することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記クラッチの前記入力回転数と前記出力回転数との回転数差が所定値以内となり、かつ前記クラッチの入力回転加速度と出力回転加速度との加速度差が所定値以内となる場合に、前記クラッチを締結状態に切り換えるクラッチ制御手段を有することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジンと前記無段変速機との間に、締結状態と解放状態とに切り換えられる第2クラッチを有し、
前記第2クラッチは、前記エンジンの回転数が所定値を超えてから締結状態に切り換えられることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−245833(P2012−245833A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117562(P2011−117562)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】