説明

ハンズフリーシステム

【課題】 運転者がハンズフリーユニットで会話を行っているとき、ナビゲーションの案内が行われることを確実に知らせることができるハンズフリーシステムとする。
【解決手段】 ハンズフリーユニット1で外部と通話が行われていることをハンズフリーユニット通話状態検出部11が検出し、警告音出力地点検出部10がナビゲーション装置2の誘導案内処理部9からの信号により誘導案内が開始される地点に近づいたことを検出した際には、警告音出力地点検出部10は警告音出力地点設定部12で設定された本来ナビゲーション装置から誘導案内の出力を行う地点より手前の所定距離の地点となったことを検出したときに誘導案内開始警告音出力部13に信号を出力する。誘導案内開始警告音出力部13はビープ音や誘導案内音声をハンズフリーユニット1に出力し、ハンズフリーユニット1は音声混合部4で通話音声とこの音とを混合してスピーカ部9に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運転者が手を使用することなく電話の送受信を行うことができるハンズフリーユニットを用いたシステムに関し、特に、ナビゲーション装置を備えた車両においてハンズフリーシステム使用時に重要なナビゲーションの案内を聞き逃し、或いは見逃すすことのないようにしたハンズフリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の普及により車両の運転者が携帯電話を所持することが多くなり、常に運転に神経を集中していなければならない運転者にとっては、電話を片手で持って操作を行い、電話を受け、電話をかけることは危険である。そのため、運転中に電話をかけることを行わないようにすることが推奨されている。しかしながら、諸事情により運転中にでも電話を受けなければならない場合もあり、緊急を要するときには電話をかけなければならないこともある。
【0003】
その際においても片手で電話を操作し、片手で運転することは危険であるため、携帯電話にイヤホンやヘッドホンとマイクを備えたハンズフリーユニットを接続し、それを用いて電話の応答等を行うことができるようにしたものが用いられている。なお、このように運転者がハンズフリーを利用するのは、上記のような携帯電話の利用時以外に、車両に外部との通信機能を搭載した移動電話等の通信機を備えている場合にも用いられる。
【0004】
一方、近年は多くの車両にナビゲーション装置が搭載されるようになっている。通常用いられているナビゲーション装置においては、地図を描画するための地図データ及び施設等を検索するための施設情報データを記録したCD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の地図・情報データ記憶媒体と、この地図・情報データ記憶媒体のデータを取り込むデータ取込装置と、地図等を表示するモニタと、GPS受信機、及び走行距離センサやジャイロ等を用いた自立航法装置を用い、車両の現在位置及び進行方向の方位を検出する車両位置検出装置を有し、車両の現在位置を含む地図データを地図・情報データ記憶媒体から取り込み、この地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像をモニタの画面に描画すると共に、車両位置マークをモニタ画面に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示し、或いは地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させ、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0005】
CD−ROMやDVD−ROM、或いはハードディスク等の地図・情報データ記憶媒体に記憶されている地図データは、各種の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、道路等は経度及び緯度で表現されたノードの座標集合として記憶されている。地図データは、道路リスト、ノードテーブル及び交差点構成ノードリスト等からなる道路レイヤ、及び地図画面上に道路、建築物、施設、公園及び河川等を表示するための背景レイヤ等の地図データと、市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名及び施設の名前等の、文字や地図記号等を表示するための情報データなどから構成される。
【0006】
また、このナビゲーション装置においては、利用者が所望の目的地或いは経由地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるようにするための経路誘導機能を備えている。この経路誘導機能によれば、種々の手段により目的地を設定し、出発地から目的地まで、これらの地点を結ぶ経路の内各種の条件を加味して適切な経路を演算して提示するようになっている。
【0007】
更に、利用者が選択した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上に誘導経路を他の経路とは色を変えて太く描画して画面表示したり、車両が誘導経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離以内に近づいたときに、交差点を拡大表示し、進路を変更すべき方向を示す矢印等を描画して画面表示したり、音声で右左折の誘導を行うことで、利用者を目的地まで案内することができるようにしている。その際には、例えば誘導経路上の右左折交差点の700m手前では右左折交差点が近いことを音声等で案内し、運転者がナビゲーション装置に注意を向けるようにしてから、例えば300m手前からは交差点の拡大図を表示し、安全で確実に交差点を右左折することができるようにしている。
【0008】
前記のように車両に持ち込んだ携帯電話等でハンズフリーを利用し、ナビゲーション装置で誘導経路の案内を音声で聞き取るようにした場合においては、車両走行中にナビゲーション装置が上記のように目的地への案内を行っているとき、運転者がハンズフリーを利用して電話の応答を行っている場合には、前記のような右左折交差点が近づいてその旨を音声で知らせるとき、運転者が電話の音声を聞いているとナビゲーション装置からの案内音声を聞き逃し、更にはナビゲーション装置に視線を移すことなく、画面による案内も見逃すことが多い。そのときには運転者は右左折交差点を直進してしまい、或いは安全に右左折することができない場合も生じる。
【0009】
そのような問題を解決するため、下記特許文献1には、ハンズフリーとナビゲーション装置から出力される音声が同じ周波数の時は、片方を別の周波数として出力し、両者を異なった音声にして出力することが提案されている。
【特許文献1】特開2003−233387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、ハンズフリーとナビゲーション装置を搭載している車両で、運転者がハンズフリーを利用して電話の応答を行っている場合において、ナビゲーション装置が上記のような案内出力を行うとき、片方を別の周波数として出力するものにおいては、例えばハンズフリーの音声が特に大きいとき、或いは自分で発声していることにより外部の音声が耳に入らないときには、前記のようにナビゲーション装置の音声の発声周波数をハンズフリーと異ならせても、ナビゲーション装置の音声はほとんど聞き取れないことが予想される。
【0011】
そのため、ハンズフリーで会話を行っているとき、運転者にナビゲーションの案内が行われること、或いは実際に行われる音声案内を確実に知らせることができるようにする必要がある。したがって本発明は、上記課題を解決することを目的としてなされたものであり、ハンズフリーとナビゲーション装置を備えている車両において、運転者がハンズフリーで会話を行っているとき、ナビゲーションの案内が行われることを確実に運転者に知らせることができ、ナビゲーション装置による重要な誘導案内を聞き逃すことがないように、或いはナビゲーション装置の誘導案内画面を見逃すことのないようにすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるハンズフリーシステムは上記課題を解決するため、ハンズフリーユニットで外部と通話が行われていることを検出するハンズフリーユニット通話状態検出手段と、前記ハンズフリーユニット通話状態検出手段の信号を入力し、通話が行われている信号を入力したとき、ナビゲーション装置の誘導案内処理手段からの誘導案内信号を検出して誘導案内を開始する警告音を出力する誘導案内開始警告音出力手段とハンズフリーユニットの音声出力手段に前記誘導案内開始警告音出力手段からの警告音と通話音声とを混合して出力する音声混合手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明による他のハンズフリーシステムは、上記ハンズフリーシステムにおいて、ナビゲーション装置による通常の誘導案内出力地点より手前の地点を設定する警告音出力地点設定手段を備え、前記誘導案内開始警告音出力手段は前記警告音出力地点設定手段で設定された地点で警告音を出力することを特徴とする。
【0014】
本発明による他のハンズフリーシステムは、上記ハンズフリーシステムにおいて、前記警告音はビープ音としたことを特徴とする。
【0015】
本発明による他のハンズフリーシステムは、上記ハンズフリーシステムにおいて、前記警告音はナビゲーション装置の案内音声としたことを特徴とする。
【0016】
本発明による他のハンズフリーシステムは、上記ハンズフリーシステムにおいて、前記警告音をハンズフリーによる電話の相手に対しても出力することを特徴とする。
【0017】
本発明による他のハンズフリーシステムは、上記ハンズフリーシステムにおいて、ハンズフリーユニットで外部と通話が行われているとき、誘導案内を開始する警告音とハンズフリーユニットの通話音声とを混合して出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上記のように構成したので、ハンズフリーとナビゲーション装置を備えている車両において、運転者がハンズフリーで会話を行っているとき、ナビゲーションの案内が行われることを確実に知らせることができ、ハンズフリーを用いて会話を行っていても、ナビゲーション装置による重要な案内を聞き逃してしまい、或いはナビゲーションの案内画面を見逃すことを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、運転者がハンズフリーで会話を行っているとき、ナビゲーションの案内が行われることを確実に知らせることができるようにするという目的を、ハンズフリーシステムで外部と通話が行われていることを検出するハンズフリーユニット通話状態検出手段と、前記ハンズフリーユニット通話状態検出手段の信号を入力し、通話が行われている信号を入力したとき、ナビゲーション装置の誘導案内処理手段からの誘導案内信号を検出して誘導案内を開始する警告音を出力する誘導案内開始警告音出力手段とハンズフリーユニットの音声出力手段に前記誘導案内開始警告音出力手段からの警告音と通話音声とを混合して出力する音声混合手段とを備えることにより実現した。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明によるハンズフリーシステムの実施例における各種機能部と各機能部の関係を示す機能ブロック図である。なお、各機能部はそれぞれ各種機能を行う手段ということもできる。図1に示す実施例においては、車両内のハンズフリーユニット1とナビゲーション装置2が相互に関連して作動を行う例を示しており、後述する本発明の種々の態様を実施することができるようにした例を示している。
【0021】
図1におけるハンズフリーユニット1には外部との通信を行う電話送受信部3を備え、マイク6からの利用者の音声は音声入力部5を介して入力している。電話の相手方の音声を利用者に出力するイヤホンやヘッドホン等のスピーカ部8に対しては、図示実施例では音声混合部4を介して音声出力部7から出力するようにしている。音声混合部4は、電話送受信部3からの電話の相手方の音声を入力するほか、後述するようにナビゲーション装置2の誘導案内開始警告音出力部13からの音声も入力し、両者を混合して音声出力部7に出力している。
【0022】
ナビゲーション装置2は従来から広く用いられている前記のようなナビゲーション装置を利用することができ、図中省略されているが、地図を描画するための地図データ等を記録した地図・情報データ記憶媒体と、そのデータ取込装置と、地図等を表示するモニタと、GPS受信機、自立航法装置等を備えている。それにより車両の現在位置を含む地図データを地図・情報データ記憶媒体から取り込み、この地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像をモニタの画面に描画すると共に、車両位置マークをモニタ画面に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示させる等により、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0023】
また、利用者が所望の目的地に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるようにするための経路誘導機能を備えており、出発地から目的地までの適切な誘導経路を演算して提示するようになっている。更に、利用者が選択した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上に誘導経路を他の経路とは色を変えて太く描画して画面表示する。
【0024】
更に、車両が誘導経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離以内に近づいたときには、例えば誘導経路上の右左折交差点の700m手前では右左折交差点が近いことを音声等で案内し、運転者がナビゲーション装置に注意を向けるようにしてから、更に適宜の範囲で音声案内を行い、また例えば300m手前からは交差点の拡大図等を表示し、安全で確実に交差点を右左折することができるようにしている。これらの誘導案内は、図1のナビゲーション装置2においては誘導案内処理部9において行われる。
【0025】
このナビゲーション装置2にはハンズフリー通話状態検出部11を備え、ハンズフリーユニット1における電話送受信部3の作動状態を取り込んでハンズフリーユニットが通話状態であるか否かを検出する。なお、ナビゲーション装置とハンズフリーユニット間は有線のほか無線で接続するようにしても良い。ハンズフリー通話状態検出部11において通話状態であることを検出したときには、図示実施例では警告音出力地点検出部10にその信号を出力する。警告音出力地点検出部10においては、誘導案内処理部9における誘導案内時期をチェックしており、ハンズフリーが通話状態になっている信号を入力したとき、誘導案内開始地点になる充分手前において、後述する警告音出力地点設定部12で設定した距離の分だけ通常の誘導案内より手前の地点を設定し、その時期になったときに誘導案内開始警告音出力部13に指示信号を出力する。
【0026】
警告音出力地点設定部12において、右左折交差点から所定距離手前で右左折等の音声案内出力を行うために予め設定している距離が、例えば通常は700m手前としているのに対して、その300m手前の1000m、500m手前の1200m・・等の地点を選択用の地点として設定しておく。したがって、それらのいずれかを選択しておくことにより、通常の案内出力時期の前に誘導案内開始警告音出力部13から警告音を出力することができる。この警告音出力地点設定部12においては、警告音の出力時期を通常の誘導案内の出力時期と同一時期に設定するため、通常より0m手前の700m手前において出力を行うように設定しても良い。
【0027】
警告音出力地点検出部10からは誘導案内開始警告音出力部13に検出信号を出力しており、誘導案内開始警告音出力部13においては警告音出力地点検出部10から警告音の出力地点になった旨の信号を入力したときには、別途設定されている所定の「ピーンポーン」のようなビープ音としての警告音、或いは誘導案内出力部10からの「この先700m先の交差点を左折です。」のような音声を、ハンズフリーユニット1の音声混合部4に出力する。そのとき音声混合部4では前記のような誘導案内開始警告音と電話送受信部3で受信した相手方の音声とを混合して、音声出力部7を介しイヤホンはヘッドホン等のスピーカ部8に出力し、この混合した音声を利用者が聞くことができるようにしている。なおこのスピーカ部8としては、オーディオ装置のスピーカとすることもできる。
【0028】
上記のような機能ブロックからなるハンズフリーシステムにおいては、例えば図2に示す作動フローにしたがって順に作動させることができる。以下にこの作動を、図1の機能ブロック図を参照しつつ説明する。図2に示すハンズフリーユニットへのナビゲーション案内開始警告出力処理においては、最初に誘導案内を開始する所定距離手前になったか否かを判別する(ステップS1)。ここでは、例えば右左折交差点から700m手前等の予め設定されている距離になったか否かを判別するものであり、その後例えば300m手前から交差点の拡大画面表示と詳細な音声案内等を行う際に、運転者がその案内を見落とし、或いは聞き逃すことがない警告音声出力を行う距離になったか否かを判別するものである。
【0029】
ステップS1の判別で未だその距離には至っていないと判別したときには、その距離に至る迄この作動を繰り返す。このステップS1において音声案内を開始する所定距離手前になったと判別したときには、ハンズフリーユニットは通話中か否かを判別する(ステップS2)。この判別は図1におけるナビゲーション装置2におけるハンズフリー通話状態検出部11において、ハンズフリーユニット1の電話送受信部3の状態を検出することにより行われる。
【0030】
ここでハンズフリーユニットが通話中ではないと判別したときは、直ちにステップS5に進み、ナビゲーション装置で通常の誘導経路の案内を行う。ステップS2においてハンズフリーユニットが通話中であると判別したときには、ナビゲーション装置から案内開始警告音を出力する(ステップS3)。このときの警告音は、例えば「ポーン」「ピーン・ポーン」「ピ・ピ・ピ・・」等のビープ音や、例えば「そろそろナビが案内します」「ナビの案内に注意してください」等の音声による警告案内の出力を行う。更に、このとき「この先700m先の交差点を左折です。」のようなナビゲーション装置が通常行っている音声をそのまま出力し、これを利用者に伝えるようにしても良い。
【0031】
これは図1のナビゲーション装置2におけるハンズフリー通話状態検出部11で上記のようにハンズフリーユニット1で電話の送受信が作動していることを検出したとき、ナビゲーション装置の誘導案内用警告音出力部13が、警告音出力地点検出部10で右左折交差点から所定距離以内になったことを示す出力があったことを検出したとき、予め設定されている前記のようなビープ音や警告案内音声、更にはナビゲーション装置の案内音声等の出力を行う。
【0032】
その後このビープ音や警告案内音声等の案内開始警告音は、ハンズフリーユニットで通話音声と混合して出力する(ステップS4)。このようなハンズフリーユニットにおいて通話音声とナビゲーションで案内を開始する警告音声とを混合してヘッドホン等に出力することにより、利用者はヘッドホン等により電話をしているときでも、そのヘッドホンの出力音声としてナビゲーション案内開始警告音が聞こえるので、あたかも電話の会話中に他の人から電話がかかっていることを知らせる割り込み音、或いは相手方の音声と同様にこれを明瞭に聞くことができ、電話中の利用者がナビゲーション装置の重要な案内を聞き逃し、或いは画面の見逃しをなくすことができる。
【0033】
上記のような案内開始警告音はこのハンズフリーユニットの利用者以外に、現在このハンズフリーユニットによって通話を行っている相手に対して聞こえるように、送話音声の一つとして相手方に出力するようにしても良い。このようにすることにより、相手の人も通話相手が車両の運転中で、ナビゲーション装置から誘導案内が開始される状態になっていることを知ることができ、通話内容を手短にする等の対応を行うことができる。このように、利用者がナビゲーション装置の案内開始に注意を向けている状態で、その後実際にナビゲーション装置で誘導経路案内が行われる(ステップS5)。
【実施例2】
【0034】
上記実施例においては、ハンズフリーユニットの使用中におけるナビゲーション装置の案内開始警告音の混合出力に際して、従来から行われているナビゲーション装置による例えば右左折交差点の手前700mにおいて、右左折交差点が近づいた旨の音声出力を行うときにその案内開始警告音の混合出力を行う例を示したが、その他例えば図3の作動フローに示すように、ハンズフリーユニットへの案内開始警告音の混合出力は従来の誘導案内出力時よりも早く出力するようにしても良い。
【0035】
即ち、図3に示すハンズフリーユニットへのナビゲーション案内開始警告出力処理の例においては、最初にハンズフリーユニットは通話中であるか否かの判別を行う(ステップS11)。通話中ではないときには同処理を繰り返し、通話中となったときには図3に示す例においては案内開始警告音の出力地点を通常の案内出力開始地点より所定距離だけ早める設定を行う(ステップS12)。即ち、従来のナビゲーション装置において、右左折交差点から700m手前で「この先700m先の交差点を左折です。」のような音声案内を行う設定がなされているとき、例えばそれよりも300m手前である右左折交差点から1000m手前においてビープ音等の出力を可能とし、或いは「1km先の交差点を左折です。」のような案内音声の出力が行えるように調節設定する。この調節は図1におけるナビゲーション装置2の警告音出力地点設定部12によって任意の地点に予め設定しておくことができる。
【0036】
その後、上記のように通常の誘導案内出力地点よりも所定距離だけ早められた案内開始警告音の出力開始地点になったか否かを判別する(ステップS13)。このとき、未だその出力開始地点になっていないと判別したときには、ハンズフリーユニットでの通話は終了したか否かを判別し(ステップS18)、未だその通話が終了していないときにはステップS13に戻って案内開始警告音の出力開始地点になっているか否かの判別とステップS18の処理を繰り返す。その後、ステップS18で通話が終了したと判別したときには、前記実施例と同様にステップS16に進んで、ナビゲーション装置で通常の誘導経路案内を行う。
【0037】
その後ステップS13において案内開始警告音の出力が開始地点になったと判別したときには、ナビゲーション装置から案内開始警告音の出力を行う(ステップS14)。それにより、前記の警告音出力地点設定部12が右左折交差点の手前1000mの地点で案内開始警告音の出力を行うように設定しているとき、例えば図4(a)に示すように、誘導経路Uに沿って走行している車両が、左折交差点Cの手前1000m手前の地点P1に走行したとき、「ピーンポーン」のような警告音、或いは「1km先の千石一丁目の交差点を左折です。」のような案内音声等の出力を行うことができる。
【0038】
次いで、ナビゲーション装置からのこのような案内開始警告音或いは案内音声をハンズフリーユニットで通話音声と混合して出力する(ステップS15)。その後ナビゲーション装置で通常の誘導経路の案内を行う(ステップS16)。それにより、例えば図4(b)に示すような例えば交差点から700m手前で行われる「この先700m先の交差点を左折です。」のような音声案内、及び図4(c)に示すような、交差点から300m手前で行われる画面上での交差点の拡大案内、及び適宜音声案内が行われる。なお、この音声についても、ハンズフリーユニットに対して出力し、前記と同様に電話音声と混合出力しても良い。
【0039】
その後、誘導経路案内は終了したか否かを判別し(ステップS17)、未だ終了していないときにはステップS16に戻って誘導経路案内を継続し、終了したと判別したときには再びステップS11に戻って前記作動を繰り返す。
【0040】
図1に示すブロック図においては、前記第1実施例を実施するものよりも、より多くの処理を行う第2実施例においても対応するように記載しているものであるが、単に第1実施例を実施するためだけであるならば、警告音出力地点設定部12は不要となり、また警告音出力地点検出部10も不要として、誘導案内処理部9からの誘導案内信号を誘導案内開始警告音出力部13に直接出力するように構成しても良い。
【0041】
なお、上記実施例においては、図1に示すようにハンズフリー通話状態検出部11、誘導案内開始警告音出力部13等をナビゲーション装置2内に設け、音声混合部4をハンズフリーユニット1内に設けた実施例を示したが、近年は車内搭載機器の融合化が進められており、車内搭載機器を各種機能を内蔵したヘッドユニットに接続して、このヘッドユニットによって総合的な処理を行うこともあるので、その際には上記のような各機能部をヘッドユニットの機能として処理するように構成することができ、そのほかこれらの機能部をナビゲーション装置やハンズフリーユニットに接続するオーディオ装置等の各種機器において行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は上記のような実施例のほか種々の態様で用いることができ、例えばナビゲーション装置2は車両に直接搭載されているもののほか、車内に持ち込まれる各種ナビゲーション機能を備えた装置においても同様に適用することができる。更に近年普及している携帯電話にナビゲーション機能を備えたものにも使用することができ、その際にはその携帯電話にハンズフリーユニットを接続するとき、携帯電話の一機能として内蔵する、等種々の態様で種々の分野に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明における種々の態様を実施する機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施例1の作動フロー図である。
【図3】本発明の実施例2の作動フロー図である。
【図4】本発明の実施例におけるナビゲーションの作動を画面表示と共に示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ハンズフリーユニット
2 ナビゲーション装置
3 電話送受信部
4 音声混合部
5 音声入力部
6 マイク
7 音声出力部
8 スピーカ部
9 誘導案内処理部
10 警告音出力地点検出部
11 ハンズフリー通話状態検出部
12 警告音出力地点設定部
13 誘導案内開始警告音出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンズフリーユニットで外部と通話が行われていることを検出するハンズフリーユニット通話状態検出手段と、
前記ハンズフリーユニット通話状態検出手段の信号を入力し、通話が行われている信号を入力したときナビゲーション装置の誘導案内処理手段からの誘導案内信号を検出して誘導案内を開始する警告音を出力する誘導案内開始警告音出力手段と、
ハンズフリーユニットの音声出力手段に前記誘導案内開始警告音出力手段からの警告音と通話音声とを混合して出力する音声混合手段とを備えたことを特徴とするハンズフリーシステム。
【請求項2】
ナビゲーション装置による通常の誘導案内出力地点より手前の地点を設定する警告音出力地点設定手段を備え、
前記誘導案内開始警告音出力手段は前記警告音出力地点設定手段で設定された地点で警告音を出力することを特徴とする請求項1記載のハンズフリーシステム。
【請求項3】
前記警告音はビープ音であることを特徴とする請求項1記載のハンズフリーシステム。
【請求項4】
前記警告音はナビゲーション装置の案内音声であることを特徴とする請求項1記載のハンズフリーシステム。
【請求項5】
前記警告音をハンズフリーによる電話の相手に対しても出力することを特徴とする請求項1記載のハンズフリーシステム。
【請求項6】
ハンズフリーユニットで外部と通話が行われているとき、誘導案内を開始する警告音とハンズフリーユニットの通話音声とを混合して出力することを特徴とするハンズフリーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−133145(P2006−133145A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324444(P2004−324444)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】