ハーネスクリップ
【課題】簡単な構造で確実に回り止めすることが可能で、しかも、コードやケーブルを被固定材に固定するときの取り付けが簡便な取扱い性に優れた回り止め構造を備えているハーネスクリップを提供する。
【解決手段】コードやケーブルBを保持する把持部1から延設される両側締結部2,2を重ね合わせて1本のネジ部材3で被固定材Cに固定するように形成されている。そして、両側締結部2,2に設けられているネジ挿通孔5から離れた位置で、被固定材Cに宛がわれる把持部1の一部に開口されている装着孔4に挿通されて備えられるピン部材7を、被固定材Cに設けられているピン係止孔8に挿入されて係止されることで、ハーネスクリップAをピン部材7とネジ部材3との2点支持で被固定材Cに固定するようにしたことにある。
【解決手段】コードやケーブルBを保持する把持部1から延設される両側締結部2,2を重ね合わせて1本のネジ部材3で被固定材Cに固定するように形成されている。そして、両側締結部2,2に設けられているネジ挿通孔5から離れた位置で、被固定材Cに宛がわれる把持部1の一部に開口されている装着孔4に挿通されて備えられるピン部材7を、被固定材Cに設けられているピン係止孔8に挿入されて係止されることで、ハーネスクリップAをピン部材7とネジ部材3との2点支持で被固定材Cに固定するようにしたことにある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードやケーブルなどを被固定材に固定するときに、1本のネジ部材を用いて被固定材に固定するための部品として使用されるハーネスクリップに係り、特に、コードやケーブルの機器類との接続端子部分に引っ張り力などの外力が加わらないように、ネジ部材による締結部を中心にハーネスクリップが回転することを防止する回り止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コードやケーブルなどを被固定材(被取付部)に固定するとき、再利用することが可能で、被固定材への取り付けまたは取り外しが容易に行うことが可能なハーネスクリップ(コードクリップ、ケーブルクリップ)が使用されている。
そして、配線された後に、コードやケーブルが何等かの原因によって配線方向に引っ張られるなどの外力を受けたときなどに、1本のネジ部材による被固定材への締結部を中心にハーネスクリップが回転することを防止するための回り止め構造を備えているハーネスクリップが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2などを参照)。
【0003】
ちなみに、ハーネスクリップが回転しないように回り止め構造を採用することで、コードやケーブルの損傷などを防ぐことができる。例えば、電源コードが電動機器などに接続端子(コネクター)を介して接続されている場合に、ハーネスクリップが回転し、その回転方向に電源コードが引っ張られることで、その引っ張り力が電動機器との接続端子に外力として加わり、接続端子が損傷、あるいは端子同士の接続が抜け外れてしまうなどの問題を引き起こすおそれを未然に防ぐことができる。
【特許文献1】実開平2−66789号公報(明細書第4頁第11行目〜第13行目、第6頁第7行目〜第11行目、および図1参照)
【特許文献2】特開平10−304538号公報(段落番号0017〜0019、および図1、図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した従来の回り止め構造は、コードやケーブルなどを被固定部材に固定するときの取り付け作業性において面倒で手間が掛かるなどの取扱い上の問題を有している。
例えば、特許文献2の場合では、1本のネジ部材によって被固定材に固定される帯板状部の基端側の一部に凸状部を備えている。そして、帯板状部の裏面に位置して、該帯板状部とともにネジ部材により被固定材に取り付けられる固定座側に、前記凸状部の裏面凹みに係止させる突起を備えている。
つまり、特許文献2に記載の回り止め構造は、帯板状部側の凸状部と、固定座側の突起とから構成されている。そのために、コードやケーブルなどを被固定材に固定するときには、帯板状部の基端側裏面に別製作の固定座を同軸上に宛がい、なおかつ、凸状部の裏面凹みに対して突起を位置合せ係止させ、さらに、コードやケーブルなどの配線方向に対して帯板状部の向きを直交させた方向に保持した状態を保ちながら、ネジ部材による被固定材への取り付けを必要とする。
そのために、従来では、帯板状部の裏面に固定座を宛がう、凸状部と突起との位置合せ、そして、帯板状部を配線方向に対して直交させた方向に保持しながらネジ止めをければならないと言った煩わしい作業などによって手間取り、作業性が低下するなどの取扱い上の問題を有していた。
【0005】
また、特許文献2においては、ハーネスクリップの回転を防止するための突起を備えている固定座は、1本のネジによってハーネスクリップとともに被固定材に取り付けられている。そのために、コードやケーブなどが配線方向に引っ張られる外力が加わったときに、固定座がハーネスクリップとともに回転してしまうおそれがあり、信頼性に欠ける。
【0006】
また、特許文献1に記載のハーネスクリップの回り止め構造では、2点止めによって回り止めを効果的に図ることができる反面、部品点数が多く、構造が複雑であるが故に、安価に製造することができないばかりか、被固定材への取り付けが面倒で手間が掛かるものとなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、前記課題を解消するために創案されたものであり、簡単な構造で確実に回り止めすることが可能で、しかも、被固定材への取り付けが簡便で取扱い性に優れた回り止め構造を備えているハーネスクリップを提供することにある。
また、本発明は、回り止め構造による回転防止に加えて、コードやケーブルを把持部に移動不能に保持して、コードやケーブルの機器類との接続端子部分の損傷をより効果的に防ぐことができるように改良されたハーネスクリップを提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明では、折り曲げ可能な材料から形成され、コードやケーブルを挿通させた状態で保持する把持部から延設される両側締結部を重ね合わせて、該両側締結部を1本のネジ部材で被固定材に固定するように形成されているハーネスクリップであって、
前記両側締結部に設けられているネジ挿通孔から離れた位置で、前記被固定材に宛がわれる部位に、該被固定材に対して係止させる回り止め手段を備えていることを特徴とする。
ここで、前記回り止め手段が、前記把持部に設けられている装着孔に挿通されて前記把持部に備えられる頭部付のピン部材であり、前記被固定材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるように形成されていることが好適であり、また、前記回り止め手段が、前記把持部に一体に備えられるピン部材であり、前記被固定材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるように形成されていることが好適なものとなる。
さらに、前記ピン部材を前記ピン係止孔に挿入させたときに、該ピン係止孔の開口縁部に掛止されるピン抜止部を、前記ピン部材の軸部に備えていることが好適なものとなる。
【0009】
このような構成によれば、コードやケーブルを挿通させた状態で把持部に保持させ、両側締結部を重ね合わせて相互のネジ孔を合致させて1本のネジ部材を通して被固定材のネジ孔にねじ込み締結させることで、両側締結部のネジ挿通孔から離れた部位において備えられている回り止め手段の被固定部に対する係止によってハーネスクリップの回転を防ぐことができる。
このとき、回り止め手段が、把持部に備えられて被固定部材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるピン部材である場合、被固定材のネジ孔にネジ部材をねじ込み締結させるときに、ピン部材をピン係止孔に挿入させるという簡単な作業によって、ハーネスクリップの回転を防ぐ回り止め構造とし得る。これにより、取り付け作業が簡便となる。
また、被固定材のネジ孔に対するネジ部材の仮止め状態で、ネジ孔と、ピン部材が挿入される被固定材のピン係止との2点によって把持部の開口向きを、コードやケーブルの配線方向に向けた適切な姿勢(向き)とし得る。これにより、把持部の開口向きをコードやケーブルの配線方向に正確に位置決めさせた状態でネジ部材を本締めしてコードやケーブルを被固定材に固定することができる。
【0010】
そして、回り止め手段が、把持部から一体に備えられているピン部材である場合、被固定部材のピン係止孔に挿入されて係止される回り止め用のピン部材を把持部に備えるハーネスクリップを安価に製造することが可能になる。例えば、ハーネスクリップが、ナイロンなどの折り曲げ可能な成形材料からなる場合、ピン部材を同時成形により把持部に備えることができる。
【0011】
また、ピン部材は、ピン係止孔に挿入させたときに、ピン係止孔の開口縁部(挿入側開口縁部に対し、裏側の開口縁部)に掛止されるピン抜止部によって抜動不能に保持されることで、ハーネスクリップの回転を防ぐ回り止め構造として有効となる。つまり、コードやケーブルが配線方向に引っ張れるなどによる大きな外力が、ハーネスクリップに加わった場合でも、ピン部材は、ピン係止孔から抜けることなく、ネジ部材との2点支持でハーネスクリップの回転を防ぐ。
【0012】
また、本発明では、前記把持部の内周面に、前記コードやケーブルに圧着させる移動防止部を備えていることを特徴し、さらに、前記ピン部材の頭部に、前記コードやケーブルに圧着させる移動防止部を備えていることを特徴とする。
ここで、前記移動防止部としては、コードやケーブルの円周(輪切り断面)に沿うように略円弧状に突出させた円弧突起や槍状や円錐状に突出させた突起群などで形成さていることが好適であり、これらの円弧突起や突起群は、コードやケーブルの外周面に圧着するように、把持部の内周面やピン部材の頭部に備えられていることが好適なものとなる。
【0013】
このような構成によれば、把持部の内周面に備えられている移動防止部によって、コードやケーブルを把持部に移動不能に保持(把持)させることができる。このとき、移動防止部が、コードやケーブルの円周方向に沿うように略円弧状に突出されている円弧突起や槍状などに突出されている突起群で形成されている場合、円弧突起は、コードやケーブルの軸方向に対して直交する円周方向においてコードやケーブルの外周面を圧着するように保持することとなり、突起群は、個々の突起がコードやケーブルの外周面に圧着するように保持することとなる。
また、ピン部材の頭部に備えられている移動防止部によって、コードやケーブルを把持部に移動不能に保持させることができる。この場合、把持部側に備えられている前記の円弧突起または突起群からなる移動防止部と組み合わせによって、コードやケーブルを把持部により一層効果的に、かつ、確実な保持構造として移動不能に保持させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のハーネスクリップは、以上のように構成されていることで、簡単な回り止め構造でありながらハーネスクリップを回転しないように被固定材に取り付けることができる。つまり、両側締結部のネジ挿通孔から離れた位置で、被固定部材に宛がわれる把持部に備えられる頭部付のピン部材などからなる回り止め手段の被固定部材のピン係止孔への挿入によって、ハーネスクリップをピン部材と1本のネジ部材との2点支持で被固定部材に取り付けることができる。
これにより、コードやケーブルが配線方向に引っ張られたとき、コードやケーブルの機器類との接続端子に引っ張り力などの外力が加わらないように、ハーネスクリップの回転を防止することができる。
【0015】
また、把持部の内周面に備えられている移動防止部やピン部材の頭部に備えられている移動防止部によって、コードやケーブルを把持部に移動不能に保持(把持)させることができる。つまり、コードやケーブルの軸方向(配線方向)における把持部による当初の保持位置からコードやケーブルが軸方向に移動することを防止することができる。
これにより、前記の回り止め構造によるハーネスクリップの回転防止に加えて、把持部に対するコードやケーブルの軸方向の移動を防止することができる。つまり、回り止め構造との相乗作用によりコードやケーブルの機器類との接続端子に引っ張り力などの外力が加わることをより効果的に防ぐことができる。
【0016】
また、本発明では、ピン部材の軸部に、ピン係止孔の開口縁部に掛止させるピン抜止部を備えていることで、ピン部材がピン係止孔から抜け外れることはない。つまり、コードやケーブルが配線方向に引っ張れるなどによる大きな外力が、ネジ部材による締結部を中心にハーネスクリップが回転する方向に加わっても、ピン部材がピン係止孔から抜け外れることはなく、ネジ部材との2点支持でハーネスクリップの回転を防ぐ。
これにより、ハーネスクリップの回転をより一層確実に、かつ、効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを示す斜視図であり、図2は、同ハーネスクリップを用いてコードやケーブを被固定材に固定した状態を示す斜視図であり、図3は、同固定状態における縦断側面図である。
【0018】
≪第1の実施形態に係るハーネスクリップの構成≫
ハーネスクリップAは、作業者が手作業(指先など)によって折り曲げ可能な材料、例えば、柔軟性を有するナイロンや金属(アルミ材やバネ材)などの所望な材料から形成されている。本実施形態では、ナイロンを用いて形成している。
このハーネスクリップAは、型成形によって一体に形成されるものであり、図1および図2に示すように、コードやケーブルBを挿通させた状態で保持させるための把持部1と、この把持部1から延設されて、1本のネジ部材3によって被固定材Cに取り付けられるときに重ね合わせられる両側締結部2,2とを備えて構成されている。
【0019】
≪把持部の構成≫
把持部1は、ナイロン製帯状部材の長さ方向の略中央部位を略円弧状に折り曲げる。つまり、両側締結部2,2を重ね合わせたときに、コードやケーブルBを、その円周方向に保持(把持)し得る口径の略円弧状に形成されるようになっている。
そして、把持部1は、被固定材Cに宛がわれる円弧部位に、後記するピン部材7を挿通させて装着するための装着孔4を備えている。
【0020】
≪両側締結部の構成≫
両側締結部2,2は、把持部1の双方端からそれぞれ延設されることで形成されるとともに、ネジ部材3のネジ挿通孔5をそれぞれ備えている。
ネジ挿通孔5は、両側締結部2,2が重ね合わせられたときに、図3に示すように、互いに開口軸芯が合致するように両側締結部2,2にそれぞれ形成されている。
これにより、図2および図3に示すように、重ね合わせた両側締結部2,2のネジ挿通孔5にネジ部材3を挿通させ、ネジ部材3を被固定材Cのネジ孔6にねじ込み締結させることで、コードやケーブルBを円周方向に保持する把持部1を閉じた状態でハーネスクリップAは被固定材Cに取り付けられる。
ちなみに、ネジ孔6は、バーリング加工によって被固定材Cに形成されている。
【0021】
そして、このように形成されているハーネスクリップAには、図2および図3に示すように、回り止め手段としてのピン部材7が備えられている。
【0022】
≪ピン部材の構成≫
ピン部材7は、合成樹脂や金属などの所望な材料によって形成され、両側締結部2,2を被固定材Cに取り付ける1本のネジ部材3との協同(2点支持)で、ハーネスクリップAの回転を防止する回り止め構造を構成する。
このピン部材7は、図1に示すように、軸部7aと、この軸部7aに一端側に一体に設けられる頭部7bとを備え、把持部1の装着孔4に挿通されて、該把持部1に備えられるように形成されている。なお、軸部7bは、中実状または中空状に形成されている。
そして、このピン部材7は、図3に示すように、両側締結部2,2が被固定材Cのネジ孔6にネジ部材3によってねじ込み締結されるときに、ネジ孔5に隣接する部位において被固定材Cに設けられているピン係止孔8に軸部7aを挿通させることで、被固定材Cに係止されるように形成されている。
【0023】
ピン係止孔8は、ハーネスクリップAの両側締結部2,2のネジ挿通孔5と、把持部1の装着孔4との開口間隔(離間寸法)にて、ネジ孔6に隣接させた部位において被固定部材Cに設けられている。
これにより、両側締結部2,2のネジ挿通孔5に挿通させたネジ部材3を、被固定材Cのネジ孔6にねじ込み締結させるときに、把持部1に備えられているピン部材7の軸部7aがピン係止孔8に対して芯ズレすることなく、該ピン係止孔8に確実に挿通された状態で係止されるようになっている。
【0024】
[作用説明]
つぎに、以上のように、回り止め手段としてのピン部材6を把持部1に備えている第1の実施形態に係るハーネスクリップAの作用について簡単に説明する。
図示を省略しているが、ここでは、その一例として、調理中に発生する排気流(汚染空気など)を捕集して屋外に排気するレンジフードのフード部を被固定材Cとし、そして、フード部内やフード部の上などに設置される送風機ユニットのファンモータに接続端子を介して一端側が接続され、他端側が室内電源に同じく接続端子を介して接続されるコード(電源コード)Bを、フード部に固定する場合と固定後について説明する。ここでは、図1から図3を適宜参照しながら説明する。
図1に二点鎖線で示すように、コードBを把持部1に挿通させ、この状態で把持部1に備えられているピン部材7の軸部7aを、フード部に設けられているピン挿通孔8に挿通させるとともに、重ね合わせた両側締結部2,2のネジ挿通孔5を、フード部に設けられているネジ孔6に合致(位置)させ、1本のネジ部材3によって両側締結部2,2をフード部に取り付ける。
これにより、ハーネスクリップAは、図3に示すように、ネジ部材3とピン部材7との2点支持によってレンジフードのフード部に取り付けられるとともに、把持部1に保持されているコードBをフード部に固定する。
【0025】
このように構成されているハーネスクリップAによれば、例えば、レンジフードの汚れを拭き取るなどの清掃のときなどに、コード(電源コード)Bが配線方向に引っ張れるなどによってハーネスクリップAに外力が加わっても、ネジ部材3による締結部を中心にハーネスクリップAが回転することを防止することができる。
これにより、コードBのファンモータや室内電源との接続端子が損傷、あるいは端子同士の接続が抜け外れてしまうなどの問題を引き起こすおそれを未然に防ぐことができる。
【0026】
また、ネジ部材3でハーネスクリップAを被固定材Cとしてのフード部に取り付けるときに、把持部1に備えられているピン部材7をフード部のピン係止孔8に予め係止させた状態で行うことができるために、ネジ部材3をネジ孔6にねじ込み締結させている作業中において、ハーネスクリップAの向きが変わるなどの心配はなく、コードBの配線方向に向けた適切な姿勢(向き)にてハーネスクリップAをフード部(被固定材C)に取り付けることができる。
これにより、従来のように、配線方向に把持部1の向きを作業者自身が保持しながらネジ止めを行わなければならないと言った煩わしさがなくなり、ハーネスクリップAの取り付け作業性が格段に改善されることとなる。
【0027】
≪第2の実施形態に係るハーネスクリップの構成≫
図4は、第2の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
この第2の実施形態に係るハーネスクリップA−1は、図4に示すように、回り止め手段としてのピン部材7−1を、把持部1に一体の備えた構成を採用したものであり、それ以外の構成においては前記の第1の実施形態と基本的に同じ構成であることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
すなわち、コードやケーブルBを被固定材Cに固定するとき、被固定材Cに宛がわれる把持部の円弧部位にピン部材7−1を、型成形によって一体に備えている。
これにより、被固定部材Cに設けられているピン係止孔8に挿入させて係止させる回り止め用のピン部材7−1を把持部1に備えたハーネスクリップA−1を安価に製造することができる。
【0028】
≪第3の実施形態に係るハーネスクリップの構成≫
図5は、第3の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図であり、図6は、同ハーネスクリップのピン部材を示す斜視図である。
この第3の実施形態に係るハーネスクリップA−2では、図5および図6に示すように、ピン部材7の軸部7aにピン抜止部9を備えた構成を採用したものであり、それ以外の構成においては前記の第1の実施形態と基本的に同じ構成であることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
すなわち、ピン部材7は、図5に示すように、ピン係止孔8に挿入させたときに、該ピン係止孔8の開口縁部に掛止されるピン抜止部9を軸部7aに備えている。
【0029】
≪ピン抜止部の構成≫
ピン抜止部9は、図6に示すように、ピン部材7の軸部の周りにおいて四方向に突出状に形成されている。
このピン抜止部9は、前記の第1の実施形態において詳述の合成樹脂や金属など所望な材料、特にナイロンなどを含む適度の弾性作用を有する合成樹脂からなるピン部材7の頭部7bから軸方向に、ハーネスクリップAの板厚と被固定材Cの板厚との双方厚に相当する部位において、頭部7a側に向けた外向き傾斜状に形成されている。
これにより、ピン部材7は、ピン係止孔8に挿入させるときに弾性圧縮し、ピン係止孔8を通過して、該ピン係止孔8の裏側開口部側に抜けたときに元の突出形態に弾性復帰して、図5に示すように、ピン係止孔8の裏側開口部の縁部に掛止されるピン抜止部9によって抜動不能に保持されることで、ハーネスクリップA−2の回転をより一層確実に、かつ、効果的に防ぐことができる。
つまり、コードやケーブルBが配線方向に強く引っ張れるなどによって大きな外力が、ハーネスクリップA−2に加わった場合でも、ピン部材7は、ピン係止孔8から抜けることなく、ネジ部材3との2点支持でハーネスクリップA−2の回転を確実に防ぐ。
【0030】
なお、図示を省略しているが、ピン抜止部9は、バネ作用によって傾斜下端側を支点に開閉するように形成することができる。つまり、ピン部材7の軸部7aをピン係止孔8に挿入させるときに閉じ、ピン係止部8を通過して、該ピン係止部8の裏側の開口部側に抜けたときに開いて、該開口部の縁部に掛止するように形成することができる。
この場合、ピン部材7を、バネ作用を有する所望な材料を用いて形成するとともに軸部7aを中空状とし、この軸部7aにスリットなどを設けて、ピン抜止部9を切り起こすように形成することができる。
【0031】
≪第4の実施形態に係るハーネスクリップの構成≫
図7は、第4の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
この第4の実施形態に係るハーネスクリップA−3では、図および図に示すように、把持部1の内周面と、ピン部材7の頭部7bに、コードやケーブルBの外周面に圧着させる移動防止部10,11を備えた構成を採用したものであり、それ以外の構成においては前記の第1の実施形態と基本的に同じ構成であることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
すなわち、図7に示すように、把持部1の内周面、そしてピン部材7の頭部7bの突端面に移動防止部10を備えている。
【0032】
≪移動防止部の構成≫
図8は、ハーネスクリップを展開させた状態で示す斜視図であり、図9は、ピン部材を示す斜視図である。
移動防止部10,11は、把持部1にコードやケーブルBを挿通させ、重ね合せた両側締結部2,2をネジ部材3によって被固定材Cのネジ孔6にねじ込み締結させたときに、コードやケーブルBの外周面に圧着し、コードやケーブルBの軸方向(配線方向)への移動を防ぐ。つまり、コードやケーブルBの軸方向における把持部1による当初の保持位置からコードやケーブルBが軸方向に移動することを防ぐ役目をなすものである。
この移動防止部10は、図8に示すように、把持部1の内周面においては、略截頭円錐形状などに突出された無数の突起群から形成されている。また、移動防止部11は、図9に示すように、ピン部材7の頭部7bにおいては、三方や四方などの数方向に向けて突出させた突起群から形成されている。
【0033】
[作用説明]
このように、把持部1の内周面、ピン部材7の頭部7bにそれぞれ突起群からなる移動防止部10,11を備えているハーネスクリップA−3によれば、前記の第1の実施形態に記載のネジ部材3による締結部を中心にハーネスクリップAが回転することを防止する回転防止作用に加えて、コードやケーブルBを把持部1に軸方向へ移動不能に保持させることができる。
これにより、ピン部材7とビス部材3との2点支持によるハーネスクリップA−3の回り止め構造との相乗作用により、コードやケーブルBが配線方向に引っ張られたときなどの外力が、コードやケーブルBの機器類との接続端子(図示省略)に加わることを、より一層確実に、かつ、効果的に防ぐことができる。
【0034】
図10は、他の実施形態の移動防止部を備えたハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図であり、図11は、ピン部材を示す斜視図である。
この他の実施形態の移動防止部12を備えているハーネスクリップA−3は、図10に示すように、ピン部材7の頭部7bに、コードやケーブルBの外周面を、円周(輪切り断面)に沿うように圧着させるための移動防止部12を備えた構成を採用したものであり、それ以外の構成においては前記の第1の実施形態と基本的に同じ構成であることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
すなわち、移動防止部12は、図11に示すように、略長方形状に形成されているピン部材7の頭部7bに、短辺側から見て略円弧状で、長辺方向に並列させた複数本の円弧突起から形成されている。
これにより、図10に示すように、ネジ部材3をネジ孔6にねじ込み締結させたときに、複数本の円弧突起からなる移動防止部12が、コードやケーブルBの外周面を円周方向に締付け圧着し、コードやケーブルBの軸方向(配線方向)への移動を防ぐ。
【0035】
なお、図示を省略しているが、移動防止部10,11,12としては、前記した突起群や円弧突起に限定されるものではなく、例えば、梨地模様、あるいはコードやケーブルBの円周方向に沿うように把持部1の内周面やピン部材7の頭部7bに施される線模様群、あるいは、コードやケーブルBの円周方向と軸方向との双方に沿うように把持部1の内周面やピン部材7の頭部7bに施される交差された線模様群などによって形成される滑り止め構造にて形成することができる。これにより、コードやケーブルBを滑り止め作用によって把持部1に移動不能に保持させることができる。
【0036】
また、移動防止部10を、摩擦抵抗が大きいゴム材などを用いて形成することができる。この場合、ゴム材は把持部1の内周面やピン部材7の頭部7bに貼り付けるなどの適宜の固着手段によって備えることができる。これにより、コードやケーブルBを摩擦作用(グリップ力)によって把持部1に移動不能に保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを示す斜視図である。
【図2】同ハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す斜視図である。
【図3】同固定状態における縦断側面図である。
【図4】第2の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
【図5】第3の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
【図6】同ハーネスクリップのピン部材を示す斜視図である。
【図7】第4の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
【図8】同ハーネスクリップを展開させた状態で示す斜視図である。
【図9】同ハーネスクリップのピン部材を示す斜視図である。
【図10】他の実施形態の移動防止部を備えたハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
【図11】同ハーネスクリップのピン部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
A,A−1,A−2,A−3 ハーネスクリップ
1 把持部
2 両側締結部
3 ネジ部材
4 装着孔
5 ネジ挿通孔
6 ネジ孔
7,7−1 ピン部材(回り止め手段)
7a 軸部
7b 頭部
8 ピン係止孔
9 ピン抜止部
10,11,12 移動防止部
B コードやケーブル
C 被固定材
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードやケーブルなどを被固定材に固定するときに、1本のネジ部材を用いて被固定材に固定するための部品として使用されるハーネスクリップに係り、特に、コードやケーブルの機器類との接続端子部分に引っ張り力などの外力が加わらないように、ネジ部材による締結部を中心にハーネスクリップが回転することを防止する回り止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コードやケーブルなどを被固定材(被取付部)に固定するとき、再利用することが可能で、被固定材への取り付けまたは取り外しが容易に行うことが可能なハーネスクリップ(コードクリップ、ケーブルクリップ)が使用されている。
そして、配線された後に、コードやケーブルが何等かの原因によって配線方向に引っ張られるなどの外力を受けたときなどに、1本のネジ部材による被固定材への締結部を中心にハーネスクリップが回転することを防止するための回り止め構造を備えているハーネスクリップが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2などを参照)。
【0003】
ちなみに、ハーネスクリップが回転しないように回り止め構造を採用することで、コードやケーブルの損傷などを防ぐことができる。例えば、電源コードが電動機器などに接続端子(コネクター)を介して接続されている場合に、ハーネスクリップが回転し、その回転方向に電源コードが引っ張られることで、その引っ張り力が電動機器との接続端子に外力として加わり、接続端子が損傷、あるいは端子同士の接続が抜け外れてしまうなどの問題を引き起こすおそれを未然に防ぐことができる。
【特許文献1】実開平2−66789号公報(明細書第4頁第11行目〜第13行目、第6頁第7行目〜第11行目、および図1参照)
【特許文献2】特開平10−304538号公報(段落番号0017〜0019、および図1、図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した従来の回り止め構造は、コードやケーブルなどを被固定部材に固定するときの取り付け作業性において面倒で手間が掛かるなどの取扱い上の問題を有している。
例えば、特許文献2の場合では、1本のネジ部材によって被固定材に固定される帯板状部の基端側の一部に凸状部を備えている。そして、帯板状部の裏面に位置して、該帯板状部とともにネジ部材により被固定材に取り付けられる固定座側に、前記凸状部の裏面凹みに係止させる突起を備えている。
つまり、特許文献2に記載の回り止め構造は、帯板状部側の凸状部と、固定座側の突起とから構成されている。そのために、コードやケーブルなどを被固定材に固定するときには、帯板状部の基端側裏面に別製作の固定座を同軸上に宛がい、なおかつ、凸状部の裏面凹みに対して突起を位置合せ係止させ、さらに、コードやケーブルなどの配線方向に対して帯板状部の向きを直交させた方向に保持した状態を保ちながら、ネジ部材による被固定材への取り付けを必要とする。
そのために、従来では、帯板状部の裏面に固定座を宛がう、凸状部と突起との位置合せ、そして、帯板状部を配線方向に対して直交させた方向に保持しながらネジ止めをければならないと言った煩わしい作業などによって手間取り、作業性が低下するなどの取扱い上の問題を有していた。
【0005】
また、特許文献2においては、ハーネスクリップの回転を防止するための突起を備えている固定座は、1本のネジによってハーネスクリップとともに被固定材に取り付けられている。そのために、コードやケーブなどが配線方向に引っ張られる外力が加わったときに、固定座がハーネスクリップとともに回転してしまうおそれがあり、信頼性に欠ける。
【0006】
また、特許文献1に記載のハーネスクリップの回り止め構造では、2点止めによって回り止めを効果的に図ることができる反面、部品点数が多く、構造が複雑であるが故に、安価に製造することができないばかりか、被固定材への取り付けが面倒で手間が掛かるものとなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、前記課題を解消するために創案されたものであり、簡単な構造で確実に回り止めすることが可能で、しかも、被固定材への取り付けが簡便で取扱い性に優れた回り止め構造を備えているハーネスクリップを提供することにある。
また、本発明は、回り止め構造による回転防止に加えて、コードやケーブルを把持部に移動不能に保持して、コードやケーブルの機器類との接続端子部分の損傷をより効果的に防ぐことができるように改良されたハーネスクリップを提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明では、折り曲げ可能な材料から形成され、コードやケーブルを挿通させた状態で保持する把持部から延設される両側締結部を重ね合わせて、該両側締結部を1本のネジ部材で被固定材に固定するように形成されているハーネスクリップであって、
前記両側締結部に設けられているネジ挿通孔から離れた位置で、前記被固定材に宛がわれる部位に、該被固定材に対して係止させる回り止め手段を備えていることを特徴とする。
ここで、前記回り止め手段が、前記把持部に設けられている装着孔に挿通されて前記把持部に備えられる頭部付のピン部材であり、前記被固定材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるように形成されていることが好適であり、また、前記回り止め手段が、前記把持部に一体に備えられるピン部材であり、前記被固定材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるように形成されていることが好適なものとなる。
さらに、前記ピン部材を前記ピン係止孔に挿入させたときに、該ピン係止孔の開口縁部に掛止されるピン抜止部を、前記ピン部材の軸部に備えていることが好適なものとなる。
【0009】
このような構成によれば、コードやケーブルを挿通させた状態で把持部に保持させ、両側締結部を重ね合わせて相互のネジ孔を合致させて1本のネジ部材を通して被固定材のネジ孔にねじ込み締結させることで、両側締結部のネジ挿通孔から離れた部位において備えられている回り止め手段の被固定部に対する係止によってハーネスクリップの回転を防ぐことができる。
このとき、回り止め手段が、把持部に備えられて被固定部材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるピン部材である場合、被固定材のネジ孔にネジ部材をねじ込み締結させるときに、ピン部材をピン係止孔に挿入させるという簡単な作業によって、ハーネスクリップの回転を防ぐ回り止め構造とし得る。これにより、取り付け作業が簡便となる。
また、被固定材のネジ孔に対するネジ部材の仮止め状態で、ネジ孔と、ピン部材が挿入される被固定材のピン係止との2点によって把持部の開口向きを、コードやケーブルの配線方向に向けた適切な姿勢(向き)とし得る。これにより、把持部の開口向きをコードやケーブルの配線方向に正確に位置決めさせた状態でネジ部材を本締めしてコードやケーブルを被固定材に固定することができる。
【0010】
そして、回り止め手段が、把持部から一体に備えられているピン部材である場合、被固定部材のピン係止孔に挿入されて係止される回り止め用のピン部材を把持部に備えるハーネスクリップを安価に製造することが可能になる。例えば、ハーネスクリップが、ナイロンなどの折り曲げ可能な成形材料からなる場合、ピン部材を同時成形により把持部に備えることができる。
【0011】
また、ピン部材は、ピン係止孔に挿入させたときに、ピン係止孔の開口縁部(挿入側開口縁部に対し、裏側の開口縁部)に掛止されるピン抜止部によって抜動不能に保持されることで、ハーネスクリップの回転を防ぐ回り止め構造として有効となる。つまり、コードやケーブルが配線方向に引っ張れるなどによる大きな外力が、ハーネスクリップに加わった場合でも、ピン部材は、ピン係止孔から抜けることなく、ネジ部材との2点支持でハーネスクリップの回転を防ぐ。
【0012】
また、本発明では、前記把持部の内周面に、前記コードやケーブルに圧着させる移動防止部を備えていることを特徴し、さらに、前記ピン部材の頭部に、前記コードやケーブルに圧着させる移動防止部を備えていることを特徴とする。
ここで、前記移動防止部としては、コードやケーブルの円周(輪切り断面)に沿うように略円弧状に突出させた円弧突起や槍状や円錐状に突出させた突起群などで形成さていることが好適であり、これらの円弧突起や突起群は、コードやケーブルの外周面に圧着するように、把持部の内周面やピン部材の頭部に備えられていることが好適なものとなる。
【0013】
このような構成によれば、把持部の内周面に備えられている移動防止部によって、コードやケーブルを把持部に移動不能に保持(把持)させることができる。このとき、移動防止部が、コードやケーブルの円周方向に沿うように略円弧状に突出されている円弧突起や槍状などに突出されている突起群で形成されている場合、円弧突起は、コードやケーブルの軸方向に対して直交する円周方向においてコードやケーブルの外周面を圧着するように保持することとなり、突起群は、個々の突起がコードやケーブルの外周面に圧着するように保持することとなる。
また、ピン部材の頭部に備えられている移動防止部によって、コードやケーブルを把持部に移動不能に保持させることができる。この場合、把持部側に備えられている前記の円弧突起または突起群からなる移動防止部と組み合わせによって、コードやケーブルを把持部により一層効果的に、かつ、確実な保持構造として移動不能に保持させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のハーネスクリップは、以上のように構成されていることで、簡単な回り止め構造でありながらハーネスクリップを回転しないように被固定材に取り付けることができる。つまり、両側締結部のネジ挿通孔から離れた位置で、被固定部材に宛がわれる把持部に備えられる頭部付のピン部材などからなる回り止め手段の被固定部材のピン係止孔への挿入によって、ハーネスクリップをピン部材と1本のネジ部材との2点支持で被固定部材に取り付けることができる。
これにより、コードやケーブルが配線方向に引っ張られたとき、コードやケーブルの機器類との接続端子に引っ張り力などの外力が加わらないように、ハーネスクリップの回転を防止することができる。
【0015】
また、把持部の内周面に備えられている移動防止部やピン部材の頭部に備えられている移動防止部によって、コードやケーブルを把持部に移動不能に保持(把持)させることができる。つまり、コードやケーブルの軸方向(配線方向)における把持部による当初の保持位置からコードやケーブルが軸方向に移動することを防止することができる。
これにより、前記の回り止め構造によるハーネスクリップの回転防止に加えて、把持部に対するコードやケーブルの軸方向の移動を防止することができる。つまり、回り止め構造との相乗作用によりコードやケーブルの機器類との接続端子に引っ張り力などの外力が加わることをより効果的に防ぐことができる。
【0016】
また、本発明では、ピン部材の軸部に、ピン係止孔の開口縁部に掛止させるピン抜止部を備えていることで、ピン部材がピン係止孔から抜け外れることはない。つまり、コードやケーブルが配線方向に引っ張れるなどによる大きな外力が、ネジ部材による締結部を中心にハーネスクリップが回転する方向に加わっても、ピン部材がピン係止孔から抜け外れることはなく、ネジ部材との2点支持でハーネスクリップの回転を防ぐ。
これにより、ハーネスクリップの回転をより一層確実に、かつ、効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを示す斜視図であり、図2は、同ハーネスクリップを用いてコードやケーブを被固定材に固定した状態を示す斜視図であり、図3は、同固定状態における縦断側面図である。
【0018】
≪第1の実施形態に係るハーネスクリップの構成≫
ハーネスクリップAは、作業者が手作業(指先など)によって折り曲げ可能な材料、例えば、柔軟性を有するナイロンや金属(アルミ材やバネ材)などの所望な材料から形成されている。本実施形態では、ナイロンを用いて形成している。
このハーネスクリップAは、型成形によって一体に形成されるものであり、図1および図2に示すように、コードやケーブルBを挿通させた状態で保持させるための把持部1と、この把持部1から延設されて、1本のネジ部材3によって被固定材Cに取り付けられるときに重ね合わせられる両側締結部2,2とを備えて構成されている。
【0019】
≪把持部の構成≫
把持部1は、ナイロン製帯状部材の長さ方向の略中央部位を略円弧状に折り曲げる。つまり、両側締結部2,2を重ね合わせたときに、コードやケーブルBを、その円周方向に保持(把持)し得る口径の略円弧状に形成されるようになっている。
そして、把持部1は、被固定材Cに宛がわれる円弧部位に、後記するピン部材7を挿通させて装着するための装着孔4を備えている。
【0020】
≪両側締結部の構成≫
両側締結部2,2は、把持部1の双方端からそれぞれ延設されることで形成されるとともに、ネジ部材3のネジ挿通孔5をそれぞれ備えている。
ネジ挿通孔5は、両側締結部2,2が重ね合わせられたときに、図3に示すように、互いに開口軸芯が合致するように両側締結部2,2にそれぞれ形成されている。
これにより、図2および図3に示すように、重ね合わせた両側締結部2,2のネジ挿通孔5にネジ部材3を挿通させ、ネジ部材3を被固定材Cのネジ孔6にねじ込み締結させることで、コードやケーブルBを円周方向に保持する把持部1を閉じた状態でハーネスクリップAは被固定材Cに取り付けられる。
ちなみに、ネジ孔6は、バーリング加工によって被固定材Cに形成されている。
【0021】
そして、このように形成されているハーネスクリップAには、図2および図3に示すように、回り止め手段としてのピン部材7が備えられている。
【0022】
≪ピン部材の構成≫
ピン部材7は、合成樹脂や金属などの所望な材料によって形成され、両側締結部2,2を被固定材Cに取り付ける1本のネジ部材3との協同(2点支持)で、ハーネスクリップAの回転を防止する回り止め構造を構成する。
このピン部材7は、図1に示すように、軸部7aと、この軸部7aに一端側に一体に設けられる頭部7bとを備え、把持部1の装着孔4に挿通されて、該把持部1に備えられるように形成されている。なお、軸部7bは、中実状または中空状に形成されている。
そして、このピン部材7は、図3に示すように、両側締結部2,2が被固定材Cのネジ孔6にネジ部材3によってねじ込み締結されるときに、ネジ孔5に隣接する部位において被固定材Cに設けられているピン係止孔8に軸部7aを挿通させることで、被固定材Cに係止されるように形成されている。
【0023】
ピン係止孔8は、ハーネスクリップAの両側締結部2,2のネジ挿通孔5と、把持部1の装着孔4との開口間隔(離間寸法)にて、ネジ孔6に隣接させた部位において被固定部材Cに設けられている。
これにより、両側締結部2,2のネジ挿通孔5に挿通させたネジ部材3を、被固定材Cのネジ孔6にねじ込み締結させるときに、把持部1に備えられているピン部材7の軸部7aがピン係止孔8に対して芯ズレすることなく、該ピン係止孔8に確実に挿通された状態で係止されるようになっている。
【0024】
[作用説明]
つぎに、以上のように、回り止め手段としてのピン部材6を把持部1に備えている第1の実施形態に係るハーネスクリップAの作用について簡単に説明する。
図示を省略しているが、ここでは、その一例として、調理中に発生する排気流(汚染空気など)を捕集して屋外に排気するレンジフードのフード部を被固定材Cとし、そして、フード部内やフード部の上などに設置される送風機ユニットのファンモータに接続端子を介して一端側が接続され、他端側が室内電源に同じく接続端子を介して接続されるコード(電源コード)Bを、フード部に固定する場合と固定後について説明する。ここでは、図1から図3を適宜参照しながら説明する。
図1に二点鎖線で示すように、コードBを把持部1に挿通させ、この状態で把持部1に備えられているピン部材7の軸部7aを、フード部に設けられているピン挿通孔8に挿通させるとともに、重ね合わせた両側締結部2,2のネジ挿通孔5を、フード部に設けられているネジ孔6に合致(位置)させ、1本のネジ部材3によって両側締結部2,2をフード部に取り付ける。
これにより、ハーネスクリップAは、図3に示すように、ネジ部材3とピン部材7との2点支持によってレンジフードのフード部に取り付けられるとともに、把持部1に保持されているコードBをフード部に固定する。
【0025】
このように構成されているハーネスクリップAによれば、例えば、レンジフードの汚れを拭き取るなどの清掃のときなどに、コード(電源コード)Bが配線方向に引っ張れるなどによってハーネスクリップAに外力が加わっても、ネジ部材3による締結部を中心にハーネスクリップAが回転することを防止することができる。
これにより、コードBのファンモータや室内電源との接続端子が損傷、あるいは端子同士の接続が抜け外れてしまうなどの問題を引き起こすおそれを未然に防ぐことができる。
【0026】
また、ネジ部材3でハーネスクリップAを被固定材Cとしてのフード部に取り付けるときに、把持部1に備えられているピン部材7をフード部のピン係止孔8に予め係止させた状態で行うことができるために、ネジ部材3をネジ孔6にねじ込み締結させている作業中において、ハーネスクリップAの向きが変わるなどの心配はなく、コードBの配線方向に向けた適切な姿勢(向き)にてハーネスクリップAをフード部(被固定材C)に取り付けることができる。
これにより、従来のように、配線方向に把持部1の向きを作業者自身が保持しながらネジ止めを行わなければならないと言った煩わしさがなくなり、ハーネスクリップAの取り付け作業性が格段に改善されることとなる。
【0027】
≪第2の実施形態に係るハーネスクリップの構成≫
図4は、第2の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
この第2の実施形態に係るハーネスクリップA−1は、図4に示すように、回り止め手段としてのピン部材7−1を、把持部1に一体の備えた構成を採用したものであり、それ以外の構成においては前記の第1の実施形態と基本的に同じ構成であることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
すなわち、コードやケーブルBを被固定材Cに固定するとき、被固定材Cに宛がわれる把持部の円弧部位にピン部材7−1を、型成形によって一体に備えている。
これにより、被固定部材Cに設けられているピン係止孔8に挿入させて係止させる回り止め用のピン部材7−1を把持部1に備えたハーネスクリップA−1を安価に製造することができる。
【0028】
≪第3の実施形態に係るハーネスクリップの構成≫
図5は、第3の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図であり、図6は、同ハーネスクリップのピン部材を示す斜視図である。
この第3の実施形態に係るハーネスクリップA−2では、図5および図6に示すように、ピン部材7の軸部7aにピン抜止部9を備えた構成を採用したものであり、それ以外の構成においては前記の第1の実施形態と基本的に同じ構成であることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
すなわち、ピン部材7は、図5に示すように、ピン係止孔8に挿入させたときに、該ピン係止孔8の開口縁部に掛止されるピン抜止部9を軸部7aに備えている。
【0029】
≪ピン抜止部の構成≫
ピン抜止部9は、図6に示すように、ピン部材7の軸部の周りにおいて四方向に突出状に形成されている。
このピン抜止部9は、前記の第1の実施形態において詳述の合成樹脂や金属など所望な材料、特にナイロンなどを含む適度の弾性作用を有する合成樹脂からなるピン部材7の頭部7bから軸方向に、ハーネスクリップAの板厚と被固定材Cの板厚との双方厚に相当する部位において、頭部7a側に向けた外向き傾斜状に形成されている。
これにより、ピン部材7は、ピン係止孔8に挿入させるときに弾性圧縮し、ピン係止孔8を通過して、該ピン係止孔8の裏側開口部側に抜けたときに元の突出形態に弾性復帰して、図5に示すように、ピン係止孔8の裏側開口部の縁部に掛止されるピン抜止部9によって抜動不能に保持されることで、ハーネスクリップA−2の回転をより一層確実に、かつ、効果的に防ぐことができる。
つまり、コードやケーブルBが配線方向に強く引っ張れるなどによって大きな外力が、ハーネスクリップA−2に加わった場合でも、ピン部材7は、ピン係止孔8から抜けることなく、ネジ部材3との2点支持でハーネスクリップA−2の回転を確実に防ぐ。
【0030】
なお、図示を省略しているが、ピン抜止部9は、バネ作用によって傾斜下端側を支点に開閉するように形成することができる。つまり、ピン部材7の軸部7aをピン係止孔8に挿入させるときに閉じ、ピン係止部8を通過して、該ピン係止部8の裏側の開口部側に抜けたときに開いて、該開口部の縁部に掛止するように形成することができる。
この場合、ピン部材7を、バネ作用を有する所望な材料を用いて形成するとともに軸部7aを中空状とし、この軸部7aにスリットなどを設けて、ピン抜止部9を切り起こすように形成することができる。
【0031】
≪第4の実施形態に係るハーネスクリップの構成≫
図7は、第4の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
この第4の実施形態に係るハーネスクリップA−3では、図および図に示すように、把持部1の内周面と、ピン部材7の頭部7bに、コードやケーブルBの外周面に圧着させる移動防止部10,11を備えた構成を採用したものであり、それ以外の構成においては前記の第1の実施形態と基本的に同じ構成であることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
すなわち、図7に示すように、把持部1の内周面、そしてピン部材7の頭部7bの突端面に移動防止部10を備えている。
【0032】
≪移動防止部の構成≫
図8は、ハーネスクリップを展開させた状態で示す斜視図であり、図9は、ピン部材を示す斜視図である。
移動防止部10,11は、把持部1にコードやケーブルBを挿通させ、重ね合せた両側締結部2,2をネジ部材3によって被固定材Cのネジ孔6にねじ込み締結させたときに、コードやケーブルBの外周面に圧着し、コードやケーブルBの軸方向(配線方向)への移動を防ぐ。つまり、コードやケーブルBの軸方向における把持部1による当初の保持位置からコードやケーブルBが軸方向に移動することを防ぐ役目をなすものである。
この移動防止部10は、図8に示すように、把持部1の内周面においては、略截頭円錐形状などに突出された無数の突起群から形成されている。また、移動防止部11は、図9に示すように、ピン部材7の頭部7bにおいては、三方や四方などの数方向に向けて突出させた突起群から形成されている。
【0033】
[作用説明]
このように、把持部1の内周面、ピン部材7の頭部7bにそれぞれ突起群からなる移動防止部10,11を備えているハーネスクリップA−3によれば、前記の第1の実施形態に記載のネジ部材3による締結部を中心にハーネスクリップAが回転することを防止する回転防止作用に加えて、コードやケーブルBを把持部1に軸方向へ移動不能に保持させることができる。
これにより、ピン部材7とビス部材3との2点支持によるハーネスクリップA−3の回り止め構造との相乗作用により、コードやケーブルBが配線方向に引っ張られたときなどの外力が、コードやケーブルBの機器類との接続端子(図示省略)に加わることを、より一層確実に、かつ、効果的に防ぐことができる。
【0034】
図10は、他の実施形態の移動防止部を備えたハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図であり、図11は、ピン部材を示す斜視図である。
この他の実施形態の移動防止部12を備えているハーネスクリップA−3は、図10に示すように、ピン部材7の頭部7bに、コードやケーブルBの外周面を、円周(輪切り断面)に沿うように圧着させるための移動防止部12を備えた構成を採用したものであり、それ以外の構成においては前記の第1の実施形態と基本的に同じ構成であることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
すなわち、移動防止部12は、図11に示すように、略長方形状に形成されているピン部材7の頭部7bに、短辺側から見て略円弧状で、長辺方向に並列させた複数本の円弧突起から形成されている。
これにより、図10に示すように、ネジ部材3をネジ孔6にねじ込み締結させたときに、複数本の円弧突起からなる移動防止部12が、コードやケーブルBの外周面を円周方向に締付け圧着し、コードやケーブルBの軸方向(配線方向)への移動を防ぐ。
【0035】
なお、図示を省略しているが、移動防止部10,11,12としては、前記した突起群や円弧突起に限定されるものではなく、例えば、梨地模様、あるいはコードやケーブルBの円周方向に沿うように把持部1の内周面やピン部材7の頭部7bに施される線模様群、あるいは、コードやケーブルBの円周方向と軸方向との双方に沿うように把持部1の内周面やピン部材7の頭部7bに施される交差された線模様群などによって形成される滑り止め構造にて形成することができる。これにより、コードやケーブルBを滑り止め作用によって把持部1に移動不能に保持させることができる。
【0036】
また、移動防止部10を、摩擦抵抗が大きいゴム材などを用いて形成することができる。この場合、ゴム材は把持部1の内周面やピン部材7の頭部7bに貼り付けるなどの適宜の固着手段によって備えることができる。これにより、コードやケーブルBを摩擦作用(グリップ力)によって把持部1に移動不能に保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを示す斜視図である。
【図2】同ハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す斜視図である。
【図3】同固定状態における縦断側面図である。
【図4】第2の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
【図5】第3の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
【図6】同ハーネスクリップのピン部材を示す斜視図である。
【図7】第4の実施形態に係る本発明のハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
【図8】同ハーネスクリップを展開させた状態で示す斜視図である。
【図9】同ハーネスクリップのピン部材を示す斜視図である。
【図10】他の実施形態の移動防止部を備えたハーネスクリップを用いてコードやケーブルを被固定材に固定した状態を示す縦断側面図である。
【図11】同ハーネスクリップのピン部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
A,A−1,A−2,A−3 ハーネスクリップ
1 把持部
2 両側締結部
3 ネジ部材
4 装着孔
5 ネジ挿通孔
6 ネジ孔
7,7−1 ピン部材(回り止め手段)
7a 軸部
7b 頭部
8 ピン係止孔
9 ピン抜止部
10,11,12 移動防止部
B コードやケーブル
C 被固定材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げ可能な材料から形成され、コードやケーブルを挿通させた状態で保持する把持部から延設される両側締結部を重ね合わせて、該両側締結部を1本のネジ部材で被固定材に固定するように形成されているハーネスクリップであって、
前記両側締結部に設けられているネジ挿通孔から離れた位置で、前記被固定材に宛がわれる部位に、該被固定材に対して係止させる回り止め手段を備えていることを特徴とするハーネスクリップ。
【請求項2】
前記回り止め手段が、前記把持部に設けられている装着孔に挿通されて前記把持部に備えられる頭部付のピン部材であり、前記被固定材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハーネスクリップ。
【請求項3】
前記回り止め手段が、前記把持部に一体に備えられるピン部材であり、前記被固定材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハーネスクリップ。
【請求項4】
前記把持部の内周面に、前記コードやケーブルの外周面に圧着させる移動防止部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハーネスクリップ。
【請求項5】
請求項2または請求項4に記載のハーネスクリップにおいて、
前記ピン部材の頭部に、前記コードやケーブルの外周面に圧着させる移動防止部を備えていることを特徴とするハーネスクリップ。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のハーネスクリップにおいて、
前記ピン部材を前記ピン係止孔に挿入させたときに、該ピン係止孔の開口縁部に掛止されるピン抜止部を、前記ピン部材の軸部に備えていることを特徴とするハーネスクリップ。
【請求項1】
折り曲げ可能な材料から形成され、コードやケーブルを挿通させた状態で保持する把持部から延設される両側締結部を重ね合わせて、該両側締結部を1本のネジ部材で被固定材に固定するように形成されているハーネスクリップであって、
前記両側締結部に設けられているネジ挿通孔から離れた位置で、前記被固定材に宛がわれる部位に、該被固定材に対して係止させる回り止め手段を備えていることを特徴とするハーネスクリップ。
【請求項2】
前記回り止め手段が、前記把持部に設けられている装着孔に挿通されて前記把持部に備えられる頭部付のピン部材であり、前記被固定材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハーネスクリップ。
【請求項3】
前記回り止め手段が、前記把持部に一体に備えられるピン部材であり、前記被固定材に設けられているピン係止孔に挿入されて係止されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハーネスクリップ。
【請求項4】
前記把持部の内周面に、前記コードやケーブルの外周面に圧着させる移動防止部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハーネスクリップ。
【請求項5】
請求項2または請求項4に記載のハーネスクリップにおいて、
前記ピン部材の頭部に、前記コードやケーブルの外周面に圧着させる移動防止部を備えていることを特徴とするハーネスクリップ。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のハーネスクリップにおいて、
前記ピン部材を前記ピン係止孔に挿入させたときに、該ピン係止孔の開口縁部に掛止されるピン抜止部を、前記ピン部材の軸部に備えていることを特徴とするハーネスクリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−284661(P2009−284661A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134454(P2008−134454)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000237374)富士工業株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000237374)富士工業株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
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