説明

バッグインボックス用内袋収納容器、バッグインボックス、およびバッグインボックス用内袋の取扱方法

【課題】 注出口を有する内袋の収納が容易であり、取扱い性に優れたバッグインボックス用内袋収納容器の提供。
【解決手段】 本体容器11の側面11cには、上部開口部11aから下方に延在する切欠部13と、該切欠部13の下端に連設されかつ内袋2の注出口4を受容する切欠状の注出口受容部14とが形成され、前記切欠部13は、注出口4の先端部を本体容器11の外側に突出させた姿勢を保ちつつ注出口4を切欠部13内で自在に上下させることが可能な幅を有し、切欠部13と注出口受容部14との境界部には注出口制止用突起15、15が突設されており、注出口4を注出口受容部14に到達させた時に注出口制止用突起15、15が注出口4の上部に係合することにより、注出口受容部14に受容された注出口4が切欠部13側に持ち上がることを制止できる収納容器10A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグインボックス用内袋収納容器、バッグインボックス、およびバッグインボックス用内袋の取扱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッグインボックス(Bag In Box)は、一般にフレキシブルな内袋と段ボール製の外装容器とからなり、内容品が密封された内袋を外装容器に収納した形態として、液体、粘稠物、粒状物あるいは粉体等、流動性を有する内容品の輸送に使用されている。この種のバッグインボックスは、一般に容量が1〜20リットル程度であり、取扱い性や使用後の廃棄性に優れている。しかしながら、クリーンな環境で製造を行う必要がある食品、医薬品、各種工業製品の製造現場では、段ボールから発生する紙粉が異物の原因となるため、剛性を有する合成樹脂製や金属製の缶を使用する場合がある。
【0003】
しかしながら、缶は輸送中や保管中に外側が汚れることがあり、クリーン環境に搬入する前に洗浄が必要となる場合がある。また、内容品が直接収納されるため、使用後に廃棄や洗浄(再使用する場合)の費用がかかり、コスト面で不利である。また、バッグインボックスから内袋を取り出して内袋だけをクリーン環境に搬入することもあるが、この場合には、フレキシブルな内袋だけでは形状が維持できないので取扱い性が悪く、外装容器からの取り出しにしても、搬入時の持ち運びにしても、保管や内容品の取り出しにしても面倒である。このため、外装容器を合成樹脂製の剛性容器にしたバッグインボックスが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平10−278935号公報
【特許文献2】特開2000−272661号公報
【特許文献3】特開2004−99073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の容器のように注出口を固定する箇所がないと、注出口の位置が定まりにくく、そのままでは使用に不便である。
特許文献2記載の容器のように注出口が取り出せる開口部を蓋の一部に設けた場合、注出口から内容品を取り出すためには、注出口が横向きになるように容器を横倒しにする必要がある。このため、本体容器と蓋との結合を頑丈にした上、内袋を本体容器に収納して蓋を閉める際、後々蓋が不用意に開かないよう厳重に作業しなければならないので、それだけ手間と時間を要する。またフレキシブルな内袋を用いた場合、蓋に設けた開口部を開く前に注出口の位置が変わってしまって、注出口を前記開口部から引き出せなくなるおそれがある。
【0005】
特許文献3記載の容器のように、側面に穴を開けた本体容器を用いた場合、この穴から注出口を横向きに突出させることができる。しかし、形状が不定であってかつ重量がある内容品充填後の内袋を本体容器に収納するとき、内袋は自重で変形しやすい上、剛性を有する本体容器は、ダンボール箱のように、収納した内袋に対して手を挿入して注出口の位置を修正するわけにはいかないので、注出口を穴の近くに届かせることは難しい。さらに、注出口を穴の近くに届かせることができたとしても、穴に指を入れて注出口を引き出す手間がかかる。しかも本体容器が不透明の場合、穴から手探りで注出口を探すことになるので、とても手間がかかる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、注出口を有する内袋の収納が容易であり、取扱い性に優れたバッグインボックス用内袋収納容器ならびにこれを用いたバッグインボックスおよびバッグインボックス用内袋の取扱方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、上部が開口した有底の本体容器の側面に、該本体容器の上部開口部から下方に延在する切欠部と、該切欠部の下端に連設されかつバッグインボックス用内袋の注出口を受容する切欠状の注出口受容部とが形成され、前記切欠部は、前記注出口の先端部を本体容器の外側に突出させた姿勢を保ちつつ前記注出口を前記切欠部内で自在に上下させることが可能な幅を有し、前記切欠部と注出口受容部との境界部には注出口制止用突起が突設されており、注出口を注出口受容部に到達させた時に前記注出口制止用突起が前記注出口の上部に係合することにより、前記注出口受容部に受容された注出口が切欠部側に持ち上がることを制止できることを特徴とするバッグインボックス用内袋収納容器を提供する。
このバッグインボックス用内袋収納容器は、本体容器の上部開口部を覆う蓋体を備えることができる。
【0008】
また、本発明は、上部が開口した有底の本体容器の側面に、該本体容器の上部開口部から下方に延在する切欠部と、該切欠部の下端に連設されかつバッグインボックス用内袋の注出口を受容する切欠状の注出口受容部とが形成され、前記切欠部は、前記注出口の先端部を本体容器の外側に突出させた姿勢を保ちつつ前記注出口を前記切欠部内で自在に上下させることが可能な幅を有し、前記本体容器の上部開口部を覆う蓋体の縁部には、下方に延設された注出口制止片が設けられており、閉蓋時に前記注出口制止片の下端部が前記注出口の上部に当接することにより、前記注出口受容部に受容された注出口が前記切欠部側に持ち上がることを制止できることを特徴とするバッグインボックス用内袋収納容器を提供する。
前記注出口制止片は、閉蓋時に前記本体容器の内側に差込可能であり、かつ前記注出口制止片の両側縁が前記切欠部の両側縁において前記本体容器の内面に当接可能であることが好ましい。
【0009】
上述のバッグインボックス用内袋収納容器において、収納容器は合成樹脂製とすることができる。
また、本発明は、バッグインボックス用内袋が上述のバッグインボックス用内袋収納容器に収納されてなるバッグインボックスであって、前記注出口の先端部が前記注出口受容部を通して前記本体容器の外側に露出されていることを特徴とするバッグインボックスを提供する。
このバッグインボックスにおいて、前記バッグインボックス用内袋の袋本体は、フィルムを熱融着してなるフィルムタイプの軟包装袋であることが好ましい。
前記バッグインボックス用内袋は、取手を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明は、紙粉を嫌う環境下で使用されるバッグインボックス用内袋の取扱方法であって、板紙を主たる素材とした輸送容器に収納して輸送されたバッグインボックス用内袋を紙粉を嫌う環境の手前で前記輸送容器から取り出し、上述のバッグインボックス用内袋収納容器に収納したのち、紙粉を嫌う環境下に搬入して前記収納容器に収納された状態で使用することを特徴とするバッグインボックス用内袋の取扱方法を提供する。
このバッグインボックス用内袋の取扱方法において、前記輸送容器は、側面にミシン目および/またはカットテープからなる易裂開手段を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のバッグインボックス用内袋収納容器によれば、バッグインボックス用内袋を本体容器に収納するとき、注出口を横向きにして前記注出口の先端部を本体容器の外側に突出させた姿勢を保ちつつ、上部開口部から下方に延在した切欠部を通して注出口を注出口受容部まで容易に到達させることができる。
さらに、前記切欠部の下端に注出口制止用突起を有する場合には、注出口を注出口受容部に到達させた時に注出口制止用突起が注出口の上部に係合することによって注出口の上方への動きが制止される。前記蓋体の縁部に注出口制止片が下方に延設されている場合には、閉蓋時に注出口制止片の下端部が注出口の上部に当接することによって注出口の上方への動きが制止される。いずれの場合でも、注出口が本体容器の内部に隠れてしまったり、注出口固定用の部材を別途取り付けるなどの手間をかけたりすることがなく、注出口を注出口受容部に容易にセットすることができる。そして、注出口の上方への動きを制止して、注出口を注出口受容部に確実に固定することができる。このため、内袋の収納が容易であると共に、収納容器に内袋を収納した状態で注出口が容器の外側に露出されるため、内袋の内容品の取り出しにも便利である。
【0012】
閉蓋時に前記本体容器の内側に差込可能な注出口制止片を有し、かつ注出口制止片の両側縁を切欠部の両側縁において本体容器の内面に当接可能とした場合、バッグインボックス用内袋を外側から押さえ込むことができるので、内袋が変形して切欠部から外側にはみ出すことを確実に防止することができる。
上部開口部を覆う蓋体を設けることにより、異物が本体容器内に侵入することを防止できる。また、複数個の収納容器を上下に積み重ねる場合に、蓋体の上に他の収納容器を容易に載せることができる。
前記収納容器が合成樹脂製である場合、低コストで成形可能であり、紙粉や錆の発生の心配も無く、合理的である。
【0013】
本発明のバッグインボックス用内袋収納容器にバッグインボックス用内袋を収納し、注出口受容部を通して注出口の先端部を本体容器の外側に露出させたバッグインボックスによれば、注出口が収納容器の側面から横向きに突出した姿勢になるので、蓋体を本体容器の開口部に載せたまま内袋から内容品の取り出しが可能になる。このため、バッグインボックスを作業現場に搬入した後、バッグインボックスの天面と側面の位置関係の変更が不要になり、目的地に迅速に設置することができる。しかも、収納容器と蓋体とを頑丈に結合する必要がないので、収納容器自身を簡易な構造とすることができると共に、収納容器に内袋を収納して蓋体を閉じるときに複雑な作業が発生せず、手間を軽減できる。
前記バッグインボックス用内袋がフィルムを熱融着してなるフィルムタイプの軟包装袋である場合、本発明のバッグインボックス用内袋収納容器が効果的に適用できる。その結果、内袋から内容品をすべて取り出した後に折り畳んだり丸めたりすることによって簡単に減容でき、回収の作業性や廃棄性に優れる。
【0014】
本発明のバッグインボックス用内袋の取扱方法によれば、下記のごとく優れた効果が得られる。
(1)板紙を主たる素材とした通常の輸送容器を用いることによってコストを低減できる。
(2)バッグインボックス用内袋を、紙粉を嫌う環境下に搬入する前に輸送容器から取り出して、本発明のバッグインボックス用内袋収納容器に収納することによって、輸送容器から発生する紙粉や輸送容器に付着した塵埃などによる作業環境の汚染を防止できる。
(3)収納容器は輸送容器から内袋を移し替えるときだけ、紙粉を嫌うクリーンな作業現場の外に出されるが、ほとんどの時間はクリーン環境内に設置されるので、外部の異物による汚染の可能性を極めて小さくできる。このため、内袋を収納容器に移し替えて作業現場に搬入するときにも、水洗などの手間がかかる洗浄は不要であり、必要であれば、清浄なエアの吹きつけ等、短時間で完了するような工程を行うだけで、作業現場に搬入可能な程度に清浄な状態にすることができる。
(4)バッグインボックス用内袋を収納容器に収納したそのままの状態で取り扱うことが可能なので、搬入の際に取り扱いやすく、かつ内容品の残量にかかわらず注出口の姿勢が一定に維持されるので内容品の取り出しも容易になる。また、内容品の使用完了後、空になった内袋を収納容器から取り出し、新しい内容品が収納された内袋と入れ替える際の内袋の交換も容易であり、かつ内袋の交換時に収納容器の洗浄を省略することができる。
【0015】
バッグインボックス用内袋として取手を有するものを用いた場合、輸送容器から収納容器へ移し替えの際に持ちやすくなり、作業時間を短縮できる。
輸送容器として、側面にミシン目および/またはカットテープからなる易裂開手段を有するものを用いた場合、輸送容器を大きく開くことができ、バッグインボックス用内袋の取り出しが容易になり、作業時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
まず、本発明に係るバッグインボックス用内袋収納容器について説明する。
図1、図2は、本発明のバッグインボックス用内袋収納容器の第1形態例を示す図面であって、図1(a)は蓋体の一部を切り欠いて図示した分解斜視図、図1(b)は斜視図、図1(c)は図1(b)のA−A線に沿う断面図、図2は正面図である。
これらの図に示すバッグインボックス用内袋収納容器(単に「収納容器」という場合がある。)10Aは、本体容器11と蓋体12とからなり、内側に袋本体3と注出口4を有するバッグインボックス用内袋(以下、単に「内袋」という場合がある。)2を収納することでバッグインボックス1Aを構成することができる。図2では内袋が収納される位置を二点鎖線で示す。通常、注出口の先端部には、キャップ、キャップ兼用コックや専用コックが装着される。図1および図2においては、それらを省略して図示している。
【0017】
図1に示すように、本体容器11は、上部開口部11aを有する有底の容器であり、略矩形状の底部11bとその周囲に設けられた4面の側面部11c、11d、11e、11fを有する。本体容器11の1つの側面部11cには、上部開口部11aから下方に延在する切欠部13と、該切欠部13の下端に連設された切欠状の注出口受容部14が形成されている。また、蓋体12は、板状の本体部12aと該本体部12aの周囲に立設されたリブ状の周壁部12bとを有し、本体容器11の上部開口部11aの周縁に蓋体12の周壁部12bを嵌合させると、本体容器11と蓋体12とが一体化して上部開口部11aを閉鎖するようになっている。本体容器11および/または蓋体12には蝶番や係止爪等の係合手段、かんぬきやバックル等の開放防止手段を設け、開閉の際に所定の操作を必要とすることもできるが、蓋体12の開閉を容易にするためには、蓋体12を単に持ち上げ或いは上部開口部11a上に載せるだけで開閉可能である方が好ましい。
【0018】
なお、本形態例の収納容器は、蓋体12を省略した本体容器11のみの態様でも使用が可能である。クリーン環境内で収納容器を用いる場合、蓋体12を省略して上部開口部11aを開放したままでも、異物が本体容器11内に侵入するおそれはない。清浄度の低い環境で使用する場合には、蓋体12によって上部開口部11aを覆うことが望ましい。
運搬や使用などに際して複数個の収納容器を上下に積み重ねる場合、蓋体12の上面または本体容器11の上部開口部11aの周縁に、本体容器11の底部11bと嵌合または係合する部位を設けると、上側の収納容器がずれ落ちにくくなり、好ましい。
【0019】
切欠部13は、注出口4を注出口受容部14に案内するためのものである。したがって、内袋2の注出口4の先端部を本体容器11の外側に突出させた姿勢を保ちつつ注出口4を切欠部13内で自在に上下させることが可能な幅を有する。特にフレキシブルなフィルムからなる内袋2を用いた場合には、内容品を収納した内袋2の一部が切欠部13から膨出するのを避けるため、切欠部13の幅はなるべく狭くすることが好ましい。注出口4が切欠部13を容易に上下動可能とするには、切欠部13の幅は、注出口4との間に隙間を確保するため注出口4の筒部の外径より広くすることが好ましい。注出口4の挿通によって本体容器11の弾性変形の範囲内で切欠部13の両側縁13a、13aの間隔を広げることができるので、切欠部13の幅が注出口4の外径より若干(例えば数mm程度)狭くすることもできる。
【0020】
切欠部13の幅は、切欠部13の長手方向に沿って一定であっても良く、或いは変化があっても良い。例えば図2の収納容器10Aおよびバッグインボックス1Aのごとく、上部開口部11a側に角度の急なテーパ部31aを設けて上方から注出口4を受け入れやすくし、該テーパ部31aの下方に注出口4の外径と同程度の幅を有する平行部31bを設けて注出口4を両側から案内する構成とすることもできる。また、図3の収納容器10Bおよびバッグインボックス1Bのごとく、切欠部13の大部分を上部開口部11aから下に向かって徐々に幅が狭くなるなだらかなテーパ部32aとし、注出口制止用突起15、15のすぐ上側で急なテーパ部32bとした構成とすることもできる。
【0021】
注出口受容部14は、切欠部13の下端に連設されており、バッグインボックス用内袋2の注出口4の筒部を受容すべく、注出口4の筒部の横断面の周囲に沿う形状の周縁14aを有する。例えば注出口4の筒部が円筒状である場合には、円弧状の切欠により注出口受容部14を形成することができる。なお、内袋2の残量が注出口4より下側に減ったときには、注出口4が下向きまたは斜め下向きとなるようにバッグインボックスを傾けて内容品の排出を促進することもできるが、なるべく余分な手間をかけずにより多くの内容品を取り出せるようにするためには、注出口受容部14と底部11bの距離をできるだけ短くすることが望ましい。
【0022】
さらに、図1〜図3に示す収納容器10A、10Bの場合、本体容器11は、切欠部13の各側縁13aと注出口受容部14の周縁14aとの境界部に、相対する向きに突設された一対の注出口制止用突起15、15を有する。この注出口制止用突起15、15は、注出口4を注出口受容部14に到達させた時に注出口4の上部に係合して、注出口受容部14に受容された注出口4が切欠部13側に持ち上がることを制止するためのものである。この目的のため、注出口制止用突起15、15の先端同士の間隔は、注出口4の外径より若干(例えば数mm程度)狭くすることが望ましい。注出口4を注出口受容部14側に挿通する際には、注出口4を下向きに押し込むことにより注出口制止用突起15、15が弾性変形して容易に挿通可能である。なお、注出口4の制止のためには、注出口制止用突起15は、切欠部13のいずれか一方の側縁13aから突設するだけでも構わない。注出口制止用突起15を対にして両側の側縁13aに設ける方が、より確実に注出口4を制止できるため、好ましい。
【0023】
収納容器10A、10Bを構成する本体容器11および蓋体12の素材は、合成樹脂や金属等の公知の成形用材料を特に制限なく用いることができる。なかでも成形性に優れる点で合成樹脂が好ましい。合成樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の熱可塑性樹脂が好適であるが、これらに限定されるものではない。容器の成形方法は、射出成形法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法などが挙げられ、特に限定されない。本体容器11および蓋体12の寸法は特に限定ないが、例えば一人の作業者で運搬する小型ないし中型の容器であれば、収納容器の一辺が10〜40cm、底部11bや側面部11c〜11fの厚みが1〜10mm程度とすることができる。
【0024】
切欠部13、注出口受容部14、および注出口制止用突起15、15の形成は、本体容器11の成形と同時に行うこともできるし、切削等によりあと加工で行うこともできる。また、前記切欠部13等を有する側面部11cを成形したのち、成形済みの側面部11cの周囲にインサート成形で残りの側面部11d、11e、11f及び底部11bを形成して本体容器11とすることもできる。
【0025】
上述したように、本形態例の収納容器は、内袋2を収納することによりバッグインボックスとして利用することができる。ここで内袋2の袋本体3は、フィルムを熱融着してなるフィルムタイプの軟包装袋でも、合成樹脂を成形したフレキシブルまたはセミリジッドな容器でもよいが、本発明の収納容器が効果的に適用できて、使用後の減容や回収が容易であり廃棄性に優れる点で、軟包装袋が好ましい。軟包装袋の形態としては、ガゼット袋、平袋、スタンディングパウチなどがあり、いずれの形態も制限なく利用可能である。
内袋2の寸法は特に限定されないが、内容量が1〜40リットル、特に2〜20リットル程度とすることが好ましい。
【0026】
上記軟包装袋を構成するフィルムの素材は、特に限定されるものではないが、一般に合成樹脂フィルムで構成される。前記合成樹脂フィルムとしては、内袋が平袋である場合、単層フィルムや積層フィルムが一枚または複数枚用いられる。単層フィルムの場合はポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの熱可塑性樹脂からなるフィルムが、積層フィルムの場合は、これらの樹脂とナイロン(Ny)やエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン(PVDC)等のガスバリア性樹脂の共押出フィルムが用いられる。内袋が、ガゼット袋やスタンディングパウチである場合、積層フィルムが用いられ、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの熱可塑性樹脂を熱融着用のシーラント層とし、これにポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン(Ny)等のポリアミド樹脂、ポリプロピレン(PP)等の基材層を積層したもの等が用いられる。基材層は一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムが好ましい。基材フィルムには、酸素や水蒸気等のガスを遮断するためのガスバリア層として、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)や塩化ビニリデン(PVDC)等の樹脂層、アルミニウムなどの金属蒸着層、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機化合物蒸着層を積層することもできる。シーラント層と基材層とを積層する方法としては、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法等が挙げられ、シーラント層と基材層の間には両者を接着するため一般に接着剤やアンカー剤等が設けられる。
【0027】
セミリジッドな成形タイプの容器に用いられる樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂等が好適であるが、これらに限定されるものではない。容器の成形方法は、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法などが挙げられ、特に限定されない。
【0028】
注出口4としては公知のものを特に限定なく使用できるが、袋本体3への注出口4の固定をヒートシールで行うことができることから、熱可塑性樹脂からなる成形品、または少なくとも袋本体3に熱融着される部分に熱可塑性樹脂が用いられているものを用いることが好ましい。前記熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。なお、袋本体3がセミリジッドな成形タイプの容器である場合には、注出口4はカシメで固定することもできる。この場合は、注出口4の材質は袋本体3に熱融着されないものであってもよい。注出口4の周囲には、図1(c)に示すように、注出口受容部14に嵌合する環状の溝4aを設けることが好ましい。この溝4aは、内袋2に内容品を充填する際や、内袋2を段ボール等の輸送容器に収納したまま内容品を注出する際、注出口4を固定するために使用することもできる。
【0029】
注出口4の先端は、一般にキャップ5等の閉鎖手段によって密封することができる。該閉鎖手段は、内容品を使用する前に開封されるものであり、繰り返し開閉可能なものであっても、一旦開封すると再封不能なものでもよい。また、一旦開封すると痕跡が残って改竄防止機能(ピルファープルーフ性)を有する閉鎖手段を用いることもできる。内容品の取り出しを容易にするため、内袋2の閉鎖手段の開封に際し、例えばキャップ兼用コック、ハンドル付専用コック等、内袋2を自在に開閉できる手段を注出口4の先端部に取り付けることが望ましい。
【0030】
また、袋本体3に取手6を設けると、収納容器に内袋2を収納する作業が容易になるので好ましい。袋本体3に取手6を設けるには、例えば、袋本体3を構成するフィルムの熱融着した部分を耳状に突出させ、この突出部に手を通す穴を形成して取手6とする方法、または別途形成した成形品を袋本体3に固定する方法等が挙げられる。袋本体3がセミリジッドな成形タイプの容器である場合には、取手6を袋本体3と同時に成形することもできる。
【0031】
注出口制止用突起15、15を有する収納容器10A、10Bに内袋2を収納してバッグインボックス1A、1Bを構成するには、袋本体3を本体容器11に収納した後、蓋体12を被せればよい。注出口4を注出口受容部14に固定するには、注出口4を横向きにして注出口4の先端部を本体容器11の外側に突出させた姿勢を保ちつつ上部開口部11aから切欠部13に沿って下降させ、さらに注出口制止用突起15、15のところで下向きに押込力を加えて注出口制止用突起15、15を注出口4の筒部の上部に係合させる。注出口4の筒部に溝4aが設けられている場合は、この溝4aに注出口受容部14および注出口制止用突起15、15を嵌合させることが好ましい。
【0032】
以上のように、本発明の各形態例の収納容器10A、10Bによれば、注出口4の先端部を本体容器11の外側に露出させたまま内袋2を本体容器11に収納することが可能なので、注出口4の位置を見失うことがなく、注出口4を注出口受容部14に容易にセットすることができる。また、注出口4を注出口受容部14にセットした後、注出口4の上方への動きが注出口制止用突起15、15によって制止されるので、注出口4を確実に固定することができる。得られたバッグインボックス1A、1Bでは、注出口4の先端部が注出口受容部14を通して本体容器11の外側に露出されるため、蓋体12を本体容器11の開口部11aに載せたまま内袋2から内容品の取り出しが可能になり、内袋2から内容品を取り出す作業も容易である。さらに、切欠部13を通して内袋2に収納された内容品の液面の高さを目視することができるので、内容品の残量を容易に確認することができる。
【0033】
図4、図5は、本発明のバッグインボックス用内袋収納容器の第3形態例を示す図面であって、図4(a)は蓋体の一部を切り欠いて図示した分解斜視図、図4(b)は斜視図、図4(c)は図4(b)のC−C線に沿う断面図、図5は正面図である。
これらの図に示す収納容器10Cは、本体容器11と蓋体12とからなり、内側に袋本体3と注出口4を有する内袋2を収納することでバッグインボックス1Cを構成することができる。図5では内袋が収納される位置を二点鎖線で示し、かつ注出口の先端部を省略して図示している。
【0034】
図4、図5に示す収納容器10Cの場合、注出口4を注出口受容部14に固定する手段として、本体容器11に注出口制止用突起15を設ける代わりに、蓋体12の縁部に注出口制止片16が設けられている。この注出口制止片16は、閉蓋時に注出口制止片16の下端部16aが注出口4の上部に当接することにより、注出口受容部14に受容された注出口4が切欠部13側に持ち上がることを制止するためのものである。この目的のため、注出口制止片16は充分な長さを有して蓋体12の本体部12aから下方に延設されている。また、注出口制止片16の下端部16aは、注出口4の横断面の周囲に沿う形状(例えば円弧状)になっている。
さらに、注出口制止片16の上端部16bは蓋体12の周壁部12bより内側である本体部12aの下面に連結されていて、閉蓋時に注出口制止片16を本体容器11の内側に差込可能になっている。また、注出口制止片16の幅は切欠部13の幅よりも大きくなっており、閉蓋時に注出口制止片16の両側縁16c、16cが切欠部13の両側縁13a、13aの外側(切欠部13の左右両側)において本体容器11の側面部11cの内面に当接するようにしている。
【0035】
本形態例の収納容器10Cにおいて、収納容器10Cを構成する本体容器11および蓋体12の材質および製造方法は、上述の収納容器10Cと同様とすることができる。なお、注出口制止片16の形成は、蓋体12の成形と同時に行うこともできるし、予め注出口制止片16を成形したのち、成形済みの注出口制止片16の周囲にインサート成形で本体部12aおよび周壁部12bを成形して蓋体12を構成することもできる。本体容器11および蓋体12の寸法は特に限定はないが、例えば一人の作業者で運搬する小型ないし中型の容器であれば、収納容器の一辺が10〜40cmとすることができる。注出口制止片16の厚みも、閉蓋時の注出口4の制止に充分な機械的強度を有すればよく、例えば1〜10mm程度である。
【0036】
注出口制止片16を有する収納容器10Cに内袋2を収納してバッグインボックス1Cを構成するには、袋本体3を本体容器11に収納した後、蓋体12を被せればよい。注出口4を注出口受容部14に固定するには、注出口4を横向きにして注出口4の先端部を本体容器11の外側に突出させた姿勢を保ちつつ上部開口部11aから切欠部13に沿って下降させ、注出口受容部14上に載せた後、蓋体12を閉じて注出口制止片16の下端部16aを注出口4の上部に当接させ、注出口受容部14と注出口制止片16との間に注出口4の筒部を挟み込む。図4(c)に示すように、注出口4の筒部に溝4aが設けられている場合は、この溝4aに注出口受容部14を嵌合させることが好ましい。
【0037】
以上のように、本形態例の収納容器10Cによれば、注出口4の先端部を本体容器11の外側に露出させたまま内袋2を本体容器11に収納することが可能なので、注出口4の位置を見失うことがなく、注出口4を注出口受容部14に容易にセットすることができる。また、注出口4を注出口受容部14にセットした後、注出口4の上方への動きが注出口制止片16によって制止されるので、注出口4を確実に固定することができる。得られたバッグインボックス1Cでは、注出口4の先端部が注出口受容部14を通して本体容器11の外側に露出されるため、蓋体12を本体容器11の開口部11aに載せたまま内袋2から内容品の取り出しが可能になり、内袋2から内容品を取り出す作業も容易である。なお、注出口制止片16を透明にした場合には、透明な注出口制止片16を通して内袋2に収納された内容品の液面の高さを目視することができるので、内容品の残量を容易に確認することができる。
【0038】
さらに、注出口制止片16が閉蓋時に本体容器11の内側に差込可能になっており、かつ注出口制止片16の両側縁16c、16cを切欠部13の両側縁13a、13aにおいて本体容器11の内面に当接可能とした場合、バッグインボックス用内袋2を外側から押さえ込むことができるので、内袋2がフィルムタイプの内袋である場合に、変形して、内袋2の一部が切欠部13から外側にはみ出すことを確実に防止することができる。
【0039】
なお本発明においては、一つの収納容器に上述の注出口制止用突起15、15および注出口制止片16の両方を設け、両者を併用することもできる。この場合、注出口4をより確実に注出口受容部14に固定することができる。
本発明の収納容器において、本体容器11および/または蓋体12は、内部の透視などを目的として、全体または部分的に透明な部分を設けてもよい。また、網目状やハニカム状の穴あるいは窓が開口していてもよい。
収納容器の持ち運びを容易にするため、取手となる突出物や貫通穴、凹部などを収納容器に設けてもよい。
【0040】
次に、本発明のバッグインボックス用内袋収納容器を利用したバッグインボックス用内袋の取扱方法について説明する。
上述のように、紙粉を嫌う環境(本明細書では単に「クリーン環境」という場合がある。)で製造を行う必要がある作業現場では、段ボールから発生する紙粉が異物の原因となるため、バッグインボックスの使用に制約があった。これに対して本発明のバッグインボックス1A、1B、1Cは、上記収納容器10A、10B、10Cが紙粉を発生しない材料で構成されているので、前記クリーン環境下で問題なく使用可能である。ところで、収納容器を紙粉を嫌う環境の外に長時間さらしておくと、該収納容器が汚れてしまい、再度クリーン環境に搬入する前に洗浄が必要となる場合がある。
【0041】
上述の問題を解決するため、本発明のバッグインボックス用内袋の取扱方法では、以下の(ア)〜(エ)の工程を行う。
(ア)板紙を主たる素材とした輸送容器に内袋を収納して輸送する。
(イ)クリーン環境の手前で内袋を輸送容器から取り出して収納容器に移し替える。これにより、内袋を収納容器に収納してなるバッグインボックスが構成される。
(ウ)バッグインボックスをクリーン環境に搬入する。
(エ)クリーン環境において、内袋が収納容器に収納された状態でバッグインボックスを使用する。
【0042】
ここで、輸送容器に収納したバッグインボックス用内袋の輸送が行われる空間は、一般に屋外等の清浄度が低い空間(非クリーン環境)を含む。また、輸送容器から収納容器への内袋の移し替えが行われる空間は、各種搬入物をクリーン環境に搬入する前に適切な処置を施すため一般的にクリーン環境に付設されている搬入用空間であり、クリーン環境と非クリーン環境の中間の清浄度を有する。この搬入用空間には、必要に応じて、洗浄装置、エアシャワー、ゴミや塵埃等を吸引する吸引装置などを設けることができる。
【0043】
このように、クリーン環境下に搬入する前に内袋を輸送容器から取り出して本発明の収納容器に収納することにより、輸送容器から発生する紙粉や輸送容器に付着した塵埃などによる作業環境の汚染を防止できる。本発明の収納容器の場合、注出口が収納容器の側面から横向きに突出した姿勢になるので、蓋体を本体容器の開口部に載せたまま内袋から内容品の取り出しが可能になる。このため、バッグインボックスをクリーン環境に搬入した後、バッグインボックスの天面と側面の位置関係の変更が不要になり、目的地に迅速に設置することができる。しかも、収納容器と蓋体とを頑丈に結合する必要がないので、収納容器自身を簡易な構造とすることができると共に、収納容器に内袋を収納して蓋体を閉じるときに複雑な作業が発生せず、手間を軽減できる。
【0044】
収納容器は輸送容器から内袋を移し替えるときだけ、クリーン環境の外に出されるが、ほとんどの時間はクリーン環境内に設置されるので、外部の異物による汚染の可能性を極めて小さくできる。このため、内袋を収納容器に移し替えて作業現場に搬入するときにも、水洗などの手間がかかる洗浄は不要であり、必要であれば、清浄なエアの吹きつけ等、短時間で完了するような工程を行うだけで、作業現場に搬入可能な程度に清浄な状態にすることができる。
【0045】
クリーン環境において内袋を収納容器に収納したそのままの状態で取り扱うことが可能なので、搬入の際に取り扱いやすく、かつ内容品の残量にかかわらず注出口の姿勢が一定に維持されるので内容品の取り出しも容易になる。また、内容品の使用完了後、空になった内袋を収納容器から取り出し、新しい内容品が収納された内袋と入れ替える際の内袋の交換も容易であり、かつ内袋の交換時に収納容器の洗浄を省略することができる。
【0046】
内袋2としては、上述のバッグインボックスにおける内袋2と同様のものを用いることができ、特に、フィルムを熱融着してなるフィルムタイプの軟包装袋が好ましい。輸送容器から収納容器への移し替えを容易にするため、内袋2に取手6を設けることが好ましい。内袋2に取手6を設けるには、例えば、内袋2の袋本体3を構成するフィルムの熱融着した部分を耳状に突出させて取手6とする方法、または別途形成した成形品を袋本体3に固定する方法等が挙げられる。
【0047】
輸送容器20Aは、外部からの衝撃(特に輸送中や保管中の衝撃)を防ぎ、一定の形状を保持するために用いられる。本発明の取扱方法では輸送容器がクリーン環境下に搬入されることはないので、輸送容器20Aの材質は特に制限されず、通常のバッグインボックスの外装容器に使用されている板紙はいずれも使用可能である。具体例としては白板紙、黄色ボール、チップボール、色ボール等の紙板、各種段ボールなどの板紙を挙げることができる。なかでも段ボールは、安価かつ耐衝撃性に優れるので好ましい。
【0048】
また、輸送容器は、図6、図7、図8に示すように、側面23にミシン目21および/またはカットテープ22からなる易裂開手段を有することが好ましい。
ここで図6に示す輸送容器20Aは、一つの側面23の左右両側の二辺に沿って上下方向にミシン目21、21を設け、ミシン目21、21に沿って板紙を容易に裂開することができるものである。この場合、側面23を倒して輸送容器20Aの開口部を大きく開くことにより、内袋2の取り出しを極めて円滑に行うことができる。
ここで各ミシン目21、21は、上端が輸送容器20Aの上部開口部に達しており、下端が輸送容器20Aの底部まで延在することが好ましい。
【0049】
図7に示す輸送容器20Bは、一つの側面23の左右両側の二辺に沿って上下方向にカットテープ22、22を設け、板紙の裏面に貼付したカットテープ22、22を引っ張ることにより、カットテープ22、22とともに板紙を容易に裂開させることができるものである。この場合、側面23を倒して輸送容器20Bの開口部を大きく開くことにより、内袋2の取り出しを極めて円滑に行うことができる。
図8に示す輸送容器20Cは、側面を横方向に一周する周状にカットテープ22を設け、板紙の裏面に貼付したカットテープ22の端部を輸送容器20Cの側面に設けた切り込み24から露出できるようにし、輸送容器20Cから内袋2を取り出す際には、カットテープ22を引っ張って板紙を裂開することにより輸送容器20Cの上部25aと下部25bを分離できるようにしたものである。この場合、輸送容器20Cの上部25aを取り去ることにより、内袋2の取り出しを極めて円滑に行うことができる。
【0050】
カットテープ22としては、引張強度が高いものが好ましく、例えば、延伸ポリプロピレンや延伸ポリエチレン等の延伸フィルムを支持体とし、該支持体の片面に粘着剤層を設けた粘着テープが好適である。カットテープ22の端部を輸送容器の外面側に露出させるための切り込み24は、図8に示すようにカットテープ22の両端から左右方向に引っ張ることができるように横H字形に形成することが好ましいが、特にこれに限定されるものではなく、例えばカットテープ22の一端から一方向に引っ張ることができるように、コ字形に形成することもできる。
【実施例】
【0051】
本発明の効果を確認するため、下記の要領によりバッグインボックスを作製し、小分け試験を行った。
【0052】
(実施例1)
輸送容器として、図6に示すように一側面23の左右両側にミシン目21、21を有する段ボール製の輸送容器20A(組立内寸240mm×240mm×240mm)を用いた。
内袋としては、図1に示すように、取手6を有する成形タイプのセミリジッドな袋本体3に鍔を有する内径32mmの注出口4をカシメで固着した内袋2(外寸230mm×230mm×230mm)を用いた。注出口には、螺合式キャップ5を装着した。
また、収納容器として、図1に示すように、有底の本体容器11と、本体容器11の上部開口部11aを覆う蓋体12とからなり、本体容器11の側面に切欠部13および注出口受容部14および注出口制止用突起15が形成された合成樹脂製の収納容器10A(概略内寸240mm×240mm×240mm)を用いた。
【0053】
(実施例2)
実施例1において、内袋2として、二枚一組の厚さ80μmの直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)の四辺をヒートシールしたシール内寸460mm×480mmのフィルムタイプの内袋を用いたこと以外は実施例1と同様にした。この内袋2には、四隅を斜めにシール(コーナーシール)して、シール部で囲まれる三角のコーナーに長円形状の穿孔を行い取っ手とした。また、筒部に溝4aを有する内径32mmの注出口4を、フランジを介して袋本体3の上方中央に融着した。注出口4には、嵌合式キャップ兼用コック(藤森工業株式会社製、商品名「FTコック」)を装着した。
また、収納容器として、図4に示すように、有底の本体容器11と、本体容器11の上部開口部11aを覆う蓋体12とからなり、本体容器11の側面に切欠部13および注出口受容部14、そして、蓋体12の縁部に注出口制止片16が設けられた合成樹脂製の収納容器10C(概略内寸240mm×240mm×240mm)を用いた。
【0054】
(実施例3)
実施例2において、内袋2として、厚さ25μmの二軸延伸ナイロンに厚さ100μmの直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)を押出ラミネートした基材を用いてシール内寸120mm×440mm、ガゼット折込部の折り径100mmのガゼットタイプの内袋を用いたこと以外は実施例2と同様にした。この内袋2には四隅にコーナーシールを設け、ガゼット折込部のフィルムの一部を切り欠いて表裏の四隅同士を融着させた。また、筒部に溝4aを有する内径32mmの注出口4を、フランジを介して袋本体3の上方中央に融着した。注出口4には、螺合式のキャップ5を装着した。
なお、収納容器は実施例2と同じものを用いた。
【0055】
(バッグインボックスの作製)
それぞれの内袋2に内容品として水10リットルを入れ、それぞれの内袋2を輸送容器20Aに収納した。また、輸送容器20Aから1m離れた位置に各収納容器10A、10Cを配置した。輸送容器20Aを開封して内袋を取り出し、さらに内袋2を収納容器10A、10Cの本体容器11に収納して蓋体12を閉じた。内袋2を本体容器11に収納するに際し、実施例1の内袋2は、注出口4の鍔部が本体容器11の側面11cに設けられた切欠部13の縁部外側に当接するように配置し、鍔部の根本が注出口受容部14に受容されて注出口制止用突起15にて制止されるようにした。実施例2および3の内袋2は、注出口4の筒部の溝4aにおいて本体容器11の注出口受容部14に受容されて、蓋体12の縁部に設けられた注出口制止片16にて制止されるようにした。実施例1および2の内袋2は取手6を有するため持ちやすく、実施例3の内袋2は四隅の融着部を手で掴むことができたので、楽に作業をすることができた。
【0056】
(内容品小分け試験)
実施例1および3の内袋2を収納容器10A、10Cに収納したバッグインボックス1A、1Cについて、注出口4のキャップ5を取り外して不図示のハンドル付専用コック(藤森工業株式会社製、商品名「Sコック」)を取り付け、ハンドルの操作によりコックを開閉して内容品を小分けした。また、実施例2の内袋2を収納容器10Cに収納したバッグインボックス1Cについて、注出口4のキャップ兼用コックを取り外すことなく、キャップ兼用コックの中央部に設けられた摘みを親指で上方に押し上げることにより、スリット状の排出口を開いて内容品を小分けした。この内容品小分け試験によれば、実施例1、2、3のいずれにおいても、注出口4が注出口受容部14に固定され、かつ注出口4の先端部が収納容器10A、10Cの外側に露出されているため、内袋2の袋本体3を本体容器11に収納したまま小分けができ、安定して注出できた。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、クリーンな環境で製造を行う必要がある食品、医薬品、各種工業製品などを取り扱う作業現場において、液体、粘稠物、粒状物あるいは粉体等、流動性を有する内容品の小分けを行うため、内容品の交換が容易な容器として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1発明に係るバッグインボックス用内袋収納容器の一形態例を示す図面であって、(a)は蓋体の一部を切り欠いて図示した分解斜視図、(b)は斜視図であり、(c)は(b)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】図1のバッグインボックス用内袋収納容器の正面図である。
【図3】第1発明に係るバッグインボックス用内袋収納容器の改変例を示す正面図である。
【図4】第2発明に係るバッグインボックス用内袋収納容器の一形態例を示す図面であって、(a)は蓋体の一部を切り欠いて図示した分解斜視図、(b)は斜視図、(c)は(b)のC−C線に沿う断面図である。
【図5】図4に示すバッグインボックス用内袋収納容器の正面図である。
【図6】(a)は、本発明で用いられる輸送容器の第1の例を示す斜視図であり、(b)は(a)の輸送容器を裂開した状態を示す斜視図である。
【図7】(a)は、本発明で用いられる輸送容器の第2の例を示す斜視図であり、(b)は(a)の輸送容器を裂開した状態を示す斜視図である。
【図8】(a)は、本発明で用いられる輸送容器の第3の例を示す斜視図であり、(b)は(a)の輸送容器を裂開した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1A、1B、1C…バッグインボックス、2…バッグインボックス用内袋、3…袋本体、4…注出口、6…取手、10A、10B、10C…バッグインボックス用内袋収納容器(収納容器)、11…本体容器、11a…上部開口部、11b…底部、11c…切欠部を有する側面部(本体容器の側面)、12…蓋体、13…切欠部、14…注出口受容部、15…注出口制止用突起、16…注出口制止片、16a…下端部、20A、20B、20C…輸送容器、21…ミシン目、22…カットテープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した有底の本体容器の側面に、該本体容器の上部開口部から下方に延在する切欠部と、該切欠部の下端に連設されかつバッグインボックス用内袋の注出口を受容する切欠状の注出口受容部とが形成され、
前記切欠部は、前記注出口の先端部を本体容器の外側に突出させた姿勢を保ちつつ前記注出口を前記切欠部内で自在に上下させることが可能な幅を有し、
前記切欠部と注出口受容部との境界部には注出口制止用突起が突設されており、注出口を注出口受容部に到達させた時に前記注出口制止用突起が前記注出口の上部に係合することにより、前記注出口受容部に受容された注出口が切欠部側に持ち上がることを制止できることを特徴とするバッグインボックス用内袋収納容器。
【請求項2】
前記本体容器の上部開口部を覆う蓋体を備えることを特徴とする請求項1に記載のバッグインボックス用内袋収納容器。
【請求項3】
上部が開口した有底の本体容器の側面に、該本体容器の上部開口部から下方に延在する切欠部と、該切欠部の下端に連設されかつバッグインボックス用内袋の注出口を受容する切欠状の注出口受容部とが形成され、
前記切欠部は、前記注出口の先端部を本体容器の外側に突出させた姿勢を保ちつつ前記注出口を前記切欠部内で自在に上下させることが可能な幅を有し、
前記本体容器の上部開口部を覆う蓋体の縁部には、下方に延設された注出口制止片が設けられており、閉蓋時に前記注出口制止片の下端部が前記注出口の上部に当接することにより、前記注出口受容部に受容された注出口が前記切欠部側に持ち上がることを制止できることを特徴とするバッグインボックス用内袋収納容器。
【請求項4】
前記注出口制止片は、閉蓋時に前記本体容器の内側に差込可能であり、かつ前記注出口制止片の両側縁が前記切欠部の両側縁において前記本体容器の内面に当接可能であることを特徴とする請求項3に記載のバッグインボックス用内袋収納容器。
【請求項5】
前記収納容器が合成樹脂製であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバッグインボックス用内袋収納容器。
【請求項6】
バッグインボックス用内袋が請求項1ないし5のいずれかに記載のバッグインボックス用内袋収納容器に収納されてなるバッグインボックスであって、
前記注出口の先端部が前記注出口受容部を通して前記本体容器の外側に露出されていることを特徴とするバッグインボックス。
【請求項7】
前記バッグインボックス用内袋の袋本体は、フィルムを熱融着してなるフィルムタイプの軟包装袋であることを特徴とする請求項6に記載のバッグインボックス。
【請求項8】
前記バッグインボックス用内袋は、取手を有することを特徴とする請求項6または7に記載のバッグインボックス。
【請求項9】
紙粉を嫌う環境下で使用されるバッグインボックス用内袋の取扱方法であって、
板紙を主たる素材とした輸送容器に収納して輸送されたバッグインボックス用内袋を紙粉を嫌う環境の手前で前記輸送容器から取り出し、請求項1ないし5のいずれかに記載のバッグインボックス用内袋収納容器に収納したのち、紙粉を嫌う環境下に搬入して前記収納容器に収納された状態で使用することを特徴とするバッグインボックス用内袋の取扱方法。
【請求項10】
前記輸送容器は、側面にミシン目および/またはカットテープからなる易裂開手段を有することを特徴とする請求項9に記載のバッグインボックス用内袋の取扱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−335453(P2006−335453A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165226(P2005−165226)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】