説明

バッテリパック

【課題】 寸法誤差を有する複数の電池セルを確実に保持することができるともに、各電池セルの温度調節が容易なバッテリパックを提供する。
【解決手段】 複数の電池セル3と、複数の電池セル間に配置されるセパレータ4とを有するバッテリパック1であって、セパレータは、骨格部材13と、骨格部材の外面に設けられたパッド部材14とを有し、パッド部材は、絶縁性を有し、かつ骨格部材よりも可撓性が高い材料から形成されて電池セルに当接し、骨格部材は、パッド部材よりも熱伝導率が高い材料から形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車等の電源として使用されるバッテリパックに係り、詳しくは複数の電気セルを含むバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の電源に、複数の電気セルを直列又は並列に接続してなるバッテリパックを使用したものがある。このようなバッテリパックは、小型化の観点から各電池セルを高密度にパッキングすることが好ましい一方、漏電を防ぐため端子部を除いて互いに絶縁されていることが好ましい。そのため、各電池セル間に絶縁材からなるセパレータを介装したものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1に係るバッテリパックでは、各電池セルは、バッテリパックの外殻をなすケースとセパレータとの間に挟持され、所定の位置に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−225339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各電池セルを高密度にパッキングした場合には、バッテリパックの奥部に配置された電池セルの冷却及び加熱が困難となる。すなわち、各電池セルの温度調節が困難になるという問題がある。また、複数の電池セルは、それぞれ外形において寸法誤差を有するため、セパレータの可撓性が低いと、セパレータと電池との間に隙間が生じ、電池セルががた付くという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の問題を鑑みてなされたものであって、寸法誤差を有する複数の電池セルを確実に保持することができるともに、各電池セルの温度調節が容易なバッテリパックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の電池セル(3、81)と、前記複数の電池セル間に配置されるセパレータ(4、31、61、82)とを有するバッテリパック(1、30、60、80)であって、前記セパレータは、骨格部材(13、33、62、88)と、前記骨格部材の外面に設けられたパッド部材(14、34、63、89)とを有し、前記パッド部材は、絶縁性を有し、かつ前記骨格部材よりも可撓性が高い材料から形成されて前記電池セルに当接し、前記骨格部材は、前記パッド部材よりも熱伝導率が高い材料から形成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、電池セルに当接するパッド部材は熱伝導率が高い骨格部材に支持されているため、セパレータを介して各電池セルの冷却および加熱が促進される。これにより、各電池セルを高密度にパッキングした場合にも、バッテリパックの奥部に配置された電池セルの温度調節が容易になる。また、パッド部材が絶縁性を有するため、セパレータと電池セルとは絶縁された状態に維持される。更に、パッド部材は、可撓性を有し、電池セルの形状に応じて変形することができるため、電池セルの寸法誤差を許容して電池セルに確実に密着することができる。また、骨格部材が構造体として機能するため、バッテリパック全体の構造安定性を高めることができる。
【0008】
本発明の他の側面は、前記骨格部材は、前記電池セルが前記パッド部材に当接した状態で、前記電池セルとの間に空隙を介して対向する部分を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、電池セルから放射される熱線を骨格部材が吸収して電池セルの冷却を促進することができるとともに、骨格部材から熱線を放射して電池セルの加熱を促進することができる。また、電池セルと骨格部材とは、空気層を介して熱交換をすることができるため、骨格部材の温度を調節することによって電池セルの温度を調節することができる。
【0010】
本発明の他の側面は、前記骨格部材の少なくとも前記電池セルに対向する部分は、前記パッド部材よりも高い熱線吸収能を有することを特徴とする。また、前記骨格部材の少なくとも前記電池セルに対向する部分は、前記パッド部材よりも表面粗さが粗く形成されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、骨格部材の熱線吸収能を高めて電池セルの冷却を促進することができる。
【0012】
本発明の他の側面は、前記骨格部材は、放熱器、加熱器又は熱交換器(35、65、83)に接続されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、セパレータを介した電池セルの冷却及び加熱を促進することができる。
【0014】
本発明の他の側面は、前記骨格部材は、波板に形成され、前記複数の電池セルは、それぞれ円柱状の外形を有し、前記骨格部材の表面に形成された波形の谷部(16)に対応して配置されることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、電池セルを骨格部材に対して安定した状態で配置することができ、電池セルのがた付きを抑制することができるともに、骨格部材に対する電池セルの配置を容易にすることができる。また、骨格部材の剛性を高めることができる。
【0016】
本発明の他の側面は、前記パッド部材は、前記骨格部材の外面を覆い、前記骨格部材は、前記パッド部材に形成されたスロット(20、38)を介して前記電池セルに対向することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、骨格部材に対するパッド部材の配置が容易になる。
【0018】
本発明の他の側面は、前記パッド部材は、前記電池を前記骨格部材に対して所定の位置に維持すべく、前記電池セルが嵌合可能な凹部(18)を備えることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、骨格部材に対する電池セルの配置が容易になる。
【発明の効果】
【0020】
以上の構成によれば、バッテリパックは、セパレータを介した各電池セルの冷却および加熱が促進され、各電池セルの温度調節が容易になる。また、セパレータは電池セルの寸法誤差を許容して電池セルとがたなく密着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係るバッテリパックの分解斜視図
【図2】第1実施形態に係るセパレータの分解斜視図
【図3】第1実施形態に係るバッテリパックの要部底面図
【図4】図3のIV−IV断面図
【図5】図1のV−V断面図
【図6】第2実施形態に係るバッテリパックの斜視図
【図7】第2実施形態に係るセパレータの分解斜視図
【図8】図6のVIII−VIII断面図
【図9】第3実施形態に係るバッテリパックの斜視図
【図10】第3実施形態に係るセパレータの分解斜視図
【図11】図9のXI−XI断面図
【図12】第4実施形態に係るバッテリパックの斜視図
【図13】第4実施形態に係るセパレータの分解斜視図
【図14】図12のXIV−XIV断面図
【図15】図12のXV−XV断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を電気自動車の電源として使用されるバッテリパックに適用した各種実施形態を詳細に説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1〜図5に示すように、第1実施形態に係るバッテリパック1は、その外殻をなすバッテリケーシング2と、バッテリケーシング2内に受容される複数の電池セル3と、電池セル3間及び電池セル3とバッテリケーシング2との間に介装されるセパレータ4と、複数の電池セル3の端子間を接続する導電性の接続部材5とを有している。
【0024】
バッテリケーシング2は、一方が開口した直方体箱形をなし、金属材料や樹脂材料から形成されており、例えばアルミニウム合金等の熱伝導率が高い材料から形成されることが好ましい。
【0025】
各電池セル3は、リチウムイオン電池であり、そのケーシングは円筒形状をなす。電池セルのケーシングは、金属から形成されており、一端部に正端子11を備え、他端部に負端子12を備えている。なお、電池セル3は、鉛電池等の公知の電池であってもよい。
【0026】
図2に示すように、セパレータ4は、骨格部材13と、骨格部材13の外面を覆うパッド部材14とからなる。図2及び図5に示すように、骨格部材13は、主面が波形に湾曲し、山部15及び谷部16が交互に配置された波板であり、その谷部16の曲率は、電池セル3の側周部の曲率と概ね一致するように設定されている。骨格部材13は、少なくともパッド部材14よりも熱伝導率が高い材料から形成されており、例えば、アルミニウム、銅、鉄又はこれらの合金を含む金属材料や、銅やアルミニウム等の熱伝導性フィラーが充填されたポリフェニレンサルファイド(PPS)等の熱伝導性樹脂から形成されている。
【0027】
パッド部材14は、骨格部材13よりも高い可撓性を有し、かつ絶縁性を有する材料から形成されており、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)及び熱可塑性ポリウレタン(TPU)等の熱可塑性エラストマーやシリコーン樹脂から形成されている。パッド部材14は、骨格部材13の表面、裏面及び端面上に延在し、骨格部材13の外面の大部分を覆っている。パッド部材14は、所定の厚みを有して骨格部材13の表面及び裏面に追従し、骨格部材13の山部15及び谷部16に対応する部分に、それぞれ凸部17及び凹部18を有している。すなわち、パッド部材14は、骨格部材13の表面及び裏面に対応する部分において、それぞれ交互に配置された凸部17及び凹部18を有している。パッド部材14の凹部18は、電池セル3の側周部の曲率と概ね一致し、電池セル3の周部の一部が嵌合可能となっている。
【0028】
パッド部材14の凸部17及び凹部18には、パッド部材14を厚み方向に貫通するスロット19、20が形成されている。凸部17に形成された各スロット19及び凹部18に形成された各スロット20は、凸部17及び凹部18の延在方向に沿って延びている。骨格部材13は、スロット19、20を介してセパレータ4の外部へと露出している。また、パッド部材14の端面21には、スロット22が形成されている。骨格部材13は、スロット22内へと進入し、その端部24はパッド部材14の外面と面一となっている。なお、他の実施形態では、端部24がスロット22を通過してパッド部材14の外方へと突出するようにしてもよい。
【0029】
骨格部材13の谷部16間及びパッド部材14の凹部18間の距離は、隣り合う凹部18のそれぞれに電池セル3がそれぞれ嵌合した際に、隣り合う電池セル3が互いに接触しない距離に設定されている。
【0030】
骨格部材13の、スロット19、20を介してセパレータ4の外部へと露出する部分は、熱線吸収能を高めるために熱線吸収被膜が形成されていると好ましい。熱線吸収被膜は、例えば金属酸化物を含むものであってよい。また、骨格部材13の外部へと露出する部分又は熱線吸収被膜は、熱線吸収能を高めるために表面粗さが粗いことが好ましく、少なくともパッド部材14の表面粗さよりも大きいことが好ましい。
【0031】
セパレータ4は、骨格部材13を芯材として、その周囲にパッド部材14を成形する、インサート成形によって形成することができる。他の方法としては、予め成形したパッド部材14に、骨格部材13を挿入してもよい。また、パッド部材14を接着剤や接着テープによって骨格部材13に結合させてもよい。
【0032】
図1に示すように、各電池セル3は、対となる各セパレータ4間に挟持される。このとき、各電池セル3の側周部は、両セパレータ4のパッド部材14の凹部18に嵌合し、所定の位置に保持される。パッド部材14は、可撓性を有するため、電池セル3の外形に寸法誤差が生じていても、電池セル3の外形に追従して密着することができる。このようにして、各電池セル3は、各セパレータ4間に隣り合う電池セル3と接触することなく、かつセパレータ4との間にがた付きなく保持される。このとき、骨格部材13は、電池セル3と接触することなく、スロット20による空隙を介して電池セル3の側周面と対向する。各電池セル3の正又は負端子11、12は、他の電池セル3の正又は負端子11、12と接続部材5によって接続され、各電池セル3は直列に接続されている。
【0033】
各対向面間に電池セル3を挟持した4枚のセパレータ4は、底部に絶縁材26が敷設されたバッテリケーシング2内に受容され、バッテリケーシング2の側壁27間に挟持される。この状態では、両外側に配置されるセパレータ4のパッド部材14が、凸部17において側壁27に当接するとともに、各パッド部材14の端面21および骨格部材13の端部24が側壁27に当接する。
【0034】
以上のように構成したバッテリパック1では、各電池セル3は互いに接触することなく、またバッテリケーシング2やセパレータ4に対してがたつきなく保持される。各電池セル3は、絶縁性を有するパッド部材14とのみ接触するため、電池セル3のケーシングの外面に絶縁性被膜を形成する必要がない。
【0035】
バッテリパック1では、各電池セル3間に配置されたセパレータ4が熱伝導性の骨格部材13を含むため、各電池セル3に発生した熱がパッド部材14、骨格部材13へと伝わって放散される。また、骨格部材13は、その端部24においてバッテリケーシング2に接触しているため、熱は更にバッテリケーシング2へと伝わって放散される。なお、図示しないが、バッテリパック1の冷却効率を高めるために、バッテリケーシング2の外面に放熱フィンやウォータジャケットを設けてもよい。
【0036】
また、骨格部材13はスロット20を介して電池セル3の側周部に対向するため、電池セル3から放射される熱線(赤外線)を吸収し、その熱をバッテリケーシング2へと伝達させることができる。また、電池セル3と骨格部材13とは、スロット19内の空気層を介して熱交換をすることができるため、骨格部材の温度を調節することによって電池セルの温度を調節することができる。
【0037】
また、セパレータ4は、各電池セル3の昇温にも使用することができる。例えば、バッテリケーシング2にヒータやウォータジャケット等の熱源を接続することで、バッテリケーシング2、骨格部材13及びパッド部材14を介して電池セル3を昇温させることができる。また、骨格部材13からのスロット20を介した熱放射によって、電池セル3を昇温させることができる。各電池セル3は低温状態では起電力が低下するため、セパレータ4を介した昇温はバッテリパック1の性能を維持する上で有効である。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るバッテリパック30は、第1実施形態に係るバッテリパック1と比較してセパレータ31の構成が異なる。バッテリパック30の内、バッテリパック1と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
図6〜図8に示すように、第2実施形態に係るセパレータ31は、骨格部材33と、骨格部材33の外面を覆うパッド部材34と、骨格部材33を支持する連結部材35とを有している。骨格部材33は、細長い円柱状を呈し、金属材料から形成されている。なお、骨格部材33には、第1実施形態の骨格部材13に適用可能な材料を各種適用することができる。連結部材35は、金属製のパイプであり、その周面には骨格部材33が径方向に突出するように溶接等によって結合されている。各骨格部材33は、一端において連結部材35に結合されており、それぞれが互いに平行となっており、軸線方向において等間隔に配置されている。
【0040】
パッド部材34は、絶縁性及び可撓性を有する樹脂材料から形成されている。パッド部材34には、第1実施形態のパッド部材14に適用可能な材料を各種適用することができる。パッド部材34は、略三角柱状を呈し、その側面36は電池セル3の側周部と同一の曲率を有する凹面に形成されている。パッド部材34は、その両端面を貫通するように軸線方向に沿って貫通孔37を有している。また、パッド部材34には、各側面36と貫通孔37とを連通するスロット38が形成されている。スロット38は、側面36の長手方向、すなわちパッド部材34の軸線方向に延在している。本実施形態では、スロット38は、各側面36に直列に2つずつ形成されているが、スロット38は連続した1つのものであってもよいし、複数のスロットが並列に延在するものであってもよい。また、パッド部材34の各側面36の境界部にあたる角部39には、パッド部材34の可撓性を高めるために切り込み40が複数形成されている。
【0041】
各骨格部材33は、各パッド部材34の貫通孔37に挿入され、スロット38を介して外部に露出する。なお、パッド部材34は、骨格部材13を芯材としたインサート成形によっても形成することができ、この場合には骨格部材33が貫通孔37に当初から挿入された状態となる。
【0042】
本実施形態では、1つのセパレータ31は、1つの連結部材35と、3つの骨格部材33と、3つのパッド部材34とから構成されており、11本の電池セル3を保持するために2つのセパレータ31を使用している。図6及び図8に示すように、パッド部材34は、各側面36において電池セル3の側周面に係合し、3つの電池セル3の間に配置される。3つの電池セル3は、パッド部材34を挟むことによって互いに接触できない状態となる。このとき、骨格部材33は、スロット38の空隙を介して電池セル3の側周面に対向する。
【0043】
図6に示すように、11本の電池セル3及び2つのセパレータ31は、第1実施形態と同様の箱形のバッテリケーシングに収容される。その際、外側に位置する電池セル3とバッテリケーシングとの絶縁性が維持されるように、電池セル3とバッテリケーシングとの間に絶縁材を介装するとよい。また、バッテリケーシングに代えて、絶縁性のバンドによって電池セル3及びセパレータ31を一体に結束してもよい。
【0044】
以上のように構成した第2実施形態に係るバッテリパック30は、第1実施形態に係るバッテリパック1と同様に、各電池セル3が互いに接触しないように保持することができ、その際、各電池セル3に寸法誤差が生じていてもパッド部材が変形することで電池セル3をがた付きなく保持することができる。また、セパレータ31を介した熱伝導によって
各電池セル3を所定の温度に調整することができる。
【0045】
本実施形態では、連結部材35を循環型の冷却水通路に連通し、連結部材35の内部に冷却水を流通させるようにしてもよい。なお、適宜、冷却水に代えて蒸気等の高温媒体を流通させてもよい。
【0046】
(第3実施形態)
第3実施形態に係るバッテリパック60は、第2実施形態に係るバッテリパック30と比較してセパレータ61の骨格部材62及びパッド部材63の構成が異なる。バッテリパック60の内、バッテリパック1、30と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
図9〜図12に示すように、第3実施形態に係るセパレータ61は、4つの骨格部材62と、骨格部材62の外面に保持されたパッド部材63と、4つの骨格部材62の一端部に結合された連結部材65とを有している。骨格部材62は、金属材料から形成され、短冊状を呈している。なお、骨格部材62には、第1実施形態の骨格部材13に適用可能な材料を各種適用することができる。連結部材65は、金属製のパイプであり、その周面には骨格部材62が径方向に突出するように溶接等によって結合されている。各骨格部材62は、一端において連結部材65に結合されており、それぞれの主面が互いに対向するとともに、互いに平行となっており、連結部材65の軸線方向において等間隔に配置されている。
【0048】
パッド部材63は、絶縁性及び可撓性を有する樹脂材料から形成されている。パッド部材34には、第1実施形態のパッド部材14に適用可能な材料を各種適用することができる。パッド部材63は、骨格部材62が挿通される貫通孔66を有し、貫通孔66に骨格部材62が挿通されることによって骨格部材62の外面に支持されている。1つの骨格部材62につき、3つのパッド部材63が骨格部材62の長手方向に等間隔に配置されている。パッド部材63は、骨格部材62の主面上において主面から突出する凸部を形成し、この凸部が互いに対向する2つの骨格部材62の間において、電池セル3を保持する収容空間を画成する。パッド部材63は、対向する2つの骨格部材62の間において隣り合う電池セル3同士が接触できず、かつ電池セル3が骨格部材62に接触できない大きさに設定されている。電池セル3は、4つのパッド部材63の間に挟持されることによって、或いは2つのパッド部材63上に載置されることによってセパレータ61間に保持される。このとき、骨格部材62は、パッド部材63が設けられていない部分、すなわち外部に露出した部分において電池セル3と空隙を介して対向する。この骨格部材62においてパッド部材63が設けられていない部分は、第1実施形態における骨格部材13のスロット19を介して露出する部分に対応する。
【0049】
以上のように構成した第3実施形態に係るバッテリパック60は、第1及び第2実施形態に係るバッテリパック1、30と同様に、各電池セル3が互いに接触しないように保持することができ、その際、各電池セル3に寸法誤差が生じていてもパッド部材が変形することで電池セル3をがた付きなく保持することができる。また、セパレータ61を介した熱伝導によって各電池セル3を所定の温度に調整することができる。
【0050】
本実施形態では、連結部材65を循環型の冷却水通路に連通し、連結部材65の内部に冷却水を流通させるようにしてもよい。なお、適宜、冷却水に代えて蒸気等の高温媒体を流通させてもよい。また、骨格部材62内に連結部材の内部に連通する通路を形成し、冷却水等が骨格部材62内に流入するようにしてもよい。
【0051】
(第4実施形態)
図12〜図15に示すように、第4実施形態に係るバッテリパック80は、複数の直方体状の電池セル81間に平板状のセパレータ82をそれぞれ介装して積層するともに、各セパレータ82の端部をヒートシンク83に結合し、電池セル81、セパレータ82及びヒートシンク83を一体化したものである。
【0052】
電池セル81は、一端面に正端子85及び負端子86を有しており、これらの端子85、86は導電性を有する接続部材87によって他の電池セル81の端子85、86と接続されている。
【0053】
セパレータ82は、平板状の骨格部材88と、骨格部材88を覆うパッド部材89とからなる。骨格部材88及びパッド部材89には、第1実施形態の骨格部材13及びパッド部材14と同様の材料を適用することができる。パッド部材89は、骨格部材88の主面上において複数のスロット90を有する。これにより、骨格部材88はスロット90を介して外部に露出することができ、電池セル81とスロット90が形成する空隙を介して対向する。骨格部材88の電池セル81と対向する部分は、熱線吸収被膜の形成や、表面粗さの増大化によって熱線吸収能が高められていることが好ましい。
【0054】
また、図15に示すように、骨格部材88の一側辺部91(下端部)は、パッド部材の端面から突出しており、ヒートシンク83に形成された結合孔92に嵌合している。これにより、セパレータ82及びヒートシンク83の相対位置が固定され、セパレータ82間に各電池セル81が挟持される。なお、他の実施形態では、ヒートシンク83に代えて、骨格部材88を発熱器や熱交換器に結合させてもよい。
【0055】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。特に、各実施形態におけるセパレータの形状は例示であり、電池セルの形状に対応させて適宜変更することが可能である。例えば、第1実施形態において、スロット19、20、22を省略し、パッド部材14で骨格部材13を全て覆うようにしてもよい。また、骨格部材をヒートパイプによって構成してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1、30、60、80…バッテリパック、2…バッテリケーシング、3、81…電池セル、4、31、61、82…セパレータ、13、33、62、88…骨格部材、14、34、63、89…パッド部材、15…山部、16…谷部、17…凸部、18…凹部、19…スロット、20…スロット、21…端面、22…スロット、24…端部、35、65…連結部材、38…スロット、83…ヒートシンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、前記複数の電池セル間に配置されるセパレータとを有するバッテリパックであって、
前記セパレータは、骨格部材と、前記骨格部材の外面に設けられたパッド部材とを有し、
前記パッド部材は、絶縁性を有し、かつ前記骨格部材よりも可撓性が高い材料から形成されて前記電池セルに当接し、
前記骨格部材は、前記パッド部材よりも熱伝導率が高い材料から形成されていることを特徴とするバッテリパック。
【請求項2】
前記骨格部材は、前記電池セルが前記パッド部材に当接した状態で、前記電池セルとの間に空隙を介して対向する部分を有することを特徴とする請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記骨格部材の少なくとも前記電池セルに対向する部分は、前記パッド部材よりも高い熱線吸収能を有することを特徴とする請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記骨格部材の少なくとも前記電池セルに対向する部分は、前記パッド部材よりも表面粗さが粗く形成されていることを特徴とする請求項3に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記骨格部材は、放熱器、加熱器又は熱交換器に接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記骨格部材は、波板に形成され、
前記複数の電池セルは、それぞれ円柱状の外形を有し、前記骨格部材の表面に形成された波形の谷部に対応して配置されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記パッド部材は、前記骨格部材の外面を覆い、
前記骨格部材は、前記パッド部材に形成されたスロットを介して前記電池セルに対向することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つの項に記載のバッテリパック。
【請求項8】
前記パッド部材は、前記電池を前記骨格部材に対して所定の位置に維持すべく、前記電池セルが嵌合可能な凹部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つの項に記載のバッテリパック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−160260(P2012−160260A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17137(P2011−17137)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】