説明

バッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造

【課題】複数のバッテリを効率よく搭載することができるバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造の提供。
【解決手段】シリンダ34a〜34cと、駆動用バッテリ241と、インバータ231a〜231eと、電動モータ271,274,281,431L等とを有するバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造において、駆動用バッテリ241を複数収納可能な筐体5と、この筐体5を複数段積層可能に収納する架台6と、この架台6に筐体5を固定可能なストッパシャフト7とを備え、筐体5が支柱51の上端に凸型ホルダ52を有し、下端に凹型ホルダ53を有し、架台6が底板62に筐体5の凹型ホルダ23が係合可能な凸型ホルダ63を有する構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと、アクチュエータに動力を伝える電動機とを備えたバッテリ駆動式油圧ショベル等のバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械は、土木工事、産業廃棄業等に活用されているが、エンジンの駆動によって発生する排気ガスを抑えることや、騒音振動を低減することが要望されている。このようなことから、排気ガスを全く排出させず、騒音振動を低減できるバッテリを駆動源とした建設機械が特許文献1に提案されている。この従来技術は、電動機すなわち電動モータで油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプの圧油をアクチュエータに供給して、車体を動作させる構成になっている。
【0003】
なお、バッテリ式の他に商用電力で駆動するようにしたものが、特許文献2に開示されている。この特許文献2に示される従来技術は、ケーブル式に構成されたものである。このようなケーブル式に構成されたものは、ケーブルの長さに制約を受けるので、建設機械の移動範囲に制限を受けてしまう。特許文献1に示されるようなバッテリ式のものは、上述した制約を受けることがなく、自由に移動して作業が可能となる利点がある。
【特許文献1】特開平10−30259号公報
【特許文献2】実開昭56−156301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にバッテリは、鉛、Liイオン、ニッケル水素などを材料とし、1セルと呼ばれる最小単位構成が有り、市販レベルの最終形態は複数セルを1パックとした1モジュールという形となっている。バッテリ容量とバッテリ駆動式建設機械の必要動力との兼ね合いから、バッテリ駆動式建設機械では複数のモジュール、すなわち複数のバッテリを搭載する可能性があるが、従来技術にあっては複数のバッテリを効率よく搭載することには考慮が払われていなかった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、複数のバッテリを効率よく搭載することができるバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、アクチュエータと、バッテリと、このバッテリの電力を制御するインバータと、このインバータの出力電圧を介して上記アクチュエータに動力を伝える電動機とを有するバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造において、
上記バッテリを複数収納可能な筐体と、この筐体を複数段積層可能に収納する架台と、この架台に上記筐体を固定可能な固定手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
このように構成した本発明は、複数のバッテリを収納させた筐体を架台に積層させるようにしたので、複数のバッテリを効率よく搭載でき、必要な動力を確保することができる。また、固定手段による架台と筐体との固定を解除することにより、バッテリの寿命が来て交換する際には、筐体を架台から外し、筐体に収容させていたバッテリを容易に新しいものに交換することができる。さらに、固定手段によって、車体からの振動に影響されることなくバッテリを保持させることができる。
【0008】
また、上記発明において本発明は、上記筐体が、上下方向に延設される支柱と、吊り上げ用に形成されたねじ穴とを有するとともに、上記支柱の上端及び下端の一方に配置される凸型ホルダと、この凸型ホルダと係合可能な形状に形成され、上記支柱の上端及び下端の他方に配置される凹型ホルダとを有し、さらに、上記固定手段に含まれる通し穴を有することを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、複数の筐体を、その支柱の上端及び下端に形成した互いに係合可能な凸型ホルダ、または凹型ホルダを介して簡単に位置決めして積層させることができる。また、吊り上げ用に形成されたねじ穴に吊り上げ具を螺合させることにより、複数の筐体の積層作業、あるいは、複数積層されたものから該当する筐体を取り除く作業を容易に行なうことができる。
【0010】
また、上記発明において本発明は、上記架台が、上記固定手段に含まれ、上記筐体の上記凸型ホルダまたは上記凹型ホルダに係合可能な凹型ホルダまたは凸型ホルダと、上記固定手段に含まれ、上記筐体の通し穴に適合するように形成される通し穴とを有するとともに、上記固定手段に含まれ、上記筐体の通し穴と、上記架台の通し穴とに挿通可能なストッパシャフトを備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、最下段に配置された筐体を架台上に、互いに係合可能な凸型ホルダ、または凹型ホルダを介して簡単に位置決めし搭載することができる。また、筐体の通し穴と架台の通し穴のそれぞれにストッパシャフトを挿通させることによって、架台と筐体とを容易に固定できる。また、ストッパシャフトを引き抜くことにより、架台と筐体との固定を容易に解除できる。
【0012】
また、上記発明において本発明は、上記架台が、上記筐体が搭載される底板と、この底板から立設され互いに対向するように設けられ、間に上記筐体が配置される側板とを有し、上記筐体の凸型ホルダまたは凹型ホルダに係合可能な上記凹型ホルダまたは凸型ホルダを上記底板に形成し、上記筐体の通し穴に適合するように形成される上記通し穴を上記側板のそれぞれに形成したことを特徴としている。
【0013】
また、上記発明において本発明は、上記ストッパシャフトが、一端に上記架台の上記側面の通し穴より寸法の大きい頭部を有し、他端にねじ部を有するとともに、上記架台の側板のうちの一方の側板の通し穴に、上記ストッパシャフトの上記ねじ部に螺合するねじ部を形成したことを特徴としている。
【0014】
このように構成した本発明は、架台の側板のうちの一方の側板に形成したねじ部にストッパシャフトを螺合させることによって、ストッパシャフトを架台に堅固に固定することができる。
【0015】
また、上記発明において本発明は、上記ストッパシャフトが、一端に上記架台の上記側面の通し穴より寸法の大きい頭部を有し、他端にピン穴を有するとともに、上記ストッパシャフトの上記ピン穴に挿入され、上記ストッパシャフトを上記架台に係止させるピンを備えたことを特徴とすることを特徴としている。
【0016】
このように構成した本発明は、ストッパシャフトのピン穴にピンを挿入することによって、ストッパシャフトを架台に堅固に固定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、バッテリを複数収納可能な筐体と、この筐体を複数段積層可能に収納する架台と、この架台に筐体を固定可能な固定手段とを備えたことから、複数のバッテリを効率よく搭載でき、これにより必要な動力を確保でき、実用性に富む。また、バッテリの交換作業が容易であるとともに、車体からの振動に影響を受けることなくバッテリを保持させることができ、高い信頼性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下,本発明に係るバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0019】
[本実施形態が備えられるバッテリ駆動式建設機械]
図1は本発明に係るバッテリ保持構造の一実施形態が備えられるバッテリ駆動式建設機械の一例として挙げたバッテリ駆動式油圧ショベルを示す側面図、図2は図1に示すバッテリ駆動式油圧ショベルの要部を示す平面図、図3は図1に示すバッテリ駆動式油圧ショベルの要部を示す正面図である。
【0020】
本実施形態に係るバッテリ保持構造が備えられるバッテリ駆動式建設機械、例えばバッテリ駆動式油圧ショベル1は、図1に示すように、走行体4と、この走行体4上に配置された旋回体2と、この旋回体2に上下方向の回動可能に取り付けられるフロント作業機3とを備えている。
【0021】
フロント作業機3は、旋回体2に上下方向の回動可能に取り付けられるブーム31と、このブーム31の先端に上下方向の回動可能に連結されるアーム32と、このアーム32の先端に上下方向の回動可能に連結されるバケット33とを備えている。また、ブーム31を作動させるブームシリンダ34a、アーム32を作動させるアームシリンダ34b、バケット33を作動させるバケットシリンダ34c等の油圧アクチュエータを備えている。
【0022】
走行体4は、図3に示すように、主にトラックフレーム41と、旋回体2を回動させる旋回ベアリング42と、走行機構43L,43Rと、無限軌道履帯44L,44R等から成っている。
【0023】
旋回体2は、図2に示すように、メインフレーム20の上に主に、スリップリング21と、コンダクタ制御盤22と、インバータ収納部23と、バッテリ収納部24と、作動油タンク25と、油圧制御部26と、油圧ポンプ収納部27と、図示しない旋回機構28と、運転室29等が搭載されている。なお、図示しないが、他にオイルクーラ等の補機類も配備されている。
【0024】
スリップリング21は、後述の駆動用バッテリ241の電力を、旋回体2の回動に妨げられることなく走行機構43L,43Rに伝達する。
【0025】
インバータ収納部23は、収納された複数のインバータ231a〜231eを覆うカバー232から成っている。本実施形態では、インバータ231aが油圧ポンプ駆動用、インバータ231bが旋回用、インバータ231c,dが走行用、インバータ231eがパイロット油圧ポンプ駆動用となっている。
【0026】
バッテリ収納部24は、収納された高電圧で複数の駆動用バッテリ241、及び低電圧で複数の制御用バッテリ242を覆うカバー243から成っている。
【0027】
コンダクタ制御盤22には、図示しないが、駆動用バッテリ241からの電力のスイッチングを行なうコンダクタや、ブレーカが配置されている。この他に、バッテリ残量等を管理するバッテリコントローラ221が備えられている。なお、バッテリ残量の検出には、バッテリ電流を測定し、その時間積算での算出や、バッテリの開放端子電圧(バッテリに負荷をかけていない状態の電圧)の算出、という方法がある。電流や端子電圧の測定に際しては、バッテリを構成するセルを監視する図示しないセルコントローラからバッテリコントローラ221へ信号が送られるようになっている。
【0028】
油圧制御部26には、上述したフロント作業機3を駆動するシリンダ34a〜34cへ圧油を供給する油圧制御弁261と、この油圧制御弁261を制御するパイロット弁262とが含まれている。
【0029】
油圧ポンプ収納部27も、カバーによって構成されている。この油圧ポンプ収納部27内には、油圧ポンプ駆動用電動機、すなわち油圧ポンプ駆動用電動モータ271と、油圧ポンプ272と、これらの電動モータ271の軸と油圧ポンプ272の軸を連結するカップリング273と、パイロット油圧ポンプ用電動機、すなわちパイロット油圧ポンプ用電動モータ274と、パイロット油圧ポンプ275と、これらの電動モータ274の軸とパイロット油圧ポンプ275の軸を連結するカップリング276とが収納されている。
【0030】
運転室29内には、バッテリコントローラ221で算出されたバッテリ残量の結果を配線47を介して表示する表示装置46が付設されている。
【0031】
上述した旋回機構28は、図3に示す旋回用電動機、すなわち旋回用電動モータ281を旋回減速機282にボルト等で締結した構成であり、全体がメインフレーム20にボルト等で締結固定されるようになっている。
【0032】
旋回用電動モータ281の動力は、旋回減速機282によって減速増加され、旋回減速機282の最終端であるピニオンギヤと旋回ベアリング42のギヤとの噛合を介して伝えられ、これによって旋回体2が旋回する。
【0033】
上述した走行機構43L,43Rは同じ構成から成り、トラックフレーム41を挟んで左右に配置されている。例えば、車体進行方向左側に配置される走行機構43Lは、走行用電動機、すなわち走行用電動モータ431Lを走行減速機432Lにボルト等で締結した構成であり、全体がトラックフレーム41にボルト等で締結固定されるようになっている。走行減速機432Lから無限軌道履帯44Lに動力を伝えるために、スプロケット433Lが走行減速機432Lにボルト等で締結されている。また、外部の障害物(岩、土等)から保護するために、走行用電動モータ431Lは保護カバー411Lで覆われている。他方の走行機構43Rも上述と同等の構成である。
【0034】
[本実施形態に係るバッテリ保持構造]
図4は本実施形態に係るバッテリ保持構造に備えられる筐体を示す斜視図、図5は図4に示す筐体の内部に複数のバッテリを収納させた状態を示す斜視図である。図6は本実施形態に係るバッテリ保持構造に備えられる架台を示す斜視図、図7は図6に示す架台にストッパシャフトを取り付けた状態を示す斜視図である。図8は図6に示す架台の内部に、複数のバッテリを収納させた筐体を複数段積層させた状態を示す斜視図、図9は図8に示す要部拡大図である。
【0035】
本実施形態に係るバッテリ保持構造は、上述したバッテリ駆動式油圧ショベルに備えられ、図5に示すように、例えば駆動用バッテリ24を複数収納可能な筐体5と、図8に示すように、筐体5を複数段積層可能に収納する架台6と、この架台6に筐体5を固定可能な後述の固定手段とを備えた構成にしてある。
【0036】
図4に示すように、筐体5は、上下方向に延設される4本の支柱51と、吊り上げ用に形成されるねじ穴、例えばアイボルト用のねじ穴56と、互いに平行に複数並設されるプレート55と、これらのプレート55の両端付近のそれぞれに挿通されるパイプ材54aとを備えている。これらのパイプ材54aの内部は、後述するストッパシャフト7が挿通される通し穴54が形成されている。
【0037】
上述した支柱51のそれぞれの上端及び下端の一方、例えば上端には、凸形ホルダ52を配置してあり、下端には凸型ホルダ52と係合可能な形状に形成された凹型ホルダ53を配置してある。
【0038】
このように構成した筐体5内に、図5に示すように、複数の駆動用バッテリ241が収納可能になっている。
【0039】
図6に示すように、架台6は、筐体5が搭載される底板62と、この底板62から立設され互いに対向するように設けた一対の側板61とを備えている。
【0040】
底板62には、筐体5の例えば凹型ホルダ53に供給可能な凸型ホルダ63を形成してある。側板61のそれぞれには、上下方向に沿って複数の通し穴64を形成してある。これらの側板61のうちの一方の側板61の通し穴64には、ねじ部65を形成してある。このねじ部65は、例えば側板61に溶接したナットから成っている。上述した通し穴64のそれぞれは、架台6の側板61間に、また底板62上に筐体5を配置した際に、それぞれの筐体5の通し穴54と適合するように形成してある。
【0041】
このように構成した架台6内に、図8に示すように、複数の筐体5が積層されるようになっている。なお、架台6内に筐体5を搭載するに際し、図9に示すように、最下段の筐体5の支柱51の下端の凹型ホルダ53が架台6の凸型ホルダ63に係合するように配置され、この最下段の筐体5の支柱51の上端の凸型ホルダ52に、その上に配置される筐体5の支柱51の下端の凹型ホルダ53が係合して積層されるようになっている。
【0042】
上述した筐体5の通し穴54と、架台6の側板61のそれぞれに形成した通し穴64と、これらの通し穴64の一方に設けたねじ部65と、ストッパシャフト7とによって、架台6に筐体5を固定可能な上述した固定手段が構成されている。
【0043】
このように構成される本実施形態に、複数の駆動用バッテリ241を搭載する作業は、次のようにして行なわれる。すなわち、図4に示されるように形成された1つの筐体5上に、図5に示すように複数の駆動用バッテリ241が収納される。このように駆動用バッテリ241が複数収納された筐体5が、例えば3つ用意される。
【0044】
次に最下段に配置される筐体5のねじ穴56にアイボルトが螺合され、このアイボルトを介して図6に示す架台6内に最下段の筐体5が吊り下げながら収納される。以下、同様にして筐体5を架台6に収納する際にはアイボルトが活用される。このとき、図9に示すように、架台6の底板62の凸型ホルダ63に、筐体5の支柱51の下端の凹型ホルダ53を係合させるようにして収納される。ここで例えば、最下段用のストッパシャフト7を、架台6の通し穴64と筐体5の通し穴54に挿通させ、さらにその端部を架台6のねじ部65に螺合させる。これによって、最下段の筐体5が架台6に固定される。
【0045】
次に、最下段の筐体5に取り付けられていたアイボルトが外され、2段目に配置される筐体5にアイボルトが取り付けられ、架台6にこの筐体5が収納される。このとき、図9に示すように、最下段に配置した筐体5の支柱51の上端の凸型ホルダ52に、2段目の筐体5の支柱51の下端の凹型ホルダ53を係合させるようにして収納される。ここで例えば、2段目用のストッパシャフト7を、架台6の通し穴64と2段目用の筐体5の通し穴54に挿通させ、さらにその端部を架台6のねじ部65に螺合させる。これによって、2段目の筐体5が最下段の筐体5に積層された状態で、また互いに位置決めされた状態で架台6に固定される。
【0046】
次に、2段目の筐体5に取り付けられていたアイボルトが外され、3段目に配置される筐体5にアイボルトが取り付けられ、架台6にこの筐体5が収納される。このとき、2段目に配置した筐体5の支柱51の上端の凸型ホルダ52に、3段目の筐体5の支柱51の下端の凹型ホルダ53を係合させるようにして収納される。ここで、3段目用のストッパシャフト7を、架台6の通し穴64と3段目用の筐体5の通し穴54に挿通させ、さらにその端部を架台6のねじ部65に螺合させる。これによって、3段目の筐体5が2段目の筐体5に積層された状態で、また互いに位置決めされた状態で架台6に固定される。これによつて、図8に示すように、架台6に、駆動用バッテリ241が複数収納された筐体5が3段積層された状態で固定される。
【0047】
このように構成した本実施形態によれば、複数の駆動用バッテリ241を収納させた筐体5を架台6に3段に積層させるようにしたので、複数の駆動用バッテリ241を効率よく搭載でき、必要な動力を確保することができる。例えば、本実施形態が備えられる油圧ショベルにおいて、土木作業等の重負荷となる作業が実施される場合には、筐体5の段数を多めにして駆動用バッテリ241の数を多くし、産廃分別等の比較的軽負荷となる作業が実施される場合には、筐体5の段数を少なめにして駆動用バッテリ241の数を少なくすればよい。このように本実施形態は、作業の種類に応じて要求される動力を確実に供給させることができ、実用性に富む。
【0048】
また、本実施形態によれば、固定手段に含まれるストッパシャフト7を引き抜いて架台6と筐体5との固定を解除することにより、駆動用バッテリ241の寿命が来て交換する際には、筐体5を架台6から外し、筐体5に収容されていた駆動用バッテリ241を容易に新しいものに交換することができる。さらに、ストッパシャフト7で筐体5を架台6に固定したことにより、車体からの振動に影響されることなく、駆動用バッテリ241を保持させることができる。これらにより高い信頼性を確保することができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、筐体5の支柱51の上端に凸型ホルダ52を設け、下端に凹型ホルダ53を設けたが、これとは逆に、支柱51の上端に凹型ホルダ52を設け、下端に凸型ホルダ52を設けた構成にしてもよい。この場合には、架台6の底板62には、凹型ホルダを設けるとよい。
【0050】
また、上記実施形態では、ストッパシャフト7が端部に架台6の側板61のねじ部65に螺合するねじ部を有する構成にしてあるが、本発明は、このように構成することには限られない。すなわち、ストッパシャフト7をねじ部を有さずに径方向に貫通するピン穴を有するように形成するとともに、このピン穴に挿入可能なピンを備え、筐体5の通し穴54、及び架台6の通し穴64に挿通させたストッパシャフト7のピン穴に上述のピンを挿入して、ストッパシャフト7を架台に固定させる構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係るバッテリ保持構造の一実施形態が備えられるバッテリ駆動式建設機械の一例として挙げたバッテリ駆動式油圧ショベルを示す側面図である。
【図2】図1に示すバッテリ駆動式油圧ショベルの要部を示す平面図である。
【図3】図1に示すバッテリ駆動式油圧ショベルの要部を示す正面図である。
【図4】本実施形態に係るバッテリ保持構造に備えられる筐体を示す斜視図である。
【図5】図4に示す筐体の内部に複数のバッテリを収納させた状態を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係るバッテリ保持構造に備えられる架台を示す斜視図である。
【図7】図6に示す架台にストッパシャフトを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】図6に示す架台の内部に、複数のバッテリを収納させた筐体を複数段積層させた状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0052】
1 バッテリ駆動式油圧ショベル
2 旋回体
231a〜231e インバータ
24 バッテリ収納部
241 駆動用バッテリ
242 制御用バッテリ
243 カバー
271 油圧ポンプ駆動用電動モータ(油圧ポンプ駆動用電動機)
274 パイロット油圧ポンプ用電動モータ(パイロット油圧ポンプ用電動機)
281 旋回用電動モータ(旋回用電動機)
3 フロント作業機
34a ブームシリンダ
34b アームシリンダ
34c バケットシリンダ
4 走行体
431L 走行用電動モータ(走行用電動機)
5 筐体
51 支柱
52 凸型ホルダ
53 凹型ホルダ
54 通し穴(固定手段)
54a パイプ材(固定手段)
55 プレート
56 ねじ穴
6 架台
61 側板
62 底板
63 凸型ホルダ(固定手段)
64 通し穴(固定手段)
65 ねじ部(固定手段)
7 ストッパシャフト(固定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータと、バッテリと、このバッテリの電力を制御するインバータと、このインバータの出力電圧を介して上記アクチュエータに動力を伝える電動機とを有するバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造において、
上記バッテリを複数収納可能な筐体と、この筐体を複数段積層可能に収納する架台と、この架台に上記筐体を固定可能な固定手段とを備えたことを特徴とするバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造。
【請求項2】
上記請求項1記載の発明において、
上記筐体が、
上下方向に延設される支柱と、吊り上げ用に形成されたねじ穴とを有するとともに、上記支柱の上端及び下端の一方に配置される凸型ホルダと、この凸型ホルダと係合可能な形状に形成され、上記支柱の上端及び下端の他方に配置される凹型ホルダとを有し、さらに、上記固定手段に含まれる通し穴を有することを特徴とするバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造。
【請求項3】
上記請求項2記載の発明において、
上記架台が、
上記固定手段に含まれ、上記筐体の上記凸型ホルダまたは上記凹型ホルダに係合可能な凹型ホルダまたは凸型ホルダと、上記固定手段に含まれ、上記筐体の通し穴に適合するように形成される通し穴とを有するとともに、
上記固定手段に含まれ、上記筐体の通し穴と、上記架台の通し穴とに挿通可能なストッパシャフトを備えたことを特徴とするバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造。
【請求項4】
上記請求項3記載の発明において、
上記架台が、上記筐体が搭載される底板と、この底板から立設され互いに対向するように設けられ、間に上記筐体が配置される側板とを有し、
上記筐体の凸型ホルダまたは凹型ホルダに係合可能な上記凹型ホルダまたは凸型ホルダを上記底板に形成し、
上記筐体の通し穴に適合するように形成される上記通し穴を上記側板のそれぞれに形成したことを特徴とするバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造。
【請求項5】
上記請求項4記載の発明において、
上記ストッパシャフトが、一端に上記架台の上記側面の通し穴より寸法の大きい頭部を有し、他端にねじ部を有するとともに、
上記架台の側板のうちの一方の側板の通し穴に、上記ストッパシャフトの上記ねじ部に螺合するねじ部を形成したことを特徴とするバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造。
【請求項6】
上記請求項4記載の発明において、
上記ストッパシャフトが、一端に上記架台の上記側面の通し穴より寸法の大きい頭部を有し、他端にピン穴を有するとともに、
上記ストッパシャフトの上記ピン穴に挿入され、上記ストッパシャフトを上記架台に係止させるピンを備えたことを特徴とするバッテリ駆動式建設機械のバッテリ保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−44408(P2008−44408A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218879(P2006−218879)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】