説明

バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物及びレジスト下層膜のバリア性評価方法

【課題】
バリア性を示すレジスト下層膜を形成するための組成物、及びレジスト下層膜のバリア性を適当な数値に換算して評価する方法を提供する。
【解決手段】
バリア性を示すレジスト下層膜を形成するための組成物は、少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物と有機溶媒と架橋剤を含む。そして、所定の条件で第1のレジスト下層膜単層をベークする際に発生する昇華物の量、第2のレジスト下層膜単層を所定の条件でベークして形成する際に発生する昇華物の量、及び第1のレジスト下層膜上に第2のレジスト下層膜を所定の条件でベークして形成する際に発生する昇華物の量を定量した結果を用いて、第2のレジスト下層膜のバリア性を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置を製造する過程のリソグラフィー工程において所望の形状のレジストパターンを得るために、レジストパターン形状を変化させる物質がレジストへ拡散する障壁となるレジスト下層膜を形成するのに有用な組成物に関する。さらに、このレジスト下層膜のバリア性評価方法に関する。
【0002】
本明細書において、バリア性とは、レジストパターン形状を変化させる物質が上層のレジストへ拡散(移動)することを抑制する特性を意味する。また、本明細書において、当該物質がレジストへ拡散する障壁となるレジスト下層膜のことを特にバリア層又はバリア膜と表現する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィー工程において、エッチングの際のマスク材としてレジストパターンが形成される。従来、基板に対して垂直方向におけるレジストパターンの断面が、例えば、アンダーカット形状、T−トップ形状、フッティング形状になり、所望の形状にならないという問題がしばしば発生していた。ここで、所望の形状とは、レジストパターンの裾部がストレート形状で、前記断面がほぼ矩形である形状である。レジストパターンがアンダーカット形状である場合、レジストパターンとレジスト下層膜とが接する面積が、所望の形状である場合よりも狭いため、レジストパターンの倒壊が発生しやすい。
【0004】
近年、レジストパターンの微細化及び薄膜化が進むにつれ、上記問題の解決はますます重要になっている。しかしながら、従来から反射防止膜として用いられているレジスト下層膜は、必ずしも十分なバリア性を有するとはいえない。
【0005】
ところで、誘電体層による、フォトレジスト層のコンタミネーション(contamination)又はポイズニング(poisoning)を減少させるバリア層を形成するための組成物が、特許文献1に記載されている。当該組成物は架橋可能なポリマーを含み、このポリマーとしてフェノールノボラック樹脂が挙げられている。
【特許文献1】特開2002−128847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レジストパターン形状を変化させる物質とは、酸、又はアミンのような塩基であると考えられる。レジスト下層膜からポジ型レジストへ酸が拡散する場合について、検討する。レジスト下層膜からの酸の拡散に起因して、ポジ型レジストとレジスト下層膜との界面近傍において酸性が強くなり、当該界面近傍におけるポジ型レジストのアルカリ現像液に対する溶解性が増す。その結果、形成されるレジストパターンはアンダーカット形状になると考えられる。逆に、レジスト下層膜からポジ型レジストへ塩基が拡散する場合、ポジ型レジストとレジスト下層膜との界面近傍において塩基性が強くなり、当該界面近傍におけるポジ型レジストのアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、形成されるレジストパターンはフッティング形状になると考えられる。
【0007】
レジストパターンを形成する工程において、例えば80℃以上250℃以下の温度で0.5分以上5分以下のベーク処理が、少なくとも1回、例えば2回行われる。そのベーク処理中に、レジスト下層膜、基板等からレジストへ酸又は塩基が拡散しやすい。その他、レジストパターン形状の変化は、レジストを塗布する工程で、レジストに含まれる低分子成分がレジスト下層膜に染み込むことに起因する場合がある。
【0008】
前述の特許文献1には、フォトレジストの下層にバリア層を設けることは記載されているが、レジストパターン形状を変化させる物質のレジスト下層膜からの拡散について記載又は示唆はない。さらに、バリア層のバリア性評価法についても記載又は示唆はない。
【0009】
本発明は、レジスト下層膜のバリア性を、適当な数値に換算して評価する方法を提供することを目的とする。
【0010】
さらに本発明は、レジスト下層膜上に形成されるレジストパターンが所望の形状となる、バリア性を示すレジスト下層膜を形成するための組成物を提供することを目的とする。このバリア性を示すレジスト下層膜は、ArF又はKrFエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)等の放射線でレジストを露光する際の反射防止特性を具備するレジスト下層膜を伴って、又は当該レジスト下層膜を伴わずに、基板とレジストの間に設けられる。本発明のバリア性を示すレジスト下層膜は、必ずしも反射防止特性を具備している必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者らは、レジスト下層膜に対するバリア性の評価方法を新たに考案し、その方法に基づき種々のレジスト下層膜を評価した結果、特にバリア性に優れたレジスト下層膜を見出した。そして、バリア性に優れたレジスト下層膜を形成するには、少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物、有機溶剤、及び架橋剤を含む組成物を用いる必要があることが判明した。
【0012】
本発明の第1の態様は、少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物と有機溶媒と架橋剤を含み、前記化合物は下記式(1):
【化1】


〔上記式中、Xは下記式(2)、式(3)又は式(4):
【化2】


(上記式中、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数3乃至6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、前記フェニル基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基で置換されていてもよく、RとR、RとRは互いに結合して炭素原子数3乃至6の環を形成していてもよい)を表す〕
で表される繰り返し単位構造を有する、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物である。
【0013】
前記式(1)は、例えば下記式(5):
【化3】


で表される繰り返し単位構造を有する。
【0014】
本発明の第2の態様は、少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物と有機溶媒と架橋剤を含み、前記化合物は下記式(6):
【化4】


(上記式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1乃至6のアルキル基を表し、Y及びYはそれぞれ独立にフェノール誘導体を表す)
で表される繰り返し単位構造を有する、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物である。ここで、フェノール誘導体とは、フェノールのベンゼン環における水素原子少なくとも1つが有機基(炭素原子を含む置換基)で置換されたものである。
【0015】
前記式(6)は、例えば下記式(7):
【化5】


〔上記式中、Z乃至Zはそれぞれ独立に水素原子又は下記式(8a)若しくは式(8b):
【化6】


(上記式中のZ乃至Zも上記同様である)を表す〕で表される繰り返し単位構造を有する。この式(7)で表される繰り返し単位構造を有する化合物は、分岐ポリ−ヒドロキシスチレン(Branched Poly−(hydroxy)styrene)である。
【0016】
本発明の第1の態様、第2の態様における前記化合物は、ポリマー、オリゴマー、又はそれらの組み合わせである。そして、前記化合物の少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環は、ポリマー(オリゴマー)の主鎖に導入されていても、側鎖に導入されていてもよい。
【0017】
本発明の第3の態様は、少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物と有機溶媒と架橋剤を含み、前記化合物は下記式(9):
【化7】


で表される構造を有する、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物である。
【0018】
本発明の第3の態様における前記化合物は、前記式(9)で表される構造を末端に有するオリゴマー、下記式(10):
【化8】


で表されるモノマー、又はそれらの組み合わせである。
【0019】
本発明のバリア性を示すレジスト下層膜形成用組成物に含まれる有機溶媒は、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、乳酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンから選択される少なくとも1種からなる。
【0020】
上記有機溶媒を除く、本発明のバリア性を示すレジスト下層膜形成用組成物の成分を固形分と定義すると、当該固形分の割合は、本発明の組成物に対し、例えば1質量%以上30質量%以下である。
【0021】
本発明のバリア性を示すレジスト下層膜形成用組成物に含まれる架橋剤は、例えばメチロール基またはアルコキシメチル基が結合した窒素原子を2つ乃至4つ有する含窒素化合物である。架橋剤の具体例として、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素及び1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素等が挙げられる。固形分に対する架橋剤の割合は、例えば10質量%以上70質量%以下、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。架橋剤の割合が増加するほど、形成されるレジスト下層膜のバリア性は高くなる傾向があるが、架橋剤の割合が所定の割合を超えるとバリア性はほとんど向上しなくなる。架橋剤を含まない場合、形成されるレジスト下層膜のバリア性は低く、バリア層(バリア膜)として使用できない。
【0022】
本発明のバリア性を示すレジスト下層膜形成用組成物は、添加物として酸性を示す化合物を更に含んでもよい。酸性を示す化合物は、架橋反応を促進させる作用を有する。例えばスルホン酸化合物は酸性を示す化合物に該当し、その具体例として、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、5−スルホサリチル酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸及びピリジニウム−1−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。固形分に対する酸性を示す化合物の割合は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
【0023】
本発明のバリア性を示すレジスト下層膜形成用組成物は、添加物として界面活性剤を更に含んでもよい。界面活性剤は、基板又は下地に対する塗布性を向上させるための添加物である。ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤のような公知の界面活性剤を用いることができる。
【0024】
本発明のバリア性を示すレジスト下層膜形成用組成物を使用する、半導体装置の製造に用いるレジストパターンの形成方法は、基板上に第1のレジスト下層膜形成用組成物を塗布しベークして第1のレジスト下層膜を形成する工程と、本発明のバリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物を前記第1のレジスト下層膜上に塗布しベークして第2のレジスト下層膜を形成する工程と、前記第2のレジスト下層膜上にレジストを塗布しベークする工程と、前記レジストを露光する工程と、露光後の前記レジストを現像する工程を含む。必要に応じて、さらにPEB(Post Exposure Bake)工程を上記露光工程と現像工程の間に追加する。上記第2のレジスト下層膜は、バリア層(バリア膜)と換言することができる。
【0025】
第1のレジスト下層膜形成用組成物が塗布される基板は、例えば半導体基板、代表的にはシリコンウエハーであるが、SOI(Silicon on Insulator)基板、または砒化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、リン化ガリウム(GaP)などの化合物半導体ウエハーを用いてもよい。半導体基板のかわりに、例えばガラス基板、石英基板、セラミックス基板を用いてもよい。いずれかの基板上に、絶縁膜、半導体膜、導電膜等が既に形成されていてもよい。
【0026】
レジストに対して行われる露光は、例えばArFエキシマレーザーを用いる。ArFエキシマレーザーにかえて、KrFエキシマレーザー又はEUV(波長約13.5nm)を用いてもよい。電子線(EB)を用いて露光してもよい。レジストは、ポジ型レジスト、ネガ型レジストいずれでもよく、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、EUV又は電子線に感光する化学増幅型レジストを用いることができる。
【0027】
本発明の第4の態様は、
第1の条件でベークすることにより基板上に第1のレジスト下層膜を形成し、前記第1のレジスト下層膜を第2の条件でベークする際に発生する昇華物の量Sを定量し、
前記第2の条件でベークすることにより基板上に第2のレジスト下層膜を形成する際に発生する昇華物の量Sを定量し、
前記第1の条件でベークすることにより基板上に前記第1のレジスト下層膜を形成し、前記第1のレジスト下層膜上に前記第2のレジスト下層膜を前記第2の条件でベークすることにより形成する際に発生する昇華物の量SU+Bを定量し、
定量された前記昇華物の量S、S及びSU+Bを用いて、前記第2のレジスト下層膜のバリア性を評価する、レジスト下層膜のバリア性評価方法である。
【0028】
本発明のレジスト下層膜のバリア性評価方法では、第2の条件でベークする際に発生する昇華物の量のみが定量されることに留意する必要がある。上記第2のレジスト下層膜のバリア性は、SU+BとSとの差が小さく且つSの値が小さいほど、又はSU+BとSとの差が小さく且つSの値が大きいほど、高いことが示唆される。
【0029】
本発明のレジスト下層膜のバリア性評価方法は、定量された前記昇華物の量S、S及びSU+Bを、例えば下記式:
〔1−(SU+B−S)/S〕×100
に代入して算出される数値によって、第2のレジスト下層膜のバリア性を評価する。本明細書では、この数値を、「%」を単位とするバリア率(Barrier rate)と称する。このバリア率が高いほど(100%に近いほど)バリア性が高いと判断し、バリア率が80%以上であるレジスト下層膜が、バリア層(バリア膜)として特に有効であるとみなす。このように、レジスト下層膜のバリア性は、レジスト下層膜の昇華物透過性に置き換えることで数値化することができる。そして、数値化することによって、レジスト下層膜のバリア性を容易に評価できる。
【0030】
本発明の第4の態様における、前記第1の条件は130℃以上180℃以下の温度で0.5分以上5分以下の時間、前記第2の条件は130℃以上250℃以下の温度で0.5分以上5分以下の時間である。前記第1の条件の温度は前記第2の条件の温度よりも低くすることが好ましい。なぜなら、前記第1の条件でのベークにより第1のレジスト下層膜を形成する際に発生する昇華物の量をできるだけ少なくすることによって、その後第2の条件でベークする際に発生する昇華物の量を増やし、昇華物量の定量結果に基づくバリア性評価の精度を高めることができる。実際に定量される昇華物の量は、ナノグラム(ng)の単位で表されるレベルであり、微量である。
【0031】
前記昇華物の量S、S及びSU+Bは、例えばQCM(水晶振動子マイクロバランス)法によって定量される。QCM法として、国際公開第2007/111147号パンフレットに記載の装置を用いる方法を採用することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のレジスト下層膜のバリア性評価方法により、レジスト下層膜のバリア性の高さを容易に評価することができる。したがって、このバリア性評価方法によりバリア性の高いレジスト下層膜を見出し、当該レジスト下層膜をバリア層(バリア膜)として採用することができる。さらに、このバリア性評価方法によって見出されたバリア性の高いレジスト下層膜は、前記バリア率の膜厚依存性が小さい。すなわち、比較的薄い膜厚でもバリア性が高く、バリア層(バリア膜)として有効である。
【0033】
本発明のバリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物を用いることによって、当該組成物から形成されるバリア性の高いレジスト下層膜上に、所望の形状(基板に対して垂直方向の断面がほぼ矩形)のレジストパターンを、倒壊することなく形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
第2のレジスト下層膜のバリア性を評価する、本発明のバリア性評価方法について、以下に説明する。
【0035】
ポリマー、有機溶媒及び架橋剤を含む、第1のレジスト下層膜形成用組成物を用意する。ポリマーとして、反射防止膜形成用組成物に用いられる、例えばアクリル系ポリマーを用いる。さらに、酸発生剤が添加されていてもよい。この第1のレジスト下層膜形成用組成物を基板上にスピナー等により塗布し、第1の条件、例えば180℃で1分間ベークすることにより硬化させ、第1のレジスト下層膜を形成する。基板として、例えばシリコンウエハーを用いる。
【0036】
次に、第2のレジスト下層膜形成用組成物(酸発生剤を含まない)を用意する。この第2のレジスト下層膜形成用組成物を、形成された第1のレジスト下層膜上にスピナー等により塗布した後、国際公開第2007/111147号パンフレットに記載されている昇華物量測定装置に、当該組成物が塗布された基板を設置する。この昇華物量測定装置は、基板を加熱するためのホットプレート、電極が形成された水晶振動子(QCMセンサー)、を少なくとも備えており、水晶振動子(電極)の表面に昇華物が付着するようになっている。そして、昇華物の付着によって、水晶振動子の周波数が変化することを利用し、微量の質量変化を測定することができる。電極材料として、例えば、珪素とアルミニウムを主成分とする材料(AlSi)、又は金(Au)を用いる。実際に昇華物量測定装置によって測定されるのは、水晶振動子の周波数変化ΔFであるため、所定の換算式によりΔFを質量変化Δmに変換する。換算式として、Δm=ΔF×1.07を利用することができる。
【0037】
それから、第1のレジスト下層膜上に塗布された第2のレジスト下層膜の形成用組成物を、第2の条件、例えば205℃で1分間ベークすることにより硬化させ、第2のレジスト下層膜を形成する。第2の条件でベークする際に発生する昇華物の量を、前述の昇華物量測定装置により定量し、その結果をSU+Bとする。
【0038】
一方、基板(シリコンウエハー)上に、第1のレジスト下層膜を、前述と同様の方法及び条件により形成する。その後、第2のレジスト下層膜形成用組成物を塗布することなく、第1のレジスト下層膜が形成された基板を、前述の昇華物量測定装置に設置する。それから、第1のレジスト下層膜を第2の条件でベークし、その際に発生する昇華物の量を定量し、その結果をSとする。
【0039】
また、第1のレジスト下層膜が形成されていない基板(シリコンウエハー)上に、第2のレジスト下層膜形成用組成物(酸発生剤を含まない)をスピナー等により塗布し、前述の昇華物量測定装置に設置する。それから、基板上に塗布された第2のレジスト下層膜形成用組成物を、第2の条件でベークすることにより硬化させ、第2のレジスト下層膜を形成する。第2の条件でベークする際に発生する昇華物の量を定量し、その結果をSとする。
【0040】
最後に、得られた結果を式:〔1−(SU+B−S)/S〕×100
に代入してバリア率(%)を算出する。
【0041】
バリア率が80%以上の値を示す場合、第2のレジスト下層膜は、少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物、有機溶剤、及び架橋剤を含む組成物から得られる。少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物は、必ずしもポリマーである必要はない。逆に、このような芳香族環を有する化合物を含まない組成物から得られる第2のレジスト下層膜は、バリア率が80%以上の値にならない。
【0042】
少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物の具体例を、以下の式(11)乃至式(15)に示すが、これらの具体例に限定されない。
【化9】


【化10】


【化11】

【実施例】
【0043】
レジスト下層膜形成用組成物の固形分を構成する化合物の合成、及び当該レジスト下層膜形成用組成物の調整について、具体例を挙げて説明する。
【0044】
本明細書の下記合成例に示す重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)による測定結果である。測定には東ソー(株)製GPC装置を用い、測定条件等は次のとおりである。
GPCカラム:Shodex〔登録商標〕・Asahipak〔登録商標〕(昭和電工(株))
カラム温度:40℃
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
流量:0.6ml/min
標準試料:ポリスチレン(東ソー(株))
【0045】
<合成例1>
ベンジルメタクリレート(東京化成工業(株))13.2g(0.08モル)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(東京化成工業(株))8.0g(0.07モル)、及びγ−ブチロラクトンメタクリレート(東京化成工業(株))18.8g(0.15モル)を乳酸エチル131.6gに溶解させた後、70℃へ昇温した。乳酸エチル溶液が70℃で安定したところで、アゾビスイソブチロニトリル0.4gを乳酸エチル30gに溶解させた溶液を滴下して加えた。滴下終了後、24時間、70℃で攪拌して反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析をおこなったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は28000であった。この反応生成物は、下記式で表されるように、芳香族環に結合したヒドロキシル基を有さない。
【化12】

【0046】
<合成例2>
モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)、商品名:MADGIC)23.346g、ジエチルバルビツール酸15.473g、及び触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.845gをプロピレングリコールモノメチルエーテル160.34gに溶解させた後、130℃で4時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析をおこなったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は9700であった。この反応生成物は下記式で表されるように、芳香族環に結合したヒドロキシル基を有さない。
【化13】

【0047】
<合成例3>
モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)、商品名:MADGIC)23.447g、5−ヒドロキシイソフタル酸15.366g、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.848gをプロピレングリコールモノメチルエーテル160.34gに溶解させた後、130℃で4時間反応させ、反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のプロトンNMR分析をおこなったところ、芳香族性ヒドロキシル基のピークが確認された。また、得られた反応生成物のGPC分析をおこなったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は17000であった。この反応生成物は前記式(11)で表される。
【0048】
<合成例4>
モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)、商品名:MADGIC)22.773g、5−メトキシイソフタル酸16.074g、及び触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.824gをプロピレングリコールモノメチルエーテル160.33gに溶解させた後、130℃で4時間反応させ反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析をおこなったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は7000であった。この反応生成物は下記式で表されるように、芳香族環に結合したヒドロキシル基を有さない。
【化14】

【0049】
<合成例5>
モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸(四国化成工業(株)、商品名:MADGIC)37.720g、酒石酸20.371g、及び触媒としてエチルトリフェニルホスホニウムブロミド1.365gをプロピレングリコールモノメチルエーテル140.54gに溶解させた後、130℃で4時間反応させ反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析をおこなったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は10000であった。この反応生成物は下記式で表されるように、芳香族環に結合したヒドロキシル基を有さない。
【化15】

【0050】
<合成例6>
トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌル酸(日産化学工業(株)、商品名:TEPIC〔登録商標〕)39.159g、3,5−ジヒドロキシ安息香酸60.841gをプロピレングリコールモノメチルエーテル100.00gに溶解させた後、130℃で24時間反応させ反応生成物を含む溶液を得た。得られた反応生成物のGPC分析をおこなったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は1000であった。この反応生成物は例えば前記式(15)で表され、芳香族環に結合したヒドロキシル基を有する。
【0051】
合成例1で得られた反応生成物4.905gを含む溶液24.379gに、乳酸エチル32.04g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート22.08g、酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート(みどり化学(株)、商品名:TPS−105)0.192g、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)1.226g、及びピリジニウム−p−トルエンスルホネート0.0766gを加え、溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、第1のレジスト下層膜形成用組成物を調製した。
【0052】
<比較例1>
合成例1で得られた反応生成物2.510gを含む溶液12.549gに、プロピレングリコールモノメチルエーテル43.7g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23.4g、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.627g、及びピリジニウム−p−トルエンスルホネート0.063gを加え、溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、第2のレジスト下層膜形成用組成物(以下、組成物Aという)を調製した。
【0053】
<比較例2>
合成例2で得られた反応生成物を含む溶液を用い、比較例1と同様の処理をおこない、第2のレジスト下層膜形成用組成物(以下、組成物Bという)を調整した。
【0054】
<実施例1>
合成例3で得られた反応生成物を含む溶液を用い、比較例1と同様の処理をおこない、第2のレジスト下層膜形成用組成物(以下、組成物Cという)を調整した。
【0055】
<実施例2>
分岐ポリ−パラヒドロキシスチレン(デュポン・エレクトロニックポリマー(株)、商品名:PHS−B5E)を用い、比較例1と同様の処理をおこない、第2のレジスト下層膜形成用組成物(以下、組成物Dという)を調整した。使用した分岐ポリ−パラヒドロキシスチレンは、芳香族環に結合したヒドロキシル基を有し、GPC分析をおこなったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は5000であった。
【0056】
<比較例3>
合成例4で得られた反応生成物を含む溶液を用い、比較例1と同様の処理をおこない、第2のレジスト下層膜形成用組成物(以下、組成物Eという)を調整した。
【0057】
<比較例4>
合成例5で得られた反応生成物を含む溶液を用い、比較例1と同様の処理をおこない、第2のレジスト下層膜形成用組成物(以下、組成物Fという)を調整した。
【0058】
<実施例3>
合成例6で得られた反応生成物を含む溶液を用い、比較例1と同様の処理をおこない、第2のレジスト下層膜形成用組成物(以下、組成物Gという)を調整した。
【0059】
(フォトレジストパターン形状の評価)
酸発生剤を含む前述の第1のレジスト下層膜形成用組成物を、スピナーによりシリコンウエハー上に塗布し、ホットプレート上、205℃で1分間ベークし、第1のレジスト下層膜(膜厚0.023μm)を形成した。このような第1のレジスト下層膜が形成されたシリコンウエハーを3枚用意した。
【0060】
次に、組成物A、組成物C及び組成物Dを用い、上記第1のレジスト下層膜それぞれの上に、第2のレジスト下層膜を形成した(205℃で1分間ベーク)。これらの第2のレジスト下層膜それぞれの上に、市販のフォトレジスト溶液(東京応化工業(株)、商品名:TArF−P6111ME)をスピナーにより塗布し、ホットプレート上、130℃で1分間加熱してフォトレジストの層を形成した。
【0061】
それから、(株)ニコン製ArFステッパー(波長:193nm、NA:0.55(Conventional))を用い、現像後にフォトレジストのライン幅が0.08μm、ライン間の幅が0.1μmであるラインが9本形成されるように設計されたマスクを通して露光をおこなった。フォトレジストを露光後、PEB(Post Exposure Bake)を130℃で1分間おこない、冷却後、工業規格の60秒シングルパドル式工程にて0.26規定のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像液を用いて現像して、フォトレジストのパターンを形成した。
【0062】
さらに、比較のため、第1のレジスト下層膜が形成されない点のみが異なる(つまり、上記3種類の第2のレジスト下層膜のいずれかとフォトレジストパターンが形成されている)シリコンウエハーを用意した。
【0063】
第1のレジスト下層膜が形成されない場合のレジストパターンの断面形状を、図1のCondition−1に示す。一方、酸発生剤を含む第1のレジスト下層膜上に、第2のレジスト下層膜を積層した場合のフォトレジストパターンの断面形状を、図1のCondition−2に示す。図2は、シリコンウエハー101上に、酸発生剤を含む第1のレジスト下層膜102、第2のレジスト下層膜103が積層される様子を示している。
【0064】
図1に示す結果は、第2のレジスト下層膜が組成物Aを用いて形成される場合、酸発生剤を含む第1のレジスト下層膜の有無によって、レジストパターンの断面形状が大きく変化し、当該第1のレジスト下層膜が存在するとフォトレジストパターンが倒壊することを示している。すなわち、組成物Aを用いて形成される第2のレジスト下層膜は、酸の拡散に対するバリア性が低いことを示唆している。一方、第2のレジスト下層膜が組成物C又は組成物Dを用いて形成される場合、酸発生剤を含む第1のレジスト下層膜の有無によって、レジストパターンの断面形状はほとんど変化しない。すなわち、組成物C又は組成物Dを用いて形成される第2のレジスト下層膜は、酸の拡散に対するバリア性が高いことを示唆している。
【0065】
(バリア性の評価)
前述の第1のレジスト下層膜形成用組成物(ただし酸発生剤を含まない)を用いて、シリコンウエハー上に形成された第1のレジスト下層膜(膜厚約80nm)単層から発生する昇華物の量Sを、前述の昇華物量測定装置で定量した。組成物A乃至組成物Gを用いてシリコンウエハー上に第2のレジスト下層膜(膜厚約30nm)単層をそれぞれ形成する際に発生する昇華物の量Sを、前述の昇華物量測定装置で定量した。シリコンウエハー上に前記第1のレジスト下層膜(膜厚約80nm)を形成し、その上に前記第2のレジスト下層膜(膜厚約30nm)を図2に示すように形成する際に発生する昇華物の量SU+Bを、前述の昇華物量測定装置で定量した。定量時のベーク条件は、205℃で2分間である。ベーク時間が長くなるほど、昇華物の量は増加するが、所定の時間を超えると昇華物の量はほとんど増加しなくなる。
【0066】
定量されたS、S及びSU+Bの値から、下記式を用いてバリア率(Barrier rate)を算出した結果を表1に示す。
バリア率(%)=〔1−(SU+B−S)/S〕×100
【表1】

【0067】
表1は、組成物Cを用いて形成される第2のレジスト下層膜、及び組成物Dを使用して形成される第2のレジスト下層膜は、高いバリア性を有することを示している。表1はさらに、組成物Gを用いて形成される第2のレジスト下層膜についても、高いバリア性を有することを示している。組成物Gに含まれる合成例6で得られた反応生成物は、GPC分析による重量平均分子量から、ポリマーであるとはいえず、オリゴマー、モノマー、又はそれらの組み合わせであると考えられる。組成物Cを用いて形成される第2のレジスト下層膜、組成物Dを用いて形成される第2のレジスト下層膜、及び組成物Gを用いて形成される第2のレジスト下層膜は、バリア層(バリア膜)として十分なバリア性を備えていることがわかった。
【0068】
一方、組成物Aを用いて形成される第2のレジスト下層膜、組成物Bを用いて形成される第2のレジスト下層膜、組成物Eを用いて形成される第2のレジスト下層膜、及び組成物Fを用いて形成される第2のレジスト下層膜は、バリア性が低い結果となった。この結果は、これらの第2のレジスト下層膜をバリア層(バリア膜)と称することは、不適切であることを示している。
【0069】
表1において、バリア率が80%以上である結果を示す第2のレジスト下層膜は、いずれも、少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環(フェノール性ヒドロキシル基)を有する化合物を含む組成物から形成される。一方、バリア率が80%よりずっと低い結果を示す第2のレジスト下層膜は、いずれも、そのような芳香族環を有する化合物を含む組成物から形成されていない(合成例1,2,4,5参照)。
【0070】
(バリア率の膜厚依存性)
膜厚の異なる第2のレジスト下層膜について、バリア率を算出した結果を図3に示す。第2のレジスト下層膜として、2種類の膜を用いた。一方はフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を含む組成物から形成され、他方はフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を含まない組成物から形成されたものである。30nm程度の薄い膜厚で高いバリア性を示す第2のレジスト下層膜は、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を含む組成物から形成され、膜厚の変化に伴うバリア率の変化は小さい。30nm程度の薄い膜厚でのバリア性が低い第2のレジスト下層膜は、膜厚を厚くしなければ、バリア率を上昇させることができない。
【0071】
(バリア率と膜密度との関係)
組成物Aを用いて形成される第2のレジスト下層膜と組成物Cを用いて形成される第2のレジスト下層膜(いずれも膜厚約100nm)の密度を、PANalytical社製X線回折装置(X’Pert PRO MRD)を用いて測定したところ、前者は1.26g/cm、後者は1.41g/cmであった。この結果は、膜密度が高いほどバリア率も高い傾向を示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】レジストパターンの断面形状を比較する図である。
【図2】シリコンウエハー上に第1のレジスト下層膜と第2のレジスト下層膜が積層される様子を示す図である。
【図3】第2のレジスト下層膜の膜厚に対するバリア率の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
101 シリコンウエハー
102 第1のレジスト下層膜
103 第2のレジスト下層膜


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物と有機溶媒と架橋剤を含み、前記化合物は下記式(1):
【化1】


〔上記式中、Xは下記式(2)、式(3)又は式(4):
【化2】


(上記式中、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1乃至6のアルキル基、炭素原子数3乃至6のアルケニル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、前記フェニル基は、炭素原子数1乃至6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基及び炭素原子数1乃至6のアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基で置換されていてもよく、RとR、RとRは互いに結合して炭素原子数3乃至6の環を形成していてもよい)を表す〕
で表される繰り返し単位構造を有する、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物。
【請求項2】
請求項1において、前記式(1)は下記式(5):
【化3】


で表される繰り返し単位構造を有する、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物と有機溶媒と架橋剤を含み、前記化合物は下記式(6):
【化4】


(上記式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1乃至6のアルキル基を表し、Y及びYはそれぞれ独立にフェノール誘導体を表す)
で表される繰り返し単位構造を有する、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物。
【請求項4】
請求項3において、前記式(6)は下記式(7):
【化5】


〔上記式中、Z乃至Zはそれぞれ独立に水素原子又は下記式(8a)若しくは式(8b):
【化6】


(上記式中のZ乃至Zも上記同様である)を表す〕で表される繰り返し単位構造を有する、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのヒドロキシル基が結合した芳香族環を有する化合物と有機溶媒と架橋剤を含み、前記化合物は下記式(9):
【化7】


で表される構造を有する、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記化合物はポリマー、オリゴマー、又はそれらの組み合わせである、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物。
【請求項7】
請求項5において、前記化合物は前記式(9)で表される構造を末端に有するオリゴマー、下記式(10):
【化8】


で表されるモノマー、又はそれらの組み合わせである、バリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物。
【請求項8】
基板上に第1のレジスト下層膜形成用組成物を塗布しベークして第1のレジスト下層膜を形成する工程と、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のバリア性を示すレジスト下層膜の形成用組成物を前記第1のレジスト下層膜上に塗布しベークして第2のレジスト下層膜を形成する工程と、前記第2のレジスト下層膜上にレジストを塗布しベークする工程と、前記レジストを露光する工程と、露光後の前記レジストを現像する工程、を含む半導体装置の製造に用いるレジストパターンの形成方法。
【請求項9】
第1の条件でベークすることにより基板上に第1のレジスト下層膜を形成し、前記第1のレジスト下層膜を第2の条件でベークする際に発生する昇華物の量Sを定量し、
前記第2の条件でベークすることにより基板上に第2のレジスト下層膜を形成する際に発生する昇華物の量Sを定量し、
前記第1の条件でベークすることにより基板上に前記第1のレジスト下層膜を形成し、前記第1のレジスト下層膜上に前記第2のレジスト下層膜を前記第2の条件でベークすることにより形成する際に発生する昇華物の量SU+Bを定量し、
定量された前記昇華物の量S、S及びSU+Bを用いて、前記第2のレジスト下層膜のバリア性を評価する、レジスト下層膜のバリア性評価方法。
【請求項10】
請求項9において定量された前記昇華物の量S、S及びSU+Bを下記式:
〔1−(SU+B−S)/S〕×100
に代入して算出される数値によって第2のレジスト下層膜のバリア性を評価する、レジスト下層膜のバリア性評価方法。
【請求項11】
請求項9又は請求項10において、前記第1の条件は130℃以上180℃以下の温度で0.5分以上5分以下の時間、前記第2の条件は130℃以上250℃以下の温度で0.5分以上5分以下の時間である、レジスト下層膜のバリア性評価方法。
【請求項12】
請求項11において、前記第1の条件の温度は前記第2の条件の温度よりも低い、レジスト下層膜のバリア性評価方法。
【請求項13】
請求項9乃至請求項12のいずれか一項において、前記昇華物の量S、S及びSU+BはQCM(水晶振動子マイクロバランス)法によって定量される、レジスト下層膜のバリア性評価方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−175436(P2009−175436A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13962(P2008−13962)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】